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JP2004519211A - 亜鉛フィンガードメイン認識コードおよびその使用 - Google Patents

亜鉛フィンガードメイン認識コードおよびその使用 Download PDF

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JP2004519211A JP2002514190A JP2002514190A JP2004519211A JP 2004519211 A JP2004519211 A JP 2004519211A JP 2002514190 A JP2002514190 A JP 2002514190A JP 2002514190 A JP2002514190 A JP 2002514190A JP 2004519211 A JP2004519211 A JP 2004519211A
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Abstract

本発明は、2つのヒスチジン残基および2つのシステイン残基が中心の亜鉛イオンに配位結合している亜鉛フィンガードメインを含む、DNA結合タンパク質に関する。より詳細には、本発明は、亜鉛フィンガードメインを設計するための状況独立性(context−independent)認識コードの同定に関する。このコードにより、4塩基対ヌクレオチド標的配列からの亜鉛フィンガードメインのαへリックス領域の−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸が同定可能である。本発明は、この認識コードを使用して設計した亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)、これらのUFPをコードする核酸、ならびに、遺伝子発現を調整し、ゲノム構造を変化させ、ウイルス複製を阻害して、このようなタンパク質の結合部位における変化(例えば、ヌクレオチドの置換、欠失、または挿入)を検出するためのこのようなZFPの使使用頻度を含む。さらに本発明は、3組の256個のヌクレオチドを使用した3つ以上の亜鉛フィンガードメインでのZFPの迅速なアセンブリーの方法を提供し、ここで各組は、256個の異なる4塩基対標的を標的とし、全部で768個のオリゴヌクレオチド由来の全ての可能な3フィンガーZFP(すなわち、>>10)の産生を可能にするように設計されている。

Description

【0001】
本発明は、2つのヒスチジンおよび2つのシステイン残基が、中心の亜鉛イオンに配位した亜鉛フィンガードメインを含むDNA結合ドメインに関する。より詳細には、本発明は、亜鉛フィンガードメインを設計するための状況独立性(context−independent)認識コードの同定に関する。このコードにより4塩基対ヌクレオチド標的配列からの亜鉛フィンガードメインのαへリックス領域の−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸を同定可能である。本発明は、この認識コードを使用して設計した亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)、これらのZFPをコードする核酸、ならびに遺伝子発現を調整し、ゲノム構造を変化させ、ウイルス複製を阻害し、変化(例えば、ヌクレオチドの置換、欠失、または挿入)を検出するためのこのようなZFPの使使用頻度を含む。さらに本発明は、各組が256個の異なる4塩基対標的を標的とし、全部で768個のオリゴヌクレオチド由来の全ての可能な3フィンガーZFP(すなわち、>>10)が産生されるように設計された、3組の256個のヌクレオチドを使用した3つ以上の亜鉛フィンガードメインを有するZFPの迅速アセンブル法を提供する。
【0002】
選択的遺伝子発現は、遺伝子の調節領域内の転写因子のヌクレオチド配列との特異的相互作用によって調整される。亜鉛フィンガーは、遺伝子転写を制御する真核生物タンパク質で見出される構造ドメインである。ZFPのCysHisクラスの亜鉛フィンガードメインは、結合した亜鉛イオンの周囲で折りたたまれたポリペプチド構造ドメインであり、式
Figure 2004519211
の配列を有する:
式中、Xは任意のアミノ酸である。亜鉛フィンガーは、αヘリックスに対する逆平衡βシートの封入を安定化するために亜鉛イオンを使用する独立した折りたたみドメインである。Xとして示されるアミノ酸中には多数の配列バリエーションが存在するが、2つのコンセンサスヒスチジンおよびシステイン残基は不変である。ほとんどのZFPが類似の三次元構造を有するにもかかわらず、これらは広範な種々のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに結合する。
【0003】
いくつかの報告では、どのようにして亜鉛フィンガードメインがその標的ポリヌクレオチドを認識するのかを考察し、標的配列のヌクレオチドに結合する亜鉛フィンガー中のアミノ酸を説明する認識コードの作成を試みている。しかし、これらの研究のほとんどは、3つのヌクレオチド標的部位を強調している。しかし、現在利用可能な限られた配列認識情報は、主に状況特異的結合に関する。言い換えれば、亜鉛フィンガードメインの結合は、亜鉛フィンガードメイン内のアミノ酸に直接接触するもの以外のポリヌクレオチド配列に依存する。本発明は、これらの欠点に対処し、状況独立性の亜鉛フィンガー認識コードを提供する。
【0004】
さらに、数百万の選択肢のうちから任意の1つを有効に選択するためのマルチフィンガーZFPの設計および人工的に合成する能力は、当技術分野において制限されている。例えば、いくつかの既知のZFP構築法には、ファージディスプレイ、ランダム変異誘発、組み合わせライブラリー、コンピューター/合理的設計、親和性選択、PCR、cDNAもしくはゲノムライブラリーからのクローニング、合成構築などによるZFPをコードする核酸の設計および構築が含まれる。(例えば、米国特許第5,786,538号;Wuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:344−348 (1995);Jamiesonら、Biochemistry 33: 5689−5695 (1994);RebarおよびPabo、Science 263: 671−673 (1994);ChooおよびKlug、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91: 11168−11172 (1994);Desjarlaisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89: 7345−5349 (1992);Desjarlaisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90: 2256−2260 (1993);Desjarlaisら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91: 11099−11103;Pomerantzら、Science 267: 93−96 (1995);Pomerantzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92: 9752−9756 (1995);ならびにLiuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94: 5525−5530 (1997);GriesmanおよびBerg、Science 275: 657−661 (1997)を参照のこと)。
【0005】
典型的には、タンパク質がZFP中のいくつかの同一のドメインまたはドメイン数を共有するかどうかに関係なく、所望の異なる各ZFPについてDNAを合成する。これは、巨大なマルチフィンガーZFPの合成の相違が存在し得る。個々の亜鉛フィンガードメインをコードするDNA由来のZFPの組換え作製法は、特にドメインが類似の配列を有する場合、正確な順序での各DNAの構築の困難さにより複雑になり得る。
【0006】
したがって、当技術分野において、複数の亜鉛フィンガードメインを含むZFPを有効に構築する方法が必要である。本発明は当技術分野の欠点に対処し、所望の順序でドメインが構築されるように設計した各ドメインをコードするオリゴヌクレオチドの3つの組からマルチフィンガーZFPをアセンブルさせる方法を提供する。
【0007】
本発明は、4塩基対標的配列を使用した亜鉛フィンガードメインを設計し、本明細書に記載の認識コード表の亜鉛フィンガードメインのαヘリックスの−1位、2位、3位、および6位でのアミノ酸の同一性を決定する方法に関する。特に、この方法は、4塩基対標的の最後の塩基が次の4塩基対標的の第1の塩基である、重複した4塩基対セグメントに分割できるより長い標的配列のマルチフィンガー(すなわち、マルチドメイン)ZFPの設計に有用である。
【0008】
特定の態様では、本発明は、式
Figure 2004519211
の亜鉛フィンガードメインを設計する方法を提供する:
式中、Xは任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの発生数を示し、従って、XはCysHis亜鉛フィンガードメインのフレームワークを示す。この方法を実施するために、(1)4つの塩基を有する標的核酸配列を同定し、(2)例えば、既知の亜鉛フィンガーフレームワーク、コンセンサスフレームワークを選択し、またはこれらのフレームワークを所望のように変更することによって各Xの同一性を決定し、(3)上記または本発明の認識コード表に基づいた亜鉛フィンガードメインのαへリックス部分中のZ−1位、Z位、Z位、およびZ位でのアミノ酸の同一性を決定する。この設計したドメインを使用して、このドメインを含むZFPまたは所望の任意の他のタンパク質を調製できる。ZFPまたは他のタンパク質を、合成または組換えによって調製できるが、組換えが好ましい。
【0009】
4塩基標的配列についての本発明の好ましい認識コード表は以下のとおりである:
(i)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンであり、
第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンであり、
第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、またはロイシンであり、
第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸であり、
(ii)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンであり、
第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンであり、
第2の塩基がTの場合、Zはセリンであり、
第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸であり、
(iii)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンであり、
第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンであり、
第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンまたはメチオニンであり、
第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸であり、
(iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンであり、
第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンであり、
第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニンであり、
第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸である。
上記の認識コードについてより好ましい態様では、第1の塩基がTの場合、Zはトレオニンであり、第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンである(表1)。
【0010】
代替的かつそれほど好ましくない態様では、以下のような認識コード表が提供される:
(i)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンまたはリジンであり、
第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンまたはアスパラギンであり、
第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、またはメチオニンであり、
第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
(ii)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンまたはリジンであり、
第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
第2の塩基がTの場合、Zはセリン、アラニン、またはバリンであり、
第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
(iii)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンまたはリジンであり、
第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンまたはアスパラギンであり、
第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニン、メチオニン、ロイシン、またはイソロイシンであり、
第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
(iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンまたはアルギニンであり、
第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニン、バリン、またはアラニンであり、
第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸である。
【0011】
本発明はまた、各亜鉛フィンガードメインが独立して上記の式によって示される、マルチドメインZFPを設計する方法を提供する。しかし、この場合、標的核酸配列は、3N+1塩基対長(ここで、Nは標的核酸配列の重複4塩基対セグメントへの分割によって得られる標的中の重複4塩基対セグメントの数であり、N−1セグメントまでの各セグメントの第4の塩基はセグメント直後の第1の塩基である)を有する。設計方法の残りは、1ドメインの設計方法に従う。
【0012】
本発明の別の局面は、互いに0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合した少なくとも3つの亜鉛フィンガードメインを含み、亜鉛フィンガーのαヘリックスの−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸が本発明の認識コードにしたがって選択される、標的核酸配列に結合するための単離された人工的なZFPを提供する。特定の態様では、これらのZFPは、それぞれ独立して、式
Figure 2004519211
で示される少なくとも3つの亜鉛フィンガードメインおよび0個〜10個のアミノ酸残基で互いに共有結合したドメインを含む:
式中、Xは任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの発生数を示し、このようなタンパク質が配列番号:3〜12のいずれか1つによって得られるタンパク質ではない場合、Z−1、Z、Z、およびZは表1の認識コードによって決定される。上記のように、XはCysHis亜鉛フィンガードメインのフレームワークを示し、既知の亜鉛フィンガーフレームワーク、コンセンサスフレームワーク、これらのいかなるフレームワークによって得られるフレームワーク、または任意の人工的なフレームワークであり得る。好ましくは、既知のフレームワークを使用して、各Xの同一性を決定する。本発明のZFPは、3個〜40個の亜鉛フィンガードメイン、好ましくは3個〜15個のドメイン、3個〜12個のドメイン、3個〜9個のドメイン、または3個〜6個のドメインを含み、ZFPは3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個のドメインを含む。好ましい態様では、Xを決定するためのフレームワークは、Sp1CまたはZif268からのものである。1つの態様では、フレームワークはSp1Cドメイン2の配列を有si、配列は
Figure 2004519211
である。
【0013】
さらに好ましいZFPは、独立するか任意の組み合わせで、少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZ−1がメチオニンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZ−1がグルタミン酸であり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがトレオニンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがセリンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがアスパラギンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがグルタミン酸であり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがトレオニンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがチロシンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがロイシンであり、かつ/または少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがアスパラギン酸であるが、同一のドメイン中でZ−1がアルギニンではないものである。
【0014】
本発明のZFPはまた、表3に示されている23群のタンパク質を含む。1群〜11群は、以下の種類のヌクレオチド標的配列にそれぞれ結合するタンパク質を示す
Figure 2004519211
式中、DはG、A、またはTであり;MはGまたはTであり;RはGまたはAであり;WはAまたはTであり;Nは任意のヌクレオチドである。12群〜23群のタンパク質は、一般に、式
Figure 2004519211
で示されるが、Nは任意のヌクレオチドではなく、むしろ表3に示される群に属するように指定されたタンパク質のヌクレオチドを示す。
【0015】
本発明の他の局面は、本発明のZFPをコードする単離された核酸、これらの核酸を含む発現ベクター、および発現ベクターで(任意の方法によって)形質転換された宿主細胞を提供する。他の使用のうち、このような宿主細胞を、一定期間およびZFPを発現させる条件下で宿主細胞を培養し、ZFPを回収することによりZFPを調製する方法で使用することができる。
【0016】
本発明のさらに別の局面は、本発明のZFPである第1のセグメントおよびトランスポザーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、レソルバーゼ、インベルターゼ、プロテアーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヌクレアーゼ、転写抑制因子、転写活性化因子、一本鎖DNA結合タンパク質、核局在化シグナル、転写タンパク質漸増タンパク質、または細胞取り込みドメインを含む第2のセグメントを有する融合タンパク質に関する。代替的な態様では、第2のセグメントは、トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、レソルバーゼ活性、インベルターゼ活性、プロテアーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、ヌクレアーゼ活性、核局在化活性、転写タンパク質漸増活性、転写抑制因子活性、または転写活性化因子活性を示すタンパク質ドメインを含み得る。
【0017】
本発明のさらに別の局面は、本発明のZFPである第1のセグメントおよび細胞によって取り込むことができる2価のリガンドの第1の部分に特異的に結合することができるタンパク質ドメインを含む第2のセグメントに関する。これらのタンパク質ドメインには、Sタンパク質、Sタグ、抗原、ハプテン、および/または抗体の一本鎖可変領域(scFv)が含まれるが、これらに限定されない。別の種類の融合タンパク質には、抗体の一本鎖可変領域をコードする第1のドメイン、核局在化シグナルを封入する第2のドメイン、および転写調節活性をコードする第3のドメインを含むものがあげられる。
【0018】
さらに本発明は、本発明の任意の融合タンパク質をコードする単離された核酸、これらの核酸を含む発現ベクター、および発現ベクターで(任意の方法によって)形質転換された宿主細胞を提供する。とりわけ使用において、このような宿主細胞は、宿主細胞を一定期間、融合タンパク質を発現させる条件下で培養し、融合タンパク質を回収することによりZFPを調製する方法で使用されうる。
【0019】
本発明のよりさらなる局面は、標的核酸を、本発明のZFPまたは本発明によって設計したZFPにZFPが標的核酸に結合するのに十分な量および期間接触させる段階を含む、標的核酸を人工的なZFPに結合させる方法に関する。好ましい態様では、ZFPは、ZFPをコードする核酸を通して細胞中に導入される。
【0020】
本発明のよりさらなる局面は、遺伝子の調節制御エレメントを、本発明のZFPまたは本発明によって設計されたZFPにZFPが遺伝子発現を変化させるために十分な量および期間接触させる段階を含む、遺伝子発現を調整する方法を提供する。遺伝子発現の調整には、関心対象の遺伝子の活性化および抑制が含まれ、1つの態様では、ZFPをコードする核酸を介した細胞へのZFPの導入によってこれを行うことができる。
【0021】
本発明の別の局面は、遺伝子に十分近位の標的核酸を、転写調節ドメインに融合した本発明のZFPの融合タンパク質または本発明によって設計されたZFPに接触させる段階を含み、融合タンパク質は転写調節ドメインを遺伝子発現の変化させるために十分の量および期間核酸に接触する、遺伝子の発現を調整する方法に関する。遺伝子発現の調整には、関心対象の遺伝子の活性化および抑制が含まれ、1つの態様では、融合タンパク質をコードする核酸を介した細胞への所望の融合タンパク質の導入によってこれを行うことができる。
【0022】
本発明のさらに別の局面は、標的ゲノム部位を、トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、またはエンドヌクレアーゼ活性を示すタンパク質ドメインに融合した本発明のZFPの融合タンパク質または本発明によって設計されたZFPに接触させる段階を含む、融合タンパク質を標的ゲノム部位に部位中または付近のゲノム構造を変化させるために十分な量および時間接触させ、ゲノム構造を変化させる方法を提供する。所望の場合、融合タンパク質を、核酸を介して細胞に導入することもできる。
【0023】
本発明のさらに別の局面は、細胞に、本発明のZFPまたは本発明によって設計されたZFPをコードする核酸を導入することによりウイルス複製を阻害する方法を提供し、ZFPはウイルス複製に必要な標的部位に結合する能力を有し、細胞中のZFPを十分に発現させて、ウイルス複製を阻害する。1つの態様では、融合タンパク質は、一本鎖DNA結合タンパク質ドメインを有する。
【0024】
本発明のさらに別の局面は、真核細胞を、細胞に取り込まれ、かつ特異性の異なる第1および第2のスイッチ部分を含むことができる2価のリガンドに接触させることによる、遺伝子発現を調整する方法を提供し、ここで細胞は、
(i)第1のスイッチ部分に特異的に結合することができるタンパク質ドメインに融合した遺伝子に近位で標的部位に特異的な本発明のZFPまたは本発明によって設計されたZFPの融合タンパク質を発現する第1の核酸、ならびに
(ii)第2のスイッチ部分に特異的に結合できる第1のドメイン、核局在化シグナルである第2のドメイン、および転写調節ドメインである第3のドメインを含む第2の融合タンパク質を発現する第2の核酸
を含み、これにより、細胞が十分な時間2価のリガンド、第1の融合タンパク質、および第2の融合タンパク質を含む複合体を形成し、複合体を細胞の核に転位させ、標的部位に結合させ、それにより転写調節ドメインが遺伝子の発現を変えることが可能になる。遺伝子発現の調整は、当遺伝子の活性化および抑制の両方を含む。
【0025】
第1のスイッチ部分に特異的に結合することができるタンパク質ドメインは、Sタンパク質、Sタグ、抗体の一本鎖可変領域(scFv)、または各パートナーを小分子によって調整することができるようなこれらの誘導体であり得る。適切に選択されるように、第1のスイッチ部分は、Sタンパク質、Sタグ、または抗体の一本鎖可変領域(scFv)の抗原であり得る。同様に、適切に選択されるように、第2のスイッチ部分に特異的に結合することができるドメインは、Sタンパク質、Sタグ、および抗体の一本鎖可変領域(scFv)であり、第2のスイッチ部分は、Sタンパク質、Sタグ、または抗体の一本鎖可変領域(scFv)の抗原であり得る。
【0026】
本発明のさらなる局面は、触媒ドメイン、ペプチド二量体化ドメイン、および本発明のZFPまたは本発明によって設計されたZFPであるZFPドメインを含む人工トランスポザーゼに関する。トランスポザーゼはまた、末端逆方向反復結合ドメインを含み得る。
【0027】
本発明の別の局面は、以下の段階を含む、外因性遺伝子の生物のゲノムへの標的特異的導入法を提供する:
(a)細胞に、本発明のトランスポザーゼをコードし、トランスポザーゼのZFPドメインが第1の標的に結合する第1の核酸と、本発明の第2のトランスポザーゼをコードし、トランスポザーゼのZFPドメインが第2の標的に結合する第2の核酸と、2つのトランスポザーゼの末端逆方向反復ドメインによって結合することができる配列に隣接する外因性遺伝子をコードする第3の核酸とを導入する段階;ならびに
(b)ゲノム、第3の核酸、および2つのトランスポザーゼの間で組換えが起こるのに十分な複合体を形成させ、それにより外因性遺伝子を生物組換えゲノムに導入する段階。第1の標的および第二の標的は、同一であっても異なってもよい。
【0028】
本発明の別の局面は、以下の段階を含む、生物ゲノム由来の外因性遺伝子の標的特異的切り出し方法を提供する:
(a)細胞に、本発明のトランスポザーゼをコードし、ZFPドメインが第1の標的に結合する第1の核酸と、本発明の第2のトランスポザーゼをコードし、ZFPドメインが第2の標的に結合し、外因性遺伝子がトランスポザーゼのZFPドメインに結合することができる配列に隣接する第2の核酸とを導入する段階;ならびに
(b)ゲノムおよび2つのトランスポザーゼの間で組換えが起こるのに十分な複合体を形成させ、それにより生物のゲノムからの外因性遺伝子を切り出す段階。第1の標的および第二の標的は、同一であっても異なってもよい。
【0029】
本発明のよりさらなる局面は、本発明のZFPまたは本発明によって設計されたZFPを使用する診断法に関する。1つの態様では、亜鉛フィンガー認識配列の変化を検出する方法は、以下の段階を含む:
(a)配列が変化しない場合、ZFPがシグナル伝達部分に結合し、かつZFPの亜鉛フィンガー認識配列への結合を可能にするのに十分な量の存在する、関心対象の亜鉛フィンガー認識配列を含む核酸を、認識配列に特異的である本発明のZFPまたは本発明によって設計されたZFPと接触させる段階;
(b)ZFPの認識配列への結合を検出することにより、不変配列へのZFPの結合に対して結合が減少するまたは消滅する場合に認識配列が変化することを確認する段階。任意の検出またはシグナル伝達部分を使用することができ、色素、ビオチン、ストレプトアビジン、放射性同位元素など、またはAP、β−gal、GUS、HRP、GFP、ルシフェラーゼなどが含まれるがこれらに限定されない。この方法により、その配列中の1つまたは複数のヌクレオチドの置換、挿入、または欠失を有する変化した亜鉛フィンガー認識部位の変化を検出することができる。好ましい態様では、この方法を使用して、一ヌクレオチド多型(SNP)を検出する。
【0030】
本発明のよりさらなる局面は、各オリゴヌクレオチドが式
Figure 2004519211
によって示される256個の亜鉛フィンガードメインの1つをコードするヌクレオチド配列を含む、256個の個別または個別でパッケージングされたオリゴヌクレオチドの組を提供する:
式中、Xは任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示し;Z−1が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸であり;Zが、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;Zが、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;Zが、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸である。好ましい態様では、式中の所与の部位での各Xは各256個の亜鉛フィンガードメインにおいて同一であり、既知の亜鉛フィンガーフレームワークに由来し得る。オリゴヌクレオチドのコドン使用頻度を、このような情報を利用可能な任意の所望の生物(ヒト、マウス、イネ、および大腸菌などであるが、これらに限定されない)で最適化することもできる。
【0031】
さらに本発明は、3つ以上の亜鉛フィンガードメインを有するZFPをコードする核酸を作製するためのオリゴヌクレオチドの組であって、該組は、256個の個別または個別にパッケージングしたオリゴヌクレオチドの3つのサブセットを含み、各オリゴヌクレオチドが、式
Figure 2004519211
(式中、Xは任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示し;
−1が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸であり;
が、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;
が、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;
が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸である)によって示される256個の亜鉛フィンガードメインの1つをコードするヌクレオチド配列を含み;
第1の組のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第2の組のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第2の組のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
第2の組のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第3の組のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第3の組のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
第1の組のオリゴヌクレオチドの3’末端が第3の組のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではなく、第2の組のオリゴヌクレオチドの3’末端が第1の組のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではない、オリゴヌクレオチドの組を提供する。
【0032】
上記段落の好ましい態様では、式中の所与の部位での各Xが256個の亜鉛フィンガードメインの1つ、2つ、または3つのサブセットで同一であり、既知の亜鉛フィンガーフレームワークに由来し得る。オリゴヌクレオチドのコドン使用頻度を、このような情報を利用可能な任意の所望の生物(ヒト、マウス、穀類、トマト、トウモロコシ、イネ、および大腸菌などであるが、これらに限定されない)で最適化することもできる。さらに、任意の上記の組はキット形態で提供され、これには本発明の方法を容易に実施可能な他の構成要素が含まれる。
【0033】
本発明の別の局面は、人工ZFPの亜鉛フィンガードメインをコードする一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドであって、該オリゴヌクレオチドは約84塩基〜約130塩基であり、独立して式
Figure 2004519211
によって示される各亜鉛フィンガードメインをコードするヌクレオチド配列および選択的に0個〜10個のアミノ酸残基のリンカーを含む、オリゴヌクレオチドに関する:
式中、Xは任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示し;Z−1が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、メチオニン、またはグルタミン酸であり;Zが、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;Zが、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;Zが、アルギニン、グルタミン、トレオニン、チロシン、ロイシン、またはグルタミン酸である。
【0034】
I. 認識コードおよび設計方法
本発明は、亜鉛フィンガードメインが標的ポリヌクレオチド配列上の塩基に接触する状況独立性認識コードを提供する。この認識コードにより、高親和性の任意の所望のヌクレオチド配列を標的とすることができるZFPを設計可能である。以前の認識データは主に状況依存性であり、ファージディスプレイ法および3塩基対配列の標的の使用によって作製されていた(Beerilら、Biochemistry 95:14631、1998;Wuら、Biochemistry 92:345、1995;Bergら、Nature Struct. Biol.、3:941、1996)。バーグ(Berg)らは、第1および第2が同一であり、第3が第1および第2と異なる3つの亜鉛フィンガードメインを使用していた。ウー(Wu)ら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92, 344−348(1995))およびビーリル(Beeril)ら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95, 14628−14633(1998))は、3つのフィンガーがそれぞれ異なる3つの亜鉛フィンガードメイン(Zif268)を使用していた。本発明は、特に、同一のフレーム中のフィンガー/フレームブロックの正確な反復に関し、選択的に同一のフィンガー領域が反復される。同一のフレームの反復の1つの利点は、各亜鉛フィンガードメインが4塩基対を規則正しく認識し、特に3つを超えるドメイン(例えば、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個のドメインまたはそれ以上、さらに30個のドメインまで)が存在する場合に複数の亜鉛フィンガードメインを含むZFPの高親和性標的が得られるという点である。
【0035】
亜鉛フィンガードメイン中の4つの核酸が接触する残基は、主に、特異性および親和性の決定を担い、これは、第1のコンセンサスヒスチジンおよび第2のコンセンサスシステインに対して同一の位置で起こる。第1の残基は、第1のコンセンサスヒスチジンのN末端側の7つの残基および第2のコンセンサスシステインのC末端側の6つの残基である。以後これを「−1位」という。他の3つのアミノ酸は、−1位の残基のC末端から除去した2つ、3つ、および6つの残基であり、それぞれ「2位」、「3位」、および「6位」という。これらの位置は、交換可能にZ−1位、Z位、Z位、およびZ位という。これらのアミノ酸残基を、「塩基接触アミノ酸」という。−1位とは、亜鉛フィンガードメイン中のαヘリックスの始点である。亜鉛フィンガードメイン中の−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸の位置、ならびに4塩基対DNA標的配列中で接触する塩基を、図1に概略的に示す。
【0036】
亜鉛フィンガー核酸認識コードが表1に示されており、これは既知かつ可能な塩基−アミノ酸相互作用に基づく(図2)。図2に列挙したいくつかの相互作用は、H−T−4タンパク質、cro、およびλ抑制因子などの異なるタンパク質中でも同定される。4塩基対領域中の第1および第3のDNA塩基の認識のために、より長い側鎖を含むアミノ酸を選択した。第2および第4の塩基の認識のために、より短い側鎖を含むアミノ酸を選択した。例えば、グアニン塩基認識の場合、−1位および6位のアミノ酸としてアルギニンを選択し、3位のアミノ酸としてヒスチジンを選択し、2位のアミノ酸としてセリンを選択した。表1に示す全てのアミノ酸では、水素結合によって特定のDNA塩基と安定に相互作用する。チミジン塩基認識の場合、疎水性側鎖を有するアミノ酸も選択された(すなわち、第1のチミジン塩基についてはロイシン、第3のチミジン塩基にはメチオニン)。他のDNA塩基−アミノ酸相互作用も可能であるが、最も高い親和性を有するアミノ酸が選択された。例えば、リジンはグアニンに結合するにもかかわらず、さらなる水素結合のためにアルギニンが選択された。
【0037】
【表1】
Figure 2004519211
【0038】
2位のアミノ酸による4塩基対DNA配列(3’トリプレットDNA付近の第1の塩基)中の4つの塩基の認識を図3に示す。亜鉛フィンガードメインの2位のAsp、Thr、Asn、およびSerは、それぞれC、T、A、およびGに優先的に結合する。第4の塩基は、アンチセンス核酸鎖中に存在する。
【0039】
表1(および標的配列の各4塩基対部分について)では、塩基は常に5’〜3’の順で得られる。しかし、表中の第4の塩基は、常に標的配列中で得られる第4の塩基の相補物である。例えば、標的配列をATCCと記載する場合、5’−ATCC−3’のセンス鎖標的配列および3’−TAGG−5’のアンチセンス鎖を意味する。したがって、センス鎖配列ATCCを上記の表からアミノ酸に翻訳する場合、第1の塩基Aは6位にグルタミンがあることを意味し、第2の塩基Tは3位にセリンがあることを意味し、第3の塩基Cは−1位にグルタミンがあることを意味する。しかし、Cと記載される第4の塩基では、Cの相補物(すなわち、表中で見出され、2位のアミノ酸の同定に使用される、G)を意味する。この場合、2位のアミノ酸はセリンである。
【0040】
本発明はまた、第1の塩基がTである場合にZがトレオニンであり、第3の塩基がTである場合にZ−1がトレオニンである好ましい認識コドン表を含む。さらに本発明は、表1の認識コード中に存在するもののさらなる保存的アミノ酸を一般的に示すように拡大した認識コード表を含む。より広範な認識コードを以下の表2に示す。表2では、各欄に列挙したアミノ酸の順序は、左から右にその位置での最も好ましいアミノ酸から最も好ましくないアミノ酸を示す。
【0041】
【表2】
Figure 2004519211
【0042】
本発明により、認識コード表から亜鉛フィンガードメインあたり4つのアミノ酸を選択し、各ドメインの組み合わせによって全ての可能なDNA塩基対を標的とするZFPを迅速に設計可能である。このような完全な認識コード表は現在存在しない。本発明の認識コードの使用により、ファージディスプレイシステムのような時間のかかる選択の反復による可能な全変異体を選択する必要がない。設計において2位のアミノ酸を含むことにより、3つの代わりに4塩基対が標的されるので、高親和性のZFPを作製し、DNA配列を選択することができるようになる。現在のアプローチは、ファージ標的を使用したZFPの設計であるか、3つの塩基対しか考慮していない。本発明は、特異性および結合親和性がともに増加したZFPを提供する。
【0043】
したがって、本発明は、亜鉛フィンガードメインを設計する方法を提供する。式
Figure 2004519211
で示した1つの亜鉛フィンガードメインを、表1、表2、または表1の好ましい態様の認識コードを使用した4塩基の標的核酸配列の同定、各Xの同一性の決定、およびドメイン中のZ−1位、Z位、Z位、およびZ位のアミノ酸の同一性の決定によって設計することができる:
式中、Xは任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示す。一度亜鉛フィンガーが設計されると、このドメインをいかなるポリペプチド鎖の全部または一部として含めることができる。例えば、設計されたドメインは、マルチフィンガーZFPの1つのフィンガーであり得る。設計されたこのドメインもまた、ZFP中で2回以上得ることができ、本発明によって設計された他の亜鉛フィンガードメインと連続しているか分離し得る。本発明によって設計された亜鉛フィンガードメインもまた、非ZFPタンパク質中のドメインまたは任意の型の融合タンパク質中のドメインとして含めることができる。好ましくは、設計したドメインを使用して、このドメインを含むZFPを調製する。
【0044】
Xの同一性によって決定されたフレームワークは、フレームワークの変化が亜鉛フィンガードメインの全構造を維持している場合、既知の亜鉛フィンガーフレームワーク、コンセンサスフレームワーク、またはこれらのフレームワークの任意の1つの変更形態であり得る。好ましいフレームワークは、Sp1CおよびZif268由来である。より好ましいフレームワークは、Sp1C由来のドメイン2である。
【0045】
設計した亜鉛フィンガードメインを含むタンパク質を、任意の多数の当技術分野において周知の技術を使用して合成または組換えのいずれか(好ましくは、組換え)で調製することができる。タンパク質を組換え(例えば、ZFPをコードするDNAによる)で調製した場合、ZFPが発現する生物中で高発現するようにコドン使用頻度を最適化することができる。このような生物には、細菌、真菌、酵母、動物、昆虫、および植物が含まれる。より詳細には、生物には、ヒト、マウス、大腸菌、穀物、イネ、トマト、およびトウモロコシが含まれるが、これらに限定されない。
【0046】
特にドメインが連続していない場合、マルチドメイン(すなわち、マルチフィンガー)ZFPを設計するために、上記の1ドメインを設計する方法に従うことができる。しかし、4塩基対を超える標的配列の複数の連続するドメイン(または本明細書中に記載のリンカーによって分離しているドメイン)を有するZFPのために、特にZFP中に3つを超える亜鉛フィンガードメインが存在する場合、標的配列を、重複4塩基対セグメントへ分割することによって設計されたZFPにより、ZFP、典型的には高結合親和性のZFPを産生するための状況独立性亜鉛フィンガー認識コードが得られることが発見された。
【0047】
この方法において、標的配列は、3N+1塩基対長を有する:
式中、Nは標的中の重複4塩基対セグメントの数であり、標的配列の重複4塩基対セグメントへの分割によって決定され、N−1セグメントまでの各セグメントの第4の塩基がセグメント直後の第1の塩基である。各4塩基対セグメントの残りの設計方法は、各X、Z−1、Z、Z、およびZの同一性の決定に関する1ドメインの設計方法に従う。この方法は、3個〜15個のドメイン(すなわち、Nは3〜15の任意の数)、より好ましくは3個〜12個のドメイン、3個〜9個のドメイン、または3個〜6個のドメインを有するZFPの設計に有用である。40個を超えるドメインを有するZFPが当技術分野において既知であり、所望であれば、Nは少なくとも40までの範囲であり得る。
【0048】
本発明によって設計された亜鉛フィンガードメインを、互いに直接共有結合させるか、1個〜10個のアミノ酸のリンカー領域によって分離することができる。リンカーアミノ酸により、柔軟性または幾らかの構造剛性を得ることができる。同族標的配列に対するZFPの所望の親和性によってリンカーの選択を予想することができるが、必ずしも必要ではない。同族標的配列に対するZFPの結合親和性を改良するために種々のリンカー配列を試験および最適化することは当業者の範囲内である。ZFPとその標的との間の結合親和性の測定法は周知である。典型的には、ゲルシフトアッセイを使用する。1つの態様では、3つの各フィンガードメインがその標的配列に独立して結合して互いの結合の立体障害を回避するようにアミノ酸リンカーが柔軟であることが好ましい。
【0049】
認識コード表は、4つのアミノ酸位置を有し、各アミノ酸が標的とすることができる4つの異なる塩基が存在する。異なる4塩基対標的の総数は、好ましくは4すなわち256で示される。表1の認識コードからの好ましい選択を使用して、4つ全ての可能な塩基対標的配列についての亜鉛フィンガードメイン中の−1位、2位、3位、および6位のアミノ鎖の組み合わせを表3に示す。
【0050】
【表3】表1の好ましい認識コードについての256個の亜鉛フィンガードメイン
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
【0051】
「特異的結合」とは、非標的核酸配列への結合よりも高い検出程度(少なくともバックグラウンドの1.5倍)でありかつ非標的核酸を実質的排除する程度の亜鉛フィンガータンパク質核酸結合ドメインの特異的な核酸標的配列への結合基準を意味し、かつ含む。
【0052】
マルチフィンガーZFPがポリヌクレオチド二重鎖(例えば、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、またはその任意のハイブリッド)に結合する場合、典型的には、そのフィンガーは、ヌクレオチド配列の3塩基あたり約1つのフィンガーの周期でポリヌクレオチド二重鎖に沿って並べられる。各亜鉛フィンガー(またはそのサブユニット)の結合部位は、典型的には、3塩基〜4塩基にわたり、隣接するフィンガーのサブサイトは通常1塩基が重複する。したがって、3つのフィンガーZFPであるXYZは、10塩基対部位abcdefghij(これらの文字は二重鎖DNAの1つを示す)に結合し、フィンガーXのサブサイトはghijであり、フィンガーYはdefgであり、フィンガーZはabcdである。少なくとも3つのフィンガーが野生型亜鉛フィンガーと異なるマルチフィンガータンパク質は本発明の範囲内である。すべてのフィンガー中のアミノ酸配列が変化したマルチフィンガータンパク質もまた含まれ、これには、組み合わせ化学または他のタンパク質設計、および結合アッセイ(しかし、表1の認識コードからのZFPに対応する)によって設計されたものが含まれる。
【0053】
4つを超える塩基が変化した標的化ポリヌクレオチドに結合するようにZFPを設計することも可能である。この場合、結合タンパク質の1つを超えるフィンガーを変化させる。例えば、10塩基配列XXXdefgXXXでは、フィンガーXおよびZが野生型フィンガーの対応するフィンガーと異なる一方で、フィンガーYがサブサイトdefgに結合する野生型フィンガー中の対応するフィンガーと同一のポリペプチド配列を有する、3つのフィンガー結合タンパク質を設計することができる。より長い塩基配列のための3つを超えるフィンガーを有する結合タンパク質もまた設計することができる。例えば、4つのフィンガータンパク質は選択的に13個の塩基配列に結合する一方で、5個のフィンガータンパク質は選択的に16個の塩基配列に結合する。いくつかのフィンガーが、選択したDNAへの結合に関連しないマルチフィンガータンパク質も設計することができる。フィンガーおよびフレームワークの間隔におけるわずかな変異もまた可能である。
【0054】
驚いたことに、標的の最後のクアドルプレット以外の第1の9個の塩基中の少なくとも3つのグアニン(3つのG)を有する任意の10連続塩基を標的とするZFPを良好に結合できることを見出した。このような標的が2つ以下のシトシンを有することも好ましい。
【0055】
II. 人工 ZFP
本発明はまた、標的核酸配列に結合するための単離された人工ZFPに関する。
【0056】
「亜鉛フィンガータンパク質」、「亜鉛フィンガーポリペプチド」、または「ZFP」とは、亜鉛によって安定化され、かつ本発明によって設計されたDNA結合ドメインを有するポリペプチドを意味するが、タンパク質は配列番号:3〜12(表4)のタンパク質または表1の認識コードによって設計された3つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する任意の他のZFPを含まないことを条件とし、これらのドメインは0個〜10個のアミノ酸で結合している。各DNA結合ドメインを、典型的には、ZFPまたはペプチドが少なくとも1つのフィンガー、より典型的には2つのフィンガー、より好ましくは3つのフィンガー、さらにより好ましくは4つまたは5つのフィンガー、少なくとも6つ以上のフィンガーを有するような「フィンガー」という。各フィンガーは3つまたは4つのDNA塩基対に結合する。ZFPは、標的核酸配列と呼ばれる核酸配列に結合する。各フィンガーは、通常、約30個のアミノ酸の亜鉛キレート化DNA結合サブドメインを含む。代表的なモチーフの一種であるCys−Hisとは、−CYS−(X)2−4−CYS−(X)12−His−(X)3−5−His(式中、Xは任意のアミノ酸である)であり、この種類の1つの亜鉛フィンガーは2つの不変のヒスチジン残基を含むαヘリックスからなり、1つのβターンの2つのシステイン残基(例えば、Bergら、Science 271:1081−1085 (1996)を参照のこと)は亜鉛カチオンに結合する。
【0057】
本発明のZFPには、表1の認識コードによって得られる−1位、2位、3位、および6位の1つまたは複数のアミノ酸の組み合わせを有する任意のZFPが含まれる(ZFPが当技術分野において存在しない場合)。256個のZFPの4塩基対標的配列ならびに−1位、2位、3位、および6位の対応するアミノ酸を、本発明の好ましい認識コード表に関する表3に示されている(すなわち、第1の塩基がTの場合にZはトレオニンであり、第3の塩基がTの場合にZ−1はトレオニンである、表1の好ましい認識コード)。好ましくは、ZFPは、3個〜15個、3個〜12個、3個〜9個、または3個〜6個のドメインならびに3個、4個、5個、または6個の亜鉛フィンガードメインを含むが、40個までのドメインを有するZFPが既知であるので、本発明にはこのようなZFPが含まれる。
【0058】
【表4】請求項1以外のZFP
Figure 2004519211
Figure 2004519211
Figure 2004519211
【0059】
本発明の態様では、ZFPが少なくとも3つの亜鉛フィンガードメインを含み、各ドメインが独立して、式
Figure 2004519211
によって示され、該ドメインが0個〜10個のアミノ酸残基で互いに共有結合し、Xが任意のアミノ酸であり、Xがポリペプチド鎖中のXの発生数を示し、Z−1、Z、Z、およびZが表1の認識コードによって決定され、このようなタンパク質は配列番号:3〜12(表4)のいずれか1つによって得られるタンパク質でも表1の認識コードによって設計された3つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する任意の他のZFPでもなく、これらのドメインが0個〜10個のアミノ酸で結合していることを条件とする、標的核酸配列への結合のために設計された単離人工ZFPである。上記のように、XはCysHis亜鉛フィンガードメインのフレームワークを示し、既知の亜鉛フィンガーフレームワーク、コンセンサスフレームワーク、種々の配列によって得られたフレームワーク、これらの任意のフレームワーク、または任意の人工フレームワークであり得る。好ましくは、既知のフレームワークを使用して、各Xの同一性を決定する。本発明のZFPは、3個〜40個の亜鉛フィンガードメイン、好ましくは3個〜15個のドメイン、3個〜12個のドメイン、3個〜9個のドメイン、または3個〜6個のドメインを含み、かつZFPは3個、4個、5個、6個、7個、8個、または9個のドメインを含む。好ましい態様では、Xの決定のためのフレームワークは、Sp1CまたはZif268由来のものである。1つの態様では、フレームワークは、配列が、式
Figure 2004519211
である、Sp1Cのドメイン2を有する。
【0060】
さらに、好ましいZFPは、独立してまたは任意の組み合わせで、少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZ−1がメチオニンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZ−1がグルタミン酸であり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがトレオニンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがセリンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがアスパラギンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがグルタミン酸であり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがトレオニンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがチロシンであり;少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがロイシンであり、かつ/または少なくとも1つの亜鉛フィンガードメイン中でZがアスパラギン酸であるが、同一のドメイン中でZ−1がアルギニンではないものである。
【0061】
本発明のZFPはまた、表3に示される23群のタンパク質を含む。1群〜11群は、以下の種類のヌクレオチド標的配列
Figure 2004519211
に結合するタンパク質をそれぞれ示す:
式中、DはG、A、またはTであり;MはGまたはTであり;RはGまたはAであり;WはAまたはTであり;Nは任意のヌクレオチドである。12群〜23群のタンパク質は、一般に、式
Figure 2004519211
で示されるが、Nは任意のヌクレオチドではなく、むしろ表3に示される群に属するように指定されたタンパク質のヌクレオチドを示す。
【0062】
本発明のZFPに関するさらなる情報は、本明細書全体で示される。
【0063】
本発明の別の局面は、本発明のZFPをコードする単離された核酸、これらの核酸を含む発現ベクター、および発現ベクターで(任意の方法によって)形質転換された宿主細胞を提供する。その使用の中でも、このような宿主細胞を、一定期間およびZFPを発現させる条件下での培養およびZFPの回収によるZFPの調製方法で宿主細胞を使用することができる。このような態様(すなわち、核酸、宿主細胞、発現方法)は、本発明によって設計された任意のタンパク質ならびに下記の融合タンパク質に含まれる。
【0064】
III. 融合タンパク質
本発明の1つの態様では、ZFP融合タンパク質は、少なくとも2つのDNA結合ドメインを含むことができ、そのうちの1つは自在リンカーを介して他のドメインに結合した亜鉛フィンガーポリペプチドである。2つのドメインは、同一であっても異種でもよい。本発明の好ましい態様では、これらのドメインの少なくとも一方は亜鉛フィンガーであり、他方のドメインは転写活性化因子などの別のDNA結合タンパク質である。
【0065】
本発明はまた、関心対象のタンパク質(POI)または関心対象の活性を有するタンパク質ドメインに融合した本発明のZFPを有する融合タンパク質を含む。所望の活性を有するこのようなタンパク質ドメインを、エフェクタードメインとも呼ぶ。
【0066】
さらに本発明は、トランスポザーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、レソルバーゼ、インベルターゼ、プロテアーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヌクレアーゼ、転写抑制因子、転写活性化因子、一本鎖DNA結合タンパク質、転写因子漸増タンパク質、核局在化シグナル、または細胞取り込みシグナルである第2のドメイン(エフェクタードメイン)に融合した本発明のZFPを含む単離された融合タンパク質を含む。代替的な態様では、第2のドメインは、トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、レソルバーゼ活性、インベルターゼ活性、プロテアーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、ヌクレアーゼ活性、核局在化シグナル伝達活性、転写抑制因子活性、転写活性化因子活性、一本鎖DNA結合活性、転写因子漸増活性、または細胞取り込みシグナル伝達活性を示すタンパク質ドメインである。
【0067】
本発明のさらなる融合タンパク質には、細胞によって取り込むことができる2価のリガンドの結合部分に特異的に結合することができるタンパク質ドメインに融合した本発明のZFPが含まれる。能動輸送、受動輸送、または拡散が含まれるがこれらに限定されない任意の機構によって、このような細胞取り込みを行うことができる。これらの融合タンパク質のタンパク質ドメインは、Sタンパク質、Sタグ、抗原、ハプテン、または抗体の一本鎖可変領域(scFv)であり得る。
【0068】
本発明はまた、抗体の一本鎖可変領域をコードする第1のドメイン;核局在化シグナルをコードする第2のドメイン;および転写調節活性をコードする第3のドメインを含む単離された融合タンパク質を含む。
【0069】
IV. マルチフィンガー ZFP の合成のためのモジュラーアセンブリーの方法
本発明のさらなる局面は、所望の個々の亜鉛フィンガードメインをコードする3組のオリゴヌクレオチドからの多数のマルチフィンガーZFPをアセンブルさせるための迅速なモジュラー方法の提供に関する。したがって、この方法は、マルチフィンガーZFPをコードするDNAの高処理産生法を提供する。実際、ロボットを使用して、本発明の方法を自動化してこれらのDNA分子の並行アセンブリーを行うことができる。
【0070】
表3で示されるように、256個の異なる4塩基対標的が存在する。4つの各ヌクレオチドについての4つの各変形可能なドメイン位置について1つのアミノ酸を特定することができる表1の好ましいバージョンなどの認識コードを使用する場合、256個の各標的配列について1つの固有の亜鉛フィンガードメインを構築することができる。これらのドメインを使用して3つのフィンガーZFPを作製する場合、可能なZFP数を、256すなわち1.68×10と計算することができる。本発明は、768個のオリゴヌクレオチド(すなわち、3組の256個のオリゴヌクレオチド)からのこれらの全てのZFPの合成法を提供する。実際、本発明の方法を、各新規の組の256個のオリゴヌクレオチドのために、1つのフィンガーを含むZFPについての可能な各ZFPを作製することができるように適用することができる。
【0071】
したがって、3つの亜鉛フィンガードメインを含み、各ドメインが独立して式
Figure 2004519211
で示され、該ドメインが独立して、0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合している亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸の作製法は、以下の段階を含む:
(a)(i)第1の亜鉛フィンガードメインをコードする第1の二本鎖オリゴヌクレオチド、
(ii)第2の亜鉛フィンガードメインをコードする第2の二本鎖オリゴヌクレオチド、
(iii)第3の亜鉛フィンガーをコードする第3の二本鎖オリゴヌクレオチド、
(iv)第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的な第1のPCRプライマー、および
(v)第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に相補的な第2のPCRプライマー
を含む混合物であって、
第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第2のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第3のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではなく、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではない
混合物を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う条件下で調製する段階;
(b)混合物をPCRに供する段階;および
(c)ZFPをコードする核酸を回収する段階。
【0072】
加熱、アニーリング、および合成の複数のサイクルのための標準的または典型的PCR条件下で、PCR反応が行われる。PCR増幅プライマーは、好ましくは、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む。このような部位は、クローニングを容易にすることができるか、下記のように、4つまたはそれ以上の亜鉛フィンガードメインのアセンブリーを容易にすることができる。有用な制限酵素には、BbsI、BsaI、BsmBI、またはBspMIが含まれ、BsaIが最も好ましい。
【0073】
4つ以上の亜鉛フィンガードメインを含み、各ドメインが独立して式
Figure 2004519211
で示され、該ドメインが独立して、0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合している亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸を合成するために、その方法は、以下の段階を含む:
(a)第2のPCRプライマーが第1の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、上記の方法によって第1の核酸を調製する段階;
(b)第1および第2のPCRプライマー(この第2の合成において)が、増幅のために選択された番号の亜鉛フィンガードメインの5’末端および3’末端にそれぞれ相補的であり、
第1のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に、段階(a)の第2のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に産生される末端に相補的でありかつアニーリングすることができる配列を含む末端を産生する、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、
段階(b)の第2のPCRプライマーが、選択的に、切断に供された場合に第1の制限エンドヌクレアーゼ認識部位から産生された末端と異なりかつ相補的ではない末端を産生する、第2の制限酵素認識部位を含む、
上記の方法によって第2の核酸を調製する段階;
(c)さらなる各核酸のための第1のPCRプライマーが、対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に、第2の核酸またはさらなる核酸のすぐ上流に存在するさらなる核酸の調製に使用される第2のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に産生される末端に相補的でありかつアニーリングすることができる配列を有する末端を産生する制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、さらなる各核酸のための第2のPCRプライマーが、選択的に、切断に供された場合に先に使用した任意の末端と異なりかつ相補的ではない末端を産生する制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、
前記第1および第2のPCRプライマー(このさらなる合成の)が、増幅のために選択された番号の亜鉛フィンガードメインの5’末端および3’末端にそれぞれ相補的であり、選択的に、上記の方法によって1つまたは複数のさらなる核酸を調製する段階;
(d)第1の核酸、第2の核酸、および調整されたならばさらなる核酸を、対応する制限エンドヌクレアーゼで切断して、切断された第1の、第2の、および調整されたならばさらなる核酸を産生する段階;ならびに
(e)切断された第1の、第2の、および調整されたならばさらなる核酸をライゲーションして、4つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸を産生する段階。有用かつ好ましい制限酵素が上記に示され、それぞれ1つを選択して固有の切断アニーリング末端対が得られる。
【0074】
段階(c)を省略する場合、4つ、5つ、または6つの亜鉛フィンガードメインを有するZFPを作製することができる。3フィンガーZFPをコードする核酸が段階(b)で産生され、かつ1つのさらなる核酸が段階(c)で調製される場合、7つ、8つ、または9つの亜鉛フィンガードメインを作製することができる。
【0075】
適切な設計により、オリゴヌクレオチドは細菌、真菌、酵母、動物、昆虫、または植物などの生物にとって最適なコドン使用頻度を提供することができる。好ましい態様では、大腸菌、ヒト、もしくはマウス、穀類、イネ、トマト、もしくはトウモロコシの最適なコドン使用頻度(生物の発現を最大にするため)が得られる。本方法を、トランスジェニック植物を使用して実施する。
【0076】
本発明によって作製される核酸を、発現ベクターおよび宿主細胞に組み込むことができる。次いで、これらのベクターおよび宿主を使用して、当技術分野において周知の方法によってZFPを組換え発現することができる。
【0077】
本発明は、4塩基対標的の認識コードからのアミノ酸の任意の組み合わせを使用するように設計した多数の異なるオリゴヌクレオチドを含み、
(a)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンまたはリジンであり、
第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンまたはアスパラギンであり、
第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、またはメチオニンであり、
第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
(b)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンまたはリジンであり、
第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
第2の塩基がTの場合、Zはセリン、アラニン、またはバリンであり、
第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
(c)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンまたはリジンであり、
第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンまたはアスパラギンであり、
第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニン、メチオニン、ロイシン、またはイソロイシンであり、
第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
(iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンまたはアルギニンであり、
第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニン、バリン、またはアラニンであり、
第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸である、オリゴヌクレオチドの組を含む。
【0078】
好ましくは、これは4塩基対の標的を示すので、オリゴヌクレオチド数は256である。表1の好ましい認識コードについて設計された組が好ましい。
【0079】
V. その他
本明細書で使用される「生物」には、細菌、真菌、酵母、動物、鳥類、昆虫類、植物などが含まれる。動物には、哺乳動物(ヒト、霊長類など)、家畜(魚類、ニワトリ、乳牛、畜牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、シチメンチョウなど)、実験動物(マウス、ラット、ウサギなど)、およびペット(イヌ、ネコ、小鳥、および他のペット用鳥類、魚類など)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で意図されるように、特定の動物は、複数の動物群の構成要素であり得る。植物を本明細書の中でより詳細に記載する。
【0080】
いくつかの例では、生物の細胞を本発明の方法で使用することが可能である。細胞を本発明の局面とみなす場合、本明細書で示されている発現した任意の動物、生物、または植物由来のさらなる細胞では、細胞には、このような生物および動物から単離した細胞ならびに研究所または他の実験施設で使用される細胞株(初代および第2世代の細胞株などを含む)が含まれる。
【0081】
細胞形質転換技術および遺伝子送達法(遺伝子を送達させるためのインビボでの使用のための方法)は当技術分野において周知である。このような任意の技術を使用して、本発明のZFPまたはZFP融合タンパク質をコードする核酸をそれぞれ細胞または被験者に送達させることができる。
【0082】
本明細書で使用される「発現カセット」という用語は、終結シグナルに作動可能に連結された関心対象のヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む、適切な宿主中で特定のヌクレオチド配列の発現を指示することができるDNA配列を意味する。これはまた、典型的には、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列を含む。コード領域は、通常、関心対象のタンパク質をコードするが、センスまたはアンチセンス方向で関心対象の機能的RNA(例えば、アンチセンスRNAまたは非翻訳RNA)もコードすることができる。関心対象のヌクレオチド配列を含む発現カセットは、キメラであってよく、これは、その成分の少なくとも1つが少なくとも1つの他の成分に関して異種であることを意味する。本発明の亜鉛フィンガーエフェクター融合物は、キメラである。発現カセットはまた、天然に存在するが、異種発現に有用な組換え形態で得られたものであり得る。しかし、典型的には、発現カセットは宿主に関して異種である(すなわち、発現カセットの特定のDNA配列は宿主細胞中に天然に存在せず、宿主細胞または宿主細胞の先祖に形質転換によって導入されていなければならない)。発現カセット中のヌクレオチド配列の発現は、構成性プロモーターまたは宿主細胞がいくらかの特定の外的刺激にさらされた場合のみに転写が開始される誘導プロモーターの調節下にあり得る。植物などの多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織もしくは器官または発達段階に特異的であり得る。プラスチド発現カセットの場合、プラスチドゲノムからのヌクレオチド配列のために、さらなるエレメント(すなわち、リボソーム結合部位)が必要であり得る。
【0083】
「異種」DNA分子または配列とは、天然に存在するDNA配列の天然に存在しない複数のコピーを含む、挿入される宿主細胞と天然には関連しないDNA分子または配列を意味する。
【0084】
「相同性」DNA分子または配列とは、宿主細胞に天然に関連するDNA分子または配列を意味する。
【0085】
「最小プロモーター」とは、上流が活性化していない場合に不活性であるかプロモーター活性が非常に減少するプロモーターエレメント、特にTATAエレメントを意味する。適切な転写因子の存在下では、最小プロモーターは、転写するように機能する。
【0086】
「植物」とは、任意の発達段階(種子、懸濁培養液、胚、成長点、カルス組織、葉、根、茎頂、配偶体、胞子体、花粉、小胞子、およびその子孫を含む)の任意の植物または植物の一部を指す。切片、細胞、または組織培養もまた含まれる。本発明との関連で使用されるように、「植物組織」という用語には、植物全体、植物細胞、植物器官(例えば、葉、茎、根、成長点)植物の種子、プロトプラスト、カルス、細胞培養物、ならびに構造および/または機能単位に組織化される任意の植物細胞群が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
本発明を使用して、例えば、広範な植物型、好ましくは形質転換技術に反応し得る高等植物クラス(特に、単子葉植物および双子葉植物)の遺伝子発現を調整し、ゲノム構造などを変化させることができる。ソルガムおよびトウモロコシを含むイネ科の種などの単子葉植物が特に好ましい。本発明の単離された核酸およびタンパク質を、以下の属由来の種でも使用することができる:カボチャ(Cucurbita)、バラ(Rosa)、ブドウ(Vitis)、クルミ(Juglans)、イチゴ(Fragaria)、ハス(Lotus)、ウマゴヤシ(Medicago)、オノブリキス(Onobrychis)、ジャジクソウ(Trifolium)、トリゴネラ(Trigonella)、ビベナ(Vigna)、ミカン(Ctrus)、リナム(Linum)、フウロソウ(Geranium)、マニボット(Manibot)、ニンジン(Daucus)、アラビドプシス(Arabidopsis)、アブラナ(Brassica)、ダイコン(Raphanus)、カラシ(Sinapis)、ロウトウ(Atropa)、トウガラシ(Capsicum)、チョウセンアサガオ(Datura)、ヒヨス(Hyoscyamus)、トマト(Lycopersicon)、タバコ(Nicotiana)、ナス(Solanum)、ペチュニア(Petunia)、ジギタリス(Digitalis)、マジョラム(Majorana)、チコリ(Cichorium)、ヒマワリ(Helianthus)、レタス(Lactuca)、ブロムグラス(Bromus)、アスパラガス(Asparagus)、キンギョソウ(Antirrhium)、ヘテロカリス(Heterocallis)、ネメシス(Nemesis)、ペラルゴニウム(Pelargonium)、パニエウム(Panieum)、チカラシバ(Pennisetum)、キンポウゲ(Ranunculus)、キオン(Senecio)、サプリグロッシス(Sapliglossis)、キュウリ(Cucumis)、ルリマガリバナ(Browaalia)、グリシン(Glycine)、エンドウ(Pisum)、インゲンマメ(Phaseolus)、ライグラス(Lolium)、イネ(Oryza)、カラスムギ(Avena)、オオムギ(Hordeum)、ライムギ(Secale)、およびコムギ(Triticum)。
【0088】
好ましい植物細胞には、トウモロコシ(Zea mays)、アブラナ(Brassica napus、Brassica rapa種)、アルファルファ(Medicago sativa)、イネ(Oryza sativa)、ライ麦(Secale cereale)、モロコシ(Sorghum bicolor、Sorghum vulgare)、ヒマワリ(Helianthus annuus)、コムギ(Triticum aestivum)、ダイズ(Glycine max)、タバコ(Nicotiana tabacum)、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、ピーナッツ(Arachis hypogaea)、ワタ(Gossypium barbadense、Gossypium hirsutum)、サツマイモ(Ipomoea batatus)、キャッサバ(Manihot esculenta)、コーヒー(Coffea属)、ココナッツ(Cocos nucijra)、パイナップル(Ananas comosus)、カンキツ属(Citrus種)、ココア(Theobroma cacao)、チャ(Camellia sinensis)、バナナ(Musa種)、アボカド(Persea americana)、イチジク(Ficus casica)、グァバ(Psidium guajava)、マンゴー(Mangifera indica)、オリーブ(Olea europaea)、パパイア(Carica papaya)、カシュー(Anacardium occidentale)、マカダミア(Macadamia integrifolia)、アーモンド(Prunus amygdalus)、テンサイ(Beta vulgaris)、サトウキビ(Saccharum種)、ウキクサ(Lemna種)、エンバク、オオムギ、野菜類、観賞植物、および針葉樹由来のものが含まれる。
【0089】
好ましい野菜類には、トマト(Lycopersicon esculentum)、レタス(例えば、Lactuca sativa)、インゲン(Phaseolus vulgaris)、ライマメ(Phaseolus limensis)、エンドウ(Lathyrus種)、およびキュウリ(C. sativus)、カンタロープ(C. cantalupensis)、およびマスクメロン(C. melo)などのCucumis属のメンバーが含まれる。
【0090】
好ましい観賞植物には、アザレア(Rhododendron種)、アジサイ(Macrophylla hydrangea)、ハイビスカス(Hibiscus rosasanensis)、バラ(Rosa種)、チューリップ(Tulipa種)、ラッパスイセン(Narcissus種)、ペチュニア(Petunia hybrida)、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、ポインセチア(Euphorbia pulcherrima)、およびキクが含まれる。
【0091】
本発明の実施で使用することができる針葉樹には、例えば、テーダマツ(Pinus taeda)、スラッシュパイン(Pinus elliotii)、ポンデローサマツ(Pinus ponderosa)、ヨレハマツ(Pinus contorta)、モントレーマツ(Pinus radiata)などのマツ;アメリカトガサワラ(Pseudotsuga menziesii);アメリカツガ(Isuga canadensis);ベイトウヒ(Picea glauca);セコイア(Sequoia sempervirens);ヨーロッパモミ(Abies amabilis)およびバルサムモミ(Abies balsamea)などのマツ;ならびにベイスギ(Thuja plicata)およびアラスカヒノキ(Chamaecyparis nootkatensis)などのシーダーが含まれる。
【0092】
最も好ましくは、本発明の植物は、穀物類(例えば、トウモロコシ、アルファルファ、ヒマワリ、ナノハナ、ダイズ、ワタ、ピーナッツ、モロコシ、コムギ、タバコなど)、さらにより好ましくはトウモロコシおよびダイズ植物、さらにより好ましくはトウモロコシ植物である。
【0093】
本明細書で使用される「トランスジェニック植物」または「遺伝的に改変した植物」には、そのゲノム内に異種ポリヌクレオチドを含む植物についての参照が含まれる。一般的そして好ましくは、ポリヌクレオチドが代々受け継がれるように異種ポリヌクレオチドをゲノム内に安定に組み込む。異種ポリヌクレオチドを、ゲノムのみに組み込んでも組換えカセットの一部としても組み込むことができる。本明細書で使用される「トランスジェニック」には、任意の細胞、細胞株、カルス、組織、植物の一部もしくは植物が含まれ、その遺伝子型が異種核酸の存在によって変化しており、これにはこのようにして最初に変化したトランスジェニックおよび最初のトランスジェニックからの有性生殖または無性生殖によって作製されたトランスジェニックが含まれる。本明細書で使用される「トランスジェニック」という用語は、従来の植物交配法または天然に存在する事象(無作為他家受精、非組換えウイルス感染、非組み合え細菌形質転換、非組換え転位、または自発的変異など)によるゲノム(染色体または染色体外)の変化を含まない。
【0094】
本明細書で使用される「標的ポリヌクレオチド」、「標的核酸」、「標的部位」、または他の類似の技術とは、亜鉛フィンガードメインが結合する二本鎖ポリヌクレオチド(DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、およびその組み合わせを含む)の一部を指す。1つの好ましい態様では、標的ポリヌクレオチドは、遺伝子の転写制御エレメントの全部または一部であり、亜鉛フィンガードメインは結合してその発現の程度を調整する(活性化または抑制する)ことができる。転写制御エレメントは、以下の1つ以上を含み得る:プロモーター、エンハンサー、他の応答エレメント(例えば、ステロイド応答エレメント、熱ショック応答エレメント、または金属応答エレメント)などの正または負の調節エレメント、抑制因子結合部位、オペレーター、およびサイレンサー。転写制御エレメントは、ウイルス、真核生物、または原核生物であり得る。「標的ヌクレオチド配列」とはまた、タンパク質に結合して発現を調節し、典型的には転写を防止または活性化することができる下流配列を指す。
【0095】
VI. 使用
本発明の亜鉛フィンガー−ヌクレオチド塩基認識コードの発見により、任意の標的ヌクレオチド配列に結合してその発現を調整することができるZFPおよびZFP融合タンパク質の設計が可能である。標的ヌクレオチド配列は、標的遺伝子内の任意の位置に存在し、発現の制御に適切な位置でその発現が調節されている。標的ヌクレオチド配列は、コード領域またはその上流もしくは下流内に存在し得るが、いくらか離れていてもよい。例えば、エンハンサーは、遺伝子から非常に離れて作用してその発現を調整することが既知である。活性化のためには、ATG翻訳開始コドンから上流の標的が好ましく、翻訳開始コドンから約100bp以内のTATAボックスの上流が最も好ましい。抑制のためには、ATG翻訳開始コドンから上流も好ましいが、TATAボックスから下流が好ましい。
【0096】
プロモーター領域中の転写制御エレメントに結合する1つまたは複数の亜鉛フィンガードメインを含むタンパク質は、通常遺伝子発現を刺激する転写因子の結合の遮断によって遺伝子発現を減少させることができる。他の例では、特定のタンパク質の発現を増加させることが望ましい。転写活性化因子を含むZFPを使用して、このような発現を増加させる。
【0097】
本発明の別の態様では、ZFPを酵素と融合してゲノム中の特異的部位に酵素を標的とする。これらの融合タンパク質は、酵素を特異的部位に指示し、ゲノムおよびクロマチンを改変する。このような改変は、ゲノムのいかなる場所(例えば、ゲノム中またはゲノムから遠位)にも存在し得る。例えば、インテグラーゼまたはトランスポザーゼを使用した標準的な分子生物学技術を使用して本発明の認識コドンに基づいて設計した亜鉛フィンガードメインの融合によってゲノムを特異的に操作して、特異的ゲノム部位への外因性遺伝子の組み込みを促進するか(トランスポザーゼまたはインテグラーゼ)、特異的内因性遺伝子を消失させるか(ノックアウト)(トランスポザーゼ)、1つまたは複数のDNA断片(強力プロモーター/エンハンサー、組織特異的プロモーター/エンハンサー、インシュレーター、またはサイレンサー)の挿入によってプロモーターを操作することができる。他の例では、ZFPは、特定の配列を有するポリヌクレオチドに結合する。他の態様では、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、およびヒストンデアセチラーゼなどの酵素を、クロマチン構造操作のために本発明の認識コードに基づいて調製したZFPに結合する。
【0098】
例えば、特異的ゲノム部位でのDNAのメチル化/脱メチル化は、メチル化パターンの変化により後生的状態が操作され(遺伝子サイレンシング)、特異的ゲノム部位でのヒストンのアセチル化/脱アセチル化は、クロマチン上のヌクレオソームの移動性および/または分布の変化により遺伝子発現を操作して、DNAへの転写因子のアクセスを増加させる。プロテアーゼは、同様にDNA上のヌクレオソームの移動性および分布に影響を与えて遺伝子発現を調整することができる。
【0099】
ヌクレアーゼは、標的部位のニッキングおよび消化によってゲノム構造を変化させ、これらの部位での外因性遺伝子の導入を可能にする。インベルターゼは、DNA断片方向の交換によってゲノム構造を変化させることができる。レソルバーゼは、DNAの結合状態の変化(例えば、コンカテマーの放出)によってゲノム構造を変化させることができる。
【0100】
上記のいくつかの調節タンパク質の例には、トランスポザーゼ:Tc1トランスポザーゼ、Mos1トランスポザーゼ、Tn5トランスポザーゼ、Muトランスポザーゼ;インテグラーゼ:HIVインテグラーゼ、λインテグラーゼ;リコンビナーゼ:Creリコンビナーゼ、Flpリコンビナーゼ、Hinリコンビナーゼ;DNAメチルトランスフェラーゼ:SssIメチラーゼ、AluIメチラーゼ、HaeIIIメチラーゼ、HhaIメチラーゼ、HpaIIメチラーゼ、ヒトDnmt1メチルトランスフェラーゼ;DNAデメチラーゼ:MBD2B、候補デメチラーゼ;ヒストンアセチラーゼ:ヒトGCN5、CBP(CREB結合タンパク質);ヒストンデアセチラーゼ:HDAC1;ヌクレアーゼ:単球菌ヌクレアーゼ、スタフィロコッカスヌクレアーゼ、DNaseI、T7エンドヌクレアーゼ;レソルバーゼ:Ruv Cレソルバーゼ、ホリデージャンクションレソルバーゼHjc;およびインベルターゼ:Hinインベルターゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
別の態様では、核局在化ペプチドを、ZFPまたはZFP融合ZFPに結合して核区画に亜鉛フィンガーを標的とする。さらに、ZFPは、単独または上記の調節ドメインなどの他の部分と組み合わせて、結合した細胞取り込みシグナルを有し得る。このような細胞取り込みシグナルには、ヒト免疫不全ウイルスTatタンパク質の残基47位〜57位(YGRKKRRQRRR(配列番号:18))である最小Tatタンパク質形質導入ドメインが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
野生型トランスポザーゼ2ホモ二量体(図4の左のパネル)は、触媒(切断)ドメイン4、二量体化ドメイン6、および末端逆反復(TIR)結合ドメイン8を含む。本発明の1つの態様では、亜鉛フィンガードメインを、TIRドメインと交換して、本発明の認識コードによる亜鉛フィンガードメインによって標的されたゲノム部位の切断を促進する。人工トランスポザーゼヘテロ二量体10(図4、右のパネル)を、ヘテロ二量体ペプチド(jun−fosおよび酸性−塩基性ヘテロ二量体ペプチドが含まれるが、これらに限定されない)を含むリンカー14を介した亜鉛フィンガードメイン12への触媒ドメイン4の結合によって作製する。例えば、酸性ペプチド
Figure 2004519211
および塩基性ペプチド
Figure 2004519211
をリンカーとして使用して、ヘテロ二量体化を行う。ヘテロ二量体は、触媒ドメインによってDNA切断後にDNA末端を引く。亜鉛フィンガードメイン12は、本発明の認識コードに従ってゲノム中の同一または異なる部位を標的とすることができる。任意の所望のゲノム部位を、これらの人工トランスポザーゼを使用して標的とすることができる。細胞系は、人工トランスポザーゼに極めて接近して存在する場合、DNAの切断末端を修復(ライゲーション)する。
【0103】
上記の操作トランスポザーゼの別の態様では、TIRの特異性を変化させ、ヘテロ二量体の使用と組み合わせて、関心対象の遺伝子の部位特異的ノックアウト(KO)を得ることができる。あるいは、TIRの亜鉛フィンガードメイン、特に、(上の段落に記載の)異なる特異性のドメインとの置換により、部位特異的KOに有用な別の種類のタンパク質が得られる。
【0104】
さらに、ZFPとの融合により、トランスポザーゼ(触媒ドメイン、二量体化ドメイン、およびTIR結合ドメインを有する)を、ヘテロ二量体の使用と組み合わせた特異的ゲノム部位に補充してDNA結合特異性が変化したトランスポザーゼを得て、その結果関心対象の遺伝子の部位特異的ノックイン(KI)を得ることができる。例えば、亜鉛フィンガードメインを、亜鉛フィンガー−リンカー−Tc1またはTc1−リンカー−亜鉛フィンガーのいずれかとして自在リンカー(例えば、(GGGGS)(配列番号:21)、式中、G=グリシン、S=セリン)を介して線虫トランスポゾンTc1に結合することができる。任意のトランスポザーゼ、亜鉛フィンガードメイン、またはリンカーペプチドをこれらの構築に使用できることが認識される。
【0105】
部位特異的KOおよびKIの戦略を、図5にまとめる。トランスポザーゼ20は、ホモ二量体またはヘテロ二量体タンパク質ドメインリンカー26によって結合した触媒ドメイン22およびTIR結合ドメイン24を含む。TIR結合ドメイン24を、同一または異なり得る標的特異性を変化させるために標準的技術によって操作して、変化したTIR結合ドメイン25を有するトランスポザーゼ23を得る。これらのTIRは、欠失すべき遺伝子30に隣接したゲノム配列28および29を標的とする。TIRのその相補性ゲノム配列28および29への結合後、遺伝子30を含むDNAループ32が形成され、触媒ドメイン22はDNAループ32を切断し、遺伝子30のKOが得られる。好ましくは、触媒ドメインは、切断のみを行い、再ライゲーション活性を有さない。好ましくは、細胞によってライゲーションを行ってDNAの切断末端を連結する。
【0106】
本発明の別の態様では、操作トランスポザーゼを使用して、外因性遺伝子の部位特異的KIを行う。この態様では、トランスポザーゼ20を、特異性が同一であるか異なり得る亜鉛フィンガードメイン34に結合して、亜鉛フィンガー融合物36を得る。別の態様では、トランスポザーゼ23を特異性が同一であるか異なり得る亜鉛フィンガードメイン35に結合して、DNA配列特異性が変化したTIR24および25を含むトランスポザーゼ40を得る。TIR24および25を、ゲノム領域42および43にそれぞれ接触させ、亜鉛フィンガードメインは標的配列46および47に結合し、その後ループDNA48を切断し、亜鉛フィンガー標的配列46と47との間の遺伝子50を組み込む。KIの態様のために、トランスポザーゼの触媒ドメインは、切断およびライゲーション活性の両方を有することが好ましい。
【0107】
本発明のZFPおよび認識コードを使用して、任意の生物(特に、植物)の遺伝子発現を調整することができる。ZFPおよび構築物の植物への適用が特に好ましい。遺伝子が発現の調節に適切である領域中に適切な標的ヌクレオチド配列を含む場合、本発明の方法で使用した調節因子は、外因性ヌクレオチド配列を標的とすることができる。しかし、標的遺伝子が適切な固有のヌクレオチド配列を欠くか調節因子への結合が発現の調節に無効である位置のみにこのような配列を含む場合、「異種」標的ヌクレオチド配列を得る必要があり得る。「異種」標的ヌクレオチド配列は、標的とすべき遺伝子に対して完全に外来の配列または遺伝子自体に存在するが標的として挿入される位置とは異なる位置に存在する配列のいずれかを意味する。したがって、標的ヌクレオチド配列の性質および位置を完全に制御可能である。
【0108】
1つの態様では、本発明の亜鉛フィンガーポリペプチドを使用して、疾患関連遺伝子の発現を阻害する。好ましくは、亜鉛フィンガーポリペプチドは天然に存在するタンパク質ではないが、遺伝子発現を阻害するように特異的に設計する。亜鉛フィンガーポリペプチドを、表1に示すアミノ酸−塩基接触を使用して、疾患関連遺伝子の調節領域に結合するように設計することにより、転写因子のこれらの部位への結合および遺伝子転写の刺激を防止する。1つの例では、疾患関連遺伝子は、BCR−ABL融合癌遺伝子またはras癌遺伝子などの癌遺伝子であり、亜鉛フィンガーポリペプチドをDNA配列GCAGAAGCC(配列番号:22)に結合するように設計し、これはBCR−ABL融合癌遺伝子の発現を阻害することができる。
【0109】
関心対象の核酸配列を、本発明の亜鉛フィンガーポリペプチドを使用して、亜鉛フィンガーが結合する標的配列を含むポリヌクレオチドへの亜鉛フィンガーの結合によって改変することもできる。亜鉛フィンガーの標的ポリヌクレオチドへの結合を、種々の方法(ゲルシフトアッセイならびに標的配列への結合後に検出することができる放射性標識、蛍光、または酵素標識亜鉛フィンガーの使用が含まれる)で検出することができる。亜鉛フィンガーポリペプチドを、診断試薬として使用して、遺伝子配列の変異を検出するか、溶液から制限断片を精製するか、ゲルのDNA断片を視覚化することもできる。
【0110】
本明細書で使用される「エフェクター」または「エフェクタータンパク質」とは、活性化または抑制のいずれかによって遺伝子発現を調整することができるか、標的核酸に対する他の効果を発揮する構築物またはそれによってコードされる産物を指す。エフェクタータンパク質は、亜鉛フィンガー結合領域のみを含み得るが、より一般的には「調節ドメイン」などの「機能ドメイン」も含む。調節ドメインは、遺伝子発現を増強または抑制するエフェクタータンパク質またはエフェクターの一部であり(転写調節ドメインともいう)、これは、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、インテグラーゼ、またはZFPが結合するポリヌクレオチドに対する生物学的効果を有する他のタンパク質もしくは酵素であり得る。
【0111】
DNA結合ドメイン(すなわち、ZFP)に束縛(例えば、融合)する場合、エフェクタードメインは、転写調節または調整活性、DNA改変活性、タンパク質改変活性などの活性を有する。調節ドメインの例には、タンパク質またはタンパク質のエフェクタードメイン(例えば、転写因子)および補因子(例えば、KRAB、MAD、ERD、SID、核因子κBサブユニットp65、初期成長応答因子1、ならびに核ホルモン受容体VP16、VP64)、エンドヌクレアーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、メチラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼなどが含まれる。
【0112】
活性化因子および抑制因子には、同時活性化因子および同時抑制因子が含まれる(Utleyら、Nature 394: 498−502 (1998);国際公開公報第00/03026号)。エフェクタードメインには、ZFPではないタンパク質由来のDNA結合ドメイン(制限酵素など)、核ホルモン受容体、ホメオドメインタンパク質(波形縁またはアンテノペディア)、細菌ヘリックス−ターン−ヘリックスモチーフタンパク質(λ抑制因子およびtet抑制因子など)、Gal4、TATA結合タンパク質、ヘリックス−ループ−ヘリックスモチーフタンパク質(mycおよびmyoD)、ロイシンジッパータンパク質(fosおよびjunなど)、βシートモチーフタンパク質(met、arc、およびmnt抑制因子など)を含み得るが、これらに限定されない。トウモロコシのC1活性化因子ドメインが特に好ましい。
【0113】
同様に、エフェクタードメインには、トランスポザーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、レソルバーゼ、インベルターゼ、プロテアーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヌクレアーゼ、転写抑制因子、転写活性化因子、一本鎖DNA結合タンパク質、核局在化シグナル、転写因子漸増タンパク質、または細胞取り込みシグナルを含み得るが、これらに限定されない。エフェクタードメインは、トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、レソルバーゼ活性、インベルターゼ活性、プロテアーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、ヌクレアーゼ活性、核局在化活性、転写タンパク質漸増活性、転写抑制因子活性、または転写活性化因子活性を示すタンパク質ドメインをさらに含む。
【0114】
好ましい態様では、エフェクタードメインを有するZFPは、リガンドに応答性のZFPである。エフェクタードメインは、このような応答に影響を与え得る。このようなリガンド応答ドメインの例は、ホルモン受容体リガンド結合ドメインであり、例えば、エストロゲン受容体ドメイン、エクジソン受容体系、糖質コルチコステロイド受容体などが含まれる。好ましいインデューサーは、小型の無機生分解性分子である。ZFPエフェクター融合を誘導可能なリガンドの使用は、一般に遺伝子スイッチとして既知である。
【0115】
ZFPを、1つまたは複数の調節ドメイン、あるいは2つ以上の調節ドメインと共有結合または非共有結合することができ、2つ以上のドメインは同一のドメインまたは異なるドメインの2つのコピーである。調節ドメインを、融合タンパク質の一部として例えばアミノ酸リンカーを介してZFP核酸結合ドメインに共有結合することができる。ZFPを、非共有結合二量体化ドメイン(例えば、ロイシンジッパー、STATタンパク質N末端ドメイン、またはFK506結合タンパク質)を介して調節ドメインに結合することができる(例えば、O’Shea、Science 254: 539 (1991)、Barahmand−Pourら、Curr. Top. Microbiol. Immunol. 211: 121−128 (1996);Klemmら、Annu. Rev. Immunol. 16: 569−592 (1998);Klemmら、Annu. Rev. Immunol. 16: 569−592 (1998);Hoら、Nature 382: 822−826 (1996);およびPomeranzら、Biochem. 37: 965 (1998)を参照のこと)。調節ドメインを、ZFPのC末端またはN末端を含む任意の適切な位置でZFPドメインに結合することができる。
【0116】
本発明の方法を使用して作製したZFPへの添加のための一般的調節ドメインには、例えば、転写因子由来のDNA結合ドメイン、転写因子由来のエフェクタードメイン(活性化因子、抑制因子、同時活性化因子、同時抑制因子)、サイレンサー、核ホルモン受容体、およびクロマチン関連タンパク質、および変更因子(例えば、メチラーゼ、キナーゼ、アセチラーゼ、およびデアセチラーゼ)が含まれる。
【0117】
調節ドメインを得ることができる転写因子ポリペプチドには、転写の調節および基本的転写に関連するものが含まれる。このようなポリペプチドには、転写因子、そのエフェクタードメイン、同時活性化因子、サイレンサー、核ホルモン受容体が含まれる(例えば、転写に関連するタンパク質および核酸エレメントの概説については、Goodrichら、Cell 84: 825−30 (1996)を参照のこと;転写因子は、一般に、BamesおよびAdcock、Clin. Exp.Allergy 25、別冊2: 46−9(1995)およびRoeder、Methods Enzymol.、273: 165−71 (1996)で概説されている)。転写因子を示すデータベースもまた既知である(例えば、Science, 269: 630 (1995)を参照のこと)。核ホルモン受容体転写因子は、例えば、Rosenら、J. Med. Chem. 38: 4855−74 (1995)に記載されている。転写因子のC/EBPファミリーは、ウェーデル(Wedel)ら、Immunobiology 193: 171−85 (1995)に概説されている。核ホルモン受容体によって転写調節を媒介する同時活性化因子および同時抑制因子は、例えば、マイヤー(Meier)、Eur. J. Endocrinol. 134 (2): 158−9 (1996);カイサー(Kaiser)ら、Trends Biochem. Sci. 21: 342−5 (1996);およびウトレイ(Utley)ら、Nature 394: 498−502 (1998)に概説されている。造血調節に関連するGATA転写因子は、例えば、サイモン(Simon)、Nat. Genet. 11: 9−11(1995);ワイス(Weiss)ら、Exp. Hematol. 23: 99−107に記載されている。TATAボックス結合タンパク質(T13P)およびその関連するTAFポリペプチド(TAF30、TAF55、TAF80、TAF110、TAFI50、およびTAF250を含む)は、グッドリッチおよびティジャン(GoodrichおよびTjian)、Curr. Opin. Cell Biol. 6: 403−9 (1994)およびハーレイ(Hurley)、Curr. Opin. Struct. Biol. 6: 69−75 (1996)に記載されている。転写因子のSTATファミリーは、例えば、バラフマンド−ポー(Barahmand−Pour)ら、Curr. Top. Microbiol. Immunol. 211: 121−8 (1996)に概説されている。疾患に関連する転写因子は、アソ(Aso)ら、J. Clin. Invest. 97: 1561−9 (1996)に概説されている。
【0118】
1つの態様では、ヒトKOX−Iタンパク質由来のKRAB抑制ドメインを、転写抑制因子として使用する(Thiesenら、New Biologist 2: 363−374 (1990);Margolinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、91: 4509−4513 (1994);Pengueら、Nucl. Acids Res. 22: 2908−2914 (1994);Witzgallら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、91: 4514−4518 (1994))。別の態様では、KRABと共に、KRAB同時抑制因子であるKAP−1を使用する(Friedmanら、Genes Dev. 10: 2067−2078 (1996))。あるいは、KAP−Iを、ZFPと共に使用することができる。転写抑制因子として作用する他の好ましい転写因子および転写因子ドメインには、MAD(例えば、Sommerら、J. Biol. Chem. 273: 6632−6642 (1998);Guptaら、Oncogene 16: 1149−1159 (1998);Quevaら、Oncogene 16: 967−977 (1998);Larssonら、Oncogene: 737−748 (1997);Lahertyら、Cell 89: 349−356 (1997);を参照のこと);およびCultraroら、Mol. Cell. Biol. 17: 2353−2359 (19977);FKHR(縫線肉腫遺伝子中のフォークヘッド;Ginsbergら、Cancer Res. 15: 3542−3546 (1998);Epsteinら、Mol. Cell. Biol. 18: 4118−4130 (1998));EGR−I(初期成長応答遺伝子産物−1;Yanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、95: 8298−8303 (1998);およびLiuら、Cancer Gene Ther. 5: 3−28 (1998));ets2抑制因子因子抑制因子ドメイン(ERD;Sgourasら、EM80 J 14: 4781−4793 (19095))およびMAD smSIN3相互作用ドメイン(SID;Ayerら、Mol. Cell. Biol. 16: 5772−5781 (1996))が含まれる。
【0119】
1つの態様では、HSV VP 16活性化ドメインを、転写活性化因子として使用する(例えば、Hagmannら、J. Virol. 71:5952−5962 (1997)を参照のこと)。活性化ドメインを供給することができる他の好ましい転写因子には、VP64活性化ドメイン(Selpelら、EMBO J. 11: 4961−4968 (1996));核ホルモン受容体(例えば、Torchiaら、Curr. Opin. Cell. Biol. 10: 373−383 (1998)を参照のこと);核因子κBのp65サブユニット(BitkoおよびBarik、J.Virol. 72: 5610−5618 (1998)ならびにDoyleおよびHunt、Neuroreport 8: 2937−2942 (1997));ならびにEGR−I(初期成長応答遺伝子産物−1;Yanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、95: 8298−8303 (1998);およびLiuら、Cancer Gene Ther. 5: 3−28 (1998)))が含まれる。
【0120】
キナーゼ、ホスファターゼ、および遺伝子調節に関連するポリペプチドを改変する他のタンパク質はまた、ZFPの調節ドメインとして有用である。このような改変因子は、例えばホルモンによって媒介される転写のスイッチオンまたはオフにしばしば関連する。転写調節に関連するキナーゼは、デイビス(Davis)、Mol. Reprod. Dev. 42: 459−67 (1995)、ジャクソン(Jackson)ら、Adv. Second Messenger Phosphoprotein Res. 28: 279−86 (1993)、およびボウリカス(Boulikas)、Crit.Rev.Eukayot. Gene Expr. 5: 1−77 (1995)において示されており、ホスファターゼは、例えば、ションタールおよびセミン(SchonthalおよびSemin)、Cancer Biol. 6: 239−48 (1995)において示されている。核チロシンキナーゼは、ワン(Wang)、Trends Biochem. Sci. 19: 373−6 (1994)に記載されている。
【0121】
記載したように、有用なドメインを、癌遺伝子(例えば、myc、jun、fos、myb、max、mad、rel、ets、bcl、myb、mosファミリーメンバー)ならびにその関連因子および改変因子から得ることもできる。癌遺伝子は、例えば、クーパー(Cooper)、「癌遺伝子(oncogene)」、第2版、The JonesおよびBartlett Series in Biology, Boston, MA, JonesおよびBartlett Publishers、1995に記載されている。ets転写因子は、ワスリルク(Waslylk)ら、Eur.J.Biochem. 211: 7−18 (1993)において示されている。Myc癌遺伝子は、ライアン(Ryan)ら、Biochem. J. 314: 713−21 (1996)において示されている。Junおよびfos転写因子は、例えば、「転写因子のFosおよびJunファミリー(The FosおよびJun Families of Transcription Factors)」、エンジェルおよびハーリック(AngelおよびHerrlich編) (1994)に記載されている。max癌遺伝子は、ハーリン(Hurlin)ら、Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol. 59: 109−16に概説されている。myb遺伝子ファミリーは、カネイ−イシイ(Kanei−Ishii)ら、Curr. Top. Microbiol. Immunol. 211: 89−98 (1996)において示されている。mosファミリーは、ユウ(Yew)ら、Curr. Opin. Genet. Dev. 3: 19−25 (1993)において示されている。
【0122】
別の態様では、ヒストンアセチルトランスフェラーゼを、転写活性化因子として使用する(例えば、JinおよびScotto、Mol. Cell. Biol. 18: 4377−4384 (1998);Wolffle、Science 272: 371−372 (1996);Tauntonら、Science 272: 408−411 (1996);およびHassigら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 95: 3519−3524 (1998)を参照のこと)。別の態様では、ヒストンアセチラーゼを、転写抑制因子として使用する(例えば、JinおよびScotto、Mol. Cell. Biol. 18: 4377−4384 (1998);SyntichakiおよびThireos、J. Biol. Chem. 273: 24414−24419 (1998);Sakaguchiら、Genes Dev. 12: 2831−2841 (1998);およびMartinezら、J.Biol. Chem. 273: 23781−23785 (1998)を参照のこと)。
【0123】
調節ドメインに加えて、ZFPは、精製、発現のモニタリング、または細胞および細胞内局在化のモニタリングの簡素化のための融合タンパク質(マルトース結合タンパク質(「MBP」)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、ヘキサヒスチジン、c−myc、およびFLAGエピトープなど)として発現される。
【0124】
ZFPをコードする核酸配列を、コドン優先度の使用によって植物中でのZFPの発現を改良するように改変することができる。核酸を調製するか合成によって変化する場合、核酸が発現される意図する植物宿主の既知のコドン優先度を活用することができる。例えば、本発明の核酸配列が単子葉植物種および双子葉植物種の両方で発現することができるにもかかわらず、優先度が異なることが示されているので、単子葉植物または双子葉植物の特異的コドン優先度およびGC含量の優先度を明らかにするように配列を改変することができる(Murrayら、Nucl. Acids Res. 17:477−498 (1989))。したがって、特定のアミノ酸のトウモロコシの好ましいコドンは、トウモロコシからの既知の遺伝子配列由来であり得る。トウモロコシ植物からの28個の遺伝子のトウモロコシコドン使用頻度は、ミューレイ(Murray)ら、前記の表4に列挙されている。
【0125】
標的配列は、相補的ZFPが設計された関心対象の任意の所与の配列であり得る。標的遺伝子は、標的制御活性またはエフェクター活性が調節制御を介して直接または間接的のいずれかで得られるように、構造および調節遺伝子の両方が含まれる。したがって、1つの遺伝子または遺伝子ファミリーを制御することができる。
【0126】
標的遺伝子は、トウモロコシMIPS遺伝子およびAP3遺伝子と同様に、発現が調節されている植物細胞または植物に対して内因性であるか、所望のタンパク質の産生系を得るために細胞または植物に挿入されているか、植物または植物細胞の代謝を調整するために遺伝子相補物に添加している導入遺伝子であり得る。
【0127】
いくつかの例で、例えば、代謝経路を示す導入遺伝子ファミリーで植物細胞または植物を改変することが望ましい。これらの例では、例えば、エフェクタータンパク質のZFP部分に類似または同一の標的を使用してファミリーメンバーの制御領域を設計することによってファミリー全体を調節することができるように構築物を設計することが望ましい。このような遺伝子ファミリー内の標的遺伝子の共有は、内因的に産生された代謝配列において自然に起こり得る。
【0128】
ほとんどの例では、植物の所望の部分中の所望の遺伝子が選択的に調節することができるように調節配列を含むエフェクタータンパク質の発現系を得ることが望ましい。例えば、MIPS発現を抑制するために、種子中で選択的に有効な調節配列を有するエフェクタータンパク質を得ることが望ましい。AP3遺伝子に関しては、配列調節用のエフェクタータンパク質を、植物の開花部分で選択的に発現するように設計する。しかし、いくつかの場合、例えば、昆虫耐性遺伝子が標的である場合、全ての組織中で発現可能な遺伝子調節を有することが好ましい。このような場合、同様に、インデューサーが必要時のみに昆虫耐性遺伝子の活性化を植物に供給することができるように誘導プロモーターの調節下でエフェクタータンパク質の発現系を置くことが望ましい。
【0129】
1つの態様では、ZFPを使用して、標的遺伝子発現の抑制または活性化によって宿主細胞または植物中に「遺伝子ノックアウト」および「機能亢進」を得ることができる。抑制または活性化は、構造遺伝子(例えば酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子)または調節遺伝子(言い換えれば、構造遺伝子の発現を調節するタンパク質をコードする遺伝子)に由来し得る。負の調節タンパク質の発現により、その調節下で1つまたは複数の遺伝子の機能的遺伝子のノックアウトを得ることができる。逆に、負の調節ドメインを有する亜鉛フィンガーは、正の調節タンパク質の調節下で1つまたは複数の遺伝子発現をノックアウトするか防止するように正の調節タンパク質を抑制することができる。
【0130】
本発明のZFPおよび本発明の融合タンパク質(特に、遺伝子発現の調整に有用なもの)を、機能的ゲノミクスへの適用および標的確認への適用に使用することができる(Caseら、国際公開公報第01/19981号に記載の適用など)。
【0131】
本発明はまた、本発明のZFPコード核酸を含む組換え発現カセットを提供する。本発明の所望のポリヌクレオチドをコードする核酸配列を使用して、所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図する宿主細胞(形質転換植物組織など)中でポリヌクレオチドの転写を指示する転写開始調節配列に作動可能に連結された本発明のポリヌクレオチドを含む。
【0132】
例えば、植物発現ベクターは、(1)5’調節配列および3’調節配列の転写調節下でクローン化された植物遺伝子ならびに(2)優性選択マーカーを含み得る。このような植物発現ベクターはまた、所望する場合、プロモーター調節領域(例えば、誘導もしくは構成性発現、環境的もしくは発達的に調節された発現、または細胞もしくは組織特異的/選択的発現を付与する領域)、転写開始部位、リボソーム結合部位、RNAプロセシングシグナル、転写終結部位、および/またはポリアデニル化シグナルを含み得る。
【0133】
再生植物の全ての組織中で本発明のポリヌクレオチドの発現を指示する植物プロモーター断片を使用することができる。このようなプロモーターを、本明細書で「構成性」プロモーターといい、ほとんどの環境条件下および発達または細胞分化状態で活性である。構成性プロモーターの例には、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35S転写開始領域、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のT−DNA由来のPプロモーターまたは2’プロモーター、ユビキチンIプロモーター、Smasプロモーター、シンナミルアルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(米国特許第5,683,439号)、Nosプロモーター、pEmuプロモーター、rubiscoプロモーター、GRP1−8プロモーター、および当業者に既知の種々の植物遺伝子由来の他の転写開始領域が含まれる。
【0134】
あるいは、植物プロモーターは、特異的組織中で本発明のポリヌクレオチド発現を指示することができ、そうでなければより正確な環境または発達制御下に置かれ得る。このようなプロモーターを、本明細書では「誘導可能」プロモーターという。誘導可能プロモーターによって転写が影響を受け得る環境条件には、病原体の攻撃、嫌気性条件、または光の存在が含まれる。誘導可能プロモーターの例には、低酸素または冷ストレスによって誘導可能なAdhIプロモーター、熱ショックで誘導可能なHsp70プロモーター、および光によって誘導可能なPPDKプロモーターが含まれる。環境調節下でのプロモーターの例には、一定の組織(葉、根、果実、種子、または花など)中で転写のみを開始するプロモーターが含まれる。プロモーターの例は、葯特異的プロモーター5126(米国特許第5,689,049号、第5,689,051号)である。プロモーターの操作はまた、そのゲノム中での位置に依存して変化し得る。したがって、誘導性プロモーターは、一定の位置で全部または一部が構成性となり得る。
【0135】
異種および非異種(すなわち、内因性)のプロモーターの両方を使用して、本発明の核酸発現を指示することができる。これらのプロモーターを、例えば、組換え発現カセットと組み合わせて使用して、所望の組織中で本発明のタンパク質の濃度および/または組成を減少、増加、または変化させるようにアンチセンス核酸の発現を駆動することもできる。したがって、いくつかの態様では、核酸構築物は、本発明のポリヌクレオチドの作動可能に連結された植物細胞(Zea maysなど)中で機能的なプロモーターを含む。これらの態様で有用なプロモーターには、本発明のポリペプチド発現を駆動する内因性プロモーターが含まれる。
【0136】
いくつかの態様では、プロモーターまたはエンハンサーエレメントとして作用する単離核酸を、ポリヌクレオチドの非異種形態の適切な位置(一般に、上流)に導入して、その発現を上方制御または下方制御することができる。例えば、内因性プロモーターを、変異、欠失、および/または置換によってインビボで変化させることができるか(米国特許第5,565,350号;PCT/US93/03868)、単離プロモーターを本発明の遺伝子から適切な方向および距離で植物細胞に導入して、遺伝子発現を制御することができる。遺伝子発現を植物の生長に適切な条件下で調整して、植物細胞中の本発明のポリペプチドの全濃度および/または組成を変化させることができる。
【0137】
種々のプロモーターは、本発明で、特にZFPおよびZFPエフェクター融合物の発現の制御に有用であり、その選択は、存在するならば植物細胞中での所望のタンパク質発現レベルおよび所望の組織特異的、一過性特異的、または環境特異的調節に一部依存する。構成性および組織特異的プロモーターが特に興味深い。このような構成性プロモーターには、例えば、Rsyn7のコアプロモーター、コアCaMV35Sプロモーター(Odellら(1985) Nature 313: 810−812)、イネアクチン(McElroyら (1990) plant Cell 2: 163−171);ユビキチン(Christensenら (1989) plant Mol. Biol. 12: 619−632およびChristensenら (1992) plant Mol. Biol. 18: 675−689)、pEMU(Lastら(1991) Theor. Appl. Genet. 81: 581−588)、MAS(Veltenetら(1984) EMBO J. 3: 2723−2730)、および、例えば、米国特許第5,608,149号、同第5,608,144号、同第5,604,121号、同第5,569,597号、同第5,466,785号、同第5,399,680号、同第5,268,463号、および同第5,608,142号に記載の構成性プロモーターが含まれる。
【0138】
組織特異的プロモーターを利用して、特定の植物組織内での発現の増強を標的とすることができる。組織特異的プロモーターには、ヤマモト(Yamamoto)ら(1997) Plant J. 12(2)255−265、カワマタ(Kawamata)ら(1997) Plant cell Physiol. 38(7): 792−803、ハンセン(Hansen)ら(1997) Mol. Gen. Genet. 254(3): 337、ラッセル(Russell)ら(1997) Transgenic Res. 6(2): 157−168、ラインハルト(Rinehart)ら(1996) Plant Physiol. 112(3): 1331、バン・カンプ(Van Camp)ら(1996) Plant Physiol. 112(2): 525−535、カネバシニ(Canevascini)ら(1996) Plant Physiol. 112(2): 513−524、ヤマモト(Yamamoto)ら(1994) Plant Cell Physiol. 35(5): 773−778、ラム(Lam)(1994)Results Probl.Cell Differ. 20: 181−196、オロスコ(Orozco)ら(1993) plant Mol. Biol. 23(6): 1129−1138、マツオカ(Matsuoka)ら(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(20): 9586−9590、およびグエバラ−ガルシア(Guevara−Garcia)ら(1993) Plant J.4(3): 495−505に記載のものが含まれる。必要ならば、このようなプロモーターを発現を弱めるように改変することができる。
【0139】
葉特異的プロモーターは当技術分野において既知であり、例えば、ヤマモト(Yamamoto)ら(1997) Plant J. 12(2): 255−265、クウォン(Kwon)ら(1994) Plant Physiol. 105: 357−67、ヤマモト(Yamamoto)ら(1994) Plant Cell Physiol. 35(5): 773−778、ゴトール(Gotor)ら(1993) Plant J. 3: 509−18、オロスコ(Orozco)ら(1993) Plant Mol. Biol. 23(6): 1129−1138、およびマツオカ(Matsuoka)ら(1993) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(20): 9586−9590に記載のものが含まれる。
【0140】
構成性または誘導性および非組織特異的または組織特異的の任意の組み合わせを使用して、ZFP発現を制御することができる。所望の制御は、適切なプロモーターを使用して一過性、発達、または環境的に制御することができる。環境制御されたプロモーターは、病原体、病原体毒素、または他の外来化合物(例えば、意図的に適用された小分子インデューサー)によって攻撃に応答するプロモーターである。一過性または発達プロモーターの例は、果実成熟依存性プロモーターである。誘導性PR1プロモーター、トウモロコシユビキチンプロモーター、およびORSが特に好ましい。
【0141】
したがって、本発明は、本発明のZFPおよびZFPエフェクター融合をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された異種プロモーターおよび/またはエンハンサーの組成物および作製法を提供する。
【0142】
例えば、組織型、細胞型、発達段階、および/または環境条件に関して特定の発現パターンを有するプロモーターを同定する方法は、当技術分野において既知である。例えば、「トウモロコシハンドブック(The Maize Handbook)」、第114章〜第115章、フリーリングおよびワルボット(FreelingおよびWalbot)編、Springer, New York (1994);「トウモロコシおよびトウモロコシの改良(CornおよびCorn Improvement)」、Pedition,第6章、シュプラーグおよびダドレー(SpragueおよびDudley)編、American Society of Agronomy, Madison, Wisconsin(1988)を参照のこと。
【0143】
特定の環境条件もしくはストレス下、特異的組織中、または特定の発達段階で発現したプロモーターの単離方法では、所望の環境下、所望の組織中、または所望の段階で発現した多数の遺伝子を同定する。さらなる分析により、植物の1つまたは複数の他の組織中での各特定の遺伝子の発現が明らかとなる。所望の組織中または条件で活性を有するが、他のいかなる共通の組織で活性を示さないプロモーターを同定することができる。このような遺伝子は、本発明の方法による調節のための良好な候補であり得る。
【0144】
植物では、TATAボックスからさらに上流(−80位〜−100位)で、典型的には、トリヌクレオチドG(またはT)NGを取り囲む一連のアデニンを有するプロモーターエレメント(すなわち、CAATボックス)が存在する。メッシング(Messing)ら、「植物の遺伝子操作(Genetic Engineering in Plants)」、コセイジ、メレディス、およびホーレンダー(Kosage, MeredithおよびHollaender)編、221−227、1983。トウモロコシでは、十分に保存されたCAATボックスは存在しないが、TATAボックスの上流にいくつかの短い保存タンパク質結合モチーフが存在する。これらには、各遺伝子に適切なように、光調節、嫌気性誘導、ホルモン調節、またはアントシアニン生合成に関連するトランス活性化転写因子のモチーフが含まれる。
【0145】
植物形質転換プロトコールならびにヌクレオチド配列の植物の導入プロトコールは、形質転換のために標的化した植物または植物細胞(すなわち、単子葉植物または双子葉植物)に依存して変化し得る。ヌクレオチド配列の植物細胞への適切な導入およびその後の挿入法には、微量注入(Crosswayら(1986) Biotechniques 4: 320−334)、エレクトロポレーション(Riggsら(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83: 5602−5606)、アグロバクテリウム媒介性形質転換(Townsendらに付与された米国特許第5,563,055号)、直接遺伝子トランスファー(Paszkowskiら(1984) EMBO J. 3: 2717−2722)、および衝撃粒子加速(例えば、Sanfordらに付与された米国特許第4,945,050号;Tomesら(1995)、「植物細胞、組織、および器官培養:基本的方法(Plant cell, Tissue, and Organ Culture: Fundamental Methods)」における「微粒子銃による無傷の植物細胞への直接DNAトランスファー(Direct DNA Transfer into Intact Plant Cells via Microprojectile Bombardment)」、GamborgおよびPhillips編(Springer−Verlag, Berlin);およびMcCabeら(1988)Biotechnology 6: 923−926を参照のこと)が含まれる。ウェイシンガー(Weissinger)ら(1988) Ann. Rev. Genet. 22: 421−477;サンフォード(Sanford)ら(1987) Particulate ScienceおよびTechnology 5: 27−37(タマネギ);キリストウ(Christou)ら(1988) Plant Physiol. 87: 671−674(ダイズ);マクケイブ(McCabe)ら(1988)BioTechnology 6: 923−926(ダイズ);ファイナーおよびマクマレン(FinerおよびMcMullen)(1991) In Vitro Cell Dev. Biol. 27P: 175−182(ダイズ);シン(Singh)ら(1998) Theor. Appl. Genet. 96: 319−324(ダイズ);ダッタ(Datta)ら(1990) Biotechnology 8: 736−740(イネ);クライン(Klein)ら(1988) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85: 4305−4309(トウモロコシ);クライン(Klein)ら(1988) Biotechnology 6: 559−563(トウモロコシ);トムズ(Tomes)らに付与された米国特許第5,240,855号;ブイシング(Buising)らに付与された米国特許第5,322,783号および同第5,324,646号;トムズ(Tomes)ら(1995)、「植物細胞、組織、および器官培養:基本的方法(Plant cell, Tissue, and Organ Culture: Fundamental Methods)」における「微粒子銃による無傷の植物細胞への直接DNAトランスファー(Direct DNA Transfer into Intact Plant Cells via Microprojectile Bombardment)」、ガムボルグ(Gamborg)編(Springer−Verlag, Berlin)(トウモロコシ);クライン(Klein)ら(1988) Plant Physiol. 91: 440−444(トウモロコシ);フロム(Fromm)ら(1990) Biotechnology 8: 833−839(トウモロコシ);ホーイカース−バンスログテレン(Hooykass−Van Slogteren)ら(1984) Nature (London) 311: 763−764;ボーウェン(Bowen)らに付与された米国特許第5,736,369号(穀類);バイテビアー(Bytebier)ら(1987) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84: 5345−5349(ユリ);ド・ウェット(De Wet)ら(1985) 「胚珠組織の実験操作(The Experimental Maniulation of Ovule Tissues)」内、チャプマン(Chapman)ら編(Longman、Ney York)、pp.197−209(花粉);ケプラー(Kaeppler)ら(1990) Plant Cell Reports 9: 415−418およびケプラー(Kaeppler)ら(1992) Theor. Appl. Genet. 84: 560−566(ウィスカー媒介形質転換);ディー・ハルイン(D’Halluin)ら(1992) Plant cell 4: 1495−1505(エレクトロポレーション);リ(Li)ら(1993) Plant Cell Reports 12: 250−255およびクリストウおよびフォード(ChristouおよびFord)(1995) Annals of Botany 75: 407−413(イネ);オスジョダ(Osjoda)ら(1996) Nature Biotechnology 14: 745−750(Agrobacterium tumefaciensを介したトウモロコシ)(これらの全てが参照として本明細書に組み入れられる)もまた参照のこと。
【0146】
最適なエフェクタードメインを有するZFPを、植物細胞内の特定の器官に標的化することができる。ZFPに適切な標的化ペプチド配列(分泌シグナルペプチド(分泌、細胞壁、または膜標的化用)、プラスチド移行ペプチド、クロロプラスト移行ペプチド、ミトコンドリア標的ペプチド、小胞標的化ペプチド、または核標的化ペプチドなど)を提供することによって標的化を行うことができる。プラスチドオルガネラ標的配列の例は、国際公開公報第00/12732号を参照のこと。プラスチドは、プロトプラスト由来の植物オルガネラのクラスであり、葉緑体、白色体、澱粉体、および有色体が含まれる。プラスチドは、植物の生合成の主要な部位である。葉緑素における光合成に加えて、プラスチドはまた脂質生合成、硝酸塩のアンモニウムへの還元、および澱粉貯蔵部位である。プラスチドがそれ自体の環状ゲノムを含む一方で、プラスチドに局在しているほとんどのタンパク質は核のゲノムによってコードされ、原形質からオルガネラに輸送される。
【0147】
従来の方法によって、改変植物を植物体に生長させることができる。例えば、マックコーミック(McCormick)ら(1986) Plant Cell Reports:81−84を参照のこと。これらの植物を生長させ、同一の形質転換株または異なる株で授粉し、得られた所望の表現型の特徴を有するハイブリッドを同定することができる。2世代以上生長させて、この表現型の特徴が安定に維持および遺伝しているかを確認し、種子を採取して所望の表現型または他の性質が得られているかを確認することができる。
【0148】
関心対象の標的遺伝子またはタンパク質が調整される効率を決定するアッセイは既知である。簡単に述べれば、1つの態様では、P−グルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、または緑色蛍光タンパク質(GFP)などのレポーター遺伝子を、標的遺伝子配列調節プロモーターに作動可能に連結し、形質転換ベクターにライゲーションし、植物または植物細胞に形質転換する。
【0149】
本発明で有用なZFPは、リンカー(好ましくは、自在リンカー)を介して選択的に第2の亜鉛フィンガーポリペプチドである少なくとも第2のDNA結合ドメインに連結された少なくとも1つの亜鉛フィンガーポリペプチドを含む。ZFPは、2つを超えるDNA結合ドメインおよび1つまたは複数のレギュレータードメインを含み得る。本発明の亜鉛フィンガーポリペプチドを、選択した遺伝子中の選択した標的部位を認識するように操作することができる。典型的には、任意の適切なCysHis−ZFP(SPA、SPIC、またはZIF268など)由来の骨格を、操作される亜鉛フィンガーポリペプチドの足場として使用する(例えば、Jacobs EMBO J. 11: 45 07(1992);DesjarlaisおよびBerg、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90: 2256−2260 (1993)を参照のこと)。次いで、多数の方法を使用して、その標的に対して高親和性を示す亜鉛フィンガーポリペプチドを設計および選択することができる。亜鉛フィンガーポリペプチドを、標的遺伝子中で任意の適切な標的が高親和性で結合するように設計または選択することができる。
【0150】
アミノ酸および核酸配列に関して、1つのアミノ酸もしくはヌクレオチドまたは配列中の割合の低いアミノ酸もしくはヌクレオチドを変化、付加、または欠失する各置換、欠失、または付加により「保存的に改変された変異体」が得られ、これは変化によってアミノ酸が化学的に類似のアミノ酸に置換されている。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は当技術分野において既知である。このような保存的改変変異体が追加されたが、本発明の多型変異体および対立遺伝子は排除していない。
【0151】
以下の群は、互いに保存的置換であるアミノ酸をそれぞれ含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)セリン(S)、トレオニン(T);3)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);4)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);5)システイン(C)、メチオニン(M);6)アルギニン(R)、リジン(K)、ヒスチジン(H);7)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、バリン(V);および8)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)(例えば、アミノ酸の性質の考察についてはCreighton、「タンパク質(Proteins)」(1984)を参照のこと)。
【0152】
したがって、本発明は、組織特異的であるか特異的でない、誘導性であるかそうでない、培養物中または無傷の植物中の植物細胞中で起こり得る遺伝子調節を意図する。有用な活性化または抑制レベルは、どのようにして標的遺伝子が厳格に調節されるかどうか、調節の低レベルの変化の影響、および類似の因子に依存して変化し得る。望ましくは、遺伝子発現の変化は約1.5倍〜2倍、より望ましくは約3倍〜5倍、好ましくは約8倍〜10倍〜15倍、より好ましくは20倍〜25倍〜30倍、最も好ましくは40倍、50倍、75倍または100倍またはそれ以上改変される。これにより、発現レベルの修正は、活性化因子/抑制因子の不在下で、遺伝子発現の正規水準の活性化あるいは抑制のどちらかを参照する。特定のZFPエフェクター融合物の活性の測定値は、ZFPエフェクター構築物の染色体上の組み込み位置の影響の結果として、植物ごとにいくらかばらつきがあった。
【0153】
高等植物における遺伝子発現に有用な典型的なベクターは当技術分野において既知であり、ロジャーズ(Rogers)ら、Meth. in Enzymol.、153: 253−277 (1987)に記載のアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)の腫瘍誘導性(Ti)プラスミド由来のベクターを含む。これらのベクターは形質転換の際の植物組み込みベクターであり、ベクターにより宿主植物ゲノムにベクターDNAの一部が組み込まれる。例として、本明細書で有用なA.ツメファシエンス(tumefaciens)ベクターは、シャードル(Schardl)ら、Gene, 61: 1−11 (1987)およびバーガー(Berger)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86: 8402−8406 (1989)のプラスミドpKYLX6およびpKYLX7である。別の有用なベクターはプラスミドpBI101.2である。
【0154】
本発明の方法は、商業的な価値もある所望の表現型の種の開発に必要な交配レベルを最小にする優性形質が得られる効果があるので、特に植物生産者に魅力的である。典型的には、従来の方法による植物ゲノムの改変により、改変遺伝子の表現型が劣性なヘテロ接合体が得られる。表現型に劣性の特徴が認められた場合、ホモ接合体を得るために交配する必要がある。この交配は、手間がかかり、かつ時間がかかる。すぐに表現型の影響が得られる本発明の場合、このような交配が必要ない。
【0155】
1つの態様では、ZFPを、非連続標的配列に結合するように設計することができる。例えば、6フィンガーZFPの標的配列は、第2の10塩基対配列(3つのフィンガーの第2の組によって認識される)の間に介在塩基(亜鉛フィンガー核酸結合部位に接触しない)を有する10塩基対の配列(3つのフィンガーによって認識される)であり得る。介在塩基の数は変化し得るので、ZFPの2つの3フィンガー部分の間のこの介在距離を適切に設計したアミノ酸リンカーで埋め合わせることができる。標的結合部位中の介在核酸塩基の範囲は、好ましくは20塩基以下、より好ましくは10塩基以下、さらにより好ましくは6塩基以下である。当然ながら、リンカーは、ZFPタンパク質のリンカー部分の間のリーディングフレームを維持する。
【0156】
リンカーの最短の長さは、2つの亜鉛フィンガードメインがドメインまたはリンカーと立体障害を起こさないように連結される長さである。最短の長さを超えるリンカーは、「自在リンカー」である。最小リンカーおよび自在リンカーの長さを、当技術分野において既知の各標的部位に結合したDNA結合タンパク質の物理的またはコンピュータモデルを使用して測定することができる。
【0157】
6フィンガーの亜鉛フィンガーペプチドは、従来の「TGEKP」リンカーを使用して、2つの3フィンガー亜鉛フィンガーペプチドに接続するか3フィンガータンパク質にさらなるフィンガーを付加することができる。天然および合成のいずれの他の亜鉛フィンガーペプチドもまた適切である。このようなリンカーに加えて、ドメインを1個〜10個のさらなるアミノ酸と共有結合することができる。マルチフィンガーZFP中の各第3の亜鉛フィンガードメインの後で使用した場合、このようなさらなるアミノ酸は、最も有益であり得る。
【0158】
有用な亜鉛フィンガーフレームワークは、バーグ(Berg)(Kimら、Nature Struct. Biol. 3: 940−945、1996;Kimら、J. Mol. Biol. 252: 1−5、1995;Shiら、ChemistryおよびBiology, 2: 83−89、1995を参照のこと)のものであるが、他のものも適切である。亜鉛フィンガーヌクレオチド結合モチーフを含むヌクレオチド配列の機能を変化させるために本発明にしたがって短縮、拡大、および/または変異誘発することができる既知の亜鉛フィンガーヌクレオチド結合ポリペプチドの例には、TFIIIAおよびZif268が含まれる。他の亜鉛フィンガーヌクレオチド結合タンパク質は、当業者に既知である。ネズミCys−His ZFP Zif268は、構造的に最も十分に特徴付けられたZFPである(PavletichおよびPabo、Science 252: 809−817(1991)、Elrod−Ericksonら(1996) Structure(London) 4, 1171−1180、Swirnoffら(1995) Mol. Cell. Biol. 15: 2275−2287)。このタンパク質の3つの各亜鉛フィンガードメイン中のDNA認識は、DNAの一本鎖上の主に3つのヌクレオチドを含むαヘリックスのN末端中の残基によって媒介される。この3つのフィンガータンパク質のオペレーター結合部位は、5’−GCGTGGGCG−3’である。Zif268および他の関連する亜鉛フィンガー−DNA複合体の構造研究(Elrod−Erickson,M.、Benson, T.E.およびPabo, C.O.(1998) Structure (London) 6, 451−464、KimおよびBerg(1996) Nature Structural Biology 3, 940−945、PavletichおよびPabo(1993) Science 261, 1701−7、Houbaviyら(1996) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93, 13577−82、Fairallら(1993) Nature (London) 366, 483−7、Wuttkeら(1997) J. Mol. Biol. 273, 183−206、Nolteら(1998) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95, 2938−2943、Narayanら(1997) J.Biol. Chem. 272, 7801−7809)により、αヘリックス上の3つの主要な位置(−1位、3位、および6位)からの残基が特異的塩基接触に関連することが示された。典型的には、αヘリックスの−1位残基はフィンガーのサブサイトの3’塩基に接触する一方で、3位および6位は中央の塩基および5’塩基にそれぞれ接触する。
【0159】
当業者に既知の任意の適切なタンパク質精製法を使用して、本発明のZFPを精製することができる(Ausubel、前記、Sambrook、前記を参照のこと)。さらに、任意の適切な宿主(例えば、細菌細胞、昆虫細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞など)を使用することができる。
【0160】
一つの態様では、自在(flexible)リンカー(GGGGS、GGGS、およびGGS(これらの配列は、本発明のZFP中の1個〜10個のさらなるアミノ酸の一部であり得る;それぞれ配列番号:23、配列番号:23の2残基〜5残基;および配列番号:23の3残基〜5残基)が含まれるが、これらに限定されない)を使用した他のマルチフィンガーZFPに連結したマルチフィンガーZFPを使用して、より長いゲノム配列を標的とする。酸性および塩基性ペプチドなどの二量体化ペプチドを使用し、選択的に自在リンカーと組み合わせて非回文配列を標的とすることができ、このときZFPは酸性および塩基性ペプチドに結合する(エフェクタードメイン−酸性または塩基性のペプチド−ZFP)。酸性および塩基性ペプチドの他の末端は、エフェクターペプチド(活性化ドメイン)である。これらのドメインを、任意の順序でアセンブルさせることができる。例えば、ZFPエフェクタードメイン−酸性または塩基性のペプチドの配置もまた本発明の範囲内である。さらに、亜鉛フィンガーペプチドが酸性および塩基性ペプチドの両方に結合することは必要なく、その一方または他方のまたは両方が本発明の範囲内である。2つのZFPに対する必要性は、第1のZFPの親和性に依存する。これらの構築物を、上記のヘテロ二量体を使用した組み合わせ転写調節(Briggsら)に使用することができる。タンパク質は半分の両方が発現した場合のみ二量体を形成する。したがって、タンパク質の半分の両方が同一の細胞中で同時に発現した場合のみ、遺伝子発現が活性化または阻害される。例えば、2つのプロモーターを植物中での発現に使用することができ、一方が組織特異的であり、他方が一過性である。ヘテロ二量体の半分の両方が発現した場合のみ、遺伝子発現が活性化される。
【0161】
本発明はまた、本発明の認識コードによって作製したZFPの核への転位を促進して、関心対象の遺伝子の転写を促進するために使用する「分子スイッチ」または「化学スイッチ」に関する。分子スイッチは、1つの態様では、操作受容体(ステロイドホルモン受容体など)に結合し、操作ZFPにも結合する2価の化学リガンドである(図6)。ZFPをその標的部位に結合する場合、受容体−リガンド−亜鉛フィンガー複合体は核に侵入する。例は、エフェクタードメイン(活性化ドメイン(AD)または抑制ドメイン(RD)など)に作動可能に連結された核局在化シグナルに部分AおよびBを有する2価の化学リガンドによって連結したZFPを含む複合体である。ZFPおよび部分Aに特異的な抗体(またはこのような抗体の活性断片)をコードする構築物が、細胞中に発現する。操作した核局在化シグナル/エフェクタードメインおよび部分Bに特異的な抗体(またはこのような抗体の活性断片)をコードする第2の構築物が、同一の細胞中に発現する。互いに連結した部分Aおよび部分Bを含む2価の化学物質の細胞への添加の際、部分Aまたは部分Bのいずれかに対するそれぞれ個別に発現した融合タンパク質の親和性は、操作したZFPが核局在化ドメインおよびエフェクタードメインに物理的に結合している複合体の形成を媒介する。この態様により、細胞への2価の化学物質の投与により核への複合体の特異的局在化が誘導される。部分AおよびBには、多数の可能性がある。この基準は、この部分が、この部分に特異的なモノクローナル抗体を選択するために十分に抗原性を示し、互いに結合した2つの部分が細胞内に侵入し、そこで作用して複合体形成を媒介することができるということである。1つの態様では、部分Aは、例えば、以下の構造
Figure 2004519211
を有し得り、部分Bは、例えば、以下の構造
Figure 2004519211
を有し得り、かつ部分Aおよび部分Bは任意の適切な長さのリンカーによって結合することができ、以下の単位
Figure 2004519211
などの単位を有する。
【0162】
細胞に侵入することができ、かつ抗体を惹起することができる部分を有する任意の化合物が、本発明の局面に適切である。本発明のこの態様により、選択したプロモーターに対して作用するようにエフェクタードメインが配列特異的に局在化して、細胞中の遺伝子発現が変化し、例えば所望の表現型を得ることができる。2価の化学物質の不在下では、ZFPによって付与された部位特異性核局在化および操作エフェクタータンパク質のエフェクター活性につながらないので、このような表現型は出現しない。したがって、部位特異的エフェクター活性は、2価の化学物質の添加によって誘導される。
【0163】
好ましい態様では、2つの結合化合物を含む2価の化学物質である化学的スイッチを使用する。これらの化合物は、短いリンカー(例えば、CHCH)によって連結される、抗体を惹起することができる任意の化合物であり得る。1つの好ましい態様では、一本鎖抗体(例えば、一本鎖Fv(scFv))は2価の化学物質の1つの部分に結合し、これがZFPに連結する。2価の化学物質の他の部分は、第2の一本鎖抗体(例えば、一本鎖Fv(scFv))に結合し、エフェクタードメイン(好ましくは、活性化因子または抑制因子ドメイン)に作動可能に連結された核標的配列(例えば、核局在化シグナル)を認識して結合する(図6)。したがって、ZFPの核への転位は、2価の化学物質の存在下でのみ起こる。代替的な態様では、エフェクタードメインをZFPに結合し、その後一本鎖抗体に結合する。しかし、エフェクター−ZFP抗体複合体は2価の化学物質の不在下で核内で拡散し得るので、ZFPおよびエフェクターは、異なるタンパク質上に存在することが好ましい。ZFP抗体が核内に拡散する場合でも、最悪な場合で化学物質が存在するまで負のレギュレーターになるが、活性化因子にはならない。ZFPおよびエフェクタードメインの両方の転位を操作することがより好ましいので、これもまたあまり好ましくない。本発明の化学的スイッチの態様はまた、他の有用な誘導性遺伝子発現系の操作に適用可能である。例えば、このアプローチを使用して、植物内で人工防御機構を操作することができる。植物が病原体に感染した場合、小分子「誘発物質」もまた産生される。したがって、分子スイッチ系中の抗体は、このような誘発物質に特異的であり、これは誘発物質の存在下のみで形成された誘導性遺伝子発現複合体であり、病原体感染に対する応答を操作する。このようにしてでは、植物防御遺伝子は、病原体が植物に感染した場合に、病原体によって産生された「サプレッサー」の影響を受けることなく直接および即座に活性化することができる。好ましい態様では、2つのscFv(scFv−1およびscFv−2)が産生される。各scFvは、誘発物質の異なる部分(すなわち、誘発分子上の異なるエピトープ)を認識する。亜鉛フィンガー/scFu−1融合タンパク質およびNLS−AD−scFv−2融合タンパク質が誘発物質に結合し、核に局在化することができる遺伝子活性化複合体が得られ、植物防御遺伝子は、ZFPの設計に基づいて選択的に活性化される。このアプローチにより、植物防御遺伝子は、病原体の存在下でのみ活性化される。
【0164】
組み合わせ転写調節に関する本発明の別の態様は、Sタグ、Sタンパク質の系を含む。Sタグは短いペプチド(15アミノ酸)であり、Sタンパク質は小さなタンパク質である(104アミノ酸)。SタグおよびSタンパク質複合体の親和性は高い(Kd=1nM)。化学的スイッチ系で、Sタグ/Sタンパク質系を使用することができる。この態様では、SタグはZFPに結合し、Sタンパク質は活性化ドメイン(AD)または抑制因子に結合する核局在化ドメイン(NLS)に結合する。S−タグ−亜鉛フィンガーおよびSタンパク質−NLS−AD構築物を2つの異なるプロモーターを使用して発現させ、亜鉛フィンガー−Sタグ−Sタンパク質−NLS−AD複合体の形態が得られる。化学的スイッチは、SタグおよびSタンパク質を共に連結させるための小分子または化学物質が存在する限り、相互作用することができないSタグおよびSタンパク質の使用を含む。これらの小分子を使用して、野生型Sタグ−Sタンパク質相互作用を破壊することもできる。
【0165】
本発明の別の態様では、ZFPまたは亜鉛フィンガードメインおよび一本鎖DNA結合タンパク質(SSB)を含む融合タンパク質を使用して、ウイルス複製を阻害する。ジェミニウイルス中に保存された「直接反復」配列または「ステムループ」構造に標的化され、ウイルスゲノムのローリングサークル複製のためのプライマーを得るためにニックを入れた亜鉛フィンガードメインまたは亜鉛フィンガー−SSB融合タンパク質を使用して、ジェミニウイルスの複製を阻害することができる。例えば、AL1は、TMV上の特異的部位に結合するタバコモザイクウイルス(TMV)部位特異的エンドヌクレアーゼである。結合後、AL1はステム−ループ中のウイルスDNAを切断して、ローリングサークルウイルス複製が開始される。SSB部分が切断部位に結合し、この部位に隣接する亜鉛フィンガードメインが結合するように、本発明の認識コードを使用してZFPまたは亜鉛フィンガー−SSB融合タンパク質を操作する。あるいは、AL1結合部位または切断部位に結合するように設計したZFPのみを使用し、それによりAL1がその結合部位またはステム−ループ構造への結合を防止する。したがって、ZFPはAL1のその標的部位への結合を競合により阻害する。これらのZFPまたは亜鉛フィンガーSSB融合タンパク質の型を、ウイルス複製に関連する任意のDNAまたはRNAウイルス中の所望の任意の結合部位を標的とするように設計することができる。さらに、ステム−ループ構造は全てのジェミニウイルスで保存されているので、全てのこのようなウイルスのニック部位を、類似のZFPまたは亜鉛フィンガー−SSB融合物を使用して遮断することができる。
【0166】
本発明の別の態様は、亜鉛フィンガー認識配列の変化を検出する方法に関する。この方法では、関心対象の亜鉛フィンガー認識配列を含む核酸を、配列に特異的でかつシグナル伝達部分に結合した本発明のZFPに接触させ、配列が変化していない場合、ZFPはZFPのその認識(すなわち、標的)配列への結合に十分な量の存在する。次いで、ZFPの結合範囲を、シグナル伝達部分の検出および亜鉛フィンガー認識配列への正常な結合レベルが変化したかどうかを確認することによって決定する。不変配列へのZFPの結合と比較して結合が減少するまたは消滅する場合に亜鉛フィンガー認識配列が変化する。この方法は、1つまたは複数のヌクレオチドが変異(置換)、挿入、または欠失した、亜鉛フィンガー認識部位の変化を検出することができる。この方法は、一塩基多型(SNP)の検出に有用である。
【0167】
任意の都合のよいシグナル伝達部分または系を使用することができる。シグナル伝達部位の例には、色素、ビオチン、放射性標識、ストレプトアビジン、およびマーカータンパク質が含まれるが、これらに限定されない。多数のマーカータンパク質が既知であり、β−ガラクトシダーゼ、GUS(β−グルクロニダーゼ)、スペクトルの性質が変化する(すなわち、青色または黄色蛍光を示す)緑色蛍光タンパク質(その蛍光変異体を含む)、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、抗体、抗原などが含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
さらに本発明は、ゲノム構造の異常に関連する疾患の診断法を意図する。このような疾患の例は、特定の核酸配列のコピー数が増加する疾患である。例えば、健常な個体におけるコピー数に対して示された疾患を罹患した患者で高コピー数の表示の配列が見出された:ハンチントン病、フリードリッヒ運動失調では(CAG);脆弱X部位Aでは(CGG);脆弱X部位Eでは(CCG);および筋緊張性ジストロフィーでは(CTG)
【0169】
この方法は、(a)被験者から細胞、血液、または組織試料を単離する段階;(b)細胞、血液、または該組織試料由来の核酸をシグナル伝達部分に連結し、選択的に細胞取り込みドメインに融合した本発明のZFP(関心対象の疾患の標的に特異性を有する)に接触させる段階;および(c)タンパク質の核酸への結合を検出し、それにより診断を行う段階を含む。必要ならば、結合量を定量することができ、これは役に立ち、いくつかの場合、疾患の重症度または進行を評価する。核酸がインサイチューで検出されるような細胞、血液、または組織の適切な固定、細胞、血液、または組織からの核酸の抽出、検出、および選択的な定量段階の実施によってこの方法を行うことができる。
【0170】
VII. 薬学的製剤
保存用のZFP、融合タンパク質、または本発明のこれらのZFPもしくは融合タンパク質をコードする核酸の治療製剤を、所望の純度のこれらの物質の選択的な生理学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤(「レミントンの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Science)」、第16版、Osol,A編、(1980))との混合によって凍結乾燥製剤または水溶液の形態で調製する。許容可能な担体、賦形剤、または安定剤は、使用した投薬量および濃度でレシピエントに無毒であり、これらには、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンズエトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン(メチルまたはプロピルパラベンなど);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリンなど);親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン);アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、リジンなど);単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(EDTAなど);糖類(スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなど);塩形成対イオン(ナトリウムなど);金属複合体(例えば、亜鉛−タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤(TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、またはポリエチレングリコール(PEG))が含まれる。
【0171】
本発明の製剤はまた、治療される特定の適応症に必要で、好ましくは、互いに悪影響を与えない相補的活性を有する1つを超える活性化合物、を含み得る。このような分子は、意図する目的に有効な量で組み合わせて安定に存在する。
【0172】
有効成分を、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルまたはポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)、コロイド状の薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)、またはマクロエマルジョンに封入することができる。このような技術は、「レミントンの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Science)」、第16版、オソール(Osol),A編、(1980)に開示されている。
【0173】
インビボでの投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。滅菌濾過膜を使用してこれを容易に行うことができる。
【0174】
徐放性製剤を調製することができる。徐放性製剤の適切な例には、ポリペプチド変異体を含む固体疎水性ポリマーの半透性基質が含まれ、この基質は成形した物品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)である。徐放性基質の例には、ポリエステルヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸とL−グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン−ビニルアセテート、分解性乳酸−グリコール酸のコポリマー(LUPRON DEPOT(商標)(乳酸−グリコール酸のコポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射用ミクロスフェア)など)、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が含まれる。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは、100日間にわたって分子を放出することができるが、一定のヒドロゲルでは短時間タンパク質を放出する。カプセル化抗体が体内に長期間とどまる場合、37℃での水分の曝露の結果として変性するか凝集し、それにより生物活性が喪失し、免疫原性が変化する可能性がある。関連機構に依存して安定化する合理的戦略を案出することができる。例えば、チオ−ジスルフィド相互交換による細胞間S−S結合形成である凝集機構を発見した場合、スルフヒドリル残基の改変、酸性溶液からの凍結乾燥、適切な添加物を使用した水分含量の調節、および特異的ポリマー基質組成物の開発によって安定化することができる。
【0175】
当業者は、任意の薬学的組成物中に含まれるZFP、融合タンパク質、またはこれらのZFPまたは融合タンパク質をコードする核酸の量、およびこれを使用するための適切な投薬量を容易に決定することができる。
【0176】
本出願を通して、種々の刊行物、特許、および特許出願を言及してきた。これらの刊行物、特許、および特許出願の教示および開示は、その全てが本出願の参照として本明細書に組み入れられる。
【0177】
例示的態様で開示された本明細書における発明の原理の変法を当業者が実施できることを理解および予想すべきであり、このような修正、変更、置換は本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0178】
実施例1
認識コードを使用した ZFP の設計
表1に示されるアミノ酸−塩基接触を確認するために、トマトゴールデンモザイクウイルスゲノム中のAL1結合部位を標的とするZFPを設計した。図7に示すように、標的部位
Figure 2004519211
を、それぞれ4つのDNA塩基対を有する3つの領域に分割した(段階1)。これらの領域は、第1の領域の第4の塩基が第2の領域の第1の塩基となり、第2の領域の第4の塩基が第3の領域の第1の塩基となるという点で重複していた。したがって、3つの亜鉛フィンガーを使用して、核酸の10塩基対領域を標的化する。次に、バーグ(Berg)により記載されたSp1Cドメイン2フレームワークで使用するための4つのDNA塩基対あたり4つのアミノ酸を表から選択した(段階2)。−1位、2位、3位、および6位以外の位置のアミノ酸は改変しなかった。ペプチド配列に対応したDNAオリゴマーを、DNA合成機を使用する標準的方法によって合成した(段階3)。次いで、これら3つの亜鉛フィンガードメインを、1つのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってアセンブルさせて、AL1部位を標的とするZFPを構築した(段階4)。DNA断片を、pET21−aベクター(Novagen)のEcoRI/HindIII部位にクローン化した。得られたプラスミドを、タンパク質過剰発現のために大腸菌BL21 (DE3) pLysSに導入し、陽イオン交換カラムクロマトグラフィーで精製した(段階5)。培養物60mLを37℃でOD600=0.75まで成長させ、1mM IPTGで3時間誘導し、冷溶解緩衝液(100mM Tris−HCl(pH8.0)、1M NaCl、5mM ジチオトレイトール(DTT)、1mM ZnCl)中で凍結融解によって溶解した。ポリエチレンイミン(pH7、0.6%)での処理および40%(NHSOでの沈殿後、得られたペレットを、50mM Tris−HCl(pH8.0)、100mM NaCl、5mM DTT、0.1mM ZnCl中に再溶解し、0.3mM NaCl緩衝液で溶出するBio−Rex70陽イオン交換カラムを使用して精製した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で判定したところ、全ての精製タンパク質は95%を超えて均一であった。
【0179】
実施例2
標的配列に対する ZFP の親和性の決定
標的配列に対する合成ZFPの親和性を試験するために、AL1標的ポリヌクレオチド
Figure 2004519211
を使用してゲルシフト実験を行った。正の対照として、ZFP Zif268およびこのタンパク質の標的ポリヌクレオチド
Figure 2004519211
も使用した。各ZFPの標的部位に下線が付されている。アッセイにおけるAL1 ZFPの濃度は、0mM、14mM、21mM、28mM、35mM、70mM、および88mMであった。Zif268の濃度は、2.6μM、3.3μM、6.6μM、13μM、および20μMであった。アッセイ前に、標的ポリヌクレオチドを、5’末端で[γ−32P]ATPで標識した。ZFPを、末端標識プローブ(1pmol)を含む10μLの10mM Tris−HCl(pH7.5)、100mM NaCl、1mM MgCl、0.1mM ZnCl、1mg/ml BSA、10%グリセロールを含む溶液中、氷上で40分間予備インキュベーションを行った。ポリ(dA−dT)を加え、インキュベーションを20分間継続し、その後6%未変性ポリアクリルアミドゲル(0.5×tris−ホウ酸緩衝液)にて、4℃で2時間140Vで電気泳動を行った。18nMおよび4nMでそれぞれAL1およびZif268 ZFPの半最大結合が認められた。その標的配列に対するAL1 ZFPの親和性も、ファージディスプレイ(30nM〜40nM、国際公開公報第95/19431号;Liuら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 94: 5525−5530、1997)を使用して選択したZFPと匹敵している。
【0180】
実施例3
DNA 塩基特異性の決定
DNA塩基特異性を決定するために、以下の研究を行った。図3に基づいて、第1の亜鉛フィンガードメイン中の2位のアスパラギン酸を、4塩基対領域の3’末端のシトシンに結合させる。AL1 ZFP(濃度14nM、21nM、および35nM)および以下の末端標識ポリヌクレオチド
Figure 2004519211
を使用して、上記のようにゲルシフトアッセイを行った。配列番号:24は、10塩基対配列の3’末端にGを有する野生型標的配列である。他の3つのポリヌクレオチドは、この位置(それぞれ配列番号:27、28、および29中の塩基A、T、およびCに下線を付す)に点変異を有する。タンパク質を配列番号:27とインキュベートした場合のみAL1 ZFPの有意な結合が起った。配列番号:27、28、または29への結合はほとんど認められなかったので、2位のアスパラギン酸と4塩基対領域の3’末端グルタミンとの特異的相互作用が確認された。
【0181】
実施例4
認識コード
ZFPの−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸のそれぞれのスクリーニングによって、完全な認識コードが確認される。例えば、2位のアミノ酸のスクリーニングでは、3つの亜鉛フィンガードメイン
Figure 2004519211
を、スクリーニングに使用する(2位で下線を付しているXは変異している)。ドメイン(それぞれ−1位、3位、および6位のAsp、Ala、およびArg)はDNAに無作為に結合することが既知であるので、第1の亜鉛フィンガードメインを使用して、2位でのDNA塩基の特異性を同定する。変性DNAプローブ
Figure 2004519211
(N=G、A、T、またはCの等モル混合物;Y=G、A、T、またはC、配列番号:31)を使用して、他の位置でDNA塩基−アミノ酸相互作用の影響を受けることなく2位でのアミノ酸のDNA塩基特異性を同定する。
【0182】
AspおよびGly変異タンパク質を調製し、ゲルシフトアッセイを使用してDNA塩基特異性を調査した。以下の32P標識二重鎖を使用した。
Figure 2004519211
図8に示すように、Asp変異体は、
Figure 2004519211
に優先的に結合した。図8に示すように、AspからGlyへの変異により、選択性が喪失した。これは、2位のアスパラギン酸が独立してDNA標的中の第4の位置でシトシン塩基を認識することを示す。表1で予測されている2位のアスパラギン酸による第4の位置のシトシン塩基の認識が、実験で確認された。他のアミノ酸を使用した類似の実験の繰り返しにより、完全な認識コードが確認される。
【0183】
実施例5
トランスポザーゼの操作および転位アッセイ
線虫トランスポザーゼTc1は、Tc1に融合したZFPを使用した部位特異的遺伝子ノックインの作製の証明に有用である。転位法が図9にまとめて示されている。TIRの間に選択マーカー遺伝子(例えば、カナマイシン耐性)を含む均一なTIRを含むマーカー断片またはプラスミドを使用する。標的領域(例えば、1つまたは2つのZif268結合部位)、正常な複製起点、およびアンピシリン耐性を含むアクセプターベクターを、TIR−カナマイシン−TIR線状断片またはこの構築物、テトラサイクリン耐性、およびpSC101TSori温度感受性複製起点を含むドナーベクターと組み合わせる。この場合、TIRは同一であるが(ホモアッセイ)、異なるTIRおよび異なるTIR結合ドメイン(線虫トランスポザーゼTC30など)を使用して類似のアッセイを行うことができる(ヘテロアッセイ)。ZFP−トランスポザーゼ融合タンパク質を使用して転位反応を行い、その後大腸菌形質転換を行い、ドナーベクターの場合、熱処理を行って未反応のドナーベクターを除去し、TIR−カナマイシン−TIR構築物がアクセプターベクターのZif268標的部位に挿入されたベクターが得られる。アンピシリン耐性大腸菌とアンピシリン−カナマイシン耐性大腸菌の力価の比較により、転位効率が決定される。
【0184】
実施例6
フィンガー ZFP を作製する一般的スキーム
ZFPの各フィンガーを、同一のフレームワーク配列
Figure 2004519211
を有するように設計した:
式中、−1位、2位、3位、および6位のXは、表1の亜鉛フィンガー認識コードおよび所望の標的配列にしたがって決定される。各フィンガーのDNAを、PCRによって正確な方向で3つの亜鉛フィンガードメインをコードするDNAがアセンブルすることができるように設計した。3つのDNAオリゴヌクレオチド対を合成し、各対は以下の1つの特異的フィンガードメインをコードする2つの重複オリゴマーである。
の亜鉛フィンガードメイン( Zif−1
Zif−1、センスオリゴマー(プライマー1)
Figure 2004519211
Zif−1、アンチセンスオリゴマー(プライマー2)
Figure 2004519211
の亜鉛フィンガードメイン( Zif−2
Zif−2、センスオリゴマー(プライマー3)
Figure 2004519211
Zif−2、アンチセンスオリゴマー(プライマー4)
Figure 2004519211
の亜鉛フィンガードメイン( Zif−3
Zif−3、センスオリゴマー(プライマー5)
Figure 2004519211
Zif−3、アンチセンスオリゴマー(プライマー6)
Figure 2004519211
これらの各DNAコードフィンガードメインにおいて、Nは、G、A、T、またはCである。
【0185】
各対中の各DNAオリゴヌクレオチドの3’末端の18個のヌクレオチドは、互いに相補的である。各対の第1の2つのDNAオリゴヌクレオチド配列をアニーリングし、クレノウ断片を満たして1つのフィンガーをコードするDNA断片を作製する。さらに、亜鉛フィンガードメインの方向を確実に正確にするために、Zif−2 DNA断片の5’末端の18bpは、Zif−1の3’末端の18bpおよびZif−2の3’末端の18bpからZif−3の5’末端の18bpに相補的である。したがって、これら3つのフィンガーDNAを、特異的プライマーOTS−007およびOTS−008によって正確な方向でアセンブルさせることができる。
OTS−007:
Figure 2004519211
OTS−008:
Figure 2004519211
【0186】
実施例7
ビートカーリートップウイルス(BCTV)のL1部位の3フィンガーZFP
BCTVの標的DNA配列5’−TTGGGTGCTC−3’(配列番号:44)に基づいて、3フィンガータンパク質をコードするDNAを設計した。以下の6つのオリゴヌクレオチドを合成した。
Zif−1、センスオリゴマー(OTS−254)
Figure 2004519211
Zif−1、アンチセンスオリゴマー(OTS−255)
Figure 2004519211
Zif−2、センスオリゴマー(OTS−256)
Figure 2004519211
Zif−2、アンチセンスオリゴマー(OTS−257)
Figure 2004519211
Zif−3、センスオリゴマー(OTS−258)
Figure 2004519211
Zif−3、アンチセンスオリゴマー(OTS−259)
Figure 2004519211
【0187】
1)アニーリング
OTS−254およびOTS−256の両方、OTS−256およびOTS−257の両方、ならびにOTS−258およびOTS−259の両方(全て、100pmol/μl)5μlを、それぞれTEN緩衝液(20mM Tris−HCl(pH8.0)/2mM EDTA/200mM NaCl)10μlに添加し、95℃で5分間インキュベートし、室温に達するまで室温の加熱ブロック中に静置した。
【0188】
各アニーリング試料1μlを、5単位のクレノウ断片および0.25mMのdNTP混合物を含む反応緩衝液20μl中、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、5μlのHOを各反応混合物に添加して、DNA濃度を1pmol/μlに調整した。
【0189】
2)PCRアセンブリー
以下を混合し、PCRを行った。
Figure 2004519211
【0190】
反応産物を、2%アガロースゲルで分析し、1つの主要なバンドとして推定300bpのDNA断片が得られた。この産物をpET−21aベクターにクローニングした後、DNA配列決定により、これら3つのDNA断片が正確な方向でアセンブルされてBCTVのL1結合部位を標的とする人工ZFPが産生されたことを確認した。無作為にアセンブルされた産物は観察されなかった。
【0191】
実施例8
フィンガードメインのアセンブリー
5フィンガーZFPを、Arabidopsis DREB1A遺伝子のプロモーターの16bp配列を標的とするように設計した。
【0192】
1)BsaI制限部位を含むPCRプライマーを使用した3フィンガーZFPおよび2フィンガーZFPをコードするDNAの調製
DREB1Aプロモーター中の配列
Figure 2004519211
を人工ZFPによって標的DNAとして選択し、これを2つの10bpのDNA
Figure 2004519211
および
Figure 2004519211
に分割した。実施例7に記載のように、標的Bの2フィンガーZFP(ZifA)および標的Aの3フィンガーZFP(ZifB)を調製した。ZifA DNAの3’末端をZifB DNAの5’末端にライゲーションしているので、ZifA DNAをプライマーOTS−007およびOTS−430を用いたPCRを用いて増幅し、ZifB DNAをOTS−431およびOTS−008を用いて増幅させた。反応物を2%アガロースゲルで分析し、ZifAおよびZifBについてそれぞれ2フィンガーZFPおよび3フィンガーZFPの推定DNAが得られた。
【0193】
2)BsaI消化
両PCR産物(それぞれ0.5μg)を、20単位のBsaIエンドヌクレアーゼ酵素を含む反応緩衝液60μl中、50℃で1時間消化した。ChromaSpin+TE−100カラムを用いた精製後、フェノール抽出を行って、BsaIを除去した。2つの消化DNA断片を、DNAリガーゼ酵素を使用して直接ライゲーションに供した(16℃で一晩)。反応を2%アガロースゲルで分析し、80%を超える産物が、推定ライゲーション産物であった。混合物を、pET−21aベクターへのクローニングに使用し、配列決定により、5フィンガードメインが正確な方向で構築されたことを確認した。
OTS−430:
Figure 2004519211
(下線を付したヌクレオチドはBsaI部位である)
OTS−431:
Figure 2004519211
(下線を付したヌクレオチドはBsaI部位である)
【0194】
実施例9
フィンガー ZFP のモジュラーアセンブリー
図10は、6フィンガーZFPのアセンブリの方法を示す。例えば、3フィンガーDNAを、PCRプライマーOTS−007およびOTS−429によって3フィンガータンパク質Zif−AのDNAから増幅し、第2の3フィンガーDNAを、OTS−431およびOTS−008によって3フィンガータンパク質Zif−BのDNAから増幅する。
OTS−429:
Figure 2004519211
(下線を付したヌクレオチドはBsaI部位である)
【0195】
増幅後、DNA断片をBsaIで消化して、ZifAおよびZifBからそれぞれ5’−CGGC−3’および5’−GCCG−3’付着末端が産生される(図10)。これらの付着末端は互いに相補的であり、2つの消化DNA断片を、DNAリガーゼ酵素(例えば、T4 DNAリガーゼ)によって正確な方向でアセンブルすることができる。異なるプライマー組の使用により、4および5フィンガータンパク質を調製する。
【0196】
実施例10
フィンガードメインの ZFP へのアセンブリー
6フィンガーZFPを、BCTVの全L1部位を標的とするように設計した(クローン5、表5)。
【0197】
1)2つの3フィンガーDNAの調製
L1標的部位は、
Figure 2004519211
であり、ZFP設計のために2つの10bpのDNA
Figure 2004519211
に分割した。3フィンガータンパク質標的化標的B(ZifA)および標的Aに結合する別の3フィンガータンパク質(ZifB)のDNAを、ZifAについてはプライマーOTS−007およびOTS−429を使用し、ZifBについてはプライマーOTS−431およびOTS−008を使用したPCRを使用し、実施例7に記載の方法に従って調製した。反応物を2%アガロースゲルで分析し、推定DNA断片を得た。
【0198】
2)BsaI消化
両PCR産物(それぞれ0.5μg)を、20単位のBsaIエンドヌクレアーゼ酵素を含む反応緩衝液60μl中、50℃で1時間消化した。ChromaSpin+TE−100カラムを用いた精製後、フェノール抽出を行って、BsaIを除去した。2つの消化DNA断片を、DNAリガーゼ酵素を使用して直接ライゲーションを行った(16℃で一晩)。反応を2%アガロースゲルで分析し、80%を超える産物が、推定されたライゲーション産物であった。混合物を、pET−21aベクターへのクローニングに使用し、6フィンガードメインが正確な方向でアセンブルされたことが確認された。
【0199】
実施例11
高親和性 フィンガー ZFP
実施例10に記載のように、クローン5のDNAを、pET−21aの大腸菌発現ベクターのEcoRI/HindIII部位にクローン化した。大腸菌BL21(DE3)pLysS株での発現後、SDS/PAGEによって判定したところ、タンパク質は95%を上回る均一性で精製されていた。
【0200】
人工ZFPクローン5の親和性を決定するために、放射性標識L1標的DNA二重鎖
Figure 2004519211
を使用してゲルシフトアッセイを行った。クローン5の濃度は、0nM、0.003nM、0.01nM、0.03nM、0.1nM、および1nMであった。ZFPを、放射性標識プローブ(緩衝液10μlあたり0.03fmol)を含む10mM Tris−HCl(pH7.5)/100mM NaCl/1mM MgCl/0.1mM ZnCl/1mg/ml BSA/10%グリセロールを含む溶液10μL中、氷上に40分間予備インキュベーションを行った。ポリ(dA−dT)を1μg加え、インキュベーションを20分間継続し、その後6%未変性ポリアクリルアミドゲル(0.5×TB)にロードし、4℃で2時間140Vで電気泳動を行った。放射性シグナルを、X線フィルムに感光した。
【0201】
クローン5について、大多数のDNAプローブが3pMにおいてさえもタンパク質に結合する。したがって、解離定数は3pM未満である。2つのさらなるZFPを合成し(クローン6および7;表4)、類似の高親和性のタンパク質を産生した。
【0202】
実施例12
さらなる ZFP の設計、産生、および分析
Sp1Cドメイン2フレームワークおよび、表2に示す−1位、2位、3位、6位のアミノ酸を使用し、実施例7および9の戦略にしたがって、さらなるマルチフィンガーZFPを設計および合成した。各ZFPの標的配列およびZFPのその標的に対する解離定数を表4に示す。
【0203】
トマトゴールデンモザイクウイルス(TGMV)およびビートカーリートップウイルス(BCTV)ゲノムでは、標的部位は、ジェミニウイルス複製の重要な部位である(クローン1および2)。他の標的部位は、植物遺伝子シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)DREB1A(耐乾燥性遺伝子;クローン3)およびNIM1(浸透移行性獲得耐性;クローン4)のプロモーター中のTATAボックスからおよそ50bp〜100bp上流で見出された配列である。
【0204】
これらの実験では、設計したZFPのコード領域を、発現ベクターpET−21a(Novagen)のEcoRI部位およびHindIII部位にクローン化した。次いで、タンパク質過剰発現のために、得られたプラスミドを大腸菌BL21(DE3)pLysSに導入した。培養物60mLを37℃でOD600=0.6〜0.75まで成長させ、1mM IPTGで3時間誘導し、溶解緩衝液10mlあたり1錠のEDTA非含有Complete, Mini(Roche Molecular Biochemicals)を含む冷溶解緩衝液(100mM Tris−HCl(pH8.0)/1M NaCl/1mM ZnCl/5mM ジチオトレイトール)中で超音波処理機を使用して溶解した。ポリエチレンイミン(pH7.0、0.6%)での処理および40%(NHSOでの沈殿後、得られたペレットを、50mM Tris−HCl(pH8.0)/100mM NaCl/0.1mM ZnCl/5mMジチオトレイトール緩衝液中に溶解し、300mM NaCl緩衝液で溶出するBio−Rex70カラムでのクロマトグラフィーによって精製した。SDS/PAGEで判定したところ、全ての精製タンパク質は95%をを上回る均一性を有していた。タンパク質濃度を、プロテインアッセイESL(Roche Molecular Biochemicals)を使用して決定した。
【0205】
DNA結合アッセイのために、5’末端を[γ−32P]ATPで標識した26塩基対の合成オリゴヌクレオチドを、ゲル遅延アッセイで使用した。5つを超えるフィンガードメインを有するZFPのプローブを、クレノウ断片ならびに[α−32P]dATPおよび[α−32P]dTTPで標識して、高放射能を得た。ZFPを、放射性標識プローブ(緩衝液10μlあたり1fmol)を含む10mM Tris−HCl(pH7.5)/100mM NaCl/1mM MgCl/0.1mM ZnCl/1mg/ml BSA/10%グリセロール10μL中、氷上で40分間予備インキュベーションを行った。ポリ(dA−dT)を1μg添加し、インキュベーションを20分間継続し、その後6%未変性ポリアクリルアミドゲル(0.5×TB)にロードし、4℃で2時間140Vで電気泳動を行った。マルチフィンガータンパク質のために、0.03fmolの放射性標識プローブを使用した。放射能シグナルをPhosphorImager(Molecular Dynamics)で定量し、X線フィルムに感光した。KALEIDAGRAPHプログラム(Synergy Software)でのカーブフィッティングによって解離定数を計算した。
【0206】
設計した3フィンガータンパク質および6フィンガータンパク質を使用してゲルシフトアッセイを行い、Kd値を計算した。クローン1〜4のKの測定値は、それぞれ18nM、15nM、11nM、および23nMであった。クローン5〜7について、Kは全て3pM未満であった。
【0207】
【表5】
Figure 2004519211
【0208】
クローン1〜7の標的配列を、それぞれ配列番号:61〜67と呼ぶ。
【図面の簡単な説明】
【図1】亜鉛フィンガードメイン1単位の、4塩基対DNA標的部位への結合を示す概略図である。−1位、2位、3位、および6位の残基は、それぞれ独立して1つの塩基に接触している。−1位とは、亜鉛フィンガードメイン中のαヘリックスの始点である。
【図2】アミノ酸との、既知および可能な塩基相互作用を示す。グアニンとヒスチジンとの間で示されるものに類似した相互作用を、水素結合を提供する他のアミノ酸(セリンおよびリジン)を用いて作製することができる。チミジンとトレオニンとの間で示されるものに類似した相互作用を、他の疎水性アミノ酸を用いて作製することができる。チミジンとトレオニン/セリンとの間で示されるものに類似した相互作用を、水素結合を提供する他のアミノ酸を使用して作製することができる。
【図3】亜鉛フィンガードメインの2位のアミノ酸による、4塩基対DNA標的配列中の第4の塩基の認識を示す。
【図4】野生型トランスポザーゼ(左)および操作型(人工)トランスポザーゼ(右)の概略図である。
【図5】ZFPを使用して部位特異的ゲノムノックアウトおよびゲノムノックインを行う方法を示す概略図である。
【図6】小分子を使用した、ZFPの核への転位を操作するための分子スイッチ法を示す略図である。
【図7】トマトゴールデンモザイクウイルス中のAL1結合部位を標的とするZFPの設計を示す概略図である。AL1標的部位は配列番号:14であり、Zif1は配列番号:15であり、Zif2は配列番号:16であり、Zif3は配列番号:17である。Zifは亜鉛フィンガードメインである。
【図8】示された亜鉛フィンガードメインの2位でのAsp(左)およびGly(右)変異体のDNA塩基選択性を示す棒グラフを示す。
【図9】ドナーベクター由来のカナマイシン耐性遺伝子(Kan)の、アクセプターベクター内の標的配列への転位を示す概略図である。
【図10】6フィンガーZFPのアセンブリーを示す概略図である。

Claims (164)

  1. 互いに0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合した少なくとも3つの亜鉛フィンガードメインを含む、標的核酸配列に結合するための単離された人工亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)であって、ZFPが配列番号:3〜12のいずれか1つからなるアミノ酸配列を有さない場合、亜鉛フィンガーのαヘリックスの−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸が以下のように選択される、単離された人工亜鉛フィンガータンパク質:
    −1位のアミノ酸が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、メチオニン、またはグルタミン酸であり;
    2位のアミノ酸が、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;
    3位のアミノ酸が、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;かつ
    6位のアミノ酸が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、チロシン、ロイシン、またはグルタミン酸である。
  2. 少なくとも3つの亜鉛フィンガードメインを含む、標的核酸配列に結合するための単離された人工亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)であって、各亜鉛フィンガードメインが独立して、式
    Figure 2004519211
    で示され、該ドメインが独立して互いに0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合している、単離された人工亜鉛フィンガータンパク質:
    式中、タンパク質が配列番号:3〜12のいずれか1つからなるアミノ酸配列を有さない場合、
    Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現(occurrence)数を示し;
    −1は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、メチオニン、またはグルタミン酸であり;
    は、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;
    は、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;かつ
    は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、チロシン、ロイシン、またはグルタミン酸である。
  3. 3個〜40個の亜鉛フィンガードメインを含む、請求項1または2記載のZFP。
  4. 3個〜15個の亜鉛フィンガードメインを含む、請求項3記載のZFP。
  5. 7個、8個、または9個の亜鉛フィンガードメインを含む、請求項1または2記載のZFP。
  6. 6個の亜鉛フィンガードメインを含む、請求項1または2記載のZFP。
  7. 本質的に3個の亜鉛フィンガードメインからなる、請求項1または2記載のZFP。
  8. 少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインがアミノ酸配列
    Figure 2004519211
    を含む、請求項1から7のいずれか一項記載のZFP。
  9. 少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインがアミノ酸配列
    Figure 2004519211
    を含む、請求項1から8のいずれか一項記載のZFP。
  10. 少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインがアミノ酸配列
    Figure 2004519211
    を含む、請求項1から9のいずれか一項記載のZFP。
  11. 少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインのX位がZif268亜鉛フィンガードメイン由来の対応するアミノ酸を含む、請求項2から7のいずれか一項記載のZFP。
  12. −1が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のメチオニンである、請求項1から11のいずれか一項記載のZFP。
  13. −1が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のグルタミン酸である、請求項1から12のいずれか一項記載のZFP。
  14. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のトレオニンである、請求項1から13のいずれか一項記載のZFP。
  15. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のセリンである、請求項1から14のいずれか一項記載のZFP。
  16. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のアスパラギンである、請求項1から15のいずれか一項記載のZFP。
  17. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のグルタミン酸である、請求項1から16のいずれか一項記載のZFP。
  18. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のトレオニンである、請求項1から17のいずれか一項記載のZFP。
  19. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のチロシンである、請求項1から18のいずれか一項記載のZFP。
  20. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のロイシンである、請求項1から19のいずれか一項記載のZFP。
  21. が少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインの中のアスパラギン酸であるが、同一のドメイン中でZ−1がアルギニンではない、請求項1から20のいずれか一項記載のZFP。
  22. 各亜鉛フィンガードメインが式
    Figure 2004519211
    で示され、該ドメインが互いに直接結合している、3つの亜鉛フィンガードメインを含む、単離された人工亜鉛フィンガータンパク質(ZFP):
    式中、Z−1が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、メチオニン、またはグルタミン酸であり;
    が、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;
    が、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;かつ
    が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、チロシン、ロイシン、またはグルタミン酸である。
  23. −1が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸であり;
    が、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり;
    が、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり;
    が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸である、請求項1から22のいずれか一項記載のZFP。
  24. 請求項1から23のいずれか一項記載のZFPをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
  25. 請求項24記載の核酸を含む、発現ベクター。
  26. 請求項25記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  27. (a)請求項26記載の宿主細胞をZFPを発現するための条件下で一定期間培養する段階;および
    (b)ZFPを回収する段階
    を含む、亜鉛フィンガータンパク質を調製する方法。
  28. 1つまたは複数の関心対象のタンパク質に融合した本発明の1つまたは複数のZFPを含む、単離された融合タンパク質。
  29. 1つまたは複数のエフェクタードメインに融合した本発明の1つまたは複数のZFPを含む、単離された融合タンパク質。
  30. 1個〜6個のZFPおよび2個〜6個のエフェクタードメインを含む、請求項2記載の融合タンパク質。
  31. 以下を含む、単離された融合タンパク質:
    (a)請求項1から23のいずれか一項記載のZFPである第1のセグメント;および
    (b)トランスポザーゼ、インテグラーゼ、リコンビナーゼ、レソルバーゼ(resolvase)、インベルターゼ、プロテアーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチラーゼ、ヒストンデアセチラーゼ、ヌクレアーゼ、転写抑制因子、転写活性化因子、一本鎖DNA結合タンパク質、転写因子漸増(recruiting)タンパク質、核局在化シグナル、または細胞取り込みシグナルを含む第2のセグメント。
  32. 以下を含む、単離された融合タンパク質:
    (a)請求項1から23のいずれか一項記載のZFPである第1のセグメント;および
    (b)トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、レソルバーゼ活性、インベルターゼ活性、プロテアーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、ヌクレアーゼ活性、核局在化シグナル伝達活性、転写抑制因子活性、転写活性化因子活性、一本鎖DNA結合活性、転写因子漸増活性、または細胞取り込みシグナル伝達活性を示すタンパク質ドメインを含む第2のセグメント。
  33. 以下を含む、単離された融合タンパク質:
    (a)請求項1から23のいずれか一項記載のZFPである第1のセグメント;および
    (b)細胞によって取り込まれることができる、2価のリガンドの結合部分に特異的に結合できるタンパク質ドメインを含む、第2のセグメント。
  34. 第2のセグメントのタンパク質ドメインが、Sタンパク質、Sタグ、または抗体の一本鎖可変領域(scFv)である、請求項33記載の融合タンパク質。
  35. 以下を含む、単離された融合タンパク質:
    (a)抗体の一本鎖可変領域をコードする第1のドメイン;
    (b)核局在化シグナルをコードする第2のドメイン;および
    (c)転写調節活性をコードする第3のドメイン。
  36. 請求項28から35のいずれか一項記載のZFPをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸。
  37. 請求項36記載の核酸を含む、発現ベクター。
  38. 請求項37記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  39. (a)請求項38記載の宿主細胞を、ZFPを発現するための条件下で一定期間培養する段階;および
    (b)ZFPを回収する段階
    を含む、亜鉛フィンガータンパク質を調製する方法。
  40. 10個以下のアミノ酸によって互いに分離された3つの連続した亜鉛フィンガードメインを含む、亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸の作製法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)(i)第1の亜鉛フィンガードメインをコードする第1の二本鎖オリゴヌクレオチド、
    (ii)第2の亜鉛フィンガードメインをコードする第2の二本鎖オリゴヌクレオチド、
    (iii)第3の亜鉛フィンガーをコードする第3の二本鎖オリゴヌクレオチド、 (iv)第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的な第1のPCRプライマー、および
    (v)第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に相補的な第2のPCRプライマー
    を含む混合物であって
    第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第2のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
    第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第3のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
    第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではなく、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではない
    混合物を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う条件下で調製する段階;
    (b)混合物をPCRに供する段階;ならびに
    (c)3つの亜鉛フィンガードメインをコードする核酸を回収して、ZFPをコードする核酸を調製する段階。
  41. 各ドメインが独立して式
    Figure 2004519211
    で示され、該ドメインが独立して、0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合している、3つの亜鉛フィンガードメインを含む亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸の作製法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)(i)第1の亜鉛フィンガードメインをコードする第1の二本鎖オリゴヌクレオチド、
    (ii)第2の亜鉛フィンガードメインをコードする第2の二本鎖オリゴヌクレオチド、
    (iii)第3の亜鉛フィンガーをコードする第3の二本鎖オリゴヌクレオチド、
    (iv)第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的な第1のPCRプライマー、および
    (v)第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に相補的な第2のPCRプライマー
    を含む混合物であって、
    第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第2のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
    第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第3のオリゴヌクレオチド合成を開始するために第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
    第1のオリゴヌクレオチドの3’末端が第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではなく、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が第1のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではない
    混合物を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う条件下で調製する段階;
    (b)混合物をPCRに供する段階;ならびに
    (c)3つの亜鉛フィンガードメインをコードする核酸を回収して、ZFPをコードする核酸を調製する段階。
  42. 第1および第2のPCRプライマーが独立して制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、請求項40または41記載の方法。
  43. 制限エンドヌクレアーゼ認識部位がBbsI、BsaI、BsmBI、またはBspMI用である、請求項42記載の方法。
  44. 制限エンドヌクレアーゼ認識部位がBsaI用である、請求項43記載の方法。
  45. それぞれ10個以下のアミノ酸によって互いに分離された、4つ以上の連続した亜鉛フィンガードメインを含む亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸の作製法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)第2のPCRプライマーが第1の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、請求項42記載の方法によって第1の核酸を調製する段階;
    (b)第1および第2のPCRプライマーが、増幅のために選択された番号の亜鉛フィンガードメインの5’末端および3’末端にそれぞれ相補的であり、
    第1のPCRプライマーが、対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に、段階(a)の第2のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に産生される末端に相補的でありかつアニーリングできる配列を含む末端を産生する、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、
    段階(b)の第2のPCRプライマーが、選択的に、切断に供された場合に第1の制限エンドヌクレアーゼ認識部位から産生された末端と異なりかつ相補的ではない末端を産生する、第2の制限酵素認識部を含む、請求項42記載の方法によって第2の核酸を調製する段階;
    (c)前記第1および第2のPCRプライマーが、増幅のために選択された番号の亜鉛フィンガードメインの5’末端および3’末端にそれぞれ相補的であり、
    さらなる各核酸のための第1のPCRプライマーが、対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に、第2の核酸またはさらなる核酸のすぐ上流に存在するさらなる核酸の調製に使用される第2のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に産生される末端に相補的でありかつアニーリングできる配列を有する末端を産生する制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、
    さらなる各核酸のための第2のPCRプライマーが、選択的に、切断に供された場合に先に使用したいかなる末端とも異なりかつ相補的ではない末端を産生する制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、
    選択的に、請求項42記載の方法によって1つまたは複数のさらなる核酸を調製する段階;
    (d)第1の核酸、第2の核酸、および調整されたならばさらなる核酸を、対応する制限エンドヌクレアーゼで切断して、切断された第1の、第2の、および調整されたならばさらなる核酸を産生する段階;ならびに
    (e)切断された第1の、第2の、および調整されたならばさらなる核酸をライゲーションして、4つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸を産生する段階。
  46. 各ドメインが独立して式
    Figure 2004519211
    で示され、該ドメインが独立して、0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合している、4つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸の作製法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)第2のPCRプライマーが第1の制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、請求項42記載の方法によって第1の核酸を調製する段階;
    (b)第1および第2のPCRプライマーが、増幅のために選択された番号の亜鉛フィンガードメインの5’末端および3’末端にそれぞれ相補的であり、
    第1のPCRプライマーが、対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に、段階(a)の第2のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に産生される末端に相補的でありかつアニーリングできる配列を含む末端を産生する、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、
    段階(b)の第2のPCRプライマーが、選択的に、切断に供された場合に第1の制限エンドヌクレアーゼ認識部位から産生された末端と異なりかつ相補的ではない末端を産生する、第2の制限酵素認識部を含む、請求項42記載の方法によって第2の核酸を調製する段階;
    (c)前記第1および第2のPCRプライマーが、増幅のために選択された番号の亜鉛フィンガードメインの5’末端および3’末端にそれぞれ相補的であり、
    さらなる各核酸のための第1のPCRプライマーが、対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に、第2の核酸またはさらなる核酸のすぐ上流に存在するさらなる核酸の調製に使用される第2のPCRプライマーが対応する制限エンドヌクレアーゼによる切断に供された場合に産生される末端に相補的でありかつアニーリングできる配列を有する末端を産生する制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含み、
    さらなる各核酸のための第2のPCRプライマーが、選択的に、切断に供された場合に先に使用したいかなる末端とも異なりかつ相補的ではない末端を産生する制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含む、
    選択的に、請求項42記載の方法によって1つまたは複数のさらなる核酸を調製する段階;
    (d)第1の核酸、第2の核酸、および調整されたならばさらなる核酸を、対応する制限エンドヌクレアーゼで切断して、切断された第1の、第2の、および調整されたならばさらなる核酸を産生する段階;ならびに
    (e)切断された第1の、第2の、および調整されたならばさらなる核酸をライゲーションして、4つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸を産生する段階。
  47. 各制限エンドヌクレアーゼが独立して、BbsI、BsaI、BsmBI、またはBspMIであり、各エンドヌクレアーゼが切断可能でアニーリング可能な末端の固有の対を産生する、請求項45または46記載の方法。
  48. 制限エンドヌクレアーゼがBsaIであり、その使用により切断可能でアニーリング可能な末端の固有の対が産生される、請求項45または46記載の方法。
  49. 段階(c)を削除し、かつ亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸が4つ、5つ、または6つの亜鉛フィンガードメインを有する、請求項45または50記載の方法。
  50. 制限エンドヌクレアーゼが、BbsI、BsaI、BsmBI、またはBspMIである、請求項49記載の方法。
  51. 制限エンドヌクレアーゼが、BsaIである、請求項49記載の方法。
  52. 第2の核酸用のPCRプライマーが、3つの亜鉛フィンガードメインを増幅するために選択され、1つのさらなる核酸を段階(c)によって調製し、亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸が、7つ、8つ、または9つの亜鉛フィンガードメインを有する、請求項45または46記載の方法。
  53. 各制限エンドヌクレアーゼが独立して、BbsI、BsaI、BsmBI、またはBspMIであり、各エンドヌクレアーゼが切断可能でアニーリング可能な末端の固有の対を産生する、請求項52記載の方法。
  54. 制限エンドヌクレアーゼがBsaIであり、その使用により切断可能でアニーリング可能な末端の固有の対が産生される、請求項52記載の方法。
  55. オリゴヌクレオチドの配列が、生物の最適コドンを使用するために選択される、請求項40から54のいずれか一項記載の方法。
  56. 生物が、細菌、真菌、酵母、動物、昆虫、または植物である、請求項55記載の方法。
  57. 細菌が大腸菌である、請求項56記載の方法。
  58. 動物がヒトまたは市販の動物である、請求項56記載の方法。
  59. 植物が穀類植物である、請求項56記載の方法。
  60. 植物が、イネ、トマト、またはトウモロコシである、請求項56記載の方法。
  61. 植物がトランスジェニック植物である、請求項56、59、または60のいずれか一項記載の方法。
  62. 請求項40から61のいずれか一項記載の方法によって調製された核酸を含む、発現ベクター。
  63. 請求項62記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  64. (a)請求項63記載の宿主細胞をZFPを発現するための条件下で一定期間培養する段階;および
    (b)ZFPを回収する段階
    を含む、亜鉛フィンガータンパク質を調製する方法。
  65. 4つの塩基を有する標的核酸配列を同定する段階;および亜鉛フィンガードメインのαヘリックスの−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸の同一性を、以下のように決定する段階
    を含む、1つまたは複数の亜鉛フィンガードメインを設計する方法:
    (a)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンまたはリジンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、またはメチオニンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (b)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンまたはリジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリン、アラニン、またはバリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
    (c)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンまたはリジンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニン、メチオニン、ロイシン、またはイソロイシンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (iv)第4の塩基の相補物(complement)がGの場合、Zはセリンまたはアルギニンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、かつ
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニン、バリン、またはアラニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸である。
  66. 1つまたは複数の亜鉛フィンガードメインを含むZFPまたはZFPをコードする核酸を調製する段階をさらに含む、請求項65記載の方法。
  67. 複数の亜鉛フィンガードメインが設計される、請求項65または66記載の方法。
  68. (a)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、またはロイシンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸であり、
    (b)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸であり、
    (c)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンまたはメチオニンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸であり、
    (d)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニンであり、かつ
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸である、請求項65から67のいずれか一項記載の方法。
  69. (a)4つの塩基を有する標的核酸配列を同定する段階;
    (b)各Xの同一性を決定する段階;
    (c)Z−1位、Z位、Z位およびZ位のアミノ酸の同一性を、以下のように決定する段階;ならびに
    (d)亜鉛フィンガードメインを含む亜鉛フィンガータンパク質を調製する段階を含む、式
    Figure 2004519211
    (式中、Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの発生数を示す)の亜鉛フィンガードメインを設計する方法:
    (i)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンまたはリジンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、またはメチオニンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (ii)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンまたはリジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリン、アラニン、またはバリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
    (iii)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンまたはリジンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニン、メチオニン、ロイシン、またはイソロイシンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンまたはアルギニンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニン、バリン、またはアラニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸である。
  70. (a)4つの塩基を有する標的核酸配列を同定する段階;
    (b)各Xの同一性を決定する段階;
    (c)Z−1位、Z位、Z位およびZ位のアミノ酸の同一性を、以下のように決定する段階;ならびに
    (d)亜鉛フィンガードメインを含む亜鉛フィンガータンパク質を調製する段階を含む、式
    Figure 2004519211
    (式中、Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの発生数を示す)の亜鉛フィンガードメインを設計する方法:
    (i)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、またはロイシンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸であり、
    (ii)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸であり、
    (iii)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンまたはメチオニンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸であり、
    (iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸である。
  71. 第1の塩基がTの場合、Zはトレオニンであり、第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンである、請求項65から70のいずれか一項記載の方法。
  72. 少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインのX位がSp1CまたはZif268亜鉛フィンガードメイン由来の対応するアミノ酸を含む、請求項65から71のいずれか一項記載の方法。
  73. ZFPが組換えによって調製される、請求項65から72のいずれか一項記載の方法。
  74. (a)Nが段階(b)の重複4塩基対セグメントの数である、3N+1塩基対長の標的核酸配列を同定する段階;
    (b)N−1セグメントまでの各セグメントの第4の塩基が、セグメントのすぐ後の第1の塩基である、標的核酸配列を重複4塩基対のセグメントに分割する段階;ならびに
    (c)亜鉛フィンガードメインのαへリックスの−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸の同一性を以下のように決定することにより、各4塩基対セグメントに対する亜鉛フィンガードメインを設計する段階
    を含む、マルチドメイン(multi−domained)亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)を設計する方法:
    (i)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンまたはリジンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、またはメチオニンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (ii)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンまたはリジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリン、アラニン、またはバリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
    (iii)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンまたはリジンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニン、メチオニン、ロイシン、またはイソロイシンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンまたはアルギニンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニン、バリン、またはアラニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸である。
  75. 亜鉛フィンガードメインを含むZFPまたはZFPをコードする核酸を調製する段階をさらに含む、請求項74記載の方法。
  76. i)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、またはロイシンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸であり、
    (ii)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸であり、
    (iii)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンまたはメチオニンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸であり、
    (iv)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸である、
    請求項74または75記載の方法。
  77. 各亜鉛フィンガードメインが独立して式
    Figure 2004519211
    (式中、Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの発生数を示す)で示される、マルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)を設計する方法であって、
    (a)Nが段階(b)の重複4塩基対セグメントの数である、3N+1塩基対長の標的核酸配列を同定する段階;
    (b)N−1セグメントまでの各セグメントの第4の塩基が、セグメントのすぐ後の第1の塩基である、標的核酸配列を重複4塩基対のセグメントに分割する段階;
    (c)(i)各Xの同一性を決定すること、ならびに
    (ii)Z−1位、Z位、Z位およびZ位のアミノ酸の同一性を以下のように決定すること
    によって各4塩基対セグメントに対する亜鉛フィンガードメインを設計する段階;
    (d)N亜鉛フィンガードメインを含むZFPを調製する段階
    を含む方法:
    (1)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンまたはリジンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンまたはアスパラギンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、またはメチオニンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (2)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンまたはリジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリン、アラニン、またはバリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸であり、
    (3)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンまたはリジンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンまたはアスパラギン酸であり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニン、メチオニン、ロイシン、またはイソロイシンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸またはアスパラギン酸であり、
    (4)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンまたはアルギニンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンまたはグルタミンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニン、バリン、またはアラニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸またはグルタミン酸である。
  78. 各亜鉛フィンガードメインが独立して式
    Figure 2004519211
    (式中、Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの発生数を示す)で示される、マルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)を設計する方法であって、
    (a)Nが段階(b)の重複4塩基対セグメントの数である、3N+1塩基対長の標的核酸配列を同定する段階;
    (b)N−1セグメントまでの各セグメントの第4の塩基が、セグメントのすぐ後の第1の塩基である、標的核酸配列を重複4塩基対のセグメントに分割する段階;
    (c)(i)各Xの同一性を同定すること、ならびに
    (ii)Z−1位、Z位、Z位およびZ位のアミノ酸の同一性を以下のように決定すること
    によって各4塩基対セグメントの亜鉛フィンガードメインを設計する段階;ならびに
    (d)N亜鉛フィンガードメインを含むZFPを調製する段階:
    (1)第1の塩基がGの場合、Zはアルギニンであり、
    第1の塩基がAの場合、Zはグルタミンであり、
    第1の塩基がTの場合、Zはトレオニン、チロシン、またはロイシンであり、
    第1の塩基がCの場合、Zはグルタミン酸であり、
    (2)第2の塩基がGの場合、Zはヒスチジンであり、
    第2の塩基がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第2の塩基がTの場合、Zはセリンであり、
    第2の塩基がCの場合、Zはアスパラギン酸であり、
    (3)第3の塩基がGの場合、Z−1はアルギニンであり、
    第3の塩基がAの場合、Z−1はグルタミンであり、
    第3の塩基がTの場合、Z−1はトレオニンまたはメチオニンであり、
    第3の塩基がCの場合、Z−1はグルタミン酸であり、
    (4)第4の塩基の相補物がGの場合、Zはセリンであり、
    第4の塩基の相補物がAの場合、Zはアスパラギンであり、
    第4の塩基の相補物がTの場合、Zはトレオニンであり、
    第4の塩基の相補物がCの場合、Zはアスパラギン酸である。
  79. ZFPのドメインが互いに0個〜10個のアミノ酸残基で共有結合している、請求項74から78のいずれか一項記載の方法。
  80. Nが3から40である、請求項74から79のいずれか一項記載の方法。
  81. Nが3から15である、請求項80記載の方法。
  82. Nが7、8、または9である、請求項81記載の方法。
  83. Nが6である、請求項81記載の方法。
  84. Nが3である、請求項81記載の方法。
  85. 第1の塩基がTである場合、Zはトレオニンであり;かつ第3の塩基がTである場合、Z−1はトレオニンである、請求項74から84のいずれか一項記載の方法。
  86. 少なくとも1つの亜鉛フィンガードメインのX位がSp1CまたはZif268亜鉛フィンガードメイン由来の対応するアミノ酸を含む、請求項74から85のいずれか一項記載の方法。
  87. ZFPが組換えによって調製される、請求項74から86のいずれか一項記載の方法。
  88. 標的核酸を、請求項1から23のいずれか一項記載のZFPに、ZFPが標的核酸に結合するのに十分な量および期間接触させる段階を含む、標的核酸を人工亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)に結合させる方法。
  89. Nが標的核酸中の重複4塩基対セグメントの数であり、N−1セグメントまでの各セグメントの第4の塩基がセグメント直後の第1の塩基である、3N+1塩基対長の標的核酸を、請求項74から87のいずれか一項記載の方法によって調製した一定量のマルチドメインZFPに、ZFPが標的核酸に結合するのに十分な時間接触させる段階を含む、標的核酸をマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)に結合させる方法。
  90. ZFPをコードする核酸を介して、ZFPを細胞に導入する、請求項88または89記載の方法。
  91. 標的核酸が植物遺伝子をコードする、請求項88から90のいずれか一項記載の方法。
  92. 植物遺伝子がトマト、トウモロコシ、またはイネ由来である、請求項91記載の方法。
  93. 標的核酸がサイトカイン、インターロイキン、癌遺伝子、血管新生因子、または薬物耐性遺伝子をコードする、請求項88から90のいずれか一項記載の方法。
  94. 遺伝子の調節制御エレメントを、請求項1から23のいずれか一項記載のZFPに、ZFPが遺伝子の発現を変化させるために十分な量および期間接触させる段階を含む、遺伝子発現を調整する方法。
  95. 遺伝子の調節制御エレメントを、請求項74から87のいずれか一項記載の方法によって調製した一定量のマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)に、ZFPが遺伝子発現を変化させるために十分な時間接触させる段階を含む、遺伝子発現を調整する方法。
  96. 発現の調整が遺伝子の発現の活性化である、請求項94または95記載の方法。
  97. 発現の調整が遺伝子発現の抑制である、請求項94または95記載の方法。
  98. ZFPをコードする核酸を介してZFPが細胞に導入される、請求項94から97のいずれか一項記載の方法。
  99. 遺伝子が植物遺伝子をコードする、請求項94から98のいずれか一項記載の方法。
  100. 植物遺伝子がトマト、トウモロコシ、またはイネ由来である、請求項99記載の方法。
  101. 遺伝子がサイトカイン、インターロイキン、癌遺伝子、血管新生因子、または薬物耐性遺伝子をコードする、請求項94から98のいずれか一項記載の方法。
  102. 融合タンパク質を核酸に転写調節ドメインが遺伝子発現を変化させるために十分な量および期間接触させる、遺伝子発現を調整する方法であり、以下の段階を含む方法:
    遺伝子に十分近位の標的核酸を、転写調節ドメインに融合した請求項1から23のいずれか一項記載のZFPの融合タンパク質に接触させる段階。
  103. 融合タンパク質を核酸に転写調節ドメインが遺伝子発現を変化させるために十分な量および期間接触させる、遺伝子発現を調整する方法であり、以下の段階を含む方法:
    遺伝子に十分近位の標的核酸を、配列転写調節ドメインに融合させかつ請求項74から87のいずれか一項記載の方法によって調製したマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)の融合タンパク質に接触させる段階。
  104. 転写調節ドメインが遺伝子の発現を活性化する、請求項102または103記載の方法。
  105. 転写調節ドメインが遺伝子の発現を抑制する、請求項102または103記載の方法。
  106. 融合タンパク質をコードする核酸を介して、融合タンパク質を細胞に導入する、請求項102から105のいずれか一項記載の方法。
  107. 遺伝子が植物遺伝子をコードする、請求項102から106のいずれか一項記載の方法。
  108. 植物遺伝子がトマト、トウモロコシ、またはイネ由来である、請求項107記載の方法。
  109. 遺伝子がサイトカイン、インターロイキン、癌遺伝子、血管新生因子、または薬物耐性遺伝子をコードする、請求項102から106のいずれか一項記載の方法。
  110. 融合タンパク質を標的ゲノム部位に、部位中または付近のゲノム構造を変化させるために十分な量および時間接触させる、ゲノム構造を変化させる方法であり、以下の段階を含む方法:
    標的ゲノム部位を、トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、レソルバーゼ活性、インベルターゼ活性、プロテアーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、またはヌクレアーゼ活性を示すタンパク質ドメインに融合された、請求項1から23のいずれか一項記載のZFPの融合タンパク質に接触させる段階。
  111. 融合タンパク質を標的ゲノム部位に、部位中または付近のゲノム構造を変化させるために十分な量および時間接触させる、ゲノム構造を変化させる方法であり、以下の段階を含む方法:
    標的ゲノム部位を、トランスポザーゼ活性、インテグラーゼ活性、リコンビナーゼ活性、レソルバーゼ活性、インテグラーゼ活性、プロテアーゼ活性、DNAメチルトランスフェラーゼ活性、DNAデメチラーゼ活性、ヒストンアセチラーゼ活性、ヒストンデアセチラーゼ活性、またはヌクレアーゼ活性を示すタンパク質ドメインに融合された、た請求項74から87のいずれか一項記載の方法によって調製したマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)の融合タンパク質に接触させる段階。
  112. 融合タンパク質が核局在化シグナルをさらに含む、請求項110または111記載の方法。
  113. 融合タンパク質をコードする核酸を介して、融合タンパク質を細胞に導入する、請求項110から112のいずれか一項記載の方法。
  114. 融合タンパク質が細胞取り込みシグナルをさらに含む、請求項110または111の方法。
  115. 標的ゲノム部位が、植物遺伝子をコードする遺伝子中または付近に存在する、請求項110から114のいずれか一項記載の方法。
  116. 植物遺伝子がトマト、トウモロコシ、またはイネ由来である、請求項115記載の方法。
  117. 標的ゲノム部位が、サイトカイン、インターロイキン、癌遺伝子、もしくは血管新生因子をコードする遺伝子、または薬物耐性に関する遺伝子の内部または付近に存在する、請求項110から114のいずれか一項記載の方法。
  118. (a)ZFPがウイルス複製に必要な標的部位に結合する能力を有する、細胞に、請求項1から23のいずれか一項記載のZFPをコードする核酸を導入する段階;および
    (b)ウイルス複製を阻害するのに十分な、細胞中の融合タンパク質の発現を得る段階
    を含む、ウイルス複製を阻害する方法。
  119. (a)ZFPがウイルス複製に必要な標的部位に結合する能力を有する、細胞に、請求項74から87のいずれか一項記載の方法によって調製したマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)をコードする核酸を導入する段階;および
    (b)ウイルス複製を阻害するのに十分な、細胞中のZFPの発現を得る段階
    を含む、ウイルス複製を阻害する方法。
  120. (a)融合タンパク質がウイルス複製に必要な標的部位に結合する能力を有する、細胞に、一本鎖DNA結合タンパク質に融合した請求項1から23のいずれか一項記載のZFPの融合タンパク質をコードする核酸を導入する段階;および
    (b)ウイルス複製を阻害するのに十分な、細胞中の融合タンパク質の発現を得る段階
    を含む、ウイルス複製を阻害する方法。
  121. (a)融合タンパク質がウイルス複製に必要な標的部位に結合する能力を有する、細胞に、一本鎖DNA結合タンパク質に融合した、請求項74から87のいずれか一項記載の方法によって調製したマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)の融合タンパク質をコードする核酸を導入する段階;および
    (b)ウイルス複製を阻害するのに十分な、細胞中の融合タンパク質の発現を得る段階
    を含む、ウイルス複製を阻害する方法。
  122. 植物ウイルス、動物ウイルス、またはヒトウイルスのウイルス複製を阻害する、請求項118から121のいずれか一項記載の方法。
  123. 遺伝子の発現を調節する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)(i)ZFPが遺伝子に近位の標的部位に特異的である、第1のスイッチ部分に特異的に結合できるタンパク質ドメインに融合した請求項1から23のいずれか一項記載のZFPの第1の融合タンパク質を発現する、第1の核酸、ならびに
    (ii)第2のスイッチ部分に特異的に結合できる第1のドメイン、核局在化シグナルである第2のドメイン、および転写調節ドメインである第3のドメインを含む第2の融合タンパク質を発現する第2の核酸を含む、
    真核細胞を、細胞に侵入でき、かつ特異性の異なる第1および第2のスイッチ部分を含む、2価のリガンドに接触させる段階
    (b)十分な期間、細胞に2価のリガンド、第1の融合タンパク質、および第2の融合タンパク質を含む複合体を形成させ、細胞の核に複合体を転位(translocate)させ、標的部位に結合させ、それにより遺伝子の発現を変化させる段階。
  124. 遺伝子の発現を調節する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)(i)ZFPが遺伝子に近位の標的部位に特異的である、第1のスイッチ部分に特異的に結合できるタンパク質ドメインに融合した請求項74から87のいずれか一項記載の方法により調製したマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)の第1の融合タンパク質を発現する、第1の核酸、ならびに
    (ii)第2のスイッチ部分に特異的に結合できる第1のドメイン、核局在化シグナルである第2のドメイン、および転写調節ドメインである第3のドメインを含む第2の融合タンパク質を発現する第2の核酸を含む、
    真核細胞を、細胞に侵入でき、かつ特異性の異なる第1および第2のスイッチ部分を含む、2価のリガンドに接触させる段階
    (b)十分な期間、細胞に2価のリガンド、第1の融合タンパク質、および第2の融合タンパク質を含む複合体を形成させ、細胞の核に複合体を転位させ、標的部位に結合させ、それにより遺伝子の発現を変化させる段階。
  125. 転写調節ドメインが遺伝子の発現を活性化する、請求項123または124記載の方法。
  126. 転写調節ドメインが遺伝子の発現を抑制する、請求項123または124記載の方法。
  127. 第1のスイッチ部分に特異的に結合できるタンパク質ドメインが、Sタンパク質、Sタグまたは、抗体の一本鎖可変領域(scFv)である、請求項123から126のいずれか一項記載の方法。
  128. 第1のスイッチ部分がSタンパク質、Sタグまたは抗体の一本鎖可変領域(scFv)の抗原である、請求項123から127のいずれか一項記載の方法。
  129. 第2のスイッチ部分に特異的に結合できる該ドメインが、Sタンパク質、Sタグまたは抗体の一本鎖可変領域(scFv)である、請求項123から128のいずれか一項記載の方法。
  130. 第2のスイッチ部分が、Sタンパク質、Sタグまたは抗体の一本鎖可変領域(scFv)の抗原である、請求項123から129のいずれか一項記載の方法。
  131. ZFPドメインが請求項1から23のいずれか一項記載のZFPである、触媒ドメイン、ペプチド二量体化ドメイン、およびZFPドメインを含む、人工トランスポザーゼ。
  132. 触媒ドメイン、ペプチド二量体化ドメイン、および、請求項74から87のいずれか一項記載の方法で調製されたマルチドメイン亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)であるZFPドメインを含む、人工トランスポザーゼ。
  133. 末端逆方向反復結合ドメインをさらに含む、請求項131または132記載のトランスポザーゼ。
  134. 外因性遺伝子を生物のゲノムに標的特異的に導入する方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)ZFPドメインが第1のゲノム標的に結合する、請求項133記載のトランスポザーゼをコードする第1の核酸、ZFPドメインが第2のゲノム標的に結合する、請求項133記載のトランスポザーゼをコードする第2の核酸、および、トランスポザーゼの末端逆方向反復結合ドメインによって結合できる配列に外因性遺伝子が隣接する、外因性遺伝子をコードする第3の核酸を、細胞に導入する段階;ならびに
    (b)ゲノム、第3の核酸、および2つのトランスポザーゼの間で組換えが起こるのに十分な複合体を形成させ、それによって外因性遺伝子を生物のゲノムに導入する段階。
  135. 外因性遺伝子を生物のゲノムから標的特異的に切り出す方法であって、以下の段階を含む方法:
    (a)外因性遺伝子が第1および第2のゲノム標的に隣接する、ZFPドメインが第1のゲノム標的に結合する、請求項131または132記載のトランスポザーゼをコードする第1の核酸、および、ZFPドメインが第2のゲノム標的に結合する、請求項131または132記載のトランスポザーゼをコードする第2の核酸を、細胞に導入する段階;
    (b)ゲノムおよび2つのトランスポザーゼの間で組換えが起こるのに十分な複合体を形成させ、それにより生物ゲノム由来の外因性遺伝子を切り出す段階。
  136. 変化した亜鉛フィンガー認識配列を検出する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)関心対象の亜鉛フィンガー認識配列を含む核酸を、配列に特異的であり、かつシグナル伝達部分に結合した請求項1から23のいずれか一項記載のZFPと接触させる段階であって、配列が変化しない場合、ZFPを亜鉛フィンガー認識配列へ結合させるのに十分な量のZFPが存在する段階;
    (b)ZFPの亜鉛フィンガー認識配列への結合を検出し、それにより不変配列へのZFPの結合と比べて結合が減少するまたは消滅する場合に亜鉛フィンガー認識配列が変化することを確認する段階。
  137. 変化した亜鉛フィンガー認識配列を検出する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)関心対象の亜鉛フィンガー認識配列を含む核酸を、配列に特異的であり、かつシグナル伝達部分に結合した請求項74から87のいずれか一項記載の方法により調製したマルチドメイン亜鉛タンパク質(ZFP)と接触させる段階であって、配列が変化しない場合、ZFPを亜鉛フィンガー認識配列へ結合させる量のZFPが存在する段階;
    (b)ZFPの亜鉛フィンガー認識配列への結合を検出し、それにより不変配列へのZFPの結合と比べて結合が減少するまたは消滅する場合に亜鉛フィンガー認識配列が変化することを確認する段階。
  138. シグナル伝達部分が、色素、ビオチン、放射性標識、ストレプトアビジン、またはマーカータンパク質である、請求項136または137記載の方法。
  139. マーカータンパク質が、β−ガラクトシダーゼ、GUS、緑色蛍光タンパク質もしくはその蛍光変異体、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、または抗体である、請求項138記載の方法。
  140. 変化した亜鉛フィンガー認識部位が、部位中の1つまたは複数のヌクレオチドの変異、挿入、または欠失を含む、請求項136から139のいずれか一項記載の方法。
  141. 変異が、一塩基多型(SNP)を含む、請求項140記載の方法。
  142. 異常なゲノム構造に関連する疾患を診断する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)被験者から細胞、血液、または組織試料を単離する段階;
    (b)細胞、血液、または試料由来の核酸を、請求項1から23のいずれか一項記載のZFP、シグナル伝達部分、および選択的に細胞取り込みドメインを含むタンパク質に接触させる段階であって、ZFPが疾患に関連する標的部位に結合する段階;ならびに
    (c)タンパク質の核酸への結合を検出し、それにより診断を行う段階。
  143. 異常なゲノム構造に関連する疾患を診断する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)被験者から細胞、血液、または組織試料を単離する段階;
    (b)細胞、血液、または試料由来の核酸を、請求項74から87のいずれか一項記載のZFP、シグナル伝達部分、および選択的に細胞取り込みドメインを含むタンパク質に接触させる段階であって、ZFPが疾患に関連する標的部位に結合する段階;ならびに
    (c)タンパク質の核酸への結合を検出し、それにより診断を行う段階。
  144. 核酸に結合したタンパク質の量を定量する段階をさらに含む、請求項142または143記載の方法。
  145. 核酸がインサイチューで存在する、請求項142から144のいずれか一項記載の方法。
  146. 接触段階の前に核酸を細胞または該組織試料から抽出する、請求項142から144のいずれか一項記載の方法。
  147. 亜鉛フィンガーのαヘリックスの−1位、2位、3位、および6位のアミノ酸が以下のように選択される、多数の異なるオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの組であって、各オリゴヌクレオチドが1つの亜鉛フィンガードメインをコードし、オリゴヌクレオチドの組が4塩基対標的配列の半分を上回るものに対して少なくとも1つのオリゴヌクレオチドを含む、オリゴヌクレオチドの組:
    −1位において、アミノ酸は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、メチオニン、またはグルタミン酸であり、
    2位において、アミノ酸は、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり、
    3位において、アミノ酸は、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり、
    6位において、アミノ酸は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、チロシン、ロイシン、またはグルタミン酸であるように選択される。
  148. オリゴヌクレオチドの数が少なくとも150個である、請求項147記載の組。
  149. オリゴヌクレオチドの数が、約200個から約256個の範囲である、請求項148記載の組。
  150. オリゴヌクレオチドの数が256個である、請求項149記載の組。
  151. 各オリゴヌクレオチドが式
    Figure 2004519211
    によって示される256個の亜鉛フィンガードメインの1つをコードするヌクレオチド配列を含む、256個の異なるオリゴヌクレオチドの組:
    式中、
    Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示し、
    −1が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸であり、
    が、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり、
    が、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり、
    が、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸である。
  152. 式中の所与の部位での各Xが256個の各亜鉛フィンガードメインそれぞれにおいて同一である、請求項151記載の組。
  153. 亜鉛フィンガードメインのX位が、Sp1CまたはZif268亜鉛フィンガードメイン由来の対応するアミノ酸を含む、請求項151または152記載の組。
  154. オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が、生物にとって最適なコドン使用頻度(usage)が得られるように選択される、請求項151から153のいずれか一項記載の組。
  155. 256個の異なるオリゴヌクレオチドの3つのサブセットを含む、3つ以上の亜鉛フィンガードメインを有する亜鉛フィンガータンパク質をコードする核酸を作製するためのオリゴヌクレオチドの組であって、各オリゴヌクレオチドが、式
    Figure 2004519211
    (式中、
    Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示し、
    −1は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸であり、
    は、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり、
    は、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり、
    は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、またはグルタミン酸である)
    によって示される256個の亜鉛フィンガードメインの1つをコードするヌクレオチド配列を含み、
    第1のサブセットオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第2のサブセットオリゴヌクレオチドの合成を開始するために第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
    第2のサブセットオリゴヌクレオチドの3’末端が、そこから第3のサブセットオリゴヌクレオチドの合成を開始するために第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に十分相補的であり、
    第1のサブセットオリゴヌクレオチドの3’末端が第3のサブセットオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではなく
    第2のサブセットオリゴヌクレオチドの3’末端が第1のサブセットオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的ではない、オリゴヌクレオチドの組。
  156. 式中の所与の部位での各Xが256個の亜鉛フィンガードメインの1つのサブセットと同一である、請求項155記載の組。
  157. 式中の所与の部位での各Xが256個の亜鉛フィンガードメインの2つのサブセットと同一である、請求項156記載の組。
  158. 式中の所与の部位での各Xが256個の亜鉛フィンガードメインの3つのサブセット全てと同一である、請求項157記載の組。
  159. 亜鉛フィンガードメインのX位が、Sp1CまたはZif268亜鉛フィンガードメイン由来の対応するアミノ酸を含む、請求項155から158のいずれか一項記載の組。
  160. オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列が、生物にとって最適なコドンが使用されるように選択される、請求項155から159のいずれか一項記載の組。
  161. 請求項147から160のいずれか一項記載の組を含む、キット。
  162. 約84ヌクレオチドから約130ヌクレオチドであり、独立して式
    Figure 2004519211
    によって示される亜鉛フィンガードメインをコードする配列、および選択的に0個から10個のアミノ酸残基のリンカーを含む、人工亜鉛フィンガータンパク質(ZFP)用の亜鉛フィンガードメインをコードする一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチド:
    式中、
    Xは独立して、任意のアミノ酸であり、Xはポリペプチド鎖中のXの出現数を示し、
    −1は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、メチオニン、またはグルタミン酸であり、
    は、セリン、アスパラギン、トレオニン、またはアスパラギン酸であり、
    は、ヒスチジン、アスパラギン、セリン、またはアスパラギン酸であり、
    は、アルギニン、グルタミン、トレオニン、チロシン、ロイシン、またはグルタミン酸である、オリゴヌクレオチド。
  163. X位がSp1CまたはZif268亜鉛フィンガードメイン由来の対応するアミノ酸を含む、請求項162記載のオリゴヌクレオチド。
  164. ヌクレオチド配列が、生物にとって最適なコドンが使用されるように選択される、請求項163記載のオリゴヌクレオチド。
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