JP2004517175A - 化合物を固定する基質の調製方法、その基質およびその使用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】化合物、特に生体高分子を固定するための固体基質と、この方法によって得られる基質、および化合物をそのような固体基質の表面に固定するプロセスを提供する。
【解決手段】本発明の方法は、基台となる基質を用意し、その表面を、多相の交流および多相の直流からなる群より選択される電源によって発生させたプラズマ中において、モノマーのガスで処理する。この際プラズマの強度は、多くても5.0W/l、例えば3.0W/lとし、またモノマーガスは、1または2種以上のプラズマ重合されたモノマーからなるものとする。こうして固体基質の表面に反応基を付与する。本発明の方法は、比較的簡単で、経済的にも実施可能である。そして、本発明に係る基質は、高品質で、多機能である。
【解決手段】本発明の方法は、基台となる基質を用意し、その表面を、多相の交流および多相の直流からなる群より選択される電源によって発生させたプラズマ中において、モノマーのガスで処理する。この際プラズマの強度は、多くても5.0W/l、例えば3.0W/lとし、またモノマーガスは、1または2種以上のプラズマ重合されたモノマーからなるものとする。こうして固体基質の表面に反応基を付与する。本発明の方法は、比較的簡単で、経済的にも実施可能である。そして、本発明に係る基質は、高品質で、多機能である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物、特に生体高分子、ならびにその類似物質および誘導体を固定するための固体基質を調製する方法に関する。この基質は、アミン、リン・エステル、チオールおよびヒドロキシルなどの、生体高分子の特定の基と反応することができる反応基を担持する。本発明はまた、そのような基質およびこの基質の使用にも関する。
【0002】
【従来の技術】
生体高分子(例えば、タンパク質、脂質、核酸、すべての細胞または細胞の断片)を固定する技術は多数存在するけれども、特に反応基が、さらなる活性化を必要とすることなく生体高分子と反応することができる、この目的に適した基質を求める声は依然として強い。
【0003】
生体高分子のような化合物を固定する基質の調製方法は、例えば特許文献1に記載されている。ここに記載されている方法は、光化学作用による固定である。同様の方法は、特許文献2および3にも記載されている。
【0004】
酸ハロゲン化物、酸無水物、エポキシド、アルデヒドなどは、アミン(特に第一級アミン)と反応することができる。したがって、これらの反応基は、生体高分子を固定すると特別な関連を有すると考えられる。しかし、本出願人が知る限り、そのような官能基を付した基質は、特に工業的な規模で生産するのは、非常に困難であった。
【0005】
特許文献4は、固体のポリマー材料の表面に放射線照射をして、照射した表面を、アミドと反応する不飽和のエチレン結合を有するモノマーで架橋し、そのアミドと反応する基を、アミンと反応する基に転換させる、アミンと反応するポリマーからなる表面を有する基質の調製方法を開示している。
【0006】
【特許文献1】
国際公開WO 96/31557号明細書
【特許文献2】
米国特許第4,973,493号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,002,582号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,303,179号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分子、例えば生体高分子を固定する基質を調製する、従来とは異なる方法を提供することである。特に、本発明は、上述の公知の方法に比して比較的簡単で経済的にも実施可能な、化合物を固定する官能基を含む基質の調製方法を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、基質の表面が、固定すべき化合物と結合する比較的高濃度の官能基を含むようにし、かつ比較的制御が簡単で、高品質で量産することができるようにした、化合物を固定する基質を調製する方法を提供することも、本発明の目的である。
【0009】
この外、本発明は、所望の活性な官能基を表面に有するように設計された、化合物を固定する、高品質の基質を提供することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、特許請求の範囲により定義される本発明によって達成される。以下の説明から明らかになるように、本発明は、さらに利点を有する。
【0011】
低エネルギーのプラズマを用いて化合物を固定する基質を調製することによって、非常の高品質の基質が得られることが分かった。さらに、本発明の方法は、簡単で、経済的にも実施可能であり、基質の設計について高い柔軟性を備える。また、本発明の方法は、広範囲の化合物を固定する基質を調製することにも用いることができる。
【0012】
したがって、本発明は、プラズマ重合による層を基質の表面に形成するため、多相の交流または多相の直流によって生起されるプラズマ中でモノマーガスにより基質を処理する工程を含む、プラズマ重合により、固体基質の表面に形成される反応基を含む官能基を調製する新規な方法に関するものである。モノマーガスは、固体基質の表面に反応基を生成させる元になる1または2種以上のモノマーを含む。
【0013】
さらに、本発明は、生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体を固体基質の表面に結合するプロセスをも提供する。本発明のプロセスは、基質の表面に反応基を導入するための特許請求の範囲に定義した方法を用いて、基質の表面に官能基を導入する工程と、基質の反応基と、タンパク質、脂質、細胞もしくは細胞の断片または核酸もしくはその類似物質との間で反応を生起させるために基質の表面に、生体高分子またはまたはその類似物質もしくは誘導体を含む溶液を接触させる工程とを含む。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る、化合物を固定する固体基質を調製する方法は、基台となる基質を用意する工程と、この基台となる基質の表面をプラズマ中でモノマーガスにより処理する工程を含む。
【0015】
プラズマを用いて表面状態を変化させる技術は、この業界では一般的に知られている。例えば、米国特許第5,876,753号明細書には、RFプラズマ重合プロセスを用いて、フルオロカーボンフィルムを基質に適用する方法が開示されている。
【0016】
本発明によれば、多相の交流および多相の直流からなる群より選択される電源によって生起されるプラズマを適用すると、プラズマの強度が最大で5.0W/l、例えば3.0W/lのときに基質が高品質になることが明らかになった。
【0017】
基台となる固体基質は、層状の材料あるいは混合材料など、原則的には、どのような種類の材料またはその組み合わせてであってもよい。固体基質は、典型的には、ガラス、シリコーン樹脂、紙、炭素繊維、セラミックス、金属およびポリマー(例えば、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロカーボン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−コポリマー(FEP)、ポリビニル−ジフッ化物(PVDF)、ポリアミド(例えばナイロン−6,6およびナイロン−11)およびポリ塩化ビニル(PVC)のような他の熱可塑性樹脂、シリコーンゴムのようなゴム等から選択される材料からなる。現在のところ、好ましい材料は、伝統的に生化学においてよく用いられており、最も標準的な分析によく対応するポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、シリコーン樹脂およびガラスである。
【0018】
固体基質は、例えば、断片状、プレート状、スライドガラス状、エリザプレート状、計深棒状など、どのような形状をとることもできる。
【0019】
本発明においては、基質の表面または「基質表面」は、1またはそれ以上の小領域であってもよいことに留意すべきである。しかし、もちろん基質の全表面でもよい。また、基質は、各小領域ごとに、様々な反応基を含んだり、あるいは反応基の濃度を変えることができることに留意すべきである。したがって、基質は、その全部あるいは一部が、プラズマ処理の全工程あるいは一部の工程を通して被覆される。さらに、基質は、小領域ごとに被覆の状態が異なるように、2回またはそれ以上のプラズマ処理にかけることもできる。一般的には、プラズマ処理にかけられ、反応基が生成する基質表面は、少なくとも1my2、好ましくは少なくとも10my2、より好ましくは少なくとも100my2の面積を有するのが好ましい。用途によっては、プラズマ処理にかけられ、反応基が生成する基質表面は、0.01〜100cm2、またはこれより大きな面積を有する。
【0020】
基質表面は、その特性、例えばプラズマ重合された層との付着特性、あるいはその疎水性を変化させるために予めコーティング(プリコート)する。このプリコートは、例えばプラズマ重合によって行うことができる。プリコートは、基質本来の表層上に、ほぼ均質なポリマー層を形成するのが好ましい。例えば、基質の表面は、ポリスチレンのプラズマ重合層でプリコートすることができる(実施例1参照)。
【0021】
本発明において特に好ましい反応基は、生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体(以下、併せて「生体高分子」と呼称する)と反応することができる反応基である。反応は、反応基と化合物の間で、好ましくはイオン結合、より好ましくは共有結合を生起させる。生体高分子は、通常アミノ基、ヒドロキシ基、チオ基、リン酸エステル等の反応を起こす箇所を含むが、そうでなければ、特に第一級アミンなどのアミンのような基を含むように誘導体を生成させることもできる。特に、そのような生体高分子のアミンは、本発明によって固体基質に固定する際には、特に有用である。
【0022】
固体基質の表面に生成される反応基は、生体高分子、好ましくはタンパク質または核酸と、熱、紫外線、電子ビーム、マイクロ波、超音波等の外部からのエネルギー供給を必要としない液相反応により反応して、これに結合することができる反応基であるのが好ましい。典型的には、このような結合反応は、pH緩衝剤、塩、カーボジイミド等、生体高分子の結合の分野で当業者に公知の他の添加剤を含むこともある水溶液中、またはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、クルロホルム、ジクロメタン、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中、もしくは生体高分子の結合の分野で当業者に公知の添加剤を含むことのある2種またはそれ以上の有機溶媒の混合液中で行われる。
【0023】
特に関心を引く官能基の例としては、酸無水物(特にカルボン酸無水物)、酸ハロゲン化物、酸ヨウ化物、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸、チオール、ニトニル、第一級および第二級アミン、リン酸エステル、特に酸無水物、酸ハロゲン化物、エポキシドおよびアルデヒドがある。特に、関心を引く反応基は、酸無水物と酸ハロゲン化物(例えば酸塩化物)およびエポキシドである。これら後者の反応基は、生体高分子(またはその類似物質もしくは誘導体)のアミノ基との反応に特に適している。
【0024】
「生体高分子」の語は、最も広い意味に解すべきである。生体高分子の例としては、これらに制限する意図はないが、タンパク質、脂質、核酸(例えばRNA、DNAなど)、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドの類似物質(例えばPNA、LNA等)およびこれらの誘導体、ならびに細胞、微生物がある。特に関心を引く誘導体は、ここで述べたようにして調製した固体基質に結合するのに適したアミノ基を含む誘導体である。その外、特に関心を引く基は、チオ基およびホスフェート基である。
【0025】
反応基に戻ると、前述の特に関心を引く反応基は、例えばカップリング試薬を用いるなど、その生体高分子の反応基を活性化する必要がなく、生体高分子と容易に反応することができるものであることが明らかになった。
【0026】
本発明の方法は、固体基質の表面に反応基を導入するため、基質を、その表面にプラズマ重合される1種またはそれ以上のモノマーを含むモノマーガスとともに、プラズマ中で処理する工程を含む。
【0027】
モノマーは、固体基質に反応基を導入する基に加えて、重合可能な基を含む場合が非常に多い。そのような重合可能な基は、典型的には、ビニル基、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、アセチレンなどのエチレン性不飽和基、およびモノ−、ジ−、またはトリ−置換芳香族化合物から選択される。このモノマーは、主として重合を目的とした1種を超える基(例えばアクリル酸無水物)、および基質に反応基を導入することを目的とした1種を超える基(例えば1,2−ジ−チオール−ベンゼン)を含む場合があることに留意すべきである。
【0028】
有用なモノマーの例としては、メタクリル酸無水物、アクリル酸塩化物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸無水物、4−ペンタン酸無水物、メタクリル酸塩化物、アクロレイン、メタクロレイン、1,2−エポキシ−5−ヘキサン、グリシジルメタクリレート、アリルアミンおよびアリルメルカプタンがある。本発明の場合、好ましいモノマーは、メタクリル酸無水物、アクリル酸、アクリル酸塩化物、アクロレインおよびグリシジルメタクリレートである。
【0029】
モノマーガスは、1種を超える官能基性のモノマーを含む。
【0030】
上に挙げた種類のモノマーは、官能基を有するように調製される固体基質の表面張力に大きな影響を与える。モノマーとして用いられる酸無水物は、通常、基質の表面をきわめて親水性のものにし、他方、酸ハロゲン化物は、基質の表面をきわめて疎水性のものにする。きわめて疎水性となった表面は、官能基を有する表面ながら、生体高分子の水溶液を接触させるのがより困難になる。他方、非常に親水性となった表面は、少量の水溶液を垂らして正確にスポットをつくるのが困難である。そこで、特性が変化したコポリマー、すなわち生体高分子を含む溶液とよりバランスのとれた表面になるようにするコポリマーを調製するため、モノマーガスの中に特性を変化させるモノマーを含ませるのが好ましい。特性を変化させるモノマーは、例えば、特別な反応開始の操作なしで生体高分子と反応する基を有しないものとすることができる。
【0031】
このような、表面張力を調整するために用いられるモノマーの例としては、比較的疎水性のモノマー(例えばペルフルオロヘキセン、ペルフルオロメチルペンテン、ヘキセン、ペンテン、プロペン、エチレン、シクロヘキセン、アセチレン、スチレン、キシレン、ビニルボルネン、テトラ−メチルシラン、ヘキサメチル−ジ−シラン等)、および比較的親水性のモノマー(例えばビニルアセテート、ビニルピロリドン、エチレングリコールビニルエーテル、ジエチレングルコールビニルエーテル、メタクリレート、メチルメタクリレート、アリルアルコール等)がある。
【0032】
例としては、酸無水物(親水性)は、ヘキセンまたはスチレンなどの疎水性モノマーと都合よく組み合わせることができる。他方、酸塩化物(疎水性)は、酢酸ビニル(親水性)と都合よく組み合わせることができる。
【0033】
上述の種類のモノマーはまた、官能基を有する固体基質の機械的な強度にも大きな影響を与える。その反応基がモノマーの主要な部分を構成するモノマーは、通常基質表面の機械的強度をかなりの程度弱くする。したがって、コポリマーの機械的強度をより強くする他の種類のモノマー(非反応性のもの)を、モノマーガスに含めるのが好ましい。
【0034】
例として、酸ハロゲン化物は、ヘキセン、スチレンまたはキシレン(疎水性)のような機械強度を与えるモノマー、またはビニルアセテート(親水性)もしくはメチルメタクリレートと、好ましく組み合わせることができる。
【0035】
好ましい実施形態においては、モノマーガスはさらに、1種またはそれ以上のモノマーとのプラズマ重合の後にコポリマーを生成させる第2のモノマー(上述の親水性、疎水性または機械強度を付与するモノマー)を含む。
【0036】
上述のような第2のモノマーを用いる場合、「反応性」モノマーと疎水性/親水性の機械強度を付与するモノマーとの間の相対的なモル比は、例えば1:1〜1:100モル/モルの範囲である。
【0037】
本発明の方法において有用なプラズマ反応チャンバは、特許請求の範囲に定義したような所望のプラズマを発生させることができるなら、基本的にはどのような型の物でもよい。使用可能な反応チャンバは、本出願人による先行特許出願WO第00/44207号に記載したもの、または欧州特許第0 741 404B1号に記載された電極システムを用いたものである。
【0038】
本発明の技術思想において有利に用いることができるプラズマのタイプは、多相の交流または直流によって生起されるものである。このタイプのプラズマは、高いエネルギー準位にあり、反応基のかなりの部分をそのまま保存することができる。例えば大きくても5W/l、例えば3W/lという十分に低いエネルギーを用いることができる二相または三相の交流プラズマが特に有利である。プラズマのエネルギー強度は、好ましくは大きくても2.0W/l、より好ましくは最大で1.7W/l、さらに好ましくは最大で1.5W/lであり、特に好ましいのは最大で1.0W/l、最も好ましいのは最大で0.7W/lである。プラズマの強度は、最も好ましくは0.5〜2.0W/lがよい。以下の実施例においては、このような驚くほど低エネルギーのプラズマでも、非常に有用な官能基を有する基質が得られることが示されている。
【0039】
反応チャンバの圧力は、通常は10〜1000μbar(1〜100Pa)、例えば25〜500μbar(2.5〜50Pa)、あるいは20〜300μbar(2〜30Pa)である。反応チャンバ内の圧力は、ガス流減圧バルブを備えることのある真空ポンプと、モノマーガスとキャリアガス(不活性ガスもしくは反応性のガスまたはこれらの混合物)の供給によって制御される。不活性のキャリアガスは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンまたはこれらの混合物のような希ガスが好適である。反応性のキャリアガスは、水素、酸素、フッ素、塩素またはこれらの混合物からなる群より選択するのが好ましい。
【0040】
したがって、プラズマ反応チャンバは、ここで述べた指示に従って、当業者には自明の修正を加えながら、改良することができる。
【0041】
モノマーの濃度および、処理に要する時間の総計は、少なくとも約5オングストローム(50nm)、例えば10〜1000オングストローム(100〜10000nm)またはそれ以上の厚さを有するプラズマ重合された層をもつ、基台となる基質表面をつくり出すのに十分なものであることが好ましい。
【0042】
プラズマ重合プロセスは、通常1〜1000秒間、例えば10〜100秒間行われる。
【0043】
プラズマ重合された層は、典型的にはほぼ均一な厚さを有する。層の厚さは、1〜1000nmまたは10〜1000nmのように、一般的には5〜5000nm、典型的には5〜50nmのように10〜200nmである。
【0044】
本発明の方法は、プラズマに導入されるモノマーガスによって与えられる、少なくとも3モル%のように、好ましくは少なくとも1モル%、例えば少なくとも5モル%の反応基が、基質の表面、すなわち重合された層に存在するような表面(重合された層)をつくり出すのに用いることができる。本発明の一実施形態においては、重合された層における反応基の、例えば5もしくは25%またはそれ以上の分画が、生体高分子との反応に与ることができ、他の基は、プラズマ重合された層に埋没する。
【0045】
したがって、本発明は、上で説明した方法の外、上で定義した方法によって得られる基質も提供する。このような基質は、酸無水物、酸ハロゲン化物(酸塩化物など)、カルボン酸、エポキシド、アルデヒドおよびチオール、好ましくは酸無水物、エポキシドおよび酸ハロゲン化物、特に酸無水物、エポキシドおよび酸塩化物からなる群より選択される、プラズマ重合されたモノマーを含むのが好ましい。そのような基質は、少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能な反応基濃度を有するのが好ましい。
【0046】
特に好ましい基質は次のものである:
−少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能な酸無水物基濃度を有する、酸無水物を含む基質;
−少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能な酸ハロゲン基濃度を有する、酸ハロゲン化物を含む基質;および
−少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能なエポキシ基濃度を有する、エポキシ性官能基を含む基質。
【0047】
生体高分子とは別に、他の分子、例えば低分子量の分子も、ここで述べたように調製した基質と結合することができる。したがって、この基質は、ペプチド、アミノ基などの有機スペーサを固定するのに用いることができる。
【0048】
本発明のさらなる様相は、次の工程を含む、化合物を固体基質の表面に固定するプロセスに関する:
(i)上述の基質を用意し、適宜この基質表面にある反応基を活性化する工程;および
(ii)基質の反応基と化合物の間で反応を生起させるため、基質の表面にその化合物を含む溶液を接触させ、固定する工程。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、タンパク質、核酸またはその類似物質を含む溶液は、カップリング剤を含まない。すなわち、基質の反応基と生体高分子(またはその類似物質もしくは誘導体)の間の反応は、活性化なしで起こる。
【0050】
一般的に、基質表面の反応基が活性化を必要としないこと、したがってプロセスがそのような活性化工程を必要としないことは好ましいことである。
【0051】
好ましくは、反応基は、上述の生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体からなる群から選択するべきである。好ましい化合物は、タンパク質、脂質、核酸またはその類似物質もしくはその混合物である。
【0052】
このようなプロセスは、反応に与らなかった生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体を除去し、あるいは反応に与らなかった反応基を不活性化するため、基質の表面を洗浄するという後処理を含む。
【0053】
疎水性が適当なものに調整されたときは、例えば10cm2未満の同一の基質上に、異なる生体高分子の多数(例えば10〜1000またはそれ以上)の分離したスポットを提供することが可能になる。
【0054】
以下に、本発明を、添付の図面と実施例を用いてさらに詳しく説明する。
【0055】
実施例1.スチレン(S)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、20枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。各スライドガラスは、次の条件の下に、3つの工程にかけた:1)アルゴン(Ar)プラズマ、圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度2.1W/l、Arの流量40標準cm3/min(sccm)で、60秒間、2)水素プラズマ、圧力0.025mPa、電力密度2W/l、H2の流量40sccmで、60秒間、3)重合0.050mbar、電力密度0.2W/l、Arの流量10sccm、Sの流量200sccmで、60秒間。
【0056】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角が90°であった。未処理のスライドガラスの比較値は、10°であった。
【0057】
フーリエ変換した赤外線スペクトル(FTIR)の結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリスチレンの存在が証明された:3100〜3000cm−1(芳香族のC−H)、3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1601cm−1(芳香族のC−C)、1451cm−1(脂肪族のC−H)。
【0058】
実施例1B.ヘキサメチルジシラン(HMDSLAN)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、17枚のスライドガラスを載置した。各スライドガラスは、次の条件の下に、3つの工程にかけた:1)アルゴン(Ar)プラズマ、圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度5.9W/l、Arの流量50標準cm3/min(sccm)で、60秒間、2)アルゴン/水素(Ar/H2)プラズマ、圧力0.025mPa、電力密度6W/l、Arの流量35sccm、H2の流量15sccmで、60秒間、3)重合0.025mbar、電力密度6W/l、Arの流量35sccm、HMDSLANの流量100sccmで、60秒間。
【0059】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角が90°〜120°であった。未処理のスライドガラスの比較値は、10°であった。
【0060】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリヘキサメチルジシランの存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、2170〜2140cm−1(Si−H)、1270〜1250cm−1(Si−CH3)、1030〜1010cm−1(Si−CH2−Si)、810〜790cm−1(Si−H)。
【0061】
実施例1C.ヘキセン(Hex)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システム(135リットル)を備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、22枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。各スライドガラスは、次の条件の下に、3つの工程にかけた:1)アルゴン(Ar)プラズマ、圧力0.013mbar(1.3Pa)、電力密度3.3W/l、Arの流量25sccmで、60秒間、2)Ar/H2プラズマ、圧力0.013mPa、電力密度2.0W/l、Arの流量17sccm、H2の流量7sccmで、60秒間、3)重合0.013mbar、電力密度約3.9W/l、Arの流量25sccm、Hexの流量100sccmで、15秒間。
【0062】
実施例2.メタクリル酸(MA)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを24枚載置した。MAのプラズマ重合は次のようにして行った。10sccmのArをMAを通して泡立て、チャンバに供給する。そして、圧力0.010mbar(1.0Pa)、電力密度4.8W/lで、300秒間、重合を行った。
【0063】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角は10°未満であった。ポリスチレンでコーティングしたスライドガラスの比較値は、90°であった。
【0064】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(メタクリル酸)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1720〜1700cm−1(カルボン酸)、1451cm−1(脂肪族のC−H)。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0065】
実施例3.メタクリル酸無水物(MAAH)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを10枚載置した。MAAHのプラズマ重合は次のようにして行った。5sccmのArをMAを通して泡立て、チャンバに供給する。そして、圧力0.30mbar(30Pa)、電力密度2.7W/lで、300秒間、重合を行った。
【0066】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角は30°であった。一方、ポリスチレンでコーティングしたスライドガラスの比較値は、90°であった。
【0067】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(メタクリル酸無水物)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1800〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1451cm−1(脂肪族のC−H)。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0068】
実施例4.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを60枚載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.1mbar(10Pa)、電力密度2.1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、60秒間、重合を行った。
【0069】
得られたコーティングの特徴:
【0070】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(アクリル酸塩化物)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1445cm−1(脂肪族のC−H)。しかし、1730〜1700cm−1でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0071】
実施例5.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、スライドガラスを20枚載置した。電極の配置は、それぞれ正面図と側面図である図4aと図4bに示してある。この電極配置は、2つの同心状の電極1と2、すなわち外側電極1と、この外側電極1によって周囲を取り囲まれた内側電極2を含む。外側電極1は、厚さ0.5mmのステンレススチールからなり、断面がほぼ楕円形のチューブ(幅500mm、高さ240mmおよび長さ1000mm)を形成するようにプレートを湾曲させたものである。内側電極2は、厚さ1mmのステンレススチールからなり、断面がほぼ楕円形のチューブ(幅360mm、高さ100mmおよび長さ1000mm)を形成するようにプレートを湾曲させたものである。基質は、内側電極2内の対称な平面位置にあって、電極1,2から電気的に隔離されたステンレススチール製のグリッド3に載置される。
【0072】
AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.18W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、120秒間、重合を行った。
【0073】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(アクリル酸塩化物)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1445cm−1(脂肪族のC−H)。しかし、1730〜1700cm−1でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0074】
X線フォトンスペクトル(XPS):約5nmの上方の初期組成(原子%);酸素13%、窒素1.5%、炭素71.7%、塩素13.2%。モノマーの組成は酸素20%、炭素60%および塩素20%である。したがって、モノマーは化学量論比からみると、重合されていない。しかし、塩素のかなりの量が、得られたコーティングに見られた。そしてより重要なのは、塩素の酸素に対する比が、酸塩化物の場合のように、1:1に近いということである。
【0075】
XPSのデータの解釈:酸素(%)と塩素(%)の初期組成からCOClとCOOHの濃度を推定すると、次の通りである。
仮にフーリエ変換した赤外線スペクトル(FTIR)がCOCl(1780〜1740cm−1)とCOOH(1730〜1710cm−1以下)のみ示し、他のカルボニル基(−C=O:1800〜1700cm−1)の存在を示さない場合、COClとCOOHの濃度は、酸素と塩素の初期組成から推定することができる。
【0076】
スライドガラスの表面の推定値は、すべてコーティングの値によって求められる(すなわちSi(%)=0とする)。
1) Cl(%)=O(%)の場合、COCl(%)=Cl(%)=O(%)、そしてCOOH(%)=0。
2) Cl(%)<O(%)の場合、COCl(%)=Cl(%)、そしてCOOH(%)=(O(%)−Cl(%))/2。
3) Cl(%)>O(%)の場合、COCl(%)=O(%)、そしてClは、COCl以外の形(たとえば脂肪族(C−Cl))で存在しているはずである。
【0077】
実施例5B.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを17枚載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.28W/l、Arの流量25sccm、AAClの流量200sccmで、60秒間、重合を行った。
【0078】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリアクリル酸塩化物(PAACl)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1445cm−1(脂肪族のC−H)。HMDSLANによるベースコーティングの強い吸収ピークが、実施例1Bで説明したHMDSLANに特徴的な吸収帯に観察された。
【0079】
結合とハイブリダイゼーション:アミンを端末とするオリゴ−DNAのプローブは、0.002nmol/cm2を超える量が、表面と結合することに成功した。この結果、プローブは、相補的オリゴ−DNAとのハイブリダイゼーションに成功した。
【0080】
実施例6.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを20枚載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.15mbar(15Pa)、電力密度2.1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、60秒間、重合を行った。
【0081】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリアクリル酸塩化物(PAACl)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)。しかし、1730〜1700cm−1の吸収帯でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0082】
実施例6B.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスAを載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、120秒間、重合を行った。同一のプラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたもう1枚のスライドガラスBを載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.100mbar(10.0Pa)、電力密度1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、120秒間、重合を行った。
【0083】
得られたコーティングの特徴:
スライドAとBのフーリエ変換した赤外線スペクトルの結果:次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリアクリル酸塩化物(PAACl)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1442cm−1(脂肪族のC−H)。さらに、スライドBのFTIRからは、1710cm−1での吸収ピークが認められた。これは、コーティングが、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含むことを示している。このピークはスライドAには見られない。スライドAとBのプラズマ重合のパラメータを比較すると、圧力を高くした方が、アクリル酸塩化物以外のカルボニル基が得られるようである。
【0084】
X線フォトンスペクトル(XPS):スライドAにおける約5nmの上方の初期組成(原子%);酸素11.9%、炭素73.7%、塩素14.4%。比較のため、スライドBの初期組成を示すと、酸素12.8%、窒素1.3%、炭素70.9%、塩素15.0%である。初期組成については、スライドAとBの間に大きな差異は見当たらない。
【0085】
実施例7.アミノ基が末端のモデル化合物の固定
実施例4の2枚のスライド(A1,A2)をXPSで分析した。同じバッチにあった他の2枚のスライド(B1,B2)は、ホウ酸緩衝液(pH=10)に入れた。同じバッチのさらに3枚のスライド(C1,C2,C3)も同様に、ホウ酸緩衝液(pH=10)に入れたが、この緩衝液には2−ブロモ−エチルアミンヒドロブロミド(BEA)を0.1モル/lの割合で添加した。特定の結合をしない比較例として、ポリスチレンをコーティングした2枚のスライド(D1,D2)を、ホウ酸緩衝液に0.7モル/lのBEAを添加したものと、脱イオン水にそれぞれ入れた。24時間後に、B1,B2,C1,C2,C3,D1およびD2を2時間脱イオン水で洗浄し、乾燥させた後XPSで分析した。結果(原子%)を下記の表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1からは、臭素は、BEAに晒し、かつAAClで処理した試料にのみ見られることが分かる。ポリスチレンに対する特別の結合は認められなかった。
【0088】
スライドB1,B2,C1,C2およびC3における塩素(Cl)と臭素(Br)の原子濃度を比較すると、スライドC1,C2,C3とBEAの間の結合反応は、スライドにおけるCl濃度のわずかな減少とBr濃度の0から0.3%への増加をもたらす。COCl基のBEAへの結合容量を計算する場合は、XPSの測定深度は典型的には5nmであること、および結合反応は、表面の単層においてのみ生起することを考慮に入れる。5nmが25枚の単層に相当すると仮定すると、BEAとの結合に先立ってXPSで測定したスライド上のCl原子%が10%の場合には結合反応が100%の効率で行われたとすると、表面に結合したBrは0.4%となる。表1から分かるように、結合反応が生起する前には、Clの濃度は11%であり(B1とB2の平均値)、反応後にはBrの濃度は0.3%になった(C1,C2およびC3の平均値)。これは、コーティングしたCOCl基の結合容量は、約70%であることを示しているが、これはかなり高い値である。
【0089】
実施例8.アクリル酸塩化物(AACl)とp−キシレン(pX)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを20枚載置した。AAClとpXのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.3W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量100sccm、pXの流量100sccmで、300秒間、重合を行った。
【0090】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(AACl−co−pX)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1611cm−1(芳香族のC−H)、1448cm−1(脂肪族のC−H)。しかし、1730〜1700cm−1でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、ポリ(AACl−co−pX)の外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0091】
実施例9.AAClの重合
得られるコーティングの組成と厚さに対するプロセスのパラメータの影響を、一連の実験によって調べた。
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、スライドガラスを2枚載置した。AAClとpXのプラズマ重合は、下記表2にある条件の下で行った。表2には、XPSによって得られたコーティングの初期組成(原子%)と、1700〜1800cm−1の吸収帯におけるFTIRの最大吸収ピークの高さΔAmax(コーティングの厚さを間接的に計測したもの)が含まれている。
【0092】
【表2】
【0093】
表2から、ケイ素と酸素の信号は減少し、ΔAmaxが増加(すなわちコーティングの厚さが増加)すると、炭素の信号も増加することが分かる。一般に、圧力が低くなり、そして処理時間が長くなると、コーティングの厚さは増加する。
【0094】
実施例9B.アクロレイン(アルデヒド官能価)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、3枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。アクロレインのプラズマ重合は、次の条件の下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.03W/l、Arの流量35ccm、H2の流量35sccm、アクロレインの流量200sccmで、60秒間。
【0095】
実施例9C.アクロレイン(アルデヒド官能価)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、17枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。ポリヘキセンのベースコーティングを実施例1Cと同様にして施した。ついで、グリシジルメタクリレートのプラズマ重合を、次の条件の下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.3W/l、Arを5ccmの流量で、600秒間グリシジルメタクリレートに通して泡立てた。
【0096】
実施例10.オリゴヌクレオチド(オリゴDNA)の固定
実施例4の2枚のスライドガラス(A1,A2)を用いた。実施例4でアクリル酸塩化物をプラズマで重合させたスライドガラスの表面に、以下の3種のオリゴヌクレオチドSGP1,SGP3およびSGP6を結合させた:
SGP1:5’TTT CAT CAT TAG TCG TCG GTC G−NH3
SGP3:5’TTT CAT CAT TAG TCG TCG GTC G−OH3
SGP6:5’TTT AAT CGA TGG ATA GTT ATT−ONH3。
【0097】
最初に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(ニュージーランドのBioLab社から入手)とともに、3つのオリゴに放射線標識を付した。酵素は、γP−32で標識を付したアデノシン三リン酸の末端ホスフェターゼ基が、オリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシレート末端に転移する際に触媒作用を及ぼす。この反応は、37℃で30分間行われた。標識を付したオリゴヌクレオチドは、エタノール中で沈殿させて生成し、冷却した70%エタノールで3回洗浄した後、0.85MのKH2PO4溶液にし、シリカゲルプレート(メルク社)上で薄層クロマトグラフィーにより分析した。
【0098】
標識を付したオリゴと標識を付さないオリゴ(標識を付さないオリゴは、相補的なオリゴ列へのハイブリダイゼーションに用いる。後記を参照)の試料を、1μl当り10pmolのオリゴヌクレオチドを含む50mMのホウ酸緩衝液(pH10.2)中で調製した。各6個の試料(SGP1,SGP3およびSGP6についてそれぞれ標識を付したものと付さないもの)について、1μlのスポットを2つスライドガラスの表面に垂らした(図1参照)。ついで、飽和塩化ナトリウム水溶液が底部にある封止した湿潤チャンバ内で、22℃で16時間培養した。図1に示すように、上段のスポットは、左から、放射線標識を付したオリゴヌクレオチドSGP1,SGP3およびSGP6であり、下段のスポットは、左から、放射線標識を付さないオリゴヌクレオチドSGP1,SGP3およびSGP6である。各オリゴは、並行してスポットをつくった。
【0099】
その後、スライドガラスは、洗浄液(50mMのエタノールアミン;0.1%のSDS;0.1MのTris)中で、50℃で5分間洗浄した。ついで、この洗浄液を廃棄し、新しい洗浄液を用いて、50℃で25分間2度目の洗浄を行った。最後に、スライドをMilli−Q水を用い、22℃で5分間洗浄し、乾燥した後、標識を付したオリゴのカップリングを、標識を付した各オリゴについての乾燥した参照試料とともに、50mMのホウ酸緩衝液(pH10.2)中で監視する。監視は、インスタント・イメージャ(パッカード社)を用いて行った。結果を図2に示す。nmol/cm2のオーダーでの結合容量が達成された。各オリゴ(図1参照)のスポットの強度は、参照試料(データは図示していない)と比較されるべきで、互いに比較されるべきものではないことに留意されたい。
【0100】
カップリングしたオリゴSGP1,SGP3およびSGP6の平均的な量は、それぞれ0.12nmol/cm2、0.004nmol/cm2、および0.004nmol/cm2であった。
【0101】
カップリングの後、スライドガラスは、下記オリゴSGP4(SGP1とSGP3とは相補的だが、SGP6とは相補的でない)との間でハイブリダイゼーションを生起させた:
SGP4:5’CGA CCG ACG ACT AAT GTT GAA A−OH3。
【0102】
ハイブリダイゼーションに先立って、オリゴSGP4に放射標識を付し、他のオリゴについて説明したのと同様に生成した。
【0103】
ハイブリダイゼーションは、50℃・相対湿度100%の下、5×SSC、0.1%のSDS、0.1μg/μlのサケの精子および0.02pmolの標識したオリゴSGP4の中で18時間行った。ハイブリダイゼーションの容量は180μlであり、ハイブリダイゼーション混合物は、カバー片で覆った。ハイブリダイゼーションの後は、スライドガラスは次のようにして洗浄した:50℃の下、2×SSC;0.1%のSDSの中で5分間、22℃の下、0.2×SSCの中で10分間、22℃の下、0.1×SSCの中で10分間、そして最後に22℃の下、Millie−Q水の中で2分間。ついで、スライドガラスを乾燥し、ハイブリダイゼーションをCyclone Storage Phosphorシステム(パッカード社)を用いて監視した。ハイブリダイゼーションの結果を図3に示す。オリゴSGP1とSGP3については、かなりの量のDNAハイブリダイゼーションが示されているが、ネガティブコントロールであるSGP6については、ハイブリダイゼーションは検知されない。
【0104】
結論として、生体高分子を基質表面に結合するためのモノマーが、プラズマ処理を介して基質の表面に付着されたことが示された。さらに、生体高分子が、一定の強度をもって、かつ他の生体高分子とのかなりの相互作用を可能にする立体配置で結合したことが示された。
【0105】
実施例10A.オリゴDNAの、アルデヒドおよびエポキシ官能基を有するスライドガラスに対する固定
実施例9Bに従って調製したアクロレインをプラズマ処理したガラススライドの表面、および実施例10と同じ結合手順で、実施例9Cに従って調製したグリシジルメタクリレートをプラズマ処理したガラススライドの表面に結合させるために、オリゴヌクレオチドを用いた。結合の結果を下記の表3に示す。
【表3】
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、生体高分子を固定する基質を調製する、比較的簡単で経済的にも実施可能な方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
スライドガラス(実施例4と10)上のスポット(上の列は結合用、下の列はハイブリダイゼーション用)の位置を示す平面図である。
【図2】
放射線標識を付したオリゴをスライド(実施例4と10)に結合させた様子を示す平面図である(結合容量は、0.004〜0.012nmol・cm−2である)。
【図3】
上述の結合したオリゴヌクレオチドに対するオリゴSGP4のハイブリダイゼーションを示す(実施例10)平面図である。
【図4a】
本発明を実施する際に用いる電極システムの正面図である。
【図4b】
本発明を実施する際に用いる電極システムの側面図である。
【符号の説明】
1 外側電極
2 内側電極
3 グリッド
【発明の属する技術分野】
本発明は、化合物、特に生体高分子、ならびにその類似物質および誘導体を固定するための固体基質を調製する方法に関する。この基質は、アミン、リン・エステル、チオールおよびヒドロキシルなどの、生体高分子の特定の基と反応することができる反応基を担持する。本発明はまた、そのような基質およびこの基質の使用にも関する。
【0002】
【従来の技術】
生体高分子(例えば、タンパク質、脂質、核酸、すべての細胞または細胞の断片)を固定する技術は多数存在するけれども、特に反応基が、さらなる活性化を必要とすることなく生体高分子と反応することができる、この目的に適した基質を求める声は依然として強い。
【0003】
生体高分子のような化合物を固定する基質の調製方法は、例えば特許文献1に記載されている。ここに記載されている方法は、光化学作用による固定である。同様の方法は、特許文献2および3にも記載されている。
【0004】
酸ハロゲン化物、酸無水物、エポキシド、アルデヒドなどは、アミン(特に第一級アミン)と反応することができる。したがって、これらの反応基は、生体高分子を固定すると特別な関連を有すると考えられる。しかし、本出願人が知る限り、そのような官能基を付した基質は、特に工業的な規模で生産するのは、非常に困難であった。
【0005】
特許文献4は、固体のポリマー材料の表面に放射線照射をして、照射した表面を、アミドと反応する不飽和のエチレン結合を有するモノマーで架橋し、そのアミドと反応する基を、アミンと反応する基に転換させる、アミンと反応するポリマーからなる表面を有する基質の調製方法を開示している。
【0006】
【特許文献1】
国際公開WO 96/31557号明細書
【特許文献2】
米国特許第4,973,493号明細書
【特許文献3】
米国特許第5,002,582号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,303,179号明細書
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、分子、例えば生体高分子を固定する基質を調製する、従来とは異なる方法を提供することである。特に、本発明は、上述の公知の方法に比して比較的簡単で経済的にも実施可能な、化合物を固定する官能基を含む基質の調製方法を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、基質の表面が、固定すべき化合物と結合する比較的高濃度の官能基を含むようにし、かつ比較的制御が簡単で、高品質で量産することができるようにした、化合物を固定する基質を調製する方法を提供することも、本発明の目的である。
【0009】
この外、本発明は、所望の活性な官能基を表面に有するように設計された、化合物を固定する、高品質の基質を提供することも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、特許請求の範囲により定義される本発明によって達成される。以下の説明から明らかになるように、本発明は、さらに利点を有する。
【0011】
低エネルギーのプラズマを用いて化合物を固定する基質を調製することによって、非常の高品質の基質が得られることが分かった。さらに、本発明の方法は、簡単で、経済的にも実施可能であり、基質の設計について高い柔軟性を備える。また、本発明の方法は、広範囲の化合物を固定する基質を調製することにも用いることができる。
【0012】
したがって、本発明は、プラズマ重合による層を基質の表面に形成するため、多相の交流または多相の直流によって生起されるプラズマ中でモノマーガスにより基質を処理する工程を含む、プラズマ重合により、固体基質の表面に形成される反応基を含む官能基を調製する新規な方法に関するものである。モノマーガスは、固体基質の表面に反応基を生成させる元になる1または2種以上のモノマーを含む。
【0013】
さらに、本発明は、生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体を固体基質の表面に結合するプロセスをも提供する。本発明のプロセスは、基質の表面に反応基を導入するための特許請求の範囲に定義した方法を用いて、基質の表面に官能基を導入する工程と、基質の反応基と、タンパク質、脂質、細胞もしくは細胞の断片または核酸もしくはその類似物質との間で反応を生起させるために基質の表面に、生体高分子またはまたはその類似物質もしくは誘導体を含む溶液を接触させる工程とを含む。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る、化合物を固定する固体基質を調製する方法は、基台となる基質を用意する工程と、この基台となる基質の表面をプラズマ中でモノマーガスにより処理する工程を含む。
【0015】
プラズマを用いて表面状態を変化させる技術は、この業界では一般的に知られている。例えば、米国特許第5,876,753号明細書には、RFプラズマ重合プロセスを用いて、フルオロカーボンフィルムを基質に適用する方法が開示されている。
【0016】
本発明によれば、多相の交流および多相の直流からなる群より選択される電源によって生起されるプラズマを適用すると、プラズマの強度が最大で5.0W/l、例えば3.0W/lのときに基質が高品質になることが明らかになった。
【0017】
基台となる固体基質は、層状の材料あるいは混合材料など、原則的には、どのような種類の材料またはその組み合わせてであってもよい。固体基質は、典型的には、ガラス、シリコーン樹脂、紙、炭素繊維、セラミックス、金属およびポリマー(例えば、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロカーボン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−コポリマー(FEP)、ポリビニル−ジフッ化物(PVDF)、ポリアミド(例えばナイロン−6,6およびナイロン−11)およびポリ塩化ビニル(PVC)のような他の熱可塑性樹脂、シリコーンゴムのようなゴム等から選択される材料からなる。現在のところ、好ましい材料は、伝統的に生化学においてよく用いられており、最も標準的な分析によく対応するポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、シリコーン樹脂およびガラスである。
【0018】
固体基質は、例えば、断片状、プレート状、スライドガラス状、エリザプレート状、計深棒状など、どのような形状をとることもできる。
【0019】
本発明においては、基質の表面または「基質表面」は、1またはそれ以上の小領域であってもよいことに留意すべきである。しかし、もちろん基質の全表面でもよい。また、基質は、各小領域ごとに、様々な反応基を含んだり、あるいは反応基の濃度を変えることができることに留意すべきである。したがって、基質は、その全部あるいは一部が、プラズマ処理の全工程あるいは一部の工程を通して被覆される。さらに、基質は、小領域ごとに被覆の状態が異なるように、2回またはそれ以上のプラズマ処理にかけることもできる。一般的には、プラズマ処理にかけられ、反応基が生成する基質表面は、少なくとも1my2、好ましくは少なくとも10my2、より好ましくは少なくとも100my2の面積を有するのが好ましい。用途によっては、プラズマ処理にかけられ、反応基が生成する基質表面は、0.01〜100cm2、またはこれより大きな面積を有する。
【0020】
基質表面は、その特性、例えばプラズマ重合された層との付着特性、あるいはその疎水性を変化させるために予めコーティング(プリコート)する。このプリコートは、例えばプラズマ重合によって行うことができる。プリコートは、基質本来の表層上に、ほぼ均質なポリマー層を形成するのが好ましい。例えば、基質の表面は、ポリスチレンのプラズマ重合層でプリコートすることができる(実施例1参照)。
【0021】
本発明において特に好ましい反応基は、生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体(以下、併せて「生体高分子」と呼称する)と反応することができる反応基である。反応は、反応基と化合物の間で、好ましくはイオン結合、より好ましくは共有結合を生起させる。生体高分子は、通常アミノ基、ヒドロキシ基、チオ基、リン酸エステル等の反応を起こす箇所を含むが、そうでなければ、特に第一級アミンなどのアミンのような基を含むように誘導体を生成させることもできる。特に、そのような生体高分子のアミンは、本発明によって固体基質に固定する際には、特に有用である。
【0022】
固体基質の表面に生成される反応基は、生体高分子、好ましくはタンパク質または核酸と、熱、紫外線、電子ビーム、マイクロ波、超音波等の外部からのエネルギー供給を必要としない液相反応により反応して、これに結合することができる反応基であるのが好ましい。典型的には、このような結合反応は、pH緩衝剤、塩、カーボジイミド等、生体高分子の結合の分野で当業者に公知の他の添加剤を含むこともある水溶液中、またはアセトニトリル、テトラヒドロフラン、クルロホルム、ジクロメタン、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中、もしくは生体高分子の結合の分野で当業者に公知の添加剤を含むことのある2種またはそれ以上の有機溶媒の混合液中で行われる。
【0023】
特に関心を引く官能基の例としては、酸無水物(特にカルボン酸無水物)、酸ハロゲン化物、酸ヨウ化物、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸、チオール、ニトニル、第一級および第二級アミン、リン酸エステル、特に酸無水物、酸ハロゲン化物、エポキシドおよびアルデヒドがある。特に、関心を引く反応基は、酸無水物と酸ハロゲン化物(例えば酸塩化物)およびエポキシドである。これら後者の反応基は、生体高分子(またはその類似物質もしくは誘導体)のアミノ基との反応に特に適している。
【0024】
「生体高分子」の語は、最も広い意味に解すべきである。生体高分子の例としては、これらに制限する意図はないが、タンパク質、脂質、核酸(例えばRNA、DNAなど)、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドの類似物質(例えばPNA、LNA等)およびこれらの誘導体、ならびに細胞、微生物がある。特に関心を引く誘導体は、ここで述べたようにして調製した固体基質に結合するのに適したアミノ基を含む誘導体である。その外、特に関心を引く基は、チオ基およびホスフェート基である。
【0025】
反応基に戻ると、前述の特に関心を引く反応基は、例えばカップリング試薬を用いるなど、その生体高分子の反応基を活性化する必要がなく、生体高分子と容易に反応することができるものであることが明らかになった。
【0026】
本発明の方法は、固体基質の表面に反応基を導入するため、基質を、その表面にプラズマ重合される1種またはそれ以上のモノマーを含むモノマーガスとともに、プラズマ中で処理する工程を含む。
【0027】
モノマーは、固体基質に反応基を導入する基に加えて、重合可能な基を含む場合が非常に多い。そのような重合可能な基は、典型的には、ビニル基、プロペン−1−イル、プロペン−2−イル、アセチレンなどのエチレン性不飽和基、およびモノ−、ジ−、またはトリ−置換芳香族化合物から選択される。このモノマーは、主として重合を目的とした1種を超える基(例えばアクリル酸無水物)、および基質に反応基を導入することを目的とした1種を超える基(例えば1,2−ジ−チオール−ベンゼン)を含む場合があることに留意すべきである。
【0028】
有用なモノマーの例としては、メタクリル酸無水物、アクリル酸塩化物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸無水物、4−ペンタン酸無水物、メタクリル酸塩化物、アクロレイン、メタクロレイン、1,2−エポキシ−5−ヘキサン、グリシジルメタクリレート、アリルアミンおよびアリルメルカプタンがある。本発明の場合、好ましいモノマーは、メタクリル酸無水物、アクリル酸、アクリル酸塩化物、アクロレインおよびグリシジルメタクリレートである。
【0029】
モノマーガスは、1種を超える官能基性のモノマーを含む。
【0030】
上に挙げた種類のモノマーは、官能基を有するように調製される固体基質の表面張力に大きな影響を与える。モノマーとして用いられる酸無水物は、通常、基質の表面をきわめて親水性のものにし、他方、酸ハロゲン化物は、基質の表面をきわめて疎水性のものにする。きわめて疎水性となった表面は、官能基を有する表面ながら、生体高分子の水溶液を接触させるのがより困難になる。他方、非常に親水性となった表面は、少量の水溶液を垂らして正確にスポットをつくるのが困難である。そこで、特性が変化したコポリマー、すなわち生体高分子を含む溶液とよりバランスのとれた表面になるようにするコポリマーを調製するため、モノマーガスの中に特性を変化させるモノマーを含ませるのが好ましい。特性を変化させるモノマーは、例えば、特別な反応開始の操作なしで生体高分子と反応する基を有しないものとすることができる。
【0031】
このような、表面張力を調整するために用いられるモノマーの例としては、比較的疎水性のモノマー(例えばペルフルオロヘキセン、ペルフルオロメチルペンテン、ヘキセン、ペンテン、プロペン、エチレン、シクロヘキセン、アセチレン、スチレン、キシレン、ビニルボルネン、テトラ−メチルシラン、ヘキサメチル−ジ−シラン等)、および比較的親水性のモノマー(例えばビニルアセテート、ビニルピロリドン、エチレングリコールビニルエーテル、ジエチレングルコールビニルエーテル、メタクリレート、メチルメタクリレート、アリルアルコール等)がある。
【0032】
例としては、酸無水物(親水性)は、ヘキセンまたはスチレンなどの疎水性モノマーと都合よく組み合わせることができる。他方、酸塩化物(疎水性)は、酢酸ビニル(親水性)と都合よく組み合わせることができる。
【0033】
上述の種類のモノマーはまた、官能基を有する固体基質の機械的な強度にも大きな影響を与える。その反応基がモノマーの主要な部分を構成するモノマーは、通常基質表面の機械的強度をかなりの程度弱くする。したがって、コポリマーの機械的強度をより強くする他の種類のモノマー(非反応性のもの)を、モノマーガスに含めるのが好ましい。
【0034】
例として、酸ハロゲン化物は、ヘキセン、スチレンまたはキシレン(疎水性)のような機械強度を与えるモノマー、またはビニルアセテート(親水性)もしくはメチルメタクリレートと、好ましく組み合わせることができる。
【0035】
好ましい実施形態においては、モノマーガスはさらに、1種またはそれ以上のモノマーとのプラズマ重合の後にコポリマーを生成させる第2のモノマー(上述の親水性、疎水性または機械強度を付与するモノマー)を含む。
【0036】
上述のような第2のモノマーを用いる場合、「反応性」モノマーと疎水性/親水性の機械強度を付与するモノマーとの間の相対的なモル比は、例えば1:1〜1:100モル/モルの範囲である。
【0037】
本発明の方法において有用なプラズマ反応チャンバは、特許請求の範囲に定義したような所望のプラズマを発生させることができるなら、基本的にはどのような型の物でもよい。使用可能な反応チャンバは、本出願人による先行特許出願WO第00/44207号に記載したもの、または欧州特許第0 741 404B1号に記載された電極システムを用いたものである。
【0038】
本発明の技術思想において有利に用いることができるプラズマのタイプは、多相の交流または直流によって生起されるものである。このタイプのプラズマは、高いエネルギー準位にあり、反応基のかなりの部分をそのまま保存することができる。例えば大きくても5W/l、例えば3W/lという十分に低いエネルギーを用いることができる二相または三相の交流プラズマが特に有利である。プラズマのエネルギー強度は、好ましくは大きくても2.0W/l、より好ましくは最大で1.7W/l、さらに好ましくは最大で1.5W/lであり、特に好ましいのは最大で1.0W/l、最も好ましいのは最大で0.7W/lである。プラズマの強度は、最も好ましくは0.5〜2.0W/lがよい。以下の実施例においては、このような驚くほど低エネルギーのプラズマでも、非常に有用な官能基を有する基質が得られることが示されている。
【0039】
反応チャンバの圧力は、通常は10〜1000μbar(1〜100Pa)、例えば25〜500μbar(2.5〜50Pa)、あるいは20〜300μbar(2〜30Pa)である。反応チャンバ内の圧力は、ガス流減圧バルブを備えることのある真空ポンプと、モノマーガスとキャリアガス(不活性ガスもしくは反応性のガスまたはこれらの混合物)の供給によって制御される。不活性のキャリアガスは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンまたはこれらの混合物のような希ガスが好適である。反応性のキャリアガスは、水素、酸素、フッ素、塩素またはこれらの混合物からなる群より選択するのが好ましい。
【0040】
したがって、プラズマ反応チャンバは、ここで述べた指示に従って、当業者には自明の修正を加えながら、改良することができる。
【0041】
モノマーの濃度および、処理に要する時間の総計は、少なくとも約5オングストローム(50nm)、例えば10〜1000オングストローム(100〜10000nm)またはそれ以上の厚さを有するプラズマ重合された層をもつ、基台となる基質表面をつくり出すのに十分なものであることが好ましい。
【0042】
プラズマ重合プロセスは、通常1〜1000秒間、例えば10〜100秒間行われる。
【0043】
プラズマ重合された層は、典型的にはほぼ均一な厚さを有する。層の厚さは、1〜1000nmまたは10〜1000nmのように、一般的には5〜5000nm、典型的には5〜50nmのように10〜200nmである。
【0044】
本発明の方法は、プラズマに導入されるモノマーガスによって与えられる、少なくとも3モル%のように、好ましくは少なくとも1モル%、例えば少なくとも5モル%の反応基が、基質の表面、すなわち重合された層に存在するような表面(重合された層)をつくり出すのに用いることができる。本発明の一実施形態においては、重合された層における反応基の、例えば5もしくは25%またはそれ以上の分画が、生体高分子との反応に与ることができ、他の基は、プラズマ重合された層に埋没する。
【0045】
したがって、本発明は、上で説明した方法の外、上で定義した方法によって得られる基質も提供する。このような基質は、酸無水物、酸ハロゲン化物(酸塩化物など)、カルボン酸、エポキシド、アルデヒドおよびチオール、好ましくは酸無水物、エポキシドおよび酸ハロゲン化物、特に酸無水物、エポキシドおよび酸塩化物からなる群より選択される、プラズマ重合されたモノマーを含むのが好ましい。そのような基質は、少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能な反応基濃度を有するのが好ましい。
【0046】
特に好ましい基質は次のものである:
−少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能な酸無水物基濃度を有する、酸無水物を含む基質;
−少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能な酸ハロゲン基濃度を有する、酸ハロゲン化物を含む基質;および
−少なくとも0.001nmol/cm2の化学反応にアクセス可能なエポキシ基濃度を有する、エポキシ性官能基を含む基質。
【0047】
生体高分子とは別に、他の分子、例えば低分子量の分子も、ここで述べたように調製した基質と結合することができる。したがって、この基質は、ペプチド、アミノ基などの有機スペーサを固定するのに用いることができる。
【0048】
本発明のさらなる様相は、次の工程を含む、化合物を固体基質の表面に固定するプロセスに関する:
(i)上述の基質を用意し、適宜この基質表面にある反応基を活性化する工程;および
(ii)基質の反応基と化合物の間で反応を生起させるため、基質の表面にその化合物を含む溶液を接触させ、固定する工程。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、タンパク質、核酸またはその類似物質を含む溶液は、カップリング剤を含まない。すなわち、基質の反応基と生体高分子(またはその類似物質もしくは誘導体)の間の反応は、活性化なしで起こる。
【0050】
一般的に、基質表面の反応基が活性化を必要としないこと、したがってプロセスがそのような活性化工程を必要としないことは好ましいことである。
【0051】
好ましくは、反応基は、上述の生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体からなる群から選択するべきである。好ましい化合物は、タンパク質、脂質、核酸またはその類似物質もしくはその混合物である。
【0052】
このようなプロセスは、反応に与らなかった生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体を除去し、あるいは反応に与らなかった反応基を不活性化するため、基質の表面を洗浄するという後処理を含む。
【0053】
疎水性が適当なものに調整されたときは、例えば10cm2未満の同一の基質上に、異なる生体高分子の多数(例えば10〜1000またはそれ以上)の分離したスポットを提供することが可能になる。
【0054】
以下に、本発明を、添付の図面と実施例を用いてさらに詳しく説明する。
【0055】
実施例1.スチレン(S)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、20枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。各スライドガラスは、次の条件の下に、3つの工程にかけた:1)アルゴン(Ar)プラズマ、圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度2.1W/l、Arの流量40標準cm3/min(sccm)で、60秒間、2)水素プラズマ、圧力0.025mPa、電力密度2W/l、H2の流量40sccmで、60秒間、3)重合0.050mbar、電力密度0.2W/l、Arの流量10sccm、Sの流量200sccmで、60秒間。
【0056】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角が90°であった。未処理のスライドガラスの比較値は、10°であった。
【0057】
フーリエ変換した赤外線スペクトル(FTIR)の結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリスチレンの存在が証明された:3100〜3000cm−1(芳香族のC−H)、3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1601cm−1(芳香族のC−C)、1451cm−1(脂肪族のC−H)。
【0058】
実施例1B.ヘキサメチルジシラン(HMDSLAN)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、17枚のスライドガラスを載置した。各スライドガラスは、次の条件の下に、3つの工程にかけた:1)アルゴン(Ar)プラズマ、圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度5.9W/l、Arの流量50標準cm3/min(sccm)で、60秒間、2)アルゴン/水素(Ar/H2)プラズマ、圧力0.025mPa、電力密度6W/l、Arの流量35sccm、H2の流量15sccmで、60秒間、3)重合0.025mbar、電力密度6W/l、Arの流量35sccm、HMDSLANの流量100sccmで、60秒間。
【0059】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角が90°〜120°であった。未処理のスライドガラスの比較値は、10°であった。
【0060】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリヘキサメチルジシランの存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、2170〜2140cm−1(Si−H)、1270〜1250cm−1(Si−CH3)、1030〜1010cm−1(Si−CH2−Si)、810〜790cm−1(Si−H)。
【0061】
実施例1C.ヘキセン(Hex)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システム(135リットル)を備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、22枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。各スライドガラスは、次の条件の下に、3つの工程にかけた:1)アルゴン(Ar)プラズマ、圧力0.013mbar(1.3Pa)、電力密度3.3W/l、Arの流量25sccmで、60秒間、2)Ar/H2プラズマ、圧力0.013mPa、電力密度2.0W/l、Arの流量17sccm、H2の流量7sccmで、60秒間、3)重合0.013mbar、電力密度約3.9W/l、Arの流量25sccm、Hexの流量100sccmで、15秒間。
【0062】
実施例2.メタクリル酸(MA)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを24枚載置した。MAのプラズマ重合は次のようにして行った。10sccmのArをMAを通して泡立て、チャンバに供給する。そして、圧力0.010mbar(1.0Pa)、電力密度4.8W/lで、300秒間、重合を行った。
【0063】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角は10°未満であった。ポリスチレンでコーティングしたスライドガラスの比較値は、90°であった。
【0064】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(メタクリル酸)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1720〜1700cm−1(カルボン酸)、1451cm−1(脂肪族のC−H)。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0065】
実施例3.メタクリル酸無水物(MAAH)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを10枚載置した。MAAHのプラズマ重合は次のようにして行った。5sccmのArをMAを通して泡立て、チャンバに供給する。そして、圧力0.30mbar(30Pa)、電力密度2.7W/lで、300秒間、重合を行った。
【0066】
得られたコーティングの特徴:
脱イオン水との前進方向の接触角は30°であった。一方、ポリスチレンでコーティングしたスライドガラスの比較値は、90°であった。
【0067】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(メタクリル酸無水物)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1800〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1451cm−1(脂肪族のC−H)。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0068】
実施例4.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを60枚載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.1mbar(10Pa)、電力密度2.1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、60秒間、重合を行った。
【0069】
得られたコーティングの特徴:
【0070】
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(アクリル酸塩化物)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1445cm−1(脂肪族のC−H)。しかし、1730〜1700cm−1でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0071】
実施例5.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、スライドガラスを20枚載置した。電極の配置は、それぞれ正面図と側面図である図4aと図4bに示してある。この電極配置は、2つの同心状の電極1と2、すなわち外側電極1と、この外側電極1によって周囲を取り囲まれた内側電極2を含む。外側電極1は、厚さ0.5mmのステンレススチールからなり、断面がほぼ楕円形のチューブ(幅500mm、高さ240mmおよび長さ1000mm)を形成するようにプレートを湾曲させたものである。内側電極2は、厚さ1mmのステンレススチールからなり、断面がほぼ楕円形のチューブ(幅360mm、高さ100mmおよび長さ1000mm)を形成するようにプレートを湾曲させたものである。基質は、内側電極2内の対称な平面位置にあって、電極1,2から電気的に隔離されたステンレススチール製のグリッド3に載置される。
【0072】
AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.18W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、120秒間、重合を行った。
【0073】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(アクリル酸塩化物)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1445cm−1(脂肪族のC−H)。しかし、1730〜1700cm−1でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0074】
X線フォトンスペクトル(XPS):約5nmの上方の初期組成(原子%);酸素13%、窒素1.5%、炭素71.7%、塩素13.2%。モノマーの組成は酸素20%、炭素60%および塩素20%である。したがって、モノマーは化学量論比からみると、重合されていない。しかし、塩素のかなりの量が、得られたコーティングに見られた。そしてより重要なのは、塩素の酸素に対する比が、酸塩化物の場合のように、1:1に近いということである。
【0075】
XPSのデータの解釈:酸素(%)と塩素(%)の初期組成からCOClとCOOHの濃度を推定すると、次の通りである。
仮にフーリエ変換した赤外線スペクトル(FTIR)がCOCl(1780〜1740cm−1)とCOOH(1730〜1710cm−1以下)のみ示し、他のカルボニル基(−C=O:1800〜1700cm−1)の存在を示さない場合、COClとCOOHの濃度は、酸素と塩素の初期組成から推定することができる。
【0076】
スライドガラスの表面の推定値は、すべてコーティングの値によって求められる(すなわちSi(%)=0とする)。
1) Cl(%)=O(%)の場合、COCl(%)=Cl(%)=O(%)、そしてCOOH(%)=0。
2) Cl(%)<O(%)の場合、COCl(%)=Cl(%)、そしてCOOH(%)=(O(%)−Cl(%))/2。
3) Cl(%)>O(%)の場合、COCl(%)=O(%)、そしてClは、COCl以外の形(たとえば脂肪族(C−Cl))で存在しているはずである。
【0077】
実施例5B.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを17枚載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.28W/l、Arの流量25sccm、AAClの流量200sccmで、60秒間、重合を行った。
【0078】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリアクリル酸塩化物(PAACl)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1445cm−1(脂肪族のC−H)。HMDSLANによるベースコーティングの強い吸収ピークが、実施例1Bで説明したHMDSLANに特徴的な吸収帯に観察された。
【0079】
結合とハイブリダイゼーション:アミンを端末とするオリゴ−DNAのプローブは、0.002nmol/cm2を超える量が、表面と結合することに成功した。この結果、プローブは、相補的オリゴ−DNAとのハイブリダイゼーションに成功した。
【0080】
実施例6.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
EP 0 741 404B1号に記載されたような三相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを20枚載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.15mbar(15Pa)、電力密度2.1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、60秒間、重合を行った。
【0081】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリアクリル酸塩化物(PAACl)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)。しかし、1730〜1700cm−1の吸収帯でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0082】
実施例6B.アクリル酸塩化物(AACl)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスAを載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、120秒間、重合を行った。同一のプラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたもう1枚のスライドガラスBを載置した。AAClのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.100mbar(10.0Pa)、電力密度1W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量200sccmで、120秒間、重合を行った。
【0083】
得られたコーティングの特徴:
スライドAとBのフーリエ変換した赤外線スペクトルの結果:次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリアクリル酸塩化物(PAACl)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1442cm−1(脂肪族のC−H)。さらに、スライドBのFTIRからは、1710cm−1での吸収ピークが認められた。これは、コーティングが、PAAClの外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含むことを示している。このピークはスライドAには見られない。スライドAとBのプラズマ重合のパラメータを比較すると、圧力を高くした方が、アクリル酸塩化物以外のカルボニル基が得られるようである。
【0084】
X線フォトンスペクトル(XPS):スライドAにおける約5nmの上方の初期組成(原子%);酸素11.9%、炭素73.7%、塩素14.4%。比較のため、スライドBの初期組成を示すと、酸素12.8%、窒素1.3%、炭素70.9%、塩素15.0%である。初期組成については、スライドAとBの間に大きな差異は見当たらない。
【0085】
実施例7.アミノ基が末端のモデル化合物の固定
実施例4の2枚のスライド(A1,A2)をXPSで分析した。同じバッチにあった他の2枚のスライド(B1,B2)は、ホウ酸緩衝液(pH=10)に入れた。同じバッチのさらに3枚のスライド(C1,C2,C3)も同様に、ホウ酸緩衝液(pH=10)に入れたが、この緩衝液には2−ブロモ−エチルアミンヒドロブロミド(BEA)を0.1モル/lの割合で添加した。特定の結合をしない比較例として、ポリスチレンをコーティングした2枚のスライド(D1,D2)を、ホウ酸緩衝液に0.7モル/lのBEAを添加したものと、脱イオン水にそれぞれ入れた。24時間後に、B1,B2,C1,C2,C3,D1およびD2を2時間脱イオン水で洗浄し、乾燥させた後XPSで分析した。結果(原子%)を下記の表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1からは、臭素は、BEAに晒し、かつAAClで処理した試料にのみ見られることが分かる。ポリスチレンに対する特別の結合は認められなかった。
【0088】
スライドB1,B2,C1,C2およびC3における塩素(Cl)と臭素(Br)の原子濃度を比較すると、スライドC1,C2,C3とBEAの間の結合反応は、スライドにおけるCl濃度のわずかな減少とBr濃度の0から0.3%への増加をもたらす。COCl基のBEAへの結合容量を計算する場合は、XPSの測定深度は典型的には5nmであること、および結合反応は、表面の単層においてのみ生起することを考慮に入れる。5nmが25枚の単層に相当すると仮定すると、BEAとの結合に先立ってXPSで測定したスライド上のCl原子%が10%の場合には結合反応が100%の効率で行われたとすると、表面に結合したBrは0.4%となる。表1から分かるように、結合反応が生起する前には、Clの濃度は11%であり(B1とB2の平均値)、反応後にはBrの濃度は0.3%になった(C1,C2およびC3の平均値)。これは、コーティングしたCOCl基の結合容量は、約70%であることを示しているが、これはかなり高い値である。
【0089】
実施例8.アクリル酸塩化物(AACl)とp−キシレン(pX)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、ポリスチレンをコーティングしたスライドガラスを20枚載置した。AAClとpXのプラズマ重合は次のような条件下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.3W/l、Arの流量10sccm、AAClの流量100sccm、pXの流量100sccmで、300秒間、重合を行った。
【0090】
得られたコーティングの特徴:
フーリエ変換した赤外線スペクトルの結果、次の吸光帯での吸収ピークにより、ポリ(AACl−co−pX)の存在が証明された:3000〜2800cm−1(脂肪族のC−H)、1780〜1740cm−1(カルボン酸無水物)、1611cm−1(芳香族のC−H)、1448cm−1(脂肪族のC−H)。しかし、1730〜1700cm−1でかなりの吸収がみられたため、コーティングは、ポリ(AACl−co−pX)の外に、カルボン酸、エステル、ケトンなど他のカルボニル基も含んでいる。さらに、4000〜3000cm−1の広い吸収ピークがヒドロキシルおよび/またはカルボン酸の存在を示している。
【0091】
実施例9.AAClの重合
得られるコーティングの組成と厚さに対するプロセスのパラメータの影響を、一連の実験によって調べた。
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、スライドガラスを2枚載置した。AAClとpXのプラズマ重合は、下記表2にある条件の下で行った。表2には、XPSによって得られたコーティングの初期組成(原子%)と、1700〜1800cm−1の吸収帯におけるFTIRの最大吸収ピークの高さΔAmax(コーティングの厚さを間接的に計測したもの)が含まれている。
【0092】
【表2】
【0093】
表2から、ケイ素と酸素の信号は減少し、ΔAmaxが増加(すなわちコーティングの厚さが増加)すると、炭素の信号も増加することが分かる。一般に、圧力が低くなり、そして処理時間が長くなると、コーティングの厚さは増加する。
【0094】
実施例9B.アクロレイン(アルデヒド官能価)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、3枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。アクロレインのプラズマ重合は、次の条件の下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.03W/l、Arの流量35ccm、H2の流量35sccm、アクロレインの流量200sccmで、60秒間。
【0095】
実施例9C.アクロレイン(アルデヒド官能価)の重合
PCT/DK01/00714に記載されたような二相電極システムを備えた、300リットルの円筒形プラズマチャンバに、17枚のスライドガラス(1インチ(2.54cm)×3インチ(7.66cm))を載置した。ポリヘキセンのベースコーティングを実施例1Cと同様にして施した。ついで、グリシジルメタクリレートのプラズマ重合を、次の条件の下で行った:圧力0.025mbar(2.5Pa)、電力密度0.3W/l、Arを5ccmの流量で、600秒間グリシジルメタクリレートに通して泡立てた。
【0096】
実施例10.オリゴヌクレオチド(オリゴDNA)の固定
実施例4の2枚のスライドガラス(A1,A2)を用いた。実施例4でアクリル酸塩化物をプラズマで重合させたスライドガラスの表面に、以下の3種のオリゴヌクレオチドSGP1,SGP3およびSGP6を結合させた:
SGP1:5’TTT CAT CAT TAG TCG TCG GTC G−NH3
SGP3:5’TTT CAT CAT TAG TCG TCG GTC G−OH3
SGP6:5’TTT AAT CGA TGG ATA GTT ATT−ONH3。
【0097】
最初に、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(ニュージーランドのBioLab社から入手)とともに、3つのオリゴに放射線標識を付した。酵素は、γP−32で標識を付したアデノシン三リン酸の末端ホスフェターゼ基が、オリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシレート末端に転移する際に触媒作用を及ぼす。この反応は、37℃で30分間行われた。標識を付したオリゴヌクレオチドは、エタノール中で沈殿させて生成し、冷却した70%エタノールで3回洗浄した後、0.85MのKH2PO4溶液にし、シリカゲルプレート(メルク社)上で薄層クロマトグラフィーにより分析した。
【0098】
標識を付したオリゴと標識を付さないオリゴ(標識を付さないオリゴは、相補的なオリゴ列へのハイブリダイゼーションに用いる。後記を参照)の試料を、1μl当り10pmolのオリゴヌクレオチドを含む50mMのホウ酸緩衝液(pH10.2)中で調製した。各6個の試料(SGP1,SGP3およびSGP6についてそれぞれ標識を付したものと付さないもの)について、1μlのスポットを2つスライドガラスの表面に垂らした(図1参照)。ついで、飽和塩化ナトリウム水溶液が底部にある封止した湿潤チャンバ内で、22℃で16時間培養した。図1に示すように、上段のスポットは、左から、放射線標識を付したオリゴヌクレオチドSGP1,SGP3およびSGP6であり、下段のスポットは、左から、放射線標識を付さないオリゴヌクレオチドSGP1,SGP3およびSGP6である。各オリゴは、並行してスポットをつくった。
【0099】
その後、スライドガラスは、洗浄液(50mMのエタノールアミン;0.1%のSDS;0.1MのTris)中で、50℃で5分間洗浄した。ついで、この洗浄液を廃棄し、新しい洗浄液を用いて、50℃で25分間2度目の洗浄を行った。最後に、スライドをMilli−Q水を用い、22℃で5分間洗浄し、乾燥した後、標識を付したオリゴのカップリングを、標識を付した各オリゴについての乾燥した参照試料とともに、50mMのホウ酸緩衝液(pH10.2)中で監視する。監視は、インスタント・イメージャ(パッカード社)を用いて行った。結果を図2に示す。nmol/cm2のオーダーでの結合容量が達成された。各オリゴ(図1参照)のスポットの強度は、参照試料(データは図示していない)と比較されるべきで、互いに比較されるべきものではないことに留意されたい。
【0100】
カップリングしたオリゴSGP1,SGP3およびSGP6の平均的な量は、それぞれ0.12nmol/cm2、0.004nmol/cm2、および0.004nmol/cm2であった。
【0101】
カップリングの後、スライドガラスは、下記オリゴSGP4(SGP1とSGP3とは相補的だが、SGP6とは相補的でない)との間でハイブリダイゼーションを生起させた:
SGP4:5’CGA CCG ACG ACT AAT GTT GAA A−OH3。
【0102】
ハイブリダイゼーションに先立って、オリゴSGP4に放射標識を付し、他のオリゴについて説明したのと同様に生成した。
【0103】
ハイブリダイゼーションは、50℃・相対湿度100%の下、5×SSC、0.1%のSDS、0.1μg/μlのサケの精子および0.02pmolの標識したオリゴSGP4の中で18時間行った。ハイブリダイゼーションの容量は180μlであり、ハイブリダイゼーション混合物は、カバー片で覆った。ハイブリダイゼーションの後は、スライドガラスは次のようにして洗浄した:50℃の下、2×SSC;0.1%のSDSの中で5分間、22℃の下、0.2×SSCの中で10分間、22℃の下、0.1×SSCの中で10分間、そして最後に22℃の下、Millie−Q水の中で2分間。ついで、スライドガラスを乾燥し、ハイブリダイゼーションをCyclone Storage Phosphorシステム(パッカード社)を用いて監視した。ハイブリダイゼーションの結果を図3に示す。オリゴSGP1とSGP3については、かなりの量のDNAハイブリダイゼーションが示されているが、ネガティブコントロールであるSGP6については、ハイブリダイゼーションは検知されない。
【0104】
結論として、生体高分子を基質表面に結合するためのモノマーが、プラズマ処理を介して基質の表面に付着されたことが示された。さらに、生体高分子が、一定の強度をもって、かつ他の生体高分子とのかなりの相互作用を可能にする立体配置で結合したことが示された。
【0105】
実施例10A.オリゴDNAの、アルデヒドおよびエポキシ官能基を有するスライドガラスに対する固定
実施例9Bに従って調製したアクロレインをプラズマ処理したガラススライドの表面、および実施例10と同じ結合手順で、実施例9Cに従って調製したグリシジルメタクリレートをプラズマ処理したガラススライドの表面に結合させるために、オリゴヌクレオチドを用いた。結合の結果を下記の表3に示す。
【表3】
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、生体高分子を固定する基質を調製する、比較的簡単で経済的にも実施可能な方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
スライドガラス(実施例4と10)上のスポット(上の列は結合用、下の列はハイブリダイゼーション用)の位置を示す平面図である。
【図2】
放射線標識を付したオリゴをスライド(実施例4と10)に結合させた様子を示す平面図である(結合容量は、0.004〜0.012nmol・cm−2である)。
【図3】
上述の結合したオリゴヌクレオチドに対するオリゴSGP4のハイブリダイゼーションを示す(実施例10)平面図である。
【図4a】
本発明を実施する際に用いる電極システムの正面図である。
【図4b】
本発明を実施する際に用いる電極システムの側面図である。
【符号の説明】
1 外側電極
2 内側電極
3 グリッド
Claims (21)
- 基台となる基質を用意する工程と、プラズマ中で前記基台となる基質の表面をモノマーガスで処理する工程とを含む、化合物、特に生体高分子を固定する固体基質を調製する方法であって、
前記プラズマは多相交流および多相直流からなる群より選択される電源によって生起され、プラズマの強度は多くても3.0W/lのように、多くても5.0W/lであり、前記モノマーガスは、前記固体基質の表面にプラズマ重合されて、その表面に反応基を付与する1種またはそれ以上のモノマーを含み、前記モノマーの濃度と処理時間は、好ましくは基台となる基質の表面に、10〜1000オングストロームのように、好ましくは少なくとも約5オングストロームの厚さのプラズマ重合層を形成するのに十分なものである方法。 - 前記反応基は、酸無水物、酸ハロゲン化物、エポキシド、アルデヒド、カルボン酸およびチオールからなる群より選択される請求項1記載の方法。
- 前記モノマーは、好ましくは反応基をさらに活性化することなく、生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体と反応することができる反応基を含む請求項1または2記載の方法。
- 前記反応基は前記生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体のアミノ基と反応することができ、好ましくは前記生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体のアミノ基と反応してイオン結合、より好ましくは共有結合を形成することができる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 前記モノマーガスとともに前記プラズマ中に導入される前記反応基の、少なくとも3モル%のような、少なくとも1モル%、例えば少なくとも5モル%は、前記基質の表面に重合される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 前記基質表面の反応基の密度は、少なくとも1cm2当り0.005nmolのように、少なくとも1cm2当り0.001nmol、例えば少なくとも1cm2当り0.01nmolである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 前記モノマーは、カルボン酸(例えばアクリル酸、メタクリル酸)、酸無水物(例えばアクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、4−ペンタン酸無水物)、酸ハロゲン化物(例えばアクリル酸塩化物、メタクリル酸塩化物)、アルデヒド(例えばアクロレイン、メタクロレイン)、エポキシド(例えば1,2−エポキシ−5−ヘキセン、グリシジルメタクリレート)およびチオール(例えば1−プロパンチオール、1,2−ジーチオール−ベンゼン)ならびにこれらの混合物からなる群より選択される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 前記プラズマの強度は、多くても1.5W/lのように、多くても2.0W/l、例えば多くても1.0W/lであり、好ましくは多くても1.2W/l、特に多くても1.7W/lであり、最も好ましくは多くても0.7W/lである請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 前記プラズマは、二相または三相の交流など、多相の交流によって生起される請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 前記基質は、ポリマー、ガラス、紙、炭素繊維、セラミックス、金属およびこれらの混合物からなる群より選択され、好ましくはガラスである請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 前記基質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)のようなポリオレフィン、およびテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラ−フルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−コポリマー(FEP)、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、ポリアミド(例えばナイロン−6,6およびナイロン−11)のような他の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ならびにゴム(例えばシリコーンゴム)からなる群より選択される1種またはそれ以上のポリマーを含むポリマー材料を含むかまたは実質的にこれらからなり、好ましくはポリエチレン(PE)または、ポリスチレン(PS)である請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- 前記モノマーガスは、コポリマーを形成して前記基質上にプラズマ重合される、互いに異なる第1および第2のモノマーを含む請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の方法によって得られる基質。
- 基質表面における反応基の密度が、1cm2当り少なくとも0.001nmolである請求項13記載の基質。
- 基質表面における酸無水物の密度が、1cm2当り少なくとも0.001nmolである基質。
- 基質表面におけるエポキシ基の密度が、1cm2当り少なくとも0.001nmolである基質。
- 基質表面における酸ハロゲン化物の密度が、1cm2当り少なくとも0.001nmolである基質。
- 化合物を基質に固定する方法であって、
(i)請求項1〜12のいずれかに記載の方法に従って、基質を用意し、適宜基質表面の反応基を活性化する工程と、
(ii)前記基質の表面を、固定するべき化合物を含む溶液に接触させ、前記基質の反応基と化合物との間で反応を生起させる工程を含む方法。 - 前記化合物は、生体高分子またはその類似物質もしくは誘導体からなる群より選択され、好ましくは脂質、タンパク質、核酸およびその類似物質ならびにこれらの混合物からなる群より選択される請求項18に記載の方法。
- 前記方法はさらに、反応に与らなかった化合物および/または反応に与らなかった不活性な反応基を除去するため、前記基質の表面を洗浄する工程を含む請求項18または19に記載の方法。
- 前記化合物を含む溶液は、実質的にカップリング剤を含まない請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
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