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JP2004510834A - アルコキシル化オニウム化合物変性層状クレー材料含有ポリアミド組成物 - Google Patents

アルコキシル化オニウム化合物変性層状クレー材料含有ポリアミド組成物 Download PDF

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JP2004510834A
JP2004510834A JP2001509408A JP2001509408A JP2004510834A JP 2004510834 A JP2004510834 A JP 2004510834A JP 2001509408 A JP2001509408 A JP 2001509408A JP 2001509408 A JP2001509408 A JP 2001509408A JP 2004510834 A JP2004510834 A JP 2004510834A
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Abstract

本発明は、1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマー、1種又はそれ以上の層状クレー材料及び1種又はそれ以上のアルコキシル化アンモニウムカチオンからなるコンポジット組成物に関する。本発明は、また、ナノコンポジットの製造方法及びこのナノコンポジットから製造された、ボトルを含む物品に関する。

Description

【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本件特許出願は、2000年6月7日に出願された代理人処理番号第05015.0291U2号に一致する米国仮特許出願、発明の名称「アルコキシル化オニウム化合物で変性された層状クレー材料からなるポリアミド組成物」(出願番号は不明)に対する優先権を主張する。本件特許出願は、また、1999年7月12日に出願された米国仮特許出願第60/143,355号の優先権も主張する。本件特許出願は、1999年12月1日に出願された米国特許出願第09/452,826号(これ自体は、1998年12月7日に出願された米国仮特許出願第60/111,284号に対する優先権を主張する)の一部継続出願である。本件特許出願は、1999年7月15日に出願された米国特許出願第09/354,205号(これ自体は、1998年12月7日に出願された米国仮特許出願第60/111,202号に対する優先権を主張する)の一部継続出願である。これらの特許出願のそれぞれの開示を、参照してそれらの全部を本明細書に含める。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、クレー材料及び少なくとも1種の有機カチオンを含んでなる、改良された気体透過度を有するポリマー−クレー組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、アルコキシル化オニウム化合物で変性された層状クレー材料を含んでなるポリアミド組成物に関する。本発明は、更に、この組成物から製造された物品及びこの組成物の製造方法に関する。
【0003】
発明の背景
ポリマー−小板粒子(platelet particle)組成物は、ガスバリヤー、熱撓み温度及びモジュラスを含む、ポリマー特性を改良するためのその潜在能力のために、最近一層注目を浴びている。
【0004】
米国特許第4,739,007号には、ポリアミドマトリックス並びに重合の間に含有され、高い機械的強度及び優れた高温度特性を与える、よく分散した層状ケイ酸塩材料からなるコンポジット材料が開示されている。
【0005】
米国特許第5,385,776号には、ナイロン−6マトリックス並びに少量の、溶融押出の間に含有され、ガンマ結晶構造へのポリアミドの迅速な核生成を与え、それによってモジュラス及び水による可塑化に対する耐性を改良する層状ケイ酸塩材料からなるコンポジット材料が開示されている。
【0006】
米国特許第4,810,734号には、ある種の有機アンモニウム化合物で処理され、分散助剤を使用する合成により含有された層状ケイ酸塩材料からなるナイロンコンポジットが開示されている。
【0007】
PCT出願WO第93/04117号には、ポリアミドマトリックス並びに溶融押出の間に含有されたある種の第一級又は第二級有機アンモニウム化合物によって変性され、ポリマーコンポジットに改良されたモジュラスを与える層状ケイ酸塩材料からなるコンポジット材料が開示されている。
【0008】
PCT出願WO第93/11190号には、ある種のシラン化合物で処理され、溶融ブレンドによって含有されたある種の有機アンモニウム化合物を、任意的に含有してよい層状ケイ酸塩材料からなるナイロンコンポジットが開示されている。
【0009】
Journal of Applied Polymer Science、第71巻(1999年)、第1139−1146頁には、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)マトリックス及び明らかにされていないクレー材料からなるコンポジット材料の急速結晶化が開示されている。
【0010】
PCT出願WO第98/29499号には、合成及び溶融配合による処理層状ケイ酸塩材料を組み入れることによって製造された前駆体コンポジットの固相重合(solid state polymerization)により製造された、高分子量ポリエステル−小板粒子コンポジットが開示されている。層状ケイ酸塩を予備処理するためにアルコキシル化アンモニウム化合物を使用することが具体的に開示されている。
【0011】
PCT出願WO第99/02593号には、5個より多いアルキルオキシド繰り返し単位を有するアルコキシ配位子を含む少なくとも1種のポリアルコキシル化アンモニウム塩で処理した層状ケイ酸塩材料からなるポリエステルコンポジットが開示されている。
【0012】
PCT出願WO第96/08526号には、タロウビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム塩で処理された雲母型層状ケイ酸塩からなる熱硬化性エポキシコンポジットが開示されている。
【0013】
ポリアミドマトリックス及びケイ酸塩の分散層からなるポリマーナノコンポジットを記載した追加の刊行物には、ドイツ特許第3808623号;J. Inclusion Phenomena、第5巻、(1987年)、第473−485頁;Clay Minerals、第23巻、(1988年)、第27頁;Polymer Preprints、第32巻、(1991年4月)、第65−66頁及びPolymer Preprints、第28巻、(1987年8月)、第447−448頁が含まれる。
【0014】
無定形ポリアミドは、食品包装用のポリマーとして製造され、提案されており、米国特許第5,028,462号及び同第4,983,719号に記載されているように、水分に曝露された際の白色化又は曇化に対する改良された耐性を与え、そして米国特許第4,018,746号に記載されているように、改良された物理的特性を与える。しかしながら、これらの特許には、このような無定形ポリアミドの中にクレー材料を含有させて、このポリアミド又はそれから製造された物品のバリヤー特性を改良することについて、開示も示唆もされていない。更に、これらの特許には、クレー材料及び無定形ポリアミドからなるコンポジット内でヘイズが減少することは、開示も示唆もされていない。
【0015】
ポリエチレンテレフタレート(「PET」)及びポリアミドの両方のポリマー小板粒子組成物は、しばしば、小板粒子によるポリマーマトリックスの核生成に起因する、急速な結晶化を示すことが見出された。例えば、ナイロン−6ナノコンポジット中のクレー粒子は、米国特許第5,385,776号に記載されているように、結晶化を誘発する。これは、不透明で結晶性の成形部品を含む応用のための並びに部品に改良された耐熱性及びモジュラスを与えるための利点であろう。このような不透明で結晶性のコンポジットの例は、米国特許第5,385,776号及び同第4,739,007号に開示されているナイロンコンポジット及びJournal of Applied Polymer Science、第71巻(1999年)、第1139−1146頁で検討されているPETコンポジットである。
【0016】
しかしながら、ポリマー−クレーコンポジットの急速な結晶化は、特に、これらに限定されないが、異形押出、押出吹込成形、延伸吹込成形、フィルム押出及びインフレートフィルムを含む応用並びにコンポジットの光学的透明性が望まれるその他の応用、特に、二段成形応用に於いて、常に望ましいとは限らない。先行技術のポリマー−クレーコンポジットの急速結晶化により、最初に成形した物品を更に加工するための能力が重要である、透明な多層プリフォーム並びに/又は吹込成形容器及びボトルを得ることが、不可能ではないにしても困難になる。急速結晶化によって、先行技術のポリマー−クレーコンポジットを、透明なプラスチックボトルの成形に於いて、PETと一緒に使用すると、利用可能な加工窓が大きく減少する。
【0017】
包装用の多層材料が、フィルム、ボトル及びその他の容器について知られている。例えば、ヨーロッパ特許出願第0 278 403 A2号及び米国特許第4,398,642号に記載されている多層射出成形プリフォームには、優れたガスバリヤー特性を有する材料及び熱可塑性樹脂の内層に優れた総括特性を与えるために、外側の熱可塑性層が含まれている。これらの多層プリフォームから製造された成形容器は、取り扱い性、安全性及び製造コストに関して潜在的な利点を有している。
【0018】
それ故、PETと一緒で、そのレオロジー特性及び加工性に悪影響を与えることなく、ポリアミドコンポジット材料のガスバリヤー特性を改良するための、当該技術分野に於ける要求が存在している。また、良好な透明性及び減少したヘイズを有する無定形ポリアミドナノコンポジットについての、当該技術分野に於けるニーズが存在する。それで、その結晶化速度を著しく上昇させることなく、ナノコンポジット技術を使用してポリアミドのバリヤー特性を顕著に改良することが望ましい。
【0019】
発明の要約
本明細書に於いて具体的に示し、広く記載したような、本発明の目的に従って、本発明は、ポリアミドポリマー又はコポリマー及びそれと会合した(associated)アルコキシル化「オニウム」カチオンを有するある種の層状クレー材料を含むコンポジット組成物に関する。
【0020】
他の態様に於いて、本発明は、層状クレー材料を少なくとも1種の、ある種のアルコキシル化「オニウム」を有する塩で処理して、処理された層状クレー材料を形成する工程、次いでこの処理された層状クレー材料を、少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーを含むポリマー組成物と混合する工程を含む、組成物の製造方法に関する。
【0021】
本発明の追加の利点は、下記の詳細な説明に部分的に記載し、この説明から部分的に明らかになり又は本発明の実施によって学ばれるであろう。本発明の利点は、付属する請求の範囲で特に指摘される要素及び組合せの手段によって実現され、達成されるであろう。前の一般的な説明及び後の詳細な説明の両方は、本発明の好ましい態様の例示的で説明的なものであり、請求されたように本発明の限定ではないことが理解されるべきである。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、下記の本発明の詳細な説明及びその中の実施例を参照して、一層容易に理解できるであろう。ポリマー組成物及び物品を加工するための特別の方法及び/又は方法条件は、勿論それ自体変化させることができるので、本発明は、記載された特別の方法及び条件に限定されないことが理解されるべきである。本明細書に記載された用語は、特別の態様を記載する目的のみのためであり、限定することを意図しないことも理解される。
【0023】
本明細書及び付属する特許請求の範囲で使用するとき、単数形には、文脈で明らかに他の方法で指示されていない限り、複数の指示物が含まれる。
【0024】
範囲は、本明細書に於いて、「約」又は「ほぼ」一つの特定の値〜「約」又は「ほぼ」他の特定の値のように表現される。このような範囲が表わされるとき、他の態様には、一つの特定の値〜他の特定の値が含まれる。同様に、値が、先行詞「約」を使用することによって近似値として表わされるとき、特定の値は他の態様を形成することが理解されるであろう。更に、範囲のそれぞれの終点は、他の終点に関連して及び他の終点とは無関係に有意であることが理解されるであろう。
【0025】
本明細書で使用されるときは常に、記載された用語は下記の意味を有するものとする。
【0026】
「層状クレー」又は「層状クレー材料」は、複数の隣接結合層の形態で存在する、スメクタイトクレー鉱物のような、任意の有機若しくは無機材料又はこれらの混合物を意味するものとする。層状クレーは、小板粒子からなり、典型的に膨張性である。このようなクレーは、天然に生じるか又は合成的に誘導することができる。
【0027】
「小板粒子」、「小板」又は「粒子」は、層状クレー材料の個別の又は凝集した未結合層を意味するものとする。これらの層は、個別の小板粒子、整列した又は無秩序の小板粒子の小さいアグリゲート(タクトイド)及びタクトイドの小さいアグリゲートの形態であってよい。
【0028】
「分散」又は「分散した」は、小板粒子の分離の種々のレベル又は程度を指す一般的な用語である。分散のより高いレベルには、これらに限定されないが、「挿入した」及び「剥離した」が含まれる。
【0029】
「挿入した」又は「挿入物(インターカレート)」は、層状材料の隣接する小板粒子又はタクトイドの間に配置された、隣接する小板及びタクトイドの間の層間間隔を増加させる有機カチオンを含有する層状クレー材料を意味するものとする。
【0030】
「剥離物(exfoliate)」又は「剥離した」は、マトリックスポリマーのような担体物質全体に、個別の状態で優勢的に分散された小板を意味するものとする。典型的に、「剥離した」は、分散した又は挿入した粒子に比較したとき、小板粒子の最高の分離度を示すために使用される。
【0031】
「剥離」は、挿入した又は他の方法でより少なく分散した分離状態から剥離物を形成するための過程を意味するものとする。
【0032】
「ナノコンポジット」又は「ナノコンポジット組成物」は、その中に分散された複数個の、剥離した層状クレー材料から得られた個別の小板粒子を有する、ポリマー又はコポリマーを意味するものとする。
【0033】
「マトリックスポリマー」は、その中で小板粒子が剥離してナノコンポジットを形成する熱可塑性又は溶融加工性ポリマーを意味するものとする。
【0034】
成分の重量パーセントは、特に異なった記載をしない限り、成分が含有されている配合物又は組成物の全重量基準である。
【0035】
本明細書及び結論としての請求の範囲で使用されるとき、化学種の残基は、その単位が化学種から実際に得られるか否か又は出発化学種としてなお同定可能であるか否かに無関係に、特別の反応図式に於ける化学種の得られる生成物又は続く配合物若しくは化学生成物である単位を指す。それで、例えば、ポリエステル中のエチレングリコール残基は、そのポリエステルを製造するためにエチレングリコールが使用されるか否かに無関係に、そして残基にヒドロキシル基が含有されているか否かに無関係に、ポリエステル中の1個又はそれ以上の−OCH CH O−繰り返し単位を指す。同様に、例えば、ナトリウムモンモリロナイトクレーの残基は、反応の生成物にナトリウムが含有されているか否かに無関係に、又は当業者がその生成物をモンモリロナイトクレーとして同定するか否かに無関係に、ナトリウムモンモリロナイトクレーとオニウムカチオン塩のような他の化学組成物との反応の生成物を指す。
【0036】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル等のような炭素数1〜36の分枝又は非分枝の飽和炭化水素基を指す。本発明に於いて好ましいアルキル基には、1〜24個の炭素原子又は1〜12個の炭素原子が含有されている。用語「低級アルキル」は、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を意図している。用語「シクロアルキル」は、炭素数3〜8、好ましくは炭素数5又は6の環式アルキル基を意図している。
【0037】
本明細書で使用されるとき、用語「アルコキシ」は、1個の末端エーテル結合を介して結合されたアルキル基を指す。即ち、「アルコキシ」基は、−OR(式中、Rは前記定義されたようなアルキルである)として定義することができる。「低級アルコキシ」基は、炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基を意図している。
【0038】
本明細書で使用されるとき、用語「アルキレン」は、炭素数1〜36の二官能性飽和分枝又は非分枝の炭化水素鎖を指し、これには、例えば、メチレン(−CH −)、エチレン(−CH −CH −)、プロピレン(−CH −CH(CH )−)、2−メチルプロピレン〔−CH −CH(CH )−CH −)〕、ヘキシレン〔−(CH−〕等が含まれる。「低級アルキレン」は、炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基を指す。本明細書で使用されるとき、用語「シクロアルキレン」は、環式アルキレン基、典型的に5−又は6員環を指す。
【0039】
一つの態様に於いて、本発明は、包装応用、特にビール用の多層ボトルのために開発された、新規なポリマーベースのコンポジット及び/又はナノコンポジット材料に関する。この材料は、高い酸素バリヤー及び優れた加工性の組合せを示す。
【0040】
本発明者らは、先行技術のポリアミド−クレーコンポジットが、単独で使用したポリアミドのものと比較したとき、改良されたガスバリヤー特性を示すことができることを見出した。それで、ポリアミド−クレーコンポジットは、潜在的に、改良されたバリヤー特性を有する多層ボトルを与え、そして/又はバリヤー材料のより薄い層からなる高バリヤー多層ボトルの製造を可能にし、それによって原材料コストを低下させ、リサイクル能力を改良できると信じられた。
【0041】
しかしながら、典型的なポリアミド小板粒子コンポジットは、クレーを含有しないポリアミドよりも一層急速に結晶化し、ボトルの製造を困難にし、ときには不可能にすることも見出された。更に、先行技術のポリアミド−クレーコンポジットについて、より多くの層状クレーを含有させることによってガスバリヤー特性を向上させたとき、結晶化速度は一層急速になることが見出された。
【0042】
予想外に、ある種の層状クレー材料と一緒にある種のアルコキシル化「オニウム」及び/又はアンモニウムカチオンを存在させると、ポリアミド自体と比較したとき驚くほど改良された酸素バリヤー特性を示すポリアミド−クレーコンポジット及び/又はナノコンポジットになることが見出された。なお一層驚くべきことに、本発明のポリアミド−クレーコンポジットは、通常、生のポリアミド又はPETに比較したとき、予想される急激に上昇する結晶化速度及び得られる劣った加工性を示さない。このポリアミド−クレーコンポジットは、また予想外に、望ましい剪断感受性溶融流れ特性を示す。更に、本発明のポリアミド−クレーコンポジットは、予想外に、PETと共に多層構造に加工した後に、その透明性及び減少したヘイズを保持することができる。
【0043】
それ故、幾つかの面で、本発明は、少なくとも1種のポリアミド樹脂及びその中に均一に分散した小板粒子からなるポリマーコンポジット材料並びにこのコンポジットから製造された物品に関する。更に詳しくは、本発明は、少なくとも1種のポリアミド樹脂及び少なくとも1種のアルコキシル化オニウム化合物、例えばアルコキシル化アンモニウム化合物で処理された、少なくとも1種の層状クレー材料からなるポリマー−小板粒子コンポジットに関する。本発明によるコンポジット組成物は、改良されたガスバリヤー特性を示す透明なボトル及びフィルムを製造するために特に有用である。
【0044】
本発明は、また、一般的に無定形高バリヤーマトリックスポリアミドに関する。これらの無定形ポリアミドは、配向及び/又はその他のフィルム加工工程を受けたとき、分散した及び/又は剥離した有機的に変性されたクレーの存在下で、ヘイズ生成、結晶化及びその他の欠陥形成に対する予想外の耐性を示すことが見出された。
【0045】
本発明のコンポジット組成物は、小板粒子の存在によって引き起こされる核生成影響を克服し、小板粒子の含有によって与えられる改良された特性の利点を有するポリマー−小板コンポジットを提供するが、広範囲の種々の応用のために依然として容易に加工することができる状態である。驚くべきことに、クレーを処理するためにアルコキシル化アンモニウム化合物を使用するとき、マトリックス材料の結晶化速度への影響を少なくすることができ、ある場合には逆転することができる。更に、このコンポジットから製造された物品は、先行技術のポリアミド−クレーコンポジットから製造された物品よりも低いヘイズ及び高いガスバリヤー特性を達成できる。
【0046】
本発明は、また、幾つかの態様に於いて、
(a)1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマー、
(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料及び
(c)1種又はそれ以上のアルコキシル化オニウムカチオン
を含んでなるコンポジット組成物に関する。
【0047】
本発明の好ましい態様に於いて、アルコキシル化オニウムカチオンは第三級又は第四級である。更に好ましい態様に於いて、アルコキシル化オニウムカチオンは、アルコキシル化アンモニウムカチオン又はアルコキシル化ホスホニウムカチオンである。
【0048】
更に他の好ましい態様に於いて、本発明は、
(a)ポリ(m−キシリレンアジパミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)を含んでなる1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマー及び
(b)ベントナイトの残基又はモンモリロナイトの残基を含んでなる1種又はそれ以上の層状クレー材料(但し、この層状クレー材料は、構造:
【化8】
Figure 2004510834
(式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子であり、p及びnは、少なくとも1の整数であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素である)
を有する第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンを含んでなる)
からなるナノコンポジット材料に関する。
【0049】
他の面に於いて、本発明は、
(a)溶融加工性マトリックスポリマー及び
(b)アルコキシル化オニウムカチオンで処理された層状クレー材料
を含んでなる(但し、処理されたクレー材料は、マトリックスポリマーの中に含有されている)、改良された気体透過度を有するポリマー−クレーナノコンポジットに関する。
【0050】
更に他の面に於いて、本発明は、
(a)ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)を含んでなる、溶融加工性マトリックスポリマー及び
(b)オクタデシルメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド又はタロウメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムからなるアルコキシル化オニウムカチオンで処理された、ワイオミング型ベントナイト又はモンモリロナイトを含んでなる層状クレー材料
を含んでなる(但し、処理されたクレー材料は、マトリックスポリマーの中に含有されている)、改良された気体透過度を有するポリマー−クレーナノコンポジットに関する。
【0051】
本発明は、また、
(a)(i)アジピン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はフェニルインダンジカルボン酸を含む少なくとも1種の二酸を含んでなるジカルボン酸成分の残基及び
(ii)m−キシリレンジアミンを含んでなる少なくとも1種のジアミン成分の残基からなる無定形マトリックスポリアミド並びに
(b)カチオン交換を行うために有機カチオンで処理されたワイオミング型ナトリウムモンモリロナイト又はワイオミング型ナトリウムベントナイトを含んでなる層状クレー材料(但し、クレー材料はマトリックスポリアミド中に分散されている)
からなるポリアミド−クレーナノコンポジットに関する。
【0052】
更に他の態様に於いて、本発明は、
(a)1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマー、
(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料及び
(c)式
P((R−O)−R(R(4−x)
(式中、nは1又はそれ以上の整数であり、xは1〜4の整数であり、R はC 〜C20炭素含有残基であり、R は水素又はC 〜C16炭素含有基若しくは残基であり、そしてR は水素又は1種若しくはそれ以上のC 〜C30炭素含有基若しくは残基であり、これらは同じか又は異なっていてよい)
によって表される1種又はそれ以上のアルコキシル化ホスホニウムカチオンを含んでなるコンポジット組成物に関する。
【0053】
本発明は、また、
(a)層状クレー材料を、1種又はそれ以上の、アルコキシル化アンモニウムカチオン(カチオンは、第三級又は第四級である)からなるアンモニウム塩で処理することによって処理層状クレー材料を形成する工程及び
(b)この処理層状クレー材料を、少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーを含む組成物と混合する工程
を含んでなる、コンポジット組成物の製造方法を提供する。
【0054】
本発明は、また、層状クレー材料を、少なくとも1種の第三級又は第四級アルコキシル化アンモニウムカチオン挿入剤と接触させて、アルコキシル化アンモニウムカチオンの収着及び該層状クレー材料の層間交換可能なカチオンとのイオン交換を行うことによって形成された挿入物(intercalate)を提供する。
【0055】
本発明は、上記に一般的に説明し、下記に更に具体的に説明し、任意の組合せで使用することができる、種々の成分部分及び/又は要素からなることが理解されるべきである。
【0056】
ポリアミドポリマー及びコポリマー
本発明のポリアミドポリマー及びコポリマーは、アミド基(−C(O)−NH−)を有する少なくとも約10又はそれ以上の第一モノマー繰り返し単位を含んでなり、この第一モノマー繰り返し単位は、同じか又は異なっていてよい他のモノマー繰り返し単位に結合されている。
【0057】
本発明のポリアミドは、一般的に、当該技術分野で公知の方法によって製造される。当該技術分野で公知のように、ポリアミドは、カプロラクタムのような、「ラクタム」と命名される環式アミドの開環重合によって製造することができる。ラクタム基の開裂によって、ラクタムのモノマー環が開かれ、アミン成分とカルボン酸成分との両方を有する二官能性モノマー単位が生成し、次いでこれらが分子間で縮合して、ポリアミドを形成する。
【0058】
本発明のポリアミドは、代わりに、1種又はそれ以上のジアミン成分と1種又はそれ以上のジカルボン酸成分との重合反応生成物(又は残基)を含んでいてもよい。これらのポリアミドに於いて、アミド基は、アミン成分のアミン官能基とカルボン酸成分のカルボニル炭素との縮合によって形成される。1種より多いジアミン成分又は1種より多いジカルボン酸成分が縮合する場合、縮合反応は共重合反応と命名され、反応生成物はコポリアミドと命名される。ジアミンと二酸成分とは、好ましくは、ほぼ化学量論的量で反応させる。二酸クロリド、エステル等を、適当に使用することができる。ポリアミドの製造に於いて、溶媒を使用することができる。
【0059】
上記の一般的方法の何れも、本発明のポリアミドを製造するために利用することができる。
【0060】
ジカルボン酸成分は、少なくとも第一の二酸成分及び任意に第二の二酸成分を含んでなる。この二酸は、ポリアミド中に存在する全二酸単位のモルパーセントの任意の比であってよい。好ましくは、二酸の一方は、ポリアミド中に存在する全二酸単位の約10〜約90モルパーセントの量で存在し、更に好ましくはポリアミド中に存在する全二酸単位の約45〜約85モルパーセント、なお更に好ましくは約50〜約80モルパーセントの量で存在する。
【0061】
本発明のジカルボン酸には、これらに限定されないが、炭素数3〜約40のジカルボン酸、更に好ましくは、好ましくは炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸、好ましくは炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸及び/又は好ましくは炭素数8〜12のシクロ脂肪族ジカルボン酸から選択されたジカルボン酸が含まれる。
【0062】
更に適当なジカルボン酸の例には、これらに限定されないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、フェニレンジ(オキシ酢酸)、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸等が含まれる。アジピン酸又はそのエステル若しくは酸ハライド誘導体が、特に好ましいジカルボン酸成分である。
【0063】
一つの態様に於いて、二酸成分は、式(I):
HOCCHX(RX)CHCOH         (I)
(式中、Xは、−O−、−S−又は
【化9】
Figure 2004510834
であり、Yは0又は1であり、そしてRは、炭素数約6〜約13の芳香族単位である)
によって定義することができる。適当なR基には、これらに限定されないが、下記のもの:
【化10】
Figure 2004510834
が含まれる。好ましくは、式(I)によって定義されるような態様に於いて、ジカルボン酸成分は、イミノ二酢酸、オキシ二酢酸、チオ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸等又はこれらの混合物を含む。
【0064】
適当なジアミン成分は、当該技術分野で公知のように広範囲に変化させることができる。ジアミン成分は、炭素数約2〜約12の脂肪族ジアミンを含む。この脂肪族ジアミンには、アミノ基と芳香族環との間にアルキレン基(例えば、メチレン基)が介在している限り、芳香族基が含まれていてよい。この脂肪族ジアミンには、また、ピペラジンのようなシクロ脂肪族ジアミンが含まれてよい。適当なジアミン成分の例には、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はこれらの混合物が含まれる。特に好ましいジアミン成分は、m−キシリレンジアミン(本明細書に於いて、「MX」として参照する)である。
【0065】
他のジアミン又はジアミンの混合物を、無定形ポリアミドを形成するために好ましいジアミン(m−キシリレンジアミン)と共に使用することもできる。本発明の幾つかの代表的ポリアミドには、これらに限定されないが、表1に示すものが含まれる。
【0066】
適当なポリアミドには、部分的芳香族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、全体的芳香族ポリアミド及び/又はこれらの混合物が含まれる。「部分的芳香族ポリアミド」によって、部分的芳香族ポリアミドのアミド結合に、少なくとも1種の芳香族環及び非芳香族種が含まれることを意味する。
【0067】
【表1】
Figure 2004510834
【0068】
本発明の無定形高バリヤーマトリックスポリアミドの好ましい種類は、アジピン酸(A)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDA)、イソフタル酸(IPA)、テレフタル酸(TPA)、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(PDA)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)及びフェニルインダンジカルボン酸(PIDA)の少なくとも2種を含むジカルボン酸成分と、m−キシリレンジアミン(MX)を含むジアミン成分との反応生成物又は残基を含んでなる。少なくとも2種の二酸とジアミンとの組合せは、これらの巨大分子の結晶化傾向を有効に破壊して、加工工程を通してきれいで透明な無定形構造を維持させるようにする。1種より多いジアミンと1種の二酸とを使用して、無定形ポリアミドを形成することができる。また、1種より多い二酸と1種より多いジアミンとを使用して、無定形ポリアミドを形成することができる。MXは、その高いバリヤー特性のために好ましいジアミンである。
【0069】
表1を参照して、PDA(MX)は、100モル%のPDAと100モル%のMXとを意味し、PDA−10−TPA(MX)は、90モル%のPDA及び10モル%のTPAと100モル%のMXとを意味し、PDA−10−NDA(MX)は、90モル%のPDA及び10モル%のNDAと100モル%のMXとを意味し、A−19−IPA(MX)は、81モル%のA及び19モル%のIPAと100モル%のMXとを意味し、A−18−TPA(MX)は、82モル%のA及び18モル%のTPAと100モル%のMXとを意味し、A−18−NDA(MX)は、82モル%のA及び18モル%のNDAと100モル%のMXとを意味し、A−18−PIDA(MX)は、82モル%のA及び18モル%のPIDAと100モル%のMXとを意味する。
【0070】
本発明のために使用するとき、「無定形」は、ポリアミドが、20℃/分の速度での第二DSC走査で結晶化ピークで溶融を示さないことを意味する。一般的に、無定形ポリマー及び/又はポリマー組成物は、高い透明性の程度(透明度)及びはっきり明示された融点の無いことによって特徴付けられる。表1に示すようなポリアミドは、明示された融点(T )を有しない。本発明の組成物を形成した後、組成物の幾つかは、クレーの核生成効果のために、0.5 cal/gより小さいΔHと共に小さい融点を有するかもしれない。
【0071】
好ましい全体的芳香族ポリアミドは、分子鎖内に、少なくとも70モル%の、m−キシリレンジアミン又はm−キシリレンジアミン及び30%以下のp−キシレンジアミンからなるキシリレンジアミン混合物と、炭素数6〜10の脂肪族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含んでなり、これは、特公昭50−1156号、特公昭50−5751号、特公昭50−10196号及び特開昭50−29697号の各公報に更に記載されている。上記の文献を、好ましい全体的芳香族ポリアミドの組成物及びその合成方法の教示について、本明細書中にその全部を参照して含める。
【0072】
好ましいポリアミドは線状又はほぼ線状であるが、分枝構造、星構造、架橋構造及び樹状構造を含む他の構造を有するポリアミドを、所望により使用することができる。
【0073】
イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メタ−又はパラ−キシリレンジアミン、1,3−又は1,4−シクロヘキサン(ビス)メチルアミン、炭素数6〜12の脂肪族二酸、炭素数6〜12の脂肪族アミノ酸又はラクタム、炭素数4〜12の脂肪族ジアミン並びに他の一般的に公知のポリアミド形成二酸及びジアミンから形成されたポリアミドを、本発明に従って使用することができる。
【0074】
好ましい部分的芳香族ポリアミドには、これらに限定されないが、ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−共−イソフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド−共−テレフタルアミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)等々又はこれらの混合物が含まれる。更に好ましい部分的芳香族ポリアミドには、これらに限定されないが、ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)及び/又はこれらの混合物が含まれる。最も好ましい部分的芳香族ポリアミドは、ポリ(m−キシリレンアジパミド)、即ち「MXD6」であり、これは三菱瓦斯化学株式会社(日本東京都千代田区)から入手できる。ポリ(m−キシリレンアジパミド)は、その入手性、高いガスバリヤー特性及びPETと一緒での加工性のために、好ましいポリアミドである。
【0075】
ポリ(m−キシリレンアジパミド)は、アジピン酸及びメタ−キシリレンジアミンから製造される。イソフタル酸を含むコモノマーを有するMXD6のコポリアミドも入手できる。MXD6及びそのコポリアミドは、しばしば、それらがPETと類似の加工条件を必要とし、PETに匹敵するレオロジーを有するために、そしてEVOHと比較したときPETからの離層に対するその改良された耐性のために、多層PETボトルで使用するための好ましいバリヤー材料である。MXD6は、PETよりも速く結晶化するが、その結晶化速度は、多層ボトルの製造を可能にするには遅すぎる。MXD6の酸素バリヤーは、PETの酸素バリヤーの約20〜40倍である。本発明者らは、MXD6小板粒子コンポジットが、顕著に改良された酸素バリヤーを示し、それ故、改良されたバリヤーを有する多層ボトルを与えるか及び/又はバリヤー材料の薄い層を含んでなる高バリヤー多層ボトルの製造を可能にし、それによって原材料コストを低下させ、リサイクル性を改良することを見出した。
【0076】
好ましい脂肪族ポリアミドには、これらに限定されないが、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリアミノヘプタン酸(ナイロン7)、ポリアミノナノン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウロラクタム(ナイロン12)、ポリ(エチレン−アジパミド)(ナイロン2,6)、ポリ(テトラメチレン−アジパミド)(ナイロン4,6)、ポリ(ヘキサメチレン−アジパミド)(ナイロン6,6)、ポリ(ヘキサメチレン−セバカミド)(ナイロン6,10)、ポリ(ヘキサメチレン−ドデカミド)(ナイロン6,12)、ポリ(オクタメチレン−アジパミド)(ナイロン8,6)、ポリ(デカメチレン−アジパミド)(ナイロン10,6)、ポリ(ドデカメチレン−アジパミド)(ナイロン12,6)及びポリ(ドデカメチレン−セバカミド)(ナイロン12,8)が含まれる。
【0077】
更に好ましい脂肪族ポリアミドには、これらに限定されないが、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)及びポリ(カプロラクタム)が含まれる。最も好ましいポリアミドは、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)である。
【0078】
本発明のポリマーは、約0.25〜約1.5dL/g、好ましくは約0.4〜約1.2dL/g、更に好ましくは約0.7〜〜約0.9dL/gのI.V.を示す。このI.V.は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの60/40重量混合物中で、100mL当たり0.5グラムの濃度で25℃で測定する。上記特定された範囲内のI.V.を有するポリマー、特にポリアミドは、本発明の物品の形成で使用するために十分に高い分子量のものである。
少なくとも約0.5dL/g、好ましくは、少なくとも約0.7dL/gのイソヘレント粘度(I.V.)を有するポリ(m−キシリレンアジパミド)は、その入手性、高いガスバリヤー特性及び加工性のために好ましいポリアミドである。このI.V.は、典型的に、60重量%のフェノール及び40重量%の1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合物中で、0.5g/100mL(溶媒)の濃度で25℃で測定する。
【0079】
より低いI.V.のオリゴマー性ポリアミドが、幾つかの特定化された目的のために好ましいであろう。例えば、より低いI.V.ポリアミドは、層状クレー材料との予備コンポジットの配合のために好ましいであろう。それは、より低いI.V.ポリアミドのより低い分子量は、層状クレー材料の初期分散及び/又は剥離を助けることができるからである。続いて、得られる予備コンポジットを、より高い分子量のポリアミド(又は他のポリマー)と有利にブレンドして、所望の構造特性を与えることができる。溶融混合する前のオリゴマー性ポリアミドのI.V.は、60重量%のフェノール及び40重量%の1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合物中で、0.5g/100mL(溶媒)の濃度で25℃で測定したとき、約0.1〜約0.5dL/g、更に好ましくは0.3〜0.5dL/gである。好ましくは、高分子量マトリックスポリマーのI.V.は、60重量%のフェノール及び40重量%の1,1,2,2−テトラクロロエタンの混合物中で、0.5g/100mL(溶媒)の濃度で25℃で測定したとき、少なくとも0.7dL/gであり、更に好ましくは少なくとも1.0dL/gである。更に、オリゴマー性ポリアミドは、好ましくは、約200〜約10,000g/モルの数平均分子量を有し、ホモオリゴマー又はコオリゴマーであってよい。また、低分子量ポリアミドには、少量の、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸二無水物又は当該技術分野で公知の他のポリアミド形成性ポリ酸及びポリアミンのような三官能性又は四官能性コモノマーが含有されていてよく、これらは最終ポリマーブレンドの加工特性を改良できる。
【0080】
本発明のポリマーには、また、ポリマー中に通常使用される適当な添加剤が含有されていてもよい。このような添加剤は、一般的な量で使用することができ、マトリックスポリマーを形成する反応物に直接添加することができる。当該技術分野で公知であるこのような添加剤の例は、着色剤、顔料、カーボンブラック、ガラス繊維、充填材、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、安定剤、難燃化剤、再加熱助剤、結晶化助剤、アセトアルデヒド減少化合物、リサイクル剥離助剤(recycling release aid)、酸素捕獲剤、可塑剤、核生成剤、離型剤、相溶化剤、加工助剤等又はこれらの組合せである。
【0081】
これらの添加剤の全て及び多くの他のもの並びにそれらの使用は、当該技術分野で公知であり、詳細に検討する必要はない。それで、限定された数のみを参照し、これらの化合物の何れも、本発明がその目的を達成することをそれらが妨害しない限り、任意の組合せで使用することができる。
【0082】
層状クレー材料(小板粒子)
本発明で使用する好ましい「層状クレー材料」又は「クレー材料」には、固相状態で全体的に平面の層内に配列された、少なくとも幾らかの無機アニオン原子、イオン又は化学基を有する全ての固体材料(但し、全体的に平面の層の少なくとも幾つかの間の空間は、それらの間に無機又は有機物質が挿入することによって、増加し、膨張し又は分離することができる)が含まれる。
【0083】
好ましくは、本発明の層状クレー材料は、約0.3〜約3.0ミリ当量/グラム鉱物(meq/g)、好ましくは約0.90〜約1.5 meq/g、更に好ましくは約0.95〜約1.25 meq/gのカチオン交換容量を有する、膨張性自由流動性粉末である。このクレーは、クレーの層の間の回廊内に存在する、これらに限定されないが、アルカリ金属(第IA族)、アルカリ土類金属(第IIA族)及びこれらの混合物を含む、広範囲の種々の交換可能なカチオンを有してよい。最も好ましいカチオンは、ナトリウムである。しかしながら、カチオンの大部分が有機カチオン(オニウムイオン)のために交換できるという条件で、任意のカチオン又はカチオンの組合せを使用することができる。交換は、個別のクレー又はクレーの混合物を、有機カチオンで処理することによって起こり得る。
【0084】
多くの層状クレー材料はケイ酸塩である。本明細書で使用されるとき、「ケイ酸塩」は、1種又はそれ以上の追加のカチオン(但し、カチオンは、無機、金属又は有機カチオンであってよい)と組み合わせて、1個又はそれ以上の酸素原子に結合して、アニオン基を形成するケイ素原子を有する任意の組成物を意味するものとする。
【0085】
本発明で使用することができる層状クレー材料には、天然、合成及び変性フィロケイ酸塩が含まれる。このような天然のクレーの例は、モンモリロナイト、ヘクトライト(hectorite)、雲母、バーミキュライト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデルライト、ボルコンスコイト(volkonskoite)、サポナイト、マガダイト(magadite)、ケニヤイト(kenyaite)等のようなスメクタイトクレーである。このような合成クレーの例は、合成雲母、合成サポナイト、合成ヘクトライト等である。このような変性クレーの例は、フロウロン化(flouronated)モンモリロナイト、フロウロン化雲母等である。適当なクレーは、ナノコール社(Nanocor, Inc. )イリノイ州アーリントンハイツ(Arlington Heights)、サザン・クレー・プロダクツ社(Southern Clay Products)、テキサス州ゴンザレズ(Gonzalez)、クニミネ工業(Kunimine Industries, Ltd.)、日本(東京都千代田区)及びレオックス社(Rheox)、ニューヨーク州ハイタウン(Hightown)を含む種々の会社から入手できる。
【0086】
最も好ましい小板粒子は、ナトリウムベントナイト又はナトリウムモンモリロナイトから誘導される。このようなクレーは、米国で容易に入手でき、またときには、ワイオミング型ベントナイト又はワイオミング型モンモリロナイトと呼ばれる。当業者は、ワイオミング型モンモリロナイト及び/又はワイオミング型ベントナイトが、ナトリウムベントナイト又はナトリウムモンモリロナイトの大部分からなる、天然に生じる層状クレー材料であることを容易に認識するであろう。それ故、本発明で使用するために非常に好ましい小板粒子は、ナトリウムベントナイト、ナトリウムモンモリロナイト、「ワイオミング型」ベントナイト又は「ワイオミング型」モンモリロナイトの何れかの更なる処理から誘導された残基であると言うことができる。天然又は合成のナトリウムベントナイト又はナトリウムベントナイト、天然に生じる「ワイオミング型」ベントナイト又は「ワイオミング型」モンモリロナイトのナトリウムカチオンの少なくとも幾らかは、本発明のアルコキシル化オニウムカチオンの塩で処理したとき除去されるか及び/又は交換されることが理解されるべきである。にもかかわらず、本発明の目的及び開示のために、処理されたクレーの残基を、「ワイオミング型ベントナイト」、「ワイオミング型モンモリロナイト」、「ナトリウムベントナイト」又は「ナトリウムモンモリロナイト」と呼ぶことができ、このように定義する。このようなクレーの残基には、クレーを本発明のアルコキシル化オニウムカチオン塩で処理した後に、検出可能な量のナトリウムが含有されている必要はない。しかしながら、幾らかのナトリウムカチオンが残留しているであろう。
【0087】
好ましいクレー材料は、0.5〜2.0 meq/gのカチオン交換容量を有する2:1型のフィロケイ酸塩である。最も好ましいクレー材料は、スメクタイトクレー鉱物、特にベントナイト又はモンモリロナイト、更に特に、約0.95〜約1.25 meq/gのカチオン交換容量を有するワイオミング型ナトリウムモンモリロナイト又はワイオミング型ナトリウムベントナイトである。最も好ましい層状クレー材料は、ナトリウムベントナイト又はナトリウムモンモリロナイトから誘導される。
【0088】
カルコゲンのような、上記のイオン交換容量及びサイズを有する他の非クレー材料を、本発明の下で小板粒子の原料として使用することができる。カルコゲンは、重金属及び第VIA族(O、S、Se及びTe)の塩である。これらの材料は当該技術分野で公知であり、ここで詳細に説明する必要はない。
【0089】
一般的に、層状ケイ酸塩材料は、一組のカードのように一緒に密接して積み重ねられた小板粒子の高密度の凝集体である。本発明の小板粒子は、一般的に、約2nmより薄い厚さ及び約10〜約5000nmの範囲内の直径を有する。本発明の目的のために、このような測定値は、小板粒子のみを指し、アルコキシル化アンモニウム化合物又は使用されるかもしれない全ての追加の分散助剤及び処理化合物を指さない。これらの層は、個別の小板粒子、整列した又は無秩序の小板粒子の小さいアグリゲート(タクトイド)及びタクトイドの小さいアグリゲートの形態であってよい。適当な小板粒子は、好ましくは、約0.8〜約1.3 meq/g、好ましくは約0.95〜約1.25 meq/gのカチオン交換容量を有する自由流動粉末である層状ケイ酸塩材料から誘導される。
【0090】
或る先行技術文献では、ポリマー小板コンポジットのX線分析により決定したときの、ピーク強度及び基底空間値(basal spacing value)又は優勢基底空間の欠落に基づく、層状クレー材料から誘導された小板粒子の分離度が定義されている。X線分析は、単独では、小板粒子がポリマー中で個別に分散しているか否かを明白に予想しないけれども、これはしばしば、存在するタクトイドの定量化を可能にする。その状況で、X線分析は、存在する小板粒子の小さい部分のみである、よく整列したアグリゲートに関連する情報を与えるのみである。更に、ポリマーナノコンポジットに於いて、X線分析は、単独では、ポリマー中の小板粒子の分散又は得られるガスバリヤー改良を正確に予想しない。ポリマー−小板コンポジットのTEM画像は、小板粒子が、これらに限定されないが、個別の小板(剥離状態)、小板の無秩序凝集体、小板のよく整列した又は積み重ねられたアグリゲート(タクトイド)、積み重ねられた小板の膨張したアグリゲート(挿入したタクトイド)及びタクトイドのアグリゲートを含む、種々の形態で存在することを示す。
【0091】
アルコキシル化オニウム塩及び/又はカチオン
本発明の態様に於いて、挿入層状クレー材料は、膨張性層状クレーと有機カチオン又は「オニウム」カチオン、好ましくは、アンモニウム化合物(部分的又は完全なカチオン交換を達成するため)との反応によって製造される。所望により、クレーを処理するために2種又はそれ以上の有機カチオンを使用することができる。更に、ポリアミドナノコンポジット中の挿入層状クレー材料が、挿入クレーの混合物を含んでなる挿入層状クレー材料を製造するために、有機カチオンの混合物を使用することもできる。
【0092】
本発明のナノコンポジットのクレー材料又はクレー材料の混合物に挿入するために使用される有機カチオンは、有機カチオン塩、好ましくは、オニウム塩化合物から誘導される。本発明のナノコンポジット及び方法に於いて有用である「オニウム」塩は、一般的に、下記の式(I):
【化11】
Figure 2004510834
(式中、Mは、窒素又はリンであり、X は、ハロゲン化物、ヒドロキシド又はアセタートアニオン、好ましくは塩化物及び臭化物であり、そしてR 、R 、R 及びR は、独立に、有機及び/若しくはオリゴマー配位子であるか又は水素であってよい)
によって表すことができる。
【0093】
有用な有機配位子の例には、これらに限定されないが、炭素数1〜22の直鎖又は分枝鎖アルキル基、構造のアルキル部分内に炭素数1〜100の直鎖又は分枝鎖を有する縮合環単位を含むベンジル及び置換ベンジル単位であるアラルキル基、フェニル及び縮合環芳香族置換基を含む置換フェニルのようなアリール基、炭素数6以下のβ,γ不飽和基並びに炭素数2〜6の繰り返し単位を有するアルキレンオキシド基が含まれる。有用なオリゴマー配位子の例には、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール基及びポリブチレングリコール基のようなポリ(アルキレンオキシド)基、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカプロラクトン等が含まれる。
【0094】
有用な有機カチオンの例には、これらに限定されないが、テトラメチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム、ヘキシルベンジルジメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ブチルベンジルジメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム等のようなアルキルアンモニウムイオン及びテトラブチルホスホニウム、トリオクチルオクタデシルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、オクタデシルトリフェニルホスホニウム等のようなアルキルホスホニウムイオン又はこれらの混合物が含まれる。
【0095】
本発明のための他の特に有用な有機カチオンには、これらに限定されないが、ドデシルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウム、オクタデシルベンジルジメチルアンモニウム等又はこれらの混合物が含まれる。
【0096】
適当なポリアルコキシル化アンモニウム化合物の例示例には、ジェファミン(JEFFAMINE)(ハンツマン・ケミカル社(Huntsman Chemical )のもの)、即ち、ジェファミン506及びジェファミン505のようなポリアルコキシル化アミンの塩酸塩並びに商品名エトミーン(ETHOMEEN)(アクゾ・ヘミー・アメリカ社(Akzo Chemie America )、イリノイ州シカゴのもの)、即ち、エトミーン18/25(これはオクタデシルビス(ポリオキシエチレン〔15〕)アミンである。ここで大括弧内の数字は、エチレンオキシド単位の全数を指す)で入手できるアミンが含まれる。適当なポリアルコキシル化アンモニウム化合物の別の例示例は、エトクオード(ETHOQUAD)18/25(アクゾ・ヘミー・アメリカ社のもの)(これはオクタデシルメチルビス(ポリオキシエチレン〔15〕)アンモニウムクロリドである。ここで大括弧内の数字は、エチレンオキシド単位の全数を指す)である。
【0097】
好ましいオニウムカチオン又は化合物は、「アルコキシル化オニウム」化合物又はカチオンであり、これには、それに結合した少なくとも1個のアルコキシル基又は残基を有する窒素又はリンの全てのカチオン性化合物が含まれてよい。それで、アルコキシル化オニウム化合物は、構造:
M((R−O)−R(R(4−x)
(式中、Mは窒素又はリンであり、nは1又はそれ以上の整数であり、xは1〜4の整数であり、R は、C 〜C20炭素含有残基であり、R は、水素又はC 〜C16炭素含有基若しくは残基であり、そしてR は、水素又はC 〜C30炭素含有基若しくは残基である)
を有する。窒素原子又はリン原子を含むアルコキシル化オニウム化合物は、典型的に、本発明によるアミドと共にコンポジットを形成するために使用できる、層状クレー材料を処理するために有効である。Mが窒素であるアルコキシル化オニウム化合物(即ち、「アンモニウム」化合物)は、より低いコスト、より大きい入手性並びに毒物学的及び/又は環境的問題についてのより低い可能性のために、多くの応用で特に好ましい。
【0098】
本明細書で使用されるとき、用語「アルコキシル化」は、化学化合物、イオン又は残基を製造するために使用する方法に無関係に、アルコキシル基又は残基を有する化学化合物、イオン又は残基を指す形容詞である。用語「アルコキシル化する」は、アルコキシル基を他の化学化合物、イオン又は基に結合させる方法を指す動詞である。本明細書で使用されるとき、用語「アルコキシル」は、炭化水素基又は残基の炭素原子の何れか1個に結合した、(a)少なくとも1個の末端アルコキシ基(即ち、−OR)又は(b)少なくとも1個の末端ヒドロキシル基(即ち、−OH)を有する、炭素数1〜36の炭化水素基又は残基を指す。アルコキシル基は、分枝又は非分枝、飽和又は不飽和であってよい。当業者が認めるように、アルコキシル基は、酸素、ハロゲン化物、窒素含有基、アミン、硫黄含有基等を含む追加のヘテロ原子置換原子又は基を有していてよく又は有していなくてよい。アルコキシル基の例には、ヒドロキシメチル基、1−又は2−ヒドロキシエチル基、1−又は2−メトキシエチル基、2−エトキシブチル基、4−エトキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、ポリ(エチレングリコール)基、ポリ(ブチレングリコール)基及びこれらの高級分枝鎖、直鎖又は環式類似物が含まれる。
【0099】
それで、幾つかの態様に於いて、本発明のアルコキシル化アンモニウムカチオン及び/又は化合物は、構造:
N((R−O)−R(R(4−x)
(式中、nは1又はそれ以上の整数であり、xは1〜4の整数であり、R は、C 〜C20炭素含有残基であり、R は、水素又はC 〜C16炭素含有基若しくは残基であり、((R −O) −R )基は同じであるか又は異なっていてよく、そしてR は、水素又はC 〜C30炭素含有基若しくは残基であり、そしてR 基は同じであるか又は異なっていてよい)
のカチオンを有する。好ましいアルコキシル化アンモニウム化合物は、少なくとも1個のR 基が水素であることで、少なくとも1個のヒドロキシアルキル基を有する。アルコキシル化アンモニウム化合物は、水素であるR 基の数に依存して、第一級、第二級、第三級又は第四級であってよい。好ましいアルコキシル化アンモニウムカチオンは、第三級(即ち、R の1個のみが水素である)又は第四級(即ち、R 基の何れも水素ではない)である。
【0100】
電気的に中性のアルコキシル化アミン化合物は、ブレンステッド酸との反応によって第一級、第二級又は第三級アンモニウム塩に転化して、N−H結合を形成させることができる。電気的に中性のアルコキシル化アミン化合物は、また、アルキル化剤による完全なアルキル化によって第四級アンモニウム塩又はカチオンに転化することができる。ここで、適当なアルキル化剤には、これらに限定されないが、ハロゲン化アルキル、硫酸アルキル等が含まれる。適当な電気的に中性のアルコキシル化アミン化合物には、これらに限定されないが、ジェファミン(登録商標)(ハンツマン・ケミカル社、アイダホ州ツインフォールズ(Twin Falls)から)の商品名で販売されているものが含まれる。
【0101】
アルコキシル化アンモニウムカチオン及び/又は化合物のクラスの好ましいサブクラスは、ヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオン及び/又は化合物である。用語「ヒドロキシアルキル化」は、化学化合物、イオン又は残基を製造するために使用する方法に無関係に、ヒドロキシアルキル基を有する化学化合物、イオン又は残基を指す形容詞である。本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロキシアルキル」は、炭素原子又はアルキレン残基の何れか1個に結合した少なくとも1個の末端ヒドロキシル(−OH)基を有する、炭素数1〜36の炭化水素基又は残基を指す。ヒドロキシアルキル基は、それらが末端ヒドロキシル基を有していなくてはならない点で、「アルコキシル」基の大きい属の亜属であるが、「アルコキシ」基が任意に、ヒドロアルキル基上に存在していてもよい。ヒドロキシアルキル基の例には、これらに限定されないが、ヒドロキシメチル基(即ち、−CH −OH基)、1−又は2−ヒドロキシエチル基(即ち、−CH(OH)−CH 基又は−CH −CH −OH基)、1−又は3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基及びこれらの高級分枝鎖、直鎖又は環式類似物が含まれる。ヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオン及び/又は化合物は、より極性のヒドロキシル基が、ポリアミドの比較的極性のアミド官能基と一層有利に相互作用するか又はこれに水素結合することができるので、ときには、アルコキシル化アンモニウムカチオン及び/又は化合物よりも好ましい。
【0102】
本発明のコンポジット、ナノコンポジット及び方法で使用するために有用なアルコキシル化アンモニウム化合物(塩)には、モノアルコキシル化、ジアルコキシル化、トリアルコキシル化及びテトラアルコキシル化アンモニウム化合物が含まれる。ヒドロキシアルキル化化合物も本発明に於いて有用であり、これには、モノヒドロキシアルキル化、ジヒドロキシアルキル化、トリヒドロキシアルキル化又はテトラヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオンが含まれてよい。
【0103】
本発明のコンポジット及び方法で使用するための好ましいモノアルコキシル化アンモニウム塩には、下記:
【化12】
Figure 2004510834
(式中、Nは窒素を表し、X は、好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物原子であるアニオンを表し、R 、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機若しくはオリゴマー配位子であるか又は水素であってよく、nは少なくとも1であり、R は水素又は炭素数1〜4の炭化水素であり、そしてR は水素又は炭素数1〜7の炭化水素である)
のように表すことができる化合物が含まれる。
【0104】
アルコキシル化オニウム化合物又はカチオンに関して、好ましいアルコキシル基は、上記に又は下記の式:
【化13】
Figure 2004510834
(これは、アルコキシル基又はヒドロキシアルキル基を表すことができる)
により例示される基又は残基からなる。有用なアルコキシ配位子の例には、これらに限定されないが、メトキシメチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ブチレンオキシド)等からなる基又は残基が含まれる。好ましいモノアルコキシル化アンモニウムカチオンは、第三級(即ち、R 、R 又はR の1個のみが水素である)又は第四級(即ち、R 、R 又はR の何れもが水素ではない)である。
【0105】
本発明の組成物、ナノコンポジット及び方法のための好ましいジアルコキシル化アンモニウム塩は、下記:
【化14】
Figure 2004510834
(式中、Nは窒素を表し、X は、好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物原子であるアニオンを表し、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機若しくはオリゴマー配位子であるか又は水素であってよく、p及びnは少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 、R 、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素である)
のように表すことができる。有用なジアルコキシル化アンモニウムカチオンには、これらに限定されないが、ビス(1−ヒドロキシメチル)、オクタデシルアンモニウム(窒素に結合した水素を有する)、ビス(2−ヒドロキシエチル)、オクタデシル、メチルアンモニウム;オクタデシル、イソプロポキシ、ジメチルアンモニウム等又はこれらの混合物が含まれる。
【0106】
好ましくは、R 及びR は有機配位子である。好ましいジアルコキシル化アンモニウムカチオンは、第三級(即ち、R 又はR の1個のみが水素である)又は第四級(即ち、R 又はR の何れもが水素ではない)である。このクラス内の好ましいジアルコキシル化アンモニウムカチオンは、少なくとも1個のヒドロキシアルキル残渣を有する(即ち、R 又はR の少なくとも1個は水素である)。このクラス内のなお更に好ましいジアルコキシル化アンモニウムカチオンは、第三級又は第四級であり、2個のヒドロキシアルキル配位子を有する(即ち、R 及びR は水素ではなく、そしてR 及びR は水素である)。
【0107】
本発明の組成物、ナノコンポジット及び方法のための有用なトリアルコキシル化アンモニウム塩は、下記:
【化15】
Figure 2004510834
(式中、Nは窒素を表し、X は、好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物であるアニオンを表し、R は、炭素数1〜30の有機若しくはオリゴマー配位子であるか又は水素であってよく、n、p及びqは少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 、R 、R 、R 、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜4の炭化水素又は水素である)
のように表すことができる。好ましくは、R 及びR はオリゴマー性ではない。当業者は、トリアルコキシル化アンモニウム塩が固有的に少なくとも第三級であり、R が水素でない場合に第四級であることを認めるであろう。
【0108】
本発明のナノコンポジット及び方法のための有用なテトラアルコキシル化アンモニウム塩は、下記:
【化16】
Figure 2004510834
(式中、Nは窒素を表し、X は、好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物原子であるアニオンを表し、m、n、p及びqは少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 、R 、R 、R 、R 、R 、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜4の炭化水素又は水素である)
のように表すことができる。
【0109】
本発明の組成物、ナノコンポジット及び方法のためのある種の好ましいアルコキシル化アンモニウム塩は、下記:
【化17】
Figure 2004510834
(式中、Nは窒素を表し、X は、好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物原子であるアニオンを表し、R は、炭素数が少なくとも8の有機又はオリゴマー配位子であり、R は、水素又は炭素数が少なくとも8の有機若しくはオリゴマー配位子であり、そしてp及びnは少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよい)
のように表されるジエトキシル化アンモニウム塩である。好ましくは、R 及びR はオリゴマー性ではない。好ましくは、R 及びR の1個のみが水素である(即ち、カチオンは第三級である)か又はR 若しくはR の何れも水素ではない(即ち、カチオンは第四級である)。
【0110】
なお更に好ましくは、Nは窒素を表し、R は炭素数1〜30の有機配位子であり、R は水素又は炭素数1〜4の有機配位子であり、そしてp及びnは少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよい。特に好ましくは、R は有機配位子である(即ち、カチオンは第四級である)。
【0111】
適当なジエトキシル化アンモニウム塩の例示例には、アクゾ・ヘミー・アメリカ社、イリノイ州シカゴから商品名エトクオード又はエトミーンで入手できるもの、即ち、エトクオード18/25(これはオクタデシルメチルビス(ポリオキシエチレン〔15〕)アンモニウムクロリドである)及びエトミーン18/25(これはオクタデシルビス(ポリオキシエチレン〔15〕)アミンである。ここで大括弧内の数字は、エチレンオキシド単位の全数を指す)が含まれる。最も好ましいアルコキシル化アンモニウムカチオンは、オクタデシルメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム及びメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムである。
【0112】
当業者は、タロウ(tallow)が、主として、飽和及び不飽和C18アルキル基を有する化学化合物の50%主混合物からなり、またより少ない量のC16アルキル基を含む他のアルキル基からなる、動物脂肪の処理から誘導される物質の混合物であることを認めるであろう。タロウは、全ての不飽和基を除去して、水素化タロウを生じるために処理することができる。「タロウ」に対する参照には、本明細書中で他に特に示さない限り、「水素化タロウ」が含まれることが理解されるべきである。
【0113】
本発明のジエトキシル化アンモニウム塩及び/又はカチオンの幾つかの態様に於いて、p及びnは整数であり、p+nの合計は2より大きい。他の態様に於いて、R 若しくはR 又は両方は、お互いから独立に、C 〜C30有機配位子である。更に他の態様に於いて、R 又はR は、タロウ残基又はオクタデシル残基を構成しない。
【0114】
上記のアルコキシル化オニウム化合物の混合物を、本発明の層状クレー材料を処理し、変性し及び/又は挿入するために使用することができる。更に、アルコキシル化オニウム化合物を、非アルコキシル化オニウム化合物と更に混合することができ、この混合物を、層状クレー材料を処理するために使用することができる。混合物中に使用することができるか又は層状クレー材料の追加の処理のために使用することができる有用な非アルコキシル化オニウム塩は、下記:
【化18】
Figure 2004510834
(式中、Mは窒素又はリンを表し、X はアニオン、好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物原子であり、R 、R 、R 及びR は、独立に、炭素数1〜30の有機及びオリゴマー配位子から選択されるか又は水素であってよい)
のように表すことができる。
【0115】
変性された又は処理されたクレー
層状クレー材料をアルコキシル化オニウム及び/又はアンモニウム化合物で変性し及び/又は挿入するための多数の方法が公知であり、これらの任意の方法を本発明に於いて使用することができる。
【0116】
本発明の一つの態様は、層状クレー材料を最も好ましくは50〜80℃の熱水中に分散させ、(生の又は水若しくはアルコール中に溶解させた)有機オニウム塩、アンモニウム塩若しくは有機アミンとブレンステッド酸(それにより、インシトゥで有機オニウム塩を形成する)又はこれらの組合せ及び混合物を攪拌しながら添加する方法によって、少なくとも1種の層状クレー材料を少なくとも1種のアンモニウム化合物で処理、変性又は挿入することである。この混合物を、有機オニウムカチオンが、層状クレー材料の層の間の回廊内に存在する金属カチオンの大部分を交換するために十分な時間ブレンドする。
【0117】
有機カチオンについて層状粒子の回廊内の金属カチオンの大部分の交換を可能にするために十分な量の有機アンモニウム塩を使用することが望ましく、それで、少なくとも約0.5当量の有機カチオン塩を使用し、約3当量以下の有機カチオン塩を使用することができる。約0.5〜2当量、更に好ましくは約1.0〜1.5当量の有機カチオン塩を使用することが好ましい。必要ではないが、洗浄及び当該技術分野で公知の他の技術により、金属カチオン塩の大部分及び過剰の有機カチオン塩の大部分を除去することがしばしば望ましい。
【0118】
多くの追加の有用なクレー処理が当該技術分野で公知であり、これらの処理も、本発明の範囲から逸脱することなく、アルコキシル化オニウム化合物による処理の前、間又は後に使用することができる。有用な処理の例には、これらに限定されないが、シラン化合物、膨張剤、オリゴマー性ポリマー、分散助剤及び他の有機カチオン塩による処理が含まれる。
【0119】
水、アルコール、ケトン、アルデヒド、塩素化溶媒、炭化水素溶媒、芳香族溶媒等又はこれらの組合せを含む広範囲の物質をカバーする、多くの分散助剤が公知である。
【0120】
全組成物で、使用する任意の基本分散助剤及び/又は前処理化合物は、全組成物のかなりの量、ある場合には約30重量パーセント以下を占めてよいことが認められるべきである。できるだけ少ない分散助剤及び/又は前処理化合物を使用することが好ましいが、分散助剤及び/又は前処理化合物の量は、小板粒子の量の約9倍のように多くてもよい。層状クレー材料を本発明のアルコキシル化化合物及び任意の他の追加のクレー処理で処理したとき、この層状クレー材料を「処理された層状クレー材料」又は「有機クレー」と命名することができる。
【0121】
有機的に処理した又は変性した層状ケイ酸塩材料(有機クレー)を、これらに限定されないが、濾過、遠心分離、噴霧乾燥及び/又はこれらの組合せを含む、当該技術分野で公知の方法によって単離する。好ましくは、次いで、有機クレーの粒子サイズを、これらに限定されないが、粉砕、微粉砕、ハンマーミル粉砕、ジェットミル粉砕及びこれらの組合せを含む、当該技術分野で公知の方法によってサイズを減少させる。平均粒子サイズを、100ミクロンより小さい直径、更に好ましくは50ミクロンより小さい直径、最も好ましくは20ミクロンより小さい直径にまで減少させることが好ましい。
【0122】
コンポジット及びナノコンポジットの形成方法
ポリマー−クレーコンポジット又はナノコンポジットを製造するための多くの方法が公知であり、これらの任意の方法を、本発明のコンポジット及び/又はナノコンポジットを製造するために使用することができる。本発明のナノコンポジットは、本発明のコンポジット組成物内で小板粒子の高度に分散した及び/又は剥離した形を表すことが理解されるべきである。本発明の意図する範囲の一部であるこのコンポジット組成物は、常に高度に分散した又は剥離した形態である必要はない。本発明の組成物の成分部分の粗製混合物を製造し、続いて、下記に説明するような、配合、押出、成形等のような最終加工工程の間に所望のナノコンポジット形に転換させることができる。
【0123】
本発明のコンポジット及び/又はナノコンポジットを形成するための多くの方法には、ポリアミドを溶融すること及び溶融ポリアミドを層状クレー材料と混合することが含まれる。ポリアミド、層状クレー材料並びに混合することによって製造されたコンポジット及び/又はナノコンポジットは、好ましくは溶融加工性であり、これらが、溶融ポリアミドの温度で又はそれよりも幾らか上で、必要な加工の時間、実質的に熱的に安定であり、そうして溶融加工の間に許容できない量の化学的分解又は変色が存在しないことを意味する。溶融加工性材料は、また、溶融加工を可能にする溶融物の温度で、許容できる粘度及びその他の重要な物理的特性を有していなくてはならない。好ましい溶融加工性ナノコンポジットは、二段吹込成形方法で使用するために適した光学的に透明のプリフォームの製造を許容するために十分に遅い結晶化速度を有する。
【0124】
DSCによる、ポリマー又はコンポジット組成物についての、冷却の際の結晶化のためのピーク温度(Tcc)及び加熱の際の結晶化のためのピーク温度(Tch)の測定は、Tcc−Tchの比較によって種々のポリマー又はコンポジット組成物の相対的結晶化速度を、定性的に迅速に決定するための有用なツールである。Tcc−Tchの値が大きくなるほど、材料は速く結晶化する。この方法は、同じマトリックス材料からなるコンポジット組成物を比較するために有用である。それで、本発明の好ましい組成物及び/又はナノコンポジットは、アルコキシル化アンモニウムカチオンを、オクタデシルトリメチルアンモニウムカチオンのような非アルコキシル化アンモニウムカチオンで置換することによって製造された対応する組成物から得られたTcc−Tchの値と比較したとき、Tcc−Tchのより小さい値を有する組成物を同定するための試験プロトコルによって同定することができる。
【0125】
本発明の一つの態様に於いて、溶融混合工程は、ポリマー、好ましくはポリアミドを、処理された層状粒子と共にドライブレンドし、次いでこの混合物をポリマーを溶融するために十分な条件下で配合押出機に通すことによって達成される。
【0126】
任意の溶融混合装置を使用することができるが、典型的に、溶融混合工程は、回分式混合方法により又はその間に処理された若しくは処理されない層状粒子を、ポリアミドの中に導入する溶融配合押出方法により行われる。溶融混合する前に、処理された又は処理されない層状粒子は、ペレット、フレーク、チップ及び粉末を含む種々の形態で存在していてよい。処理された又は処理されない層状粒子を、ハンマーミル粉砕及びジェットミル粉砕のような当該技術分野で公知の方法によってサイズを減少させることが好ましい。溶融混合する前に、ポリアミドは、ペレット、粉砕したチップ、粉末及び溶融物を含む広範囲の種々の形態で存在していてよい。
【0127】
本発明の他の態様に於いて、溶融混合工程は、ポリマー及び処理された又は処理されない層状粒子を別々に配合押出機の中に供給することによって行われる。この方法で処理された層状クレー粒子を使用するとき、処理された層状クレー粒子の劣化を最小にするために、ポリマーを最初に添加することが通常好ましい。クレーとポリマーとを混合するために押出配合を使用することは、製造の容易性及び高いクレー配合量を達成する可能性のために好ましい。
【0128】
所望により、ナノコンポジットを形成するために、ポリマーの中への処理された膨張性層状クレー材料及び/又は粒子の剥離を助ける目的のために、溶融混合によるコンポジットの形成の間又は前に、分散助剤又は膨張助剤を存在させることができる。水、オリゴマー性ポリマー、水分散性ポリマー及び有機化合物を含む広範囲の物質をカバーする、多くのこのような分散助剤が公知である。適当な有機化合物の例には、アルコール、ケトン、アルデヒド、塩素化溶媒、炭化水素溶媒、芳香族溶媒等又はこれらの組合せが含まれる。適当な水分散性化合物の例には、スルホン化ポリエステル及びスルホン化ポリスチレンのようなスルホン化ポリマーが含まれる。処理されたクレー及びマトリックスポリマーと同じであるか又はこれとは異なっていてよく、次いで最終ナノコンポジットを製造するために使用されるオリゴマー性ポリアミドのコンセントレートの形成は、特に有用である。
【0129】
所望により、本発明の組成物及び/又はナノコンポジットを、ポリアミドの分子量を増加させる目的のために、その製造の前、間又は後に処理することができる。ポリマー−小板粒子コンポジットの分子量を増加させることは、これらに限定されないが、反応鎖延長、固相重合、架橋及び高分子量溶融加工性ポリマーとの溶融配合を含む幾つかの異なった方法によって達成できる。必要ではないが、ポリマー中に通常使用される他の充填材、添加物及び試薬を、ナノコンポジットの中に含有させることができる。有用な添加物及び試薬には、接着改良剤、酸素捕獲触媒、酸素捕獲剤、トナー、染料、着色剤、UV吸収剤、離型剤、リサイクル剥離助剤、アセトアルデヒド減少化合物、耐衝撃性改良剤、酸化防止剤、安定剤、難燃剤、再加熱助剤、結晶化助剤及びこれらの組合せが含まれる。有用な充填材には、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、カーボンブラック、炭素繊維、二酸化チタン等又はこれらの組合せが含まれる。
【0130】
コンポジット又はナノコンポジット組成物中の小板粒子の量は、ASTM D5630−94に従って処理したとき、ポリマー−小板粒子組成物の灰の量を測定することによって決定される。ガスバリヤー改良は、一般的に、コンポジット中の小板粒子の濃度が増加すると共に増加する。0.01パーセントのように低い小板粒子の量で、改良されたバリヤーが与えられるが(特に、よく分散され、整列されたとき)、少なくとも約0.5重量パーセントの小板粒子を有する組成物が、それが気体透過度に於いて望ましい改良を示すので好ましい。
【0131】
理論により結びつけられることを望まないで、改良されたガスバリヤー特性は、本発明の好ましい層状クレー材料と本発明のアルコキシル化オニウムカチオンとの間の有利な相互作用に関係していると信じられる。ガスバリヤー特性に於ける改良は、種々の方法によって測定することができる。例えば、ガスバリヤー特性に於ける改良は、本発明のアルコキシル化アンモニウムカチオンを、オクタデシルトリメチルアンモニウムカチオンで置換することによって製造された対応する組成物から得られたガスバリヤー特性と比較することによって測定することができる。
【0132】
任意の特定の理論により結びつけられないで、本発明のコンポジットに於いて観察される改良されたガスバリヤー特性の程度は、得られる粒子小板とアグリゲートとの具体化比、それらが分散又は均一に分布している程度及びそれらが浸透物(permeant)の流れに対して垂直に整列している程度に依存していると信じられる。
【0133】
本発明により気体透過度に於ける改良を得るために、クレーの大部分、好ましくは少なくとも約75パーセント、おそらく少なくとも約90パーセント以上のように多くが、TEM画像から推定したとき、約20nmより小さい、好ましくは約10nmより小さい最短寸法の厚さを有する個別の小板粒子及びアグリゲートの形態で分散するように、コンポジットのバルクのクレー典型が、マトリックスポリマー中に剥離する、好ましくは、高度に剥離することが好ましい。より多くの個別の小板及びより僅かのアグリゲートを含み、整列された又は無秩序のポリマー−クレーナノコンポジットが最も好ましい。顕著なレベルの不完全な分散(即ち、約20nmより大きい大きな凝集体及びタクトイドの存在)は、小板粒子に起因する潜在的バリヤー改良に於ける幾何級数的低下に至るのみならず、強度、靭性及び耐熱性のようなポリマー樹脂に固有の他の特性への有害な影響に至り得る。
【0134】
再び、特別の理論に結びつけられないが、ポリマーと共に溶融加工又は混合する際の、小板粒子へのクレーの表層剥離は、混合エンタルピー及び混合エントロピーからの寄与を有する有利な混合自由エネルギーを必要とすると信じられる。クレーをポリマーと共に溶融加工すると、ポリマー鎖がクレーの2個の層の間に存在するときポリマー鎖が有する立体配座の減少した数のために、負の混合エントロピーになる。例えば、混合エンタルピーが負の混合エントロピーを克服するために十分ではないので、溶融加工性ポリエステルを使用すると、劣った分散が得られると信じられる。反対に、一般的に良好な分散は、その水素結合特性のためにポリアミドで得られる。しかしながら、この分散の程度は、負の混合エントロピーのために、しばしば低下する。
【0135】
本発明のコンポジット及び/又はナノコンポジット組成物に関して、特定の態様に於いて、組成物又はポリマーナノコンポジット材料は、好ましくは、ポリ(m−キシリレンアジパミド)(MXD6)並びにクレー100グラム当たり約100ミリ当量のカチオン交換容量を有するワイオミング型モンモリロナイト及び/又はベントナイト(クレー)からなる。このクレーは、好ましくは、ポリアミドの中へのクレーの分散を促進する束縛界面活性剤(tethered surfactant)である、アルコキシル化アンモニウム化合物で処理される。
【0136】
一つの態様に於いて、1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマーは、少なくとも1種のジアミン成分と少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分との重合反応生成物からなり、ここで、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、イミノ二酢酸、オキシ二酢酸、チオ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、フェニルインダンジカルボン酸又はこれらの混合物の残基からなり、少なくとも1種のジアミン成分は、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はこれらの混合物からなり、1種又はそれ以上の層状クレー材料は、モンモリロナイト、ヘクトライト、雲母、バーミキュライト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデルライト、ボルコンスコイト、サポナイト、マガダイト、ケニヤイト又はこれらの混合物の1種又はそれ以上からなり、そしてアルコキシル化アンモニウムカチオンは、式:
【化19】
Figure 2004510834
(式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子又は水素であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素であるが、R 又はR の1個のみが同時に水素であってよい)
を有する。更に他の態様に於いて、p及びnは1より大きい整数である。なお更に、R 若しくはR 又は両方は、C 〜C30有機配位子である。更に他の態様に於いて、R 若しくはR 又は両方は、C 〜C16又はC20〜C30有機配位子であり、p及びnは1より大きい整数である。
【0137】
本発明の更に他の態様に於いて、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分はアジピン酸残基からなり、少なくとも1種のジアミン成分はm−キシリレンジアミンからなり、層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基からなり、そしてアルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである。別の態様に於いて、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分はアジピン酸残基からなり、少なくとも1種のジアミン成分はm−キシリレンジアミンからなり、層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基からなり、そしてアルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである。
【0138】
なお更に、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分はアジピン酸残基からなり、少なくとも1種のジアミン成分はm−キシリレンジアミンからなり、層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基からなり、そしてアルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンからなる群から選択されない。追加の態様に於いて、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分はアジピン酸残基からなり、少なくとも1種のジアミン成分はm−キシリレンジアミンからなり、アルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンであり、そして層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基からならない。更に他の態様に於いて、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分はアジピン酸残基からなり、少なくとも1種のジアミン成分はm−キシリレンジアミンからなり、層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基からなり、そしてアルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンからなる群から選択されない。なお更に、ポリアミドポリマー又はコポリマーは、ポリ(m−キシリレンアジパミド)ではない。
【0139】
なお他の態様に於いて、アルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンではない。なお更に、アルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンではない。
【0140】
他の態様に於いて、アルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオン又はメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンではなく、そして層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基ではない。
【0141】
更に他の態様に於いて、アルコキシル化アンモニウムカチオンは、メチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオン又はメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンではなく、層状クレー材料は、1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基ではなく、そしてポリアミドポリマー又はコポリマーは、ポリ(m−キシリレンアジパミド)ではない。
【0142】
エトキシル化アルキルアンモニウム化合物、特にビス(2−エトキシ)メチルオクタデシルアンモニウムは、ポリアミドマトリックスの中への分散を促進するために使用される束縛界面活性剤として好ましい。これらの優れた分散で、これらの有機クレー(又は挿入物)も、ポリアミドの溶融強度を増強する。更に、これらのナノコンポジットの結晶化速度も、MXD6ポリアミドのものに非常に類似しており、PET又は他のポリマーと組み合わせて溶融加工するとき、著しい可撓性及び短いサイクル時間を可能にする。
【0143】
ビス(2−エトキシ)メチルオクタデシルアンモニウムは、タロウメチルビス(2−ヒドロキシエチル)及び/又は(水素化タロウ)メチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩及び化合物の主カチオン成分である、オクタデシルメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムと同義語である。アンモニウムイオン又は化合物について記載した4個の置換基の語の順序は、本明細書の開示の目的のために、物理的又は化学的重要性の無いものであることも理解されるべきである。
【0144】
一つの態様に於いて、コンポジット組成物は、サザン・クレー・プロダクツ社(テキサス州ゴンザレズ)から購入したSCPX−1578有機モンモリロナイトクレーからなる。更に他の態様に於いて、コンポジット組成物は、SCPX−1578有機モンモリロナイトクレーからならない。
【0145】
物品
本発明は、また、これらに限定されないが、フィルム、シート、パイプ、チューブ、異形材、成形物品、プリフォーム、延伸吹込成形容器、射出吹込成形容器、押出吹込成形容器、熱成形物品等々を含む、本発明のナノコンポジット組成物から製造された物品に関する。この容器は好ましくはボトルである。本発明のボトル及び容器は、気体の透過に対して感受性である飲料及び食品を含む、内容物のための延長された保存貯蔵寿命を与える。本発明の物品、更に好ましくは容器及びボトルは、クレーを含有しないポリマーから製造された類似の容器のものよりも少なくとも10%低い(クレー濃度に依存する)気体透過度を示し、相応して容器により与えられるより長い製品保存寿命になる。側壁モジュラス及び引っ張り強度についての望ましい値も維持することができる。
【0146】
この物品は多層化されていてもよい。好ましくは、多層物品は、他の層の中間に配置されたナノコンポジット材料を有するけれども、ナノコンポジットは二層物品の一層であってもよい。ナノコンポジット及びその成分が食品接触について認可されている態様に於いて、ナノコンポジットは、所望の物品の食品接触層を形成することができる。他の態様に於いて、ナノコンポジットは食品接触層以外の層であることが好ましい。
【0147】
多層物品には、また、1個又は2個以上の、本発明のナノコンポジット組成物の層及び1個又は2個以上の、構造ポリマーの層が含まれていてよい。広範囲の種々の構造ポリマーを使用することができる。構造ポリマーの例は、ポリエステル、ポリエーテルエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリウレア、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリエチレン−共−ビニルアルコール(EVOH)等又はこれらの組合せ及びブレンドである。好ましい構造ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート及びそのコポリマーのようなポリエステルである。
【0148】
本発明の他の態様に於いて、ポリマー−クレー組成物及び/又はナノコンポジット並びに成形物品又は押出シートは、他のポリマーと共に共射出成形又は共押出によって同時に成形することができる。
【0149】
本発明の他の態様は、包装材料に向けた多層アプローチと共に、高バリヤー熱可塑性樹脂のマトリックス内に均一に分散されたケイ酸塩層を組み合わせて使用することである。高バリヤー層内に気体透過度を減少させるために層状クレーを使用することによって、最終応用に於ける特別のバリヤーレベルを生じさせるために必要なこの材料の量が大きく減少する。高バリヤー材料は、多層包装材料中で最も高価な成分であるので、必要なこの材料の量に於ける減少は、非常に有利である。ナノコンポジット層を2個の外側ポリマー層の間に挟んで、表面粗さは、しばしば、単層ナノコンポジット材料についてのものよりも著しく小さくなる。そうして多層アプローチで、ヘイズのレベルは低下する。
【0150】
押出吹込成形のような応用に於いて、しばしば、熱可塑性樹脂は、加工のために不十分な溶融強度を有する。本発明に於いて、ワイオミング型クレーのような層状クレー材料と加工添加物としてのアルコキシル化アンモニウムカチオン、特に第三級又は第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンとの組合せは、低い剪断速度でポリアミドの溶融粘度を上昇させた。予想外に、より高い剪断速度で、同じコンポジット材料の溶融粘度は、著しく低く、高い溶融強度加工性材料になる。予想外に、僅か約3重量パーセントのクレーを含有する本発明のナノコンポジット組成物は、1ラジアン/秒から100ラジアン/秒までの剪断速度に於ける変化で、ほぼ50,000ポアズから10,000ポアズ未満までの溶融粘度に於ける低下を示すことが観察された。このような剪断感受性溶融流れ特性は、吹込成形応用に於いて、特にボトルのような吹込成形中空物品のために非常に有利であろう。本発明のコンポジット組成物について観察された予想外の他の利点は、溶融温度を変化させたときの溶融粘度に於ける改良された不変性である。この効果は、2種の材料を一緒に加工するための、溶融粘度値及びそうして得られる形態を釣り合わせる際に助けになるであろう。
【0151】
前記のように、本発明の一つの態様に於いて、ポリアミド−小板粒子ナノコンポジット組成物及び成形物品又は押出シートは、共射出成形又は共押出によって同時に成形することができる。
【0152】
一層又は数層の延伸吹込成形ボトルを成形する際に、最初に、射出成形方法により所望のベッセル又は容器のプリフォームを成形することがしばしば慣行である。プリフォームを構成する材料の結晶化速度は、本質的に光学的に透明で非結晶性のプリフォームの成形を可能にするために、十分に遅くなくてはならない。プリフォームが本質的に非結晶性でないと、ボトルを成形するために所望の形状に延伸吹込成形することが非常に困難である。ポリアミド及び小板粒子からなる先行技術のナノコンポジット材料は、典型的に、結晶の速い速度を示し、それで吹込成形することが非常に困難である結晶性プリフォームを製造した。本発明の重要な態様に於いて、層状ケイ酸塩材料及び処理化合物は、個別の小板のポリマーの中への分散を促進し、最大バリヤー増強、最小ヘイズ形成及び射出成形による光学的に透明なプリフォーム(これは、本質的に特性が非結晶性である)の成形を可能にするように選択される。予想外に、本発明の組成物及びナノコンポジットは、容易に吹込成形することができる、光学的に透明で、本質的に非結晶性のプリフォームの成形を可能にする。
【0153】
本明細書に開示されているコンポジット及び/又はナノコンポジット組成物の特徴及び性能は、出願係属中の米国特許出願、発明の名称「マトリックスポリマー及び低石英含有量を有する層状クレー材料からなるポリマーナノコンポジット(A Polymer Nanocomposite Comprising a Matrix Polymer and A Layered Clay Material Having a Low Quartz Content)」、2000年5月30日に出願された出願人処理番号第05015.0302号に開示されているような、低石英含有量を有する層状クレー材料を使用することによって改質することができることも理解されるべきである。本明細書に開示されているコンポジット及び/又はナノコンポジット組成物は、1999年7月15日出願の出願係属中の米国特許出願第09/354205号、発明の名称「オリゴマー樹脂前駆体により剥離された高I.V.ポリマーナノコンポジットの製造方法及びそれから製造された物品(Process for Preparing An Exfoliated, High I.V. Polymer Nanocomposite With An Oligomer Resin Precursor and An Article Produced Therefrom)」に開示されているような、オリゴマー樹脂を使用することによって改質することもできる。上記の特許出願の両方を、それらに記載された組成物及び方法を開示する目的のために、それらの全部を参照して本明細書に含める。
【0154】
実施例
下記の実施例は、本明細書で特許請求された組成物が、如何にして製造され、評価されるかの一層完全な開示及び説明を、当業者に提供するために示される。これらは、本発明者等が発明と考えているものの範囲を限定することを意図していない。数字(例えば、量、温度など)に関する正確性を保証するための努力を払ったが、幾らかの誤差及び変動は釈明されるべきである。他の方法で示さない限り、部は重量基準であり、温度は℃であるか又は室温であり、そして圧力は大気圧又はその付近である。
【0155】
実施例1
低分子量m−キシリルアジパミドポリアミドを、米国特許第5,340,884号に記載されているようにして製造した。この材料を、アミン及びカルボキシラート末端基の滴定により、約3,000の数平均分子量を有するとして分析し、約0.41dL/gのI.V.を有するとして決定した。約82%のオリゴマー性ポリ(m−キシリルアジポイルジアミン)からなる乾燥混合物を形成し、ナノコール社によって供給されたメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムの束縛界面活性剤を有する18重量パーセントのBY−ODBEMA有機モンモリロナイトクレー、ワイオミング型クレーとドライブレンドした。この混合物を110℃で一夜真空オーブン内で乾燥し、次いで一般的な配合スクリューを取り付けたライストリッツ・ミクロ(Leistritz Micro)18押出機で押し出した。アキュレート(AccuRate)ペレット供給機を、供給機及びホッパーの両方の上を窒素雰囲気にして、約2kg/時の速度で設定した。バレル及びダイ温度を280℃に設定し、スクリューRPM を約275に設定した。MXD6 6007、即ち約1.1dL/gのI.V.を有するポリ(m−キシリレンアジパミド)は、三菱化学株式会社から購入した。押出機を粉砕し、約1:3比でMXD6 6007とドライブレンドした。押出物のクレー含有量は、灰分析により3.7%であると決定された(ASTM D5630−94)。
【0156】
得られた材料を、次いで、光学顕微鏡法(OM)及び透過型電子顕微鏡法(TEM)によりキャラクタリゼーションして、ポリマーマトリックスの中への有機クレーの分散度を決定し、そしてコンポジット材料の形態を評価した。光学顕微鏡法により、このコンポジット材料は高い透明度を示し、有機クレーの大部分がポリマーのマトリックスの中によく分布していることを示すことが決定される。透過型電子顕微鏡法により、殆どの場合に、クレー層のそれぞれは、ポリマーマトリックス中で剥離している、即ち、個別に分散していることが証明された。
【0157】
X線強度は、1.5°〜10°の回折角θの全範囲を通して単調に減少する。この材料を灰化することによって分析したとき、元の重量の3.7%が得られた。
【0158】
この材料を、PETと共に三層プリフォームに射出成形し、次いでボトルに延伸吹込成形した。このボトル側壁のバリヤー層の酸素透過度の分析によって、MXD6対照(0.3ccミル/100平方インチ−24時−atm )よりも10倍以上高いバリヤーである0.020ccミル/100平方インチ−24時−atm の値が得られた。
【0159】
実施例2
メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムの束縛界面活性剤を有する市販のワイオミング型モンモリロナイトを使用して、実施例1の手順を繰り返した。この材料の形態を、実施例1に記載したものと同様の方法で顕微鏡的に評価した。光学顕微鏡法により、高いクレー分散度が、このコンポジット材料について観察された。透過型電子顕微鏡写真により、殆どの場合にクレー層のそれぞれが剥離することが証明された。更に、ポリマーマトリックスの中への有機クレーの分散度を、広角X線回折(WAXD)によってキャラクタリゼーションした。WAXD分析は、Cu Kα X線源を取り付けたX線回折計を使用して、材料の粉砕したサンプルで行った。有機クレーからの回折プロフィールは、1.8nmの基底空間値(basal spacing value)に相当する回折極大を示す。ナノコンポジット材料について、WAXDプロフィールに於いて回折極大は示されない。X線強度は、1.5°〜10°の回折角θの全角度範囲を通して単調に減少する。この材料の結晶化特性は、示差走査熱量測定を使用して分析した。
【0160】
この材料のペレットを、三層プリフォームの射出成形及び続くボトルへの延伸吹込成形のために、二つのプラスチック加工会社に送った。ボトル側壁の酸素透過度をモコン・オクストラン(Mocon Ox−tran)2/20酸素透過度試験器で決定した。ボトル側壁のバリヤー層の酸素透過度は、0.020ccミル/100平方インチ−24時−atm 及び0.06 020ccミル/100平方インチ−24時−atm と測定された。バリヤー層としてMXD6 6007を含有するボトル対照を製造した。これらのボトルの側壁バリヤー材料の酸素透過度は、約0.3ccミル/100平方インチ−24時−atm であった。
【0161】
実施例3
より少ない量の、オリゴマーポリアミド及び層状クレーからなるコンポジットを使用して、実施例2の手順を繰り返した。この実施例に於いて、初期押出物を、約1:6比でMXD6 6007とドライブレンドした。この押出物のクレー含有量は、灰分析により1.8%であると決定された。この材料の形態は、実施例1に記載したものと同様の方法で評価した。光学顕微鏡法により、高いクレー分散度が、このコンポジット材料について観察された。透過型電子顕微鏡写真により、殆どの場合にクレー層が、MXD6マトリックスの中に個別に剥離することが証明された。X線強度は、1.5°〜10°の回折角θの全角度範囲を通して単調に減少する。この材料の結晶化特性は、示差走査熱量測定を使用して分析した(表2)。
【0162】
実施例4
MXD6 6007を、3.8重量パーセントのBY−Q182有機モンモリロナイトクレーとドライブレンドした。この混合物を110℃で一夜真空オーブン内で乾燥し、次いで一般的な配合スクリューを取り付けたライストリッツ・ミクロ18押出機で押し出した。アキュレートペレット供給機を、供給機及びホッパーの両方の上を窒素雰囲気にして、約2kg/時の速度で設定した。バレル及びダイ温度を270℃に設定し、スクリューRPM を約275に設定した。
【0163】
得られた材料を、次いで、光学顕微鏡法(OM)及び透過型電子顕微鏡法(TEM)によりキャラクタリゼーションして、ポリマーマトリックスの中への有機クレーの分散度を決定し、そしてコンポジット材料の形態を評価した。光学顕微鏡法により、このコンポジット材料は高い透明度を示し、有機クレーの大部分がポリマーのマトリックスの中によく分布していることを示すことが決定される。透過型電子顕微鏡法により、殆どの場合に、クレー層のそれぞれは、ポリマーマトリックス中で剥離している、即ち、個別に分散していることが証明された。この材料の結晶化特性は、示差走査熱量測定を使用して分析した(表2)。
【0164】
このナノコンポジット材料から、油圧プレス上で280℃で圧縮成形することによって、フィルムを形成し、続いて冷却の際の結晶化を最小にするために、氷水中で直ちに急冷した。次いで、このフィルムの酸素バリヤーは、モコン2/20酸素透過度試験器で、0.014ccミル/100平方インチ−24時−atm であると決定された。
【0165】
この材料を、PETと共に三層プリフォームに射出成形し、次いでボトルに延伸吹込成形した。この酸素透過度は、モコン(Mocon)2/20で、0.08ccミル/100平方インチ−24時−atm であると決定された。
【0166】
比較例1
使用したクレーのための束縛界面活性剤としてオクタデシルアンモニウム(ODA)を使用して、実施例1の手順を繰り返した。示差走査熱量測定を使用して分析した、この材料の結晶化特性を、表2に示す。
【0167】
比較例2
使用したクレーのための束縛界面活性剤としてトリメチルオクタデシルアンモニウム(ODTMA)を使用して、実施例2の手順を繰り返した。このナノコンポジット材料(灰分3.2%)の圧縮成形したフィルムの酸素透過度は、0.041ccミル/100平方インチ−24時−atm であると特徴付けられた。示差走査熱量測定を使用して分析した、この材料の結晶化特性を、表2に示す。
【0168】
比較例3
ケイ酸塩成分として、ビス(2−ヒドロキシエチル)メチルオクタデシルアンモニウム(ODBEMA)の束縛界面活性剤を有するモンモリロナイトを使用して、実施例1の手順を繰り返した。得られたコンポジット材料を、実施例1に記載したものと同様の方法でキャラクタリゼーションした。光学顕微鏡法による検査によって、ポリマーマトリックスの中への低レベルのモンモリロナイト剥離が明らかになった。0.516ccミル/100平方インチ−24時−atm でのコンポジット材料の酸素バリヤーのキャラクタリゼーションにより、MXD6を越える改良は示されなかった。使用したケイ酸塩はワイオミング型モンモリロナイトではなかったので、これが、ポリアミドの中への有機クレーの分散の程度を制限する主要因であろう。MXD6コンポジットの結晶化は、Tcc−Tch=9℃を示し、非常に良好な加工性を示していた。
【0169】
比較例4
使用したクレーのための束縛界面活性剤としてオクタデシルアンモニウム(ODA)を使用して、比較例3の手順を繰り返した。更に、より少ない量の、オリゴマーポリアミド及び層状クレーからなっていたコンポジットを使用した。この例に於いて、初期押出物を約1:6比でMXD6 6007とドライブレンドした。示差走査熱量測定を使用して分析した、この材料の結晶化特性を表2に示す。
【0170】
比較例5
使用したクレーのための束縛界面活性剤としてトリメチルオクタデシルアンモニウム(ODTMA)を使用して、比較例3の手順を繰り返した。示差走査熱量測定を使用して分析した、この材料の結晶化特性を、表2に示す。
【0171】
表2に、生MXD6及びアルキルアンモニウム化合物で処理したワイオミング型クレーを含むMXD6−小板粒子コンポジットについてのTcc−Tchの観察された値を示す。ナノコンポジット(比較例1,2及び5)は、低下した酸素透過度(改良された酸素バリヤー)を有するけれども、これらはまた、より高いTcc−Tch値を有し、一層速い結晶化を示す。また、表1に、ある種のエトキシル化アンモニウム化合物で処理されたクレーを含む選択されたMXD6−小板粒子コンポジットについて、Tcc−Tch及び酸素透過度の観察された値を示す。これらのナノコンポジット(実施例1〜3及び比較例3)は、減少したTcc−Tch値をを示し、より遅い結晶化を示している。ある種のエトキシル化アンモニウム化合物で処理したワイオミング型クレーを含む、表2中の選択されたMXD6−小板粒子コンポジット(実施例1〜3)は、顕著に減少した酸素透過度(改良されたバリヤー)及び減少したTcc−Tch値を有し、より遅い結晶化(より良い加工性)を示している。更に、これらのコンポジット材料を所望の物品に成形したとき、ポリアミドマトリックスの中へのクレーの優れた分散は、目に見えるヘイズの全体レベルを低下させる助けになる。
【0172】
【表2】
Figure 2004510834
【0173】
実施例5
この例は、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(PDA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなる無定形ポリアミドの製造を示す。
【0174】
短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに、67.8グラム(0.3モル)のレゾルシノールビス(カルボキシメチル)エーテル〔(1,3−フェニレンジオキシ)二酢酸〕、40.8グラム(0.30モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0グラム(4.17モル)の水を添加した。このフラスコを、100mmまで真空を下げ、窒素中に流すことを3回行うことによって、存在する全ての酸素をパージした。このフラスコを、130℃のベルモント(Belmont)金属浴中に浸漬し、100RPM で攪拌した。18分後に、20mLの水が凝縮受容器内に集められ、反応混合物は白色固体であった。攪拌機を停止し、温度を220℃まで上昇させた。8分後に、温度設定点を275℃まで上昇させた。19分後に、温度は265℃であり、反応混合物の溶融が始まり、攪拌機を25RPM で始動させた。50mLの水が凝縮受容器内に集められた。17分後に、温度は275℃であり、反応混合物の2/3が溶融し、60mLの水が凝縮受容器内に集められた。8分後に、白色固体の殆ど全てが溶融し、攪拌機を100RPM まで上昇させ、温度設定点を280℃まで上昇させた。62mLの水が凝縮受容器内に集められた。5分後に、全ての白色固体が溶融し、温度は280℃であった。この条件を28分間維持した。攪拌を25RPM まで低下させ、2分間維持した。加熱を取り去り、ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果:I.V.=0.52dL/g;T =96.7℃;色:L =83.45、a =0.72、b =28.67;NMRにより組成物がPDA(MX)であると確認された。圧縮成形フィルムの酸素透過度は、0.19ccミル/100平方インチ−1日−atm であった。
【0175】
実施例6
実施例6は、90モル%の1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(PDA)及び20モル%のテレフタル酸(TPA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなるポリアミドの製造を示す。
【0176】
61.02グラム(0.27モル)の1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、4.98グラム(0.03モル)のテレフタル酸、40.8グラム(0.30モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0g(4.17モル)の水を、短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに添加した。このフラスコを、170℃のベルモント金属浴中に浸漬し、100RPM で攪拌した。8分後に、35mLの水が凝縮受容器内に集められ、反応混合物は白色固体であった。攪拌機を停止し、温度を220℃まで上昇させた。12分後に、温度は275℃まで上昇し、52mLの水が凝縮受容器内に集められた。7分後に、温度は263℃であり、反応混合物の溶融が始まり、攪拌機を25RPM で始動させた。60mLの水が凝縮受容器内に集められた。9分後に、温度は275℃であり、反応混合物の1/3が溶融し、攪拌機を50RPM まで上昇させた。70mLの水が凝縮受容器内に集められた。9分後に、白色固体の殆ど全てが溶融し、攪拌機を100RPM まで上昇させ、72mLの水が凝縮受容器内に集められた。5分後に、全ての白色固体が溶融し、攪拌機を50RPM まで低下させた。これらの条件を30分間維持した。
【0177】
加熱を取り去り、ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果は下記の通りであった。I.V.=0.40dL/g;T =101.1℃;色:L =92.90、a =3.22、b =36.48。NMRによりPDA−10−TPA(MX)の組成が確認された。
【0178】
実施例7
この例は、90モル%の1,3−フェニレンジオキシ二酢酸(PDA)及び10モル%のナフタレンジカルボン酸(NDA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなる無定形ポリアミドの製造を示す。
【0179】
短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに、61.02グラム(0.27モル)のレゾルシノールビス(カルボキシメチル)エーテル〔(1,3−フェニレンジオキシ)二酢酸〕、6.48グラム(0.03モル)の2,6−ナフタレンジカルボン酸、40.8グラム(0.30モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0(4.17モル)の水を添加した。このフラスコを、170℃のベルモント金属浴中に浸漬し、100RPM で攪拌した。10分後に、反応混合物は白色固体であり、攪拌機を停止した。22mLの水が凝縮受容器内に集められ、温度設定点を220℃まで上昇させた。10分後に、温度設定点を275℃まで上昇させ、40mLの水が凝縮受容器内に集められた。7分後に、温度は263℃であり、反応混合物の溶融が始まり、攪拌機を25RPM で始動させた。50mLの水が凝縮受容器内に集められた。9分後に、温度は275℃であり、反応混合物の1/3が溶融した。攪拌を50RPM まで上昇させ、60mLの水が凝縮受容器内に集められた。9分後に、殆ど全ての白色固体が溶融し、攪拌を100RPM まで上昇させた。62mLの水が凝縮受容器内に集められた。5分後に、全ての白色固体が溶融し、攪拌を50RPM まで低下させた。これらの条件を30分間維持した。加熱を取り去り、ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果:I.V.=0.39dL/g;T =101.1℃;色:L =82.41、a =2.23、b =36.62;NMR組成=PDA−10−NDA(MX)。
【0180】
実施例8
実施例8は、82モル%のアジピン酸(A)及び18モル%のイソフタル酸(IPA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなる無定形ポリアミドの製造を示す。
【0181】
短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに、46.72グラム(0.32モル)のアジピン酸、13.28グラム(0.08モル)のイソフタル酸、55.5グラム(0.408モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0(4.17モル)の水を添加した。このフラスコを、15℃のベルモント金属浴中に浸漬し、100RPM で攪拌した。8分後に、幾らかの白色の未溶融物を含有する透明な溶融物が存在した。攪拌を200RPM まで上昇させた。これらの条件を18分間維持した。温度設定点を275℃まで上昇させた。17分後に、浴温度は168℃であり、40mLの水が凝縮受容器内に集められ、反応混合物は白色固体であった。攪拌機を停止した。9分後に、浴温度は216℃であり、溶融が始まり、攪拌機を25RPM で始動させた。8分後に、攪拌機設定点を100RPM まで上昇させた。11分後に、全部の固体が溶融し、70mLの水が凝縮受容器内に集められた。攪拌機設定点を200RPM まで上昇させ、浴温度は275℃であった。真空を適用し、300mmHgで始まり、5分間かかって0.3mmの設定点まで徐々に低下した。攪拌機設定点を100RPM まで低下させた。溶融物の粘度が上昇したとき、攪拌を15分間かけて25RPM まで徐々に低下させた。20分間の合計真空時間の後、真空を大気圧まで上昇させ、加熱を取り去った。ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果は下記の通りであった:I.V.=0.83dL/g;T =104.1℃;T =無し;色:L =82.15、a =−1.38、b =24.15。NMRによりA−19−IPA(MX)の組成が確認された。
【0182】
実施例9
実施例9は、82モル%のアジピン酸(A)及び18モル%のテレフタル酸(TPA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなるポリアミドの製造を示す。
【0183】
46.72グラム(0.32モル)のアジピン酸、13.28グラム(0.08モル)のテレフタル酸、55.5グラム(0.408モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0(4.17モル)の水を、短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに添加した。このフラスコを、115℃のベルモント金属浴中に浸漬し、100RPM で攪拌した。12分後に、白色不透明液体が存在し、攪拌を200RPM まで上昇させた。この条件を18分間維持した。温度設定点を275℃まで上昇させた。13分後に、浴温度は164℃であり、30mLの水が凝縮受容器内に集められ、反応混合物は白色固体であった。攪拌機を停止した。10分後に、浴温度は275℃であり、溶融が始まり、攪拌機を25RPM で始動させた。16分後に、幾らかの溶融が始まり、攪拌機設定点を100RPM まで上昇させた。7分後に、攪拌を200RPM まで上昇させた。26分後に、全部の固体が溶融し、65mLの水が凝縮受容器内に集められた。真空を適用し、300mmHgで始まり、5分間かかって0.3mmの設定点まで徐々に低下した。溶融物の粘度が上昇したとき、攪拌の役割を13分間かけて25RPM まで徐々に低下させた。20分間の合計真空時間の後、真空を大気圧まで上昇させ、加熱を取り去った。ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果は下記の通りであった:I.V.=0.80dL/g;T =106.3℃;T =無し;色:L =83.49、a =−2.49、b =22.98。NMR組成=A−18−TRA(MX)。圧縮成形フィルムの酸素透過度は、0.17ccミル/100平方インチ−1日−atm であった。
【0184】
実施例10
この実施例は、82モル%のアジピン酸(A)及び18モル%のナフタレンジカルボン酸(NDA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなる無定形ポリアミドの製造を示す。
【0185】
短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに、46.72グラム(0.32モル)のアジピン酸、17.28グラム(0.08モル)の2,6−ナフタレンジカルボン酸、55.5グラム(0.408モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0(4.17モル)の水を添加した。このフラスコを、115℃のベルモント金属浴中に浸漬し、100RPM で攪拌した。12分後に、白色不透明液体が存在し、攪拌を200RPM まで上昇させた。この条件を18分間維持した。温度設定点を275℃まで上昇させた。13分後に、浴温度は164℃であり、30mLの水が凝縮受容器内に集められ、反応混合物は白色固体であった。攪拌機を停止した。10分後に、浴温度は275℃であり、溶融が始まり、攪拌機を25RPM で始動させた。16分後に、幾らかの溶融が始まり、攪拌機設定点を100RPM まで上昇させた。7分後に、攪拌を200RPM まで上昇させた。26分後に、全部の固体が溶融し、65mLの水が凝縮受容器内に集められた。真空を適用し、300mmHgで始まり、5分間かかって0.3mmの設定点まで徐々に低下した。溶融物の粘度が上昇したとき、攪拌を13分間かけて25RPM まで徐々に低下させた。20分間の合計真空時間の後、真空を大気圧まで上昇させ、加熱を取り去った。ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果は下記の通りであった:I.V.=0.80dL/g;T =106.3℃;T =無し;色:L =83.49、a =−2.49、b =22.98。NMR=A−18−NDA(MX)。圧縮成形フィルムの酸素透過度は、0.17ccミル/100平方インチ−1日−atm であった。
【0186】
実施例11
この実施例は、81モル%のアジピン酸(A)及び19モル%のフェニルインダンジカルボン酸(PIDA)とm−キシリレンジアミン(MX)とからなる無定形ポリアミドの製造を示す。
【0187】
短い蒸留カラム、攪拌機及び窒素入口を取り付けた500mLの丸底フラスコに、46.72グラム(0.32モル)のアジピン酸、25.76グラム(0.08モル)の2,6−フェニルインダンジカルボン酸、55.5グラム(0.408モル)のm−キシリレンジアミン及び75.0(4.17モル)の水を添加した。このフラスコを、115℃のベルモント金属浴中に浸漬し、25RPM で攪拌した。14分後に、発泡体が存在し、攪拌を300RPM まで上昇させた。この条件を14分間維持し、温度設定点を140℃まで上昇させた。9分後に、温度設定点を150℃まで上昇させ、10mLの水が凝縮受容器内に集められた。3分後に、浴温度を160℃まで上昇させ、12mLが凝縮受容器内に集められた。3分後に、浴温度を275℃まで上昇させ、15mLが凝縮受容器内に集められた。6分後に、浴温度は198℃であり、21mLが凝縮受容器内に集められた。幾らかの僅かな発泡体がなお存在していた。10分後に、浴温度は244℃であり、35mLが凝縮受容器内に集められた。反応混合物は白色の濃厚なペーストであり、攪拌を25RPM まで低下させた。16分後に、浴温度は275℃であり、反応混合物は1/2溶融した。3分後に、反応混合物は3/4溶融し、66mLが凝縮受容器内に集められた。5分後に、全部のペーストが溶融し、真空を適用し、500mmHgで始まり、8分間かかって0.3mmの設定点まで徐々に低下した。溶融物の粘度が上昇したとき、攪拌を12分間かけて25RPM まで徐々に低下させた。20分間の合計真空時間の後、真空を大気圧まで上昇させ、加熱を取り去った。ポリアミドを冷却させ、フラスコから取り出し、3mm篩を通過するまで粉砕した。分析結果は下記の通りであった:I.V.=0.50dL/g;T =109.6℃;T =無し;色:L =78.08、a =−1.33、b =19.26。NMR組成=A−19−PIDA(MX)。
【0188】
実施例12
実施例12は、本発明のポリアミド−クレーナノコンポジットの一態様の製造を示す。
【0189】
実施例9に記載されたようにして製造した無定形コポリアミド(1,000グラムの、約0.91dL/gのI.V.を有するA−20−IPA(MX))及びナノコール社のオクタデシルアンモニウムイオン挿入クレー(29.0グラムのCWC−ODA)をドライブレンドし、次いで真空オーブン内で僅かに窒素を流しながら約75℃で約16時間乾燥させた。この混合物を、アキュレート供給機の中に入れ、次いで約3.8kg/時の供給速度で、一般的な配合スクリューを取り付けたライストリッツ・ミクロ18同速回転二軸スクリュー押出機で、約300RPM で250℃のバレル及びダイ温度設定並びに真空通気で押し出した。押出物を水中に急冷し、次いでそれがダイから出たとき細断して、約0.90dL/gのI.V.及び約1.9重量パーセントの灰分値を有するコポリアミドナノコンポジット807グラムを得た。DSCによる分析によって、第一走査で約200℃で0.4 cal/gの小さい溶融吸熱が示され、約200℃/分の速度で冷却した後、第二走査で溶融吸熱は観察されなかった。
【0190】
実施例13
実施例13は、本発明のポリアミド−クレーナノコンポジットの一態様とポリ(エチレンテレフタレート)(PET)との共押出を示す。
【0191】
実施例8からのコポリアミドナノコンポジット(約700グラム)を、真空オーブン内で僅かに窒素を流しながら約75℃で約16時間乾燥させた。イーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Company)のPET9921を、ホッパー乾燥機内で約120℃で別にして乾燥させた。次いで、このコポリアミドナノコンポジット及びPET9921を共押出して、約7.0ミルの厚さで中心層を構成するコポリアミドナノコンポジット及び2個の外側層を構成するPET9921を含み、約21ミルの合計フィルム厚さを有する三層フィルムを成形した。この三層フィルムの数個の2インチ平方の片を、T.M.ロング(T.M.Long)装置を使用して、4×4の延伸比で二軸延伸した。
【0192】
この延伸したフィルムは、約0.6%のヘイズ、約94.6のL 、約−0.9のa 及び約0.1のb で、優れた色及び透明度を示した。光学顕微鏡法によるこの延伸フィルムの分析により、非常に僅かな大きい粒子があり、ボイドがほとんど無いことが明らかになった。このフィルムの酸素透過度は、モコン・オキサトラン(Mocon Oxatran)2/20を使用して、0.48cc−ミル/100平方インチ−1日−atm であると決定され、これは、比較例6に於ける対照サンプルよりも著しく良く、比較例7に於けるポリアミドナノコンポジットよりも良い。
【0193】
比較例6
三菱瓦斯化学株式会社から入手できる、クレーを含有しないMXD6 6007を、コポリアミドナノコンポジットの代わりに使用した以外は、例13の方法を繰り返して、押し出したとき、約20.5ミルの全厚さ及び約6.0ミルの中心クレー非含有バリヤー層厚さを有する三層フィルムを得た。
【0194】
延伸したフィルムは、約2.45%のヘイズ、約94.7のL 、約−0.09のa 及び約−0.1のb で、良好な色を示したが、上昇したヘイズを示した。このフィルムの酸素透過度は、モコン・オキサトラン2/20を使用して、0.83cc−ミル/100平方インチ−1日−atm であると決定され、例5のナノコンポジット中心層を有するフィルムよりも著しく(0.35cc−ミル/100平方インチ−1日−atm )高い。
【0195】
比較例7
三菱瓦斯化学株式会社のMXD6 6007を、実施例8に記載したようにして製造したコポリアミドの代わりに使用した以外は、実施例12の方法を繰り返した。
【0196】
(1)MXD6ナノコンポジットを、コポリアミドナノコンポジットの代わりに使用し、そして(2)イーストマン・ケミカル社のPET20261をPET9921の代わりに使用した以外は、実施例6の方法を繰り返した。この三層フィルムは、約21ミルの全厚さ及び約1.4ミルの中心MXD6ナノコンポジット層厚さを有していた。
【0197】
延伸したフィルムは、約2.5%のヘイズで、上昇したヘイズを示した。光学顕微鏡法による延伸フィルムの分析により、多数の大きな粒子及び著しい量のボイドが明らかになった。このフィルムの酸素透過度は、モコン・オキサトラン2/20を使用して、2.81cc−ミル/100平方インチ−1日−atm であると決定された。
【0198】
実施例14
過剰のm−キシリレンジアミンを使用する以外は例8に記載したようにして、低分子量アミン末端コポリアミドを製造して、約0.3dL/gのI.V.を有する材料を得る。次いで、この材料を、実施例12の方法に於ける高I.V.コポリアミドの代わりに使用する。押出が完結した後、100グラムの押出物ペレットを、300グラムの三菱瓦斯化学株式会社のMXD6 6007ポリアミドペレットとドライブレンドする。このMXD6ポリアミドは、M =10,000g/モル、M =25,000g/モル及びM =40,000g/モルの分子量を有していた。次いでこの混合物を、ライストリッツ押出機で、2.0〜2.5kg/時の供給速度以外は、クレーポリマー混合物で使用したのと同じ条件下で押し出す。得られるコポリアミドナノコンポジットは、優れた外観及び酸素バリヤーを有する三層フィルムを与えることが見出される。
【0199】
実施例15
ナノコール社のオニウムイオン挿入クレー(29.0gのCWC−ODA)も、m−キシリレンジアミンの添加の前にフラスコに装入した以外は、実施例8の方法を繰り返した。得られたコポリアミドナノコンポジットが、優れた外観及び酸素バリヤーを有する三層フィルムを与えることが見出される。
【0200】
実施例16
実施例16は、本発明のナノコンポジットの一態様を示す。
【0201】
約1.1dL/gのI.V.を有するポリ(m−キシリレンアジパミド)であるMXD6 6007を、三菱化学株式会社から購入した。有機モンモリロナイトクレー(PGC−Q182)は、イリノイ州アーリントン・ハイツのナノコール社によって供給された。このクレーは、X線回折法から決定された0.33重量%の石英含有量を有している。また、この有機クレーは、X線回折により決定したとき、0.12重量%のNa 含有量を有している。
【0202】
有機モンモリロナイトクレーは、Na−モンモリロナイトをビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウムクロリドで、オニウムイオン交換することによって製造した。仕上がった生成物を、アルコール/水混合物で洗浄して、過剰の界面活性剤を除去し、次いで乾燥させ、粉砕した。クレー上の束縛物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウムである。
【0203】
低分子量ポリ(m−キシレンアジパミド)ポリアミドを、米国特許第5,340,884号に記載されているようにして製造した。この材料を、アミン及びカルボキシラート末端基の滴定により、約3,000の数平均分子量を有するとして分析し、約0.41dL/gのI.V.を有するとして決定した。このオリゴマー性ポリ(m−キシリレンアジパミド)1421.8グラムを、ナノコール社からの有機モンモリロナイトクレー378.2グラムとドライブレンドした。ドライブレンドする前に、個々の成分を、80℃で真空下で24時間乾燥させた。次いで、この混合物を、一般的な配合スクリューを取り付けたライストリッツ・ミクロ18同速回転二軸スクリュー押出機で押し出した。アキュレートペレット供給機を、供給機及びホッパーの両方の上を窒素雰囲気にして、約2kg/時の速度で設定した。バレル及びダイ温度を240℃に設定し、スクリューRPM を約200に設定した。
【0204】
押出が完結した後、1666.7グラムの押出物ペレットを、8333.3グラムのMXD6 6007ポリアミドとドライブレンドする。次いで、この混合物を、ヴェルネル−プフライデレル(Werner−Pfleiderer)30mm二軸スクリュー押出機で、260℃の加工温度及び300のスクリューRPM で、約30ポンド/時の供給速度で押し出した。最終材料を灰分について分析し、それは2.53%であると決定された。
【0205】
この実施例16の得られたナノコンポジット材料を、共射出三層プリフォームの中間層として使用した。得られたナノコンポジットの灰分は2.53%であった。この三層プリフォームの内側層及び外側層は、約0.80dL/gのI.V.を有する、イーストマン社の琥珀色のPET20261から作った。中間層の公称厚さは全厚さの約8%であった。このプリフォームを、サイデル(Sidel)SBO2/3機械で、16オンスのビールボトルに延伸吹込成形した。このボトル側壁を切断し、ナノコンポジット材料を含有する中間層を、三層形状物から引き剥がし、ヘイズ、酸素透過度及び光学顕微鏡法について分析した。
【0206】
中間層のヘイズは8%であった。ヘイズは、ASTM試験法D−1003により決定した。これらのボトル中の側壁バリヤー材料の酸素透過度は、約0.1ccミル/100平方インチ−24時−atm であった。
【0207】
実施例17
低分子量オリゴマー性ポリ(m−キシレンアジパミド)を、米国特許第5,340,884号に記載されているようにして製造した。この材料を、アミン及びカルボキシラート末端基の滴定により、約3,000の数平均分子量を有するとして分析し、約0.41dL/gのI.V.を有するとして決定した。このオリゴマー性ポリ(m−キシリレンアジパミド)306.4グラムを、サザン・クレー・プロダクツ社(テキサス州ゴンザレズ)から購入したSCPX−1578有機モンモリロナイトクレー55グラムとドライブレンドし、次いで110°で一夜、真空オーブン内で乾燥させた。次いで、この混合物を、一般的な配合スクリューを取り付けたライストリッツ・ミクロ18同速回転二軸スクリュー押出機で押し出した。アキュレートペレット供給機を、供給機及びホッパーの両方の上を窒素雰囲気にして、約2kg/時の速度で設定した。バレル及びダイ温度を280℃に設定し、スクリューRPM を約275に設定した。押出が完結した後、100グラムの押出物ペレットを、300グラムの三菱化学株式会社から購入したMXD6 6001ポリアミドペレットとドライブレンドする。このMXD6ポリアミドは、約1.1dL/gのI.V.を有していた。次いで、この混合物を、2.0〜2.5kg/時の供給速度以外は、クレーポリマー混合物で使用した同じ条件下でライストリッツ押出機で押し出した。
【0208】
次いで、得られた材料を、光学顕微鏡法(OM)、透過型電子顕微鏡法(TEM)及び広角X線回折(WAXD)によってキャラクタリゼーションして、ポリマーマトリックスの中への有機クレーの分散度を決定し、コンポジット材料の形態を評価した。WAXD分析は、Cu Kα X線源を取り付けたX線回折計を使用して、材料の粉砕したサンプルで行った。有機クレーからの回折プロフィールは、1.8nmの基底空間値に相当する回折極大を示す。ナノコンポジット材料について、WAXDプロフィールに於いて回折極大は示されない。X線強度は、1.5°〜10°の回折角θの全角度範囲を通して単調に減少する。光学顕微鏡法により、このコンポジット材料は高い透明度を示し、有機クレーの大部分がポリマーのマトリックスの中によく分布していることを示すことが決定される。透過型電子顕微鏡法により、殆どの場合に、クレー層のそれぞれは、ポリマーマトリックス中で剥離している、即ち、個別に分散していることが証明された。
【0209】
このナノコンポジット材料から、油圧プレス上で280℃で圧縮成形することによって、フィルムを形成し、続いて冷却の際の結晶化を最小にするために、氷水中で直ちに急冷した。次いで、このフィルムの酸素バリヤーは、モコン2/20酸素透過度試験器で、0.03ccミル/100平方インチ−24時−atm であると決定された。
【0210】
本件特許出願を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示を全部、本発明が関係する技術水準を一層完全に記載するために、本件特許出願に参照してここに含める。
【0211】
種々の修正及び変更が、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明内で行うことができることが当業者に明らかであろう。本発明の他の態様は、明細書の考察及びそこに開示された本発明の実施から当業者に明らかであろう。明細書及び実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲及び精神は特許請求の範囲によって示されることが意図される。

Claims (95)

  1. (a)1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマー、(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料及び(c)1種又はそれ以上のアルコキシル化アンモニウムカチオン(但し、このアルコキシル化アンモニウムカチオンは第三級又は第四級である)を含んでなるコンポジット組成物。
  2. アルコキシル化アンモニウムカチオンが第三級であり、モノアルコキシル化、ジアルコキシル化又はトリアルコキシル化アンモニウムカチオンを含む請求項1に記載の組成物。
  3. アルコキシル化アンモニウムカチオンが第四級であり、モノアルコキシル化、ジアルコキシル化、トリアルコキシル化又はテトラアルコキシル化アンモニウムカチオンを含む請求項1に記載の組成物。
  4. アルコキシル化アンモニウムカチオンが第三級であり、モノヒドロキシアルキル化、ジヒドロキシアルキル化又はトリヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオンを含む請求項1に記載の組成物。
  5. アルコキシル化アンモニウムカチオンが第四級であり、モノヒドロキシアルキル化、ジヒドロキシアルキル化、トリヒドロキシアルキル化又はテトラヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオンを含む請求項1に記載の組成物。
  6. アルコキシル化アンモニウムカチオンが式:
    Figure 2004510834
    (式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子又は水素であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素であるが、R 又はR の1個のみが同時に水素であってよい)
    を有する請求項1に記載の組成物。
  7. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項1に記載の組成物。
  8. 層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基を含む請求項7に記載の組成物。
  9. ポリアミドポリマー又はコポリマーが少なくとも1種のジアミン成分と少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分との重合反応生成物を含む請求項1に記載の組成物。
  10. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分が炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸残基、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸残基又は炭素数8〜12のシクロ脂肪族ジカルボン酸残基を含む請求項9に記載の組成物。
  11. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、イミノ二酢酸、オキシ二酢酸、チオ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、フェニルインダンジカルボン酸又はこれらの混合物の残基を含む請求項9に記載の組成物。
  12. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がアジピン酸残基を含む請求項9に記載の組成物。
  13. 少なくとも1種のジアミン成分が1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はこれらの混合物を含む請求項9に記載の組成物。
  14. 少なくとも1種のジアミン成分がm−キシリレンジアミンを含む請求項9に記載の組成物。
  15. ポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)を含む請求項1に記載の組成物。
  16. ポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)を含む請求項1に記載の組成物。
  17. 層状クレー材料が天然、合成又は変性フィロケイ酸塩である請求項1に記載の組成物。
  18. 層状クレー材料がモンモリロナイト、ヘクトライト、雲母、バーミキュライト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデルライト、ボルコンスコイト、サポナイト、マガダイト、ケニヤイト又はこれらの混合物の1種又はそれ以上を含む請求項1に記載の組成物。
  19. 層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基を含む請求項1に記載の組成物。
  20. 層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のワイオミング型モンモリロナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基を含む請求項1に記載の組成物。
  21. 層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムモンモリロナイト又は1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイトの残基を含む請求項1に記載の組成物。
  22. (a)1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマーが少なくとも1種のジアミン成分と少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分との重合反応生成物を含み、少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、イミノ二酢酸、オキシ二酢酸、チオ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸、フェニルインダンジカルボン酸又はこれらの混合物の残基を含み、そして少なくとも1種のジアミン成分が1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はこれらの混合物からなり、(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料がモンモリロナイト、ヘクトライト、雲母、バーミキュライト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデルライト、ボルコンスコイト、サポナイト、マガダイト、ケニヤイト又はこれらの混合物の1種又はそれ以上を含み、そして(c)アルコキシル化アンモニウムカチオンが式:
    Figure 2004510834
    (式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子又は水素であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素であるが、R 又はR の1個のみが同時に水素であってよい)
    を有する請求項1に記載の組成物。
  23. p及びnが整数であり、p+nの合計が2より大きい請求項22に記載の組成物。
  24. 若しくはR 又は両方が互いに独立にC 〜C30有機配位子である請求項22に記載の組成物。
  25. 又はR がタロウ残基を構成しない請求項22に記載の組成物。
  26. 又はR がオクタデシル残基を構成しない請求項22に記載の組成物。
  27. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がアジピン酸残基を含み、少なくとも1種のジアミン成分がm−キシリレンジアミンを含み、層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基を含み、そしてアルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項22に記載の組成物。
  28. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がアジピン酸残基を含み、少なくとも1種のジアミン成分がm−キシリレンジアミンを含み、アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンであり、そして層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基を含まない請求項22に記載の組成物。
  29. ポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)ではない請求項22に記載の組成物。
  30. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンではない請求項22に記載の組成物。
  31. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンではない請求項22に記載の組成物。
  32. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオン又はメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンではなく、そして層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基ではない請求項22に記載の組成物。
  33. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオン又はメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオンではなく、層状クレー材料が1種若しくはそれ以上のナトリウムベントナイト又は1種若しくはそれ以上のワイオミング型ベントナイトの残基ではなく、そしてポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)ではない請求項22に記載の組成物。
  34. ゼロより大きくから約25重量パーセントまでの層状クレー材料を含む請求項1に記載の組成物。
  35. 約0.5〜約10重量パーセントの層状クレー材料を含む請求項1に記載の組成物。
  36. 層状クレー材料が約0.8〜約1.25 meq/gのカチオン交換容量を有する請求項1に記載の組成物。
  37. 少なくとも50パーセントの層状クレー材料がポリアミドポリマー又はコポリマー中に個別の小板粒子又はタクトイドの形で分散されている請求項1に記載の組成物。
  38. コンポジットがナノコンポジットを含む請求項1に記載の組成物。
  39. アルコキシル化アンモニウムカチオンをオクタデシルトリメチルアンモニウムカチオンで置換することによって製造される対応組成物のガスバリヤー特性と比較して、改良されたガスバリヤー特性を有する請求項1に記載の組成物。
  40. アルコキシル化アンモニウムカチオンをオクタデシルトリメチルアンモニウムカチオンで置換することによって製造される対応組成物のTcc−Tchの値と比較して、より小さいTcc−Tchの値を有する請求項1に記載の組成物。
  41. (a)少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーがm−キシリレンジアミンとアジピン酸又はアジピン酸エステルとの重縮合重合反応生成物を含み、(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料がワイオミング型モンモリロナイトの残基又はワイオミング型ベントナイトの残基を含み、そして(c)1種又はそれ以上のアルコキシル化アンモニウムカチオンが式:
    Figure 2004510834
    (式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子又は水素であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素であるが、R 又はR の1個のみが同時に水素であってよい)
    によって表される請求項1に記載の組成物。
  42. (a)少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーが約0.1〜約0.5dL/gのI.V.を有する低分子量m−キシリルアジパミドポリアミド及び少なくとも0.7dL/gのI.V.を有するより高い分子量のm−キシリルアジパミドポリアミドを含み、そして(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料が、その中に、メチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンからなる1種又はそれ以上のアルコキシル化アンモニウムカチオンを有する有機モンモリロナイトクレーを含む請求項1に記載の組成物。
  43. 請求項1、22、27又は28記載の組成物を含んでなる物品。
  44. フィルム、シート、パイプ、チューブ、プリフォーム、パリソン、押出物品、成形物品又は成形容器の形の請求項43に記載の物品。
  45. ボトルの形の請求項43に記載の物品。
  46. 少なくとも1個の層が請求項1、22、27又は28に記載の組成物を含む複数個の層を有する物品。
  47. (a)ポリ(m−キシリレンアジパミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)からなる、少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマー及び(b)ベントナイトの残基又はモンモリロナイトの残基からなる、1種又はそれ以上の層状クレー材料(但し、層状クレー材料は、構造:
    Figure 2004510834
    (式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素である)
    を有する第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンを含む)を含んでなるナノコンポジット材料。
  48. 又はR の少なくとも1個がC 〜C アルキル基からなり、R 又はR の少なくとも1個が少なくとも8個の炭素原子からなり、そしてR 及びR が水素である請求項47に記載の組成物。
  49. 第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項47に記載の組成物。
  50. ベントナイトがワイオミング型ベントナイトであるか又はモンモリロナイトがワイオミング型モンモリロナイトである請求項47に記載の組成物。
  51. (a)1種又はそれ以上のアルコキシル化アンモニウムカチオン(ここでカチオンは第三級又は第四級である)を含む少なくとも1種のアンモニウム塩で層状クレー材料を処理することによって処理層状クレー材料を形成する工程及び(b)この処理層状クレー材料と、少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーを含むポリマー組成物とを混合する工程を含んでなるコンポジット組成物の製造方法。
  52. 混合工程が処理層状クレー材料をポリマー組成物中に分散させてナノコンポジットを形成することを含んでなる請求項51に記載の方法。
  53. 分散工程が処理層状クレー材料をポリアミドポリマー又はコポリマーと共に溶融加工することを含んでなる請求項52に記載の方法。
  54. 少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーが約0.1〜約0.5dL/gのI.V.を有する低分子量m−キシリルアジパミドポリアミドを含む請求項51に記載の方法。
  55. アルコキシル化アンモニウムが式:
    Figure 2004510834
    (式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素である)
    のジヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオンである請求項51に記載の方法。
  56. 第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項51に記載の方法。
  57. 第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンではない請求項51に記載の方法。
  58. 層状クレー材料がワイオミング型モンモリロナイトの残基、ワイオミング型ベントナイトの残基又はこれらの混合物を含む請求項51に記載の方法。
  59. 第四級アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項58に記載の方法。
  60. ポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)である請求項51に記載の方法。
  61. 更に、コンポジット組成物を成形して物品を形成する請求項51に記載の方法。
  62. (a)溶融加工性マトリックスポリマー及び(b)アルコキシル化オニウムカチオンで処理された層状クレー材料からなる(但し、処理クレー材料はマトリックスポリマーの中に含有されている)、改良された気体透過度を有するポリマー−クレーナノコンポジット。
  63. 溶融加工性マトリックスポリマーがポリアミドを含む請求項62に記載のナノコンポジット。
  64. アルコキシル化オニウムカチオンが下記:
    Figure 2004510834
    (式中、Nは窒素を表し、X は好ましくは塩化物又は臭化物のようなハロゲン化物原子であるアニオンを表し、R は炭素数が少なくとも1の有機又はオリゴマー配位子であり、R は水素又は炭素数が少なくとも8の有機若しくはオリゴマー配位子であり、そしてp及びnは少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよい)
    のように表されるジエトキシル化アンモニウム塩である請求項63に記載のナノコンポジット。
  65. アルコキシル化オニウムカチオンがオクタデシルメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド又はタロウメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムである請求項63に記載のナノコンポジット。
  66. 層状クレー材料がワイオミング型ベントナイト又はモンモリロナイトである請求項63に記載のナノコンポジット。
  67. ポリアミドがポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)、ポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)又はこれらの混合物である請求項63に記載のナノコンポジット。
  68. (a)溶融加工性マトリックスポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)を含み、(b)層状クレー材料がワイオミング型ベントナイト又はモンモリロナイトであり、そして(c)アルコキシル化オニウムカチオンがオクタデシル、メチル、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド又はタロウメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムである請求項63に記載のナノコンポジット。
  69. (a)ポリ(m−キシリレンアジパミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタルアミド−共−テレフタルアミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)を含む溶融加工性マトリックスポリマー及び(b)オクタデシルメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド又はタロウメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムを含むアルコキシル化オニウムカチオンで処理された、ワイオミング型ベントナイト又はモンモリロナイトを含む層状クレー材料を含んでなる、改良された気体透過度を有するポリマー−クレーナノコンポジット。
  70. (a)(i)アジピン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はフェニルインダンジカルボン酸からなる少なくとも1種の二酸を含むジカルボン酸成分の残基及び(ii)m−キシリレンジアミンを含む少なくとも1種のジアミン成分の残基を含んでなる無定形マトリックスポリアミド並びに(b)カチオン交換を行うために有機カチオンで処理されたワイオミング型ナトリウムモンモリロナイト又はワイオミング型ナトリウムベントナイトを含む層状クレー材料(但し、クレー材料はマトリックスポリアミド中に分散されている)を含んでなるポリアミド−クレーナノコンポジット。
  71. 有機カチオンがビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウムである請求項70に記載のナノコンポジット。
  72. 有機カチオンがビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルメチルアンモニウムを含まない請求項70に記載のナノコンポジット。
  73. (a)1種又はそれ以上のポリアミドポリマー又はコポリマー、(b)1種又はそれ以上の層状クレー材料及び(c)式:
    P((R−O)−R(R(4−x)
    (式中、nは1又は2以上の整数であり、xは1〜4の整数であり、R はC 〜C20炭素含有残基であり、R は水素又はC 〜C16炭素含有基若しくは残基であり、そしてR は水素又は1種若しくはそれ以上のC 〜C30炭素含有基若しくは残基であり、これらは同じか又は異なっていてよい)
    によって表される1種又はそれ以上のアルコキシル化ホスホニウムカチオンを含んでなるコンポジット組成物。
  74. n=2、R がアルキレン残基であり、R が水素であり、そしてR 基が同じか又は異なっていてよく、アルキル又は低級アルキル基である、請求項73に記載のコンポジット組成物。
  75. 層状クレー材料を、少なくとも1種の第三級又は第四級アルコキシル化アンモニウムカチオン挿入剤と接触させて、アルコキシル化アンモニウムカチオンの収着及び該層状クレー材料の層間交換可能なカチオンとのイオン交換を行うことによって形成された挿入物。
  76. 層状クレー材料を、該層状クレー材料、該アルコキシル化アンモニウムカチオン及び該アルコキシル化アンモニウムカチオン用の担体を含んでなる挿入剤組成物中の該アルコキシル化アンモニウムカチオン挿入剤と接触させる、請求項75に記載の挿入物。
  77. アルコキシル化アンモニウムカチオン挿入剤用の担体が水、有機溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項76に記載の挿入物。
  78. アルコキシル化オニウムイオン処理した層状クレー材料を、ポリアミドポリマー又はコポリマーで更に挿入する請求項75に記載の挿入物。
  79. ポリアミドポリマー又はコポリマーが少なくとも1種のジアミン成分と少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分との重合反応生成物を含む請求項75記載の挿入物。
  80. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分が炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸残基、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸残基又は炭素数8〜12のシクロ脂肪族ジカルボン酸残基を含む請求項79に記載の挿入物。
  81. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、アゼライン酸、1,3−フェニレンジオキシ二酢酸、イミノ二酢酸、オキシ二酢酸、チオ二酢酸、1,4−フェニレンジオキシ二酢酸又はフェニルインダンジカルボン酸の残基を含む請求項79に記載の挿入物。
  82. 少なくとも1種のジカルボン酸成分又はジカルボン酸エステル成分がアジピン酸残基を含む請求項79に記載の挿入物。
  83. 少なくとも1種のジアミン成分が1,2−エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,12−ドデシレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビスメチルアミン、ピペラジン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はこれらの混合物を含む請求項79に記載の挿入物。
  84. 少なくとも1種のジアミン成分がm−キシリレンジアミンを含む請求項79に記載の挿入物。
  85. ポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)又はポリ(m−キシリレンアジパミド−共−イソフタルアミド)を含む請求項75に記載の挿入物。
  86. ポリアミドポリマー又はコポリマーがポリ(m−キシリレンアジパミド)又はこのコポリマーである請求項75に記載の挿入物。
  87. アルコキシル化アンモニウムカチオンが第三級であり、モノアルコキシル化、ジアルコキシル化又はトリアルコキシル化アンモニウムカチオンを含む請求項75に記載の挿入物。
  88. アルコキシル化アンモニウムカチオンが、第四級であり、モノアルコキシル化、ジアルコキシル化、トリアルコキシル化又はテトラアルコキシル化アンモニウムカチオンを含む請求項75に記載の挿入物。
  89. アルコキシル化アンモニウムカチオンが、第三級であり、モノヒドロキシアルキル化、ジヒドロキシアルキル化又はトリヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオンを含む請求項75に記載の挿入物。
  90. アルコキシル化アンモニウムカチオンが、第四級であり、モノヒドロキシアルキル化、ジヒドロキシアルキル化、トリヒドロキシアルキル化又はテトラヒドロキシアルキル化アンモニウムカチオンを含む請求項75に記載の挿入物。
  91. アルコキシル化アンモニウムカチオンが式:
    Figure 2004510834
    (式中、R 及びR は、同じか又は異なっていてよく、炭素数1〜30の有機配位子又は水素であり、p及びnは、少なくとも1であり、同じか又は異なっていてよく、そしてR 及びR は、同じか又は異なっていてよく、水素又は炭素数1〜4の炭化水素であるが、R 又はR の1個のみが同時に水素であってよい)
    を有する請求項75に記載の挿入物。
  92. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項75に記載の挿入物。
  93. アルコキシル化アンモニウムカチオンがメチルオクタデシルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン又はメチルビス(2−ヒドロキシエチル)タロウアンモニウムカチオンである請求項75に記載の挿入物。
  94. 請求項75〜93の何れか1項に記載の挿入物の隣接層の一部を分離することによって形成された剥離クレー小板。
  95. アルコキシル化第三級又は第四級アンモニウムカチオン及びポリアミドの両方による層状クレー材料の挿入方法であって、層状クレー材料を水中でスラリー化して、クレー/水スラリーを形成すること、アルコキシル化アンモニウムカチオンを層状クレー材料/水スラリーに添加すること、処理層状クレー材料を水から分離すること、この層状クレー材料を乾燥させること及び次いで、処理層状クレー材料を、少なくとも1種のポリアミドポリマー又はコポリマーを含むポリマーと混合することを含んでなる方法。
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