JP2004508073A - 臓器でのタンパク質発現をモデル化するためのコンピュータ計算システム - Google Patents
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Abstract
臓器のコンピュータ・モデル、ならびに臓器を構成する単一細胞中で生じる遺伝子の相違の微視的な影響および臓器全体への影響を評価するプロセスについて開示する。モデル内の遺伝子の相違は、遺伝子発現パターンにおける、遺伝子突然変異、性別、病気、または対立形質に基づくばらつきに関連する、タンパク質の機能または分布の変化に基づく。
Description
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、1999年6月22日に同じ名称で出願された、仮特許出願第60/140416号の特典を請求するものである。1999年5月4日出願の同時継続米国特許出願第09/305,188号の開示の全体を、参照により本出願に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、ソフトウェアで実施される臓器のコンピュータ・モデルに関し、より詳細には、臓器性能および生体機能に対する蛋白質発現の影響を調べることのできる臓器モデルに関する。
【0003】
発明の背景
米国特許第5,947,899号は、臓器全体のコンピュータ計算モデルの作成方法を示している。その開示は、心臓全体モデルの状況で記述しており、ネットワークのノード間の1組の結合関係によって、心臓細胞間の解剖学的関係をモデル化している。各ノードは、組織の物理的サブユニットを表す。個別の方程式の組は、個々の心臓細胞の電気生理現象を定義し、これらの方程式を使って、各ノードにおける活動電位(AP)がコンピュータ計算される。活動電位の時間経過を画像で表し、実験的な物理測定値と比較することができる。
【0004】
このアーキテクチャでは、モデルの各ノードは、それに関連する、コンピュータ的に別個の2つのタイプの情報を有する。このモデルの明確な利点は、局所的プロセスと全体的なプロセスを相互作用させながら、同時にかつ独立に、モデルの局所的な部分と全体的な部分をコンピュータ計算できることである。
【0005】
ネットワーク自体が、細胞間または細胞群間の全体的な解剖学的関係を反映し、ノードが局所レベルでの代謝活動を表すので、このモデル・パラダイムは、局所的な生理的データと全体的な結合関係の間の相互作用の統合を可能にする。したがって、臓器全体にわたって細胞活動がリアルに伝播され、臓器全体の挙動がモデルから直接得られる。
【0006】
この方法により、単一細胞モデルの離散集団から生じる、臓器レベルでの巨視的な総生体機能をコンピュータ計算することができる。確認のために、モデルの総挙動を物理実験値と比較することができ、詳細な細胞モデルを電気生理的実験値と比較することもできる。
【0007】
しかし、これらの進歩にも関わらず、モデルの一般性を他の臓器および系に拡張し、他の、細胞的、細胞内、遺伝的、および分子的プロセスの影響をシミュレーションするようにモデルを拡張することが引き続き必要とされている。
【0008】
発明の概要
本発明では、遺伝子および性に関連した細胞の変化が臓器に及ぼす影響を調査しモデル化するために使用できる、部分臓器モデルについて述べる。遺伝子の突然変異、性差、病気、または対立形質に基づく遺伝子発現パターンのばらつきに関連した、タンパク質機能または分布あるいは輸送の変化に着目しそれをモデル化することによって、モデル内の遺伝的相違をモデル化する。
【0009】
一般に、正常な細胞または遺伝的に改変された細胞系における、分子特性、単一細胞活動、あるいはタンパク質機能の実験的測定値を収集し、単離細胞または組織の観察された活動電位を記述する方程式としてそれを表す。
【0010】
この情報を、モデル内の解剖学的データと組み合わせる。一般に、仮想「細胞」を構築し、次いでそれらを互いに組み立ててネットワークにする。ネットワーク内の各ノード位置は、それぞれ異なる物理的な位置を反映する。モデル・ネットワークの様々なセクションを占める仮想細胞は、通常、活動電位を記述するノード方程式がそれぞれ異なる。結合関係がネットワーク領域間で異なることも普通である。
【0011】
タンパク質のコンピュータ計算は、すべての細胞の活動電位に影響を与えるが、ネットワーク内の実際の位置に依存して、個々の細胞活動電位の実際の時間経過が、隣接する細胞と劇的に異なることもある。
【0012】
この技術は、他の点では同等の臓器の性能に対する、突然変異または性が及ぼす影響を決定するのに有用である。モデル範囲内の、性に基づく変化の一部をモデル化し、他を無視できることは、非常に有用で、物理モデルでは容易に得られない特徴である。
【0013】
このモデル化プロセスの有用性は、病気、薬物、または他の膜間電圧の摂動に応答して、突然変異によって誘発された変化を決定できることである。この臓器モデルは、性ならびに細胞バックグラウンド内の対立形質のばらつきに関係する、薬物、遺伝子突然変異、または病気の発現に対する応答の相違を決定するのにも有用である。
【0014】
本発明は、心臓の楔形モデルの文脈で説明されており、ノードのコンピュータ計算は、タンパク質の発現における性差ならびに細胞タイプにおける変化を考慮している。臓器レベルでは、モデルは、薬物に対する性に基づく反応をシミュレーションする。このモデルでは、ネットワークレベルで伝播され、各ノードでコンピュータ計算された活動電位の時間経過に影響を及ぼす模擬刺激によって、初期条件を摂動する。
【0015】
図示した細胞タイプは、その膜間電圧の変化によって信号を発する興奮性細胞である。本発明は、興奮性細胞を有する他の系をモデル化するのにも使用でき、心臓の楔形図は、例示的なものであって、限定的なものではない。
【0016】
図面の様々な図の全体を通して、同一の参照番号は、同一の構造またはプロセスを示す。ここに示した本発明の実施形態は、例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】
詳細な説明
概要
本発明は、生体臓器のモデル化のためのコンピュータ計算モデルならびに関連方法に関し、このプロセスの諸ステップは汎用コンピュータで実行する。コンピュータは、図中には明示していない。ただし、図は、説明するソフトウェア・プロセスに従って実施されるコンピュータ計算の結果である。
【0018】
本発明の方法は、遺伝子の発現が正常な細胞と突然変異した細胞の、分子特性および生理機能に関する実験データの収集から始める。最も興味深い相互作用は、膜貫通イオン電流が関与するタンパク質相互作用である。遺伝子突然変異の場合に、特に、突然変異のタンパク質機能に対する影響を、二義的には、イオン・ポンプ、膜貫通チャネル、受容体、および信号伝達経路の生物理的変化を含めた、膜間電圧および細胞活動の他の機能に対する影響を詳細に調査する。実験データから、「正常」機能と「異常」機能の両方のタンパク質を含有する単一細胞のモデル化に必要なパラメータが得られる。したがって、細胞機能のプロフィルが構築され、細胞の複雑な挙動をモデル化するために、一般的な方程式の組が拡張される。
【0019】
プロセスのこのステップでは、遺伝子またはタンパク質の分子特性を測定し、特定の遺伝子またはタンパク質に関する発現レベルまたは発現パターンの変化に着目する。例えば、あるタンパク質は、開いているチャネルの数を増やすように思われる。他のタンパク質は、膜を通過する電流の大きさに寄与する。
【0020】
突然変異の結果生じる物理的特性は、膜電流、膜間電圧、イオン流束、または生化学反応速度の時間経過の変化に特徴づけられる。このデータ収集および表示ステップの終了時に、活動電位へのタンパク質機能の影響を、画像で示し、コンピュータで使用することができる。
【0021】
これらのデータおよび情報を用いて、単一細胞モデルを作成または修正する。ネットワーク・モデルは、単一細胞モデルのアンサンブルであり、細胞の生体機能のこれらの変化を、臓器全体または臓器の一部に統合する。性別のモデル化は、タンパク質のタイプ、位置、ならびに他の分子および生理特性に関係する性特異的な相違を用いて、細胞モデルを修正するのと同様の方法で行われる。
【0022】
解剖学的な詳細情報が病気を精確にモデル化するのに必要とされ、組み込み臓器モデルは細胞のこの空間分布をノードおよびそれに続く完全な組織にするのに必要とされる。ノード位置および局所方程式を定義して、モデルを解き、結果を表示する。ノードのコンピュータ計算を互いに同時かつ独立して実行でき、その結果モデルを並列コンピュータ上で効果的に実行できることが、モデル法の便利な特性である。複合モデル内の個々のノードにおける、様々な、細胞的、細胞内、および分子的特性を特定することによって、臓器内の遺伝子またはタンパク質発現パターンの変化と同様に、1つまたは複数の突然変異の空間分布の不均一性についてもモデル化することができる。モデル化プロセスの様々な側面については、米国特許第5,947,899号にも記載されている。
データ収集
図1は、単一細胞モデルおよび臓器レベルのモデルに関する、段階的シーケンスを示すフローチャートである。一般に、プロセス10〜16は、データ収集および単一細胞モデルの構築を表す。プロセス24〜28は、臓器または臓器の一部のネットワーク・モデルの作成を含み、一方、プロセス20は、単一細胞モデルのコンピュータ計算を示す。プロセス30は、いずれかのシミュレーションの出力を示し、通常、画像データと表形式データの両方を作成する。プロセス18は、単一細胞モデルと多数の細胞モデルの間の選択を表すが、細胞レベルでのシミュレーションを用いて、実験データに対する単一細胞モデルの妥当性を評価でき、一方、ネットワークレベルの臓器シミュレーションを用いて、実験的な組織実験に対する臓器レベルの記述の妥当性を評価できることを理解されたい。
【0023】
プロセス10では、変性した細胞タイプの挙動と、標的タンパク質の特異的な機能特性に関する実験データを収集する。これは、データが様々なフォーマットで存在し、実験データに関する適切な文献または出典を発見するのに相当な調査を必要とすることがあるので、労力を非常に多く必要とするステップである。湿式実験(wet lab experiments)では、オンラインおよび紙面の雑誌の両方に提出することが一般的である。どの場合にも、研究者または執筆者は、単離細胞または細胞群の活動電位の測定値を示すことができる。遺伝子配列からは、電気生理的測定時に、どのタンパク質が活性であったかがわかる。他の研究者は、未処理の測定値を表すコンピュータ・ファイルの形でデータを入手でき、タンパク質発現データには、大量の補助データが添付されていることもある。しかし、データの質には常に問題がある。一般化した1組の受け入れ基準を開発することができる。現時点では、「規定外(outside specie)」ではなく「規定通り(in specie)」の作業が好ましい。多くのタンパク質相互作用は、細胞株全体を通して同様であるが、これが特定の研究にあてはまるかどうかをアプリオリに決定する方法はない。「異常」な代謝状態のときに得たデータより、「通常」の環境で取得した公称データの方が好ましい。規定のプロトコルに従って取得したデータの「信頼できる」供給源が好ましいと思われる。
モデルの構築
プロセス12では、ステップ10で収集したデータを用いて、格子の各ノードで定義された非線形常微分方程式(ODE)の系を修正し、細胞モデルのイオン電流を修正する。これらの方程式は、心臓組織および様々な心臓細胞の独特の特性をもたらす生物物理学的プロセスを定義する。一般に、この系には、a)非線形の電圧依存膜貫通電流の特性を定義する方程式と、b)細胞内のイオン・ポンプ、イオン交換体、およびその他の特徴の特性を記述する方程式と、c)細胞内細胞器官による、カルシウムイオンの、緩衝、取込み、貯蔵、輸送、および放出を記述する方程式と、d)細胞内イオン濃度の経時変化を記述する方程式と、e)神経伝達物質、ホルモン、およびセカンド・メッセンジャーがこれらの成分に及ぼす影響を記述する方程式とが含まれる。
【0024】
細胞力学のモデル化に有用なパラダイムは、バッテリ/レジスタ/キャパシタ・モデルであり、膜電流は、キャパシタンスに並列な1組の電源の合計である。電源は、レジスタに直列なバッテリとしてモデル化する。バッテリは、膜を横切るイオン勾配によって与えられる、チャネルを通るイオン流束の推進力を表す。レジスタは、チャネル間隙を通るイオン流に対する抵抗を表す。ステップ10で収集したデータから、ほとんどのイオン電流に関する数学モデルを直接得ることができる。方程式の一般形は、Iチャネル=I開放チャネル(V)*P開放であり、所望のチャネル電流は、電圧依存性開放チャネル電流と、開放時または閉鎖時の間隙状態の関数である。開放および閉鎖チャネル電流を予測するために、ホジキン・ハクスレー(Hodgkin−Huxley)とマルコフ(Markov)の状態モデリングを含めた、文献に知られる様々な方法を用いることができる。この簡単な電気モデルにより、追加電流値および推定値の適応が容易になる。この電気回路的相似は、解剖学的構造を表すために使用されるモデルのネットワーク・ノード部分と容易に整合する。この方法は、各イオン電流を別々かつ独立にモデル化することに留意することが重要である。これは、モデルの他の部分を変更することなく、イオン電流をモデルに追加できることを意味する。この独立性が、構築におけるモジュール性を可能にし、モデルの改良を容易にする。一般に、突然変異または性に基づく発現は、膜貫通電流の調節に利用可能なタンパク質の量の相違を引き起こす。細胞レベルのモデルにより、必要なタンパク質の可用性に基づく活動電位がコンピュータ計算される。
【0025】
この方法の他の特筆すべき価値は、細胞モデルの妥当性を単独で評価できることである。本質的に、臓器および系モデルに組み込む前に、細胞モデルの予測値の妥当性を評価するために、データに基づいた予測値およびモデル化した電流を、実験データと比較することができる。この分割およびアーキテクチャにより、モデルをより容易に微調整することができる。
【0026】
プロセス・ステップ14は、イオン電流計算をコンピュータ的に効率的にするステップに関する。常微分方程式の組をコンピュータ計算するために、多くの技術が利用可能である。プロセス16は、データを分析するために用いられる特定のシミュレーション方法の選択に関する。例えば、あるアプリオリ知識により、ユーザは、特定のシミュレーションに関して、いくつかの変数を無視し、あるいは他の簡略化した仮定を立てることができる。通常の設定では、ユーザは、いくつかの「単一細胞」モデルを利用でき、それぞれが「うまく働く」。特定の研究に関する具体的な選択は、単にユーザの好みで行ってもよい。
【0027】
プロセス18では、単一細胞モデルまたはネットワーク・モデルを選択する。ユーザは、一連の単一細胞シミュレーションから開始し、次いで、単一細胞モデルを再設計せずにネットワーク・モデルを選ぶことができる。
【0028】
プロセス24〜28は、臓器の物理的表現における変性細胞の位置を定義することによる、ネットワーク・モデルの構築に直接関係する。通常、心臓の物理的構造および突然変異細胞の物理的位置を表すには、ノードの有限差分格子が好ましい。この空間配置は、解剖学的な知識に基づく。すべての細胞が、あるいは一部の細胞だけが、変性した特性を有する可能性があることに留意することが重要である。図2は、モデルのこの側面を、より詳細に扱う。
【0029】
シミュレーションによる出力データは、プロセス30で得られる。図2A、図3、図4、図5、図7などの様々な図は、プロセス30で得られた出力例を表す。画像データと表形式データの両方が得られる。
【0030】
専門的な組織調製へのモデルの拡張、ならびにモデルの操作は、図2を簡潔に論じることで容易になる。図2Aは、心臓組織の「楔形」部分40の中の3群の細胞または組織の略図である。細胞42で代表される組織群(A)は、「楔形」の内側にあり、心内膜表面を表す。細胞44で代表される細胞(B)は、楔形の内部を占有し、細胞46で代表される細胞(C)は、楔形の外表面上に位置し、心外膜表面を表す。一般に、これらの自律性細胞層は、対応する組織タイプに関してパネル50に示す特徴的な活動電位を有する。活動電位の持続時間の幅広いばらつきは、様々なペース速度のときの臓器モデルの動的挙動を表す。活動電位の持続時間の分散は、物理的な楔形の調製の際に見られるのと同様の挙動を模倣またはモデル化する。軌跡43に相当する最長の持続時間は、約5秒間隔のペーシングの結果であり、軌跡41に代表される短い持続時間は、「疲労」を表し、より速いペーシング速度における非線形挙動は、約500msの間隔に相当する。
【0031】
A、B、およびCタイプの組織は、脱分極して電圧を発生することができる。この電圧に関連する電流を、コンパニオン組織群に伝えることができる。この結合関係は、臓器モデルの基本要件である。図に示す組織間の関係は、組織の楔形表面に追従する、表面的なまたは表面の波形を発生させることができる。このようにして、組織群中の局所的な事象が、隣接組織に伝播される。T=0で電流刺激によってモデルを始めて1つまたは複数の細胞の脱分極を開始するのが一般的である。この初期摂動が、図2Aの脱分極波形47に見られるような、モデル表示の動的特徴を生じる。反応の持続時間は、刺激と刺激の間の時間にきわめて強く依存する。モデルが実行された後は、ある環境のもとでは予測が困難なこともある様式で、様々な仮想細胞の状態が発散する。例えば、図2A「B」に見られる、活動電位に関する表示した様々な持続時間は、サイクルごとのばらつきを反映している。図中に見られる活動電位の異なるそれぞれの軌跡は、異なるサイクル長において発生する。この図は、動的臓器モデルに埋め込まれた単純な単一細胞モデルが、どのようにしてサイクルごとの活動電位のばらつきをリアルに表示できるかを示す。
【0032】
図2bは、図2aの物理標本をモデル化するために使用されるネットワーク・モデルを示す。図2bでは、ノード54が、隣接ノード52から活性作用を受けている。ただし、伝達は対称的でなく、結合関係はダイオード様である。両方向矢印の形の結合関係58によって示されるように、ノード54とノード56の間で、対称的な伝達が可能である。ループ55は、ノード54によって表される組織の活動電位をモデル化するために使用される、生物物理学的局所方程式の反復計算を表す。臓器の全体的な活動を起こすために、局所方程式を解き、局所データの相互作用をコンピュータ計算できることが、このモデルの価値である。図2bに示す結合関係のファミリーが、同一細胞タイプを用いた異種組織構造の構築を可能にする。不均一性は、モデル内の様々な位置で細胞タイプを変化させることによって達成することもできる。解剖学な関連性および経路は、正しい結合関係を選択することによって、精確に再現することができる。
【0033】
図3は、男性の細胞の活動電位60および女性の細胞の活動電位62を表す第1パネル3Aを示す。このモデル化実験では、タンパク質の発現、取込み、および輸送の、性に基づく相違は、実質的に異なる活動電位波形に関係していた。女性の軌跡62は、再分極時間が長いことを示す。パネル3Bは、タンパク質の発現における性に基づく相違に関する、電流の軌跡の名称標示を付けている。図中の標示は共通に使用しているが、タンパク質に関する一律の命名規則はない。B.Ito電流は、外へ向かう一過性の電流である。C.IKr電流は、遅延整流である。D.IK1電流は、内へ向かう整流である。E.IKs電流は、低速遅延整流である。IKrチャネルにおける男性66と女性68の間の乖離から、パネル3Aに見られる組織の電気生理現象の形態を理解することができる。この出力は、タンパク質の発現における、わずかな対立形質または性に基づくばらつきの、重要な電気生理的結果をモデルが表示する能力を表す。
【0034】
図4は、楔形モデル中の様々な細胞の「男性」71および「女性」69の細胞に関して、細胞タイプが心臓の活動電位に及ぼす影響を示す。楔形モデルは、「性」のみによって異なる、細胞内に発現するタンパク質の相違に基づく、活動電位の持続時間および形態の有意なばらつきを精確に表示する。この例は、シミュレーションによって、ユーザが設定変数を「確定」でき、特定の性に関連したまたは対立形質に基づくばらつきだけがモデルを推進できることを示す。このようにして、タンパク質発現のわずかなばらつきを明らかにすることができる。
【0035】
図5は、特定のイオン・チャネルの発現における性に基づく相違が、「男性」および「女性」の心臓心室細胞に関してコンピュータ計算した活動電位に及ぼす影響を示す。複合電位77で代表される、図中の各複合電位では、軌跡75で代表されるように、2つの持続時間の短い方が「男性」の持続時間である。この複合電位77では、より長い軌跡73が「女性」である。図は、これらの細胞に及ぼす薬物作用の異なる影響を示す。薬物の一回投与量が増加するにつれて、チャネルの閉塞割合が増加し、その結果、特に女性において、早期脱分極の出現によって示唆される催不整脈反応が発生する。60%閉塞したチャネルで示される交互性は、女性モデルでは現れるが、男性モデルでは現れない。交互性は、複合電位79、81、83、85、および77の順序を比較するとわかる。後に短い電位が続く長い電位は、不整脈の顕著な特徴である。この例は、d−sotolを用いてモデル化したが、すべてのカリウム遮断薬に有効と思われる。この図は、約2.5秒の間隔でペーシングした多数の事象を示す。性別に基づくこれらの相違の多次元的な影響は、単独および薬剤との組合せで、模擬的な心電図をリードアウトとして用いて示すことができる。この例は、薬剤の「過剰投与」に相当するチャネル閉塞を示す。コンピュータ・モデルは、実験的な調製よりも、過剰投与にかなりの耐性がある。その結果から、長期的な心電計QTに関して、また女性と男性の対比で通常観察される、薬物性の催不整脈間隔の発生の増加に関して、力学的な説明が得られる。
【0036】
図6のパネル6Aは、プロセス・ステップ10で収集したタイプの標準的なデータを示す。データは、位置およびペーシング速度に基づくミオサイトのばらつきを示す。パネル6Bのシミュレーションは、同じ条件で取得したものであり、実験データとよく一致して、モデルの妥当性を示している。時間および空間でモデルおよび様々なスケールを検査できることが、モデルのアーキテクチャの重要な条件である。
【0037】
図7のパネル7Aは、ネットワーク・モデルから得られた正常な(野生の)遺伝子型ECG96を表す。対応するパネル7Cは、模擬的な楔形細胞の様々なレベルにおけるミオサイトの活動電位を示しており、心外膜細胞を軌跡90に、心筋中間細胞を軌跡91に、心内膜細胞を92に示す。パネル7Bは、表面ECG97に影響を及ぼす突然変異を示す。パネル7Dの軌跡93、94、および95に見られる、対応するミオサイトの個々の挙動は、ミオサイトの位置に関する対応する活動電位を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1Aは、モデルの作成およびコンピュータ計算を説明する簡略化したフロー・チャートである。
図1Bは、モデルおよびモデル構築プロセス別の略図である。
【図2】
図2Aは、臓器の略図である。
図2Bは、ノードの格子およびノード間の関係を示す、ネットワーク・モデルの略図である。
【図3】
図3Aは、活動電位のグラフである。
図3Bは、活動電位のグラフである。
【図4】
図4Aは、コンピュータ計算した、性に関係する活動電位を示す図である。
図4Bは、コンピュータ計算した、性に関係する活動電位を示す図である。
図4Cは、コンピュータ計算した、性に関係する活動電位を示す図である。
【図5】
コンピュータ計算した、薬物効果の性に基づく相違に関係する活動電位を示す図である。
【図6】
図6Aは、実験データを示す図である。
図6Bは、シミュレーションを示す図である。
【図7】
図7Aは、突然変異に基づくタンパク質発現のばらつきの活動電位を示す図である。
図7Bは、突然変異に基づくタンパク質発現のばらつきの活動電位を示す図である。
図7Cは、細胞のタイプに応じた活動電位のばらつきを示す図である。
図7Dは、細胞のタイプに応じた活動電位のばらつきを示す図である。
関連出願の相互参照
本発明は、1999年6月22日に同じ名称で出願された、仮特許出願第60/140416号の特典を請求するものである。1999年5月4日出願の同時継続米国特許出願第09/305,188号の開示の全体を、参照により本出願に組み込む。
【0002】
発明の分野
本発明は、ソフトウェアで実施される臓器のコンピュータ・モデルに関し、より詳細には、臓器性能および生体機能に対する蛋白質発現の影響を調べることのできる臓器モデルに関する。
【0003】
発明の背景
米国特許第5,947,899号は、臓器全体のコンピュータ計算モデルの作成方法を示している。その開示は、心臓全体モデルの状況で記述しており、ネットワークのノード間の1組の結合関係によって、心臓細胞間の解剖学的関係をモデル化している。各ノードは、組織の物理的サブユニットを表す。個別の方程式の組は、個々の心臓細胞の電気生理現象を定義し、これらの方程式を使って、各ノードにおける活動電位(AP)がコンピュータ計算される。活動電位の時間経過を画像で表し、実験的な物理測定値と比較することができる。
【0004】
このアーキテクチャでは、モデルの各ノードは、それに関連する、コンピュータ的に別個の2つのタイプの情報を有する。このモデルの明確な利点は、局所的プロセスと全体的なプロセスを相互作用させながら、同時にかつ独立に、モデルの局所的な部分と全体的な部分をコンピュータ計算できることである。
【0005】
ネットワーク自体が、細胞間または細胞群間の全体的な解剖学的関係を反映し、ノードが局所レベルでの代謝活動を表すので、このモデル・パラダイムは、局所的な生理的データと全体的な結合関係の間の相互作用の統合を可能にする。したがって、臓器全体にわたって細胞活動がリアルに伝播され、臓器全体の挙動がモデルから直接得られる。
【0006】
この方法により、単一細胞モデルの離散集団から生じる、臓器レベルでの巨視的な総生体機能をコンピュータ計算することができる。確認のために、モデルの総挙動を物理実験値と比較することができ、詳細な細胞モデルを電気生理的実験値と比較することもできる。
【0007】
しかし、これらの進歩にも関わらず、モデルの一般性を他の臓器および系に拡張し、他の、細胞的、細胞内、遺伝的、および分子的プロセスの影響をシミュレーションするようにモデルを拡張することが引き続き必要とされている。
【0008】
発明の概要
本発明では、遺伝子および性に関連した細胞の変化が臓器に及ぼす影響を調査しモデル化するために使用できる、部分臓器モデルについて述べる。遺伝子の突然変異、性差、病気、または対立形質に基づく遺伝子発現パターンのばらつきに関連した、タンパク質機能または分布あるいは輸送の変化に着目しそれをモデル化することによって、モデル内の遺伝的相違をモデル化する。
【0009】
一般に、正常な細胞または遺伝的に改変された細胞系における、分子特性、単一細胞活動、あるいはタンパク質機能の実験的測定値を収集し、単離細胞または組織の観察された活動電位を記述する方程式としてそれを表す。
【0010】
この情報を、モデル内の解剖学的データと組み合わせる。一般に、仮想「細胞」を構築し、次いでそれらを互いに組み立ててネットワークにする。ネットワーク内の各ノード位置は、それぞれ異なる物理的な位置を反映する。モデル・ネットワークの様々なセクションを占める仮想細胞は、通常、活動電位を記述するノード方程式がそれぞれ異なる。結合関係がネットワーク領域間で異なることも普通である。
【0011】
タンパク質のコンピュータ計算は、すべての細胞の活動電位に影響を与えるが、ネットワーク内の実際の位置に依存して、個々の細胞活動電位の実際の時間経過が、隣接する細胞と劇的に異なることもある。
【0012】
この技術は、他の点では同等の臓器の性能に対する、突然変異または性が及ぼす影響を決定するのに有用である。モデル範囲内の、性に基づく変化の一部をモデル化し、他を無視できることは、非常に有用で、物理モデルでは容易に得られない特徴である。
【0013】
このモデル化プロセスの有用性は、病気、薬物、または他の膜間電圧の摂動に応答して、突然変異によって誘発された変化を決定できることである。この臓器モデルは、性ならびに細胞バックグラウンド内の対立形質のばらつきに関係する、薬物、遺伝子突然変異、または病気の発現に対する応答の相違を決定するのにも有用である。
【0014】
本発明は、心臓の楔形モデルの文脈で説明されており、ノードのコンピュータ計算は、タンパク質の発現における性差ならびに細胞タイプにおける変化を考慮している。臓器レベルでは、モデルは、薬物に対する性に基づく反応をシミュレーションする。このモデルでは、ネットワークレベルで伝播され、各ノードでコンピュータ計算された活動電位の時間経過に影響を及ぼす模擬刺激によって、初期条件を摂動する。
【0015】
図示した細胞タイプは、その膜間電圧の変化によって信号を発する興奮性細胞である。本発明は、興奮性細胞を有する他の系をモデル化するのにも使用でき、心臓の楔形図は、例示的なものであって、限定的なものではない。
【0016】
図面の様々な図の全体を通して、同一の参照番号は、同一の構造またはプロセスを示す。ここに示した本発明の実施形態は、例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0017】
詳細な説明
概要
本発明は、生体臓器のモデル化のためのコンピュータ計算モデルならびに関連方法に関し、このプロセスの諸ステップは汎用コンピュータで実行する。コンピュータは、図中には明示していない。ただし、図は、説明するソフトウェア・プロセスに従って実施されるコンピュータ計算の結果である。
【0018】
本発明の方法は、遺伝子の発現が正常な細胞と突然変異した細胞の、分子特性および生理機能に関する実験データの収集から始める。最も興味深い相互作用は、膜貫通イオン電流が関与するタンパク質相互作用である。遺伝子突然変異の場合に、特に、突然変異のタンパク質機能に対する影響を、二義的には、イオン・ポンプ、膜貫通チャネル、受容体、および信号伝達経路の生物理的変化を含めた、膜間電圧および細胞活動の他の機能に対する影響を詳細に調査する。実験データから、「正常」機能と「異常」機能の両方のタンパク質を含有する単一細胞のモデル化に必要なパラメータが得られる。したがって、細胞機能のプロフィルが構築され、細胞の複雑な挙動をモデル化するために、一般的な方程式の組が拡張される。
【0019】
プロセスのこのステップでは、遺伝子またはタンパク質の分子特性を測定し、特定の遺伝子またはタンパク質に関する発現レベルまたは発現パターンの変化に着目する。例えば、あるタンパク質は、開いているチャネルの数を増やすように思われる。他のタンパク質は、膜を通過する電流の大きさに寄与する。
【0020】
突然変異の結果生じる物理的特性は、膜電流、膜間電圧、イオン流束、または生化学反応速度の時間経過の変化に特徴づけられる。このデータ収集および表示ステップの終了時に、活動電位へのタンパク質機能の影響を、画像で示し、コンピュータで使用することができる。
【0021】
これらのデータおよび情報を用いて、単一細胞モデルを作成または修正する。ネットワーク・モデルは、単一細胞モデルのアンサンブルであり、細胞の生体機能のこれらの変化を、臓器全体または臓器の一部に統合する。性別のモデル化は、タンパク質のタイプ、位置、ならびに他の分子および生理特性に関係する性特異的な相違を用いて、細胞モデルを修正するのと同様の方法で行われる。
【0022】
解剖学的な詳細情報が病気を精確にモデル化するのに必要とされ、組み込み臓器モデルは細胞のこの空間分布をノードおよびそれに続く完全な組織にするのに必要とされる。ノード位置および局所方程式を定義して、モデルを解き、結果を表示する。ノードのコンピュータ計算を互いに同時かつ独立して実行でき、その結果モデルを並列コンピュータ上で効果的に実行できることが、モデル法の便利な特性である。複合モデル内の個々のノードにおける、様々な、細胞的、細胞内、および分子的特性を特定することによって、臓器内の遺伝子またはタンパク質発現パターンの変化と同様に、1つまたは複数の突然変異の空間分布の不均一性についてもモデル化することができる。モデル化プロセスの様々な側面については、米国特許第5,947,899号にも記載されている。
データ収集
図1は、単一細胞モデルおよび臓器レベルのモデルに関する、段階的シーケンスを示すフローチャートである。一般に、プロセス10〜16は、データ収集および単一細胞モデルの構築を表す。プロセス24〜28は、臓器または臓器の一部のネットワーク・モデルの作成を含み、一方、プロセス20は、単一細胞モデルのコンピュータ計算を示す。プロセス30は、いずれかのシミュレーションの出力を示し、通常、画像データと表形式データの両方を作成する。プロセス18は、単一細胞モデルと多数の細胞モデルの間の選択を表すが、細胞レベルでのシミュレーションを用いて、実験データに対する単一細胞モデルの妥当性を評価でき、一方、ネットワークレベルの臓器シミュレーションを用いて、実験的な組織実験に対する臓器レベルの記述の妥当性を評価できることを理解されたい。
【0023】
プロセス10では、変性した細胞タイプの挙動と、標的タンパク質の特異的な機能特性に関する実験データを収集する。これは、データが様々なフォーマットで存在し、実験データに関する適切な文献または出典を発見するのに相当な調査を必要とすることがあるので、労力を非常に多く必要とするステップである。湿式実験(wet lab experiments)では、オンラインおよび紙面の雑誌の両方に提出することが一般的である。どの場合にも、研究者または執筆者は、単離細胞または細胞群の活動電位の測定値を示すことができる。遺伝子配列からは、電気生理的測定時に、どのタンパク質が活性であったかがわかる。他の研究者は、未処理の測定値を表すコンピュータ・ファイルの形でデータを入手でき、タンパク質発現データには、大量の補助データが添付されていることもある。しかし、データの質には常に問題がある。一般化した1組の受け入れ基準を開発することができる。現時点では、「規定外(outside specie)」ではなく「規定通り(in specie)」の作業が好ましい。多くのタンパク質相互作用は、細胞株全体を通して同様であるが、これが特定の研究にあてはまるかどうかをアプリオリに決定する方法はない。「異常」な代謝状態のときに得たデータより、「通常」の環境で取得した公称データの方が好ましい。規定のプロトコルに従って取得したデータの「信頼できる」供給源が好ましいと思われる。
モデルの構築
プロセス12では、ステップ10で収集したデータを用いて、格子の各ノードで定義された非線形常微分方程式(ODE)の系を修正し、細胞モデルのイオン電流を修正する。これらの方程式は、心臓組織および様々な心臓細胞の独特の特性をもたらす生物物理学的プロセスを定義する。一般に、この系には、a)非線形の電圧依存膜貫通電流の特性を定義する方程式と、b)細胞内のイオン・ポンプ、イオン交換体、およびその他の特徴の特性を記述する方程式と、c)細胞内細胞器官による、カルシウムイオンの、緩衝、取込み、貯蔵、輸送、および放出を記述する方程式と、d)細胞内イオン濃度の経時変化を記述する方程式と、e)神経伝達物質、ホルモン、およびセカンド・メッセンジャーがこれらの成分に及ぼす影響を記述する方程式とが含まれる。
【0024】
細胞力学のモデル化に有用なパラダイムは、バッテリ/レジスタ/キャパシタ・モデルであり、膜電流は、キャパシタンスに並列な1組の電源の合計である。電源は、レジスタに直列なバッテリとしてモデル化する。バッテリは、膜を横切るイオン勾配によって与えられる、チャネルを通るイオン流束の推進力を表す。レジスタは、チャネル間隙を通るイオン流に対する抵抗を表す。ステップ10で収集したデータから、ほとんどのイオン電流に関する数学モデルを直接得ることができる。方程式の一般形は、Iチャネル=I開放チャネル(V)*P開放であり、所望のチャネル電流は、電圧依存性開放チャネル電流と、開放時または閉鎖時の間隙状態の関数である。開放および閉鎖チャネル電流を予測するために、ホジキン・ハクスレー(Hodgkin−Huxley)とマルコフ(Markov)の状態モデリングを含めた、文献に知られる様々な方法を用いることができる。この簡単な電気モデルにより、追加電流値および推定値の適応が容易になる。この電気回路的相似は、解剖学的構造を表すために使用されるモデルのネットワーク・ノード部分と容易に整合する。この方法は、各イオン電流を別々かつ独立にモデル化することに留意することが重要である。これは、モデルの他の部分を変更することなく、イオン電流をモデルに追加できることを意味する。この独立性が、構築におけるモジュール性を可能にし、モデルの改良を容易にする。一般に、突然変異または性に基づく発現は、膜貫通電流の調節に利用可能なタンパク質の量の相違を引き起こす。細胞レベルのモデルにより、必要なタンパク質の可用性に基づく活動電位がコンピュータ計算される。
【0025】
この方法の他の特筆すべき価値は、細胞モデルの妥当性を単独で評価できることである。本質的に、臓器および系モデルに組み込む前に、細胞モデルの予測値の妥当性を評価するために、データに基づいた予測値およびモデル化した電流を、実験データと比較することができる。この分割およびアーキテクチャにより、モデルをより容易に微調整することができる。
【0026】
プロセス・ステップ14は、イオン電流計算をコンピュータ的に効率的にするステップに関する。常微分方程式の組をコンピュータ計算するために、多くの技術が利用可能である。プロセス16は、データを分析するために用いられる特定のシミュレーション方法の選択に関する。例えば、あるアプリオリ知識により、ユーザは、特定のシミュレーションに関して、いくつかの変数を無視し、あるいは他の簡略化した仮定を立てることができる。通常の設定では、ユーザは、いくつかの「単一細胞」モデルを利用でき、それぞれが「うまく働く」。特定の研究に関する具体的な選択は、単にユーザの好みで行ってもよい。
【0027】
プロセス18では、単一細胞モデルまたはネットワーク・モデルを選択する。ユーザは、一連の単一細胞シミュレーションから開始し、次いで、単一細胞モデルを再設計せずにネットワーク・モデルを選ぶことができる。
【0028】
プロセス24〜28は、臓器の物理的表現における変性細胞の位置を定義することによる、ネットワーク・モデルの構築に直接関係する。通常、心臓の物理的構造および突然変異細胞の物理的位置を表すには、ノードの有限差分格子が好ましい。この空間配置は、解剖学的な知識に基づく。すべての細胞が、あるいは一部の細胞だけが、変性した特性を有する可能性があることに留意することが重要である。図2は、モデルのこの側面を、より詳細に扱う。
【0029】
シミュレーションによる出力データは、プロセス30で得られる。図2A、図3、図4、図5、図7などの様々な図は、プロセス30で得られた出力例を表す。画像データと表形式データの両方が得られる。
【0030】
専門的な組織調製へのモデルの拡張、ならびにモデルの操作は、図2を簡潔に論じることで容易になる。図2Aは、心臓組織の「楔形」部分40の中の3群の細胞または組織の略図である。細胞42で代表される組織群(A)は、「楔形」の内側にあり、心内膜表面を表す。細胞44で代表される細胞(B)は、楔形の内部を占有し、細胞46で代表される細胞(C)は、楔形の外表面上に位置し、心外膜表面を表す。一般に、これらの自律性細胞層は、対応する組織タイプに関してパネル50に示す特徴的な活動電位を有する。活動電位の持続時間の幅広いばらつきは、様々なペース速度のときの臓器モデルの動的挙動を表す。活動電位の持続時間の分散は、物理的な楔形の調製の際に見られるのと同様の挙動を模倣またはモデル化する。軌跡43に相当する最長の持続時間は、約5秒間隔のペーシングの結果であり、軌跡41に代表される短い持続時間は、「疲労」を表し、より速いペーシング速度における非線形挙動は、約500msの間隔に相当する。
【0031】
A、B、およびCタイプの組織は、脱分極して電圧を発生することができる。この電圧に関連する電流を、コンパニオン組織群に伝えることができる。この結合関係は、臓器モデルの基本要件である。図に示す組織間の関係は、組織の楔形表面に追従する、表面的なまたは表面の波形を発生させることができる。このようにして、組織群中の局所的な事象が、隣接組織に伝播される。T=0で電流刺激によってモデルを始めて1つまたは複数の細胞の脱分極を開始するのが一般的である。この初期摂動が、図2Aの脱分極波形47に見られるような、モデル表示の動的特徴を生じる。反応の持続時間は、刺激と刺激の間の時間にきわめて強く依存する。モデルが実行された後は、ある環境のもとでは予測が困難なこともある様式で、様々な仮想細胞の状態が発散する。例えば、図2A「B」に見られる、活動電位に関する表示した様々な持続時間は、サイクルごとのばらつきを反映している。図中に見られる活動電位の異なるそれぞれの軌跡は、異なるサイクル長において発生する。この図は、動的臓器モデルに埋め込まれた単純な単一細胞モデルが、どのようにしてサイクルごとの活動電位のばらつきをリアルに表示できるかを示す。
【0032】
図2bは、図2aの物理標本をモデル化するために使用されるネットワーク・モデルを示す。図2bでは、ノード54が、隣接ノード52から活性作用を受けている。ただし、伝達は対称的でなく、結合関係はダイオード様である。両方向矢印の形の結合関係58によって示されるように、ノード54とノード56の間で、対称的な伝達が可能である。ループ55は、ノード54によって表される組織の活動電位をモデル化するために使用される、生物物理学的局所方程式の反復計算を表す。臓器の全体的な活動を起こすために、局所方程式を解き、局所データの相互作用をコンピュータ計算できることが、このモデルの価値である。図2bに示す結合関係のファミリーが、同一細胞タイプを用いた異種組織構造の構築を可能にする。不均一性は、モデル内の様々な位置で細胞タイプを変化させることによって達成することもできる。解剖学な関連性および経路は、正しい結合関係を選択することによって、精確に再現することができる。
【0033】
図3は、男性の細胞の活動電位60および女性の細胞の活動電位62を表す第1パネル3Aを示す。このモデル化実験では、タンパク質の発現、取込み、および輸送の、性に基づく相違は、実質的に異なる活動電位波形に関係していた。女性の軌跡62は、再分極時間が長いことを示す。パネル3Bは、タンパク質の発現における性に基づく相違に関する、電流の軌跡の名称標示を付けている。図中の標示は共通に使用しているが、タンパク質に関する一律の命名規則はない。B.Ito電流は、外へ向かう一過性の電流である。C.IKr電流は、遅延整流である。D.IK1電流は、内へ向かう整流である。E.IKs電流は、低速遅延整流である。IKrチャネルにおける男性66と女性68の間の乖離から、パネル3Aに見られる組織の電気生理現象の形態を理解することができる。この出力は、タンパク質の発現における、わずかな対立形質または性に基づくばらつきの、重要な電気生理的結果をモデルが表示する能力を表す。
【0034】
図4は、楔形モデル中の様々な細胞の「男性」71および「女性」69の細胞に関して、細胞タイプが心臓の活動電位に及ぼす影響を示す。楔形モデルは、「性」のみによって異なる、細胞内に発現するタンパク質の相違に基づく、活動電位の持続時間および形態の有意なばらつきを精確に表示する。この例は、シミュレーションによって、ユーザが設定変数を「確定」でき、特定の性に関連したまたは対立形質に基づくばらつきだけがモデルを推進できることを示す。このようにして、タンパク質発現のわずかなばらつきを明らかにすることができる。
【0035】
図5は、特定のイオン・チャネルの発現における性に基づく相違が、「男性」および「女性」の心臓心室細胞に関してコンピュータ計算した活動電位に及ぼす影響を示す。複合電位77で代表される、図中の各複合電位では、軌跡75で代表されるように、2つの持続時間の短い方が「男性」の持続時間である。この複合電位77では、より長い軌跡73が「女性」である。図は、これらの細胞に及ぼす薬物作用の異なる影響を示す。薬物の一回投与量が増加するにつれて、チャネルの閉塞割合が増加し、その結果、特に女性において、早期脱分極の出現によって示唆される催不整脈反応が発生する。60%閉塞したチャネルで示される交互性は、女性モデルでは現れるが、男性モデルでは現れない。交互性は、複合電位79、81、83、85、および77の順序を比較するとわかる。後に短い電位が続く長い電位は、不整脈の顕著な特徴である。この例は、d−sotolを用いてモデル化したが、すべてのカリウム遮断薬に有効と思われる。この図は、約2.5秒の間隔でペーシングした多数の事象を示す。性別に基づくこれらの相違の多次元的な影響は、単独および薬剤との組合せで、模擬的な心電図をリードアウトとして用いて示すことができる。この例は、薬剤の「過剰投与」に相当するチャネル閉塞を示す。コンピュータ・モデルは、実験的な調製よりも、過剰投与にかなりの耐性がある。その結果から、長期的な心電計QTに関して、また女性と男性の対比で通常観察される、薬物性の催不整脈間隔の発生の増加に関して、力学的な説明が得られる。
【0036】
図6のパネル6Aは、プロセス・ステップ10で収集したタイプの標準的なデータを示す。データは、位置およびペーシング速度に基づくミオサイトのばらつきを示す。パネル6Bのシミュレーションは、同じ条件で取得したものであり、実験データとよく一致して、モデルの妥当性を示している。時間および空間でモデルおよび様々なスケールを検査できることが、モデルのアーキテクチャの重要な条件である。
【0037】
図7のパネル7Aは、ネットワーク・モデルから得られた正常な(野生の)遺伝子型ECG96を表す。対応するパネル7Cは、模擬的な楔形細胞の様々なレベルにおけるミオサイトの活動電位を示しており、心外膜細胞を軌跡90に、心筋中間細胞を軌跡91に、心内膜細胞を92に示す。パネル7Bは、表面ECG97に影響を及ぼす突然変異を示す。パネル7Dの軌跡93、94、および95に見られる、対応するミオサイトの個々の挙動は、ミオサイトの位置に関する対応する活動電位を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1Aは、モデルの作成およびコンピュータ計算を説明する簡略化したフロー・チャートである。
図1Bは、モデルおよびモデル構築プロセス別の略図である。
【図2】
図2Aは、臓器の略図である。
図2Bは、ノードの格子およびノード間の関係を示す、ネットワーク・モデルの略図である。
【図3】
図3Aは、活動電位のグラフである。
図3Bは、活動電位のグラフである。
【図4】
図4Aは、コンピュータ計算した、性に関係する活動電位を示す図である。
図4Bは、コンピュータ計算した、性に関係する活動電位を示す図である。
図4Cは、コンピュータ計算した、性に関係する活動電位を示す図である。
【図5】
コンピュータ計算した、薬物効果の性に基づく相違に関係する活動電位を示す図である。
【図6】
図6Aは、実験データを示す図である。
図6Bは、シミュレーションを示す図である。
【図7】
図7Aは、突然変異に基づくタンパク質発現のばらつきの活動電位を示す図である。
図7Bは、突然変異に基づくタンパク質発現のばらつきの活動電位を示す図である。
図7Cは、細胞のタイプに応じた活動電位のばらつきを示す図である。
図7Dは、細胞のタイプに応じた活動電位のばらつきを示す図である。
Claims (14)
- 臓器の一部分をコンピュータでモデル化する方法であって、
第1組のノードと第2組のノードを定義するステップであって、
前記第1組のノードが臓器の第1物理サブユニットを表し、
前記第2組のノードが、前記第1物理サブユニットと異なる臓器の第2物理サブユニットを表し、
前記第1組のノードが、そのノードでモデル化されたタンパク質の発現に直接関連する活動電位に関連する膜貫通電流を表す第1組の生物物理学的方程式を有し、
各ノードが、そのノードの位置での臓器の解剖学的構造を表す1組の結合電流方程式を有する、ステップと、
ネットワーク格子の各頂点にノードを有するネットワークを定義するステップであって、ノード位置および結合電流方程式が臓器内のノードの位置を表す,ステップと、
1組のノードにおける刺激電流活性化事象をシミュレートすることによってモデルを活性化するステップであって、前記1組のノードがネットワーク中のすべてのノードのサブセットである、ステップと、
各ノードに関するノード電流を決定するために、前記生物理方程式の組を解くステップと、
各ノードに存在する電圧を決定するために前記ノード電流を合計するステップと、
前記コンピュータ計算した電圧を表示するステップと、
を含む方法。 - 前記方程式を解くステップが、初期の活性化事象から拡張する脱分極事象および再分極事象を含む活動電位の時間経過をモデル化するコンピュータ計算サイクルにわたってモデルを反復する、請求項1に記載の方法。
- 単一のコンピュータ計算サイクルを定義するために各活動電位を使用する、請求項2に記載の方法。
- 前記活性化事象を単一ノードで適用する、請求項1に記載の方法。
- 前記活性化事象を、前記ネットワーク格子の外部で1組のノードに適用する、請求項1に記載の方法。
- 前記第1組のノードが心外膜細胞を表し、前記第2組のノードが心筋中間細胞を表す、請求項1に記載の方法。
- 前記第1組のノードが心内膜細胞を表し、前記第2組のノードが心筋中間細胞を表す、請求項1に記載の方法。
- 前記第1組のノードが心外膜細胞を表し、前記第2組のノードが心筋中間細胞を表す、請求項6に記載の方法。
- 心臓の一部分のコンピュータ・モデルであって、
1組のノードを有し、各ノードがその頂点を形成する、心臓心室の断面組織の楔形を表す3次元ネットワークと、
前記ネットワークの第1の部分に位置する心外膜細胞を表す第1組のノードと、
前記ネットワークの前記第1の部分に隣接する、ネットワークの第2の部分に位置する心筋中間細胞を表す第2組のノードと、
前記ネットワークの前記第2組のノードに隣接する、ネットワークの第3の部分に位置する心内膜細胞を表す第3組のノードと、
隣接するノード間での電流および電圧のばらつきを共有する1組のノード結合関係と、
対立形質に基づくタンパク質発現のばらつきが、各ノードについてコンピュータ計算した膜貫通電流に対して果たす役割を表す、1組のノード膜貫通電流方程式と、
ノード電流方程式を計算し、ノード結合関係をコンピュータ計算し、得られた電流および電圧値をすべてのノードにわたって合計するコンピュータ処理と、
合計した計算結果を表示するコンピュータ処理と、
を含むコンピュータ・モデル。 - 臓器の一部分をコンピュータでモデル化する方法であって、
臓器の第1物理サブユニットを表す第1組のノードを定義するステップと、
ノードでモデル化されたタンパク質の発現に直接関係する活動電位に関連する膜貫通電流を表す、前記第1組のノードに関する第1組の生物物理学的方程式を定義するステップと、
前記1組のノードを格子状ネットワーク内に収集するステップであって、前記ネットワークがネットワーク格子の各頂点にノードを有し、ノード位置および結合電流方程式が臓器中のノードの位置を表す収集ステップと、
前記ノードの1つで刺激電流活性化事象をシミュレートすることによって、モデルを活性化するステップであって、前記活性化事象が選択された期間のコンピュータ計算間隔の起点を定義するステップと、
各ノードに関するノード電流を決定するために、前記生物物理学的方程式の組を解くステップと、
各ノードに存在する電圧を決定するために、前記ノード電流を合計するステップと、
前記コンピュータ計算間隔にわたって時間経過として発展する、前記ノードにおける前記コンピュータ計算した電圧を表示するステップと、
を含む方法。 - 前記コンピュータ計算間隔の終了時に前記活性化ステップを繰り返す、請求項10に記載の方法。
- 心臓の一部分のコンピュータ・モデルであって、
1組のノードを有し、各ノードがその頂点を形成する、心臓心室の断面組織の楔形を表す3次元ネットワークと、
前記ネットワークの第1の部分に位置する心外膜細胞を表す第1組のノードと、
前記ネットワークの前記第1の部分に隣接する、ネットワークの第2の部分に位置する心筋中間の細胞を表す第2組のノードと、
前記ネットワークの前記第2組のノードに隣接する、ネットワークの第3の部分に位置する心内膜細胞を表す第3組のノードと、
隣接するノード間での電流および電圧のばらつきを共有する1組のノード結合関係と、
性に基づくタンパク質発現のばらつきが、各ノードについてコンピュータ計算した膜貫通電流に対して果たす役割を表す、1組のノード膜還流電流方程式と、
ノード電流方程式を計算し、ノード結合関係をコンピュータ計算し、得られた電流および電圧値をすべてのノードにわたって合計するコンピュータ処理と、
合計した計算結果を表示するコンピュータ処理とを含むコンピュータ・モデル。 - 心臓の一部分のコンピュータ・モデルであって、
1組のノードを有し、各ノードがその頂点を形成する、心臓心室の断面組織の楔形を表す3次元ネットワークと、
前記ネットワークの第1の部分に位置する心外膜細胞を表す第1組のノードと、
前記ネットワークの前記第1の部分に隣接する、ネットワークの第2の部分に位置する心筋中間の細胞を表す第2組のノードと、
前記ネットワークの前記第2組のノードに隣接する、ネットワークの第3の部分に位置する心内膜細胞を表す第3組のノードと、
隣接するノード間での電流および電圧のばらつきを共有する1組のノード結合関係と、
性に基づくタンパク質発現のばらつきおよび薬物に基づくばらつきが、各ノードについてコンピュータ計算した膜貫通電流に対して果たす役割を表す、1組のノード膜貫通電流方程式と、
ノード電流方程式を計算し、ノード結合関係をコンピュータ計算し、得られた電流および電圧値をすべてのノードにわたって合計するコンピュータ処理と、
合計した計算結果を表示するコンピュータ処理とを含むコンピュータ・モデル。 - 心臓の一部分のコンピュータ・モデルであって、
1組のノードを有し、各ノードがその頂点を形成する、心臓心室の断面組織の楔形を表す3次元ネットワークと、
前記ネットワークの第1の部分に位置する心外膜細胞を表す第1組のノードと、
前記ネットワークの前記第1の部分に隣接する、ネットワークの第2の部分に位置する心筋中間の細胞を表す第2組のノードと、
前記ネットワークの前記第2組のノードに隣接する、ネットワークの第3の部分に位置する心内膜細胞を表す第3組のノードと、
隣接するノード間での電流および電圧のばらつきを共有する1組のノード結合関係と、
タンパク質発現における薬物の一回投与量のばらつきが、各ノードについてコンピュータ計算した膜貫通電流に対して果たす役割を表す、1組のノード膜貫通電流方程式と、
ノード電流方程式を計算し、ノード結合関係をコンピュータ計算し、得られた電流および電圧値をすべてのノードにわたって合計するコンピュータ処理と、
合計した計算結果を表示するコンピュータ処理と、
を含むコンピュータ・モデル。
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