JP2004360732A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受による操舵フィーリングの影響を特別の機構を付加することなく少なくすることができるようにする。
【解決手段】操舵補助用の電動モータ4のロータ41に連動連結された伝動筒体6を深溝型玉軸受5により回転自在に支持し、該伝動筒体6の回転力を軸長方向への移動力に変換して転舵軸2に伝える動力変換機構7を備えており、前記深溝型玉軸受5は内輪51の軌道溝の曲率半径を玉53の直径の52.5〜58.0%とし、外輪52の軌道溝の曲率半径を玉53の直径の53.5〜60.0%とした。
【選択図】 図1
【解決手段】操舵補助用の電動モータ4のロータ41に連動連結された伝動筒体6を深溝型玉軸受5により回転自在に支持し、該伝動筒体6の回転力を軸長方向への移動力に変換して転舵軸2に伝える動力変換機構7を備えており、前記深溝型玉軸受5は内輪51の軌道溝の曲率半径を玉53の直径の52.5〜58.0%とし、外輪52の軌道溝の曲率半径を玉53の直径の53.5〜60.0%とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源として用いられる電動モータの回転力を深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材から減速機構を介して舵取手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置は、舵取りのための操舵輪の操舵に要する労力負担を軽減して快適な操舵感覚を得るものであり、操舵補助力の発生源として電動モータが用いられている。
【0003】
この電動モータは、操舵輪に連動連結され、該操舵輪の操舵に伴って回転する操舵軸の途中、又は、一対の転舵輪に両端部が連結され、車両の左右方向への移動が可能な転舵軸の途中に設けられる(例えば、特許文献1。)。
【0004】
操舵軸の途中に電動モータが設けられる構成にあっては、電動モータの出力軸に連動連結される回転部材としてのウォーム及び該ウォームに噛合し前記操舵軸の途中に外嵌固定されるウォームホイールを有する減速機構が用られており、前記ウォームの軸部が深溝型玉軸受の内輪に圧入支持されている。
【0005】
また、転舵軸の途中に電動モータが設けられる構成にあっては、電動モータの出力部材に連動連結される回転部材としての伝動筒体と、該伝動筒体の内側の螺旋溝及び前記転舵軸の周面に設けられた螺旋溝の間に介装されるボールとを有する動力変換機構が用いられており、前記伝動筒体が深溝型玉軸受の内輪に圧入支持されている。
【0006】
ところで、以上のように構成された電動パワーステアリング装置は操舵輪の操舵による操舵力と電動モータが発生する操舵補助力とを加算した回転力により操舵軸を回転させるか、または転舵軸を軸長方向へ移動させるように構成されているが、操舵時の状況により操舵補助力が不足するとき、前記操舵力が減速歯車機構、または動力変換機構に伝わり、前記ウォーム又は伝動筒体には減速比の倍率の回転トルクが加わることになる。例えば減速比が10:1である場合、ウォーム又は伝動筒体に加わる回転トルクは10倍となり、この回転トルクが前記操舵力に影響を及ぼすことになる。
【0007】
【特許文献1】
特公平4−28583号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにウォーム及び伝動筒体を支持する深溝型玉軸受の内輪は前記ウォーム又は伝動筒体と一体に回転するため、この深溝型玉軸受に発生する回転トルクが前記操舵力に影響を及ぼすことになる。ところが、電動パワーステアリング装置において前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の51.0%とし、外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0%としたものが標準品になっており、この標準品は内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積が比較的多くなっているため、アンギュラ軸受に比べて外輪に対する内輪の回転抵抗が大であり、深溝型玉軸受に発生する回転トルクが大きくなり、操舵フィーリングに影響を及ぼすことになる。
【0009】
玉軸受による操舵フィーリングの影響を少なくするには深溝型玉軸受に代えてアンギュラ軸受を用いるとよいが、このアンギュラ軸受は深溝型玉軸受よりも価格が高く、しかも、深溝型玉軸受と異なる形状であり、深溝型玉軸受を支持している既存のハウジングを用いることができないため、コストを上げることなく玉軸受による操舵フィーリングの影響を少なくすることが要望されていた。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受による操舵フィーリングの影響を特別の機構を付加することなく少なくすることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、電動モータの回転力を深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材から減速部を介して舵取手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%としてあることを特徴とする。
【0012】
第1発明にあっては、電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受の内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%とし、内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積を比較的少なくしてあるため、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。また、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
尚、内輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の58.0%よりも大きい場合、及び外輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の60.0%よりも大きい場合、深溝型玉軸受に発生する回転トルクをさらに低減することができるが、軌道溝での面圧が高くなり過ぎることになり、深溝型玉軸受の要求寿命が短くなり、好ましくない。
【0013】
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、その軸長方向への移動が可能な転舵軸を有する舵取手段と、電動モータの出力部材に連動連結され、深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材と、該回転部材の回転力を軸長方向への移動力に変換して前記転舵軸に伝える動力変換機構とを備え、前記電動モータの回転によって操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%としてあることを特徴とする。
【0014】
第2発明にあっては、電動モータの回転力を動力変換機構に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受の内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%とし、内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積を比較的少なくしてあるため、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを小さくすることができ、操舵フィーリングを良好にできる。また、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
尚、内輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の58.0%よりも大きい場合、及び外輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の60.0%よりも大きい場合、深溝型玉軸受に発生する回転トルクをさらに低減することができるが、軌道溝での面圧が高くなり過ぎることになり、深溝型玉軸受の要求寿命が短くなり、好ましくない。
【0015】
第3発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0〜54.5%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の54.5〜56.0%としてあることを特徴とする。
【0016】
第3発明にあっては、回転部材を支持する深溝型玉軸受の内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0〜54.5%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の54.5〜56.0%とし、内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積を比較的少なくしてあるため、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを小さくすることができ、操舵フィーリングを良好にできるとともに、深溝型玉軸受の要求寿命を比較的長くすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す一部縦断正面図である。
【0018】
図1に示した電動パワーステアリング装置は、一端部が図示しないユニバーサルジョイント及び操舵軸を介して操舵輪(不図示)に繋がり、他端部にピニオン1aを有する伝動軸1と、ピニオン1aに噛合するラック歯21及び該ラック歯21とその軸長方向へ離隔した位置に螺旋溝22を有し、軸長方向への移動を可能とした転舵軸2と、該転舵軸2を移動自在に収容支持する略円筒形のハウジング3と、該ハウジング3内に転舵軸2と同軸的に配置され、操舵輪の操舵に伴い駆動されて操舵補助するブラシレス形の電動モータ4と、ハウジング3内に転舵軸2と同軸的に配置され、電動モータ4のロータ41に連動連結され、深溝型玉軸受5により回転自在に支持された伝動筒体6と、該伝動筒体6の回転力を転舵軸2の軸長方向への移動力に変換して転舵軸2に伝える減速機構を兼ねた動力変換機構7とを備えている。尚、操舵軸、ユニバーサルジョイント、伝動軸1及び転舵軸2が舵取手段を構成している。
【0019】
電動モータ4は転舵軸2の周りであり、ハウジング3内に固定される円筒状のステータ42と、該ステータ42の内周面及び転舵軸2の外周面間に回転可能に支持されており、その外周面に複数個の永久磁石43が周方向に離隔して設けられている円筒状のロータ41とを備えている。このロータ41は、その両端部がステータ42よりも軸長方向外方へ突出しており、この両端部が玉軸受8,9を介して前記ハウジング3内に回転自在に支持されている。
【0020】
伝動筒体6は一端部がロータ41の一端部に内嵌固定されてロータ41と一体に回転するようにしてあり、他端部は深溝型玉軸受5により回転自在に支持されており、内側には螺旋溝22に対応する螺旋溝61が設けられている。
【0021】
動力変換機構7は螺旋溝22,61と、螺旋溝22,61間に介装された複数のボール71と、該ボール71を伝動筒体6の両端部間で循環させるための循環部材72とを備えたボールねじ機構からなり、伝動筒体6の回転を減速し、伝動筒体6の回転力を転舵軸2の軸長方向への移動力に変換して転舵軸2に伝え、該転舵軸2を軸長方向へ移動させるようにしてある。尚、螺旋溝22,61及びボール71が減速部を構成している。
【0022】
図2は深溝型玉軸受の一部を拡大した断面図である。
深溝型玉軸受5は、軌道溝51aを有する内輪51と、軌道溝52aを有する外輪52と、内輪51及び外輪52の軌道溝51a.52a間に配置された複数の玉53と、玉53を等間隔に保持する保持器54と、シール部材55,55とを備えており、内輪51が伝動筒体6に外嵌固定され、外輪52がハウジング3の内側に内嵌固定されている。内輪51の軌道溝51aの曲率半径R1は玉53の直径dの52.5〜58.0%、好ましくは53.0〜54.5%としてあり、外輪52の軌道溝52aの曲率半径R2は玉53の直径dの53.5〜60.0%、好ましくは54.5〜56.0%としてある。
【0023】
このように軌道溝51a,52aの曲率半径R1,R2を前記した値とすることにより、内輪51の軌道溝51aの曲率半径R1を玉53の直径dの51.0%とし、外輪52の軌道溝52aの曲率半径R2を玉53の直径dの53.0%とした標準品の深溝型玉軸受に比べて内輪51及び外輪52の軌道溝51a,52aと玉53とのアキシアル方向の接触面積を少なくしてある。
【0024】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置は、操舵輪の操舵による操舵力と電動モータ4が発生する操舵補助力とを加算した回転力により転舵軸2を軸長方向へ移動させることになり、また、操舵時の状況により操舵補助力が不足するとき、前記操舵力が転舵軸2から動力変換機構7及び伝動筒体6に伝わり、動力変換機構7による減速比の倍率の回転トルクが伝動筒体6に加わることになる。この場合、伝動筒体6を支持する深溝型玉軸受5は内輪51の軌道溝51aの曲率半径R1を玉53の直径dの52.5〜58.0%とし、外輪52の軌道溝52aの曲率半径R2を玉53の直径dの53.5〜60.0%とすることにより、従来の前記した標準品の深溝型玉軸受に比べて内輪51及び外輪52の軌道溝51a,52aと玉53とのアキシアル方向の接触面積を少なくしてあるため、前記した標準品の深溝型玉軸受に比べて外輪52に対する内輪51の回転抵抗を低減することができ、深溝型玉軸受5に発生する回転トルクをアンギュラ軸受を用いた場合と同程度に低減することができ、操舵フィーリングを良好にできる。しかも、深溝型玉軸受5は特別の機構を付加することなく構成してあり、深溝型玉軸受5を支持している既存のハウジングに組み込むことができるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0025】
図3は標準品の深溝型玉軸受、第1及び第2のアンギュラ軸受、本発明が用いる第1及び第2の深溝型玉軸受のアキシアル荷重と回転トルクとの関係を測定した結果を示す説明図である。尚、図3において、深溝型玉軸受(+2%)は曲率半径R1,R2を標準品の深溝型玉軸受の曲率半径R1,R2に比べて2%大きくした第1の深溝型玉軸受であり、深溝型玉軸受(+3%)は曲率半径R1,R2を標準品の深溝型玉軸受の曲率半径R1,R2に比べて3%大きくした第2の深溝型玉軸受であり、アンギュラ軸受(α15°)は玉の接触角を15°とした第1のアンギュラ軸受であり、アンギュラ軸受(α30°)は玉の接触角を30°とした第2のアンギュラ軸受である。
【0026】
この図3に示されているように標準品の深溝型玉軸受に発生する回転トルクは5種類のうちで最も大きく、第2のアンギュラ軸受に発生する回転トルクは5種類のうちで最も小さいのであるが、本発明が用いる第1及び第2の深溝型玉軸受に発生する回転トルクは標準品の深溝型玉軸受及び第1のアンギュラ軸受に発生する回転トルクよりも小さくすることができた。
【0027】
実施の形態2
図4は実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態2の電動パワーステアリング装置は、電動モータ4を転舵軸2と同軸的にハウジング3内に配置する代わりに、電動モータ4を転舵軸2の中心軸線と交差するようにハウジング3の外部に配置し、該電動モータ4の出力軸44に連動連結された駆動歯車としての第1傘歯車10と、該第1傘歯車10に噛合する従動歯車としての第2傘歯車11とを備えており、第2傘歯車11を伝動筒体6と一体に設けたものであり、この伝動筒体6を深溝型玉軸受5が回転自在に支持している。
【0028】
実施の形態2にあっては、電動モータ4の回転力が出力軸44から第1傘歯車10及び第2傘歯車11を経て伝動筒体6に伝動され、該伝動筒体6が回転する。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0029】
実施の形態3
図5は実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図、図6は実施の形態3の全体の構成を示す断面図である。
この実施の形態3の電動パワーステアリング装置は、転舵軸2の途中に電動モータ4を配置する代わりに、操舵軸12の途中に減速機構13を介して電動モータ4を配置したものである。
【0030】
操舵軸12は一端部が舵取りのための操舵輪14に繋がる第1軸体12aと、該第1軸体12aの他端部に連結され、操舵輪14に加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー12bと、該トーションバー12bの他端部に連結され、減速機構13に繋がる第2軸体12cとを備えており、該第2軸体12cがユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。尚、操舵軸12、ユニバーサルジョイント、舵取機構が舵取手段を構成している。
【0031】
減速機構13は電動モータ4の出力軸44に連動連結された小歯車としてのウォーム13aと、該ウォーム13aに噛合する大歯車としてのウォームホイール13bとを備えており、該ウォームホイール13bが第2軸体12cの途中に外嵌固定されている。ウォーム13aは出力軸44に連動連結された軸部13c及び該軸部13cの外周部に歯切りされた歯部13dを有しており、この歯部13d及びウォームホイール13bが減速部を構成し、軸部13cが回転部材を構成しており、該軸部13cの両端部を深溝型玉軸受5,5が回転自在に支持している。尚、ウォーム13a及びウォームホイール13bを有する減速機構の減速比は約15:1である。
電動モータ4は操舵軸12を回転自在に支持するハウジング15に取着されている。
【0032】
実施の形態3にあっては、電動モータ4の回転力が出力軸44からウォーム13a及びウォームホイール13bを介して第2軸体12cに伝動され、該第2軸体12cが回転する。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0033】
尚、以上説明した深溝型玉軸受5の軌道溝51a,52aは一つの曲率半径R1,R2からなる曲面である他、長さが異なる複数の曲率半径からなる複合曲面としてもよい。
また、以上説明した実施の形態の深溝型玉軸受5は、内輪51及び外輪52の軌道溝51a,52aの曲率半径R1,R2を前記した値としたが、その他、内輪51又は外輪52の軌道溝の曲率半径だけを前記した値としてもよい。この場合、軌道溝の曲率半径を前記した値にしない内輪51又は外輪52の曲率半径は、例えば前記した標準品の値とする。
また、以上説明した実施の形態1、2では螺旋溝22,61及びボール71が減速部を構成しており、実施の形態3では歯部13d及びウォームホイール13bが減速部を構成しているが、この減速部の構成は特に制限されるものでない。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明によれば、電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受に発生する回転トルクを低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。しかも、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0035】
第2発明によれば、電動モータの回転力を動力変換機構に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受に発生する回転トルクを低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。しかも、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0036】
第3発明によれば、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを小さくすることができ、操舵フィーリングを良好にできるとともに、深溝型玉軸受の要求寿命を比較的長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す一部縦断正面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の深溝型玉軸受の一部を拡大した断面図である。
【図3】標準品の深溝型玉軸受、第1及び第2のアンギュラ軸受、本発明が用いる第1及び第2の深溝型玉軸受のアキシアル荷重と回転トルクとの関係を測定した結果を示す説明図である。
【図4】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態3の全体の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2 転舵軸(舵取手段)
4 電動モータ
41 ロータ(出力部材)
44 出力軸(出力部材)
5 深溝型玉軸受
51 内輪
51a 軌道溝
52 外輪
52a 軌道溝
53 玉
R1,R2 曲率半径
d 玉の直径
6 伝動筒体(回転部材)
7 動力変換機構
12 操舵軸(舵取手段)
22,61 螺旋溝(減速部)
71 ボール(減速部)
13c 歯部(減速部)
13b ウォームホイール(減速部)
【発明の属する技術分野】
本発明は操舵補助力の発生源として用いられる電動モータの回転力を深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材から減速機構を介して舵取手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置は、舵取りのための操舵輪の操舵に要する労力負担を軽減して快適な操舵感覚を得るものであり、操舵補助力の発生源として電動モータが用いられている。
【0003】
この電動モータは、操舵輪に連動連結され、該操舵輪の操舵に伴って回転する操舵軸の途中、又は、一対の転舵輪に両端部が連結され、車両の左右方向への移動が可能な転舵軸の途中に設けられる(例えば、特許文献1。)。
【0004】
操舵軸の途中に電動モータが設けられる構成にあっては、電動モータの出力軸に連動連結される回転部材としてのウォーム及び該ウォームに噛合し前記操舵軸の途中に外嵌固定されるウォームホイールを有する減速機構が用られており、前記ウォームの軸部が深溝型玉軸受の内輪に圧入支持されている。
【0005】
また、転舵軸の途中に電動モータが設けられる構成にあっては、電動モータの出力部材に連動連結される回転部材としての伝動筒体と、該伝動筒体の内側の螺旋溝及び前記転舵軸の周面に設けられた螺旋溝の間に介装されるボールとを有する動力変換機構が用いられており、前記伝動筒体が深溝型玉軸受の内輪に圧入支持されている。
【0006】
ところで、以上のように構成された電動パワーステアリング装置は操舵輪の操舵による操舵力と電動モータが発生する操舵補助力とを加算した回転力により操舵軸を回転させるか、または転舵軸を軸長方向へ移動させるように構成されているが、操舵時の状況により操舵補助力が不足するとき、前記操舵力が減速歯車機構、または動力変換機構に伝わり、前記ウォーム又は伝動筒体には減速比の倍率の回転トルクが加わることになる。例えば減速比が10:1である場合、ウォーム又は伝動筒体に加わる回転トルクは10倍となり、この回転トルクが前記操舵力に影響を及ぼすことになる。
【0007】
【特許文献1】
特公平4−28583号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のようにウォーム及び伝動筒体を支持する深溝型玉軸受の内輪は前記ウォーム又は伝動筒体と一体に回転するため、この深溝型玉軸受に発生する回転トルクが前記操舵力に影響を及ぼすことになる。ところが、電動パワーステアリング装置において前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の51.0%とし、外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0%としたものが標準品になっており、この標準品は内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積が比較的多くなっているため、アンギュラ軸受に比べて外輪に対する内輪の回転抵抗が大であり、深溝型玉軸受に発生する回転トルクが大きくなり、操舵フィーリングに影響を及ぼすことになる。
【0009】
玉軸受による操舵フィーリングの影響を少なくするには深溝型玉軸受に代えてアンギュラ軸受を用いるとよいが、このアンギュラ軸受は深溝型玉軸受よりも価格が高く、しかも、深溝型玉軸受と異なる形状であり、深溝型玉軸受を支持している既存のハウジングを用いることができないため、コストを上げることなく玉軸受による操舵フィーリングの影響を少なくすることが要望されていた。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受による操舵フィーリングの影響を特別の機構を付加することなく少なくすることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、電動モータの回転力を深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材から減速部を介して舵取手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%としてあることを特徴とする。
【0012】
第1発明にあっては、電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受の内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%とし、内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積を比較的少なくしてあるため、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。また、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
尚、内輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の58.0%よりも大きい場合、及び外輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の60.0%よりも大きい場合、深溝型玉軸受に発生する回転トルクをさらに低減することができるが、軌道溝での面圧が高くなり過ぎることになり、深溝型玉軸受の要求寿命が短くなり、好ましくない。
【0013】
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、その軸長方向への移動が可能な転舵軸を有する舵取手段と、電動モータの出力部材に連動連結され、深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材と、該回転部材の回転力を軸長方向への移動力に変換して前記転舵軸に伝える動力変換機構とを備え、前記電動モータの回転によって操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%としてあることを特徴とする。
【0014】
第2発明にあっては、電動モータの回転力を動力変換機構に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受の内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%とし、内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積を比較的少なくしてあるため、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを小さくすることができ、操舵フィーリングを良好にできる。また、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
尚、内輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の58.0%よりも大きい場合、及び外輪の軌道溝の曲率半径が玉の直径の60.0%よりも大きい場合、深溝型玉軸受に発生する回転トルクをさらに低減することができるが、軌道溝での面圧が高くなり過ぎることになり、深溝型玉軸受の要求寿命が短くなり、好ましくない。
【0015】
第3発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0〜54.5%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の54.5〜56.0%としてあることを特徴とする。
【0016】
第3発明にあっては、回転部材を支持する深溝型玉軸受の内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0〜54.5%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の54.5〜56.0%とし、内輪及び外輪の軌道溝と玉とのアキシアル方向の接触面積を比較的少なくしてあるため、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを小さくすることができ、操舵フィーリングを良好にできるとともに、深溝型玉軸受の要求寿命を比較的長くすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す一部縦断正面図である。
【0018】
図1に示した電動パワーステアリング装置は、一端部が図示しないユニバーサルジョイント及び操舵軸を介して操舵輪(不図示)に繋がり、他端部にピニオン1aを有する伝動軸1と、ピニオン1aに噛合するラック歯21及び該ラック歯21とその軸長方向へ離隔した位置に螺旋溝22を有し、軸長方向への移動を可能とした転舵軸2と、該転舵軸2を移動自在に収容支持する略円筒形のハウジング3と、該ハウジング3内に転舵軸2と同軸的に配置され、操舵輪の操舵に伴い駆動されて操舵補助するブラシレス形の電動モータ4と、ハウジング3内に転舵軸2と同軸的に配置され、電動モータ4のロータ41に連動連結され、深溝型玉軸受5により回転自在に支持された伝動筒体6と、該伝動筒体6の回転力を転舵軸2の軸長方向への移動力に変換して転舵軸2に伝える減速機構を兼ねた動力変換機構7とを備えている。尚、操舵軸、ユニバーサルジョイント、伝動軸1及び転舵軸2が舵取手段を構成している。
【0019】
電動モータ4は転舵軸2の周りであり、ハウジング3内に固定される円筒状のステータ42と、該ステータ42の内周面及び転舵軸2の外周面間に回転可能に支持されており、その外周面に複数個の永久磁石43が周方向に離隔して設けられている円筒状のロータ41とを備えている。このロータ41は、その両端部がステータ42よりも軸長方向外方へ突出しており、この両端部が玉軸受8,9を介して前記ハウジング3内に回転自在に支持されている。
【0020】
伝動筒体6は一端部がロータ41の一端部に内嵌固定されてロータ41と一体に回転するようにしてあり、他端部は深溝型玉軸受5により回転自在に支持されており、内側には螺旋溝22に対応する螺旋溝61が設けられている。
【0021】
動力変換機構7は螺旋溝22,61と、螺旋溝22,61間に介装された複数のボール71と、該ボール71を伝動筒体6の両端部間で循環させるための循環部材72とを備えたボールねじ機構からなり、伝動筒体6の回転を減速し、伝動筒体6の回転力を転舵軸2の軸長方向への移動力に変換して転舵軸2に伝え、該転舵軸2を軸長方向へ移動させるようにしてある。尚、螺旋溝22,61及びボール71が減速部を構成している。
【0022】
図2は深溝型玉軸受の一部を拡大した断面図である。
深溝型玉軸受5は、軌道溝51aを有する内輪51と、軌道溝52aを有する外輪52と、内輪51及び外輪52の軌道溝51a.52a間に配置された複数の玉53と、玉53を等間隔に保持する保持器54と、シール部材55,55とを備えており、内輪51が伝動筒体6に外嵌固定され、外輪52がハウジング3の内側に内嵌固定されている。内輪51の軌道溝51aの曲率半径R1は玉53の直径dの52.5〜58.0%、好ましくは53.0〜54.5%としてあり、外輪52の軌道溝52aの曲率半径R2は玉53の直径dの53.5〜60.0%、好ましくは54.5〜56.0%としてある。
【0023】
このように軌道溝51a,52aの曲率半径R1,R2を前記した値とすることにより、内輪51の軌道溝51aの曲率半径R1を玉53の直径dの51.0%とし、外輪52の軌道溝52aの曲率半径R2を玉53の直径dの53.0%とした標準品の深溝型玉軸受に比べて内輪51及び外輪52の軌道溝51a,52aと玉53とのアキシアル方向の接触面積を少なくしてある。
【0024】
以上のように構成された電動パワーステアリング装置は、操舵輪の操舵による操舵力と電動モータ4が発生する操舵補助力とを加算した回転力により転舵軸2を軸長方向へ移動させることになり、また、操舵時の状況により操舵補助力が不足するとき、前記操舵力が転舵軸2から動力変換機構7及び伝動筒体6に伝わり、動力変換機構7による減速比の倍率の回転トルクが伝動筒体6に加わることになる。この場合、伝動筒体6を支持する深溝型玉軸受5は内輪51の軌道溝51aの曲率半径R1を玉53の直径dの52.5〜58.0%とし、外輪52の軌道溝52aの曲率半径R2を玉53の直径dの53.5〜60.0%とすることにより、従来の前記した標準品の深溝型玉軸受に比べて内輪51及び外輪52の軌道溝51a,52aと玉53とのアキシアル方向の接触面積を少なくしてあるため、前記した標準品の深溝型玉軸受に比べて外輪52に対する内輪51の回転抵抗を低減することができ、深溝型玉軸受5に発生する回転トルクをアンギュラ軸受を用いた場合と同程度に低減することができ、操舵フィーリングを良好にできる。しかも、深溝型玉軸受5は特別の機構を付加することなく構成してあり、深溝型玉軸受5を支持している既存のハウジングに組み込むことができるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0025】
図3は標準品の深溝型玉軸受、第1及び第2のアンギュラ軸受、本発明が用いる第1及び第2の深溝型玉軸受のアキシアル荷重と回転トルクとの関係を測定した結果を示す説明図である。尚、図3において、深溝型玉軸受(+2%)は曲率半径R1,R2を標準品の深溝型玉軸受の曲率半径R1,R2に比べて2%大きくした第1の深溝型玉軸受であり、深溝型玉軸受(+3%)は曲率半径R1,R2を標準品の深溝型玉軸受の曲率半径R1,R2に比べて3%大きくした第2の深溝型玉軸受であり、アンギュラ軸受(α15°)は玉の接触角を15°とした第1のアンギュラ軸受であり、アンギュラ軸受(α30°)は玉の接触角を30°とした第2のアンギュラ軸受である。
【0026】
この図3に示されているように標準品の深溝型玉軸受に発生する回転トルクは5種類のうちで最も大きく、第2のアンギュラ軸受に発生する回転トルクは5種類のうちで最も小さいのであるが、本発明が用いる第1及び第2の深溝型玉軸受に発生する回転トルクは標準品の深溝型玉軸受及び第1のアンギュラ軸受に発生する回転トルクよりも小さくすることができた。
【0027】
実施の形態2
図4は実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
この実施の形態2の電動パワーステアリング装置は、電動モータ4を転舵軸2と同軸的にハウジング3内に配置する代わりに、電動モータ4を転舵軸2の中心軸線と交差するようにハウジング3の外部に配置し、該電動モータ4の出力軸44に連動連結された駆動歯車としての第1傘歯車10と、該第1傘歯車10に噛合する従動歯車としての第2傘歯車11とを備えており、第2傘歯車11を伝動筒体6と一体に設けたものであり、この伝動筒体6を深溝型玉軸受5が回転自在に支持している。
【0028】
実施の形態2にあっては、電動モータ4の回転力が出力軸44から第1傘歯車10及び第2傘歯車11を経て伝動筒体6に伝動され、該伝動筒体6が回転する。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0029】
実施の形態3
図5は実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図、図6は実施の形態3の全体の構成を示す断面図である。
この実施の形態3の電動パワーステアリング装置は、転舵軸2の途中に電動モータ4を配置する代わりに、操舵軸12の途中に減速機構13を介して電動モータ4を配置したものである。
【0030】
操舵軸12は一端部が舵取りのための操舵輪14に繋がる第1軸体12aと、該第1軸体12aの他端部に連結され、操舵輪14に加わる操舵トルクの作用によって捩れるトーションバー12bと、該トーションバー12bの他端部に連結され、減速機構13に繋がる第2軸体12cとを備えており、該第2軸体12cがユニバーサルジョイントを介して例えばラックピニオン式の舵取機構(不図示)に繋がる。尚、操舵軸12、ユニバーサルジョイント、舵取機構が舵取手段を構成している。
【0031】
減速機構13は電動モータ4の出力軸44に連動連結された小歯車としてのウォーム13aと、該ウォーム13aに噛合する大歯車としてのウォームホイール13bとを備えており、該ウォームホイール13bが第2軸体12cの途中に外嵌固定されている。ウォーム13aは出力軸44に連動連結された軸部13c及び該軸部13cの外周部に歯切りされた歯部13dを有しており、この歯部13d及びウォームホイール13bが減速部を構成し、軸部13cが回転部材を構成しており、該軸部13cの両端部を深溝型玉軸受5,5が回転自在に支持している。尚、ウォーム13a及びウォームホイール13bを有する減速機構の減速比は約15:1である。
電動モータ4は操舵軸12を回転自在に支持するハウジング15に取着されている。
【0032】
実施の形態3にあっては、電動モータ4の回転力が出力軸44からウォーム13a及びウォームホイール13bを介して第2軸体12cに伝動され、該第2軸体12cが回転する。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0033】
尚、以上説明した深溝型玉軸受5の軌道溝51a,52aは一つの曲率半径R1,R2からなる曲面である他、長さが異なる複数の曲率半径からなる複合曲面としてもよい。
また、以上説明した実施の形態の深溝型玉軸受5は、内輪51及び外輪52の軌道溝51a,52aの曲率半径R1,R2を前記した値としたが、その他、内輪51又は外輪52の軌道溝の曲率半径だけを前記した値としてもよい。この場合、軌道溝の曲率半径を前記した値にしない内輪51又は外輪52の曲率半径は、例えば前記した標準品の値とする。
また、以上説明した実施の形態1、2では螺旋溝22,61及びボール71が減速部を構成しており、実施の形態3では歯部13d及びウォームホイール13bが減速部を構成しているが、この減速部の構成は特に制限されるものでない。
【0034】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明によれば、電動モータの回転力を減速部に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受に発生する回転トルクを低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。しかも、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0035】
第2発明によれば、電動モータの回転力を動力変換機構に伝えるための回転部材を支持する深溝型玉軸受に発生する回転トルクを低減でき、操舵フィーリングを良好にできる。しかも、特別の機構を付加することなく構成してあるため、アンギュラ軸受を用いる場合に比べてコストを低減できる。
【0036】
第3発明によれば、深溝型玉軸受に発生する回転トルクを小さくすることができ、操舵フィーリングを良好にできるとともに、深溝型玉軸受の要求寿命を比較的長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態1の構成を示す一部縦断正面図である。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の深溝型玉軸受の一部を拡大した断面図である。
【図3】標準品の深溝型玉軸受、第1及び第2のアンギュラ軸受、本発明が用いる第1及び第2の深溝型玉軸受のアキシアル荷重と回転トルクとの関係を測定した結果を示す説明図である。
【図4】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態2の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図5】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態3の構成を示す要部の拡大断面図である。
【図6】本発明に係る電動パワーステアリング装置の実施の形態3の全体の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2 転舵軸(舵取手段)
4 電動モータ
41 ロータ(出力部材)
44 出力軸(出力部材)
5 深溝型玉軸受
51 内輪
51a 軌道溝
52 外輪
52a 軌道溝
53 玉
R1,R2 曲率半径
d 玉の直径
6 伝動筒体(回転部材)
7 動力変換機構
12 操舵軸(舵取手段)
22,61 螺旋溝(減速部)
71 ボール(減速部)
13c 歯部(減速部)
13b ウォームホイール(減速部)
Claims (3)
- 電動モータの回転力を深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材から減速部を介して舵取手段に伝えて操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%としてあることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- その軸長方向への移動が可能な転舵軸を有する舵取手段と、電動モータの出力部材に連動連結され、深溝型玉軸受により回転自在に支持された回転部材と、該回転部材の回転力を軸長方向への移動力に変換して前記転舵軸に伝える動力変換機構とを備え、前記電動モータの回転によって操舵補助するようにした電動パワーステアリング装置において、前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の52.5〜58.0%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.5〜60.0%としてあることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
- 前記深溝型玉軸受は内輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の53.0〜54.5%及び/又は外輪の軌道溝の曲率半径を玉の直径の54.5〜56.0%としてある請求項1又は2記載の電動パワーステアリング装置。
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- 2003-06-02 JP JP2003157097A patent/JP2004360732A/ja active Pending
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081202 |