JP2004352084A - 自動車のドア構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アウタパネルとインナパネルとを接合して形成され、周囲がサッシュ3,4で囲繞された窓を有する自動車のドア構造であって、上記アウタパネルは、ドア本体部構成部材11と、サッシュ3,4の形状に沿ったサッシュ構成部材12,13とが接合された後にプレス成形され、上記各構成部材11,12,13の接合部が外装部材W1,W2,W4により覆われる位置に配設され、上記外装部材はアウタパネルに固定される固定部を有し、上記アウタパネルにはプレス成形時に同時成形されて外装部材の固定部が取付けられる取付け部を設けたことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アウタパネルとインナパネルとを接合して形成され、周囲がサッシュで囲繞された窓を有するような自動車のドア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に上述例の自動車のドア構造におけるアウタパネルは、滑らかな曲線を有する意匠性が要求されると共に、耐衝撃性が要求される。
このため、従来においてはサッシュを備えたアウタパネルの全体が剛性および引張り強度が高い高張力鋼板などの金属板にてプレス加工されていたので、軽量化およびコストダウンに支障をきたす問題点があった。
【0003】
一方、ドア本体とは別体のサッシュを板厚が異なる複数の枠構成部材を互いに接合した後にプレス成形した自動車用サッシュドアが既に発明されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−72375号公報。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この従来公報に開示されたものは、複数の構成部材を接合してサッシュとドア本体とをプレス加工するものではなく、サッシュのドアパネル取付部分を補強するために、あくまでもドア本体とは別体のサッシュのみを、複数の枠構成部材を接合してプレス加工するものである。
【0006】
しかも、上記従来公報に開示されたものは、ドアインナパネル上部のサッシュの構成であって、仮に、この構成をドアアウタパネル上部のサッシュに適用すると、複数の枠構成部材の接合部が車体外表面に露呈して、見栄えが悪化する問題点があった。
【0007】
そこで、この発明は、アウタパネルを、ドア本体部構成部材とサッシュ構成部材とを接合した後にプレス成形して構成し、かつ各構成部材の接合部を外装部材により覆われる位置に配設することで、アウタパネルの材質を部分的に変更することができ、材料費(コスト)や加工時の歩留まりを改善でき、コストダウンを図ることができると共に、軽量化を図ることができ、さらに接合部を既存の外装部材で隠して、見栄えを確保することができる自動車のドア構造の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による自動車のドア構造は、アウタパネルとインナパネルとを接合して形成され、周囲がサッシュで囲繞された窓を有する自動車のドア構造であって、上記アウタパネルは、ドア本体部構成部材と、サッシュの形状に沿ったサッシュ構成部材とが接合された後にプレス成形され、上記各構成部材の接合部が外装部材により覆われる位置に配設され、上記外装部材はアウタパネルに固定される固定部を有し、上記アウタパネルにはプレス成形時に同時成形されて外装部材の固定部が取付けられる取付け部を設けたものである。
【0009】
上記構成によれば、サッシュを備えたアウタパネルが、ドア本体部構成部材とサッシュ構成部材とを接合した後にプレス成形されて構成(いわゆるテーラードブランク工法にて構成)され、しかも各構成部材の接合部は外装部材で覆われる位置に配設されているので、アウタパネルの材質を部分的に変更することができて、材料費や加工時の歩留まりを改善でき、コストダウンを図ることができると共に、軽量化を図ることができ、さらに、接合部を既存の外装部材で隠すので、見栄えを確保することができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記サッシュ構成部材は互いに接合されるサッシュ上辺部構成部材と、サッシュ縦辺部構成部材とから成り、上記サッシュ縦辺部構成部材におけるドア本体部構成部材およびサッシュ上辺部構成部材との接合部がサッシュ縦辺を覆うガーニッシュで隠される位置に設けられたものである。
【0011】
上記構成によれば、サッシュ縦辺部構成部材とドア本体部構成部材との接合部、並びにサッシュ縦辺部構成部材とサッシュ上辺部構成部材との接合部を、既存の外装部材としてのガーニッシュで覆い隠すので、見栄えを確保することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記アウタパネルは、ガーニッシュを固定する第1取付け部と、ガーニッシュの長手方向の移動を許容するよう支持する第2取付け部とを備えたものである。
【0013】
上記構成によれば、第1取付け部でガーニッシュの正規の取付け状態を確保しつつ、第2取付け部で、ガーニッシュとサッシュとの材質の相違に起因する熱膨張の差を吸収することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記アウタパネルが外装部材で覆われる部位は、他の部位に対して外装部材の厚みと対応して凹設された凹設部を備えたものである。
上記構成によれば、上記凹設部に外装部材を取付けることができるので、外装部材の車外側への突出を抑制して、見栄えの向上を図ることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記アウタパネルが外装部材で覆われた時、外装部材の外表面とアウタパネルの外表面とが略面一状となるように上記凹設部の深さが設定されたものである。
上記構成によれば、外装部材の外表面とアウタパネルの外表面とが略面一状となるので、見栄えのさらなる向上を図ることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記ドア本体部構成部材およびサッシュ上辺部構成部材は、フロントドアとリヤドアとを前後方向に隣接させて型取りする構成部材であり、サッシュ上辺部構成部材はドア本体部構成部材に対して離反して略平行に配置され、サッシュ上辺部構成部材のフロントドア前部に対応する部分が下方に傾斜してミラーベースで覆われる位置にてドア本体部構成部材と接合され、隣接するフロントドア後部とリヤドア前部の両サッシュ縦辺部を構成する第1サッシュ縦辺部構成部材と、リヤドアのサッシュ縦辺部を構成する第2サッシュ縦辺部構成部材とがそれぞれドア本体部構成部材およびサッシュ上辺部構成部材に接合されたものである。
【0017】
上記構成によれば、サッシュを有するフロントドアのアウタパネルと、サッシュを有するリヤドアのアウタパネルとをテーラードブランク工法により同時に形成するので、板材の無駄がなくなり、また、それぞれの部位に対応した強度が得られると共に、必要部分にのみ板材を用いるので、コストダウンを図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記ドア本体部構成部材のサッシュ構成部材との接合部が直線状に形成されると共に、サッシュ上辺部構成部材とサッシュ縦辺部構成部材との接合部が、ドア本体部構成部材の接合部と平行に形成されたものである。
【0019】
上記構成によれば、接合部を直線状または平行に形成したので、各板材の切り出し時に切れ端が少なくなり、また溶接工程におけるレーザー溶接等の溶接の治具の位置決めも容易となり、生産性の向上を図ることができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記ドア本体部構成部材はサッシュ構成部材に対して板厚が厚く設定されたものである。
上記構成によれば、板厚が厚い構成部材によりドア本体の剛性を確保することができると共に、板厚が薄いサッシュ構成部材にて軽量化を図ることができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、上記ドア本体部構成部材はメッキが施された金属板に設定され、サッシュ構成部材はメッキが施されていない非メッキの金属板に設定されたものである。
上記構成によれば、ドア本体の耐腐食性を確保しつつ、サッシュに非メッキ材を用いることで、コストダウンを図ることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記ドア本体部構成部材はサッシュ構成部材に対して引張り強度が強い金属板に設定されたものである。
上記構成の引張り強度が強い金属板としては、通常の鋼板(引張り試験での降伏点が約200MPのもの)に対して引張り強度が強い高張力鋼板(引張り試験での降伏点が約250MPのもの)を使用してもよい。ここに降伏点とは引張ることにより試料にすべりによる塑性変形が始まる点である。
【0023】
上記構成によれば、引張り強度が強い金属板にて形成されたドア本体の耐衝撃性および意匠性を確保しつつ、サッシュには安価な材料を用いることができるので、コストダウンを図ることができる。
【0024】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は自動車のドア構造を示し、このドア構造はアウタパネルとインナパネルとを接合して形成され、周囲がサッシュで囲繞された窓を有するものであるが、まず、図1〜図3を参照して、図4、図5に示すアウタパネル10を構成する構成部材、その接合構造(接合部の位置)およびプレス成形の態様について説明する。
【0025】
図3に仮想線で示すフロントドア1のドア本体2、サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4と、リヤドア5のドア本体6、サッシュ上辺部7、前側のサッシュ縦辺部8、後側のサッシュ縦辺部9を形成するために、まず、図1に示すようにドア本体部構成部材11と、サッシュ上辺部構成部材12と、第1サッシュ縦辺部構成部材13と、第2サッシュ縦辺部構成部材14とを設ける。
【0026】
上述のサッシュ上辺部構成部材12と、第1サッシュ縦辺部構成部材13と、第2サッシュ縦辺部構成部材14との三者で、フロントドア1およびリヤドア5のサッシュ形状に沿ったサッシュ構成部材15を構成するものである。
【0027】
また上述のドア本体部構成部材11およびサッシュ上辺部構成部材12は、図3で示すようにフロントドア1とリヤドア5とを前後方向に隣接させて型取りする構成部材である。
【0028】
ここで、上述のドア本体部構成部材11はサッシュ構成部材15に対して板厚が厚く設定されている。すなわち、ドア本体部構成部材11の板厚をt11、サッシュ構成部材15の板厚をt15とする時、t11>t15の関係式が成立するように、それぞれの板厚t11,t15が設定されたものである。
【0029】
また上述のドア本体部構成部材11は耐腐食性を確保する目的でZnメッキなどのメッキが施された金属板に設定され、サッシュ構成部材15はコストダウンを図ることを目的としてメッキが施されていない非メッキの金属板に設定されている。
【0030】
さらに上述のドア本体部構成部材11はサッシュ構成部材15に対して引張り強度が強い金属板に設定されている。
この実施例では、ドア本体部構成部材11として引張り試験での降伏点が約250MPの高張力鋼板を用い、サッシュ構成部材15として引張り試験での降伏点が約200MPの通常の鋼板を用いている。このサッシュ構成部材15に通常の鋼板を用いると後述するプレス加工およびプレス加工時の穴あけ加工が容易となることは勿論である。
【0031】
上述のドア本体部構成部材11は予め方形状に切り出されており、またサッシュ上辺部構成部材12はフロントドア1の前部に対応する部分が下方に傾斜してミラーベース16(図4参照)で覆われる位置まで延出されている。
【0032】
上述の第1サッシュ縦辺部構成部材13は予め略平行四辺形状に切り出されており、図3に示すように、この第1サッシュ縦辺部構成部材13は隣接するフロントドア1後部とリヤドア5前部の両サッシュ縦辺部4,8を構成するものである。
【0033】
また第2サッシュ縦辺部構成部材14は予め略平行四辺形状に切り出されており、図3に示すように、リヤドア5の後側のサッシュ縦辺部9を構成するものである。
【0034】
図1に示す複数の各構成部材11,12,13,14を図2に示すように突き合わせた後に、レーザー溶接にて互いに接合して接合部W1,W2,W3,W4,W5をそれぞれ形成する。
【0035】
つまり、図2に示すようにサッシュ上辺部構成部材12をドア本体部構成部材11に対して所定距離離反して略平行に配置した後に、このドア本体部構成部材11の一辺前部に、サッシュ上辺部構成部材12の下方へ傾斜してミラーベース16(図4参照)で覆われる部位を接合して接合部W1を形成し、
ドア本体部構成部材11の一辺中間部と、サッシュ上辺部構成部材12の中間部との間に第1サッシュ縦辺部構成部材13を接合して接合部W2,W4を形成し、
ドア本体部構成部材11の一辺後部と、サッシュ上辺部構成部材12の後部との間に第2サッシュ縦辺部構成部材14を接合して接合部W3,W5を形成する。
【0036】
ここで、上述の各接合部W1〜W5は外装部材によって覆われる位置に配設されている。
すなわち、接合部W1は図4に示すミラーベース16で覆われる位置に配設され、接合部W2,W4は図4に示すフロントドア1側のガーニッシュ17およびリヤドア5側の図示しないガーニッシュで覆われる位置に配設され、接合部W3,W5もリヤドア5側の図示しないガーニッシュで覆われる位置に配設されている。
【0037】
しかも、図2に示すように、ドア本体部構成部材11のサッシュ構成部材15との接合部W1,W2,W3が一直線上に並ぶように、これら各接合部W1,W2,W3が直線状に形成されている。
【0038】
またサッシュ上辺部構成部材12とサッシュ縦辺部構成部材13,14との接合部W4,W5が、そのドア本体部構成部材11との接合部W2,W3に対して平行(または略平行)となるように形成されている。
【0039】
図2に示すように各構成部材11〜14が接合された後に、図3に仮想線で示すように、フロントドア1のドア本体2、サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4、並びにリヤドア5のドア本体6、サッシュ上辺部7、前後の各サッシュ縦辺部8,9が同時に成形されるように、予め接合された各構成部材11〜14を同時にプレス成形および打ち抜いて、図4に示すアウタパネル10を形成する。なお、図4以降においては説明の便宜上、リヤドア5の図示を省略している。
【0040】
図4に示すように上述のプレス成形時にはサッシュ上辺部3のミラーベース取付け部位3aに、ミラーベース16を位置決め固定する係止孔18(取付け孔)と、ミラーベース16の移動を許容するように支持する遊嵌孔19(取付け孔)とが同時成形される。
【0041】
また上述のプレス成形時には、ガーニッシュ17で覆われるサッシュ縦辺部4に、凹設部4aが同時に成形されると共に、この凹設部4aにガーニッシュ17を位置決め固定する第1取付け部としての丸孔20(取付け孔)と、ガーニッシュ17の長手方向の移動を許容するように支持する第2取付け部としての1つ以上例えば2つの角孔21,22(取付け孔)とが同時成形される。
さらに上述のプレス成形時には、ドア本体2の所定部にドアアウタハンドル取付け部23が同時成形される。
【0042】
図5は図4で示したアウタパネル10のミラーベース取付け部位3aにミラーベース16を取付けると共に、サッシュ縦辺部4の凹設部4aにガーニッシュ17を取付けた状態の側面図であって、これらの外装部材(ミラーベース16、ガーニッシュ17参照)により上述の各接合部W1,W2,4が完全に覆い隠されている。
【0043】
図6は図5のA−A線に沿うミラーベース16配設部分の断面図である。但し、アウタパネル10に対して別途形成されたインナパネル24を接合した状態で図示している。
【0044】
ミラーベース16はその背面にアウタパネル10に固定される固定部としてのボス部25と係止フック部26(係止部)とを有し、上述のボス部25は係止孔18に挿入されるスクリュ27でインナパネル24側から固定され、係止フック部26は遊嵌孔19に遊嵌係止され、鋼板製のサッシュ上辺部3と、合成樹脂製のミラーベース16との熱膨張の差を、この遊嵌孔19にて吸収し、ミラーベース16の移動を許容する。
なおドア本体2を構成するドア本体部構成部材11はZnメッキ層などのメッキ層11pを有するものである。
【0045】
図7は図5のB−B線に沿うガーニッシュ17配設部分の断面図である。但し、図6と同様にアウタパネル10に対して別途形成されたインナパネル24を接合した状態で図示している。
【0046】
ガーニッシュ17はその背面にアウタパネル10に固定される固定部としてのボス部28と1つ以上たとえば2つの係止フック部29,30(係止部)とを有し、上述のボス部28は第1取付け部としての位置決め用の丸孔20(取付け孔)に挿入されるスクリュ31でインナパネル24側から固定され、係止フック部29,30(係止部)は第2取付け部としての角孔21,22(取付け孔)に遊嵌係止され、鋼板製のサッシュ縦辺部4と、合成樹脂製のガーニッシュ17との熱膨張の差を、遊嵌構造の角孔21,22にて吸収し、ガーニッシュ17の長手方向の移動を許容する。
【0047】
図7に示すように、アウタパネル10がガーニッシュ17で覆われる部位(サッシュ縦辺部4参照)は、他の部位(サッシュ上辺部3参照)に対してガーニッシュ17の厚みと対応して凹設されて、上述の凹設部4aが形成されている。そして、このアウタパネル10の凹設部4aにガーニッシュ17を取付けた時、このガーニッシュ17の外表面とアウタパネル10の外表面(サッシュ上辺部3の外表面参照)とが略面一状または面一状となるように凹設部4aの凹設深さDが設定されている。
【0048】
図7で示した熱膨張の差を吸収する構造に代えて、図8の構造を採用してもよい。すなわち、ガーニッシュ17の背面には固定部としての複数のボス部28,28を形成し、図示上側のボス部28は第1取付け部としての位置決め用の丸孔20(取付け孔)に挿入されるスクリュ31でインナパネル24側から固定し、図示下側のボス部28は第2取付け部としてのサッシュ縦辺部4の遊嵌孔32(取付け孔)およびインナパネル24の遊嵌孔33(取付け孔)に挿入されるスクリュ34でインナパネル24側から固定するものである。
【0049】
このように構成するとガーニッシュ17の熱膨張時には、該ガーニッシュ17が下側のスクリュ34をともなって、その長手方向に移動許容される。
【0050】
なお、図4、図5において35はサッシュ(サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4参照)で囲繞された窓である。また図6〜図8において矢印OUTは車外方向を示し、矢印INは車内方向を示すものである。
【0051】
このように上記実施例の自動車のドア構造は、アウタパネル10とインナパネル24とを接合して形成され、周囲がサッシュ(サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4参照)で囲繞された窓35を有する自動車のドア構造であって、上記アウタパネル10は、ドア本体部構成部材11と、サッシュ(サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4参照)の形状に沿ったサッシュ構成部材15とが接合された後にプレス成形され、上記各構成部材11,15の接合部W1,W2,W4が外装部材(ミラーベース16,ガーニッシュ17参照)により覆われる位置に配設され、上記外装部材はアウタパネル10に固定される固定部(各要素25,26,28,29,30参照)を有し、上記アウタパネル10にはプレス成形時に同時成形されて外装部材(ミラーベース16,ガーニッシュ17参照)の固定部が取付けられる取付け部(各要素18,19,20,21,22,32参照)を設けたものである。
【0052】
この構成によれば、サッシュ(サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4参照)を備えたアウタパネル10が、ドア本体部構成部材11とサッシュ構成部材15とを接合した後にプレス成形されて構成(いわゆるテーラードブランク工法にて構成)され、しかも各構成部材11,15の接合部W1,W2,W4は外装部材(ミラーベース16,ガーニッシュ17参照)で覆われる位置に配設されているので、アウタパネル10の材質や板厚を部分的に変更することができて、材料費や加工時の歩留まりを改善でき、コストダウンを図ることができると共に、軽量化を図ることができ、さらに、接合部W1,W2,W4を既存の外装部材(ミラーベース16,ガーニッシュ17参照)で隠すので、見栄えを確保することができる。
【0053】
また、上記サッシュ構成部材15は互いに接合されるサッシュ上辺部構成部材12と、サッシュ縦辺部構成部材13とから成り、上記サッシュ縦辺部構成部材13におけるドア本体部構成部材11およびサッシュ上辺部構成部材12との接合部W2,W4がサッシュ縦辺部4を覆うガーニッシュ17で隠される位置に設けられたものである。
【0054】
この構成によれば、サッシュ縦辺部構成部材13とドア本体部構成部材11との接合部W2、並びにサッシュ縦辺部構成部材13とサッシュ上辺部構成部材12との接合部W4を、既存の外装部材としてのガーニッシュ17で覆い隠すので、見栄えを確保することができる。
【0055】
さらに、上記アウタパネル10は、ガーニッシュ17を固定する第1取付け部(丸孔20参照)と、ガーニッシュ17の長手方向の移動を許容するよう支持する第2取付け部(角孔21,22、遊嵌孔32参照)とを備えたものである。
【0056】
この構成によれば、第1取付け部(丸孔20参照)でガーニッシュ17の正規の取付け状態を確保しつつ、第2取付け部(角孔21,22、遊嵌孔32参照)で、ガーニッシュ17とサッシュとの材質の相違に起因する熱膨張の差を吸収することができる。
【0057】
加えて、上記アウタパネル10が外装部材(ガーニッシュ17参照)で覆われる部位は、他の部位に対して外装部材(ガーニッシュ17参照)の厚みと対応して凹設された凹設部4aを備えたものである。
この構成によれば、上記凹設部4aに外装部材(ガーニッシュ17参照)を取付けることができるので、外装部材(ガーニッシュ17参照)の車外側への突出を抑制して、見栄えの向上を図ることができる。
【0058】
また、上記アウタパネル10が外装部材(ガーニッシュ17参照)で覆われた時、外装部材(ガーニッシュ17参照)の外表面とアウタパネル10の外表面とが略面一状となるように上記凹設部4aの深さDが設定されたものである。
この構成によれば、外装部材(ガーニッシュ17参照)の外表面とアウタパネル10の外表面とが略面一状となるので、見栄えのさらなる向上を図ることができる。
【0059】
しかも、上記ドア本体部構成部材11およびサッシュ上辺部構成部材12は、図3で示したように、フロントドア1とリヤドア5とを前後方向に隣接させて型取りする構成部材であり、サッシュ上辺部構成部材12はドア本体部構成部材11に対して離反して略平行に配置され、サッシュ上辺部構成部材12のフロントドア1前部に対応する部分が下方に傾斜してミラーベース16で覆われる位置にてドア本体部構成部材11と接合され、隣接するフロントドア1後部とリヤドア5前部の両サッシュ縦辺部4,8を構成する第1サッシュ縦辺部構成部材13と、リヤドア5のサッシュ縦辺部9を構成する第2サッシュ縦辺部構成部材14とがそれぞれドア本体部構成部材11およびサッシュ上辺部構成部材12に接合されたものである。
【0060】
この構成によれば、サッシュを有するフロントドア1のアウタパネル10と、サッシュを有するリヤドア5のアウタパネルとをテーラードブランク工法により同時に形成するので、板材の無駄がなくなり、また、それぞれの部位に対応した強度が得られると共に、必要部分にのみ板材を用いるので、コストダウンを図ることができる。
【0061】
また、上記ドア本体部構成部材11のサッシュ構成部材15との接合部W1,W2,W3が直線状に形成されると共に、サッシュ上辺部構成部材12とサッシュ縦辺部構成部材13,14との接合部W4,W5が、ドア本体部構成部材11の接合部W2,W3と平行に形成されたものである。
【0062】
この構成によれば、接合部W1〜W5を直線状または平行に形成したので、各板材の切り出し時に切れ端が少なくなり、また溶接工程におけるレーザー溶接等の溶接の治具の位置決めも容易となり、生産性の向上を図ることができる。
【0063】
さらに、上記ドア本体部構成部材11はサッシュ構成部材15に対して板厚t11が厚く設定(t11>t15に設定)されたものである。
この構成によれば、板厚t11が厚い構成部材11によりドア本体2,6の剛性を確保することができると共に、板厚t15が薄いサッシュ構成部材15にて軽量化を図ることができる。
【0064】
加えて、上記ドア本体部構成部材11はメッキが施された金属板に設定され、サッシュ構成部材15はメッキが施されていない非メッキの金属板に設定されたものである。
この構成によれば、ドア本体2の耐腐食性を確保しつつ、サッシュ(サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4参照)に非メッキ材を用いることで、コストダウンを図ることができる。
【0065】
また、上記ドア本体部構成部材11はサッシュ構成部材15に対して引張り強度が強い金属板に設定されたものである。
上述の引張り強度が強い金属板としては、通常の鋼板(引張り試験での降伏点が約200MPのもの)に対して引張り強度が強い高張力鋼板(引張り試験での降伏点が約250MPのもの)を使用することができる。
【0066】
この構成によれば、引張り強度が強い金属板にて形成されたドア本体2の耐衝撃性および意匠性を確保しつつ、サッシュ(サッシュ上辺部3、サッシュ縦辺部4参照)には安価な材料を用いることができるので、コストダウンを図ることができる。
【0067】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のサッシュは、実施例のサッシュ上辺部3およびサッシュ縦辺部4に対応し、
以下同様に、
外装部材は、ミラーベース16、ガーニッシュ17に対応し、
外装部材側の固定部は、ボス部25,28、係止フック部26,29,30に対応し、
アウタパネル側の取付け部は、係止孔18、遊嵌孔19,32、丸孔20、角孔21,22に対応し、
第1取付け部は、丸孔20に対応し、
第2取付け部は、角孔21,22、遊嵌孔32に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0068】
【発明の効果】
この発明によれば、アウタパネルを、ドア本体部構成部材とサッシュ構成部材とを接合した後にプレス成形して構成し、かつ各構成部材の接合部を外装部材により覆われる位置に配設したので、アウタパネルの材質を部分的に変更することができ、材料費(コスト)や加工時の歩留まりを改善でき、コストダウンを図ることができると共に、軽量化を図ることができ、さらに接合部を既存の外装部材で隠して、見栄えを確保することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車のドア構造を構成する構成部材の分解図。
【図2】構成部材接合時の側面図。
【図3】プレス成形態様を示す側面図。
【図4】フロントドアと外装部材を示す分解図。
【図5】外装部材で接合部を覆った状態の側面図。
【図6】図5のA−A線矢視断面図。
【図7】図5のB−B線矢視断面図。
【図8】外装部材取付け構造の他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1…フロントドア
2…ドア本体
3…サッシュ上辺部
4,8,9…サッシュ縦辺部
4a…凹設部
5…リヤドア
10…アウタパネル
11…ドア本体部構成部材
12…サッシュ上辺部構成部材
13…第1サッシュ縦辺部構成部材
14…第2サッシュ縦辺部構成部材
15…サッシュ構成部材
16…ミラーベース(外装部材)
17…ガーニッシュ(外装部材)
18,19,20,21,22,32…取付け部
24…インナパネル
25,27,28,29,30…固定部
35…窓
W1,W2,W3,W4,W5…接合部
Claims (10)
- アウタパネルとインナパネルとを接合して形成され、周囲がサッシュで囲繞された窓を有する自動車のドア構造であって、
上記アウタパネルは、ドア本体部構成部材と、サッシュの形状に沿ったサッシュ構成部材とが接合された後にプレス成形され、
上記各構成部材の接合部が外装部材により覆われる位置に配設され、
上記外装部材はアウタパネルに固定される固定部を有し、
上記アウタパネルにはプレス成形時に同時成形されて外装部材の固定部が取付けられる取付け部を設けた
自動車のドア構造。 - 上記サッシュ構成部材は互いに接合されるサッシュ上辺部構成部材と、サッシュ縦辺部構成部材とから成り、
上記サッシュ縦辺部構成部材におけるドア本体部構成部材およびサッシュ上辺部構成部材との接合部がサッシュ縦辺を覆うガーニッシュで隠される位置に設けられた
請求項1記載の自動車のドア構造。 - 上記アウタパネルは、ガーニッシュを固定する第1取付け部と、
ガーニッシュの長手方向の移動を許容するよう支持する第2取付け部とを備えた請求項2記載の自動車のドア構造。 - 上記アウタパネルが外装部材で覆われる部位は、他の部位に対して外装部材の厚みと対応して凹設された凹設部を備えた
請求項1〜3の何れか1に記載の自動車のドア構造。 - 上記アウタパネルが外装部材で覆われた時、外装部材の外表面とアウタパネルの外表面とが略面一状となるように上記凹設部の深さが設定された
請求項4記載の自動車のドア構造。 - 上記ドア本体部構成部材およびサッシュ上辺部構成部材は、フロントドアとリヤドアとを前後方向に隣接させて型取りする構成部材であり、
サッシュ上辺部構成部材はドア本体部構成部材に対して離反して略平行に配置され、
サッシュ上辺部構成部材のフロントドア前部に対応する部分が下方に傾斜してミラーベースで覆われる位置にてドア本体部構成部材と接合され、
隣接するフロントドア後部とリヤドア前部の両サッシュ縦辺部を構成する第1サッシュ縦辺部構成部材と、リヤドアのサッシュ縦辺部を構成する第2サッシュ縦辺部構成部材とがそれぞれドア本体部構成部材およびサッシュ上辺部構成部材に接合された
請求項1記載の自動車のドア構造。 - 上記ドア本体部構成部材のサッシュ構成部材との接合部が直線状に形成されると共に、
サッシュ上辺部構成部材とサッシュ縦辺部構成部材との接合部が、ドア本体部構成部材の接合部と平行に形成された
請求項6記載の自動車のドア構造。 - 上記ドア本体部構成部材はサッシュ構成部材に対して板厚が厚く設定された
請求項1記載の自動車のドア構造。 - 上記ドア本体部構成部材はメッキが施された金属板に設定され、
サッシュ構成部材はメッキが施されていない非メッキの金属板に設定された
請求項1記載の自動車のドア構造。 - 上記ドア本体部構成部材はサッシュ構成部材に対して引張り強度が強い金属板に設定された
請求項1記載の自動車のドア構造。
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