JP2004347753A - 形状可変ミラー素子及び形状可変ミラー素子の製造方法並びに形状可変ミラーユニット並びに光ピックアップ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットを提供する。
【解決手段】形状可変ミラー素子は、反射ミラー膜と反射ミラー膜の形状を可変する圧電膜と圧電膜の両端に所定の電圧を印加する電極膜と、所望の形状に変化せしめる弾性板膜からなる積層膜で構成される。薄い基板と積層膜で構成されているために、簡単な構成で極めて薄い素子が可能となる。従って、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子を提供できる。
【選択図】 図1
【解決手段】形状可変ミラー素子は、反射ミラー膜と反射ミラー膜の形状を可変する圧電膜と圧電膜の両端に所定の電圧を印加する電極膜と、所望の形状に変化せしめる弾性板膜からなる積層膜で構成される。薄い基板と積層膜で構成されているために、簡単な構成で極めて薄い素子が可能となる。従って、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子を提供できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電膜に所定の電圧を印加して反射ミラー面の形状を可変する形状可変ミラー素子及び形状可変ミラー素子の製造方法並びに形状可変ミラーユニット並びに光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の形状可変ミラー素子としては、鏡面をケーブルで引張り、引張り量を変えることによって鏡面形状を変えることができるミラー素子(例えば、特許文献1参照。)や、弾性のある鏡面を裏面から押さえ、凹面、凸面、平面に変形可能なミラー素子(例えば、特許文献2参照。)などが開示されている。しかし、これらの形状可変ミラーは、いずれも、機械的変形機構によってミラー本体の形状を変形するものであり、構成が複雑であり、極めて大きいサイズの光学部品となっている。
【0003】
また、小さいサイズの形状可変ミラー素子としては、セラミックスの圧電材料の上面に、反射ミラー面および電極膜にはリード線が半田付けされたミラー素子(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。しかし、この形状可変ミラー素子は、圧電材料にバルク材料を使用しているために、圧電材料の厚みが非常に厚くなっている。その結果、形状を大きく可変するためには非常に高い印加電圧が必要となる。
【0004】
更なる微小サイズの形状可変ミラー素子としては、圧電膜を反射ミラー板に貼り付けたミラー素子(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。反射ミラー板には、例えばガラス反射鏡、反射膜、シリコンウェハー等を使用している。このミラー素子の場合も非常に高い印加電圧が必要であることが容易に推察される。すなわち、非常に薄いガラス反射鏡やシリコンウェハー等は研削や高精度の研磨が作製されるが、製造上のコストが大きくなり実現性が困難である。また、圧電膜と反射ミラー板を接着しただけの構成のミラー素子では機械的強度が弱く、それ自体で自立することができず、実用上に適さない。従って、反射鏡、反射膜、シリコンウェハー等を実用上、反射ミラーとして使用する場合は、ある程度の厚みを要する。
【0005】
微小サイズの形状可変ミラー素子の用途としては、一般に光ディスクを用いた情報記録媒体として、コンパクト・ディスク(CD)やデジタル・ビデオ・ディスク(DVD)などの光記録再生装置用の光ピックアップがある。DVDはCDに比べて記録密度が高いため、情報を読み書きする際に要求される条件が厳しい。例えば、光ピックアップの光軸とディスク面は垂直であることが理想であるが、実際には、ディスクは樹脂で作られているため、厳密に見ると相当な曲面となっている。従って、ディスクが回転すると、光ピックアップの光軸とディスク面は、常に垂直ではなくなる。また、光ディスクの記録層は樹脂層の上面に形成されている。そのため、ディスク面が対物レンズの光軸に対して垂直でなくなると、対物レンズを透過した光の光路が曲がり、光のスポット位置が正しい位置からずれて波面収差を生じる。そして、この収差が許容値を超えると、正しく記録再生できなくなる。
【0006】
波面収差を光学的に補正する手段としては、透明圧電素子単体の厚みを可変することより、波面収差を補正する波面補正板(例えば、特許文献5参照。)が、開示されている。しかし、この方法は必要変位を得るのに高電圧が必要となるので、光ピックアップなどに適用できないものである。他の波面収差を光学的に補正する手段としては、ミラー自体を積層型圧電素子で変形させ位相制御する方法(例えば、特許文献6参照。)が開示されているが、光ピックアップなどの小さい部品に使用するには配線が複雑になるという問題があり、組み付けコストも高くなる。また、配線の問題が解決できたとしても、積層型圧電素子をかなり小さくする必要があるため、技術的にもコスト的にも容易でない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−127067号公報
【特許文献2】
特開平7−311305号公報
【特許文献3】
特開平10―10459号公報
【特許文献4】
特開2001−34993号公報
【特許文献5】
特開平5−144056号公報
【特許文献6】
特開平5−333274号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の圧電素子を使用した形状可変ミラー素子の課題を解決するものである。すなわち、本発明の第1の目的は、簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットの提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、形状可変ミラー素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第3の目的は、従来の光ピックアップの構造を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の形状可変ミラー素子は、薄い基板と薄膜形成技術で膜を積層した構成よりなる。この構成により、簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットを提供することが可能となる。
【0012】
また、本発明の形状可変ミラー素子の製造方法は、形状可変部下に薄い基板を接合することのない工程を備えた構成よりなる。この構成により、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子の製造方法を提供することが可能となる。それと同時に基板面が転写され鏡面状態になっている電極膜面上反射ミラー膜を形成できるので、反射率の高い形状可変ミラー素子を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明の光ピックアップは、形状可変ミラー素子もしくは形状可変ミラーユニットを波面収差補正手段として使用した構成よりなる。この構成により、光学系の構成を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップを提供することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、圧電膜と、前記圧電膜に電圧を供給する第1電極膜及び第2電極膜と、前記圧電膜に設けられた反射ミラー膜とを備えた形状可変部と、前記形状可変部を支持する基板とを備えた形状可変ミラー素子であって、形状可変部に弾性を付与する弾性手段を設けたことを特徴とする形状可変ミラー素子であり、薄い基板と薄膜形成技術で膜を積層した構成とすることにより、簡単な構成で極めて薄い形状可変ミラー素子が可能となり、低い印加電圧でも変形量が大きくできるという作用を有する。
【0015】
請求項2記載の発明は、圧電膜の一方の面に第1電極膜を設け、他方の面に第2電極膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、圧電膜に確実に、電圧を印可でき圧電膜を効率よく変形することが可能となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、弾性手段として、反射ミラー膜,第1電極膜,第2電極膜,基板の少なくとも一つに弾性を持たせたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、別途弾性を付与する部材などを設けなくても良いので、素子自体が簡単な構造になり、線賛成が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明は、弾性手段として、別途弾性板膜を設け、前記弾性板膜を基板と反射ミラー膜の間に設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子とすることで、弾性を専門に付与する部材を設けたことで、弾性の調整が容易になり、精度良い特性を得ることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、基板において形状可変部を支持する面積は基板面積よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、この構成によって、他の部材への取り付け面積などが大きくなり、取り付け強度などを大きくできる。
【0019】
請求項6記載の発明は、形状可変部に設けられた反射ミラー膜は基板上まで延設され、しかも前記形状可変部に設けられた反射ミラー膜と前記形状可変部を非配設とした部分に設けられた反射ミラー膜は一体構成としたことを特徴とする請求項5記載の形状可変ミラー素子であり、基板全面に反射ミラー膜を設ける工程とすることができるので、生産性が飛躍的に向上する。
【0020】
請求項7記載の発明は、形状可変部の外形形状は、円形,楕円形,四角形,多角形,三角形から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、形状可変部を精度良く形成できる。
【0021】
請求項8記載の発明は、一つの基板上に形状可変部を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、素子に入射する複数の独立した光をそれぞれ、個別に調整でき、また、入射した一つの光を部分的に調整可能とすることができる。
【0022】
請求項9記載の発明は、前記弾性板膜が樹脂からなり、前記樹脂のヤング率が前記圧電膜のヤング率の1/100〜1/10であることを特徴とする請求項4記載の形状可変ミラー素子であり、弾性板膜材料のヤング率が圧電膜に比べて十分小さいので、弾性板膜の膜厚を圧電体膜よりも厚くしても、変形量が大きくできるという作用を有する。
【0023】
請求項10記載の発明は、前記形状可変部が、薄い基板の中空部分の開口部に形成されたダイヤフラム構成を有することを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、形状可変部をダイヤフラム構成とすることにより、形状可変部の変形を拘束する基板が形状可変部下に存在しないので、低い印加電圧でも変形量を極めて大きくできるという作用を有する。
【0024】
請求項11記載の発明は、前記形状可変部を構成する膜の内部応力の総和が圧縮もしくは引張り応力状態であって、内部応力による前記形状可変部の変形量がPV値で使用する光の波長の1/4以下であることを特徴とする請求項10記載の形状可変ミラー素子であり、予め、形状可変部を構成する膜の内部応力をコントロールし、内部応力による形状可変部の変形量がPV値で使用波長の1/4以下とすることで、反射ミラー面が光学的に理想的な平滑面にできるという作用を有する。
【0025】
請求項12記載の発明は、形状可変部中に弾性手段として弾性板膜を設け、前記弾性板膜の膜厚が領域によって異なることを特徴とする請求項11記載の形状可変ミラー素子であり、予め、弾性板膜の膜厚を領域によって不均一にすることにより、形状可変部の変形形状を所望の形状、例えば常に安定な曲率の変形形状が実現できるという作用を有する。
【0026】
請求項13記載の発明は、前記形状可変部にある前記圧電膜の膜厚が領域によって異なることを特徴とする請求項11記載の形状可変ミラー素子であり、予め、圧電膜の膜厚を領域によって不均一にすることにより、形状可変部の変形形状を所望の形状、例えば常に安定な曲率の変形形状が実現できるという作用を有する。
【0027】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13いずれか1記載の形状可変ミラー素子と前記形状可変ミラー素子自体を移動させるアクチュエーターとを一体化したことを特徴とする形状可変ミラーユニットであり、形状可変ミラー素子をアクチュエーターにより微小に移動させることにより、光ピックアップ等の光学系に組み付けた場合、組み付けバラツキをアクチュエーターで容易に補正できるという作用を有する。
【0028】
請求項15記載の発明は、圧電膜と第1電極膜または第2電極膜が形成された薄い基板と、樹脂を含む基板と、を接着する工程と、前記薄い基板をエッチングする工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法であり、形状可変部を樹脂を含む基板に転写し形成することにより、形状可変部が直接薄い基板に拘束されることがないので、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子の製造方法を提供することが可能となる。それと同時に、反射ミラー膜を基板面が転写され鏡面状態になっている電極膜面上に形成するので、反射率の高い形状可変ミラー素子を提供することが可能となる。
【0029】
請求項16記載の発明は、薄い基板をエッチングしダイヤフラムを形成するダイヤフラム形成工程と、前記ダイヤフラム形成工程後に反射ミラー膜を形成する反射ミラー膜形成工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法であり、接合・転写等とは異なる製造方法であり、基板上に直接ダイヤフラムを形成することにより、製造工程が簡素化され歩留まりの高い形状可変ミラー素子が製造できるという作用を有する。それと同時に、反射ミラー膜を基板面が転写され鏡面状態になっている電極膜面上に形成することもできるので、反射率の高い形状可変ミラー素子を提供することが可能となる。
【0030】
請求項17記載の発明は、薄い基板をエッチングしダイヤフラムを形成するダイヤフラム形成工程が2段階のエッチング工程を有し、前記薄い基板の厚みの半分以上をエッチングする第1の工程と、残りの厚み部分をエッチングする第2の工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法であり、第2の工程では薄い部分をエッチングすることによりダイヤフラムを形成することになるので、エッチング形状のバラツキを小さくでき寸法精度が優れたイヤフラムを形成できるという作用を有する。
【0031】
請求項18,19記載の発明は、光ディスクにデータを記録または再生する装置であって、レーザー光の波面収差を補正する手段を有する光ピックアップにおいて、請求項1〜13記載の形状可変ミラー素子もしくは請求項14記載の形状可変ミラーユニットとを波面収差補正手段として使用することを特徴とする光ピックアップであり、立ち上げミラー同様の取り扱いで光ピックアップの光学系へ組み付けることができるので、従来の光ピックアップの光学系の構成を大きく変更することなく、しかも容易に、波面収差補正手段を搭載することが可能となる。
【0032】
以下に、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態1について、図面を参照して説明する。ただし、本発明とは直接関係しないリード線や電圧を印加するため端子等は図示していない。さらに、図面中の膜厚や基板の厚み、変形量等は理解を容易にする目的のために、実際の寸法とは異なる。以下、全ての図面において同様である。
【0034】
図1は本発明の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0035】
図2は本発明の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0036】
形状可変ミラー素子1は、形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3で少なくとも構成されている。
【0037】
基板3は形状可変部2を支持しており、形状可変部2は上面より順に反射ミラー膜4、変形方向や変形形状等を決定する弾性板膜5、圧電膜7に電圧を印加するための第1電極膜6、伸縮により形状可変部2を変形させる圧電膜7、圧電膜7に電圧を印加するためのもう一方の第2電極膜8とを有している。
【0038】
基板3の材料としては、SiやMgO等の単結晶材料が圧電膜7の圧電特性が良好になりやすいために好適に使用されるが、特に制限されるものではない。しかし、形状可変ミラー素子1を作製する工程で高温処理をするプロセスを用いる場合には、耐熱性の良好な材料で基板3を構成することが好ましい。なお、基板3として、本実施の形態では、同一材料で構成された単板あるいは単シート状体を用いたが、同一材料で構成された単板あるいは単シート状体を接着剤などを用いて積層して構成してもよいし、異なる材料で構成された単板あるいは単シート状体を積層して構成してもよい。また、基板3としては、絶縁性あるいは導電性で構成された基体の表面にコーティングを施したものを用いてよい。また、基板3の外形形状としては、本実施の形態においては、四角形としたが、円形でも楕円形状でも多角形状でも三角形状でもよい。すなわち、図25(A)〜(D)に示すように、基板3の形状を仕様などによって変化させることで、取付性を向上させたり取付面積などを最小にできるなどの効果を有する。
【0039】
圧電膜7の構成材料としては、PZTやPZTと同系のPbを含むペロブスカイト酸化物などの圧電定数が高く変位の大きい材料が好適に使用される。
【0040】
また、圧電膜7の形成方法は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法、またはゾルゲル法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0041】
弾性板膜5の構成材料としては、特に材料に制限されることはなく樹脂、金属、セラミック等の材料が使用できる。本実施の形態においては、弾性板膜5の構成材料にクロムあるいはクロム合金を使用した。また、基板3自体を弾性材料で構成した場合には、基板3が弾性板膜の機能を有することにもなるので、弾性板膜5は必ずしも必要としない。
【0042】
また、弾性板膜5の形成方法も、圧電膜7の形成方法と同様、例えば、スパッタ法、CVD法、または蒸着法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0043】
反射ミラー膜4の構成材料としては、高反射率のAu,AlやAg等の金属膜やあるいは高反射率の合金膜を用いてもよく、更には誘電体多層膜が好適に使用される。誘電体多層膜は、反射させたい光の波長をλとした時に、高屈折率λ/4膜と低屈折率λ/4膜を交互に積層したものである。誘電体多層膜の材料としては、高屈折率膜には例えばTiO2やTa2O5が好適に使用され、例えば低屈折率膜にはSiO2やMgF2が好適に使用される。本発明では高屈折率膜にTiO2を使用し、低屈折率膜にSiO2を使用している。また、一層のSiO2膜(低屈折率誘電体膜)とその膜に密着して形成された一層のTiO2膜(高屈折率誘電体膜)を1周期とした場合には、反射率を大きくする点と薄型化を考慮すると3周期から40周期とすることが好ましい。この周期を多くして誘電体多層膜を積層することで、反射率は大きくなる。この様に誘電体多層膜の周期を増減することで所望の反射率を調整可能となる。
【0044】
反射ミラー膜4の形成方法も、圧電膜7の形成方法と同様、例えば、スパッタ法または蒸着法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0045】
第1,第2電極膜6,8の構成材料としては導電性の高い金属が好適に使用される。形状可変ミラー素子1を作製する工程で高温処理をするプロセスを用いる場合には、PtやIrもしくはその合金など高温に強い材料が望ましい。第1,第2電極膜6,8の形成方法も、圧電膜7の形成方法と同様、例えば、スパッタ法または蒸着法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0046】
なお、第1電極膜6と第2電極膜8では、その構成材料を異ならせてもよい。第1及び第2電極膜6,8はそれぞれ異なる材質の導電膜を積層しても良い。また、第1電極膜6を単層で構成し、第2電極膜8を多層構造としたりするなど、第1及び第2電極膜6,8で積層構造を互いに異ならせても良い。なお、第1及び第2電極膜6,8に外部から電圧を加える方法については、後述する。
【0047】
また、形状可変部2は図2に示すように、基板3上の一部に設けられており、反射させたい光をほぼ形状可変部2で反射させることができる。すなわち、本実施の形態では、形状可変部2を形状可変部2よりも面積の大きな基板3の略中央部に設けることによって、形状可変ミラー素子1を他の部材に取り付ける際に、取り付け面積を大きくすることができ、取り付け強度などを強くすることができる。また、形状可変ミラー素子1に入射する光の入射面積は形状可変部2の形成面積よりも小さくすることで、確実に入射した光の反射方向を変えることができるが、多少入射する光の面積が形状可変部2よりも大きくても所望の特性は得られる。
【0048】
更に、本実施の形態では、製造上工程を簡単にするように、形状可変部2及び形状可変部2を設けた基板3の面上に一体に反射ミラー膜4を設けたが、少なくとも光を入射する面に(形状可変部2の少なくとも一部)反射ミラー膜4を設ければ良く、好ましくは形状可変部2全体に反射ミラー膜4を設けることが好ましい。また、反射ミラー膜4は、形状可変部2よりもわずかにはみ出す程度に設けても良い。
【0049】
この様に、反射ミラー膜4を少なくとも形状可変部2及び形状可変部2を含むその近傍部分に設ける場合には、パターニングやエッチングなどの手法を用いて、反射ミラー膜4を部分的に設ける。
【0050】
本実施の形態では、形状可変部2を基板3に一つのみ設けたが、図26(A),図26(B)に示すように複数の形状可変部2を一つの基板3上に設けても良い。図26には、形状可変部2を2個,4個設けた例を示したが、当然5個以上設けてもよく、奇数個設けても良い。形状可変部2を設ける個数は、仕様などによって適宜決定可能であり、このような構成によって、一つの基板3に搭載した第1の形状可変部と第2の形状可変部では、それぞれ反射させる光の波長を異ならせたり、あるいは、同じ光を第1および第2の形状可変部2に照射して反射方向を変えたりさまざまなバリエーションを持たせることができる。すなわち、形状可変部2を複数設けた場合に、それぞれを同期して動作させることも可能であるし、それぞれを独立して動作させることもできる。また、形状可変部2の形状としては、円形状としたが、図27(A)〜(C)に示すような三角形状,方形状,5角形などの多角形状とすることもでき、これらは、仕様などによって適宜形状を変更可能である。
【0051】
本実施の形態の形状可変ミラー素子の製造方法について、図面を参照して説明する。図5は形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子断面図である。
【0052】
まず、図5(A),(B)に示すように厚みが200μm〜400μmの薄いSi基板3上に第2電極膜8、圧電膜7、第1電極膜6と弾性板膜5を順次形成する。第2電極膜8の材料にはIrを使用し、第1電極膜6にAu/Tiを使用し、各電極膜6,8の厚みは0.05μm〜0.1μmμmとした。圧電膜7の材料にはPZTを使用し、PZTの厚みは1μmから5μmとした。弾性板膜5の材料には付着力や耐腐食性に優れるCrを使用し、Crの膜厚は1μm〜3μmとした。膜の形成は、第1電極膜のAu/Tiは基板3側からAu膜,Ti膜の順で蒸着法を使用して成膜し、他の膜はスパッタ法でおこなった。
【0053】
次に、図5(C)に示すように弾性板膜5等の積層膜をフォトリソグラフィー法とエッチング法により所望の形状に加工する。
【0054】
最後に、図5(D)に示すように反射ミラー膜4を形成する。本実施の形態においては、反射ミラー膜4にSiO2/TiO2からなるλ/4膜を蒸着法により20層形成した。これにより、形状可変ミラー素子1が完成する。
【0055】
なお、説明及び図示をしていないが、必要に応じて絶縁膜を各膜の層間に形成する。例えば、基板3に導電性の比較的高いSi基板を使用している場合には第2電極膜8と基板3との間に絶縁膜を形成すれば良いし、弾性板膜5に金属膜を使用する場合には第1電極膜6と弾性板膜5との間に絶縁膜を形成すれば良い。例えば、絶縁性を確保するには、基板3と第2電極膜8の間にシリカなどの膜を形成したり、あるいは、基板3を上述のように、Si基板で形成した場合には、シリコンの表面を酸化させて絶縁層を形成しても良く、この様に別途の膜を設けなくても構成する各膜の構成材料の特性を生かして、熱処理や薬品処理などによって絶縁膜を形成することで、より簡単に絶縁膜を形成でき工程なども簡単になって生産性が向上する。
【0056】
以上のように構成された形状可変ミラー素子の動作を図面とともに説明する。図3および図4は形状可変ミラー素子2の動作を示す側断面図である。形状可変ミラー素子1の第1電極膜6と第2電極膜8に電圧を印加すると、例えば図3で示す断面形状になる。逆の極性の電圧をそれぞれの個別電極膜6,8に印加した場合、図4で示す断面形状となる。圧電膜7は電圧が印加されると伸び縮みする。そのため、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合に電圧印加部分の圧電膜7が伸びるとした場合、マイナス極性の電圧を印加した場合には電圧印加部分の圧電膜7は縮む。その結果、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合、図3の如く反射ミラー面は凸面となる。逆に、第1電極膜6にマイナス極性の電圧を印加した場合、図4の如く反射ミラー面は凹面となる。
【0057】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1の形状可変ミラー素子によれば、薄い基板と積層膜で構成されているので、極めて簡単な構成でしかも薄い素子が可能となる。その結果、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子が実現できる。
【0058】
(実施の形態2)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
【0059】
図6は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0060】
図7は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0061】
以下、特に詳述していない部分は実施の形態1と同様である。
【0062】
形状可変ミラー素子1は、少なくとも形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3とで構成される。
【0063】
基板3は形状可変部2を支持しており、例えばガラス基板9と樹脂層11からなる。形状可変部2は上面より反射ミラー膜4、圧電膜7を電圧印加するための第2電極膜8、伸縮により形状可変部2を変形させる圧電膜7、圧電膜7を電圧印加するためのもう一方の第1電極膜6、変形方向や変形形状等を決定する弾性板膜5とからなる。本実施の形態においては、樹脂層11に実施の形態1に示す弾性板膜5の機能を持たせているので、弾性板膜5と樹脂層11とは同一である。
【0064】
本実施の形態で使用した材料は実施の形態1とほぼ同様である。異なる点は、基板3としてガラス基板9と樹脂層11を使用した点である。ガラス基板9は、特にガラス材料に制限されるものではなく表面が平滑で好ましくは鏡面を有するものであればよい。樹脂層11の材料は、圧電膜のヤング率の1/100〜1/10程度の弾性に富む材料が使用される。
【0065】
本実施の形態の形状可変ミラー素子の製造方法について、図面を参照して説明する。図10は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図である。
【0066】
本実施の形態の製造工程の特徴は、2種類の基板を使用することにある。すなわち、圧電膜7を形成する第1基板10と形状可変ミラー素子1を支持する基板(ガラス基板9)を使用する。両基板は製造工程の途中で接着し、圧電膜7を形成した第1基板10はエッチング等により除去される。
【0067】
最初に、図10(A),(B)に示すように第1基板10上に第2電極膜8と圧電膜7と第1電極膜6とを形成する。第1基板10の材料としてはMgO単結晶を使用した。これと並行して、図10(C),(D)に示すようにガラス基板9には樹脂層11を形成する。ガラス基板9の材料としてはガラスを使用したが、他の材料で構成された板材料でも良い。樹脂層11の材料にはポリイミドを使用したが、他の樹脂材料でも良い。樹脂層11の形成は液状のポリイミド樹脂を塗布し焼成することにより行われる。
【0068】
次に、図10(E)に示すように第1基板10の膜面とガラス基板9のポリイミドで構成された樹脂層11の面とを合わせ接着を行う。この接着に用いる接着材料にはエポキシ樹脂系の接着剤を使用したが、他の材料でも良い。次に、リン酸水溶液によりMgO基板である第1基板10を全てエッチング等により除去する。これにより、MgO基板である第1基板10上の積層膜は基板3(ガラス基板9+樹脂層11)に転写されたことになる。この後、電少なくとも積層膜等をフォトリソグラフィーとエッチング等により所望の形状に加工する。その結果、圧電膜7の下面には柔らかいエポキシ樹脂やポリイミド樹脂(樹脂層11:弾性体膜5の機能を有する)が配置することになるので、圧電膜7に対する拘束力がガラス基板9やMgO基板で構成された第1基板10に対して小さくなる。しかも、これらの樹脂は適度な硬さを有するために圧電膜用配線層(第1,第2電極膜6,8)の形成等を妨げない。最後に、第2電極膜8上に反射ミラー膜4を形成することにより形状可変ミラー素子1が完成することになる。
【0069】
このように構成された形状可変ミラー素子1の動作を図面とともに説明する。図8および図9は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図である。形状可変ミラー素子1の第1電極膜6と第2電極膜8に電圧を印加すると、例えば図8で示す断面形状になる。逆の極性の電圧をそれぞれの第1、第2電極膜に印加した場合、図9で示す断面形状となる。圧電膜7は電圧が印加されると伸び縮みする。そのため、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合に電圧印加部分の圧電膜7が伸びるとした場合、マイナス極性の電圧を印加した場合には電圧印加部分の圧電膜7は縮む。その結果、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合、図8の如く、ガラス基板9はほとんど変形しないが、形状可変部2は弾性に富む柔らかい樹脂(樹脂層11)を引き伸ばすようにして変形することになる。その結果、反射ミラー膜4の反射面は凸面となる。逆に、第1電極膜6にマイナス極性の電圧を印加した場合、図9の如く、ガラス基板9はほとんど変形しないが、形状可変部2は柔らかい樹脂(樹脂層11)を押し縮めるようにして変形することになる。その結果、図9の如く反射ミラー膜4の反射面は凹面となる。
【0070】
以上のように、本実施の形態2の形状可変ミラー素子1によれば、ガラス基板9と形状可変部2の間にはポリイミド等の樹脂層11が形成されており、形状可変部2は剛性の高いガラス基板9等に拘束されず樹脂層11に拘束される。樹脂は弾性に富むために、形状可変部2の拘束力がガラス基板9と比較し軽減される。その結果、形状可変部2は低い印加電圧でも効率的に変形させることができ、変形量の大きい形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0071】
また、本実施の形態の製造方法によれば、ガラス基板9等の平滑性が転写され鏡面状態になっている第2電極膜8面上に反射ミラー膜4を形成するので、極めて反射率の高い形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0072】
(実施の形態3)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態3について、図面を参照して説明する。
【0073】
図11は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0074】
図12は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0075】
以下、特に詳述していない部分は実施の形態1と同様である。
【0076】
実施の形態3の形状可変ミラー素子の特徴は形状可変部2がダイヤフラム構造となっていることである。
【0077】
形状可変ミラー素子1は、少なくとも形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3で構成される。
【0078】
基板3としてはSi基板を用い、形状可変部2の周囲(周縁部)を支持する構造となっている。形状可変部2の内周部はダイヤフラム構造となっている。形状可変部2は上面より反射ミラー膜4、圧電膜7を電圧印加するための第1電極膜6、伸縮により形状可変部2を変形させる圧電膜7、圧電膜を電圧印加するためのもう一方の第2電極膜8、変形量や変形形状等を決定する弾性板膜5と、からなる。
【0079】
なお、本実施の形態で使用した材料等は実施の形態1と同様である。
【0080】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1の製造方法について説明する。図15は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図である。本実施の形態の製造工程の特徴は、形状可変部をダイヤフラム構造とするための基板エッチング工程がある点である。
【0081】
まず、図15(A),(B)に示すように両面ともに酸化膜が形成されたSiからなるあるいはSiを含む基板3上に第2電極膜8と圧電膜7と第1電極膜6と弾性板膜5を順次形成する。また、第2電極膜8の材料にはIrを使用し、第1電極膜6にAu/Tiを使用し、各電極膜の厚みは0.1μmとした。圧電膜7にはPZTを使用し、PZTの厚みは3μmとした。
【0082】
次に、図15(C)に示すように弾性板膜5等をフォトリソグラフィー法とエッチング法により所望の形状に加工する。
【0083】
次に、反射ミラー膜4を形成する。本実施の形態3においては、反射ミラー膜4にSiO2/TiO2からなるλ/4膜を20層形成した。
【0084】
最後に、図15(D)に示すようにダイヤフラム12の形成するために、基板3として用いたSi基板のエッチングを行う。基板3として用いたSi基板の裏面にSi酸化膜からなるエッチング用のマスクパターンを形成する。その後、Si基板の裏面からKOH溶液などのエッチング液やリアクティブイオンエッチング(RIE)を使用して所望の深さまでエッチング加工することにより、形状可変部2がダイヤフラム12となる。これにより、形状可変ミラー素子1が完成する。なお、本実施の形態の製造方法は、反射ミラー膜4を形成した後にダイヤフラム12を形成したが、両工程を逆としても何ら差し支えない。また、本実施の形態では、ダイヤフラム12を形成する場合に、基板3の裏面から表面にいくに従って、次第に断面径が小さくなるような穴を設けるように構成したが、断面が変化しないような径等の穴を設けてダイヤフラム12を形成しても良い。
【0085】
以上のように構成された形状可変ミラー素子1の動作を図13と図14に示した。図13および図14は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図である。動作の説明は実施の形態1と同様なのでここでは省略する。本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子1よれば、形状可変部2がダイヤフラム12からなる構成なので基板3に拘束されることが無い。その結果、形状可変部2は低い印加電圧でもより一層効率的に変形させることができ、変形量が非常に大きい形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0086】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1は、ダイヤフラム12からなる積層膜の内部応力を調整すると更に好ましい。形状可変ミラー素子1を構成する膜は全て内部応力を持つ。ダイヤフラム12からなる形状可変部2を構成する積層膜の内部応力の総和が基板3に対して引張り応力とした場合、更に優れた形状可変ミラー素子1が実現できる。すなわち、ダイヤフラム12を形成した時、ダイヤフラム12からなる積層膜は内部応力が開放される。積層膜が弾性限界内の引張り応力の場合、ダイヤフラム12からなる積層膜は自ら縮もうとする力が働く。その結果、ダイヤフラム12は全く撓むことがない平面性に優れた状態で形成される。
【0087】
また、積層膜が圧縮応力の場合、ダイヤフラム12からなる積層膜は自らの伸びようとする力が働く。その結果、ダイヤフラム12は撓み、平面性に劣った変形した状態で形成され易くなる。しかも、圧縮応力が極めて大きいとダイヤフラム12の撓みが大きくなり形状可変ミラー素子1として機能しない場合が生じる。圧縮応力による形状可変部2の撓み変形量がPV値で使用波長の1/4以下となる応力値で積層膜を形成した場合、反射ミラー膜4の反射面は理想的な鏡面となる。従って、予め、形状可変ミラー素子1を構成する積層膜の内部応力の総和をコントロールすることで、内部応力による形状可変部2の変形量がPV値で使用波長の1/4以下が実現できるために、実用上、非常に優れた形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0088】
また、本実施の形態の他の製造方法として、弾性板膜面5上に反射ミラー膜4を形成したが、第2電極膜8面上に形成すると更に実用上好ましい形状可変ミラー素子1が実現できる。すなわち、各電極膜6,8や弾性板膜5等を多層にわたって積層すると膜表面は粗くなるので、基板3の鏡面が転写され鏡面状態になっている第2電極膜8面に反射ミラー膜4を形成した場合、極めて高い反射率の形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0089】
さらに、本実施の形態の他の製造方法として、ダイヤフラム形成工程を2つの工程に分けても良い。例えば、第1のダイヤフラム形成工程により基板3の厚みの半分以上をエッチングし、第2のダイヤフラム形成工程により残りの部分をエッチングすることにより、ダイヤフラム12を形成する。一般に、ダイヤフラム12の形状は形状可変ミラー素子1の変形形状に影響を与えるために精密なエッチング加工が必要となる。しかし、基板3として用いたSi基板は一般に300〜500μm程度の厚みなので、基板3の裏面よりエッチングマスクパターンを形成し、表面の寸法形状を精密に加工することは非常に困難である。ダイヤフラム形成工程を2つの工程に分けた場合、第1の工程ではダイヤフラム12を形成することがないので、加工精度は粗で良い。また、第2のダイヤフラム形成工程ではダイヤフラム12は形成をするために、加工精度は高いことが必要であるが、エッチングする基板3の厚み自体が予め薄くなっているので、非常に寸法精度の良いエッチング加工が実現できる。
【0090】
(実施の形態4)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態4について、図面を参照して説明する。
【0091】
図16は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0092】
図17は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0093】
以下、特に詳述していない部分は実施の形態1と同様である。
【0094】
また、実施の形態4の形状可変ミラーの特徴は形状可変部の弾性板膜の膜厚が不均一となっていることである。
【0095】
形状可変ミラー素子1は、少なくとも形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3とを有している。
【0096】
基板3はSi基板等から構成され、形状可変部2の周囲を支持する構造となっている。形状可変部2の内周部はダイヤフラム構造となっている。形状可変部2は上面より反射ミラー膜4、圧電膜7に電圧を印加するための第1電極膜6、伸縮により形状可変部を変形させる圧電膜7、圧電膜7に電圧を印加するためのもう一方の第2電極膜8、変形方向や変形形状等を決定する弾性板膜5を加工した凸凹弾性板膜13とを有している。なお、本実施の形態で使用した材料は実施の形態1と同様である。
【0097】
本実施の形態の形状可変ミラー素子の製造方法について説明する。図20は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図である。本実施の形態の製造工程の特徴は、形状可変部2の振動板膜厚を複数の工程でエッチング加工する点である。
【0098】
まず、図20(A),(B)に示すように両面ともにSi酸化膜が形成されたSiからなる基板3上に第2電極膜8と圧電膜7と第1電極膜6と振動板膜5を順次形成する。
【0099】
また、第2電極膜8の材料にはIrを使用し、第1電極膜6にAu/Tiを使用し、各電極膜の厚みは0.1μmとした。圧電膜7にはPZTを使用し、PZTの厚みは3μmとした。
【0100】
次に、図20(C),(D)に示すように弾性板膜5をフォトリソグラフィー法とエッチング法により所望の形状に加工する。本実施の形態では、変形形状を曲率とするために、弾性板膜5の膜厚を同心円上に外周部分は厚く、内周部分は薄くした。また、弾性板膜5の加工は2つの工程に分けて行った。また、エッチング方法はリアクティブイオンエッチング(RIE)を使用し所望の深さまでエッチング加工した。このように、弾性板膜5に加工を施すことで、凸凹振動板膜13を形成する。
【0101】
次に、図20(E)に示すようにダイヤフラム12を形成するために、基板3として用いたSi基板の裏面にSi酸化膜からなるエッチング用のマスクパターンを形成する。以後、Si基板の裏面からKOH溶液などのエッチング液やリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いて所望の深さまでエッチング加工することにより、Si基板には形状可変部2がダイヤフラム12となる。
【0102】
最後に、図20(F)に示すように反射ミラー膜4を形成する。本実施の形態においては、反射ミラー膜4にSiO2/TiO2からなるλ/4膜を20層形成した。これにより、形状可変ミラー素子1が完成する。
【0103】
以上のように構成された形状可変ミラー素子1の動作を図18と図19に示した。図18および図19は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図である。動作の説明は実施の形態1と同様なのでここでは省略する。実施の形態3の形状可変ミラー素子1においては、図13と図14の示す如く、形状可変部2の変形形状は楕円円弧状になる。一方、本実施の形態の形状可変ミラー素子1では図18と図19示す如く、形状可変部2の変形形状は円弧状になる。
【0104】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1は、弾性板膜5の膜厚を不均一にすることで、形状可変部2の変形形状を制御したが、圧電膜7の膜厚を不均一にすることで、変形形状を制御することも可能である。
【0105】
また、圧電膜7と弾性板膜5の両膜の厚みを不均一にすれば、更なる自由度を持った変形形状が可能となることは言うまでもない。
【0106】
以上のように、本実施の形態の形状可変ミラー素子1によれば、弾性板膜5もしくは圧電膜7の膜厚を不均一にすることで、予め設定された曲率になるように適正な膜厚に調整するので、常に安定な曲率の変形形状が実現できる。例えば、レーザービームの波面を制御が可能となるので、集光性の良い焦点が安定的に実現できる。また、レーザービーム径を縮小・拡大の制御が可能となるので、レーザービームの焦点位置を安定的に可変できる。
【0107】
(実施の形態5)
図面を参照して本発明の実施の形態の形状可変ミラーユニットを説明する。図21形状可変ミラーユニットの構成を模式的に示す斜視図である。この形状可変ミラーユニット15は、形状可変ミラー素子1が弾性部材16によって浮遊支持された可動部として構成されている。より詳細には、形状可変ミラーユニット15は、形状可変ミラー素子1と形状可変ミラー素子1を支持し固定するベース17、及び形状可変ミラー素子1とベース17を弾性部材16により浮遊支持する筐体18とを有している。
【0108】
本実施の形態における形状可変ミラーユニット15のアクチュエーターはボイスコイルモータである。筐体18にはコイル19が配されており、磁束付与手段として働く。ベース17の裏面に固定された永久磁石20を配している。従って、形状可変ミラーユニット15は、コイル19へ電流供給を行うことによって、形状可変ミラー素子1自体が動作可能となっている。本実施の形態においては高さ方向のみの駆動機構の場合を示したが、弾性部材16の支持方法とコイルと磁石の配置により2軸以上の方向も動作可能である。
【0109】
以上のように、本発明の形状可変ミラーユニット15によれば、光ピックアップ等の光学系に組み付けた場合、組み付けバラツキをアクチュエーターにより容易に補正できる。
【0110】
なお、本実施の形態では、永久磁石20をベース17に搭載し、筐体18にコイル19を搭載したが、逆に、筐体18に永久磁石20を、ベース17にコイル17を搭載しても良い。
【0111】
(実施の形態6)
図面を参照して本発明の実施の形態の光ピックアップを説明する。図22は本発明の形状可変ミラーを含む光ピックアップの光学系を示す図である。
【0112】
このような構成を備えた光ピックアップ20では、レーザー素子21から発せられたレーザー光は、コリメーターレンズ22により平行光に変換される。この平行光は、形状可変ミラー素子1で反射され、偏向ビームスプリッタ23を通り、対物レンズ24で集光され、光ディスク25に焦点を結ぶ。光ディスク25から反射したレーザー光は、対物レンズ24、λ/4板26及び偏向ビームスプリッタ23を通り、光検出光学系27で集光され、光検出素子28で検出する。この検出素子28にはチルト検出用の検出素子も含まれている。
【0113】
この光学系では、光ディスク25がレーザー光の光軸に垂直な位置から傾くと、光ディスクから反射して戻ってきたレーザー光の波面は乱れ、波面収差(コマ収差)が発生する。つまり、光ディスクがレーザーの光軸に対して垂直であれば、波面は図で示すような収差を含まれないが、ディスクがチルトしたときに発生する波面収差は、反射光にそのまま含まれる。この場合、予め形状可変ミラー素子1を波面収差分のみ変形させて、レーザー光に波面収差を発生させると、光ディスク記録面の焦点において位相の揃ったレーザー光が集光するように制御することにより、波面収差が減少させることができる。
【0114】
なお、本実施の形態では波面収差補正素子として、形状可変ミラー素子1を使用したが、形状可変ミラーユニット15であれば更に収差補正制御の自由度が高くなるので、より正確な記録再生が実現できる。
【0115】
また、光ディスクの保護膜の膜厚が不均一な場合には、波面収差(コマ収差)が発生する。この場合も予め形状可変ミラー素子を波面収差分のみ変形させることにより、波面収差が減少させることができる。
【0116】
本発明の光ピックアップによれば、簡単な構成でサイズが小さいので、立ち上げミラー同様の取り扱いで光ピックアップの光学系組み付けることが可能となる。その結果、構造を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップが実現できる。
【0117】
電極の引き回し構造について図面を参照して説明する。図23は本発明の形状可変ミラー素子の配線構造を示す図である。
【0118】
126は第2電極膜8と駆動回路を結線するための第2電極端子である。また、第2電極膜8と第2電極端子126は引き回し線127により結線がなされている。
【0119】
128は第1電極膜6と駆動回路を結線するための第1電極端子である。また、第1電極膜6と第1電極端子128は引き回し線129により結線がなされている。
【0120】
130は第2電極膜8と第2電極端子126および引き回し線127を基板3と絶縁するための絶縁膜である。
【0121】
131は第1電極膜6を弾性板膜5と絶縁するための絶縁膜である。
【0122】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1の反射ミラー膜4には誘電体多層膜を使用しており、誘電体多層膜はそれ自体が絶縁膜としても機能する。
【0123】
第2電極膜8,第2電極端子126及び引き回し線127は、絶縁膜130上に密着されてなる同一の膜で形成されている。
【0124】
第1電極6,第1電極端子128及び引き回し線129は、圧電膜7上に密着されてなる同一の膜で形成されている。
【0125】
この時、第1電極6と引き回し線129とを絶縁するために、圧電膜7を絶縁膜として利用しているので、引き回し線129や第1電極端子128の下には第2電極端子126や引き回し線127と同層の膜は無い。
【0126】
他の電極の引き回し構造の実施の形態について、図面を参照して説明する。図24は本発明の形状可変ミラー素子の電極の引き回し構造を具体的に示す図である。
【0127】
第2電極膜8から第2電極端子126への引き回しは、(電極引き回し構造の実施の形態1)と同様なのでここでは省略する。
【0128】
第1電極6から第1電極端子128への引き回し構造は、圧電膜上に絶縁膜131にスルーホールを形成し引き回し線を結線することによりなる。
【0129】
従って、本実施の形態の場合は、第1電極膜6の膜と、第1電極端子128と引き回し線129の膜の同一層ではない。
【0130】
【発明の効果】
以上のように、本発明の形状可変ミラー素子によれば、簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットを提供できるという優れた効果が得られる。
【0131】
また、本発明の形状可変ミラー素子の製造方法によれば、形状可変部下に薄い基板を接合することのない工程を備えた構成よりなる低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子の製造方法をできるという優れた効果が得られる。それと同時に、極めて高い反射率の形状可変ミラー素子を提供という優れた効果も得られる。
【0132】
さらに、本発明の光ピックアップよれば、従来の光ピックアップの光学系の構成を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップを提供できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の形状可変ミラー素子の側断面図
【図2】本発明の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図3】形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図4】形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図5】形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図6】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の側断面図
【図7】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図9】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図10】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図11】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の側断面図
【図12】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図13】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図14】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図15】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図16】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の側断面図
【図17】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図18】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図19】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図20】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図21】形状可変ミラーユニットの構成を模式的に示す斜視図
【図22】本発明の形状可変ミラーを含む光ピックアップの光学系を示す図
【図23】本発明の形状可変ミラー素子の配線構造を示す図
【図24】本発明の他の実施の形態における形状可変ミラー素子の配線構造を示す図
【図25】本発明の一実施の形態における形状可変ミラー素子を示す図
【図26】本発明の一実施の形態における形状可変ミラー素子を示す図
【図27】本発明の一実施の形態における形状可変ミラー素子を示す図
【符号の説明】
1 形状可変ミラー素子
2 形状可変部
3 基板
4 反射ミラー膜
5 弾性板膜
6 第1電極膜
7 圧電膜
8 第2電極膜
9 ガラス基板
10 第1基板
11 樹脂層
12 ダイヤフラム
13 凸凹振動板膜
15 形状可変ミラーユニット
16 弾性部材
17 ベース
18 筐体
19 コイル
20 永久磁石
21 レーザー素子
22 コリメーターレンズ
23 偏向ビームスプリッタ
24 対物レンズ
25 光ディスク
26 λ/4板
27 光検出光学系
28 光検出素子
29 光ピックアップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電膜に所定の電圧を印加して反射ミラー面の形状を可変する形状可変ミラー素子及び形状可変ミラー素子の製造方法並びに形状可変ミラーユニット並びに光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の形状可変ミラー素子としては、鏡面をケーブルで引張り、引張り量を変えることによって鏡面形状を変えることができるミラー素子(例えば、特許文献1参照。)や、弾性のある鏡面を裏面から押さえ、凹面、凸面、平面に変形可能なミラー素子(例えば、特許文献2参照。)などが開示されている。しかし、これらの形状可変ミラーは、いずれも、機械的変形機構によってミラー本体の形状を変形するものであり、構成が複雑であり、極めて大きいサイズの光学部品となっている。
【0003】
また、小さいサイズの形状可変ミラー素子としては、セラミックスの圧電材料の上面に、反射ミラー面および電極膜にはリード線が半田付けされたミラー素子(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。しかし、この形状可変ミラー素子は、圧電材料にバルク材料を使用しているために、圧電材料の厚みが非常に厚くなっている。その結果、形状を大きく可変するためには非常に高い印加電圧が必要となる。
【0004】
更なる微小サイズの形状可変ミラー素子としては、圧電膜を反射ミラー板に貼り付けたミラー素子(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。反射ミラー板には、例えばガラス反射鏡、反射膜、シリコンウェハー等を使用している。このミラー素子の場合も非常に高い印加電圧が必要であることが容易に推察される。すなわち、非常に薄いガラス反射鏡やシリコンウェハー等は研削や高精度の研磨が作製されるが、製造上のコストが大きくなり実現性が困難である。また、圧電膜と反射ミラー板を接着しただけの構成のミラー素子では機械的強度が弱く、それ自体で自立することができず、実用上に適さない。従って、反射鏡、反射膜、シリコンウェハー等を実用上、反射ミラーとして使用する場合は、ある程度の厚みを要する。
【0005】
微小サイズの形状可変ミラー素子の用途としては、一般に光ディスクを用いた情報記録媒体として、コンパクト・ディスク(CD)やデジタル・ビデオ・ディスク(DVD)などの光記録再生装置用の光ピックアップがある。DVDはCDに比べて記録密度が高いため、情報を読み書きする際に要求される条件が厳しい。例えば、光ピックアップの光軸とディスク面は垂直であることが理想であるが、実際には、ディスクは樹脂で作られているため、厳密に見ると相当な曲面となっている。従って、ディスクが回転すると、光ピックアップの光軸とディスク面は、常に垂直ではなくなる。また、光ディスクの記録層は樹脂層の上面に形成されている。そのため、ディスク面が対物レンズの光軸に対して垂直でなくなると、対物レンズを透過した光の光路が曲がり、光のスポット位置が正しい位置からずれて波面収差を生じる。そして、この収差が許容値を超えると、正しく記録再生できなくなる。
【0006】
波面収差を光学的に補正する手段としては、透明圧電素子単体の厚みを可変することより、波面収差を補正する波面補正板(例えば、特許文献5参照。)が、開示されている。しかし、この方法は必要変位を得るのに高電圧が必要となるので、光ピックアップなどに適用できないものである。他の波面収差を光学的に補正する手段としては、ミラー自体を積層型圧電素子で変形させ位相制御する方法(例えば、特許文献6参照。)が開示されているが、光ピックアップなどの小さい部品に使用するには配線が複雑になるという問題があり、組み付けコストも高くなる。また、配線の問題が解決できたとしても、積層型圧電素子をかなり小さくする必要があるため、技術的にもコスト的にも容易でない。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−127067号公報
【特許文献2】
特開平7−311305号公報
【特許文献3】
特開平10―10459号公報
【特許文献4】
特開2001−34993号公報
【特許文献5】
特開平5−144056号公報
【特許文献6】
特開平5−333274号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来の圧電素子を使用した形状可変ミラー素子の課題を解決するものである。すなわち、本発明の第1の目的は、簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットの提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、形状可変ミラー素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第3の目的は、従来の光ピックアップの構造を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の形状可変ミラー素子は、薄い基板と薄膜形成技術で膜を積層した構成よりなる。この構成により、簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットを提供することが可能となる。
【0012】
また、本発明の形状可変ミラー素子の製造方法は、形状可変部下に薄い基板を接合することのない工程を備えた構成よりなる。この構成により、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子の製造方法を提供することが可能となる。それと同時に基板面が転写され鏡面状態になっている電極膜面上反射ミラー膜を形成できるので、反射率の高い形状可変ミラー素子を提供することが可能となる。
【0013】
また、本発明の光ピックアップは、形状可変ミラー素子もしくは形状可変ミラーユニットを波面収差補正手段として使用した構成よりなる。この構成により、光学系の構成を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップを提供することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、圧電膜と、前記圧電膜に電圧を供給する第1電極膜及び第2電極膜と、前記圧電膜に設けられた反射ミラー膜とを備えた形状可変部と、前記形状可変部を支持する基板とを備えた形状可変ミラー素子であって、形状可変部に弾性を付与する弾性手段を設けたことを特徴とする形状可変ミラー素子であり、薄い基板と薄膜形成技術で膜を積層した構成とすることにより、簡単な構成で極めて薄い形状可変ミラー素子が可能となり、低い印加電圧でも変形量が大きくできるという作用を有する。
【0015】
請求項2記載の発明は、圧電膜の一方の面に第1電極膜を設け、他方の面に第2電極膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、圧電膜に確実に、電圧を印可でき圧電膜を効率よく変形することが可能となる。
【0016】
請求項3記載の発明は、弾性手段として、反射ミラー膜,第1電極膜,第2電極膜,基板の少なくとも一つに弾性を持たせたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、別途弾性を付与する部材などを設けなくても良いので、素子自体が簡単な構造になり、線賛成が向上する。
【0017】
請求項4記載の発明は、弾性手段として、別途弾性板膜を設け、前記弾性板膜を基板と反射ミラー膜の間に設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子とすることで、弾性を専門に付与する部材を設けたことで、弾性の調整が容易になり、精度良い特性を得ることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、基板において形状可変部を支持する面積は基板面積よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、この構成によって、他の部材への取り付け面積などが大きくなり、取り付け強度などを大きくできる。
【0019】
請求項6記載の発明は、形状可変部に設けられた反射ミラー膜は基板上まで延設され、しかも前記形状可変部に設けられた反射ミラー膜と前記形状可変部を非配設とした部分に設けられた反射ミラー膜は一体構成としたことを特徴とする請求項5記載の形状可変ミラー素子であり、基板全面に反射ミラー膜を設ける工程とすることができるので、生産性が飛躍的に向上する。
【0020】
請求項7記載の発明は、形状可変部の外形形状は、円形,楕円形,四角形,多角形,三角形から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、形状可変部を精度良く形成できる。
【0021】
請求項8記載の発明は、一つの基板上に形状可変部を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、素子に入射する複数の独立した光をそれぞれ、個別に調整でき、また、入射した一つの光を部分的に調整可能とすることができる。
【0022】
請求項9記載の発明は、前記弾性板膜が樹脂からなり、前記樹脂のヤング率が前記圧電膜のヤング率の1/100〜1/10であることを特徴とする請求項4記載の形状可変ミラー素子であり、弾性板膜材料のヤング率が圧電膜に比べて十分小さいので、弾性板膜の膜厚を圧電体膜よりも厚くしても、変形量が大きくできるという作用を有する。
【0023】
請求項10記載の発明は、前記形状可変部が、薄い基板の中空部分の開口部に形成されたダイヤフラム構成を有することを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子であり、形状可変部をダイヤフラム構成とすることにより、形状可変部の変形を拘束する基板が形状可変部下に存在しないので、低い印加電圧でも変形量を極めて大きくできるという作用を有する。
【0024】
請求項11記載の発明は、前記形状可変部を構成する膜の内部応力の総和が圧縮もしくは引張り応力状態であって、内部応力による前記形状可変部の変形量がPV値で使用する光の波長の1/4以下であることを特徴とする請求項10記載の形状可変ミラー素子であり、予め、形状可変部を構成する膜の内部応力をコントロールし、内部応力による形状可変部の変形量がPV値で使用波長の1/4以下とすることで、反射ミラー面が光学的に理想的な平滑面にできるという作用を有する。
【0025】
請求項12記載の発明は、形状可変部中に弾性手段として弾性板膜を設け、前記弾性板膜の膜厚が領域によって異なることを特徴とする請求項11記載の形状可変ミラー素子であり、予め、弾性板膜の膜厚を領域によって不均一にすることにより、形状可変部の変形形状を所望の形状、例えば常に安定な曲率の変形形状が実現できるという作用を有する。
【0026】
請求項13記載の発明は、前記形状可変部にある前記圧電膜の膜厚が領域によって異なることを特徴とする請求項11記載の形状可変ミラー素子であり、予め、圧電膜の膜厚を領域によって不均一にすることにより、形状可変部の変形形状を所望の形状、例えば常に安定な曲率の変形形状が実現できるという作用を有する。
【0027】
請求項14記載の発明は、請求項1〜13いずれか1記載の形状可変ミラー素子と前記形状可変ミラー素子自体を移動させるアクチュエーターとを一体化したことを特徴とする形状可変ミラーユニットであり、形状可変ミラー素子をアクチュエーターにより微小に移動させることにより、光ピックアップ等の光学系に組み付けた場合、組み付けバラツキをアクチュエーターで容易に補正できるという作用を有する。
【0028】
請求項15記載の発明は、圧電膜と第1電極膜または第2電極膜が形成された薄い基板と、樹脂を含む基板と、を接着する工程と、前記薄い基板をエッチングする工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法であり、形状可変部を樹脂を含む基板に転写し形成することにより、形状可変部が直接薄い基板に拘束されることがないので、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子の製造方法を提供することが可能となる。それと同時に、反射ミラー膜を基板面が転写され鏡面状態になっている電極膜面上に形成するので、反射率の高い形状可変ミラー素子を提供することが可能となる。
【0029】
請求項16記載の発明は、薄い基板をエッチングしダイヤフラムを形成するダイヤフラム形成工程と、前記ダイヤフラム形成工程後に反射ミラー膜を形成する反射ミラー膜形成工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法であり、接合・転写等とは異なる製造方法であり、基板上に直接ダイヤフラムを形成することにより、製造工程が簡素化され歩留まりの高い形状可変ミラー素子が製造できるという作用を有する。それと同時に、反射ミラー膜を基板面が転写され鏡面状態になっている電極膜面上に形成することもできるので、反射率の高い形状可変ミラー素子を提供することが可能となる。
【0030】
請求項17記載の発明は、薄い基板をエッチングしダイヤフラムを形成するダイヤフラム形成工程が2段階のエッチング工程を有し、前記薄い基板の厚みの半分以上をエッチングする第1の工程と、残りの厚み部分をエッチングする第2の工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法であり、第2の工程では薄い部分をエッチングすることによりダイヤフラムを形成することになるので、エッチング形状のバラツキを小さくでき寸法精度が優れたイヤフラムを形成できるという作用を有する。
【0031】
請求項18,19記載の発明は、光ディスクにデータを記録または再生する装置であって、レーザー光の波面収差を補正する手段を有する光ピックアップにおいて、請求項1〜13記載の形状可変ミラー素子もしくは請求項14記載の形状可変ミラーユニットとを波面収差補正手段として使用することを特徴とする光ピックアップであり、立ち上げミラー同様の取り扱いで光ピックアップの光学系へ組み付けることができるので、従来の光ピックアップの光学系の構成を大きく変更することなく、しかも容易に、波面収差補正手段を搭載することが可能となる。
【0032】
以下に、本発明の実施の形態をより詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態1について、図面を参照して説明する。ただし、本発明とは直接関係しないリード線や電圧を印加するため端子等は図示していない。さらに、図面中の膜厚や基板の厚み、変形量等は理解を容易にする目的のために、実際の寸法とは異なる。以下、全ての図面において同様である。
【0034】
図1は本発明の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0035】
図2は本発明の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0036】
形状可変ミラー素子1は、形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3で少なくとも構成されている。
【0037】
基板3は形状可変部2を支持しており、形状可変部2は上面より順に反射ミラー膜4、変形方向や変形形状等を決定する弾性板膜5、圧電膜7に電圧を印加するための第1電極膜6、伸縮により形状可変部2を変形させる圧電膜7、圧電膜7に電圧を印加するためのもう一方の第2電極膜8とを有している。
【0038】
基板3の材料としては、SiやMgO等の単結晶材料が圧電膜7の圧電特性が良好になりやすいために好適に使用されるが、特に制限されるものではない。しかし、形状可変ミラー素子1を作製する工程で高温処理をするプロセスを用いる場合には、耐熱性の良好な材料で基板3を構成することが好ましい。なお、基板3として、本実施の形態では、同一材料で構成された単板あるいは単シート状体を用いたが、同一材料で構成された単板あるいは単シート状体を接着剤などを用いて積層して構成してもよいし、異なる材料で構成された単板あるいは単シート状体を積層して構成してもよい。また、基板3としては、絶縁性あるいは導電性で構成された基体の表面にコーティングを施したものを用いてよい。また、基板3の外形形状としては、本実施の形態においては、四角形としたが、円形でも楕円形状でも多角形状でも三角形状でもよい。すなわち、図25(A)〜(D)に示すように、基板3の形状を仕様などによって変化させることで、取付性を向上させたり取付面積などを最小にできるなどの効果を有する。
【0039】
圧電膜7の構成材料としては、PZTやPZTと同系のPbを含むペロブスカイト酸化物などの圧電定数が高く変位の大きい材料が好適に使用される。
【0040】
また、圧電膜7の形成方法は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法、またはゾルゲル法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0041】
弾性板膜5の構成材料としては、特に材料に制限されることはなく樹脂、金属、セラミック等の材料が使用できる。本実施の形態においては、弾性板膜5の構成材料にクロムあるいはクロム合金を使用した。また、基板3自体を弾性材料で構成した場合には、基板3が弾性板膜の機能を有することにもなるので、弾性板膜5は必ずしも必要としない。
【0042】
また、弾性板膜5の形成方法も、圧電膜7の形成方法と同様、例えば、スパッタ法、CVD法、または蒸着法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0043】
反射ミラー膜4の構成材料としては、高反射率のAu,AlやAg等の金属膜やあるいは高反射率の合金膜を用いてもよく、更には誘電体多層膜が好適に使用される。誘電体多層膜は、反射させたい光の波長をλとした時に、高屈折率λ/4膜と低屈折率λ/4膜を交互に積層したものである。誘電体多層膜の材料としては、高屈折率膜には例えばTiO2やTa2O5が好適に使用され、例えば低屈折率膜にはSiO2やMgF2が好適に使用される。本発明では高屈折率膜にTiO2を使用し、低屈折率膜にSiO2を使用している。また、一層のSiO2膜(低屈折率誘電体膜)とその膜に密着して形成された一層のTiO2膜(高屈折率誘電体膜)を1周期とした場合には、反射率を大きくする点と薄型化を考慮すると3周期から40周期とすることが好ましい。この周期を多くして誘電体多層膜を積層することで、反射率は大きくなる。この様に誘電体多層膜の周期を増減することで所望の反射率を調整可能となる。
【0044】
反射ミラー膜4の形成方法も、圧電膜7の形成方法と同様、例えば、スパッタ法または蒸着法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0045】
第1,第2電極膜6,8の構成材料としては導電性の高い金属が好適に使用される。形状可変ミラー素子1を作製する工程で高温処理をするプロセスを用いる場合には、PtやIrもしくはその合金など高温に強い材料が望ましい。第1,第2電極膜6,8の形成方法も、圧電膜7の形成方法と同様、例えば、スパッタ法または蒸着法と多くあるが、薄膜を形成できる技術であれば、特に制限されることはない。
【0046】
なお、第1電極膜6と第2電極膜8では、その構成材料を異ならせてもよい。第1及び第2電極膜6,8はそれぞれ異なる材質の導電膜を積層しても良い。また、第1電極膜6を単層で構成し、第2電極膜8を多層構造としたりするなど、第1及び第2電極膜6,8で積層構造を互いに異ならせても良い。なお、第1及び第2電極膜6,8に外部から電圧を加える方法については、後述する。
【0047】
また、形状可変部2は図2に示すように、基板3上の一部に設けられており、反射させたい光をほぼ形状可変部2で反射させることができる。すなわち、本実施の形態では、形状可変部2を形状可変部2よりも面積の大きな基板3の略中央部に設けることによって、形状可変ミラー素子1を他の部材に取り付ける際に、取り付け面積を大きくすることができ、取り付け強度などを強くすることができる。また、形状可変ミラー素子1に入射する光の入射面積は形状可変部2の形成面積よりも小さくすることで、確実に入射した光の反射方向を変えることができるが、多少入射する光の面積が形状可変部2よりも大きくても所望の特性は得られる。
【0048】
更に、本実施の形態では、製造上工程を簡単にするように、形状可変部2及び形状可変部2を設けた基板3の面上に一体に反射ミラー膜4を設けたが、少なくとも光を入射する面に(形状可変部2の少なくとも一部)反射ミラー膜4を設ければ良く、好ましくは形状可変部2全体に反射ミラー膜4を設けることが好ましい。また、反射ミラー膜4は、形状可変部2よりもわずかにはみ出す程度に設けても良い。
【0049】
この様に、反射ミラー膜4を少なくとも形状可変部2及び形状可変部2を含むその近傍部分に設ける場合には、パターニングやエッチングなどの手法を用いて、反射ミラー膜4を部分的に設ける。
【0050】
本実施の形態では、形状可変部2を基板3に一つのみ設けたが、図26(A),図26(B)に示すように複数の形状可変部2を一つの基板3上に設けても良い。図26には、形状可変部2を2個,4個設けた例を示したが、当然5個以上設けてもよく、奇数個設けても良い。形状可変部2を設ける個数は、仕様などによって適宜決定可能であり、このような構成によって、一つの基板3に搭載した第1の形状可変部と第2の形状可変部では、それぞれ反射させる光の波長を異ならせたり、あるいは、同じ光を第1および第2の形状可変部2に照射して反射方向を変えたりさまざまなバリエーションを持たせることができる。すなわち、形状可変部2を複数設けた場合に、それぞれを同期して動作させることも可能であるし、それぞれを独立して動作させることもできる。また、形状可変部2の形状としては、円形状としたが、図27(A)〜(C)に示すような三角形状,方形状,5角形などの多角形状とすることもでき、これらは、仕様などによって適宜形状を変更可能である。
【0051】
本実施の形態の形状可変ミラー素子の製造方法について、図面を参照して説明する。図5は形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子断面図である。
【0052】
まず、図5(A),(B)に示すように厚みが200μm〜400μmの薄いSi基板3上に第2電極膜8、圧電膜7、第1電極膜6と弾性板膜5を順次形成する。第2電極膜8の材料にはIrを使用し、第1電極膜6にAu/Tiを使用し、各電極膜6,8の厚みは0.05μm〜0.1μmμmとした。圧電膜7の材料にはPZTを使用し、PZTの厚みは1μmから5μmとした。弾性板膜5の材料には付着力や耐腐食性に優れるCrを使用し、Crの膜厚は1μm〜3μmとした。膜の形成は、第1電極膜のAu/Tiは基板3側からAu膜,Ti膜の順で蒸着法を使用して成膜し、他の膜はスパッタ法でおこなった。
【0053】
次に、図5(C)に示すように弾性板膜5等の積層膜をフォトリソグラフィー法とエッチング法により所望の形状に加工する。
【0054】
最後に、図5(D)に示すように反射ミラー膜4を形成する。本実施の形態においては、反射ミラー膜4にSiO2/TiO2からなるλ/4膜を蒸着法により20層形成した。これにより、形状可変ミラー素子1が完成する。
【0055】
なお、説明及び図示をしていないが、必要に応じて絶縁膜を各膜の層間に形成する。例えば、基板3に導電性の比較的高いSi基板を使用している場合には第2電極膜8と基板3との間に絶縁膜を形成すれば良いし、弾性板膜5に金属膜を使用する場合には第1電極膜6と弾性板膜5との間に絶縁膜を形成すれば良い。例えば、絶縁性を確保するには、基板3と第2電極膜8の間にシリカなどの膜を形成したり、あるいは、基板3を上述のように、Si基板で形成した場合には、シリコンの表面を酸化させて絶縁層を形成しても良く、この様に別途の膜を設けなくても構成する各膜の構成材料の特性を生かして、熱処理や薬品処理などによって絶縁膜を形成することで、より簡単に絶縁膜を形成でき工程なども簡単になって生産性が向上する。
【0056】
以上のように構成された形状可変ミラー素子の動作を図面とともに説明する。図3および図4は形状可変ミラー素子2の動作を示す側断面図である。形状可変ミラー素子1の第1電極膜6と第2電極膜8に電圧を印加すると、例えば図3で示す断面形状になる。逆の極性の電圧をそれぞれの個別電極膜6,8に印加した場合、図4で示す断面形状となる。圧電膜7は電圧が印加されると伸び縮みする。そのため、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合に電圧印加部分の圧電膜7が伸びるとした場合、マイナス極性の電圧を印加した場合には電圧印加部分の圧電膜7は縮む。その結果、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合、図3の如く反射ミラー面は凸面となる。逆に、第1電極膜6にマイナス極性の電圧を印加した場合、図4の如く反射ミラー面は凹面となる。
【0057】
以上、説明したように、本発明の実施の形態1の形状可変ミラー素子によれば、薄い基板と積層膜で構成されているので、極めて簡単な構成でしかも薄い素子が可能となる。その結果、低い印加電圧でも変形量が大きい形状可変ミラー素子が実現できる。
【0058】
(実施の形態2)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
【0059】
図6は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0060】
図7は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0061】
以下、特に詳述していない部分は実施の形態1と同様である。
【0062】
形状可変ミラー素子1は、少なくとも形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3とで構成される。
【0063】
基板3は形状可変部2を支持しており、例えばガラス基板9と樹脂層11からなる。形状可変部2は上面より反射ミラー膜4、圧電膜7を電圧印加するための第2電極膜8、伸縮により形状可変部2を変形させる圧電膜7、圧電膜7を電圧印加するためのもう一方の第1電極膜6、変形方向や変形形状等を決定する弾性板膜5とからなる。本実施の形態においては、樹脂層11に実施の形態1に示す弾性板膜5の機能を持たせているので、弾性板膜5と樹脂層11とは同一である。
【0064】
本実施の形態で使用した材料は実施の形態1とほぼ同様である。異なる点は、基板3としてガラス基板9と樹脂層11を使用した点である。ガラス基板9は、特にガラス材料に制限されるものではなく表面が平滑で好ましくは鏡面を有するものであればよい。樹脂層11の材料は、圧電膜のヤング率の1/100〜1/10程度の弾性に富む材料が使用される。
【0065】
本実施の形態の形状可変ミラー素子の製造方法について、図面を参照して説明する。図10は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図である。
【0066】
本実施の形態の製造工程の特徴は、2種類の基板を使用することにある。すなわち、圧電膜7を形成する第1基板10と形状可変ミラー素子1を支持する基板(ガラス基板9)を使用する。両基板は製造工程の途中で接着し、圧電膜7を形成した第1基板10はエッチング等により除去される。
【0067】
最初に、図10(A),(B)に示すように第1基板10上に第2電極膜8と圧電膜7と第1電極膜6とを形成する。第1基板10の材料としてはMgO単結晶を使用した。これと並行して、図10(C),(D)に示すようにガラス基板9には樹脂層11を形成する。ガラス基板9の材料としてはガラスを使用したが、他の材料で構成された板材料でも良い。樹脂層11の材料にはポリイミドを使用したが、他の樹脂材料でも良い。樹脂層11の形成は液状のポリイミド樹脂を塗布し焼成することにより行われる。
【0068】
次に、図10(E)に示すように第1基板10の膜面とガラス基板9のポリイミドで構成された樹脂層11の面とを合わせ接着を行う。この接着に用いる接着材料にはエポキシ樹脂系の接着剤を使用したが、他の材料でも良い。次に、リン酸水溶液によりMgO基板である第1基板10を全てエッチング等により除去する。これにより、MgO基板である第1基板10上の積層膜は基板3(ガラス基板9+樹脂層11)に転写されたことになる。この後、電少なくとも積層膜等をフォトリソグラフィーとエッチング等により所望の形状に加工する。その結果、圧電膜7の下面には柔らかいエポキシ樹脂やポリイミド樹脂(樹脂層11:弾性体膜5の機能を有する)が配置することになるので、圧電膜7に対する拘束力がガラス基板9やMgO基板で構成された第1基板10に対して小さくなる。しかも、これらの樹脂は適度な硬さを有するために圧電膜用配線層(第1,第2電極膜6,8)の形成等を妨げない。最後に、第2電極膜8上に反射ミラー膜4を形成することにより形状可変ミラー素子1が完成することになる。
【0069】
このように構成された形状可変ミラー素子1の動作を図面とともに説明する。図8および図9は本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図である。形状可変ミラー素子1の第1電極膜6と第2電極膜8に電圧を印加すると、例えば図8で示す断面形状になる。逆の極性の電圧をそれぞれの第1、第2電極膜に印加した場合、図9で示す断面形状となる。圧電膜7は電圧が印加されると伸び縮みする。そのため、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合に電圧印加部分の圧電膜7が伸びるとした場合、マイナス極性の電圧を印加した場合には電圧印加部分の圧電膜7は縮む。その結果、第1電極膜6にプラス極性の電圧を印加した場合、図8の如く、ガラス基板9はほとんど変形しないが、形状可変部2は弾性に富む柔らかい樹脂(樹脂層11)を引き伸ばすようにして変形することになる。その結果、反射ミラー膜4の反射面は凸面となる。逆に、第1電極膜6にマイナス極性の電圧を印加した場合、図9の如く、ガラス基板9はほとんど変形しないが、形状可変部2は柔らかい樹脂(樹脂層11)を押し縮めるようにして変形することになる。その結果、図9の如く反射ミラー膜4の反射面は凹面となる。
【0070】
以上のように、本実施の形態2の形状可変ミラー素子1によれば、ガラス基板9と形状可変部2の間にはポリイミド等の樹脂層11が形成されており、形状可変部2は剛性の高いガラス基板9等に拘束されず樹脂層11に拘束される。樹脂は弾性に富むために、形状可変部2の拘束力がガラス基板9と比較し軽減される。その結果、形状可変部2は低い印加電圧でも効率的に変形させることができ、変形量の大きい形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0071】
また、本実施の形態の製造方法によれば、ガラス基板9等の平滑性が転写され鏡面状態になっている第2電極膜8面上に反射ミラー膜4を形成するので、極めて反射率の高い形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0072】
(実施の形態3)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態3について、図面を参照して説明する。
【0073】
図11は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0074】
図12は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0075】
以下、特に詳述していない部分は実施の形態1と同様である。
【0076】
実施の形態3の形状可変ミラー素子の特徴は形状可変部2がダイヤフラム構造となっていることである。
【0077】
形状可変ミラー素子1は、少なくとも形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3で構成される。
【0078】
基板3としてはSi基板を用い、形状可変部2の周囲(周縁部)を支持する構造となっている。形状可変部2の内周部はダイヤフラム構造となっている。形状可変部2は上面より反射ミラー膜4、圧電膜7を電圧印加するための第1電極膜6、伸縮により形状可変部2を変形させる圧電膜7、圧電膜を電圧印加するためのもう一方の第2電極膜8、変形量や変形形状等を決定する弾性板膜5と、からなる。
【0079】
なお、本実施の形態で使用した材料等は実施の形態1と同様である。
【0080】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1の製造方法について説明する。図15は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図である。本実施の形態の製造工程の特徴は、形状可変部をダイヤフラム構造とするための基板エッチング工程がある点である。
【0081】
まず、図15(A),(B)に示すように両面ともに酸化膜が形成されたSiからなるあるいはSiを含む基板3上に第2電極膜8と圧電膜7と第1電極膜6と弾性板膜5を順次形成する。また、第2電極膜8の材料にはIrを使用し、第1電極膜6にAu/Tiを使用し、各電極膜の厚みは0.1μmとした。圧電膜7にはPZTを使用し、PZTの厚みは3μmとした。
【0082】
次に、図15(C)に示すように弾性板膜5等をフォトリソグラフィー法とエッチング法により所望の形状に加工する。
【0083】
次に、反射ミラー膜4を形成する。本実施の形態3においては、反射ミラー膜4にSiO2/TiO2からなるλ/4膜を20層形成した。
【0084】
最後に、図15(D)に示すようにダイヤフラム12の形成するために、基板3として用いたSi基板のエッチングを行う。基板3として用いたSi基板の裏面にSi酸化膜からなるエッチング用のマスクパターンを形成する。その後、Si基板の裏面からKOH溶液などのエッチング液やリアクティブイオンエッチング(RIE)を使用して所望の深さまでエッチング加工することにより、形状可変部2がダイヤフラム12となる。これにより、形状可変ミラー素子1が完成する。なお、本実施の形態の製造方法は、反射ミラー膜4を形成した後にダイヤフラム12を形成したが、両工程を逆としても何ら差し支えない。また、本実施の形態では、ダイヤフラム12を形成する場合に、基板3の裏面から表面にいくに従って、次第に断面径が小さくなるような穴を設けるように構成したが、断面が変化しないような径等の穴を設けてダイヤフラム12を形成しても良い。
【0085】
以上のように構成された形状可変ミラー素子1の動作を図13と図14に示した。図13および図14は本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図である。動作の説明は実施の形態1と同様なのでここでは省略する。本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子1よれば、形状可変部2がダイヤフラム12からなる構成なので基板3に拘束されることが無い。その結果、形状可変部2は低い印加電圧でもより一層効率的に変形させることができ、変形量が非常に大きい形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0086】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1は、ダイヤフラム12からなる積層膜の内部応力を調整すると更に好ましい。形状可変ミラー素子1を構成する膜は全て内部応力を持つ。ダイヤフラム12からなる形状可変部2を構成する積層膜の内部応力の総和が基板3に対して引張り応力とした場合、更に優れた形状可変ミラー素子1が実現できる。すなわち、ダイヤフラム12を形成した時、ダイヤフラム12からなる積層膜は内部応力が開放される。積層膜が弾性限界内の引張り応力の場合、ダイヤフラム12からなる積層膜は自ら縮もうとする力が働く。その結果、ダイヤフラム12は全く撓むことがない平面性に優れた状態で形成される。
【0087】
また、積層膜が圧縮応力の場合、ダイヤフラム12からなる積層膜は自らの伸びようとする力が働く。その結果、ダイヤフラム12は撓み、平面性に劣った変形した状態で形成され易くなる。しかも、圧縮応力が極めて大きいとダイヤフラム12の撓みが大きくなり形状可変ミラー素子1として機能しない場合が生じる。圧縮応力による形状可変部2の撓み変形量がPV値で使用波長の1/4以下となる応力値で積層膜を形成した場合、反射ミラー膜4の反射面は理想的な鏡面となる。従って、予め、形状可変ミラー素子1を構成する積層膜の内部応力の総和をコントロールすることで、内部応力による形状可変部2の変形量がPV値で使用波長の1/4以下が実現できるために、実用上、非常に優れた形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0088】
また、本実施の形態の他の製造方法として、弾性板膜面5上に反射ミラー膜4を形成したが、第2電極膜8面上に形成すると更に実用上好ましい形状可変ミラー素子1が実現できる。すなわち、各電極膜6,8や弾性板膜5等を多層にわたって積層すると膜表面は粗くなるので、基板3の鏡面が転写され鏡面状態になっている第2電極膜8面に反射ミラー膜4を形成した場合、極めて高い反射率の形状可変ミラー素子1が実現できる。
【0089】
さらに、本実施の形態の他の製造方法として、ダイヤフラム形成工程を2つの工程に分けても良い。例えば、第1のダイヤフラム形成工程により基板3の厚みの半分以上をエッチングし、第2のダイヤフラム形成工程により残りの部分をエッチングすることにより、ダイヤフラム12を形成する。一般に、ダイヤフラム12の形状は形状可変ミラー素子1の変形形状に影響を与えるために精密なエッチング加工が必要となる。しかし、基板3として用いたSi基板は一般に300〜500μm程度の厚みなので、基板3の裏面よりエッチングマスクパターンを形成し、表面の寸法形状を精密に加工することは非常に困難である。ダイヤフラム形成工程を2つの工程に分けた場合、第1の工程ではダイヤフラム12を形成することがないので、加工精度は粗で良い。また、第2のダイヤフラム形成工程ではダイヤフラム12は形成をするために、加工精度は高いことが必要であるが、エッチングする基板3の厚み自体が予め薄くなっているので、非常に寸法精度の良いエッチング加工が実現できる。
【0090】
(実施の形態4)
以下、本発明の形状可変ミラー素子の実施の形態4について、図面を参照して説明する。
【0091】
図16は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の側断面図である。
【0092】
図17は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図である。
【0093】
以下、特に詳述していない部分は実施の形態1と同様である。
【0094】
また、実施の形態4の形状可変ミラーの特徴は形状可変部の弾性板膜の膜厚が不均一となっていることである。
【0095】
形状可変ミラー素子1は、少なくとも形状可変部2と形状可変部2を支持する基板3とを有している。
【0096】
基板3はSi基板等から構成され、形状可変部2の周囲を支持する構造となっている。形状可変部2の内周部はダイヤフラム構造となっている。形状可変部2は上面より反射ミラー膜4、圧電膜7に電圧を印加するための第1電極膜6、伸縮により形状可変部を変形させる圧電膜7、圧電膜7に電圧を印加するためのもう一方の第2電極膜8、変形方向や変形形状等を決定する弾性板膜5を加工した凸凹弾性板膜13とを有している。なお、本実施の形態で使用した材料は実施の形態1と同様である。
【0097】
本実施の形態の形状可変ミラー素子の製造方法について説明する。図20は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図である。本実施の形態の製造工程の特徴は、形状可変部2の振動板膜厚を複数の工程でエッチング加工する点である。
【0098】
まず、図20(A),(B)に示すように両面ともにSi酸化膜が形成されたSiからなる基板3上に第2電極膜8と圧電膜7と第1電極膜6と振動板膜5を順次形成する。
【0099】
また、第2電極膜8の材料にはIrを使用し、第1電極膜6にAu/Tiを使用し、各電極膜の厚みは0.1μmとした。圧電膜7にはPZTを使用し、PZTの厚みは3μmとした。
【0100】
次に、図20(C),(D)に示すように弾性板膜5をフォトリソグラフィー法とエッチング法により所望の形状に加工する。本実施の形態では、変形形状を曲率とするために、弾性板膜5の膜厚を同心円上に外周部分は厚く、内周部分は薄くした。また、弾性板膜5の加工は2つの工程に分けて行った。また、エッチング方法はリアクティブイオンエッチング(RIE)を使用し所望の深さまでエッチング加工した。このように、弾性板膜5に加工を施すことで、凸凹振動板膜13を形成する。
【0101】
次に、図20(E)に示すようにダイヤフラム12を形成するために、基板3として用いたSi基板の裏面にSi酸化膜からなるエッチング用のマスクパターンを形成する。以後、Si基板の裏面からKOH溶液などのエッチング液やリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いて所望の深さまでエッチング加工することにより、Si基板には形状可変部2がダイヤフラム12となる。
【0102】
最後に、図20(F)に示すように反射ミラー膜4を形成する。本実施の形態においては、反射ミラー膜4にSiO2/TiO2からなるλ/4膜を20層形成した。これにより、形状可変ミラー素子1が完成する。
【0103】
以上のように構成された形状可変ミラー素子1の動作を図18と図19に示した。図18および図19は本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図である。動作の説明は実施の形態1と同様なのでここでは省略する。実施の形態3の形状可変ミラー素子1においては、図13と図14の示す如く、形状可変部2の変形形状は楕円円弧状になる。一方、本実施の形態の形状可変ミラー素子1では図18と図19示す如く、形状可変部2の変形形状は円弧状になる。
【0104】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1は、弾性板膜5の膜厚を不均一にすることで、形状可変部2の変形形状を制御したが、圧電膜7の膜厚を不均一にすることで、変形形状を制御することも可能である。
【0105】
また、圧電膜7と弾性板膜5の両膜の厚みを不均一にすれば、更なる自由度を持った変形形状が可能となることは言うまでもない。
【0106】
以上のように、本実施の形態の形状可変ミラー素子1によれば、弾性板膜5もしくは圧電膜7の膜厚を不均一にすることで、予め設定された曲率になるように適正な膜厚に調整するので、常に安定な曲率の変形形状が実現できる。例えば、レーザービームの波面を制御が可能となるので、集光性の良い焦点が安定的に実現できる。また、レーザービーム径を縮小・拡大の制御が可能となるので、レーザービームの焦点位置を安定的に可変できる。
【0107】
(実施の形態5)
図面を参照して本発明の実施の形態の形状可変ミラーユニットを説明する。図21形状可変ミラーユニットの構成を模式的に示す斜視図である。この形状可変ミラーユニット15は、形状可変ミラー素子1が弾性部材16によって浮遊支持された可動部として構成されている。より詳細には、形状可変ミラーユニット15は、形状可変ミラー素子1と形状可変ミラー素子1を支持し固定するベース17、及び形状可変ミラー素子1とベース17を弾性部材16により浮遊支持する筐体18とを有している。
【0108】
本実施の形態における形状可変ミラーユニット15のアクチュエーターはボイスコイルモータである。筐体18にはコイル19が配されており、磁束付与手段として働く。ベース17の裏面に固定された永久磁石20を配している。従って、形状可変ミラーユニット15は、コイル19へ電流供給を行うことによって、形状可変ミラー素子1自体が動作可能となっている。本実施の形態においては高さ方向のみの駆動機構の場合を示したが、弾性部材16の支持方法とコイルと磁石の配置により2軸以上の方向も動作可能である。
【0109】
以上のように、本発明の形状可変ミラーユニット15によれば、光ピックアップ等の光学系に組み付けた場合、組み付けバラツキをアクチュエーターにより容易に補正できる。
【0110】
なお、本実施の形態では、永久磁石20をベース17に搭載し、筐体18にコイル19を搭載したが、逆に、筐体18に永久磁石20を、ベース17にコイル17を搭載しても良い。
【0111】
(実施の形態6)
図面を参照して本発明の実施の形態の光ピックアップを説明する。図22は本発明の形状可変ミラーを含む光ピックアップの光学系を示す図である。
【0112】
このような構成を備えた光ピックアップ20では、レーザー素子21から発せられたレーザー光は、コリメーターレンズ22により平行光に変換される。この平行光は、形状可変ミラー素子1で反射され、偏向ビームスプリッタ23を通り、対物レンズ24で集光され、光ディスク25に焦点を結ぶ。光ディスク25から反射したレーザー光は、対物レンズ24、λ/4板26及び偏向ビームスプリッタ23を通り、光検出光学系27で集光され、光検出素子28で検出する。この検出素子28にはチルト検出用の検出素子も含まれている。
【0113】
この光学系では、光ディスク25がレーザー光の光軸に垂直な位置から傾くと、光ディスクから反射して戻ってきたレーザー光の波面は乱れ、波面収差(コマ収差)が発生する。つまり、光ディスクがレーザーの光軸に対して垂直であれば、波面は図で示すような収差を含まれないが、ディスクがチルトしたときに発生する波面収差は、反射光にそのまま含まれる。この場合、予め形状可変ミラー素子1を波面収差分のみ変形させて、レーザー光に波面収差を発生させると、光ディスク記録面の焦点において位相の揃ったレーザー光が集光するように制御することにより、波面収差が減少させることができる。
【0114】
なお、本実施の形態では波面収差補正素子として、形状可変ミラー素子1を使用したが、形状可変ミラーユニット15であれば更に収差補正制御の自由度が高くなるので、より正確な記録再生が実現できる。
【0115】
また、光ディスクの保護膜の膜厚が不均一な場合には、波面収差(コマ収差)が発生する。この場合も予め形状可変ミラー素子を波面収差分のみ変形させることにより、波面収差が減少させることができる。
【0116】
本発明の光ピックアップによれば、簡単な構成でサイズが小さいので、立ち上げミラー同様の取り扱いで光ピックアップの光学系組み付けることが可能となる。その結果、構造を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップが実現できる。
【0117】
電極の引き回し構造について図面を参照して説明する。図23は本発明の形状可変ミラー素子の配線構造を示す図である。
【0118】
126は第2電極膜8と駆動回路を結線するための第2電極端子である。また、第2電極膜8と第2電極端子126は引き回し線127により結線がなされている。
【0119】
128は第1電極膜6と駆動回路を結線するための第1電極端子である。また、第1電極膜6と第1電極端子128は引き回し線129により結線がなされている。
【0120】
130は第2電極膜8と第2電極端子126および引き回し線127を基板3と絶縁するための絶縁膜である。
【0121】
131は第1電極膜6を弾性板膜5と絶縁するための絶縁膜である。
【0122】
本実施の形態の形状可変ミラー素子1の反射ミラー膜4には誘電体多層膜を使用しており、誘電体多層膜はそれ自体が絶縁膜としても機能する。
【0123】
第2電極膜8,第2電極端子126及び引き回し線127は、絶縁膜130上に密着されてなる同一の膜で形成されている。
【0124】
第1電極6,第1電極端子128及び引き回し線129は、圧電膜7上に密着されてなる同一の膜で形成されている。
【0125】
この時、第1電極6と引き回し線129とを絶縁するために、圧電膜7を絶縁膜として利用しているので、引き回し線129や第1電極端子128の下には第2電極端子126や引き回し線127と同層の膜は無い。
【0126】
他の電極の引き回し構造の実施の形態について、図面を参照して説明する。図24は本発明の形状可変ミラー素子の電極の引き回し構造を具体的に示す図である。
【0127】
第2電極膜8から第2電極端子126への引き回しは、(電極引き回し構造の実施の形態1)と同様なのでここでは省略する。
【0128】
第1電極6から第1電極端子128への引き回し構造は、圧電膜上に絶縁膜131にスルーホールを形成し引き回し線を結線することによりなる。
【0129】
従って、本実施の形態の場合は、第1電極膜6の膜と、第1電極端子128と引き回し線129の膜の同一層ではない。
【0130】
【発明の効果】
以上のように、本発明の形状可変ミラー素子によれば、簡単な構成で極めて薄く、低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子及び形状可変ミラーユニットを提供できるという優れた効果が得られる。
【0131】
また、本発明の形状可変ミラー素子の製造方法によれば、形状可変部下に薄い基板を接合することのない工程を備えた構成よりなる低い印加電圧でも変形量の大きい形状可変ミラー素子の製造方法をできるという優れた効果が得られる。それと同時に、極めて高い反射率の形状可変ミラー素子を提供という優れた効果も得られる。
【0132】
さらに、本発明の光ピックアップよれば、従来の光ピックアップの光学系の構成を大きく変更することなく、波面収差補正手段を搭載した光ピックアップを提供できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の形状可変ミラー素子の側断面図
【図2】本発明の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図3】形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図4】形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図5】形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図6】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の側断面図
【図7】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図9】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図10】本発明の実施の形態2の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図11】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の側断面図
【図12】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図13】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図14】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図15】本発明の実施の形態3の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図16】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の側断面図
【図17】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の反射ミラー面側を示す斜視図
【図18】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図19】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の動作を示す側断面図
【図20】本発明の実施の形態4の形状可変ミラー素子の製造工程を示す形状可変ミラー素子の断面図
【図21】形状可変ミラーユニットの構成を模式的に示す斜視図
【図22】本発明の形状可変ミラーを含む光ピックアップの光学系を示す図
【図23】本発明の形状可変ミラー素子の配線構造を示す図
【図24】本発明の他の実施の形態における形状可変ミラー素子の配線構造を示す図
【図25】本発明の一実施の形態における形状可変ミラー素子を示す図
【図26】本発明の一実施の形態における形状可変ミラー素子を示す図
【図27】本発明の一実施の形態における形状可変ミラー素子を示す図
【符号の説明】
1 形状可変ミラー素子
2 形状可変部
3 基板
4 反射ミラー膜
5 弾性板膜
6 第1電極膜
7 圧電膜
8 第2電極膜
9 ガラス基板
10 第1基板
11 樹脂層
12 ダイヤフラム
13 凸凹振動板膜
15 形状可変ミラーユニット
16 弾性部材
17 ベース
18 筐体
19 コイル
20 永久磁石
21 レーザー素子
22 コリメーターレンズ
23 偏向ビームスプリッタ
24 対物レンズ
25 光ディスク
26 λ/4板
27 光検出光学系
28 光検出素子
29 光ピックアップ
Claims (18)
- 圧電膜と、前記圧電膜に電圧を供給する第1電極膜及び第2電極膜と、前記圧電膜に設けられた反射ミラー膜とを備えた形状可変部と、前記形状可変部を支持する基板とを備えた形状可変ミラー素子であって、形状可変部に弾性を付与する弾性手段を設けたことを特徴とする形状可変ミラー素子。
- 圧電膜の一方の面に第1電極膜を設け、他方の面に第2電極膜を設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 弾性手段として、反射ミラー膜,第1電極膜,第2電極膜,基板の少なくとも一つに弾性を持たせたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 弾性手段として、別途弾性板膜を設け、前記弾性板膜を基板と反射ミラー膜の間に設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 基板において形状可変部を支持する面積は基板面積よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 形状可変部に設けられた反射ミラー膜は基板上まで延設され、しかも前記形状可変部に設けられた反射ミラー膜と前記形状可変部を非配設とした部分に設けられた反射ミラー膜は一体構成としたことを特徴とする請求項5記載の形状可変ミラー素子。
- 形状可変部の外形形状は、円形,楕円形,四角形,多角形,三角形から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 一つの基板上に形状可変部を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 前記弾性板膜が樹脂からなり、前記樹脂のヤング率が前記圧電膜のヤング率の1/100〜1/10であることを特徴とする請求項4記載の形状可変ミラー素子。
- 前記形状可変部が、薄い基板の中空部分の開口部に形成されたダイヤフラム構成を有することを特徴とする請求項1記載の形状可変ミラー素子。
- 前記形状可変部を構成する膜の内部応力の総和が圧縮もしくは引張り応力状態であって、内部応力による前記形状可変部の変形量がPV値で使用する光の波長の1/4以下であることを特徴とする請求項10記載の形状可変ミラー素子。
- 形状可変部中に弾性手段として弾性板膜を設け、前記弾性板膜の膜厚が領域によって異なることを特徴とする請求項11記載の形状可変ミラー素子。
- 前記形状可変部にある前記圧電膜の膜厚が領域によって異なることを特徴とする請求項11記載の形状可変ミラー素子。
- 請求項1〜13いずれか1記載の形状可変ミラー素子と、前記形状可変ミラー素子自体を移動させるアクチュエーターとを一体化したことを特徴とする形状可変ミラーユニット。
- 圧電膜と第1電極膜または第2電極膜が形成された薄い基板と、樹脂を含む基板と、を接着する工程と、前記薄い基板をエッチングする工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法。
- 薄い基板をエッチングしダイヤフラムを形成するダイヤフラム形成工程と、前記ダイヤフラム形成工程後に反射ミラー膜を形成する反射ミラー膜形成工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法。
- 薄い基板をエッチングしダイヤフラムを形成するダイヤフラム形成工程が2段階のエッチング工程を有し、前記薄い基板の厚みの半分以上をエッチングする第1の工程と、残りの厚み部分をエッチングする第2の工程とを有することを特徴とする形状可変ミラー素子の製造方法。
- 光ディスクにデータを記録または再生する装置であって、レーザー光の波面収差を補正する手段を有する光ピックアップにおいて、請求項1〜13記載の形状可変ミラー素子もしくは請求項14記載の形状可変ミラーユニットとの少なくとも一方を搭載させたことを特徴とする光ピックアップ。
【請求校19】請求項1〜13記載の形状可変ミラー素子もしくは請求項14記載の形状可変ミラーユニットとの少なくとも一方を波面収差補正手段として使用することを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
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