JP2004346876A - エンジンのノッキング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】点火時期の遅角量を極力抑えつつノッキングを迅速に抑制し、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分にノッキングを抑制して、エンジンの出力低下、排気温度上昇、燃費悪化等を防止する。
【解決手段】ノッキングが発生すると、ノック強度に応じて遅角値が設定され、この遅角値を積算した点火時期遅角量TRNKによって点火時期が遅角されることで、ノッキングを迅速に抑制する。そして、ノッキングの発生が続いている間、点火時期遅角量TRNKが遅角値によってステップ的に積算・増加され、やがて、閾値ARを越える時間が設定時間Aに達したとき、バルブタイミングが遅角されてエンジンの実圧縮比が低下され、ノッキングが効果的に抑制される。
【選択図】 図4
【解決手段】ノッキングが発生すると、ノック強度に応じて遅角値が設定され、この遅角値を積算した点火時期遅角量TRNKによって点火時期が遅角されることで、ノッキングを迅速に抑制する。そして、ノッキングの発生が続いている間、点火時期遅角量TRNKが遅角値によってステップ的に積算・増加され、やがて、閾値ARを越える時間が設定時間Aに達したとき、バルブタイミングが遅角されてエンジンの実圧縮比が低下され、ノッキングが効果的に抑制される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのノッキング制御装置に関し、より詳細には、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整する可変バルブタイミング機構を備えたエンジンのノッキング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンにノッキングが発生した場合には、点火時期を遅角させてノッキングを抑制するようにしている。すなわち、点火時期を遅角させると、燃焼室内での混合気の着火時期が遅くなるため、ノッキングが生じにくくなり、ノッキング発生時には、点火時期を遅角させることによりノッキング抑制を行うことができる。
【0003】
しかしながら、点火時期を遅角させると、混合気の燃焼過程が全体的に遅延することになるため、爆発行程で燃焼ガスの熱エネルギーが完全に運動エネルギに変換される前に排気弁が開弁して燃焼ガスが排出されるようになり、エンジンの出力低下、排気温度の上昇、燃費悪化等が生じるという問題がある。
【0004】
このため、例えば、特開平8−338295号公報には、クランク軸に対するカム軸の位相を変えることによりバルブタイミングを可変とする可変バルブタイミング機構を備えたエンジンにおいて、点火時期の遅角とバルブタイミングの遅角とを併用し、ノッキングが強いときには、点火時期の遅角で回避し、弱いノッキングは、バルブタイミングの遅角で回避する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−338295号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の先行技術では、ノッキングが強いときには、点火時期の遅角量を大きくしなければならず、エンジン出力、排気温度、燃費を犠牲にせざるを得ない。また、弱いノッキングに対して可変バルブタイミング機構によりバルブタイミングを遅角させる場合であっても、可変バルブタイミング機構の作動は、エンジンの燃焼サイクルに比較して遅いため、直ちにノッキングを回避することはできず、その間、運転性が悪化するばかりでなく、エンジンの耐久性低下を招く原因となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、点火時期の遅角量を極力抑えつつノッキングを迅速に抑制し、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分にノッキングを抑制して、エンジンの出力低下、排気温度上昇、燃費悪化等を防止することのできるエンジンのノッキング制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンにノッキングが発生したとき、ノック強度を検出する手段と、上記ノック強度に応じて点火時期遅角量の増分を設定し、この増分値に基づく点火時期遅角量により点火時期を遅角させる手段と、上記点火時期遅角量が閾値を越える時間が設定時間継続したとき、所定の遅角量でバルブタイミングを遅角させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
その際、ノッキングが消滅した後は、点火時期遅角量を漸次的に減少させることが望ましく、点火時期の急激な進角化によるショックの発生を回避して円滑に通常状態の点火時期に移行させることができる。
【0010】
また、バルブタイミングの遅角量は、エンジン回転数に応じて設定し、低回転時は、高回転時に比較して上記バルブタイミングの遅角量を小さくすることが望ましく、回転数域で異なるノッキングの抑制効果に対し、全回転数域でバルブタイミングによるノッキングの抑制を確実なものとすることができる。
【0011】
また、ノッキングが消滅した後、点火時期遅角量が設定値未満の状態が設定時間継続したとき、バルブタイミングを所定量進角させることが望ましく、急激なエンジン運転状態の変化を回避しつつ迅速に通常のエンジン運転状態に応じたバルブタイミングに復帰させることができる。
【0012】
また、低回転・低負荷運転時には、バルブタイミングの遅角を実施しないことが望ましく、筒内の残留ガス濃度が高く、燃焼状態が必ずしも良好とは言えない低回転・低負荷運転時において、バルブタイミング遅角による実圧縮比の低下に伴う燃焼状態の悪化を未然に回避し、運転性の悪化を防止することができる。
【0013】
バルブタイミングを遅角させる場合の点火時期遅角量の閾値は、エンジン負荷に基づいて設定することが望ましく、強いノッキングが発生し易い高負荷の運転状態では、バルブタイミングを緻密に制御してノッキングの抑制と燃費悪化の回避とを両立することができ、また、比較的低負荷の運転状態では、バルブタイミングの変更を少なく抑え、システムの信頼性を向上することが可能となる。
【0014】
更に、バルブタイミングの遅角を実施するときには、バルブタイミングの遅角量に基づいて排気ガス還流量を減少させることが望ましく、バルブタイミングの遅角による燃焼悪化を補うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図、図2及び図3はノッキング制御ルーチンのフローチャート、図4は点火時期遅角とバルブタイミング遅角との関係を示すタイムチャートである。
【0016】
先ず、図1に基づいてエンジンの全体構成について説明する。同図において、符号1は、可変バルブタイミング機構付きエンジン(以下、単に「エンジン」と略記する)であり、図においては、シリンダブロック1aがクランク軸1bを中心として左右2つのバンク(図の右側が左バンク、左側が右バンク)に分割される水平対向型4気筒エンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に、吸気ポート2aと排気ポート2bとが気筒毎に形成されている。
【0017】
シリンダヘッド2の各吸気ポート2aにはインテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介して、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが介装されたスロットルチャンバ5が連通されている。そして、このスロットルチャンバ5の上流に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7に接続されるエアインテーク通路にチャンバ8が連通されている。
【0018】
また、吸気管6にはスロットル弁5aをバイパスするバイパス通路9が接続されており、このバイパス通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル回転数を制御するアイドル制御弁10が介装されている。また、インテークマニホルド3の各気筒の吸気ポート2aの直上流にインジェクタ11が配設され、シリンダヘッド2の各気筒毎に、放電電極を燃焼室に露呈すると共に点火コイル及びイグナイタを端子部に一体的に取付けた点火プラグ12が配設されている。
【0019】
更に、シリンダヘッド2の各排気ポート2bにエキゾーストマニホルド13が連通され、このエキゾーストマニホルド13の集合部に排気管14が連通されている。この排気管14には触媒コンバータ15が介装され、マフラ16に連通されている。
【0020】
また、エンジン1の排気系から吸気系へ排気ガスを還流させるため、一方のバンクのエキゾーストマニホルド13から排気ガス還流(EGR)通路17が延出され、エアチャンバ4に連通されている。EGR通路17には、EGR量を調整するためのEGR弁18が介装されており、このEGR弁18の開度に応じて排気ガスの一部が吸気系に還流される。
【0021】
一方、左右バンクの各シリンダヘッド2内に、それぞれ吸気カム軸19、排気カム軸20が配設され、クランク軸1bの回転が、各吸気カム軸19、各排気カム軸20に、クランク軸1bに固設されたクランクプーリ21、タイミングベルト22、吸気カム軸19に介装された吸気カムプーリ23、排気カム軸20に固設された排気カムプーリ24等を介して伝達される。そして、吸気カム軸19に設けられた吸気カム、及び排気カム軸20に設けられた排気カムにより、それぞれクランク軸1bと2対1の回転角度に維持される各カム軸19,20の回転に基づいて、吸気バルブ25、排気バルブ26が開閉駆動される。
【0022】
左右バンクの各吸気カム軸19と吸気カムプーリ23との間には、吸気カムプーリ23と吸気カム軸19とを相対回動してクランク軸1bに対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)を連続的に変更する周知の油圧駆動式可変バルブタイミング機構27がそれぞれ配設されている。本形態においては、各バンクの可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設け、排気バルブ26の開閉タイミングに対し、吸気バルブ25の開閉タイミングをエンジン運転状態に応じて変更する。
【0023】
各バンクの可変バルブタイミング機構27には、それぞれ、オイルパン1cから図示しないオイルポンプを介して供給される作動油圧を調整するためのオイルフロー制御弁28が備えられ、マイクロコンピュータ等からなる電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)50によって制御される。オイルフロー制御弁28は、例えばECU50によりデューティ制御されるスプール弁であり、通電電流に比例してオイルフロー制御弁28のスプールが軸方向に移動し、可変バルブタイミング機構27の進角室(進角作動の油圧室)、遅角室(遅角作動の油圧室)に連通する各ポートを切換えてオイルの流れ方向を切換えると共にパッセージの開度を調整し、可変バルブタイミング機構27の進角室、遅角室に供給する油圧の大きさが調整される。尚、可変バルブタイミング機構27の詳細な構成については、例えば、本出願人による特開2000−97096号公報に詳述されている。
【0024】
次に、エンジン1に取付けられたセンサ類について説明する。吸気管6のエアクリーナ7の直下流には、ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた吸入空気量センサ30が介装され、スロットルチャンバ5に配設されたスロットル弁5aに、スロットル開度センサ31が連設されている。また、シリンダブロック1aにノックセンサ32が取り付けられていると共に、シリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水通路33に水温センサ34が臨まされ、触媒コンバータ15の上流側に、O2センサ等の空燃比センサ35が配設されている。
【0025】
更に、エンジン1のクランク軸1bに軸着するクランクロータ36の外周に、クランク角センサ37が対設され、クランク軸1bに対して1/2回転する一方のバンク(図においては、左バンク)の吸気カムプーリ23の裏面に、気筒判別センサ38が対設されている、各バンクの吸気カム軸19の後端に固設されたカムロータ39の外周には、カム位置検出用のカム位置センサ40がそれぞれ対設されている。
【0026】
以上の各センサ類の出力信号は、ECU50に入力されて処理され、エンジン運転状態が検出される。ECU50は、予め内部に格納されている制御プログラムに従って、各センサ類・スイッチ類等からの信号を処理し、前述の各アクチュエータを介してエンジン制御を実行する。このエンジン制御は、インジェクタ11を介した燃料噴射制御、点火プラグ12に連設される点火コイルのイグナイタを介した点火時期制御を基本とし、アイドル制御弁10を介したアイドル回転数制御、EGR弁18を介したEGR制御、可変バルブタイミング機構27のオイルフロー制御弁28を介したバルブタイミング制御、ノックセンサ32の出力に基づいてノッキング発生を回避するためのノッキング制御等である。
【0027】
このようなECU50によるエンジン制御において、本発明に係わるノッキング制御は、ノッキングが発生した場合、ノッキングの強弱に拘わらず点火時期の遅角化を先行して実行することで、迅速にノッキングを抑制するようにしており、この点火時期の所定量の遅角化によってもノッキングが消滅しない場合には、更にバルブタイミングの遅角化を実行することで、吸気弁閉弁時から圧縮行程上死点までのピストン行程を短縮して実圧縮比を小さくし、ノッキングを消滅させる。
【0028】
具体的には、ECU50は、ノックセンサ32からの信号に基づいてノッキング発生の有無を判断し、ノッキング発生と判断した場合、先ず、エンジン運転状態に応じて設定される通常制御の点火時期を、ノッキングの強弱に応じて漸次的に遅角する。そして、点火時期の遅角量が設定値以上に達した状態が所定時間継続してもノッキングが消滅しない場合には、更に、バルブタイミングを通常の制御状態よりも遅角化してエンジンの実圧縮比を低くし、点火時期の遅角化によるエンジン出力低下、排気温度の上昇、燃費悪化を極力抑えつつ、ノッキングを確実に解消する。
【0029】
以下、ECU50によるノッキング制御について、図2及び図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0030】
このノッキング制御では、先ず、ステップS101で、ノックセンサ32の出力信号に基づいてノッキングが発生しているか否かを判断する。ノッキングが発生しているか否かは、例えば、ノックセンサ32から出力される振動波形を統計処理等して得られるノック強度と所定のノック判定レベルとを比較することで判断することができ、ノック強度がノック判定レベルを超えてノッキングが発生している場合には、ステップS102以降の処理を実行し、ノック強度がノック判定レベル以下でノッキング発生無しと判断される場合、ステップS110以降の処理を実行する。
【0031】
先ず、ノッキング発生有りの場合のステップS102以降の処理について説明する。ステップS102では、ノッキングが解消された場合の処理に備えて後述するタイマT2をクリア(T2=0)しておき、ステップS103で、ノック強度に応じて遅角値RNKを設定する。この遅角値RNKは、ノッキングを抑制するために点火時期を漸次的に遅角させる際の増分値となるものであり、ノック強度が小さいとき(ノッキングが弱いとき)には小さな値に設定され、ノック強度が大きい程(ノッキングが強い程)、大きな値に設定される。
【0032】
具体的には、遅角値RNKは、エンジン型式及び制御周期を考慮して予めシミュレーション或いは実験等によりノック強度をパラメータとして、その積算値である点火時期遅角量TRNKの時間平均値を比較的緩やかに変化させ得る値として求められる。そして、このようにして求めた値をデータマップ化してECU50内のメモリに記憶させておき、ノック強度をパラメータとするマップ参照により遅角値RNKを求める。
【0033】
次に、ステップS104へ進み、現在の点火時期遅角量TRNKを、ステップS103で設定した遅角値RNKを用いて増加・更新する(TRNK=TRNK+RNK)。この点火時期遅角量TRNKは、本ノッキング制御ルーチンと並行して実行される点火時期制御ルーチン(図示せず)において参照され、エンジン運転状態に基づいて設定される基本点火時期ADVBASEに対する遅角補正項として用いられる。但し、点火時期遅角量TRNKに対しては最大遅角量を定めるリミッタが設けられ、このリミッタ内で基本点火時期ADVBASEが補正される。
【0034】
点火時期制御ルーチンの処理は、周知の処理であり、詳細は省略するが、基本燃料噴射パルス幅等のエンジン負荷とエンジン回転数とに基づいて設定される基本点火時期ADVBASEを、冷却水温による水温補正値等により補正すると共に、ノック強度に応じた遅角補正項である点火時期遅角量TRNKにより遅角補正して最終的な点火時期ADVを設定し、点火タイマにセットする。そして、この点火タイマの計時を所定の基準クランクパルスをトリガとして開始し、点火時刻に達したとき、点火対象気筒のイグナイタへ点火信号を出力して点火プラグ12にスパークを発生させる。
【0035】
次に、ステップS104からステップS105へ進み、更新後の点火時期遅角量TRNKが閾値ARに達したか否かを調べる。この閾値ARは、本形態においては固定値であり、予めシミュレーション或いは実験等により、以下に説明する設定時間A内で、エンジンの出力低下、排気温度の上昇、燃費悪化等を必要最小限に抑えることのできる値を求め、ECU50内のメモリに固定データとして記憶しておく。
【0036】
その結果、TRNK<ARのときには、ステップS105からステップS109へジャンプし、点火時期遅角量TRNKが閾値AR以上である状態の継続時間を計時するためのタイマT1をクリアして(T1=0)ルーチンを抜け、TRNK≧ARのとき、ステップS106でタイマT1をカウントアップする(T1=T1+1)。
【0037】
その後、ステップS107へ進み、タイマT1が設定時間Aに達したか否かを調べる。その結果、T1<AのときにはステップS107からルーチンを抜け、T1≧Aのとき、ステップS107からステップS108へ進み、本ノッキング制御ルーチンと並行して実行される図示しないバルブタイミング制御ルーチンにおける目標バルブタイミングTCATGTを遅角側に変更するための遅角量TCA1を設定する。そして、ステップS109でタイマT1をクリアし、ルーチンを抜ける。
【0038】
遅角量TCA1は、バルブタイミングの遅角化によるエンジン出力の過度の低下や排気エミッションの悪化を回避しつつ、ノッキングを抑制し得る値として設定され、遅角限度を規制するリミッタ内でルーチンの実行周期毎にステップ的に積算される。
【0039】
この場合、遅角量TCA1は、予めシミュレーション或いは実験等により求めた固定値でも良いが、バルブタイミングの遅角効果は、エンジン回転数領域によって異なるため、遅角量TCA1を、エンジン回転数Nをパラメータとする演算式或いはマップ参照により設定することが望ましい。
【0040】
すなわち、低回転域では、バルブタイミングの遅角効果が大きく出るため、点火時期遅角量TRNKに対してバルブタイミングの遅角量TCA1を小さくし、高回転域では、バルブタイミングの遅角効果が相対的に小さくなるため、点火時期遅角量TRNKに対してバルブタイミングの遅角量TCA1を大きくすることにより、全回転数域でバルブタイミングによるノッキングの抑制を確実なものとすることができ、エンジンの信頼性確保や燃費悪化の防止効果をより一層向上することができる。
【0041】
また、バルブタイミングを遅角させるときには、点火時期遅角量TRNKは少なくとも閾値AR以上であり、且つ本形態においては閾値ARが固定値であることから、バルブタイミングを遅角させるときの点火時期は、ノッキング発生前のエンジン運転状態に応じた最適点火時期から少なくとも閾値ARに対応する遅角量だけ遅角されている。従って、この遅角化された点火時期とノック強度と考慮して設定することも可能であり、更には、大気圧や外気温等の環境条件、エンジン負荷、エンジン温度、変速比等の運転状態を加味した値として設定することも可能である。
【0042】
バルブタイミング制御では、通常、クランク軸1bの実際の回転角と吸気カム軸19の実際の回転角との位相差である実バルブタイミングTCAがエンジン運転状態に応じた目標バルブタイミングTCATGTに収束するよう、オイルフロー制御弁28をデューティ制御して通電電流を可変し、可変バルブタイミング機構27の作動油圧を調整するフィードバック制御を行っており、本ノッキング制御ルーチンによって遅角量TCA1が設定されると、この遅角量TCA1がバルブタイミング制御ルーチンにおいて参照され、目標バルブタイミングTCATGTが遅角量TCA1だけ遅角側に変更される。
【0043】
尚、実バルブタイミングTCAは、クランク角センサ37から出力されるクランク角を表すクランクパルスとカム位置センサ40から出力されるカム位置を表すカム位置パルスとから算出され、また、目標バルブタイミングTCATGTは、例えばエンジン負荷とエンジン回転数とに基づいて設定される。
【0044】
前述したように、本形態においては、可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設けており、目標バルブタイミングTCATGTが遅角側に変更されると、オイルフロー制御弁28のスプール軸が可変バルブタイミング機構27の遅角室に供給する油圧が大きくなる方向に移動し、吸気カムプーリ23に対する吸気カム軸19の回転位相すなわちクランク軸1bに対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)が遅角化され、吸気カム軸19の吸気カムによって駆動される吸気バルブ25の開閉タイミングが遅角される。
【0045】
その後、点火時期の遅角により、或いは点火時期の遅角とバルブタイミングの遅角とにより、ノッキングの発生が無くなると、ステップS101からステップS110以降の処理へ進む。この処理では、先ず、ステップS110で、点火時期の遅角のみでノッキングが消滅した後に、再度、ノッキングが発生した場合の処理に備えて前述のタイマT1をクリアする(T1=0)。次に、ステップS111へ進み、点火時期遅角量TRNKを設定値Bだけ減少させ(TRNK=TRNK−B)、ノッキング抑制のために遅角した点火時期を徐々に進角側に戻す。設定値Bは、予めシミュレーション或いは実験等により、点火時期の急激な進角化によるショックの発生を回避して円滑に通常状態の点火時期に移行させ得る適正値を求め、この適正値をECU50内のメモリに固定データとして記憶しておくものである。
【0046】
次に、ステップS112へ進み、点火時期遅角量TRNKが設定値CR未満になったか否かを調べる。設定値CRは、ノッキング発生していない運転状態での点火時期に復帰したことを判断するための値であり、0又は0近辺の値である、本形態においてはCR=0であり、TRNK≠0のときには、ステップS112からステップS116へジャンプしてTRNK=0である状態の継続時間を計時するためのタイマT2をクリアして(T2=0)ルーチンを抜け、TRNK=0のとき、ステップS112からステップS113へ進んで、タイマT2をカウントアップする(T2=T2+1)。
【0047】
その後、ステップS114へ進み、タイマT2が設定時間Cに達したか否かを調べる。設定時間Cは、点火時期がノッキング発生していない運転状態での点火時期に復帰し、この状態が安定的に継続していると判断することのできる時間であり、予めシミュレーション或いは実験等により求められる。そして、T2<CのときにはステップS114からルーチンを抜け、T2≧Cのとき、ステップS114からステップS115へ進み、変更したバルブタイミングを元に戻すべく、予め設定された進角量TCA2だけ漸次的に進角した後、ステップS116でタイマT2をクリアしてルーチンを抜ける。
【0048】
進角量TCA2は、前述の遅角量TCA1によって遅角側に変更された目標バルブタイミングTCATGTを、急激なエンジン運転状態の変化を回避しつつ迅速に通常のエンジン運転状態に応じた目標バルブタイミングに戻すことのできる値として、予めシミュレーション或いは実験等により求め、ECU50のメモリに記憶しておく。
【0049】
以上の動作を図4のタイムチャートを用いて説明する。当初、ノッキングが発生していない状態では、点火時期及びバルブタイミングはエンジン運転状態に応じた値に制御されており、この状態でノッキングが発生すると、ノック強度に応じて遅角値RNKが設定され、この遅角値RNKを積算した点火時期遅角量TRNKによって点火時期が遅角されることで、ノッキングを迅速に抑制する。そして、ノッキングの発生が続いている間、点火時期遅角量TRNKが遅角値RNKによってステップ的に積算・増加され、やがて、閾値ARを越える時間が設定時間Aに達したとき、バルブタイミングが遅角されてエンジンの実圧縮比が低下され、ノッキングが効果的に抑制される。このバルブタイミングの遅角では、実体積効率が低下するため、エンジン出力は低下するが、その出力低下の点火時期を遅角させた場合よりは小さく、排気温度の上昇も生じない。
【0050】
やがて、この点火時期の遅角とバルブタイミングの遅角とにより、ノッキングが消滅すると、応答性の速い点火時期の遅角による燃費悪化や排気温度の上昇を早期に解消するため、点火時期をバルブタイミングより先に通常状態の点火時期に復帰させるべく、点火時期が徐々に進角される。そして、点火時期遅角量TRNKが0に達し、TRNK=0の状態が設定時間C以上継続して安定した状態となったとき、改めてバルブタイミングが進角され、エンジンの実圧縮比が高められて燃焼の安定化による走行性の改善が図られる。
【0051】
このように、本実施の形態においては、ノッキングが発生したとき、ノック強度に応じて点火時期を遅角させ、この点火時期の遅角量が閾値以上の状態が設定時間継続したとき、バルブタイミングを遅角させるため、点火時期の遅角量を極力抑えつつ、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分に対応することができ、エンジン出力の低下、排気温度の上昇、燃費悪化を最小限に抑えることができる。
【0052】
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。図5は本発明の実施の第2形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャートである。
【0053】
第2形態は、前述の第1形態に対し、バルブタイミングを遅角する際の点火時期遅角量TRNKの閾値ARを、予め設定した固定値からエンジン負荷に応じた変数値に変更するものである。
【0054】
このため、第2形態のノッキング制御ルーチンは、図5に示すように、第1形態のノッキング制御ルーチンに、閾値ARをエンジン負荷に応じて設定するステップS104−1を追加する。
【0055】
すなわち、ステップS104で点火時期遅角量TRNKを遅角値RNKを用いて増加・更新(TRNK=TRNK+RNK)した後、ステップS104からステップS104−1へ進み、エンジン負荷に応じて閾値ARを演算或いはマップ参照により設定する。そして、エンジン負荷に応じて設定した閾値ARを用いてステップS105での点火時期遅角量TRNKと閾値ARとの比較を行う。
【0056】
閾値ARを設定するためのエンジン負荷としては、吸入空気量Qをエンジン回転数Nで除算して求められる1行程当たりの筒内空気量(Q/N)を用い、この筒内空気量(Q/N)が小さいとき(すなわちエンジン負荷が低いとき)には、閾値ARの値を大きく設定し、筒内空気量(Q/N)が大きくなる程(すなわちエンジン負荷が高くなる程)、閾値ARの値を比較的小さく設定する。
【0057】
これにより、強いノッキングが発生し易い高負荷の運転状態では、バルブタイミングを緻密に制御し、ノッキングの抑制と燃費悪化の回避とを両立することができ、また、比較的低負荷の運転状態では、バルブタイミングの変更を少なく抑え、システムの信頼性を向上することが可能となる。
【0058】
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。図6は本発明の実施の第3形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャートである。
【0059】
第3形態は、点火時期遅角量TRNKが閾値AR以上の状態が設定時間A以上継続した場合であっても、低速・低負荷運転時である場合には、バルブタイミングの遅角を実施しないものである。
【0060】
すなわち、低速・低負荷運転時には、筒内の残留ガス濃度が高く、燃焼状態が必ずしも良好とは言えない。また、このような運転条件下では、ノッキングが生じたとしてもノック強度は比較的小さいため、エンジンに対する悪影響は少ない。従って、低速・低負荷運転時にノッキングを抑制する目的でバルブタイミングを遅角させることは、実圧縮比の低下による燃焼状態の悪化を招き、却って運転性能が悪化する可能性が高い。
【0061】
このため、第3形態のノッキング制御ルーチンは、図6に示すように、第1形態のノッキング制御ルーチンに、低速・低負荷運転時を判断するステップS107−1,S107−2を追加する。
【0062】
すなわち、ステップS107で、点火時期遅角量TRNKが閾値AR以上の状態が設定時間A以上継続した場合、ステップS107からステップS107−1へ進み、エンジン回転数Nが設定値D以上か否かを調べる。そして、N<Dの場合には、そのままルーチンを抜けてバルブタイミングの遅角を実施せず、N≧Dの場合、更に、ステップS107−2で、吸入空気量Qが設定値E以上か否かを調べる。
【0063】
その結果、ステップS107−2においてQ<Eの場合には、ルーチンを抜けてバルブタイミングの遅角を実施せず、Q≧Eの場合、ステップS107−2からステップS108へ進んでバルブタイミングを遅角する。
【0064】
このように、エンジン回転数Nが設定値未満且つ吸入空気量Qが設定値E未満の低回転・低負荷運転時である場合には、敢えてバルブタイミングの遅角を実施しないことにより、実圧縮比の低下に伴う燃焼状態の悪化を未然に回避し、運転性の悪化を防止することができる。
【0065】
次に、本発明の実施の第4形態について説明する。図7は本発明の実施の第4形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャートである。
【0066】
第4形態は、点火時期の遅角に続いてバルブタイミングを遅角する際、バルブタイミングの遅角による実圧縮比の低下に伴う燃焼悪化を、EGR率を減少させて補うものである。
【0067】
すなわち、バルブタイミングを遅角させると、実圧縮比の低下により排気ガス中のNOxが減少するため、EGRによる排気ガスの還流量を減少させても排気ガスが悪化することがなく、EGR率を減少させることで、バルブタイミングの遅角による燃焼悪化を補うことができる。
【0068】
このため、第4形態のノッキング制御ルーチンは、図7に示すように、第1形態のノッキング制御ルーチンに対し、バルブタイミングの遅角量TCA1を設定するステップS108の後に、EGRに関するステップS108−1,S108−2の処理を追加する。
【0069】
すなわち、ステップS108でバルブタイミングの遅角量TCA1を設定した後、ステップS108からステップS108−1へ進み、遅角量TCA1に応じたEGRマップを参照する。そして、ステップS108−2で、EGR弁18の開度を調整してEGR率を変更し、タイマT1をクリアするステップS109を経てルーチンを抜ける。
【0070】
EGRマップは、バルブタイミングの遅角に対し、このバルブタイミングの遅角による燃焼悪化を補って運転性の悪化を回避し得るEGR率を、遅角量TCA1をパラメータとして予めシミュレーション或いは実験等により求めてデータマップ化したものであり、遅角量TCA1が大きくなる程、小さいEGR率がストアされている。
【0071】
すなわち、バルブタイミングの遅角量が大きいときには、EGR率を小さくしてEGR量を減少させることで、実圧縮比の低下による燃焼悪化を防止することができ、運転性の悪化を回避することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、点火時期の遅角量を極力抑えつつノッキングを迅速に抑制し、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分にノッキングを抑制して、エンジンの出力低下、排気温度上昇、燃費悪化等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図
【図2】同上、ノッキング制御ルーチンのフローチャート
【図3】同上、ノッキング制御ルーチンのフローチャート(続き)
【図4】同上、点火時期遅角とバルブタイミング遅角との関係を示すタイムチャート
【図5】本発明の実施の第2形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャート
【図6】本発明の実施の第3形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャート
【図7】本発明の実施の第4形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
27 可変バルブタイミング機構
32 ノックセンサ
50 ECU
ADV 点火時期
TRNK点火時期遅角量
AR 閾値
TCA 実バルブタイミング
TCA1 遅角量
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのノッキング制御装置に関し、より詳細には、エンジンのクランク軸とカム軸との間の回転位相を調整する可変バルブタイミング機構を備えたエンジンのノッキング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンにノッキングが発生した場合には、点火時期を遅角させてノッキングを抑制するようにしている。すなわち、点火時期を遅角させると、燃焼室内での混合気の着火時期が遅くなるため、ノッキングが生じにくくなり、ノッキング発生時には、点火時期を遅角させることによりノッキング抑制を行うことができる。
【0003】
しかしながら、点火時期を遅角させると、混合気の燃焼過程が全体的に遅延することになるため、爆発行程で燃焼ガスの熱エネルギーが完全に運動エネルギに変換される前に排気弁が開弁して燃焼ガスが排出されるようになり、エンジンの出力低下、排気温度の上昇、燃費悪化等が生じるという問題がある。
【0004】
このため、例えば、特開平8−338295号公報には、クランク軸に対するカム軸の位相を変えることによりバルブタイミングを可変とする可変バルブタイミング機構を備えたエンジンにおいて、点火時期の遅角とバルブタイミングの遅角とを併用し、ノッキングが強いときには、点火時期の遅角で回避し、弱いノッキングは、バルブタイミングの遅角で回避する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−338295号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の先行技術では、ノッキングが強いときには、点火時期の遅角量を大きくしなければならず、エンジン出力、排気温度、燃費を犠牲にせざるを得ない。また、弱いノッキングに対して可変バルブタイミング機構によりバルブタイミングを遅角させる場合であっても、可変バルブタイミング機構の作動は、エンジンの燃焼サイクルに比較して遅いため、直ちにノッキングを回避することはできず、その間、運転性が悪化するばかりでなく、エンジンの耐久性低下を招く原因となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、点火時期の遅角量を極力抑えつつノッキングを迅速に抑制し、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分にノッキングを抑制して、エンジンの出力低下、排気温度上昇、燃費悪化等を防止することのできるエンジンのノッキング制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、エンジンにノッキングが発生したとき、ノック強度を検出する手段と、上記ノック強度に応じて点火時期遅角量の増分を設定し、この増分値に基づく点火時期遅角量により点火時期を遅角させる手段と、上記点火時期遅角量が閾値を越える時間が設定時間継続したとき、所定の遅角量でバルブタイミングを遅角させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
その際、ノッキングが消滅した後は、点火時期遅角量を漸次的に減少させることが望ましく、点火時期の急激な進角化によるショックの発生を回避して円滑に通常状態の点火時期に移行させることができる。
【0010】
また、バルブタイミングの遅角量は、エンジン回転数に応じて設定し、低回転時は、高回転時に比較して上記バルブタイミングの遅角量を小さくすることが望ましく、回転数域で異なるノッキングの抑制効果に対し、全回転数域でバルブタイミングによるノッキングの抑制を確実なものとすることができる。
【0011】
また、ノッキングが消滅した後、点火時期遅角量が設定値未満の状態が設定時間継続したとき、バルブタイミングを所定量進角させることが望ましく、急激なエンジン運転状態の変化を回避しつつ迅速に通常のエンジン運転状態に応じたバルブタイミングに復帰させることができる。
【0012】
また、低回転・低負荷運転時には、バルブタイミングの遅角を実施しないことが望ましく、筒内の残留ガス濃度が高く、燃焼状態が必ずしも良好とは言えない低回転・低負荷運転時において、バルブタイミング遅角による実圧縮比の低下に伴う燃焼状態の悪化を未然に回避し、運転性の悪化を防止することができる。
【0013】
バルブタイミングを遅角させる場合の点火時期遅角量の閾値は、エンジン負荷に基づいて設定することが望ましく、強いノッキングが発生し易い高負荷の運転状態では、バルブタイミングを緻密に制御してノッキングの抑制と燃費悪化の回避とを両立することができ、また、比較的低負荷の運転状態では、バルブタイミングの変更を少なく抑え、システムの信頼性を向上することが可能となる。
【0014】
更に、バルブタイミングの遅角を実施するときには、バルブタイミングの遅角量に基づいて排気ガス還流量を減少させることが望ましく、バルブタイミングの遅角による燃焼悪化を補うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図、図2及び図3はノッキング制御ルーチンのフローチャート、図4は点火時期遅角とバルブタイミング遅角との関係を示すタイムチャートである。
【0016】
先ず、図1に基づいてエンジンの全体構成について説明する。同図において、符号1は、可変バルブタイミング機構付きエンジン(以下、単に「エンジン」と略記する)であり、図においては、シリンダブロック1aがクランク軸1bを中心として左右2つのバンク(図の右側が左バンク、左側が右バンク)に分割される水平対向型4気筒エンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に、吸気ポート2aと排気ポート2bとが気筒毎に形成されている。
【0017】
シリンダヘッド2の各吸気ポート2aにはインテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介して、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが介装されたスロットルチャンバ5が連通されている。そして、このスロットルチャンバ5の上流に吸気管6を介してエアクリーナ7が取付けられ、このエアクリーナ7に接続されるエアインテーク通路にチャンバ8が連通されている。
【0018】
また、吸気管6にはスロットル弁5aをバイパスするバイパス通路9が接続されており、このバイパス通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル回転数を制御するアイドル制御弁10が介装されている。また、インテークマニホルド3の各気筒の吸気ポート2aの直上流にインジェクタ11が配設され、シリンダヘッド2の各気筒毎に、放電電極を燃焼室に露呈すると共に点火コイル及びイグナイタを端子部に一体的に取付けた点火プラグ12が配設されている。
【0019】
更に、シリンダヘッド2の各排気ポート2bにエキゾーストマニホルド13が連通され、このエキゾーストマニホルド13の集合部に排気管14が連通されている。この排気管14には触媒コンバータ15が介装され、マフラ16に連通されている。
【0020】
また、エンジン1の排気系から吸気系へ排気ガスを還流させるため、一方のバンクのエキゾーストマニホルド13から排気ガス還流(EGR)通路17が延出され、エアチャンバ4に連通されている。EGR通路17には、EGR量を調整するためのEGR弁18が介装されており、このEGR弁18の開度に応じて排気ガスの一部が吸気系に還流される。
【0021】
一方、左右バンクの各シリンダヘッド2内に、それぞれ吸気カム軸19、排気カム軸20が配設され、クランク軸1bの回転が、各吸気カム軸19、各排気カム軸20に、クランク軸1bに固設されたクランクプーリ21、タイミングベルト22、吸気カム軸19に介装された吸気カムプーリ23、排気カム軸20に固設された排気カムプーリ24等を介して伝達される。そして、吸気カム軸19に設けられた吸気カム、及び排気カム軸20に設けられた排気カムにより、それぞれクランク軸1bと2対1の回転角度に維持される各カム軸19,20の回転に基づいて、吸気バルブ25、排気バルブ26が開閉駆動される。
【0022】
左右バンクの各吸気カム軸19と吸気カムプーリ23との間には、吸気カムプーリ23と吸気カム軸19とを相対回動してクランク軸1bに対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)を連続的に変更する周知の油圧駆動式可変バルブタイミング機構27がそれぞれ配設されている。本形態においては、各バンクの可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設け、排気バルブ26の開閉タイミングに対し、吸気バルブ25の開閉タイミングをエンジン運転状態に応じて変更する。
【0023】
各バンクの可変バルブタイミング機構27には、それぞれ、オイルパン1cから図示しないオイルポンプを介して供給される作動油圧を調整するためのオイルフロー制御弁28が備えられ、マイクロコンピュータ等からなる電子制御装置(以下、「ECU」と略記する)50によって制御される。オイルフロー制御弁28は、例えばECU50によりデューティ制御されるスプール弁であり、通電電流に比例してオイルフロー制御弁28のスプールが軸方向に移動し、可変バルブタイミング機構27の進角室(進角作動の油圧室)、遅角室(遅角作動の油圧室)に連通する各ポートを切換えてオイルの流れ方向を切換えると共にパッセージの開度を調整し、可変バルブタイミング機構27の進角室、遅角室に供給する油圧の大きさが調整される。尚、可変バルブタイミング機構27の詳細な構成については、例えば、本出願人による特開2000−97096号公報に詳述されている。
【0024】
次に、エンジン1に取付けられたセンサ類について説明する。吸気管6のエアクリーナ7の直下流には、ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた吸入空気量センサ30が介装され、スロットルチャンバ5に配設されたスロットル弁5aに、スロットル開度センサ31が連設されている。また、シリンダブロック1aにノックセンサ32が取り付けられていると共に、シリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水通路33に水温センサ34が臨まされ、触媒コンバータ15の上流側に、O2センサ等の空燃比センサ35が配設されている。
【0025】
更に、エンジン1のクランク軸1bに軸着するクランクロータ36の外周に、クランク角センサ37が対設され、クランク軸1bに対して1/2回転する一方のバンク(図においては、左バンク)の吸気カムプーリ23の裏面に、気筒判別センサ38が対設されている、各バンクの吸気カム軸19の後端に固設されたカムロータ39の外周には、カム位置検出用のカム位置センサ40がそれぞれ対設されている。
【0026】
以上の各センサ類の出力信号は、ECU50に入力されて処理され、エンジン運転状態が検出される。ECU50は、予め内部に格納されている制御プログラムに従って、各センサ類・スイッチ類等からの信号を処理し、前述の各アクチュエータを介してエンジン制御を実行する。このエンジン制御は、インジェクタ11を介した燃料噴射制御、点火プラグ12に連設される点火コイルのイグナイタを介した点火時期制御を基本とし、アイドル制御弁10を介したアイドル回転数制御、EGR弁18を介したEGR制御、可変バルブタイミング機構27のオイルフロー制御弁28を介したバルブタイミング制御、ノックセンサ32の出力に基づいてノッキング発生を回避するためのノッキング制御等である。
【0027】
このようなECU50によるエンジン制御において、本発明に係わるノッキング制御は、ノッキングが発生した場合、ノッキングの強弱に拘わらず点火時期の遅角化を先行して実行することで、迅速にノッキングを抑制するようにしており、この点火時期の所定量の遅角化によってもノッキングが消滅しない場合には、更にバルブタイミングの遅角化を実行することで、吸気弁閉弁時から圧縮行程上死点までのピストン行程を短縮して実圧縮比を小さくし、ノッキングを消滅させる。
【0028】
具体的には、ECU50は、ノックセンサ32からの信号に基づいてノッキング発生の有無を判断し、ノッキング発生と判断した場合、先ず、エンジン運転状態に応じて設定される通常制御の点火時期を、ノッキングの強弱に応じて漸次的に遅角する。そして、点火時期の遅角量が設定値以上に達した状態が所定時間継続してもノッキングが消滅しない場合には、更に、バルブタイミングを通常の制御状態よりも遅角化してエンジンの実圧縮比を低くし、点火時期の遅角化によるエンジン出力低下、排気温度の上昇、燃費悪化を極力抑えつつ、ノッキングを確実に解消する。
【0029】
以下、ECU50によるノッキング制御について、図2及び図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0030】
このノッキング制御では、先ず、ステップS101で、ノックセンサ32の出力信号に基づいてノッキングが発生しているか否かを判断する。ノッキングが発生しているか否かは、例えば、ノックセンサ32から出力される振動波形を統計処理等して得られるノック強度と所定のノック判定レベルとを比較することで判断することができ、ノック強度がノック判定レベルを超えてノッキングが発生している場合には、ステップS102以降の処理を実行し、ノック強度がノック判定レベル以下でノッキング発生無しと判断される場合、ステップS110以降の処理を実行する。
【0031】
先ず、ノッキング発生有りの場合のステップS102以降の処理について説明する。ステップS102では、ノッキングが解消された場合の処理に備えて後述するタイマT2をクリア(T2=0)しておき、ステップS103で、ノック強度に応じて遅角値RNKを設定する。この遅角値RNKは、ノッキングを抑制するために点火時期を漸次的に遅角させる際の増分値となるものであり、ノック強度が小さいとき(ノッキングが弱いとき)には小さな値に設定され、ノック強度が大きい程(ノッキングが強い程)、大きな値に設定される。
【0032】
具体的には、遅角値RNKは、エンジン型式及び制御周期を考慮して予めシミュレーション或いは実験等によりノック強度をパラメータとして、その積算値である点火時期遅角量TRNKの時間平均値を比較的緩やかに変化させ得る値として求められる。そして、このようにして求めた値をデータマップ化してECU50内のメモリに記憶させておき、ノック強度をパラメータとするマップ参照により遅角値RNKを求める。
【0033】
次に、ステップS104へ進み、現在の点火時期遅角量TRNKを、ステップS103で設定した遅角値RNKを用いて増加・更新する(TRNK=TRNK+RNK)。この点火時期遅角量TRNKは、本ノッキング制御ルーチンと並行して実行される点火時期制御ルーチン(図示せず)において参照され、エンジン運転状態に基づいて設定される基本点火時期ADVBASEに対する遅角補正項として用いられる。但し、点火時期遅角量TRNKに対しては最大遅角量を定めるリミッタが設けられ、このリミッタ内で基本点火時期ADVBASEが補正される。
【0034】
点火時期制御ルーチンの処理は、周知の処理であり、詳細は省略するが、基本燃料噴射パルス幅等のエンジン負荷とエンジン回転数とに基づいて設定される基本点火時期ADVBASEを、冷却水温による水温補正値等により補正すると共に、ノック強度に応じた遅角補正項である点火時期遅角量TRNKにより遅角補正して最終的な点火時期ADVを設定し、点火タイマにセットする。そして、この点火タイマの計時を所定の基準クランクパルスをトリガとして開始し、点火時刻に達したとき、点火対象気筒のイグナイタへ点火信号を出力して点火プラグ12にスパークを発生させる。
【0035】
次に、ステップS104からステップS105へ進み、更新後の点火時期遅角量TRNKが閾値ARに達したか否かを調べる。この閾値ARは、本形態においては固定値であり、予めシミュレーション或いは実験等により、以下に説明する設定時間A内で、エンジンの出力低下、排気温度の上昇、燃費悪化等を必要最小限に抑えることのできる値を求め、ECU50内のメモリに固定データとして記憶しておく。
【0036】
その結果、TRNK<ARのときには、ステップS105からステップS109へジャンプし、点火時期遅角量TRNKが閾値AR以上である状態の継続時間を計時するためのタイマT1をクリアして(T1=0)ルーチンを抜け、TRNK≧ARのとき、ステップS106でタイマT1をカウントアップする(T1=T1+1)。
【0037】
その後、ステップS107へ進み、タイマT1が設定時間Aに達したか否かを調べる。その結果、T1<AのときにはステップS107からルーチンを抜け、T1≧Aのとき、ステップS107からステップS108へ進み、本ノッキング制御ルーチンと並行して実行される図示しないバルブタイミング制御ルーチンにおける目標バルブタイミングTCATGTを遅角側に変更するための遅角量TCA1を設定する。そして、ステップS109でタイマT1をクリアし、ルーチンを抜ける。
【0038】
遅角量TCA1は、バルブタイミングの遅角化によるエンジン出力の過度の低下や排気エミッションの悪化を回避しつつ、ノッキングを抑制し得る値として設定され、遅角限度を規制するリミッタ内でルーチンの実行周期毎にステップ的に積算される。
【0039】
この場合、遅角量TCA1は、予めシミュレーション或いは実験等により求めた固定値でも良いが、バルブタイミングの遅角効果は、エンジン回転数領域によって異なるため、遅角量TCA1を、エンジン回転数Nをパラメータとする演算式或いはマップ参照により設定することが望ましい。
【0040】
すなわち、低回転域では、バルブタイミングの遅角効果が大きく出るため、点火時期遅角量TRNKに対してバルブタイミングの遅角量TCA1を小さくし、高回転域では、バルブタイミングの遅角効果が相対的に小さくなるため、点火時期遅角量TRNKに対してバルブタイミングの遅角量TCA1を大きくすることにより、全回転数域でバルブタイミングによるノッキングの抑制を確実なものとすることができ、エンジンの信頼性確保や燃費悪化の防止効果をより一層向上することができる。
【0041】
また、バルブタイミングを遅角させるときには、点火時期遅角量TRNKは少なくとも閾値AR以上であり、且つ本形態においては閾値ARが固定値であることから、バルブタイミングを遅角させるときの点火時期は、ノッキング発生前のエンジン運転状態に応じた最適点火時期から少なくとも閾値ARに対応する遅角量だけ遅角されている。従って、この遅角化された点火時期とノック強度と考慮して設定することも可能であり、更には、大気圧や外気温等の環境条件、エンジン負荷、エンジン温度、変速比等の運転状態を加味した値として設定することも可能である。
【0042】
バルブタイミング制御では、通常、クランク軸1bの実際の回転角と吸気カム軸19の実際の回転角との位相差である実バルブタイミングTCAがエンジン運転状態に応じた目標バルブタイミングTCATGTに収束するよう、オイルフロー制御弁28をデューティ制御して通電電流を可変し、可変バルブタイミング機構27の作動油圧を調整するフィードバック制御を行っており、本ノッキング制御ルーチンによって遅角量TCA1が設定されると、この遅角量TCA1がバルブタイミング制御ルーチンにおいて参照され、目標バルブタイミングTCATGTが遅角量TCA1だけ遅角側に変更される。
【0043】
尚、実バルブタイミングTCAは、クランク角センサ37から出力されるクランク角を表すクランクパルスとカム位置センサ40から出力されるカム位置を表すカム位置パルスとから算出され、また、目標バルブタイミングTCATGTは、例えばエンジン負荷とエンジン回転数とに基づいて設定される。
【0044】
前述したように、本形態においては、可変バルブタイミング機構27を吸気カム軸19側にのみ設けており、目標バルブタイミングTCATGTが遅角側に変更されると、オイルフロー制御弁28のスプール軸が可変バルブタイミング機構27の遅角室に供給する油圧が大きくなる方向に移動し、吸気カムプーリ23に対する吸気カム軸19の回転位相すなわちクランク軸1bに対する吸気カム軸19の回転位相(変位角)が遅角化され、吸気カム軸19の吸気カムによって駆動される吸気バルブ25の開閉タイミングが遅角される。
【0045】
その後、点火時期の遅角により、或いは点火時期の遅角とバルブタイミングの遅角とにより、ノッキングの発生が無くなると、ステップS101からステップS110以降の処理へ進む。この処理では、先ず、ステップS110で、点火時期の遅角のみでノッキングが消滅した後に、再度、ノッキングが発生した場合の処理に備えて前述のタイマT1をクリアする(T1=0)。次に、ステップS111へ進み、点火時期遅角量TRNKを設定値Bだけ減少させ(TRNK=TRNK−B)、ノッキング抑制のために遅角した点火時期を徐々に進角側に戻す。設定値Bは、予めシミュレーション或いは実験等により、点火時期の急激な進角化によるショックの発生を回避して円滑に通常状態の点火時期に移行させ得る適正値を求め、この適正値をECU50内のメモリに固定データとして記憶しておくものである。
【0046】
次に、ステップS112へ進み、点火時期遅角量TRNKが設定値CR未満になったか否かを調べる。設定値CRは、ノッキング発生していない運転状態での点火時期に復帰したことを判断するための値であり、0又は0近辺の値である、本形態においてはCR=0であり、TRNK≠0のときには、ステップS112からステップS116へジャンプしてTRNK=0である状態の継続時間を計時するためのタイマT2をクリアして(T2=0)ルーチンを抜け、TRNK=0のとき、ステップS112からステップS113へ進んで、タイマT2をカウントアップする(T2=T2+1)。
【0047】
その後、ステップS114へ進み、タイマT2が設定時間Cに達したか否かを調べる。設定時間Cは、点火時期がノッキング発生していない運転状態での点火時期に復帰し、この状態が安定的に継続していると判断することのできる時間であり、予めシミュレーション或いは実験等により求められる。そして、T2<CのときにはステップS114からルーチンを抜け、T2≧Cのとき、ステップS114からステップS115へ進み、変更したバルブタイミングを元に戻すべく、予め設定された進角量TCA2だけ漸次的に進角した後、ステップS116でタイマT2をクリアしてルーチンを抜ける。
【0048】
進角量TCA2は、前述の遅角量TCA1によって遅角側に変更された目標バルブタイミングTCATGTを、急激なエンジン運転状態の変化を回避しつつ迅速に通常のエンジン運転状態に応じた目標バルブタイミングに戻すことのできる値として、予めシミュレーション或いは実験等により求め、ECU50のメモリに記憶しておく。
【0049】
以上の動作を図4のタイムチャートを用いて説明する。当初、ノッキングが発生していない状態では、点火時期及びバルブタイミングはエンジン運転状態に応じた値に制御されており、この状態でノッキングが発生すると、ノック強度に応じて遅角値RNKが設定され、この遅角値RNKを積算した点火時期遅角量TRNKによって点火時期が遅角されることで、ノッキングを迅速に抑制する。そして、ノッキングの発生が続いている間、点火時期遅角量TRNKが遅角値RNKによってステップ的に積算・増加され、やがて、閾値ARを越える時間が設定時間Aに達したとき、バルブタイミングが遅角されてエンジンの実圧縮比が低下され、ノッキングが効果的に抑制される。このバルブタイミングの遅角では、実体積効率が低下するため、エンジン出力は低下するが、その出力低下の点火時期を遅角させた場合よりは小さく、排気温度の上昇も生じない。
【0050】
やがて、この点火時期の遅角とバルブタイミングの遅角とにより、ノッキングが消滅すると、応答性の速い点火時期の遅角による燃費悪化や排気温度の上昇を早期に解消するため、点火時期をバルブタイミングより先に通常状態の点火時期に復帰させるべく、点火時期が徐々に進角される。そして、点火時期遅角量TRNKが0に達し、TRNK=0の状態が設定時間C以上継続して安定した状態となったとき、改めてバルブタイミングが進角され、エンジンの実圧縮比が高められて燃焼の安定化による走行性の改善が図られる。
【0051】
このように、本実施の形態においては、ノッキングが発生したとき、ノック強度に応じて点火時期を遅角させ、この点火時期の遅角量が閾値以上の状態が設定時間継続したとき、バルブタイミングを遅角させるため、点火時期の遅角量を極力抑えつつ、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分に対応することができ、エンジン出力の低下、排気温度の上昇、燃費悪化を最小限に抑えることができる。
【0052】
次に、本発明の実施の第2形態について説明する。図5は本発明の実施の第2形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャートである。
【0053】
第2形態は、前述の第1形態に対し、バルブタイミングを遅角する際の点火時期遅角量TRNKの閾値ARを、予め設定した固定値からエンジン負荷に応じた変数値に変更するものである。
【0054】
このため、第2形態のノッキング制御ルーチンは、図5に示すように、第1形態のノッキング制御ルーチンに、閾値ARをエンジン負荷に応じて設定するステップS104−1を追加する。
【0055】
すなわち、ステップS104で点火時期遅角量TRNKを遅角値RNKを用いて増加・更新(TRNK=TRNK+RNK)した後、ステップS104からステップS104−1へ進み、エンジン負荷に応じて閾値ARを演算或いはマップ参照により設定する。そして、エンジン負荷に応じて設定した閾値ARを用いてステップS105での点火時期遅角量TRNKと閾値ARとの比較を行う。
【0056】
閾値ARを設定するためのエンジン負荷としては、吸入空気量Qをエンジン回転数Nで除算して求められる1行程当たりの筒内空気量(Q/N)を用い、この筒内空気量(Q/N)が小さいとき(すなわちエンジン負荷が低いとき)には、閾値ARの値を大きく設定し、筒内空気量(Q/N)が大きくなる程(すなわちエンジン負荷が高くなる程)、閾値ARの値を比較的小さく設定する。
【0057】
これにより、強いノッキングが発生し易い高負荷の運転状態では、バルブタイミングを緻密に制御し、ノッキングの抑制と燃費悪化の回避とを両立することができ、また、比較的低負荷の運転状態では、バルブタイミングの変更を少なく抑え、システムの信頼性を向上することが可能となる。
【0058】
次に、本発明の実施の第3形態について説明する。図6は本発明の実施の第3形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャートである。
【0059】
第3形態は、点火時期遅角量TRNKが閾値AR以上の状態が設定時間A以上継続した場合であっても、低速・低負荷運転時である場合には、バルブタイミングの遅角を実施しないものである。
【0060】
すなわち、低速・低負荷運転時には、筒内の残留ガス濃度が高く、燃焼状態が必ずしも良好とは言えない。また、このような運転条件下では、ノッキングが生じたとしてもノック強度は比較的小さいため、エンジンに対する悪影響は少ない。従って、低速・低負荷運転時にノッキングを抑制する目的でバルブタイミングを遅角させることは、実圧縮比の低下による燃焼状態の悪化を招き、却って運転性能が悪化する可能性が高い。
【0061】
このため、第3形態のノッキング制御ルーチンは、図6に示すように、第1形態のノッキング制御ルーチンに、低速・低負荷運転時を判断するステップS107−1,S107−2を追加する。
【0062】
すなわち、ステップS107で、点火時期遅角量TRNKが閾値AR以上の状態が設定時間A以上継続した場合、ステップS107からステップS107−1へ進み、エンジン回転数Nが設定値D以上か否かを調べる。そして、N<Dの場合には、そのままルーチンを抜けてバルブタイミングの遅角を実施せず、N≧Dの場合、更に、ステップS107−2で、吸入空気量Qが設定値E以上か否かを調べる。
【0063】
その結果、ステップS107−2においてQ<Eの場合には、ルーチンを抜けてバルブタイミングの遅角を実施せず、Q≧Eの場合、ステップS107−2からステップS108へ進んでバルブタイミングを遅角する。
【0064】
このように、エンジン回転数Nが設定値未満且つ吸入空気量Qが設定値E未満の低回転・低負荷運転時である場合には、敢えてバルブタイミングの遅角を実施しないことにより、実圧縮比の低下に伴う燃焼状態の悪化を未然に回避し、運転性の悪化を防止することができる。
【0065】
次に、本発明の実施の第4形態について説明する。図7は本発明の実施の第4形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャートである。
【0066】
第4形態は、点火時期の遅角に続いてバルブタイミングを遅角する際、バルブタイミングの遅角による実圧縮比の低下に伴う燃焼悪化を、EGR率を減少させて補うものである。
【0067】
すなわち、バルブタイミングを遅角させると、実圧縮比の低下により排気ガス中のNOxが減少するため、EGRによる排気ガスの還流量を減少させても排気ガスが悪化することがなく、EGR率を減少させることで、バルブタイミングの遅角による燃焼悪化を補うことができる。
【0068】
このため、第4形態のノッキング制御ルーチンは、図7に示すように、第1形態のノッキング制御ルーチンに対し、バルブタイミングの遅角量TCA1を設定するステップS108の後に、EGRに関するステップS108−1,S108−2の処理を追加する。
【0069】
すなわち、ステップS108でバルブタイミングの遅角量TCA1を設定した後、ステップS108からステップS108−1へ進み、遅角量TCA1に応じたEGRマップを参照する。そして、ステップS108−2で、EGR弁18の開度を調整してEGR率を変更し、タイマT1をクリアするステップS109を経てルーチンを抜ける。
【0070】
EGRマップは、バルブタイミングの遅角に対し、このバルブタイミングの遅角による燃焼悪化を補って運転性の悪化を回避し得るEGR率を、遅角量TCA1をパラメータとして予めシミュレーション或いは実験等により求めてデータマップ化したものであり、遅角量TCA1が大きくなる程、小さいEGR率がストアされている。
【0071】
すなわち、バルブタイミングの遅角量が大きいときには、EGR率を小さくしてEGR量を減少させることで、実圧縮比の低下による燃焼悪化を防止することができ、運転性の悪化を回避することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、点火時期の遅角量を極力抑えつつノッキングを迅速に抑制し、応答性が比較的遅い可変バルブタイミング機構でも十分にノッキングを抑制して、エンジンの出力低下、排気温度上昇、燃費悪化等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、可変バルブタイミング機構付きエンジンの全体構成図
【図2】同上、ノッキング制御ルーチンのフローチャート
【図3】同上、ノッキング制御ルーチンのフローチャート(続き)
【図4】同上、点火時期遅角とバルブタイミング遅角との関係を示すタイムチャート
【図5】本発明の実施の第2形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャート
【図6】本発明の実施の第3形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャート
【図7】本発明の実施の第4形態に係わるノッキング制御ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 エンジン
27 可変バルブタイミング機構
32 ノックセンサ
50 ECU
ADV 点火時期
TRNK点火時期遅角量
AR 閾値
TCA 実バルブタイミング
TCA1 遅角量
Claims (7)
- エンジンにノッキングが発生したとき、ノック強度を検出する手段と、
上記ノック強度に応じて点火時期遅角量の増分値を設定し、この増分値に基づく点火時期遅角量により点火時期を遅角させる手段と、
上記点火時期遅角量が閾値を越える時間が設定時間継続したとき、所定の遅角量でバルブタイミングを遅角させる手段とを備えたことを特徴とするエンジンのノッキング制御装置。 - 上記ノッキングが消滅後、上記点火時期遅角量を漸次的に減少させることを特徴とする請求項1記載のエンジンのノッキング制御装置。
- 上記バルブタイミングの遅角量をエンジン回転数に応じて設定し、低回転時は、高回転時に比較して上記バルブタイミングの遅角量を小さくすることを特徴とする請求項1記載のエンジンのノッキング制御装置。
- 上記ノッキングが消滅後、上記点火時期遅角量が設定値未満の状態が設定時間継続したとき、バルブタイミングを所定量進角させることを特徴とする請求項1記載のエンジンのノッキング制御装置。
- 低回転・低負荷運転時には、上記バルブタイミングの遅角を実施しないことを特徴とする請求項1記載のエンジンのノッキング制御装置。
- 上記閾値を、エンジン負荷に基づいて設定することを特徴とする請求項1記載のエンジンのノッキング制御装置。
- 上記バルブタイミングの遅角を実施するとき、上記バルブタイミングの遅角量に基づいて排気ガス還流量を減少させることを特徴とする請求項1記載のエンジンのノッキング制御装置。
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2003
- 2003-05-23 JP JP2003146789A patent/JP2004346876A/ja active Pending
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