JP2004341351A - アクティブマトリクス型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示ムラを低減し、画像品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供する。
【解決手段】表示画素PXは、表示素子16、制御電圧に応じた電流量を前記表示素子に出力する駆動トランジスタ22、トランジスタにより形成され駆動トランジスタの制御端子、第2端子間に接続された第1スイッチ、駆動トランジスタの制御端子、第1端子間に接続され制御電圧を保持する第1容量Cs、駆動トランジスタと表示素子との間に接続された第2スイッチ26を有している。駆動トランジスタの制御端子と制御信号線との間には、第1スイッチのオフ切換え時に生じる駆動トランジスタの制御端子電位変動を吸収する第2容量Cxが設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】表示画素PXは、表示素子16、制御電圧に応じた電流量を前記表示素子に出力する駆動トランジスタ22、トランジスタにより形成され駆動トランジスタの制御端子、第2端子間に接続された第1スイッチ、駆動トランジスタの制御端子、第1端子間に接続され制御電圧を保持する第1容量Cs、駆動トランジスタと表示素子との間に接続された第2スイッチ26を有している。駆動トランジスタの制御端子と制御信号線との間には、第1スイッチのオフ切換え時に生じる駆動トランジスタの制御端子電位変動を吸収する第2容量Cxが設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有機エレクトロ・ルミネッセンス(以下、ELと称する)素子のような表示素子を含む表示画素をマトリクス状に配列して表示画面を構成したアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ、情報携帯端末あるいはテレビジョン等の表示装置として、平面型のアクティブマトリクス型表示装置が広く利用されている。近年、このような平面型のアクティブマトリクス型表示装置として、有機EL素子のような自己発光素子を用いた有機EL表示装置が注目され、盛んに研究開発が行われている。この有機EL表示装置は、薄型軽量化の妨げとなるバックライトを必要とせず、高速な応答性から動画再生に適し、さらに低温で輝度低下しないために寒冷地でも使用できるという特徴を備えている。
【0003】
一般に、有機EL表示装置は、複数行、複数列に並んで設けられ表示画面を構成した複数の表示画素、表示画素の各行に沿って延びた複数の走査線、表示画素の各列に沿って延びた複数の信号線、各走査線を駆動する走査線駆動回路、各信号線を駆動する信号線駆動回路等を備えている。各表示画素は自己発光素子である有機EL素子、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路により構成されている。各画素回路は、走査線および信号線の交差位置近傍に配置された画素スイッチ、一対の電源線間で有機EL素子と直列に接続され薄膜トランジスタによって構成された駆動トランジスタ、および駆動トランジスタのゲート制御電圧を保持する保持容量を有している。画素スイッチは対応走査線から供給される走査信号に応答して導通し、対応信号線から供給される映像信号を取り込む。この映像信号に対応する駆動トランジスタのゲート、ソース間電位はゲート制御電圧として保持容量に書き込まれ所定期間保持される。そして、駆動トランジスタは保持容量に書き込まれたゲート制御電圧に応じた電流量を有機EL素子に供給し、発光動作を行う。
【0004】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜である発光層をカソードおよびアノード間に挟持した構造を有し、発光層に電子および正孔を注入しこれらを再結合させることにより励起子を生成させ、この励起子の失活時に生じる光放出により発光する。そして、有機EL素子は、供給電流量に対応する輝度で発光し、10V以下の印加電圧でも100〜100000cd/m2程度の輝度を得ることができる。
【0005】
このような有機EL表示装置において、駆動トランジスタとして用いられる薄膜トランジスタは、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体薄膜を用いて形成されている。そのため、閾値電圧Vthやキャリア移動度μのような駆動トランジスタの特性は、製造プロセス等に依存しバラツキが生じ易い。駆動トランジスタの閾値電圧Vthにバラツキがあると、有機EL素子を適切な輝度で発光させることが困難となり、複数の表示画素間で輝度のバラツキが発生し表示ムラの原因となる。
【0006】
従来、このような閾値電圧Vthのバラツキによる影響を回避するため、全表示画素に閾値キャンセル回路を設けた表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。各閾値キャンセル回路は、信号線駆動回路から映像信号に先だって供給されるリセット信号を用いて駆動トランジスタの制御電圧を初期化するように構成されている。また、他の表示装置として、映像信号の書き込みを電流信号により行ない、駆動トランジスタにおける特性バラツキの影響を低減し、発光輝度の均一化を図った表示装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,229,506号明細書
【0008】
【特許文献2】
米国特許第6,373,454号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した表示装置において、各表示画素の画素回路は、映像信号の書込み時あるいはリセット動作時に駆動トランジスタのゲート、ドレイン間を短絡する1つあるいは複数のスイッチを含んで構成されている。このスイッチはそれぞれ薄膜トランジスタで構成されオン、オフ制御される。しかしながら、スイッチがオンからオフに切換わる際、スイッチのゲート、ソース間に形成された寄生容量に起因するフィードスルー電圧が生じる。そして、発生したフィードスルー電圧は保持容量に流れ込み、駆動トランジスタのゲート制御電圧を変動させてしまう。そのため、駆動トランジスタのゲート制御電圧にバラツキが発生し、複数の表示画素間で輝度のバラツキを生じる。このような表示画素間の輝度のバラツキは表示ムラとなって現われ、表示品位を低下させる。
【0010】
例えば、上記スイッチおよび駆動トランジスタがPチャネル型薄膜トランジスタで構成されている場合、この駆動トランジスタのゲート制御電圧はプラス電位方向に変動し、駆動トランジスタを流れる電流は減少方向に変化する。これは、EL発光電流の減少につながり、表示画像の輝度不足を引き起こす。
【0011】
発光電流減少分を予め上乗せした映像信号を駆動回路から供給することで、輝度不足の問題を回避する対策も考えられる。しかしながら、第1スイッチの特性バラツキ等により、発生するフィードスルー電圧は複数の第1スイッチ間で必ずしも同一とはならず、上記対策により表示画素の輝度不足および輝度のバラツキを充分に補償することは困難となる。
【0012】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、フィードスルー電圧に起因する表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るアクティブマトリクス型表示装置は、マトリクス状に配列された複数の表示画素と、前記表示画素の行毎に設けられた複数の第1および第2制御信号線と、を備え、
各表示画素は、表示素子、前記表示素子に接続され制御電圧に応じた電流量を前記表示素子に出力する駆動トランジスタ、前記駆動トランジスタの制御端子、第1端子間に接続され前記制御電圧を保持する第1容量、トランジスタにより形成され前記駆動トランジスタの制御端子、第2端子間に接続されているとともに、前記第1制御信号線からの制御信号によりオン、オフ制御される第1スイッチ、および前記駆動トランジスタの制御端子と前記第2制御信号線との間に接続され、前記第2制御信号線からの制御信号に応じて、前記第1スイッチのオフ切換え時に生じる前記制御電圧の変位量に相当する電荷を吸収する第2容量を含んでいることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス型の有機EL表示装置について詳細に説明する。
図1に示すように、有機EL表示装置は、有機ELパネル10および有機ELパネル10を制御するコントローラ12を備えている。
【0015】
有機ELパネル10は、ガラス板等の光透過性絶縁基板8上にマトリクス状に配列され表示領域11を構成したm×n個の表示画素PX、表示画素の行毎に接続されているとともにそれぞれ独立してm本ずつ設けられた第1制御信号線Sga(1〜m)、第2制御信号線Sgb(1〜m)、第3制御信号線Sgc(1〜m)と、表示画素の列毎にそれぞれ接続されたn本の信号線X(1〜n)、第1、第2、第3制御信号線Sga、Sgn、Sgcを表示画素の行毎に順次駆動する制御信号出力回路14、および複数の信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路15を備えている。なお、本実施の形態における第3制御信号線Sgcは、この発明における第2制御信号線として機能する。
【0016】
各表示画素PXは、自己発光素子である有機EL素子16、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路18により構成されている。図2に表示画素PXの等価回路を示す。画素回路18は電流信号からなる映像信号に応じて有機EL素子16の発光を制御する電流信号方式の画素回路であり、画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26、保持容量として機能する第1容量Cs、および第2容量Cxを備えている。画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26は、ここでは同一導電型、例えばPチャネル型の薄膜トランジスタにより構成されている。
【0017】
駆動トランジスタ22、第2スイッチ26、および有機EL素子16は、第1電圧電源線Vssと第2電圧電源線Vddとの間で直列に接続されている。第1および第2電圧電源線Vss、Vddは、例えば0Vおよび+10Vの電位にそれぞれ設定される。駆動トランジスタ22は、その第1端子、ここではソースが第2電圧電源線Vddに接続され、有機EL素子16は、一方の電極、ここではカソードが第1電圧電源線Vssに接続されている。第2スイッチ26は、ソースが駆動トランジスタ22の第2端子、ここではドレインに接続されている。また、第2スイッチ26は、ドレインが有機EL素子16のアノードに接続され、更に、ゲートが第2制御信号線Sgbに接続されている。
【0018】
駆動トランジスタ22は、映像信号に応じた電流量を有機EL素子16に出力する。第2スイッチ26は、第2制御信号線Sgbからの制御信号Sbによりオン(導通状態)、オフ(非導通状態)制御され、駆動トランジスタ22と有機EL素子16との接続、非接続を制御する。
【0019】
第1容量Csは、駆動トランジスタ22の第1端子、制御端子間、ここではソース、ゲート間に接続され、映像信号により決定される駆動トランジスタ22のゲート制御電位を保持する。画素スイッチ20は、対応する信号線Xと駆動トランジスタ22のドレインとの間に接続され、そのゲートは第1制御信号線Sgaに接続されている。画素スイッチ20は、第1制御信号線Sgaから供給される制御信号Saに応答して対応信号線Xから映像信号を取り込む。
【0020】
第1スイッチ24は、駆動トランジスタ22のドレイン、ゲート間に接続され、そのゲートが第1制御信号線Sgaに接続されている。第1スイッチ24は、第1制御信号線Sgaからの制御信号Saに応じてオン、オフされ、駆動トランジスタ22のゲート、ドレイン間の接続、非接続を制御するとともに、第1容量Csからの電流リークを規制する。
【0021】
第2容量Cxは、駆動トランジスタ22のゲートと第3走査線Sgcとの間に接続されている。第2容量Cxは、後述するように、金属膜、誘電体としての酸化膜、および半導体層からなるMOS容量により構成されている。
【0022】
本実施形態では、画素回路を構成する薄膜トランジスタは全て同一工程、同一層構造で形成され、半導体層にポリシリコンを用いたトップゲート構造の薄膜トランジスタである。また、第2容量Cxは薄膜トランジスタを形成する工程で同時に形成される。図3を参照して、画素回路を構成する薄膜トランジスタの内、駆動トランジスタ22として機能する薄膜トランジスタの構成を説明するとともに、第2容量Cxの構成を詳細に説明する。
【0023】
駆動トランジスタ22を構成したPチャネル型の薄膜トランジスタは、光透過性絶縁基板8上に形成されポリシリコンからなる半導体層50を備え、この半導体層はソース領域50a、ドレイン領域50b、およびソース、ドレイン領域間に位置したチャネル領域50cを有している。半導体層50に重ねて酸化膜からなるゲート絶縁膜52が形成され、このゲート絶縁膜上にゲート電極Gが設けられチャネル領域50cと対向している。ゲート電極Gに重ねて層間絶縁膜54が形成され、この層間絶縁膜上にソース電極(ソース)Sおよびドレイン電極(ドレイン)Dが設けられている。ソース電極Sおよびドレイン電極Dは、層間絶縁膜54およびゲート絶縁膜52に貫通形成されたコンタクトを介して半導体層50のソース領域50aおよびドレイン領域50bにそれぞれ接続されている。画素スイッチ20、第1および第2スイッチ24、26を構成する各薄膜トランジスタも上記と同一の構造に形成されている。
【0024】
なお、層間絶縁膜54上には、ソース電極S、ドレイン電極D、配線を覆って保護膜56が形成されている。更に、保護膜56上には、親水膜58、隔壁膜60が順に積層されている。
【0025】
一方、第2容量Cxは、光透過性絶縁基板8上に形成されポリシリコンからなる半導体層70、ゲート絶縁膜52を介して半導体層70と対向したゲート電極G、および層間絶縁膜54上に設けられコンタクトを介して半導体層70に接続されたドレイン電極Dを有している。半導体層70はソース領域70a、ドレイン領域70b、これらの領域間に位置したチャネル領域70cを有している。半導体層70のソース領域70aおよびドレイン領域70bは駆動トランジスタ22における半導体層50のソース領域およびドレイン領域と同一極性、つまり、Pチャネル型半導体層に形成されている。チャネル領域70cは駆動トランジスタのチャネル領域50cと同様に、ソースおよびドレイン領域に注入された不純物よりも低濃度の不純物を含むか、あるいは真性な状態である領域で、ゲート電極とセルフアラインとなるよう形成されている。
【0026】
そして、第2容量Cxは、金属膜からなるゲート電極G、酸化膜からなるゲート絶縁膜52、および半導体層70を積層配置することによりMOS容量を構成している。第2容量Cxのゲート電極Gは第3制御信号線Sgcに接続され、半導体層70はドレイン電極Dおよび配線を介して駆動トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている。このような構成を有した第2容量Cxは、ゲート電極Gに所定レベルの電位が印加された場合にのみオン状態となり、電荷を保持する容量として機能する。第1容量Csの容量値を例えば1〜2pF程度とした場合、第2容量Cxの容量値は、例えば、数10fF程度に設定される。
【0027】
なお、第2容量Cxは上記薄膜トランジスタと同一工程、同一層構造で形成されている。このように全ての薄膜トランジスタおよび第2容量Cxを同一工程および同一導電型、つまり、同一極性の半導体層で構成することにより、製造工数の増大を抑制することができる。
【0028】
一方、図1に示すコントローラ12は有機ELパネル10の外部に配置されたプリント回路基板上に形成され、制御信号出力回路14および信号線駆動回路15を制御する。コントローラ12は外部から供給されるデジタル映像信号および同期信号を受け取り、垂直走査タイミングを制御する垂直走査制御信号、および水平走査タイミングを制御する水平走査制御信号を同期信号に基づいて発生し、これら垂直走査制御信号および水平走査制御信号をそれぞれ制御信号出力回路14および信号線駆動回路15に供給すると共に、水平および垂直走査タイミングに同期してデジタル映像信号を信号線駆動回路15に供給する。
【0029】
信号線駆動回路15は水平走査制御信号の制御により各水平走査期間において順次得られる映像信号Data1〜Datamをアナログ形式に変換し電流信号として複数の信号線Xに並列的に供給する。制御信号出力回路14は、シフトレジスタ、出力バッファ等を含み、外部から供給される水平走査スタートパルスを順次次段に転送し、出力バッファを介して各行の表示画素PXに3種類の制御信号、すなわち、制御信号Sa、Sb、Scを供給する。これにより、各第1、第2、第3制御信号線Sga、Sgb、Sgcは、互いに異なる1水平走査期間において、それぞれ制御信号Sa、制御信号Sb、制御信号Scにより駆動される。
【0030】
図4に示すタイミングチャートを参照して、制御信号出力回路14および信号線駆動回路15の出力信号に基づく画素回路18の動作について説明する。
制御信号出力回路14は、例えば、スタート信号とクロックとから各水平走査期間に対応した幅のパルスを生成し、そのパルスを制御信号Saとして出力する。また、制御信号出力回路14は、制御信号Saを反転させ制御信号Saと逆位相の制御信号Scを出力するとともに、スタート信号とクロックとから各水平走査期間に対応した幅のパルスを生成し、そのパルスを制御信号Sbとして出力する。
【0031】
画素回路18の動作は、映像信号書込み動作および発光動作に分けられる。図4の時点t1で、制御信号Saが画素スイッチ20および第1スイッチ24をオン状態とするレベル(オン電位)、ここではローレベル、制御信号Sbが第2スイッチ26をオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここではハイレベルとなる。これにより、画素スイッチ20および第1スイッチ24がオン(導通状態)、第2スイッチ26がオフ(非導通状態)に切換えられ、映像信号書込み動作が開始される。また、時点t1で、制御信号Scが第2容量Cxをオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここではハイレベルとなり、第2容量Cxは電荷を保持する容量として機能しない状態となる。
【0032】
映像信号書込み期間(t1〜t2)において、駆動トランジスタ22はダイオード接続状態となり、また、画素スイッチ20を通して対応信号線Xから映像信号Dataが取り込まれる。つまり、定電流源であるアナログ変換回路に接続された信号線Xおよび画素回路18により、駆動トランジスタ22のソース、ドレイン間に流れる電流が所望の定電流となるように設定される。そして、この電流量に対応した駆動トランジスタ22のゲート、ソース間電位が第1容量Csに書き込まれる。
【0033】
次に、時点t2では、制御信号Saおよび制御信号Scがそれぞれハイレベル(オフ電位)、ローレベル(オン電位)となり、画素スイッチ20および第1スイッチ24がオフ、第2容量Cxがオンとなる。これにより、映像信号書込み動作が終了するとともに、第2容量Cxは電荷を保持可能な容量となる。
【0034】
続いて、時点t3では、制御信号Sbがローレベルとなり、第2スイッチ26がオンとなる。これにより、発光動作が開始する。発光期間において、駆動トランジスタ22は、第1容量Csに書き込まれたゲート制御電圧により、映像信号に対応した電流量を有機EL素子16に供給する。これにより有機EL素子16が発光し、発光動作が開始される。そして、有機EL素子16は、1フレーム期間後に、再び制御信号Sbがオフ電位となるまで発光状態を維持する。
【0035】
ここで、書込み期間の終了時、第1スイッチ24がオン状態からオフ状態に切換わると、第1スイッチ24の寄生容量Cgsに起因するフィードスルー電圧が発生する。このフィードスルー電圧は第1容量Csに印加され、第1容量Csの電位、すなわち、駆動トランジスタ22のゲート電位をプラス方向に変位させる。しかし、この時、第2容量Cxは、電荷を保持可能なオン状態にあることから、ゲート電位の変位量に相当する電荷、つまり、フィードスルー電圧に相当する電荷を吸収し、第3走査線Sgc側へ逃がす。これにより、第1スイッチ24のオフ切換え時に生じたゲート電位の変位を第2容量Cxによって吸収し、発光期間中、ゲート制御電圧を映像信号に応じた正確な電位に維持する。
【0036】
このようなゲート制御電圧の変動を吸収するため、第2容量Cxの容量値は、上述したゲート制御電圧の変位量に相当する電荷を、つまり、第1スイッチ24で発生したフィードスルー電圧に相当する電荷を保持する値に設定される。第1スイッチ24において、フィードスルー電圧は第1スイッチのソース側およびドレイン側にそれぞれ発生し、その大きさは、それぞれゲート容量のほぼ1/2に対応した値となる。そのため、本実施形態において、第2容量Cxの容量値は、第1スイッチ24のゲート容量の1/2に設定されている。なお、ゲート容量とは、第1スイッチのゲート、ソース間の容量、ゲート、ドレイン間の容量、およびゲートと他の部位間の容量を含むものとする。また、第2容量Cxに供給される制御信号Scのオン、オフ電位差は、第1スイッチ24に供給される制御信号Saのオン、オフ電位差と同一に設定されている。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る有機EL表示装置では、駆動トランジスタ22のゲートと第3制御信号線Sgcとの間に接続された第2容量Cxを設けることにより、第1スイッチ24のオフ切換え時に生じる駆動トランジスタのゲート電位変動を吸収し、このゲート電位を映像信号に応じた所望の電位に補償することができる。これにより、映像信号の書込み動作を確実に行ないつつ、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタのゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、複数の表示画素間における輝度のバラツキを抑制することが可能となる。また、ゲート制御電圧の変動を補償する目的で駆動回路から過剰な電流量を供給する必要が無く、駆動電圧の上昇、大型化、製造コストの増大等を生じることなく十分な白輝度を得ることができる。以上のことから、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置が得られる。
【0038】
更に、上記実施形態によれば、第2容量Cxは、第1スイッチ24の近傍に配置され、また、第1スイッチ24を構成する薄膜トランジスタの半導体層と同一極性のポリシリコンを半導体層として用いているため、形成が容易であるとともに、第1スイッチ24の特性との特性差を低減することが可能となる。第2容量Cxは、酸化膜からなるゲート絶縁膜を誘電体層として用いているため、比較的容易に大きな容量とすることができる。
【0039】
上記実施形態で示したように、第2容量Cxは、第1スイッチ24がオフに切換え時に生じるゲート電位変動を完全に吸収するように形成されていることが望ましいが、必ずしもこれに限定されることなく、第2容量Cxは、上記ゲート電位変動の少なくとも一部を吸収する値に形成されていれば、ゲート制御電圧の変動低減効果を得ることができる。また、駆動トランジスタ22のゲート、ドレイン間に接続され第1スイッチ24を構成するトランジスタは1つに限らず、複数のトランジスタを直列に接続してもよい。この場合、第2容量Cxの容量値は、トランジスタの数に応じて設定される。
【0040】
第2容量Cxは上述した構造に限らず、第1スイッチ、駆動トランジスタ等を構成している薄膜トランジスタとほぼ同一構造を有した薄膜トランジスタを用いて構成してもよい。
すなわち、この発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置によれば、図5および図6に示すように、駆動トランジスタ22、第1、第2スイッチ、および画素スイッチ20は、半導体層にポリシリコンを用いたトップゲート構造のPチャネル型薄膜トランジスタにより構成されている。これら薄膜トランジスタの詳細な構成は、前述した第1実施形態と同一であり、同一の部分は同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0041】
一方、第2容量Cxも上記薄膜トランジスタとほぼ同一構造を有している。すなわち、第2容量Cxは、光透過性絶縁基板8上に形成されポリシリコンからなる半導体層70を備え、この半導体層はソース領域70a、ドレイン領域70b、およびソース、ドレイン領域間に位置したチャネル領域70cを有している。半導体層70は駆動トランジスタ22の半導体層50と同一極性、つまり、Pチャネル半導体層により形成されている。半導体層70に重ねてゲート絶縁膜52が形成され、このゲート絶縁膜上にはゲート電極Gが設けられチャネル領域70cとセルフアラインの関係で対向している。ゲート電極Gに重ねて層間絶縁膜54が形成され、この層間絶縁膜上にはソース電極(ソース)Sおよびドレイン電極(ドレイン)Dが設けられている。ソース電極Sおよびドレイン電極Dは、層間絶縁膜54およびゲート絶縁膜52に貫通形成されたコンタクトを介して半導体層70のソース領域70aおよびドレイン領域70bにそれぞれ接続されている。
【0042】
第2容量Cxは、金属膜からなるゲート電極G、酸化膜からなるゲート絶縁膜52、および半導体層70を積層配置することによりMOS容量を構成している。ここで、第2容量Cxにおいて、ソース電極Sおよびドレイン電極Dは互いに導通し、共に駆動トランジスタ22のゲートGに接続されている。これにより、半導体層70のソース領域70aおよびドレイン領域70bは、ソース電極Dおよびドレイン電極Dを介して駆動トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている。また、第2容量Cxのゲート電極Gは第3制御信号線Sgcに接続されている。このような構成を有した第2容量Cxは、ゲート電極Gに所定レベルの電位が印加された場合にのみオン状態となり、電荷を保持する容量として機能する。第2容量Cxは、第1スイッチ24とほぼ同一構成、同一のレイアウトで形成することが望ましく、この場合、よりバラツキを吸収することが可能となる。
【0043】
なお、図5および図6に示した第2の実施形態において、第2容量Cx以外の構成は前述した実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、上記のように構成された第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
前述した実施形態において、第2容量Cxをオン、オフする制御信号Scは、画素トランジスタ20および第1スイッチ24を駆動する制御信号Saと逆位相の信号としている。この場合、制御信号Scを容易に生成することができ、制御信号出力回路14の構成を簡略化することが可能となる。しかしながら、これに限らず、図7に示すように、制御信号Scは、第1スイッチ24がオフ状態に切換えられた後、発光期間の開始前に、第2容量Cxをオフ状態からオン状態へ切換えるように設定してもよい。
【0045】
また、有機EL表示装置の画素回路は電流信号方式に限らず、電圧信号方式の画素回路として構成してもよい。図8は本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置の表示画素PXを示している。各表示画素PXは、自己発光素子である有機EL素子16、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路18により構成されている。画素回路18は電圧信号からなる映像信号に応じて有機EL素子16の発光を制御する電圧信号方式の画素回路であり、画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第1容量Cs1、Cs2、および第2容量Cxを備えている。画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26は、同一導電型、例えばPチャネル型の薄膜トランジスタにより構成されている。
【0046】
駆動トランジスタ22のソースは高電位の第2電圧電源線Vddに接続されている。駆動トランジスタ22のゲート、ソース間には保持容量として機能する第1容量Cs1が接続され、ゲート、ドレイン間には第1スイッチ24が接続されている。駆動トランジスタ22のゲートは、保持容量として機能する第1容量Cs2を介して画素スイッチ20のドレインに接続され、画素スイッチのソースは信号線Xに接続されている。
【0047】
駆動トランジスタ22のドレインは第2スイッチ26のソースに接続され、第2スイッチのドレインは有機EL素子16のアノードに接続されている。有機EL素子16のカソードは低電位の第1電圧電源線Vssに接続されている。第2容量Cxは、前述した第1の実施形態と同様に、MOS容量により形成され、駆動トランジスタ22のゲートと第3制御信号線Sgcとの間に接続されている。
【0048】
各画素回路18には、図示しない信号線駆動回路から出力され電圧信号からなる映像信号Dataが信号線Xを介して入力される。また、画素スイッチ20、第1スイッチ24および第2スイッチ26は、図示しない制御信号出力回路で生成された制御信号Sa、制御信号Sb、および制御信号Sdによりそれぞれ第1制御信号線Sga、第2制御信号線Sgb第4制御信号線Sgdを介してオン、オフ制御される。
【0049】
第3の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。第3の実施形態においても、駆動トランジスタ22のゲートと第3制御信号線Sgcとの間に第2容量Cxを設けることにより、第1スイッチ24のオフ時に生じる駆動トランジスタのゲート電位変動を補償することができる。これにより、駆動トランジスタの閾値補正動作を確実に行ないつつ、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタのゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、複数の表示画素間における輝度のバラツキを抑制することが可能となる。従って、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置が得られる。
【0050】
その他、本発明は前述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することできる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0051】
前述した実施形態では、画素回路を構成する薄膜トランジスタを全て同一の導電型、ここではPチャネル型で構成する場合について説明したが、これに限定されず、全てをNチャネル型の薄膜トランジスタで構成することも可能である。また、画素スイッチ、第1スイッチをNチャネル型の薄膜トランジスタ、駆動トランジスタおよび第2スイッチをPチャネル型の薄膜トランジスタでそれぞれ構成するなど、画素回路を異なる導電型の薄膜トランジスタを混在して形成することも可能である。
【0052】
更に、薄膜トランジスタの半導体層は、ポリシリコンに限らず、アモルファスシリコンで構成することも可能である。表示画素を構成する自己発光素子は、有機EL素子に限定されず自己発光可能な様々な表示素子を適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す回路図。
【図2】上記有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図3】上記有機EL表示装置の一部を示す断面図。
【図4】図2に示す表示画素の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図6】上記第2の実施形態に係る有機EL表示装置の一部を示す断面図。
【図7】変形例に係る表示画素の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【符号の説明】
12…コントローラ、 14…制御信号出力回路、
15…信号線駆動回路、 16…有機EL素子、 18…画素回路、
20…画素スイッチ、 22…駆動トランジスタ、
24…第1スイッチ、 26…第2スイッチ、
PX…表示画素、 Vdd…第1電圧電源線、 Vss…第2電圧電源線、
Sga…第1制御信号線、 Sgb…第2制御信号線、
Sgc…第3制御信号線、 X…信号線、
Cs、Cs1、Cs2…第1容量、 Cx…第2容量。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有機エレクトロ・ルミネッセンス(以下、ELと称する)素子のような表示素子を含む表示画素をマトリクス状に配列して表示画面を構成したアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ、情報携帯端末あるいはテレビジョン等の表示装置として、平面型のアクティブマトリクス型表示装置が広く利用されている。近年、このような平面型のアクティブマトリクス型表示装置として、有機EL素子のような自己発光素子を用いた有機EL表示装置が注目され、盛んに研究開発が行われている。この有機EL表示装置は、薄型軽量化の妨げとなるバックライトを必要とせず、高速な応答性から動画再生に適し、さらに低温で輝度低下しないために寒冷地でも使用できるという特徴を備えている。
【0003】
一般に、有機EL表示装置は、複数行、複数列に並んで設けられ表示画面を構成した複数の表示画素、表示画素の各行に沿って延びた複数の走査線、表示画素の各列に沿って延びた複数の信号線、各走査線を駆動する走査線駆動回路、各信号線を駆動する信号線駆動回路等を備えている。各表示画素は自己発光素子である有機EL素子、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路により構成されている。各画素回路は、走査線および信号線の交差位置近傍に配置された画素スイッチ、一対の電源線間で有機EL素子と直列に接続され薄膜トランジスタによって構成された駆動トランジスタ、および駆動トランジスタのゲート制御電圧を保持する保持容量を有している。画素スイッチは対応走査線から供給される走査信号に応答して導通し、対応信号線から供給される映像信号を取り込む。この映像信号に対応する駆動トランジスタのゲート、ソース間電位はゲート制御電圧として保持容量に書き込まれ所定期間保持される。そして、駆動トランジスタは保持容量に書き込まれたゲート制御電圧に応じた電流量を有機EL素子に供給し、発光動作を行う。
【0004】
有機EL素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜である発光層をカソードおよびアノード間に挟持した構造を有し、発光層に電子および正孔を注入しこれらを再結合させることにより励起子を生成させ、この励起子の失活時に生じる光放出により発光する。そして、有機EL素子は、供給電流量に対応する輝度で発光し、10V以下の印加電圧でも100〜100000cd/m2程度の輝度を得ることができる。
【0005】
このような有機EL表示装置において、駆動トランジスタとして用いられる薄膜トランジスタは、ガラス等の絶縁基板上に形成された半導体薄膜を用いて形成されている。そのため、閾値電圧Vthやキャリア移動度μのような駆動トランジスタの特性は、製造プロセス等に依存しバラツキが生じ易い。駆動トランジスタの閾値電圧Vthにバラツキがあると、有機EL素子を適切な輝度で発光させることが困難となり、複数の表示画素間で輝度のバラツキが発生し表示ムラの原因となる。
【0006】
従来、このような閾値電圧Vthのバラツキによる影響を回避するため、全表示画素に閾値キャンセル回路を設けた表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。各閾値キャンセル回路は、信号線駆動回路から映像信号に先だって供給されるリセット信号を用いて駆動トランジスタの制御電圧を初期化するように構成されている。また、他の表示装置として、映像信号の書き込みを電流信号により行ない、駆動トランジスタにおける特性バラツキの影響を低減し、発光輝度の均一化を図った表示装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第6,229,506号明細書
【0008】
【特許文献2】
米国特許第6,373,454号明細書
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した表示装置において、各表示画素の画素回路は、映像信号の書込み時あるいはリセット動作時に駆動トランジスタのゲート、ドレイン間を短絡する1つあるいは複数のスイッチを含んで構成されている。このスイッチはそれぞれ薄膜トランジスタで構成されオン、オフ制御される。しかしながら、スイッチがオンからオフに切換わる際、スイッチのゲート、ソース間に形成された寄生容量に起因するフィードスルー電圧が生じる。そして、発生したフィードスルー電圧は保持容量に流れ込み、駆動トランジスタのゲート制御電圧を変動させてしまう。そのため、駆動トランジスタのゲート制御電圧にバラツキが発生し、複数の表示画素間で輝度のバラツキを生じる。このような表示画素間の輝度のバラツキは表示ムラとなって現われ、表示品位を低下させる。
【0010】
例えば、上記スイッチおよび駆動トランジスタがPチャネル型薄膜トランジスタで構成されている場合、この駆動トランジスタのゲート制御電圧はプラス電位方向に変動し、駆動トランジスタを流れる電流は減少方向に変化する。これは、EL発光電流の減少につながり、表示画像の輝度不足を引き起こす。
【0011】
発光電流減少分を予め上乗せした映像信号を駆動回路から供給することで、輝度不足の問題を回避する対策も考えられる。しかしながら、第1スイッチの特性バラツキ等により、発生するフィードスルー電圧は複数の第1スイッチ間で必ずしも同一とはならず、上記対策により表示画素の輝度不足および輝度のバラツキを充分に補償することは困難となる。
【0012】
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、フィードスルー電圧に起因する表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の態様に係るアクティブマトリクス型表示装置は、マトリクス状に配列された複数の表示画素と、前記表示画素の行毎に設けられた複数の第1および第2制御信号線と、を備え、
各表示画素は、表示素子、前記表示素子に接続され制御電圧に応じた電流量を前記表示素子に出力する駆動トランジスタ、前記駆動トランジスタの制御端子、第1端子間に接続され前記制御電圧を保持する第1容量、トランジスタにより形成され前記駆動トランジスタの制御端子、第2端子間に接続されているとともに、前記第1制御信号線からの制御信号によりオン、オフ制御される第1スイッチ、および前記駆動トランジスタの制御端子と前記第2制御信号線との間に接続され、前記第2制御信号線からの制御信号に応じて、前記第1スイッチのオフ切換え時に生じる前記制御電圧の変位量に相当する電荷を吸収する第2容量を含んでいることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るアクティブマトリクス型の有機EL表示装置について詳細に説明する。
図1に示すように、有機EL表示装置は、有機ELパネル10および有機ELパネル10を制御するコントローラ12を備えている。
【0015】
有機ELパネル10は、ガラス板等の光透過性絶縁基板8上にマトリクス状に配列され表示領域11を構成したm×n個の表示画素PX、表示画素の行毎に接続されているとともにそれぞれ独立してm本ずつ設けられた第1制御信号線Sga(1〜m)、第2制御信号線Sgb(1〜m)、第3制御信号線Sgc(1〜m)と、表示画素の列毎にそれぞれ接続されたn本の信号線X(1〜n)、第1、第2、第3制御信号線Sga、Sgn、Sgcを表示画素の行毎に順次駆動する制御信号出力回路14、および複数の信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路15を備えている。なお、本実施の形態における第3制御信号線Sgcは、この発明における第2制御信号線として機能する。
【0016】
各表示画素PXは、自己発光素子である有機EL素子16、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路18により構成されている。図2に表示画素PXの等価回路を示す。画素回路18は電流信号からなる映像信号に応じて有機EL素子16の発光を制御する電流信号方式の画素回路であり、画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26、保持容量として機能する第1容量Cs、および第2容量Cxを備えている。画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26は、ここでは同一導電型、例えばPチャネル型の薄膜トランジスタにより構成されている。
【0017】
駆動トランジスタ22、第2スイッチ26、および有機EL素子16は、第1電圧電源線Vssと第2電圧電源線Vddとの間で直列に接続されている。第1および第2電圧電源線Vss、Vddは、例えば0Vおよび+10Vの電位にそれぞれ設定される。駆動トランジスタ22は、その第1端子、ここではソースが第2電圧電源線Vddに接続され、有機EL素子16は、一方の電極、ここではカソードが第1電圧電源線Vssに接続されている。第2スイッチ26は、ソースが駆動トランジスタ22の第2端子、ここではドレインに接続されている。また、第2スイッチ26は、ドレインが有機EL素子16のアノードに接続され、更に、ゲートが第2制御信号線Sgbに接続されている。
【0018】
駆動トランジスタ22は、映像信号に応じた電流量を有機EL素子16に出力する。第2スイッチ26は、第2制御信号線Sgbからの制御信号Sbによりオン(導通状態)、オフ(非導通状態)制御され、駆動トランジスタ22と有機EL素子16との接続、非接続を制御する。
【0019】
第1容量Csは、駆動トランジスタ22の第1端子、制御端子間、ここではソース、ゲート間に接続され、映像信号により決定される駆動トランジスタ22のゲート制御電位を保持する。画素スイッチ20は、対応する信号線Xと駆動トランジスタ22のドレインとの間に接続され、そのゲートは第1制御信号線Sgaに接続されている。画素スイッチ20は、第1制御信号線Sgaから供給される制御信号Saに応答して対応信号線Xから映像信号を取り込む。
【0020】
第1スイッチ24は、駆動トランジスタ22のドレイン、ゲート間に接続され、そのゲートが第1制御信号線Sgaに接続されている。第1スイッチ24は、第1制御信号線Sgaからの制御信号Saに応じてオン、オフされ、駆動トランジスタ22のゲート、ドレイン間の接続、非接続を制御するとともに、第1容量Csからの電流リークを規制する。
【0021】
第2容量Cxは、駆動トランジスタ22のゲートと第3走査線Sgcとの間に接続されている。第2容量Cxは、後述するように、金属膜、誘電体としての酸化膜、および半導体層からなるMOS容量により構成されている。
【0022】
本実施形態では、画素回路を構成する薄膜トランジスタは全て同一工程、同一層構造で形成され、半導体層にポリシリコンを用いたトップゲート構造の薄膜トランジスタである。また、第2容量Cxは薄膜トランジスタを形成する工程で同時に形成される。図3を参照して、画素回路を構成する薄膜トランジスタの内、駆動トランジスタ22として機能する薄膜トランジスタの構成を説明するとともに、第2容量Cxの構成を詳細に説明する。
【0023】
駆動トランジスタ22を構成したPチャネル型の薄膜トランジスタは、光透過性絶縁基板8上に形成されポリシリコンからなる半導体層50を備え、この半導体層はソース領域50a、ドレイン領域50b、およびソース、ドレイン領域間に位置したチャネル領域50cを有している。半導体層50に重ねて酸化膜からなるゲート絶縁膜52が形成され、このゲート絶縁膜上にゲート電極Gが設けられチャネル領域50cと対向している。ゲート電極Gに重ねて層間絶縁膜54が形成され、この層間絶縁膜上にソース電極(ソース)Sおよびドレイン電極(ドレイン)Dが設けられている。ソース電極Sおよびドレイン電極Dは、層間絶縁膜54およびゲート絶縁膜52に貫通形成されたコンタクトを介して半導体層50のソース領域50aおよびドレイン領域50bにそれぞれ接続されている。画素スイッチ20、第1および第2スイッチ24、26を構成する各薄膜トランジスタも上記と同一の構造に形成されている。
【0024】
なお、層間絶縁膜54上には、ソース電極S、ドレイン電極D、配線を覆って保護膜56が形成されている。更に、保護膜56上には、親水膜58、隔壁膜60が順に積層されている。
【0025】
一方、第2容量Cxは、光透過性絶縁基板8上に形成されポリシリコンからなる半導体層70、ゲート絶縁膜52を介して半導体層70と対向したゲート電極G、および層間絶縁膜54上に設けられコンタクトを介して半導体層70に接続されたドレイン電極Dを有している。半導体層70はソース領域70a、ドレイン領域70b、これらの領域間に位置したチャネル領域70cを有している。半導体層70のソース領域70aおよびドレイン領域70bは駆動トランジスタ22における半導体層50のソース領域およびドレイン領域と同一極性、つまり、Pチャネル型半導体層に形成されている。チャネル領域70cは駆動トランジスタのチャネル領域50cと同様に、ソースおよびドレイン領域に注入された不純物よりも低濃度の不純物を含むか、あるいは真性な状態である領域で、ゲート電極とセルフアラインとなるよう形成されている。
【0026】
そして、第2容量Cxは、金属膜からなるゲート電極G、酸化膜からなるゲート絶縁膜52、および半導体層70を積層配置することによりMOS容量を構成している。第2容量Cxのゲート電極Gは第3制御信号線Sgcに接続され、半導体層70はドレイン電極Dおよび配線を介して駆動トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている。このような構成を有した第2容量Cxは、ゲート電極Gに所定レベルの電位が印加された場合にのみオン状態となり、電荷を保持する容量として機能する。第1容量Csの容量値を例えば1〜2pF程度とした場合、第2容量Cxの容量値は、例えば、数10fF程度に設定される。
【0027】
なお、第2容量Cxは上記薄膜トランジスタと同一工程、同一層構造で形成されている。このように全ての薄膜トランジスタおよび第2容量Cxを同一工程および同一導電型、つまり、同一極性の半導体層で構成することにより、製造工数の増大を抑制することができる。
【0028】
一方、図1に示すコントローラ12は有機ELパネル10の外部に配置されたプリント回路基板上に形成され、制御信号出力回路14および信号線駆動回路15を制御する。コントローラ12は外部から供給されるデジタル映像信号および同期信号を受け取り、垂直走査タイミングを制御する垂直走査制御信号、および水平走査タイミングを制御する水平走査制御信号を同期信号に基づいて発生し、これら垂直走査制御信号および水平走査制御信号をそれぞれ制御信号出力回路14および信号線駆動回路15に供給すると共に、水平および垂直走査タイミングに同期してデジタル映像信号を信号線駆動回路15に供給する。
【0029】
信号線駆動回路15は水平走査制御信号の制御により各水平走査期間において順次得られる映像信号Data1〜Datamをアナログ形式に変換し電流信号として複数の信号線Xに並列的に供給する。制御信号出力回路14は、シフトレジスタ、出力バッファ等を含み、外部から供給される水平走査スタートパルスを順次次段に転送し、出力バッファを介して各行の表示画素PXに3種類の制御信号、すなわち、制御信号Sa、Sb、Scを供給する。これにより、各第1、第2、第3制御信号線Sga、Sgb、Sgcは、互いに異なる1水平走査期間において、それぞれ制御信号Sa、制御信号Sb、制御信号Scにより駆動される。
【0030】
図4に示すタイミングチャートを参照して、制御信号出力回路14および信号線駆動回路15の出力信号に基づく画素回路18の動作について説明する。
制御信号出力回路14は、例えば、スタート信号とクロックとから各水平走査期間に対応した幅のパルスを生成し、そのパルスを制御信号Saとして出力する。また、制御信号出力回路14は、制御信号Saを反転させ制御信号Saと逆位相の制御信号Scを出力するとともに、スタート信号とクロックとから各水平走査期間に対応した幅のパルスを生成し、そのパルスを制御信号Sbとして出力する。
【0031】
画素回路18の動作は、映像信号書込み動作および発光動作に分けられる。図4の時点t1で、制御信号Saが画素スイッチ20および第1スイッチ24をオン状態とするレベル(オン電位)、ここではローレベル、制御信号Sbが第2スイッチ26をオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここではハイレベルとなる。これにより、画素スイッチ20および第1スイッチ24がオン(導通状態)、第2スイッチ26がオフ(非導通状態)に切換えられ、映像信号書込み動作が開始される。また、時点t1で、制御信号Scが第2容量Cxをオフ状態とするレベル(オフ電位)、ここではハイレベルとなり、第2容量Cxは電荷を保持する容量として機能しない状態となる。
【0032】
映像信号書込み期間(t1〜t2)において、駆動トランジスタ22はダイオード接続状態となり、また、画素スイッチ20を通して対応信号線Xから映像信号Dataが取り込まれる。つまり、定電流源であるアナログ変換回路に接続された信号線Xおよび画素回路18により、駆動トランジスタ22のソース、ドレイン間に流れる電流が所望の定電流となるように設定される。そして、この電流量に対応した駆動トランジスタ22のゲート、ソース間電位が第1容量Csに書き込まれる。
【0033】
次に、時点t2では、制御信号Saおよび制御信号Scがそれぞれハイレベル(オフ電位)、ローレベル(オン電位)となり、画素スイッチ20および第1スイッチ24がオフ、第2容量Cxがオンとなる。これにより、映像信号書込み動作が終了するとともに、第2容量Cxは電荷を保持可能な容量となる。
【0034】
続いて、時点t3では、制御信号Sbがローレベルとなり、第2スイッチ26がオンとなる。これにより、発光動作が開始する。発光期間において、駆動トランジスタ22は、第1容量Csに書き込まれたゲート制御電圧により、映像信号に対応した電流量を有機EL素子16に供給する。これにより有機EL素子16が発光し、発光動作が開始される。そして、有機EL素子16は、1フレーム期間後に、再び制御信号Sbがオフ電位となるまで発光状態を維持する。
【0035】
ここで、書込み期間の終了時、第1スイッチ24がオン状態からオフ状態に切換わると、第1スイッチ24の寄生容量Cgsに起因するフィードスルー電圧が発生する。このフィードスルー電圧は第1容量Csに印加され、第1容量Csの電位、すなわち、駆動トランジスタ22のゲート電位をプラス方向に変位させる。しかし、この時、第2容量Cxは、電荷を保持可能なオン状態にあることから、ゲート電位の変位量に相当する電荷、つまり、フィードスルー電圧に相当する電荷を吸収し、第3走査線Sgc側へ逃がす。これにより、第1スイッチ24のオフ切換え時に生じたゲート電位の変位を第2容量Cxによって吸収し、発光期間中、ゲート制御電圧を映像信号に応じた正確な電位に維持する。
【0036】
このようなゲート制御電圧の変動を吸収するため、第2容量Cxの容量値は、上述したゲート制御電圧の変位量に相当する電荷を、つまり、第1スイッチ24で発生したフィードスルー電圧に相当する電荷を保持する値に設定される。第1スイッチ24において、フィードスルー電圧は第1スイッチのソース側およびドレイン側にそれぞれ発生し、その大きさは、それぞれゲート容量のほぼ1/2に対応した値となる。そのため、本実施形態において、第2容量Cxの容量値は、第1スイッチ24のゲート容量の1/2に設定されている。なお、ゲート容量とは、第1スイッチのゲート、ソース間の容量、ゲート、ドレイン間の容量、およびゲートと他の部位間の容量を含むものとする。また、第2容量Cxに供給される制御信号Scのオン、オフ電位差は、第1スイッチ24に供給される制御信号Saのオン、オフ電位差と同一に設定されている。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る有機EL表示装置では、駆動トランジスタ22のゲートと第3制御信号線Sgcとの間に接続された第2容量Cxを設けることにより、第1スイッチ24のオフ切換え時に生じる駆動トランジスタのゲート電位変動を吸収し、このゲート電位を映像信号に応じた所望の電位に補償することができる。これにより、映像信号の書込み動作を確実に行ないつつ、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタのゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、複数の表示画素間における輝度のバラツキを抑制することが可能となる。また、ゲート制御電圧の変動を補償する目的で駆動回路から過剰な電流量を供給する必要が無く、駆動電圧の上昇、大型化、製造コストの増大等を生じることなく十分な白輝度を得ることができる。以上のことから、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置が得られる。
【0038】
更に、上記実施形態によれば、第2容量Cxは、第1スイッチ24の近傍に配置され、また、第1スイッチ24を構成する薄膜トランジスタの半導体層と同一極性のポリシリコンを半導体層として用いているため、形成が容易であるとともに、第1スイッチ24の特性との特性差を低減することが可能となる。第2容量Cxは、酸化膜からなるゲート絶縁膜を誘電体層として用いているため、比較的容易に大きな容量とすることができる。
【0039】
上記実施形態で示したように、第2容量Cxは、第1スイッチ24がオフに切換え時に生じるゲート電位変動を完全に吸収するように形成されていることが望ましいが、必ずしもこれに限定されることなく、第2容量Cxは、上記ゲート電位変動の少なくとも一部を吸収する値に形成されていれば、ゲート制御電圧の変動低減効果を得ることができる。また、駆動トランジスタ22のゲート、ドレイン間に接続され第1スイッチ24を構成するトランジスタは1つに限らず、複数のトランジスタを直列に接続してもよい。この場合、第2容量Cxの容量値は、トランジスタの数に応じて設定される。
【0040】
第2容量Cxは上述した構造に限らず、第1スイッチ、駆動トランジスタ等を構成している薄膜トランジスタとほぼ同一構造を有した薄膜トランジスタを用いて構成してもよい。
すなわち、この発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置によれば、図5および図6に示すように、駆動トランジスタ22、第1、第2スイッチ、および画素スイッチ20は、半導体層にポリシリコンを用いたトップゲート構造のPチャネル型薄膜トランジスタにより構成されている。これら薄膜トランジスタの詳細な構成は、前述した第1実施形態と同一であり、同一の部分は同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0041】
一方、第2容量Cxも上記薄膜トランジスタとほぼ同一構造を有している。すなわち、第2容量Cxは、光透過性絶縁基板8上に形成されポリシリコンからなる半導体層70を備え、この半導体層はソース領域70a、ドレイン領域70b、およびソース、ドレイン領域間に位置したチャネル領域70cを有している。半導体層70は駆動トランジスタ22の半導体層50と同一極性、つまり、Pチャネル半導体層により形成されている。半導体層70に重ねてゲート絶縁膜52が形成され、このゲート絶縁膜上にはゲート電極Gが設けられチャネル領域70cとセルフアラインの関係で対向している。ゲート電極Gに重ねて層間絶縁膜54が形成され、この層間絶縁膜上にはソース電極(ソース)Sおよびドレイン電極(ドレイン)Dが設けられている。ソース電極Sおよびドレイン電極Dは、層間絶縁膜54およびゲート絶縁膜52に貫通形成されたコンタクトを介して半導体層70のソース領域70aおよびドレイン領域70bにそれぞれ接続されている。
【0042】
第2容量Cxは、金属膜からなるゲート電極G、酸化膜からなるゲート絶縁膜52、および半導体層70を積層配置することによりMOS容量を構成している。ここで、第2容量Cxにおいて、ソース電極Sおよびドレイン電極Dは互いに導通し、共に駆動トランジスタ22のゲートGに接続されている。これにより、半導体層70のソース領域70aおよびドレイン領域70bは、ソース電極Dおよびドレイン電極Dを介して駆動トランジスタ22のゲート電極Gに接続されている。また、第2容量Cxのゲート電極Gは第3制御信号線Sgcに接続されている。このような構成を有した第2容量Cxは、ゲート電極Gに所定レベルの電位が印加された場合にのみオン状態となり、電荷を保持する容量として機能する。第2容量Cxは、第1スイッチ24とほぼ同一構成、同一のレイアウトで形成することが望ましく、この場合、よりバラツキを吸収することが可能となる。
【0043】
なお、図5および図6に示した第2の実施形態において、第2容量Cx以外の構成は前述した実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。そして、上記のように構成された第2の実施形態においても、上記第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0044】
前述した実施形態において、第2容量Cxをオン、オフする制御信号Scは、画素トランジスタ20および第1スイッチ24を駆動する制御信号Saと逆位相の信号としている。この場合、制御信号Scを容易に生成することができ、制御信号出力回路14の構成を簡略化することが可能となる。しかしながら、これに限らず、図7に示すように、制御信号Scは、第1スイッチ24がオフ状態に切換えられた後、発光期間の開始前に、第2容量Cxをオフ状態からオン状態へ切換えるように設定してもよい。
【0045】
また、有機EL表示装置の画素回路は電流信号方式に限らず、電圧信号方式の画素回路として構成してもよい。図8は本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置の表示画素PXを示している。各表示画素PXは、自己発光素子である有機EL素子16、およびこの有機EL素子に駆動電流を供給する画素回路18により構成されている。画素回路18は電圧信号からなる映像信号に応じて有機EL素子16の発光を制御する電圧信号方式の画素回路であり、画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第1容量Cs1、Cs2、および第2容量Cxを備えている。画素スイッチ20、駆動トランジスタ22、第1スイッチ24、第2スイッチ26は、同一導電型、例えばPチャネル型の薄膜トランジスタにより構成されている。
【0046】
駆動トランジスタ22のソースは高電位の第2電圧電源線Vddに接続されている。駆動トランジスタ22のゲート、ソース間には保持容量として機能する第1容量Cs1が接続され、ゲート、ドレイン間には第1スイッチ24が接続されている。駆動トランジスタ22のゲートは、保持容量として機能する第1容量Cs2を介して画素スイッチ20のドレインに接続され、画素スイッチのソースは信号線Xに接続されている。
【0047】
駆動トランジスタ22のドレインは第2スイッチ26のソースに接続され、第2スイッチのドレインは有機EL素子16のアノードに接続されている。有機EL素子16のカソードは低電位の第1電圧電源線Vssに接続されている。第2容量Cxは、前述した第1の実施形態と同様に、MOS容量により形成され、駆動トランジスタ22のゲートと第3制御信号線Sgcとの間に接続されている。
【0048】
各画素回路18には、図示しない信号線駆動回路から出力され電圧信号からなる映像信号Dataが信号線Xを介して入力される。また、画素スイッチ20、第1スイッチ24および第2スイッチ26は、図示しない制御信号出力回路で生成された制御信号Sa、制御信号Sb、および制御信号Sdによりそれぞれ第1制御信号線Sga、第2制御信号線Sgb第4制御信号線Sgdを介してオン、オフ制御される。
【0049】
第3の実施形態において、他の構成は前述した第1の実施形態と同一であり、同一の部分には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。第3の実施形態においても、駆動トランジスタ22のゲートと第3制御信号線Sgcとの間に第2容量Cxを設けることにより、第1スイッチ24のオフ時に生じる駆動トランジスタのゲート電位変動を補償することができる。これにより、駆動トランジスタの閾値補正動作を確実に行ないつつ、フィードスルー電圧に起因する駆動トランジスタのゲート制御電圧の変動、バラツキを低減し、複数の表示画素間における輝度のバラツキを抑制することが可能となる。従って、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型の有機EL表示装置が得られる。
【0050】
その他、本発明は前述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することできる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0051】
前述した実施形態では、画素回路を構成する薄膜トランジスタを全て同一の導電型、ここではPチャネル型で構成する場合について説明したが、これに限定されず、全てをNチャネル型の薄膜トランジスタで構成することも可能である。また、画素スイッチ、第1スイッチをNチャネル型の薄膜トランジスタ、駆動トランジスタおよび第2スイッチをPチャネル型の薄膜トランジスタでそれぞれ構成するなど、画素回路を異なる導電型の薄膜トランジスタを混在して形成することも可能である。
【0052】
更に、薄膜トランジスタの半導体層は、ポリシリコンに限らず、アモルファスシリコンで構成することも可能である。表示画素を構成する自己発光素子は、有機EL素子に限定されず自己発光可能な様々な表示素子を適用可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、表示ムラを低減し、表示品位の向上したアクティブマトリクス型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る有機EL表示装置の構成を示す回路図。
【図2】上記有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図3】上記有機EL表示装置の一部を示す断面図。
【図4】図2に示す表示画素の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【図6】上記第2の実施形態に係る有機EL表示装置の一部を示す断面図。
【図7】変形例に係る表示画素の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る有機EL表示装置における表示画素の等価回路を示す図。
【符号の説明】
12…コントローラ、 14…制御信号出力回路、
15…信号線駆動回路、 16…有機EL素子、 18…画素回路、
20…画素スイッチ、 22…駆動トランジスタ、
24…第1スイッチ、 26…第2スイッチ、
PX…表示画素、 Vdd…第1電圧電源線、 Vss…第2電圧電源線、
Sga…第1制御信号線、 Sgb…第2制御信号線、
Sgc…第3制御信号線、 X…信号線、
Cs、Cs1、Cs2…第1容量、 Cx…第2容量。
Claims (7)
- マトリクス状に配列された複数の表示画素と、前記表示画素の行毎に設けられた複数の第1および第2制御信号線と、を備え、
各表示画素は、表示素子、前記表示素子に接続され制御電圧に応じた電流量を前記表示素子に出力する駆動トランジスタ、前記駆動トランジスタの制御端子、第1端子間に接続され前記制御電圧を保持する第1容量、トランジスタにより形成され前記駆動トランジスタの制御端子、第2端子間に接続されているとともに、前記第1制御信号線からの制御信号によりオン、オフ制御される第1スイッチ、および前記駆動トランジスタの制御端子と前記第2制御信号線との間に接続され、前記第2制御信号線からの制御信号に応じて、前記第1スイッチのオフ切換え時に生じる前記制御電圧の変位量に相当する電荷を吸収する第2容量を含んでいることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。 - 前記第2容量は、前記第1スイッチのゲート容量の約1/2の容量値を有していることを特徴とする請求項1に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記第2容量は、前記第1スイッチの半導体層と同一の極性を有し前記駆動トランジスタの制御端子に接続された半導体層と、誘電体層を挟んで前記半導体層と対向しているとともに前記第2制御信号線に接続された金属膜と、を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記第2容量は、前記第1スイッチの半導体層と同一極性の半導体層と、誘電体層を挟んで前記半導体層と対向しているとともに前記第2制御信号線に接続されたゲートと、前記駆動トランジスタの制御端子に接続されたソースおよびドレインと、を備えたトランジスタにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 上記第1スイッチおよび第2容量の半導体層はポリシリコンにより形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記第1スイッチをオン、オフ制御する制御信号を前記第1制御信号線に供給するとともに、前記第1スイッチに供給する制御信号と逆位相の制御信号を前記第2制御信号線に供給する制御信号出力回路を備えていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
- 前記表示素子は、対向する電極間に有機発光層を備えた発光素子であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアクティブマトリクス型表示装置。
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