JP2004326887A - 光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】対物レンズの切り換えをコンパクトで且つシンプルな構成により実現し、さらに、光ディスクに対する各対物レンズの追従性が良好で、対物レンズの安定した位置補正制御が可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光ピックアップ機構3に、開口数の異なる2個の対物レンズ10A,10Bを保持するレンズホルダ12と、該レンズホルダ12を複数のワイヤW1〜W4で支持するとともに該レンズホルダ12を電磁力により微小駆動するレンズアクチュエータ11と、レーザ光の出射位置に2個の対物レンズをそれぞれ配置可能なようにレンズアクチュエータ11を移動させるレンズ切換機構41,42とが設けられるとともに、レンズアクチュエータ11は、2個の対物レンズ10A,10Bを光ディスクの回転方向に並ぶようにレンズホルダ12を支持するとともに、レンズホルダ12を2個の対物レンズ10A,10Bの中間の点をほぼ中心とした回転方向に駆動することで対物レンズ10A,10Bのトラッキング方向の補正を行うように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ピックアップ機構3に、開口数の異なる2個の対物レンズ10A,10Bを保持するレンズホルダ12と、該レンズホルダ12を複数のワイヤW1〜W4で支持するとともに該レンズホルダ12を電磁力により微小駆動するレンズアクチュエータ11と、レーザ光の出射位置に2個の対物レンズをそれぞれ配置可能なようにレンズアクチュエータ11を移動させるレンズ切換機構41,42とが設けられるとともに、レンズアクチュエータ11は、2個の対物レンズ10A,10Bを光ディスクの回転方向に並ぶようにレンズホルダ12を支持するとともに、レンズホルダ12を2個の対物レンズ10A,10Bの中間の点をほぼ中心とした回転方向に駆動することで対物レンズ10A,10Bのトラッキング方向の補正を行うように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスクに情報の記録又は再生を行う光ディスク装置に関し、さらには複数種類の光ディスクに対応可能とした光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、データの書き換え可能なタイプのCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル多用途ディスク)に加え、青紫レーザを用いて大容量の記録と再生を可能とする光ディスクなど、複数種類のメディアが実用化されている。
【0003】
これらのメディアに情報の記録又は再生を行う場合には、各メディアに対応した波長のレーザ光を用いる必要があり、さらに、CDやDVDでは開口数“NA0.6〜0.65”の対物レンズ、青紫レーザ用の光ディスクでは開口数“NA0.85〜1.0”の対物レンズと云うように、各メディアに対応した対物レンズを用いる必要がある。
【0004】
そのため、1台の光ディスク装置を複数種類のメディアに対応させるには、装置内に出力波長の異なる複数の半導体レーザや開口数の異なる複数の対物レンズを搭載しておき、メディアの種類に応じてそれらを切り換えて使用することが必要となる。
【0005】
複数の対物レンズを切り換えて使用することで複数のメディアに対応可能とする従来の技術としては、例えば特許文献1および特許文献2に開示の技術がある。これらは、1つのレンズホルダに複数の対物レンズを設けるとともに、レンズホルダを並進又は回転させることで使用する対物レンズを切り換えるようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平12−20572号公報
【特許文献1】
特開平10−198993号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスク装置においては、対物レンズを光のフォーカス方向、および、ディスク上のデータ列と直交するディスクの半径方向(トラック方向)にそれぞれ微小変位させて位置補正を図る必要がある。そのため、従来の光ディスク装置には、レンズホルダを複数のワイヤで支持したり、或いは、レンズホルダを摺動可能に軸支するとともに、電磁力を用いてレンズホルダを微小駆動するレンズアクチュエータが設けられ、そのレンズアクチュエータを用いて上記の位置補正を行っている。このようなレンズアクチュエータにおいて、レンズホルダを支持する構成は、ワイヤ支持構造のものが対物レンズの追従性の点から優れているとされている。
【0008】
ところが、ワイヤ支持構造でレンズホルダを並進させるタイプのレンズアクチュエータでは、レンズホルダの重量が増せば増すほどレンズホルダの共振周波数が低くなるという性質があった。そのため、2個の対物レンズを1つのレンズホルダに保持させて切り換える構成を適用した場合、対物レンズの個数が増える分レンズホルダの重量が増して、レンズアクチュエータの共振周波数が低くなるという課題が生じてしまう。
【0009】
このような共振周波数の低下は、フォーカス方向の補正制御にはさほど高い周波数範囲での制御動作は求められていないため問題にならないが、トラック方向の補正制御には高い周波数範囲での制御動作も求められているため、トラッキング制御においてその安定性が劣化するという課題が生じさせる。
【0010】
この発明の目的は、1個のレンズホルダに2個の対物レンズを保持させることで対物レンズの切り換えをコンパクトな構成により実現し、さらに、光ディスクに対する各対物レンズの追従性が良好で、対物レンズの安定した位置補正制御を行える光ディスク装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、レーザ光を所定の経路に導く光学系およびこのレーザ光を光ディスクの記録面へ集光させる対物レンズを備えた光ピックアップ機構と、該光ピックアップ機構を光ディスクの半径方向へ移動させるトラック移動手段とを備えた光ディスク装置において、上記光ピックアップ機構には、開口数の異なる2個の対物レンズと、該2個の対物レンズを保持する1個のレンズホルダと、このレンズホルダを複数のワイヤで支持するとともに電磁力により該レンズホルダを所定方向へ位置補正可能なレンズ駆動手段と、レーザ光の出射位置に上記2個の対物レンズをそれぞれ配置可能なように上記レンズ駆動手段を移動させるレンズ切換機構とが設けられるとともに、上記レンズ切換機構はレーザ光の出射位置における光ディスクの回転方向に上記レンズ駆動手段を移動可能とする構成であり、上記2個の対物レンズは光ディスクの回転方向に並んで配置されるとともに、上記レンズ駆動手段は上記レンズホルダを上記2個の対物レンズの中間の点をほぼ中心とした回転方向に駆動することで上記対物レンズのトラッキング方向の補正を行うように構成したものである。
【0012】
このような手段によれば、1つのレンズホルダに2個の対物レンズを保持する構成なので、対物レンズやレンズ駆動手段を含めた光ピックアップ機構全体をコンパクトに且つシンプルに構成できる。そにより、例えば、光ピックアップ機構を対物レンズ毎に2系統設ける場合と比較して部品点数やコストの削減を図れる。
【0013】
さらに、レンズ駆動手段はレンズホルダをワイヤで支持する構成なため、光ディスクに対する対物レンズの追従性が良く、さらにトラッキング方向の位置補正がレンズホルダを回転方向に駆動することで行われるため、詳細は実施の形態で述べるが、レンズホルダを並進駆動させる場合に比べて共振周波数を高くすることが出来る。
【0014】
そのため、レンズホルダに2個の対物レンズを保持させてレンズホルダの重量が増しても、トラッキング方向の位置補正に必要な周波数範囲にこの位置補正に付随する共振周波数が重ならないように、共振周波数を高くすることができ、それにより安定したトラッキング制御を行うことが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態の光ディスク装置における光ピックアップの駆動系の構成を示す斜視図である。
この実施の形態の光ディスク装置は、例えば出力波長の異なる3個の半導体レーザ(図1では1個の半導体レーザ20Aの他は省略している)と、開口数の異なる2個の対物レンズ10A,10Bとが搭載され、これらの半導体レーザや対物レンズを切り換えて使用することで、書換え可能なCDやDVDに加えて青紫レーザ用の光ディスクにも対応し、これら複数種のメディアに情報の記録と再生が可能に構成されている。
【0016】
この光ディスク装置は、光ディスクの中央部分を固定して回転駆動するスピンドル2と、情報の記録再生のためにレーザ光を所定の経路に沿って導く光学系が搭載されたピックアップ機構3と、情報の記録再生の位置に合わせてピックアップ機構3を光ディスクの半径方向へ移動させるトラック移動手段としてのスクリューシャフト4,4および図示しない駆動モータと、光ディスクを装置から出し入れする図示しないトレイ機構と、各部の電気制御を行う図示しない制御回路等を備えている。
【0017】
光ピックアップ機構3は、対物レンズを除いた光学系が搭載された枠体3Bと、対物レンズ10A,10Bを保持するとともに枠体3B上で配置を切換え可能な状態に固定されたレンズアクチュエータ11とから構成される。
【0018】
枠体3Bに搭載される光学系には、半導体レーザ20A…、コリメータレンズ、集光レンズ、ビームスプリッタ21およびレーザダイオード等が含まれる。これらの素子は、詳細は省略するが、対物レンズ10A,10Bの何れかが配置されるピックアップ位置までレーザ光を出力して導いたり、光ディスクの反射光を抽出して強度を検出したり、レーザ光の出力レベルを一定に保つ帰還制御のために出力光の一部を帰還させたり、対物レンズ10A,10Bの位置補正を行うために入射光や反射光の一部を抽出したりするのに用いられる。
【0019】
レンズアクチュエータ11の配置を切り換える構成(レンズ切換機構)は、特に制限されるものではないが、例えば図1に示すように、枠体3Bにスライドシャフト42,42を設ける一方、レンズアクチュエータ11のベース部3Aに軸受け41,41…を設け、この軸受け41,41…がスライドシャフト42,42に摺動可能に軸支される構成を適用することが出来る。その他、揺りかご式の運動機構を用いてレンズアクチュエータ11の配置切り換える構成など、種々の構成を適用することが出来る。
【0020】
レンズアクチュエータ11の配置を切り換えるための駆動力は、図示は省略するが、モータやソレノイドアクチュエータ等の駆動装置を枠体3B上に設けてこれらの駆動装置から伝達したり、或いは、ピックアップ機構3のホームポジションの位置に駆動装置を設けておく一方、ピックアップ機構3がホームポジションに移動した際にこの駆動装置とレンズアクチュエータ11の移動機構とが連結されて動力が伝達されるように構成することも出来る。
【0021】
図2には、レンズアクチュエータ11の構成を示す分離斜視図を、図3にはこのレンズアクチュエータ11の平面図を示す。
この実施の形態のレンズアクチュエータ11は、対物レンズをフォーカス方向F、光ディスクの回転方向に直交するトラッキング方向Tr、光ディスクの半径方向の傾きに相当するチルト角方向Tiの3軸方向に微小変位させることが可能に構成されたものである。
【0022】
このレンズアクチュエータ11は、2個の対物レンズ10A,10Bを保持するレンズホルダ12と、このレンズホルダ12を支持する4本のワイヤW1〜W4と、ワイヤW1〜W4の通過する範囲にレンズホルダ12の共振を減衰させる緩衝用ゲル(図示略)を装填するためのゲルボックス22,22と、電磁力によりレンズホルダ12を駆動するためにレンズホルダ12側に設けられたコイルF1,Tr11,Tr12,Tr21,Tr22(図3)およびレンズホルダ12の底面に取り付けられた磁石15A,15Bと、ベース部3A側に設けられた磁石31,32およびコイルTi1,Ti2等を備えている。また、ベース部3AにはワイヤW1〜W4を固定するためのワイヤ基板20や磁石を固定するための磁石ホルダ30などが設けられている。
【0023】
図3に示すように、2個の対物レンズ10A,10Bは、レンズホルダ12上面の中央の点を挟んでトラッキング方向Trと直行する方向にそれぞれ変位した位置に保持されている。特に制限されないが、レンズホルダ12上面の中央の点からそれぞれがほぼ等間隔に変位した位置に保持されるようにすると好ましい。
【0024】
ワイヤW1〜W4は、左側のワイヤW1,W2が配線接続されたプリント基板13aと右側のワイヤW3,W4が配線接続されたプリント基板13bとがレンズホルダ12の凹部に嵌め込まれることでレンズホルダ12に固着され、さらに、ワイヤW1〜W4とレンズホルダ12内の配線とが電気的に接続されるようになっている。
【0025】
ワイヤW1〜W4の取付け位置は、左側のワイヤW1,W2の付根の位置S1と右側のワイヤW3,W4の付根の位置S2とを結んだ線分が、平面図でレンズホルダ12の中心位置とほぼ重なる位置に来るようにされている。
【0026】
さらに、ワイヤW1〜W4は、左側のワイヤW1,W2と右側のワイヤW3,W4とがワイヤ基板20に向って左右に間隔を開くように斜めに伸びるようにされ、その一端がワイヤ基板20に半田付けされている。
【0027】
コイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22(図3)は、トラッキング駆動に用いられるもので、それぞれ正方形の各辺に沿って導線が巻かれてなる薄型の角型扁平コイルからなる。これらのコイルは、レンズホルダ12の対向する2つの側面12A,12Bに2個ずつ水平方向に並ぶように取り付けられている。これらのコイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22はワイヤW1,W3の間に直列に接続されるとともに、同一面に設けられた2個のコイルTr11とTr12(或いはTr21とTr22)は互いに逆向き(例えばコイルTr11が時計方向ならコイルTr12が反時計方向)に電流が流れ、対向する2個のコイルTr11とTr21(或いはTr12とTr22)は同一方向から見て同じ回転方向に電流が流れるように接続されている。
【0028】
コイルF1は、フォーカス駆動に用いられるもので、レンズホルダ12の側面に巻回されている。このコイルはワイヤW2,W4の間に電気的に接続されている。
【0029】
磁石15A,15Bは、チルト角駆動に用いられるもので、レンズホルダ12の底面にそれぞれ取り付けられている。これら2個の磁石15A,15Bは、レンズホルダ底面の中心を挟んでトラッキング方向Trにそれぞれ等間隔に変位した位置に取り付けられている。
【0030】
磁石ホルダ30に設置される磁石31,32は、レンズホルダ12のコイルTr11〜Tr22が設けられている2つの側面12A,12Bに対向するように配置され、ともに同一の極性(例えばS極)が内側を向くようにされている。これらの磁石31,32の横幅は2個のコイルの横幅の合計よりも狭く形成され、対向配置される2個のコイルTr11,Tr12(又はTr21,Tr22)に対して、各々のコイルの半分程度の範囲に重なるように配置されている。
【0031】
ベース部3A側のコイルTi1,Ti2は、レンズホルダ12の磁石15A,15Bと対向する位置に設けられ、例えば直列に接続されて同一の電流が流されるようになっている。
【0032】
このような構成のレンズアクチュエータ11によれば、先ず、レンズホルダ12の側面に巻回されたコイルF1に電流が流されることで、コイルF1と磁石31,32とが作用して、レンズホルダ12をフォーカス方向Fへ駆動させる。電流の向きを逆にすることで逆方向の駆動となる。
【0033】
また、ベース部3A側のコイルTi1,Ti2に電流が流されることで、これらコイルと磁石15A,15Bとが作用して、レンズホルダ12がチルト角方向へ駆動される。すなわち、ワイヤW2,W4の間に所定方向の電流を流すことで一方のコイルTi1および磁石15Aに斥力、他方のコイルTi2および磁石15Bに引力が働いてレンズホルダ12がTi方向(図2)に傾き、逆方向の電流を流すことで逆の力が働いてレンズホルダ12が−Ti方向に傾く。
【0034】
図4には、レンズアクチュエータ11においてトラッキング制御の動作を説明する図を示す。
トラッキング方向への駆動は、ワイヤW1,W3を介してコイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22に電流が流されることで行われる。すなわち、この電流によりコイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22と磁石31,32とが作用して、レンズホルダ12が回転方向R(図4)に駆動され、それにより各々の対物レンズ10A,10Bがトラッキング方向Tr,−Trに変位する。詳細には、ワイヤW1,W3を介して所定方向の電流が流されると、一方の側面12Aに設けられたコイルTr11,Tr12には左向きの駆動力が、他方の側面12Bに設けられたコイルTr21,Tr22には右向きの駆動力がそれぞれ生じて、レンズホルダ12がその中央の点をほぼ中心として回転方向Rに駆動する。そして、それにより、内側の対物レンズ10Bはトラッキング方向Trに変位するとともに、外側の対物レンズ10Aは逆向きのトラッキング方向−Trに変位する。また、逆方向の電流を流すことでその逆の変位が得られ、これらにより各対物レンズ10A,10Bのトラッキング制御が行われる。
【0035】
図5には、レンズホルダ12が光ディスクDに面した状態の側面図を示す。
対物レンズ10A,10Bは、例えば、開口数が“NA0.6〜0.65”と“NA0.85〜1.0”、レンズ上面から焦点位置までの距離を表わす作動距離(Working Distance)が“1.5mm”と“0.3mm”とそれぞれ異なるものである。
これらの対物レンズ10A,10Bは、図5に示すように、作動距離に合わせて高さを異ならせてレンズホルダ12に保持されている。
【0036】
以上のように、この実施の形態の光ディスク装置によれば、レンズアクチュエータ11を枠体上で移動させることで、レーザ光が導かれる出射孔に対物レンズ10A又は10Bを配置させ、2個の対物レンズ10A,10Bを切り換えて使用することが出来る。このような構成によれば、例えばレンズアクチュエータやピックアップ機構を2組設けたものと比較して、レンズアクチュエータやレンズホルダが1個で済むことから構成のコンパクト化ならびに部品点数や製造コストの削減が図れる。
【0037】
また、レンズアクチュエータ11としてワイヤ支持型のものを適用しているため、光ディスクDに対する対物レンズ10A,10Bの追従性が良好である。ところで、ワイヤ支持型でレンズホルダ12を並進させる場合にはレンズホルダ12はバネ振動と同様の運動を行うので、その共振周波数fは次式(1)のように重量mの平方根の逆数に比例する。
【0038】
【数1】
【0039】
従って、レンズホルダを並進運動させる構成では、2個の対物レンズ10A,10Bを保持させることによりレンズホルダ12の重量mが増した場合に、この重量mの増分だけ共振周波数fが低下することになる。フォーカス制御では余り高い周波数の運動を必要としていないため共振周波数の低下は余り問題にならないが、トラッキング制御には比較的高速な駆動を伴うので共振周波数fの低下は好ましくない。
【0040】
そこで、この実施の形態のレンズアクチュエータ11では、トラッキング制御にレンズホルダ12を並進させるのではなく、レンズホルダ12を回転運動させてトラッキング制御を行う構成とした。これにより、レンズホルダ12の重量が運動に及ぼす影響を少なくでき、さらに変位量に対するバネの作用力も大きくなるため、この運動の共振周波数を高くすることが出来る。例えば、上記バネ振動の共振周波数fの式に当てはめた場合、重量mはレンズホルダ12の実際の重量の1/3程度に、バネ定数kは並進のときよりも大きな値となり、並進運動の場合と比べて共振周波数fは高くなる。
【0041】
従って、この実施の形態のレンズアクチュエータ11によれば、1個のレンズホルダに2個の対物レンズを保持させてレンズホルダの重量が増した場合でも、安定的にトラッキング制御を行うことができる。
【0042】
また、トラッキング制御でレンズホルダ12が回転運動する際、ワイヤW1〜W4が斜めに伸びるように固定されているため、回転方向Rの駆動力に対してワイヤW1〜W4が適宜曲がり、レンズホルダ12をスムースに回転方向Rに駆動することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、トラッキング制御でレンズホルダ12のスムースな回転を得るためのワイヤ支持構造として、図3のように左右のワイヤW1〜W4がワイヤ基板20に向って間隔が開くように斜めに固定するほか、例えば、各ワイヤW1〜W4がワイヤ基板20に向って間隔を狭めるように斜めに固定される構造としても良く、このような構造でも同様の効果を得ることが出来る。また、直線状のワイヤW1〜W4ではなく、例えば中間で90度に曲がったワイヤを用いてレンズホルダ12を支持させることで、レンズホルダ12の回転方向の駆動をスムースに行わせることも可能である。
【0044】
また、実施の形態ではレンズアクチュエータとしてチルト角補正を行う3軸駆動タイプのものを示したが、本発明はチルト角補正を行わない2軸駆動タイプのレンズアクチュエータを備えた光ディスク装置に対しても同様に適用することも出来る。
【0045】
その他、レンズアクチュエータをピックアップ機構内で移動させるレンズ切換機構、ピックアップ機構をディスクの半径方向に移動させる機構、レンズホルダを駆動するための磁石やコイルの配置構成、対物レンズの種類や記録再生を行うメディアの種類など、実施の形態で具体的に示した細部は適宜変更可能であることは云うまでもない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従うと、例えばレンズアクチュエータやピックアップ機構を2組設けたものに比較して、レンズアクチュエータやレンズホルダが1個で済むことから光ディスク装置全体の構成のコンパクト化、部品点数の削減ならびに製造コストの低減が図れるという効果がある。
【0047】
また、ワイヤ支持型のレンズアクチュエータであるので光ディスクに対する追従性が良好であるとともに、2個の対物レンズをレンズホルダに保持させることでレンズホルダの重量が増しても、トラッキング制御の共振周波数を低く抑えることができ、安定した対物レンズの位置補正が出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の光ディスク装置における光ピックアップの駆動系の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のレンズアクチュエータを示す分離斜視図である。
【図3】図2のレンズアクチュエータの平面図である。
【図4】実施の形態に係るレンズアクチュエータにおいてトラッキング制御の動作を示す図である。
【図5】レンズホルダが光ディスクに面した状態を横から眺めた側面図である。
【符号の説明】
3 ピックアップ機構
3A ベース部
3B 枠体
4 スクリューシャフト
10A,10B 対物レンズ
11 レンズアクチュエータ
12 レンズホルダ
20A 半導体レーザ
21 スプリッタ
31,32 磁石
15A,15B 磁石
41 軸受け
42 スライドシャフト
W1〜W4 ワイヤ
F1,Tr11,Tr12,Tr21,Tr22 コイル
Ti1,Ti2 コイル
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスクに情報の記録又は再生を行う光ディスク装置に関し、さらには複数種類の光ディスクに対応可能とした光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、データの書き換え可能なタイプのCD(コンパクトディスク)やDVD(デジタル多用途ディスク)に加え、青紫レーザを用いて大容量の記録と再生を可能とする光ディスクなど、複数種類のメディアが実用化されている。
【0003】
これらのメディアに情報の記録又は再生を行う場合には、各メディアに対応した波長のレーザ光を用いる必要があり、さらに、CDやDVDでは開口数“NA0.6〜0.65”の対物レンズ、青紫レーザ用の光ディスクでは開口数“NA0.85〜1.0”の対物レンズと云うように、各メディアに対応した対物レンズを用いる必要がある。
【0004】
そのため、1台の光ディスク装置を複数種類のメディアに対応させるには、装置内に出力波長の異なる複数の半導体レーザや開口数の異なる複数の対物レンズを搭載しておき、メディアの種類に応じてそれらを切り換えて使用することが必要となる。
【0005】
複数の対物レンズを切り換えて使用することで複数のメディアに対応可能とする従来の技術としては、例えば特許文献1および特許文献2に開示の技術がある。これらは、1つのレンズホルダに複数の対物レンズを設けるとともに、レンズホルダを並進又は回転させることで使用する対物レンズを切り換えるようにしたものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平12−20572号公報
【特許文献1】
特開平10−198993号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光ディスク装置においては、対物レンズを光のフォーカス方向、および、ディスク上のデータ列と直交するディスクの半径方向(トラック方向)にそれぞれ微小変位させて位置補正を図る必要がある。そのため、従来の光ディスク装置には、レンズホルダを複数のワイヤで支持したり、或いは、レンズホルダを摺動可能に軸支するとともに、電磁力を用いてレンズホルダを微小駆動するレンズアクチュエータが設けられ、そのレンズアクチュエータを用いて上記の位置補正を行っている。このようなレンズアクチュエータにおいて、レンズホルダを支持する構成は、ワイヤ支持構造のものが対物レンズの追従性の点から優れているとされている。
【0008】
ところが、ワイヤ支持構造でレンズホルダを並進させるタイプのレンズアクチュエータでは、レンズホルダの重量が増せば増すほどレンズホルダの共振周波数が低くなるという性質があった。そのため、2個の対物レンズを1つのレンズホルダに保持させて切り換える構成を適用した場合、対物レンズの個数が増える分レンズホルダの重量が増して、レンズアクチュエータの共振周波数が低くなるという課題が生じてしまう。
【0009】
このような共振周波数の低下は、フォーカス方向の補正制御にはさほど高い周波数範囲での制御動作は求められていないため問題にならないが、トラック方向の補正制御には高い周波数範囲での制御動作も求められているため、トラッキング制御においてその安定性が劣化するという課題が生じさせる。
【0010】
この発明の目的は、1個のレンズホルダに2個の対物レンズを保持させることで対物レンズの切り換えをコンパクトな構成により実現し、さらに、光ディスクに対する各対物レンズの追従性が良好で、対物レンズの安定した位置補正制御を行える光ディスク装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、レーザ光を所定の経路に導く光学系およびこのレーザ光を光ディスクの記録面へ集光させる対物レンズを備えた光ピックアップ機構と、該光ピックアップ機構を光ディスクの半径方向へ移動させるトラック移動手段とを備えた光ディスク装置において、上記光ピックアップ機構には、開口数の異なる2個の対物レンズと、該2個の対物レンズを保持する1個のレンズホルダと、このレンズホルダを複数のワイヤで支持するとともに電磁力により該レンズホルダを所定方向へ位置補正可能なレンズ駆動手段と、レーザ光の出射位置に上記2個の対物レンズをそれぞれ配置可能なように上記レンズ駆動手段を移動させるレンズ切換機構とが設けられるとともに、上記レンズ切換機構はレーザ光の出射位置における光ディスクの回転方向に上記レンズ駆動手段を移動可能とする構成であり、上記2個の対物レンズは光ディスクの回転方向に並んで配置されるとともに、上記レンズ駆動手段は上記レンズホルダを上記2個の対物レンズの中間の点をほぼ中心とした回転方向に駆動することで上記対物レンズのトラッキング方向の補正を行うように構成したものである。
【0012】
このような手段によれば、1つのレンズホルダに2個の対物レンズを保持する構成なので、対物レンズやレンズ駆動手段を含めた光ピックアップ機構全体をコンパクトに且つシンプルに構成できる。そにより、例えば、光ピックアップ機構を対物レンズ毎に2系統設ける場合と比較して部品点数やコストの削減を図れる。
【0013】
さらに、レンズ駆動手段はレンズホルダをワイヤで支持する構成なため、光ディスクに対する対物レンズの追従性が良く、さらにトラッキング方向の位置補正がレンズホルダを回転方向に駆動することで行われるため、詳細は実施の形態で述べるが、レンズホルダを並進駆動させる場合に比べて共振周波数を高くすることが出来る。
【0014】
そのため、レンズホルダに2個の対物レンズを保持させてレンズホルダの重量が増しても、トラッキング方向の位置補正に必要な周波数範囲にこの位置補正に付随する共振周波数が重ならないように、共振周波数を高くすることができ、それにより安定したトラッキング制御を行うことが出来る。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態の光ディスク装置における光ピックアップの駆動系の構成を示す斜視図である。
この実施の形態の光ディスク装置は、例えば出力波長の異なる3個の半導体レーザ(図1では1個の半導体レーザ20Aの他は省略している)と、開口数の異なる2個の対物レンズ10A,10Bとが搭載され、これらの半導体レーザや対物レンズを切り換えて使用することで、書換え可能なCDやDVDに加えて青紫レーザ用の光ディスクにも対応し、これら複数種のメディアに情報の記録と再生が可能に構成されている。
【0016】
この光ディスク装置は、光ディスクの中央部分を固定して回転駆動するスピンドル2と、情報の記録再生のためにレーザ光を所定の経路に沿って導く光学系が搭載されたピックアップ機構3と、情報の記録再生の位置に合わせてピックアップ機構3を光ディスクの半径方向へ移動させるトラック移動手段としてのスクリューシャフト4,4および図示しない駆動モータと、光ディスクを装置から出し入れする図示しないトレイ機構と、各部の電気制御を行う図示しない制御回路等を備えている。
【0017】
光ピックアップ機構3は、対物レンズを除いた光学系が搭載された枠体3Bと、対物レンズ10A,10Bを保持するとともに枠体3B上で配置を切換え可能な状態に固定されたレンズアクチュエータ11とから構成される。
【0018】
枠体3Bに搭載される光学系には、半導体レーザ20A…、コリメータレンズ、集光レンズ、ビームスプリッタ21およびレーザダイオード等が含まれる。これらの素子は、詳細は省略するが、対物レンズ10A,10Bの何れかが配置されるピックアップ位置までレーザ光を出力して導いたり、光ディスクの反射光を抽出して強度を検出したり、レーザ光の出力レベルを一定に保つ帰還制御のために出力光の一部を帰還させたり、対物レンズ10A,10Bの位置補正を行うために入射光や反射光の一部を抽出したりするのに用いられる。
【0019】
レンズアクチュエータ11の配置を切り換える構成(レンズ切換機構)は、特に制限されるものではないが、例えば図1に示すように、枠体3Bにスライドシャフト42,42を設ける一方、レンズアクチュエータ11のベース部3Aに軸受け41,41…を設け、この軸受け41,41…がスライドシャフト42,42に摺動可能に軸支される構成を適用することが出来る。その他、揺りかご式の運動機構を用いてレンズアクチュエータ11の配置切り換える構成など、種々の構成を適用することが出来る。
【0020】
レンズアクチュエータ11の配置を切り換えるための駆動力は、図示は省略するが、モータやソレノイドアクチュエータ等の駆動装置を枠体3B上に設けてこれらの駆動装置から伝達したり、或いは、ピックアップ機構3のホームポジションの位置に駆動装置を設けておく一方、ピックアップ機構3がホームポジションに移動した際にこの駆動装置とレンズアクチュエータ11の移動機構とが連結されて動力が伝達されるように構成することも出来る。
【0021】
図2には、レンズアクチュエータ11の構成を示す分離斜視図を、図3にはこのレンズアクチュエータ11の平面図を示す。
この実施の形態のレンズアクチュエータ11は、対物レンズをフォーカス方向F、光ディスクの回転方向に直交するトラッキング方向Tr、光ディスクの半径方向の傾きに相当するチルト角方向Tiの3軸方向に微小変位させることが可能に構成されたものである。
【0022】
このレンズアクチュエータ11は、2個の対物レンズ10A,10Bを保持するレンズホルダ12と、このレンズホルダ12を支持する4本のワイヤW1〜W4と、ワイヤW1〜W4の通過する範囲にレンズホルダ12の共振を減衰させる緩衝用ゲル(図示略)を装填するためのゲルボックス22,22と、電磁力によりレンズホルダ12を駆動するためにレンズホルダ12側に設けられたコイルF1,Tr11,Tr12,Tr21,Tr22(図3)およびレンズホルダ12の底面に取り付けられた磁石15A,15Bと、ベース部3A側に設けられた磁石31,32およびコイルTi1,Ti2等を備えている。また、ベース部3AにはワイヤW1〜W4を固定するためのワイヤ基板20や磁石を固定するための磁石ホルダ30などが設けられている。
【0023】
図3に示すように、2個の対物レンズ10A,10Bは、レンズホルダ12上面の中央の点を挟んでトラッキング方向Trと直行する方向にそれぞれ変位した位置に保持されている。特に制限されないが、レンズホルダ12上面の中央の点からそれぞれがほぼ等間隔に変位した位置に保持されるようにすると好ましい。
【0024】
ワイヤW1〜W4は、左側のワイヤW1,W2が配線接続されたプリント基板13aと右側のワイヤW3,W4が配線接続されたプリント基板13bとがレンズホルダ12の凹部に嵌め込まれることでレンズホルダ12に固着され、さらに、ワイヤW1〜W4とレンズホルダ12内の配線とが電気的に接続されるようになっている。
【0025】
ワイヤW1〜W4の取付け位置は、左側のワイヤW1,W2の付根の位置S1と右側のワイヤW3,W4の付根の位置S2とを結んだ線分が、平面図でレンズホルダ12の中心位置とほぼ重なる位置に来るようにされている。
【0026】
さらに、ワイヤW1〜W4は、左側のワイヤW1,W2と右側のワイヤW3,W4とがワイヤ基板20に向って左右に間隔を開くように斜めに伸びるようにされ、その一端がワイヤ基板20に半田付けされている。
【0027】
コイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22(図3)は、トラッキング駆動に用いられるもので、それぞれ正方形の各辺に沿って導線が巻かれてなる薄型の角型扁平コイルからなる。これらのコイルは、レンズホルダ12の対向する2つの側面12A,12Bに2個ずつ水平方向に並ぶように取り付けられている。これらのコイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22はワイヤW1,W3の間に直列に接続されるとともに、同一面に設けられた2個のコイルTr11とTr12(或いはTr21とTr22)は互いに逆向き(例えばコイルTr11が時計方向ならコイルTr12が反時計方向)に電流が流れ、対向する2個のコイルTr11とTr21(或いはTr12とTr22)は同一方向から見て同じ回転方向に電流が流れるように接続されている。
【0028】
コイルF1は、フォーカス駆動に用いられるもので、レンズホルダ12の側面に巻回されている。このコイルはワイヤW2,W4の間に電気的に接続されている。
【0029】
磁石15A,15Bは、チルト角駆動に用いられるもので、レンズホルダ12の底面にそれぞれ取り付けられている。これら2個の磁石15A,15Bは、レンズホルダ底面の中心を挟んでトラッキング方向Trにそれぞれ等間隔に変位した位置に取り付けられている。
【0030】
磁石ホルダ30に設置される磁石31,32は、レンズホルダ12のコイルTr11〜Tr22が設けられている2つの側面12A,12Bに対向するように配置され、ともに同一の極性(例えばS極)が内側を向くようにされている。これらの磁石31,32の横幅は2個のコイルの横幅の合計よりも狭く形成され、対向配置される2個のコイルTr11,Tr12(又はTr21,Tr22)に対して、各々のコイルの半分程度の範囲に重なるように配置されている。
【0031】
ベース部3A側のコイルTi1,Ti2は、レンズホルダ12の磁石15A,15Bと対向する位置に設けられ、例えば直列に接続されて同一の電流が流されるようになっている。
【0032】
このような構成のレンズアクチュエータ11によれば、先ず、レンズホルダ12の側面に巻回されたコイルF1に電流が流されることで、コイルF1と磁石31,32とが作用して、レンズホルダ12をフォーカス方向Fへ駆動させる。電流の向きを逆にすることで逆方向の駆動となる。
【0033】
また、ベース部3A側のコイルTi1,Ti2に電流が流されることで、これらコイルと磁石15A,15Bとが作用して、レンズホルダ12がチルト角方向へ駆動される。すなわち、ワイヤW2,W4の間に所定方向の電流を流すことで一方のコイルTi1および磁石15Aに斥力、他方のコイルTi2および磁石15Bに引力が働いてレンズホルダ12がTi方向(図2)に傾き、逆方向の電流を流すことで逆の力が働いてレンズホルダ12が−Ti方向に傾く。
【0034】
図4には、レンズアクチュエータ11においてトラッキング制御の動作を説明する図を示す。
トラッキング方向への駆動は、ワイヤW1,W3を介してコイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22に電流が流されることで行われる。すなわち、この電流によりコイルTr11,Tr12,Tr21,Tr22と磁石31,32とが作用して、レンズホルダ12が回転方向R(図4)に駆動され、それにより各々の対物レンズ10A,10Bがトラッキング方向Tr,−Trに変位する。詳細には、ワイヤW1,W3を介して所定方向の電流が流されると、一方の側面12Aに設けられたコイルTr11,Tr12には左向きの駆動力が、他方の側面12Bに設けられたコイルTr21,Tr22には右向きの駆動力がそれぞれ生じて、レンズホルダ12がその中央の点をほぼ中心として回転方向Rに駆動する。そして、それにより、内側の対物レンズ10Bはトラッキング方向Trに変位するとともに、外側の対物レンズ10Aは逆向きのトラッキング方向−Trに変位する。また、逆方向の電流を流すことでその逆の変位が得られ、これらにより各対物レンズ10A,10Bのトラッキング制御が行われる。
【0035】
図5には、レンズホルダ12が光ディスクDに面した状態の側面図を示す。
対物レンズ10A,10Bは、例えば、開口数が“NA0.6〜0.65”と“NA0.85〜1.0”、レンズ上面から焦点位置までの距離を表わす作動距離(Working Distance)が“1.5mm”と“0.3mm”とそれぞれ異なるものである。
これらの対物レンズ10A,10Bは、図5に示すように、作動距離に合わせて高さを異ならせてレンズホルダ12に保持されている。
【0036】
以上のように、この実施の形態の光ディスク装置によれば、レンズアクチュエータ11を枠体上で移動させることで、レーザ光が導かれる出射孔に対物レンズ10A又は10Bを配置させ、2個の対物レンズ10A,10Bを切り換えて使用することが出来る。このような構成によれば、例えばレンズアクチュエータやピックアップ機構を2組設けたものと比較して、レンズアクチュエータやレンズホルダが1個で済むことから構成のコンパクト化ならびに部品点数や製造コストの削減が図れる。
【0037】
また、レンズアクチュエータ11としてワイヤ支持型のものを適用しているため、光ディスクDに対する対物レンズ10A,10Bの追従性が良好である。ところで、ワイヤ支持型でレンズホルダ12を並進させる場合にはレンズホルダ12はバネ振動と同様の運動を行うので、その共振周波数fは次式(1)のように重量mの平方根の逆数に比例する。
【0038】
【数1】
【0039】
従って、レンズホルダを並進運動させる構成では、2個の対物レンズ10A,10Bを保持させることによりレンズホルダ12の重量mが増した場合に、この重量mの増分だけ共振周波数fが低下することになる。フォーカス制御では余り高い周波数の運動を必要としていないため共振周波数の低下は余り問題にならないが、トラッキング制御には比較的高速な駆動を伴うので共振周波数fの低下は好ましくない。
【0040】
そこで、この実施の形態のレンズアクチュエータ11では、トラッキング制御にレンズホルダ12を並進させるのではなく、レンズホルダ12を回転運動させてトラッキング制御を行う構成とした。これにより、レンズホルダ12の重量が運動に及ぼす影響を少なくでき、さらに変位量に対するバネの作用力も大きくなるため、この運動の共振周波数を高くすることが出来る。例えば、上記バネ振動の共振周波数fの式に当てはめた場合、重量mはレンズホルダ12の実際の重量の1/3程度に、バネ定数kは並進のときよりも大きな値となり、並進運動の場合と比べて共振周波数fは高くなる。
【0041】
従って、この実施の形態のレンズアクチュエータ11によれば、1個のレンズホルダに2個の対物レンズを保持させてレンズホルダの重量が増した場合でも、安定的にトラッキング制御を行うことができる。
【0042】
また、トラッキング制御でレンズホルダ12が回転運動する際、ワイヤW1〜W4が斜めに伸びるように固定されているため、回転方向Rの駆動力に対してワイヤW1〜W4が適宜曲がり、レンズホルダ12をスムースに回転方向Rに駆動することができる。
【0043】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、トラッキング制御でレンズホルダ12のスムースな回転を得るためのワイヤ支持構造として、図3のように左右のワイヤW1〜W4がワイヤ基板20に向って間隔が開くように斜めに固定するほか、例えば、各ワイヤW1〜W4がワイヤ基板20に向って間隔を狭めるように斜めに固定される構造としても良く、このような構造でも同様の効果を得ることが出来る。また、直線状のワイヤW1〜W4ではなく、例えば中間で90度に曲がったワイヤを用いてレンズホルダ12を支持させることで、レンズホルダ12の回転方向の駆動をスムースに行わせることも可能である。
【0044】
また、実施の形態ではレンズアクチュエータとしてチルト角補正を行う3軸駆動タイプのものを示したが、本発明はチルト角補正を行わない2軸駆動タイプのレンズアクチュエータを備えた光ディスク装置に対しても同様に適用することも出来る。
【0045】
その他、レンズアクチュエータをピックアップ機構内で移動させるレンズ切換機構、ピックアップ機構をディスクの半径方向に移動させる機構、レンズホルダを駆動するための磁石やコイルの配置構成、対物レンズの種類や記録再生を行うメディアの種類など、実施の形態で具体的に示した細部は適宜変更可能であることは云うまでもない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に従うと、例えばレンズアクチュエータやピックアップ機構を2組設けたものに比較して、レンズアクチュエータやレンズホルダが1個で済むことから光ディスク装置全体の構成のコンパクト化、部品点数の削減ならびに製造コストの低減が図れるという効果がある。
【0047】
また、ワイヤ支持型のレンズアクチュエータであるので光ディスクに対する追従性が良好であるとともに、2個の対物レンズをレンズホルダに保持させることでレンズホルダの重量が増しても、トラッキング制御の共振周波数を低く抑えることができ、安定した対物レンズの位置補正が出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の光ディスク装置における光ピックアップの駆動系の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のレンズアクチュエータを示す分離斜視図である。
【図3】図2のレンズアクチュエータの平面図である。
【図4】実施の形態に係るレンズアクチュエータにおいてトラッキング制御の動作を示す図である。
【図5】レンズホルダが光ディスクに面した状態を横から眺めた側面図である。
【符号の説明】
3 ピックアップ機構
3A ベース部
3B 枠体
4 スクリューシャフト
10A,10B 対物レンズ
11 レンズアクチュエータ
12 レンズホルダ
20A 半導体レーザ
21 スプリッタ
31,32 磁石
15A,15B 磁石
41 軸受け
42 スライドシャフト
W1〜W4 ワイヤ
F1,Tr11,Tr12,Tr21,Tr22 コイル
Ti1,Ti2 コイル
Claims (4)
- レーザ光を所定の経路に導く光学系およびこのレーザ光を光ディスクの記録面へ集光させる対物レンズを備えた光ピックアップ機構と、該光ピックアップ機構を光ディスクの半径方向へ移動させるトラック移動手段とを備えた光ディスク装置において、
上記光ピックアップ機構には、開口数の異なる2個の対物レンズと、該2個の対物レンズを保持する1個のレンズホルダと、このレンズホルダを複数のワイヤで支持するとともに電磁力により該レンズホルダを所定方向へ位置補正可能なレンズ駆動手段と、レーザ光の出射位置に上記2個の対物レンズをそれぞれ配置可能なように上記レンズ駆動手段を移動させるレンズ切換機構とが設けられるとともに、
上記レンズ切換機構はレーザ光の出射位置における光ディスクの回転方向に上記レンズ駆動手段を移動可能に構成され、
上記2個の対物レンズは光ディスクの回転方向に並んで配置されるとともに、上記レンズ駆動手段は上記レンズホルダを上記2個の対物レンズの中間の点をほぼ中心とした回転方向に駆動することで上記対物レンズのトラッキング方向の補正を行うように構成されていることを特徴とする光ディスク装置。 - レーザ光を所定の経路に導く光学系およびこのレーザ光を光ディスクの記録面へ集光させる対物レンズを備えた光ピックアップ機構と、該光ピックアップ機構を光ディスクの半径方向へ移動させるトラック移動手段とを備えた光ディスク装置において、
上記光ピックアップ機構には、開口数の異なる2個の対物レンズと、該2個の対物レンズをともに保持する1個のレンズホルダと、このレンズホルダを複数のワイヤで支持するとともに電磁力により該レンズホルダを所定方向へ位置補正可能なレンズ駆動手段とが設けられるとともに、
上記2個の対物レンズは光ディスクの回転方向に並んで配置されていることを特徴とする光ディスク装置。 - 上記レンズ駆動手段は、上記レンズホルダを上記2個の対物レンズの中間の点をほぼ中心とした回転方向に駆動することで上記対物レンズのトラッキング方向の補正を行うように構成されていることを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。
- レーザ光の出射位置に上記2個の対物レンズをそれぞれ配置させるように上記レンズ駆動手段を移動可能なレンズ切換機構を備えるとともに、
当該レンズ切換機構は上記レーザ光の出射位置における光ディスクの回転方向に上記レンズ駆動手段を移動可能に構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の光ディスク装置。
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- 2003-04-23 JP JP2003118525A patent/JP2004326887A/ja active Pending
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