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JP2004319353A - 固体電解質およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

固体電解質およびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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JP2004319353A JP2003113886A JP2003113886A JP2004319353A JP 2004319353 A JP2004319353 A JP 2004319353A JP 2003113886 A JP2003113886 A JP 2003113886A JP 2003113886 A JP2003113886 A JP 2003113886A JP 2004319353 A JP2004319353 A JP 2004319353A
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Abstract

【課題】燃料クロスオーバーが少なく、高出力を達成できる新規な固体電解質およびそれを用いた高性能な直接型燃料電池等を提供すること。
【解決手段】少なくとも表面にイオン性基を有する微粒子からなることを特徴とする固体電解質で、この微粒子は有利には有機ポリマーを主成分とし、好ましいイオン性基としては、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基等が挙げられる。固体電解質は、電解質膜として、炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルまたはこれらの水溶液を燃料とする直接型燃料電池等の燃料電池に好適に使用される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体電解質およびそれを用いた燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、排出物が少なく、かつ高エネルギー効率で環境への負担の低い発電装置である。このため、近年の地球環境保護への高まりの中で再び脚光を浴びている。従来の大規模発電施設に比べ、比較的小規模の分散型発電施設、自動車や船舶など移動体の発電装置として、将来的にも期待されている発電装置である。また、小型移動機器や携帯機器の電源としても注目されており、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池などの二次電池に替わり、携帯電話やパソコンなどへの搭載が期待されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池においては、水素ガスを燃料とする従来の固体高分子型燃料電池に加えて、燃料のアルコールやジメチルエーテル等を水素に改質することなく直接供給する直接型燃料電池も注目されている。直接型燃料電池は、従来の固体高分子型燃料電池に比べて出力が低いものの、燃料が液体で改質器を用いないために、エネルギー密度が高くなり、一充填あたりの携帯機器の使用時間が長時間になるという利点がある。直接型燃料電池の中でも、燃料にメタノールを用いる直接メタノール型燃料電池は室温付近での出力が高く、二次電池代替の有力候補として特に注目を集めている。
【0004】
燃料電池は通常、発電を担う反応の起こるアノードとカソードと、アノードとカソード間のプロトン伝導体となる電解質膜とが、膜電極複合体を構成し、この膜電極複合体がセパレータによって挟まれたセルをユニットとして構成されている。ここで、電極は、ガス拡散の促進と集(給)電を行う電極基材(ガス拡散電極あるいは集電体とも云う)と、実際に電気化学的反応場となる電極触媒層とから構成されている。例えば、固体高分子型燃料電池のアノード電極では、水素ガスなどの燃料がアノード電極の触媒層で反応してプロトンと電子を生じ、電子は電極基材に伝導し、プロトンは電解質膜へと伝導する。このため、アノード電極には、ガスの拡散性、電子伝導性およびプロトン伝導性が良好なことが要求される。一方、カソード電極では、酸素や空気などの酸化ガスがカソード電極の触媒層で、電解質膜から伝導してきたプロトンと、電極基材から伝導してきた電子とが反応して水を生成する。このため、カソード電極においては、ガス拡散性、電子伝導性、プロトン伝導性とともに、生成した水を効率よく排出することも必要となる。
【0005】
固体高分子型燃料電池用の電解質膜には高プロトン伝導性が要求されるが、直接型燃料電池用の電解質膜においてはさらに燃料の透過抑制も要求される。電解質膜中の燃料透過は、燃料クロスオーバー、ケミカルショートとも呼ばれ、電池出力およびエネルギー効率が低下するという問題を引き起こす。
【0006】
これまで、固体高分子型燃料電池の電解質膜においては、例えば、超強酸基含有フッ素系高分子化合物であるナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標)が用いられてきた。しかしながら、ナフィオンは膜中の水がクラスター構造を形成するために、メタノールなどの燃料クロスオーバーが大きいという課題があった。そこで、これら電解質膜の実用化のためには、ナフィオン並の高プロトン伝導度を有し、かつ燃料クロスオーバーの抑制された電解質が市場から望まれていた。
【0007】
従来のパーフルオロ系電解質の改良においては、電解質膜内に無機プロトン伝導体を充填することで燃料クロスオーバー低減とプロトン伝導性の向上を行っている(特許文献1参照。)。また別に、有機ポリマーと無機プロトン伝導体から構成される電解質膜が提案されている(特許文献2および特許文献3参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−516014号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2001−102071号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2002−015742号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の技術においては、高プロトン伝導度と燃料クロスオーバー抑制を完全には実現できておらず、高プロトン伝導度を維持した場合には燃料クロスオーバー抑制が十分でなく、逆に燃料クロスオーバー抑制が十分な場合にはプロトン伝導度が小さいという問題があった。
【0012】
本発明は、ナフィオン並の高プロトン伝導度を有し、かつ燃料クロスオーバーの抑制された固体電解質を提供することを目的とするものである。さらに本発明は、その固体電解質を用いた燃料電池を提供することを目的とし、特に、炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルまたはこれらの水溶液を燃料とする直接型燃料電池の提供を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するために、本発明は下記の構成を有する。すなわち、本発明の固体電解質は、少なくとも表面にイオン性基を有する微粒子を含有することを特徴とするもので、次の好ましい態様を含んでいる。
(1)イオン性基が、少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基から選ばれる1種あるいは2種以上であること。
(2)イオン性基がスルホン酸基またはスルホンイミド基であること。
(3)微粒子の表面と内部のイオン性基濃度比が3:1以上であること。
(4)微粒子が、有機ポリマーを主成分とする微粒子であること。
(5)少なくとも一次粒子の数平均粒径が1μm以下の微粒子を含むこと。
【0014】
また、本発明の燃料電池は、上記の固体電解質を用いて構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の固体電解質に関する実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の固体電解質は、少なくとも表面にイオン性基を有する微粒子を含有することを特徴とするものである。ここで、イオン性基を有する微粒子とは、微粒子表面にイオン性基が化学的に結合したものである。イオン性基を導入することにより高いイオン伝導性を得ることが可能である。また、本発明の固体電解質を電解質膜として用いる場合には、当該電解質膜中に微粒子が含まれることにより、アルコール、ジメチルエーテルまたはこれらと水の混合物による膨潤が抑制されて燃料クロスオーバーが低減し、膜の強度低下も抑えられるという効果を奏するものである。
【0017】
本発明の固体電解質に含まれる微粒子は、有機化合物あるいは無機化合物の何れであっても構わないが、イオン性基を有することが必要である。イオン性基を有しない場合、高イオン伝導性を得ることが困難になる。
【0018】
前記イオン性基の具体例としては、負電荷を有する原子団であれば特に限定されるものではないが、プロトン交換能を有する官能性基が好ましい。このような官能基としては、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基が好ましく用いられる。ここで、スルホン酸基とは−SO(OH)、スルホンイミド基は−SO−NH−SO−R(Rは任意の置換基を表す。)、硫酸基は−OSO(OH)、ホスホン酸基は−PO(OH)、リン酸基は−OPO(OH)、カルボン酸基は−CO(OH)、およびこれらの塩のことをそれぞれ意味する。これらの中でも、高プロトン伝導度の点から少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、および/または硫酸基を有することがより好ましく、耐加水分解性の点から少なくともスルホン酸基またはスルホンイミド基を有することが最も好ましい。これらのイオン性基は、前記固体電解質中に2種類以上含むことができる。
【0019】
本発明の固体電解質に含まれる微粒子の構造は、MCO低減の点からは、微粒子内部にはイオン性基をなるべく有さないことが好ましい。微粒子の表面と内部のイオン性基濃度比(表面:内部)は3:1以上が好ましく、5:1以上がより好ましく、10:1以上が最も好ましい。このような微粒子を用いれば、高イオン伝導性と低MCOの両立が可能となる。ここで微粒子の表面とは、一次粒子半径において外側から5%以内の層を指し、内部とは一次粒子半径の中央5%以内と定義する。
【0020】
本発明において、微粒子の表面と内部のイオン性基濃度比の算出するには、例えば、STEM−EDX法(Scanning Transmission Electron Microscope−Energy DispersionX−ray Spectroscopy;走査透過型電子顕微鏡にエネルギー分散X線分光法を組み合わせた組成分析法)を用いることができる。STEM−EDX法では、試料構成元素の原子数比を測定することができ、その原子数比からイオン性基濃度比を算出することができる。
【0021】
本発明の固体電解質に含まれる微粒子は、一次粒子の数平均粒径が1μm以下であることが好ましい。数平均粒径が1μmよりも大きい場合、バインダー中に良好に分散することが困難で、結果として良質の固体高分子固体電解質が得られない。一次粒子の数平均粒径は500nm以下がより好ましく、2〜100nmが最も好ましい。数平均粒径の算出方法については、電解質断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真から個々の粒子の粒径(円相当平均径)を測定し、その数平均によって求められる。測定が容易であれば、透過型電子顕微鏡(TEM)によっても差しつかえない。
【0022】
本発明の固体電解質に含まれる微粒子は、有機化合物および無機化合物のいずれからなるものであってもよいが、有機化合物として有機ポリマーを主成分とする微粒子が好適である。
【0023】
無機化合物の具体例としては、硫酸化ジルコニア、イオン性基を有するシリカ、アルミナおよびチタニアなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0024】
有機ポリマーとしては、アルコールやジメチルエーテルなどに溶解あるいは膨潤しないポリマーなどが挙げられる。有機ポリマーの具体例としては、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシドおよびポリイミドなどが挙げられる。
【0025】
前記有機ポリマーには、モノマーの重合により得られる共重合体などを用いても差し支えない。ここで、モノマーとは、最終的に作製する微粒子を構成する成分の主成分となる重合反応可能な物質であり、重合が可能であれば特に制限はない。モノマーの具体例としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、t−ブトキシスチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル系モノマー、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマーおよび(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系モノマーが挙げられる。これらの多官能性モノマーは、1種あるいは2種以上の混合物として用いてもよい。また、前記モノマーの中でも、特にスチレン、メチルアクリレートおよびメチルメタアクリレートが好ましく用いられる。
【0026】
さらに、共重合体に架橋構造を導入するため、多官能性モノマーを架橋剤として用いることができる。この多官能性モノマーとしては、分子中に共重合可能な不飽和官能基を2個以上有するモノマーであれば特に限定されるものではない。多官能性モノマーの具体例としては、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼンなどの芳香族多官能モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロール(ジ/トリ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ジ/トリ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ジ/トリ/テトラ)(メタ)アクリレートなどの多価アルコールのジ−、トリ−、テトラ−(メタ)アクリレート化合物、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物、ジ(メタ)アリルフタレート、ジ(メタ)アリル(メタ)アクリルアミド、トリ(メタ)アリルシアヌレート等の(メタ)アリル化合物、(メタ)アクリル酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸アリルエステルなどのエステル化合物、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、ジアリルフタレートなどのジアリル化合物、ブタジエン、ヘキサジエンおよびペンタジエンなどのジエン化合物などが挙げられる。これらの多官能性モノマーは、1種あるいは2種以上の混合物として用いてもよい。また、前記多官能性モノマーの中でも、スチレン系モノマーとの重合性と粒子径の微細化の点から芳香族多官能モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン類が特に好ましい。ジビニルベンゼンは、各種異性体が混在していてもさしつかえない。
【0027】
本発明の固体電解質に含まれる微粒子の製造方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を用いることができる。
【0028】
無機微粒子の場合、金属アルコキシドを加水分解し、縮合させることにより製造することができる。用いられる金属アルコキシドは、加水分解性基を含有するSi,Al,Ti,Zr等の金属化合物で、加水分解して縮合化合物を形成しうるものであれば特に制限はない。例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトラn−ブトキシシランなどのアルコキシシラン類、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシドなどのアルコキシアルミニウム類、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのアルコキシチタン類などが挙げられる。製造する際、金属アルコキシドの加水分解に必要な水を共存させることが好ましく、加水分解、縮合反応を促進するための触媒を添加することも好適である。この水や触媒の含量は金属化合物の種類や目的とする粒子の粒子径、形状により実験的に決められる。触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、スルホン酸、無水酢酸などの有機酸、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミンなどのアミン類などが挙げられる。また、無機微粒子の製造において、全く撹拌を行わず静置しただけでは、塊状の生成物が発生し粒径が大きくなりやすい傾向があるので、撹拌するのが好ましい。撹拌速度は反応容器のスケール、撹拌羽根の形状、撹拌方式などにより実験的に決定することができる。得られた微粒子の固液分離は、濾過、遠心分離および蒸発法等の通常公知の方法を用いることができる。
【0029】
無機微粒子の表面にイオン性基を導入する方法として、粒子表面を表面処理剤で処理してイオン性基を導入する方法が挙げられる。例えば、シリカやチタニアなどの無機微粒子表面に存在する水酸基と、水酸基と反応可能な官能基およびイオン性基を有する有機化合物などを反応させて表面処理してもよい。また、官能基を有する有機金属化合物と、その官能基と反応可能な化合物から、化学的表面処理することも可能である。表面処理剤としては、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0030】
有機微粒子の場合、モノマーを有機溶媒などの均一溶液中に混合し、重合しても良いし、モノマーを含む相と水相からなる不均一系で重合してもよい。この際、モノマー相はモノマー単独であってもよいし、反応速度を制御する目的で適切な溶媒を添加してもよい。また、重合開始剤等の触媒やその他添加剤が含まれていてもよい。
【0031】
用いられる溶媒としては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエンおよびN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらは、単独あるいは複数混合して用いてもよい。また、不均一系で製造する場合は、重合性単量体を完全に溶解しないものであれば特に限定されないが、好ましくは水系溶媒が用いられる。
【0032】
また、重合に用いられる重合開始剤としては、通常公知のものを用いることができ、例えば、各種パーオキシド化合物、アゾ化合物、過酸化物、セリウムアンモニウム塩などが挙げられる。具体例としては、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]フォルムアミド、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾニトリル化合物、2,2´−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩基酸塩などのアゾアミジン化合物、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩基酸塩などの環状アゾアミジン化合物、2,2´−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}などのアゾアミド化合物、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などのアルキルアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、硫酸第2セリウムアンモニウムおよび硝酸第2セリウムアンモニウム等のセリウムアンモニウム塩などが挙げられる。重合条件や重合開始剤濃度は、使用するモノマーおよび重合開始剤の種類によって適宜、実験的に決定することができる。
【0033】
不均一系で微粒子を製造する場合には、粒径の微細化と粒径分布の単分散性を実現させるため、乳化剤などによってエマルジョン化して行うことが好ましい。乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤から任意に選択できる。
【0034】
アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸ソーダ石ケン、脂肪酸カリ石ケン、ステアリン酸石ケン等の脂肪酸石けん類、アルキルスルフェートNa塩、アルキルエーテルスルフェートNa塩、アルキルスルフェートトリエタノールアミン塩、アルキルエーテルスルフェートトリエタノールアミン塩等のアルキルスルフェート類、ラウリルアルコール硫酸エステルNa塩、マッコウアルコール硫酸エステルNa塩等のアルキルアルコール硫酸エステルNa塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、n−ドデシルベンゼンスルホン酸Na等のドデシルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(牛脂)メチルタウリン酸Na、オレオイルメチルタウリン酸Na、ラウリルメチルタウリン酸Na等のメチルタウリン酸塩類、パーフルオロアルキルスルホン酸アンモニウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸カリウム塩等のフッ素系、ジオクチルスルホコハク酸Na、オレオイルザルコシンおよびラウロイルザルコシネート等が挙げられる。
【0035】
カチオン系界面活性剤としては、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、アルキルアミン塩酸塩等のアミン塩型、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(硬化牛脂、ヤシ等)トリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルイミダゾリン4級塩等のメチル型、アルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のベンジル型、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキル(牛脂、ヤシ等)アミン、ポリオキシエチレンアルキル(牛脂)プロピレンジアミン等のアルキルアミン型、1−ヒドロキシエチル−2−アルキル(牛脂)イミダゾリン4級塩、アルキル(ヤシ)イソキノリニウムブロマイド、高分子アミンおよびパーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等が挙げられる。
【0036】
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、リオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等のエーテル型、ポリオキシエチレンノニルフェーノールエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェーノールエーテル等のアルキルフェノール型、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリエチレングリコール牛脂脂肪酸エステル等のエステル型、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンエステル型、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル型、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンジステアレート、グリセロールモノステアレートおよびパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン、アルキルアミノ脂肪酸ナトリウムおよびアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0038】
また、不均一系で微粒子を製造する場合、全く撹拌を行わず静置しただけでは、界面に塊状の重合生成物が発生しやすい傾向がある。逆に撹拌が早すぎると、反応が急激に進行し、粒度分布が広くなりやすい傾向がある。撹拌速度は反応容器のスケール、撹拌羽根の形状、撹拌方式などにより実験的に決定することができる。得られた微粒子の固液分離は、濾過、遠心分離および蒸発法等の通常公知の方法を用いることができる。
【0039】
本発明の固体電解質を構成する微粒子は、上記した有機化合物または無機化合物にイオン性基を導入し、表面にイオン性基を有する微粒子である。
【0040】
有機微粒子にイオン性基としてスルホン酸基を導入する方法を例示すると、前記有機ポリマーをクロロホルムなどの溶媒中でクロロスルホン酸のようなスルホン化剤と反応させたり、濃硫酸や発煙硫酸中で反応させることによりスルホン基を導入することができる。スルホン化剤は、有機ポリマーをスルホン化するものであれば特に制限はない。この方法で有機ポリマーをスルホン化する場合には、スルホン化の度合いはスルホン化剤の使用量、反応温度および反応時間により、容易に制御することができる。
【0041】
微粒子表面と内部のスルホン酸基濃度の異なるコアシェル構造を有する微粒子を作製するには、例えば、濃硫酸中で反応させる方法、クロロスルホン酸を混合溶媒で希釈して反応させる方法が好ましい。
【0042】
また、微粒子とバインダーを混合し、溶液キャスト法などで膜状に成形した後に、クロロスルホン酸などに浸漬させてイオン性基を導入することもできる。
【0043】
同様にして、スルホン酸基以外の他のイオン性基も、従来公知の方法で導入することができる。例えば、スルホンイミド基の導入は、スルホン酸基とスルホンアミド基を反応させる方法によって可能である。このように、コアシェル型粒子を用いて、微粒子膜中の微粒子表面にイオン性基を集中させることができる。
【0044】
本発明の固体電解質を構成する微粒子の形状は、充填密度向上の点から球状が好ましいが、鱗片状、顆粒状、造粒状、不定形、多孔状および中空状など特に限定されるものではない。また、微粒子表面にそれより粒子径の小さい機能性微粒子を付着させたり、微粒子表面に目的とする機能性物質を化学的に結合させ表面修飾を行った機能性微粒子を用いても差し支えない。
【0045】
本発明の固体電解質においては、前記イオン性基含有微粒子とバインダーを混合することも好ましい実施態様である。このようなバインダーとしては、有機無機の高分子が広く使用できる。例えば、ポリスチレン、下式(1)で示されるポリフェニレンスルフィドスルホン、下式(2)で示されるポリフェニレンスルフィド、下式(3)で示されるポリフォスファゼン、下式(4)で示されるポリイミド、およびポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)およびポリエーテルスルホン(PES)およびこれらのスルホン化物、Nafionに代表されるパーフルオロ系電解質、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分けん化物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(共)重合体、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キチン、キトサン、カラギーナン、デキストランなどの多糖類ポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリシロキサン、オルガノポリシロキサン、アルミナ、チタニアなどが好ましい例として挙げられる。これらのバインダーは2種類以上、組み合わせて使用することもできる。
【0046】
【化1】
Figure 2004319353
【0047】
【化2】
Figure 2004319353
【0048】
【化3】
Figure 2004319353
【0049】
【化4】
Figure 2004319353
【0050】
(ここで、Zは芳香環を含む有機基、nは繰返しの数である。)
本発明の固体電解質は、上記の微粒子とバインダーとで主として構成される。微粒子の混合量が少なすぎるとMCOの低減および高いイオン伝導性が期待できない。より好ましい微粒子の混合量は、体積分率で30〜80%が好ましい。求められるMCO、イオン伝導、膜強度、あるいはポリマー種により適宜選択されるべきものである。
【0051】
本発明の固体電解質の製造において、基材ポリマーと微粒子の混合方法としては、微粒子を基材ポリマーに溶融あるいは溶液状態で分散させる方法、あるいは微粒子前駆体を基材ポリマーに溶融あるいは溶液状態で混合した後に微粒子単体とする方法などが挙げられるが、特に限定されない。
【0052】
本発明の固体電解質の形状は、用途に応じた形状に成形して用いることができる。例えば、本発明の固体電解質を膜状に成形して電解質膜とし、これを燃料電池に用いることができる。
【0053】
本発明の固体電解質は膜状に成形し、電解質膜とすることで、燃料電池に好適に使用できる。成膜方法としては、通常の溶媒キャスト法、押し出し成形法、加熱プレス法などが適用可能である。
【0054】
次に、本発明の電解質膜を用いた燃料電池について説明する。本発明の電解質膜は、電極基材と電極触媒層とから構成される電極と組み合わせて膜電極複合体として燃料電池に用いられる。
【0055】
本発明の電解質膜が適用される燃料電池における電極触媒層は、特に限定されることなく公知のものを利用することが可能である。電極触媒層とは、電極反応を促進する電子伝導やプロトン伝導に寄与する物質を含む層である。また、燃料が液体や気体の場合には、その液体や気体が透過しやすい構造を有していることが好ましく、電極反応に伴う副生成物質の排出も促す構造であることが好ましい。燃料電池の燃料としては、水素などの気体、アルコールなどの液体が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合物でもよい。特に、反応効率や電池全体のシステム簡素化の観点から、炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらの水溶液が好適に使用される。また、電極触媒層に含まれる触媒としては公知の触媒を用いることができ、特に限定されるものではないが、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウムおよび金などの貴金属触媒が好ましく用いられる。また、これらの貴金属触媒の合金や混合物などのように、2種以上の元素が含まれていても構わない。
【0056】
電極触媒層に含まれる電子伝導体(導電材)としては、特に限定されるものではないが、電子伝導性や化学的な安定性の点から、炭素材料や無機導電材料が好ましく用いられる。なかでも、非晶質または結晶質の炭素材が挙げられる。例えば、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラックおよびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが電子伝導性と比表面積の大きさから好ましく用いられる。ファーネスブラックとしては、キャボット社製バルカンXC−72、バルカンP、ブラックパールズ880、ブラックパールズ1100、ブラックパールズ1300、ブラックパールズ2000、リーガル400(いずれも商品名)、ケッチェンブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECおよびEC600JD(いずれも商品名)、三菱化学社製#3150および#3250(いずれも商品名)などが挙げられ、アセチレンブラックとしては、電気化学工業社製デンカブラックなどが挙げられる。
【0057】
また、カーボンブラックのほか、天然の黒鉛、ピッチ、コークス、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂およびフラン樹脂などの有機化合物から得られる人工黒鉛や炭素なども使用することができる。これらの炭素材の形態としては特に限定されず、不定形粒子状のほか繊維状、鱗片状、チューブ状、円錐状およびメガホン状のものも用いることができる。また、これら炭素材を後処理加工した炭素材も用いることが可能である。また、電子伝導体は、触媒粒子と均一に分散していることが電極性能の点で好ましいものである。このため、触媒粒子と電子伝導体は予め塗液として良く分散しておくことが好ましい。さらに、電極触媒層として、触媒と電子伝導体とが一体化した触媒担持カーボン等を用いることも好ましい実施態様である。この触媒担持カーボンを用いることにより、触媒の利用効率が向上し、電池性能の向上および低コスト化に寄与できる。ここで、電極触媒層に触媒担持カーボンを用いた場合においても、電子伝導性をさらに高めるために導電剤を添加することも可能である。このような導電剤としては、上述のカーボンブラックが好ましく用いられる。
【0058】
上記、触媒と電子伝導体類は通常粉体であるので、これらを固めるためにプロトン伝導性を有する物質を使用する。電極触媒層に用いられるプロトン伝導体としては、一般的に、種々の有機、無機材料が公知であるが、燃料電池に用いる場合には、プロトン伝導性を向上するスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基などのイオン性基を有するポリマが好ましく用いられる。なかでも、イオン性基の安定性の観点から、フルオロアルキルエーテル側鎖とフルオロアルキル主鎖とから構成されるプロトン交換基を有するポリマが好ましく用いられる。例えば、デュポン社製のナフィオン(登録商標)、旭化成社製のアシプレックス(登録商標)、旭硝子社製フレミオン(登録商標)などが好ましく用いられる。これらのプロトン交換ポリマーは、溶液または分散液の状態で電極触媒層中に設ける。この際に、ポリマーを溶解あるいは分散化する溶媒は特に限定されるものではないが、プロトン交換ポリマの溶解性の点から極性溶媒が好ましい。
【0059】
プロトン伝導体は、電極触媒層を作製する際に電極触媒粒子と電子伝導体とを主たる構成物質とする塗液に予め添加し、均一に分散した状態で塗布することが電極性能の点から好ましいものであるが、電極触媒層を塗布した後にプロトン伝導体を塗布してもかまわない。ここで、電極触媒層にプロトン伝導体を塗布する方法としては、スプレーコート、刷毛塗り、ディップコート、ダイコート、カーテンコートおよびフローコートなどが挙げられ、特に限定されるものではない。電極触媒層に含まれるプロトン伝導体の量としては、要求される電極特性や用いられるプロトン伝導体の伝導度などに応じて適宜決められるべきものであり、特に限定されるものではないが、重量比で1〜80%の範囲が好ましく、5〜50%の範囲がさらに好ましい。プロトン伝導体は、少な過ぎる場合はプロトン伝導性が低く、多過ぎる場合はガス透過性を阻害する点で、いずれも電極性能を低下させることがある。
【0060】
電極触媒層には、上記の触媒、電子伝導体およびプロトン伝導体の他に、種々の物質を含んでいてもかまわない。特に、電極触媒層中に含まれる物質の結着性を高めるために、上述のプロトン交換樹脂以外のポリマーを含んでもよい。このようなポリマーとしては、フッ素原子を含むポリマーが挙げられ、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリパーフルオロアルキルビニルエーテルなど、あるいはこれらの共重合体、これらのポリマーを構成するモノマ単位とエチレンやスチレンなどの他のモノマーとの共重合体、さらには、ブレンドなども用いることができる。これらポリマーの電極触媒層中の含有量としては、重量比で5〜40%の範囲が好ましい。ポリマー含有量が多すぎる場合、電子およびイオン抵抗が増大し電極性能が低下する傾向がある。
【0061】
燃料電池の電極基材は特に限定されることなく公知のものを用いることが可能であり、電気抵抗が低く、集(給)電を行えるものであれば用いることができる。また、前記電極触媒層を集電体兼用で使用する場合は、特に電極基材を用いなくてもよい。電極基材の構成材としては、例えば、炭素質や導電性無機物質が挙げられ、例えば、ポリアクリロニトリルからの焼成体、ピッチからの焼成体、黒鉛および膨張黒鉛などの炭素材、ステンレススチール、モリブデンおよびチタンなどが例示される。これらの、形態は特に限定されず、例えば、繊維状あるいは粒子状で用いられるが、燃料透過性の点から炭素繊維などの繊維状導電性物質(導電性繊維)が好ましい。導電性繊維を用いた電極基材としては、織布あるいは不織布いずれの構造も使用可能である。例えば、東レ(株)製カーボンペーパーTGPシリーズおよびSOシリーズ(いずれも商品名)、E−TEK社製カーボンクロスなどが用いられる。織布としては、平織、斜文織、朱子織、紋織および綴織など、特に限定されることなく用いられる。また、不織布としては、抄紙法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、ウォータージェットパンチ法およびメルトブロー法によるものなど特に限定されることなく用いられる。また、編物であっても構わない。
【0062】
これらの布帛において、特に炭素繊維を用いた場合、耐炎化紡績糸を用いた平織物を炭化あるいは黒鉛化した織布、耐炎化糸をニードルパンチ法やウォータージェットパンチ法などによる不織布加工した後に炭化あるいは黒鉛化した不織布、および耐炎化糸あるいは炭化糸あるいは黒鉛化糸を用いた抄紙法によるマット不織布などが好ましく用いられる。特に、薄く強度のある布帛が得られる点から不織布を用いるのが好ましい。
【0063】
電極基材に炭素繊維からなる導電性繊維を用いた場合、炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維およびレーヨン系炭素繊維などが挙げられる。
【0064】
燃料電池に用いられる電極基材に、水の滞留によるガス拡散・透過性の低下を防ぐために行う撥水処理、水の排出路を形成するための部分的撥水、親水処理や、抵抗を下げるために行われる炭素粉末の添加等を行うこともできる。また、燃料電池においては、電極基材と電極触媒層の間に、少なくとも無機導電性物質と疎水性ポリマを含む導電性中間層を設けることが好ましい。特に、電極基材が空隙率の大きい炭素繊維織物や不織布である場合、導電性中間層を設けることで、電極触媒層が電極基材にしみ込むことによる性能低下を抑えることができる。
【0065】
本発明の電解質膜、電極触媒層あるいは電極触媒層と電極基材を用いて膜電極複合体とする際の作製方法は特に限定されるものではなく、公知の方法(例えば、電気化学,1985, 53, 269.記載の化学メッキ法、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209. 記載のガス拡散電極の熱プレス接合法など)を適用することが可能である。
【0066】
本発明の電解質膜は、種々の用途に適用可能である。例えば、イオン交換膜として水浄化装置、燃料電池、水電解装置およびクロロアルカリ電解装置等の各種電気化学装置が挙げられるが、中でも燃料電池がもっとも好ましい。燃料電池のなかでも固体高分子型燃料電池に好適であり、さらに炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルおよびこれらの水溶液を燃料とする直接型燃料電池にはより好適であり、メタノールを燃料とする直接メタノール型燃料電池に最も好適である。
【0067】
さらに、本発明の燃料電池の用途としては、特に限定されないが、移動体の電力供給源が好ましいものである。特に、携帯電話、パソコン、PDA(personal digital assistant)などの携帯機器、掃除機等の家電、乗用車、バス、トラックなどの自動車や船舶、鉄道などの移動体の電力供給源として好ましく用いられる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例により本発明の固体電解質についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各物性の測定条件は次のとおりである。
(1)粒径および数平均粒径の測定
走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した写真から任意に選んだ100個の粒子について個々の粒子の粒径(円相当平均径)を測定し、その数平均として算出した。
(2)電解質膜のプロトン伝導度測定法
電解質膜を25℃の純水に24時間浸漬した後、25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、定電位交流インピーダンス法で抵抗を測定して求めた。Solartron製電気化学測定システム(Solartron1287 Electrochemical InterfaceおよびSolartron 1255B Frequency Response Analyzer)を使用した。サンプルをφ2mmおよびφ10mmの2枚の円形電極(ステンレス製)間に加重1kgをかけて挟持した(有効電極面積0.0314cm)。サンプルと電極の界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布した。25℃において、定電位インピーダンス測定を行い、膜厚方向のイオン伝導度を求めた。交流振幅は50mVとした。
(3)電解質膜のメタノール透過量測定法
電解質膜を25℃の純水に24時間浸漬した後、取り出して、図1に示すように、アクリル樹脂製H型セル間に電解質膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)を入れ、他方のセルには1Mメタノール水溶液(60mL)を入れた。セルの容量は各80mLであった。また、セル間の開口部は直径1.5cmの円形であり有効膜面積は1.77cmであった。20℃において両方のセルを撹拌した。1時間、2時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)(商品名)で測定し定量した。グラフの傾きから単位時間、単位面積あたりのメタノール透過量を求めた。
【0069】
(実施例1)
(1)スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の合成
還流冷却管、撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた300mL四ツ口フラスコに、スチレン(4.5g)およびジビニルベンゼン(0.5g)を入れた。フラスコに窒素ガスを導入し撹拌しながら、日本油脂製ノニオン系界面活性剤”ノニオンHS−210”(商品名)水溶液(93.5g)および過硫酸カリウム水溶液(2g)を滴下した。反応の進行にともない、スチレン−ジビニルベンゼン微粒子が生成した。該スチレン−ジビニルベンゼン微粒子を遠心分離により固液分離した後、クロロスルホン酸の1,2−ジクロロエタン溶液中で撹拌した。反応終了後、透析チューブを用いて十分に洗浄を行い、目的のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼンを得た。該スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンの数平均粒径を測定したところ500nmであった。該スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンの硫黄濃度をSTEM−EDX法で分析したところ、微粒子表面および内部に硫黄原子が存在することが確認され、微粒子表面および内部にスルホン酸基が存在することが分かった。微粒子表面と内部の硫黄濃度比、すなわちスルホン酸基濃度比は1:1で変わらなかった。
(2)スルホン化ポリフェニレンオキシドの合成
室温、窒素雰囲気下で三菱エンジニアリングプラスチック社製ポリフェニレンオキシド(YPX−100L)(商品名)(100g)をクロロホルム(1000g)に溶解させた後、撹拌しながらクロロスルホン酸(34mL)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で30分間撹拌を続けた。析出したポリマーを濾別後、ミルで粉砕し、水で十分に洗浄後、真空乾燥し、目的のスルホン化ポリフェニレンオキシドを得た(イオン交換当量:3.0meq)。得られたスルホン化ポリフェニレンオキシドをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、15重量%溶液とした。
(3)固体電解質膜の作製
前記(1)のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼン微粒子0.2gおよび前記(2)のスルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液4.5gを混合した。この液をガラス板上にキャストし、100℃、3時間加熱して固体電解質膜を作製した。膜厚は100μmであった。
(4)固体電解質膜の性能評価
前記(3)で得られた膜のメタノール透過量とイオン伝導度を評価した。この膜のメタノール透過量は7.0μmol/cm・min、イオン伝導度は8.0S/cmであった。
【0070】
(実施例2)
スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液の代わりに、市販の20%Nafion溶液(デュポン社製登録商標)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解質を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は7.3μmol/cm/min、イオン伝導度は7.5S/cmであった。
【0071】
(比較例1)
実施例2において、市販の20%Nafion溶液(デュポン社製登録商標)のみを用い、実施例1と同様にして固体電解質膜を得た。この電解質膜のメタノール透過量は8.0μmol/cm/min、イオン伝導度は6.7S/cmであり、有機微粒子を加えた実施例1よりも性能が悪かった。
【0072】
(実施例3)
スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液の代わりに、ポリフェニレンオキシドのクロロホルム溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は5.0μmol/cm/min、イオン伝導度は4.0S/cmであった。
【0073】
(比較例2)
実施例3において、ポリフェニレンオキシドのクロロホルム溶液のみを用い、実施例1と同様にして固体電解質膜を得た。この電解質膜のメタノール透過量は5.0μmol/cm/min、イオン伝導度は0S/cmであり、有機微粒子を加えた実施例2よりも性能が悪かった。
【0074】
(実施例4)
(1)スルホン化スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の合成
還流冷却管、撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた300mL四ツ口フラスコに、スチレン(3.2g)およびジビニルベンゼン(1.8g)を入れた。フラスコに窒素ガスを導入し撹拌しながら、日本油脂製ノニオン系界面活性剤”ノニオンHS−210”(商品名)水溶液(93.5g)および過硫酸カリウム水溶液(2g)を滴下した。反応の進行にともない、スチレン−ジビニルベンゼン微粒子が生成した。該スチレン−ジビニルベンゼン微粒子を遠心分離により固液分離した後、濃硫酸中で加熱撹拌した。反応終了後、多量のメタノールで精製し、目的のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼンを得た。該スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンの数平均粒径を測定したところ480nmであった。該スルホン化スチレン−ジビニルベンゼンの硫黄濃度をSTEM−EDX法で分析したところ、微粒子表面と内部の硫黄濃度比すなわち、スルホン酸基濃度比は5:1であった。
(2)固体電解質膜の性能評価
実施例1のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の代わりに、前記(1)のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼン微粒子を用い、実施例1と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は5.7μmol/cm/min、イオン伝導度は8.0S/cmであり、実施例1よりも性能が良かった。
【0075】
(実施例5)
スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液の代わりに、市販の20%Nafion溶液(デュポン社製登録商標)を用いたこと以外は、実施例4と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は6.9μmol/cm/min、イオン伝導度は7.5S/cmであった。
【0076】
(実施例6)
(1)スルホン化フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の合成
還流冷却管、撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた300mL四ツ口フラスコに、スチレン(3.0g)、ジビニルベンゼン(0.5g)およびフェニルマレイミド(1.5g)を入れた。フラスコに窒素ガスを導入し撹拌しながら、日本油脂製ノニオン系界面活性剤”ノニオンHS−210”(商品名)水溶液(93.5g)および過硫酸カリウム水溶液(2g)を滴下した。反応の進行にともない、フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子が生成した。該フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子を遠心分離により固液分離した後、濃硫酸中で撹拌した。反応終了後、多量のメタノールで精製し、目的のスルホン化フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼンを得た。該スルホン化フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼンの数平均粒径を測定したところ550nmであった。該スルホン化フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼンの硫黄濃度をSTEM−EDX法で分析したところ、微粒子表面と内部の硫黄濃度比すなわちスルホン酸基濃度比は9:1であった。
(2)固体電解質膜の性能評価
実施例1のスルホン化スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の代わりに、前記(1)のスルホン化フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子を用い、実施例1と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は5.5μmol/cm/min、イオン伝導度は8.0S/cmであり、実施例1よりも性能が良かった。
【0077】
(実施例7)
スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液の代わりに市販の20%Nafion溶液(デュポン社製登録商標)を用いたこと以外は、実施例6と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は6.9μmol/cm/min、イオン伝導度は7.5S/cmであった。
【0078】
(実施例8)
スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液の代わりにポリビニリデンフルオライドのDMAc溶液を用いる他は、実施例6と同様にして固体電解質を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は0.9μmol/cm/min、イオン伝導度は1.0S/cmであった。
【0079】
(実施例9)
(1)有機シランの加水分解
クロロスルホニルフェニルエチルトリクロロシラン5gに0.01N塩酸水溶液を添加し、室温にて30分間撹拌し、加水分解物を得た。該加水分解物をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解し、15重量%溶液とした。
(2)シリカ微粒子の表面処理
撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた300mL四ツ口フラスコに球状シリカ(3.0g)、メタノール(90g)を入れ、撹拌しながら前記(1)の加水分解物のDMAc溶液(2.0g)を滴下した。室温にて1時間撹拌し、シリカ微粒子を表面処理した。該表面処理シリカ微粒子の数平均粒径を測定したところ450nmであった。該表面処理シリカ微粒子の硫黄濃度をSTEM−EDX法で分析したところ、微粒子表面からのみ硫黄原子の存在が確認された。
(3)固体電解質膜の性能評価
スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の代わりに前記(2)の表面処理シリカ微粒子を用いたこと以外は、実施例10と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は6.8μmol/cm/min、イオン伝導度は7.0S/cmであった。
【0080】
(実施例10)
(1)バインダーの調整
東レダウコーニングシリコーン社製γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5gに0.01N塩酸水溶液を添加し、室温にて30分間攪拌し、加水分解物を得た。該γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの加水分解物をN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解したものとポリビニルアルコールを混合した。
(2)固体電解質膜の性能評価
スルホン化ポリフェニレンオキシドDMAc溶液の代わりに前記(1)のポリビニルアルコールおよびγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン加水分解物のDMAc溶液を用いる他は実施例6と同様にして固体電解質を作製した。この膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は1.5μmol/cm/min、イオン伝導度は1.2S/cmであった。
【0081】
(実施例11)
(1)スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の合成
還流冷却管、撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた300mL四ツ口フラスコに、スチレン(4.5g)およびジビニルベンゼン(0.5g)を入れた。フラスコに窒素ガスを導入し撹拌しながら、日本油脂製ノニオン系界面活性剤”ノニオンHS−210”(商品名)水溶液(93.5g)および過硫酸カリウム水溶液(2g)を滴下した。反応の進行にともない、目的のスチレン−ジビニルベンゼン微粒子が生成した。該スチレン−ジビニルベンゼンの数平均粒径を測定したところ50nmであった。
(2)固体電解質膜の作製
前記(1)のスチレン−ジビニルベンゼン微粒子0.2gとポリビニリデンフルオライドのDMAc溶液4.5gを混合した。この液をガラス板上にキャストし、100℃、3時間加熱して固体電解質膜を作製した。この膜をクロロスルホン酸の1,2−ジクロロエタン溶液中に浸漬させた後、十分洗浄した。
(3)固体電解質膜の性能評価
前記(2)で得られた電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は1.5μmol/cm・min、イオン伝導度は2.2S/cmであった。
【0082】
(実施例12)
(1)フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の合成
還流冷却管、撹拌装置および窒素ガス導入管を備えた300mL四ツ口フラスコに、スチレン(3.0g)、ジビニルベンゼン(0.5g)およびフェニルマレイミド(1.5g)を入れた。フラスコに窒素ガスを導入し撹拌しながら、日本油脂製ノニオン系界面活性剤”ノニオンHS−210”(商品名)水溶液(93.5g)および過硫酸カリウム水溶液(2g)を滴下した。反応の進行にともない、目的のフェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子が生成した。該フェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の数平均粒径を測定したところ80nmであった。
(2)固体電解質膜の性能評価
スチレン−ジビニルベンゼン微粒子の代わりに前記(1)のフェニルマレイミド−スチレン−ジビニルベンゼン微粒子を用いたこと以外は、実施例10と同様にして固体電解質膜を作製した。この電解質膜の性能を実施例1と同様に評価したところ、メタノール透過量は1.4μmol/cm/min、イオン伝導度は2.0S/cmであった。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料クロスオーバーを抑制し、イオン伝導性が高く、高出力を達成できる新規な固体電解質が得られる。この固体電解質を用いることにより、高性能な直接型燃料電池を得ることができ、その実用性は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の固体電解質のメタノール透過量を分析する際に用いられるセルの模式図を示す側面図である。
【符号の説明】

Claims (10)

  1. 少なくとも表面にイオン性基を有する微粒子を含有することを特徴とする固体電解質。
  2. イオン性基が少なくともスルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基およびカルボン酸基から選ばれた1種あるいは2種以上であることを特徴とする請求項1記載の固体電解質。
  3. イオン性基がスルホン酸基またはスルホンイミド基であることを特徴とする請求項1記載の固体電解質。
  4. 微粒子の表面と内部のイオン性基濃度比(表面:内部)が3:1以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質。
  5. 微粒子が、有機ポリマーを主成分とする微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
  6. 少なくとも一次粒子の数平均粒径が1μm以下の微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の固体電解質からなることを特徴とする電解質膜。
  8. 請求項7記載の電解質を用いたことを特徴とする燃料電池。
  9. 炭素数1〜3のアルコール、ジメチルエーテルまたはこれらと水の混合物を燃料とする直接型燃料電池であることを特徴とする請求項8に記載の燃料電池。
  10. 請求項8または9記載の燃料電池を用いてなる移動体電源。
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