JP2004319097A - 電気化学セル - Google Patents
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Abstract
【課題】小型・薄型化が容易で、高エネルギー密度且つリード端子と集電体の接続部の接続不良発生が無く信頼性の高い電気化学セルを提供する。
【解決手段】電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続する外部リード端子として、金属集電体の一部が延長された金属リードが外装体の封止部からセル外部に引き出された露出部を用いる構造とする。また、外装体の封止部の外部リード端子が引き出される部分に、外装体フィルムの少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から金属集電体の一部が延長された金属リードを露出させ、この露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする。
【選択図】 図2
【解決手段】電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続する外部リード端子として、金属集電体の一部が延長された金属リードが外装体の封止部からセル外部に引き出された露出部を用いる構造とする。また、外装体の封止部の外部リード端子が引き出される部分に、外装体フィルムの少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から金属集電体の一部が延長された金属リードを露出させ、この露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムまたは金属箔と樹脂とのラミネートフィルムからなる袋状の外装体内に、リチウム電池またはリチウムイオン電池等の化学電池や電気二重層キャパシタの等の発電要素である一対の電極とイオン導電性の電解質とから少なくともなる電気化学セル素子を収納し、外装体の周縁部の開口部を密封封止した構造の平板型電気化学セルに関するものであり、特に該電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子及びその周辺部の構造とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電子機器の小型高密度実装化に伴って、それらに用いられる電源素子としての電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルに対しても小型・薄型・軽量、且つ高エネルギー密度化が求められている。この様な電気化学セルの小型・薄型・軽量化を実現する方法として、樹脂フィルムまたは金属箔と樹脂フィルムとのラミネートフィルムからなる袋状の外装体内に、化学電池や電気二重層キャパシタ等の発電要素または蓄電要素からなる電気化学セル素子を収納し、外装体の周縁部の開口部をヒートシールまたは接着剤による接着等の手段で密封封止した構造の平板型電気化学セルが提案され、一部実用化されている。
【0003】
従来、この種の平板型電気化学セルは例えば図6に示す構成で作られていた。正電極と負電極として機能する一対の電極21、22は、それぞれ電極活物質、導電性を付与するための炭素等の導電剤、および樹脂等の結着剤からなり、金属製の箔、ネット、エキスパンドメタルやパンチドメタルまたは炭素等の導電性フィラーを含有する導電性高分子フィルム等からなる集電体23、24上に載置され、もしくは一体に積層形成されている。この集電体には、セル組み立て後セル内の電極と外部回路を電気的に接続するための板状、棒状または線状の金属製のリード端子25、26が溶接またはハトメによるカシメ等により接続されている(例えば、特許文献1、2を参照)。この一対の電極を高分子多孔質フィルムや不織布もしくは抄紙等からなるセパレータ27を間に介して積層したもの、またはこの様に積層した帯状の一対の電極とセパレータを偏平状もしくは円筒状に捲回しプレスして平板状にした電極体が外装体28に収納される。この電極体には外装体に収納後または予め収納前にイオン導電性の電解液が含浸吸蔵され、電気化学セルが構成されている。電解質としてゲル状電解質、高分子固体電解質や無機固体電解質等の固体状電解質が用いられる場合には、セパレータの代わりにこれらの固体状電解質を単独もしくはセパレータと併用して用いられる。外装体28は、樹脂フィルムまたは樹脂フィルム28a、28cと金属箔28bとのラミネートフィルムからなり、このフィルムを袋状に重ねた内側に、上記の電極体及び電解質からなる電気化学セル素子が収納され、周縁部がヒートシール、圧着または接着剤による接着等により密封封止される。この電極体の収納に際し、金属製のリード端子は、外装体の周縁部の封止部を横断し一端が引き出された状態で収納され、封止される(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−283100号公報(第1−4頁、第2、3図)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−345599号公報(第2−5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の平板型電気化学セルにおいては、外装体内に収納される電極体(電気化学セル素子)と外部回路とを電気的に接続するリード端子として、集電体とは別に板状、棒状または線状の金属製のリード部材を準備し、これを(1)集電体の電極材が配設されていない部分に溶接、固着または接着する、(2)電極材の配設された部分にハトメ等を貫通させてカシメる、等により接続固定していた。この方法では、集電体と金属リード端子を別々に製造できるので、集電体への電極の一体形成等の各部品の製造はし易く効率的であるが、以下のような問題があった。すなわち、(1)リード端子と集電体とを溶接等により接続する余分な工程が必要となり全体としての効率は低い、(2)製造された平板型電気化学セルの厚さが、リード端子及びハトメ等の厚さ分と接続部の反りや歪により厚くなり、小型・薄型化及び高エネルギー密度化を実現する上で不利、(3)リード端子と集電体の接続部の接触不良やリード端子の集電体からの外れ等に起因する不良が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の平板型電気化学セルは、上記の様な問題点を解決するため、集電体として金属を用い、この金属集電体の一部を延長し、これを外装体の封止部から直接引き出したものを外部リード端子とする構成とした。即ち、金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極とイオン導電性の電解質とを有する電気化学セル素子と、樹脂フィルムまたは少なくともセル内面となる側に樹脂層を配した樹脂と金属箔のラミネートフィルムからなり該電気化学セル素子を内部に収納し密封封止する外装体と、該電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子として該金属集電体の一部が延長された金属リードが該外装体の封止部からセル外部に引き出された露出部を用いる構造としたことを特徴とする。金属リードの厚さは、集電体と同じ厚さのままでもよく、封止部及び外装体外部のリード部が厚く又は薄くなっていてもよい。この構成とすることにより、リード端子と集電体を接続する工程が不要となり、上述した各課題が解決され、小型・薄型化が容易で、信頼性の高い平板型電気化学セルの製造が容易となる。
【0008】
また、特に、外装体の封止部の外部リード端子が引き出される部分に、該外装体ラミネートフィルムの少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から金属集電体の一部が延長された金属リードを露出させ、この金属リードの露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構成とすることにより、金属リードの外装体フィルムとの封止−接続部分が、窓部の金属リードの露出する外部リード形成面と、その反対面及び/または周囲の外装体フィルムによる保護カバー部を有する構成となり、金属リード及び金属集電体の厚さを薄くしても十分な機械的強度と電気的接続リードが得られ、金属リードの切れや破れ等による不良発生が起こらず、より薄型で信頼性の高い平板型電気化学セルがより容易に得られるという利点がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による電気化学セルは、金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極と、イオン導電性の電解質を有する電気化学セル素子と、電気化学セル素子が内部に収納された状態で密封封止される外装体と、外装体の封止部から引き出され電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続する外部リード端子とを備えている。ここで、外装体は、樹脂フィルムまたは内面側に樹脂層が設けられたフィルムと、金属箔とのラミネートフィルムで構成され、外部リード端子は金属集電体から延長された金属リードである。
【0010】
また、本発明による電気化学セルは、金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極と、イオン導電性の電解質を有する電気化学セル素子と、電気化学セル素子を内部に収納し、密封封止される外装体と、金属集電体の少なくとも一部が外装体の密閉封止部まで延長されてなる金属リードと、金属リードが電気的に露出するように外装体の密閉封止部に設けられた窓部と、を備えている。さらに、外装体は、樹脂フィルムまたは内面側に樹脂層が設けられたフィルムと、金属箔とのラミネートフィルムで構成されている。そして、窓部から露出した金属リードを用いて、電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続することができる。
【0011】
以下、本発明の電気化学セルを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明による電気化学セルの構成の一例を示す概略断面図である。正電極または負電極として機能する一対の電極1、2が、金属集電体3、4上に載置もしくは一体に積層形成されている。電極1、2は、それぞれ電極活物質と必要により導電性を付与するための炭素等の導電剤と樹脂等の結着剤を混合した混合物からなり、また、金属集電体3、4は、金属製の箔、板、ネット、エキスパンドメタルやパンチドメタル等からなっている。この金属集電体3、4には、セル組み立て後セル内電極と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子となるように、金属集電体の一部分を延長した金属リード5、6を設けている。この金属リード部は、金属集電体への電極層の形成に際し電極を形成しない露出部分を残し、所定のリード形状に打ち抜きプレスやカッティング等により形成される。金属リード部の厚さは、金属集電体の電極層形成部と同じにするほうが、製造工程が容易であり好ましいが、予め電極層形成部とリード形成部の厚さを変えた金属箔もしくは板を用いることにより、金属集電体部と金属リード部の厚さを異なるようにすることも可能である。特に、厚さ1mm以下の様な薄型の平板型電気化学セルの場合には、集電体の厚さを数μm〜数十μmの薄さにする必要があり、セルの製造工程や使用時に金属リード部の切れや破れ等の不良や故障が発生しないように、金属リード部の十分な機械的強度を得るため、金属リード部の厚さを集電体部(電極形成部)よりも厚くすることが有効である。その結果、特にセル本体の厚さを増やすことなく金属リード部の強度を高めることができるという効果がある。また、平板型電気化学セルとしてリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等を構成する場合には、非水電解質中での充電時の耐食性が高い材料として、集電体に一般に用いられているアルミニウム箔や銅箔のような機械的強度の低い金属を用いる場合には、特に有効である。金属集電体及び金属リードの材質としては、後述の電解質及び電極物質に対し化学的に安定で、充電や過放電等に対し電気化学的に安定で、耐食性のあるものであればよく、上記のアルミニウム、銅、及びニッケル、ステンレス等がよい。この一対の電極1、2の間にセパレータ7を介して積層した帯状の積層体を偏平状または円筒状に捲回し、プレスして平板状に成形して電極体Aが得られる。この電極体Aは、必要により所定の温度で乾燥処理され、外装体8に収納される。外装体8は、樹脂フィルムまたは樹脂と金属箔とのラミネートフィルムからなり、このフィルムを袋状に重ねた内側に、上記の電極体A及び後述の電解質が収納され、外装体フィルムの周縁部Bがヒートシール、圧着または接着剤による接着等により密封封止される。この電極体の収納に際し、金属リード3、4は、外装体8の周縁部の封止部Bを横断し一端が引き出された状態で収納され、封止される。
【0013】
外装体を構成する樹脂は、使用環境での湿度や温度による劣化のない耐候性樹脂であり機械的強度があるものであればよく、例えばナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂等を用いることが出来る。特に内側面に配設する樹脂は、加熱により溶融軟化し、相互に熱接着できる熱可塑性の樹脂であれば、工程が簡便で信頼性が高いヒートシールによる密封封止が可能であり好ましく、例えばポリプロピレンやポリエリレン等のポリオレフィン樹脂や酸変性ポリオレフィンが好適である。特に、電気化学セルとしてリチウム電池、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等の非水電解質を使用するセルを構成する場合には、外装体から外部の湿気(水分)がセル内に侵入するとセルの著しい性能低下や充電時に浸入した水分及び電解質の分解を引き起こし、セルの膨張や甚だしい場合には破裂を引起すので、上記のような耐候性の樹脂と水分不透過の金属箔とヒートシールが可能な熱可塑性樹脂が積層一体化されたラミネートフィルが特に好ましい。また、上記の電極体を外装体内に収納し、金属リードを外装体フィルム間に挟んでヒートシールにより接着封止するために、外装体フィルムの内側の樹脂と金属リードの間に、金属との接着性が高い酸変性ポリオレフィン樹脂又は金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり外装体フィルムに接する側がポリオレフィンである樹脂等からなる封止剤を介在させることが特に好ましい。この封止剤9の介在は外装体フィルムの最内面の樹脂層に表面を酸変性したポリオレフィン樹脂を配置するか、金属リードに予め酸変性ポリオレフィン又は金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり外装体フィルムに接する側がポリオレフィンである樹脂を配置又は接着したものを用いてヒートシールする等により可能である。
【0014】
本発明に用いるセパレータ7としては、通常電気化学セルに用いられるものが適用出来る。即ち、リチウム電池やリチウムイオン電池等の非水電解質電池を構成する場合には、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系の高分子多孔質フィルムや不織布あるいはガラス繊維との混抄紙等、アルカリ電池ではセロファンやレーヨン抄紙、グラフト重合したポリエチレン等、電気二重層キャパシタではセルロース、ポリエステル、ポリオレフィン系樹脂やガラス等の繊維からなる不織布や抄紙あるいはポリオレフィンの多孔質フィルム等を好適に用いることが出来る。
【0015】
一般に、電極活物質と後述の電解質によりその発電素子又は蓄電素子としての電気化学システムの動作電圧や最大理論容量等の基本的な電気化学特性が規定される。本発明の平板型電気化学セルにより、リチウム電池やリチウムイオン二次電池等の非水電解質電池を構成する場合には、負極活物質としてリチウム金属、リチウムとアルミニウム等の他の金属の合金、ケイ素やすず、タングステン、チタン、鉄等の酸化物、窒化物、硫化物や黒鉛または有機物を焼成して得られる炭素質材料、ポリアセンやポリアセチレン等の導電性高分子等々のリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用い、アルカリ電池を構成する場合には、亜鉛、カドミウム等の金属を用いることが出来る。正極活物質としては、リチウム電池またはリチウムイオン二次電池の場合には、CFX やTiS2 、MoS2 、NbSe3等の金属カルコゲン化物、MnO2 、MoO3 、V2O5 、LiXCoO2 、LiXNiO2 、LiXMn2O4等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン等の導電性高分子の様なリチウムイオンと反応もしくはリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用いることができ、アルカリ電池の場合には酸化銀、二酸化マンガン、水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケル等の酸化物、水酸化物等が用いられる。また、電気二重層キャパシタの場合には正電極、負電極共に、電極活物質として、活性炭やカーボンブラック等の炭素材料、金属やその他の酸化物等の比表面積の大きい物質を用いることが出来る。電極活物質としてリチウムや亜鉛等の上記の様な金属を用いる場合には、それらを集電体上に直接所定形状に一体に成形した板や箔を用いることにより、導電剤や結着剤は不要である。また、本発明はこれらの電極活物質の例に限定されず、その他の電極活物質を用いた化学電池、電気二重層キャパシタやこれらを複合した発電素子または蓄電素子からなる電気化学セルに適用することが出来る。
【0016】
この電極体Aには、外装体に収納後または予め収納前に、イオン導電性の電解液が含浸吸蔵され、電気化学セル素子が構成される。電解質としては、例えば有機電解質電池の場合には、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルフォーメイト、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルフォルムアミド、スルホラン等の有機溶媒の単独又は混合溶媒に支持電解質としてLiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3SO3等のリチウムイオン解離性塩を溶解した非水(有機)電解液、ポリエチレンオキシドやポリフォスファゼン架橋体等の高分子に前記リチウム塩を固溶させた高分子固体電解質あるいはLi3 N、LiI等の無機固体電解質等々のリチウムイオン導電性の非水電解質を用いることができる。また、電気二重層キャパシタの場合には、上述した支持電解質の代りに、あるいはそれに加えて(C2H5)4N)BF4、(C2H5)4N)PF4、(C2H5)4N)ClO4、(C2H5)3CH3N)BF4、(CH3)4N)BF4 等のアンモニウム塩やホスフォニウム塩等が用いられる。電解質としてゲル状電解質、高分子固体電解質や無機固体電解質等の固体状電解質が用いられる場合には、セパレータの代わりにこれらの固体状電解質を単独もしくはセパレータと併用して用いることが出来る。
【0017】
(実施の形態2)
図2は本発明による電気化学セルの構成の他の一例を示す概略断面図である。電極体Bは、実施の形態1と同様な電極組成の一対の電極11、12が金属集電体13、14に、実施の形態1と同様にシート状に一体に積層形成され、この電極間にセパレータを配して平板状に積層されている。この実施の形態2の電極体Bでは、一対の電極−金属集電体とセパレータの積層体は、平板状に積層されるのみで、捲回されていない例であり、特にセルの厚さが1mm以下の薄型電気化学セルの場合に適する。この様な一対の電極−金属集電体とセパレータの積層体をユニットとして複数個積層し同極同士を接続した多積層セルとすることも出来る。また、金属集電体13、14には、実施の形態1と同様に、セル組み立て後セル内電極と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子となるように、金属集電体への電極層の積層形成に際し電極を形成しない露出部分を残し、所定のリード形状に打ち抜きプレスやカッティング等により形成され、金属集電体の一部分が延長された金属リード部15、16を設けている。この電極体Bと電解質が外装体18に収納され、外装体周縁部がヒートシール、圧着または接着剤による接着等により密封封止されている。本実施の形態に用いられる外装体は、材質としては実施の形態1に記載したものと同様な樹脂フィルムまたは樹脂と金属箔のラミネートフィルムが使用できるが、予め外装体周縁の封止部となる部分(すなわち、図4、5の封止部B)の外部リード端子が引き出される部分に、該外装体フィルムの少なくとも一方の面に、予め切り欠け窓部を設け、外装体の周縁部の封止に際し、この窓部から金属集電体13、14の一部が延長された金属リード15、16の少なくとも一方の面を露出させて密封封止し、この金属リードの露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構成とする。窓部の形状は矩形、長円形、半円、半長円等任意の多角形や円形やその他の形状が可能であり、例えば、図4に示す窓部の外側辺がカットされてラミフィルムの除去された構造、図5に示す窓部の周囲にラミネートフィルムが残された構造、ラミネートフィルムの両面が除去された構造等が可能である。また、窓部の形成は外装体ラミネートフィルムの該当部分をナイフ等による裁断や抜き型によるプレス抜き等で行うことができる。
【0018】
外装体を構成する外装フィルムは上記の様に、実施の形態1に記載したものと同様な樹脂フィルムまたは樹脂と金属箔のラミネートフィルムが使用できるが、内側面が加熱により溶融軟化し、加熱(加圧)により相互に熱接着できる熱可塑性の樹脂であれば、工程が簡便で信頼性が高いヒートシールによる密封封止が可能であり特に好ましい。また、特に、電気化学セルとしてリチウム電池、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等の非水電解質を使用するセルを構成する場合には、外装体から外部環境の湿気(水分)がセル内に侵入するとセルの著しい性能低下や充電時に浸入した水分及び電解質の分解を引き起こし、セルの膨張や甚だしい場合には破裂を引起すので、外側面にナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂等のような耐候性の樹脂を配すると共に、アルミニウム等の水分不透過の金属箔と内側面にポリプロピレンやポリエリレン等のポリオレフィン樹脂やその共重合体等のヒートシールが可能な熱可塑性樹脂が積層一体化されたラミネートフィルを用い、外装体周縁部の封口をヒートシールにより接着封止する方法が、工程が簡便でより信頼性が高い密封封止が可能であり特に好ましい。この構成が図2に例示されている。また、上記の電極体Bを外装体内に収納し、金属リードを外装体フィルム間に挟んでヒートシールにより接着封止するために、外装体フィルムの内側の樹脂の金属リードと接着される部分には、金属との接着性が高い酸変性ポレオレフィン樹脂からなる封止剤19を介在させることにより、金属リードと外装フィルムとの接着密封性がより高くより信頼性の高い封止性能が得られるので、より好ましい。この酸変性ポレオレフィン樹脂の介在は外装体フィルムの最内面の樹脂層に表面を酸変性したポリオレフィン樹脂を配置するか、金属リード端子に予め酸変性ポリオレフィン又は金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり外装体フィルムと接する側がポリオレフィンである樹脂層を配置して、ヒートシールする等により可能である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例について図面を参照して説明する。
【0020】
(実施例1)
本実施例は、図1で示した本発明による平板型電気化学セルとして、平板型の電気二重層キャパシタを構成した例である。活性炭粉末と導電性付与剤としてカーボンブラックを結着剤としてポリテトラフロロエチレン(PTFE)を混合混錬し、圧延成形して厚さ100μm、幅50mmの帯状電極シートを作製した。この電極シートを厚さ40μm、幅110mmの硬質アルミニウム箔からなる金属集電体3、4の片面に両サイドに30mmづつの露出部分を残して、炭素を導電性フィラーとする導電性接着剤により接着して積層一体化する。その後、図3の様に電極積層部が幅50mm、長さ90mm、電極の形成されていないリード部が長さ30mm、幅6mmになるように切断して、一対の電極1、2と金属集電体3、4の積層体を作製した。この一対の電極と集電体の積層体を、電極形成面を対向させて、間にセパレータを介して積層したものを幅28mm、厚さ2mmの平板状の巻芯を用いて捲回した後、荷重4kg/cm2 でプレスして電極体とした。
【0021】
外装体8には、アルミニウム箔の外側面にナイロン、内側面にポリプロピレンを接着ラミネートした厚さ約110μmの絶縁性ラミネートフィルムを用いている。この絶縁性ラミネートフィルムをポリプロピレン層が内側面になるように袋状に折り返し、金属リード5、6が外装フィルムの折り返し辺と直交する開口辺の一辺から折り返し辺に平行に引き出された状態になるように上述の電極体を収納する。そして、先ず外装体周縁3辺の開口部のうち金属リード5、6を引き出した辺とその対向辺(折り返し辺と直交する2辺)の周縁部をヒートシール(加圧熱融着)した。次に、外装フィルムの折り返し辺に対向する辺の開口部から、プロピレンカーボネートに1mol/lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを溶解した電解液を注入し、減圧して電解液を電極及びセパレータに含浸した後、開口部周縁部をヒートシールして密封封止し、電気化学セルを作製した。尚、金属リード端子5、6には、上記のヒートシールに際して外装体の封止部に該当する部分に樹脂が設けられている。この樹脂は、金属リードと接する側が酸変性処理されたポリプロピレンであり、外装体フィルムと接する側がポリプロピレンである厚さ100μ、幅5mmの樹脂であり、外装体に収納する前に予め金属リード端子に熱接着してある。すなわち、ヒートシールの際に、金属リードと外装体内側面のポリプロピレンフィルム層との間に酸変性ポリプロリレンを介在させている。このようにして作製した本実施例の平板型電気化学セルにおいては、金属集電体への外部リード端子の溶接等の工程が不要で生産効率が高く、且つ製造時のリード部の外れや切れ等の不良発生が無かった。また、作製した30個の電気化学セルでは、セルの厚さの平均値は1.74mm、静電容量の平均値は14.2Fであった。
【0022】
(比較例1)
実施例1の金属リード5、6を設ける代わりに、帯状電極形成部の長さを80mmとし、金属集電体の長さ方向の一端に電極の形成されない露出部を10mm設け、ここに外部リード端子として幅6mm、厚さ70μmのアルミニウム板を溶接したものを用い、この外部リード端子を外装体周縁の封止部から引出す構造として従来法による比較例1の電気化学セルを30個作製した。この様にして作製したセルの厚さの平均値は2.25mm、静電容量は12.7Fであり、セルの製造時にリード端子の金属集電体との溶接部からの外れが1個発生した。
【0023】
(実施例2)
本実施例は、図2で示した基本構造で電気二重層キャパシタを構成した例である。電極11、12には実施例1と同様な混練合剤を厚さ80μmに圧延成形したものを用い、厚さ30μmの硬質アルミニウム箔からなる金属集電体13、14の片面にリード部となる露出部分を残して、炭素を導電性フィラーとする導電性接着剤によって接着し積層一体化する。これを、電極積層部が幅30mm、長さ50mm、電極の形成されていないリード部が長さ10mm、幅6mmになるように打ち抜きプレスにより切断し、一対の電極11、12と金属集電体13、14の積層体を作製した。この一対の電極と集電体の積層体を、電極形成面を対向させて、間にセパレータを介して積層しただけで、捲回していない平板状のものを電極体Bとした。外装体には実施例1と同様なラミネートフィルムを用い、折り返して袋状とする上側のラミネートフィルムの折り返し辺に対向する1辺の封止部の金属リードを引き出す部分に図4のように打ち抜きプレスにより穴をあけ窓部を設けた。窓部の形状は幅6mm、奥行き3mmの四角形とした。この外装体内に、金属リード15、16が上記の切り欠け窓部に露出するように位置合わせして収納し、外装体周縁部の金属リードの引き出し辺及びそれに直交する1辺をヒートシールした。その後、実施例1と同様な方法で電解液注入、減圧−電解液含浸、開口部のヒートシールを行い幅40mm、長さ60mm、厚さ約0.5mmの平板型電気化学セルを作製した。本実施例の平板型電気化学セルでは、外部リード端子として僅か30μm厚のアルミニウム箔からなる金属集電体の一部を引き出した金属リードが用いられているにもかかわらず、外装体窓部の金属リードの露出部周囲及び下面がラミネートフィルムに接着保護されているため、製造時及びその後の充放電試験、内部抵抗測定等の評価検査の過程でリードの切れや破れ等の不良の発生は無かった。また静電容量は平均値3.8F、セルの厚さは平均値0.46mmであった。
【0024】
(比較例2)
実施例2の金属リード15,16を設ける代わりに、外部リード端子として幅6mm、厚さ70μmのアルミニウム板を金属集電体の電極が形成されていない面に溶接したものを用い、外装体フィルムに切り欠け窓部を設けず、外部リード端子を外装体周縁の封止部から引き出す構造として従来法による比較例2の電気化学セルを30個作製した。この様にして作製したセルの厚さは0.65mm、静電容量は3.7Fであり、セルの製造時にリード端子の金属集電体との溶接部からの外れが4個発生した。
【0025】
(比較例3)
実施例2の金属リード15,16を設ける代わりに、電極の長さを40mmとし、金属集電体の長さ方向の一端に電極の形成されない露出部を設け、ここに外部リード端子として幅6mm、厚さ70μmのアルミニウム板を溶接したものを用い、外装体フィルムに切り欠け窓部を設けず、外部リード端子を外装体周縁の封止部から引き出す構造とした従来法による比較例2の電気化学セルを30個作製した。この様にして作製したセルの厚さは0.50mm、静電容量は3.0Fであり、セルの製造時にリード端子の金属集電体との溶接部からの外れが2個発生した。
【0026】
以上の様に、本発明の各実施例による電気化学セルは、従来法による比較例に比べ、セルの厚さがより薄く且つ高容量であると共に、金属リードの溶接が不要で生産効率が高く、且つ外部リード端子の外れや接触不良の発生が少ないことが分かる。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述した様に、本発明の平板型電気化学セルは、電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子として金属集電体の一部が延長された金属リードが外装体の封止部からセル外部に引き出された露出部を用いる構造としたこと、及び前記外装体の封止部の外部リード端子が引き出される部分に、外装体ラミネートフィルムの少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から金属集電体の一部が延長された金属リードを露出させ、この露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構造としたものである。この構成によれば、(1)金属リードと集電体とを溶接等により接続する余分な工程が不要となるので、生産効率が高く、(2)リード端子及びハトメ等の厚さや接続部の反りや歪によりセルの厚さの増加が無く、セルの小型・薄型化が容易で、より高エネルギー密度で、(3)金属リードと集電体の接続部の接触不良や金属リード部の外れ等に起因する不良の発生を低減されることができ、より信頼性の高い平板型電気化学セルが実現できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気化学セルの第一の実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】本発明による電気化学セルの第二の実施形態の構成を示す断面図である。
【図3】本発明による電気化学セルで用いる電極と集電体及び金属リードの構成の一例を示す平面図である。
【図4】第二の実施形態における外装体窓部の一例とセルの全体構成を示す平面図である。
【図5】第二の実施形態における外装体窓部の他の一例とセルの全体構成を示す平面図である。
【図6】従来の電気化学セルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2 一対の電極(負電極または正電極)
3、4 金属集電体
5、6 金属リード
7 セパレータ
8 外装体
8a 樹脂フィルム
8b 金属箔
8c 熱可塑性樹脂フィルム
9 封止材
11、12 一対の電極(負電極または正電極)
13、14 金属集電体
15、16 金属リード
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムまたは金属箔と樹脂とのラミネートフィルムからなる袋状の外装体内に、リチウム電池またはリチウムイオン電池等の化学電池や電気二重層キャパシタの等の発電要素である一対の電極とイオン導電性の電解質とから少なくともなる電気化学セル素子を収納し、外装体の周縁部の開口部を密封封止した構造の平板型電気化学セルに関するものであり、特に該電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子及びその周辺部の構造とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電子機器の小型高密度実装化に伴って、それらに用いられる電源素子としての電池や電気二重層キャパシタ等の電気化学セルに対しても小型・薄型・軽量、且つ高エネルギー密度化が求められている。この様な電気化学セルの小型・薄型・軽量化を実現する方法として、樹脂フィルムまたは金属箔と樹脂フィルムとのラミネートフィルムからなる袋状の外装体内に、化学電池や電気二重層キャパシタ等の発電要素または蓄電要素からなる電気化学セル素子を収納し、外装体の周縁部の開口部をヒートシールまたは接着剤による接着等の手段で密封封止した構造の平板型電気化学セルが提案され、一部実用化されている。
【0003】
従来、この種の平板型電気化学セルは例えば図6に示す構成で作られていた。正電極と負電極として機能する一対の電極21、22は、それぞれ電極活物質、導電性を付与するための炭素等の導電剤、および樹脂等の結着剤からなり、金属製の箔、ネット、エキスパンドメタルやパンチドメタルまたは炭素等の導電性フィラーを含有する導電性高分子フィルム等からなる集電体23、24上に載置され、もしくは一体に積層形成されている。この集電体には、セル組み立て後セル内の電極と外部回路を電気的に接続するための板状、棒状または線状の金属製のリード端子25、26が溶接またはハトメによるカシメ等により接続されている(例えば、特許文献1、2を参照)。この一対の電極を高分子多孔質フィルムや不織布もしくは抄紙等からなるセパレータ27を間に介して積層したもの、またはこの様に積層した帯状の一対の電極とセパレータを偏平状もしくは円筒状に捲回しプレスして平板状にした電極体が外装体28に収納される。この電極体には外装体に収納後または予め収納前にイオン導電性の電解液が含浸吸蔵され、電気化学セルが構成されている。電解質としてゲル状電解質、高分子固体電解質や無機固体電解質等の固体状電解質が用いられる場合には、セパレータの代わりにこれらの固体状電解質を単独もしくはセパレータと併用して用いられる。外装体28は、樹脂フィルムまたは樹脂フィルム28a、28cと金属箔28bとのラミネートフィルムからなり、このフィルムを袋状に重ねた内側に、上記の電極体及び電解質からなる電気化学セル素子が収納され、周縁部がヒートシール、圧着または接着剤による接着等により密封封止される。この電極体の収納に際し、金属製のリード端子は、外装体の周縁部の封止部を横断し一端が引き出された状態で収納され、封止される(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−283100号公報(第1−4頁、第2、3図)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−345599号公報(第2−5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の平板型電気化学セルにおいては、外装体内に収納される電極体(電気化学セル素子)と外部回路とを電気的に接続するリード端子として、集電体とは別に板状、棒状または線状の金属製のリード部材を準備し、これを(1)集電体の電極材が配設されていない部分に溶接、固着または接着する、(2)電極材の配設された部分にハトメ等を貫通させてカシメる、等により接続固定していた。この方法では、集電体と金属リード端子を別々に製造できるので、集電体への電極の一体形成等の各部品の製造はし易く効率的であるが、以下のような問題があった。すなわち、(1)リード端子と集電体とを溶接等により接続する余分な工程が必要となり全体としての効率は低い、(2)製造された平板型電気化学セルの厚さが、リード端子及びハトメ等の厚さ分と接続部の反りや歪により厚くなり、小型・薄型化及び高エネルギー密度化を実現する上で不利、(3)リード端子と集電体の接続部の接触不良やリード端子の集電体からの外れ等に起因する不良が発生する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の平板型電気化学セルは、上記の様な問題点を解決するため、集電体として金属を用い、この金属集電体の一部を延長し、これを外装体の封止部から直接引き出したものを外部リード端子とする構成とした。即ち、金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極とイオン導電性の電解質とを有する電気化学セル素子と、樹脂フィルムまたは少なくともセル内面となる側に樹脂層を配した樹脂と金属箔のラミネートフィルムからなり該電気化学セル素子を内部に収納し密封封止する外装体と、該電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子として該金属集電体の一部が延長された金属リードが該外装体の封止部からセル外部に引き出された露出部を用いる構造としたことを特徴とする。金属リードの厚さは、集電体と同じ厚さのままでもよく、封止部及び外装体外部のリード部が厚く又は薄くなっていてもよい。この構成とすることにより、リード端子と集電体を接続する工程が不要となり、上述した各課題が解決され、小型・薄型化が容易で、信頼性の高い平板型電気化学セルの製造が容易となる。
【0008】
また、特に、外装体の封止部の外部リード端子が引き出される部分に、該外装体ラミネートフィルムの少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から金属集電体の一部が延長された金属リードを露出させ、この金属リードの露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構成とすることにより、金属リードの外装体フィルムとの封止−接続部分が、窓部の金属リードの露出する外部リード形成面と、その反対面及び/または周囲の外装体フィルムによる保護カバー部を有する構成となり、金属リード及び金属集電体の厚さを薄くしても十分な機械的強度と電気的接続リードが得られ、金属リードの切れや破れ等による不良発生が起こらず、より薄型で信頼性の高い平板型電気化学セルがより容易に得られるという利点がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明による電気化学セルは、金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極と、イオン導電性の電解質を有する電気化学セル素子と、電気化学セル素子が内部に収納された状態で密封封止される外装体と、外装体の封止部から引き出され電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続する外部リード端子とを備えている。ここで、外装体は、樹脂フィルムまたは内面側に樹脂層が設けられたフィルムと、金属箔とのラミネートフィルムで構成され、外部リード端子は金属集電体から延長された金属リードである。
【0010】
また、本発明による電気化学セルは、金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極と、イオン導電性の電解質を有する電気化学セル素子と、電気化学セル素子を内部に収納し、密封封止される外装体と、金属集電体の少なくとも一部が外装体の密閉封止部まで延長されてなる金属リードと、金属リードが電気的に露出するように外装体の密閉封止部に設けられた窓部と、を備えている。さらに、外装体は、樹脂フィルムまたは内面側に樹脂層が設けられたフィルムと、金属箔とのラミネートフィルムで構成されている。そして、窓部から露出した金属リードを用いて、電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続することができる。
【0011】
以下、本発明の電気化学セルを図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明による電気化学セルの構成の一例を示す概略断面図である。正電極または負電極として機能する一対の電極1、2が、金属集電体3、4上に載置もしくは一体に積層形成されている。電極1、2は、それぞれ電極活物質と必要により導電性を付与するための炭素等の導電剤と樹脂等の結着剤を混合した混合物からなり、また、金属集電体3、4は、金属製の箔、板、ネット、エキスパンドメタルやパンチドメタル等からなっている。この金属集電体3、4には、セル組み立て後セル内電極と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子となるように、金属集電体の一部分を延長した金属リード5、6を設けている。この金属リード部は、金属集電体への電極層の形成に際し電極を形成しない露出部分を残し、所定のリード形状に打ち抜きプレスやカッティング等により形成される。金属リード部の厚さは、金属集電体の電極層形成部と同じにするほうが、製造工程が容易であり好ましいが、予め電極層形成部とリード形成部の厚さを変えた金属箔もしくは板を用いることにより、金属集電体部と金属リード部の厚さを異なるようにすることも可能である。特に、厚さ1mm以下の様な薄型の平板型電気化学セルの場合には、集電体の厚さを数μm〜数十μmの薄さにする必要があり、セルの製造工程や使用時に金属リード部の切れや破れ等の不良や故障が発生しないように、金属リード部の十分な機械的強度を得るため、金属リード部の厚さを集電体部(電極形成部)よりも厚くすることが有効である。その結果、特にセル本体の厚さを増やすことなく金属リード部の強度を高めることができるという効果がある。また、平板型電気化学セルとしてリチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等を構成する場合には、非水電解質中での充電時の耐食性が高い材料として、集電体に一般に用いられているアルミニウム箔や銅箔のような機械的強度の低い金属を用いる場合には、特に有効である。金属集電体及び金属リードの材質としては、後述の電解質及び電極物質に対し化学的に安定で、充電や過放電等に対し電気化学的に安定で、耐食性のあるものであればよく、上記のアルミニウム、銅、及びニッケル、ステンレス等がよい。この一対の電極1、2の間にセパレータ7を介して積層した帯状の積層体を偏平状または円筒状に捲回し、プレスして平板状に成形して電極体Aが得られる。この電極体Aは、必要により所定の温度で乾燥処理され、外装体8に収納される。外装体8は、樹脂フィルムまたは樹脂と金属箔とのラミネートフィルムからなり、このフィルムを袋状に重ねた内側に、上記の電極体A及び後述の電解質が収納され、外装体フィルムの周縁部Bがヒートシール、圧着または接着剤による接着等により密封封止される。この電極体の収納に際し、金属リード3、4は、外装体8の周縁部の封止部Bを横断し一端が引き出された状態で収納され、封止される。
【0013】
外装体を構成する樹脂は、使用環境での湿度や温度による劣化のない耐候性樹脂であり機械的強度があるものであればよく、例えばナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂等を用いることが出来る。特に内側面に配設する樹脂は、加熱により溶融軟化し、相互に熱接着できる熱可塑性の樹脂であれば、工程が簡便で信頼性が高いヒートシールによる密封封止が可能であり好ましく、例えばポリプロピレンやポリエリレン等のポリオレフィン樹脂や酸変性ポリオレフィンが好適である。特に、電気化学セルとしてリチウム電池、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等の非水電解質を使用するセルを構成する場合には、外装体から外部の湿気(水分)がセル内に侵入するとセルの著しい性能低下や充電時に浸入した水分及び電解質の分解を引き起こし、セルの膨張や甚だしい場合には破裂を引起すので、上記のような耐候性の樹脂と水分不透過の金属箔とヒートシールが可能な熱可塑性樹脂が積層一体化されたラミネートフィルが特に好ましい。また、上記の電極体を外装体内に収納し、金属リードを外装体フィルム間に挟んでヒートシールにより接着封止するために、外装体フィルムの内側の樹脂と金属リードの間に、金属との接着性が高い酸変性ポリオレフィン樹脂又は金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり外装体フィルムに接する側がポリオレフィンである樹脂等からなる封止剤を介在させることが特に好ましい。この封止剤9の介在は外装体フィルムの最内面の樹脂層に表面を酸変性したポリオレフィン樹脂を配置するか、金属リードに予め酸変性ポリオレフィン又は金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり外装体フィルムに接する側がポリオレフィンである樹脂を配置又は接着したものを用いてヒートシールする等により可能である。
【0014】
本発明に用いるセパレータ7としては、通常電気化学セルに用いられるものが適用出来る。即ち、リチウム電池やリチウムイオン電池等の非水電解質電池を構成する場合には、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系の高分子多孔質フィルムや不織布あるいはガラス繊維との混抄紙等、アルカリ電池ではセロファンやレーヨン抄紙、グラフト重合したポリエチレン等、電気二重層キャパシタではセルロース、ポリエステル、ポリオレフィン系樹脂やガラス等の繊維からなる不織布や抄紙あるいはポリオレフィンの多孔質フィルム等を好適に用いることが出来る。
【0015】
一般に、電極活物質と後述の電解質によりその発電素子又は蓄電素子としての電気化学システムの動作電圧や最大理論容量等の基本的な電気化学特性が規定される。本発明の平板型電気化学セルにより、リチウム電池やリチウムイオン二次電池等の非水電解質電池を構成する場合には、負極活物質としてリチウム金属、リチウムとアルミニウム等の他の金属の合金、ケイ素やすず、タングステン、チタン、鉄等の酸化物、窒化物、硫化物や黒鉛または有機物を焼成して得られる炭素質材料、ポリアセンやポリアセチレン等の導電性高分子等々のリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用い、アルカリ電池を構成する場合には、亜鉛、カドミウム等の金属を用いることが出来る。正極活物質としては、リチウム電池またはリチウムイオン二次電池の場合には、CFX やTiS2 、MoS2 、NbSe3等の金属カルコゲン化物、MnO2 、MoO3 、V2O5 、LiXCoO2 、LiXNiO2 、LiXMn2O4等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリパラフェニレン等の導電性高分子の様なリチウムイオンと反応もしくはリチウムイオンを吸蔵放出可能な物質を用いることができ、アルカリ電池の場合には酸化銀、二酸化マンガン、水酸化ニッケルやオキシ水酸化ニッケル等の酸化物、水酸化物等が用いられる。また、電気二重層キャパシタの場合には正電極、負電極共に、電極活物質として、活性炭やカーボンブラック等の炭素材料、金属やその他の酸化物等の比表面積の大きい物質を用いることが出来る。電極活物質としてリチウムや亜鉛等の上記の様な金属を用いる場合には、それらを集電体上に直接所定形状に一体に成形した板や箔を用いることにより、導電剤や結着剤は不要である。また、本発明はこれらの電極活物質の例に限定されず、その他の電極活物質を用いた化学電池、電気二重層キャパシタやこれらを複合した発電素子または蓄電素子からなる電気化学セルに適用することが出来る。
【0016】
この電極体Aには、外装体に収納後または予め収納前に、イオン導電性の電解液が含浸吸蔵され、電気化学セル素子が構成される。電解質としては、例えば有機電解質電池の場合には、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルフォーメイト、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルフォルムアミド、スルホラン等の有機溶媒の単独又は混合溶媒に支持電解質としてLiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiCF3SO3等のリチウムイオン解離性塩を溶解した非水(有機)電解液、ポリエチレンオキシドやポリフォスファゼン架橋体等の高分子に前記リチウム塩を固溶させた高分子固体電解質あるいはLi3 N、LiI等の無機固体電解質等々のリチウムイオン導電性の非水電解質を用いることができる。また、電気二重層キャパシタの場合には、上述した支持電解質の代りに、あるいはそれに加えて(C2H5)4N)BF4、(C2H5)4N)PF4、(C2H5)4N)ClO4、(C2H5)3CH3N)BF4、(CH3)4N)BF4 等のアンモニウム塩やホスフォニウム塩等が用いられる。電解質としてゲル状電解質、高分子固体電解質や無機固体電解質等の固体状電解質が用いられる場合には、セパレータの代わりにこれらの固体状電解質を単独もしくはセパレータと併用して用いることが出来る。
【0017】
(実施の形態2)
図2は本発明による電気化学セルの構成の他の一例を示す概略断面図である。電極体Bは、実施の形態1と同様な電極組成の一対の電極11、12が金属集電体13、14に、実施の形態1と同様にシート状に一体に積層形成され、この電極間にセパレータを配して平板状に積層されている。この実施の形態2の電極体Bでは、一対の電極−金属集電体とセパレータの積層体は、平板状に積層されるのみで、捲回されていない例であり、特にセルの厚さが1mm以下の薄型電気化学セルの場合に適する。この様な一対の電極−金属集電体とセパレータの積層体をユニットとして複数個積層し同極同士を接続した多積層セルとすることも出来る。また、金属集電体13、14には、実施の形態1と同様に、セル組み立て後セル内電極と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子となるように、金属集電体への電極層の積層形成に際し電極を形成しない露出部分を残し、所定のリード形状に打ち抜きプレスやカッティング等により形成され、金属集電体の一部分が延長された金属リード部15、16を設けている。この電極体Bと電解質が外装体18に収納され、外装体周縁部がヒートシール、圧着または接着剤による接着等により密封封止されている。本実施の形態に用いられる外装体は、材質としては実施の形態1に記載したものと同様な樹脂フィルムまたは樹脂と金属箔のラミネートフィルムが使用できるが、予め外装体周縁の封止部となる部分(すなわち、図4、5の封止部B)の外部リード端子が引き出される部分に、該外装体フィルムの少なくとも一方の面に、予め切り欠け窓部を設け、外装体の周縁部の封止に際し、この窓部から金属集電体13、14の一部が延長された金属リード15、16の少なくとも一方の面を露出させて密封封止し、この金属リードの露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構成とする。窓部の形状は矩形、長円形、半円、半長円等任意の多角形や円形やその他の形状が可能であり、例えば、図4に示す窓部の外側辺がカットされてラミフィルムの除去された構造、図5に示す窓部の周囲にラミネートフィルムが残された構造、ラミネートフィルムの両面が除去された構造等が可能である。また、窓部の形成は外装体ラミネートフィルムの該当部分をナイフ等による裁断や抜き型によるプレス抜き等で行うことができる。
【0018】
外装体を構成する外装フィルムは上記の様に、実施の形態1に記載したものと同様な樹脂フィルムまたは樹脂と金属箔のラミネートフィルムが使用できるが、内側面が加熱により溶融軟化し、加熱(加圧)により相互に熱接着できる熱可塑性の樹脂であれば、工程が簡便で信頼性が高いヒートシールによる密封封止が可能であり特に好ましい。また、特に、電気化学セルとしてリチウム電池、リチウムイオン電池や電気二重層キャパシタ等の非水電解質を使用するセルを構成する場合には、外装体から外部環境の湿気(水分)がセル内に侵入するとセルの著しい性能低下や充電時に浸入した水分及び電解質の分解を引き起こし、セルの膨張や甚だしい場合には破裂を引起すので、外側面にナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン樹脂等のような耐候性の樹脂を配すると共に、アルミニウム等の水分不透過の金属箔と内側面にポリプロピレンやポリエリレン等のポリオレフィン樹脂やその共重合体等のヒートシールが可能な熱可塑性樹脂が積層一体化されたラミネートフィルを用い、外装体周縁部の封口をヒートシールにより接着封止する方法が、工程が簡便でより信頼性が高い密封封止が可能であり特に好ましい。この構成が図2に例示されている。また、上記の電極体Bを外装体内に収納し、金属リードを外装体フィルム間に挟んでヒートシールにより接着封止するために、外装体フィルムの内側の樹脂の金属リードと接着される部分には、金属との接着性が高い酸変性ポレオレフィン樹脂からなる封止剤19を介在させることにより、金属リードと外装フィルムとの接着密封性がより高くより信頼性の高い封止性能が得られるので、より好ましい。この酸変性ポレオレフィン樹脂の介在は外装体フィルムの最内面の樹脂層に表面を酸変性したポリオレフィン樹脂を配置するか、金属リード端子に予め酸変性ポリオレフィン又は金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり外装体フィルムと接する側がポリオレフィンである樹脂層を配置して、ヒートシールする等により可能である。
【0019】
【実施例】
以下、実施例について図面を参照して説明する。
【0020】
(実施例1)
本実施例は、図1で示した本発明による平板型電気化学セルとして、平板型の電気二重層キャパシタを構成した例である。活性炭粉末と導電性付与剤としてカーボンブラックを結着剤としてポリテトラフロロエチレン(PTFE)を混合混錬し、圧延成形して厚さ100μm、幅50mmの帯状電極シートを作製した。この電極シートを厚さ40μm、幅110mmの硬質アルミニウム箔からなる金属集電体3、4の片面に両サイドに30mmづつの露出部分を残して、炭素を導電性フィラーとする導電性接着剤により接着して積層一体化する。その後、図3の様に電極積層部が幅50mm、長さ90mm、電極の形成されていないリード部が長さ30mm、幅6mmになるように切断して、一対の電極1、2と金属集電体3、4の積層体を作製した。この一対の電極と集電体の積層体を、電極形成面を対向させて、間にセパレータを介して積層したものを幅28mm、厚さ2mmの平板状の巻芯を用いて捲回した後、荷重4kg/cm2 でプレスして電極体とした。
【0021】
外装体8には、アルミニウム箔の外側面にナイロン、内側面にポリプロピレンを接着ラミネートした厚さ約110μmの絶縁性ラミネートフィルムを用いている。この絶縁性ラミネートフィルムをポリプロピレン層が内側面になるように袋状に折り返し、金属リード5、6が外装フィルムの折り返し辺と直交する開口辺の一辺から折り返し辺に平行に引き出された状態になるように上述の電極体を収納する。そして、先ず外装体周縁3辺の開口部のうち金属リード5、6を引き出した辺とその対向辺(折り返し辺と直交する2辺)の周縁部をヒートシール(加圧熱融着)した。次に、外装フィルムの折り返し辺に対向する辺の開口部から、プロピレンカーボネートに1mol/lのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを溶解した電解液を注入し、減圧して電解液を電極及びセパレータに含浸した後、開口部周縁部をヒートシールして密封封止し、電気化学セルを作製した。尚、金属リード端子5、6には、上記のヒートシールに際して外装体の封止部に該当する部分に樹脂が設けられている。この樹脂は、金属リードと接する側が酸変性処理されたポリプロピレンであり、外装体フィルムと接する側がポリプロピレンである厚さ100μ、幅5mmの樹脂であり、外装体に収納する前に予め金属リード端子に熱接着してある。すなわち、ヒートシールの際に、金属リードと外装体内側面のポリプロピレンフィルム層との間に酸変性ポリプロリレンを介在させている。このようにして作製した本実施例の平板型電気化学セルにおいては、金属集電体への外部リード端子の溶接等の工程が不要で生産効率が高く、且つ製造時のリード部の外れや切れ等の不良発生が無かった。また、作製した30個の電気化学セルでは、セルの厚さの平均値は1.74mm、静電容量の平均値は14.2Fであった。
【0022】
(比較例1)
実施例1の金属リード5、6を設ける代わりに、帯状電極形成部の長さを80mmとし、金属集電体の長さ方向の一端に電極の形成されない露出部を10mm設け、ここに外部リード端子として幅6mm、厚さ70μmのアルミニウム板を溶接したものを用い、この外部リード端子を外装体周縁の封止部から引出す構造として従来法による比較例1の電気化学セルを30個作製した。この様にして作製したセルの厚さの平均値は2.25mm、静電容量は12.7Fであり、セルの製造時にリード端子の金属集電体との溶接部からの外れが1個発生した。
【0023】
(実施例2)
本実施例は、図2で示した基本構造で電気二重層キャパシタを構成した例である。電極11、12には実施例1と同様な混練合剤を厚さ80μmに圧延成形したものを用い、厚さ30μmの硬質アルミニウム箔からなる金属集電体13、14の片面にリード部となる露出部分を残して、炭素を導電性フィラーとする導電性接着剤によって接着し積層一体化する。これを、電極積層部が幅30mm、長さ50mm、電極の形成されていないリード部が長さ10mm、幅6mmになるように打ち抜きプレスにより切断し、一対の電極11、12と金属集電体13、14の積層体を作製した。この一対の電極と集電体の積層体を、電極形成面を対向させて、間にセパレータを介して積層しただけで、捲回していない平板状のものを電極体Bとした。外装体には実施例1と同様なラミネートフィルムを用い、折り返して袋状とする上側のラミネートフィルムの折り返し辺に対向する1辺の封止部の金属リードを引き出す部分に図4のように打ち抜きプレスにより穴をあけ窓部を設けた。窓部の形状は幅6mm、奥行き3mmの四角形とした。この外装体内に、金属リード15、16が上記の切り欠け窓部に露出するように位置合わせして収納し、外装体周縁部の金属リードの引き出し辺及びそれに直交する1辺をヒートシールした。その後、実施例1と同様な方法で電解液注入、減圧−電解液含浸、開口部のヒートシールを行い幅40mm、長さ60mm、厚さ約0.5mmの平板型電気化学セルを作製した。本実施例の平板型電気化学セルでは、外部リード端子として僅か30μm厚のアルミニウム箔からなる金属集電体の一部を引き出した金属リードが用いられているにもかかわらず、外装体窓部の金属リードの露出部周囲及び下面がラミネートフィルムに接着保護されているため、製造時及びその後の充放電試験、内部抵抗測定等の評価検査の過程でリードの切れや破れ等の不良の発生は無かった。また静電容量は平均値3.8F、セルの厚さは平均値0.46mmであった。
【0024】
(比較例2)
実施例2の金属リード15,16を設ける代わりに、外部リード端子として幅6mm、厚さ70μmのアルミニウム板を金属集電体の電極が形成されていない面に溶接したものを用い、外装体フィルムに切り欠け窓部を設けず、外部リード端子を外装体周縁の封止部から引き出す構造として従来法による比較例2の電気化学セルを30個作製した。この様にして作製したセルの厚さは0.65mm、静電容量は3.7Fであり、セルの製造時にリード端子の金属集電体との溶接部からの外れが4個発生した。
【0025】
(比較例3)
実施例2の金属リード15,16を設ける代わりに、電極の長さを40mmとし、金属集電体の長さ方向の一端に電極の形成されない露出部を設け、ここに外部リード端子として幅6mm、厚さ70μmのアルミニウム板を溶接したものを用い、外装体フィルムに切り欠け窓部を設けず、外部リード端子を外装体周縁の封止部から引き出す構造とした従来法による比較例2の電気化学セルを30個作製した。この様にして作製したセルの厚さは0.50mm、静電容量は3.0Fであり、セルの製造時にリード端子の金属集電体との溶接部からの外れが2個発生した。
【0026】
以上の様に、本発明の各実施例による電気化学セルは、従来法による比較例に比べ、セルの厚さがより薄く且つ高容量であると共に、金属リードの溶接が不要で生産効率が高く、且つ外部リード端子の外れや接触不良の発生が少ないことが分かる。
【0027】
【発明の効果】
以上詳述した様に、本発明の平板型電気化学セルは、電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続するための外部リード端子として金属集電体の一部が延長された金属リードが外装体の封止部からセル外部に引き出された露出部を用いる構造としたこと、及び前記外装体の封止部の外部リード端子が引き出される部分に、外装体ラミネートフィルムの少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から金属集電体の一部が延長された金属リードを露出させ、この露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構造としたものである。この構成によれば、(1)金属リードと集電体とを溶接等により接続する余分な工程が不要となるので、生産効率が高く、(2)リード端子及びハトメ等の厚さや接続部の反りや歪によりセルの厚さの増加が無く、セルの小型・薄型化が容易で、より高エネルギー密度で、(3)金属リードと集電体の接続部の接触不良や金属リード部の外れ等に起因する不良の発生を低減されることができ、より信頼性の高い平板型電気化学セルが実現できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気化学セルの第一の実施形態の構成を示す断面図である。
【図2】本発明による電気化学セルの第二の実施形態の構成を示す断面図である。
【図3】本発明による電気化学セルで用いる電極と集電体及び金属リードの構成の一例を示す平面図である。
【図4】第二の実施形態における外装体窓部の一例とセルの全体構成を示す平面図である。
【図5】第二の実施形態における外装体窓部の他の一例とセルの全体構成を示す平面図である。
【図6】従来の電気化学セルの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2 一対の電極(負電極または正電極)
3、4 金属集電体
5、6 金属リード
7 セパレータ
8 外装体
8a 樹脂フィルム
8b 金属箔
8c 熱可塑性樹脂フィルム
9 封止材
11、12 一対の電極(負電極または正電極)
13、14 金属集電体
15、16 金属リード
Claims (7)
- 金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極と、イオン導電性の電解質とを有する電気化学セル素子と、
前記電気化学セル素子を内部に収納し、密封封止される外装体と、
前記外装体の封止部から引き出され、前記電気化学セル素子と外部回路とを電気的に接続する外部リード端子と、を備え、
前記外装体は、樹脂フィルムまたは内面側に樹脂層が設けられたフィルムと、金属箔とのラミネートフィルムで構成され、
前記外部リード端子は前記金属集電体から延長された金属リードであることを特徴とする電気化学セル。 - 前記外装体の封止部の前記外部リード端子が引き出される部分に、前記外装体の少なくとも一方の面に窓部を設け、この窓部から前記金属リードを露出させ、この露出部を外部リード端子または外部リード端子の接続部とする構造としたことを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
- 金属集電体に担持され、正電極又は負電極として機能する一対の電極と、イオン導電性の電解質とを有する電気化学セル素子と、
前記電気化学セル素子を内部に収納し、密封封止される外装体と、
前記金属集電体の少なくとも一部が前記外装体の密閉封止部まで延長されてなる金属リードと、
前記外装体の密閉封止部に、前記金属リードが電気的に露出するように設けられた窓部と、を備えることを特徴とする電気化学セル。 - 前記外装体は、樹脂フィルムまたは内面側に樹脂層が設けられたフィルムと、金属箔とのラミネートフィルムで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の電気化学セル。
- 前記外装体が金属箔とその外側に耐候性樹脂層、内側に熱可塑性樹脂層を有する3層以上の多層ラミネートフィルムからなり、該外装体の開口部の密封封止が、加熱加圧による該熱可塑性樹脂層の熱融着(ヒートシール)によってなされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
- 前記金属箔がアルミニウム又はアルミニウム合金の箔であり、前記耐候性樹脂がポリアミドまたはポリエステル、前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であり、前記金属集電体が厚さ5〜100μmのアルミニウム、チタン、銅、ニッケルまたはステンレスの箔または板からなることを特徴とする請求項5に記載の電気化学セル。
- 前記金属リードと前記外装体の封止部が当接する部分の該金属リードの周囲と該外装体の間に、酸変性ポリオレフィン樹脂、または該金属リードと接する側が酸変性ポリオレフィンであり、該外装体と接する側がポリオレフィンである樹脂を設けたことを特徴とする請求項6に記載の電気化学セル。
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