JP2004309136A - 容器および相互作用方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体を収容し、液体中に固体を浸漬して液体と固体との間に相互作用させるための円筒形容器であって、位置決め精度に基づく安定した回転と容器着脱の容易さを両立して提供する。また、該容器とその安定した回転を利用した固体の洗浄、固体と液体との反応、液体成分の測定を提供する。
【解決手段】突起部の内表面を構成する空洞部の少なくとも一部に、容器を下方から回転させる機構と着脱可能に噛み合う噛合部を設け、噛合部を介して液体ごと容器を回転させる。
【選択図】 図1
【解決手段】突起部の内表面を構成する空洞部の少なくとも一部に、容器を下方から回転させる機構と着脱可能に噛み合う噛合部を設け、噛合部を介して液体ごと容器を回転させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固体表面の洗浄、反応の促進、および、反応を利用した測定を行うための容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体表面と、これに接する液体との間で相互作用を行わせるにあたって、液体に流動を与えることで固体表面と液体との間の相互作用を促進することは広く行われている。相互作用及び相互作用を伴う過程としては、洗浄、吸着、化学反応などが挙げられる。また、液体に流動を与える方法としては様々な方法が考えられるが、広口の容器においては収容された液体を何らかの方法で攪拌することで液体の流動を作り、ここへ対象となる固体を浸漬することが一般的である。
【0003】
攪拌方法の一つとして、容器を自転させることがしばしば行われる。すなわち、この攪拌方法は、容器の中心軸と同軸の回転機構を通して、ある回転数の回転駆動力を容器外部から与えることにより、容器内の液体の粘性によって容器の内壁近傍の液体に流動が発生し、この流動を元に液体全体を攪拌する方法である。特許文献1にはこの方法により、液体内に微細粒子の分散を行う方法が開示されている。
【0004】
また、いわゆる攪拌とは異なるものであるが、対象となる固体を容器の液体内へ懸垂するなどして液体に対して静置接触させ、容器を自転させることにより、液体を該固体に対して相対的に流動させることができる。特許文献2記載の方法では、この方法によりセンサーを試料溶液に効率的に接触させ、蛍光免疫法などの測定に利用している。
これらの方法は、攪拌羽根や攪拌子を必要としないため、装置の保守や試料の汚染防止などにおいて有利であり、また、対象となる液体の交換が容易であるという利点も有している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−196006号公報
【特許文献2】
特開2002−257732号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び2の方法では、容器の載置および回転駆動力の伝達に、カップ型の受け器が使用されており、このような装置形態では、容器の交換を容易にするために受け器を大きめに設計すると、該受け器内で容器の載置が不安定になって容器の回転に支障をきたしたり、容器が転倒するおそれがある。このような容器の載置および回転の不安定性は、容器の中心軸が受け器の回転軸に対してわずかに偏芯した場合に発生する非等方的な遠心力に起因するものであり、簡易的かつ確実に容器の中心軸と受け器の回転軸を位置合わせできる機構が必要となる。
【0007】
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたものであり、特に円筒形の容器内の液体中に上方から懸垂、浸漬させた固体に対し、容器を回転させて該液体へ固体に対する相対的な流動を与えることにより、該固体(表面)と該液体との相互作用を促進し、効果的な相互作用を行なうことを目的としている。
【0008】
【発明を解決するための手段】
すなわち、本発明は液体を収容し、該液体中に固体を浸漬して、該液体中の成分と該固体との間で相互作用をさせるための容器であって、該容器が、
(1)下端に底部を有し、上端が開口する円筒形状の外周壁と、
(2)該底部から該開口方向に伸び、該外周壁の円筒形状の中心軸と同心をなす回転体としての外形を有する突起部と、
(3)該外周壁と該突起部の間の空間として形成された液体の収容部と、
(4)該底部の外面に開口を有し、該突起部の内部に伸びた空洞部と、
(5)該空洞部の少なくとも一部に設けられ、該容器を回転するための回転軸が着脱自在に嵌合し、かつ該突起部と噛合し得る噛合部と、を有することを特徴とする容器に関する。
【0009】
本発明は更に、前記空洞部の少なくとも一部に前記中心軸方向でのテーパー形状が設けられていることが好ましい。
本発明は更に、前記噛合部がリブを有することが好ましい。
本発明は更に、前記リブの少なくとも一部の高さを前記突起部の中心軸方向の下方向に向かって連続的に低くしたことが好ましい。
本発明は更に、前記リブの数が2〜4個であることが好ましい。
本発明は更に、前記容器が、ポリプロピレン樹脂組成物を含むことが好ましい。
【0010】
本発明は、液体を収容し、該液体中に固体を浸漬して、該液体中の成分と該固体との間で相互作用を行なう方法であって、
該容器が、
(1)下端に底部を有し、上端が開口する円筒形状の外周壁と、
(2)該底部から該開口方向に伸び、該外周壁の円筒形状の中心軸と同心をなす回転体としての外形を有する突起部と、
(3)該外周壁と該突起部の間の空間として形成された液体の収容部と、
(4)該底部の外面に開口を有し、該突起部の内部に伸びた空洞部と、
(5)該空洞部の少なくとも一部に設けられ、該容器を回転するための回転軸が着脱自在に嵌合し、かつ該突起部と噛合し得る噛合部と、
を有し、該容器を回転させるための回転軸が該容器の噛合部と接合し、該噛合部を介して該容器を回転させることによって、相互作用を行なうことを特徴とする相互作用方法に関する。
本発明は更に、前記相互作用が、前記液体による前記固体表面の洗浄を含むことが好ましい。
本発明は更に、前記相互作用が、前記固体表面と前記液体中の成分との反応を含むことが好ましい。
【0011】
本発明は更に、前記相互作用を行なう際の前記反応によって、前記液体中の成分量を測定することが好ましい。
本発明は更に、前記相互作用を行なう際の前記反応が、前記液体中の抗原を、前記固体表面に予め固定された少なくとも1種の抗体に捕捉する反応であることが好ましい。
本発明は更に、前記反応を行なう際の前記抗原が、細菌及びウイルスの少なくとも一つであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の容器は円筒形の外形を有しており、容器内の液体中に上方から懸垂、浸漬させた固体に対し、容器を回転させて該液体へ該固体に対する相対的な流動を与え、該固体(表面)と該液体との相互作用を促進することを目的としている。ここで、相互作用とは液体中の成分と固体表面との反応や、液体成分の固体表面への吸着、固体表面の洗浄、固体表面から液体中への溶出または抽出等を表す。
【0013】
図1は、本発明の容器の一例を示した斜視図であり、図2は本発明の容器の一例の断面図(容器の中心軸を含む断面で切断)及び底面図である。容器1は円筒形状の外周壁の内側に設けられた液体収容部21を有し、液体収容部21の中心部には、突起部2が設けられている。突起部2は、容器1の円筒形状の中心軸を中心とした回転体の外形を有し、液体収容部21の底面から中心軸に沿って開口方向に伸びている。この突起部2が存在するため、液体収容部21を容器上面から見た場合、リング状となっており、容器内の液体に流動を与えた時、液体はリング状の流路を流れる。上方から懸垂、浸漬させた固体は、幅を狭められた該流路の中で容器の回転と共に流動する液体と効率よく接触することができる。また、突起部2は、収容する液体の量を必要最小限に設定したい際に、余分の空間を埋め、液体収容部21の体積を最小にするものとしても機能する。さらに、突起部2は天面3を有し、これは天面3を液面に合わせることで容器に所定体積量の液体を入れる際の液面の目安となる。
【0014】
突起部2の内部は空洞部5を構成し、空洞部5の底面は開口4となっている。空洞部5には噛合部が形成されている。噛合部は空洞部5全てに形成されていても、空洞部5の一部を構成していても良い。本発明における主たる特徴は、該空洞部内の噛合部を通じて空洞部5内に、下方から容器を回転させる機構と噛み合わせることができる点にある。この噛合方式は、容器への回転機構の着脱を容易にすると同時に容器の中心軸の位置決め精度向上を両立させている。
【0015】
空洞部5の少なくとも一部には、容器の中心軸方向に下方から上方にかけて、突起部2の内径が小さくなるようなテーパー形状23が設けられていることが好ましい。テーパー部は、突起部全体の50〜100体積%であることが好ましい。テーパー部壁面の角度は1〜30度であることが好ましい。このテーパー形状23を設けることにより、突起部2の内径と、下方から空洞部5に挿入される回転機構側の外径との差を接触箇所において小さくしても、容器の着脱に支障をきたすことが少なくなる。また、容器1の中心軸を回転機構の回転中心軸に精度よく合わせることができ、安定した容器の回転を得ることができる。回転は一方向のみに連続的に行なっても良いし、所定のインターバルをおいて回転方向を断続的に反転させても良い。
容器外表面には遮蔽物がないため、手動、自動を問わず、容器を把持しやすい。
【0016】
空洞部5には、回転機構からの回転力を伝達するための噛合部が設けられる。噛合部の好ましい形態としては、前記空洞部5に設けたリブ6が挙げられる。この一実施態様は、図3に示されている。容器の載置部7として回転機構の上に角錐状の部位を用意し、該部位が容器1の空洞部5に嵌合する。角錐状部位の側壁は回転機構の回転開始時に、容器1のリブ6に当たったまま容器の回転駆動力によって固定されると共に、この接触部分を通して回転駆動力が回転機構から容器へと伝達される。噛合部のその他の形態としては、角柱状やラチェット機構などが挙げられるが、リブ構造が作製容易かつ有効であり好ましい。
リブの形状については、少なくともリブの一部の高さ(突起部の軸方向と垂直な方向の長さ)が、突起部の軸方向の下部に向かって連続的に低くなっている(張り出しが小さくなっている)ものが望ましい(図3の25)。
【0017】
これは、容器1の載置にあたり、図3のような角錐状の回転機構側部位とリブ6の端面が接触した場合に、互いの接触面が斜めに滑り合うことにより、回転に伴って自然推移的に最適な回転機構とリブの噛合状態に至ることが可能となるためである。リブの個数は1個以上であれば良いが、容器着脱の容易さと回転駆動力の伝達性に鑑みて、2〜4個であることが望ましい。
【0018】
容器の大きさは、浸漬する固体の大きさおよび形状に依存するものであり、特に限定されるものではないが、外周壁と突起部に囲まれる流路の幅および深さは、固体との衝突がなく、かつ、固体表面に対して有効な相対的流速を与える間隙を設定できるものである必要がある。また、同じ外周壁内径であっても、突起部の外径を大きくすることにより、収容できる液量は減少し、容器回転時の液体と固体の相対的流速が増大する。したがって、扱うべき液量に応じて、外周壁の外径および突起部の内径を設定し、かつ、所望の相対的流速が得られるよう回転数を設定する必要がある。
【0019】
表面積の大きい固体を用いると共に、使用する液体量を最小限に抑えるために(突起部の外径)/(外周壁の内径)は0.2〜0.8が好ましく、0.4〜0.6がより好ましい。液面の目安としたり、回転機構と噛合部とが安定的に噛み合い、安定的な回転駆動を行なうために(突起部の高さ)/(収容部の深さ)は、0.5〜1.0が好ましく、0.7〜0.9がより好ましい。また、所望の液流速を得ると共に、使用する液体量を最小限に抑えるために(収容部の深さ)/(外周壁の内径)は、0.5〜3.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
【0020】
容器の材質は、用いる液体および液体中に存在する成分によって選択すべきものであるが、抗原抗体反応のようなタンパク質が関わる系で、なおかつ、検査用などで使い捨てが望ましい場合には、吸着が少なく安価であるポリプロピレン樹脂組成物を含む材料であることが望ましい。
また、本発明の容器は、公知の方法によって成形することができるが、好ましくは射出成形法を用いるのが良い。
【0021】
本発明における相互作用は、上記の方法で容器を回転させることにより、容器内の液体中に上方から懸垂、浸漬させた固体に対し、該液体の相対的な流動を与えることによって行われる。好適な相互作用の形態としては、(1)該固体の表面の該液体による洗浄、(2)該固体の表面と該液体中の成分との反応、(3)該固体表面から該液体中への溶出または抽出が挙げられる。本発明の相互作用方法では、液体を流動させることにより、液体と固体の接触が効果的に行われるためこのような相互作用を効果的に行なうことができる。これらの相互作用は単独で行なっても複数を組み合わせても良い。
【0022】
また、ここでいう反応とは、物理吸着や抽出のような非化学反応、共有結合、配位結合及び電子移動などを伴う化学反応を含んでいる。また、測定プローブとして用いる固体表面を界面活性剤等の洗浄剤を有する液体によって洗浄することができる。
また、例えば、活性炭からなる固体表面への水溶液中に含まれる有機化合物の吸着、固体表面に担持したキレート剤と液体中の金属イオンとの鎖形成反応、固体表面のレジスト膜からの溶解部分の液体中への溶出、固体表面に担持した抗体による液体中の抗原の補足反応等が挙げられる。
【0023】
前記反応を、液体中の特定成分量を測定するための手段として用いることは、本発明の一実施形態として有用である。すなわち、上記の容器構造と噛合方式に基づく安定した回転機構は、様々な定量分析を行なう測定における、感度、定量性、再現性を簡便に確保するために好適である。また、容器が簡易に着脱容易であることは、多数の試料を交換して扱う場合に利便性が高い。液体試料中に浸漬された固体を測定プローブとして使用し、その表面に濃縮された液体中の成分を、その場で、もしくは別の場所へ移動してから適当な手段により計測することが望ましい。測定プローブ表面には、必要であれば、吸着剤やレセプターなど適切な捕捉機能を設けても良い。
【0024】
前記の液体中の成分、すなわち、測定対象としては、分子やイオンのような溶質、分散している微粒子などが挙げられるが、特に、自己拡散の小さい微粒子に対して有効である。このような微粒子としては重金属の微粒子、細菌、ウイルスなどが挙げられる。すなわち、液体中の熱的摂動による移動度が大きい低分子などでは、液体の流動がなくても測定プローブ表面への接近がある程度容易であるが、例えば、細菌のようなマイクロメートルオーダーの微粒子では、液体の流動によって測定プローブへの接近が促進され、感度、定量性、再現性に優れた定量分析を行なうことができる。したがって、本発明の好ましい実施形態として、液体試料中の抗原を測定プローブ表面に予め固定された抗体に捕捉する免疫法測定が挙げられ、特に前記抗原が、自己拡散の小さい細菌及びウイルスの少なくとも一つである測定が挙げられる。細菌は、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などが挙げられる。ウイルスは、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルスなどが挙げられる。抗体としては前記抗原またはその一部にそれぞれ対応するものを用いることが好ましい。これらの細菌、ウイルスは単独で測定を行なっても良いし、これらの抗体を組み合わせて、2種以上の細菌、ウイルスの測定を行なっても良い。
【0025】
【実施例】
(実施例)
ポリプロピレン樹脂組成物の射出成形により、図1の形状の内容量10ml、容器(外周壁内径25mmおよび23mm(上部および底部)、収容部深さ40mm、突起部外径13mおよび15mm(天面および底部)、突起部高さ35mm)を作製した。これを用いて蛍光免疫法測定を行った例を示す。この例には、本発明の相互作用方法の例として、容器内の洗浄液による測定プローブの洗浄と、検体溶液中の抗原の捕捉反応が含まれている。
測定プローブとしては、図4に示す形状のポリスチレン樹脂製プローブ9(全長44mm、ファイバー形状部長41mm、ファイバー形状部径0.7mm)を用いた。このプローブを浸漬時に懸垂するためのフランジ部位12と、蛍光を集光するためのレンズ状部位11とファイバー状部位10とから構成されている。プローブのファイバー形状部位10表面には抗大腸菌O157:H7ポリクローナル抗体が固定してある。励起および測光には、図5に示す光学系を用いた。半導体レーザー18の光(635nm)はハーフミラー17を通過してプローブ9の上方から入射される。プローブからの帰還光はハーフミラー17で水平方向へ取り出され、光ファイバ19を経由して分光光度計20に導入される。
【0026】
測定ポート13には洗浄液が満たされ、プローブが液浸された状態で励起および測光が行われる。洗浄液は、0.5質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた。蛍光標識抗体は、前記抗体にCy5 bisfunctional reactive dye(アマシャムバイオサイエンス社製)を作用させて作製し、前記洗浄液に、この蛍光標識抗体を2μg/ml溶解して用いた。また、検体としては、水中に100CFU/ml、1000CFU/ml、10000CFU/mlの大腸菌O157:H7を含むものを用いた。容器A、Bと示したものは本発明の容器をそれぞれ用いている。
【0027】
はじめに、ブランク測定として、前記プローブに対して以下の動作を行った。
(1)標識抗体溶液に5min静置浸漬。
(2)洗浄液のみを入れた容器Aに浸漬し、容器Aを100rpmで10min同一方向に連続回転。
(3)測定ポートに移動して、励起および測光。
【0028】
次に、本測定として同プローブに対して以下の動作を行った。
(1)検体を入れた容器Bに浸漬し、容器Bを100rpmで10min同一方向に連続回転。
(2)標識抗体溶液に5min静置浸漬。
(3)洗浄液のみを入れた容器Aに浸漬し、容器Aを100rpmで10min同一方向に連続回転。
(4)測定ポートに移動して、励起および測光。
【0029】
本測定は、継続して4回行った。本測定の信号からブランク測定の信号を差し引き、正味の蛍光信号とした。
100CFU/ml、1000CFU/ml、10000CFU/mlの大腸菌O157:H7を含む検体に対して、それぞれ、本測定回数に比例した信号増加が得られ、各信号変化率は菌数(CFU/ml)に比例していた。
【0030】
(比較例)
洗浄液、検体、測定プローブは実施例1と同様のものを用い、容器は突起部を有さない円筒形のものを用いた。また、測定プローブの洗浄及び抗原の補足反応時に容器の攪拌を行なわなかった以外は、実施例1と同様の蛍光免疫法測定法により測定を行なった。
【0031】
本測定は、継続して4回行った。1000CFU/ml、10000CFU/mlの大腸菌O157:H7を含む検体に対してはそれぞれ、本測定回数に比例した信号増加が得られたが、100CFU/mlの大腸菌O157:H7を含む検体に対しては、測定回数に比例した定量的な信号増加が得られなかった。
【0032】
【発明の効果】
容器に収容した液体中に固体を浸漬して液体と固体との間に相互作用させるため、容器を回転させて該液体へ該固体に対する相対的な流動を与える容器において、位置決め精度に基づく安定した回転と容器着脱の容易さを両立して確保することができる。さらに、前記の効果より、液体中の成分量を測定した際に、測定の感度、定量性、再現性、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の容器の一例の上方からの斜視図である。図1(b)は、本発明の容器の一例の下方からの斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の容器の中心軸を含む面で切断した断面図である。図2(b)は、本発明の容器の底面を表した概略図である。
【図3】本発明における容器と回転機構の噛合状態を示す概略図である。
【図4】実施例における測定プローブを示す概略図である。
【図5】実施例における光学系を示す概略図である。
【符号の説明】
1 容器
2 突起部
3 突起部天面
4 開口
5 空洞部
6 リブ
7 容器載置部
8 角錐状部位
9 光学プローブ
10 ファイバー状部位
11 レンズ状部位
12 フランジ部位
13 測定ポート
14、15、16 レンズ
17 ハーフミラー
18 半導体レーザー
19 光ファイバー
20 分光光度計
21 液体収容部
22 リブの中心軸方向に高さが減少していく部分
23 テーパー形状
【発明の属する技術分野】
本発明は固体表面の洗浄、反応の促進、および、反応を利用した測定を行うための容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体表面と、これに接する液体との間で相互作用を行わせるにあたって、液体に流動を与えることで固体表面と液体との間の相互作用を促進することは広く行われている。相互作用及び相互作用を伴う過程としては、洗浄、吸着、化学反応などが挙げられる。また、液体に流動を与える方法としては様々な方法が考えられるが、広口の容器においては収容された液体を何らかの方法で攪拌することで液体の流動を作り、ここへ対象となる固体を浸漬することが一般的である。
【0003】
攪拌方法の一つとして、容器を自転させることがしばしば行われる。すなわち、この攪拌方法は、容器の中心軸と同軸の回転機構を通して、ある回転数の回転駆動力を容器外部から与えることにより、容器内の液体の粘性によって容器の内壁近傍の液体に流動が発生し、この流動を元に液体全体を攪拌する方法である。特許文献1にはこの方法により、液体内に微細粒子の分散を行う方法が開示されている。
【0004】
また、いわゆる攪拌とは異なるものであるが、対象となる固体を容器の液体内へ懸垂するなどして液体に対して静置接触させ、容器を自転させることにより、液体を該固体に対して相対的に流動させることができる。特許文献2記載の方法では、この方法によりセンサーを試料溶液に効率的に接触させ、蛍光免疫法などの測定に利用している。
これらの方法は、攪拌羽根や攪拌子を必要としないため、装置の保守や試料の汚染防止などにおいて有利であり、また、対象となる液体の交換が容易であるという利点も有している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−196006号公報
【特許文献2】
特開2002−257732号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1及び2の方法では、容器の載置および回転駆動力の伝達に、カップ型の受け器が使用されており、このような装置形態では、容器の交換を容易にするために受け器を大きめに設計すると、該受け器内で容器の載置が不安定になって容器の回転に支障をきたしたり、容器が転倒するおそれがある。このような容器の載置および回転の不安定性は、容器の中心軸が受け器の回転軸に対してわずかに偏芯した場合に発生する非等方的な遠心力に起因するものであり、簡易的かつ確実に容器の中心軸と受け器の回転軸を位置合わせできる機構が必要となる。
【0007】
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたものであり、特に円筒形の容器内の液体中に上方から懸垂、浸漬させた固体に対し、容器を回転させて該液体へ固体に対する相対的な流動を与えることにより、該固体(表面)と該液体との相互作用を促進し、効果的な相互作用を行なうことを目的としている。
【0008】
【発明を解決するための手段】
すなわち、本発明は液体を収容し、該液体中に固体を浸漬して、該液体中の成分と該固体との間で相互作用をさせるための容器であって、該容器が、
(1)下端に底部を有し、上端が開口する円筒形状の外周壁と、
(2)該底部から該開口方向に伸び、該外周壁の円筒形状の中心軸と同心をなす回転体としての外形を有する突起部と、
(3)該外周壁と該突起部の間の空間として形成された液体の収容部と、
(4)該底部の外面に開口を有し、該突起部の内部に伸びた空洞部と、
(5)該空洞部の少なくとも一部に設けられ、該容器を回転するための回転軸が着脱自在に嵌合し、かつ該突起部と噛合し得る噛合部と、を有することを特徴とする容器に関する。
【0009】
本発明は更に、前記空洞部の少なくとも一部に前記中心軸方向でのテーパー形状が設けられていることが好ましい。
本発明は更に、前記噛合部がリブを有することが好ましい。
本発明は更に、前記リブの少なくとも一部の高さを前記突起部の中心軸方向の下方向に向かって連続的に低くしたことが好ましい。
本発明は更に、前記リブの数が2〜4個であることが好ましい。
本発明は更に、前記容器が、ポリプロピレン樹脂組成物を含むことが好ましい。
【0010】
本発明は、液体を収容し、該液体中に固体を浸漬して、該液体中の成分と該固体との間で相互作用を行なう方法であって、
該容器が、
(1)下端に底部を有し、上端が開口する円筒形状の外周壁と、
(2)該底部から該開口方向に伸び、該外周壁の円筒形状の中心軸と同心をなす回転体としての外形を有する突起部と、
(3)該外周壁と該突起部の間の空間として形成された液体の収容部と、
(4)該底部の外面に開口を有し、該突起部の内部に伸びた空洞部と、
(5)該空洞部の少なくとも一部に設けられ、該容器を回転するための回転軸が着脱自在に嵌合し、かつ該突起部と噛合し得る噛合部と、
を有し、該容器を回転させるための回転軸が該容器の噛合部と接合し、該噛合部を介して該容器を回転させることによって、相互作用を行なうことを特徴とする相互作用方法に関する。
本発明は更に、前記相互作用が、前記液体による前記固体表面の洗浄を含むことが好ましい。
本発明は更に、前記相互作用が、前記固体表面と前記液体中の成分との反応を含むことが好ましい。
【0011】
本発明は更に、前記相互作用を行なう際の前記反応によって、前記液体中の成分量を測定することが好ましい。
本発明は更に、前記相互作用を行なう際の前記反応が、前記液体中の抗原を、前記固体表面に予め固定された少なくとも1種の抗体に捕捉する反応であることが好ましい。
本発明は更に、前記反応を行なう際の前記抗原が、細菌及びウイルスの少なくとも一つであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の容器は円筒形の外形を有しており、容器内の液体中に上方から懸垂、浸漬させた固体に対し、容器を回転させて該液体へ該固体に対する相対的な流動を与え、該固体(表面)と該液体との相互作用を促進することを目的としている。ここで、相互作用とは液体中の成分と固体表面との反応や、液体成分の固体表面への吸着、固体表面の洗浄、固体表面から液体中への溶出または抽出等を表す。
【0013】
図1は、本発明の容器の一例を示した斜視図であり、図2は本発明の容器の一例の断面図(容器の中心軸を含む断面で切断)及び底面図である。容器1は円筒形状の外周壁の内側に設けられた液体収容部21を有し、液体収容部21の中心部には、突起部2が設けられている。突起部2は、容器1の円筒形状の中心軸を中心とした回転体の外形を有し、液体収容部21の底面から中心軸に沿って開口方向に伸びている。この突起部2が存在するため、液体収容部21を容器上面から見た場合、リング状となっており、容器内の液体に流動を与えた時、液体はリング状の流路を流れる。上方から懸垂、浸漬させた固体は、幅を狭められた該流路の中で容器の回転と共に流動する液体と効率よく接触することができる。また、突起部2は、収容する液体の量を必要最小限に設定したい際に、余分の空間を埋め、液体収容部21の体積を最小にするものとしても機能する。さらに、突起部2は天面3を有し、これは天面3を液面に合わせることで容器に所定体積量の液体を入れる際の液面の目安となる。
【0014】
突起部2の内部は空洞部5を構成し、空洞部5の底面は開口4となっている。空洞部5には噛合部が形成されている。噛合部は空洞部5全てに形成されていても、空洞部5の一部を構成していても良い。本発明における主たる特徴は、該空洞部内の噛合部を通じて空洞部5内に、下方から容器を回転させる機構と噛み合わせることができる点にある。この噛合方式は、容器への回転機構の着脱を容易にすると同時に容器の中心軸の位置決め精度向上を両立させている。
【0015】
空洞部5の少なくとも一部には、容器の中心軸方向に下方から上方にかけて、突起部2の内径が小さくなるようなテーパー形状23が設けられていることが好ましい。テーパー部は、突起部全体の50〜100体積%であることが好ましい。テーパー部壁面の角度は1〜30度であることが好ましい。このテーパー形状23を設けることにより、突起部2の内径と、下方から空洞部5に挿入される回転機構側の外径との差を接触箇所において小さくしても、容器の着脱に支障をきたすことが少なくなる。また、容器1の中心軸を回転機構の回転中心軸に精度よく合わせることができ、安定した容器の回転を得ることができる。回転は一方向のみに連続的に行なっても良いし、所定のインターバルをおいて回転方向を断続的に反転させても良い。
容器外表面には遮蔽物がないため、手動、自動を問わず、容器を把持しやすい。
【0016】
空洞部5には、回転機構からの回転力を伝達するための噛合部が設けられる。噛合部の好ましい形態としては、前記空洞部5に設けたリブ6が挙げられる。この一実施態様は、図3に示されている。容器の載置部7として回転機構の上に角錐状の部位を用意し、該部位が容器1の空洞部5に嵌合する。角錐状部位の側壁は回転機構の回転開始時に、容器1のリブ6に当たったまま容器の回転駆動力によって固定されると共に、この接触部分を通して回転駆動力が回転機構から容器へと伝達される。噛合部のその他の形態としては、角柱状やラチェット機構などが挙げられるが、リブ構造が作製容易かつ有効であり好ましい。
リブの形状については、少なくともリブの一部の高さ(突起部の軸方向と垂直な方向の長さ)が、突起部の軸方向の下部に向かって連続的に低くなっている(張り出しが小さくなっている)ものが望ましい(図3の25)。
【0017】
これは、容器1の載置にあたり、図3のような角錐状の回転機構側部位とリブ6の端面が接触した場合に、互いの接触面が斜めに滑り合うことにより、回転に伴って自然推移的に最適な回転機構とリブの噛合状態に至ることが可能となるためである。リブの個数は1個以上であれば良いが、容器着脱の容易さと回転駆動力の伝達性に鑑みて、2〜4個であることが望ましい。
【0018】
容器の大きさは、浸漬する固体の大きさおよび形状に依存するものであり、特に限定されるものではないが、外周壁と突起部に囲まれる流路の幅および深さは、固体との衝突がなく、かつ、固体表面に対して有効な相対的流速を与える間隙を設定できるものである必要がある。また、同じ外周壁内径であっても、突起部の外径を大きくすることにより、収容できる液量は減少し、容器回転時の液体と固体の相対的流速が増大する。したがって、扱うべき液量に応じて、外周壁の外径および突起部の内径を設定し、かつ、所望の相対的流速が得られるよう回転数を設定する必要がある。
【0019】
表面積の大きい固体を用いると共に、使用する液体量を最小限に抑えるために(突起部の外径)/(外周壁の内径)は0.2〜0.8が好ましく、0.4〜0.6がより好ましい。液面の目安としたり、回転機構と噛合部とが安定的に噛み合い、安定的な回転駆動を行なうために(突起部の高さ)/(収容部の深さ)は、0.5〜1.0が好ましく、0.7〜0.9がより好ましい。また、所望の液流速を得ると共に、使用する液体量を最小限に抑えるために(収容部の深さ)/(外周壁の内径)は、0.5〜3.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。
【0020】
容器の材質は、用いる液体および液体中に存在する成分によって選択すべきものであるが、抗原抗体反応のようなタンパク質が関わる系で、なおかつ、検査用などで使い捨てが望ましい場合には、吸着が少なく安価であるポリプロピレン樹脂組成物を含む材料であることが望ましい。
また、本発明の容器は、公知の方法によって成形することができるが、好ましくは射出成形法を用いるのが良い。
【0021】
本発明における相互作用は、上記の方法で容器を回転させることにより、容器内の液体中に上方から懸垂、浸漬させた固体に対し、該液体の相対的な流動を与えることによって行われる。好適な相互作用の形態としては、(1)該固体の表面の該液体による洗浄、(2)該固体の表面と該液体中の成分との反応、(3)該固体表面から該液体中への溶出または抽出が挙げられる。本発明の相互作用方法では、液体を流動させることにより、液体と固体の接触が効果的に行われるためこのような相互作用を効果的に行なうことができる。これらの相互作用は単独で行なっても複数を組み合わせても良い。
【0022】
また、ここでいう反応とは、物理吸着や抽出のような非化学反応、共有結合、配位結合及び電子移動などを伴う化学反応を含んでいる。また、測定プローブとして用いる固体表面を界面活性剤等の洗浄剤を有する液体によって洗浄することができる。
また、例えば、活性炭からなる固体表面への水溶液中に含まれる有機化合物の吸着、固体表面に担持したキレート剤と液体中の金属イオンとの鎖形成反応、固体表面のレジスト膜からの溶解部分の液体中への溶出、固体表面に担持した抗体による液体中の抗原の補足反応等が挙げられる。
【0023】
前記反応を、液体中の特定成分量を測定するための手段として用いることは、本発明の一実施形態として有用である。すなわち、上記の容器構造と噛合方式に基づく安定した回転機構は、様々な定量分析を行なう測定における、感度、定量性、再現性を簡便に確保するために好適である。また、容器が簡易に着脱容易であることは、多数の試料を交換して扱う場合に利便性が高い。液体試料中に浸漬された固体を測定プローブとして使用し、その表面に濃縮された液体中の成分を、その場で、もしくは別の場所へ移動してから適当な手段により計測することが望ましい。測定プローブ表面には、必要であれば、吸着剤やレセプターなど適切な捕捉機能を設けても良い。
【0024】
前記の液体中の成分、すなわち、測定対象としては、分子やイオンのような溶質、分散している微粒子などが挙げられるが、特に、自己拡散の小さい微粒子に対して有効である。このような微粒子としては重金属の微粒子、細菌、ウイルスなどが挙げられる。すなわち、液体中の熱的摂動による移動度が大きい低分子などでは、液体の流動がなくても測定プローブ表面への接近がある程度容易であるが、例えば、細菌のようなマイクロメートルオーダーの微粒子では、液体の流動によって測定プローブへの接近が促進され、感度、定量性、再現性に優れた定量分析を行なうことができる。したがって、本発明の好ましい実施形態として、液体試料中の抗原を測定プローブ表面に予め固定された抗体に捕捉する免疫法測定が挙げられ、特に前記抗原が、自己拡散の小さい細菌及びウイルスの少なくとも一つである測定が挙げられる。細菌は、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などが挙げられる。ウイルスは、肝炎ウイルス、インフルエンザウイルスなどが挙げられる。抗体としては前記抗原またはその一部にそれぞれ対応するものを用いることが好ましい。これらの細菌、ウイルスは単独で測定を行なっても良いし、これらの抗体を組み合わせて、2種以上の細菌、ウイルスの測定を行なっても良い。
【0025】
【実施例】
(実施例)
ポリプロピレン樹脂組成物の射出成形により、図1の形状の内容量10ml、容器(外周壁内径25mmおよび23mm(上部および底部)、収容部深さ40mm、突起部外径13mおよび15mm(天面および底部)、突起部高さ35mm)を作製した。これを用いて蛍光免疫法測定を行った例を示す。この例には、本発明の相互作用方法の例として、容器内の洗浄液による測定プローブの洗浄と、検体溶液中の抗原の捕捉反応が含まれている。
測定プローブとしては、図4に示す形状のポリスチレン樹脂製プローブ9(全長44mm、ファイバー形状部長41mm、ファイバー形状部径0.7mm)を用いた。このプローブを浸漬時に懸垂するためのフランジ部位12と、蛍光を集光するためのレンズ状部位11とファイバー状部位10とから構成されている。プローブのファイバー形状部位10表面には抗大腸菌O157:H7ポリクローナル抗体が固定してある。励起および測光には、図5に示す光学系を用いた。半導体レーザー18の光(635nm)はハーフミラー17を通過してプローブ9の上方から入射される。プローブからの帰還光はハーフミラー17で水平方向へ取り出され、光ファイバ19を経由して分光光度計20に導入される。
【0026】
測定ポート13には洗浄液が満たされ、プローブが液浸された状態で励起および測光が行われる。洗浄液は、0.5質量%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含む0.01Mリン酸緩衝液(pH7.4)を用いた。蛍光標識抗体は、前記抗体にCy5 bisfunctional reactive dye(アマシャムバイオサイエンス社製)を作用させて作製し、前記洗浄液に、この蛍光標識抗体を2μg/ml溶解して用いた。また、検体としては、水中に100CFU/ml、1000CFU/ml、10000CFU/mlの大腸菌O157:H7を含むものを用いた。容器A、Bと示したものは本発明の容器をそれぞれ用いている。
【0027】
はじめに、ブランク測定として、前記プローブに対して以下の動作を行った。
(1)標識抗体溶液に5min静置浸漬。
(2)洗浄液のみを入れた容器Aに浸漬し、容器Aを100rpmで10min同一方向に連続回転。
(3)測定ポートに移動して、励起および測光。
【0028】
次に、本測定として同プローブに対して以下の動作を行った。
(1)検体を入れた容器Bに浸漬し、容器Bを100rpmで10min同一方向に連続回転。
(2)標識抗体溶液に5min静置浸漬。
(3)洗浄液のみを入れた容器Aに浸漬し、容器Aを100rpmで10min同一方向に連続回転。
(4)測定ポートに移動して、励起および測光。
【0029】
本測定は、継続して4回行った。本測定の信号からブランク測定の信号を差し引き、正味の蛍光信号とした。
100CFU/ml、1000CFU/ml、10000CFU/mlの大腸菌O157:H7を含む検体に対して、それぞれ、本測定回数に比例した信号増加が得られ、各信号変化率は菌数(CFU/ml)に比例していた。
【0030】
(比較例)
洗浄液、検体、測定プローブは実施例1と同様のものを用い、容器は突起部を有さない円筒形のものを用いた。また、測定プローブの洗浄及び抗原の補足反応時に容器の攪拌を行なわなかった以外は、実施例1と同様の蛍光免疫法測定法により測定を行なった。
【0031】
本測定は、継続して4回行った。1000CFU/ml、10000CFU/mlの大腸菌O157:H7を含む検体に対してはそれぞれ、本測定回数に比例した信号増加が得られたが、100CFU/mlの大腸菌O157:H7を含む検体に対しては、測定回数に比例した定量的な信号増加が得られなかった。
【0032】
【発明の効果】
容器に収容した液体中に固体を浸漬して液体と固体との間に相互作用させるため、容器を回転させて該液体へ該固体に対する相対的な流動を与える容器において、位置決め精度に基づく安定した回転と容器着脱の容易さを両立して確保することができる。さらに、前記の効果より、液体中の成分量を測定した際に、測定の感度、定量性、再現性、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の容器の一例の上方からの斜視図である。図1(b)は、本発明の容器の一例の下方からの斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の容器の中心軸を含む面で切断した断面図である。図2(b)は、本発明の容器の底面を表した概略図である。
【図3】本発明における容器と回転機構の噛合状態を示す概略図である。
【図4】実施例における測定プローブを示す概略図である。
【図5】実施例における光学系を示す概略図である。
【符号の説明】
1 容器
2 突起部
3 突起部天面
4 開口
5 空洞部
6 リブ
7 容器載置部
8 角錐状部位
9 光学プローブ
10 ファイバー状部位
11 レンズ状部位
12 フランジ部位
13 測定ポート
14、15、16 レンズ
17 ハーフミラー
18 半導体レーザー
19 光ファイバー
20 分光光度計
21 液体収容部
22 リブの中心軸方向に高さが減少していく部分
23 テーパー形状
Claims (12)
- 液体を収容し、該液体中に固体を浸漬して、該液体中の成分と該固体との間で相互作用をさせるための容器であって、
該容器が、
(1)下端に底部を有し、上端が開口する円筒形状の外周壁と、
(2)該底部から該開口方向に伸び、該外周壁の円筒形状の中心軸と同心をなす回転体としての外形を有する突起部と、
(3)該外周壁と該突起部の間の空間として形成された液体の収容部と、
(4)該底部の外面に開口を有し、該突起部の内部に伸びた空洞部と、
(5)該空洞部の少なくとも一部に設けられ、該容器を回転するための回転軸が着脱自在に嵌合し、かつ該突起部と噛合し得る噛合部と、
を有することを特徴とする容器。 - 前記空洞部の少なくとも一部に前記中心軸方向でのテーパー形状が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
- 前記噛合部がリブを有する請求項1又は2に記載の容器。
- 前記リブの少なくとも一部の高さを前記突起部の中心軸方向の下方向に向かって連続的に低くしたことを特徴とする請求項3に記載の容器。
- 前記リブの数が2〜4個である請求項3又は4に記載の容器。
- 前記容器が、ポリプロピレン樹脂組成物を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の容器。
- 液体を収容し、該液体中に固体を浸漬して、該液体中の成分と該固体との間で相互作用を行なう方法であって、
該容器が、
(1)下端に底部を有し、上端が開口する円筒形状の外周壁と、
(2)該底部から該開口方向に伸び、該外周壁の円筒形状の中心軸と同心をなす回転体としての外形を有する突起部と、
(3)該外周壁と該突起部の間の空間として形成された液体の収容部と、
(4)該底部の外面に開口を有し、該突起部の内部に伸びた空洞部と、
(5)該空洞部の少なくとも一部に設けられ、該容器を回転するための回転軸が着脱自在に嵌合し、かつ該突起部と噛合し得る噛合部と、
を有し、該容器を回転させるための回転軸が該容器の噛合部と接合し、該噛合部を介して該容器を回転させることによって、相互作用を行なうことを特徴とする相互作用方法。 - 前記相互作用が、前記液体による前記固体表面の洗浄を含むことを特徴とする請求項7に記載の相互作用方法。
- 前記相互作用が、前記固体表面と前記液体中の成分との反応を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の相互作用方法。
- 前記反応によって、前記液体中の成分量を測定することを特徴とする請求項9に記載の相互作用方法。
- 前記反応が、前記液体中の抗原を、前記固体表面に予め固定された少なくとも1種の抗体に捕捉する反応である請求項9又は10に記載の相互作用方法。
- 前記抗原が、細菌及びウイルスの少なくとも一方である請求項11に記載の相互作用方法。
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