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JP2004302094A - 半導電性ベルト及びその製造方法 - Google Patents

半導電性ベルト及びその製造方法 Download PDF

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JP2004302094A
JP2004302094A JP2003094589A JP2003094589A JP2004302094A JP 2004302094 A JP2004302094 A JP 2004302094A JP 2003094589 A JP2003094589 A JP 2003094589A JP 2003094589 A JP2003094589 A JP 2003094589A JP 2004302094 A JP2004302094 A JP 2004302094A
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JP
Japan
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belt
conductive filler
semiconductive belt
semiconductive
polyamideimide
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JP2003094589A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Iwamoto
登志明 岩元
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Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Abstract

【課題】半導電性ベルトに関し、優れた機械特性を活かしつつ、表面抵抗等の電気特性の環境安定性に優れ、電子写真記録装置の中間転写ベルトなどに用いた場合にも、良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離できる性能を長期に持続できる半導電性ベルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】含有する導電性フィラーが偏在することなくベルト断面全体に分散されているとともに、外表面と内表面との表面抵抗率の差、および外表面と内表面との表面抵抗率の比が所定の範囲であることを特徴とする。ここで、導電性フィラーの平均粒子径が所定値以下であることが好適である。また、導電性フィラーがカーボンブラックであり、前記耐熱性樹脂がポリアミドイミド系樹脂であることが好適である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導電性ベルト並びにその製造方法に関するもので、例えば、電子写真記録装置等における像の中間転写ベルトや、その中間転写と兼用の印刷シート搬送用ベルトなどとして特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真方式で像を形成記録する電子写真記録装置としては、複写機やレーザープリンタ、ビデオプリンタやファクシミリ、それらの複合機等が知られている。この種の装置では、装置寿命の向上などを目的として、感光ドラム等の像担持体にトナー等の記録剤により形成された像を印刷シート上に直接定着させる方式を回避すべく、像担持体上の像を中間転写ベルトに一旦転写し、それを印刷シート上に定着させる方式が検討されている。また装置の小型化等を目的に、前記の中間転写ベルトに印刷シートの搬送も兼ねる方式も検討されている。
【0003】
前記の中間転写ベルトに用いうる半導電性ベルトとしては、ポリイミド系樹脂フィルムに導電性フィラーを配合して、体積抵抗率を1〜1013Ω・cmとしたものが知られていた(例えば特許文献1参照)。これはポリイミド系樹脂フィルムを用いることにより、それまでのフッ化ビニリデンやエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリカーボネート等からなるフィルムを用いた半導電性ベルトによる問題、すなわち強度や耐摩擦・摩耗性の機械特性が不足してベルト端部等にクラックが発生したり、駆動時の負荷で変形して転写画像が変形するなどの問題を克服したものである。また、上記技術では、遠心成形法において原料の比重差で生じる、外表面と内表面との電気抵抗値の差を、導電性フィラーの比重調整等により改善している。
【0004】
また、ポリアミドイミド系樹脂にカーボンブラック等の導電性粉体と有機溶媒とを混合した液を、遠心注型して表面部分に局在化させて表面を導電性にしたシームレスベルトの製造及びこれの導電面に光導電層または誘電層(絶縁層)を設けて静電記録用ベルトに使うことが開示されており、該導電性フィラーを表面部分に局在させて、内面よりも外面部分を導電層としている(例えば特許文献2参照)。さらに外面部分よりも内面部分の電気抵抗値が小さい状態となるシームレス半導電性ポリアミドイミドベルトであり、特に表面部分の電気抵抗の大きいシームレスポリアミドイミドベルトが得られることを提案している(例えば特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−77252号公報
【特許文献2】
特公平2−50464号公報
【特許文献3】
特開平10−226028号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のポリイミド系樹脂フィルム、ポリアミドイミド系樹脂フィルムからなる半導電性ベルトにあっては、電気特性の環境安定性や耐久性に乏しく、実用上満足できる性能を有さないことが判明した。すなわち表面抵抗率の電気特性が、温度や湿度等の外部環境で大きく変動したり、長期使用で電気特性が大きく変動したりして、例えば上記した中間転写ベルトや兼用の搬送ベルトとして用いた場合、印刷シートをベルトより分離する際に分離不良等を生じるなどの問題点があった。そして、このような半導電性ベルトの断面を走査型電子顕微鏡(以下「SEM」という。)で観察してみると、程度の差は有るものの、層状に形成された導電性フィラーの偏在層が外表面部分等に存在することが判明した。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ポリアミドイミド系樹脂フィルムの優れた機械特性を活かしつつ、表面抵抗等の電気特性の環境安定性に優れて外部環境により変動しにくく、電子写真記録装置の中間転写ベルトやそれ兼用の搬送ベルトとして用いた場合にも、トナー像の変形や転写ムラなく良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離できる性能を長期に持続できる半導電性ベルト及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、半導電性ベルトの製造方法や得られる半導電性ベルトの断面構造等について鋭意研究したところ、特定の製造方法により得られる特定の断面構造と物性を有する半導電性ベルトにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の半導電性ベルトは、導電性フィラーを含有する耐熱性樹脂からなる単層構造の半導電性ベルトにおいて、前記導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されていると共に、常用対数に基づく外表面と内表面との表面抵抗率の差が1.0以下であり、かつ外表面の表面抵抗率に対して、内表面の表面抵抗率が0.90〜10.0倍の範囲であることを特徴とする。こうした半導電性ベルトによって、ポリアミドイミド系樹脂等耐熱性樹脂製フィルムの優れた機械特性を活かしつつ、表面抵抗等の電気特性の環境安定性に優れて外部環境により変動しにくく、電子写真記録装置の中間転写ベルトやそれ兼用の搬送ベルトとして用いた場合にも、トナー像の変形や転写ムラなく良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離できる性能を長期に持続できる。
【0010】
上記において、前記導電性フィラーは、一次粒子に基づく平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。導電性フィラーの偏在による電気特性のバラツキをより確実に抑制することができる。
【0011】
また、上記において、前記導電性フィラーがカーボンブラックであり、前記耐熱性樹脂がポリアミドイミド系樹脂であることが好ましい。カーボンブラックを用いることで、少ない使用量で前記した電気特性を達成することができるとともに、耐熱性樹脂をポリアミドイミド系樹脂とすることで、フィラーの分散性を向上させて成型加工性の優れた半導電性ベルトを作製することができる。
【0012】
一方、本発明の製造方法は、導電性フィラーを含有するポリアミドイミド系樹脂の原料液を用いて回転遠心成型と加熱を行うことで単層シームレス構造の半導電性ベルトを得る半導電性ベルトの製造方法において、前記原料液として、B型粘度計における25℃の溶液粘度が1〜500Pa・sのポリアミドイミド樹脂溶液を用いることを特徴とする。こうした粘度特性を有するポリアミドイミド樹脂溶液を用いることで、導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されて、外表面と内表面との表面抵抗率の差が小さい半導電性ベルトを容易に得ることができ、上記の如き作用効果を有する半導電性ベルトを好適に製造できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、説明する。
すなわち、本発明の半導電性ベルトは、導電性フィラーを含有する耐熱性樹脂からなる単層構造の半導電性ベルトにおいて、前記導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されていると共に、常用対数に基づく外表面と内表面との表面抵抗率の差が1.0以下であり、かつ外表面の表面抵抗率に対して、内表面の表面抵抗率が0.90〜10.0倍の範囲であることを特徴とする。ここで、半導電性ベルトとは、体積抵抗率が1〜1016Ω・cmのものを指す。なお、本発明の半導電性ベルトは、シームレスベルト構造が一般的であるが、シート状フィルムからのベルト作製など、これに限定するものではない。
【0014】
本発明の半導電性ベルトによると、実施例の結果が示すように、ポリアミドイミド系樹脂等耐熱性樹脂製フィルムの優れた機械特性を活かしつつ、表面抵抗等の電気特性の環境安定性に優れて外部環境により変動しにくく、電子写真記録装置の中間転写ベルトやそれ兼用の搬送ベルトとして用いた場合にも、トナー像の変形や転写ムラなく良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離できる性能を長期に持続できる。その理由の詳細は、明らかではないが、導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散され、しかも外表面と内表面との表面抵抗率の差が小さく、さらに外面部分よりも内面部分の電気抵抗値がやや大きい状態であり、特に表面部分の電気抵抗がやや大きいためと考えられる。かかる観点より、外表面の表面抵抗率に対して、内表面の表面抵抗率が0.90〜10.0倍の範囲がより好ましい。
【0015】
上記において、導電性フィラーは、一次粒子に基づく平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。導電性フィラーの平均粒子径が5μmを超えると、樹脂前駆体溶液作製時に導電性フィラーが偏在する可能性があり、その結果ベルトの電気特性のバラツキが生じることがある。導電性フィラーの平均粒子径を制御することにより、こうした偏在およびバラツキを確実に抑制することができる。かかる点により一般には、一次粒子に基づく平均粒径が5μm以下、就中3μm以下、特に0.01μm〜1μmの平均粒径のものが好ましく用いることができる。
【0016】
また、上記において、前記導電性フィラーがカーボンブラックであり、前記耐熱性樹脂がポリアミドイミド系樹脂であることが好ましい。カーボンブラックを用いることで、少ない使用量で前記した電気特性を達成することができるとともに、耐熱性樹脂をポリアミドイミド系樹脂とすることで、フィラーの分散性を向上させて成型加工性の優れた半導電性ベルトを作製することができる。
【0017】
一方、本発明の製造方法は、導電性フィラーを含有するポリアミドイミド系樹脂の原料液を用いて回転遠心成型と加熱を行うことで単層シームレス構造の半導電性ベルトを得る半導電性ベルトの製造方法において、前記原料液として、B型粘度計における25℃の溶液粘度が1〜500Pa・sのポリアミドイミド樹脂溶液を用いることを特徴とする。すなわち、ポリアミドイミド樹脂溶液の粘度が低いと、導電性フィラーの比重差により回転遠心成型時に導電性フィラーが外周面に偏り偏在し、外周面の表面抵抗率が低く、内周面の表面抵抗率が高くなり表面抵抗率のバラツキが大きくなる。また溶液粘度が高すぎると、脱泡が困難になり製膜不良等で外観が損われたり、転写不良などが生じる。かかる観点より、原料液として、B型粘度計における25℃の溶液粘度が1〜500Pa・sが好ましく、さらには、10〜400Pa・sのポリアミドイミド樹脂溶液を用いるのが好ましい。こうした製造方法によって、導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されて、外表面と内表面との表面抵抗率の差が小さい半導電性ベルトを容易に得ることができ、上述のような効果を有する半導電性ベルトを好適に製造することができる。
【0018】
本発明の半導電性ベルトは、導電性フィラーを含有する耐熱性樹脂からなる単層構造の半導電性ベルトである。このような半導電性ベルトは、例えば、導電性フィラーを含有するポリアミドイミド系樹脂の原料液を用いて回転遠心成型と加熱を行うことで得ることができる。以下、主にポリアミドイミド系樹脂からなる半導電性ベルトを詳述する。
【0019】
ポリアミドイミド系樹脂の原料液としては、従来公知の方法により合成することができる。その構造はアミド基と1〜2個のイミド基とが有機基を介して結合され、これが1つの単位となって繰り返され高分子量になっている。該有機基が脂肪族か、芳香族かによって、脂肪族ポリアミドイミドか、芳香族ポリアミドイミドに分類される。
【0020】
合成方法には基本的には次の2つの場合がある。
その1つは、有機基がアミド基で繋がれる有機ジアミンとテトラカルボン酸二無水物の当量とを反応させるジアミン法である。その具体例としては例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物等が好適に使用され、そして、ジアミン化合物(VII)としては、例えば、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル等が好適に使用される。上記化合物およびジアミン化合物は、それぞれ1種若しくは2種以上を使用することができる。
【0021】
また、トリメリット酸無水物および化合物以外の酸成分として、例えば、テレフタロイルジクロライド、イソフタロイルジクロライド、4,4’−ビフェニルジ酸クロライド、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンジ酸クロライド、ペリレンテトラカルボン酸無水物を使用することができる。ジアミン化合物以外のアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン等を使用することができる。
【0022】
また、上記反応において、無水トリメリット酸クロライドおよび化合物の使用割合は、モル比で99/1〜70/30であることが好ましい。ジアミン化合物の使用量は、無水トリメリット酸クロライドおよび化合物の酸成分の合計のモル数に対して0.8〜1当量が好ましい。
【0023】
また上記反応で用いられる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホアミド、テトラメチル尿素、スルホラン等が好適に使用される。
【0024】
また上記反応において、反応温度は、0〜25℃、反応時間は、3〜5時間が好ましい。
【0025】
2つ目の合成法としてはイソシアネート法がある。有機ジアミンまたはその誘導体(例えばジイソシアネート)と、トリカルボン酸無水物、またはその誘導体(例えばモノクロリド)との当量を反応させる。この中でも有機ジアミンとトリカルボン酸無水物による1個のイミド基と1個のアミド基とが有機基を介して結合し、これが繰返し単位となっているポリアミドイミドが好ましい。上記反応において、化合物としては、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物等が好適に使用され、そして、ジイソシアネート化合物としては、例えば、4,4’−ビス(3−トリレン)ジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアネートビフェニル等が好適に使用される。化合物およびジイソシアネート化合物は、それぞれ1種若しくは単独でも2種以上を使用することができる。
【0026】
また、トリメリット酸無水物および化合物以外の酸成分として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、ピロメリット酸無水物、3,3’,4,4’−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンジカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸無水物を使用することができる。ジイソシアネート化合物以外のアミン成分としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートを使用することができる。
【0027】
また上記反応において、無水トリメリット酸および化合物の使用割合は、モル比で99/1〜70/30であることが好ましい。ジイソシアネート化合物の使用量は、無水トリメリット酸および化合物の酸成分の合計のモル数に対して0.8〜1当量が好ましい。
【0028】
また上記反応で用いられる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、テトラメチル尿素が好適に使用される。
【0029】
また上記反応において、反応温度は、150〜200℃、反応時間は3〜6時間が好ましい。
【0030】
前記導電性フィラーとしては、例えばケッチンブラックやアセチレンブラックの如きカーボンブラック、アルミニウムやニッケルの如き金属、酸化錫の如き酸化金属化合物やチタン酸カリウム等の導電性ないし半導電性粉末、あるいはポリアニリンやポリアセチレンの如き導電ポリマーなどの適宜なものの1種又は2種以上を用いることができ、その種類について特に限定はない。
【0031】
導電性フィラーの使用量は、前記した電気特性の達成性などの点により、その種類や粒径や分散性などに応じて適宜決定しうる。一般には、ポリアミドイミド系樹脂フィルムにおける強度等の機械特性の低下防止などの点により、ポリアミドイミド系樹脂(固形分)100重量部あたり、3〜30重量部、特に3〜15重量部の使用量が好ましい。
【0032】
なお、前記の強度等の機械特性維持などの点により、導電性フィラーの使用量は少ないほど好ましく、その少ない使用量で前記した電気特性を達成する点により、ケッチンブラック等のカーボンブラックなどが好適に用いうる。この場合には、ポリアミドイミド系樹脂(固形分)100重量部に対して、5重量部未満、就中1〜4重量部の使用量にても前記した電気特性の達成が可能である。
【0033】
ポリアミドイミド系樹脂フィルム中への導電性フィラーの配合は、例えば上記したポリアミドイミド溶液を調製する際に、その溶液にプラネタリミキサーやビーズミルや3本ロール等の適宜な分散機にて導電性フィラーを混合分散して配合し、それをフィルム成形に供する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0034】
また、前記のポリアミドイミド溶液を調製するために導電性フィラーを配合する場合には、均一分散による電気特性のバラツキ防止などの点により、先ず溶媒にボールミルや超音波等の適宜な方式で導電性フィラーを分散させた後、その分散液に有機ジアミンまたはその誘導体(例えばジイソシアネート)と、トリカルボン酸無水物、またはその誘導体(例えばモノクロリド)との当量を反応処理に供する方式が好ましく適用することができる。
【0035】
なお、ポリアミドイミド系樹脂からなる半導電性ベルトに配合され得るシリコーン系又はフッ素系の各有機化合物、カップリング剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜添加することができる。
【0036】
以上のように、本発明の半導電性ベルトは、上記材料で構成される単層シームレス構造の半導電性ベルトにおいて、導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されていると共に、外表面と内表面との表面抵抗率の差、および外表面と内表面との表面抵抗率の比が一定の範囲であることを特徴とするが、外表面の表面抵抗率は、常用対数に基づく値で1〜16(logΩ/□)が好ましく、5〜15(logΩ/□)がより好ましい。
【0037】
本発明の半導電性ベルトの厚さは、その使用目的などに応じて適宜決定しうるが、一般には強度や柔軟性等の機械特性などの点により、5〜500μm、就中10〜300μm、特に20〜200μmの厚さが好ましい。
【0038】
なお、単層シームレス構造のベルトは、重畳による厚さ変化がなく、任意な部分をベルト回転の開始位置とすることができ、回転開始位置の制御機構を省略できる利点などを有している。
【0039】
一方、本発明の製造方法は、B型粘度計における25℃の溶液粘度が1〜500Pa・sのポリアミドイミド樹脂溶液を原料液として用いて回転遠心成型と加熱を行うことで単層シームレス構造の半導電性ベルトを得るものである。
【0040】
具体的には、例えば前記のポリアミドイミド樹脂溶液を金型の内周面や外周面に浸漬方式や遠心方式や塗布方式等にてコートする方式などの適宜な方式でリング状に展開し、その展開層を乾燥製膜してベルト形に成形し、その成形物を加熱処理して、型より回収する方法などの従来に準じた適宜な方法により行うことができる。シームレスベルトの形成に際しては、更に型の離型処理や脱泡処理などの適宜な処理を施すことができる。
【0041】
本発明の半導電性ベルトは、従来の半導電性ベルトに準じた各種の用途に用いうる。就中、機械特性や電気特性に優れることにより、電子写真記録装置における像の中間転写用のベルトやその中間転写を兼ねた印刷シートの搬送用ベルトなどとして好ましく用いうる。その場合、印刷シートに像を形成する記録剤としても静電気を介し付着できる適宜なものを用いうる。
【0042】
以上は、ポリアミドイミド樹脂について主に述べたが、同様の技術は、他の樹脂にも適用可能であることはいうまでもない。具体的には、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂等が挙げられる。また、これらをブレンドして使用しても差し支えない。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0044】
<評価方法>
(1)表面抵抗率
ハイレスタIP、MCP−HT450(三菱油化社製、プローブ:UR)にて印加電圧100V、10秒後、測定条件25℃、60%RHでの表面抵抗率を調べた。測定は外表面と内表面について行い(n=10)、その差及び外表面の表面抵抗率に対する内表面の表面抵抗率の比率についても求めた。
(2)断面SEM観察
ベルト断面をSEMにて観察した。
(3)画像転写性、紙分離性
実施例、比較例で得た半導電性ベルトを市販の複写機に、中間転写兼用の記録シート搬送ベルトとして組み込み、1万枚のテスト中で全て良好な転写による鮮明で正確な画像が得られた場合、及び紙の分離不良を生じなかった場合を良好、転写不良や不鮮明な面像、不正確な面像が得られた場合、及び紙の分離不良を生じた場合を不良とした。
【0045】
<実施例1>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1347.2g 中に、乾燥したカーボンブラックPrintex V(デグサジャパン社製,平均−次粒径0.25μm、)107.96g (ポリアミドイミド樹脂固形分に対し23重量%)をボールミルで6時間、室温で混合した。このNMP分散液にトリメリット酸無水物172.9g (0.9mol)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物32.2g (0.1mol)、ビトリレンジイソシアネート264.3g (1mol)を溶解し、加熱反応させて固形分濃度30重量%、粘度50Pa・sの芳香族ポリアミドイミド樹脂溶液を得た。内径330mm、長さ500mmの円筒状金型の内面に上記ポリアミドイミド樹脂溶液をディスペンサーで厚さ270μmに塗布後、1500rpmで10分間回転させ均一な塗布面を得た。次に、20rpmで回転させながら、金型の外側より100℃の熱風を30分間あてた後、150℃で60分間加熱、その後300℃まで2℃/分の昇温速度で昇温し、更に300℃で30分間加熱し、その後冷却し金型内面に形成されたポリアミドイミドフィルムを金型から剥離し、78〜82μmのシームレスの半導電性ベルトを得た。この半導電性ベルトの外表面の表面抵抗率は7.72×1011Ω/□であり、内表面の表面抵抗率は8.65×1011Ω/□であった。
【0046】
<実施例2>
固形分濃度40%を変えてポリアミドイミド樹脂溶液粘度を500Pa・sとした以外は、実施例1に準じて厚さ78〜82μmのシームレスの半導電性ベルトを得た。
【0047】
<実施例3>
固形分濃度12%を変えてポリアミドイミド樹脂溶液粘度を1Pa・sとした以外は、実施例1に準じて厚さ74〜78μmのシームレスの半導電性ベルトを得た。
【0048】
<比較例1>
固形分濃度8%を変えてポリアミドイミド樹脂イミドの溶液粘度を0.5Pa・sに変更する以外は、実施例1と同じ操作を行い厚さ76〜80μmのシームレスの半導電性ベルトを得た。
【0049】
<比較例2>
固形分濃度50%に変えてポリアミドイミド溶液粘度を700Pa・sに変更する以外は、実施例1と同じ操作を行い厚さ74〜80μmのシームレスの半導電性ベルトを得た。
【0050】
<試験結果>
実施例、比較例で得られた半導電性ベルトについて評価試験を行い、表1の結果を得た。
【表1】
Figure 2004302094
表1より、実施例1〜3においては、ポリアミドイミド系樹脂フィルムの優れた強度や難伸長性(難変形性)を維持しつつ、ベルト外内表面抵抗率の差が小さく、電子写真記録装置の中間転写兼用の搬送ベルトとして用いた場合にも、トナー像の変形や転写ムラなく良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離できる性能を長期に持続することがわかった。
これに対して、外表面にフィラーが偏在しベルト外内表面抵抗率に差が有る比較例1および2では、1万枚のテスト中で画像転写性や紙分離性が劣化することがわかった。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、含有する導電性フィラーが偏在することなくベルト断面全体に分散されているとともに、外表面と内表面との表面抵抗率の差、および外表面と内表面との表面抵抗率の比が所定の範囲である半導電性ベルトによって、ポリアミドイミド系樹脂等耐熱性樹脂製フィルムの優れた機械特性を活かしつつ、表面抵抗等の電気特性の環境安定性に優れて外部環境により変動しにくく、電子写真記録装置の中間転写ベルトやそれ兼用の搬送ベルトとして用いた場合にも、トナー像の変形や転写ムラなく良好な画像を記録シートに転写でき、かつ搬送の記録シートを良好に分離できる性能を長期に持続できる。
【0052】
また、前記導電性フィラーの平均粒子径を所定値以下とすることで、導電性フィラーの偏在による電気特性のバラツキをより確実に抑制することができる。
【0053】
また、上記において、導電性フィラーをカーボンブラックとすることで、少ない使用量で前記した電気特性を達成することができるとともに、耐熱性樹脂をポリアミドイミド系樹脂とすることで、フィラーの分散性を向上させて成型加工性の優れた半導電性ベルトを作製することができる。
【0054】
一方、導電性フィラーを含有するポリアミドイミド系樹脂の原料液を用いて回転遠心成型と加熱を行うことで単層シームレス構造の半導電性ベルトを得る半導電性ベルトの製造方法において、所定の粘度特性を有するポリアミドイミド樹脂溶液を用いることで、導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されて、外表面と内表面との表面抵抗率の差が小さい半導電性ベルトを容易に得ることができ、上記の如き作用効果を有する半導電性ベルトを好適に製造できる。

Claims (4)

  1. 導電性フィラーを含有する耐熱性樹脂からなる単層構造の半導電性ベルトにおいて、前記導電性フィラーが外表面部分に偏在することなくベルト断面全体に偏りなく分散されていると共に、常用対数に基づく外表面と内表面との表面抵抗率の差が1.0以下であり、かつ外表面の表面抵抗率に対して内表面の表面抵抗率が0.90〜10.0倍の範囲であることを特徴とする半導電性ベルト。
  2. 前記導電性フィラーは、一次粒子に基づく平均粒子径が5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導電性ベルト。
  3. 前記導電性フィラーがカーボンブラックであり、前記耐熱性樹脂がポリアミドイミド系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導電性ベルト。
  4. 導電性フィラーを含有するポリアミドイミド系樹脂の原料液を用いて回転遠心成型と加熱を行うことで単層シームレス構造の半導電性ベルトを得る半導電性ベルトの製造方法において、前記原料液として、B型粘度計における25℃の溶液粘度が1〜500Pa・sのポリアミドイミド樹脂溶液を用いることを特徴とする半導電性ベルトの製造方法。
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