JP2004301208A - 歯車およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フランジ付きの歯車をさらに低コストで製造可能な製造方法およびフランジ付きの歯車を提供する。
【解決手段】複数の歯2が半径方向に突き出た歯車部分3の一方の端3aにリング状部材6を圧入することによりフランジを形成する。これにより、端3aに位置する歯2を削ったり、リング状部材6を端3aに取り付けた後にかしめや接着を行わなくても、フランジ付の歯車1を製造でき、低コストでフランジ付歯車1を市場に供給できる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の歯2が半径方向に突き出た歯車部分3の一方の端3aにリング状部材6を圧入することによりフランジを形成する。これにより、端3aに位置する歯2を削ったり、リング状部材6を端3aに取り付けた後にかしめや接着を行わなくても、フランジ付の歯車1を製造でき、低コストでフランジ付歯車1を市場に供給できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯付きのプーリとベルトを用いて動力を伝達する機構に用いられる歯付きプーリまたは歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動力を伝達するための機構の一つとして、歯付きプーリまたは歯車と、歯付ベルトを用いた機構が知られている。この機構では、ベルトが歯車のスラスト方向に抜け落ちてしまわないようにプーリまたは歯車の端にフランジを取り付けることがある。特に、平歯車の歯を斜めにしたはす歯歯車を用いる場合は、ベルトに対してスラスト方向(軸方向)に力が加わるので、ベルトの抜け防止のためにフランジが設けられる。特開2002−54720号公報にも、フランジが設けられたはす歯プーリが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−54720号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フランジが設けられたはす歯プーリは歯も含めて一体で成形することが難しく、以下のように製造される。まず、図4(a)に示すように、はす歯101が加工されたワーク100に対しフランジとなるリング状部材102をかしめるための円筒状の部分(かしめ代部分)103をはす歯101を削って形成する。次に、図4(b)に示すように、その円筒状部分103にリング状部材102を挿入し、リング状部材102から外側に突き出た円筒状部分104を加圧し、リング状部材102を取り付ける。これにより、フランジ付きのはす歯プーリ110が製造される。
【0005】
かしめ加工は、パイプなどに溶接しないで塑性加工で部材を取り付ける加工方法であり、圧着、加締めとも呼ばれ、比較的高い取り付け強度を得ることができる加工方法である。しかしながら、リング状の部材102をかしめで取り付けるためには、その前準備として、円筒状のかしめ代103を形成するためにはす歯102の一部を削り出す必要があり、さらに、リング状の部材102に圧力を加えて塑性変形させてかしめ代103に取り付ける作業が必要になる。したがって、これらの工程を省く、またはさらに簡素化できればフランジ付きの歯車を低コストで提供できるはずである。
【0006】
そこで、本発明においては、さらに簡易な方法でフランジ付きのプーリあるいは歯車(以降においてはプーリを含めて歯車と称する)を製造できる方法および歯車を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
円柱または円筒の母材にリング状部材を取り付ける方法として、リング状部材を圧入してリング状部材を母材に嵌め込む方法がある。しかしながら、高い強度を得ようとすると、母材に対してマイナス公差のリング状部材を用意して嵌め込む必要があり、円柱状の母材との間の抵抗に逆らってリング状部材を変形させることなく嵌め込むのは難しい。リング状部材に変形に耐えられるような十分な強度を求めると、リング状部材が厚くなって重量およびコストが増加する要因になる。これに対し、歯の部分にリング状部材を圧入すれば、歯とリング状部材の接触面積が小さいので、比較的小さな力でリング状部材を圧入することが可能であり、接合強度も十分に確保できる。さらに、取り付け代を形成するために円柱または円筒状の部分を削りだす必要もない。したがって、上述したリング状部材をかしめ加工で取り付ける方式に比較すると、工数を減らすことができ、低コストでフランジ付の歯車を製造できる。
【0008】
すなわち、本発明においては、複数の歯が半径方向に突き出た歯車部分の軸方向の少なくとも一方の端に、歯車部分の半径方向に突き出ることになるフランジ部を備えたリング状部材を、歯と重なるように圧入する工程を有する歯車の製造方法を提供する。これにより、本発明においては、複数の歯が半径方向に突き出た歯車部分と、この歯車部分の軸方向の少なくとも一方の端に、歯と重なるように圧入されたリング状部材とを有し、このリング状部材は、半径方向に突き出たフランジ部を備えている歯車を提供できる。
【0009】
この本発明においては、フランジとなるリング状部材を歯と重なるように圧入するだけでフランジ付の歯車を製造でき、歯を削るなどのリング状部材を接合するための特別な前工程は一切不要であり、さらに、リング状部材を圧着する手間も不要である。したがって、製造コストを大幅に低減でき、フランジ付き歯車、特にフランジ付はす歯歯車を低コストで供給できる。
【0010】
リング状部材は金属製、樹脂製、またはゴム製とすることが可能である。また、リング状部材は、円筒部からフランジ部が、断面がほぼL字型になるように突き出た形状とし、フランジ部が内側に向くように圧入することにより、圧入する際のリング状部材の変形を防止でき、また、圧入後の接続強度も維持できる。さらに、開口の内側の縁を曲面にすることにより、その部分がリング状部材を歯車に装着するときのガイドとなるので、圧入する工程がさらに容易になり、スムーズに圧入できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係るフランジつきのプーリまたは歯車(以下では、単に歯車と称する。)を示してある。図1(a)は歯車1を軸方向と平行な方向から見た外形図であり、図1(b)は歯車1を軸と垂直な面で切った断面図であり、図1(c)は軸を含む面で切った断面図である。本例の歯車1は、はす歯歯車にリング状部材を圧入することにより製造されたフランジ付きの歯車であり、歯付ベルト15と共に用いることにより、すべりなくベルトを介して動力を伝達する機構を構成できる。歯車1は、複数のはす歯2が半径方向に突き出た歯車部分3と、この歯車部分3の両端に設けられたフランジ4および5とを有している。
【0012】
一方のフランジ4は歯車部分3と一体形成されたものであり、他方のフランジ5は歯車部分3の端3aに、はす歯2を削るなどの特別な加工を施すことなく、はす歯2と重なるようにリング状部材6を圧入することにより形成されたものである。
【0013】
リング状部材6は断面がほぼL字型をしており、半径方向に突き出たフランジ部5と、このフランジ部5から軸方向またはスラスト方向に延びる円筒部7とを備えている。このリング状部材6は金属板をプレス抜きすることにより製造することが可能であり、また、樹脂で成形することも可能である。さらに、ゴムなどの熱収縮性の材料でリング状部材6を成形した場合は、リング状部材6を歯車部分3に圧入した後に、熱を加えて熱収縮させることにより、リング状部材と歯車部分3との接合強度をさらに高めることが可能である。
【0014】
断面が略L字型をしたリング状部材6はフランジ部5が内側となるように、歯車部分3の端3aに圧入されている。円筒部7が内側を向くように圧入した場合と比較すると、歯車1の機能としては、歯車部分3にベルト15をセットする際に、ベルト15が円筒部7に乗り上がり、動力の伝達効率を妨げる原因になることを防止できる。また、リング状部材6を歯車部分3の端3aに圧入する場合を考えると、断面がL字型になることにより、リング状部材6の断面強度が上がり、最も断面強度の高いL字型に部材が交差した側が歯車部分の端3aに挿入されることになる。したがって、圧入する際の抵抗によりリング状部材6が変形することを防止できる。この円筒部7は、リング状部材6と歯2が接するために、ある程度の接触面積を確保でき、十分に高い接合強度が得られる効果もある。
【0015】
さらに、リング状部材6の内側の縁部分10、すなわち、フランジ部5と円筒部7との外側の角10は面取りがされて曲面となっている。この曲面部分10がリング状部材6を歯車部分3に挿入するときのガイドとなり、フランジ部を傾かせることなく、同軸状に真直ぐに、リング状部材6を歯車部分3にスムーズに圧入できる。
【0016】
図2に、本発明の歯車1の製造方法を示してある。まず、一方のフランジ4および複数のはす歯2を備えた歯車部分3を製造する。また、前後して、あるいは別工程で、金属板をプレス抜きするなどの方法により、フランジ部5および円筒部7を備えたリング状部材6を製造する。そして、歯車部分3の端3aに、はす歯2を削ることなくそのままの状態で、リング状部材6をフランジ部5を内側(歯車部分3の側)に向けて、歯車部分3の端3aの複数のはす歯2と重なるように圧入する。そして、この圧入する工程だけで、両端にフランジ部4および5を有するはす歯歯車1が製造される。したがって、本例の歯車1は、はす歯2を削る工程や、リング状部材を挿入した後にかしめたり接着するなどの方法によりリング状部材の接合強度を増す工程が一切不要である。したがって、製造工程が少なくなり、製造時間が短縮され、歩留まりも向上する。したがって、低コストで品質の高いフランジ付の歯車を市場に供給することができる。
【0017】
また、本例の歯車1では、複数の歯2が半径方向に突き出た部分、すなわち、歯車部分3に対して直接にリング状部材6を圧入するようにしている。このため、圧入する際には、リング状部材6の内周面と歯車部分3の複数の歯2の先端部分が接触することになる。したがって、円柱状または円筒状の箇所にリング状部材6を圧入するのに比較して圧入時の抵抗が少なくて済む。したがって、リング状部材6を圧入して固定されるようにマイナス公差で製造しても、圧入する際の抵抗が小さく、圧入作業が容易であると共に、リング状部材6が変形してしまうような事態を防止できる。また、圧入する際の力は、歯車部分3とリング状部材6との接触箇所、すなわち、歯2の先端に集中して作用するので、各々の歯2にリング状部材6が接する部分が塑性変形して歯車部分3とリング状部材6が接合し、リング状部材6をかしめて取り付ける場合と同様の効果を圧入することにより得ることができる。
【0018】
さらに、リング状部材6を断面を略L字型にして、そのフランジ5の側から挿入することにより、リング状部材6を挿入しやすく、挿入する際のリング状部材6の変形が抑制されることは上述した通りである。
【0019】
なお、はす歯歯車を例を説明したが、平歯歯車にも本発明は適用可能である。図3に本発明を適用した平歯歯車16を示してあり、図3(a)は軸方向と平行な方向から見た外形図であり、図3(b)は歯車16を軸を含む面で切った断面図である。この平歯歯車16においても一方のフランジ5がリング状部材6を歯車部分3の端3aに圧入するだけの工程により形成されている。一方のフランジをリング状部材を圧入することにより形成した歯車1および16を説明したが、双方のフランジをリング状部材を圧入することにより形成することも可能である。また、リング状部材は外周に歯が形成された歯車状のものでも良い。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、複数の歯が半径方向に突き出ている歯車部分に対して、リング状部材を圧入することによりフランジ付きの歯車を形成するようにしている。これにより、歯を削ったり、リング状部材の接合強度を高めるためのかしめる作業は一切不要になり、フランジ付きのプーリー(歯車)を極めて容易に製造することが可能になる。したがって、さらに低コストのフランジ付きプーリーおよび歯車を市場に供給でき、フランジ付歯車の用途を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るはす歯歯車であり、図1(a)はその軸方向に沿った平面図、図1(b)は軸に垂直な断面図、図1(c)は軸に平行な断面図である。
【図2】歯車部分の端にリング状部材を圧入する様子を示す図である。
【図3】本発明に係る平歯歯車であり、図3(a)はその軸方向に沿った平面図、図3(b)は軸に平行な断面図である。
【図4】従来のはす歯歯車を製造する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 はす歯歯車
2 歯
3 歯車部分
3a 端
4、5 フランジ
6 リング状部材
7 円筒部
10 縁部分
15 ベルト
16 平歯歯車
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯付きのプーリとベルトを用いて動力を伝達する機構に用いられる歯付きプーリまたは歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動力を伝達するための機構の一つとして、歯付きプーリまたは歯車と、歯付ベルトを用いた機構が知られている。この機構では、ベルトが歯車のスラスト方向に抜け落ちてしまわないようにプーリまたは歯車の端にフランジを取り付けることがある。特に、平歯車の歯を斜めにしたはす歯歯車を用いる場合は、ベルトに対してスラスト方向(軸方向)に力が加わるので、ベルトの抜け防止のためにフランジが設けられる。特開2002−54720号公報にも、フランジが設けられたはす歯プーリが記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−54720号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フランジが設けられたはす歯プーリは歯も含めて一体で成形することが難しく、以下のように製造される。まず、図4(a)に示すように、はす歯101が加工されたワーク100に対しフランジとなるリング状部材102をかしめるための円筒状の部分(かしめ代部分)103をはす歯101を削って形成する。次に、図4(b)に示すように、その円筒状部分103にリング状部材102を挿入し、リング状部材102から外側に突き出た円筒状部分104を加圧し、リング状部材102を取り付ける。これにより、フランジ付きのはす歯プーリ110が製造される。
【0005】
かしめ加工は、パイプなどに溶接しないで塑性加工で部材を取り付ける加工方法であり、圧着、加締めとも呼ばれ、比較的高い取り付け強度を得ることができる加工方法である。しかしながら、リング状の部材102をかしめで取り付けるためには、その前準備として、円筒状のかしめ代103を形成するためにはす歯102の一部を削り出す必要があり、さらに、リング状の部材102に圧力を加えて塑性変形させてかしめ代103に取り付ける作業が必要になる。したがって、これらの工程を省く、またはさらに簡素化できればフランジ付きの歯車を低コストで提供できるはずである。
【0006】
そこで、本発明においては、さらに簡易な方法でフランジ付きのプーリあるいは歯車(以降においてはプーリを含めて歯車と称する)を製造できる方法および歯車を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
円柱または円筒の母材にリング状部材を取り付ける方法として、リング状部材を圧入してリング状部材を母材に嵌め込む方法がある。しかしながら、高い強度を得ようとすると、母材に対してマイナス公差のリング状部材を用意して嵌め込む必要があり、円柱状の母材との間の抵抗に逆らってリング状部材を変形させることなく嵌め込むのは難しい。リング状部材に変形に耐えられるような十分な強度を求めると、リング状部材が厚くなって重量およびコストが増加する要因になる。これに対し、歯の部分にリング状部材を圧入すれば、歯とリング状部材の接触面積が小さいので、比較的小さな力でリング状部材を圧入することが可能であり、接合強度も十分に確保できる。さらに、取り付け代を形成するために円柱または円筒状の部分を削りだす必要もない。したがって、上述したリング状部材をかしめ加工で取り付ける方式に比較すると、工数を減らすことができ、低コストでフランジ付の歯車を製造できる。
【0008】
すなわち、本発明においては、複数の歯が半径方向に突き出た歯車部分の軸方向の少なくとも一方の端に、歯車部分の半径方向に突き出ることになるフランジ部を備えたリング状部材を、歯と重なるように圧入する工程を有する歯車の製造方法を提供する。これにより、本発明においては、複数の歯が半径方向に突き出た歯車部分と、この歯車部分の軸方向の少なくとも一方の端に、歯と重なるように圧入されたリング状部材とを有し、このリング状部材は、半径方向に突き出たフランジ部を備えている歯車を提供できる。
【0009】
この本発明においては、フランジとなるリング状部材を歯と重なるように圧入するだけでフランジ付の歯車を製造でき、歯を削るなどのリング状部材を接合するための特別な前工程は一切不要であり、さらに、リング状部材を圧着する手間も不要である。したがって、製造コストを大幅に低減でき、フランジ付き歯車、特にフランジ付はす歯歯車を低コストで供給できる。
【0010】
リング状部材は金属製、樹脂製、またはゴム製とすることが可能である。また、リング状部材は、円筒部からフランジ部が、断面がほぼL字型になるように突き出た形状とし、フランジ部が内側に向くように圧入することにより、圧入する際のリング状部材の変形を防止でき、また、圧入後の接続強度も維持できる。さらに、開口の内側の縁を曲面にすることにより、その部分がリング状部材を歯車に装着するときのガイドとなるので、圧入する工程がさらに容易になり、スムーズに圧入できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1に本発明に係るフランジつきのプーリまたは歯車(以下では、単に歯車と称する。)を示してある。図1(a)は歯車1を軸方向と平行な方向から見た外形図であり、図1(b)は歯車1を軸と垂直な面で切った断面図であり、図1(c)は軸を含む面で切った断面図である。本例の歯車1は、はす歯歯車にリング状部材を圧入することにより製造されたフランジ付きの歯車であり、歯付ベルト15と共に用いることにより、すべりなくベルトを介して動力を伝達する機構を構成できる。歯車1は、複数のはす歯2が半径方向に突き出た歯車部分3と、この歯車部分3の両端に設けられたフランジ4および5とを有している。
【0012】
一方のフランジ4は歯車部分3と一体形成されたものであり、他方のフランジ5は歯車部分3の端3aに、はす歯2を削るなどの特別な加工を施すことなく、はす歯2と重なるようにリング状部材6を圧入することにより形成されたものである。
【0013】
リング状部材6は断面がほぼL字型をしており、半径方向に突き出たフランジ部5と、このフランジ部5から軸方向またはスラスト方向に延びる円筒部7とを備えている。このリング状部材6は金属板をプレス抜きすることにより製造することが可能であり、また、樹脂で成形することも可能である。さらに、ゴムなどの熱収縮性の材料でリング状部材6を成形した場合は、リング状部材6を歯車部分3に圧入した後に、熱を加えて熱収縮させることにより、リング状部材と歯車部分3との接合強度をさらに高めることが可能である。
【0014】
断面が略L字型をしたリング状部材6はフランジ部5が内側となるように、歯車部分3の端3aに圧入されている。円筒部7が内側を向くように圧入した場合と比較すると、歯車1の機能としては、歯車部分3にベルト15をセットする際に、ベルト15が円筒部7に乗り上がり、動力の伝達効率を妨げる原因になることを防止できる。また、リング状部材6を歯車部分3の端3aに圧入する場合を考えると、断面がL字型になることにより、リング状部材6の断面強度が上がり、最も断面強度の高いL字型に部材が交差した側が歯車部分の端3aに挿入されることになる。したがって、圧入する際の抵抗によりリング状部材6が変形することを防止できる。この円筒部7は、リング状部材6と歯2が接するために、ある程度の接触面積を確保でき、十分に高い接合強度が得られる効果もある。
【0015】
さらに、リング状部材6の内側の縁部分10、すなわち、フランジ部5と円筒部7との外側の角10は面取りがされて曲面となっている。この曲面部分10がリング状部材6を歯車部分3に挿入するときのガイドとなり、フランジ部を傾かせることなく、同軸状に真直ぐに、リング状部材6を歯車部分3にスムーズに圧入できる。
【0016】
図2に、本発明の歯車1の製造方法を示してある。まず、一方のフランジ4および複数のはす歯2を備えた歯車部分3を製造する。また、前後して、あるいは別工程で、金属板をプレス抜きするなどの方法により、フランジ部5および円筒部7を備えたリング状部材6を製造する。そして、歯車部分3の端3aに、はす歯2を削ることなくそのままの状態で、リング状部材6をフランジ部5を内側(歯車部分3の側)に向けて、歯車部分3の端3aの複数のはす歯2と重なるように圧入する。そして、この圧入する工程だけで、両端にフランジ部4および5を有するはす歯歯車1が製造される。したがって、本例の歯車1は、はす歯2を削る工程や、リング状部材を挿入した後にかしめたり接着するなどの方法によりリング状部材の接合強度を増す工程が一切不要である。したがって、製造工程が少なくなり、製造時間が短縮され、歩留まりも向上する。したがって、低コストで品質の高いフランジ付の歯車を市場に供給することができる。
【0017】
また、本例の歯車1では、複数の歯2が半径方向に突き出た部分、すなわち、歯車部分3に対して直接にリング状部材6を圧入するようにしている。このため、圧入する際には、リング状部材6の内周面と歯車部分3の複数の歯2の先端部分が接触することになる。したがって、円柱状または円筒状の箇所にリング状部材6を圧入するのに比較して圧入時の抵抗が少なくて済む。したがって、リング状部材6を圧入して固定されるようにマイナス公差で製造しても、圧入する際の抵抗が小さく、圧入作業が容易であると共に、リング状部材6が変形してしまうような事態を防止できる。また、圧入する際の力は、歯車部分3とリング状部材6との接触箇所、すなわち、歯2の先端に集中して作用するので、各々の歯2にリング状部材6が接する部分が塑性変形して歯車部分3とリング状部材6が接合し、リング状部材6をかしめて取り付ける場合と同様の効果を圧入することにより得ることができる。
【0018】
さらに、リング状部材6を断面を略L字型にして、そのフランジ5の側から挿入することにより、リング状部材6を挿入しやすく、挿入する際のリング状部材6の変形が抑制されることは上述した通りである。
【0019】
なお、はす歯歯車を例を説明したが、平歯歯車にも本発明は適用可能である。図3に本発明を適用した平歯歯車16を示してあり、図3(a)は軸方向と平行な方向から見た外形図であり、図3(b)は歯車16を軸を含む面で切った断面図である。この平歯歯車16においても一方のフランジ5がリング状部材6を歯車部分3の端3aに圧入するだけの工程により形成されている。一方のフランジをリング状部材を圧入することにより形成した歯車1および16を説明したが、双方のフランジをリング状部材を圧入することにより形成することも可能である。また、リング状部材は外周に歯が形成された歯車状のものでも良い。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明においては、複数の歯が半径方向に突き出ている歯車部分に対して、リング状部材を圧入することによりフランジ付きの歯車を形成するようにしている。これにより、歯を削ったり、リング状部材の接合強度を高めるためのかしめる作業は一切不要になり、フランジ付きのプーリー(歯車)を極めて容易に製造することが可能になる。したがって、さらに低コストのフランジ付きプーリーおよび歯車を市場に供給でき、フランジ付歯車の用途を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るはす歯歯車であり、図1(a)はその軸方向に沿った平面図、図1(b)は軸に垂直な断面図、図1(c)は軸に平行な断面図である。
【図2】歯車部分の端にリング状部材を圧入する様子を示す図である。
【図3】本発明に係る平歯歯車であり、図3(a)はその軸方向に沿った平面図、図3(b)は軸に平行な断面図である。
【図4】従来のはす歯歯車を製造する様子を示す図である。
【符号の説明】
1 はす歯歯車
2 歯
3 歯車部分
3a 端
4、5 フランジ
6 リング状部材
7 円筒部
10 縁部分
15 ベルト
16 平歯歯車
Claims (7)
- 複数の歯が半径方向に突き出た歯車部分と、この歯車部分の軸方向の少なくとも一方の端に、前記歯と重なるように圧入されたリング状部材を有し、このリング状部材は、前記半径方向に突き出たフランジ部を備えている歯車。
- 請求項1において、前記歯ははす歯である歯車。
- 請求項1において、前記リング状部材は金属製、樹脂製、またはゴム製である歯車。
- 請求項1において、前記リング状部材は、円筒部から前記フランジ部が、断面がほぼL字型になるように突き出ており、当該フランジ部が内側に向くように圧入されている歯車。
- 請求項4において、前記リング状部材の開口の内側の縁は曲面になっている歯車。
- 複数の歯が半径方向に突き出た歯車部分の軸方向の少なくとも一方の端に、前記歯車部分の半径方向に突き出ることになるフランジ部を備えたリング状部材を、前記歯と重なるように圧入する工程を有する歯車の製造方法。
- 請求項6において、前記リング状部材は断面がほぼL字型で、円筒部と、この円筒部から突き出たフランジ部を備えており、
前記圧入する工程では、前記フランジ部が内側に向くように、前記リング状部材を圧入する歯車の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2003093729A JP2004301208A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 歯車およびその製造方法 |
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JP2010516979A (ja) * | 2007-01-31 | 2010-05-20 | ヴィッテンシュタイン アーゲー | ネジ切りによる軸−ハブ連結 |
JP2013096500A (ja) * | 2011-10-31 | 2013-05-20 | Gates Unitta Asia Co | フランジ付きプーリ |
-
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- 2003-03-31 JP JP2003093729A patent/JP2004301208A/ja active Pending
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