JP2004301167A - テンタークリップ用転がり軸受,テンタークリップ,及びフィルム延伸機 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命なテンタークリップ用転がり軸受を提供する。また、前記潤滑油が軸受内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命なテンタークリップ及びフィルム延伸機を提供する。
【解決手段】テンタークリップ用の玉軸受は、固定輪である内輪1と、回転輪である外輪2と、複数の玉3と、非接触形のゴムシール5,5と、グリース組成物Gと、を備えている。このグリース組成物Gは、トリメリト酸エステルとフッ素油との混合油を基油としており、芳香族ジウレアとPTFE粉末とを増ちょう剤としている。
【選択図】 図1
【解決手段】テンタークリップ用の玉軸受は、固定輪である内輪1と、回転輪である外輪2と、複数の玉3と、非接触形のゴムシール5,5と、グリース組成物Gと、を備えている。このグリース組成物Gは、トリメリト酸エステルとフッ素油との混合油を基油としており、芳香族ジウレアとPTFE粉末とを増ちょう剤としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム幅出し機,フィルム2軸延伸機等に用いられるテンタークリップに好適な転がり軸受に関する。また、テンタークリップ及びフィルム延伸機に関する。
【0002】
【従来の技術】
テンタークリップ用転がり軸受には、フッ素油とポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)粉末とからなるフッ素グリースが、従来から広く使用されている。このようなグリースとしては、例えば、NOKクリューバ社製のバリエルタシリーズ等が知られている。
【0003】
フィルム延伸機においては、フィルムをテンタークリップに装着し高温(例えば約220℃)のテンターオーブン内に入れ、テンタークリップをガイドレールに沿って走行させることによりフィルムを延伸している。このようにテンタークリップは高温に曝されるので、テンタークリップ用転がり軸受内に充填されるグリースとしては、フッ素グリースしか使用できなかった。
【0004】
また、テンタークリップが走行する際には、テンタークリップに備えられたテンタークリップ用転がり軸受がガイドレール上を転動(外輪回転)するが、テンタークリップ用転がり軸受の外輪の外周面とガイドレールとの接触部の潤滑は、エステル油を噴霧することによって行われていた。
なお、テンタークリップ用転がり軸受として使用される転がり軸受は、内径17mm,外径40mm程度の小径玉軸受である場合が多く、金属製シールドを有している場合が多い。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−344437号公報
【特許文献2】
実開昭62−183131号公報
【特許文献3】
特開2000−289973号公報
【特許文献4】
特公平7−113374号公報
【特許文献5】
特開平11−294461号公報
【特許文献6】
特開2000−273478号公報
【特許文献7】
特開2000−230184号公報
【特許文献8】
特開平11−199886号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エステル油はエステル基を有していることからフッ素油と比較すると金属に対する親和性が強いので、エステル油がテンタークリップ用転がり軸受の内部に侵入するとフッ素グリースの金属への付着性が低下して、フッ素グリースが軸受外部に漏出するおそれがあった。そのため、テンタークリップ用転がり軸受の寿命が低下するという問題が生じる場合があった。
【0007】
特に、テンタークリップ用転がり軸受がガイドレールの下方に配されている場合には、ガイドレールを伝って落下してくるエステル油がテンタークリップ用転がり軸受の内部に侵入しやすい。よって、テンタークリップ用転がり軸受がより短寿命となりやすかった。なお、このフッ素グリースの漏出は、軸受の回転により発生する遠心力によって起こるものではなく、外輪がガイドレールと接触することにより生じる振動によって起こると考えられる。
【0008】
エステル油の代わりにフッ素油を使用すれば、テンタークリップ用転がり軸受の内部に侵入してフッ素グリースと混合されても、フッ素グリースが軟化する程度で前述のような問題が生じることはほとんどないと思われる。しかし、フッ素油は高価で、且つそのまま廃棄することができないので、使用量は少ない方が望ましい。
【0009】
また、フッ素グリースは軸受に取り付けられたシール装置と内輪の外周面との間のラビリンス部から漏出するものと思われるので、テンタークリップ用転がり軸受に接触形のシール装置を用いればグリースの漏出を抑制できると思われる。しかし、接触形のシール装置はトルクの問題から使用できない場合が多い。つまり、通常のフィルム延伸機には1台につき数百から数千個のテンタークリップが用いられるので、1個のテンタークリップにつき通常6個備えられるテンタークリップ用転がり軸受は数万個となる場合もある。このように多数のテンタークリップ用転がり軸受に接触形のシール装置を用いると、テンタークリップを走行させる際に生じるトルクが大きくなるおそれがあるからである。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命なテンタークリップ用転がり軸受を提供することを課題とする。また、本発明は、前記潤滑油が軸受内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命なテンタークリップ及びフィルム延伸機を提供することを併せて課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、固定輪である内輪と、回転輪である外輪と、前記両輪の間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記両輪の間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備えるとともに、フィルムを保持しつつフィルム延伸機のガイドレールに沿って走行するテンタークリップに備えられ、前記グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油によって前記外輪の外周面と前記ガイドレールとの接触部が潤滑されつつ前記ガイドレール上を転動する転がり軸受であって、前記グリース組成物は基油として合成油を含有し、増ちょう剤としてウレア化合物を含有することを特徴とする。
【0012】
グリース組成物中にウレア化合物が含まれていると、グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が軸受内部に侵入した際に生じるグリース組成物の軸受内部からの漏出が抑制されるので、軸受が長寿命となる。すなわち、グリース組成物中にウレア化合物が含まれていると、軸受内部に侵入したエステル油等のような前記潤滑油がグリース組成物中に取り込まれるので、グリース組成物の金属への付着性が低下しにくい。そのため、グリース組成物の軸受内部からの漏出が抑制される。
【0013】
合成油の種類は特に限定されるものではないが、エステル油が好ましく、芳香族系のエステル油が特に好ましい。
また、本発明に係る請求項2に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1に記載のテンタークリップ用転がり軸受において、前記基油はエステル油とフッ素油との混合油であり、該混合油の40℃での動粘度は100〜500mm2 /sであることを特徴とする。
【0014】
前記基油をエステル油とフッ素油との混合油とすれば、高価なフッ素油のみの場合と比較して、テンタークリップ用転がり軸受が安価となる。また、メンテナンスのコストも低減できる。
エステル油及びフッ素油の種類は特に限定されるものではないが、エステル油については芳香族系のエステル油が好ましく、フッ素油については40℃での動粘度が100〜500mm2 /sであることが好ましい。
【0015】
なお、基油(混合油)の粘度が低い方が、前記潤滑油が内部に侵入した際に生じるグリース組成物の漏出は少ない。ただし、テンタークリップ用転がり軸受の使用温度は通常は高温(例えば220℃)であるので、耐熱性を考えると、40℃での動粘度は100mm2 /s以上であることが好ましい。一方、40℃での動粘度が500mm2 /sを超えると軸受の回転トルクが大きくなりすぎる。
【0016】
さらに、本発明に係る請求項3に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載のテンタークリップ用転がり軸受において、前記基油をエステル油60〜90質量%とフッ素油40〜10質量%とで構成し、前記増ちょう剤をウレア化合物60〜90質量%とポリテトラフルオロエチレン樹脂40〜10質量%とで構成したことを特徴とする。
【0017】
フッ素油の含有量が10質量%未満であるとその添加効果が乏しく、40質量%超過ではグリース組成物からの基油の分離が多くなって、転がり軸受の寿命が短くなる。また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の含有量が10質量%未満であるとフッ素油が離油しやすくなり、40質量%超過ではちょう度が低すぎてグリース組成物が軸受全体に行き渡りにくくなる。
【0018】
なお、このようなグリース組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、エステル油を基油としウレア化合物を増ちょう剤とするウレアグリースと、フッ素油を基油としポリテトラフルオロエチレン樹脂を増ちょう剤とするフッ素グリースとを別々に製造し、これらを混合することにより製造してもよい。あるいは、エステル油とフッ素油とを混合した基油に、ウレア化合物及びポリテトラフルオロエチレン樹脂を増ちょう剤として添加することにより製造してもよい。
【0019】
エステル油とフッ素油とを用いてグリース組成物を製造する際には、機械的に撹拌することにより混合する方法が一般的に採用されるが、撹拌時にポリテトラフルオロエチレン樹脂を共存させれば、均一に混合されやすい。
さらに、本発明に係る請求項4に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1〜3のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受において、非接触シール又はシールドを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、前記潤滑油が内部に侵入してもグリース組成物の漏出が生じにくいので、接触形のシール装置を用いる必要がなく、非接触シール又はシールドでも十分にグリース組成物の漏出を抑えることができる。
また、転がり軸受の回転時にはウレア化合物の一部が硬化する現象が起きるが、硬化したウレア化合物によって非接触シール又はシールドと内輪の外周面との間のラビリンス部がシールされるので、転がり軸受の密封性が向上する。
【0021】
さらに、本発明に係る請求項5に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1〜4のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受において、前記潤滑油がエステル油であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6に記載のテンタークリップは、フィルムを保持する保持部と、フィルム延伸機のガイドレール上を転動する転がり軸受と、を備えるテンタークリップにおいて、前記転がり軸受を請求項1〜5のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受としたことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明に係る請求項7に記載のフィルム延伸機は、フィルムを保持するテンタークリップと、前記テンタークリップの走行を案内するガイドレールと、を備えるフィルム延伸機において、前記テンタークリップを請求項6に記載のテンタークリップとしたことを特徴とする。
前述のようにテンタークリップ用転がり軸受の内部に前記潤滑油が侵入してもグリース組成物の漏出が生じにくいので、本発明のテンタークリップ及びフィルム延伸機は長寿命である。
【0023】
以下に、本発明のテンタークリップ用転がり軸受に充填されるグリース組成物について、さらに詳細に説明する。
〔ウレア化合物について〕
本発明において増ちょう剤として使用されるウレア化合物としては、ジウレア,トリウレア,テトラウレア等のポリウレア化合物があげられるが、特に、下記の一般式(I)で表されるジウレアが好ましい。
【0024】
【化1】
【0025】
なお、式(I)中のR1 及びR3 は炭化水素基を表し、R1 とR3 は同種の基であってもよいし異種の基であってもよい。また、R2 は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。R2 の炭素数が前記下限値より小さいと、増ちょう剤が基油に分散しにくく、また、増ちょう剤と基油とが分離しやすくなる。一方、炭化水素基の炭素数が前記上限値より大きい増ちょう剤は、工業的に非現実的である。ただし、耐熱性を考慮すると、R1 及びR3 は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基がより好ましい。
【0026】
そして、R1 及びR3 が炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で、R2 がジフェニルメタン基であるジウレアが特に好ましく、増ちょう剤の50質量%以上をこのようなジウレアとすることが好ましい。
さらに、基油がフッ素油を含有する場合には、分子構造中にフッ素を有するウレア化合物を増ちょう剤として用いることが好ましい。従来は、基油がフッ素油である場合には、高価なPTFE等のフッ素化合物が増ちょう剤として使用されていたので、グリース組成物が高価であった。しかし、本発明によれば、前記フッ素化合物よりも格段に安価な、分子構造中にフッ素を有するウレア化合物で代用可能であるため、グリース組成物が安価である。
【0027】
このようなジウレアをはじめとするウレア化合物は、別途合成したものを基油に分散させてもよいし、基油中で合成することによって基油に分散させてもよい。ただし、後者の方法の方が、基油中に増ちょう剤を良好に分散させやすいので、工業的に製造する場合には有利である。
ジウレアを基油中で合成する場合の合成方法は、特に限定されるものではないが、R2 の芳香族炭化水素基を有するジイソシアネート1モルと、R1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミン2モルとを、反応させる方法が最も好ましい。
【0028】
ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート,ビフェニレンジイソシアネート,ジメチルジフェニレンジイソシアネート,又はこれらのアルキル基置換体等を好適に使用できる。
また、R1 ,R3 が脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である場合のモノアミンとしては、例えば、アニリン,シクロヘキシルアミン,オクチルアミン,トルイジン,ドデシルアニリン,オクタデシルアミン,ヘキシルアミン,ヘプチルアミン,ノニルアミン,エチルヘキシルアミン,デシルアミン,ウンデシルアミン,ドデシルアミン,テトラデシルアミン,ペンタデシルアミン,ノナデシルアミン,エイコデシルアミン,オレイルアミン,リノレイルアミン,リノレニルアミン,メチルシクロヘキシルアミン,エチルシクロヘキシルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン,ジエチルシクロヘキシルアミン,ブチルシクロヘキシルアミン,プロピルシクロヘキシルアミン,アミルシクロヘキシルアミン,シクロオクチルアミン,ベンジルアミン,ベンズヒドリルアミン,フェネチルアミン,メチルベンジルアミン,ビフェニルアミン,フェニルイソプロピルアミン,フェニルヘキシルアミン等を好適に使用できる。
【0029】
さらに、R1 ,R3 が縮合炭化水素基である場合のモノアミンとしては、例えば、アミノインデン、アミノインダン、アミノ−1−メチレンインデン等のインデン系アミン化合物、アミノナフタレン(ナフチルアミン)、アミノメチルナフタレン、アミノエチルナフタレン、アミノジメチルナフタレン、アミノカダレン、アミノビニルナフタレン、アミノフェニルナフタレン、アミノベンジルナフタレン、アミノジナフチルアミン、アミノビナフチル、アミノ−1,2−ジヒドロナフタレン、アミノ−1,4−ジヒドロナフタレン、アミノテトラヒドロナフタレン、アミノオクタリン等のナフタレン系アミン化合物、アミノペンタレン、アミノアズレン、アミノヘプタレン等の縮合二環系アミン化合物、アミノフルオレン、アミノ−9−フェニルフルオレン等のアミノフルオレン系アミン化合物、アミノアントラセン、アミノメチルアントラセン、アミノジメチルアントラセン、アミノフェニルアントラセン、アミノ−9,10−ジヒドロアントラセン等のアントラセン系アミン化合物、アミノフェナントレン、アミノ−1,7−ジメチルフェナントレン、アミノレテン等のフェナントレンアミン化合物、アミノビフェニレン、アミノ−sym−インダセン、アミノ−as−インダセン、アミノアセナフチレン、アミノアセナフテン、アミノフェナレン等の縮合三環系アミン化合物、アミノナフタセン、アミノクリセン、アミノピレン、アミノトリフェニレン、アミノベンゾアントラセン、アミノアセアントリレン、アミノアセアントレン、アミノアセフェナントリレン、アミノアセフェナントレン、アミノフルオランテン、アミノプレイアデン等の縮合四環系アミン化合物、アミノペンタセン、アミノペンタフェン、アミノピセン、アミノペリレン、アミノジベンゾアントラセン、アミノベンゾピレン、アミノコラントレン等の縮合五環系アミン化合物、アミノコロネン、アミノピラントレン、アミノビオラントレン、アミノイソビオラントレン、アミノオバレン等の縮合多環系(六環以上)アミン化合物などが好適に用いられる。
【0030】
さらに、分子構造中にフッ素を有するジウレアを合成する場合には、前述したジウレアの合成方法において、R2 の芳香族炭化水素基を有するジイソシアネートとR1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミンとの少なくとも一方を、フッ素化された化合物とすればよい。なお、R1 ,R3 は、少なくとも一方にフッ素原子を有していればよい。
【0031】
分子構造中にフッ素を有するモノアミンとしては、例えば、フルオロアニリン,ジフルオロアニリン,トリフルオロアニリン,アミノベンゾフルオライド,アミノベンゾジフルオライド,アミノベンゾトリフルオライド,フルオロトルイジン,ジフルオロトルイジン,トリフルオロトルイジン,フルオロベンジルアミン,ジフルオロベンジルアミン,トリフルオロベンジルアミン等が好ましい。そして、4−トリフルオロメチルアニリンと3,5−ジフルオロベンジルアミンとがより好ましく、p−フルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2,4−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン、及び1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルアミンがさらに好ましい。
【0032】
このR1 ,R2 ,R3 に含有されるフッ素原子のジウレア化合物1モルに対する比率は、0.1モル原子以上であることが好ましい。このモル数は、アミン分子又はジイソシアネート分子1個に含まれるフッ素原子の数、及び、フッ素を有していないアミン又はジイソシアネートを混合することによって調整できる。
〔基油について〕
本発明においてグリース組成物の基油として使用される合成油の種類は特に限定されるものではないが、合成炭化水素油,エーテル油,エステル油,及びフッ素油等があげられる。
【0033】
具体的には、合成炭化水素油としてはポリα−オレフィン油等があげられ、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油,アルキルトリフェニルエーテル油,アルキルテトラフェニルエーテル油等があげられる。また、エステル油としてはジエステル油,ポリオールエステル油(例えばネオペンチル型ポリオールエステル油等),これらのコンプレックスエステル油,芳香族エステル油,炭酸エステル油等があげられ、フッ素油としてはパーフルオロエーテル油,フルオロシリコーン油,クロロトリフルオロエチレン油,フルオロフォスファゼン油等があげられる。これらの基油は、単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0034】
〔混和ちょう度について〕
本発明のテンタークリップ用転がり軸受に充填されるグリース組成物の混和ちょう度は、200〜350が適当である。200未満であると、転がり軸受の潤滑を必要とする部分にグリース組成物が行き渡りにくい。一方、350超過であると、遠心力により転がり軸受から漏出しやすい。
【0035】
〔添加剤について〕
本発明のテンタークリップ用転がり軸受に充填されるグリース組成物には、各種性能をさらに向上させるため、所望により種々の添加剤を添加してもよい。例えば、酸化防止剤,防錆剤,極圧剤,油性向上剤,金属不活性化剤,固体潤滑剤など、グリース組成物に一般的に使用される添加剤を、単独又は2種以上混合して用いることができる。基油にエステル油が含有されていれば、添加剤の溶解性の問題はない。
【0036】
酸化防止剤としては、例えば、アミン系,フェノール系,硫黄系,ジチオリン酸亜鉛等があげられる。
アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニル−1−ナフチルアミン,フェニル−2−ナフチルアミン,ジフェニルアミン,フェニレンジアミン,オレイルアミドアミン,フェノチアジン等があげられる。
【0037】
また、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、p−t−ブチル−フェニルサリシレート、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−フェニルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−オクチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−6−t−ブチル−m−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2−n−オクチル−チオ−4,6−ジ(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のヒンダードフェノールなどがあげられる。
【0038】
防錆剤としては、例えば、石油スルフォン酸,有機系スルフォン酸金属塩(金属はアルカリ金属,アルカリ土類金属等),エステル類等があげられる。
有機系スルフォン酸金属塩の具体例としては、ジノニルナフタレンスルホン酸や重質アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩(カルシウムスルフォネート,バリウムスルフォネート,ナトリウムスルフォネートなど)等があげられる。
【0039】
また、エステル類の具体例としては、多塩基カルボン酸及び多価アルコールの部分エステルであるソルビタンモノラウレート,ソルビタントリステアレート,ソルビタンモノオレエート,ソルビタントリオレエート等のソルビタンエステル類や、ポリオキシエチレンラウレート,ポリオキシエチレンオレエート,ポリオキシエチレンステアレート等のアルキルエステル類などがあげられる。
【0040】
また、アルキルコハク酸エステル,アルケニルコハク酸エステル等のようなアルキルコハク酸誘導体,アルケニルコハク酸誘導体も、防錆剤として好ましく使用できる。
さらに、極圧剤としては、リン系,ジチオリン酸亜鉛,有機モリブデン等の極圧剤を使用することができる。
【0041】
さらに、油性向上剤としては、例えば、オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸、ラウリルアルコール,オレイルアルコール等のアルコール、ステアリルアミン,セチルアミン等のアミン、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル、及び動植物油等があげられる。
さらに、金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等があげられる。
なお、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明に係るテンタークリップ用転がり軸受,テンタークリップ,及びフィルム延伸機の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係るテンタークリップ用転がり軸受の一実施形態を説明する部分縦断面図である。
【0043】
図1の玉軸受(呼び番号6203,内径17mm,外径40mm,幅15mm)は、内輪1と、外輪2と、両輪1,2の間に転動自在に配設された複数の玉3と、両輪1,2の間に複数の玉3を保持する保持器4と、非接触形のゴムシール5,5と、を備えている。
また、内輪1と外輪2とゴムシール5,5とで囲まれた空隙部6には、その容積の35体積%(2g)のグリース組成物Gが充填され、ゴムシール5により軸受内部に密封されている。そして、このようなグリース組成物Gにより、前記両輪1,2の軌道面1a,2aと玉3との接触面が潤滑されている。
【0044】
このグリース組成物Gは、トリメリト酸エステルとフッ素油との混合油を基油としており、芳香族ジウレアとPTFE粉末とを増ちょう剤としている。基油中のトリメリト酸エステルの割合は60〜90質量%で、フッ素油の割合は40〜10質量%であり、基油の40℃での動粘度は100〜500mm2 /sである。また、増ちょう剤における芳香族ジウレアの割合は60〜90質量%で、PTFE粉末の割合は40〜10質量%である。
【0045】
さらに、このグリース組成物Gには、アミン系の酸化防止剤と防錆剤(亜鉛スルフォネート)とが添加剤として添加されている。ただし、本発明の目的が損なわれない程度の量であれば、上記の添加剤以外の慣用の添加剤をさらに添加してもよい。
なお、このグリース組成物Gは、ホモジナイザーを使用して各原料を均一に混合することによって製造した。
【0046】
前述のゴムシール5は円環状であり、外輪2の内周面の両端部に外輪2の全周にわたって設けられた断面略V字形のシール溝2b,2bに、その外周縁部を嵌入することにより固定されている。そして、ゴムシール5の内周縁部が内輪1の外周面に近接していて(非接触)、ゴムシール5,5が内輪1の外周面と外輪2の内周面との間の開口部分をほぼ覆っている。このことによって、内輪1と外輪2との間に形成される空隙部6(玉3の設置部分)に存在するグリース組成物Gや発生したダストが外部に漏洩したり、あるいは、外部に浮遊する塵挨が空隙部6内に侵入したりすることが防止されている。
【0047】
このような玉軸受は、図2に示すようなテンタークリップに好適に用いられる。このテンタークリップ10は、フィルム18を保持する保持部11と、複数の転がり軸受12と、保持部11及び転がり軸受12が取り付けられたテンタークリップ本体15と、で構成されており、軸14によって取り付けられた各転がり軸受12は内輪12aが固定輪、外輪12bが回転輪とされている。
【0048】
そして、各転がり軸受12の外輪12bの外周面がフィルム延伸機(図示せず)のガイドレール19に接触するようにガイドレール19に装着されたテンタークリップ10は、各転がり軸受12の転動を介してガイドレール19に沿って走行するようになっている。外輪12bの外周面とガイドレール19との接触部を潤滑するため、走行時にはエステル油のような潤滑油が前記接触部に噴霧される。
【0049】
このようなテンタークリップ10を多数用意して、フィルム18の左右両側部に保持部11を用いて取り付けた上、高温(例えば220℃)に加熱しながら略ハ字状に配置した2本のガイドレール19に沿って走行させる。そうすると、フィルム18の左右両側部のテンタークリップ10は走行するにしたがって徐々に間隔が広げられ、左右方向に向いた張力がフィルム18に負荷されるから、フィルム18が延伸される。なお、前述の加熱温度は、フィルム18の材質や延伸度合いに応じて設定すればよい。
【0050】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0051】
次に、表1〜3に示すような14種(実施例1〜11及び比較例1〜3)のグリース組成物を充填した玉軸受を用意して、軸受からのグリース組成物の漏出量と軸受の寿命とを評価した。表1〜3に記載の酸化防止剤はアミン系の酸化防止剤であり、防錆剤は亜鉛スルフォネートである。玉軸受は前述した呼び番号6203の玉軸受と同様の構成であり、軸受の空隙部内に充填されているグリース組成物の量は、空隙部の容積の35体積%(2g)である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
実施例1〜11のグリース組成物の組成は表1〜3に示す通りであるが、各ジウレアの具体的な内容を以下に説明する。
・実施例1の芳香族ジウレア:p−トルイジンと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とから合成されるジウレア
・実施例2の芳香族ジウレア:アニリンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例3の脂環式ジウレア:シクロヘキシルアミンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例4の芳香族ジウレア:p−トルイジンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例5の脂環式/脂肪族ジウレア:シクロヘキシルアミン及びオクチルアミンの混合物(モル比5:5)とMDIとから合成されるジウレア
・実施例6の芳香族/脂肪族ジウレア:p−トルイジン及びシクロヘキシルアミンの混合物(モル比6:4)とMDIとから合成されるジウレア
・実施例7の芳香族/脂環式ジウレア:p−トルイジン及びシクロヘキシルアミンの混合物(モル比6:4)とMDIとから合成されるジウレア
・実施例8の芳香族ジウレア:p−トルイジンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例9の芳香族ジウレア:p−トルイジンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例10の脂環式ジウレア:シクロヘキシルアミンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例11の芳香族/脂環式ジウレア:p−トルイジン及びシクロヘキシルアミンの混合物(モル比6:4)とMDIとから合成されるジウレア
また、比較例1〜3のグリース組成物は、以下に示すような市販品である。
【0056】
・比較例1:デュポン社製クライトックスGPL205(基油の40℃における動粘度は160mm2 /sである)
・比較例2:デュポン社製クライトックスGPL207(基油の40℃における動粘度は460mm2 /sである)
・比較例3:NOKクリューバ社製バリエルタL55/2(基油の40℃における動粘度は380mm2 /sである)
これら比較例1〜3のグリース組成物は、いずれも基油はフッ素油で、増ちょう剤はPTFE粉末である。また、混和ちょう度は265〜295である。
【0057】
次に、軸受からのグリース組成物の漏出量を評価する方法について、図3を参照しながら説明する。上記のような14種のグリース組成物を充填した玉軸受20の内部に、40℃での動粘度が120mm2 /sのポリオールエステル油を0.1g(グリース組成物の5質量%)注入した。
この玉軸受20の外輪21を固定した上、回転速度6000min−1,試験温度180℃の条件で内輪22を回転させた。内輪22の回転は、外輪21の外周面に接触させたロール23により196Nのラジアル荷重を負荷しながら行った。そして、60時間回転させた後、玉軸受20から漏出したグリース組成物の量を測定した。このとき、グリース組成物の漏出量は、2.1gからの減少量とした。
【0058】
評価結果を表1〜3に併せて示す。なお、表1〜3においては、漏出量が0.3g以下であった場合は◎印で示し、0.3g超過0.4以下であった場合は○印で示した。また、0.4g超過0.5以下であった場合は△印で示し、0.5g超過であった場合は×印で示した。
表1〜3から分かるように、比較例1〜3はグリース組成物の漏出量が多かったのに対し、実施例1〜11はグリース組成物の漏出量が少なかった。
【0059】
次に、軸受の寿命を評価する方法について、図4を参照しながら説明する。前述のグリース組成物の漏出量の評価と同様に、14種のグリース組成物を充填した玉軸受30の内部に、前述のポリオールエステル油を0.1g(グリース組成物の5質量%)注入した。
この玉軸受30をプーリ35とシャフト36との間に介装して、図4の試験装置に装着した。そして、内輪32は固定し、1960Nのラジアル荷重を負荷しながら回転速度6000min−1で外輪31を回転させて(試験温度は220℃)、玉軸受30の耐久性(寿命)を評価した。なお、前記ラジアル荷重は、プーリ35を回転駆動する図示しないベルトの張力により負荷した。
【0060】
評価結果を表1〜3に併せて示す。なお、表1〜3に記載の寿命は、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。表1〜3から分かるように、実施例1〜11は比較例1〜3と比べて寿命が優れていた。このことから、実施例1〜11は、グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強いポリオールエステル油が内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命であることが分かる。
【0061】
次に、実施例2のグリース組成物において、トリメリト酸エステルとフッ素油との比率を種々変更したものを用意して、前述と同様の方法によりグリース組成物の漏出量及び寿命を評価した。それぞれのグリース組成物における芳香族ジウレアとPTFEとの比率は、各グリース組成物のトリメリト酸エステルとフッ素油との比率に一致させた。
【0062】
その結果を図5のグラフに示す。なお、このグラフの横軸は、基油全体におけるフッ素油の割合(質量%)である(増ちょう剤全体におけるPTFEの割合でもある)。また、このグラフにおける寿命の値は、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
このグラフから、基油全体におけるフッ素油の割合が10〜40質量%であれば、グリース組成物の漏出量が少なく、且つ寿命が優れていることが分かる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、軸受内部に充填されたグリース組成物が、基油として合成油を含有し、増ちょう剤としてウレア化合物を含有しているので、リース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が軸受内部に侵入しても、グリース組成物の軸受内部からの漏出が抑制され長寿命である。
また、本発明のテンタークリップ及びフィルム延伸機は、テンタークリップ用転がり軸受の内部に前記潤滑油が侵入してもグリース組成物の漏出が生じにくいので長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るテンタークリップ用転がり軸受の一実施形態を示す部分縦断面図である。
【図2】本発明に係るテンタークリップの一実施形態を示す側面図である。
【図3】軸受からのグリース組成物の漏出量を評価する方法を説明する図である。
【図4】軸受の寿命を評価する方法を説明する断面図である。
【図5】基油全体におけるフッ素油の割合と、軸受からのグリース組成物の漏出量及び軸受の寿命と、の相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 玉
5 ゴムシール
6 空隙部
G グリース組成物
10 テンタークリップ
11 保持部
12 転がり軸受
12a 内輪
12b 外輪
18 フィルム
19 ガイドレール
20 玉軸受
21 外輪
22 内輪
30 玉軸受
31 外輪
32 内輪
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルム幅出し機,フィルム2軸延伸機等に用いられるテンタークリップに好適な転がり軸受に関する。また、テンタークリップ及びフィルム延伸機に関する。
【0002】
【従来の技術】
テンタークリップ用転がり軸受には、フッ素油とポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)粉末とからなるフッ素グリースが、従来から広く使用されている。このようなグリースとしては、例えば、NOKクリューバ社製のバリエルタシリーズ等が知られている。
【0003】
フィルム延伸機においては、フィルムをテンタークリップに装着し高温(例えば約220℃)のテンターオーブン内に入れ、テンタークリップをガイドレールに沿って走行させることによりフィルムを延伸している。このようにテンタークリップは高温に曝されるので、テンタークリップ用転がり軸受内に充填されるグリースとしては、フッ素グリースしか使用できなかった。
【0004】
また、テンタークリップが走行する際には、テンタークリップに備えられたテンタークリップ用転がり軸受がガイドレール上を転動(外輪回転)するが、テンタークリップ用転がり軸受の外輪の外周面とガイドレールとの接触部の潤滑は、エステル油を噴霧することによって行われていた。
なお、テンタークリップ用転がり軸受として使用される転がり軸受は、内径17mm,外径40mm程度の小径玉軸受である場合が多く、金属製シールドを有している場合が多い。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−344437号公報
【特許文献2】
実開昭62−183131号公報
【特許文献3】
特開2000−289973号公報
【特許文献4】
特公平7−113374号公報
【特許文献5】
特開平11−294461号公報
【特許文献6】
特開2000−273478号公報
【特許文献7】
特開2000−230184号公報
【特許文献8】
特開平11−199886号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エステル油はエステル基を有していることからフッ素油と比較すると金属に対する親和性が強いので、エステル油がテンタークリップ用転がり軸受の内部に侵入するとフッ素グリースの金属への付着性が低下して、フッ素グリースが軸受外部に漏出するおそれがあった。そのため、テンタークリップ用転がり軸受の寿命が低下するという問題が生じる場合があった。
【0007】
特に、テンタークリップ用転がり軸受がガイドレールの下方に配されている場合には、ガイドレールを伝って落下してくるエステル油がテンタークリップ用転がり軸受の内部に侵入しやすい。よって、テンタークリップ用転がり軸受がより短寿命となりやすかった。なお、このフッ素グリースの漏出は、軸受の回転により発生する遠心力によって起こるものではなく、外輪がガイドレールと接触することにより生じる振動によって起こると考えられる。
【0008】
エステル油の代わりにフッ素油を使用すれば、テンタークリップ用転がり軸受の内部に侵入してフッ素グリースと混合されても、フッ素グリースが軟化する程度で前述のような問題が生じることはほとんどないと思われる。しかし、フッ素油は高価で、且つそのまま廃棄することができないので、使用量は少ない方が望ましい。
【0009】
また、フッ素グリースは軸受に取り付けられたシール装置と内輪の外周面との間のラビリンス部から漏出するものと思われるので、テンタークリップ用転がり軸受に接触形のシール装置を用いればグリースの漏出を抑制できると思われる。しかし、接触形のシール装置はトルクの問題から使用できない場合が多い。つまり、通常のフィルム延伸機には1台につき数百から数千個のテンタークリップが用いられるので、1個のテンタークリップにつき通常6個備えられるテンタークリップ用転がり軸受は数万個となる場合もある。このように多数のテンタークリップ用転がり軸受に接触形のシール装置を用いると、テンタークリップを走行させる際に生じるトルクが大きくなるおそれがあるからである。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命なテンタークリップ用転がり軸受を提供することを課題とする。また、本発明は、前記潤滑油が軸受内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命なテンタークリップ及びフィルム延伸機を提供することを併せて課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、固定輪である内輪と、回転輪である外輪と、前記両輪の間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記両輪の間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備えるとともに、フィルムを保持しつつフィルム延伸機のガイドレールに沿って走行するテンタークリップに備えられ、前記グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油によって前記外輪の外周面と前記ガイドレールとの接触部が潤滑されつつ前記ガイドレール上を転動する転がり軸受であって、前記グリース組成物は基油として合成油を含有し、増ちょう剤としてウレア化合物を含有することを特徴とする。
【0012】
グリース組成物中にウレア化合物が含まれていると、グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が軸受内部に侵入した際に生じるグリース組成物の軸受内部からの漏出が抑制されるので、軸受が長寿命となる。すなわち、グリース組成物中にウレア化合物が含まれていると、軸受内部に侵入したエステル油等のような前記潤滑油がグリース組成物中に取り込まれるので、グリース組成物の金属への付着性が低下しにくい。そのため、グリース組成物の軸受内部からの漏出が抑制される。
【0013】
合成油の種類は特に限定されるものではないが、エステル油が好ましく、芳香族系のエステル油が特に好ましい。
また、本発明に係る請求項2に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1に記載のテンタークリップ用転がり軸受において、前記基油はエステル油とフッ素油との混合油であり、該混合油の40℃での動粘度は100〜500mm2 /sであることを特徴とする。
【0014】
前記基油をエステル油とフッ素油との混合油とすれば、高価なフッ素油のみの場合と比較して、テンタークリップ用転がり軸受が安価となる。また、メンテナンスのコストも低減できる。
エステル油及びフッ素油の種類は特に限定されるものではないが、エステル油については芳香族系のエステル油が好ましく、フッ素油については40℃での動粘度が100〜500mm2 /sであることが好ましい。
【0015】
なお、基油(混合油)の粘度が低い方が、前記潤滑油が内部に侵入した際に生じるグリース組成物の漏出は少ない。ただし、テンタークリップ用転がり軸受の使用温度は通常は高温(例えば220℃)であるので、耐熱性を考えると、40℃での動粘度は100mm2 /s以上であることが好ましい。一方、40℃での動粘度が500mm2 /sを超えると軸受の回転トルクが大きくなりすぎる。
【0016】
さらに、本発明に係る請求項3に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1又は請求項2に記載のテンタークリップ用転がり軸受において、前記基油をエステル油60〜90質量%とフッ素油40〜10質量%とで構成し、前記増ちょう剤をウレア化合物60〜90質量%とポリテトラフルオロエチレン樹脂40〜10質量%とで構成したことを特徴とする。
【0017】
フッ素油の含有量が10質量%未満であるとその添加効果が乏しく、40質量%超過ではグリース組成物からの基油の分離が多くなって、転がり軸受の寿命が短くなる。また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂の含有量が10質量%未満であるとフッ素油が離油しやすくなり、40質量%超過ではちょう度が低すぎてグリース組成物が軸受全体に行き渡りにくくなる。
【0018】
なお、このようなグリース組成物の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、エステル油を基油としウレア化合物を増ちょう剤とするウレアグリースと、フッ素油を基油としポリテトラフルオロエチレン樹脂を増ちょう剤とするフッ素グリースとを別々に製造し、これらを混合することにより製造してもよい。あるいは、エステル油とフッ素油とを混合した基油に、ウレア化合物及びポリテトラフルオロエチレン樹脂を増ちょう剤として添加することにより製造してもよい。
【0019】
エステル油とフッ素油とを用いてグリース組成物を製造する際には、機械的に撹拌することにより混合する方法が一般的に採用されるが、撹拌時にポリテトラフルオロエチレン樹脂を共存させれば、均一に混合されやすい。
さらに、本発明に係る請求項4に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1〜3のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受において、非接触シール又はシールドを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、前記潤滑油が内部に侵入してもグリース組成物の漏出が生じにくいので、接触形のシール装置を用いる必要がなく、非接触シール又はシールドでも十分にグリース組成物の漏出を抑えることができる。
また、転がり軸受の回転時にはウレア化合物の一部が硬化する現象が起きるが、硬化したウレア化合物によって非接触シール又はシールドと内輪の外周面との間のラビリンス部がシールされるので、転がり軸受の密封性が向上する。
【0021】
さらに、本発明に係る請求項5に記載のテンタークリップ用転がり軸受は、請求項1〜4のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受において、前記潤滑油がエステル油であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項6に記載のテンタークリップは、フィルムを保持する保持部と、フィルム延伸機のガイドレール上を転動する転がり軸受と、を備えるテンタークリップにおいて、前記転がり軸受を請求項1〜5のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受としたことを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明に係る請求項7に記載のフィルム延伸機は、フィルムを保持するテンタークリップと、前記テンタークリップの走行を案内するガイドレールと、を備えるフィルム延伸機において、前記テンタークリップを請求項6に記載のテンタークリップとしたことを特徴とする。
前述のようにテンタークリップ用転がり軸受の内部に前記潤滑油が侵入してもグリース組成物の漏出が生じにくいので、本発明のテンタークリップ及びフィルム延伸機は長寿命である。
【0023】
以下に、本発明のテンタークリップ用転がり軸受に充填されるグリース組成物について、さらに詳細に説明する。
〔ウレア化合物について〕
本発明において増ちょう剤として使用されるウレア化合物としては、ジウレア,トリウレア,テトラウレア等のポリウレア化合物があげられるが、特に、下記の一般式(I)で表されるジウレアが好ましい。
【0024】
【化1】
【0025】
なお、式(I)中のR1 及びR3 は炭化水素基を表し、R1 とR3 は同種の基であってもよいし異種の基であってもよい。また、R2 は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。R2 の炭素数が前記下限値より小さいと、増ちょう剤が基油に分散しにくく、また、増ちょう剤と基油とが分離しやすくなる。一方、炭化水素基の炭素数が前記上限値より大きい増ちょう剤は、工業的に非現実的である。ただし、耐熱性を考慮すると、R1 及びR3 は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基がより好ましい。
【0026】
そして、R1 及びR3 が炭素数6〜18の芳香族炭化水素基で、R2 がジフェニルメタン基であるジウレアが特に好ましく、増ちょう剤の50質量%以上をこのようなジウレアとすることが好ましい。
さらに、基油がフッ素油を含有する場合には、分子構造中にフッ素を有するウレア化合物を増ちょう剤として用いることが好ましい。従来は、基油がフッ素油である場合には、高価なPTFE等のフッ素化合物が増ちょう剤として使用されていたので、グリース組成物が高価であった。しかし、本発明によれば、前記フッ素化合物よりも格段に安価な、分子構造中にフッ素を有するウレア化合物で代用可能であるため、グリース組成物が安価である。
【0027】
このようなジウレアをはじめとするウレア化合物は、別途合成したものを基油に分散させてもよいし、基油中で合成することによって基油に分散させてもよい。ただし、後者の方法の方が、基油中に増ちょう剤を良好に分散させやすいので、工業的に製造する場合には有利である。
ジウレアを基油中で合成する場合の合成方法は、特に限定されるものではないが、R2 の芳香族炭化水素基を有するジイソシアネート1モルと、R1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミン2モルとを、反応させる方法が最も好ましい。
【0028】
ジイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート,トリレンジイソシアネート,キシリレンジイソシアネート,ビフェニレンジイソシアネート,ジメチルジフェニレンジイソシアネート,又はこれらのアルキル基置換体等を好適に使用できる。
また、R1 ,R3 が脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である場合のモノアミンとしては、例えば、アニリン,シクロヘキシルアミン,オクチルアミン,トルイジン,ドデシルアニリン,オクタデシルアミン,ヘキシルアミン,ヘプチルアミン,ノニルアミン,エチルヘキシルアミン,デシルアミン,ウンデシルアミン,ドデシルアミン,テトラデシルアミン,ペンタデシルアミン,ノナデシルアミン,エイコデシルアミン,オレイルアミン,リノレイルアミン,リノレニルアミン,メチルシクロヘキシルアミン,エチルシクロヘキシルアミン,ジメチルシクロヘキシルアミン,ジエチルシクロヘキシルアミン,ブチルシクロヘキシルアミン,プロピルシクロヘキシルアミン,アミルシクロヘキシルアミン,シクロオクチルアミン,ベンジルアミン,ベンズヒドリルアミン,フェネチルアミン,メチルベンジルアミン,ビフェニルアミン,フェニルイソプロピルアミン,フェニルヘキシルアミン等を好適に使用できる。
【0029】
さらに、R1 ,R3 が縮合炭化水素基である場合のモノアミンとしては、例えば、アミノインデン、アミノインダン、アミノ−1−メチレンインデン等のインデン系アミン化合物、アミノナフタレン(ナフチルアミン)、アミノメチルナフタレン、アミノエチルナフタレン、アミノジメチルナフタレン、アミノカダレン、アミノビニルナフタレン、アミノフェニルナフタレン、アミノベンジルナフタレン、アミノジナフチルアミン、アミノビナフチル、アミノ−1,2−ジヒドロナフタレン、アミノ−1,4−ジヒドロナフタレン、アミノテトラヒドロナフタレン、アミノオクタリン等のナフタレン系アミン化合物、アミノペンタレン、アミノアズレン、アミノヘプタレン等の縮合二環系アミン化合物、アミノフルオレン、アミノ−9−フェニルフルオレン等のアミノフルオレン系アミン化合物、アミノアントラセン、アミノメチルアントラセン、アミノジメチルアントラセン、アミノフェニルアントラセン、アミノ−9,10−ジヒドロアントラセン等のアントラセン系アミン化合物、アミノフェナントレン、アミノ−1,7−ジメチルフェナントレン、アミノレテン等のフェナントレンアミン化合物、アミノビフェニレン、アミノ−sym−インダセン、アミノ−as−インダセン、アミノアセナフチレン、アミノアセナフテン、アミノフェナレン等の縮合三環系アミン化合物、アミノナフタセン、アミノクリセン、アミノピレン、アミノトリフェニレン、アミノベンゾアントラセン、アミノアセアントリレン、アミノアセアントレン、アミノアセフェナントリレン、アミノアセフェナントレン、アミノフルオランテン、アミノプレイアデン等の縮合四環系アミン化合物、アミノペンタセン、アミノペンタフェン、アミノピセン、アミノペリレン、アミノジベンゾアントラセン、アミノベンゾピレン、アミノコラントレン等の縮合五環系アミン化合物、アミノコロネン、アミノピラントレン、アミノビオラントレン、アミノイソビオラントレン、アミノオバレン等の縮合多環系(六環以上)アミン化合物などが好適に用いられる。
【0030】
さらに、分子構造中にフッ素を有するジウレアを合成する場合には、前述したジウレアの合成方法において、R2 の芳香族炭化水素基を有するジイソシアネートとR1 ,R3 の炭化水素基を有するモノアミンとの少なくとも一方を、フッ素化された化合物とすればよい。なお、R1 ,R3 は、少なくとも一方にフッ素原子を有していればよい。
【0031】
分子構造中にフッ素を有するモノアミンとしては、例えば、フルオロアニリン,ジフルオロアニリン,トリフルオロアニリン,アミノベンゾフルオライド,アミノベンゾジフルオライド,アミノベンゾトリフルオライド,フルオロトルイジン,ジフルオロトルイジン,トリフルオロトルイジン,フルオロベンジルアミン,ジフルオロベンジルアミン,トリフルオロベンジルアミン等が好ましい。そして、4−トリフルオロメチルアニリンと3,5−ジフルオロベンジルアミンとがより好ましく、p−フルオロアニリン、2,4−ジフルオロアニリン、2,4−ジ(トリフルオロメチル)アニリン、1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン、及び1H,1H−ペンタデカフルオロオクチルアミンがさらに好ましい。
【0032】
このR1 ,R2 ,R3 に含有されるフッ素原子のジウレア化合物1モルに対する比率は、0.1モル原子以上であることが好ましい。このモル数は、アミン分子又はジイソシアネート分子1個に含まれるフッ素原子の数、及び、フッ素を有していないアミン又はジイソシアネートを混合することによって調整できる。
〔基油について〕
本発明においてグリース組成物の基油として使用される合成油の種類は特に限定されるものではないが、合成炭化水素油,エーテル油,エステル油,及びフッ素油等があげられる。
【0033】
具体的には、合成炭化水素油としてはポリα−オレフィン油等があげられ、エーテル油としてはジアルキルジフェニルエーテル油,アルキルトリフェニルエーテル油,アルキルテトラフェニルエーテル油等があげられる。また、エステル油としてはジエステル油,ポリオールエステル油(例えばネオペンチル型ポリオールエステル油等),これらのコンプレックスエステル油,芳香族エステル油,炭酸エステル油等があげられ、フッ素油としてはパーフルオロエーテル油,フルオロシリコーン油,クロロトリフルオロエチレン油,フルオロフォスファゼン油等があげられる。これらの基油は、単独で用いてもよいし、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0034】
〔混和ちょう度について〕
本発明のテンタークリップ用転がり軸受に充填されるグリース組成物の混和ちょう度は、200〜350が適当である。200未満であると、転がり軸受の潤滑を必要とする部分にグリース組成物が行き渡りにくい。一方、350超過であると、遠心力により転がり軸受から漏出しやすい。
【0035】
〔添加剤について〕
本発明のテンタークリップ用転がり軸受に充填されるグリース組成物には、各種性能をさらに向上させるため、所望により種々の添加剤を添加してもよい。例えば、酸化防止剤,防錆剤,極圧剤,油性向上剤,金属不活性化剤,固体潤滑剤など、グリース組成物に一般的に使用される添加剤を、単独又は2種以上混合して用いることができる。基油にエステル油が含有されていれば、添加剤の溶解性の問題はない。
【0036】
酸化防止剤としては、例えば、アミン系,フェノール系,硫黄系,ジチオリン酸亜鉛等があげられる。
アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニル−1−ナフチルアミン,フェニル−2−ナフチルアミン,ジフェニルアミン,フェニレンジアミン,オレイルアミドアミン,フェノチアジン等があげられる。
【0037】
また、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、p−t−ブチル−フェニルサリシレート、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−フェニルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−オクチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−6−t−ブチル−m−クレゾール、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2−n−オクチル−チオ−4,6−ジ(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル)フェノキシ−1,3,5−トリアジン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のヒンダードフェノールなどがあげられる。
【0038】
防錆剤としては、例えば、石油スルフォン酸,有機系スルフォン酸金属塩(金属はアルカリ金属,アルカリ土類金属等),エステル類等があげられる。
有機系スルフォン酸金属塩の具体例としては、ジノニルナフタレンスルホン酸や重質アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩(カルシウムスルフォネート,バリウムスルフォネート,ナトリウムスルフォネートなど)等があげられる。
【0039】
また、エステル類の具体例としては、多塩基カルボン酸及び多価アルコールの部分エステルであるソルビタンモノラウレート,ソルビタントリステアレート,ソルビタンモノオレエート,ソルビタントリオレエート等のソルビタンエステル類や、ポリオキシエチレンラウレート,ポリオキシエチレンオレエート,ポリオキシエチレンステアレート等のアルキルエステル類などがあげられる。
【0040】
また、アルキルコハク酸エステル,アルケニルコハク酸エステル等のようなアルキルコハク酸誘導体,アルケニルコハク酸誘導体も、防錆剤として好ましく使用できる。
さらに、極圧剤としては、リン系,ジチオリン酸亜鉛,有機モリブデン等の極圧剤を使用することができる。
【0041】
さらに、油性向上剤としては、例えば、オレイン酸,ステアリン酸等の脂肪酸、ラウリルアルコール,オレイルアルコール等のアルコール、ステアリルアミン,セチルアミン等のアミン、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル、及び動植物油等があげられる。
さらに、金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等があげられる。
なお、これら添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明に係るテンタークリップ用転がり軸受,テンタークリップ,及びフィルム延伸機の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係るテンタークリップ用転がり軸受の一実施形態を説明する部分縦断面図である。
【0043】
図1の玉軸受(呼び番号6203,内径17mm,外径40mm,幅15mm)は、内輪1と、外輪2と、両輪1,2の間に転動自在に配設された複数の玉3と、両輪1,2の間に複数の玉3を保持する保持器4と、非接触形のゴムシール5,5と、を備えている。
また、内輪1と外輪2とゴムシール5,5とで囲まれた空隙部6には、その容積の35体積%(2g)のグリース組成物Gが充填され、ゴムシール5により軸受内部に密封されている。そして、このようなグリース組成物Gにより、前記両輪1,2の軌道面1a,2aと玉3との接触面が潤滑されている。
【0044】
このグリース組成物Gは、トリメリト酸エステルとフッ素油との混合油を基油としており、芳香族ジウレアとPTFE粉末とを増ちょう剤としている。基油中のトリメリト酸エステルの割合は60〜90質量%で、フッ素油の割合は40〜10質量%であり、基油の40℃での動粘度は100〜500mm2 /sである。また、増ちょう剤における芳香族ジウレアの割合は60〜90質量%で、PTFE粉末の割合は40〜10質量%である。
【0045】
さらに、このグリース組成物Gには、アミン系の酸化防止剤と防錆剤(亜鉛スルフォネート)とが添加剤として添加されている。ただし、本発明の目的が損なわれない程度の量であれば、上記の添加剤以外の慣用の添加剤をさらに添加してもよい。
なお、このグリース組成物Gは、ホモジナイザーを使用して各原料を均一に混合することによって製造した。
【0046】
前述のゴムシール5は円環状であり、外輪2の内周面の両端部に外輪2の全周にわたって設けられた断面略V字形のシール溝2b,2bに、その外周縁部を嵌入することにより固定されている。そして、ゴムシール5の内周縁部が内輪1の外周面に近接していて(非接触)、ゴムシール5,5が内輪1の外周面と外輪2の内周面との間の開口部分をほぼ覆っている。このことによって、内輪1と外輪2との間に形成される空隙部6(玉3の設置部分)に存在するグリース組成物Gや発生したダストが外部に漏洩したり、あるいは、外部に浮遊する塵挨が空隙部6内に侵入したりすることが防止されている。
【0047】
このような玉軸受は、図2に示すようなテンタークリップに好適に用いられる。このテンタークリップ10は、フィルム18を保持する保持部11と、複数の転がり軸受12と、保持部11及び転がり軸受12が取り付けられたテンタークリップ本体15と、で構成されており、軸14によって取り付けられた各転がり軸受12は内輪12aが固定輪、外輪12bが回転輪とされている。
【0048】
そして、各転がり軸受12の外輪12bの外周面がフィルム延伸機(図示せず)のガイドレール19に接触するようにガイドレール19に装着されたテンタークリップ10は、各転がり軸受12の転動を介してガイドレール19に沿って走行するようになっている。外輪12bの外周面とガイドレール19との接触部を潤滑するため、走行時にはエステル油のような潤滑油が前記接触部に噴霧される。
【0049】
このようなテンタークリップ10を多数用意して、フィルム18の左右両側部に保持部11を用いて取り付けた上、高温(例えば220℃)に加熱しながら略ハ字状に配置した2本のガイドレール19に沿って走行させる。そうすると、フィルム18の左右両側部のテンタークリップ10は走行するにしたがって徐々に間隔が広げられ、左右方向に向いた張力がフィルム18に負荷されるから、フィルム18が延伸される。なお、前述の加熱温度は、フィルム18の材質や延伸度合いに応じて設定すればよい。
【0050】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0051】
次に、表1〜3に示すような14種(実施例1〜11及び比較例1〜3)のグリース組成物を充填した玉軸受を用意して、軸受からのグリース組成物の漏出量と軸受の寿命とを評価した。表1〜3に記載の酸化防止剤はアミン系の酸化防止剤であり、防錆剤は亜鉛スルフォネートである。玉軸受は前述した呼び番号6203の玉軸受と同様の構成であり、軸受の空隙部内に充填されているグリース組成物の量は、空隙部の容積の35体積%(2g)である。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
実施例1〜11のグリース組成物の組成は表1〜3に示す通りであるが、各ジウレアの具体的な内容を以下に説明する。
・実施例1の芳香族ジウレア:p−トルイジンと4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とから合成されるジウレア
・実施例2の芳香族ジウレア:アニリンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例3の脂環式ジウレア:シクロヘキシルアミンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例4の芳香族ジウレア:p−トルイジンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例5の脂環式/脂肪族ジウレア:シクロヘキシルアミン及びオクチルアミンの混合物(モル比5:5)とMDIとから合成されるジウレア
・実施例6の芳香族/脂肪族ジウレア:p−トルイジン及びシクロヘキシルアミンの混合物(モル比6:4)とMDIとから合成されるジウレア
・実施例7の芳香族/脂環式ジウレア:p−トルイジン及びシクロヘキシルアミンの混合物(モル比6:4)とMDIとから合成されるジウレア
・実施例8の芳香族ジウレア:p−トルイジンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例9の芳香族ジウレア:p−トルイジンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例10の脂環式ジウレア:シクロヘキシルアミンとMDIとから合成されるジウレア
・実施例11の芳香族/脂環式ジウレア:p−トルイジン及びシクロヘキシルアミンの混合物(モル比6:4)とMDIとから合成されるジウレア
また、比較例1〜3のグリース組成物は、以下に示すような市販品である。
【0056】
・比較例1:デュポン社製クライトックスGPL205(基油の40℃における動粘度は160mm2 /sである)
・比較例2:デュポン社製クライトックスGPL207(基油の40℃における動粘度は460mm2 /sである)
・比較例3:NOKクリューバ社製バリエルタL55/2(基油の40℃における動粘度は380mm2 /sである)
これら比較例1〜3のグリース組成物は、いずれも基油はフッ素油で、増ちょう剤はPTFE粉末である。また、混和ちょう度は265〜295である。
【0057】
次に、軸受からのグリース組成物の漏出量を評価する方法について、図3を参照しながら説明する。上記のような14種のグリース組成物を充填した玉軸受20の内部に、40℃での動粘度が120mm2 /sのポリオールエステル油を0.1g(グリース組成物の5質量%)注入した。
この玉軸受20の外輪21を固定した上、回転速度6000min−1,試験温度180℃の条件で内輪22を回転させた。内輪22の回転は、外輪21の外周面に接触させたロール23により196Nのラジアル荷重を負荷しながら行った。そして、60時間回転させた後、玉軸受20から漏出したグリース組成物の量を測定した。このとき、グリース組成物の漏出量は、2.1gからの減少量とした。
【0058】
評価結果を表1〜3に併せて示す。なお、表1〜3においては、漏出量が0.3g以下であった場合は◎印で示し、0.3g超過0.4以下であった場合は○印で示した。また、0.4g超過0.5以下であった場合は△印で示し、0.5g超過であった場合は×印で示した。
表1〜3から分かるように、比較例1〜3はグリース組成物の漏出量が多かったのに対し、実施例1〜11はグリース組成物の漏出量が少なかった。
【0059】
次に、軸受の寿命を評価する方法について、図4を参照しながら説明する。前述のグリース組成物の漏出量の評価と同様に、14種のグリース組成物を充填した玉軸受30の内部に、前述のポリオールエステル油を0.1g(グリース組成物の5質量%)注入した。
この玉軸受30をプーリ35とシャフト36との間に介装して、図4の試験装置に装着した。そして、内輪32は固定し、1960Nのラジアル荷重を負荷しながら回転速度6000min−1で外輪31を回転させて(試験温度は220℃)、玉軸受30の耐久性(寿命)を評価した。なお、前記ラジアル荷重は、プーリ35を回転駆動する図示しないベルトの張力により負荷した。
【0060】
評価結果を表1〜3に併せて示す。なお、表1〜3に記載の寿命は、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。表1〜3から分かるように、実施例1〜11は比較例1〜3と比べて寿命が優れていた。このことから、実施例1〜11は、グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強いポリオールエステル油が内部に侵入するような環境下で使用されても長寿命であることが分かる。
【0061】
次に、実施例2のグリース組成物において、トリメリト酸エステルとフッ素油との比率を種々変更したものを用意して、前述と同様の方法によりグリース組成物の漏出量及び寿命を評価した。それぞれのグリース組成物における芳香族ジウレアとPTFEとの比率は、各グリース組成物のトリメリト酸エステルとフッ素油との比率に一致させた。
【0062】
その結果を図5のグラフに示す。なお、このグラフの横軸は、基油全体におけるフッ素油の割合(質量%)である(増ちょう剤全体におけるPTFEの割合でもある)。また、このグラフにおける寿命の値は、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
このグラフから、基油全体におけるフッ素油の割合が10〜40質量%であれば、グリース組成物の漏出量が少なく、且つ寿命が優れていることが分かる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明のテンタークリップ用転がり軸受は、軸受内部に充填されたグリース組成物が、基油として合成油を含有し、増ちょう剤としてウレア化合物を含有しているので、リース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油が軸受内部に侵入しても、グリース組成物の軸受内部からの漏出が抑制され長寿命である。
また、本発明のテンタークリップ及びフィルム延伸機は、テンタークリップ用転がり軸受の内部に前記潤滑油が侵入してもグリース組成物の漏出が生じにくいので長寿命である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るテンタークリップ用転がり軸受の一実施形態を示す部分縦断面図である。
【図2】本発明に係るテンタークリップの一実施形態を示す側面図である。
【図3】軸受からのグリース組成物の漏出量を評価する方法を説明する図である。
【図4】軸受の寿命を評価する方法を説明する断面図である。
【図5】基油全体におけるフッ素油の割合と、軸受からのグリース組成物の漏出量及び軸受の寿命と、の相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 内輪
2 外輪
3 玉
5 ゴムシール
6 空隙部
G グリース組成物
10 テンタークリップ
11 保持部
12 転がり軸受
12a 内輪
12b 外輪
18 フィルム
19 ガイドレール
20 玉軸受
21 外輪
22 内輪
30 玉軸受
31 外輪
32 内輪
Claims (7)
- 固定輪である内輪と、回転輪である外輪と、前記両輪の間に転動自在に配設された複数の転動体と、前記両輪の間に形成され前記転動体が配設された空隙部内に充填されたグリース組成物と、を備えるとともに、
フィルムを保持しつつフィルム延伸機のガイドレールに沿って走行するテンタークリップに備えられ、前記グリース組成物の基油よりも金属に対する親和性が強い潤滑油によって前記外輪の外周面と前記ガイドレールとの接触部が潤滑されつつ前記ガイドレール上を転動する転がり軸受であって、
前記グリース組成物は基油として合成油を含有し、増ちょう剤としてウレア化合物を含有することを特徴とするテンタークリップ用転がり軸受。 - 前記基油はエステル油とフッ素油との混合油であり、該混合油の40℃での動粘度は100〜500mm2 /sであることを特徴とする請求項1に記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- 前記基油をエステル油60〜90質量%とフッ素油40〜10質量%とで構成し、前記増ちょう剤をウレア化合物60〜90質量%とポリテトラフルオロエチレン樹脂40〜10質量%とで構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- 非接触シール又はシールドを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- 前記潤滑油がエステル油であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- フィルムを保持する保持部と、フィルム延伸機のガイドレール上を転動する転がり軸受と、を備えるテンタークリップにおいて、前記転がり軸受を請求項1〜5のいずれかに記載のテンタークリップ用転がり軸受としたことを特徴とするテンタークリップ。
- フィルムを保持するテンタークリップと、前記テンタークリップの走行を案内するガイドレールと、を備えるフィルム延伸機において、前記テンタークリップを請求項6に記載のテンタークリップとしたことを特徴とするフィルム延伸機。
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