JP2004300616A - モノフィラメントの溶融紡糸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】口金に設置された複数のノズルから吐出される糸条間および糸条内の繊度斑、太さ斑のないモノフィラメントを効率よく紡糸することが可能な溶融紡糸装置を提供する。
【解決手段】紡糸パック内の流路に静的混練器9が設置されており、該静的混練器の下流に断面が円形(直径D1)の濾過層10を設置し、かつ該濾過層の下流に口金5を設置したものにおいて、該口金に複数個存在するノズルが口金中心点をとおり横一列に配列されており、口金中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、さらに前記濾過層の直径D1と口金中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔が5mm以上15mm以下であることを特徴とする溶融紡糸装置。
【選択図】図1
【解決手段】紡糸パック内の流路に静的混練器9が設置されており、該静的混練器の下流に断面が円形(直径D1)の濾過層10を設置し、かつ該濾過層の下流に口金5を設置したものにおいて、該口金に複数個存在するノズルが口金中心点をとおり横一列に配列されており、口金中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、さらに前記濾過層の直径D1と口金中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔が5mm以上15mm以下であることを特徴とする溶融紡糸装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性ポリマーを用いて、1つの口金より複数のモノフィラメントを同時に紡糸する多条紡糸口金装置を備えたモノフィラメントの溶融紡糸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ポリアミド等の糸条を溶融紡糸する場合、複数のノズルから紡出される糸条のそれぞれの糸条間での繊度差(繊度斑)を小さくすることが必要である。糸条間の繊度斑を小さくするために、ノズルの直径や形状を規定した紡糸口金が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような口金は、口金のノズル形状を規定するものであって、紡糸する際にはポリマーを口金のノズルのみを通過させるものであるため、単糸繊度が大きいモノフィラメントを紡糸する場合口金のそれぞれのノズルより紡糸されるモノフィラメント間において、繊度斑が生じやすいという問題があった。そうした繊度斑が生じたモノフィラメントを用いて製織すると、得られる布帛にはタテスジやヨコ段等が発生し、品位に劣ったものとなる。
【0004】
更に、特開平09−268419には口金直上に隣接する計量プレートが存在し、口金の1つのノズルに対して複数の導入孔を配することによりモノフィラメントの糸条間の繊度斑を抑制する技術が提案されている。
【0005】
このような複数のノズルを配した計量プレートを用いると、該ノズルの合流地点後におけるポリマ溜まりでの異常滞留が生じ、粘度斑による糸条内の太さ斑が発生しやすくなる。
【0006】
また、紡糸パック内部に静的混練器を組み込むことにより繊度等の物性を均一化させる技術が提案されている(例えば、特許文献2〜特許文献5参照)。
【0007】
他方、50デシテックス以下の比較的単糸繊度の小さいモノフィラメントはスクリーン印刷用の紗に用いられるケースが多い。この用途においては、モノフィラメントに対して高度な均一性がが求められている。すなわちスクリーン紗以外の用途であれば問題にならなかった糸条間の繊度斑や糸条内の太さ斑が問題視されるようになっている。
【0008】
この問題に対しては前述した従来技術やそれらの単純な組み合わせでは解決出来なかったが、本発明者らは、それらに加えて冷却風吹き出し面から糸条までの距離を均一化させることにより本問題を解決できる手段を見出し本発明に至った。
【0009】
【特許文献1参照】
特開昭52−91916号公報
【0010】
【特許文献2参照】
特開昭60−39405号公報
【0011】
【特許文献3参照】
特開昭60−119208号公報
【0012】
【特許文献4参照】
特開昭60−199907号公報
【0013】
【特許文献5参照】
特開平11−100709号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題を解決し、合成繊維を溶融紡糸するプロセスの中で、1つの口金に設置された複数のノズルから吐出される糸条間および糸条内の繊度斑、太さ斑のないないモノフィラメントを効率よく紡糸することが可能な溶融紡糸装置を提供することを技術的な課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するため以下の構成を採用する。すなわち、
(1)紡糸パック内に設けられた溶融熱可塑性ポリマーを吐出するノズルと、該ノズルから吐出された合成繊維を冷却固化するための一方向から吹きつける冷却風吹き出し手段と、給油後にモノフィラメントとして巻き取られる巻き取り手段を備えた溶融紡糸装置において、紡糸パック内の流路に静的混練器が設置されており、該静的混練器の下流に断面が円形(直径D1)の濾過層を設置し、かつ該濾過層の下流に口金を設置したものにおいて、該口金に複数個存在するノズルが口金中心点をとおり横一列に配列されており、口金中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、さらに前記濾過層の直径D1と口金中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔が5mm以上15mm以下であることを特徴とする溶融紡糸装置。
【0016】
(2)紡出糸の冷却風の吹き出し面が口金ノズルの配列と平行に設置されたものであることを特徴とする前記(1)に記載の溶融紡糸装置。
【0017】
(3)口金の直上に計量プレートが設置されており、該計量プレートのオリフィスの径が口金ノズルの径の0.5倍以上2.0倍以下であり、かつ該オリフィスの長手方向と該オリフィスの下流側に設けられたポリマ溜まりのテーパー部分のなす角度θが30°以上60°以下であって、かつ前記ポリマ溜まりの径が口金ノズルの導入孔と同径であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶融紡糸装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面に示す実施態様に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の溶融紡糸装置の一例を示したものである。図1は冷却風吹き出し口7を正面から見たときの図であり、各ノズルが横一列に並んでいる点が本発明の特徴である。本発明である溶融紡糸装置の構成は、流路ブロック2内に静的混練器9を1個設置し、その下流側に断面が円形(直径D2)の濾過層10を有し、その下流側に多孔プレート3を設置し、計量プレート4を経て、計量プレートに4に隣接した口金5が設置されている。口金5には、各ノズル孔が口金の中心点を通り横一列に複数配列されており、計量プレート4には口金ノズル1つに対して1つのオリフィス12が設置されている。
【0020】
図2において、静的混練器9は内部に流路変更羽根17を内設した一対の管18、18を複数対(N対)が長手方向に沿って90°づつ位相を変えながら接続されて構成されている。
【0021】
また、図3において、オリフィス12の上部にはポリマーを導入する導入孔14が下部にはポリマー溜まり15が設置されており、さらにノズル11の上部にはポリマを導入する導入孔13が設置されている。
【0022】
次に、本発明の溶融紡糸装置を用いてモノフィラメントを紡糸する際のポリマーの流れについて説明する。
【0023】
先ず押出機で溶融されたポリマーは、流路ブロック2のポリマ流路8を通過した後、N対設置されている静的混練器9で2のN乗に分割された状態に混練され、濾過層10、フィルター16を通過し、多孔プレート3を通過した後、計量プレート4に設置された複数のオリフィス12を経、口金5に設置された複数のノズル11から糸条が吐出される。糸条は冷却風吹き出し面7から吹き出される冷却風によって固化し、油剤を付与された後に直接紡糸延伸方法または未延伸糸のままモノフィラメントとして巻き取られる。
【0024】
ここにおける合成繊維としては、ポリエステルからポリアミド等の一般的なものから液晶特性を有するものまで、いわゆる溶融紡糸方法により繊維形態を得られるものであればいずれでもよく、また本発明の他の構成要件を満たす限りにおいて、2成分以上のポリマーからなる複合糸であっても構わない。但し、原料の汎用性の点からポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66およびこれらを含んだ複合糸が最も好ましい。
【0025】
また、本発明においては、紡糸パック内の流路に静的混練器が設置されていることが重要である。一般にポリエステル、ナイロン等の熱可塑性ポリマーを紡糸する工程において、紡糸パックに溶融ポリマーが送られてくるまでに、スピンブロック中のポリマー分配導入孔ベント、エルボ等をポリマーが通過する際に、ポリマの滞留差が生じる。このような滞留差が生じたポリマーを紡糸するとノズルから吐出された糸条の長手方向で太さ斑が起こる。静的混練器を設置しないと前述した問題が発生する。また、静的混練器の段数は2〜4段であることが好ましい。2段より少ない場合はポリマーの均一混練という本来の目的を達成できなくなり、4段より多い場合は紡糸パックをコンパクトに設計できなくなるためである。
【0026】
静的混練器としては、例えば特公昭53−36182号公報、特公昭52−2142号公報などに記載されているような静的混練器、あるいは住友/スルーザー株式会社より市販されている“住友/スルザーミキサー”、東レエンジニアリング株式会社より市販されている“ハイミキサー”など、ポリマを混合できるものであればいかなるものであってもよい。
【0027】
また、静的混練器の下流側に設置する濾過層は断面が円形であることが重要である。円形以外の形状であると各点でのポリマー流路差が大きくポリマの異常滞留が起きやすい問題がある。
【0028】
濾層の構成としては、砂や金属粉末が充填された濾材と不織布フィルターの並用、あるいは不織布フィルターのみの使用であるがパック内のポリマー滞留容積を減少させ、ポリマーの粘度低下を抑制させることが重要視されていることを考えると、不織布フィルターのみの構成が好ましい。また、モノフィラメントを紡糸する際にポリマー内の不純物が核となって吐出され、部分的な太糸(節糸)となる問題があり、不織布フィルターの目開きについては、7ミクロン以上15ミクロン以下とすることが好ましい。目開きついてはマイクロスコープにより拡大しn=10の平均が中心設定±5%の範囲内であることが重要である。
【0029】
濾層の下流側に設置する多孔プレート3としては、濾材で濾過されたポリマを計量プレート4のそれぞれの導入孔に効率よく導くためのもの、導入孔19の配列はポリマ通路に対して全体に広がっており吐出孔20は計量プレート4のオリフィス導入孔14と同配列となる横一列とすることが好ましい。多孔プレート吐出孔20と計量プレート4のオリフィス導入孔14の配列が異なると、多孔スペーサー3と計量プレート4の隣接する部分に設置するポリマ溜まりのスペースが広がることになり、そこにおけるポリマ流速差による異常滞留が発生し糸条内における太さ斑の原因になるためである。材質としては、特に規定するものではないが、アルミ等の耐熱性に弱い材質でなければよく、公知のものが適用できる。
【0030】
計量プレート4としては、オリフィス12の配列が口金5のノズル11と同配列である横一列であり、ノズル11の1つにオリフィス12を1つ設置し、ポリマ溜まり15の径がノズル導入孔13と同径であると好ましい。ノズル1つに複数のオリフィス12を設置した場合、複数のオリフィス12から吐出されたポリマを合流させるためのポリマ溜まり15の径がノズル導入孔13の径よりも大径となり、ポリマ溜まり15における異常滞留が発生し、前述したとおり太さ斑の原因となるためである。
【0031】
また、オリフィス12の径がノズル11の径の0.5倍以上2.0倍以下であることが好ましい。オリフィス12の径がノズル11の径の0.5倍未満の場合は、パック内圧の上昇が著しいためポリマ吐出量が高い時はパック部材の破損につながり安全上問題になる。2.0倍より大きい場合は、ノズル導入孔へのポリマ圧力が不均一になり糸条内の長手方向における太さ斑の原因になる。
【0032】
更にオリフィス12の長手方向とポリマ溜まり15のテーパーのなす角度θが30°以上60°以下とすることが好ましい。30°未満の場合は、ポリマ溜まり15の容積が大きくなり計量性が低下する。また、60°より大きいとポリマの異常滞留が起きやすくなり太さ斑の原因になる。
【0033】
また、口金5の中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、濾過層の直径D1と口金5の中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比が(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔lが5mm以上15mm以下であることが好ましい。前述したとおりパック内の濾層の管壁付近と中心部分とでは、ポリマの流速差が大きく、中心部分であればポリマ流速が管壁付近に比べて速く、また変化が少ないため濾層中心部分の直下にノズル11を配列することが好ましい。ここで濾過層の直径D1と口金5の中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比が(D1/D2)が1.8未満の場合は、濾過層の管壁付近の流速差の影響を受け、計量プレート4におけるポリマの計量性が不十分になり、糸条間の繊度バラツキが大きくなり本発明の目的を達成出来ない。またノズル孔間隔lが5mm未満の場合は、紡糸された糸条同志の融着が生しやすく製糸性が悪化する。15mmを越える場合はパック自体が大きいものとなり、滞留時間が延び粘度斑の原因となる。
【0034】
また、ノズルの数としては前述のD1/D2およびノズル孔間隔の点から2〜8個とすることが好ましい。
【0035】
口金のノズルの直径については、特に限定されるものではなく、1つのノズルから吐出される吐出量によって異なり、口金の直径をD(mm)、1つのノズルからの吐出量をQ(g/分)とすると、Q×0.5≧D≧Q×0.1程度とすることが好ましい。
【0036】
本発明は、口金の横一列配列と紡出糸の冷却風吹き出し面を平行、より好ましくは0°にするものである。平行でない場合は、各ノズルと吹き出し面との距離が異なり、糸条間において冷却効率が変化するためであり、結果として布帛品位を低下させてしまう。
【0037】
本発明の溶融紡糸装置においては、冷却固化後一旦未延伸糸のモノフィラメントとして巻き取った後延伸熱処理し、実用に耐えうる強度を持った延伸糸をえる方法、または冷却固化後連続して延伸熱処理し延伸糸を得る直接紡糸延伸方法のいずれも活用可能である。ただし、前者は一旦未延伸糸として巻取るため、経時変化により巻き取った未延伸糸の内層と外層で非晶部分の緩和差が生じ、延伸した際に糸条内における長手方向の強伸度バラツキが大きくなり、製織性や布帛品位の低下につながる。そのため、冷却固化後は直接紡糸延伸方法を用いるのが好ましい。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0039】
実施例1〜3、比較例1〜5
図1に示した多糸条溶融紡糸装置より、35℃のo−クロロフェノール溶液にて測定した固有粘度が1.0の粒状ポリエチレンテレフタレートを単糸の未延伸繊度が40デシテックスになるように吐出量を調整し、紡出糸を冷却固化後に油剤付与ローラーにて油剤を糸条に付与し、張力付与ローラーにてストレッチ率1.0%の張力を付与した後、未延伸糸をガラス転移点以上に加熱供給ローラーで予熱し紡糸速度700m/分で供給し、加熱供給ローラーと加熱延伸ローラーの間で4.6倍のもと延伸し、巻取速度3200m/分で巻き取った。ここで、溶融紡糸装置のノズルプレートと計量プレートは直径110mmの円形であり、ノズルプレートと計量プレートの両者を合わせた厚さは24mmであり、ノズル、オリフィスおよびポリマー溜まりの断面形状は丸であった。なお、各実施例及び比較例中において、ノズルプレートのノズル数と計量プレートのオリフィス数は等しいものとした。得られた延伸糸の各物性(糸条内繊度開差率、糸条間繊度開差率、糸条間ウスターH%開差率)、製糸性、高次評価(外径測定器による節糸確認、タテ糸削れ)及び評価基準について下記に示す。
【0040】
測定項目および評価基準:
1.糸条内繊度開差率(糸条内の吐出計量性の指標):100m法
開差率(%)=[(糸条内n=5回測定の繊度最大値−最小値)/平均値]×100
○:0.5%以下 △:0.5%超過1.0%以下 ×:1.0%超過
2.糸条間繊度開差率(糸条間の吐出計量性の指標):100m法
開差率(%)=[(糸条間の繊度最大値−最小値)/平均値]×100
○:0.8%以下 △: 0.8%超過1.5%以下 ×:1.5%超過
3.ウスターH%の開差率(糸条間の冷却斑の指標):糸長200m、糸速20m/分
開差率(%)= [(糸条間のUH%最大値−最小値)/平均値]×100
○:15.0%以下 △:15.0%超過30.0%以下 ×:30.0%超過
4.製糸性:
紡糸1ton当たりの糸切れ回数
○: 0.5回/ton以下 △: 1.0回/ton以下0.5回/ton超過 ×: 1.0回/ton超過
5.外径測定器による節糸確認(濾過性、ポリマ異常滞留程度、混練性の指標):
糸長750000メートル 糸速100m/分
節糸発生= (最大値線径(ミクロン)≧α× 平均線径)
α:節糸係数(過去の知見から1.5倍とする)
○:1.0個/百万m以下 △:1.0個/百万m超過5.0個/百万m以下
×: 5.0個/百万m超過
6.削れ:(糸条内の強伸度バラツキの指標):
糸条に0.1cN/dtexの荷重をかけ、オサ羽に擦過させたときの白粉発生回数
○:200回以下 △:200回超過500回以下 ×:500回超過
表1に示してあるとおり、実施例1では、製糸プロセスは直接紡糸延伸を用いた場合、各物性、製糸性、高次評価において良好な結果が得られた。
【0041】
実施例2では、製糸プロセスは直接紡糸延伸を用いた場合、物性(糸条内繊度開差率、糸条間繊度開差率)と高次評価(節糸発生数、タテ糸削れ)において実施例1に劣る延伸糸が得られた。
【0042】
実施例3では、製糸プロセスに非直接紡糸延伸を用いた場合、高次評価(タテ糸削れ)において実施例1に劣る延伸糸が得られた。
【0043】
表2に示す比較例1では、糸条内繊度開差率に劣る延伸糸が得られた。
【0044】
比較例2では、物性(糸条内、糸条間繊度開差率)と高次評価(節糸発生数、タテ糸削れ)に劣る延伸糸が得られた。
【0045】
比較例3では、紡出糸の融着がおき製糸性に劣るものであった。
【0046】
比較例4では、糸条間のウスターH%開差率に劣る延伸糸が得られた。
【0047】
比較例5では、糸条間の繊度開差率に劣った延伸糸が得られた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明のモノフィラメント溶融紡糸装置および溶融紡糸紡糸方法を用いることにより、パック内におけるポリマの混練性を向上させると共に、計量プレートにおけるポリマ溜まりでの異常滞留を抑制し、糸条間における紡出時の冷却効率を同一にすることにより、糸条間および糸条内の繊度斑、太さ斑のないないモノフィラメントを効率よく紡糸することが可能となった。このことにより布帛にした場合の品位を大幅に向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモノフィラメント溶融紡糸装置の一例を説明するための略図である。
【図2】本発明の多孔プレートのみを取り出して上から例示した図である。
【図3】本発明の紡糸口金のみを取り出して下から例示した図である。
【図4】本発明の紡糸口金のみを取り出して側面から見た図である。
【図5】本発明の静的混練器のみを取り出して例示した斜視図である。
【符号の説明】
1:紡糸パック
2:流路ブロック
3:多孔プレート
4:計量プレート
5:口金
6:保温板
7:冷却風吹き出し口
8:ポリマ流路
9:静的混練器
10:濾過層
11:ノズル
12:オリフィス
13:ノズル導入孔
14:オリフィス導入孔
15:ポリマ溜まり
16:フィルタ
17:流路変更羽根
18:管
19:多孔プレート導入孔
20:多孔プレート吐出孔
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性ポリマーを用いて、1つの口金より複数のモノフィラメントを同時に紡糸する多条紡糸口金装置を備えたモノフィラメントの溶融紡糸装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル、ポリアミド等の糸条を溶融紡糸する場合、複数のノズルから紡出される糸条のそれぞれの糸条間での繊度差(繊度斑)を小さくすることが必要である。糸条間の繊度斑を小さくするために、ノズルの直径や形状を規定した紡糸口金が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような口金は、口金のノズル形状を規定するものであって、紡糸する際にはポリマーを口金のノズルのみを通過させるものであるため、単糸繊度が大きいモノフィラメントを紡糸する場合口金のそれぞれのノズルより紡糸されるモノフィラメント間において、繊度斑が生じやすいという問題があった。そうした繊度斑が生じたモノフィラメントを用いて製織すると、得られる布帛にはタテスジやヨコ段等が発生し、品位に劣ったものとなる。
【0004】
更に、特開平09−268419には口金直上に隣接する計量プレートが存在し、口金の1つのノズルに対して複数の導入孔を配することによりモノフィラメントの糸条間の繊度斑を抑制する技術が提案されている。
【0005】
このような複数のノズルを配した計量プレートを用いると、該ノズルの合流地点後におけるポリマ溜まりでの異常滞留が生じ、粘度斑による糸条内の太さ斑が発生しやすくなる。
【0006】
また、紡糸パック内部に静的混練器を組み込むことにより繊度等の物性を均一化させる技術が提案されている(例えば、特許文献2〜特許文献5参照)。
【0007】
他方、50デシテックス以下の比較的単糸繊度の小さいモノフィラメントはスクリーン印刷用の紗に用いられるケースが多い。この用途においては、モノフィラメントに対して高度な均一性がが求められている。すなわちスクリーン紗以外の用途であれば問題にならなかった糸条間の繊度斑や糸条内の太さ斑が問題視されるようになっている。
【0008】
この問題に対しては前述した従来技術やそれらの単純な組み合わせでは解決出来なかったが、本発明者らは、それらに加えて冷却風吹き出し面から糸条までの距離を均一化させることにより本問題を解決できる手段を見出し本発明に至った。
【0009】
【特許文献1参照】
特開昭52−91916号公報
【0010】
【特許文献2参照】
特開昭60−39405号公報
【0011】
【特許文献3参照】
特開昭60−119208号公報
【0012】
【特許文献4参照】
特開昭60−199907号公報
【0013】
【特許文献5参照】
特開平11−100709号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題を解決し、合成繊維を溶融紡糸するプロセスの中で、1つの口金に設置された複数のノズルから吐出される糸条間および糸条内の繊度斑、太さ斑のないないモノフィラメントを効率よく紡糸することが可能な溶融紡糸装置を提供することを技術的な課題とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するため以下の構成を採用する。すなわち、
(1)紡糸パック内に設けられた溶融熱可塑性ポリマーを吐出するノズルと、該ノズルから吐出された合成繊維を冷却固化するための一方向から吹きつける冷却風吹き出し手段と、給油後にモノフィラメントとして巻き取られる巻き取り手段を備えた溶融紡糸装置において、紡糸パック内の流路に静的混練器が設置されており、該静的混練器の下流に断面が円形(直径D1)の濾過層を設置し、かつ該濾過層の下流に口金を設置したものにおいて、該口金に複数個存在するノズルが口金中心点をとおり横一列に配列されており、口金中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、さらに前記濾過層の直径D1と口金中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔が5mm以上15mm以下であることを特徴とする溶融紡糸装置。
【0016】
(2)紡出糸の冷却風の吹き出し面が口金ノズルの配列と平行に設置されたものであることを特徴とする前記(1)に記載の溶融紡糸装置。
【0017】
(3)口金の直上に計量プレートが設置されており、該計量プレートのオリフィスの径が口金ノズルの径の0.5倍以上2.0倍以下であり、かつ該オリフィスの長手方向と該オリフィスの下流側に設けられたポリマ溜まりのテーパー部分のなす角度θが30°以上60°以下であって、かつ前記ポリマ溜まりの径が口金ノズルの導入孔と同径であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶融紡糸装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面に示す実施態様に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の溶融紡糸装置の一例を示したものである。図1は冷却風吹き出し口7を正面から見たときの図であり、各ノズルが横一列に並んでいる点が本発明の特徴である。本発明である溶融紡糸装置の構成は、流路ブロック2内に静的混練器9を1個設置し、その下流側に断面が円形(直径D2)の濾過層10を有し、その下流側に多孔プレート3を設置し、計量プレート4を経て、計量プレートに4に隣接した口金5が設置されている。口金5には、各ノズル孔が口金の中心点を通り横一列に複数配列されており、計量プレート4には口金ノズル1つに対して1つのオリフィス12が設置されている。
【0020】
図2において、静的混練器9は内部に流路変更羽根17を内設した一対の管18、18を複数対(N対)が長手方向に沿って90°づつ位相を変えながら接続されて構成されている。
【0021】
また、図3において、オリフィス12の上部にはポリマーを導入する導入孔14が下部にはポリマー溜まり15が設置されており、さらにノズル11の上部にはポリマを導入する導入孔13が設置されている。
【0022】
次に、本発明の溶融紡糸装置を用いてモノフィラメントを紡糸する際のポリマーの流れについて説明する。
【0023】
先ず押出機で溶融されたポリマーは、流路ブロック2のポリマ流路8を通過した後、N対設置されている静的混練器9で2のN乗に分割された状態に混練され、濾過層10、フィルター16を通過し、多孔プレート3を通過した後、計量プレート4に設置された複数のオリフィス12を経、口金5に設置された複数のノズル11から糸条が吐出される。糸条は冷却風吹き出し面7から吹き出される冷却風によって固化し、油剤を付与された後に直接紡糸延伸方法または未延伸糸のままモノフィラメントとして巻き取られる。
【0024】
ここにおける合成繊維としては、ポリエステルからポリアミド等の一般的なものから液晶特性を有するものまで、いわゆる溶融紡糸方法により繊維形態を得られるものであればいずれでもよく、また本発明の他の構成要件を満たす限りにおいて、2成分以上のポリマーからなる複合糸であっても構わない。但し、原料の汎用性の点からポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66およびこれらを含んだ複合糸が最も好ましい。
【0025】
また、本発明においては、紡糸パック内の流路に静的混練器が設置されていることが重要である。一般にポリエステル、ナイロン等の熱可塑性ポリマーを紡糸する工程において、紡糸パックに溶融ポリマーが送られてくるまでに、スピンブロック中のポリマー分配導入孔ベント、エルボ等をポリマーが通過する際に、ポリマの滞留差が生じる。このような滞留差が生じたポリマーを紡糸するとノズルから吐出された糸条の長手方向で太さ斑が起こる。静的混練器を設置しないと前述した問題が発生する。また、静的混練器の段数は2〜4段であることが好ましい。2段より少ない場合はポリマーの均一混練という本来の目的を達成できなくなり、4段より多い場合は紡糸パックをコンパクトに設計できなくなるためである。
【0026】
静的混練器としては、例えば特公昭53−36182号公報、特公昭52−2142号公報などに記載されているような静的混練器、あるいは住友/スルーザー株式会社より市販されている“住友/スルザーミキサー”、東レエンジニアリング株式会社より市販されている“ハイミキサー”など、ポリマを混合できるものであればいかなるものであってもよい。
【0027】
また、静的混練器の下流側に設置する濾過層は断面が円形であることが重要である。円形以外の形状であると各点でのポリマー流路差が大きくポリマの異常滞留が起きやすい問題がある。
【0028】
濾層の構成としては、砂や金属粉末が充填された濾材と不織布フィルターの並用、あるいは不織布フィルターのみの使用であるがパック内のポリマー滞留容積を減少させ、ポリマーの粘度低下を抑制させることが重要視されていることを考えると、不織布フィルターのみの構成が好ましい。また、モノフィラメントを紡糸する際にポリマー内の不純物が核となって吐出され、部分的な太糸(節糸)となる問題があり、不織布フィルターの目開きについては、7ミクロン以上15ミクロン以下とすることが好ましい。目開きついてはマイクロスコープにより拡大しn=10の平均が中心設定±5%の範囲内であることが重要である。
【0029】
濾層の下流側に設置する多孔プレート3としては、濾材で濾過されたポリマを計量プレート4のそれぞれの導入孔に効率よく導くためのもの、導入孔19の配列はポリマ通路に対して全体に広がっており吐出孔20は計量プレート4のオリフィス導入孔14と同配列となる横一列とすることが好ましい。多孔プレート吐出孔20と計量プレート4のオリフィス導入孔14の配列が異なると、多孔スペーサー3と計量プレート4の隣接する部分に設置するポリマ溜まりのスペースが広がることになり、そこにおけるポリマ流速差による異常滞留が発生し糸条内における太さ斑の原因になるためである。材質としては、特に規定するものではないが、アルミ等の耐熱性に弱い材質でなければよく、公知のものが適用できる。
【0030】
計量プレート4としては、オリフィス12の配列が口金5のノズル11と同配列である横一列であり、ノズル11の1つにオリフィス12を1つ設置し、ポリマ溜まり15の径がノズル導入孔13と同径であると好ましい。ノズル1つに複数のオリフィス12を設置した場合、複数のオリフィス12から吐出されたポリマを合流させるためのポリマ溜まり15の径がノズル導入孔13の径よりも大径となり、ポリマ溜まり15における異常滞留が発生し、前述したとおり太さ斑の原因となるためである。
【0031】
また、オリフィス12の径がノズル11の径の0.5倍以上2.0倍以下であることが好ましい。オリフィス12の径がノズル11の径の0.5倍未満の場合は、パック内圧の上昇が著しいためポリマ吐出量が高い時はパック部材の破損につながり安全上問題になる。2.0倍より大きい場合は、ノズル導入孔へのポリマ圧力が不均一になり糸条内の長手方向における太さ斑の原因になる。
【0032】
更にオリフィス12の長手方向とポリマ溜まり15のテーパーのなす角度θが30°以上60°以下とすることが好ましい。30°未満の場合は、ポリマ溜まり15の容積が大きくなり計量性が低下する。また、60°より大きいとポリマの異常滞留が起きやすくなり太さ斑の原因になる。
【0033】
また、口金5の中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、濾過層の直径D1と口金5の中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比が(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔lが5mm以上15mm以下であることが好ましい。前述したとおりパック内の濾層の管壁付近と中心部分とでは、ポリマの流速差が大きく、中心部分であればポリマ流速が管壁付近に比べて速く、また変化が少ないため濾層中心部分の直下にノズル11を配列することが好ましい。ここで濾過層の直径D1と口金5の中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比が(D1/D2)が1.8未満の場合は、濾過層の管壁付近の流速差の影響を受け、計量プレート4におけるポリマの計量性が不十分になり、糸条間の繊度バラツキが大きくなり本発明の目的を達成出来ない。またノズル孔間隔lが5mm未満の場合は、紡糸された糸条同志の融着が生しやすく製糸性が悪化する。15mmを越える場合はパック自体が大きいものとなり、滞留時間が延び粘度斑の原因となる。
【0034】
また、ノズルの数としては前述のD1/D2およびノズル孔間隔の点から2〜8個とすることが好ましい。
【0035】
口金のノズルの直径については、特に限定されるものではなく、1つのノズルから吐出される吐出量によって異なり、口金の直径をD(mm)、1つのノズルからの吐出量をQ(g/分)とすると、Q×0.5≧D≧Q×0.1程度とすることが好ましい。
【0036】
本発明は、口金の横一列配列と紡出糸の冷却風吹き出し面を平行、より好ましくは0°にするものである。平行でない場合は、各ノズルと吹き出し面との距離が異なり、糸条間において冷却効率が変化するためであり、結果として布帛品位を低下させてしまう。
【0037】
本発明の溶融紡糸装置においては、冷却固化後一旦未延伸糸のモノフィラメントとして巻き取った後延伸熱処理し、実用に耐えうる強度を持った延伸糸をえる方法、または冷却固化後連続して延伸熱処理し延伸糸を得る直接紡糸延伸方法のいずれも活用可能である。ただし、前者は一旦未延伸糸として巻取るため、経時変化により巻き取った未延伸糸の内層と外層で非晶部分の緩和差が生じ、延伸した際に糸条内における長手方向の強伸度バラツキが大きくなり、製織性や布帛品位の低下につながる。そのため、冷却固化後は直接紡糸延伸方法を用いるのが好ましい。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0039】
実施例1〜3、比較例1〜5
図1に示した多糸条溶融紡糸装置より、35℃のo−クロロフェノール溶液にて測定した固有粘度が1.0の粒状ポリエチレンテレフタレートを単糸の未延伸繊度が40デシテックスになるように吐出量を調整し、紡出糸を冷却固化後に油剤付与ローラーにて油剤を糸条に付与し、張力付与ローラーにてストレッチ率1.0%の張力を付与した後、未延伸糸をガラス転移点以上に加熱供給ローラーで予熱し紡糸速度700m/分で供給し、加熱供給ローラーと加熱延伸ローラーの間で4.6倍のもと延伸し、巻取速度3200m/分で巻き取った。ここで、溶融紡糸装置のノズルプレートと計量プレートは直径110mmの円形であり、ノズルプレートと計量プレートの両者を合わせた厚さは24mmであり、ノズル、オリフィスおよびポリマー溜まりの断面形状は丸であった。なお、各実施例及び比較例中において、ノズルプレートのノズル数と計量プレートのオリフィス数は等しいものとした。得られた延伸糸の各物性(糸条内繊度開差率、糸条間繊度開差率、糸条間ウスターH%開差率)、製糸性、高次評価(外径測定器による節糸確認、タテ糸削れ)及び評価基準について下記に示す。
【0040】
測定項目および評価基準:
1.糸条内繊度開差率(糸条内の吐出計量性の指標):100m法
開差率(%)=[(糸条内n=5回測定の繊度最大値−最小値)/平均値]×100
○:0.5%以下 △:0.5%超過1.0%以下 ×:1.0%超過
2.糸条間繊度開差率(糸条間の吐出計量性の指標):100m法
開差率(%)=[(糸条間の繊度最大値−最小値)/平均値]×100
○:0.8%以下 △: 0.8%超過1.5%以下 ×:1.5%超過
3.ウスターH%の開差率(糸条間の冷却斑の指標):糸長200m、糸速20m/分
開差率(%)= [(糸条間のUH%最大値−最小値)/平均値]×100
○:15.0%以下 △:15.0%超過30.0%以下 ×:30.0%超過
4.製糸性:
紡糸1ton当たりの糸切れ回数
○: 0.5回/ton以下 △: 1.0回/ton以下0.5回/ton超過 ×: 1.0回/ton超過
5.外径測定器による節糸確認(濾過性、ポリマ異常滞留程度、混練性の指標):
糸長750000メートル 糸速100m/分
節糸発生= (最大値線径(ミクロン)≧α× 平均線径)
α:節糸係数(過去の知見から1.5倍とする)
○:1.0個/百万m以下 △:1.0個/百万m超過5.0個/百万m以下
×: 5.0個/百万m超過
6.削れ:(糸条内の強伸度バラツキの指標):
糸条に0.1cN/dtexの荷重をかけ、オサ羽に擦過させたときの白粉発生回数
○:200回以下 △:200回超過500回以下 ×:500回超過
表1に示してあるとおり、実施例1では、製糸プロセスは直接紡糸延伸を用いた場合、各物性、製糸性、高次評価において良好な結果が得られた。
【0041】
実施例2では、製糸プロセスは直接紡糸延伸を用いた場合、物性(糸条内繊度開差率、糸条間繊度開差率)と高次評価(節糸発生数、タテ糸削れ)において実施例1に劣る延伸糸が得られた。
【0042】
実施例3では、製糸プロセスに非直接紡糸延伸を用いた場合、高次評価(タテ糸削れ)において実施例1に劣る延伸糸が得られた。
【0043】
表2に示す比較例1では、糸条内繊度開差率に劣る延伸糸が得られた。
【0044】
比較例2では、物性(糸条内、糸条間繊度開差率)と高次評価(節糸発生数、タテ糸削れ)に劣る延伸糸が得られた。
【0045】
比較例3では、紡出糸の融着がおき製糸性に劣るものであった。
【0046】
比較例4では、糸条間のウスターH%開差率に劣る延伸糸が得られた。
【0047】
比較例5では、糸条間の繊度開差率に劣った延伸糸が得られた。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】
本発明のモノフィラメント溶融紡糸装置および溶融紡糸紡糸方法を用いることにより、パック内におけるポリマの混練性を向上させると共に、計量プレートにおけるポリマ溜まりでの異常滞留を抑制し、糸条間における紡出時の冷却効率を同一にすることにより、糸条間および糸条内の繊度斑、太さ斑のないないモノフィラメントを効率よく紡糸することが可能となった。このことにより布帛にした場合の品位を大幅に向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモノフィラメント溶融紡糸装置の一例を説明するための略図である。
【図2】本発明の多孔プレートのみを取り出して上から例示した図である。
【図3】本発明の紡糸口金のみを取り出して下から例示した図である。
【図4】本発明の紡糸口金のみを取り出して側面から見た図である。
【図5】本発明の静的混練器のみを取り出して例示した斜視図である。
【符号の説明】
1:紡糸パック
2:流路ブロック
3:多孔プレート
4:計量プレート
5:口金
6:保温板
7:冷却風吹き出し口
8:ポリマ流路
9:静的混練器
10:濾過層
11:ノズル
12:オリフィス
13:ノズル導入孔
14:オリフィス導入孔
15:ポリマ溜まり
16:フィルタ
17:流路変更羽根
18:管
19:多孔プレート導入孔
20:多孔プレート吐出孔
Claims (3)
- 紡糸パック内に設けられた溶融熱可塑性ポリマーを吐出するノズルと、該ノズルから吐出された合成繊維を冷却固化するための一方向から吹きつける冷却風吹き出し手段と、給油後にモノフィラメントとして巻き取られる巻き取り手段を備えた溶融紡糸装置において、紡糸パック内の流路に静的混練器が設置されており、該静的混練器の下流に断面が円形(直径D1)の濾過層を設置し、かつ該濾過層の下流に口金を設置したものにおいて、該口金に複数個存在するノズルが口金中心点をとおり横一列に配列されており、口金中心点から最も遠い2つのノズルが中心点から等距離にあり、さらに前記濾過層の直径D1と口金中心点から最も遠い2つのノズルの距離D2の比(D1/D2)が1.8以上であり、ノズル孔間隔が5mm以上15mm以下であることを特徴とする溶融紡糸装置。
- 紡出糸の冷却風の吹き出し面が口金ノズルの配列と平行に設置されたものであることを特徴とする請求項1に記載の溶融紡糸装置。
- 口金の直上に計量プレートが設置されており、該計量プレートのオリフィスの径が口金ノズルの径の0.5倍以上2.0倍以下であり、かつ該オリフィスの長手方向と該オリフィスの下流側に設けられたポリマ溜まりのテーパー部分のなす角度θが30°以上60°以下であって、かつ前記ポリマ溜まりの径が口金ノズルの導入孔と同径であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融紡糸装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003094303A JP2004300616A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | モノフィラメントの溶融紡糸装置 |
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---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006169680A (ja) * | 2004-12-17 | 2006-06-29 | Toray Ind Inc | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法およびモノフィラメント。 |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003094303A patent/JP2004300616A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006169680A (ja) * | 2004-12-17 | 2006-06-29 | Toray Ind Inc | スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントの製造方法およびモノフィラメント。 |
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