JP2004292558A - セルロースエステルフィルムとその製造方法および偏光板保護フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱架橋性有機化合物の存在下で製膜した架橋構造を有するセルロースエステルフィルムおよび該セルロースエステルフィルムの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は保留性およびリワーク性に優れた偏光板保護フィルム用セルロースエステルフィルムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、セルローストリアセテートフィルムは、その透明性や光学的欠点のない特性からハロゲン化銀写真感光材料や液晶画像表示装置に好ましく使用されている。特に液晶画像表示装置では偏光板用保護フィルムとして利用されている。液晶画像表示装置は、液晶素子が組み込まれたガラス基板の両側に偏光板を貼り合わせることで構成されている。偏光板は、ポリビニルアルコールなどからなる偏光子の両側を保護フィルムで挟んだ構造を有しており、その保護フィルムの厚さは約80μmが一般的である。従って、1つの液晶表示装置には4枚の保護フィルムが使用されており、全部で約320μmの厚さになる。昨今、液晶表示装置の携帯性向上が求められており、偏光板用保護フィルムの薄膜化はこの要求に対して有効な手段と考えられる。
【0003】
ところが、偏光板用保護フィルムを薄膜化すると、液晶表示装置の生産性が低下するという問題があった。つまり、液晶表示装置を組み立てる際、液晶素子が組み込まれたガラス基板に偏光板を貼り合わせるのであるが、このとき、僅かなゴミを挟み込んだり、位置がずれるなど不良品が発生しやすいのである。このため、偏光板をガラス基板と偏光板との剥離力に偏光板の強度が耐えきれず途中で破けてしまい、きれいに辺九番をガラス基板から剥がすことができなくなるのである。
【0004】
このような剥離性を向上するには、偏光板用保護フィルムの引き裂き強度を向上すればよいと思われた。セルローストリアセテートフィルムの引き裂き強度を向上する方法は、例えば、特許文献1ではメチレンクロライド可溶のポリウレタン樹脂をブレンドする方法が提案されている。また特許文献2ではポリエステル−ウレタン樹脂をブレンドする方法が開示されている。
【0005】
ところが、これらの方法によれば確かに引き裂き強度は向上するのであるが、ウレタン樹脂がセルローストリアセテートドープ中、乾燥中のウェブ、或いはフィルム形成後、セルローストリアセテートとポリマーとが相分離し透明度が落ちてしまって、透明性を必要とする偏光板用保護フィルムに使用することができなかった。
【0006】
特に高温高湿下、例えば80℃、90%RHにおいて48時間程度放置すると、フィルムが白濁してしまい、偏光板として使用することができなかった。
【0007】
また、ウレタン樹脂を含有しているセルローストリアセテートフィルムは、深さ方向のリターデーションが低下するという現象があった。これにより、液晶表示装置の視野角特性が変わり、これを是正するためには、液晶表示装置の光学設計を再設計しなければならないと言う問題点を有していた。
【0008】
また、特許文献3には、エチレン性不飽和モノマー及び光重合開始剤をセルロースエステルドープ組成物に含有させ、エチレン性不飽和モノマーを光重合させてラジカル重合によりポリマーを生成し、そのポリマーによりできあがったセルロースエステルフィルムに耐水性を付与することが出来るという技術が開示されている。これは、引き裂き強度のほか、高湿下での伸縮性、保留性等が、光硬化ポリマーの生成によって向上するというものである。
【0009】
しかしながら、この方法においても、ポリマーの相分離によるヘイズ等の問題は改良されてはいるが、高湿下でのカールや、物性の劣化が大きな欠点となっている。また、保留性とは、高温多湿の環境下で、可塑剤等の添加剤がフィルム外に析出や揮発すること等によりフィルムの質量が減量する性質をいうが、従来のセルロースエステルフィルムではこの保留性が悪いため液晶画像表示装置の機能低下を来しており、これについては前記の技術によっても十分に改良されているとはいえない。
【0010】
一方、セルロースエステルフィルム製造においては、製膜後にダイスの端部にあたる部分、即ち、製膜したフィルムロールの端部については、膜厚等が安定せず、また幅手の長さ等も微妙に変化しているため、端部を切り捨て一定幅で断裁して製品ロールとする。この部分は製品として使用できないため、再度ドープ中に混合し流延製膜に使用する。前記架橋等によって物性を改良したセルロースエステルフィルムからでた端部の切り捨て部分は架橋によって物性が異なっているため、通常のドープ中には混合できず、捨てざるをえない。本発明は、更にこれら架橋変成したセルロースエステルフィルム製造において生産される端部の切り捨て部分、即ち耳返材についても、再使用できるように製造方法を工夫したものである。
【0011】
【特許文献1】
特公昭44−32672号公報
【0012】
【特許文献2】
特公昭47−760号公報
【0013】
【特許文献3】
特開2002−20410号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヘイズ値が低く、透明性があり、機械強度(引き裂き強度)、保留性に優れ、かつ高温高湿化で白濁することのない偏光板用保護フィルムとしてのセルロースエステルフィルムを提供することにある。第2の目的は、ダイスの両端からイソシアネート化合物を含まないドープを流すことにより、耳返材の再利用が可能なセルロースエステルフィルムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0016】
1.熱架橋性有機化合物の存在下で製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
【0017】
2.熱架橋性有機化合物が熱架橋性ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
【0018】
3.熱架橋性有機化合物がポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
【0019】
4.ポリイソシアネートとセルロースエステルを有機溶媒に溶解してドープを作製し、該ドープを支持体上にフィルム状に流延し、該支持体から生乾きの溶剤を10%以上含有した状態で流延したフィルムを剥離し加熱乾燥し、ウレタン化反応を促進させることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0020】
5.ポリイソシアネートおよび水酸基含有化合物の存在下で製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
【0021】
6.ポリシソシアネート、水酸基含有化合物およびセルロースエステルを有機溶媒に溶解してドープを作製し、該ドープを支持体上にフィルム状に流延し、該支持体から溶剤を10%以上含有した状態で、流延したフィルムを剥離し加熱乾燥し、ウレタン化反応を促進させることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0022】
7.水酸基含有紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項5に記載のセルロースエステルフィルム。
【0023】
8.セルロースエステルの弾性率が3500MPa以上であることを特徴とする請求項1、2、3、5または7に記載のセルロースエステルフィルム。
【0024】
9.セルロースエステルフィルムを80℃、90RH%において、48時間処理したときの寸法変化が0.2%以内であることを特徴とする請求項1、2、3、5、7または8に記載のセルロースエステルフィルム。
【0025】
10.80±5℃、90±10%RHにおいて、48時間処理したとき、ASTM−D1003−52に規定されたヘイズ値が2%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、5、7、8または9に記載のセルロースエステルフィルム。
【0026】
11.ダイスを用いてセルロースエステルドープを支持体上に流延するセルロースエステルフィルムの製造方法において、該ダイスの中央部からは、ポリイソシアネートとセルロースエステルを含有するセルロースエステルドープを供給し、ダイスの両端部からポリイソシアネートを含有しないセルロースエステルドープを供給し、製膜されたフィルムの幅手方向両端部がポリイソシアネートを含まないセルロースエステルフィルムとすることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0027】
12.請求項1〜3、5および7〜10のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムを鹸化処理した後、該セルロースエステルフィルムの鹸化された表面が偏光膜に接するように、偏光膜の両面に貼合することを特徴とする偏光板の製造方法。
【0028】
以下本発明を詳細に説明する。
セルロースアセテートフィルムは、透明性がよく、光学的な歪みがなく、偏光子との接着性に優れるので、偏光板用保護フィルムに使用されている。偏光板用保護フィルムには、偏光膜を保護したり、フィルム自身に加工適正を付与するために、紫外線吸収剤や可塑剤が添加されている。しかし、これらの添加剤は、セルロースエステルとの相溶性の問題で、流延時の溶剤の揮撥で析出して表面付着しやすくなり、異物欠陥となる保留性という点に課題があった。又、セルロースエステルフィルムは、機械強度が弱く、裂けやすいという欠点を有していた。
【0029】
上記の問題点を解決するために、前記特許文献1(特公昭44−32672号公報)、特許文献2(特公昭47−760号公報)に記載されたように、可塑剤にかえて、可塑化効果を有するポリマー例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン樹脂等を添加することが試みられた。これらにより、機械強度、透湿性および保留性は改善されるが、ポリマーをブレンドすると、ポリマー同士の相溶性が悪いために、微少な相分離が起こり、フィルムが白濁するという問題点があった。
【0030】
また前記特許文献3(特開2002−20410号公報)においては、エチレン性不飽和モノマー及び光重合開始剤をセルロースエステルドープ組成物中に含有させ、エチレン性不飽和モノマーを光重合させてラジカル重合させることにより変性セルロースエステルフィルムとし、耐水性、引き裂き強度、保留性等を付与している。
【0031】
しかしながら、この方法において、ポリマーの相分離によるヘイズ等の問題は改良されているが、かなり異質なものを混在させているため、高湿下でのカールや、物性の劣化が大きな欠点となっている。
【0032】
こういった問題を解決するために、本発明者は、単に、可塑化効果を有するポリマーをブレンドするのではなく、可塑化効果のあるポリマーをセルロースエステルと共に熱架橋させ、製膜することが、前記の、ヘイズがなく、保留性のよいセルロースエステルフィルムを得るには好適であることを見いだした。
【0033】
従って、本発明においては、セルロースエステルを、熱架橋性有機化合物、好ましくは、エポキシ基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、エチレンイミン等の存在下で、製膜すればよい、即ち、セルロースエステルは、残留する水酸基を有しているので、該水酸基と反応し、架橋を形成する熱架橋性有機化合物をセルロースエステルドープに添加し、それを流延製膜して熱乾燥時に硬化剤を反応させ、セルロースエステル中において、熱架橋を形成させて、製膜すればよい。これにより、前記の微少な相分離に起因するヘイズの上昇がなく、保留性のよいセルロースエステルフィルムが得られる。セルロースエステルはその構成成分中に残留する水酸基を有しており、該水酸基が、前記架橋性有機化合物との反応に関与する。
【0034】
種々の熱架橋性有機化合物について、検討を重ねた結果、前記熱架橋性化合物としては、熱架橋性ポリマー、例えば、イソシアネート基、或いはエポキシ基、エチレンイミニ基等の架橋性基を末端に有するポリマー等であってもよく、これらの熱架橋性化合物のうち、特に好ましいものとして、複数のイソシアネート基を有する化合物(ポリイソシアネート化合物)があげられる。
【0035】
従って、本発明においては、イソシアネート基等の架橋性基を有する架橋性化合物を架橋剤としてセルロースエステルドープに添加し、これを用い流延製膜して乾燥時に硬化剤を反応させ、セルロースエステル中において水酸基との反応により形成される架橋(ウレタン結合)により、ヘイズ値が低く、透明性に優れ、かつ、透湿性、保留性および機械強度に優れるセルロースエステルフィルムが得られる。
【0036】
セルロースエステルフィルムは、セルロースエステルを含有するドープをダイスから支持体上に流延してフィルム形成した後、延伸、乾燥等の工程を経てロール状に巻きとるが、流延にもちいるダイスの両端部に近い部分はフィルムの均一性が劣るため、通常、ロールの幅手の両端部は一定の幅で切り取り、切り取った部分(耳返材)は再利用して、均一な部分のみ使用するのが普通である。
【0037】
本願発明においては、セルロースエステル中においてウレタン結合を生成させる。好ましい形態においては、セルロースエステルと共に(後述するが)、ポリイソシアネート化合物、水酸基を有する化合物等を用いることで、3者が一体に反応して一部が架橋したセルロースエステルポリマーを形成する。これらは純粋なセルロースエステルではないことから、形成したフィルムの両端部を、セルロースエステルとして、再利用することはできない。
【0038】
従って、本発明の一つの態様としては、ダイスの中央部においては、イソシアネートを含有するドープを流し、ダイスの両端からイソシアネート化合物を含まないドープを流すことにより、耳返材の再利用を可能としたセルロースエステルフィルムである。これにより、不均一なため切り取らざるを得ない両端部については、ウレタン架橋部分を含まない本質的にセルロースエステルのみからなる再利用できるフィルムとし、耳返材を切り取った中央部の均一なフィルム製品として用いる部分については透明性に優れヘイズ値が低く、特に高湿時における白濁するという問題点のない、透湿性、保留性および機械強度に優れるセルロースエステルフィルムとなる。
【0039】
本発明に用いられるセルロースエステルは、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独あるいは混合して用いることができる。
【0040】
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。
【0041】
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
【0042】
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。アシル基で置換されていない部分は、通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
【0043】
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロ−スエステルを単独あるいは混合して用いることができる。特に、綿花リンタ−(以下、単にリンタ−とすることがある)から合成されたセルロ−スエステルを単独あるいは混合して用いることが好ましい。
【0044】
セルロースエステルの分子量は、分子量を上げすぎると、セルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎ、生産性が低下するため、セ数平均分子量(Mn)で70,000〜200,000のものが好ましく、100,000〜200,000のものが更に好ましいが、
セルロースエステルを架橋すると分子量があがり弾性率が大きくなるが、架橋しすぎるとセルロースエステルフィルムが硬くなりすぎて脆くなる。
【0045】
本発明においては、後述する、流延製膜時にセルロースエステルを架橋させる。即ち、膜時に架橋性化合物を、ドープ中に添加し、流延してフィルム形成し、加温・乾燥等により反応を促進させる。
【0046】
セルロースエステルの架橋手段としては、前記のように、イソシアネート化合物、エポキシ系化合物等のような熱架橋性有機化合物があり、更に、熱架橋性ポリマー、例えば、イソシアネート基、或いはエポキシ基等の架橋性基を末端に有するポリマー等がある。しかしながら好ましいのは、複数のイソシアネート基を有しており、セルロースエステルにたいし、架橋性を有するポリイソシアネート化合物である。
【0047】
これらのポリイソシアネート化合物として、例えば、以下の一般式で表される化合物が挙げられる。
【0048】
一般式
O=C=N−L−(N=C=O)v
式中、vは0、1または2であり、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはアラルキル基を部分構造として有する2価の連結基を表す。
【0049】
これらの基は、更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例は、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基等が挙げられる。
これらの例として、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネートなどの芳香環を有するイソシアネート、n−ブチルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系のイソシアネート、水素添加TDI、水素添加MDIなどの芳香環に水素添加したイソシアネートなど、また、製造元から入手できる特定のイソシアネート化合物の例を以下に示す。
【0050】
IC−1 デスモデュ(Desmodur)N100、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−2 デスモデュN3300、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−3 モンデュー(Mondur)TD−80、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−4 モンデューM、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−5 モンデューMRS、モーベイ社、ポリマーイソシアネート
IC−6 デスモデュW、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−7 パピ(Papi)27、ダウ社、ポリマーイソシアネート
IC−8 イソシアネートT1890、ヒュルス(Huels)、脂肪族イソシアネート
IC−9 オクタデシルイソシアネート、アルドリッヒ社、脂肪族イソシアネート
更に、コロネート2030、コロネート2255、コロネート2513、コロネート2507、コロネートL、コロネートHL、コロネートHK、コロネートHX、コロネート341、コロネートMX、コロネート2067、以上日本ポリウレタン社製、タケネートD103H、タケネートD204EA、タケネートD−172N、タケネートD−170N、以上武田薬品製、スミジュールん3200、スミジュール44V−20、スミジュールIL、以上住友バイエルウレタン社製等を挙げることができる。しかしながら、本発明においては、これらに限定されない。
【0051】
また、これらのイソシアネート化合物と活性水素基含有化合物とを反応させたポリイソシアネートを用いてもよい。TDI、MDIなどの芳香環を有するイソシアネートを用いると、少量でヘイズが小さくなり、高湿条件での白濁がなくなり、保留性が向上するほか、吸水弾性率が向上し、また透湿性も向上する。また、脂肪族系のイソシアネートでは引裂強度の低下も抑えられる。
【0052】
これらの使用量は、セルロースエステルに対し、質量比で0.01%〜1%、好ましくは、0.03〜0.5%の範囲である。多すぎると、架橋が多くなりすぎ、脆くなる。また、少なすぎる場合、こうかのある架橋が形成されず、本発明の効果が得られない。
【0053】
これらの熱架橋性有機化合物、特にポリイソシアネート化合物は、これに加えて、流延による製膜時には、水酸基含有化合物と共に用いると、更に好ましい。
【0054】
水酸基含有化合物と共に用いると、前記イソシアネート化合物がこれら水酸基含有化合物とも反応してウレタン結合を形成してイソシアネート化合物を固定し、可塑化効果を向上させるほか、セルロースエステルの架橋による分子量の増加をある程度抑制して、後述の様に、弾性率が高くなりすぎることを抑制する効果があると考えられる。
【0055】
水酸基含有化合物としては、特に制限はなく、上記のようにイソシアネート化合物と反応するものであればよく、アルコール類或いはフェノール類等が挙げられるが、なかでも、後述する水酸基を含有する紫外線吸収剤が、このような役割を有するものとしても好ましい。しかしながら、特に二つ以上水酸基を有する化合物が好ましい。両末端水酸基を有するポリエステル、水酸基含有ポリエステルエーテル等のほか、また、次の一般式(1)で表される多価アルコール等が前記熱架橋性化合物と共に用いるのが好ましいものとして挙げられる。
【0056】
一般式(1)
R1−(OH)n
式中、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。
【0057】
n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)があげられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシル基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。芳香族有機基としてはアリーレン基(例えばフェニレン基等)が好ましい。nは2〜20が好ましい。
【0058】
好ましい多価アルコールの例としては、例えば、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、また芳香族アルコールとしてキシリレンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンなどを挙げることができる。中でも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0059】
また、好ましいフェノール性水酸基の例としては、レゾルシン、ピロガロール等の化合物がある。
【0060】
多価アルコールの分子量は特に制限はないが、分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。多価アルコールは一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てOH基のままでもよく、また、一部エステル化、エーテル化してもよい。
【0061】
これらの二つ以上水酸基を含有する化合物は、前記のウレタン化合物の形成による効果のほか、セルロースエステル中に残留する水酸基とイソシアネートとの架橋において、水酸基含有化合物がこれらの架橋中に更にウレタン結合を介して入り込むことで、分子量の増加によって吸水弾性率が大きくなる、また硬くなりすぎて脆くなる等を緩和する働きをすると考えられる。
【0062】
これらの水酸基を含有する化合物の使用量は、前記セルロースエステルに対し、質量比で0.01%〜3%、好ましくは、0.03〜1.5%の範囲である。多すぎると、保留性が悪化し、また、少なすぎると、可塑化効果がなく脆くなり本発明の効果が得られない。従って、前記ポリイソシアネート化合物に対し、当量〜3倍量程度の量が好ましい。
【0063】
このようにして形成された偏光板保護用フィルムとしては、23℃、55%RHなどの常温常湿での弾性率(以下、単に弾性率とする)が高いことが好ましく、具体的には3500MPa以上、更に好ましくは、4000MPa以上である。
【0064】
本発明において弾性率とは、以下で定義される。
(弾性率)
サンプルを23℃、55%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K7127に記載の方法に従って弾性率を測定する。引っ張り試験器は、例えばオリエンテック(株)社製テンシロンRTA−100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は100mm/分でおこなう。また、弾性率解析開始点は2MPa、弾性率解析終了点は60MPaとし弾性率を計算する。
【0065】
また、これら常温、常湿での弾性率に加え、吸水弾性率を所定の値(2800〜4000MPa、より好ましくは2900〜3800MPaである)とすることによって、更に、耐久性が改善される。
【0066】
また本発明において、吸水弾性率は、フィルムを60℃の温水に30分浸漬して十分に吸水させた後、温水から取り出してから、1分以内にJIS K7127に記載の方法に従って測定した弾性率を指す。この時の試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は100mm/分である。
【0067】
吸水弾性率が大きい方が偏光板の光漏れ量が小さく、好ましいが、大きすぎるとフィルムが脆くなり、引裂強度が低下する。
【0068】
弾性率をこれらの範囲にするために、上記のセルロースエステルの架橋による分子量のコントロールは好ましい効果をもたらす。また、そのほか、フィルムの延伸倍率を制御、フィルム製膜時の乾燥温度の制御によりフィルムの結晶化をコントロールする、更に、可塑剤の添加量を調節する等についても効果がある。
【0069】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、高温多湿に対する寸法安定性も改良され、発明のポリマーを含有しないセルロースエステルフィルムより寸法変化率が小さくなっている。
【0070】
即ち、本発明に係わるセルロースエステルフィルムにおいては、80℃、90%RH処理したときの、48時間後の寸法変化が0.2%より少ない(絶対値で0.2%以下である)ことが好ましい。
【0071】
(寸法安定性の測定)
鹸化前のセルロースエステルフィルムを23℃、55%RHの部屋で24時間調湿後、同部屋で、セルロースエステルフィルム表面にフィルムの長手方向及びび幅手方向に100mm間隔で2個の十文字の印を付けその寸法を正確に計りその距離をaとし、80℃、90%RHで50時間の熱処理を行い、再び23℃、55%RHの部屋で24時間調湿して2個の印の間の距離をカセトメーターで測定しその値をbとして、下記式により寸法安定性を寸法変化率として求める。寸法変化率は、フィルムが延びる場合にはプラス、縮む場合にはマイナスの値となる。
【0072】
寸法変化率(%)=〔(b−a)/a〕×100
更に、本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、80±5℃、90±10%RHにおいて、この条件に48時間放置したとき、ヘイズ値(ASTM−D1003−52に規定される)が2%以下であることが好ましい。
【0073】
また、本発明においては、高湿時等においてもヘイズ値が低下することのない、透明性の高いセルロースエステルフィルムが得られる。
【0074】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムにおいては、添加剤として、前記のほか、可塑剤を用いることができ、可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤などを用いることができるが、特に好ましくは、多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤である。また、リン酸エステル系可塑剤の添加量は6質量%以下とすることが好ましい。
【0075】
多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有する事が好ましい。例えば、エチレングリコールビス(シクロヘキサンカルボキシレート)、エチレングリコールジフェノレート等を用いることができる。
【0076】
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
【0077】
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等を用いることができる。
【0078】
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して4〜20質量%が好ましく、6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。可塑剤の添加量が多すぎると、フィルムが柔らかくなりすぎるため吸水弾性率が低下し、添加量が少なすぎるとフィルムの透湿性が低下する。
【0079】
これら可塑剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。又別に、有機溶剤とセルロースエステル中に溶解しておき、これを混合し添加してもよい。
【0080】
また、本発明においては、紫外線吸収剤、を添加してもよい。
紫外線吸収剤は液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明においては、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
【0081】
本発明においては、水酸基を有する化合物が、ウレタン結合を形成し、可塑化効果を有することから、分子内に水酸基を有する紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0082】
このような紫外線吸収剤であれば、用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、などが挙げられる。好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れた水酸基を含有するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。紫外線吸収剤の具体例として、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のTINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328等を好ましく用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜4.0質量%が好ましく、0.6g〜2.0質量%が更に好ましい。
【0084】
次に、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープ液を形成する工程、ドープ液を支持体上に流延する工程、流延したドープ液を乾燥する工程によりおこなわれる。
【0085】
ドープ液中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロ−スエステルの濃度が濃すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜50質量%が好ましく、更に好ましくは15〜35質量%である。
【0086】
ド−プ液で用いられる溶剤は単独でも併用でもよいが、セルロ−スエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロ−スエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%である。
【0087】
良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルの平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えば、アセトンを溶剤として用いるときには、セルロースの酢酸エステル(結合酢酸量55%)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(結合酢酸量60%)では貧溶剤となってしまう。
【0088】
良溶剤は特に限定されないが、例えば、セルロ−ストリアセテ−トの場合は、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、セルロ−スアセテ−トプロピオネ−トの場合は、メチレンクロライド、アセトン、酢酸メチルなどが挙げられる。
【0089】
また、貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。n−ブタノール、シクロヘキサノンなど沸点が80℃以上の溶剤を用いると、乾燥工程での搬送によって吸水弾性率を上げやすくなるため好ましい。
【0090】
上記記載のドープ液を調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
【0091】
加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
【0092】
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロ−スエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり、生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃の範囲が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
【0093】
次に、このセルロ−スエステル溶液を、濾紙などの適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物などを除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題点がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材が更に好ましい。
【0094】
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(R)等のプラスチック製の濾材や、ステンレス等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
【0095】
ド−プ液の濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲であることが更に好ましい。
【0096】
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
【0097】
本発明においては、前記架橋性の化合物例えば、ポリイソシアネート化合物は、直接、ドープ中に有機溶媒に溶解して添加してもよく、また、水酸基含有化合物を添加する場合も、順次或いは同時に同様にして、相前後して添加する。また、これらの化合物は、ドープ液となるべく均一に混合するのが好ましいが、別にイソシアネート化合物、または水酸基含有化合物の溶液を調製しておいて、ベルトへまたはドラムへの流延(キャスト)の直前に、前記別調製しておいた架橋性化合物または水酸基含有化合物の溶液をそれぞれ別々に、或いは、同時にドープ液と混合してもよい。
【0098】
特に、架橋反応が迅速に進行する場合は、例えば、ベルトへまたはドラムへのキャスト工程の直前に、順次インラインで添加してもよい。これにより、流延工程において、ベルトへまたはドラム支持体上で、また剥離後のウエブ中で架橋反応を進行させる。
【0099】
以下、ポリイソシアネート、又、水酸基含有化合物を添加して調製したドープの流延工程による製膜について述べる。
【0100】
流延(キャスト)工程における支持体は、表面を鏡面仕上げしたステンレスの無端ベルトもしくはドラムが好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の温度は、0℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方が乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃の支持体上に流延することが更に好ましい。支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水バットを支持体に接触させる方法がある。温水バットを用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は、目的の温度よりも高い温度の風を使う必要がある場合がある。
【0101】
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残留溶媒量は、10〜120%が好ましく、更に好ましくは20〜40%または60〜120%であり、特に好ましくは20〜30%または70〜115%である。残留溶媒量は下記式で定義される。
【0102】
残留溶媒量=((加熱処理前の質量−加熱処理後の質量)/(加熱処理後の質量))×100(%)
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
【0103】
本発明においては、ベルトへまたはドラム等の支持体から、生乾きの状態で、即ち、剥離時の残留溶媒量が90%以上、110%以下である時に剥離し、加温する(40〜150℃で時間は15分〜25分に維持して)のが架橋反応を進行させるためには好ましい。ウエブ中の残留溶媒量がこの範囲にある時にウレタン化反応を膜中で促進させ架橋を行うことで強度に優れたセルロースエステルフィルムが得られる。また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶媒量を3%以下にすることが好ましい、更に好ましくは0.5%以下である。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、テンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
【0104】
支持体より剥離した直後の残留溶剤量の多いところで、テンター方式で幅保持または延伸を行うことが、フィルムの平面性向上の点で好ましい。また、テンターの延伸倍率を大きくすると幅方向の吸水弾性率が大きくなる。好ましい延伸倍率は0〜15%であり、1〜12%が更に好ましい。延伸倍率0%とは幅保持のことであり、残留溶剤量が多い所では延伸と同様の効果を得ることができる。
【0105】
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う事ができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
【0106】
乾燥温度は40〜150℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。また、フィルムの軟化点±20℃の範囲で10〜40分間乾燥することが、吸水弾性率向上の点で好ましい。フィルムの軟化点±20℃の乾燥中に搬送張力を制御することで、流延方向の吸水弾性率をコントロールすることができる。好ましい搬送張力の範囲は150〜350N/mであり、200〜300N/mが更に好ましい。
【0107】
セルロースエステルフィルムの膜厚は、例えば、液晶ディスプレイ等に用いる場合、偏光板が薄くなり、のディスプレイ薄膜化が容易になるため薄い方が、好ましいが、薄すぎると透湿性や、引き裂き強度などが劣化する。これらを両立するセルロースエステルフィルムの膜厚は、10〜65μmが好ましく、20〜60μmが更に好ましく、35〜50μmが特に好ましい。
【0108】
本発明の、セルロースエステルフィルム中には、前記熱架橋性有機化合物(好ましくはポリイソシアネート化合物)、水酸基含有化合物、更に、前記可塑剤、紫外線吸収剤等のほか、必要に応じて更に別の紫外線吸収剤、また染料、マット剤等の添加剤を添加してもよい。
【0109】
用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、前記水酸基含有紫外線吸収剤のほか、例えば、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。透明性が高く、不要な着色がより少ない紫外線吸収剤が好ましく、これらの紫外線吸収剤を前記紫外線吸収剤と併用して用いてもよい。
【0110】
前記水酸基を含有する紫外線吸収剤も含め、紫外線吸収剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0111】
本発明においては、フィルムの黄色みを抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
【0112】
アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の位置に任意の置換基を有することができる。好ましい置換基としては、アニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。
【0113】
これらの染料のフィルムへの添加量は、フィルムの透明性を維持するため0.1〜1000μg/m2、好ましくは10〜100μg/m2である。
【0114】
本発明には必要に応じてマット剤として、酸化珪素等の微粒子を加えてもよい。マット剤微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
【0115】
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均径が大きい方がマット効果は大きく、平均径の小さい方は透明性に優れるため、微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは7〜20nmである。
【0116】
酸化珪素の微粒子としては特に限定されないが、例えば、日本アエロジル(株)製のAEROSIL200、200V、300、R972、R972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、OX50、TT600などが挙げられ、好ましくはAEROSIL200、200V、R972、R972V、R974、R202、R805、R812などが挙げられる。
【0117】
前記、各種添加剤はドープ液にバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に、マット剤は濾過材への負荷を減らす為に、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
【0118】
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性を良くするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは3〜5質量部である。
【0119】
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
【0120】
イソシアネート化合物がセルロースエステルフィルム中に含まれるとセルロールエステルフィルムは、架橋され変性を受ける。
【0121】
従って、本発明のもう一つの態様としての、耳返材を再度利用可能なかたちで前記架橋されたセルロースエステルフィルムを製造するには、前記流延によるセルロース上へキャスティングを行うダイスに工夫を施し、例えば、図1にその概略図を描いたが、ダイス1が中央部(1a)、両端部(1b、1c)と三つに分離し、各部にそれぞれ異なったドープを流すことができるようにする。これによりダイス中央部(1a)には、イソシアネートを含有するドープを流し、ダイス両端部(1b、1c)からはイソシアネート化合物を含まないドープを流すことにより、不均一なため切り取らざるを得ない製膜後のフィルムの両端部については、再利用できるウレタンポリマーを含まない本質的にセルロースエステルのみからなるフィルムとし、均一なフィルムロールとして用いる中央部分については、ウレタン結合を有する架橋されたセルロースエステルとする。
【0122】
フィルム両端部を耳返材として切り取って再利用する際には、この部分は架橋構造がないために、通常通り再利用が可能であり、切り取って利用する製品部分については、ウレタン結合による架橋の形成により、透湿性に優れ、高湿時における白濁がなく、透明性に優れヘイズ値が低い、保留性および機械強度に優れるセルロースエステルフィルムが得られる。また、ダイスの両端のイソシアネート化合物を含まない耳返材については、再利用、活用ができる。
【0123】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムを用いて、偏光板を一般的な方法で作製することができる。例えば、ポリビニルアルコールフィルムを圧延配向し、ヨウ素または二色性染料を吸着させて偏光膜を作製し、偏光膜の両面に前記セルロースエステルフィルムをアルカリ鹸化処理したのち、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。通常、偏光膜の延伸方向と偏光板保護フィルムの流延方向(MD方向)が一致するように貼り合わせる。アルカリ鹸化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に浸ける処理のことをいう。
【0124】
偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑える事が重要である。
【0125】
本発明のセルロースエステルフィルムは、高い透湿性、寸法安定性のほか引き裂き強度や透明性に優れる点などから例えば、偏光板に用いたときの、偏光板の異物・欠陥が少ないだけでなく、リワーク性等にも優れている。
従って、偏光板保護用フィルム以外にも、位相差板、反射板、視野角拡大フィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、帯電防止フィルム等の液晶表示用部材に有利に使用することができる。
【0126】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明の態様を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0127】
〔実施例1〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例2〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5質量部
1,3−ブタンジオール 5質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベゾトリアゾール 3質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例3〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベゾトリアゾール 7質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例4〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
2,4−トリレンジイソシアネート(TDI) 0.3質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例5〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
2,4−トリレンジイソシアネート(TDI) 0.3質量部
ヘキサントリオール 0.2質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例6〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
2,4−トリレンジイソシアネート(TDI) 0.3質量部
ヘキサントリオール 0.2質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベゾトリアゾール 3質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例7〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
2,4−トリレンジイソシアネート(TDI) 0.3質量部
トリエチレングリコール 3質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベゾトリアゾール 3質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例8〕
アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度0.80、数平均分
子量100000のセルロースアセテートプロピオネート 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.2質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 4質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
酢酸メチル 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例9〕
アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度0.80、数平均分
子量100000のセルロースアセテートプロピオネート 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベゾトリアゾール 3質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 4質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
酢酸メチル 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例10〕
アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度0.80、数平均分
子量100000のセルロースアセテートプロピオネート 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5質量部
ヘキサントリオール 0.2質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチル
フェニル)ベゾトリアゾール 3質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 4質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
酢酸メチル 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例11〕
アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度0.80、数平均分
子量100000のセルロースアセテートプロピオネート 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート 0.5質量部
ヘキサントリオール 0.2質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
3質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 4質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
酢酸メチル 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例12〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 0.3質量部
エチレングリコール 0.2質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
3質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例13〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 0.1質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
3質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔実施例14〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 0.3質量部
エチレングリコール 0.2質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
3質量部
AEOSIL R−972 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔比較例1〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
トリフェニルホスフェート 10質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔比較例2〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
トリフェニルホスフェート 10質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
トリメチルセチルアンモニウムクロリド 8質量部
AEROSIL 200V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔比較例3〕
アセチル基の置換度2.00、プロピオニル基の置換度0.80、数平均分
子量100000のセルロースアセテートプロピオネート 100質量部
トリフェニルホスフェート 10質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 1質量部
ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド 1質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
酢酸メチル 475質量部
エタノール 25質量部
〔比較例4〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
酢酸ビニル 5質量部
ラウリン酸ビニル 5質量部
ベンゾイン 1質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
〔比較例5〕
アセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150
000) 100質量部
酢酸ビニル 4質量部
ステアリン酸ビニル 3質量部
ベンジルアクリレート 2質量部
メチルアクリレート 1質量部
ジエトキシベンゾフェノン 1質量部
AEROSIL R972V 0.1質量部
メチレンクロリド 475質量部
エタノール 25質量部
(製膜)
実施例1〜15及び比較例1〜5の処方の前記各ドープ組成物を下記のようにして製膜に供した。各々のドープ組成物を加圧密閉容器に投入し、45℃に加温して容器内圧力を1.2気圧とし、撹拌しながらセルロースエステルを完全に溶解させドープ組成物(以降ドープとする)を得た。ドープ温度を35℃まで下げて一晩静置し、このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、更に一晩静置し脱泡した。次いで日本精線(株)製のファインメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF(絶対濾過精度50μm、15μm、5μmの順に順次濾過精度を上げて使用)を使用して濾過圧力1.0×106Paで濾過した。濾過して得られた35℃のドープを用いてハンガータイプのダイから22℃の無限移行する無端のステンレスベルト上に流延して製膜した。
【0128】
実施例1〜15、及び比較例1〜3については、ステンレスベルト上のダイがある側の空気側から40℃、風速10m/秒を風を進行方向に向けて斜め40°の角度で当てた。また、全てのウェブについて、残留溶媒量100質量%でウェブを剥離後、ドープ流延から剥離までに要した時間は3分であった。
【0129】
その後、3本のロールを通し、特開昭62−115035号公報に記載されているようなピンクリップでウェブの両端を把持するテンター乾燥装置にウェブを導入して90〜115℃で乾燥し、次にロール乾燥装置で110〜130℃で乾燥し、乾燥されたウェブを残留溶媒量を0.2質量%で巻き取り、40μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0130】
ウェブを剥離後の、加温・乾燥によってセルロースエステルフィルム中において架橋が充分行われる。この様にして、各ドープについてセルロースエステルフィルム実施例1〜15および比較例1〜3を製造した。
【0131】
また、比較例4、5については、前記ステンレスベルト上でウェブに、40℃の風を当てながら、8個の2kWの高圧水銀灯を15cm離れた距離から照射し、光重合を起こさせウェブ中にポリマーを生成させた。ステンレスベルト上でのウェブの任意の位置での全照射量を300mJ/cm2とした以外は、残留溶媒量100質量%でウェブを剥離後(ドープ流延から剥離までに要した時間は3分であった。)、3本のロールを通し、特開昭62−115035号公報に記載されているようなピンクリップでウェブの両端を把持するテンター乾燥装置にウェブを導入して同様に離乾燥した。
【0132】
得られたそれぞれのセルロースエステルフィルムについて、以下により、評価を行った。
【0133】
(寸法安定性の測定)
それぞれのセルロースエステルフィルムを23℃、55%RHの部屋で24時間調湿後、同部屋で、セルロースエステルフィルム表面にフィルムの長手方向及びび幅手方向に100mm間隔で2個の十文字の印を付けその寸法を正確に計りその距離をaとし、80℃、90%RHで50時間の熱処理を行い、再び23℃、55%RHの部屋で24時間調湿して2個の印の間の距離をカセトメーターで測定しその値をbとして、下記式により寸法安定性を寸法変化率として求める。
【0134】
寸法変化率(%)=〔(b−a)/a〕×100
(引裂強度)
エレメンドルフ法の引き裂き荷重をJIS K 7128−1991に従い東洋精機(株)製の軽荷重引き裂き装置で引裂強度を測定した。
【0135】
(弾性率)
サンプルを23℃、55%RHの環境下で24時間調湿し、JIS K7127に記載の方法に従って弾性率を測定した。引っ張り試験器はオリエンテック(株)社製テンシロンRTA−100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は100mm/分でおこなった。また、弾性率解析開始点は2MPa、弾性率解析終了点は60MPaで弾性率を計算した。
【0136】
(ヘイズ値の測定)
それぞれのフィルム試料について、ASTM−D1003−52に従って、東京電色工業(株)社製T−2600DAを使用して測定し、以下のようにヘイズをランクわけし評価する。
【0137】
A:ヘイズ0.1%未満
B:ヘイズ0.1%以上0.5%未満
C:ヘイズ0.5%以上1%未満
D:ヘイズ1%以上。
【0138】
(保留性の評価)
それぞれのフィルム試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、80℃、90%RHの条件下で2週間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、以下の方法で保留性を計算した。
【0139】
保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量} ×100
(白濁)
各フィルム試料を80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で6時間処理した後、23℃、55%RH雰囲気に18時間放置した。これを合計30回繰り返して処理した後、金属化合物層側を目視によって白濁の状態を観察した。評価は、白濁が全く認められないものを1とし、著しい白濁を起こしているものを5とし、その間のランクの状態を2〜4とした5段階評価を行った。
【0140】
評価結果を以下の表1に示した。
【0141】
【表1】
【0142】
本発明の変性セルロースエステルフィルム(実施例1〜14)は、いずれも良好な性質を示し、特に、寸法安定性が高く、引裂強度の強い、ヘイズの小さい保留性のよいフィルムであることがわかる。また、高湿時の白濁が少なく優れている。
【0143】
次いで、各フィルムより偏光板を作製し、以下の評価を行った。
(偏光板の作製)
製膜した全てのセルロースエステルフィルム実施例1〜1415、比較例1〜5を、40℃の2.5mol/lの水酸化ナトリウム水溶液で60秒間表面鹸化処理を行い、3分間水洗して乾燥させた。別に120μmの厚さのポリビニルアルコールをヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に立て方向に延伸した偏光膜を用意した。この偏光膜の両面に上記表面鹸化処理したセルロースエステルフィルムを完全鹸化型のポリビニルアルコール5質量%水溶液を粘着剤として貼り合わせ偏光板1〜1415、比較1〜5を作製した。
【0144】
(偏光板耐久性)
各々の偏光板から100mm×100mmの大きさの試料を2枚切り出し、80℃、90%RHの雰囲気に50時間曝し、クロスニコルにより偏光板の縁に発生する白抜けの面積を全体の面積に対する面積比として観察して、下記のグレードで評価した。
【0145】
A:白抜け部分が全くなかった
B:白抜けが全体の面積に対して2%未満
C:白抜け部分が全体の面積に対して2%以上5%未満
D:白抜け部分が全体の面積に対して5%以上10%未満
E:白抜け部分が全体の面積に対して10%以上あった。
【0146】
(偏光板の異物・欠陥)
各々の偏光板から25cm×25cmの大きさに2枚ずつ切りだした試料を、それぞれ5組準備し、クロスニコルにより、異物等による暗黒面に現れる輝きスポット数を観察し、偏光板各試料につき5組の異物の数の平均を下記のレベルで評価した。
【0147】
A:全く輝きスポットがなかった
B:小さな輝きスポットが1〜5個観察された
C:小さな輝きスポットが6〜50個観察された
D:輝きスポットが51〜99個観察された
E:輝きスポットが100個以上観察された。
【0148】
上記各評価の結果を表1に示す。
(リワーク性)
得られた100×100mmサイズの偏光板を、ガラス基盤に貼合した。4角の1カ所から偏光板をガラス基盤から少し剥離し、剥離した偏光板を掴みガラス基盤を押さえながら対角方向に剥離していく。同様の操作をそれぞれの偏光板について計10枚のサンプルで実施し、以下の基準に従い評価を行った。
【0149】
◎:10枚とも完全に剥離できた
○:1枚のみ部分的に剥離残りが生じた
△:2〜5枚で剥離のこりが生じた
×:6枚以上剥離のこりが生じた
評価結果を以下の表 に示す。
【0150】
【表2】
【0151】
実施例16
図1に示される複数のドープ液を流延製膜できるダイスを用い、ダイス中央部には前記実施例2において用いたドープ液を、また、ダイス両端部には比較例1で用いたドープ液をそれぞれ流して、前記実施例と同様の製膜に、同様の条件で製膜をおこなった。得られた厚み40μm、1.25m幅の1000mのロールフィルムを得た。次いでロールフィルムを断裁機にかけ、両端部を12.5cmずつの幅でカットして、1mのロールフィルムとした。切り取った耳返材を、細かく断裁し、前記の実施例2において用いたアセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150000)の100質量部のうち、20質量部が置き換わるように用いて実施例2と同様にドープを調製した。
【0152】
その結果、増粘もなく実施例2と同様にドープ液が得られた。
このドープを前記同様に、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した後、更に一晩静置し、脱泡し、次いで日本精線(株)製のファインメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF(絶対濾過精度50μm、15μm、5μmの順に順次濾過精度を上げて使用)を使用して濾過圧力1.0×106Paで濾過し製膜に供した。
【0153】
濾過して得られた35℃のドープを用いて、前記同様無端のステンレスベルト上に流延して前記同様に、製膜、乾燥し、乾燥されたウェブを残留溶媒量を0.2質量%で巻き取り、40μmのセルロースエステルフィルムを得た。得られたセルロースフィルムについて、前記実施例2のセルロースエステルフィルムと、引裂強度、ヘイズ(濁度)、保留性および高湿時の白濁について比較評価したところ同等の特性を有するフィルムであった。
【0154】
また、ドープ液の濾過に用いた安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244について、また一晩静置後の濾過に用いた日本精線(株)製のファインメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF等のフィルタの目詰まりもなく、工程上の問題も発生しなかった。
【0155】
一方、作製したセルロースエステルフィルムの中央の部分、即ち架橋されたセルロースエステルを含有するフィルムを、細かく断裁した後、前記耳返材と同様に実施例2において用いたアセチル置換度2.88のセルローストリアセテート(数平均分子量150000)の100質量部のうち、20質量部が置き換わるように用いて実施例2と同様にドープを調製したところ、不溶解物のかなりの発生があり、又、増粘が大きく、濾紙の目詰まりが起こるため、ドープの濾過が出来なかったため、製膜が同じ条件では出来なかった。また、一部濾過された濾液においても不溶解物がとれず、クリアな溶液とならなかった。
【0156】
【発明の効果】
ヘイズ値が低く、透明性があり、機械強度(引き裂き強度)、保留性に優れ、かつ高温高湿化で白濁することのないセルロースエステルフィルムが得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】中央部、両端部と三つに分離したダイスの概略図。
Claims (12)
- 熱架橋性有機化合物の存在下で製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
- 熱架橋性有機化合物が熱架橋性ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
- 熱架橋性有機化合物がポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
- ポリイソシアネートとセルロースエステルを有機溶媒に溶解してドープを作製し、該ドープを支持体上にフィルム状に流延し、該支持体から溶剤を10%以上含有した状態で流延したフィルムを剥離し加熱乾燥し、ウレタン化反応を促進させることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
- ポリイソシアネートおよび水酸基含有化合物の存在下で製膜することを特徴とするセルロースエステルフィルム。
- ポリシソシアネート、水酸基含有化合物およびセルロースエステルを有機溶媒に溶解してドープを作製し、該ドープを支持体上にフィルム状に流延し、該支持体から溶剤を10%以上含有した状態で、流延したフィルムを剥離し加熱乾燥し、ウレタン化反応を促進させることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
- 水酸基含有紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項5に記載のセルロースエステルフィルム。
- セルロースエステルの弾性率が3500MPa以上であることを特徴とする請求項1、2、3、5または7に記載のセルロースエステルフィルム。
- セルロースエステルフィルムを80℃、90RH%において、48時間処理したときの寸法変化が0.2%以内であることを特徴とする請求項1、2、3、5、7または8に記載のセルロースエステルフィルム。
- 80±5℃、90±10%RHにおいて、48時間処理したとき、ASTM−D1003−52に規定されたヘイズ値が2%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、5、7、8または9に記載のセルロースエステルフィルム。
- ダイスを用いてセルロースエステルドープを支持体上に流延するセルロースエステルフィルムの製造方法において、該ダイスの中央部からは、ポリイソシアネートとセルロースエステルを含有するセルロースエステルドープを供給し、ダイスの両端部からポリイソシアネートを含有しないセルロースエステルドープを供給し、製膜されたフィルムの幅手方向両端部がポリイソシアネートを含まないセルロースエステルフィルムとすることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
- 請求項1〜3、5および7〜10のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィルムを鹸化処理した後、該セルロースエステルフィルムの鹸化された表面が偏光膜に接するように、偏光膜の両面に貼合することを特徴とする偏光板の製造方法。
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