JP2004284233A - 成形体及び光学部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明部材と、前記透明部材の屈折率とは異なる屈折率を有し、かつ平均粒径が大きくとも500nmである微粒子とを含有し、前記微粒子が透明部材中に連続的または段階的な濃度勾配を有して分散して成ることを特徴とする成形体およびこの成形体を有することを特徴とする光学部材。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、成形体及び光学部材に関し、さらに詳しくは、光伝送性に優れ、光学部材として有用な成形体及びこの成形体を有する光学部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光学部材は、光の屈折現象と密接不可分である。例えば、光学部材として光学レンズがある。周知のように、光学レンズは、透明なガラスを精密に研磨することにより、凸レンズ又は凹レンズに形成される。長時間をかけて精密に研磨されて成る光学レンズ、例えば凸レンズに平行光線が照射されると、凸レンズの入射面で入射光が屈折して凸レンズ内に入射し、凸レンズ内で入射光が直進し、凸レンズの光出射側の表面において出射光が再び屈折して凸レンズの外に出射していく。凸レンズの曲面における曲率に応じて、凸レンズに入射する光がその進行方向を異ならせて進行することにより、凸レンズの焦点に光束が収束する。
【0003】
また、光学部材として光ファイバーがある。光ファイバーは、透明な材料によって形成されたコアとこのコアの外周を包み込むように形成されたクラッドとを備えた二重構造を有する。光ファイバーのコアに入射した光は、コアとクラッドとの界面で全反射を繰り返しながらコア内を進行していく。
【0004】
最近、光学部材として光バスが提案されている(特許文献1)。この光バスは、信号光を入射し該信号光を伝播して出射するシート状の光バスであって、該光バスが、該光バスの、厚さ方向の中央部から、該光バスの表裏面に向かうにしたがって、連続的に屈折率が減少することを特徴とする(特許文献1の請求項1参照)。この光バスにおいては、屈折率の調整が、「フッ素を含有する脂肪族環構造を有するモノマーとして、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサゾールモノマーを用意し、このモノマーを重合させて、非結晶性の、フッ素を含有する重合体を製造」し、この重合体と「その重合体よりも分子量が小さくかつ屈折率の大きいクロロトリフルオロフルオロエチレン(CTFE)オリゴマー」とを混合し、得られる混合物をシート状に形成し、このシート状物における前記CTFEの含有量や拡散炉中で加熱される融着される融着シートの加熱時間等を調整することにより、可能であると、されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−215067号公報、特許請求の範囲、[0022]及び[0025]参照
前記と同様の光バスが特許文献2により提案されている。提案されている光バスは、「シート状に形成され、信号光を入射し該信号光を伝播して出射する、厚さ方向の中央部から表裏面に向かうにしたがって屈折率が減少する光データバスであって、該光データバスは、それぞれが少なくとも2種類の材料のうちのいずれかの材料から成る複数枚のシートが積層されてなるものであることを特徴とする」。この光バスにおいて表裏面に向かうにしたがって屈折率を変化させる手法として、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物とピロメリット酸二無水物との重合生成物及び2,2’−ジアミノビフェニルとを混合し、この混合物中のフッ素の含有量を0重量%から18重量%まで変化させることにより、屈折率を1.66から1.57まで変化させることができる、としている。さらに、4−N,N−ジメチルアミノフェニル−N−フェニルナイトロンをドープしたポリメチルメタクリレートをシート状に成形し、そのシートの表面に紫外線を照射することによりそのシートの屈折率を調整することができる、としている。
【0006】
【特許文献2】
特開2000−111738号公報、特許請求の範囲、[0033]、「0034」及び[0035]参照
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光学部材においては、光を伝送するに際し、光の吸収損失を生じる物質が採用されているので、光伝送量の損失を無視することができない。また、画像表示装置における画面では、光の反射により画面に表示されている画面の視認性が不良であるという問題点もある。
【0008】
この発明は、光伝送量の損失が少なく、また光の反射率の小さな成形体を提供することを目的とする。また、この発明は、前記成形体を利用することにより、光伝送量の損失が少なく、また、光の反射率の小さな光学部材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、
請求項1は、透明部材と、前記透明部材の屈折率とは異なる屈折率を有し、かつ平均粒径が大きくとも500nmである微粒子とを含有し、前記微粒子が前記透明部材中に連続的または段階的な濃度勾配を有して分散して成ることを特徴とする成形体であり、
請求項2は、前記透明部材が、高分子化合物である前記請求項1に記載の成形体であり、
請求項3は、前記高分子化合物が、熱可塑性樹脂である前記請求項2に記載の成形体であり、
請求項4は、前記透明部材の吸水率が、大きくとも0.5質量%である前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体であり、
請求項5は、前記微粒子の濃度が、中心部から端部に向かって、又は端部から中心部に向かって、連続的または段階的に低下している前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形体であり、
請求項6は、前記成形体断面において、その断面中心部の屈折率(n0)と断面端部の屈折率(n1)との差(n0−n1)の絶対値が、小さくとも0.05である前記請求項5に記載の成形体であり、
請求項7は、前記成形体が一端面と他端面とを有して成り、一端面の屈折率(n3)と他端面の屈折率(n4)との差(n4−n3)の絶対値が、小さくとも0.05である前記請求項5に記載の成形体であり、
請求項8は、前記微粒子が、無機化合物の微粒子である前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の成形体であり、
請求項9は、前記無機化合物が、金属化合物である前記請求項8に記載の成形体であり、
請求項10は、平均粒径が大きくとも500nmである微粒子を含有する複数の透明部材層を積層して成る積層体であり、各透明部材層における前記微粒子の濃度が、積層体における一端面に位置する透明部材層から他端面に位置する透明部材層に向かって、透明部材層毎に増大し、又は減少して成る前記請求項1〜9の何れか一項に記載の成形体であり、
請求項11は、前記透明部材層を積層して成る積層体が、多層コート法又は多層押し出し法により形成されて成る前記請求項10に記載の成形体であり、
請求項12は、前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形体を有することを特徴とする光学部材である。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明に係る成形体の一つの特徴は、透明部材と、この透明部材の屈折率とは異なる屈折率を有し、かつ大きくとも500nmの平均粒径を有する微粒子とを含有することである。
【0011】
前記透明部材を構成する材料としては、透明に形成可能な素材である限り特に制限がなく、熱可塑性樹脂並びに例えば紫外線、電子線及び放射線等で硬化する硬化性樹脂等の高分子化合物を挙げることができ、特に熱可塑性樹脂等を好適例として挙げることができる。
【0012】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造含有重合体、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルポリスルホン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂等を挙げることができる。これら樹脂の中でも、ポリオレフィン系樹脂及び脂環式構造含有重合体が好ましく、特に、光学特性の安定性に優れる成形体を得ることができるということから脂環式構造含有重合体が好ましい。
【0013】
前記脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体であり、主鎖又は側鎖に脂環式構造を含有する重合体を挙げることができる。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等を挙げることができるが、熱安定性の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
【0014】
重合体中の脂環式構造を構成する炭化水素の炭素数に特に制限はないが、通常は4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。炭素数がこのような範囲にあることにより、耐熱性及び柔軟性に優れた薄膜を得ることができる。
【0015】
繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体中のその繰り返し単位の割合は、この発明に係る成形体の使用態様に応じて適宜、決定されるが、通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。この繰り返し単位の割合が過度に小さいときは、成形体の耐熱性が低下することがあるので望ましくない。なお、脂環式構造を含有する繰り返し単位以外の繰り返し単位の割合も、成形体の使用態様に応じて適宜に決定される。
【0016】
このような脂環式構造含有重合体の具体例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体及びこれら重合体の水素化物等を挙げることができる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
【0017】
ノルボルネン系重合体としては、具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環重合体およびそれらの水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加型共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環重合体の水素添加物が最も好ましい。
【0018】
前記脂環式構造含有重合体樹脂は、例えば、特開2002−321302号公報等に開示されている公知の重合体を含む。
【0019】
この発明に用いられる前記各種の脂環式構造含有重合体の中でも、極性基を有する脂環式構造含有重合体が好ましい。極性基を有する脂環式構造含有重合体を用いると、微粒子の分散性がよくなり、成形体のヘイズ値を向上させることができる。
【0020】
前記極性基としては、ヘテロ原子またはヘテロ原子を有する原子団等を挙げることができる。
【0021】
また、前記へテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子またはハロゲン原子等が挙げられ、中でも、微粒子との相容性を向上させるという観点から酸素原子または窒素原子が好ましい。
【0022】
さらに、前記へテロ原子を有する原子団としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基または酸無水物残基等を挙げることができる。
【0023】
前記極性基を有する脂環式構造含有重合体を得る方法としては、例えば、(1)前記ノルボルネン系単量体を重合して得られる未変性重合体に、極性基を有する化合物を反応(変性反応)させる方法、(2)前記ノルボルネン系単量体の中で、極性基を有しないノルボルネン系単量体と、極性基を有するノルボルネン系単量体とを共重合する方法または(3)ノルボルネン系単量体の中で、極性基を有しないノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体と、極性基を有するノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体または極性基を有しないノルボルネン系単量体を重合して得られる重合体を重合して得られる未変性重合体に極性基を有する化合物を反応(変性反応)させて得られた変性重合体とを混合する方法等を挙げることができ、本発明の目的を達する限り、特に制限はない。
【0024】
この発明において好ましく用いられる脂環式構造含有重合体のガラス転移温度は、成形体の使用態様に応じて適宜に決定されるが、通常は80℃以上、好ましくは100〜250℃である。このようなガラス転移温度を有することにより、高温下の使用における変形や応力を生じることのない耐久性に優れた成形体とすることができる。また、脂環式構造含有重合体の分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量〕(Mn) 〕に特に制限はないが、通常は1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5である。
【0025】
透明部材には、熱可塑性樹脂、特に脂環式構造含有重合体の他に、この発明の目的を阻害しない限り、可塑剤、劣化防止剤等の添加剤が加えられていてもよい。劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤等を挙げることができる。これら添加剤の添加量は、熱可塑性樹脂に対し、通常は0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
【0026】
この透明部材は、その吸水率が、好ましくは大きくとも0.5質量%、より好ましくは大きくとも0.1質量%、さらに好ましくは大きくとも0.01質量%であることが望ましい。この透明部材の吸水率が前記範囲内にあることにより、特に、耐湿性が向上し、長期安定性に優れること、部材中に含まれる微量水分による光伝送損失を少なくすることができる。
【0027】
ここで吸水率は、透明部材を構成する高分子化合物特に熱可塑性樹脂から得られるフィルム状の試験片を一定温度の水中に一定時間、浸漬し、増加した質量の浸漬前の試験片質量に対する百分率で示すことができる。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。
【0028】
この透明部材における吸水率は、例えば熱可塑性樹脂中の極性基の量を増減することにより、前記値に調節することができる。
【0029】
この発明に係る成形体で重要なことは、前記透明部材間に、この透明部材の屈折率とは異なる屈折率を有し、かつ特定の平均粒径を有する微粒子が分散されてなることである。具体的には、前記透明部材の屈折率と前記微粒子の屈折率との差が、小さくても0.1、特に小さくても0.3であるように、透明部材及び微粒子の組合せを採用するのが、好ましい。前記透明部材の屈折率と微粒子の屈折率との差が前記範囲内にあると、微粒子の添加量を少なくでき、ヘイズ値などの物性値の低下を抑制できるので一層好ましい。
【0030】
前記微粒子としては、無機化合物特に金属化合物の微粒子を挙げることができる。前記金属化合物としては、有機金属化合物及び金属酸化物等を挙げることができる。
【0031】
この有機金属化合物の好適例としては、前記有機金属化合物としては、Mg、Al、Si、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Zr、Pd、Ag、Sn、Pt及びAuよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属のアルコキシド、前記金属のアセチルアセトナート等を挙げることができる。前記有機金属化合物の中でも、前記金属のアルコキシドが好ましく、特にチタンアルコキシドが好ましく、就中チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドが好ましい。
【0032】
前記無機酸化物の好適例としては、Mg、Al、Si、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Zr、Pd、Ag、Sn、Pt及びAuよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属の酸化物を挙げることができる。さらに好ましい金属酸化物としては、Al2O3、TiO2、SnO2、ZnOを挙げることができる。
【0033】
透明部材と共に成形体中に含有される微粒子の形状としては球状、楕円状、破砕状、平板状及び多面体状のいずれであってもよく、特に制限はない。
【0034】
前記微粒子がどのような形状であれ、その平均粒径は、好ましくは、大きくとも500nmであり、より好ましくは、大きくとも100nmである。この微粒子の平均粒径が500nmよりも大きいと、透明部材と微粒子との界面で光散乱が起こり、成形体の透明性が低下する傾向がある。
【0035】
ここで、前記微粒子の平均粒径は、市販の粒度分布測定装置によりレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD−70000)を用いて測定することができる。
【0036】
また、前記微粒子は、表面処理された粒子であることが望ましい。表面処理は、その微粒子が透明部材に対する濡れ性を向上させ、透明部材間における微粒子の分散性を向上させるためである。このような表面処理としては、カップリング剤を用いた処理を挙げることができる。前記カップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジプロピオレート等のアルミニウム系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及びイソプロピルトリオクタノイルチタネート等のチタネート系カップリング剤等を挙げることができる。
【0037】
この発明に係る成形体において重要なことは、微粒子が、透明部材中において、連続的または段階的な濃度勾配を有するように、分散されていることである。この発明において、「連続的または段階的な濃度勾配を有する」ことは、原則的には成形体におけるある地点から他の地点へ向かう方向において微粒子の濃度が漸次に変化していくことを意味するのであるが、この発明においては、0.1μmのオーダーで微視的に見た場合に、成形体におけるある地点から他の地点に向かう方向において段階的に微粒子の濃度が変化している場合も含んでいる。
【0038】
微粒子の濃度が連続的または段階的な濃度勾配をもって変化するように透明部材間に微粒子が分散されてなる成形体の態様として、例えば、図1に示されるように、(1)その成形体1のある断面において、その中心部2から周辺の端部3に向かって、又は周辺の端部3から中心部2に向かって、連続的または段階的に濃度低下する態様、図2に示されるように、(2)ある一端面4とこれに平行なある他端面5とを有する成形体6において、前記一端面4における微粒子の濃度が、前記他端面5における微粒子の濃度よりも小さく又は大きく調整され、しかもその一端面4から他端面5に向かう成形体6の内部においても微粒子が連続的または段階的に濃度勾配をもって分散している態様を挙げることができる。
【0039】
図1に示される態様の成形体は、例えば多重管ノズルから、透明部材を形成する材料例えば高分子と微粒子との混合物を溶融押出しすることにより、得ることができる。例えば、多重管ノズルにおける中心に位置する中心ノズルから、微粒子の濃度の大きな混合物を溶融押出しし、その中心ノズルを囲繞する第2ノズルから、前記中心ノズルから押し出される混合物における微粒子の濃度よりも低い濃度で微粒子を含有する混合物を溶融押出しし、次いで、その第2ノズルの外側に位置する第3ノズルからは、第2ノズルから押し出される混合物における微粒子の濃度よりも低い濃度で微粒子を含有する混合物を溶融押出しし、順次に外側のノズルから、内側のノズルから押し出される混合物における微粒子の濃度よりも低い濃度で微粒子を含有する混合物を溶融押出しすることにより、線状の成形体を得ることができる。この線状の成形体は、軸線に直交する断面において、中心部から周辺端部に向かって微粒子の濃度が連続的または段階的に減少している。
【0040】
このような線状の成形体は、従来の光ファイバーのようなコアとクラッドとから成る構造を有していないが、「光が一様な媒質であれば曲がることなく直進するが、一様でない場合には屈折率の大きいほうへ曲がる性質を有する」という原理に従って、成形体の端面から入射した光を成形体の内部で波のように曲がりながら成形体の軸心方向を進行していくことになる。しかも、この成形体中には平均粒径が500nmを越えない微粒子が分散しているので、光の伝送損失が低減される。
【0041】
図2に示される態様の成形体は、(1)多層コート法、(2)多層押出し法等により形成することができる。
【0042】
前記多層コート法は、図3に示されるように、透明部材を形成する材料(以下において、透明部材形成用材料と称することがある。)例えば高分子化合物と微粒子との混合物(第1混合物と称することがある。)で形成されたシート状の第1透明部材層7の表面に、前記第1透明部材層7における微粒子の濃度よりも大きい(又は小さい)濃度で含有される微粒子と透明部材を形成する高分子化合物との混合物(第2混合物と称することがある。)でシート状の第2透明部材層8を積層し、次いでこの第2透明部材層8の表面に、この第2透明部材層8における微粒子の濃度よりも大きい(又は小さい)濃度で含有される微粒子と透明部材を形成する高分子化合物との混合物(第3混合物と称することがある。)でシート状の第3透明部材層9を積層し、以下同様にして第n透明部材層を積層することにより、微粒子の濃度が異なるn層の積層状成形体を製造する手法である。なお、前記nは整数を示す。
【0043】
この第1混合物から第n混合物の塗布は、ロールコータ法、流延法、刷毛塗り法等により行うことができる。
【0044】
なお、透明部材層を形成する際の混合物における微粒子の濃度は、この透明部材層における屈折率が所望の値になるように、適宜に調節される。
【0045】
前記多層押出し法は、多層フィルムを成形する共押出し成形法の一種である。前記共押出し法は、Tダイ法及びインフレーション法のいずれであっても良い。図4に示されるように、この多層押出し法では、複数の押出しノズル10,11,12を有する複合押出しノズル装置13を用い、前記複数の押出しノズル10,11,12それぞれから、互いに異なる濃度で含有される微粒子と透明部材形成用材料との混合物である透明部材層用樹脂液14,15,16を吐出して複合シート17が形成される。複合シート17においては、例えば第1層目である第1透明中間層用シートにおける微粒子の濃度よりも、第2層目である第2透明中間層用シートにおける微粒子の濃度を小さく、第3層目である第3透明中間層用シートにおける微粒子の濃度を第2透明中間層用シートにおける微粒子の濃度よりも小さくし、このように順次に隣接する透明中間層用シートにおける微粒子の濃度を変化させる。その結果、n層からなる多層の透明部材層からなる積層成形体が、この多層押出し法により、形成される。なお、図3においては、説明の便宜上3層の透明部材層が示されている。
【0046】
前記積層成形体を多層コート法及び多層押出し法のいずれによって形成するにしても、その積層成形体を成形する際の流れ方向に直交する断面において、その断面中心部の屈折率(n0)と断面端部の屈折率(n1)との差(n0−n1)の絶対値が小さくとも0.05、好ましくは小さくとも0.07となるように、微粒子の濃度を調整して屈折率を決定するのがよい。このような屈折率の差に調整された長尺状の積層成形体は、光伝送損失の少ない光伝送体とすることができる。
【0047】
また、前記積層成形体が一端面及びこれに対向する他端面を有する形状をなすときには、その一端面の屈折率(n3)と他端面の屈折率(n4)との差(n4−n3)の絶対値が、小さくとも0.05、好ましくは、小さくとも0.07となるように、微粒子の濃度を調整して屈折率を決定するのがよい。このような屈折率の差に調整された積層成形体は、(1)風防ガラス、及び窓ガラス等の日用品、(2)自動車ランプ、眼鏡、及びゴーグル等に使用されるレンズ、(3)カメラ部品、各種計器・機器類等のハウジング及び容器などの工業部品、(4)カメラ、VTR、複写機、OHP、プロジェクション、TV、及びプリンター等に使用される撮像系又は投影系のレンズ及びミラーレンズ等、(5)光磁気ディスク、色素系ディスク、音楽用コンパクトディスク、画像音楽同時録再型ディスク、及びメモリディスク等の情報ディスク材料等、(6)反射防止フィルム、液晶表示素子基板、拡散板、及び前方散乱板等の情報記録・情報表示分野、並びに光ファイバー、光導波フィルム、及びコネクター等の情報転送部品、並びに(7)受光素子用カバー及びプリズム等を初めとする種々の光学部材に使用される。
【0048】
さらには、このようにして得られるところの、この発明の成形体は、例えばプラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ(OELD)、及びフィールドエミッションディスプレイ(FED)等の自発光型ディスプレイ、並びに、液晶ディスプレイ(LCD)及びデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)等の受光型ディスプレイ等を初めとする光学表示部材等の光学部材として使用することができる。
【0049】
これらディスプレイ等の光学部材にこの発明に係る成形体を利用すると、透過光光量のロスがなく、したがってコントラストの良好な画像を表示することができ、また光の反射が少ないので画像を視認性よく観察することができる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。なお、以下、「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0051】
(実施例1)
この例は、中心部の屈折率が高く、厚さ方向に屈折率が減少する成形体に関する。
【0052】
透明部材としてノルボルネン系重合体(A)(日本ゼオン(株)製、商品名:ZEONOR1420R、吸水率0.01質量%以下、屈折率1.53)を採用した。この透明部材の濃度が50質量%に成るようにこの透明部材をトルエン/シクロへキサンの混合溶媒に溶解して透明部材溶液1を調製した。この透明部材溶液1とイソプロピルトリイソステアロイルチタネートで表面処理をしてなる酸化チタン微粒子(平均粒径:30nm、屈折率:2.70)とを、乾燥膜の屈折率が1.59になるように、混合し、微粒子を均一に分散させ、次いで固形分濃度が40質量%に成るようにトルエンで稀釈して第1A混合物を調製した。
【0053】
前記第1A混合物を調製するのと同様の手順で、乾燥膜の屈折率が1.56に成るように混合し、次いで固形分濃度が40質量%に成るようにトルエンで稀釈して第2A混合物を調製した。
【0054】
前記透明部材溶液1を調製するのと同様の手順で透明部材溶液1を調製し、この透明部材溶液1をトルエンで稀釈して固形分濃度が40質量%となる微粒子無含有溶液1を調製した。この微粒子無含有溶液1の乾燥膜の屈折率は1.53であった。
【0055】
ガラス基板上に前記微粒子無含有溶液1をバーコータで塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で2分間通過させることにより、微粒子無含有溶液1から成る第3塗工膜を乾燥した。これによって、ガラス基板上に第3透明乾燥膜(3)が形成された。
【0056】
乾燥後、前記第2A混合物をバーコータで塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で2分間通過させることにより、第2A混合物から成る第2塗工膜を乾燥した。これによって、ガラス基板上に形成された第3透明乾燥膜(3)の表面に、第2透明乾燥膜(2)が形成された。
【0057】
以後同様にして、第2透明乾燥膜(2)の表面に前記第1A混合物を塗工および乾燥して第2透明乾燥膜(2)の表面に第1透明乾燥膜(1)を形成した。この第1透明乾燥膜(1)の表面に第2A混合物を塗工および乾燥して第1透明乾燥膜(1)の表面に第2透明乾燥膜(2)を形成した。さらに、前記第2透明乾燥膜(2)の表面に前記微粒子無含有溶液1を塗工および乾燥して第3透明乾燥膜(3)を形成した。このようにしてガラス基板上に複数の透明乾燥膜[(3)/(2)/(1)/(2)/(3)]を積層してなる積層体を調製した。その後、ガラス板から透明乾燥膜の積層体を剥離して厚さ1mmの成形体(1)を得た。
【0058】
この成形体(1)につき、100×40mmの寸法を有するサンプルを切り出した。このサンプルにおける巾40mmである一端部の中央部に350nm、550nm及び700nmの発光波長を有する光を入射し、他方の端部の中央部から出射する光を測定し、伝送損失をアドバンテスト(株)製のTQ8344Aにて測定した。その結果を表1に示した。
【0059】
(実施例2)
この例は、中心部の屈折率が大きくて厚さ方向に屈折率が減少していく成形体に関する。
【0060】
微粒子としてγ−クロロプロピルトリメトキシシランで表面処理してなる酸化亜鉛微粒子(平均粒径:34nm、屈折率:2.01)を使用した他は、前記実施例1における第1A混合物を調製するのと同様にしてその乾燥膜の屈折率が1.59となる第1B混合物、その乾燥膜の屈折率が1.56となる第2B混合物及び微粒子無含有溶液2を調製した。
【0061】
前記実施例1におけるのと同様にして、ガラス基板上に前記微粒子無含有溶液2による第3透明乾燥膜(3)、この第3透明乾燥膜(3)の表面に第2B混合物による第2透明乾燥膜(2)、この第2透明乾燥膜(2)の表面に第1B混合物による第1透明乾燥膜(1)、この第1透明乾燥膜(1)の表面に第2B混合物による第2透明乾燥膜(2)、この第2透明乾燥膜(2)の表面に微粒子無含有溶液2による第3透明乾燥幕(3)を積層することにより、複数の透明乾燥膜[(3)/(2)/(1)/(2)/(3)]の積層体を調製した。前記実施例1と同様にしてガラス基板から前記積層体を剥離して厚さ1mmの成形体(2)を得た。
【0062】
この成形体(2)につき、前記実施例1における成形体(1)におけるのと同様にして、伝送損失を測定した。その結果を表1に示した。
【0063】
(実施例3)
この例は、中心部の屈折率が大きく、厚さ方向に屈折率が減少する成形体に関する。
【0064】
<マレイン酸変性重合体(B)の製造>
攪拌機及び三方コックを装着したフラスコに、ノルボルネン系重合体(B)(日本ゼオン株式会社製、商品名:ZEONEX480R、吸水率0.01質量%以下)240部と無水マレイン酸35.8部とtert−ブチルベンゼン562部とをこの順に仕込み、室温にて撹拌し、系内を窒素置換した。その後、130℃に昇温し、前記ノルボルネン系重合体(B)及び無水マレイン酸を完全に溶解した。
【0065】
ジクミルパーオキサイド16.2部をシクロヘキサノン137部に溶解した溶液を滴下ロートにて前記フラスコ内に滴下した。130℃で4時間、前記フラスコの内容物を撹拌した。次いで室温にまで冷却し、大量のアセトン中に、前記フラスコ内の内容物を加え、生成した樹脂を凝固させた。この樹脂を濾別し、乾燥することにより、マレイン酸変性重合体(B)(屈折率1.53)273部を得た。
【0066】
<積層体の製造>
トルエン/へキサンの混合溶媒(重量比1:1)に、前記マレイン酸変性重合体(B)の濃度が50質量%になるように、前記マレイン酸変性重合体(B)、可塑性脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業(株)製、商品名:エピコート2081)、及び1−ベンジル−2−ウンデシルイミダゾールを、重量比で100:10:1の割合で添加することにより、透明部材溶液を調製した。
【0067】
微粒子としてイソプロピルイソステアロイルチタネートで表面処理をした酸化チタン微粒子(平均粒径:30nm、屈折率:2.70)を使用した他は、前記実施例1における第1A混合物を調製するのと同様にして、その乾燥膜の屈折率が1.59となる第1C混合物、その乾燥膜の屈折率が1.56となる第2C混合物、及び微粒子無含有溶液3を調製した。
【0068】
前記実施例1と同様にして、ガラス基板上に、前記微粒子無含有溶液3による第3透明乾燥膜(3)、この第3透明乾燥膜(3)の表面に第2C混合物による第2透明乾燥膜(2)、この第2透明乾燥膜(2)の表面に第1C混合物による第1透明乾燥膜(1)、この第1透明乾燥膜(1)の表面に第2C混合物による第2透明乾燥膜(2)、この第2透明乾燥膜(2)の表面に微粒子無含有溶液3による第3透明乾燥膜(3)を積層することにより、複数の透明乾燥膜[(3)/(2)/(1)/(2)/(3)]の積層体を調製した。前記実施例1と同様にしてガラス基板から前記積層体を剥離して厚さ1mmの成形体(3)を得た。
【0069】
この成形体(3)につき、前記実施例1における成形体(1)におけるのと同様にして、伝送損失を測定した。その結果を表1に示した。
【0070】
(比較例1)
表面処理した酸化チタン微粒子を用いる代わりに、屈折率調整剤としてトリアジン化合物である2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールを用いた他は、前記実施例1と同様にして乾燥膜の屈折率が1.59となる第1D混合物、その乾燥膜の屈折率が1.56となる第2D混合物、及び微粒子無含有溶液4を調製した。
【0071】
前記実施例1と同様にして、ガラス基板上に、前記微粒子無含有溶液4による第3透明乾燥膜(3)、この第3透明乾燥膜(3)の表面に第2D混合物による第2透明乾燥膜(2)、この第2透明乾燥膜(2)の表面に第1D混合物による第1透明乾燥膜(1)、この第1透明乾燥膜(1)の表面に第2D混合物による第2透明乾燥膜(2)、この第2透明乾燥膜(2)の表面に微粒子無含有溶液4による第3透明乾燥幕(3)を積層することにより、複数の透明乾燥膜[(3)/(2)/(1)/(2)/(3)]の積層体を調製した。前記実施例1と同様にしてガラス基板から前記積層体を剥離して厚さ1mmの比較成形体(1)を得た。
【0072】
この成形体(3)につき、前記実施例1における成形体(1)におけるのと同様にして、伝送損失を測定した。その結果を表1に示した。
【0073】
【表1】
【0074】
(実施例4)
前記実施例1における第1A混合物を調製するのと同様にして、その乾燥膜の屈折率が1.96となるところの、固形分濃度が15質量%である第1E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.92となる第2E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.87となる第3E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.79となる第4E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.75となる第5E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.70となる第6E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.66となる第7E混合物、その乾燥膜の屈折率が1.62となる第8E混合物、及びその乾燥膜の屈折率が1.57となる第9E混合物を調製した。
【0075】
さらに、前記実施例1における微粒子無含有溶液1の調製と同様にして、固形分濃度が15質量%である微粒子無含有溶液5を調製した。この微粒子無含有溶液5の乾燥膜の屈折率は1.53であった。
【0076】
ガラス板状に前記第1E混合物をギャップ25μmのアプリケータで塗工し、得られた第1塗工膜を、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で2分間通過させることにより、乾燥した。これによってガラス基板上に第1透明乾燥膜(1)が形成された。
【0077】
乾燥後、前記第1透明乾燥膜(1)の表面に、第1塗工膜を形成するのと同様にして、前記第2E混合物を塗工し、100℃の乾燥器内を10m/秒の速度で2分間通過させて第2透明乾燥膜(2)を乾燥した。これによって第1透明乾燥膜(1)の表面に第2透明乾燥膜(2)が形成された。
【0078】
以後同様にして、第2透明乾燥膜(2)の表面に第3E混合物を塗工し、乾燥することにより第2透明乾燥膜(2)の表面に第3透明乾燥膜(3)を形成し、第3透明乾燥膜(3)の表面に第4E混合物を塗工し、乾燥することにより第4透明乾燥膜(4)を形成し、第4透明乾燥膜(4)の表面に第5E混合物を塗工し、乾燥することにより第5透明乾燥膜(5)を形成し、以後同様にして、第6透明乾燥膜(6)、第7透明乾燥膜(7)、第8透明乾燥膜(8)、及び第9透明乾燥膜(9)を積層形成し、その第9透明乾燥膜(9)の表面に、前記実施例1におけるのと同様にして微粒子無含有溶液5を塗工し、乾燥することにより、第10透明乾燥膜(10)を積層した。その後、ガラス板から透明乾燥膜の積層体を剥離して厚さ1mmの成形体(4)を得た。
【0079】
その成形体(4)の屈折率が1.96である面に、酸化インジウム90質量%及び酸化第二スズ10質量%からなる酸化物ターゲットを用い、アルゴン及び酸素の混合ガス(アルゴン/酸素の容積比=99/1)の雰囲気下で、スパッタ装置で、厚さ100nmの透明導電膜を積層することにより、片面に透明導電膜を有する成形体(5)を得た。
【0080】
この成形体(5)における非蒸着面側の表面から入射角度0度で波長550nmの光を照射し、その反射率を測定した。反射率の測定には、(株)島津製作所製のUV−2100 を用いた。反射率の測定結果を表2に示した。
【0081】
(比較例2)
ノルボルネン系重合体(A)(日本ゼオン(株)製、商品名:ZEONOR1420R)を用いて厚み1mmの成形体を得た。
【0082】
この成形体の表面に、前記実施例4におけるのと同様にして、厚さ100nmの透明導電膜を積層することにより、片面に透明導電膜を有する比較成形体(2)を得た。
【0083】
この比較成形体(2)につき、前記実施例4におけるのと同様にして、反射率の測定を行い、その結果を表2に示した。
【0084】
【表2】
【0085】
以上の結果より、本発明に係る成形体は、実施例1〜3に示されるように、広い波長領域(350〜700nm)にわたって、光伝送損失が少ない。さらに。この成形体に透明導電膜を積層したものは、反射率が低い。
【0086】
一方、比較例に係る成形体は、波長によっては光伝送損失が大きくなったり(比較例1)、反射率が大きく成ったりする(比較例2)。
【0087】
【発明の効果】
この発明によると、光伝送損失が少なくて光反射率も小さな、セルホックレンズ及び光伝送体等を初めとする各種の光学部材に利用可能な成形体を提供することができる。また、この発明によると、光伝送損失がすくなくて光反射率も小さな、セルホックレンズ、光拡散板、及び光伝送体例えば光ファイバー等の様々の光学部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一例である成形体及びその中心部から端縁部に至るまでの屈折率の変化を示す説明図である。
【図2】図2は、この発明の一例である成形体及びその一端面から他端面に至るまでの屈折率の変化を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明の一例である成形体を製造する方法の一例である多層コート法を示す説明図である。
【図4】図4は、この発明の一例である成形体を製造する方法の他の例である多層押出し法の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・成形体、2・・・成形体の中心部、3・・・成形体の端部、4・・一端面、5・・・他端面、6・・・成形体、7・・・第1透明部材層、8・・・第2透明部材層、9・・・第3透明部材層、n−1・・・第n−1透明部材層、n・・・第n透明部材層、10,11,12・・・押出しノズル、13・・・複合押出しノズル装置、14,15,16・・・透明部材層用樹脂液、17・・・複合シート
Claims (12)
- 透明部材と、前記透明部材の屈折率とは異なる屈折率を有し、かつ平均粒径が大きくとも500nmである微粒子とを含有し、前記微粒子が透明部材中に実質的に連続的または段階的な濃度勾配を有して分散して成ることを特徴とする成形体。
- 前記透明部材が、高分子化合物である前記請求項1に記載の成形体。
- 前記高分子化合物が、熱可塑性樹脂である前記請求項2に記載の成形体。
- 前記透明部材の吸水率が、大きくとも0.5質量%である前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記微粒子の濃度が、中心部から端部に向かって、又は端部から中心部に向かって、連続的または段階的に低下している前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記成形体断面において、その断面中心部の屈折率(n0)と断面端部の屈折率(n1)との差(n0−n1)の絶対値が、小さくとも0.05である前記請求項5に記載の成形体。
- 前記成形体が一端面と他端面とを有して成り、一端面の屈折率(n3)と他端面の屈折率(n4)との差(n4−n3)の絶対値が、小さくとも0.05である前記請求項5に記載の成形体。
- 前記微粒子が、無機化合物の微粒子である前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記無機化合物が、金属化合物である前記請求項8に記載の成形体。
- 平均粒径が大きくとも500nmである微粒子を含有する複数の透明部材層を積層して成る積層体であり、各透明部材層における前記微粒子の濃度が、積層体における一端面に位置する透明部材層から他端面に位置する透明部材層に向かって、透明部材層毎に増大し、又は減少して成る前記請求項1〜9の何れか一項に記載の成形体。
- 前記透明部材層を積層して成る積層体が、多層コート法又は多層押し出し法により形成されて成る前記請求項10に記載の成形体。
- 前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形体を有することを特徴とする光学部材。
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