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JP2004284061A - 感熱性平版印刷版およびその製造方法 - Google Patents

感熱性平版印刷版およびその製造方法 Download PDF

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JP2004284061A
JP2004284061A JP2003075981A JP2003075981A JP2004284061A JP 2004284061 A JP2004284061 A JP 2004284061A JP 2003075981 A JP2003075981 A JP 2003075981A JP 2003075981 A JP2003075981 A JP 2003075981A JP 2004284061 A JP2004284061 A JP 2004284061A
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JP
Japan
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heat
printing plate
lithographic printing
sensitive layer
acid
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Application number
JP2003075981A
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English (en)
Inventor
Norio Aoshima
徳生 青島
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】赤外線走査露光による画像記録後、機上現像性が可能であり、印刷時の汚れ難さに優れた感熱性平版印刷版およびその製造方法を提供する。
【解決手段】熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版において、該疎水性化合物が、融点70℃〜200℃、かつ分子量1000以下であることを特徴とする感熱性平版印刷版、および、感熱層の乾燥時到達温度が親油性化合物の融点より低いことを特徴とする上記感熱性平版印刷版の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版材に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像記録したものはそのまま印刷機に装着して機上現像による製版が可能な感熱性平版印刷版およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、平版印刷版の作製は、中間材料であるリスフィルムを介して平版印刷版材PS版に露光するシステムで行われてきた。しかし、近年の印刷分野におけるデジタル化の急速な進展とともに、印刷版作製工程は、コンピュータに入力し編集されたデジタルデータを平版印刷版材に直接出力するCTPシステムに変わりつつある。さらに、一層の工程合理化を目指して、露光後、現像処理することなしに、そのまま印刷が行える現像不要の平版印刷版材が開発されている。
【0003】
処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの平版印刷版材を印刷機の版胴に装着し、版胴を回転しながら湿し水とインキを供給することによって、平版印刷版材の画像形成層の不要部分を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、平版印刷版材を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で現像処理を完了する方式である。このような機上現像に適した平版印刷版材は、湿し水やインキ溶剤に可溶な画像形成層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性のため、赤外線露光による画像形成能を有することが必要である。
【0004】
このような平版印刷版材として、例えば、特許文献1(特開2001−277740号公報)には、熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層(上記の画像形成層に相当する。)を有する、耐刷性の良好な機上現像型の感熱性平版印刷版が記載されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2002−29162号公報)には、ビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂及び酸前駆体を含有する感熱層を有する機上現像型の感熱性平版印刷版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
【0006】
また、特許文献3(特開2002−46361号公報)には、エポキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂及び酸前駆体を含有する感熱層を有する機上現像型の感熱性平版印刷版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
【0007】
さらに、特許文献4(特開2002−137562号公報)には、ラジカル重合性基を有する化合物を内包するマイクロカプセル、親水性樹脂及び感熱性ラジカル発生剤を含有する感熱層を有する機上現像型の感熱性平版印刷版によって、良好な耐刷性が得られることが記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−277740号公報
【特許文献2】
特開2002−29162号公報
【特許文献3】
特開2002−46361号公報
【特許文献4】
特開2002−137562号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の技術による感熱性平版印刷版は、耐刷性は向上したが、まだ印刷時の汚れ難さが不十分という問題があった。本発明の目的は、この問題を解決することである。すなわち、印刷時の汚れ難さに優れた感熱性平版印刷版およびその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、下記の手段のよって解決できた。
1.親水性支持体上に、熱反応性基を有する疎水性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版において、該親油性化合物が、融点70℃〜200℃、かつ分子量1000以下であることを特徴とする感熱性平版印刷版。
【0011】
2.感熱層の乾燥時到達温度が親油性化合物の融点より低いことを特徴とする前記1に記載の感熱性平版印刷版の製造方法。
【0012】
本発明者は、マイクロカプセルを用いる感熱性平版印刷版の印刷汚れについて詳細に研究した結果、感熱性平版印刷版を作製する過程で、親油性の内包物がマイクロカプセル外にしみ出すことにより親水性の支持体表面が汚染され、非画像部の地汚れを引き起していることを見出した。本発明は、この発見に基づいて研究を続け、マイクロカプセルに内包する親油性化合物の融点及び分子量を制御することによって、親油性化合物がマイクロカプセル外にしみ出すことを防止し、汚れ難さの改良に到達したものである。
また、上記の印刷時の汚れ難さに優れた感熱性平版印刷版を製造するには、感光層の乾燥時到達温度を親油性化合物の融点より低く制御することが好ましいことを見出し、本発明に至った。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱性平版印刷版は、熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する。マイクロカプセルは保護コロイド及び/又は添加する親水性樹脂などに分散されて感熱層に含まれる。そのため、感熱層表面は親水性である。かかる感熱性平版印刷版をデジタル信号に基づいた赤外線走査露光すると、発生した熱によって該親油性化合物がマイクロカプセル外に拡散して反応し、親水性感熱層にインキ受容性の画像部となる親油性ブロックを形成する。
【0014】
本発明は、かかる親油性化合物の融点が70〜200℃であって、かつ分子量が1000以下であることを特徴とする。より好ましくは、融点70〜150℃、分子量800以下であり、融点70〜120℃、分子量700以下が最も好ましい。上記範囲内で、良好な感度を維持し、印刷汚れし難い感熱性平版印刷版が得られる。
【0015】
上記のごとく、該親油性化合物は、露光時の発熱によってマイクロカプセル外に拡散して反応するので、効率よく反応するためには、露光時に速やかにマイクロカプセル外に拡散する必要がある。そのためには、融点が低く、融解時の流動性が高いことが望ましい。
しかし、融点が70℃未満では、マイクロカプセルを含有する感熱層を支持体上に設ける際の乾燥過程で親油性化合物が融解して高い流動性を得るため、マイクロカプセル外へ漏れ出して親水性表面を汚染する。その結果印刷汚れを引き起こし易くなる。逆に、融点が200℃を超えるほど高くなると、画像形成時の拡散性が低下するため反応性が低下し、感度が低下する。
【0016】
また分子量は、1000以下であれば画像形成時に良好な拡散性が得られるが、1000を超えると画像形成時の拡散性が低下するため反応効率が悪くなって低感度となる。
【0017】
本発明に用いられる上記親油性化合物が有する熱反応性基(以下では、単に、反応性基ともいう。)としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でも良いが、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基など)、縮合反応を行うカルボキシル基及び反応相手であるヒドロキシル基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシル基などを好適なものとして挙げることができる。
【0018】
従って、本発明に用いられる親油性化合物としては、上記の反応性基を有し、融点が70〜200℃であって、かつ分子量1000以下であれば、特に限定されない。
そのような化合物の具体例としては、下記構造の多官能ビニルエーテルが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0019】
【化1】
Figure 2004284061
【0020】
なお、親油性化合物の融点(mp)は、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、DSC200)で、昇温速度10℃/分、大気雰囲気下で測定して得た値を用いた。
【0021】
上記の熱反応性基を有する化合物をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許第2800457号、同第2800458号明細書にみられるコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、特公昭38−19574号、同42−446号公報にみられる界面重合法による方法、米国特許第3418250号、同第3660304号明細書にみられるポリマーの析出による方法、米国特許第3796669号明細書に見られるイソシアナートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に見られるイソシアナート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同第4087376号、同第4089802号の各明細書にみられる尿素―ホルムアルデヒド系又は尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025445号明細書にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号公報にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許第930422号、米国特許第3111407号明細書にみられるスプレードライング法、英国特許第952807号、同第967074号の各明細書にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレア及びポリウレタンが好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性基を有する化合物を導入しても良い。
【0023】
上記マイクロカプセル化法において、必要に応じて、マイクロカプセル液の保護コロイドが用いられる。保護コロイドとしては、天然又は合成の親水性樹脂、例えば、ゼラチン、アラビアガム、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール類等が用いられる。保護コロイドを用いる場合の使用量は、マイクロカプセル分散液固形分の5〜20質量%が好ましい。
【0024】
上記のマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましいが、0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定性が得られる。
【0025】
このようなマイクロカプセルは、カプセル同志が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良い。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したもの、又は、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により化学反応を起こせば良い。添加された親水性樹脂又は添加された低分子化合物と反応してもよい。また2種類以上のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能基で互いに熱反応するような官能基をもたせることによって、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。従って、熱によってマイクロカプセル同士が、熱で溶融合体することは画像形成上好ましいことであるが、必須ではない。
【0026】
上記マイクロカプセルの感熱層への添加量は、固形分換算で、感熱層固形分の50質量%以上が好ましく、70〜98質量%がより好ましい。この範囲内で、良好な画像形成ができ、良好な耐刷性が得られる。
【0027】
本発明の感熱層には、機上現像性や感熱層自体の皮膜強度向上のため親水性樹脂を含有させることができる。親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミド基などの親水基を有するものが好ましい。また、親水性樹脂は、マイクロカプセルに内包される親油性化合物が有する熱反応性基と反応し架橋することによって画像強度が高まり、高耐刷化されるので、熱反応性基と反応する基を有することが好ましい。例えば、親油性化合物がビニルオキシ基又はエポキシ基を有する場合は、親水性樹脂としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などを有するものが好ましい。中でも、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する親水性樹脂が好ましい。
【0028】
親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ソヤガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、加水分解度が少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のホモポリマー及びコポリマー、2−メタクロイルオキシエチルホスホン酸のホモポリマー及びコポリマー等を挙げることができる。
【0029】
上記親水性樹脂の感熱層への添加量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0030】
また、上記親水性樹脂は印刷機上で未露光部が機上現像できる程度に架橋して用いてもよい。架橋剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコ−ルジグリシジルエーテル、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物などのポリカルボン酸類、ホウ酸、チタニルスルフェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。その他、塩化アンモニウム、シランカプリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用できる。
【0031】
本発明の感熱層には、感度を高めるため、光を熱にする機能の光熱変換剤が含有される。光熱変換剤としては、赤外線、中でも近赤外線(波長700〜2000nm)を吸収する物質であればよく、種々の公知の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子を用いることができる。
【0032】
例えば、特開2001−301350号公報、特開2002−137562号公報、日本印刷学会誌、38卷35〜40頁(2001)「新イメージング材料、2.近赤外線吸収色素」等に記載の顔料、染料又は色素、及び金属微粒子が好適に用いられる。顔料及び金属微粒子は、必要に応じて、公知の表面処理を施したものを用いることがでる。
【0033】
染料又は色素として、より具体的には、米国特許第4756993号明細書、同第4973572号明細書、特開平10−268512号、同11−235883号、特公平5−13514号、同5−19702号、特開2001−347765号等の各公報に記載のシアニン色素、ポリメチン色素、アゾメチン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム及びチオピリリウム塩系染料、ジチオール金属錯体、フタロシアニン色素等が挙げられる。特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、フタロシアニン色素が挙げられる。
【0034】
顔料としては、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。中でもカーボンブラックが好適である。
【0035】
金属微粒子としてはAg、Au、Cu、Sb、Ge及びPbの微粒子が好ましく、Ag、Au及びCuの微粒子がより好ましい。
【0036】
光熱変換剤を感熱層に添加する場合、マイクロカプセルに含有した形で添加してもよいし、マイクロカプセル外の親水性媒質中に添加してもよい。以下に、特に好適な光熱変換剤の具体例を示すが、これらに限定されない。(IR−1)〜(IR−11)は、親水性媒質中に添加するのに好適な親水性の光熱変換剤であり、(IR−21)〜(IR−29)は、マイクロカプセル中に含有させるのに好適な親油性の光熱変換剤である。
【0037】
【化2】
Figure 2004284061
【0038】
【化3】
Figure 2004284061
【0039】
【化4】
Figure 2004284061
【0040】
【化5】
Figure 2004284061
【0041】
光熱変換剤の添加割合は、感熱層固形分の1〜50質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。この範囲内で、良好な感度が得られる。
【0042】
本発明の感熱層は、前記熱反応基の反応を開始又は促進する反応促進剤を含有することができる。また、反応促進剤は、酸又はラジカルを発生するため、発生した酸又はラジカルで変色する染料と組み合わせて焼き出し系を形成できる。かかる反応促進剤としては、公知の酸前駆体、酸発生剤、熱ラジカル発生剤と呼ばれる化合物が好適なものとして挙げられる。例えば、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、焼き出し画像形成用の酸発生剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等が挙げられる。
【0043】
より具体的には、特開2002−29162号、特開2002−46361号、特開2002−137562号等の各公報に記載のトリハロメチル置換へテロ環化合物に代表される有機ハロゲン化合物、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、オニウム塩(例えばヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩など)を挙げることができる。またこれらの酸又はラジカルを発生する基又は化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物を用いることもできる。以下に化合物例を挙げるが、これらに限定されない。
【0044】
【化6】
Figure 2004284061
【0045】
【化7】
Figure 2004284061
【0046】
【化8】
Figure 2004284061
【0047】
【化9】
Figure 2004284061
【0048】
【化10】
Figure 2004284061
【0049】
上記反応促進剤は2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、反応促進剤の感熱層への添加は、感熱層塗布液への直接添加でも、マイクロカプセル中に含有させた形での添加でもよい。感熱層中の反応促進剤の含有量は、感熱層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。この範囲内で良好な反応開始又は促進効果が得られる。
【0050】
本発明の感熱層には、焼き出し画像生成のため、酸又はラジカルによって変色する化合物を添加することができる。このような化合物としては、例えばジフェニルメタン系、トリフェニルメタン系、チアジン系、オキサジン系、キサンテン系、アンスラキノン系、イミノキノン系、アゾ系、アゾメチン系等の各種色素が有効に用いられる。
【0051】
具体例としては、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α−ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイドグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルーBOH[保土ケ谷化学(株)製]、オイルブルー#603[オリエント化学工業(株)製]、オイルピンク#312[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッド5B[オリエント化学工業(株)製]、オイルスカーレット#308[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドOG[オリエント化学工業(株)製]、オイルレッドRR[オリエント化学工業(株)製]、オイルグリーン#502[オリエント化学工業(株)製]、スピロンレッドBEHスペシャル[保土ケ谷化学工業(株)製]、m−クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシアニリノ−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2−カルボキシステアリルアミノ−4−p−N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ−フェニルイミノナフトキノン、1−フェニル−3−メチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン、1−β−ナフチル−4−p−ジエチルアミノフェニルイミノ−5−ピラゾロン等の染料やp,p’,p”−ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)等のロイコ染料が挙げられる。
【0052】
上記の他に、感熱紙や感圧紙用の素材として知られているロイコ染料も好適なものとして挙げられる。具体例としては、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチル)アミノ−フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)−フルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルー7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−(4−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−クロロフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7−ベンジルアミノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−7,8−ベンゾフロオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジブチルアミノ)−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−ザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、などが挙げられる。
【0053】
酸又はラジカルによって変色する染料の好適な添加量は、それぞれ、感熱層固形分に対して0.01〜10質量%の割合である。
【0054】
また、本発明においては、感熱層塗布液の調製中又は保存中においてエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の重量に対して0.01〜5質量%が好ましい。
【0055】
また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその誘導体の添加量は、感熱層固形分の0.1〜約10質量%が好ましい。
【0056】
また、本発明の感熱層には無機微粒子を添加してもよく、無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、アルギン酸カルシウム又はこれらの混合物などが好適な例として挙げられ、これらは光熱変換性でなくても皮膜の強化や表面粗面化による界面接着性の強化などに用いることができる。
【0057】
また、無機微粒子の平均粒径は5nm〜10μmのものが好ましく、より好ましくは10nm〜1μmである。粒径がこの範囲内で、親水性樹脂内に安定に分散し、感熱層の膜強度を充分に保持し、印刷汚れを生じにくい親水性に優れた非画像部を形成できる。
【0058】
このような無機微粒子は、コロイダルシリカ分散物などの市販品として容易に入手できる。無機微粒子の感熱層への含有量は、感熱層の全固形分の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
【0059】
また、本発明の感熱層には、感熱層の分散安定性、製版及び印刷性能向上や塗布性の向上のため、特開平2−195356号、特開昭59−121044号、特開平4−13149号及び特開2002−365789号の各公報に記載されているノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性又はフッ素系の界面活性剤を添加することができる。これらの界面活性剤の好適な添加量は、感熱層全固形物の0.005〜1質量%である。
【0060】
さらに、本発明の感熱層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0061】
本発明の感熱層は、必要な上記各成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0062】
上記塗布された感熱層が乾燥されるにあたり、本発明においては、感熱層の乾燥時到達温度は、反応性基を有する親油性化合物の融点を大きく上回らない事が望ましい。好ましくは、該親油性化合物の融点以下である。該親油性化合物の融点を大きく上回ると、親油性化合物が融解し、マイクロカプセル外へ拡散して印刷汚れの原因となる。親油性化合物の融点を考慮し、最も生産性の高い条件を選択する事が好ましい。
ここで、感熱層の乾燥時到達温度とは、塗布された感熱層の乾燥過程における感熱層温度の最高温度を意味する。この感熱層温度は、放射温度計(例えば、ミノルタ(株)製SPOT THERMOMETER TA−0510F )を使用して測定できる。本発明では、乾燥過程の終了と同時に、放射温度計を用いて感熱層表面温度を測定し、これを感熱層の乾燥時到達温度とした。
【0063】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。この範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。
【0064】
本発明の感熱性平版印刷版は、保存時の親油性物質による汚染や取り扱い時の手指の接触による指紋跡汚染等から親水性の感熱層表面を保護するため、感熱層上に、特開2001−162961号公報、特開2002−19318号公報に記載の水溶性樹脂を含有するオーバーコート層を設けることができる。
【0065】
オーバーコート層に用いられる水溶性樹脂の具体例としては、天然高分子では、アラビアガム、水溶性大豆多糖類、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルロース等)、その変性体、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等、合成高分子では、ポリビニルアルコール(ポリ酢酸ビニルの加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ビニルアルコール/アクリル酸共重合体及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩又はアミン塩、等を挙げることができる。目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。しかし、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0066】
上記のオーバーコート層には、感度を向上させるため光熱変換剤を含有させることができる。好ましい光熱変換剤としては、水溶性の赤外線吸収色素が挙げられる。例えば、前記の感熱層の説明中に示した(IR−1)〜(IR−11)が好適に用いられる。
【0067】
その他、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には主に非イオン系界面活性剤を添加することができる。この様な非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル等を挙げることが出来る。上記非イオン界面活性剤のオーバーコート層の全固形物中に占める割合は、0.05〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
【0068】
さらに、上記オーバーコート層には、積み重ね保存時のプレート間のくっつきを防止するため、特開2001−341448号公報記載のフッ素原子及びケイ素原子のうちいずれかを有する化合物を含有することができる。
【0069】
本発明のオーバーコート層の厚みは、0.1〜4.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。この範囲内で、印刷機上でのオーバーコート層の除去性を損なうことなく、親油性物質による感熱層の汚染を防止できる。
【0070】
本発明の感熱性平版印刷版において前記感熱層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。
【0071】
該アルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウム又はアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来から公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。
【0072】
本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。
【0073】
アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上及び感熱層との接着性の確保が容易になる。
【0074】
アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸などの酸を含む電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に記載されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。
【0075】
粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0076】
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸又はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m、特に1.5〜4.0g/mであることが好ましい。
【0077】
本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層改良のため、必要に応じて、特開2001−253181号公報や特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。
【0078】
上記親水化処理のための好適な親水性化合物として、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などが挙げられる。
【0079】
本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特開2001−199175号公報に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモン及び遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。
【0080】
本発明においては、感熱層を塗布する前に、必要に応じて、特開2001−2001−322365号公報に記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層が設けることができる。また、この下塗層には、前記赤外線吸収色素を含有させることができる。
【0081】
本発明において、感熱性平版印刷版は、印刷に先立って、熱により画像(潜像)が形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられる。なかでも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザー、YAGレーザー等の固体高出力赤外線レーザーによる露光が好ましい。
【0082】
潜像形成された本発明の平版印刷版材は、それ以上の処理なしに印刷機に装着することができる。インキと湿し水を用いて印刷を開始すると、未露光部の感熱層が除去され、露光部にインキが着肉して印刷が開始される。
【0083】
また、本発明の平版印刷版材は、印刷機の版胴上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、続いて機上現像し、印刷するシステムにも用いられる。
【0084】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
[支持体の製造例]
99.5質量%以上のアルミニウムと、Fe 0.30質量%、Si 0.10質量%、Ti0.02質量%、Cu 0.013質量%を含むJIS A1050合金の溶湯に清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。 次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
【0086】
次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。次いで支持体と感熱層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dmを与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20質量%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dmの直流で電解処理を行うことで2.5g/mの陽極酸化皮膜を作成した。
【0087】
この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/mであった。以上のように作製した支持体の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0088】
[熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセルの合成例A]
油相成分として、四官能ビニルエーテル(本明細書記載のM−2)4.5g、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(三井武田ケミカル(株)製タケネートD−110N(マイクロカプセル壁材)5g、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン(株)製芳香族イソシアネートオリゴマー、マイクロカプセル壁材)3.75g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−27)1.5g、パイオニンA41C(竹本油脂(株)界面活性剤)0.1gを酢酸エチル18.4gに溶解した。水相成分としてPVA205(クラレ製ポリビニルアルコール)の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分を、ホモジナイザーを用い12000rpmで10分間乳化した。その後テトラエチレンペンタミン(5官能アミン、マイクロカプセル壁架橋剤)0.38gを水26gに溶解したものを添加し、水冷しながら30分さらに65℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は24質量%であり、平均粒径は0.3μmであった。
【0089】
[熱反応性基を有する化合物を内包するマイクロカプセルの合成例B]
四官能ビニルエーテル(本明細書記載のM−2)の代わりに、ビスフェノールAのビス(ビニルオキシエチル)エーテル(融点53℃)を用いた他は合成例Aと同様にして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は24質量%であり、平均粒径は0.3μmであった。
【0090】
実施例1
上記製造例で得たアルミニウム基板上に、合成例Aのマイクロカプセルを含む下記の感熱層塗布液をバー塗布した後、オーブンで100℃60秒の条件で乾燥し、感熱層の乾燥塗布量1.0g/mの感熱性平版印刷版を作製した。感熱層の乾燥時到達温度は65℃であった。
【0091】
<感熱層塗布液>
水 35.4g
合成例Aのマイクロカプセル液 9.0g
酸前駆体(本明細書に記載のAI−7) 0.24g
【0092】
得られた感熱性平版印刷版を、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにて、出力17W、外面ドラム回転数100rpm、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハリス印刷機のシリンダーに取り付けた。4容量%IF102(富士写真フイルム(株)製)水溶液からなる湿し水とハイエコーSOY墨インキ(東洋インク製)を用い、湿し水及びインキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。印刷中に湿し水の量を絞った時の水目盛の値と、非画像部の地汚れの程度を表1に示した。
【0093】
比較例1
上記製造例で得たアルミニウム基板上に、合成例Bのマイクロカプセルを含む下記の感熱層塗布液をバー塗布した後、オーブンで100℃60秒の条件で乾燥し、感熱層の乾燥塗布量1.0g/mの感熱性平版印刷版を作製した。感熱層の乾燥時到達温度は65℃であった。
【0094】
<感熱層塗布液>
水 35.4g
合成例Bのマイクロカプセル液 9.0g
酸前駆体(本明細書に記載のAI−7) 0.24g
【0095】
このようにして得た感熱性平版印刷版を実施例1と同様な条件で、露光、印刷した。このときの印刷中に湿し水の量を絞った時の水目盛の値と、非画像部の地汚れの程度を表1に示した。
【0096】
【表1】
Figure 2004284061
【0097】
ここで、水目盛の値が小さいほど、印刷版に供給される湿し水の量は少なく、非画像部が汚れ易い条件となる。
【0098】
上記の結果から、本発明の感熱性平版印刷版が、湿し水の供給量に対し広い許容幅を有し、印刷汚れ難さが向上していることがわかる。
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、印刷時の汚れ難さに優れた感熱性平版印刷版およびその製造方法を提供できる。

Claims (2)

  1. 親水性支持体上に、熱反応性基を有する親油性化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層を有する感熱性平版印刷版において、該親油性化合物が、融点70℃〜200℃、かつ分子量1000以下であることを特徴とする感熱性平版印刷版。
  2. 感熱層の乾燥時到達温度が親油性化合物の融点より低いことを特徴とする請求項1に記載の感熱性平版印刷版の製造方法。
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