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JP2004279531A - 転写部材、及びその製造方法、並びに、それを用いた画像形成装置 - Google Patents

転写部材、及びその製造方法、並びに、それを用いた画像形成装置 Download PDF

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JP2004279531A
JP2004279531A JP2003067875A JP2003067875A JP2004279531A JP 2004279531 A JP2004279531 A JP 2004279531A JP 2003067875 A JP2003067875 A JP 2003067875A JP 2003067875 A JP2003067875 A JP 2003067875A JP 2004279531 A JP2004279531 A JP 2004279531A
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polyamide resin
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mpa
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JP2003067875A
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Shigeru Fukuda
茂 福田
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

【課題】所望の抵抗特性を有し優れた転写画像を得られる共に、表面抵抗率維持性に優れた転写部材、及びその製造方法、並びに、それを用いた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックを、ポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有することを特徴とする転写部材、及び2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて混合する混合工程と、混合したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を用いて、ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材を成形する成形工程と、を有することを特徴とする転写部材の製造方法、並びにそれを用いた画像形成装置である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンタ等の静電複写方式の画像形成装置に用いる、中間転写体などの転写部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、静電複写方式の画像形成装置は、光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
【0003】
このような画像形成装置のなか、上記トナー像を中間転写体を介して静電的に転写することにより所要の再生画像を得る、所謂中間転写方式の画像形成装置もあり、例えば、特開昭62−206567号公報等に開示されたものが知られている。
【0004】
上記中間転写体方式を採用した画像形成装置に用いられる中間転写体材料としては、ポリカーボネート樹脂(特開平06−095521号公報)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)(特開平5−200904号公報、特開平6−228335号公報)、ポリアルキレンフタレート(特開平6−149081号公報)などの熱可塑性樹脂の導電性の無端ベルトやポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂(特許2560727号)を用いる提案がなされている。
【0005】
なかでも、全芳香族ポリイミド樹脂は強度が強いため中間転写体(転写部材)に好んで用いられている。また、転写部材は抵抗値を所定の値に制御する必要がある。このためにカーボンブラックを樹脂中に混合する方法が良く知られているが、カーボンブラックを非常に微細に分散にしないと転写ムラや転写画像の乱れが生じる不具合があった。転写部材に好ましい全芳香族ポリイミド樹脂は熱的に安定かつ溶剤に不溶なため、抵抗調整するためには前駆体であるポリアミド酸へカーボンブラックを分散するかもしくはモノマー溶液中にカーボンブラックを分散した後重合して抵抗制御剤含有ポリアミド酸にし、それぞれで得た溶液を膜状にした後溶剤除去/イミド転化をして部材を作る必要がある。
【0006】
このため、例えば、特開2001−342344にはメディアを用いた分散機を用い、ポリイミド原料であるポリアミド酸溶液中にDBP吸収量が40cm以上90cm以下、比表面積100m/g当りの揮発分が2.5重量%以上の酸性カーボンブラックを微細に分散分散することが記載されているが、抵抗の維持安定性を得るためには十分ではない。また、メディアを用いた分散機を使用すると、メディアや容器にロスされる量が20%と多いためポリイミド樹脂のような高価な樹脂材料を使う場合にはコストアップになる、メディアや容器から入るコンタミによる皮膜欠陥が発生する、メディア径が使用中に小さくなり分散能力が変化する、メディアを高速で衝突させる必要があるため高粘度での系には適用できないといった欠点がある。
【0007】
他方、特開2000−355432では溶剤中に抵抗制御剤を分散させた後にポリアミド酸を構成する酸無水物とジアミンを加えポリアミド酸を重合した後、ポリイミドとすることが記載されているが、カーボンブラック表面の各種の官能基がポリアミド酸重合反応に不具合を生じるためカーボンブラックをあらかじめ不活性化しておく必要があるといった問題があった。
【0008】
また、特開2001−34074ではカーボンブラックをジメチルアセトアミドに15重量%となるよう混合し、これを溝幅0.1mm、深さ0.1mmの溝を持つ2回衝突型分散器10Kgf/cm(約1MPa)で通し分散した例が示されているがこの圧力では例述のような衝突型分散器内部を通ることは難しいと思われる。
また、特開2001−106797では高品質の転写画像を再現性良く得られる中間転写体として、導電性材料を12重量%(13.6重量部)含有するポリイミド管状物が示されているが、筆者らのテストにおいてはこの添加量ではまだ十分な画質の転写画像にはならなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−342344
【特許文献2】
特開2000−355432
【特許文献3】
特開2001−34074
【特許文献4】
特開2001−106797
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、転写部材は抵抗値を所定の値に制御する必要があるが、上述の分散方法では、所望の抵抗値を得られたとしても、転写ムラや表面抵抗率維持性低下が生じるといった不具合が依然生じていた。
【0011】
これらは、ポリイミド樹脂中に、抵抗制御に寄与するカーボンブラックが高濃度で均一かつ微細に分散されていないことが原因であると推測され、改善が望まれている。
【0012】
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、所望の抵抗特性を有し優れた転写画像を得られる共に、表面抵抗率維持性に優れた転写部材、及びその製造方法、並びに、それを用いた画像形成装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
(1)ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材であって、
pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックを、ポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有することを特徴とする転写部材。
【0014】
(2)表面抵抗率が、1×10Ω/□〜1×1015Ω/cmであることを特徴とする前記(1)に記載の転写部材。
【0015】
(3)体積抵抗率が、1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmであることを特徴とする前記(1)に記載の転写部材。
【0016】
(4)前記カーボンブラックの平均粒子径が、500nm以下であることを特徴とする前記(1)に記載の転写部材。
【0017】
(5)2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて混合する混合工程と、
混合したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を用いて、ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする転写部材の製造方法。
【0018】
(6)前記混合工程において、上流から下流に向かって一点に連結された2つ以上の流路管に、2つ以上に分割した前記ポリアミド樹脂溶液を150MPa以上の圧力でそれぞれ流し、2つ以上の当該流路管の連結部で互いに衝突させることを特徴とする前記(5)に記載の転写部材の製造方法。
【0019】
(7)2つ以上の前記流路管の連結部の最小断面積が、0.07mm以下であることを特徴とする前記(6)に記載の転写部材の製造方法。
【0020】
(8)前記混合工程は、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて、再び2つ以上に分割することを特徴とする前記(5)に記載の転写部材の製造方法。
【0021】
(9)前記混合工程において、上流から下流に向かって一点に連結された2つ以上の第1流路管に、2つ以上に分割した前記ポリアミド樹脂溶液を150MPa以上の圧力でそれぞれ流し、2つ以上の当該流路管の連結部で互いに衝突させ、前記第1流路管の連結部から2つ以上に分岐した第2流路管に、衝突させたポリアミド樹脂溶液を流して再び2つ以上に分割することを特徴とする前記(8)に記載の転写部材の製造方法。
【0022】
(10)前記混合工程において、2つ以上に分割した前記ポリアミド樹脂溶液の衝突、分割を複数回繰り返すことを特徴とする前記(8)に記載の転写部材の製造方法。
【0023】
(11)前記混合工程を行なった後、混合された前記ポリアミド樹脂溶液を、フィルタで濾過する濾過工程を有することを特徴とする前記(5)に記載の転写部材の製造方法。
【0024】
(12)前記混合工程において、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150〜250MPaで互いに衝突させて混合することを特徴とする前記(5)に記載の転写部材の製造方法。
【0025】
(13)前記混合工程において、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、180〜220MPaで互いに衝突させて混合することを特徴とする前記(5)に記載の転写部材の製造方法。
【0026】
(14)ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材を具備する画像形成装置であって、
転写部材が、pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックを、ポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有することを特徴とする画像形成装置。
【0027】
(15)表面抵抗率が、1×10Ω/□〜1×1015Ω/□であることを特徴とする前記(14)に記載の画像形成装置。
【0028】
(16)体積抵抗率が、1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmであることを特徴とする前記(14)に記載の画像形成装置。
【0029】
(17)前記カーボンブラックの平均粒子径が、500nm以下であることを特徴とする前記(14)に記載の画像形成装置。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明の転写部材を説明すると共に、その製造方法についても説明する。
【0031】
(転写部材及びその製造方法)
本発明の転写部材は、ポリイミド樹脂を主体として構成されおり、pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックをポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有することを特徴としている。このような高濃度で抵抗制御に寄与するカーボンブラックを含む構成の本発明の転写部材は、ポリイミド樹脂中に、抵抗制御に寄与するカーボンブラックが、高濃度で均一且つ微細に分散されて含有していることを示しており、所望の抵抗特性を有し、例えば転写ムラが無いなど優れた転写画像が得られると共に、表面抵抗率維持性に優れたものとなっている。
【0032】
本発明の転写部材において、pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラック、即ち抵抗制御に寄与するカーボンブラックが、ポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有するが、好ましくは、22〜28質量部含有することである。
【0033】
この抵抗制御に寄与するカーボンブラックの含有量がポリイミド樹脂100質量部に対して22質量部未満であると、転写ムラの程度が悪くなるとともに抵抗が高くなりトナーを転写できなくなり、一方、ポリイミド樹脂100質量部に対して30質量部を超えると、皮膜がもろくなり屈曲性が低下するとともに抵抗が低くなり転写画像が乱れてしまう。
【0034】
本発明の転写部材は、抵抗制御に寄与するカーボンブラックを上記特定量含有させることで、表面抵抗率を1×10Ω/□〜1×1015Ω/□となるように制御可能であり、より好ましくは1×1010Ω/□〜1×1013Ω/□であり、さらに好ましくは1×1011Ω/□〜1×1012Ω/□である。この表面抵抗率が低すぎると、転写時に電流が流れすぎてしまい転写画像が乱れることがあり、一方、高すぎると、転写電流が流れないために転写できなくなることがある。
【0035】
ここで、表面抵抗率は、以下に示す方法により、電圧100Vを印加し、10秒後の電流値より求めた値である。表面抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。具体的には、例えば、図1に示す円形電極を用いて測定することができる。図1は、表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、かつ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に転写部材Tを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(1)により、転写部材Tの表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出することができる。ここで、下記式(1)中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示す。D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式(1) ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
【0036】
本発明の転写部材は、抵抗制御に寄与するカーボンブラックを上記特定量含有させることで、体積抵抗率を1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmとなるように制御可能であり、より好ましくは1×10Ω・cm〜1×1012Ω・cmであり、さらに好ましくは1×10Ω・cm〜1×1011Ω・cmである。この体積抵抗率が低すぎると転写時に電流が流れすぎてしまい転写画像が乱れることがあり、一方、高すぎると、転写時に電流が流れすぎてしまい転写画像が乱れることがある。
【0037】
ここで、体積抵抗率は、以下に示す方法により、電圧100Vを印加し、30秒後の電流値より求めた値である。体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。具体的には、例えば、図2に示す円形電極を用いて測定することができる。図2は、体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と第二電圧印加電極B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、該円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’とを備える。第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と第二電圧印加電極B’との間に転写部材T’を挟持し、第一電圧印加電極A’における円柱状電極部C’と第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式(2)により、転写部材T’の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(2)中、tは転写部材T’の厚さを示す。
式(2) ρv=19.6×(V/I)×t
【0038】
本発明の転写部材は、カーボンブラックを上記特定量含有させることで、使用前後での表面抵抗率変化量が±0.8以内と維持性に優れた転写部材となる。表面抵抗率変化量とは、表面抵抗率値を常用対数で表し、使用後の表面抵抗率値から使用前の表面抵抗率値を引いたときの値である。±0.8を越えると転写時の濃度ムラとなることがある。
【0039】
本発明の転写部材においは、上記抵抗制御に寄与するカーボンブラックを上記特定量含有するために、当該カーボンブラックの平均粒子径が、500nm以下であることが好ましい。。
【0040】
このカーボンブラックの粒子径が大きすぎると皮膜がもろくなり機械的強度が落ちることがある。
【0041】
ここで、カーボンブラックの平均粒子径は、大塚電子製の動的光散乱式測定器PAR−IIIを用いて測定を行った。測定条件はclock rate:100μs、accumulate time:10回、correlate ch:128、温度:20℃、溶媒:NMPである。
【0042】
本発明の転写部材において、上記各特性を満たすためには、ポリイミド前駆体である、ポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを均一かつ微細に分散することが必要であり、以下、上記各特性を満たすことが可能な転写部材の製造方法(本発明の転写部材の製造方法)について説明する。
【0043】
本発明の転写部材の製造方法は、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて混合する混合工程と、混合したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を用いて、ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材を成形する成形工程と、を有することを特徴としている。
【0044】
混合工程では、まず、ポリイミド前駆体であるポリアミド樹脂溶液をにカーボンブラックを混合し、この混合溶液を2つ以上に分割する。そして2つ以上分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて混合する。このように、150MPa以上で互いに衝突させて混合させることで、ポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを微細に分散することができると考えられる。
【0045】
この2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液は、150MPa以上の圧力で互いに衝突させて混合するが、好ましくは150〜250MPa、より好ましくは180〜220MPaの圧力で互いに衝突させることが好ましい。この互いに衝突させる圧力が、150MPa未満であると、ポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを微細に分散することができなく、上述した転写部材の各特性を満たすことができなくなる。
【0046】
また、衝突させた混合溶液を更に2つ以上に分割し、この分割溶液を150MPa以上で互いに衝突させて混合してもよい。この操作を2回以上繰り返して行なうことで、さらに、効率良くポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを微細に分散することができる。
【0047】
このような、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、互いに衝突させて混合し、さらにこの混合液を2以上に分割する分割・混合機構を、図を参照しつつ説明する。図3は、本発明の転写部材の製造方法における、カーボンブラック含有ポリアミド酸溶液の分割・混合機構を説明するための説明図である。
【0048】
図3に示す分割・混合機構は、上流から下流に向かって一点に連結された2つ第1流路管50と、連結部を構成する連結管52、この連結管52の一端から2つ以上に分岐した第2流路管54と、から構成された流路に、カーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を流すことにより、分割・混合を行なうものである。
【0049】
まず、2つの第1流路管50にそれぞれカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を流すことで2つに分割し、この流圧を、150MPa以上でとすることで、連結部を構成する連結管52の一端52a近傍で150MPa以上で互いの溶液を衝突させる。そして、衝突した混合液は、連結管52を通過し、2つ以上に分岐した第2流路管54にそれぞれ流れ、再び2つに分割される。この再び2つに分割された混合溶液を、さらに第1流路管50に流し、混合・分割を複数繰り返すこともできる。
【0050】
このような図3に示す分割・混合機構においては、上流から下流に向かって一点に連結された2つ第1流路管50に、それぞれ150MPa以上もの圧力でカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を流すことで、当該溶液にせん断力と共に、150MPa以上もの圧力での衝突力を付加することが可能となり、効率良く均一かつ微細にカーボンブラックを高濃度で分散せしめることができる。
【0051】
また、衝突した混合液は、連結管52を通過することとなるが、この2つの第1流路管50の連結部(図中では、連結管52の一端52a近傍)、即ち2つの溶液が衝突する衝突部の最小断面積が、0.07mm以下(好ましくは0.007〜0.05mm以下、より好ましくは0.015〜0.04mm)とすることで、ポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを微細に分散できる。この理由は定かではないが、150MPa以上もの圧力で互いの溶液を衝突させる際、その領域を小さくすることで、効率良く溶液にせん断力及び衝突時の圧力を付加させることができ、ポリアミド酸溶液中にカーボンブラックを微細に分散できると考えられる。ここで、2つの溶液が衝突する衝突部の最小断面積は、図中では連結管52入り口近傍での流路管50の断面積に相当する。
【0052】
このような分散・混合機構を持つ衝突型分散機としては、例えば、ジーナス製「Geanus PY」が好適に挙げられる。また、その他、衝突型分散機として、スギノマシン製アルティマイザ、ナノマイザ製ナノマイザ等が使用可能である。
【0053】
混合工程では、上述のようにカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を分割・混合するが、衝突型分散機で分散したカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液には、衝突の衝撃によると思われる数十μmのカーボンブラック凝集体が生じることがある。これが存在した場合でも大きな問題はないが、分割・混合したカーボンブラック含有ポリアミド酸溶液を、例えば、目開き25μm以下のフィルタを通すことで、カーボンブラック凝集体を除去し、より微細に分散状態よくカーボンブラックを含有する転写部材を得ることが可能となる。
【0054】
次に、成形工程では、上記混合工程を経て混合したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、例えば円筒状金型外周面或いは内周面に塗布し、塗膜を形成する。この塗布方法としては、浸漬塗布法、遠心成形やディッピング法など公知の塗布法により行なうことができる。
【0055】
ここで、ポリイミド前駆体である全芳香族ポリアミド酸溶液は、テトラカルボン酸の無水物とジアミンを反応させることで得ることができる。テトラカルボン酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの混合物が挙げられる、ジアミンとしては、例えば、パラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0056】
特に、ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸、ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸、ピロメリット酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸からなるポリアミド酸は、効果的に、カーボンブラックを微細に分散でき、上記転写部材の各特性を満たすことが可能な観点から好適である。
【0057】
抵抗制御に寄与するカーボンブラックとしては、pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックであれば特に制限はないが、例えば、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック等の一般的なカーボンブラックを用いることができ、分散性の点でカーボンブラックを酸化処理したものを用いることが好ましい。また、1種類でなく複数種類配合することも可能である。
【0058】
また、全芳香族ポリアミド酸溶液の溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)やN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系溶媒等が挙げられ、粘度調整等の目的でこれらの溶媒に芳香族系炭化水素等を少量混合してもよい。
【0059】
次に、金型に形成された全芳香族ポリアミド酸溶液塗膜を、イミド転化させて全芳香族ポリイミド皮膜を形成する。
【0060】
全芳香族ポリアミド酸溶液塗膜のイミド転化の前には、乾燥して溶媒を除去することが行なわれるが、この溶媒を除去した全芳香族ポリアミド酸溶液塗膜を金型から取り外し、他の金型に取り付けることも行なわれる。この,取り付ける他の金型は、溶媒と除去した全芳香族ポリアミド酸溶液塗膜の径よりも若干小さい径のものを使用する。これは、全芳香族ポリアミド酸溶液塗膜がイミド転化の際に、大きく収縮してしまう場合があり、この収縮により、形成されるポリイミド樹脂皮膜の変形を防止するために行なわれる。
【0061】
そして、溶媒が除去された全芳香族ポリアミド酸溶液塗膜を、加熱することで、イミド転化を施し、ポリイミド樹脂皮膜を形成する。
【0062】
最後に、金型(或いは他の金型)の外周面に形成された全芳香族ポリイミド樹脂皮膜を、金型から取り外し、適当な幅に切断することでポリイミド樹脂製の転写部材を得ることができる。
【0063】
以上、説明した本発明の転写部材(その製造方法)は、複写機やプリンタ等の静電複写方式の画像形成装置に用いる、中間転写体などに使用することができる。
【0064】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、例えば、中間転写体方式の画像形成装置及び用紙搬送ベルト方式の画像形成装置であれば、特に限定されるものではない。例えば、現像器内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像担持体表面に担持されたトナー画像を、中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像担持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置等を挙げることができる。
【0065】
以下に、本発明の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置について述べる。図4は本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図4の画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム1、中間転写体としての転写ベルト2、転写電極であるバイアスロール3、記録媒体である記録紙を供給するトレー4、Bk(ブラック)トナーによる現像器5、Y(イエロー)トナーによる現像器6、M(マゼンタ)トナーによる現像器7、C(シアン)トナーによる現像器8、ベルトクリーナー9、剥離爪13、ベルトロール21、23及び24、バックアップロール22、導電性ロール25、電極ロール26、クリーニングブレード31、ピックアップロール42、フィードロール43を有してなる。転写ベルト2としては、前記本発明の半導電性ベルトを備える。
【0066】
感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書き込み装置などの画像書き込み手段により、第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器5によって現像されて可視化されたトナー画像Tが形成される。トナー画像Tは、感光体ドラム1の回転で導電性ロール25が配置された一次転写部に到り、導電性ロール25からトナー画像Tに逆極性の電界を作用させることにより、上記トナー画像Tを静電的に転写ベルト2に吸着されつつ転写ベルト2の矢印B方向の回転で一次転写される。
【0067】
以下、同様にして第2色のトナー画像、第3色のトナー画像、第4色のトナー画像が順次形成され、転写ベルト2の表面において重ね合わされ、多重トナー画像が形成される。
【0068】
転写ベルト2に転写された多重トナー画像は、転写ベルト2の回転でバイアスロール3が設置された二次転写部に到る。二次転写部は、転写ベルト2のトナー画像が担持された表面側に設置されたバイアスロール3と、当該転写ベルト2の裏側からバイアスロール3に対向して配置されたバックアップロール22、及びこのバックアップロール22に圧接して回転する電極ロール26から構成される。
【0069】
記録紙41(記録媒体)は、記録紙トレー4に収容された記録紙束からピックアップロール42で一枚ずつ取り出され、フィードロール43で二次転写部の転写ベルト2とバイアスロール3との間に所定のタイミングで給送される。給送された記録紙41は、バイアスロール3とバックアップロール22とによる圧接搬送と、転写ベルト2の回転とで、当該転写ベルト2表面に担持されたトナー画像が転写される。
【0070】
トナー画像が転写された記録紙41は、最終トナー画像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより、転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧・加熱処理でトナー画像を記録紙41に固定して永久画像とされる。
なお、多重トナー画像の記録紙41への転写の終了した転写ベルト2は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナ9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール3には、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード31が常時当接してとりつけられており、転写時に付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0071】
単色画像の転写の場合は、一次転写されたトナー画像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合は、各色のトナー画像が一次転写部で正確に一致するように、転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー画像がずれないようにされる。
上記二次転写部では、バイアスロール3と転写ベルト2とを介して、対向配置したバックアップロール22に圧接した電極ロール26に、トナー画像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、当該トナー画像を記録紙41に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像を形成することができる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0073】
(実施例1)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 PH3,揮発分14wt%)を24.1phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を200MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
【0074】
この混合した分散液、ディップ法でφ305の金型外面に塗布後、175℃に設定した乾燥機中に入れ溶剤であるNMPを約70%除去した。この金型を取り出し冷却後、できた円筒状のポリアミド酸フィルムを取り外し、φ302径の金型に挿入した。そして、380℃まで加熱しポリアミド酸をイミド転化させ、金型から取り外して厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
(実施例2)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 PH3,揮発分14wt%)を23.2phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を175MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
このものを実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
(実施例3)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 PH3,揮発分14wt%)を22phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を150MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
このものを実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
【0075】
(実施例4)
実施例1の分散液を目開き25μmの金網焼結型フィルタで濾過したものを、実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
【0076】
(実施例5)
宇部興産製ユーワニスA(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)に、カーボンブラック(上記のSpecial Black 4)を27PHR添加し,実施例1と同様にして分散,塗布,乾燥,イミド転化をし、厚み73μmのポリイミドベルトを作製した。
【0077】
(実施例6)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(MOGUL−L Cabot製 PH2.5,揮発分4.5wt%)を22phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を200MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
このものを実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
【0078】
(比較例1)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 PH3,揮発分14wt%)を20.5phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を100MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
このものを実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
(比較例2)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 250 Degussa製 PH3.1,揮発分2.2wt%)を30phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を200MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
このものを実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
(比較例3)
宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液でイミド転化後の固形分率が18wt%)にカーボンブラック(アセチレンブラック 電気化学製,PH7,揮発分0.25wt%)を8phr添加し、図3に示す分割・混合機構と同様な機構を持つジーナス製「Geanus PY:衝突部の最小部断面積0.032mm」を用い、圧力を200MPaで溶液を2分割後衝突させ、再度2分割する経路を5回通過させて混合した。
このものを実施例1と同様にして厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
【0079】
(比較例4)
実施例1と同様に、宇部興産製ユーワニスS(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンからなるポリアミド酸のNMP溶液で固形分率が18wt%)にカーボンブラック(Special Black 4 Degussa製 PH3,揮発分14wt%)を14phr添加したものを、横型サンドミル(Dyno製Dynomill KDL)にφ2mmのジルコニア製球を内容積の約60vol%充填し、φ90の攪拌羽で回転数1592rpmで回転させたところへ、5パス通し分散を行った。
【0080】
この混合した分散液を用いて、実施例1と同様に厚み70μmのポリイミドベルトを作製した。
【0081】
(評価)
上記実施例及び比較例において以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
−表面抵抗率−
表面抵抗率の測定は、図1に示す円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、電圧100V印加し、10秒後の電流値を求め、上述のようにして算出した。
【0082】
−体積抵抗率−
体積抵抗率の測定は、図2に示す円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ:円柱状電極部Cの外系Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、電圧100V印加し、30秒後の電流値を求め、上述のようにして算出した。
【0083】
―表面抵抗率の変化量―
各例で得られたポリイミドベルトをDPC2220(富士ゼロックス社製)に組み込み、10℃15%の環境でA4 縦サイズの紙に30000枚コピーを行い、コピー用紙が通過しなかった部分のポリイミドベルトの表面抵抗率を前述の方法で測定し、テスト前の表面抵抗率からテスト後の表面抵抗率を引いた値である。この変化量が±0.8を越えると転写時の濃度ムラとなる。
【0084】
−カーボンブラックの平均粒子径−
各例において、ポリアミド酸ワニスにカーボンブラックを分散した分散液について、大塚電子製の動的光散乱式測定器 PAR−IIIを用いて測定を行った。測定条件はclock rate:100μs、accumulate time:10回、correlate ch:128、温度:20℃、溶媒:NMPである。このときの個数基準平均粒子径のメジアン値を平均粒子径とした。
【0085】
―表面性―
各例で得られたポリイミドベルトを目視にて観察し、以下の基準により判定を行った。
・判定基準
◎:目視で突起無し/表面につや有り
○:数ミクロンの突起有り/表面につや有り
×:突起有り/表面がつや消し
【0086】
−画像濃度ムラ−
各例で得られたポリイミドベルトをDPC2220(富士ゼロックス社製)に組み込み、ハーフートーン(マゼンタ30%)の画像をA3縦用紙に転写した画像を目視にて観察し、以下の基準により判定を行った。
・判定基準
◎:濃度ムラ無し
○:濃度ムラわずかにあり
△:濃度ムラ有り
×:評価不能
【0087】
【表1】
Figure 2004279531
【0088】
表1の結果から、抵抗制御に寄与するカーボンブラックが高濃度で含有している実施例では、カーボンブラックが微細に分散されており、各特性が良好なベルトとなっていることがわかる。このように、抵抗制御に寄与するカーボンブラックを高濃度で含有させる、即ちカーボンブラックを均一かつ微細に分散するには、溶液を2分割後衝突させる圧力を150MPa以上とすることがよいこともわかる。さらに、衝突型分散機における衝突部(2分割した溶液を衝突させる領域)の最小断面積が0.032mmといった微細な領域で衝突させることで、カーボンブラックを微細に分散させることか可能であることもわかる。
【0089】
また、ポリイミド樹脂種として、宇部興産製ユーワニスA(ビフェニールテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミド酸のNMP溶液で固形分率が18wt%)を使用した実施例4は、実施例1と比較して、より高濃度に抵抗制御に寄与するカーボンブラックが均一かつ微細に含有しており、表面抵抗率維持性や画像濃度ムラに関し良好な結果が得られたこともわかる。
【0090】
また、実施例1に示すように、カーボンブラックとして酸化処理されているものを用いると転写時の濃度むら発生が非常に少ないものを得ることが可能であることがわかる。これは酸化処理されたカーボンブラックが、より効率よく均一かつ微細に分散するため電気抵抗の微少的なムラがなくなるためと思われる。
【0091】
一方、溶液を2分割後衝突させる圧力を150MPa未満とした比較例1では、抵抗制御に寄与するカーボンブラックが高濃度で含有しておらず、ベルト表面に未分散体によるものと思われる突起が多数存在し転写部材として用いることができないことがわかる。分散方法としてビーズミルで分散を行った比較例4では、抵抗制御に寄与するカーボンブラックの含有量が少なくて所望の抵抗値を得ることができるが、カーボンブラックの分散度合いが低いため、抵抗変化量が大きいだけでなく、画像の濃度ムラが悪いことがわかる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、本発明の目的は、所望の抵抗特性を有し優れた転写画像を得られる共に、表面抵抗率維持性に優れた転写部材、及びその製造方法、並びに、それを用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図2】体積抵抗率を測定する円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。
【図3】図3は、本発明の転写部材の製造方法における、カーボンブラック含有ポリアミド酸溶液の分割・混合機構を説明するための説明図である。
【図4】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
2 中間転写ベルト(中間転写体)
3 バイアスロール
4 用紙トレー
5 ブラック現像器
6 イエロー現像器
7 マゼンタ現像器
8 シアン現像器
9 中間転写体クリーニング装置
13 剥離爪
21 ベルトロール
22 バックアップロール
23 ベルトロール
24 ベルトロール
25 導電性ロール
26 電極ロール
31 クリーニングブレード
41 記録紙
42 ピックアップロール
43 フィードロール

Claims (17)

  1. ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材であって、
    pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックを、ポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有することを特徴とする転写部材。
  2. 表面抵抗率が、1×10Ω/□〜1×1015Ω/□であることを特徴とする請求項1に記載の転写部材。
  3. 体積抵抗率が、1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmであることを特徴とする請求項1に記載の転写部材。
  4. 前記カーボンブラックの平均粒子径が、500nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の転写部材。
  5. 2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて混合する混合工程と、
    混合したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を用いて、ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材を成形する成形工程と、
    を有することを特徴とする転写部材の製造方法。
  6. 前記混合工程において、上流から下流に向かって一点に連結された2つ以上の流路管に、2つ以上に分割した前記ポリアミド樹脂溶液を150MPa以上の圧力でそれぞれ流し、2つ以上の当該流路管の連結部で互いに衝突させることを特徴とする請求項5に記載の転写部材の製造方法。
  7. 2つ以上の前記流路管の連結部の最小断面積が、0.07mm以下であることを特徴とする請求項6に記載の転写部材の製造方法。
  8. 前記混合工程は、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150MPa以上で互いに衝突させて、再び2つ以上に分割することを特徴とする請求項5に記載の転写部材の製造方法。
  9. 前記混合工程において、上流から下流に向かって一点に連結された2つ以上の第1流路管に、2つ以上に分割した前記ポリアミド樹脂溶液を150MPa以上の圧力でそれぞれ流し、2つ以上の当該流路管の連結部で互いに衝突させ、前記第1流路管の連結部から2つ以上に分岐した第2流路管に、衝突させたポリアミド樹脂溶液を流して再び2つ以上に分割することを特徴とする請求項8に記載の転写部材の製造方法。
  10. 前記混合工程において、2つ以上に分割した前記ポリアミド樹脂溶液の衝突、分割を複数回繰り返すことを特徴とする請求項8に記載の転写部材の製造方法。
  11. 前記混合工程を行なった後、混合された前記ポリアミド樹脂溶液を、フィルタで濾過する濾過工程を有することを特徴とする請求項5に記載の転写部材の製造方法。
  12. 前記混合工程において、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、150〜250MPaで互いに衝突させて混合することを特徴とする請求項5に記載の転写部材の製造方法。
  13. 前記混合工程において、2つ以上に分割したカーボンブラック含有ポリアミド樹脂溶液を、180〜220MPaで互いに衝突させて混合することを特徴とする請求項5に記載の転写部材の製造方法。
  14. ポリイミド樹脂を主体として構成される転写部材を具備する画像形成装置であって、
    転写部材が、pH5以下でかつ揮発分3.5%以上のカーボンブラックを、ポリイミド樹脂100質量部に対して22〜30質量部含有することを特徴とする画像形成装置。
  15. 表面抵抗率が、1×10Ω/□〜1×1015Ω/□であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 体積抵抗率が、1×10Ω・cm〜1×1013Ω・cmであることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
  17. 前記カーボンブラックの平均粒子径が、500nm以下であることを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
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