JP2004269521A - 芳香族カルボン酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】芳香族カルボン酸の製造工程における酢酸溶媒の消費量を可及的に少なくし、工業的に製造効率を高めて有利にテレフタル酸などの芳香族カルボン酸を製造することである。
【解決手段】酢酸を溶媒とし、アルキル芳香族化合物を液相中で酸化反応させて芳香族カルボン酸を含有するスラリーを生成して芳香族カルボン酸を製造する方法において、前記酸化反応工程より後工程すなわち、晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる1以上からなる工程で発生する排気ガスに含まれる酢酸メチルを分離回収し、回収された酢酸メチルを前記酸化反応工程へ返送するようにした芳香族カルボン酸の製造方法とする。
【選択図】なし
【解決手段】酢酸を溶媒とし、アルキル芳香族化合物を液相中で酸化反応させて芳香族カルボン酸を含有するスラリーを生成して芳香族カルボン酸を製造する方法において、前記酸化反応工程より後工程すなわち、晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる1以上からなる工程で発生する排気ガスに含まれる酢酸メチルを分離回収し、回収された酢酸メチルを前記酸化反応工程へ返送するようにした芳香族カルボン酸の製造方法とする。
【選択図】なし
Description
この発明は、芳香族カルボン酸の製造方法に関し、詳しくは製造時に溶媒等として酢酸を用いる芳香族カルボン酸の製造方法に関する。
一般に、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸の工業的製造方法として、パラキシレンなどのアルキル芳香族炭化水素を、酢酸溶媒中でコバルト、マンガン及び臭素を含有する触媒の存在下に分子状酸素により液相で酸化反応させ、生成したテレフタル酸またはその他の芳香族カルボン酸の結晶を含むスラリーを固液分離処理し、乾燥工程を経て粗性な芳香族カルボン酸とし、次いで得られた粗性芳香族カルボン酸を水に溶解し、この水溶液を水素添加により精製処理して高純度な芳香族カルボン酸を製造する方法が知られている。
このような芳香族カルボン酸を製造する方法では、酸化反応中に溶媒である酢酸が消費され、すなわち製造工程中に酢酸の損失が起こるという問題があり、その原因の一つとしては、酢酸の不均一化反応による酢酸メチルの副生がある。
酢酸メチルの副生を抑制するために、反応器から発生した酸化排ガス中に含有される凝縮性成分をコンデンサーによって凝縮した後に、未凝縮ガスに含まれる酢酸メチルを酢酸と接触・吸収させて回収し、これを反応器に循環させることにより、反応母液中の酢酸メチルの濃度を高くし、酢酸から酢酸メチルへの副生反応を抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
また、酸化排ガスを、直接、蒸留塔に導入して蒸留を行ない、蒸留塔の排ガスに含まれる酢酸メチルなどの脂肪族カルボン酸エステルを、酢酸などの脂肪族カルボン酸と接触させて吸収させ、その処理ガスを洗浄水と接触させて脂肪族カルボン酸を吸収させる技術が知られている(特許文献2参照)。
また、酢酸溶媒から酸化生成水を脱水する溶媒回収工程で得られた留出水に含まれる酢酸メチルを蒸留処理して回収し、酸化反応器に戻す方法も知られている(特許文献3参照)。
また、酢酸メチルを回収する方法として、共沸蒸留を用いた溶媒回収方法において、蒸留留出蒸気を分縮して酢酸メチル同伴蒸気から酢酸メチルを回収する方法も知られている(特許文献4参照)。
また、酢酸溶媒から酸化生成水を脱水する溶媒回収工程で得られた留出水に含まれる酢酸メチルを蒸留処理して回収し、酸化反応器に戻す方法も知られている(特許文献3参照)。
また、酢酸メチルを回収する方法として、共沸蒸留を用いた溶媒回収方法において、蒸留留出蒸気を分縮して酢酸メチル同伴蒸気から酢酸メチルを回収する方法も知られている(特許文献4参照)。
しかしながら、上記したように酢酸メチルの副生を抑制するために、反応器から発生した酸化排ガスや溶媒回収工程の留出水中に含有される酢酸メチルを回収するというだけでは、酢酸の消費量低減には充分でなく、さらに酢酸の損失を低減して効率的に芳香族カルボン酸を製造する必要がある。
また、溶媒回収工程で蒸留により留出した蒸気を分縮し、酢酸メチルを同伴する蒸気から酢酸メチルを回収した後のイナートガス(不活性ガス)を主体とする排気ガスには、酢酸メチルが依然として同伴しており、これを有効利用すべき点は未解決である。
このような問題点は、酢酸を溶媒として用いるテレフタル酸およびその他の芳香族カルボン酸の製造において共通する問題でもある。
このような問題点は、酢酸を溶媒として用いるテレフタル酸およびその他の芳香族カルボン酸の製造において共通する問題でもある。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、芳香族カルボン酸の製造工程における酢酸溶媒の消費量を可及的に少なくし、工業的に製造効率を高めて有利にテレフタル酸などの芳香族カルボン酸を製造することである。
上記の課題を解決するために、この発明では、酢酸を溶媒とし、アルキル芳香族化合物を液相中で酸化反応させて芳香族カルボン酸を含有するスラリーを生成して芳香族カルボン酸を製造する方法において、前記酸化反応工程より後工程で発生する排気ガスに含まれる酢酸メチルを分離回収し、回収された酢酸メチルを前記酸化反応工程へ返送することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法としたのである。
上記したように構成されるこの発明の芳香族カルボン酸の製造方法では、反応器から発生した酸化排ガス中に含有される酢酸メチルを回収するだけではなく、酸化反応より後工程、例えば晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる1工程または複数の工程で発生した排気ガスに含まれる酢酸メチルを酸化反応工程へ返送するので、酢酸メチルの副生が抑制され、反応中の溶媒である酢酸の損失が低減され、製造効率が向上することになる。
また、酢酸を溶媒とし、アルキル芳香族化合物を液相中で酸化反応させて芳香族カルボン酸を含有するスラリーを生成し、このスラリーから少なくとも固液分離工程を経て芳香族カルボン酸を製造する方法において、酸化反応工程もしくは固液分離工程または両工程から発生する液体または蒸気に含まれる酢酸を蒸留操作にて回収し、この蒸留操作にて発生した排気ガス中の酢酸メチルを回収して酸化反応工程へ返送することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法としたのである。
上記した芳香族カルボン酸の製造方法では、溶媒回収工程において、蒸留操作によって得られる留出水中の酢酸メチルだけでなく、留出ガスの凝縮成分を可能な限り凝縮した後に、発生したイナートガスを主体とする排気ガス中の酢酸メチルをも回収して酸化反応工程へ返送するようにしたので、さらに酢酸メチルの回収効率が高まり、反応中の溶媒である酢酸の損失を極めて効率よく低下させることができる。
上記排気ガス中の酢酸メチルを回収する方法としては、酢酸メチルを酢酸液に吸収させて回収する方法が、効率的で好ましい。また、酢酸メチルの回収に用いる酢酸は、溶媒回収工程において酢酸と水を分離処理して得られたものを用いるのが好ましい。
また、前記問題点の解決に加えて、酢酸メチルを酢酸に吸収させた後の処理ガスに酢酸の一部が同伴するという問題点を解決するために、前述した排気ガス中の酢酸メチルを回収して酸化反応工程へ返送することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法において、酢酸メチルを酢酸に吸収して回収した後、処理ガス中に含まれる酢酸成分を水に吸収させ、酢酸水溶液として回収した酢酸成分を溶媒の一部として使用する。また、この酢酸水溶液は、固液分離工程におけるケーキ洗浄工程に用いてもよいし、溶媒回収工程に供給して水分を低減した後にその他回収酢酸と共に再利用しても良い。
上記した酢酸を吸収させる水は、溶媒回収工程において酢酸と水を分離処理して分留された水を用いることができる。
また、上述した工程におけるアルキル芳香族化合物としては、パラキシレンを採用でき、また芳香族カルボン酸はテレフタル酸を採用することができる。
また、上述した工程におけるアルキル芳香族化合物としては、パラキシレンを採用でき、また芳香族カルボン酸はテレフタル酸を採用することができる。
この発明は、反応器から発生した酸化排ガス中に含有される酢酸メチルを回収するだけでなく、酸化反応工程より後の工程、すなわち晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる1つまたは複数の工程で発生した排気ガスから得られる酢酸メチルをも酸化反応工程へ返送するようにしたので、酢酸メチルの回収効率が高まり、反応中の溶媒である酢酸の損失が減少し、製造効率が向上することになるという利点がある。
また、酢酸メチルを酢酸に吸収して回収した際、吸収処理ガスに同伴した酢酸を所要工程に返送するようにした発明では、酢酸の損失が減少するので、工業的に製造効率を高めて有利にテレフタル酸などの芳香族カルボン酸を製造できる利点がある。
以下において、この発明について詳細に説明する。
この発明に用いるアルキル芳香族化合物は、液相酸化により芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸等の芳香族カルボン酸に変換されるモノ、ジ、トリアルキルベンゼン等のアルキルベンゼンやアルキルナフタレン等であり、そのアルキル基の一部が酸化されたものをも含む。
この発明に用いるアルキル芳香族化合物は、液相酸化により芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸等の芳香族カルボン酸に変換されるモノ、ジ、トリアルキルベンゼン等のアルキルベンゼンやアルキルナフタレン等であり、そのアルキル基の一部が酸化されたものをも含む。
また、この発明に用いられる芳香族カルボン酸の製造方法としては、典型的には、
(i)酢酸を溶媒とし、コバルト、マンガンおよび臭素を含む触媒存在下でアルキル芳香族化合物を液相酸化して芳香族カルボン酸含有のスラリーを生成する酸化反応工程、
(ii)生成したスラリーの母液中に溶解した芳香族カルボン酸を晶析する工程、
(iii)晶析工程で得られた芳香族カルボン酸スラリーを母液と芳香族カルボン酸を含むケーキに固液分離する工程、
(iv)分離されたケーキに付着する液体を除去する乾燥工程、
(v)工程(i)から工程(iv)の少なくとも1つから発生する酢酸を含有する蒸気又は液体から酢酸を回収する溶媒回収工程、の各工程を含んでいる。
(i)酢酸を溶媒とし、コバルト、マンガンおよび臭素を含む触媒存在下でアルキル芳香族化合物を液相酸化して芳香族カルボン酸含有のスラリーを生成する酸化反応工程、
(ii)生成したスラリーの母液中に溶解した芳香族カルボン酸を晶析する工程、
(iii)晶析工程で得られた芳香族カルボン酸スラリーを母液と芳香族カルボン酸を含むケーキに固液分離する工程、
(iv)分離されたケーキに付着する液体を除去する乾燥工程、
(v)工程(i)から工程(iv)の少なくとも1つから発生する酢酸を含有する蒸気又は液体から酢酸を回収する溶媒回収工程、の各工程を含んでいる。
この発明は、特にテレフタル酸の製造に適用され、好ましい原料としてのアルキル芳香族化合物は、パラキシレンである。
以下、パラキシレンを酸化してテレフタル酸を製造する場合について実施形態を説明する。
以下、パラキシレンを酸化してテレフタル酸を製造する場合について実施形態を説明する。
この発明に用いる溶媒としての酢酸の使用量は、通常、原料となるパラキシレンに対して2〜6重量倍である。また酢酸溶媒は、若干量の水、具体的には15重量%以下の水を含有しているものでも使用できる。
パラキシレンを液相で酸化反応させるには、分子状の酸素含有ガスを用いる。通常は空気が簡単な設備で、低コストで使用できることから用いられ、希釈空気、酸素富化空気なども使用できる。
パラキシレンを酸化するには、通常、触媒としてコバルト(Co)、マンガン(Mn)及び臭素(Br)を構成元素として含む触媒が用いられる。
液相中でパラキシレンを酸化する反応は、酢酸溶媒中の触媒存在下に、140〜230℃、好ましくは150〜210℃の温度で分子状酸素含有ガスを連続的に供給しながらパラキシレンを酸化することにより行なう。酸化反応工程での圧力は、少なくとも反応温度で混合物が液相を保持できる圧力、またはそれ以上の高圧であり、通常0.2〜5MPa、好ましくは1〜2MPaである。
反応器は、通常、攪拌機付きの槽であるが、必ずしも攪拌機は必要ではなく、気泡塔タイプのものでも良い。反応器上部に冷却器を、下部に分子状酸素含有ガス供給口が設けられている。
そして、下部より供給した分子状酸素含有ガスは、酸化反応に利用された後、多量の溶媒蒸気を同伴した排ガスとして反応器より抜き出され、次いで、還流冷却器にて排ガスから凝縮性成分を凝縮分離した後、酸化排ガスとして排出される。凝縮液は、反応母液の水分調節のためにその一部が系外にパージされて、残りは反応器に還流される。
また、酸化排ガスは、高圧吸収塔に導入され、排ガス中の酢酸メチルを酢酸または酢酸を含む液に気液接触をさせて吸収させる。酢酸は、溶媒回収工程から回収された酢酸の使用が好ましい。
このように酢酸メチルを吸収した酢酸は、酸化反応器に返送されて酸化反応に供され、テレフタル酸の生成反応に用いられる。
そして、酸化反応工程で得られた反応物をスラリー化したものについての晶析工程では、反応スラリーを適切な温度と圧力まで下げ、テレフタル酸スラリーを得る。晶析の条件は、晶析の段数として1段から6段であり、好ましくは2から4段である。一連の晶析工程は、フラッシュ冷却が採用され、最終工程は減圧沸騰状態で行なうことが好ましい。
テレフタル酸は、通常、晶析処理したスラリーを固液分離工程、乾燥工程を経て回収され、水素添加精製工程に送られるが、この乾燥工程を省略して、溶媒置換工程を経て酢酸溶媒から水溶媒に置換して、直接、水素添加精製工程に送ってもよい。
固液分離を実施する装置としては、通常、遠心分離機、水平ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター等の装置が用いられるが、これらに限定されるものではない。
また、溶媒回収工程は、酸化排ガス凝縮液や固液分離された際に分取された母液を精製して酢酸を回収する工程であり、酸化生成水を除去するので、酢酸脱水工程とも別称される。
上述したような晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から発生した排気ガスから酢酸メチルおよび酢酸を回収するには、各工程で発生した酢酸メチルや酢酸を含む排気ガスの1以上を集合させて集合ガスとし、これを吸収塔に導いて液滴状などに調整した酢酸と接触させて吸収することにより実施できる。この吸収条件は、吸収効率の面からできるだけ低温であることが好ましく、通常は50℃以下で行なわれる。
水素添加精製工程は、粗テレフタル酸に水を含む液体を加えてスラリー化し、これを加熱溶解した状態で、触媒の存在下に水素添加処理を行い、得られた処理物に、晶析及び固液分離を施すことによって高純度テレフタル酸を製造する方法である。この際、粗テレフタル酸は、水を含む液体に対して、通常、20〜35重量%のスラリーとして水素添加反応系に供給される。
水素添加触媒としては、これまでに公知の任意の触媒を使用することが可能で、例えば、活性炭に担持させたパラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウム、白金等が挙げられる。これらの触媒は併用してもよい。
水素添加精製反応の条件としては、通常、反応温度を255〜300℃、反応圧力を1〜12MPa、水素分圧を0.05〜3MPaとして実施するのが一般的であるが、これに限定されるものではない。
水素添加反応により精製されたテレフタル酸は、晶析、及び固液分離することによって固形分として分離するのが一般的である。晶析の条件は、析出する固形分の収率、同固形分の純度等を勘案して選択するが、通常、晶析を複数段に亘って行い、その最終段での晶析条件が140〜180℃、0.3〜1.0MPaとする。この際、それぞれの晶析槽での滞留時間は5〜200分程度とする。最終段での晶析槽の温度が上記の範囲より低くなると、p−TA等の不純物の析出量が急激に増加するため、固形分として分離されるテレフタル酸の純度が低くなって好ましくない。
一般に、晶析を行った後に固液分離を行なうことにより、晶析工程で析出したテレフタル酸を、主成分が水である液体から分離する。固液分離する温度、及び、圧力条件としては、通常、上記した晶析槽の条件、晶析工程が多段に亘る場合はその最終晶析槽の条件とほぼ等しい条件が選ばれる。固液分離を実施する装置としては、通常、遠心分離機、水平ベルトフィルター、ロータリーバキュームフィルター等の装置が用いられるが、これに限定するものではない。また、これらの装置を2つ以上組み合わせて使用する事も可能である。
精製工程後に析出した固形分を固液分離によって分離して得たテレフタル酸は、そのまま乾燥して製品としてもよく、また懸洗槽にて新水とスラリー化して洗浄を施した後、固液分離して分離された固形分を乾燥して製品としてもよい。
次に図1の装置系統図を参照して、本発明のテレフタル酸の製造方法についての代表的な実施形態の一例を説明する。
まず、反応器(酸化反応器とも別称される。)1に、Co/Mn/Brを含む触媒、酢酸溶媒、原料パラキシレンの混合物と、分子状酸素含有ガスを供給する。この反応器1より抜き出されるガス成分は、凝縮器(気−液分離器)2にて酢酸等の凝縮性成分を凝縮分離した後、酸化排ガスとして熱交換器2から排出される。凝縮液4は、その一部を水分調節のためのパージ分として系外に排出した後、反応器1に還流される。
反応器1で酸化処理されて得られたスラリーは、低温追酸化槽(図示せず。)に移送され、少量の分子状酸素含有ガスによって反応器1より低い温度で酸化処理される。酸化処理されたスラリーは、晶析槽5でさらに晶析される。晶析の段数は、通常1段から6段である。この晶析処理が施されたスラリーは、固液分離機6にて母液成分と粗テレフタル酸ケーキとに分離され、乾燥機9を経由して粗テレフタル酸を得る。
また、粗テレフタル酸は、図外の混合槽において、水を含む液体とのスラリーとされ、溶解後、水素添加精製反応器に移送され、高純度テレフタル酸に精製処理される。
一方、酸化排ガス凝縮液や固液分離機6にて分離された母液成分は、溶媒回収塔7および脱水塔8を有する溶媒回収工程に移送され、酢酸が回収される。
反応器1ばかりでなく、晶析槽5、固液分離機6、乾燥機9、脱水塔8からも排気ガス3が排出される。このような1つ以上の局所からの排気ガスの集合体からなる排気ガスは、高圧吸収塔10または低圧吸収塔11に導入され、吸収液に酢酸を用いて排気ガスに同伴される酢酸メチルを吸収して反応器1に回収する。
固液分離機として、水平ベルトフィルターやロータリーバキュームフィルター等の濾過型の固液分離装置を用いる場合には、分離機内の濾過部の上流側にガスを供給しながら、真空装置により濾液及びガスを排出し、吸引濾過する。このとき排出された濾液及びガスは気液分離し、得られたガスの少なくとも一部は工程外に排出されるが、このガスには酢酸メチルが含まれているので、本発明の酢酸メチルの回収手段を適用することが好ましい。
また、乾燥機として、回転式乾燥機、流動床乾燥機において、プロセスガス等の不活性ガスを乾燥機内に流通させることによって乾燥機内で蒸発した溶媒成分を前記ガスに同伴させて乾燥機外へ排出する手段を用いる場合には、ガスに酢酸メチルが含まれているので、本発明の酢酸メチルの回収手段を適用することが好ましい。
吸収塔10または11において酢酸メチルを回収するために用いられる酢酸としては、溶媒回収工程(7及び8)において酢酸と水を分離処理して得られた酢酸が好ましい。また、高圧吸収塔10、及び低圧吸収塔11の下流側には酢酸を、水を用いて吸収して回収する装置を設けることが好ましい。酢酸メチルの吸収装置と酢酸の吸収装置は、別塔でもよく、同じ塔に一体化されて設けられていても良い。このときの酢酸の吸収に用いられる水は、溶媒回収工程(7及び8)において酢酸と水を分離処理して得られた水や、水素添加精製工程において、固液分離により得られた水を主成分とする分離母液が好ましい。
このようにすると、晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる1つまたは複数の工程で発生した酢酸メチルを含有する排気ガスの集合体の排気ガスから酢酸メチルが回収され、これを酸化反応工程へ返送することにより、酢酸メチルの副生反応が抑制され、反応中の溶媒である酢酸の損失が低減し、製造効率が向上する。
1 反応器
2 凝縮器
3 排気ガス
4 凝縮液
5 晶析槽
6 固液分離機
7 溶媒回収塔
8 脱水塔
9 乾燥機
10 高圧吸収塔
11 低圧吸収塔
2 凝縮器
3 排気ガス
4 凝縮液
5 晶析槽
6 固液分離機
7 溶媒回収塔
8 脱水塔
9 乾燥機
10 高圧吸収塔
11 低圧吸収塔
Claims (9)
- 酢酸を溶媒とし、アルキル芳香族化合物を液相中で酸化反応させて芳香族カルボン酸を含有するスラリーを生成して芳香族カルボン酸を製造する方法において、
前記酸化反応工程より後工程で発生する排気ガスに含まれる酢酸メチルを分離回収し、回収された酢酸メチルを前記酸化反応工程へ返送することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。 - 酸化反応工程より後工程が、晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる1以上の工程である請求項1に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
- 排気ガスが、晶析工程、固液分離工程、乾燥工程および溶媒回収工程から選ばれる複数の工程で発生した酢酸メチルを含有するガスの集合体からなる排気ガスである請求項2に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
- 酢酸を溶媒とし、アルキル芳香族化合物を液相中で酸化反応させて芳香族カルボン酸を含有するスラリーを生成し、このスラリーから少なくとも固液分離工程を経て芳香族カルボン酸を製造する方法において、
酸化反応工程もしくは固液分離工程または両工程から発生する液体または蒸気に含まれる酢酸を蒸留操作にて回収し、この蒸留操作にて発生した排気ガス中の酢酸メチルを回収して酸化反応工程へ返送することを特徴とする芳香族カルボン酸の製造方法。 - 排気ガス中の酢酸メチルの回収は、酢酸メチルを酢酸に吸収させることによるものである請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
- 排気ガス中の酢酸メチルを酢酸に吸収して回収処理した後、処理後のガス中に含まれる酢酸を水に吸収させて、酢酸水溶液を得て、この酢酸水溶液を直接または水の含有量を低下させた後に溶媒の一部として使用する請求項5に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
- 酢酸の吸収に用いる水が、溶媒回収工程において酢酸と水の分離処理して得られた水である請求項6に記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
- 酢酸メチルの吸収に用いる酢酸が、溶媒回収工程において酢酸と水を分離処理して得られた酢酸である請求項5乃至7のいずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
- アルキル芳香族化合物が、パラキシレンであり、芳香族カルボン酸がテレフタル酸である請求項1乃至8のいずれかに記載の芳香族カルボン酸の製造方法。
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EP1637729A1 (en) | 2004-09-16 | 2006-03-22 | Nissan Motor Co., Ltd. | Support structure of fuel injector |
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2004
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