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JP2004259807A - 圧粉磁芯用磁性粉末、および圧粉磁芯 - Google Patents

圧粉磁芯用磁性粉末、および圧粉磁芯 Download PDF

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JP2004259807A JP2003046835A JP2003046835A JP2004259807A JP 2004259807 A JP2004259807 A JP 2004259807A JP 2003046835 A JP2003046835 A JP 2003046835A JP 2003046835 A JP2003046835 A JP 2003046835A JP 2004259807 A JP2004259807 A JP 2004259807A
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metal
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Hisato Tokoro
久人 所
Shigeo Fujii
重男 藤井
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Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

【課題】電気抵抗と磁束密度が高い圧粉磁芯用磁性粉末及びこれを用いた圧粉磁芯を提供する。
【解決手段】金属酸化物を還元することによって得られる金属粒子を主として構成されており、前記金属粒子の表面は炭素、窒化ホウ素の少なくとも一つで被覆されており、平均粒径0.001〜1μmである圧粉磁芯用磁性粉末を提供する。さらに、前記圧粉磁芯用磁性粉末は、Fe,Co,Niの少なくとも一つを含む。また、前記圧粉磁芯用磁性粉末に樹脂を添加してプレス成形することによって得られる圧粉磁芯を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
磁性金属粒子を用いた圧粉磁芯に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気・電子機器の小型化が進んでおり、それに伴い小型の圧粉磁芯が要求されている。さらに、CPUなどの電子機器における使用周波数が高周波化しているため、高周波での損失が低い圧粉磁芯が求められている。
圧粉磁芯用粉末の磁性材料としてはフェライト粉末や強磁性金属粉末が用いられている。フェライト磁性材料は飽和磁束密度が低いために磁気飽和しやすく、インダクタに用いられる場合はインダクタンスの低下が大きい。一方、強磁性金属材料はフェライトに比べて飽和磁束密度が極めて大きい点で優れている。しかし、強磁性金属材料は電気抵抗が低いため、数百kHz〜MHzの高周波域では渦電流損失が大きい。上記渦電流損失を減少させるために、粉末間の絶縁処理が施されている。例えば、金属磁性粉末表面に無機あるいは有機絶縁層で被覆する方法が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−155510号公報(第1〜3頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
圧粉磁芯用粉末における絶縁処理は、粉末粒子同士が接触して電気的に短絡することによる渦電流損失の増加を抑制するものである。しかし、従来の絶縁処理においては電気抵抗が数十Ω・cm程度であり、電気絶縁性が低い。電気絶縁性を高めるためには圧粉磁芯用粉末の表面を絶縁材料にて完全に被覆しなければならない。さらに、従来の圧粉磁芯用粉末の平均粒径は5〜150μmと大きいため、完全に粉末間を絶縁できたとしても、個々の粒子において渦電流損失の余地が残った。渦電流損失低減のためには平均粒径をより微細化する必要がある。ところが、単に粉末の平均粒径を微細化するだけでは粉末が凝集しやすくなるとともに粉末間の摩擦が増大して圧粉体密度が向上せず、高い磁束密度が得られないという問題があった。
本発明は以上の背景を考慮して為されたものであって、電気抵抗と磁束密度が高い圧粉磁芯用磁性粉末及びこれを用いた圧粉磁芯を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明として、金属酸化物を還元することによって得られる金属粒子を主として構成されており、前記金属粒子の表面は炭素、窒化ホウ素の少なくとも一つで被覆されており、平均粒径0.001〜1μmである圧粉磁芯用磁性粉末を提供する。さらに、前記圧粉磁芯用磁性粉末は、Fe,Co,Niの少なくとも一つを含むことを特徴とする。また、前記圧粉磁芯用磁性粉末に樹脂を添加して成形することによって得られる圧粉磁芯を提供する。
【0006】本発明の圧粉磁芯用磁性粉末において、被覆物質である炭素や窒化ホウ素は固体潤滑剤として公知の材料である。したがって上記磁性粉末を圧縮成形する際には、上記被覆物質によって粉末同士の凝集を防ぐとともに粉末間の摩擦を低減でき、結果として圧粉体の充填密度が向上する。さらに充填密度の向上によって高い磁束密度が得られる。すなわち上記本発明に係る圧粉磁芯は、圧粉体の密度が5.7Mg/m以上であり、磁束密度が1.5T以上であることを特徴とする。金属酸化物を還元することによって得られる被覆付きの金属粒子からなる圧粉磁芯用磁性粉末を用いることで、高密度且つ高磁束密度の圧粉磁芯を構成することができる。
【0007】
また、本発明の圧粉磁芯用磁性粉末の平均粒径は0.001〜1μmの範囲にあり、微細であるため、従来の圧粉磁芯よりも渦電流損失が低減する。さらに炭素や窒化ホウ素による被覆の効果によって磁性粉末の分散性が向上しているため、圧粉磁芯においては樹脂による粉末間の絶縁が効果的に実現でき、圧粉磁芯の電気抵抗が高くなる。
他に炭素や窒化ホウ素は熱伝導性に優れているため、本発明の圧粉磁芯用磁性粉末を使用すると、圧粉磁芯の放熱性が向上する。すなわちモータなどで使用される場合に圧粉磁芯は熱減磁が少なく、安定した磁化を供給することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。すなわち、本発明者らは、遷移金属、なかでもFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属酸化物粉末と炭素粉末とを、非酸化性の雰囲気中で加熱することにより炭素が金属酸化物を還元し、冷却過程で金属に固溶していた余剰の炭素が表面に析出することによって、炭素で被覆されたFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属粒子が生成することを見出した。また、遷移金属、なかでもFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属酸化物粉末とホウ素粉末とを、窒素を含む不活性雰囲気中で加熱することにより、ホウ素が金属酸化物を還元し、さらには余剰のホウ素が雰囲気中の窒素と反応して窒化ホウ素(以下、BN)を生成し、BNで被覆されたFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属粒子を合成できることを見出した。上記炭素、窒化ホウ素の少なくとも一つで被覆されたFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属粒子は、平均粒径が1μm以下と微細であるにも関わらず、被覆材料が固体潤滑剤として機能するため粉体間の潤滑性に優れ、圧縮性の良い圧粉磁芯用磁性粉末として適用できることを見出した。上記金属粒子が窒化ホウ素で被覆されている場合は特に絶縁性に優れている。さらに、金属粒子の平均粒径が通常の圧粉磁芯用磁性粉末よりも微細であるため、渦電流損失が非常に小さく、鉄損の少ない圧粉磁芯を提供することができる。
【0009】
以下に、炭素で被覆されたFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属粒子の製法を説明する。金属酸化物を構成する金属元素としてはFe,Co,Niの少なくとも一つを含んでいればよく、Fe,Co,Niの少なくとも一つを含んだ合金の酸化物であってもよい。金属と酸素の組成比は特に限定されない。酸化物を原料とするため酸化安定性に優れており、大気中での取り扱いが容易である。金属酸化物粉末の平均粒径は還元後の金属粒子の平均粒径に影響するため、0.001〜1μmの範囲で選択できる。炭素粉末としては炭素単体の粉末が適しているが、炭素を含有する金属、半金属の粉末やポリビニルアルコールなどの高分子体の粉末も使用できる。炭素単体の粉末としては黒鉛、石墨、アモルファスカーボンやカーボンブラックなど、主要構成元素が炭素である粉末を使用できる。炭素粉末の平均粒径は0.001〜100μmの範囲内で選択できるが、より好ましくは0.1〜50μmとする。平均粒径が極端に微細であると、原料コストが高くなる。炭素粉末が50μmを越えると前記金属酸化物粒子と混合する際、分散に不均一が生じ、未反応生成物発生の原因となる。金属酸化物と炭素粉末の混合粉において、金属酸化物の含有率は5〜80mass%が好ましい。5mass%未満では金属含有率が極端に小さくなって収率が低くなる。80mass%を越えると炭素が不足して金属酸化物の還元が不十分となるとともに、金属粒子の粒成長が促進されて粗大粒発生の原因となる。金属酸化物粉末と炭素粉末との混合においては、乳鉢などで手動混合してもよいし、V字型混合機などの自動混合機を使用することもできる。
【0010】
前記手法により得た混合粉を熱処理する際、アルミナ、黒鉛、BNなどの耐熱性かつ安定性に優れた材料で構成されるルツボを使用することができる。熱処理時の雰囲気は非酸化性雰囲気であれば特に限定されず、例えばAr、He、Neなどの不活性ガスや窒素ガスを使用する。熱処理温度は600℃以上の温度とすることができるが、実用的には1000〜1600℃が好ましい。1000℃未満の温度では熱処理時間が著しく長時間化する。1600℃を越える温度では加熱炉に耐熱部材を使用しなければならず製造コストが高くなる。熱処理中の反応は、以下の3工程を経る。
【0011】
第一工程:炭素が金属酸化物を還元して炭酸ガスが発生し、還元された金属粒子と余剰の炭素粉が共存する工程。
第二工程:金属中に炭素が固溶する工程。
第三工程:冷却とともに金属粒子表面へ析出してきた炭素が成長して金属粒子を被覆する工程。
【0012】
以上の工程より、金属酸化物を還元することによって得られた金属粒子であって、前記金属粒子の表面は炭素で被覆されており、平均粒径が0.001〜1μmであることを特徴とする金属超微粒子が得られる。圧粉磁芯用粉末としてはFe、Co、Niの少なくとも一つを含む強磁性金属超微粒子であることが好ましい。
【0013】
以下にBNで被覆されたFe、Co、Niの少なくとも一つを含む金属粒子の製法を説明する。金属酸化物を構成する金属元素としてはFe,Co,Niの少なくとも一つを含んでいればよく、Fe,Co,Niの少なくとも一つを含んだ合金の酸化物であってもよい。金属と酸素の組成比は特に限定されない。酸化物を原料とするため酸化安定性に優れており、大気中での取り扱いが容易である。金属酸化物粉末の平均粒径は還元後の金属粒子の平均粒径に影響するため、0.001〜1μmの範囲で選択できる。ホウ素粉末としてはホウ素単体の粉末が適しているが、ホウ素を含有する金属あるいは半金属の粉末も使用できる。ホウ素粉末の平均粒径は0.001〜100μmの範囲内で選択できるが、より好ましくは0.1〜50μmとする。0.1μm未満のホウ素粉末は作製するのが困難であり、原料コストが高くなる。ホウ素粉末が50μmを越えると前記金属酸化物粒子と混合する際、分散に不均一が生じ、未反応生成物発生の原因となる。金属酸化物とホウ素粉末の混合粉において、金属酸化物の含有率は5〜80mass%が好ましい。5mass%未満では金属含有率が極端に小さくなって収率が低くなる。80mass%を越えるとホウ素が不足して金属酸化物の還元が不十分となるとともに、窒化ホウ素が生成しなくなる。ここで、mass%は被測定物の単位質量中、所定の成分のものの質量を百分率で表わすものである。
【0014】
金属酸化物粉末とホウ素粉末との混合には、乳鉢などで手動混合してもよいし、V字型混合機などの自動混合機を使用することもできる。前記手法により得た混合粉を熱処理する際、アルミナ、黒鉛、BNなどの耐熱性かつ安定性に優れた材料で構成されるルツボを使用することができる。熱処理時の雰囲気は窒素を含む不活性雰囲気であって、窒素のみならず窒素とAr、窒素とHe、窒素とNe、窒素とアンモニア、あるいは窒素と水素、といった混合ガスも使用できる。安全性を考慮すれば窒素または窒素と不活性ガス(Ar,He,Neなど)との混合ガスを使用することが好ましい。熱処理温度は800℃以上の温度とすることができるが、実用的には1000〜1600℃が好ましい。1000℃未満の温度では熱処理時間が著しく長時間化する。1600℃を越える温度では加熱炉に耐熱部材を使用しなければならず製造コストが高くなる。熱処理中の反応は、以下の3工程を経る。
【0015】
第一工程:ホウ素が金属酸化物を還元して、金属とホウ素とホウ素酸化物の混相状態となる工程。
第二工程:還元された金属とホウ素が反応して化合物を形成し、金属と金属ホウ化物とホウ素酸化物の混相状態となる工程。
第三工程:金属ホウ化物のホウ素が表面へ拡散して雰囲気中の窒素と反応し、BNが形成する工程。この工程で金属ホウ化物粒子がBNで被覆された金属粒子へと変化する。
【0016】
以上の工程より、金属酸化物を還元することによって得られた金属粒子であって、前記金属粒子の表面は窒化ホウ素で被覆されており、平均粒径が0.001〜1μmであることを特徴とする金属超微粒子が得られる。圧粉磁芯用粉末としてはFe、Co、Niの少なくとも一つを含む強磁性金属超微粒子であることが好ましい。
以上、被覆材料が炭素とBNの場合に分けて圧粉磁芯用磁性粉末の製法を記述したが、炭素粉末とホウ素粉末を同時添加することによりB−C−N化合物による被覆も可能である。
【0017】
本発明によって得られる圧粉磁芯用磁性粉末は1μm以下であり、従来の圧粉磁芯用粉末よりも粒径が微細である。平均粒径が微細であると粉末間の摩擦力が大きい、粉末同士が凝集しやすい、などの理由から圧粉体密度が低下する恐れがあるが、本発明の金属粒子は表面が炭素若しくはBNで被覆されているため粉末間の潤滑性に優れており、高密度の圧粉体を作製でき、高磁束密度を得ることができる。粉末間を十分に絶縁するため、本発明の圧粉磁芯は絶縁材として樹脂を含有する。特にBNは絶縁材料であるため、金属粉末間を完全に絶縁させることができる。十分に絶縁された磁性粉末から得られる圧粉磁芯は、高い絶縁性を維持しながら磁性粉末が高充填されているため磁束密度が高い。また、磁性粉末が微細であるため、従来の圧粉磁芯粉末を用いた場合よりも渦電流損失が小さい。
【0018】
樹脂としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、フェノール樹脂、カーボネート樹脂、ケトン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂の中から少なくとも一つを含む樹脂を用いることができる。樹脂の含有量は、前記圧粉磁芯用磁性粉末に対して好ましくは1〜30vol%、より好ましくは2〜20vol%である。樹脂含有量が少なすぎると圧粉磁芯の機械的強度が低下したり、絶縁性が低下する。一方、樹脂含有量が多すぎる場合には非磁性部の体積率が大きくなり、圧粉磁芯の磁束密度が低下してしまう。前記圧粉磁芯用磁性粉末と樹脂との混合の際には、固体状または液体状の樹脂を溶液化して混合してもよく、液状の樹脂を直接混合してもよい。また、固体状樹脂を粉砕機で粉砕して微粒子にしてから混合することができる。以上の手法により、磁性粉末の表面に薄い絶縁性樹脂被膜を形成することができる。磁性粉末と樹脂は、加圧ニーダーやライカイ機などを用いて混合した後、プレス成形装置により所望の形状に成形する。成形条件は特に限定されず、圧力は390〜1960MPa、最大圧力の保持時間は0.1〜60s程度でよく、目的とする磁芯の寸法・形状に応じて適宜決定すればよい。
【0019】
平均粒径は、例えば、圧粉磁芯用磁性粉末の試料を溶媒中に分散させて、レーザー光線を照射して回折を利用して平均粒径を測定する方法(第1の方法)により求めることができる。あるいは、空気透過法(例えば、フィッシャー・サブ・シーブ・サイザー(F.S.S.S)法)により求めることができる(第2の方法)。高い測定精度を得るには、第1の方法を用いた市販の測定装置を用いる方が好ましい。なお、試料の量が微量である為、第1および第2の方法では平均粒径の測定が困難な場合には、圧粉磁芯用磁性粉末の試料を電子顕微鏡で観察して平均粒径を測定する(第3の方法)。例えば、試料の電子顕微鏡写真を取る。写真内で任意の面積内にある金属超微粒子の粒径を測定して平均値を求めたり、あるいは写真内で任意の長さの線分を引いて、線分の粒子を横断する部分の長さの和Lと線分が横断した粒子の数Nとから、平均粒径=L/Nとして求める。ただし、第3の方法では、少なくとも50個以上の粒子の平均値を得るものとする。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
酸化鉄粉(堺化学工業(株)製、FRO−3)とホウ素粉末(レアメタリック社製、#325メッシュ)を原料として用いた。ここで平均粒径は酸化鉄粉が0.03μm、ホウ素粉末が21μmである。酸化鉄粉とホウ素粉末を5:5の割合で秤量し、V字型ミキサーによって10分間混合した。得られた混合粉をアルミナ製ボートに充填し、管状炉にて1100℃で2時間熱処理した。加熱時の雰囲気は窒素ガスとした。室温まで炉冷した熱処理済の混合粉は軽く凝集していたため、匙で解砕しながら回収した。上記粉末のX線回折測定結果を図1の(a)に示す。主要ピークは六方晶窒化ホウ素(h−BN)と鉄(α−Fe)である。さらに透過型電子顕微鏡により上記粉末を観察すると、図2に示すように鉄粒子を窒化ホウ素膜が被覆していた。
【0021】
図2は、電子顕微鏡で観察した本発明に係る粒子構造の顕微鏡写真であり、BN被覆したFe粒子を示している。図3は、図2の構造を模式的に説明するための概略図である。図3に示すように、Fe粒子11の表面に被覆されたBN膜には、積層された結晶格子の縞模様が認められる。格子面13の部分は、格子面がFe粒子11の表面に沿って、複数の格子面がほぼ並行に積層されている。格子面14や格子面15の部分は、格子面同士が平行でない箇所を有するが、Fe粒子11の表面を十分に被覆していることがわかる。粒子および被覆膜の組成分析にはEDXおよびEELS分析を用いた。熱処理済混合粉から非磁性粉を除去するため、アセトン中に上記粉末を投入して30分間超音波を印加した後、永久磁石を液面上部に近づけて磁性粒子だけを回収した。アセトンを自然乾燥させて圧粉磁芯用磁性粉末とした。
【0022】
上記圧粉磁芯用磁性粉末にシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、SR−2410)を秤量して、加圧ニーダーで30分間混合した。シリコーン樹脂は上記磁性粉末に対して2vol%とした。磁性粉末と樹脂の混合粉を金型に充填して、120mm×130mm×100mmの直方体寸法となるよう、590MPaの圧力で加圧成形した。成形後の圧粉体の密度、電気抵抗率、磁束密度を評価した結果を表1に示す。密度はアルキメデス法で測定した。電気抵抗率は四端子法で測定した。磁束密度は直流B−Hトレーサを用いて20kA/m印加時の値を測定した。
【0023】
(実施例2)
酸化鉄粉(堺化学工業(株)製、FRO−3)と炭素粉末(高純度化学社製、ca.5μm)を原料として用いた。ここで平均粒径は酸化鉄粉が0.03μm、炭素粉末が5μmである。酸化鉄粉と炭素粉末を5:5の割合で秤量し、V字型ミキサーによって10分間混合した。得られた混合粉をアルミナ製ボートに充填し、管状炉にて1100℃で2時間熱処理した。加熱時の雰囲気は窒素ガスとした。室温まで炉冷した熱処理済混合粉は特に凝集は見られず、直接回収した。上記粉末のX線回折測定結果を図1の(b)に示す。主要ピークはグラファイトと鉄(α−Fe)である。さらに透過型電子顕微鏡により上記粉末を観察すると、図4に示すように鉄粒子をグラファイト膜が被覆していた。
【0024】
図4は、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した実施例2に係る粒子の構造の顕微鏡写真である。TEM観察するにあたり、必要とされる試料調整以外、粒子への損傷や変異などを与える加工は一切施していない。図5は、図4の構造を模式的に説明する概略図であり、若干拡大している。粒子1は、α−Feの粒子2の表面が全て所定の厚さのグラファイト薄膜10で被覆された粒子である。この被覆はα−Feの粒子2の表面を保護しており、効果的に酸化防止している。グラファイト薄膜10の外側に散在する凸部8,9は、グラファイトの異層が成長したものか、異物が付着したもののいずれかと推定される。α−Feの粒子2自体の明暗のパターン3a,3b,3cは、α−Feの粒子2の形状(略球形)に起因する干渉パターン(2点鎖線で表示)である。
【0025】
α−Feの粒子の両端では、グラファイト薄膜の境界4が若干不明瞭に撮影されているため、点線で表示した。これは略球形の形状により全てに焦点を合わせることが難しいためであり、実際の形状が不明瞭になっている訳ではない。1点鎖線で輪郭を表示した領域は、粒子1をTEM観察のサンプルホルダーに固定させるためのコロジオン膜5である。符号20の線と符号は、その3本線の長さが20nmに相当するスケールであり、図4を撮影した際のスケールに基づいて図5に付け加えたものである。
【0026】
粒子および被覆膜の組成分析にはEDXおよびEELS分析を用いた。熱処理済の混合粉から非磁性粉を除去するため、アセトン中に上記粉末を投入して30分間超音波を印加した後、永久磁石を液面上部に近づけて磁性粒子だけを回収した。アセトンを自然乾燥させて圧粉磁芯用磁性粉末とした。
【0027】
上記圧粉磁芯用磁性粉末にシリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製、SR−2410)を秤量して、加圧ニーダーで30分間混合した。シリコーン樹脂は上記磁性粉末に対して2vol%(2体積%)とした。磁性粉末と樹脂の混合粉を金型に充填して、120mm×130mm×100mmの直方体寸法となるよう、590MPaの圧力で加圧成形した。成形後の圧粉体の密度、電気抵抗率、磁束密度を評価した結果を表1に示す。密度はアルキメデス法で測定した。電気抵抗率は四端子法で測定した。磁束密度は直流B−Hトレーサを用いて20kA/m印加時の値を測定した。
【0028】
(比較例1)
圧粉磁芯用磁性粉末として、カルボニルFe粒子(レアメタリック社製、3μm)を使用した以外は実施例1と同様にして圧粉体を作製し、圧粉磁芯として評価した。評価結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004259807
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る構成を用いることにより、電気抵抗と磁束密度が高い圧粉磁芯用磁性粉末及びこれを用いた圧粉磁芯を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱処理後の粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
【図2】電子顕微鏡で観察した粉末を構成する粒子の顕微鏡写真である。
【図3】図2の写真の構造に対応する概略図である。
【図4】電子顕微鏡で観察した粉末を構成する粒子の顕微鏡写真である。
【図5】図4の写真の構造に対応する概略図である。
【符号の説明】
1 粒子、 2 α−Feの粒子、
3a,3b,3c 明暗のパターン、
4 グラファイト薄膜の境界、 5 コロジオン膜、
8,9 凸部、
10 グラファイト薄膜、 11 Fe粒子、 13 格子面、
14 格子面、15 格子面、

Claims (3)

  1. 金属酸化物を還元することによって得られる金属粒子を主として構成されており、前記金属粒子の表面は炭素、窒化ホウ素の少なくとも一つで被覆されており、平均粒径が0.001〜1μmであることを特徴とする圧粉磁芯用磁性粉末。
  2. 請求項1に記載の圧粉磁芯用磁性粉末であって、前記金属粒子はFe,Co,Niの少なくとも一つを含むことを特徴とする、圧粉磁芯用磁性粉末。
  3. 樹脂と、請求項1又は2に記載の圧粉磁芯用磁性粉末を備えることを特徴とする圧粉磁芯。
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