JP2004242564A - メチロフィラス属細菌のベクター - Google Patents
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Abstract
【課題】メチロフィラス属細菌への遺伝子導入に用いることができるプラスミドベクターを提供する。
【解決手段】メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することにより、メチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を単離する。
【選択図】 図1
【解決手段】メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することにより、メチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を単離する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はメチロフィラス属細菌の遺伝子組換えに利用するプラスミドベクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
メチロフィラス属細菌は、メタノールを主たる炭素源として生育することができる細菌であって、グラム陰性の桿菌である。同細菌は、胞子形成はなく、絶対好気性であり、そのメタノール資化経路はリブロースモノ燐酸経路により行われる。
【0003】
メチロフィラス属細菌において利用され、目的遺伝子を組み込むプラスミドベクターとしては、不和合性グループのIncQに属するRSF1010由来のもの、例えば、pAYC30、及びpAYC36や、IncPに属するRP4由来のもの、例えばpRK310などの広宿主域プラスミドベクターと呼ばれるものが用いられてきた(非特許文献1)。更に、最近ではボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)S87から発見されたpBBR1系のプラスミド、pBHR1などがある(非特許文献2)。
【0004】
広宿主域プラスミドベクターの一つの問題点は、一般にプラスミドのサイズが大きいことである。例えば、RSF1010は約8.68kbであり、pRK310では約20.4kbである。一方、エシェリヒア・コリ(E. coli)等で汎用的に利用されるプラスミドベクターは、例えばpSTV29では約3kb、pUC19では約2.7kbと小型であり、遺伝子組換え技術において、これらのベクターは非常に扱いやすい。尚、pBBR1の大きさは約2.7kbと小型であるが、このプラスミドの選択用に、薬剤耐性遺伝子、例えば、カナマイシン耐性遺伝子を搭載したベクターでは約4kb程度となる。また、本プラスミドは、メチロフィラス属細菌中で自律複製はするものの、メチロフィラス属細菌への導入頻度が低いという問題がある。
【0005】
【非特許文献1】
Methane and methanol utilizers, Edt by L. Colin Murrell and Howard Dalton, Plenum Ptress ,(1992) pp185
【非特許文献2】
Antoine R. & Locht C., Mol. Microbiol., 6, pp1785−1799 (1992)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メタノール資化性菌への遺伝子導入方法の選択肢を広げるために、従来知られている広宿主域プラスミドベクターに代わる、サイズが小さい新規なプラスミドベクターを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体DNAの複製開始点(oriCm)のクローニングに成功し、この領域と、薬剤耐性遺伝子を含むDNA断片とを連結させることにより、メチロフィラス・メチロトロファスで機能する新規なプラスミドベクターを作製することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することによって得ることができるメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
(2)配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列又はその一部を有するメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
(3)配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列又はその一部において、1若しくは数個のヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入を含む塩基配列を有するメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
(4)配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列の一部が、配列番号14に示す塩基配列である(2)又は(3)に記載のプラスミドベクター。
(5)メチロフィラス属細菌で機能する薬剤耐性遺伝子を含む(1)〜(4)のいずれかに記載のプラスミドベクター。
(6)前記メチロフィラス属細菌がメチロフィラス・メチロトロファスである(1)〜(5)のいずれかに記載のプラスミドベクター。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のプラスミドベクターを保持するメチロフィラス属細菌。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプラスミドベクターは、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクターである。同プラスミドベクターは、メチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含む。
【0010】
前記自律複製配列は、メチロフィラス属細菌の染色体DNAの複製開始点(oriCm)を含むものであり、例えば、メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することによって得ることができる。
【0011】
前記自律複製配列の起源は、メチロフィラス属細菌であれば特に限定されないが、例えば、メチロフィラス・メチロトロファスが挙げられる。より具体的には、メチロフィラス・メチロトロファスの野生株AS1株(NCIMB No.10515)が挙げられる。同株は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア(National Collection of Industrial and Marine Bacteria、住所NCIMB Lts., Torry Research Station 135, Abbey Road, Aberdeen AB9 8DG, United Kingdom)から入手可能である。そしてこの株の一般的な培養方法は、NCIMBのカタログに記載されているが、また実施例に記載したSEII培地でも生育させることができる。
【0012】
上記のようにして、メチロフィラス・メチロトロファスAS1株の染色体DNAから単離された、メチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含むDNA断片の塩基配列の一例を、配列番号11に示す。
【0013】
本発明の自律複製配列は、後記実施例に示すように、メチロフィラス属細菌のショットガンクローニングによって取得することができる。
本発明の自律複製配列は、メチロフィラス属細菌における自律複製能が維持される限り、配列番号11に示す塩基配列の一部であってもよい。このような部分配列は、例えば以下のようにして、特定又は取得することができる。まず、配列番号11に示す塩基配列を含むDNA断片を用意する。このDNA断片の末端の一方又は両方を、エキソヌクレアーゼで段階的に切り縮め、メチロフィラス属細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子と連結して、環状の組換えDNAを作製する。これらの組換えDNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、マーカー遺伝子が発現する形質転換体からプラスミドDNAを単離し、構造を解析する。
【0014】
また、配列番号11の塩基配列の一部を有するDNA断片は、配列番号11に示す塩基配列を含むDNA断片を鋳型とし、配列番号11の塩基配列に基づいて作製した所望のプライマーを用いたPCRによっても、調製することができる。
【0015】
配列番号11の一部を有する自律複製配列としては、配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列、及び、配列番号14に示す塩基配列(配列番号11の塩基番号1535〜1855)が挙げられる。以下、配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列を「OriCm」、配列番号14に示す塩基配列を「OriCmS」と記載することがある。これらの塩基配列を有するDNA断片は、例えば、メチロフィラス属細菌の染色体DNAを鋳型とし、配列番号7及び8、又は配列番号9及び10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション)によって各々取得することができる。また、前記塩基配列を有するDNA断片は、同塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとするハイブリダイゼーションによって、メチロフィラス属細菌のゲノムライブラリーから単離することもできる。
【0016】
本発明の自律複製配列は、メチロフィラス属細菌における自律複製能が維持される限り、OriCm、又はOriCmSを、前記と同様にしてさらに短縮したものであってもよい。OriCm、又はOriCmSを含むプラスミドDNAの適当な位置に制限酵素部位を持たせておき、OriCm、又はOriCmSの外側でプラスミドDNAを切断すると、エキソヌクレアーゼによる反応と、再環状化を容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明のプラスミドベクターが持つ自律複製配列は、メチロフィラス属細菌における自律複製能が損なわれない限り、OriCm又はその一部において、1若しくは数個のヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入を含む塩基配列を有していてもよい。前記「数個」とは、自律複製配列の位置やヌクレオチドの種類によっても異なるが、具体的には、OriCmのうち、OriCmS以外の部分においては2〜1100個、好ましくは、2〜800個、より好ましくは2〜300個である。また、OriCmSにおいては、2〜20個、好ましくは、2〜10個、より好ましくは2〜4個である。
【0018】
また、上記のような、OriCm又はその一部と実質的に同一の塩基配列を有する自律複製配列として具体的には、OriCm又はその一部とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列が挙げられる。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。OriCmの一部が300bp程度の長さのDNA断片を用いる場合には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件としては、50℃、2×SSC、0.1%SDSが挙げられる。
【0019】
上記のような、OriCm又はその一部と実質的に同一の塩基配列を有する自律複製配列は、例えば、部位特異的変異法によって、特定の部位のヌクレオチドにおいて置換、欠失、又は挿入を含むようにOriCm又はその一部を改変することによって取得することができる。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている変異処理によっても取得され得る。変異処理としては、OriCm又はその一部を含むDNAをヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、および同DNAを保持する微生物、例えばエシェリヒア属細菌を、紫外線またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくはEMS等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
【0020】
上記のような変異を有するDNAが自律複製能を有するか否かは、メチロフィラス属細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子と連結して、環状の組換えDNAを作製し、得られた組換えDNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体でマーカー遺伝子の発現を検出することによって、調べることができる。
【0021】
また、上記のようなヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入には、メチロフィラス属細菌の菌株による違いなどの天然に生じる変異(mutant又はvariant)も含まれる。
【0022】
本発明のプラスミドベクターは、自律複製配列の他に、マーカー遺伝子を含むことが好ましい。マーカー遺伝子としては、薬剤耐性を宿主に付与できる遺伝子が好ましい。このような薬剤耐性遺伝子としては、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ゲンタマイシン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。
【0023】
本発明のプラスミドベクター中には、外部からのDNA断片を搭載しやすいように、一または複数の制限酵素切断認識部位を組み入れておくことが望ましい。そのような部位としては、例えば、EcoRI、SacI、KpnI、SmaI、BamHI、XbaI、SalI、PstI、SphI、HindIIIなどが挙げられる。制限酵素切断認識部位は、マルチクローニング部位であってもよい。
【0024】
また、本発明のプラスミドベクターは、さらに、他の細菌、例えばエシェリヒア・コリで機能する自律複製配列を含むシャトルベクターであっても適わない。このようなシャトルベクターは、例えば、本発明のメチロフィラス属細菌の自律複製配列を含むDNA断片と、エシェリヒア・コリのプラスミドベクター又はその一部とを連結することによって構築することができる。エシェリヒア・コリのプラスミドベクターとしては、例えば、pBR322、pUC18、pUC19、pHSG396、pACYC177、pTSV29、pSC101、pMW218、pBluescript II KSなどが挙げられる。
【0025】
上記のようなシャトルベクターとして、後記実施例に示すpOriCmS−2が挙げられる。同プラスミドは、カナマイシン耐性遺伝子と、クローニング部位としてXbaI部位を有している。
【0026】
本発明のDNAのクローニングに用いるゲノムDNAライブラリーの作製、ハイブリダイゼーション、PCR、プラスミドDNAの調製、DNAの切断および連結、形質転換等の方法は、Sambrook, J., Fritsch,E.F., Maniatis,T., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Third Edition (2001)に記載されている。
【0027】
本発明のプラスミドベクターは、メチロフィラス属細菌に所望の遺伝子を導入するのに用いることができる。すなわち、本発明のプラスミドベクターに目的遺伝子を挿入し、得られた組換えプラスミドでメチロフィラス属細菌を形質転換する。前記遺伝子としては、メチロフィラス属細菌内で発現し得る遺伝子であれば特に制限はないが、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、色素、アミノ酸、核酸等の有用物質生成に関わる酵素遺伝子、生体内代謝調節に関与する遺伝子、これらの遺伝子を人為的に改良した遺伝子等が挙げられる。
【0028】
例えば、L−リジンの生合成に重要なジヒドロジピコリン酸合成酵素の変異型酵素遺伝子をメチロフィラス・メチロトロファスに導入することにより、L−リジン生産能が付与される(WO 00/61723参照)。従って、例えば、エシェリヒア・コリのジヒドロジピコリン酸合成酵素の変異体であって、L−リジンによる酵素活性への阻害が低減した酵素をコードするdapA24遺伝子を、本発明のプラスミドベクターに搭載することも可能である。具体的には、変異型酵素をコードする遺伝子dapA24が搭載されたプラスミドpRS−dapA24(WO 00/61723参照)を制限酵素XbaIで切断し、dapA24遺伝子を含むDNA断片を取得する。次に、下記実施例で示すプラスミドベクターpOriCmS−2を同じく制限酵素XbaIで切断し、この部位にdapA24遺伝子を含むDNA断片をDNAリガーゼにより連結することにより、本プラスミドベクターにdapA24遺伝子を搭載できる。これをメチロフィラス・メチロトロファス株に導入することよって、この株にL−リジン生産能を付与又は増強することが可能である。
【0029】
また、本発明のプラスミドベクターは、メチルフィラス属細菌の染色体上の遺伝子と外来遺伝子との遺伝子置換、又は染色体上の遺伝子の破壊にも用いることができる。
【0030】
メチロフィラス属細菌に、本発明のプラスミドベクター又はその誘導体を導入して形質転換する方法としては、エレクトロポレーションが挙げられる(C.G.Gliesche, Can. J. Microbiol., 43, pp197−201 (1997))。また、このプラスミドに接合伝達に必要なDNA領域(mob領域など)を通常の方法により組み入れることにより、接合伝達によるプラスミド導入も可能となる。
【0031】
通常、メチロフィラス属細菌の形質転換株は、導入したプラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子の発現による、薬剤耐性をマーカーとして選抜する。例えば、カナマイシン耐性の遺伝子が搭載されたベクターをエレクトロポレーションにより導入した場合は、その菌株を含む溶液をカナマイシン(20μg/mL)を含むSEII寒天培地(実施例1参照)上に塗布し、37℃にて2〜4日間培養することで、目的のプラスミドベクターを保持した形質転換体を得ることができる。
【0032】
上記方法により形質転換して得られるメチロフィラス属細菌は、通気攪拌もしくは振とう等の好気的条件下で、20〜43℃、好ましくは34〜38℃の温度でpHを5〜8に制御して培養し、導入した遺伝子を発現させることができる。使用される培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機微量栄養源を含有する通常の培地である。
【0033】
主要炭素源は、メタノールであるが、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、でんぷん加水分解物などの糖類、グリセロール、ソルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸、ピルビン酸等の有機酸類を併用して用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素源、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。無機イオンとしては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。これらの他に、有機微量栄養源として、ビタミンB1、または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい場合もある。培養開始時の炭素源濃度は、好ましくは0.01〜5容量%、より好ましくは、0.1〜2容量%である。また培養期間は通常2〜90時間とすることができ、好適には24〜48時間である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
【0035】
【実施例1】メチロフィラス・メチロトロファスのoriC(oriCm)を含むプラスミドの作製
メチロフィラス・メチロトロファス(Methylophilus methylotrophus)AS1(NCIMB No.10515)をSEII培地( (NH4)2SO4 5g/L, K2HPO4 1.9g/L, NaH2PO4・2H2O 1.56g/L, MgSO4・7H2O 200mg/L, CaCl2・2H2O 72mg/L, CuSO4・5H2O 5 μg/L, MnSO4・5H2O 25 μg/L, ZnSO4・7H2O 23 μg/L, FeCl3・6H2O 9.7mg/L, メタノール 0.5%(v/v))、37℃で一晩培養し、Edge BioSystems社製 Genomic DNA Purif.Kit(CatNo.85171)を用いて染色体DNAを調製した。これをSau3AI(宝酒造社製)で部分分解した。この反応溶液を、0.7%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供して、DNAサイズとして2〜3kbp(キロ塩基対)の大きさのDNA断片領域をゲルから回収し精製した。DNA断片の精製には、GIBCO BRL社製 ConcertTM Rapid Gel Extraction Systemを利用し、添付のマニュアルに従って実施した。
【0036】
一方、pHSG298(宝酒造社製)は制限酵素BamHI(宝酒造社製)で消化後、アルカリフォスファターゼ処理(宝酒造社製、Alkaline phosphatase(calf intestine)を使用)を行い、上述で作製したSau3AIで部分分解後の染色体DNAと連結した(宝酒造社製、Ligation Kit ver.2を使用)。このライゲーション溶液で市販のコンピテントセルE.coli JM109を形質転換し、LB寒天培地(ポリペプトン10g/L,酵母エキス 5g/Ll, NaCl 10g/L, 寒天 15g/L, カナマイシン 50μg/ml含む)で選択することで、約4500個の形質転換体を取得した。
【0037】
次に、これらの形質転換体をまとめてLB液体培地(カナマイシン 50μg/ml含む)で培養し、この培養液からプラスミドDNAを常法(アルカリ法)で抽出し、このプラスミドDNAでメチロフィラス・メチロトロファスをエレクトロポレーション法により形質転換した。エレクトロポレーションは、BioRad社製GenePulserを使用し、1.8kV/cmで行った。
【0038】
形質転換体をSEII寒天培地(寒天 1.5%、カナマイシン 20μg/ml含む)で37℃、約48時間培養後、約200個のカナマイシン耐性コロニーが出現した。この中から無作為に60個のコロニーを選択し、それらをまとめてSEII液体培地で、上記と同様に培養後、この培養液から常法によりプラスミドDNAを抽出した。
【0039】
このDNA溶液でE.coli JM109株を形質転換し、LB寒天培地(カナマイシン 50μg/ml)上でカナマイシン耐性を示すコロニーを多数取得した。この耐性株から無作為に10株選択し、各々からプラスミドDNAを抽出し、電気泳動によりその大きさを確認したところ、各々のプラスミドDNAはほぼ同一の大きさであり、pHSG298に挿入されたDNA断片の大きさは、約2.7kbと推定できた。次に制限酵素でこれらプラスミドを分解し、その分解パターンの比較を行ったところ、取得した10株が保持していたプラスミドは全て同一構造のものであることが判明した。なお、ここで取得したプラスミドはpOriCmLと命名した。
【0040】
【実施例2】oriCm領域の限定と小型oriCmプラスミドの作製
実施例1に記載したプラスミドpOriCmLの挿入DNA断片の塩基配列を決定した。塩基配列は、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)を用い、310 Genetic Analyzer(AB社製)により解析を行った。結果を配列番号11に示す。塩基配列決定に用いたプライマーの配列を、配列番号1〜6に記載した。
【0041】
その結果、この挿入DNA断片には、いくつかのオープンリーディングフレーム(ORF)が存在することがわかった。それらのうち2つを、配列番号11に示してある。第1のORFは、dnaA様遺伝子の後半領域に、第2のORFはdnaN様遺伝子の前半領域に、各々類似している(図1)。また、配列表には示されていないが、配列番号11の塩基配列において、5’末端から、401番目の塩基までにも、ORFが存在している。
【0042】
次に、最初に単離した上記の約2.7kb長のDNA領域にある、dnaA様遺伝子からdnaN様遺伝子までの約1.44kb長のDNA領域のみで、自律複製活性があるか否かの検討を行った。
【0043】
まず、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体DNAを鋳型にし、配列番号7、8に記載したプライマー(5’末端側にSalIサイトを連結)を用いたPCRにより、目的DNA断片(配列番号11の塩基番号1169〜2612)の増幅を行った。増幅反応は、宝酒造社製Pyrobest DNA polymeraseを用い、<変性工程>98℃で10秒間、<アニーリング工程>60℃で30秒間、<DNA鎖の伸長反応工程>72℃で90秒間、の反応を25サイクル実施した。ここで増幅された1442bpのDNA断片をSalI(宝酒造)で分解し、同じくSalI(宝酒造)分解後、脱リン酸化処理を行ったベクターpHSG298と連結した(宝酒造社製、Ligation Kit ver.2を使用)。そしてベクターに搭載されているlacプロモーターに対して各方向に挿入された2種類のプラスミドを取得した。これらのプラスミドでメチロフィラス・メチロトロファスを形質転換したところ、両タイプのプラスミドからカナマイシン耐性を示す株を取得出来、このDNA領域に自律複製活性が存在していることが判明した。これら両プラスミドを、各々pOriCm−1(dnaA様遺伝子の方向が、ベクターのlacプロモーターと同じ向きのプラスミド)、pOriCm−2(dnaA様遺伝子の方向が、ベクターのlacプロモーターと逆向きのもの)と命名した。
【0044】
更に、自律複製活性を有する領域を特定するために、dnaA様遺伝子とdnaN様遺伝子の間のDNA領域における自律複製活性の有無を調べることとした。まず、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体DNAを鋳型にし、配列番号9、10に記載したプライマー(5’末端側にSalIサイトを連結)を用いたPCRにより、目的DNA断片(DnaA様タンパク質のC末側10アミノ酸残基とDnaN様タンパク質のN末側10アミノ酸残基を含む領域をコードするDNAとその両者間のDNA部分:配列番号11の塩基番号1535〜1855)の増幅を行った。増幅反応は、宝酒造社製Pyrobest DNA polymeraseを用い、<変性工程>98℃で10秒間、<アニーリング工程>60℃で30秒間、<DNA鎖伸長工程>72℃で1分間の一連反応を25サイクル実施した。
【0045】
ここで増幅された321bpのDNA断片をSalI(宝酒造)で分解し、同じくSalI(宝酒造)分解後、脱リン酸化処理を行ったベクターpHSG298と連結した(宝酒造社製、Ligation Kit ver.2を使用)。その結果、ベクターに搭載されているlacプロモーターに対してdnaA様遺伝子の向きが逆向きに挿入されたプラスミドのみが、多数取得された。
【0046】
これらのプラスミドでメチロフィラス・メチロトロファスを形質転換したところ、カナマイシン耐性を示す株を多数取得出来、このDNA領域に自律複製活性が存在しており、また形質転換頻度も高いことが判明した。なお、導入プラスミドとして、pBHR1(pBBR1からの誘導体)を用い、同様な条件にて形質転換したところ、形質転換体の出現頻度は、上で取得されたプラスミドの場合と比べ、数十分の一であった。上記のようにして得られたプラスミドをpOriCmS−2(dnaA様遺伝子の向きが、lacプロモーターと逆向きになっている)と命名した。こうして特定された自律複製能のあるDNA断片(321bp領域)の塩基配列を、配列番号14に示した。
【0047】
なお、前記pOriCmS−2を保持するメチロフィラス・メチロトロファス株を、カナマイシン(50μg/ml)を含むSEII液体培地で、37℃、24時間培養後、その菌体から、上記と同様に常法によりプラスミドを調製し、0.7%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供した後、エチジュームブロマイド染色したところ、明瞭なプラスミドDNAのバンドが観察され、メチロフィラス・メチロトロファス内で、複数のコピー数を維持するプラスミドとして機能することがわかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、メチロフィラス属細菌においてプラスミドとして機能する新規なベクターが提供される。同ベクターは、メチロフィラス属細菌の育種等に有用である。
【0049】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自律複製配列の構造を示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明はメチロフィラス属細菌の遺伝子組換えに利用するプラスミドベクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
メチロフィラス属細菌は、メタノールを主たる炭素源として生育することができる細菌であって、グラム陰性の桿菌である。同細菌は、胞子形成はなく、絶対好気性であり、そのメタノール資化経路はリブロースモノ燐酸経路により行われる。
【0003】
メチロフィラス属細菌において利用され、目的遺伝子を組み込むプラスミドベクターとしては、不和合性グループのIncQに属するRSF1010由来のもの、例えば、pAYC30、及びpAYC36や、IncPに属するRP4由来のもの、例えばpRK310などの広宿主域プラスミドベクターと呼ばれるものが用いられてきた(非特許文献1)。更に、最近ではボルデテラ・ブロンキセプティカ(Bordetella bronchiseptica)S87から発見されたpBBR1系のプラスミド、pBHR1などがある(非特許文献2)。
【0004】
広宿主域プラスミドベクターの一つの問題点は、一般にプラスミドのサイズが大きいことである。例えば、RSF1010は約8.68kbであり、pRK310では約20.4kbである。一方、エシェリヒア・コリ(E. coli)等で汎用的に利用されるプラスミドベクターは、例えばpSTV29では約3kb、pUC19では約2.7kbと小型であり、遺伝子組換え技術において、これらのベクターは非常に扱いやすい。尚、pBBR1の大きさは約2.7kbと小型であるが、このプラスミドの選択用に、薬剤耐性遺伝子、例えば、カナマイシン耐性遺伝子を搭載したベクターでは約4kb程度となる。また、本プラスミドは、メチロフィラス属細菌中で自律複製はするものの、メチロフィラス属細菌への導入頻度が低いという問題がある。
【0005】
【非特許文献1】
Methane and methanol utilizers, Edt by L. Colin Murrell and Howard Dalton, Plenum Ptress ,(1992) pp185
【非特許文献2】
Antoine R. & Locht C., Mol. Microbiol., 6, pp1785−1799 (1992)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メタノール資化性菌への遺伝子導入方法の選択肢を広げるために、従来知られている広宿主域プラスミドベクターに代わる、サイズが小さい新規なプラスミドベクターを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体DNAの複製開始点(oriCm)のクローニングに成功し、この領域と、薬剤耐性遺伝子を含むDNA断片とを連結させることにより、メチロフィラス・メチロトロファスで機能する新規なプラスミドベクターを作製することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することによって得ることができるメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
(2)配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列又はその一部を有するメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
(3)配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列又はその一部において、1若しくは数個のヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入を含む塩基配列を有するメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
(4)配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列の一部が、配列番号14に示す塩基配列である(2)又は(3)に記載のプラスミドベクター。
(5)メチロフィラス属細菌で機能する薬剤耐性遺伝子を含む(1)〜(4)のいずれかに記載のプラスミドベクター。
(6)前記メチロフィラス属細菌がメチロフィラス・メチロトロファスである(1)〜(5)のいずれかに記載のプラスミドベクター。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載のプラスミドベクターを保持するメチロフィラス属細菌。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のプラスミドベクターは、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクターである。同プラスミドベクターは、メチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含む。
【0010】
前記自律複製配列は、メチロフィラス属細菌の染色体DNAの複製開始点(oriCm)を含むものであり、例えば、メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することによって得ることができる。
【0011】
前記自律複製配列の起源は、メチロフィラス属細菌であれば特に限定されないが、例えば、メチロフィラス・メチロトロファスが挙げられる。より具体的には、メチロフィラス・メチロトロファスの野生株AS1株(NCIMB No.10515)が挙げられる。同株は、ナショナル・コレクション・オブ・インダストリアル・アンド・マリン・バクテリア(National Collection of Industrial and Marine Bacteria、住所NCIMB Lts., Torry Research Station 135, Abbey Road, Aberdeen AB9 8DG, United Kingdom)から入手可能である。そしてこの株の一般的な培養方法は、NCIMBのカタログに記載されているが、また実施例に記載したSEII培地でも生育させることができる。
【0012】
上記のようにして、メチロフィラス・メチロトロファスAS1株の染色体DNAから単離された、メチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含むDNA断片の塩基配列の一例を、配列番号11に示す。
【0013】
本発明の自律複製配列は、後記実施例に示すように、メチロフィラス属細菌のショットガンクローニングによって取得することができる。
本発明の自律複製配列は、メチロフィラス属細菌における自律複製能が維持される限り、配列番号11に示す塩基配列の一部であってもよい。このような部分配列は、例えば以下のようにして、特定又は取得することができる。まず、配列番号11に示す塩基配列を含むDNA断片を用意する。このDNA断片の末端の一方又は両方を、エキソヌクレアーゼで段階的に切り縮め、メチロフィラス属細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子と連結して、環状の組換えDNAを作製する。これらの組換えDNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、マーカー遺伝子が発現する形質転換体からプラスミドDNAを単離し、構造を解析する。
【0014】
また、配列番号11の塩基配列の一部を有するDNA断片は、配列番号11に示す塩基配列を含むDNA断片を鋳型とし、配列番号11の塩基配列に基づいて作製した所望のプライマーを用いたPCRによっても、調製することができる。
【0015】
配列番号11の一部を有する自律複製配列としては、配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列、及び、配列番号14に示す塩基配列(配列番号11の塩基番号1535〜1855)が挙げられる。以下、配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列を「OriCm」、配列番号14に示す塩基配列を「OriCmS」と記載することがある。これらの塩基配列を有するDNA断片は、例えば、メチロフィラス属細菌の染色体DNAを鋳型とし、配列番号7及び8、又は配列番号9及び10に示す塩基配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR(ポリメラーゼ・チェーン・リアクション)によって各々取得することができる。また、前記塩基配列を有するDNA断片は、同塩基配列に基づいて合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとするハイブリダイゼーションによって、メチロフィラス属細菌のゲノムライブラリーから単離することもできる。
【0016】
本発明の自律複製配列は、メチロフィラス属細菌における自律複製能が維持される限り、OriCm、又はOriCmSを、前記と同様にしてさらに短縮したものであってもよい。OriCm、又はOriCmSを含むプラスミドDNAの適当な位置に制限酵素部位を持たせておき、OriCm、又はOriCmSの外側でプラスミドDNAを切断すると、エキソヌクレアーゼによる反応と、再環状化を容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明のプラスミドベクターが持つ自律複製配列は、メチロフィラス属細菌における自律複製能が損なわれない限り、OriCm又はその一部において、1若しくは数個のヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入を含む塩基配列を有していてもよい。前記「数個」とは、自律複製配列の位置やヌクレオチドの種類によっても異なるが、具体的には、OriCmのうち、OriCmS以外の部分においては2〜1100個、好ましくは、2〜800個、より好ましくは2〜300個である。また、OriCmSにおいては、2〜20個、好ましくは、2〜10個、より好ましくは2〜4個である。
【0018】
また、上記のような、OriCm又はその一部と実質的に同一の塩基配列を有する自律複製配列として具体的には、OriCm又はその一部とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列が挙げられる。「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。OriCmの一部が300bp程度の長さのDNA断片を用いる場合には、ハイブリダイゼーションの洗いの条件としては、50℃、2×SSC、0.1%SDSが挙げられる。
【0019】
上記のような、OriCm又はその一部と実質的に同一の塩基配列を有する自律複製配列は、例えば、部位特異的変異法によって、特定の部位のヌクレオチドにおいて置換、欠失、又は挿入を含むようにOriCm又はその一部を改変することによって取得することができる。また、上記のような改変されたDNAは、従来知られている変異処理によっても取得され得る。変異処理としては、OriCm又はその一部を含むDNAをヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、および同DNAを保持する微生物、例えばエシェリヒア属細菌を、紫外線またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくはEMS等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
【0020】
上記のような変異を有するDNAが自律複製能を有するか否かは、メチロフィラス属細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子と連結して、環状の組換えDNAを作製し、得られた組換えDNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体でマーカー遺伝子の発現を検出することによって、調べることができる。
【0021】
また、上記のようなヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入には、メチロフィラス属細菌の菌株による違いなどの天然に生じる変異(mutant又はvariant)も含まれる。
【0022】
本発明のプラスミドベクターは、自律複製配列の他に、マーカー遺伝子を含むことが好ましい。マーカー遺伝子としては、薬剤耐性を宿主に付与できる遺伝子が好ましい。このような薬剤耐性遺伝子としては、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、ゲンタマイシン耐性遺伝子、ストレプトマイシン耐性遺伝子などが挙げられる。
【0023】
本発明のプラスミドベクター中には、外部からのDNA断片を搭載しやすいように、一または複数の制限酵素切断認識部位を組み入れておくことが望ましい。そのような部位としては、例えば、EcoRI、SacI、KpnI、SmaI、BamHI、XbaI、SalI、PstI、SphI、HindIIIなどが挙げられる。制限酵素切断認識部位は、マルチクローニング部位であってもよい。
【0024】
また、本発明のプラスミドベクターは、さらに、他の細菌、例えばエシェリヒア・コリで機能する自律複製配列を含むシャトルベクターであっても適わない。このようなシャトルベクターは、例えば、本発明のメチロフィラス属細菌の自律複製配列を含むDNA断片と、エシェリヒア・コリのプラスミドベクター又はその一部とを連結することによって構築することができる。エシェリヒア・コリのプラスミドベクターとしては、例えば、pBR322、pUC18、pUC19、pHSG396、pACYC177、pTSV29、pSC101、pMW218、pBluescript II KSなどが挙げられる。
【0025】
上記のようなシャトルベクターとして、後記実施例に示すpOriCmS−2が挙げられる。同プラスミドは、カナマイシン耐性遺伝子と、クローニング部位としてXbaI部位を有している。
【0026】
本発明のDNAのクローニングに用いるゲノムDNAライブラリーの作製、ハイブリダイゼーション、PCR、プラスミドDNAの調製、DNAの切断および連結、形質転換等の方法は、Sambrook, J., Fritsch,E.F., Maniatis,T., Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Third Edition (2001)に記載されている。
【0027】
本発明のプラスミドベクターは、メチロフィラス属細菌に所望の遺伝子を導入するのに用いることができる。すなわち、本発明のプラスミドベクターに目的遺伝子を挿入し、得られた組換えプラスミドでメチロフィラス属細菌を形質転換する。前記遺伝子としては、メチロフィラス属細菌内で発現し得る遺伝子であれば特に制限はないが、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、色素、アミノ酸、核酸等の有用物質生成に関わる酵素遺伝子、生体内代謝調節に関与する遺伝子、これらの遺伝子を人為的に改良した遺伝子等が挙げられる。
【0028】
例えば、L−リジンの生合成に重要なジヒドロジピコリン酸合成酵素の変異型酵素遺伝子をメチロフィラス・メチロトロファスに導入することにより、L−リジン生産能が付与される(WO 00/61723参照)。従って、例えば、エシェリヒア・コリのジヒドロジピコリン酸合成酵素の変異体であって、L−リジンによる酵素活性への阻害が低減した酵素をコードするdapA24遺伝子を、本発明のプラスミドベクターに搭載することも可能である。具体的には、変異型酵素をコードする遺伝子dapA24が搭載されたプラスミドpRS−dapA24(WO 00/61723参照)を制限酵素XbaIで切断し、dapA24遺伝子を含むDNA断片を取得する。次に、下記実施例で示すプラスミドベクターpOriCmS−2を同じく制限酵素XbaIで切断し、この部位にdapA24遺伝子を含むDNA断片をDNAリガーゼにより連結することにより、本プラスミドベクターにdapA24遺伝子を搭載できる。これをメチロフィラス・メチロトロファス株に導入することよって、この株にL−リジン生産能を付与又は増強することが可能である。
【0029】
また、本発明のプラスミドベクターは、メチルフィラス属細菌の染色体上の遺伝子と外来遺伝子との遺伝子置換、又は染色体上の遺伝子の破壊にも用いることができる。
【0030】
メチロフィラス属細菌に、本発明のプラスミドベクター又はその誘導体を導入して形質転換する方法としては、エレクトロポレーションが挙げられる(C.G.Gliesche, Can. J. Microbiol., 43, pp197−201 (1997))。また、このプラスミドに接合伝達に必要なDNA領域(mob領域など)を通常の方法により組み入れることにより、接合伝達によるプラスミド導入も可能となる。
【0031】
通常、メチロフィラス属細菌の形質転換株は、導入したプラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子の発現による、薬剤耐性をマーカーとして選抜する。例えば、カナマイシン耐性の遺伝子が搭載されたベクターをエレクトロポレーションにより導入した場合は、その菌株を含む溶液をカナマイシン(20μg/mL)を含むSEII寒天培地(実施例1参照)上に塗布し、37℃にて2〜4日間培養することで、目的のプラスミドベクターを保持した形質転換体を得ることができる。
【0032】
上記方法により形質転換して得られるメチロフィラス属細菌は、通気攪拌もしくは振とう等の好気的条件下で、20〜43℃、好ましくは34〜38℃の温度でpHを5〜8に制御して培養し、導入した遺伝子を発現させることができる。使用される培地は、炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有機微量栄養源を含有する通常の培地である。
【0033】
主要炭素源は、メタノールであるが、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、でんぷん加水分解物などの糖類、グリセロール、ソルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸、コハク酸、ピルビン酸等の有機酸類を併用して用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素源、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。無機イオンとしては、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。これらの他に、有機微量栄養源として、ビタミンB1、または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい場合もある。培養開始時の炭素源濃度は、好ましくは0.01〜5容量%、より好ましくは、0.1〜2容量%である。また培養期間は通常2〜90時間とすることができ、好適には24〜48時間である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
【0035】
【実施例1】メチロフィラス・メチロトロファスのoriC(oriCm)を含むプラスミドの作製
メチロフィラス・メチロトロファス(Methylophilus methylotrophus)AS1(NCIMB No.10515)をSEII培地( (NH4)2SO4 5g/L, K2HPO4 1.9g/L, NaH2PO4・2H2O 1.56g/L, MgSO4・7H2O 200mg/L, CaCl2・2H2O 72mg/L, CuSO4・5H2O 5 μg/L, MnSO4・5H2O 25 μg/L, ZnSO4・7H2O 23 μg/L, FeCl3・6H2O 9.7mg/L, メタノール 0.5%(v/v))、37℃で一晩培養し、Edge BioSystems社製 Genomic DNA Purif.Kit(CatNo.85171)を用いて染色体DNAを調製した。これをSau3AI(宝酒造社製)で部分分解した。この反応溶液を、0.7%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供して、DNAサイズとして2〜3kbp(キロ塩基対)の大きさのDNA断片領域をゲルから回収し精製した。DNA断片の精製には、GIBCO BRL社製 ConcertTM Rapid Gel Extraction Systemを利用し、添付のマニュアルに従って実施した。
【0036】
一方、pHSG298(宝酒造社製)は制限酵素BamHI(宝酒造社製)で消化後、アルカリフォスファターゼ処理(宝酒造社製、Alkaline phosphatase(calf intestine)を使用)を行い、上述で作製したSau3AIで部分分解後の染色体DNAと連結した(宝酒造社製、Ligation Kit ver.2を使用)。このライゲーション溶液で市販のコンピテントセルE.coli JM109を形質転換し、LB寒天培地(ポリペプトン10g/L,酵母エキス 5g/Ll, NaCl 10g/L, 寒天 15g/L, カナマイシン 50μg/ml含む)で選択することで、約4500個の形質転換体を取得した。
【0037】
次に、これらの形質転換体をまとめてLB液体培地(カナマイシン 50μg/ml含む)で培養し、この培養液からプラスミドDNAを常法(アルカリ法)で抽出し、このプラスミドDNAでメチロフィラス・メチロトロファスをエレクトロポレーション法により形質転換した。エレクトロポレーションは、BioRad社製GenePulserを使用し、1.8kV/cmで行った。
【0038】
形質転換体をSEII寒天培地(寒天 1.5%、カナマイシン 20μg/ml含む)で37℃、約48時間培養後、約200個のカナマイシン耐性コロニーが出現した。この中から無作為に60個のコロニーを選択し、それらをまとめてSEII液体培地で、上記と同様に培養後、この培養液から常法によりプラスミドDNAを抽出した。
【0039】
このDNA溶液でE.coli JM109株を形質転換し、LB寒天培地(カナマイシン 50μg/ml)上でカナマイシン耐性を示すコロニーを多数取得した。この耐性株から無作為に10株選択し、各々からプラスミドDNAを抽出し、電気泳動によりその大きさを確認したところ、各々のプラスミドDNAはほぼ同一の大きさであり、pHSG298に挿入されたDNA断片の大きさは、約2.7kbと推定できた。次に制限酵素でこれらプラスミドを分解し、その分解パターンの比較を行ったところ、取得した10株が保持していたプラスミドは全て同一構造のものであることが判明した。なお、ここで取得したプラスミドはpOriCmLと命名した。
【0040】
【実施例2】oriCm領域の限定と小型oriCmプラスミドの作製
実施例1に記載したプラスミドpOriCmLの挿入DNA断片の塩基配列を決定した。塩基配列は、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit(Applied Biosystems社製)を用い、310 Genetic Analyzer(AB社製)により解析を行った。結果を配列番号11に示す。塩基配列決定に用いたプライマーの配列を、配列番号1〜6に記載した。
【0041】
その結果、この挿入DNA断片には、いくつかのオープンリーディングフレーム(ORF)が存在することがわかった。それらのうち2つを、配列番号11に示してある。第1のORFは、dnaA様遺伝子の後半領域に、第2のORFはdnaN様遺伝子の前半領域に、各々類似している(図1)。また、配列表には示されていないが、配列番号11の塩基配列において、5’末端から、401番目の塩基までにも、ORFが存在している。
【0042】
次に、最初に単離した上記の約2.7kb長のDNA領域にある、dnaA様遺伝子からdnaN様遺伝子までの約1.44kb長のDNA領域のみで、自律複製活性があるか否かの検討を行った。
【0043】
まず、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体DNAを鋳型にし、配列番号7、8に記載したプライマー(5’末端側にSalIサイトを連結)を用いたPCRにより、目的DNA断片(配列番号11の塩基番号1169〜2612)の増幅を行った。増幅反応は、宝酒造社製Pyrobest DNA polymeraseを用い、<変性工程>98℃で10秒間、<アニーリング工程>60℃で30秒間、<DNA鎖の伸長反応工程>72℃で90秒間、の反応を25サイクル実施した。ここで増幅された1442bpのDNA断片をSalI(宝酒造)で分解し、同じくSalI(宝酒造)分解後、脱リン酸化処理を行ったベクターpHSG298と連結した(宝酒造社製、Ligation Kit ver.2を使用)。そしてベクターに搭載されているlacプロモーターに対して各方向に挿入された2種類のプラスミドを取得した。これらのプラスミドでメチロフィラス・メチロトロファスを形質転換したところ、両タイプのプラスミドからカナマイシン耐性を示す株を取得出来、このDNA領域に自律複製活性が存在していることが判明した。これら両プラスミドを、各々pOriCm−1(dnaA様遺伝子の方向が、ベクターのlacプロモーターと同じ向きのプラスミド)、pOriCm−2(dnaA様遺伝子の方向が、ベクターのlacプロモーターと逆向きのもの)と命名した。
【0044】
更に、自律複製活性を有する領域を特定するために、dnaA様遺伝子とdnaN様遺伝子の間のDNA領域における自律複製活性の有無を調べることとした。まず、メチロフィラス・メチロトロファスの染色体DNAを鋳型にし、配列番号9、10に記載したプライマー(5’末端側にSalIサイトを連結)を用いたPCRにより、目的DNA断片(DnaA様タンパク質のC末側10アミノ酸残基とDnaN様タンパク質のN末側10アミノ酸残基を含む領域をコードするDNAとその両者間のDNA部分:配列番号11の塩基番号1535〜1855)の増幅を行った。増幅反応は、宝酒造社製Pyrobest DNA polymeraseを用い、<変性工程>98℃で10秒間、<アニーリング工程>60℃で30秒間、<DNA鎖伸長工程>72℃で1分間の一連反応を25サイクル実施した。
【0045】
ここで増幅された321bpのDNA断片をSalI(宝酒造)で分解し、同じくSalI(宝酒造)分解後、脱リン酸化処理を行ったベクターpHSG298と連結した(宝酒造社製、Ligation Kit ver.2を使用)。その結果、ベクターに搭載されているlacプロモーターに対してdnaA様遺伝子の向きが逆向きに挿入されたプラスミドのみが、多数取得された。
【0046】
これらのプラスミドでメチロフィラス・メチロトロファスを形質転換したところ、カナマイシン耐性を示す株を多数取得出来、このDNA領域に自律複製活性が存在しており、また形質転換頻度も高いことが判明した。なお、導入プラスミドとして、pBHR1(pBBR1からの誘導体)を用い、同様な条件にて形質転換したところ、形質転換体の出現頻度は、上で取得されたプラスミドの場合と比べ、数十分の一であった。上記のようにして得られたプラスミドをpOriCmS−2(dnaA様遺伝子の向きが、lacプロモーターと逆向きになっている)と命名した。こうして特定された自律複製能のあるDNA断片(321bp領域)の塩基配列を、配列番号14に示した。
【0047】
なお、前記pOriCmS−2を保持するメチロフィラス・メチロトロファス株を、カナマイシン(50μg/ml)を含むSEII液体培地で、37℃、24時間培養後、その菌体から、上記と同様に常法によりプラスミドを調製し、0.7%(w/v)アガロースゲル電気泳動に供した後、エチジュームブロマイド染色したところ、明瞭なプラスミドDNAのバンドが観察され、メチロフィラス・メチロトロファス内で、複数のコピー数を維持するプラスミドとして機能することがわかった。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、メチロフィラス属細菌においてプラスミドとして機能する新規なベクターが提供される。同ベクターは、メチロフィラス属細菌の育種等に有用である。
【0049】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自律複製配列の構造を示す図。
Claims (7)
- メチロフィラス属細菌の染色体DNA断片と、同細菌細胞内で機能するマーカー遺伝子を含むDNA断片とを含む環状DNAでメチロフィラス属細菌を形質転換し、形質転換体から前記マーカー遺伝子が発現する形質転換体を選択し、選択された形質転換体から環状DNAを単離することによって得ることができるメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
- 配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列又はその一部を有するメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
- 配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列又はその一部において、1若しくは数個のヌクレオチドの置換、欠失、又は挿入を含む塩基配列を有するメチロフィラス属細菌で機能する自律複製配列を含み、メチロフィラス属細菌で自律複製可能なプラスミドベクター。
- 配列番号11の塩基番号1169〜2612からなる塩基配列の一部が、配列番号14に示す塩基配列である請求項2又は3に記載のプラスミドベクター。
- メチロフィラス属細菌で機能する薬剤耐性遺伝子を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスミドベクター。
- 前記メチロフィラス属細菌がメチロフィラス・メチロトロファスである請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラスミドベクター。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のプラスミドベクターを保持するメチロフィラス属細菌。
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