JP2004241129A - 電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法及び該方法により製造された電子線励起ディプレイ用ガラススペーサ - Google Patents
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Abstract
【課題】電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの端面のチッピング、バリ、又はクラック等を安価になくすことができる電子励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法及び該方法により製造された電子励起ディプレイ用ガラススペーサを提供することにある。
【解決手段】フラット型電子線励起ディスプレイ1において、内面に画像形成部材12が形成されたガラス基板11から成る前面板2と、電子放出素子群を搭載したガラス基板21から成る背面板3とは、支持枠4を介して気密的に接合されて支持枠4と協働して気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成し、前面板2と背面板3間には、大気圧支持部材としての複数のガラススペーサ5が挿入されている。ガラススペーサ5は、延伸された母材ガラス41が切断された延伸ガラスの切断端面にエッチング処理を施し、延伸ガラスの切断端面を所定量削り得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】フラット型電子線励起ディスプレイ1において、内面に画像形成部材12が形成されたガラス基板11から成る前面板2と、電子放出素子群を搭載したガラス基板21から成る背面板3とは、支持枠4を介して気密的に接合されて支持枠4と協働して気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成し、前面板2と背面板3間には、大気圧支持部材としての複数のガラススペーサ5が挿入されている。ガラススペーサ5は、延伸された母材ガラス41が切断された延伸ガラスの切断端面にエッチング処理を施し、延伸ガラスの切断端面を所定量削り得られる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法及び該方法により製造された電子線励起ディプレイ用ガラススペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
大きくて重いブラウン管に代わる薄型で軽い、いわゆるフラット型ディスプレイとしては、自発光式のフラット型電子線励起ディスプレイがあり、このディスプレイは、電子線源より放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発生させることにより画像を形成する(例えば、特許文献1)。
【0003】
一般に、フラット型電子線励起ディスプレイは、内面に画像形成部材が形成されたガラス基板から成る前面板と、電子放出素子群を搭載したガラス基板から成る背面板とを備える。画像形成部材は、電子放出素子からの電子ビームが照射されて発光する蛍光体を有する。前面板と背面板とは、支持枠を介して互いに気密的に接合されて支持枠と共に気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。
【0004】
このようなフラット型電子線励起ディスプレイにあっては、電子ビームを蛍光体にあてて画像を形成するため、電子線源、蛍光体、その他の構成部品が作り込まれる真空容器内は、約1.33×10−3Pa(約10−5torr)以下の真空雰囲気に保持されるので、ディスプレイの表示画像が大きくなるに従って、真空容器内部と外部の気圧差により前面板と背面板が変形又は接触する場合があり、この変形又は接触を防止して前面板と背面板との間隔を一定に保つために、前面板と背面板間には大気圧支持部材として複数のガラススペーサが挿入される。
【0005】
このガラススペーサは、例えば、その断面形状とほぼ相似形の断面形状の母材ガラスを加熱しつつ延伸し、次いで、延伸ガラスを砥石カッターやガラスカッター等のカッターを用いて所望の長さに切断するリドロー法により製造される。この加熱延伸法は、機械加工法や注型法、押出し法と比べて、作製工程の簡易さ、チッピングや欠けを低減できる点で優れている。また、機械加工法や注型法、押出し法では、チッピング等を低減するためには、研磨等の加工処理が必要であり、コスト高となる。
【0006】
また、ディスプレイの組立ては、電子放出素子を搭載した背面板の上にガラススペーサを封着用フリットを介して所定のピッチで並べた上で、この背面板やガラススペーサに前面板を封着用フリットを用いて接合し、約500℃、好ましくは約450°で焼成することにより行われる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−230776号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記加熱延伸法により作製されたガラススペーサは、前面板及び背面板の大きさに対応した所望の長さにカッター等を用いて切断しなければならず、その切断端面には、チッピング、バリ、クラック等が発生し、ディスプレイを組立てた後にこのチッピング等に起因して、ガラススペーサの破片がディスプレイの内部に落下し、この破片が蛍光体に付着して、電子銃から発射された電子がスペーサの破片にあたり蛍光体が発光しない不具合や、この破片が電子銃に付着して、電子銃から電子が発射されない不具合が発生し、また、ガラススペーサの強度を低下させるという問題があった。
【0009】
また、ガラススペーサの切断端面に発生したチッピング等を除去する方法として、切断端面の研磨やファイヤーポリッシュ等を施す方法があるが、研磨を施す方法は、切断端面が非常に小さいため困難であり、ガラススペーサ1本に対して4面とも研磨を施す必要が有り、徐々に研磨材の番手を大きくする必要があるために多くの工程を必要とし、また、研磨により生じたガラス粉がガラススペーサに付着し、スペーサーから上記ガラス粉を除去する必要があり、コストが高くなる。ファイヤーポシッシュを施す方法は、ファイヤポリッシュを施した後のガラススペーサに歪を発生させるのでアニール処理による歪除去が必要となり、コストが高くなり、また、ファイヤポリッシュが施されたガラススペーサの先端部は、その断面の幅及び高さ方向に膨張するため、ディスプレイにおいて配設されたガラススペーサの安定性が低下する。
【0010】
本発明の目的は、電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの端面のチッピング、バリ、又はクラック等を安価になくすことができる電子励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法及び該方法により製造された電子励起ディプレイ用ガラススペーサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法は、切断された端面にエッチング処理を施すことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法は、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法において、前記端面に対するエッチング量は3mm以下であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサは、請求項1又は2の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサは、請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサにおいて、前記端面は矩形であり、前記端面の幅方向辺部は、その長さがwmmであり、曲率半径RxがRx=0.01〜w/2mmの曲面であり、前記端面の高さ方向辺部は、その長さがhmmであり、曲率半径RyがRy=0.01〜h/2mmの曲面であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの概略構成を図面を参照にして説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサを備えるフラット型電子線励起ディスプレイの分解斜視図である。
【0017】
図1において、フラット型電子線励起ディスプレイ1は、内面に画像形成部材12が形成されたガラス基板11から成る前面板2と、後述する電子放出素子群を搭載したガラス基板21から成る背面板3とを備える。画像形成部材12は、該電子放出素子群から電子ビームが照射されて発光する蛍光体を有する。
【0018】
ガラス基板11,21は、例えばソーダライムガラスから成り、このガラスの線膨張係数は、88×10−7〜92×10−7K−1である。
【0019】
前面板2と背面板3とは、図1の線II−IIに沿う断面図である図2に示すように支持枠4を介して気密的に接合されて、支持枠4と協働して気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。また、前面板2と背面板3間には、大気圧支持部材としての複数のガラススペーサ5が挿入される。ガラススペーサ5は、断面長方形の角柱状であり、図4において後述する方法により形成された延伸ガラスを前面板2及び背面板3の大きさにより決まる所定の長さに切断することにより作製される。このガラススペーサ5は、その両端に切断された端面5a,5bを有する。
【0020】
背面板3は、ガラス基板21と、ガラス基板21上にマトリックス上に配列された厚さ100μm(1000オングストローム)のNiから成る複数個の素子部22と、これらの素子部22に給電すべくガラス基板21上に形成された厚さ2μmのAgから成る複数の配線部23とを備える。素子部22の各々には、電子放出素子24が形成されている。配線部23の配線パターンは平行線のパターンであり、隣り合う一対の配線部23を通して、これらの配線部23に沿う複数の電子放出素子24に同時に給電される。更に、図示されていないが、ガラス基板21の10μm上方には、SiO2絶縁層を介して50μm径の電子通過孔を有する変調電極が配置されている。
【0021】
ガラススペーサ5の各々は、下端が接着部材6を介して背面板3に固定されるが、これに代えて、上端が接着部材6を介して前面板2に固定されるか、又は上下端が接着部材6を介して前面板2及び背面板3の夫々に固定されてもよい。
【0022】
図3は、図1におけるガラススペーサ5の部分拡大図である。
【0023】
図3において、ガラススペーサ5の端面5a,5bの幅方向辺部5xは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径がRxの曲面であり、端面5a,5bの高さ方向辺部5yは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径がRyの曲面である。端面5a,5bの幅(幅方向辺部5xの長さ)は、wmmであり、端面5a,5bの高さ(高さ方向辺部5yの長さ)は、hmmである。
【0024】
幅方向辺部5xの曲率半径Rxは、Rx=0.01〜w/2mmであり、高さ方向辺部5yの曲率半径Ryは、Ry=0.01〜h/2mmである。
【0025】
ガラススペーサ5の断面形状のアスペクト比(高さ/最大幅比)は通常は4〜50である。
【0026】
ガラススペーサ5は、その大きさに制限はないが、その幅wは、w=0.03〜0.30mmであるのがよい。ガラススペーサ5が前面板2又は背面板3と接触する部分はフラット型電子線励起ディスプレイ1が発光表示できないので、幅は薄いほうが好ましいが、0.03mm未満では薄すぎて、ガラススペーサ5の絶対強度が不足して取り扱いが困難となるからであり、また、フラット型電子線励起ディスプレイ1の開口率を上げるためにガラススペーサ5を配線部23に配置することになるが、その配線部23の幅は一般的に最大0.30mmであるのでガラススペーサ5の幅が配線部23の幅を超えるのは得策ではないからである。
【0027】
ガラススペーサ5は、その高さhが一般的にh=0.7〜5.0mmであり、好ましくはh=1〜5mmであるのがよい。フラット型電子線励起ディスプレイ1では、蛍光体の利用効率を高めるために、一般的に5000〜6000ボルトの高加速電圧を用いるので、前面板2と背面板3との間隔が1mm未満では双方の絶縁性を確保するのが難しく、その間隔が5mmを超えると電子線源から放出された電子ビームが広がりすぎて隣接する画素まで発光してしまうので好ましくないからである。
【0028】
ガラススペーサ5の長さは、フラット型電子線励起ディスプレイ1の大きさやその製造方法に依存して決定され、一般的に30〜2000mmであるのがよい。
【0029】
フラット型電子線励起ディスプレイ1の組立ては、上記電子放出素子群を搭載した背面板3の上にガラススペーサ5を接着部材6を介して所定のピッチで並べた上で、この背面板3に支持枠4を介して前面板2を封着用フリットを用いて接合し、約400〜500℃で焼成することにより行われる。
【0030】
以下、図1におけるガラススペーサ5の製造方法を図面を参照して説明する。
【0031】
ガラススペーサ5の製造は、ガラススペーサ5の断面形状とほぼ相似形の断面形状を有する母材ガラスを準備し、次いで、その母材ガラスを加熱しつつ延伸し、得られた延伸ガラスを所望の長さに切断することにより行う。
【0032】
図4は、図1におけるガラススペーサ5の製造装置の概略構成を示す図である。
【0033】
図4において、ガラススペーサ5の製造装置30は、上段31及び中段32を含む台33を有する。また、上段31の一端側の延長部には後述する筒状の加熱炉34が設けられている。
【0034】
この加熱炉34に対向する位置において、上段31にはT字型の支柱35が立設されると共に、支柱35に隣接してモータ36が載置されている。ワイヤ37が、モータ36の駆動軸上のプーリ38、上段31上のプーリ39、支柱35の上端のプーリ40,40に掛け廻され、該ワイヤ37の一端は母材ガラス41の上端に固定されている。母材ガラス41の下端部は、加熱炉34に導入されている。モータ36の駆動軸の回転速度は図示しない制御装置によって制御され、これにより、母材ガラス41の加熱炉34への供給速度が制御される。
【0035】
図4の線IV−IVに沿う断面図である図5に示すように、筒状の加熱炉34の内側には、母材ガラス41の下端部を加熱すべく、当該下端部の長辺側に対向して一対の電気ヒータ43と、短辺側に対向した一対の電気ヒータ44が設けられている。これらの電気ヒータ43,44は前記制御装置に接続されており、電気ヒータ43と電気ヒータ44の作動は夫々独立して該制御装置によって制御される。
【0036】
更に、台33の中段32上には、モータ45が設けられており、その駆動軸には、前記母材ガラス41から下垂した延伸ガラスを挟持して延伸する一対の延伸ロール46が連結されている。モータ45の駆動軸の回転速度は前記制御装置によって制御され、これにより、延伸ロール46の回転速度、すなわち母材ガラス41の延伸速度が制御される。
【0037】
上記構成により、母材ガラス41が所定の供給速度で加熱炉34に供給され、該母材ガラス41が所定の延伸速度で延伸される。
【0038】
ガラススペーサ5は、上記製造装置30を使用して以下のように製造する。
【0039】
第1工程:
まず、ガラス材料に通常の切断、切削、研磨等の機械加工を施すか、熔着、熱間プレス・熱間押出し等の延伸を施すことにより得られる所定の断面形状を有する母材ガラス41を準備する。この母材ガラス41は、その断面形状が図1におけるガラススペーサ5に相似形となるように形成される。
【0040】
母材ガラス41は、その線膨張係数がガラス基板11,21と同等のものであり、電子放出素子24を用いたフラット型電子線励起ディスプレイ1に使用することから、例えば低、無アルカリガラスが好ましい。
【0041】
また、母材ガラス41の大きさには特に制限はないが、幅0.2〜60mm、高さ0.2〜300mm、及び長さ200〜1000mmが好ましい。母材ガラス41の断面積は、得られるべきガラススペーサ5の断面積の100〜7000倍であるのがよい。
【0042】
第2工程:
前記準備された母材ガラス41を製造装置30のワイヤ37の一端に懸吊して装着する。次いで、モータ36の駆動軸を回転させて母材ガラス41の下端部を加熱炉34内に導入する。次いで、電気ヒータ43,44に通電して加熱炉34によって該母材ガラス41の下端部を加熱する。この加熱により母材ガラス41から下垂した延伸ガラスを延伸ロール46に通し、該延伸ロール46をモータ45により回転させて下方に引っ張る。
【0043】
以後、モータ36及び45を夫々制御して、母材ガラス41を加熱炉34内に後述する所定の供給速度で導入すると同時に後述する所定の延伸速度で下方に引っ張る。その際、電気ヒータ43,44を母材ガラス41の加熱温度が所定範囲内になるように制御する。すなわち、母材ガラス41をその粘度が104〜108Pa・s(105〜109ポアズ)、好ましくは106〜108Pa・s(107〜109ポアズ)になるような所定の温度範囲に加熱する。例えば、母材ガラス41がソーダライムガラスの場合は上記所定の温度範囲は660〜930℃、好ましくは660〜720℃である。これは、母材ガラス41をその粘度が104Pa・sより低くなるような温度で加熱すると母材ガラス41の形状が維持できず、その形状が円や楕円に変形してしまい、母材ガラス41をその粘度が108Pa・sより高くなる温度で加熱すると延伸されているガラスが切断されてしまうからである。
【0044】
上記母材ガラス41の供給速度に対する母材ガラス41の延伸速度の比は、20〜8000であるのが好ましい。当該比が20未満の場合は、母材ガラス41が延伸される延伸率が小さく生産性が悪化し、当該比が8000を超える場合は、上記延伸率が大きすぎて延伸ガラスの延伸方向に垂直な断面形状が不安定になる。より好ましくは、当該比が100〜7000の範囲にあるのがよい。
【0045】
第3工程:
次いで、上記延伸ガラスを所望の長さに切断する。この切断は、砥石カッターやガラスカッター等を用いて行う。
【0046】
上記延伸ガラスの2つの切断端面以外の4つの面は加熱延伸時にほぼ火造り面となるので、元のガラスの加工精度はそれほど問題にならなず、追加工を行う必要はない。ここに、火造り面とは、ガラスの粘性が加熱温度に相関することを利用して、溶解ガラスを成形型等に接触させることなく加熱温度の制御により例えば板状に成形したときのそのガラス面をいう。この火造り面は、成形型の微小な凹凸が転写されないので微視的に平坦であるという特徴を有する。
【0047】
第4工程:
次いで、上記切断された延伸ガラスの切断端面にはチッピング、バリ、クラック等が発生しており、これらチッピング等が発生している部分を除去すべくこの切断された延伸ガラスの切断端面にエッチング処理を施して、延伸ガラスの切断端面を延伸ガラスの長さ方向に所定量、例えば3mm以下、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下除去し、所望の長さとしてガラススペーサ5を得る。切断された延伸ガラスの切断端面に発生するバリの長さ方向深さは、通常1mm以下であり、また切断された延伸ガラスの切断端面に発生するチッピング及びクラックの長さ方向深さは、通常0.2〜0.3mmであり、延伸ガラスの切断端面を長さ方向に3mm以下除去することにより、切断端面に発生したチッピング、バリ、クラック等を確実に除去できる。
【0048】
上記エッチング処理は、上記延伸ガラスの切断端面をガラス侵食溶液内に所定時間静置し、次いで、この延伸ガラスを純粋で十分洗浄するものであり、ガラス侵食溶液としては、HF、HBF4、Na2CO3、NaOH、HPO3、HBF3OH+HCl、HF+HNO3、及びHF+H2SO4等の単液及び混合液が用いれられる。また、上記延伸ガラスの切断端面のエッチング量は、ガラス侵食溶液の種類、濃度、温度、及びエッチング時間で調整し、上記切断端面のチッピング、バリ、クラック等が発生している部分を除去する。
【0049】
切断された延伸ガラスの切断端面はエッチング処理を施されているので、延伸ガラスのガラス侵食溶液内に浸された部分は、その表面から等量溶解される。このため、延伸ガラスの切断端面は、図3のガラススペーサ5の端面5a,5bの形状、即ち、幅方向辺部5xは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Rxが、Rx=0.01〜w/2mmの曲面となり、高さ方向辺部5yは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Ryが、Ry=0.01〜h/2mmの曲面となる。
【0050】
図1のガラススペーサ5は、その両端面5a,5bにエッチング処理が施されて、上記延伸ガラスの切断端面のチッピング、バリ、クラック等が発生した部分が除去されているので、フラット型電子線励起ディスプレイ1において、ガラススペーサ5から破片が落下し、この破片が画像形成部材12の蛍光体に付着して電子放出素子24から発射された電子がこの破片にあたり蛍光体が発光しない不具合や、この破片が電子放出素子24に付着して電子が発射されない不具合をなくすことができ、また、ガラススペーサ5の強度の低下を防止することができる。
【0051】
図1のガラススペーサ5は、上記延伸ガラスの切断端面にエッチング処理を施すことにより、この延伸ガラスの切断端面のチッピング、バリ、クラック等が発生した部分を除去するので、端面にチッピング、バリ、クラック等のないガラススペーサ5を安価に製造することができる。
【0052】
図1のガラススペーサ5は、その端面5a,5bにエッチング処理が施されているので、端面5a,5bは、幅方向辺部5xが、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Rx=0.01〜w/2mmの曲面となり、高さ方向辺部5yが、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Ry=0.01〜h/2mmの曲面となる。
【0053】
本発明の実施の形態に係るガラススペーサ5は、その両端面にエッチング処理が施されているが、エッチング法は、上記に限るものではなく、例えばドライエッチング法であってもよい。
【0054】
本発明の実施の形態に係るガラススペーサ5は、上記形状に限るものではなく、例えば、図6(a)〜図6(h)に示す夫々の断面形状であってもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法によれば、切断された端面にエッチング処理を施すので、その端面にチッピング、バリ、又はクラック等のないガラススペーサを安価に製造することができる。
【0056】
請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法によれば、端面に対するエッチング量は3mmであるので、その端面にチッピング、バリ、又はクラック等のないガラススペーサをより安価に製造することができる。
【0057】
請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサによれば、両端面にエッチング処理が施されているので、ガラススペーサの端面にチッピング、バリ、又はクラック等のない、安価な電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサを備えるフラット型電子線励起ディスプレイの分解斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿う断面図である。
【図3】図1におけるガラススペーサ5の部分拡大図である。
【図4】図1におけるガラススペーサ5の製造装置の概略構成を示す図である。
【図5】図4の線IV−IVに沿う断面図である。
【図6】(a)〜(h)は、図1におけるガラススペーサ5の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 フラット型電子線励起ディスプレイ
2 前面版
3 背面板
4 支持枠
5 ガラススペーサ
5a,5b 端面
5x 幅方向辺部
5y 高さ方向辺部
11,21 ガラス基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法及び該方法により製造された電子線励起ディプレイ用ガラススペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】
大きくて重いブラウン管に代わる薄型で軽い、いわゆるフラット型ディスプレイとしては、自発光式のフラット型電子線励起ディスプレイがあり、このディスプレイは、電子線源より放出される電子ビームを蛍光体に照射して蛍光を発生させることにより画像を形成する(例えば、特許文献1)。
【0003】
一般に、フラット型電子線励起ディスプレイは、内面に画像形成部材が形成されたガラス基板から成る前面板と、電子放出素子群を搭載したガラス基板から成る背面板とを備える。画像形成部材は、電子放出素子からの電子ビームが照射されて発光する蛍光体を有する。前面板と背面板とは、支持枠を介して互いに気密的に接合されて支持枠と共に気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。
【0004】
このようなフラット型電子線励起ディスプレイにあっては、電子ビームを蛍光体にあてて画像を形成するため、電子線源、蛍光体、その他の構成部品が作り込まれる真空容器内は、約1.33×10−3Pa(約10−5torr)以下の真空雰囲気に保持されるので、ディスプレイの表示画像が大きくなるに従って、真空容器内部と外部の気圧差により前面板と背面板が変形又は接触する場合があり、この変形又は接触を防止して前面板と背面板との間隔を一定に保つために、前面板と背面板間には大気圧支持部材として複数のガラススペーサが挿入される。
【0005】
このガラススペーサは、例えば、その断面形状とほぼ相似形の断面形状の母材ガラスを加熱しつつ延伸し、次いで、延伸ガラスを砥石カッターやガラスカッター等のカッターを用いて所望の長さに切断するリドロー法により製造される。この加熱延伸法は、機械加工法や注型法、押出し法と比べて、作製工程の簡易さ、チッピングや欠けを低減できる点で優れている。また、機械加工法や注型法、押出し法では、チッピング等を低減するためには、研磨等の加工処理が必要であり、コスト高となる。
【0006】
また、ディスプレイの組立ては、電子放出素子を搭載した背面板の上にガラススペーサを封着用フリットを介して所定のピッチで並べた上で、この背面板やガラススペーサに前面板を封着用フリットを用いて接合し、約500℃、好ましくは約450°で焼成することにより行われる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−230776号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記加熱延伸法により作製されたガラススペーサは、前面板及び背面板の大きさに対応した所望の長さにカッター等を用いて切断しなければならず、その切断端面には、チッピング、バリ、クラック等が発生し、ディスプレイを組立てた後にこのチッピング等に起因して、ガラススペーサの破片がディスプレイの内部に落下し、この破片が蛍光体に付着して、電子銃から発射された電子がスペーサの破片にあたり蛍光体が発光しない不具合や、この破片が電子銃に付着して、電子銃から電子が発射されない不具合が発生し、また、ガラススペーサの強度を低下させるという問題があった。
【0009】
また、ガラススペーサの切断端面に発生したチッピング等を除去する方法として、切断端面の研磨やファイヤーポリッシュ等を施す方法があるが、研磨を施す方法は、切断端面が非常に小さいため困難であり、ガラススペーサ1本に対して4面とも研磨を施す必要が有り、徐々に研磨材の番手を大きくする必要があるために多くの工程を必要とし、また、研磨により生じたガラス粉がガラススペーサに付着し、スペーサーから上記ガラス粉を除去する必要があり、コストが高くなる。ファイヤーポシッシュを施す方法は、ファイヤポリッシュを施した後のガラススペーサに歪を発生させるのでアニール処理による歪除去が必要となり、コストが高くなり、また、ファイヤポリッシュが施されたガラススペーサの先端部は、その断面の幅及び高さ方向に膨張するため、ディスプレイにおいて配設されたガラススペーサの安定性が低下する。
【0010】
本発明の目的は、電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの端面のチッピング、バリ、又はクラック等を安価になくすことができる電子励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法及び該方法により製造された電子励起ディプレイ用ガラススペーサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法は、切断された端面にエッチング処理を施すことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法は、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法において、前記端面に対するエッチング量は3mm以下であることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサは、請求項1又は2の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサは、請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサにおいて、前記端面は矩形であり、前記端面の幅方向辺部は、その長さがwmmであり、曲率半径RxがRx=0.01〜w/2mmの曲面であり、前記端面の高さ方向辺部は、その長さがhmmであり、曲率半径RyがRy=0.01〜h/2mmの曲面であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの概略構成を図面を参照にして説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサを備えるフラット型電子線励起ディスプレイの分解斜視図である。
【0017】
図1において、フラット型電子線励起ディスプレイ1は、内面に画像形成部材12が形成されたガラス基板11から成る前面板2と、後述する電子放出素子群を搭載したガラス基板21から成る背面板3とを備える。画像形成部材12は、該電子放出素子群から電子ビームが照射されて発光する蛍光体を有する。
【0018】
ガラス基板11,21は、例えばソーダライムガラスから成り、このガラスの線膨張係数は、88×10−7〜92×10−7K−1である。
【0019】
前面板2と背面板3とは、図1の線II−IIに沿う断面図である図2に示すように支持枠4を介して気密的に接合されて、支持枠4と協働して気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。また、前面板2と背面板3間には、大気圧支持部材としての複数のガラススペーサ5が挿入される。ガラススペーサ5は、断面長方形の角柱状であり、図4において後述する方法により形成された延伸ガラスを前面板2及び背面板3の大きさにより決まる所定の長さに切断することにより作製される。このガラススペーサ5は、その両端に切断された端面5a,5bを有する。
【0020】
背面板3は、ガラス基板21と、ガラス基板21上にマトリックス上に配列された厚さ100μm(1000オングストローム)のNiから成る複数個の素子部22と、これらの素子部22に給電すべくガラス基板21上に形成された厚さ2μmのAgから成る複数の配線部23とを備える。素子部22の各々には、電子放出素子24が形成されている。配線部23の配線パターンは平行線のパターンであり、隣り合う一対の配線部23を通して、これらの配線部23に沿う複数の電子放出素子24に同時に給電される。更に、図示されていないが、ガラス基板21の10μm上方には、SiO2絶縁層を介して50μm径の電子通過孔を有する変調電極が配置されている。
【0021】
ガラススペーサ5の各々は、下端が接着部材6を介して背面板3に固定されるが、これに代えて、上端が接着部材6を介して前面板2に固定されるか、又は上下端が接着部材6を介して前面板2及び背面板3の夫々に固定されてもよい。
【0022】
図3は、図1におけるガラススペーサ5の部分拡大図である。
【0023】
図3において、ガラススペーサ5の端面5a,5bの幅方向辺部5xは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径がRxの曲面であり、端面5a,5bの高さ方向辺部5yは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径がRyの曲面である。端面5a,5bの幅(幅方向辺部5xの長さ)は、wmmであり、端面5a,5bの高さ(高さ方向辺部5yの長さ)は、hmmである。
【0024】
幅方向辺部5xの曲率半径Rxは、Rx=0.01〜w/2mmであり、高さ方向辺部5yの曲率半径Ryは、Ry=0.01〜h/2mmである。
【0025】
ガラススペーサ5の断面形状のアスペクト比(高さ/最大幅比)は通常は4〜50である。
【0026】
ガラススペーサ5は、その大きさに制限はないが、その幅wは、w=0.03〜0.30mmであるのがよい。ガラススペーサ5が前面板2又は背面板3と接触する部分はフラット型電子線励起ディスプレイ1が発光表示できないので、幅は薄いほうが好ましいが、0.03mm未満では薄すぎて、ガラススペーサ5の絶対強度が不足して取り扱いが困難となるからであり、また、フラット型電子線励起ディスプレイ1の開口率を上げるためにガラススペーサ5を配線部23に配置することになるが、その配線部23の幅は一般的に最大0.30mmであるのでガラススペーサ5の幅が配線部23の幅を超えるのは得策ではないからである。
【0027】
ガラススペーサ5は、その高さhが一般的にh=0.7〜5.0mmであり、好ましくはh=1〜5mmであるのがよい。フラット型電子線励起ディスプレイ1では、蛍光体の利用効率を高めるために、一般的に5000〜6000ボルトの高加速電圧を用いるので、前面板2と背面板3との間隔が1mm未満では双方の絶縁性を確保するのが難しく、その間隔が5mmを超えると電子線源から放出された電子ビームが広がりすぎて隣接する画素まで発光してしまうので好ましくないからである。
【0028】
ガラススペーサ5の長さは、フラット型電子線励起ディスプレイ1の大きさやその製造方法に依存して決定され、一般的に30〜2000mmであるのがよい。
【0029】
フラット型電子線励起ディスプレイ1の組立ては、上記電子放出素子群を搭載した背面板3の上にガラススペーサ5を接着部材6を介して所定のピッチで並べた上で、この背面板3に支持枠4を介して前面板2を封着用フリットを用いて接合し、約400〜500℃で焼成することにより行われる。
【0030】
以下、図1におけるガラススペーサ5の製造方法を図面を参照して説明する。
【0031】
ガラススペーサ5の製造は、ガラススペーサ5の断面形状とほぼ相似形の断面形状を有する母材ガラスを準備し、次いで、その母材ガラスを加熱しつつ延伸し、得られた延伸ガラスを所望の長さに切断することにより行う。
【0032】
図4は、図1におけるガラススペーサ5の製造装置の概略構成を示す図である。
【0033】
図4において、ガラススペーサ5の製造装置30は、上段31及び中段32を含む台33を有する。また、上段31の一端側の延長部には後述する筒状の加熱炉34が設けられている。
【0034】
この加熱炉34に対向する位置において、上段31にはT字型の支柱35が立設されると共に、支柱35に隣接してモータ36が載置されている。ワイヤ37が、モータ36の駆動軸上のプーリ38、上段31上のプーリ39、支柱35の上端のプーリ40,40に掛け廻され、該ワイヤ37の一端は母材ガラス41の上端に固定されている。母材ガラス41の下端部は、加熱炉34に導入されている。モータ36の駆動軸の回転速度は図示しない制御装置によって制御され、これにより、母材ガラス41の加熱炉34への供給速度が制御される。
【0035】
図4の線IV−IVに沿う断面図である図5に示すように、筒状の加熱炉34の内側には、母材ガラス41の下端部を加熱すべく、当該下端部の長辺側に対向して一対の電気ヒータ43と、短辺側に対向した一対の電気ヒータ44が設けられている。これらの電気ヒータ43,44は前記制御装置に接続されており、電気ヒータ43と電気ヒータ44の作動は夫々独立して該制御装置によって制御される。
【0036】
更に、台33の中段32上には、モータ45が設けられており、その駆動軸には、前記母材ガラス41から下垂した延伸ガラスを挟持して延伸する一対の延伸ロール46が連結されている。モータ45の駆動軸の回転速度は前記制御装置によって制御され、これにより、延伸ロール46の回転速度、すなわち母材ガラス41の延伸速度が制御される。
【0037】
上記構成により、母材ガラス41が所定の供給速度で加熱炉34に供給され、該母材ガラス41が所定の延伸速度で延伸される。
【0038】
ガラススペーサ5は、上記製造装置30を使用して以下のように製造する。
【0039】
第1工程:
まず、ガラス材料に通常の切断、切削、研磨等の機械加工を施すか、熔着、熱間プレス・熱間押出し等の延伸を施すことにより得られる所定の断面形状を有する母材ガラス41を準備する。この母材ガラス41は、その断面形状が図1におけるガラススペーサ5に相似形となるように形成される。
【0040】
母材ガラス41は、その線膨張係数がガラス基板11,21と同等のものであり、電子放出素子24を用いたフラット型電子線励起ディスプレイ1に使用することから、例えば低、無アルカリガラスが好ましい。
【0041】
また、母材ガラス41の大きさには特に制限はないが、幅0.2〜60mm、高さ0.2〜300mm、及び長さ200〜1000mmが好ましい。母材ガラス41の断面積は、得られるべきガラススペーサ5の断面積の100〜7000倍であるのがよい。
【0042】
第2工程:
前記準備された母材ガラス41を製造装置30のワイヤ37の一端に懸吊して装着する。次いで、モータ36の駆動軸を回転させて母材ガラス41の下端部を加熱炉34内に導入する。次いで、電気ヒータ43,44に通電して加熱炉34によって該母材ガラス41の下端部を加熱する。この加熱により母材ガラス41から下垂した延伸ガラスを延伸ロール46に通し、該延伸ロール46をモータ45により回転させて下方に引っ張る。
【0043】
以後、モータ36及び45を夫々制御して、母材ガラス41を加熱炉34内に後述する所定の供給速度で導入すると同時に後述する所定の延伸速度で下方に引っ張る。その際、電気ヒータ43,44を母材ガラス41の加熱温度が所定範囲内になるように制御する。すなわち、母材ガラス41をその粘度が104〜108Pa・s(105〜109ポアズ)、好ましくは106〜108Pa・s(107〜109ポアズ)になるような所定の温度範囲に加熱する。例えば、母材ガラス41がソーダライムガラスの場合は上記所定の温度範囲は660〜930℃、好ましくは660〜720℃である。これは、母材ガラス41をその粘度が104Pa・sより低くなるような温度で加熱すると母材ガラス41の形状が維持できず、その形状が円や楕円に変形してしまい、母材ガラス41をその粘度が108Pa・sより高くなる温度で加熱すると延伸されているガラスが切断されてしまうからである。
【0044】
上記母材ガラス41の供給速度に対する母材ガラス41の延伸速度の比は、20〜8000であるのが好ましい。当該比が20未満の場合は、母材ガラス41が延伸される延伸率が小さく生産性が悪化し、当該比が8000を超える場合は、上記延伸率が大きすぎて延伸ガラスの延伸方向に垂直な断面形状が不安定になる。より好ましくは、当該比が100〜7000の範囲にあるのがよい。
【0045】
第3工程:
次いで、上記延伸ガラスを所望の長さに切断する。この切断は、砥石カッターやガラスカッター等を用いて行う。
【0046】
上記延伸ガラスの2つの切断端面以外の4つの面は加熱延伸時にほぼ火造り面となるので、元のガラスの加工精度はそれほど問題にならなず、追加工を行う必要はない。ここに、火造り面とは、ガラスの粘性が加熱温度に相関することを利用して、溶解ガラスを成形型等に接触させることなく加熱温度の制御により例えば板状に成形したときのそのガラス面をいう。この火造り面は、成形型の微小な凹凸が転写されないので微視的に平坦であるという特徴を有する。
【0047】
第4工程:
次いで、上記切断された延伸ガラスの切断端面にはチッピング、バリ、クラック等が発生しており、これらチッピング等が発生している部分を除去すべくこの切断された延伸ガラスの切断端面にエッチング処理を施して、延伸ガラスの切断端面を延伸ガラスの長さ方向に所定量、例えば3mm以下、好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下除去し、所望の長さとしてガラススペーサ5を得る。切断された延伸ガラスの切断端面に発生するバリの長さ方向深さは、通常1mm以下であり、また切断された延伸ガラスの切断端面に発生するチッピング及びクラックの長さ方向深さは、通常0.2〜0.3mmであり、延伸ガラスの切断端面を長さ方向に3mm以下除去することにより、切断端面に発生したチッピング、バリ、クラック等を確実に除去できる。
【0048】
上記エッチング処理は、上記延伸ガラスの切断端面をガラス侵食溶液内に所定時間静置し、次いで、この延伸ガラスを純粋で十分洗浄するものであり、ガラス侵食溶液としては、HF、HBF4、Na2CO3、NaOH、HPO3、HBF3OH+HCl、HF+HNO3、及びHF+H2SO4等の単液及び混合液が用いれられる。また、上記延伸ガラスの切断端面のエッチング量は、ガラス侵食溶液の種類、濃度、温度、及びエッチング時間で調整し、上記切断端面のチッピング、バリ、クラック等が発生している部分を除去する。
【0049】
切断された延伸ガラスの切断端面はエッチング処理を施されているので、延伸ガラスのガラス侵食溶液内に浸された部分は、その表面から等量溶解される。このため、延伸ガラスの切断端面は、図3のガラススペーサ5の端面5a,5bの形状、即ち、幅方向辺部5xは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Rxが、Rx=0.01〜w/2mmの曲面となり、高さ方向辺部5yは、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Ryが、Ry=0.01〜h/2mmの曲面となる。
【0050】
図1のガラススペーサ5は、その両端面5a,5bにエッチング処理が施されて、上記延伸ガラスの切断端面のチッピング、バリ、クラック等が発生した部分が除去されているので、フラット型電子線励起ディスプレイ1において、ガラススペーサ5から破片が落下し、この破片が画像形成部材12の蛍光体に付着して電子放出素子24から発射された電子がこの破片にあたり蛍光体が発光しない不具合や、この破片が電子放出素子24に付着して電子が発射されない不具合をなくすことができ、また、ガラススペーサ5の強度の低下を防止することができる。
【0051】
図1のガラススペーサ5は、上記延伸ガラスの切断端面にエッチング処理を施すことにより、この延伸ガラスの切断端面のチッピング、バリ、クラック等が発生した部分を除去するので、端面にチッピング、バリ、クラック等のないガラススペーサ5を安価に製造することができる。
【0052】
図1のガラススペーサ5は、その端面5a,5bにエッチング処理が施されているので、端面5a,5bは、幅方向辺部5xが、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Rx=0.01〜w/2mmの曲面となり、高さ方向辺部5yが、端面5a又は端面5bと、側面とに接する曲率半径Ry=0.01〜h/2mmの曲面となる。
【0053】
本発明の実施の形態に係るガラススペーサ5は、その両端面にエッチング処理が施されているが、エッチング法は、上記に限るものではなく、例えばドライエッチング法であってもよい。
【0054】
本発明の実施の形態に係るガラススペーサ5は、上記形状に限るものではなく、例えば、図6(a)〜図6(h)に示す夫々の断面形状であってもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法によれば、切断された端面にエッチング処理を施すので、その端面にチッピング、バリ、又はクラック等のないガラススペーサを安価に製造することができる。
【0056】
請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法によれば、端面に対するエッチング量は3mmであるので、その端面にチッピング、バリ、又はクラック等のないガラススペーサをより安価に製造することができる。
【0057】
請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサによれば、両端面にエッチング処理が施されているので、ガラススペーサの端面にチッピング、バリ、又はクラック等のない、安価な電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサを備えるフラット型電子線励起ディスプレイの分解斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿う断面図である。
【図3】図1におけるガラススペーサ5の部分拡大図である。
【図4】図1におけるガラススペーサ5の製造装置の概略構成を示す図である。
【図5】図4の線IV−IVに沿う断面図である。
【図6】(a)〜(h)は、図1におけるガラススペーサ5の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 フラット型電子線励起ディスプレイ
2 前面版
3 背面板
4 支持枠
5 ガラススペーサ
5a,5b 端面
5x 幅方向辺部
5y 高さ方向辺部
11,21 ガラス基板
Claims (4)
- 切断された端面にエッチング処理を施すことを特徴とする電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法。
- 前記端面に対するエッチング量は3mm以下であることを特徴とする請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法。
- 請求項1又は2の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサの製造方法により製造されたことを特徴とする電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサ。
- 前記端面は矩形であり、前記端面の幅方向辺部は、その長さがwmmであり、曲率半径RxがRx=0.01〜w/2mmの曲面であり、前記端面の高さ方向辺部は、その長さがhmmであり、曲率半径RyがRy=0.01〜h/2mmの曲面であることを特徴とする請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用ガラススペーサ。
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US20220324742A1 (en) * | 2019-09-30 | 2022-10-13 | Nippon Electric Glass Co., Ltd. | Glass article and manufacturing method therefor |
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