JP2004235068A - 正極の製造方法およびこの製造方法によって得られる正極を用いた非水電解液二次電池 - Google Patents
正極の製造方法およびこの製造方法によって得られる正極を用いた非水電解液二次電池 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】少なくとも、リチウム含有複合金属酸化物を主成分とする正極活物質、結着材、添加剤を水系分散媒に混練したペーストを集電体に塗着乾燥させてなる正極の製造方法において、前記添加剤が前記分散媒に可溶性の蓚酸化合物であり、正極中に均一に再結晶させ、含有させる。そして、この正極の製造方法によって得られる正極、負極、セパレータ、非水電解液、安全機構からなる非水電解液二次電池を用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、過充電時の安全性と充放電サイクル特性に優れた正極の製造方法およびこの製造方法によって得られる正極を用いた非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、AV機器、ノート型パソコン、或いは携帯型通信機器などの駆動用電源として、ニッケルカドミウム蓄電池やニッケル水素蓄電池が主に用いられていたが、近年では、電子機器のポータブル化やコードレス化が進展して定着するに従って、駆動用電源となる二次電池の高エネルギー密度化や小型軽量化の要望が、ますます強くなっている。このような要望に応える電池として、小型・軽量でありながら急速充電が可能で、高エネルギー密度を有するという極めて顕著な特徴を有するリチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池が、開発され主流になっている。
【0003】
この非水電解液二次電池は、リチウム含有遷移金属化合物を正極活物質とする正極と、炭素材料を負極活物質とする負極とをセパレータを介して絶縁した状態で捲回してなる極板群、非水電解液を電池ケースに収納した電池である。
【0004】
しかしながら、電子機器の高機能化等に伴う消費電力の増加に伴い、さらなる高容量化、高エネルギー密度化、長寿命化が強く要望されており、容量に寄与しないセパレータや集電体を薄くし、極板の充填密度を上げているため正負極間の距離が狭くなり、電池内の空間体積も減少している。また、電子機器の小型化に伴い各構成要素が高密度で実装されていることから、発熱が大きく電池が使用される使用環境は60℃を超える過酷な条件になる場合がある。
【0005】
このような現状において、充放電サイクルを繰り返しても容量を維持することができ、充電器の故障や充電制御不能により、過充電状態に陥った場合でも電池の安全性を確保できることが重要になっている。
【0006】
充放電サイクル特性を向上させる方法として、さまざまな添加剤が検討されており、例えば、蓚酸リチウム、蓚酸を電池内に含有させる提案(例えば、特許文献1〜4参照。)がある。
【0007】
また、過充電状態に陥った場合の電池の安全性を確保する方法として、電池内圧が所定の値を超えると、電流遮断機構を作動させる防爆型密閉電池が知られており、過充電状態が進んで電池内部の化学変化によりガスが発生・充満しそのガスの充満により電池内圧が上昇し、所定の値に達すると、電流遮断機構が作動し充電電流を遮断する。これにより、電池内部の異常反応の進行を停止させ、急激な電池温度の上昇を防ぎ、安全性を確保するものである。
【0008】
しかしながら、上記防爆型密閉電池の構造を持ち、負極にリチウムやリチウム合金もしくは炭素材料のようなドープ・脱ドープ可能な物質を用い、また正極にリチウムコバルト酸化物などのリチウム複合酸化物を用いた非水電解液二次電池は、高温環境下に曝されている場合、電池内部ではガスが発生し、かつ高容量化により電池内部の空間体積が減少していることで内部圧力が上昇しやすく、本来過充電で作動するはずの電流遮断機構が誤作動してしまうことがある。また、過充電状態に陥った場合、電流遮断機構の作動するタイミングが一定せず、急速に温度が上昇するなどの電池内部の異常反応を早期に停止できずに電池が破裂に至る場合があった。
【0009】
そこで、正極に0.1〜15重量%の蓚酸リチウムを含有させ、過充電時の安全性を確保する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−254436号公報
【特許文献2】
特開2001−229963号公報
【特許文献3】
特開2001−229964号公報
【特許文献4】
特開平11−111273号公報
【特許文献5】
特開平4−329269号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電池中において、蓚酸リチウム、蓚酸の存在する場所とその状態が重要であり、充放電サイクル特性がばらついたり、過充電に陥っても電流遮断機構が作動しなかったり、高温に電池が曝されただけで電流遮断機構が誤作動する場合があった。
【0012】
本発明の目的はこれらの問題点を解決するもので、充放電サイクル特性に優れ、高温環境下に曝されただけでは電流遮断機構が誤作動することがなく、かつ過充電時には電流遮断機構を確実に作動させ、急速な温度上昇などの電池内部の異常反応を阻止し、電池の発熱暴走や破損を防止することのできる正極の製造方法およびこの製造方法によって得られる正極を用いた非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の正極の製造方法は、少なくとも、リチウム含有複合金属酸化物を主成分とする正極活物質、結着材、添加剤を水系分散媒に混練したペーストを集電体に塗着乾燥させてなる正極の製造方法において、前記添加剤が前記分散媒に可溶性の蓚酸化合物であり、正極中に均一に再結晶させることを特徴とする正極の製造方法であり、この蓚酸化合物はアルカリ金属の蓚酸化合物であることが好ましく、その含有量は正極活物質に対して0.1重量%〜5.0重量%の範囲であることが好ましい。そして、このような正極の製造方法によって得られる正極、負極、セパレータ、非水電解液、安全機構からなる非水電解液二次電池である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1に本実施形態における非水電解液二次電池の縦断面図を示す。
【0016】
電池ケース1には、正極5と負極6とがセパレータ7を介して巻回した極板群4が収容されている。そして、正極5からは正極リード5aが引き出され、封口板2に接続されている。一方、負極6からは負極リード6aが引き出され、電池ケース1の底部に接続されている。電池ケース1の開口部には電池内圧が所定の値を超えると、電流遮断機構が作動し、充電電流を遮断することによって安全性を確保する封口板2が配設され、電池ケース1の内部を密封口している。極板群4の上下には絶縁板8が配されており、電池ケース1と極板群4とが接触するのを防止している。
【0017】
本発明において、正極5にはリチウム含有複合金属酸化物を主成分とする活物質が使用でき、LixCoO2、LixNiO2、LixMn2O4、LixMnO3、LixNiyCo(1−y)O2、(ただし、0.05≦x≦1.10、0<y<1)などのリチウム含有複合金属酸化物を挙げることができる。この複合金属酸化物は、例えばリチウム、コバルト、ニッケルの炭酸塩あるいは酸化物、水酸化物を出発原材料とし、これらを目的とする組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600℃〜1000℃の温度範囲で焼成することにより得られる。
【0018】
結着剤としては、分散媒に溶解または分散できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、フッ素系結着剤やアクリルゴム、変性アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリル系重合体、ビニル系重合体等を単独、或いは二種類以上の混合物または共重合体として用いることができる。フッ素系結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体やポリテトラフルオロエチレン樹脂のディスパージョンが好ましい。
【0019】
正極中に再結晶させて均一に含有させる添加剤である蓚酸化合物としては、COOH)2、(COOLi)2、(COONa)2、(COOK)2、(COORb)2、(COOCs)2、(C00Fr)2から選ばれた少なくとも一種を用いることができるが、これらの中でアルカリ金属の蓚酸化合物であるCOOLi)2、(COONa)2、(COOK)2、(COORb)2、(COOCs)2、(C00Fr)2が好ましい。
【0020】
これらの蓚酸化合物は、正極活物質に対して0.1重量%〜5.0重量%の範囲で含有されていることが好ましい。0.1重量%未満の場合、過充電時に電流遮断機構をタイミングよく確実に作動させるのが困難で、5.0重量%を超えた場合、電池の内部抵抗が高くなり充放電サイクル特性が悪くなるので好ましくない。
【0021】
必要に応じて導電剤、増粘剤を加えることができ、導電剤としてはアセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維等を単独、或いは二種類以上の混合物が好ましく、増粘剤としてはエチレン−ビニルアルコール共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどが好ましい。
【0022】
分散媒としては、蓚酸化合物、特にアルカリ金属の蓚酸化合物が可溶な水や温水を用いる。
【0023】
このような正極活物質、結着剤、添加剤として水系分散媒に溶解する蓚酸化合物、特にアルカリ金属の蓚酸化合物、必要に応じて導電剤、増粘剤を水系分散媒に溶解または分散させることによって得られる正極ペーストをアルミニウム製の箔やラス加工やエッチング処理された厚み10μm〜60μmの箔からなる集電体の片側または両面に塗着、乾燥、圧延して正極活物質層中に蓚酸化合物を均一に再結晶させた正極を作製することができる。
【0024】
このようにして、正極中に蓚酸化合物、好ましくはアルカリ金属の蓚酸化合物を均一に再結晶させ、含有させることにより、高温環境下でも安定であるため、単に高温環境下に曝されただけではガスを発生しないが、過充電され、正極電位が約4.7Vになると蓚酸化合物は電気化学的に分解されて炭酸ガスを発生させ、そのガスにより電流遮断機構を確実に作動させることができると考えられるため、アルカリ金属の蓚酸化合物は正極中に含まれている必要がある。
【0025】
そして、充放電サイクル特性に優れている理由は、充放電サイクルによって脱落しやすい正極活物質と集電体との密着性が向上するためと推測される。
【0026】
なお、塗着は、特に限定されるものではなく、上記の正極ペーストを、例えば、スリットダイコーター、リバースロールコーター、リップコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ディップコーター等を用いて、容易に塗着することができる。
【0027】
乾燥は、正極中に蓚酸化合物、好ましくはアルカリ金属の蓚酸化合物を均一に再結晶させるために、70℃〜120℃の温度で10分間〜60分間乾燥させるのが好ましい。
【0028】
圧延は、ロールプレス機によって所定の厚みになるまで、線圧1000〜2000kg/cmで数回圧延を行うか、線圧を変えて圧延するのが好ましい。
【0029】
一方、負極6には活物質としてリチウムをドープ・脱ドープ可能なものを使用すれば良く、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂などを適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、活性炭などの炭素質材料、あるいは、金属リチウム、リチウム合金の他、ポリアセチレン、ポリピロールなどのポリマーも使用可能である。この負極活物質と結着剤、必要に応じて導電助剤を分散媒に混練分散させて得た負極ペーストを集電体に塗着、乾燥、圧延して活物質層を作製する。
【0030】
負極6の集電体としては、銅製の箔、ラス加工を施した箔、またはエッチング加工を施した箔からなり、厚みは10μm〜50μmの範囲が好ましい。
【0031】
結着剤、必要に応じて添加できる増粘剤としては、正極と同様の結着剤を用いることができる。
【0032】
セパレータ7としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂の微多孔膜や不織布からなる単層または多層構造で構成されており、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の2層または両端がポリプロピレン樹脂で中間層がポリエチレン樹脂の3層構造でシャットダウン機能を有するセパレータが好ましく、セパレータの厚みは10〜30μmの範囲が好ましい。
【0033】
非水電解液としては、リチウム塩を電解質とし、これを有機溶媒に溶解させた電解液が用いられる。この有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル、ジエチルカーボネート、ジピロピルカーボネート等を単独もしくは2種類以上を混合した混合溶媒の使用が可能である。
【0034】
電解質には、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Liなどの使用が可能であり、溶媒に対する添加量は0.5mol/l〜2.0mol/lの範囲が好ましい。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明を実施例と比較例を用いて詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0036】
(実施例1)
まず、正極5を次のようにして作製した。正極活物質の原材料である酸化コバルトと炭酸リチウムを精秤し、混合機で混合した後、空気中で900℃、5時間焼成してLiCoO2からなる複合金属酸化物を得た。このようにして得られたリチウム含有複合金属酸化物100重量部に対して、導電剤としてアセチレンブラック3重量部、予め40℃の温水に溶解させておいたアルカリ金属の蓚酸化合物として蓚酸リチウムを固形分で1.0重量部、結着剤としてポリテトラフルオロエチレンのディスパージョンを固形分として4重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース水溶液を固形分として0.8重量部配合し、ミキサー中で混練し、正極ペーストを得た。
【0037】
この正極ペーストを厚さ20μmのアルミ箔集電体の両面に連続的に間欠塗布し、120℃で20分間乾燥した後、ロールプレス機で正極厚みを180μmに圧延して所定の寸法に裁断し、帯状の正極5を作製し、この正極の無地部に正極リード5aをスポット溶接した。
【0038】
【表1】
【0039】
負極6としては負極活物質である人造黒鉛100重量部に対して、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)の水溶性ディスパージョンを固形分として4重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース水溶液を固形分として0.8重量部配合し、ミキサー中で混練し、負極ペーストを得た。
【0040】
この負極ペーストを厚さ14μmの銅箔集電体の両面に連続的に間欠塗布した後、乾燥したものをロールプレス機で負極厚みを195μmに圧延して所定の寸法に裁断し、帯状の負極を作製し、負極無地部に負極リード6aをスポット溶接した。
【0041】
このようにして得られた正極5と負極6とを、両端がポリプロピレン樹脂製フィルムで中間層がポリエチレン樹脂製のフィルムの3層構造で、厚みが20μmの微多孔膜セパレータ7を介して渦巻き状に巻回した後、120℃で30分間乾燥させて極板群4を作製した。
【0042】
この極板群4をニッケルメッキを施した鋼鈑製の有底円筒形の電池ケース1に収容した。正極リード5aの他端部は電流遮断機構を有する封口板2に接続し、負極リード6aの他端部は電池ケース1の底部に接続した。この極板群4の上下には絶縁板8を配した。更にエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートの混合溶媒中に電解質としてLiPF6を1.25mol/l溶解させた非水電解液を電池缶内に注入し、絶縁ガスケット3を介して電池ケース1と封口板2とを密封口した。
【0043】
さらに電池電圧を4.1Vまで定電流で充電を行った後、45℃に保持した恒温槽に1週間保存してエージング処理を行い、直径18mm、高さ65mm、電池容量2000mAhの円筒形非水電解液二次電池を作製し、実施例1の電池とした。
【0044】
(実施例2〜実施例8)
表1に示す蓚酸化合物の種類と量を変更して正極中に均一に再結晶させて含有させた以外は、実施例1と同様にして正極5と円筒形非水電解液二次電池を作製し、実施例2〜実施例8の電池とした。
【0045】
(比較例1)
蓚酸化合物を何も加えなかった以外は、実施例1と同様にして正極5と円筒形非水電解液二次電池を作製し、比較例1の電池とした。
【0046】
(比較例2)
実施例1と同様にして得られたリチウム含有複合金属酸化物100重量部に対して、導電剤としてアセチレンブラック3重量部、アルカリ金属の蓚酸化合物として蓚酸リチウムを1.0重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン4重量部を蓚酸リチウムが不溶のN−メチルピロリドン(NMP)からなる有機系分散媒にミキサー中で混練分散し、正極ペーストを得た以外は、実施例1と同様にして正極5と円筒形非水電解液二次電池を作製し、比較例2の電池とした。
【0047】
(比較例3)
蓚酸化合物を何も加えなかった以外は、実施例1と同様にして正極5を作製した。
【0048】
負極6としては、負極活物質である人造黒鉛100重量部に対して、アルカリ金属の蓚酸化合物として蓚酸リチウムを1.0重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン4重量部を蓚酸リチウムが不溶のN−メチルピロリドン(NMP)からなる有機系分散媒にミキサー中で混練分散した以外は、実施例1と同様にして負極6と円筒形非水電解液二次電池を作製し、比較例3の電池とした。
【0049】
(比較例4)
負極6としては、負極活物質である人造黒鉛100重量部に対して、結着剤としてスチレンブタジエンゴム(SBR)の水溶性ディスパージョンを固形分として4重量部、予め水に溶解させておいたアルカリ金属の蓚酸化合物として蓚酸リチウムを固形分で1.0重量部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース水溶液を固形分として0.8重量部配合し、ミキサー中で混練し、負極ペーストを得た以外は、比較例3と同様にして負極6と円筒形非水電解液二次電池を作製し、比較例4の電池とした。
【0050】
このようにして得られた実施例および比較例の電池各20個を用いて、過充電試験、高温保存試験、充放電サイクル特性を評価した結果を表1に示す。
【0051】
過充電試験は、3.0Vの終止電圧まで2000mA(1.0ItA)の定電流で残存放電した後、電池電圧が4.2Vに達するまでは1400mA(0.7ItA)の定電流充電を行い、その後、電流値が減衰して100mA(0.05ItA)になるまで充電した満充電の電池を、4000mA(2.0ItA)の定電流で充電し、電流遮断機構の作動が遅れて電池が破裂に至る発生率を調べた。
【0052】
高温保存試験は、上記の満充電の電池を85℃に保持した恒温槽に3日間保存した後、電池を取り出し、電流遮断機構の誤作動の有無を目視により確認した。
【0053】
充放電サイクル特性は、3.0Vの終止電圧まで2000mA(1.0ItA)の定電流で残存放電した後、電池電圧が4.2Vに達するまでは1400mA(0.7ItA)の定電流充電を行い、その後、3.0Vの終止電圧まで2000mA(1.0ItA)の定電流で放電するサイクルを500サイクル繰り返したときの容量を測定し、3サイクル目を100%としたときの500サイクル目の容量維持率を算出し、その平均値を求めた。
【0054】
表1より明らかなように、正極中に蓚酸化合物を均一に再結晶させ、含有させることにより、蓚酸化合物を含有させなかった比較例1と比較して、過充電時には正常に電流遮断機構が作動し、電池の急激な温度上昇が生じないので、電池の破裂の発生率が低下することがわかった。
【0055】
実施例2、実施例5の結果から、蓚酸化合物を0.1重量%以上含有させることにより、破裂の発生率が0になり高温保存試験を行っても電流遮断機構の誤作動がないことがわかった。
【0056】
しかし、実施例6の結果から、蓚酸化合物の含有量が5.0重量%を越えると放電レート特性が少し低下することがわかった。これは、蓚酸化合物の導電性が低いのとリチウムより大きい原子半径のものを含有させているために、リチウムイオンの移動度を抑制し、その結果として、電池の内部抵抗が上昇し放電時の電圧降下が大きくなったためと考えられる。従って、蓚酸化合物、好ましくはアルカリ金属の蓚酸化合物の含有量は0.1重量%〜5.0重量%の範囲が望ましいことが明らかになった。
【0057】
さらに、正極中に均一に含有させた実施例1の場合、充放電サイクル特性に優れ、高温環境下に曝されただけでは電流遮断機構が誤作動することがなく、かつ過充電時には電流遮断機構を確実に作動させ、電池が破裂することが無いのに対して、蓚酸化合物が不溶性の有機系溶媒に分散させた比較例2の場合、正極中に均一に含有させることが困難で、過充電時に電流遮断機構を確実に作動できずに破裂に至る場合や充放電サイクル特性が低下することが明らかになった。
【0058】
また、蓚酸化合物は正極電位が約4.7Vになると電気化学的に分解されて炭酸ガスを発生させ、そのガスにより電流遮断機構を作動させるので、比較例4の場合、正極ではなく、負極中に均一に含有させているので、応答が遅れ、電流遮断機構を確実に作動できずに破裂に至る場合が有ることが明らかになった。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかのように、本発明によれば、電池が高温環境下におかれても電流遮断機構の誤作動を招くことがなく、過充電時には確実に電流遮断機構を作動させることができ、充放電サイクル特性にも優れているので、非水電解液二次電池の信頼性が大幅に向上し、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による非水電解液二次電池の縦断面図
【符号の説明】
1 電池ケース
2 封口板
3 絶縁ガスケット
4 極板群
5 正極
5a 正極リード
6 負極
6a 負極リード
7 セパレータ
8 絶縁板
Claims (4)
- 少なくとも、リチウム含有複合金属酸化物を主成分とする正極活物質、結着材、添加剤を水系分散媒に混練したペーストを集電体に塗着乾燥させてなる正極の製造方法において、前記添加剤が前記分散媒に可溶性の蓚酸化合物であり、正極中に均一に再結晶させることを特徴とする正極の製造方法。
- 前記蓚酸化合物がアルカリ金属の蓚酸化合物であることを特徴とする請求項1に記載の正極の製造方法。
- 前記蓚酸化合物は正極活物質に対して0.1重量%〜5.0重量%含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の正極の製造方法。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の正極の製造方法によって得られる正極、負極、セパレータ、非水電解液、安全機構からなる非水電解液二次電池。
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