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JP2004231641A - 化合物、位相差板、及び光学異方性層の形成方法 - Google Patents

化合物、位相差板、及び光学異方性層の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二軸性液晶化合物を用いて、膜強度が高く、経時しても安定して二軸性を示し、光学異方性層の最も小さい屈折率方向がほぼ位相差板フイルム平面の法線方向にある位相差板を提供する。
【解決手段】透明支持体上に、配向膜と、二軸性液晶相を発現する液晶化合物を含む少なくとも一層の光学異方性層とを有する位相差板であって、液晶化合物が、重合性化合物及び/又は高分子化合物であり、二軸性液晶相の最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向とほぼ一致することを特徴とする位相差板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、位相差板、その位相差板を構成する光学異方性層の形成方法、及び光学異方性層を構成するのに適した液晶化合物に関する。
特に、本発明は、二軸性液晶化合物を含む光学異方性層を有し、光学異方性層の最も小さい屈折率方向がほぼ位相差板のフイルム平面の法線方向にある位相差板に関する。
光学的二軸性のフイルムを作成する場合、ポリマーから得られるフイルムを二軸延伸によって得る方法が一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかし、最近では、二軸性の液晶を用いて二軸性のフイルムを得る方法が提案されている。二軸性の液晶を用いた二軸性フイルムは、これまで多く用いられてきた二軸延伸フイルムと比較して、その膜厚を非常に薄くできるメリットを持つため、二軸性フイルムに二軸性液晶を用いることは、デバイスの薄層化や軽量化等に有用な手段である。そのような例としては、例えば、二軸性液晶相の一つであるSCA相を発現する高分子の液晶化合物を一軸延伸することによって二軸性のフイルムを得る方法が報告されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、延伸を利用したフイルムは、フイルムの寸法安定性が悪く、光学性能が湿熱等で変わりやすいといった問題を持つことが多かった。
一方、延伸を全く利用しないで、二軸性液晶化合物を利用した二軸性フイルムの作製例も報告されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この報告においては、二軸性液晶化合物にその配向を固定するための官能基が積極的に導入されていないために、膜の硬度が低いために傷がつきやすい問題や、経時で配向状態が乱れ二軸性が失われる問題を有していた。このような硬度の問題や、配向状態の乱れの問題を無くすために、配向を固定化する方法が考えられ、そのような方法としては、重合性基の導入が挙げられる。このような重合性基を導入した二軸性液晶化合物を用いた光学フイルムに関する報告もある(例えば、特許文献4参照)。しかし、このような重合性の官能基を二軸性液晶化合物に導入してしまうと、この報告にあるように、ハイブリッド配向(二軸性ではない)になる。また、空気界面で液晶化合物分子のプレチルト角が高くなることによる配向乱れも発生するために、通常、二軸性液晶を利用して膜強度の高い二軸性フイルムを得ることは非常に困難であった。また、液晶化合物に重合性基を導入しても、必ずしも膜強度の高い膜が得られるとは限らなかった。
特開平2−264905号公報 特開平11−60972号公報 特開2002−6138号公報 特開2002−174730号公報
したがって、本発明の目的は、液晶化合物から形成される光学異方性層を有する位相差板、特に、二軸性液晶化合物を用いて、膜強度が高く、経時しても安定して二軸性を示し、光学異方性層の最も小さい屈折率方向がほぼ位相差板のフイルム平面の法線方向にある位相差板を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記光学異方性層の形成方法、及び上記光学異方性層を構成するのに適した液晶化合物を提供することにある。
二軸性フイルムに用いることを試みられた従来の二軸性液晶化合物は、重合性基を導入すると、配向膜界面と空気界面で液晶化合物分子の配向が変化しハイブリッド配向をとり、光学的二軸性を示さなくなってしまう。本発明者らは、鋭意研究の結果、重合性基を有する液晶化合物であっても、ハイブリッド配向せずに光学的二軸性を示す液晶化合物を見出し、また、高分子の二軸性液晶化合物でもハイブリッド配向せずに光学的二軸性を示すものを見出し、本発明を完成するに至った。特に、重合性基を有し、二軸性の液晶相を発現する新規な液晶化合物を見出した。また、特定の添加剤が、それにより重合性基を有する液晶化合物の空気界面での配向を制御することができ、ハイブリッド配向させず二軸性液晶相を発現させるのに好ましく使用できることも見出した。
すなわち、本発明の上記目的は、下記の位相差板、光学異方性層の形成方法、液晶化合物により達成される。
1.下記一般式(B−1)で表される化合物。
一般式(B−1)
Figure 2004231641
一般式(B−1)中、
Aは、二価の環状基、−O−、−CO−、−NH−、−N=CH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
21、L22は、それぞれ独立に、少なくとも−CH=CH−、−N=CH−又は−C≡C−を含む二価の連結基を表す。
1、X2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が2乃至12のアルキルアミノ基及び炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基からなる群より選ばれる原子又は基を表す。
l及びmは、それぞれ独立に、0乃至2の整数を表す。
11、L12、L13、L14、L15、L16は、それぞれ独立に、−O−、−CO−、−NH−、−N=CH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16は、それぞれ独立に、重合性基又は水素原子を表し、Q11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16の少なくとも一つは重合性基を表す。
2.透明支持体上に、液晶化合物から形成される少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、液晶化合物が上記1に記載の化合物であることを特徴とする位相差板。
3.透明支持体上に、二軸性液晶相を発現する液晶化合物から形成される少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、
液晶化合物が、重合性化合物及び/又は高分子化合物であり、
二軸性液晶相の最も屈折率が小さい方向が、透明支持体の法線方向とほぼ一致する、
ことを特徴とする位相差板。
4.重合性化合物が上記1に記載の化合物であることを特徴とする上記3に記載の位相差板。
5.高分子化合物が上記1に記載の化合物を部分構造に含む高分子化合物であることを特徴とする上記3に記載の位相差板。
6.光学異方性層が、下記一般式(V)で表される化合物を含有することを特徴とする上記2〜5のいずれかに記載の位相差板。
一般式(V):(Hb−L51−)nB51
一般式(V)中、Hbは、炭素原子数が6〜40の脂肪族基又は炭素原子数が6〜40の脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を表す。L51は、単結合又は二価の連結基を表す。 nは2〜12のいずれかの整数を表す。B51は、少なくとも一つの環状構造を含むn価の連結基を表す。
7.二軸性液晶相の最も屈折率が小さい方向と配向膜面の法線方向とのなす角が、配向膜界面と空気界面の両方で0〜10°の範囲にあることを特徴とする上記3〜6のいずれかに記載の位相差板。
8.光学異方性層の表面の引掻き強度が10g以上であることを特徴とする上記3〜7のいずれかに記載の位相差板。
9.光学異方性層表面の表面エネルギーが45mN/m以下であることを特徴とする上記3〜8のいずれかに記載の位相差板。
10.二軸性液晶相が二軸性ネマチック液晶相であることを特徴とする上記3〜9のいずれかに記載の位相差板。
11.配向膜上に、二軸性液晶相を発現する重合性化合物と光重合開始剤とを含む液晶組成物を塗布し、前記重合性化合物をモノドメイン配向させた後、酸素濃度7%以下の雰囲気下で紫外線照射により重合させて重合性化合物の配向を固定することを特徴とする光学異方性層の形成方法。
本発明によれば、配向が固定できる重合性の二軸性液晶化合物又は高分子の二軸性液晶化合物を用いて、光学異方性層の屈折率が最も小さい方向がほぼフイルム平面の法線方向にあり、二軸性の光学特性を有し、膜強度の高い位相差板が提供される。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
[二軸性液晶化合物]
本発明の光学異方性層を形成するために用いられる液晶化合物は、光学的に二軸性を示す液晶化合物である。換言すれば、液晶相の3軸方向の屈折率nx、ny、nzが異なり、例えばnx>ny>nzの関係を満たす液晶化合物である。
本発明に用いられる液晶化合物は、上記の性質を持つと同時に、均一で欠陥のない配向のために、良好なモノドメイン性を示すものが望ましい。モノドメイン性が悪い場合には、得られる構造がポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、その欠陥部分で光が散乱されるようになる。これは、位相差板の透過率低下にもつながるので望ましくない。
本発明に用いる液晶化合物が示す二軸性液晶相としては、二軸性ネマチック相、二軸性スメクチックA相、二軸性スメクチックC相を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示す二軸性ネマチック相(Nb相)が好ましい。二軸性ネマチック相とは、ネマチック液晶化合物がとり得る液晶相の一種であるが、液晶相の空間をx軸、y軸、z軸で定義した際、該液晶化合物がy軸を中心にしたxz平面の自由回転も、z軸を中心にしたxy平面の自由回転も禁止されている状態を示す。
本発明に用いる上記液晶化合物は、重合性化合物及び/又は高分子化合物である。重合性化合物は、低分子化合物でもよいし、高分子化合物でもよい。高分子化合物の場合は、配向の固定を行うために、重合性の化合物であることが好ましいが、ガラス転移点が30℃以上の場合には、必ずしも重合性である必要はない。
二軸性液晶化合物であって重合性化合物であるものの具体例としては、例えば、有機合成化学、第49巻;第5号(1991)の124〜143頁に記載の化合物、D.W.Bruceらの研究報告〔AN EU-SPONSORED’OXFORD WORKSHOP ON BIAXIAL NEMATICS’(St Benet’s Hall、University of Oxford 20-22 December、1996)、p157-293〕、S.CHANDRASEKHAR等の研究報告〔A Thermotropic Biaxial Nematic Liquid Crystal;Mol.Cryst.Liq.Cryst.,1988,Vol.165,pp.123-130〕D.Demus,J.Goodby等著〔Handbook of Liquid Crystals Vol.2B:Low Molecular Weight Liquid Crystals II、pp933-943:WILEY-VCH社刊〕等に記載の化合物に重合性基を導入したものが挙げられる。
重合性基を有する低分子液晶化合物としては、例えば、特開2002−174730号公報に記載の化合物を用いることもできる。ただし、この公報に記載されている化合物のように、低分子化合物として、ハイブリッド配向しやすい化合物、もしくは、空気界面で分子のプレチルト角が高くなることによる配向乱れを起こしやすい化合物を用いる場合は、後述する空気界面配向制御剤を添加することが好ましい。
ハイブリッド配向になったり、配向が乱れたりすることなしに二軸性の液晶相を発現する、重合性の低分子液晶化合物としては、好ましくは下記一般式(B−1)が挙げられる。
一般式(B−1)
Figure 2004231641
式中Aは、二価の環状基、−O−、−CO−、−NH−、−N=CH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
二価の環状基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。
Aは、少なくとも一つの二価の環状基を含むことが好ましい。二価の環状基は、二価の芳香族炭化水素基、二価の複素環基、又は二価の脂肪族環基であることが好ましく、二価の芳香族炭化水素基が最も好ましい。
二価の芳香族炭化水素基は、アリーレン基及び置換アリーレン基を意味する。
アリーレン基の例には、フェニレン、インデニレン、ナフチレン、フルオレニレン、フェナントレニレン、アントリレン及びピレニレンが含まれる。フェニレン及びナフチレンが好ましい。特に、1,4−フェニレン、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレンが好ましい。
置換アリーレン基の置換基の例には、脂肪族基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アリールアゾ基(例、フェニルアゾ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ)、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、プロピルアミノ)、アシル基(例、アセチル、プロパノイル、オクタノイル、ベンゾイル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基及びウレイド基が含まれる。
二価の複素環基は、5員、6員又は7員の複素環を有することが好ましい。5員環又は6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環が含まれる。特に、ピリジン環、ピリミジン環が好ましく、更にピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイルが好ましい。
複素環に、他の複素環、脂肪族環又は芳香族炭化水素環が縮合していてもよい。縮合複素環の例には、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、インドリン環、イソインドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、キサンテン環、アクリジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、フェノキサジン環、チアントレン環、インドリジン環、キノリジン環、キヌクリジン環、ナフチリジン環、プリン環及びプテリジン環が含まれる。
二価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、置換アリーレン基の置換基の例と同様であるが、それ以外にも、アルキリデン基、オキソ基、イミノ基が含まれる。
二価の脂肪族環基は、5員、6員又は7員の脂肪族環を有することが好ましい。なかでも、5員環及び6員環がより好ましく、6員環が最も好ましい。
二価の脂肪族環基に、他の脂肪族環、複素環又は芳香族炭化水素環が縮合していてもよい。縮合複素環の例には、テトラヒドロナフタレン環及びプテリジン環が含まれる。二価の脂肪族環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、置換アリーレン基の置換基の例と同様であるが、それ以外にも、アルキリデン基、オキソ基、イミノ基が含まれる。
21、L22は、それぞれ独立に、少なくとも−CH=CH−、−N=CH−又は−C≡C−を含む二価の連結基を表す。−CH=CH−、−N=CH−又は−C≡C−以外の二価の連結基としては、−O−、−CO−、−NH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせからなる群を挙げることができる。L21、L22はそれぞれ異なっていても、同一でもよい。
好ましいL21、L22としては、−CH=CH−、−N=CH−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−C≡C−CO−O−、−CH=CH−CO−NH−、−C≡C−CO−NH−、−CH=CH−CO−S−、及び−C≡C−CO−S−が挙げられる。−CH=CH−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。L21、L22としては、特に−CH=CH−CO−O−*が好ましい(*はAに連結する位置を表す。)。
1、X2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(F、Cl、Br等)、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が2乃至12のアルキルアミノ基及び炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基からなる群より選ばれる原子又は基を表す。
炭素原子数が1乃至12のアルキル基は、炭素原子数が1乃至8であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ペンチル基もしくはn−ヘプチル基であることが特に好ましい。炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基としては、メチル基、2−メトキシエトキシ基もしくはビニルオキシ基であることが好ましい。炭素原子数が2乃至13のアシル基としては、アセチル基であることが好ましい。炭素原子数が2乃至12のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基もしくはジメチルアミノ基であることが好ましく、ジメチルアミノ基であることが特に好ましい。炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基としては、アセチルオキシ基もしくはアクリロイル基であることが特に好ましい。
l及びmは、それぞれ独立に0乃至2の整数を表す。好ましくは0である。
11、L12、L13、L14、L15、L16は、それぞれ独立に、−O−、−CO−、−NH−、−N=CH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。L11、L12、L13、L14、L15、L16は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及びS−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが好ましく、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが特に好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は2乃至12であることが好ましい。アルキニレン基の炭素原子数は2乃至12であることが好ましい。アリーレン基の炭素原子数は6乃至10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。L11、L12、L13、L14、L15、L16は、特に、−O−、−CO−、アルキレン基の組み合わせが好ましく、*−O−アルキレン基または*−O−アルキレン基−O−CO−が特に好ましい(*はベンゼン環に連結する位置を表す。)。
11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16は、重合性基又は水素原子を表し、Q11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16の少なくとも一つは重合性基を表す。好ましくは、Q11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16の少なくとも2つ以上が重合性基の場合である。Q11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16が表す重合性基の具体例を以下に示す。
Figure 2004231641
11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16は、不飽和重合性基(Q1〜Q7)、エポキシ基(Q8)又はアジリジニル基(Q9)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(Q1〜Q6)であることが最も好ましい。
なお、Q11〜Q16は互いに同一でも、異なっていてもよい。
以下に、一般式(B−I)で表される低分子液晶化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
高分子の液晶化合物の具体例としては、例えば、H.F.Leubeらの研究報告〔Optical investigations on a liquid−crystalline side−chain polymer with biaxial nematic and biaxial smectic A phase;Makromol. Chem.,1991,Vol.192,pp.1317−1328〕、〔New bilaterally linked mesogens in main−chain polymers with exhibition of biaxial fluctuation in nematic phase;Macromolecules,1998,Vol.31,pp.3537−3541〕等に記載の化合物を用いることができる。
また、上記以外の高分子液晶化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
Figure 2004231641
前述したようにガラス転移温度が30℃未満の高分子の液晶性化合物の場合、重合性基を導入するのが好ましいが、その場合の重合性基としては、前記一般式(B−I)のQ11〜Q16の重合性基の具体例(Q1〜Q17)が挙げられる。
[液晶組成物]
本発明で、光学異方性層は、少なくとも1種の二軸性液晶化合物を含む液晶組成物から形成される。この液晶組成物には、二種類以上の二軸性液晶化合物を併用して用いてもよい。また、例えば、上記の重合性二軸性液晶化合物と非重合性二軸性液晶化合物とを併用することも可能である。また、重合性低分子液晶化合物と高分子液晶化合物を併用することも可能である。
本発明の液晶組成物の液晶温度範囲は、位相差板の製造適性等の面から10〜200℃の範囲内に存在することが好ましく、10〜150℃の範囲内に存在することがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また200℃を越えると一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にするために高温を要し熱エネルギーの浪費、基板の変形、変質等からも不利になることがある。
[光学異方性層]
本発明では、二軸性液晶化合物を用いることにより、光学異方性層の光学異方性を、互いに直交する三方向の屈折率主値が異なる光学的二軸性となるように調節する。光学異方性層の三方向の屈折率主値をnx、ny、nz(nx>ny>nz)とすると、それぞれの値は、下記式(I)を満足することが好ましく、下記式(II)を満足することがさらに好ましい。
式(I):nx−ny>0.005かつny−nz>0.005
式(II):nx−ny>0.01かつny−nz>0.01
本発明では、二軸性液晶化合物を下記配向膜を用いて配向させて、光学的二軸性光学異方性層を形成する。二軸性液晶性化合物は、一軸性の化合物とは異なり、互いに直交する三方向の屈折率(nx>ny>nz)が異なるため、三方向の配向方向を制御する必要がある。
本発明の位相差板では、二軸性液晶化合物が発現する液晶相の最も屈折率の小さい方向と、透明支持体の法線方向をほぼ一致させる。そのため、液晶化合物の三方向の配向方向は、nx屈折率方向(最も屈折率が高い方向)と、ny屈折率方向(屈折率が中間の屈折率方向)が、位相差板のフイルム平面の法線方向とほぼ直交するように配向し、nz屈折率方向(最も屈折率が低い方向)が位相差板のフイルム平面の法線方向とほぼ平行になるように配向していることが好ましい。nx屈折率方向はラビング方向と平行でも直交でもよい。
本発明の液晶組成物は配向膜上に塗布されるので、液晶化合物は配向膜との界面では配向膜のプレチルト角で配向し、空気との界面では空気界面のプレチルト角で配向することとなる。二軸性液晶化合物の場合、プレチルト角にもnx屈折率方向と界面がなすプレチルト角とny屈折率方向と界面がなすプレチルト角の2種類がある。
本発明において、二軸性液晶相の最も屈折率の小さい方向が透明支持体の法線方向(位相差板のフイルム面の法線方向)とほぼ平行とは、配向膜界面側の2種のプレチルト角も空気界面側の2種のプレチルト角も両方とも、0〜15°、好ましくは0〜10°となること、即ち、nz屈折率方向(最も屈折率の低い方向)との透明支持体の法線方向のなす角度が、0〜15°、好ましくは0〜10°となることを意味する。
また、本発明において、二軸性液晶相の最も屈折率の小さい方向が、光学異方性層の厚さ方向でほとんど変化しないことが好ましい。二軸性液晶相の最も屈折率の小さい方向が、光学異方性層の厚さ方向でほとんど変化しないとは、配向膜界面と空気界面の間の領域においても、液晶化合物のnz屈折率方向(最も屈折率の低い方向)と透明支持体の法線方向のなす角度が、配向膜界面、空気界面でのプレチルト角とほぼ一致することを意味する。即ち、本発明においてnz屈折率方向(最も屈折率の低い方向)と透明支持体の法線方向のなす角度は0〜15°、好ましくは0〜10°である。
上記各領域における液晶性化合物の配向(なす角度)は、配向膜やそのラビング方向、さらには配向制御剤により調整できる。
本発明の位相差板の光学異方性層は、液晶化合物の液晶状態における配向形態を損なうことなく固定化し層を形成する。液晶化合物として高分子化合物を用いる場合には、一度液晶相形成温度まで加熱し、次にその配向状態を維持したまま冷却することにより得ることができる。また、液晶化合物として重合性化合物を用いる場合には、重合開始剤を添加した液晶組成物を液晶相形成温度まで加熱した後、重合させ冷却することによって得ることができる。
ここで、固定化したという状態は、液晶相における液晶化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様ではあるが、それだけには限定されず、具体的には、通常0℃から50℃、より過酷な条件下では−30℃から70℃の温度範囲において、光学異方性層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を指すものである。
また、光学異方性層が最終的に形成された際に、二軸性液晶化合物は二軸性を維持していれば、もはや液晶性は失ってもよい。例えば、液晶化合物として重合性化合物を用いた場合、結果的に熱、光等で反応により重合又は架橋反応が進行し、高分子量化して、液晶性を失ってもよい。
液晶化合物の配向が固定化された液晶組成物からなる光学異方性層は、位相差板の製造適性の面から適度な硬度が必要である。この光学異方性層の硬度は、表面の引掻き強度を測定することにより明らかにすることができる。表面の引掻き強度は、10g以上であることが好ましく、20g以上であることがさらに好ましい。尚、上記引掻き強度は、円すい頂角が90度で、先端の直径が0.25mmのサファイア針を用いて1cm/秒の速度で光学異方層の表面を引掻き、引っかき跡が目視で認められた時の加重(g)を意味する。
光学異方性層の表面の表面エネルギーは、空気界面での液晶化合物のプレチルト角を小さくし、液晶相の空気界面での配向の乱れを防止し、ハイブリッド配向等の二軸性を失った配向になることを防ぐために、45mN/m以下であることが好ましく、20〜43mN/mであることがさらに好ましい。光学異方性層の表面の表面エネルギーは、空気界面の配向制御剤により低下させることができ、液晶相の状態に応じて配向制御剤を適宜使用し、表面エネルギーを調整することができる。
固体の表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」(リアライズ社1989.12.10発行)に記載のように接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。本発明の光学異方性層の場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である水とジヨードメタンの溶液を光学異方性層に滴下し、液滴の表面と光学異方性層表面との交点において、液滴に引いた接線と光学異方性層表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算により光学異方性層の表面エネルギーを算出できる。
液晶組成物から形成される本発明の光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
[空気界面配向制御剤]
二軸性液晶化合物は、空気界面においては空気界面のプレチルト角で配向する。このプレチルト角は前述のように、nx屈折率方向と空気界面とがなすプレチルト角とny屈折率方向と空気界面とがなすプレチルト角の2種類がある。このプレチルト角は、電場や磁場のような外場を用いることや添加剤を用いて制御することができるので、配向状態を調整する上で、本発明でも、プレチルト角の制御を行うことは好ましく、特に、添加剤を用いることが好ましい。
このような添加剤としては、炭素原子数が6〜40の置換又は無置換脂肪族基もしくは炭素原子数が6〜40の置換又は無置換脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を、分子内に1本以上有する化合物が好ましく、分子内に2本以上有する化合物が更に好ましい。
特に、下記一般式(V)で表される化合物は好ましい。この化合物は、特開2002−174730号公報に記載の化合物のように、低分子の液晶化合物として、ハイブリッド配向しやすい液晶化合物、もしくは、空気界面で分子のプレチルト角が高くなることによる配向乱れを起こしやすい液晶化合物を用いる場合にも一緒に用いることで、二軸性の液晶相の実現を可能とする添加剤である。
以下、一般式(V)について詳述する。
一般式(V):(Hb−L51−)nB51
上記一般式(V)において、Hbは、炭素原子数が6〜40の脂肪族基又は炭素原子数が6〜40の脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を表す。
Hbは、炭素原子数が6〜40の脂肪族基であることが好ましく、炭素原子数が6〜40のフッ素置換脂肪族基又は炭素原子数が6〜40の分岐を有する脂肪族基であることがさらに好ましく、炭素原子数が6〜40のフッ素置換アルキル基又は炭素原子数が6〜40の分岐を有するアルキル基であることが最も好ましい。
脂肪族基は、環状脂肪族基よりも鎖状脂肪族基の方が好ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、7〜35であることが好ましく、8〜30であることがより好ましく、9〜25であることがさらに好ましく、10〜20であることが最も好ましい。
脂肪族基には、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が含まれる。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基及び置換アルケニル基が好ましく、アルキル基及び置換アルキル基がさらに好ましい。
脂肪族基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、置換アルコキシ基(例えば、オリゴアルコキシ基)、アルケニルオキシ基(例、ビニルオキシ基)、アシル基(例、アクリロイル基、メタクリロイル基)、アシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、スルファモイル基、脂肪族置換スルファモイル基及びエポキシアルキル基(例、エポキシエチル基)が含まれる。 なかでも、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がさらに好ましい。フッ素置換脂肪族基において、フッ素原子が脂肪族基の水素原子を置換している割合は、50〜100%であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることがさらに好ましく、80〜100%であることがさらにまた好ましく、85〜100%であることが最も好ましい。
脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基の炭素原子数は、7〜35であることが好ましく、8〜30であることがより好ましく、9〜25であることがさらに好ましく、10〜20であることが最も好ましい。脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基は、下記式で表される。
51−(Si(R522−O)q
式中、R51は、水素原子、ヒドロキシル基又は脂肪族基を表し;R52は水素原子、脂肪族基又はアルコキシ基を表し;そして、qは1〜12のいずれかの整数を表す。
51及びR52でそれぞれ表される脂肪族基は、環状脂肪族基よりも鎖状脂肪族基の方が好ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
51及びR52でそれぞれ表される脂肪族基には、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が含まれる。アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基及び置換アルケニル基が好ましく、アルキル基及び置換アルキル基がさらに好ましい。
51及びR52でそれぞれ表される脂肪族基は、置換基を有していてもよく、該置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、置換アルコキシ基(例えば、オリゴアルコキシ基)、アルケニルオキシ基(例、ビニルオキシ基)、アシル基(例、アクリロイル基、メタクリロイル基)、アシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、スルファモイル基、脂肪族置換スルファモイル基及びエポキシアルキル基(例、エポキシエチル基)が含まれる。
52で表されるアルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることがさらにまた好ましい。
以下に、Hbの例を示す。
Hb1:n−C1633
Hb2:n−C2041
Hb3:n−C613−CH(n−C49)−CH2−CH2
Hb4:n−C1225
Hb5:n−C1837
Hb6:n−C1429
Hb7:n−C1531
Hb8:n−C1021
Hb9:n−C1021−CH(n−C49)−CH2−CH2
Hb10:n−C817
Hb11:n−C817
Hb12:CH(CH32−{C36−CH(CH3)}3−C24
Hb13:CH(CH32−{C36−CH(CH3)}2−C36−C(CH3)=CH−CH2
Hb14:n−C817−CH(n−C613)−CH2−CH2
Hb15:n−C613−CH(C25)−CH2−CH2
Hb16:n−C817−CH(n−C49)−CH2
Hb17:n−C817−CF(n−C613)−CF2−CF2
Hb18:n−C37−CF(CF3)−CF2
Hb19:Si(CH32−{Si(CH22−O}6−O−
Hb20:Si(OC37)(C1633)(C24−SO2−NH−C817)−O−
一般式(V)において、L51は、単結合又は二価の連結基を表す。
二価の連結基は、アルキレン基、フッ素置換アルキレン基、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる基であることが好ましい。ここで、Rは、水素原子又は炭素原子数が1〜20のアルキル基であり、水素原子又は炭素原子数が1〜15のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数が1〜12のアルキル基であることがより好ましい。
上記アルキレン基又はフッ素置換アルキレン基の炭素原子数は、1〜40であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20であることがさらに好ましく、1〜15であることがさらにまた好ましく、1〜12であることが最も好ましい。
以下に、L51の例を示す。左側がHbに結合し、右側がB51に結合する。
5110:単結合
5111:−O−
5112:−O−CO−
5113:−CO−C48−O−
5114:−O−C24−O−C24−O−
5115:−S−
5116:−N(n−C1225)−
5117:−SO2−N(n−C37)−CH2CH2−O−
5118:−O−{CF(CF3)−CF2−O}3−CF(CF3)−
一般式(V)において、nは2〜12のいずれかの整数を表す。nは2〜9のいずれかの整数であることが好ましく、2〜6のいずれかの整数であることがより好ましく、2、3又は4であることがさらに好ましく、3又は4であることが最も好ましい。
一般式(V)において、B51は、少なくとも一つの環状構造を含むn価の連結基である。B51は、少なくとも三つの環状構造を含むn価の基であることが好ましく、下記一般式(V−a)で表されるn価の基であることがさらに好ましい。
一般式(V−a):(−Cy51−L52−)nCy52
一般式(V−a)において、Cy51は二価の環状基を表す。Cy51は二価の芳香族炭化水素基又は二価の複素環基を表すのが好ましく、二価の芳香族炭化水素基を表すのがより好ましい。
二価の芳香族炭化水素基とは、アリーレン基及び置換アリーレン基を意味する。
アリーレン基の例には、フェニレン基、インデニレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、フェナントレニレン基、アントリレン基及びピレニレン基が含まれる。フェニレン基及びナフチレン基が好ましい。
置換アリーレン基の置換基の例には、脂肪族基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、プロピルアミノ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基及びウレイド基が含まれる。
また、Hb−L51−に相当する基を、置換基として有してもよい。
Cy51で表される二価の複素環基は、5員、6員又は7員の複素環を有することが好ましい。なかでも、5員環又は6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。
複素環に、他の複素環、脂肪族環又は芳香族炭化水素環が縮合していてもよい。縮合複素環の例には、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドール環、インドリン環、イソインドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、キサンテン環、アクリジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、フェノキサジン環、チアントレン環、インドリジン環、キノリジン環、キヌクリジン環、ナフチリジン環、プリン環及びプテリジン環が含まれる。
二価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、上記置換アリーレン基の置換基の例と同様である。
二価の複素環基は、複素原子(例えば、ピペリジン環の窒素原子)で、L52又は(L52が単結合の場合)分子中心の環状基(Cy52)と結合してもよい。また、結合する複素原子がオニウム塩(例、オキソニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩)を形成していてもよい。
Cy51及び後述するCy52の環状構造が、全体として平面構造を形成していてもよい。
以下に、L51と連結した形でCy51−L52−の具体例を示す。具体例中、複数のHb−L51−に相当する基が二価の芳香族炭化水素基又は二価の複素環基に結合している場合、いずれか一つが前記一般式(V)で定義するHb−L51−であって、残りは二価の芳香族炭化水素基又は二価の複素環基の置換基である。
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一般式(V−a)において、L52は、単結合又はアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。Rは、水素原子又は炭素原子数が1〜30のアルキル基を表す。
52は、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。Rは水素原子又は炭素原子数が1〜20のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子が1〜15のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子又は炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが最も好ましい。
上記アルキレン基の炭素原子数は、1〜40であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20であることがさらに好ましく、1〜15であることがさらにまた好ましく、1〜12であることが最も好ましい。
上記アルケニレン基又はアルキニレン基の炭素原子数は、2〜40であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、2〜20であることがさらに好ましく、2〜15であることがさらにまた好ましく、2〜12であることが最も好ましい。
以下に、L52の例を示す。左側がCy51に結合し、右側がCy52に結合する。
L20:単結合
L21:−S−
L22:−NH−
L23:−NH−SO2−NH−
L24:−NH−CO−NH−
L25:−SO2
L26:−O−NH−
L27:−C≡C−
L28:−CH=CH−S−
L29:−CH2−O−
L30:−N(CH3)−
L31:−CO−O−
一般式(V−a)において、nは2〜12のいずれかの整数を表す。nは2〜9のいずれかの整数であることが好ましく、2〜6のいずれかの整数であることがより好ましく、2、3又は4であることがさらに好ましく、3又は4であることが最も好ましい。
一般式(V−a)において、Cy52は、n価の環状基である。Cy52は、n価の芳香族炭化水素基又はn価の複素環基であることが好ましい。
Cy52で表される芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素環の例には、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環及びピレン環が含まれる。ベンゼン環及びナフタレン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
Cy52で表される芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、脂肪族基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基)、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ基、プロピルアミノ基)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ基)、アシル基(例えば、アセチル基、プロパノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基)、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、カルバモイル基、スルファモイル基およびウレイド基が含まれる。
Cy52で表される複素環基は、5員、6員又は7員の複素環を有することが好ましい。5員環又は6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。前記複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましい。前記複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。前記複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環及びトリアジン環が含まれる。トリアジン環が好ましく、1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
前記複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族炭化水素環が縮合していてもよい。ただし、単環式複素環が好ましい。
以下に、L52と連結した形でCy52の具体例を示す。
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以下に、前記一般式(V)で表される空気界面側の配向制御用添加剤の具体例を示す。
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空気界面側の配向制御用添加剤の添加量としては、二軸性液晶化合物に対して、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01質量%〜10質量%が更に好ましく、0.1質量%〜5質量%が最も好ましい。
[光学異方性層の添加剤]
本発明の光学異方性層には、二軸性液晶化合物の他に、上記の空気界面配向制御剤や任意の添加剤を併用することができる。空気界面配向添加剤以外の添加剤の例としては、ハジキ防止剤、重合開始剤、重合性モノマー等が挙げられる。これらの各種添加剤は、光学異方性層形成用の液晶組成物に必要に応じて適宜添加すればよい。
[ハジキ防止剤]
二軸性液晶化合物とともに使用して、液晶組成物の塗布時のハジキを防止するための材料(ハジキ防止剤)としては、一般にポリマーを好適に用いることができる。
使用するポリマーとしては、二軸性液晶化合物の傾斜角変化や配向を著しく阻害しない限り、特に制限はない。
ポリマーの例としては、特開平8−95030号公報に記載があり、特に好ましい具体的ポリマー例としてはセルロースエステル類を挙げることができる。セルロースエステルの例としては、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース及びセルロースアセテートブチレートを挙げることができる。ディスコティック液晶性化合物の配向を阻害しないように、ハジキ防止目的で使用されるポリマーの添加量は、二軸性液晶化合物に対して一般に0.1〜10質量%の範囲にあり、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
[重合開始剤]
本発明では、液晶化合物はモノドメイン配向、つまり実質的に均一に配向している状態で固定されていることが好ましく、そのため重合性の液晶化合物を用いる場合には重合反応により液晶化合物を固定することが好ましい。
重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応と電子線照射による重合反応とが含まれるが、本発明の場合は、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応と電子線照射による重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液(液晶組成物)の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
二軸性液晶化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、10mJ〜50J/cm2であることが好ましく、50mJ〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達しない場合には、窒素置換等の方法により酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、7%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
[重合性モノマー]
液晶組成物には、重合性のモノマーを添加してもよい。
使用する重合性モノマーとしては、液晶化合物と相溶性を有し、液晶化合物の傾斜角変化や配向阻害を著しく引き起こさない限り、特に限定はない。これらの中では重合活性なエチレン性不飽和基、例えばビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基などを有する化合物が好ましく用いられる。上記重合性モノマーの添加量は、液晶化合物に対して一般に0.5〜50質量%の範囲にあり、1〜30質量%の範囲にあることが好ましい。また反応性官能基数が2以上のモノマーを用いると、配向膜と光学異方性層間の密着性を高める効果が期待できるため、特に好ましい。
[塗布溶剤]
液晶組成物の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、トルエン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
[塗布方式]
光学異方性層は、上記溶媒を用いて液晶組成物の塗布液を調製し配向膜上に塗布し、二軸性液晶化合物を配向処理することで形成する。塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
[配向膜]
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜上に設けられる光学異方性層の二軸性液晶化合物に所望の配向を付与できるのであれば、配向膜としてはどのような層でもよいが、本発明においては、ラビング処理もしくは、光照射により形成される配向膜が好ましい。特にポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、一般にはポリマー層の表面を、紙や布で一定方向に数回擦ることにより実施することができるが、特に本発明では液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法により行うことが好ましい。配向膜の厚さは、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがさらに好ましい。
配向膜に用いられるポリマーは、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。本発明の位相差板に用いられる配向膜は、ポリビニルアルコール及びその誘導体が好ましく用いられる。特に好ましくは、疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向膜については、ディスコティック液晶に用いられている配向膜を二軸性液晶の配向膜として用いることができる。そのような配向膜としては、WO01/88574A1号公報の43頁24行〜49頁8行の記載を参照することができる。
(配向膜のラビング密度)
配向膜のラビング密度と配向膜界面での液晶化合物のプレチルト角との間には、ラビング密度を高くするとプレチルト角は小さくなり、ラビング密度を低くするとプレチルト角は大きくなる関係があるので、配向膜のラビング密度を変えることで、プレチルト角の調整をすることができる。
配向膜のラビング密度を変える方法としては、液晶便覧(丸善(株))に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は式(A)で定量化されている。
式(A):L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。
[透明支持体]
本発明の位相差板の透明支持体としては、主に光学的等方性で、光透過率が80%以上であれば、特に材料の制限はないが、ポリマーフィルムが好ましい。
ポリマーの具体例として、セルロースエステル類(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、ノルボルネン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリレートエステル類のフイルムなどを挙げることができ、多くの市販のポリマーを好適に用いることが可能である。このうち、光学性能の観点からセルロースエステル類が好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下脂肪酸で、炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)又は4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルローストリアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。また、従来知られているポリカーボネートやポリスルホンのような複屈折の発現しやすいポリマーであってもWO00/26705号明細書に記載の分子を修飾することで該発現性を低下させたものを用いることもできる。
以下、透明支持体として好ましく使用されるセルロースエステル(特に、セルロースアセテート)について詳述する。
セルロースエステルとしては、酢化度が55.0〜62.5%であるものを使用することが好ましい。特に酢化度が57.0〜62.0%であることが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
セルロースエステルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
セルロースエステルでは、セルロースの2位、3位、6位の水酸基が全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。セルロースの6位水酸基の置換度が、2位、3位に比べて多いほうが好ましい。全体の置換度に対して6位の水酸基が30%以上40%以下でアシル基で置換されていることが好ましく、さらには31%以上、特に32%以上であることが好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基(例、プロピオニル、ブチリル、バレロイル、ベンゾイル、アクリロイル)で置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求める事ができる。6位水酸基の置換度が高いセルロースエステルは、特開平11−5851号公報の段落番号0043〜0044に記載の合成例1、段落番号0048〜0049に記載の合成例2、段落番号0051〜0052に記載の合成例3の方法を参照して合成することができる。
透明支持体として用いるポリマーフィルム、特にセルロースアセテートフイルムは、レターデーションを調整するために、少なくとも二つの芳香族環を有する芳香族化合物をレターデーション上昇剤として使用することも可能である。このようなレターデーション上昇剤を使用する場合、レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。レターデーション上昇剤は、セルロースアセテート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。
芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性複素環を含む。
芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性複素環は一般に、不飽和複素環である。芳香族性複素環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性複素環は一般に、最多の二重結合を有する。複素原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が好ましく、ベンゼン環及び1,3,5−トリアジン環がさらに好ましい。芳香族化合物は、少なくとも一つの1,3,5−トリアジン環を有することが特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。このようなレターデーション上昇剤についてはWO01/88574A1、WO00/2619A1、特開2000−111914号公報、同2000−275434号公報、特開2002−363343号公報等に記載されている。
セルロースアセテートフイルムは、調製されたセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりを製造することが好ましい。ドープには、前記のレターデーション上昇剤を添加してもよい。
ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100℃から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)を用いて、ドープを2層以上流延することによりフイルム化することもできる。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
複数のセルロースアセテート溶液を流延する場合、支持体の進行方向に間隔をおいて設けた複数の流延口からセルロースアセテートを含む溶液をそれぞれ流延させて、それらを積層させながらフイルムを作製してもよい。例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、及び特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアセテート溶液を流延することによりフイルム化してもよい。例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、及び特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、特開昭56−162617号公報に記載の、高粘度セルロースアセテート溶液の流れを低粘度のセルロースアセテート溶液で包み込み、高粘度及び低粘度のセルロースアセテート溶液を同時に押出すセルロースアセテートフイルムの流延方法を用いてもよい。
セルロースアセテートフイルムは、さらに延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、0〜100%の範囲にあることが好ましい。本発明のセルロースアセテートフイルムを延伸する場合には、テンター延伸が好ましく使用され、遅相軸を高精度に制御するために、左右のテンタークリップ速度、離脱タイミング等の差をできる限り小さくすることが好ましい。
セルロースエステルフィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジ−2−エチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースエステルフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。 劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
セルロースアセテートフイルムは、表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
フイルムの平面性を保持する観点から、これら処理においてセルロースアセテートフイルムの温度をTg(ガラス転移温度)以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
セルロースアセテートフイルムの表面処理は、配向膜などとの接着性の観点から、酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアセテートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
以下、アルカリ鹸化処理を例に、具体的に説明する。
アルカリ鹸化処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。
アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0mol/lの範囲にあることが好ましく、0.5〜2.0mol/lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
また、セルロースアセテートフイルムの表面エネルギーは55mN/m以上であることが好ましく、60〜75mN/mの範囲にあることがさらに好ましい。
表面エネルギーは、前述した光学異方性層の表面エネルギーの算出方法と同様な方法により求めることができる。
セルロースアセテートフイルムの厚さは、通常5〜500μmの範囲が好ましく、20〜250μmの範囲が好ましく、30〜180μmの範囲がより好ましく、30〜110μmの範囲が特に好ましい。
[位相差板]
本発明の位相差板は、偏光膜と組み合わせて楕円偏光板の用途に供することができる。さらに、透過型液晶表示装置に、偏光膜と組み合わせて適用することにより、視野角の拡大に寄与する。
以下に、本発明の位相差板を利用した楕円偏光板及び液晶表示装置について説明する。
[楕円偏光板]
本発明の位相差板と偏光膜を積層することによって楕円偏光板を作製することができる。本発明の位相差板を利用することにより、液晶表示装置の視野角を拡大しうる楕円偏光板を提供することができる。
前記偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
偏光膜は位相差板の光学異方性層側に積層する。偏光膜の光学補償シートを積層した側と反対側の面に透明保護膜を形成することが好ましい。透明保護膜は、光透過率が80%以上であるのが好ましい。透明保護膜としては、一般にセルロースエステルフィルム、好ましくはトリアセチルセルロースフィルムが用いられる。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明保護膜の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがさらに好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の位相差板の利用により、視野角が拡大された液晶表示装置を提供することができる。TNモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)は、特開平6−214116号公報、米国特許5583679号、同5646703号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に記載がある。また、IPSモード又はFLCモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982号公報に記載がある。さらに、OCBモード又はHANモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許5805253号明細書及び国際公開WO96/37804号公報に記載がある。さらにまた、STNモードの液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に記載がある。
本発明において、前記記載の公報を参考にして各種のモードの液晶セル用位相差板(光学補償シート)を作製することができる。本発明の位相差板は、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Super Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)モードのような様々な表示モードの液晶表示装置に用いることができる。
本発明の位相差板は、液晶相の最も小さい屈折率の方向が透明支持体の法線と実質的に平行であるので、VAモードの液晶表示装置に用いると特に効果がある。
液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子及び位相差板(光学補償シート)からなる。偏光素子は、一般に偏光膜と保護膜からなる。偏光膜と保護膜については、上記楕円偏光板で説明したものを用いることができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
4,4’−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)ビフェニル(m−40)の合成。
下記スキームにしたがい合成することができる。
Figure 2004231641
(1)合成中間体:2,3,4−トリ(4−アセチルオキシブチルオキシ)ベンズアルデヒドの合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド(14.5g)、炭酸カリウム(51.3g)、4−クロロブチルアセテート(46.8)g及びジメチルホルムアミド(DMF)200mLを入れ、120℃で5時間攪拌した。冷却後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(43.7g)を得た。収率91%。
(2)合成中間体:2,3,4−トリ(4−ヒドロキシブチルオキシ)桂皮酸の合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリ(4−アセチルオキシブチルオキシ)ベンズアルデヒド(40.0g)、マロン酸(10.6g)、ピペリジン(1ml)及びピリジン100mLを加え、110℃で5時間攪拌した。冷却後、水(500ml)と水酸化カリウム(26.0g)を加え、60℃で2時間攪拌した。冷却後、反応液が酸性になるまで、濃塩酸を加え、酢酸エチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(30.1g)を得た。収率90%。
(3)合成中間体:2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)桂皮酸の合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリ(4−ヒドロキシブチルオキシ)桂皮酸(30.1g)、アクリル酸クロリド(7.6g)、N,N−ジメチルアニリン(11.1g)及びテトラヒドロフラン500mLを加え、60℃で5時間攪拌した。冷却後、反応液をエチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(39.3g)を得た。収率95%。
(4)4,4’−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)ビフェニル(m−40)の合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)桂皮酸(10.0g)、塩化チオニル(6.1g)、ジメチルホルムアミド(0.01g)及びトルエン30mLを加え、40℃で30分間攪拌した。冷却後、トルエン及び過剰の塩化チオニルを留去し、テトラヒドロフラン100mlを加えた。この反応液に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(1.6g)を加え、5℃まで冷却し、トリエチルアミン(2.8mL)を滴下し、次いで4−ジメチルアミノピリジン(0.1g)を加え、25℃まで加温し5時間攪拌した。その後、水(500mL)に反応液を加え、析出した結晶を濾過した。この結晶をジメチルアセトアミド(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.8mL)を加え60℃で1時間攪拌した。冷却後、反応液をエチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(9.5g)を得た。収率85%。得られたm−40のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.80−2.00(24H、m)、
4.00−4.15(12H、m)、
4.15−4.30(12H、m)、
5.70−5.90(6H、m)、
6.05−6.20(6H、m)、
6.35−6.45(6H、m)、
6.60(2H、d)、
6.71(2H、d)、
7.24(4H、d)、
7.35(2H、d)、
7.60(4H、d)、
8.10(2H、d)。
(5)m−40の液晶性の確認
上記で合成した4,4’−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)ビフェニル(m−40)について、DSC(示差走査熱量計)及び偏光顕微鏡にて液晶相の変化を観察した。その結果、68〜74℃の範囲でネマチック相を発現することがわかった。発現したネマチック相はそのテクスチャーから二軸性ネマチック相(Nb相)であることがわかる。
[実施例2]
2,6−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ナフタレン(m−32)の合成。
下記スキームにしたがい合成することができる。
Figure 2004231641
実施例1の2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)桂皮酸と2,6−ジヒドロキシナフタレンから実施例1と同様の方法により、標題化合物(m−32)を合成した。得られたm−32のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
1.80−2.00(24H、m)、
4.00−4.15(12H、m)、
4.15−4.30(12H、m)、
5.70−5.90(6H、m)、
6.05−6.20(6H、m)、
6.35−6.45(6H、m)、
6.64(2H、d)、
6.73(2H、d)、
7.33(2H、dd)、
7.36(2H、d)、
7.65(2H、d)、
7.85(2H、d)、
8.13(2H、d)。
m−32の液晶性の確認:
上記で合成した2,6−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ナフタレン(m−32)について、DSC(示差走査熱量計)及び偏光顕微鏡にて液晶相の変化を観察した。その結果、昇温時は41℃で結晶から等方性の液体に転移し液晶性が確認できなかったが、降温時は25℃以下でネマチック相を発現した。発現したネマチック相はそのテクスチャーから二軸性ネマチック相(Nb相)であることがわかる。
[実施例3]
2,6−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシエチルオキシ)ナフタレン(m−31)の合成。
下記スキームにしたがい合成することができる。
Figure 2004231641
2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒドと2−クロロエチルアセテートから実施例1と同様の方法で、2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシエチルオキシ)桂皮酸を合成した。その後、2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシエチルオキシ)桂皮酸と2,6−ジヒドロキシナフタレンから実施例1と同様の方法により、標題化合物(m−31)を合成した。得られたm−31のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
4.25−4.35(8H、m)、
4.40−4.50(12H、m)、
4.57(4H、t)、
5.65−5.90(6H、m)、
6.15−6.25(6H、m)、
6.45−6.50(6H、m)、
6.68(2H、d)、
6.76(2H、d)、
7.33(2H、dd)、
7.37(2H、d)、
7.65(2H、d)、
7.85(2H、d)、
8.16(2H、d)。
m−31の液晶性の確認:
上記で合成した2,6−ジ(2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシエチルオキシ)ナフタレン(m−31)について、DSC(示差走査熱量計)及び偏光顕微鏡にて液晶相の変化を観察した。その結果、昇温時は130℃で結晶から等方性の液体に転移し液晶性が確認できなかったが、降温時は40℃以下でネマチック相を発現した。発現したネマチック相はそのテクスチャーから二軸性ネマチック相(Nb相)であることがわかる。
[実施例4]
4,4’−ジ(2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)ビフェニル(m−43)の合成。
下記スキームにしたがい合成することができる。
Figure 2004231641
(1)合成中間体:2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アセチルオキシブチルオキシ)ベンズアルデヒドの合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド(8.5g)、炭酸カリウム(36g)、4−クロロブチルアセテート(8.2)g及びジメチルホルムアミド(DMF)100mLを入れ、120℃で5時間攪拌した。その後、1−ヘキシルブロミド(18.9g)を添加し、更に120℃で5時間攪拌した。冷却後、反応液を酢酸エチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(6.3g)を得た。収率28%。
(2)合成中間体:2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アセチルオキシブチルオキシ)桂皮酸の合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリ(4−アセチルオキシブチルオキシ)ベンズアルデヒド(6.3g)、マロン酸(2.25g)、ピペリジン(0.5ml)及びピリジン20mLを加え、115℃で4時間攪拌した。冷却後、水(200ml)と水酸化カリウム(4.0g)を加え、60℃で2時間攪拌した。冷却後、反応液が酸性になるまで、濃塩酸を加え、酢酸エチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(6.2g)を得た。収率98%。
(3)合成中間体:2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)桂皮酸の合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリ(4−ヒドロキシブチルオキシ)桂皮酸(6.2g)、アクリル酸クロリド(1.3ml)、N,N−ジメチルアニリン(2.1g)及びテトラヒドロフラン100mLを加え、60℃で5時間攪拌した。冷却後、反応液をエチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(6.0g)を得た。収率86%。
(4)4,4’−ジ(2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)ビフェニル(m−43)の合成。
三口フラスコに、2,3,4−トリ(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)桂皮酸(2.5g)、塩化チオニル(1.5g)、ジメチルホルムアミド(0.01g)及びトルエン30mLを加え、40℃で30分間攪拌した。冷却後、トルエン及び過剰の塩化チオニルを留去し、テトラヒドロフラン20mlを加えた。この反応液に、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(0.34g)を加え、5℃まで冷却し、トリエチルアミン(0.6mL)を滴下し、次いで4−ジメチルアミノピリジン(0.01g)を加え、25℃まで加温し5時間攪拌した。その後、水(200mL)に反応液を加え、析出した結晶を濾過した。この結晶をジメチルアセトアミド(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.6mL)を加え60℃で1時間攪拌した。冷却後、反応液をエチルで抽出し、水洗した。抽出液を濃縮後、カラムクロマトグラフィーで精製を行い、標題化合物(2.0g)を得た。収率85%。得られたm−43のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
0.80−1.00(12H、m)、
1.20−1.40(16H、m)、
1.50-1.60(8H、m)、
1.75−1.85(8H、m)、
1.85−2.00(8H、m)、
3.98(4H、t)、
4.00−4.15(8H、m)、
4.26(4H、t)、
5.70−5.90(6H、m)、
6.05−6.20(6H、m)、
6.35−6.45(6H、m)、
6.60(2H、d)、
6.70(2H、d)、
7.23(4H、d)、
7.33(2H、d)、
7.59(4H、d)、
8.13(2H、d)。
(5)m−43の液晶性の確認
上記で合成した4,4’−ジ(2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)シンナモイルオキシ)ビフェニル(m−43)について、DSC(示差走査熱量計)及び偏光顕微鏡にて液晶相の変化を観察した。その結果、93〜107℃の範囲でネマチック相を発現することがわかった。発現したネマチック相はそのテクスチャーから二軸性ネマチック相(Nb相)であることがわかる。
[実施例5]
2,6−ジ(2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ナフタレン(m−35)の合成。
下記スキームにしたがい合成することができる。
Figure 2004231641
実施例4の2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)桂皮酸と2,6−ジヒドロキシナフタレンから実施例4と同様の方法により、標題化合物(m−35)を合成した。得られたm−35のNMRスペクトルは以下の通りである。
1H−NMR(溶媒:CDCl3、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):
0.80−1.00(12H、m)、
1.20−1.40(16H、m)、
1.50-1.60(8H、m)、
1.75−1.85(8H、m)、
1.85−2.00(8H、m)、
3.97(4H、t)、
4.00−4.15(8H、m)、
4.26(4H、t)、
5.70−5.90(6H、m)、
6.05−6.20(6H、m)、
6.35−6.45(6H、m)、
6.63(2H、d)、
6.73(2H、d)、
7.32(2H、dd)、
7.36(2H、d)、
7.64(2H、d)、
7.84(2H、d)、
8.12(2H、d)、
m−35の液晶性の確認:
上記で合成した2,6−ジ(2,3−ジヘキシルオキシ−4−(4−アクリロイルオキシブチルオキシ)ナフタレン(m−35)について、DSC(示差走査熱量計)及び偏光顕微鏡にて液晶相の変化を観察した。その結果、昇温時は98℃で結晶から等方性の液体に転移し液晶性が確認できなかったが、降温時は73℃以下でネマチック相を発現した。発現したネマチック相はそのテクスチャーから二軸性ネマチック相(Nb相)であることがわかる。
[実施例6]
−位相差板の作製−
(透明支持体の作製)
下記の成分をミキシングタンクに投入し、加熱攪拌して、セルロースアセテート溶液(ドープ)を調製する。
(セルロースアセテート溶液組成)
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルフォスフェート 6.5質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5.2質量部
下記のレターデーション上昇剤(1) 0.1質量部
下記のレターデーション上昇剤(2) 0.2質量部
メチレンクロライド 310.25質量部
メタノール 54.75質量部
1−ブタノール 10.95質量部
Figure 2004231641
Figure 2004231641
上記ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に流延する。溶媒含有率70質量%の状態で剥ぎ取り、フイルムの幅方向の両端をピンテンターで固定し、溶媒含有率が3〜5質量%の領域で、幅方向(長手方向に垂直な方向)の延伸率が3%となる間隔を保ちつつ乾燥する。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、120℃を越える領域で長手方向の延伸率が実質0%、(剥ぎ取り時に長手方向に4%延伸することを考慮して)幅方向の延伸率と長手方向の延伸率との比が0.75となるように調整して、厚さ100μmのセルロースアセテートフイルムを作製する。作製したフイルムのレターデーションは、波長632.8nmで測定したところ、厚み方向のレターデーションが40nmで、面内のレターデーションが4nmである。作製したセルロースアセテートフイルムは透明支持体として用いる。
(第1下塗り層の形成)
透明支持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2塗布し、乾燥して、第1下塗り層を形成する。
(第1下塗り層塗布液組成)
ゼラチン 5.42質量部
ホルムアルデヒド 1.36質量部
サリチル酸 1.60質量部
アセトン 391質量部
メタノール 158質量部
メチレンクロライド 406質量部
水 12質量部
(第2下塗り層の形成)
第1下塗り層の上に、下記の組成の塗布液を7ml/m2塗布し、乾燥して、第2下塗り層を形成する。
(第2下塗り層塗布液組成)
下記のアニオン性ポリマー 0.79質量部
クエン酸モノエチルエステル 10.1質量部
アセトン 200質量部
メタノール 877質量部
水 40.5質量部
Figure 2004231641
(バック層の形成)
透明支持体の反対側の面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2塗布し、乾燥して、バック層を形成する。
(バック層塗布液組成)
酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56質量部
シリカ系マット剤(平均粒子サイズ:1μm) 0.65質量部
アセトン 679質量部
メタノール 104質量部
(配向膜の形成)
下記変性ポリビニルアルコールとグルタルアルデヒド(変性ポリビニルアルコールの5質量%)とを、メタノール/水の混合溶媒(容積比=20/80)に溶解して、5質量%の溶液を調製する。
Figure 2004231641
この溶液を、第2下塗り層の上に塗布し、100℃の温風で120秒間乾燥した後、ラビング処理を行い配向膜層を形成する。得られた配向膜層の膜厚は0.5μmである。配向膜のラビング方向は、透明支持体の流延方向と平行である。
(光学異方性層の形成)
上記のラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布する。
(光学異方性層塗布液)
空気界面配向制御剤 v−(20) 0.2質量部
二軸性液晶性化合物 m−40 100質量部
下記の光重合開始剤 HJ−1 2.0質量部
Lucirin TPO−L(BASF社(製)) 2.0質量部
メチルエチルケトン 300質量部
Figure 2004231641
上記の光学異方性層塗布液を塗布したフイルムを、70℃の恒温槽中に入れ、約20秒間かけて60℃まで加熱し、そのまま30秒間保持した後、次いで、酸素濃度2%の50℃の恒温槽に入れ、30秒後に600mJの紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定する。室温まで放冷して、光学異方性層を形成し、位相差板を作製する。光学異方性層の厚さは1.82μmである。
得られる位相差板の光学異方性層における二軸性の判断と傾斜角の判断を自由台座を備えた偏光顕微鏡で行う。二軸性を示すこと、そして最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向とほぼ一致し、且つその方向が透明支持体の厚さ方向でほとんど変化しないことが確認できる。
[実施例7]
空気界面配向制御剤をV−(18)に変更する以外は、実施例6と同様にして位相差板を作製する。二軸性の判断と、傾斜角の判断を実施例6と同様の方法で行う。二軸性を示すこと、そして最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向とほぼ一致し、且つその方向が透明支持体の厚さ方向でほとんど変化しないことが確認できる。
[実施例8]
実施例6で作製したラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布する。
(光学異方性層塗布液)
空気界面配向制御剤 v−(20) 0.1質量部
下記二軸性液晶性化合物 NI−1 100質量部
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 5.0質量部
上記の光重合開始剤 HJ−1 2.0質量部
Lucirin TPO−L(BASF社(製)) 2.0質量部
メチルエチルケトン 300質量部
Figure 2004231641
上記の光学異方性層塗布液を塗布したフイルムを、140℃の恒温槽中に入れ、約30秒間かけて130℃まで加熱し、そのまま30秒間保持した後、次いで、酸素濃度2%の80℃の恒温槽に入れ、30秒後に600mJの紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定する。室温まで放冷して、光学異方性層を形成し、位相差板を作製する。形成した光学異方性層の厚さは1.90μmである。二軸性の判断と、傾斜角の判断を実施例6と同様の方法で行う。二軸性を示すこと、そして最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向とほぼ一致し、且つその方向が透明支持体の厚さ方向でほとんど変化しないことが確認できる。
[実施例9]
実施例6で作製したラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布する。
(光学異方性層塗布液)
二軸性液晶性化合物 m−43 100質量部
上記の光重合開始剤 HJ−1 2.0質量部
Lucirin TPO−L(BASF社(製)) 2.0質量部
メチルエチルケトン 300質量部
上記の光学異方性層塗布液を塗布したフイルムを、95℃の恒温槽中に入れ、約30秒間かけて90℃まで加熱し、そのまま30秒間保持した後、次いで、酸素濃度2%の80℃の恒温槽に入れ、30秒後に600mJの紫外線を照射して光学異方性層の配向状態を固定する。室温まで放冷して、光学異方性層を形成し、位相差板を作製する。形成した光学異方性層の厚さは1.90μmである。二軸性の判断と、傾斜角の判断を実施例6と同様の方法で行う。二軸性を示すこと、そして最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向とほぼ一致し、且つその方向が透明支持体の厚さ方向でほとんど変化しないことが確認できる。
[実施例10]
実施例6で作製したラビングした配向膜上に、下記の組成を有する光学異方性層塗布液を、#4のワイヤーバーを用いて塗布する。
(光学異方性層塗布液)
二軸性液晶性化合物 P−3 100質量部
メチルエチルケトン 300質量部
上記の光学異方性層塗布液を塗布したフイルムを、60℃の恒温槽中に入れ、約30秒間かけて50℃まで加熱し、そのまま60秒間保持した後、20℃の金属ローラーに接触させることでガラス状態とし配向状態を固定し光学異方性層を形成し、位相差板を作製する。形成した光学異方性層の厚さは1.90μmである。二軸性の判断と、傾斜角の判断を実施例6と同様の方法で行う。二軸性を示すこと、そして最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向とほぼ一致し、且つその方向が透明支持体の厚さ方向でほとんど変化しないことが確認できる。
[実施例11]
空気界面配向制御剤をV−(20)を添加しない以外は、実施例6と同様にして位相差板を作製する。二軸性の判断と、傾斜角の判断を実施例6と同様の方法で行う。光学異方性層の最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向に対して、傾斜していることが確認できる。
[実施例12]
紫外線照射時の酸素濃度を、18%に変更した以外は、実施例6と同様にして位相差板を作製する。得られた位相差板の表面の膜強度は、酸素濃度2%で紫外線照射した場合と比較して弱くなっていることが確認できる。
なお、膜強度については、位相差板の表面(光学異方性層側)に実際に触れてみた感触で、強度が強いか弱いか判断して評価する(実施例6〜11、比較例1も同様)。
[比較例1]
空気界面配向制御剤をV−(20)を添加しない以外は、実施例8と同様にして位相差板を作製する。二軸性の判断と、傾斜角の判断を実施例6と同様の方法で行う。光学異方性層の最も屈折率が小さい方向が透明支持体の法線方向に対して、傾斜していることが確認できる。
以上の実施例6〜12及び比較例1の位相差板の光学異方性層についてまとめると下記表1のようになる。
Figure 2004231641
上記表1に示す結果から、低分子の二軸性液晶化合物と空気界面制御剤を含有する実施例6〜8の位相差板の光学異方性層では、いずれの場合においても、薄膜の屈折率が最も小さい方向がほぼフイルム平面の法線方向にあり、本発明の目的を達成できていることが分かる。
また、本発明の化合物を用いた実施例9、そして高分子の二軸性液晶液晶化合物を用いた実施例10においても、薄膜の屈折率が最も小さい方向がほぼフイルム平面の法線方向にあり、本発明の目的を達成できていることが分かる。
一方で、比較例1では、屈折率が最も小さい方向がほぼフイルム平面の法線方向から傾斜しており、本目的を達成し得ないことが分かる。
更に、紫外線照射時に酸素濃度が低い実施例6、7および11は、いずれの場合においても、酸素濃度の高い実施例12と比較して膜強度が高く、本発明の目的を達成できていることが分かる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(B−1)で表される化合物。
    一般式(B−1)
    Figure 2004231641
    一般式(B−1)中、
    Aは、二価の環状基、−O−、−CO−、−NH−、−N=CH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
    21、L22は、それぞれ独立に、少なくとも−CH=CH−、−N=CH−又は−C≡C−を含む二価の連結基を表す。
    1、X2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素原子数が1乃至12のアルキル基、炭素原子数が1乃至12のアルコキシ基、炭素原子数が2乃至13のアシル基、炭素原子数が2乃至12のアルキルアミノ基及び炭素原子数が2乃至13のアシルオキシ基からなる群より選ばれる原子又は基を表す。
    l及びmは、それぞれ独立に、0乃至2の整数を表す。
    11、L12、L13、L14、L15、L16は、それぞれ独立に、−O−、−CO−、−NH−、−N=CH−、−S−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
    11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16は、それぞれ独立に、重合性基又は水素原子を表し、Q11、Q12、Q13、Q14、Q15、Q16の少なくとも一つは重合性基を表す。
  2. 透明支持体上に、液晶化合物から形成される少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、液晶化合物が請求項1に記載の化合物であることを特徴とする位相差板。
  3. 透明支持体上に、二軸性液晶相を発現する液晶化合物から形成される少なくとも一層の光学異方性層を有する位相差板であって、
    液晶化合物が、重合性化合物及び/又は高分子化合物であり、
    二軸性液晶相の最も屈折率が小さい方向が、透明支持体の法線方向とほぼ一致する、
    ことを特徴とする位相差板。
  4. 重合性化合物が請求項1に記載の化合物であることを特徴とする請求項3に記載の位相差板。
  5. 高分子化合物が請求項1に記載の化合物を部分構造に含む高分子化合物であることを特徴とする請求項3に記載の位相差板。
  6. 光学異方性層が、下記一般式(V)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の位相差板。
    一般式(V):(Hb−L51−)nB51
    一般式(V)中、Hbは、炭素原子数が6〜40の脂肪族基又は炭素原子数が6〜40の脂肪族置換オリゴシロキサノキシ基を表す。L51は、単結合又は二価の連結基を表す。nは2〜12のいずれかの整数を表す。B51は、少なくとも一つの環状構造を含むn価の連結基を表す。
  7. 配向膜上に、二軸性液晶相を発現する重合性化合物と光重合開始剤とを含む液晶組成物を塗布し、前記重合性化合物をモノドメイン配向させた後、酸素濃度7%以下の雰囲気下で紫外線照射により重合させて重合性化合物の配向を固定することを特徴とする光学異方性層の形成方法。
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