JP2004231633A - 可塑性かつ弾性のタンパク質コポリマー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、選択された可塑性特性および弾性特性を有する合成タンパク質コポリマーを提供し、この合成タンパク質コポリマーは、少なくとも1つの親水性ブロックおよび少なくとも1つの疎水性ブロックを含む。1つの実施形態において、上記タンパク質コポリマーは、第一の疎水性末端ブロック、第二の疎水性末端ブロックおよび中間の親水性ブロックを有し、この第一および第二の末端ブロックは実質的に同一である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
(政府の基金に対する言及)
本発明に至った研究は、少なくとも一部は、National Science Foundation助成金NSF:EEC−9731643 E−15−AO1−G1を通じて合衆国政府によって資金提供された。合衆国政府は、本発明に一定の権利を有し得る。
【0002】
【従来の技術】
(背景)
規定された物理的特性を有するポリマーについての需要は高まり続けており、結果として、特有の化学的特性および力学的特性を有する別個のポリマー鎖が共有結合される、ブロック共重合のような合成方法を生じた。このような方法が、分子組成、構造、および組織化の正確な制御を提供する。例えば、ABA−トリブロックコポリマーは、A−ブロックを溶解するが、B−ブロックとは不適合性である溶媒中に混合された場合、ミセルへと凝集するかまたは自己アセンブルする(Tuzar ZおよびKratochvil P,1976,Adv.Coll.Int.Sci.6:201(非特許文献1))。
【0003】
ゲルを作製することは可能であるが、コポリマー鎖を真に架橋して網状構造を形成するということは生じない。しかし、B−ブロックのみに特異的な溶媒に混合すると、見かけの架橋または物理的な架橋(溶媒膨潤中心ブロックを接続する)として機能する、不溶性のエンド(末端)ブロックから構成される真の網状構造が生成され得る(Raspaudら,1994,Macromolecules 27:2956(非特許文献2))。このタイプのトリブロックコポリマー(例えば、熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマー)は、伝統的に従来の有機モノマーから誘導されており、これらは、有機溶媒中で凝集挙動を示す。
【0004】
しかし、生物学的適用については、ブロックコポリマーのナノスケールレベルまたはマイクロスケールレベルでの組織化が好ましくは、生理学的に適合性の溶媒(例えば、水ベースの溶媒)について求められる。これは、疎水性鎖および親水性鎖のブロックを含む、両親媒性ブロックコポリマーの発達をもたらしてきた(Alexandridis,P.,およびLindman,B.編、Amphiphilic Block Copolymers,Elsevier,Amsterdam,2000(非特許文献3);Nowak,A.P.ら、2002,Nature 417,424〜428(非特許文献4);Pochan,D.J.ら、2002,Macromolecules 35,5358〜5360(非特許文献5))。それにもかかわらず、これらの材料の合成レパートリーは、得られた微小構造の機能的複雑性を潜在的に制限する、均一の順序のテーパー状のブロックに限定されてきた。
【0005】
合成ポリペプチドの遺伝子操作の出現(Ferrari FおよびCappello J,1997,Protein−Based Materials(McGrath,K.,およびKaplan,D.編)、第2章、Birkhaeuser,Boston(非特許文献6))は近年、個々のブロックが異なる力学的特性、化学的特性、および生物学的特性を有し得る、複雑なペプチド配列から構成されるブロックコポリマーの調製を可能にした(Petka WAら、1998(非特許文献7))。組成的に、構造的に、そして空間的に異なるドメインへとタンパク質ブロックを分けること(segregation)が、合成ブロックコポリマー中での様式と類似の様式で行われ、これにより、ナノスケールからメソスケールのサイズ範囲で、順序付けられた構造が提供される。
【0006】
40年を超す研究にもかかわらず、臨床的に耐久性のある、小径の動脈補綴物は、依然として達成できない目標のままである。動脈壁の生体適合性等価物を再生することに向けられたいくつかのアプローチとしては、以下が挙げられた:(i)内皮細胞と平滑筋細胞との層化した共存培養(Weinberg CB,Bell E.,Science 1986;231:397〜400(非特許文献8));(ii)インビトロにおける、合成ポリマー(例えば、発泡PTFE)の内皮細胞化(Herring MB,Dilley R,Jersild RAJ,Boxer L,Gardner A,Glover J.,Ann Surg 1979;190:84〜90(非特許文献9));および(iii)合成ポリマーまたは組織ベースの足場を内皮細胞の内部裏打ちで被覆するためのインビボにおいて誘導された経壁的な新脈管形成(以下を参照のこと:Gray JL,Kang SS,Zenni GC,Kim DU,Kim PI,Burgess WHら、FGF−1 affixation stimulates ePTFE endothelialization withoutintimal hyperplasia.J.Surg Res 1994;57(5):596〜612(非特許文献10);Greisler HP,Cziperle DJ,Kim DU,Garfield JD,Petsikas D,Murchan PMら、Enhanced endothelialization of expanded polytertafluoroethylene grafts by fibroblast growth factor type 1 pretreatment.Surgery1992;112(2):244〜54(非特許文献11);Golden MA,Hanson SR,Kirkman TR,Schneider PA,Clowes AW.Healing of polytetrafluoroethylene arterial grafts is influenced by graft porosity.J Vasc Surg 1990;11(6):838〜44;discussion 45(非特許文献12))。これらのストラテジーは、ある程度成功したが、臨床的に耐久性のデバイスは得られなかった。
【0007】
生体材料として、エラスチン模倣性タンパク質ポリマーは大部分、タンパク質溶液の化学、酵素、およびγ線照射を媒介する架橋によって、種々の形態(シートおよび管状構造体を含む)のエラストマー性ヒドロゲルへと処理された(Urry DW,Pattanaik A.Elastic protein−based materials in tissue reconstruction.Ann NY Acad Sci 1997;831:32〜46(非特許文献13);Urry DW,Pattanaik A,AccavittiMA,Luan CX,McPherson DT,Xu Jら、Transductional elastic and plastic protein−based polymers as potential medical devices.,Domb AJ,Kost J,Wiseman DM(編者)、Handbook of Biodegradable Polymers.Amsterdam:Harwood; 1997.第367−86頁(非特許文献14))。同様に、I型コラーゲンは、乾燥粉末もしくはスラリー(溶液相架橋後のヒドロゲル)へと処理された後に、または凍結乾燥後の他の成分の添加を伴うかもしくは伴わない多孔性マトリックスとして、のいずれかで優先的に使用された(Silver FH,Garg AK.Collagen:Characterization,processing and medical applications.:Domb AJ,Kost J,Wiseman DM,編者、Handbook of BiodegradablePolymers.Amsterdam:Harwood;1997.第319−46頁(非特許文献15))。それにもかかわらず、それは、コラーゲンおよびエラスチンが、組織の主な構成要素を構成する、同様に組み込まれた繊維網状構造である。
【0008】
従って、遺伝子操作された組み換え体として生成されたときの、マトリックスタンパク質に関して、繊維網状構造に再形成された場合、組織操作適用のための足場としての汎用性が、十分に望ましいか否かについて、疑問が残る。
【0009】
血管壁の構造的特徴は位置によって変化するが、大動脈中膜の層状単位は、動脈壁の超微細構造の考慮に基づく生体補綴物の設計のための有用な出発点を提供する(Wolinsky H,Glagov S.A lamellar unit of aortic medial structure and function in mammals.Circ Res 1967;20:99〜111;Clark JM,Glagov S.Transmural organization of the arterial media:The lamellar unit revisited.Arteriosclerosis 1985;5:19−34(非特許文献16);Dingemans KP,Teeling P,Lagendijk JH,Becker AE.Extracellular matrix of the humanaortic media;An ultrastructural histochemical and immunohistochemical study of the adult aortic media.Anat Record 2000;258:1−14(非特許文献17))。特徴的には、エラスチン、I型コラーゲン、および平滑筋細胞の交互の層は、反復する層状単位を構成する。ここでコラーゲンの幾何学的パターンおよびローディングパターンが、高いひずみでの機械的応答を支配するが、エラスチン繊維網状構造の挙動が、低いひずみでの機械的挙動を決定する(Roach MR,BurtonAL.The reason for the shape of the distensibility curves of arteries.Can J Biochem Physiol 1957;35:681〜90(非特許文献18);Humphrey JD.Mechanics of thearterial wall:review and directions.Critical Rev Biomed Eng 1995;23(1〜2):1〜162(非特許文献19))。要するに、コラーゲン繊維網状構造は、高いひずみでの変形を制限することによって重要な機能を果たし、血管壁の不可避的な破壊を伴う動脈瘤形成を防ぐ。コラーゲンと対照的に、エラスチンはかなり弱く、軟性であり、そして破裂せずに、重大な変形を受け得る。特に、エラスチンはまた、非常に弾力性であり、サイクリックローディングの間、非常にわずかなエネルギーが蓄えられている(Apter JT,Marquez E.Arelation between hysteresis and other visco elastic properties of some biomaterials.Biorheology 1968;5(4):285−301(非特許文献20); Urry DW,Haynes B,Thomas D,Harris RD.A method for fixation of elastin demonstrated by stress/strain characterization.Biochem Biophys Res Comm 1988;151(2):686〜92(非特許文献21))。従って、エラスチンの網目構造は、コラーゲン、エラスチン、または他の構造的成分の熱誘導分解に起因する、破局的な組織の不全を経時的にもたらす、熱として伝達されるエネルギーの散逸(損失)を最小にすることによって、反復して力が負荷される組織の耐久性を最大化する。タンパク質網目構造系の統合された性質はまた、最適な平滑筋および内皮細胞の機能について特有の生体力学的な微小環境を確立することは注目すべきことである(51〜53)。現在の無細胞性のマトリックス生体補綴物は、主にエラスチンタンパク質網目構造の損失または分解に起因して、ネイティブの血管の特性と比べて遜色のない力学的特性は有さない。
【0010】
エラスチン(可溶性前駆体トロポエラスチンから誘導される)は、脊椎動物組織に広く分布しており、これらの組織においてエラスチンは、架橋を形成するアラニンリッチ、リジン含有ドメインと交互になった、種々の長さの反復性グリシンリッチ疎水性エラストマー性ドメインから構成される(Sandberg LB,Soskel NT,Leslie JG.Elastin structure,biosynthesis,and relation to disease states.New Eng J Med 1981;304(10):566〜79(非特許文献22);Indik Z,Yeh H,Ornstein−Goldstein N,Sheppard P,Anderson N,Rosenbloom JCら、Alternative splicing of human elastin mRNA indicated by sequence analysis of cloned genomic and complementary DNA.Proc Nat Acad Sci USA 1987;84(16):5680〜4(非特許文献23);Rosenbloom J,Abrams WR,Indik Z,Yeh H,Ornstein−Goldstein N,Bashir MM.Structure of the elastin gene.Ciba Foundation Symp 1995;192:59〜74(非特許文献24))。しかし、ネイティブなエラスチンの固有の不溶性によって、エラスチンを精製し、そして生体医学適用または工業適用に適切な形態に処理する能力が制限された。この限界は、エラストマードメインの構造的特徴付けによって部分的に克服された。詳細には、配列分析によって、共通のテトラペプチド(VPGG)、ペンタペプチド(VPGVG)、およびヘキサペプチド(APGVGV)反復モチーフの存在が明らかになった(Gray WR,Sandberg LB,Foster JA.Molecular model for elastin structure and function.Nature 1973;246(5434):461〜6(非特許文献25);Urry DW,Mitchell LW,Ohnishi T.Studies on the conformation and interactions of elastin secondary structure of syntheticrepeat hexapeptides.Biochimica et Biophysica Acta 1975;393(2):296〜306(非特許文献26);Sandberg LB,Gray WR,Foster JA,Torres AR,Alvarez VL,Janata J.Primary structure of porcine tropoelastin.Adv Exp Med Biol 1977;79:277〜84(非特許文献27);Rapaka RS,Okamoto K,Urry DW.Non−elastomeric polypeptide models ofelastin.Synthesis of polyhexapeptides and a cross−linked polyhexapeptide.Inter J Pept Protein Res 1978;11(2):109〜27(非特許文献28);Urry DW,Harris RD,Long MM,Prasad KU.Polytetrapeptide of elastin.Temperature−correlated elastomeric force and structure development.Inter J Pept Protein Res 1986;28(6):649〜60(非特許文献29);Broch H,Moulabbi M,Vasilescu D,Tamburro AM.Quantum molecular modeling of the elastinic tetrapeptide Val−Pro−Gly−Gly.J Biomol Structure Dynamics 1998;15(6):1073−91(非特許文献30))。著しいことに、ペンタペプチドのポリマーのみが弾性の挙動を示し、ネイティブなエラスチンの特徴と一致する顕微鏡的特徴(非常に移動可能な骨格、およびβターンの存在、および緩いらせん状βスパイラル)を有する(Urry DW,Long MM,Cox BA,OhnishiT,Mitchell LW,Jacobs M.The synthetic polypentapeptide of elastin coacervates and forms filamentous aggregates.Biochimica et Biophysica Acta 1974;371(2):597〜602(非特許文献31);Urry DW,Long MM.On the conformation,coacervation and function of polymeric models of elastin.Adv Exper Med Biology 1977;79:685〜714(非特許文献32);Urry DW,Luan CH,Peng SQ.Molecular biophysics of elastin structure,function and pathology.Ciba Foundation Symp 1995;192:4〜22(非特許文献33))。従って、ペンタペプチド配列(VPGVG)は、標準的な溶液相化学方法論および固相化学方法論によって、そして、より最近では、とりわけ、Conticello V.P.(McMillan RA,LeeTAT,Conticello VP.Rapid assembly ofsynthetic genes encoding protein polymers.Macromolecules 1999;32:3643〜8(非特許文献34);McMillan RA,Conticello VP.Synthesis and characterization of elastin−mimetic protein gels derived from a well−defined polypeptide precursor.Macromolecules 2000;33:4809〜21(非特許文献35))によって開発されたような遺伝子操作ストラテジーによって、エラストマー性ドメインを有するタンパク質ポリマーの合成のための基礎を形成した(McPherson DT,Morrow C,Minehan DS,Wu J,Hunter E,Urry DW.Production and purification of a recombinant elastomeric polypeptide,G−(VPGVG)19−VPGV,from Escherichia coli.Biotech Progress 1992;8(4):347−52(非特許文献36);Daniell H,Guda C,McPherson DT,Zhang X,Xu J,Urry DW.Hyperexpression of a synthetic protein−based polymer gene.Methods Mol Biol 1997;63:359−71(非特許文献37);Panitch A,Yamaoka T,Fournier MJ,Mason TL,Tirrell DA.Macromolecules 1999;32:1701−3(非特許文献38))。
【0011】
天然の構造マトリックスタンパク質を模倣する所望の合成ポリペプチドを生成する、一般的なチャレンジが残っている。このチャレンジは、例えば、動脈生体補綴物(引張り強度、弾性率、粘弾性、およびインビボでの安定性、ならびに所望の宿主応答の最適化のような、1つ以上の標的された設計基準に仕立てられている)の製造の領域における、組織操作の分野に拡大する。
【0012】
【非特許文献1】
Tuzar ZおよびKratochvil P,1976,Adv.Coll.Int.Sci.6:201
【非特許文献2】
Raspaudら,1994,Macromolecules 27:2956
【非特許文献3】
Alexandridis,P.,およびLindman,B.編、Amphiphilic Block Copolymers,Elsevier,Amsterdam,2000
【非特許文献4】
Nowak,A.P.ら、2002,Nature 417,424〜428
【非特許文献5】
Pochan,D.J.ら、2002,Macromolecules 35,5358〜5360
【非特許文献6】
Ferrari FおよびCappello J,1997,Protein−Based Materials(McGrath,K.,およびKaplan,D.編)、第2章、Birkhaeuser,Boston
【非特許文献7】
Petka WAら、1998
【非特許文献8】
Weinberg CB,Bell E.,Science 1986;231:397〜400
【非特許文献9】
Herring MB,Dilley R,Jersild RAJ,Boxer L,Gardner A,Glover J.,Ann Surg 1979;190:84〜90
【非特許文献10】
Gray JL,Kang SS,Zenni GC,Kim DU,Kim PI,Burgess WHら、FGF−1 affixationstimulates ePTFE endothelializationwithout intimal hyperplasia.J.Surg Res 1994;57(5):596〜612
【非特許文献11】
Greisler HP,Cziperle DJ,Kim DU,Garfield JD,Petsikas D,Murchan PMら、Enhanced endothelialization of expanded polytertafluoroethylene grafts byfibroblast growth factor type 1 pretreatment.Surgery 1992;112(2):244〜54
【非特許文献12】
Golden MA,Hanson SR,Kirkman TR,Schneider PA,Clowes AW.Healing of polytetrafluoroethylene arterial grafts is influenced by graft porosity.J Vasc Surg 1990;11(6):838〜44;discussion 45
【非特許文献13】
Urry DW,Pattanaik A.Elastic protein−based materials in tissue reconstruction.Ann NY Acad Sci 1997;831:32〜46
【非特許文献14】
Urry DW,Pattanaik A,Accavitti MA,Luan CX,McPherson DT,Xu Jら、Transductional elastic and plastic protein−based polymers as potential medical devices.,Domb AJ,Kost J,Wiseman DM(編者)、Handbook of Biodegradable Polymers.Amsterdam:Harwood; 1997.第367−86頁
【非特許文献15】
Silver FH,Garg AK.Collagen:Characterization,processing and medical applications.:Domb AJ,Kost J,WisemanDM,編者、Handbook of Biodegradable Polymers.Amsterdam:Harwood;1997.第319−46頁
【非特許文献16】
Wolinsky H,Glagov S.A lamellar unit of aortic medial structure and function in mammals.Circ Res 1967;20:99〜111;Clark JM,Glagov S.Transmuralorganization of the arterial media:The lamellar unit revisited.Arteriosclerosis 1985;5:19−34
【非特許文献17】
Dingemans KP,Teeling P,Lagendijk JH,Becker AE.Extracellular matrix of the human aortic media;An ultrastructural histochemical and immunohistochemical study of the adult aorticmedia.Anat Record 2000;258:1−14
【非特許文献18】
Roach MR,Burton AL.The reason for the shape of the distensibility curves of arteries.Can J Biochem Physiol 1957;35:681〜90
【非特許文献19】
Humphrey JD.Mechanics of the arterial wall:review and directions.Critical Rev Biomed Eng 1995;23(1〜2):1〜162
【非特許文献20】
Apter JT,Marquez E.A relation between hysteresis and other visco elastic properties of some biomaterials.Biorheology 1968;5(4):285−301
【非特許文献21】
Urry DW,Haynes B,Thomas D,Harris RD.A method for fixation of elastin demonstrated by stress/strain characterization.Biochem Biophys Res Comm 1988;151(2):686〜92
【非特許文献22】
Sandberg LB,Soskel NT,Leslie JG.Elastin structure,biosynthesis,and relation to disease states.New Eng JMed 1981;304(10):566〜79
【非特許文献23】
Indik Z,Yeh H,Ornstein−Goldstein N,Sheppard P,Anderson N,RosenbloomJCら、Alternative splicing of human elastin mRNA indicated by sequence analysis of cloned genomic and complementary DNA.Proc Nat Acad Sci USA 1987;84(16):5680〜4
【非特許文献24】
Rosenbloom J,Abrams WR,Indik Z,Yeh H,Ornstein−Goldstein N,Bashir MM.Structure of the elastin gene.Ciba Foundation Symp 1995;192:59〜74
【非特許文献25】
Gray WR,Sandberg LB,Foster JA.Molecular model for elastin structureand function.Nature 1973;246(5434):461〜6
【非特許文献26】
Urry DW,Mitchell LW,Ohnishi T.Studies on the conformation and interactions of elastin secondary structure of synthetic repeat hexapeptides.Biochimica et Biophysica Acta 1975;393(2):296〜306
【非特許文献27】
Sandberg LB,Gray WR,Foster JA,Torres AR,Alvarez VL,Janata J.Primarystructure of porcine tropoelastin.Adv Exp Med Biol 1977;79:277〜84
【非特許文献28】
Rapaka RS,Okamoto K,Urry DW.Non−elastomeric polypeptide models of elastin.Synthesis of polyhexapeptidesand a cross−linked polyhexapeptide.Inter J Pept Protein Res 1978;11(2):109〜27
【非特許文献29】
Urry DW,Harris RD,Long MM,Prasad KU.Polytetrapeptide of elastin.Temperature−correlated elastomeric force and structure development.Inter JPept Protein Res 1986;28(6):649〜60
【非特許文献30】
Broch H,Moulabbi M,Vasilescu D,Tamburro AM.Quantum molecular modeling of the elastinic tetrapeptide Val−Pro−Gly−Gly.J Biomol Structure Dynamics 1998;15(6):1073−91
【非特許文献31】
Urry DW,Long MM,Cox BA,OhnishiT,Mitchell LW,Jacobs M.The synthetic polypentapeptide of elastin coacervates and forms filamentous aggregates.Biochimica et Biophysica Acta 1974;371(2):597〜602
【非特許文献32】
Urry DW,Long MM.On the conformation,coacervation and function of polymeric models of elastin.Adv ExperMed Biology 1977;79:685〜714
【非特許文献33】
Urry DW,Luan CH,Peng SQ.Molecular biophysics of elastin structure,function and pathology.Ciba Foundation Symp 1995;192:4〜22
【非特許文献34】
McMillan RA,Lee TAT,ConticelloVP.Rapid assembly of synthetic genes encoding protein polymers.Macromolecules 1999;32:3643〜8
【非特許文献35】
McMillan RA,Conticello VP.Synthesis and characterization of elastin−mimetic protein gels derived from a well−defined polypeptide precursor.Macromolecules 2000;33:4809〜21
【非特許文献36】
McPherson DT,Morrow C,Minehan DS,Wu J,Hunter E,Urry DW.Production and purification of a recombinant elastomeric polypeptide,G−(VPGVG)19−VPGV,from Escherichia coli.Biotech Progress 1992;8(4):347−52
【非特許文献37】
Daniell H,Guda C,McPherson DT,Zhang X,Xu J,Urry DW.Hyperexpression of a synthetic protein−based polymer gene.Methods Mol Biol 1997;63:359−71
【非特許文献38】
Panitch A,Yamaoka T,Fournier MJ,Mason TL,Tirrell DA.Macromolecules 1999;32:1701−3
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、選択された可塑性特性および弾性特性を有する合成タンパク質コポリマーを提供することを課題とする。この合成タンパク質コポリマーは、少なくとも1つの親水性ブロックおよび少なくとも1つの疎水性ブロックを含む。
【0014】
【課題を解決するための手段】
(発明の要旨)
本発明は、選択された可塑性特性および弾性特性を有する合成タンパク質コポリマーを提供する。このコポリマーは少なくとも1つの親水性ブロックおよび少なくとも1つの疎水性ブロックを含む。本発明のタンパク質コポリマーは、2つのブロック、3つのブロック、または3つより多くのブロックを含み得る。
【0015】
本発明の1つの実施形態は、第一末端ブロック、第二末端ブロック、および中間ブロックを有するタンパク質コポリマーを含み、ここでこの第一末端ブロックおよび第二末端ブロックは、実質的に同一である。好ましい実施形態において、このタンパク質コポリマーは、疎水性末端ブロックおよび親水性中間ブロックを含む。
【0016】
特定の実施形態において、この第一末端ブロックは、配列[VPAVG(IPAVG)4]nまたは[(IPAVG)4(VPAVG)]nのアミノ酸配列をコードし得る核酸配列を含む。別の実施形態において、この中間ブロックは、以下:[(VPGEG)(VPGVG)4]m、[(VPGVG)4(VPGEG)]mおよび[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]mからなる群より選択されるアミノ酸配列をコードし得る核酸配列を含む。別の実施形態において、このタンパク質コポリマーは、上記の末端ブロック配列から選択された末端ブロック、および上記の中間ブロック配列から選択された中間ブロックを含み、nが約5〜約100であり、そしてmが約10〜約100である。特定の実施形態においては、nが約16である。
【0017】
本発明の実施形態において、中間ブロックは、以下:VPGVG[VPGVG(VPGIGVPGVG)2]19VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]30VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]38VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]48VPGVG;VPGVG[VPGVG(VPNVG)4]12VPGVG;VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]23VPGVG;VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]30VPGVG;[VPGVG(IPGVGVPGVG)2]19;[VPGEG(VPGVG)4]30;[VPGEG(VPGVG)4]48;[(APGGVPGGAPGG)2]22;および[(VPGMG)5]x、
からなる群より選択され、ここで、xは、約10〜約100である。
【0018】
本発明は、ある範囲の力学的特性を有するコポリマーを提供する。ある実施形態において、コポリマーは、その最初の長さの約14倍まで伸長し得る。特定の実施形態において、最初の長さのタンパク質コポリマーは、その最初の長さの少なくとも約2.5倍から、その最初の長さの約13倍までの伸長のための弾性を有する。
【0019】
本発明のタンパク質コポリマーは、種々の形態に変換され得る。例えば、このタンパク質コポリマーは、フィルム、ゲル、繊維もしくは繊維網目構造、または小さい、ほぼ球形もしくはビーズ様の粒子の形態であり得る。このような形態は、種々の適用において用いられ得る。例えば、フィルム形態は、医療用デバイス、細胞、組織、または器官を少なくとも部分的にカバーするために用いられ得る。そうすることによって、少なくとも部分的にカバーされた対象物は、より生体適合性にされ得るか、さもなければその全体的な力学的特性もしくは表面特性が変更されたている。
【0020】
所定の形態は、選択された物理的形状に操作され得る。例えば、フィルム、繊維、または繊維網目構造形態は、平面状シートまたは管状の配管の形状に操作され得る。
【0021】
本発明の実施形態は、タンパク質コポリマーの繊維または繊維網目構造形態で少なくとも部分的にカバーされたか、または強化された、医療用デバイス、細胞、組織または器官である。
【0022】
本発明のタンパク質コポリマーは、デバイス上の生体適合性コーティングの形態であり得る。このようなデバイスの例は、医療用インプラント(移植物)である。
【0023】
ある実施形態は、本発明のタンパク質コポリマーを含む創傷包帯(被覆材)である。別の実施形態は、タンパク質コポリマーによって部分的にまたは完全にカプセル化(被包)された細胞、組織、または器官である。タンパク質コポリマーは、ゲル形態もしくはフィルム形態、またはカプセル化のための他の形態であり得る。カプセル化は、種々の機能的な点で役立ち得る。1つの点は、移植された材料に対して、免疫反応からあるレベルの保護を与えることである。別の点は、カプセル化された対象物からの材料の遊離を制御することである;例えば、ここで、カプセル化表面は、この材料が、タンパク質コポリマー実施形態を通じて拡散、浸透、さもなければ溶出する能力に影響する。特定の実施形態は、そのようにカプセル化された膵臓島細胞である。別の実施形態において、カプセル化される細胞は、平滑筋細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、幹細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、膵臓島細胞、または遺伝子操作された細胞からなる群から選択される。
【0024】
本発明は、非共有結合的に架橋され得るか、または非共有結合架橋および共有結合架橋の組み合わせを有する、タンパク質コポリマーを提供する。
【0025】
本発明は、第一のタンパク質コポリマーおよび第二のタンパク質コポリマーを含む複合体を提供する。ここでこの第一のコポリマーおよび第二のコポリマーは、非共有結合的な架橋、非共有結合的な架橋、または非共有結合的な架橋と共有結合的な架橋との組み合わせによって連結される。本発明はさらに、このような複合体を提供する。ここでこの第一のタンパク質コポリマーおよび第二のタンパク質コポリマーは実質的に同一である。
【0026】
本発明は、化学置換基をさらに含むタンパク質コポリマーを提供する。1つの実施形態において、このような置換基は、架橋または誘導体化を容易にし得るアミノ酸であり得る。特定の実施形態において、このアミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン、または当該分野で公知の他のアミノ酸であり得る。
【0027】
本発明は、共有結合性架橋反応のための化学誘導体化を容易にし得る官能部位を含むタンパク質コポリマーを提供する。1つの実施形態において、タンパク質コポリマーは、適切な開始物質および光との反応の際に、安定な架橋を形成し得る光架橋可能なアクリレート基を含む。当該分野で公知の他の架橋基もまた使用され得る。
【0028】
本発明の別の実施形態は、例えば、酵素または抗体に対する結合部位として機能し得る官能部位を含むタンパク質コポリマーである。特定の実施形態において、この官能部位は、このタンパク質コポリマーの分解を可能にし得る、選択されたプロテアーゼ部位を含む。別の実施形態において、タンパク質コポリマーは、金属イオンまたは他の無機イオン核形成部位を含む。
【0029】
1つの実施形態は、接着分子認識部位または酵素活性部位を含むタンパク質コポリマーである。
【0030】
本発明の1つの実施形態は、薬剤を含むタンパク質コポリマーである。ここでこの薬剤は、薬物または生物学的に活性な分子もしくは生体高分子である。このような薬剤は、このコポリマーに共有結合され得るか、または非共有結合され得る。関連する実施形態は、この薬剤の制御された放出または送達の方法を含む。ここで、ここのタンパク質コポリマーは、フィルム、ゲル、繊維、または繊維網目構造の形態である。
【0031】
本発明の1つの実施形態は、選択された分子をさらに含むタンパク質コポリマーである。ここで、この選択された分子は、糖類、オリゴ糖類、多糖類、糖ポリマー、イオン性合成ポリマー、非イオン性合成ポリマー、または他の有機分子である。このような選択された分子は、共有結合、非共有結合、または共有結合と非共有結合の組み合わせにより、このコポリマーに連結され得る。
【0032】
1つの実施形態は、このコポリマーの表面特性の変化をもたらし得る合成化合物または天然化合物をさらに含むタンパク質コポリマーである。
【0033】
本発明は、可塑性で弾性のタンパク質コポリマーを生成する方法を提供する。この方法は、a)核酸配列の第1のブロックを提供する工程(この第1のブロックは、親水性タンパク質をコードする);b)核酸配列の第2のブロックを提供する工程(この第2のブロックは、疎水性タンパク質をコードする);c)第1のブロックおよび第2のブロックを含む核酸分子を合成する工程;ならびにd)この核酸分子を発現させて、タンパク質コポリマーを生成する工程、を包含する。核酸配列レベルでコポリマーを構築することにより、組換え操作の利点によって、このコポリマーを、配列同一性、反復配列単位の数、および全体の大きさに関して変化させることが可能になる。
【0034】
3つ以上のブロックを有するコポリマーを合成するための、対応する方法もまた提供される。この方法は、このようなコポリマーをコードする核酸分子を合成する工程およびこの核酸を発現させてコポリマーを生成する工程を包含する。
【0035】
本発明の局面の機構の可能な説明は、系に対するコポリマーの熱力学的特性に関する(ここで、この系は、溶媒、pH、および温度を含み得る状態のセットである)。例えば、1つの実施形態において、疎水性末端ブロックは、極性溶媒から離れる傾向があり、親水性の中間ブロックは、極性溶媒に向かう傾向がある。熱系の追加により、少なくとも部分的に、極性溶媒から離れる疎水性末端ブロックの傾向を反転し得る。特定の臨界温度において、この熱力学的特性により、タンパク質コポリマー溶液が凝集し、非共有結合性架橋した塊を形成し得る。この非共有架橋はまた、見かけの架橋(virtual crosslink)または物理的架橋とも称され得、そして共有結合性架橋と区別される。しかし、本発明の実施形態は、共有結合性架橋をさらに含み得る。
【0036】
1つの実施形態は、逆遷移温度(inverse transition temperature)を有するコポリマーである。特定の実施形態は、約4℃〜約40℃の遷移温度を有するコポリマーである。より具体的な実施形態は、約16℃〜約25℃の遷移温度を有するタンパク質コポリマーである。別のより特定の実施形態は、約32℃〜約37℃の遷移温度を有するタンパク質コポリマーである。
【0037】
本発明は、所望の遷移温度を有する可塑性で弾性のコポリマータンパク質を生成する方法を提供する。この方法は、所望の遷移温度を選択する工程を包含する。この方法は、a)1つのアミノ酸配列に対応する核酸配列を選択する工程であって、ここで、このアミノ酸配列を有するタンパク質は、熱可塑性およびエラストマー特性を有し得る、工程;b)組換え技術を用いてこのタンパク質を発現する工程;c)本明細書の教示に従う、溶媒、pH、および第1の温度を含む状態のセットを選択する工程;d)発現したタンパク質を、この条件のセットに曝す工程;e)このタンパク質を、遷移が起こる第2の温度に移行する工程;f)観察された遷移温度を、所望の遷移温度と比較する工程、およびg)遷移が起こる第2の温度が所望の遷移温度と近似しない場合、上記の工程を反復する工程、を包含する。このような方法の1つの実施形態において、このような所望の遷移温度は、約5℃〜約9℃、約10℃〜約15℃、約16℃〜約20℃、約21℃〜約25℃、約26℃〜約30℃、約31℃〜約37℃の範囲、または他の範囲であり得る。
【0038】
本発明はさらに、コポリマーを含む溶媒を提供する。溶媒は、極性または非極性であり得る。好ましい実施形態において、この溶媒は極性である。1つの実施形態において、この溶媒は水、トリフルオロエタノール(TFE)、またはヘキサフルオロイソプロパノール、あるいはこれら2つ以上の組み合わせである。溶媒は、水性成分、有機成分、または水性成分と有機成分の混合物を含み得る。溶媒は、pHに関して調整され得る。例えば、1つの実施形態において、このpHは、塩基性条件に調整される。特定の実施形態において、この塩基性は、グルタミン酸アミノ酸残基のイオン化を可能にするのに十分である。タンパク質コポリマーは、溶媒中に溶解され得る。溶解したコポリマーは、ヒドロゲルを生成し得る。溶媒は、溶液中のこのコポリマーの所望のコンホメーションを生じるよう選択され得る。溶媒は、所望の力学的特性または所望の生物学的特性を生じるよう選択され得る。
【0039】
本発明のフィルムの実施形態において、いくつかの型のバリエーションが存在し得る。例えば、フィルムは、複数の層を有し得る。さらに、このフィルムは、同種層または異種層を有し得る。フィルムはさらに、合成または天然の繊維、薬物、または他の生物学的に活性な化合物もしくは物質を含み得る。
【0040】
本発明はさらに、フィルムを作製する方法を提供する。この方法は、本発明のタンパク質コポリマーを使用し、そしてa)本発明の教示に従い、所望の特性を有するフィルムを提供する溶媒、第1の温度、およびpH値を含む条件のセットを選択する工程;b)このタンパク質を、この条件のセットに曝すことによって、溶液を作製する工程;c)この溶液を、第2の温度に移行する工程、およびd)溶媒を除去することによって、フィルムを生成する工程、を包含する。特定の実施形態において、水中のコポリマーの溶液は、約5℃で調製され、そして平らな表面に注がれ;次いで、水が約23℃でエバポレートされて、フィルムを生成する。
【0041】
特定の実施形態において、この溶媒は、トリフルオロエタノールであり、そしてフィルム材料は、可塑性である。別の特定の実施形態において、この溶媒は、水であり、そしてフィルム材料は、弾性である。なお別の特定の実施形態において、この溶媒は、可塑性特性および弾性特性の組み合わせを有するフィルムの開発を容易にする。
【0042】
フィルムを作製する上で、このフィルムは、タンパク質、多糖類、または他の生物活性化合物のような物質を含むことにより改変され得る。このような改変は、少なくとも3つの方法で達成され得る。第1に、この物質は、溶媒中に含まれ得る。第2に、この物質は、キャストフィルムと接触させて直接吸着させることにより含まれ得る。第3に、この物質は、別の溶媒に含まれ得、この物質の溶液を生成し;この溶液が、キャストフィルムのためのコーティング溶液として使用され得る。
【0043】
本発明は、本発明のタンパク質コポリマーを含む薬物送達物質を提供する。1つの実施形態において、タンパク質コポリマーは、1μm未満〜約500μmまでの直径を有する小粒子の形態であり得る。特定の実施形態において、この小粒子は、ほぼ球形のナノ粒子または微粒子である。
【0044】
本発明は、タンパク質コポリマーおよび薬剤を提供する。本発明の実施形態は、このような組成物を調製する方法であり、この方法は、溶媒およびコポリマーの溶液への薬剤の添加を包含する。この薬剤は、薬物、生物学的に活性な分子、または生体高分子であり得る。
【0045】
本発明は、ステント、塞栓コイル、脈管移植物、または他の移植された生物医学的デバイスを通じた、薬物または生物学的薬剤の送達方法を提供する。溶媒中に薬物または生物学的薬剤を含むことにより、それによって、このコポリマーとの混合物が作製され得る。本発明の1つの実施形態において、この混合物は、ゲル、フィルム、繊維、または繊維網目構造の形態である。この混合物は、ステント、塞栓コイル、脈管移植物、または他の移植された生物医学的デバイスに適用され得る。特定の実施形態において、この薬物は、シロリムス(sirolimus)である。本発明の別の実施形態において、この薬物は、両親媒性である。
【0046】
本発明は、薬物または生物学的薬剤の送達を可能にするタンパク質ベースの小粒子を生成する方法を提供する。この方法は、a)本明細書の教示に従い、溶媒、温度、およびpHを含む状態を選択する工程;b)薬物または生物学的薬剤と溶媒を組み合わせる工程;c)このタンパク質をこの条件に曝す工程;およびd)溶媒を除去する工程、を包含する。
【0047】
本発明は、薬物または生物学的薬剤を送達する方法を提供する。この方法は、被験体に小粒子を適用する工程を包含する。1つの実施形態において、この粒子は、静脈内経路、皮下経路、骨内経路、硝子体内経路(intravitreal route)、鼻内経路、経口経路、または当該分野で公知の他の適切な経路を通じて適用される。特定の実施形態において、この薬物は両親媒性である。
【0048】
本発明は、本発明のコポリマーからの送達の間に、薬物または生物学的薬剤の放出を制御する方法を提供する。この方法は、放出プロフィールを観察する工程、観察されたプロフィールと所望の放出プロフィールを比較する工程、および観察されたプロフィールが所望のプロフィールと近くない場合、第1のブロック、第2のブロック、または上記のコポリマーを作製する条件の選択を変更する工程を包含する。
【0049】
本発明はさらに、繊維または繊維網目構造を作製する方法を包含する。繊維または繊維網目構造は、電気的紡績(electrospinning)により形成され得る。例えば、特許協力条約国際出願番号WO 01/80921(国際出願番号PCT/US01/12918)(本明細書と矛盾しない程度に参考として援用される)は、本発明のコポリマーに適用され得る。
【0050】
本発明は、外科的切開の閉鎖を補強する方法を提供する。切開は、本発明の1つの実施形態の繊維、繊維網目構造、ゲル、またはフィルム形態を用いて処置され得る。特定の実施形態において、外科的切開は、肺のバイオプシーまたは腸吻合と関連する。
【0051】
本発明は、非外科的損傷を処置する方法を提供する。この方法は、移植物または包帯を損傷に適用する工程を包含する。本発明は、外科的部位にフィルム、繊維、または繊維網目構造を適用することによる、外科的介入後の癒着形成を予防する方法または癒着を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法はさらに、親水性多糖類または糖ポリマーを組み込む工程を包含する。
【0052】
本発明は、薬物または生物学的化合物を被験体に送達する方法を提供する。この方法は、タンパク質コポリマーおよび溶媒と薬物または化合物の溶液を処方する工程、この溶液を所望の温度に移行することによって、ゲルを生成する工程、および被験体をこのゲルに曝す工程、を包含する。1つの実施形態において、被験体に曝露する工程は、皮下注入、筋肉内注入、皮内注入、眼内注入、または結膜下適用による。特定の実施形態において、このゲルは血管中に存在し、それによって塞栓形成をもたらす。別の実施形態において、薬物または生物学的化合物は、化学療法剤である。
【0053】
本発明は、腫瘍を処置する方法を提供する。この方法は、コポリマーの溶液またはゲル形態を腫瘍に適用する工程を包含する。1つの実施形態において、この適用は、カテーテルを通じた動脈内注入による。
【0054】
本発明は、選択された力学的特性を有する医学的移植物を生成する方法を提供する。この方法は、ゲル、フィルム、繊維、または繊維網目構造をこの移植物に適用する工程を包含する。1つの実施形態において、この移植物は、皮膚、静脈、動脈、尿管、膀胱、食道、腸、胃、心臓弁、心筋、または腱を含む。
【0055】
1つの実施形態において、本発明は、選択された力学的特性および選択された形状を有する創傷用包帯を作製する方法を提供する。この方法は、フィルムまたは繊維を選択された形状に形成する工程を包含する。
【0056】
得られる本発明のポリペプチドは、臨界溶液温度以上で、末端ブロック間での見かけの架橋または物理的(非共有結合)架橋の形成により、自己組織化し得る。本発明のタンパク質は、安定な弾性および可塑性の繊維、繊維網目構造、フィルム、ゲル、粒子、および細胞カプセル化表面に組み立てられる。
【0057】
本発明は、パラメータおよび条件(例えば、タンパク質配列、反復数、タンパク質濃度、溶媒、pH、温度、およびこれらの組み合わせ)を調節する能力を提供する。このような調節により、力学的特性(例えば、弾性、可塑性、および弾性と可塑性の組み合わせ)の変化がもたらされ得る。このような調節により、生物学的特性(例えば、生物適合性および生物学的機能)の変化がもたらされ得る。
【0058】
本発明は、共有結合を有さない機械的に丈夫な安定なタンパク質ベースの材料を提供する。このような材料は、生理的条件下で安定であり得る。他のタンパク質ベースの材料とのブレンドが形成され得る。このタンパク質材料は、タンパク質骨格に沿うか、またはアミノ酸残基を通じた共役反応を通して機能化され得る。このタンパク質材料は、弾性および可塑性の繊維補強合成物を生成するために使用され得る。ゲル、フィルム、繊維、または繊維網目構造形態のタンパク質コポリマーは、糖分子に結合され得る。
【0059】
本発明は、血管置換、心臓弁置換、人工皮膚、創傷治癒バリア、細胞カプセル化表面、薬物送達注入可能物質、塞栓剤および化学塞栓剤、ならびに薬物溶出小粒子(例えば、ナノ粒子および微粒子)のような特定の実施形態を提供する。
【0060】
本発明の実施形態において、遺伝子工学的戦略が、組織工学的な適用のためのタンパク質ポリマーの設計に適用される。分子量、ペプチド配列、ならびに潜在的な架橋部位の密度および位置を変化する能力によって、天然タンパク質に対する組換えタンパク質アナログの形態学的な特性および生理化学的な特性の調整が容易になる。フィルム、ゲル、繊維、または繊維網目構造のタンパク質コポリマーは、組織工学的な足場(scaffold)を提供する。この足場は、反復性負荷の環境条件下の弾性および長期間におよぶ耐久性を有して機能し得る。
【0061】
本発明の実施形態において、溶液状態技術および固体状態技術を使用して、生物学的環境において繊維の強度および持続性の機械的負荷に応答する弾性率(modulus)に対する影響を規定する模倣繊維の分子特性および超分子(supramolecular)特性を規定がする。組織工学的な構築物の耐久性を改善するための材料および方法が確立されており、この構築物は、生理学的に関連する状態において長期の静止または周期的な引張り応力条件下で機能する。
【0062】
1実施形態において、コポリマーの規定された力学的特性は、初期の組織発生、および細胞媒介プロセスまたは他のプロセスを介する生物分解に対する繊維網目構造の感受性における、局所的な壁応力および応力分布を分析する際の助けとなる。
【0063】
1実施形態において、トリブロックコポリマーは、標的配列をこの中央のエラストマー性ブロック中に操作することによって高密度領域中への生理活性配列のクラスター化を可能にする。
【0064】
1実施形態において、組み込まれたコラーゲンおよびエラスチン模倣繊維網目構造は、繊維型および三次元構造の適切な選択を介して調整された力学的特性で製造される。
【0065】
1実施形態において、新脈管内膜過形成(neointimal hyperplasia)を低減する方法が、移植された生体人工器官(bioprosthesis)と非移植体(宿主)の血管との間の適合性差異(例えば、コンプライアンスミスマッチ差異)の最小化によって提供される。
【0066】
ネイティブ構造タンパク質を模倣するタンパク質ポリマーの設計、および種々の条件の下かつ種々の天然に存在するマトリクスタンパク質との組み合わせでの、これらの組換えタンパク質の組織化(アセンブリ)は、材料の力学的特性、ならびに他の生物学的に関連のある特徴を最適化する機会を提供する。例えば、少なくとも部分的に合成された動脈生体人工器官が生成され得る。他のアプローチは、ネイティブの動脈の特性と似ているかまたはそれらを凌駕する力学的特性ならびに脱小区画化(decellularized)した同種異系組織または異種組織と比較した場合の十分な生体安定性(biostability)を有する動脈の生体人工器官を開発することである。
【0067】
(定義:)
ABAトリブロックコポリマーおよびBABトリブロックコポリマー。これらの用語の各々とは、3つのブロックを含むコポリマーをいい、ここで、これらのブロックのうち2つは実質的に同一である。記号Aは、具体的な属性(例えば、親水性または疎水性)を有し得る。このような場合において、Bブロックは別の属性を有している。ポリマーの分野において、Aが疎水性ブロックを示すという一般的認められた慣習は存在しない。本明細書中において、目的は、Bブロックを疎水性ブロックとして言及することであり;従って、Aブロックが親水性ブロックを指し示すのである。従って、BABトリブロックコポリマーは、3つのブロックを含むタンパク質について言及し;ここで、2つの実質的に同一な疎水性の末端ブロックと親水性の中央ブロックとが存在する。
【0068】
可塑性(plastic)。この用語は、機械的な特性、つまり不可逆的な変形を受ける材料の能力について言及する。熱可塑性という用語は、加熱したときに軟化または融合し、そして冷却したときに、硬化、ゲル化または凝固する物質の能力を言及し得るが、本発明の多くの実施形態において、この用語は、加熱したときに、硬化、ゲル化、または凝固し、そして冷却したときに少なくとも部分的に軟化する能力について言及する。
【0069】
弾性。この用語は、材料が可逆的な変形を受ける能力に関連する力学的特性について言及する。エラストマー(性)という用語はまた、物質の弾性特性について言及する。
【0070】
転移温度(Tt)。この用語は、物質のある状態から別の状態(例えば、液相から固相)への相変化に関する平衡点と関連する温度について言及する。温度が上昇したとき、反比例する転移温度を有する例示的実施形態は、温度が上昇するについて、液相から固相へと変化し得る。
【0071】
1つの局面において、本発明は、選択された可塑性特性および弾性特性を有する合成タンパク質コポリマーを提供し、この合成タンパク質コポリマーは、少なくとも1つの親水性ブロックおよび少なくとも1つの疎水性ブロックを含む。
【0072】
1つの実施形態において、上記タンパク質コポリマーは、第一の疎水性末端ブロック、第二の疎水性末端ブロックおよび中間の親水性ブロックを有し、この第一および第二の末端ブロックは実質的に同一である。
【0073】
1つの実施形態において、上記第一の末端ブロックは、[VPAVG(IPAVG)4]nまたは[(IPAVG)4(VPAVG)]nのアミノ酸配列をコードし得る核酸配列を含む。
【0074】
1つの実施形態において、上記中間のブロックは、以下:[(VPGEG)(VPGVG)4]m、[(VPGVG)4(VPGEG)]mおよび[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]mからなる群より選択されるアミノ酸配列をコードし得る核酸配列を含む。
【0075】
1つの実施形態において、nは約5〜約100であり、そしてmは約10〜約100である。
【0076】
1つの実施形態において、nは約16である。
【0077】
1つの実施形態において、上記中間のブロックは、以下:VPGVG[VPGVG(VPGIGVPGVG)2]19VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]30VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]38VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]48VPGVG;VPGVG[VPGVG(VPNVG)4]12VPGVG;VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]23VPGVG;VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]30VPGVG;[VPGVG(IPGVGVPGVG)2]19;[VPGEG(VPGVG)4]30;[VPGEG(VPGVG)4]48;[(APGGVPGGAPGG)2]22;および[(VPGMG)5]x、からなる群より選択され、ここで、xは、約10〜約100である。
【0078】
1つの実施形態において、上記タンパク質コポリマーは、その最初の長さの約14倍まで伸長し得る。
【0079】
1つの実施形態において、上記タンパク質コポリマーは、フィルムとして成形される。
【0080】
1つの実施形態において、上記フィルムは、複数の層を含む。
【0081】
1つの実施形態において、上記複数層のフィルムは、第一層および第二層を含み、この第一層は、第一の溶媒に曝露された第一のポリマーに由来し、そしてこの第二層は、第二の溶媒に曝露された第二のポリマーに由来し、それによって所望の力学的特性を有するフィルムを作製する。
【0082】
1つの実施形態において、上記第一のポリマーおよび前記第二のポリマーは、実質的に同一である。
【0083】
1つの実施形態において、上記第一の溶媒は、フィルムの弾性を増強し、そして上記第二の溶媒は、フィルムの可塑性を増強する。
【0084】
1つの実施形態において、上記第一の溶媒は水であり、そして上記第二の溶媒はトリフルオロエタノールである。
【0085】
1つの実施形態において、上記タンパク質コポリマーは、ゲル形態である。
【0086】
1つの実施形態において、上記タンパク質コポリマーは、繊維または繊維網目構造の形態である。
【0087】
1つの実施形態において、上記繊維網目構造は、第一の繊維および第二の繊維を含み、ここで、この第一の繊維は、第一の溶媒に曝露されたポリマーに由来し、そしてこの第二の繊維は、第二の溶媒に曝露されたポリマーに由来する。
【0088】
別の局面において本発明は、選択された力学的特性を有する医学的移植物を作製する方法を提供し、この方法は、上記繊維を該移植物に適用する工程を包含する。
【0089】
別の局面において本発明は、可塑性弾性タンパク質コポリマーを生成するための方法を提供し、この方法は、以下の工程:
a.核酸配列の第一のブロックを提供する工程であって、この第一のブロックは、親水性タンパク質をコードする、工程;
b.核酸配列の第二のブロックを提供する工程であって、この第二のブロックは、疎水性タンパク質をコードする、工程;
c.この第一および第二のブロックを含む核酸分子を合成する工程;ならびにd.この核酸分子を発現させて、このタンパク質コポリマーを生成する工程、を包含する。
【0090】
1つの実施形態において、上記方法は、溶媒中に前記タンパク質コポリマーを溶解させ、それによって溶液を作製する工程、およびこの溶液を、このコポリマーが凝集して非共有結合的に架橋された塊の形成を引き起こす温度にする工程、をさらに包含する。
【0091】
1つの実施形態において、上記方法は、上記コポリマーを共有結合する工程をさらに包含する。
【0092】
1つの実施形態において、ステント、塞栓形成コイル、血管移植片または他の移植された生物医学的デバイスを介して、薬物または生物学的因子を送達する方法が提供され、この方法は、上記方法ならびに、以下の工程:
e.上記溶媒中にこの薬物または生物学的因子を含み、それによって上記コポリマーとの混合物を作製する工程;および
f.この混合物をこのステント、塞栓形成コイル、血管移植片または他の移植された生物医学的デバイスに適用する工程をさらに包含する。
【0093】
1つの実施形態において、上記の方法は、以下の工程:
e.上記溶媒中に薬物または生物学的因子を含み、それによって上記コポリマーとの混合物を作製する工程;および
f.この混合物をステント、塞栓形成コイル、血管移植片または他の移植された生物医学的デバイスに適用する工程
をさらに包含し、このステント、塞栓形成コイル、血管移植片または他の移植された生物医学的デバイスを介して、この薬物または生物学的因子を送達する。
【0094】
【発明の実施の形態】
以下の実施例は、例示のみを目的として提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0095】
【実施例】
(発明の詳細な説明)
(実施例)
(実施例1 C5およびB9の構築)
本発明者らは、発現プラスミドとしてpET−24a(Novagen,Inc.から入手可能)を使用した。このプラスミドを改変した。このような改変、ならびに他の材料、方法および結果について、2つの刊行物(Wright ERら、2002 Adv.Funct.Mater.12:149〜154;Wright ERおよびConticello VP、2002 Adv.Drug Deliv.Rev.54(8):1057〜1073)は、本明細書中で、相反しない程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0096】
コポリマーB9を生じる構築物(表1を参照のこと)の調製は、コポリマー1(C5)ための以前の刊行物の実験の節において記載されている調製と類似している。得られたB9クローンは、C5の中央ブロックよりも長い中央ブロックを有する反復遺伝子に対応した。タンパク質B9およびタンパク質C5は、同じクローン化実験において同時に得られた。コンカテマー(concatamer)のプールを、同じアクセプタープラスミドにクローン化し、中央ブロックのサイズと同じ末端ブロックのサイズおよび異なる配列を有するクローンの分布を生じた。このクローンC5およびクローンB9によって、この名を冠して各クローンおよび各クローンの発現に由来するタンパク質を言及し、このクローンC5およびクローンB9を、制限消化による挿入物をスクリーニングおよび中央ブロック挿入物のサイズに基づいた分析を介して同じ実験から選択し;これは、Wright ERおよびConticello VP、2002 Adv.Drug Deliv.Rev.54(8):1057〜1073の図6を参考とする。
【0097】
(表1 タンパク質ブロックコポリマーの構造および分子量)
【0098】
【表1】
(実施例2 エラスチン模倣ブロックコポリマーをコードするモジュラー遺伝子(modular gene)の構築)
エラスチン模倣ブロックコポリマーをコードするモジュラー遺伝子の構築のための別の戦略を、個々のエラスチンブロックをコードする大きなDNAカセットの適切に改変されたアクセプタープラスミド中への反復連結に基づいて考案した。このアプローチは、本発明者らの継ぎ目のない(シームレス)クローニング技術の以前の使用(McMillan RA、Lee TAT、Conticello VP.、1999、Macromolecules 32:3643〜3648(非特許文献34)を参照のこと)に基づき、反復ポリペプチド配列をコードするコンカテマー遺伝子を生成する。本発明者は、エラスチン模倣配列に基づいて3つの代表的なDNAモノマーを設計し、自己組織化(self−assembling)ブロックコポリマー系の構築にとって有用である特性を達成した。これらのモノマーの反復単位を、この合成DNAモノマー中で、IIs型制限エンドヌクレアーゼ認識/切断部位 BbsIおよびBsmB Iの位置によって規定した。これらの2つの酵素を使用したこのDNAモノマーの切断によって、非パリンドロームの、相補的な接着末端フラグメントを生成し、これらのフラグメントは、コンカテマーライブラリーへの自己連結(セルフライゲーション)について適格である。各DNAモノマーの自己連結から得られたコンカテマーは、適合性の接着末端を有し、その結果、これらのコンカテマーは互いに連結され得、エラスチン模倣配列のブロックコポリマーをコードするモジュラーDNAカッセトを形成する。付加の順番ならびに各配列のブロックの数を、従来のプラスミドに基づくクローニングプロトコルを介して簡潔に制御した。これらの手順の代表的な例を、以下のように記載した。
【0099】
それぞれ弾性反復単位(S1およびS2)および可塑性反復単位(S3)をコードするDNAカセットを、相補的なオリゴヌクレオチドのアニーリングから独立して合成し、これらをプラスミドpZErO−2(Invitrogen,Inc.)のポリリンカーの適合性HinDIII/BamHI部位に挿入した。反復単位セグメントについては、表2を参照のこと。組換えクローンを、E.coli Top10F’株中での増殖の後に単離し、そしてこの挿入物の配列を二重鎖自動DNA配列分析(double−stranded automated DNA sequence analysis)によって確認した。これらのクローンを、プラスミドDNAの調製量を単離するためにE.coli Top10F’株中で増殖した。DNAモノマーS1、S2およびS3を、IIs型のBbs IおよびBsmB Iを、それぞれ37℃および55℃で使用する一連の制限消化によってそれぞれのプラスミドから遊離させた。これらのDNAモノマーを、分取アガロースゲル電気泳動(2%NuSieve GTGアガロース、1XTBE緩衝液)によって精製し、そしてこのゲルから、クラッシュアンドソーク(crush and soak)法とアルコール沈殿によって単離した。各DNAカセットの自己連結によって、それぞれのモノマー配列の反復をコードするコンカテマーの集団を与える得る。コンカテマーをアガロースゲル電気泳動(1% SeaPlaqueアガロース,0.5XTBE緩衝液)を介してサイズによって分離した。これらのコンカテマーを、このゲルからのバンドの切り出しならびにZymocleanゲル抽出キット(Zymo Research,Inc)を用いた抽出および精製によって、所定の長さの範囲(500〜1000bp;1000〜2000bp;および2000〜3000bp)を有するサイズ画分として単離した。各サンプルにおけるDNAの濃度を、DNA dipstick技術(Invitogen,Inc.)を使用して推定し、そしてこれらの濃度は1〜5ng/μlの範囲にあった。
【0100】
各モノマーについてのアクセプタープラスミドは、このモノマーが得られた本来のプラスミドに対応した。これらのプラスミドを、エンドヌクレアーゼBbsIを用いる制限消化を介して切断し、末端がそれぞれのコンカテマープールと適合性である構築物を作製した。アクセプタープラスミドを、エビアルカリホスファターゼで脱リン酸化し、そしてゲル電気泳動を介して精製した。それぞれモノマーS1、S2、およびS3に由来するコンカテマープールを、以下の通りに、酵素連結を介して対応するアクセプタープラスミドに挿入した。プラスミド(50ng)およびコンカテマー(50ng)を、総容量20μlの1×T4 DNAリガーゼ緩衝液(New England Biolabs,Inc.)中で、T4 DNAリガーゼ(200Weiss単位)と組み合わせた。混合物を16℃で16時間インキュベートした。このライゲーション混合物のアリコート(5μl)を使用して、E.coli株Top10F’のコンピテントな細胞を化学的に形質転換した。個々のクローン由来のプラスミドDNAを、MacConnell Miniprep 24の自動化ミニプレップを介して単離した。コンカテマーのサイズを、HinD IIIおよびBamH Iを用いる二重制限消化、続いて制限フラグメントのアガロースゲル電気泳動(1%SeaPlaqueアガロース、0.5×TBE緩衝液)を介して分析した。各サイズ範囲内の代表的なクローンを、さらなる増殖のために選択した。最初の実験は、末端ブロックドメインが可塑性配列S3に基づき、そして中央ブロックが弾性配列S1に由来する、ジブロックエラスチン−模倣ポリペプチド配列をコードする遺伝子の合成に関する。約2000塩基対のサイズのコンカテマーDNAカセットをコードするクローンを、これらの実験に選択した。最初のS3末端ブロックをコードするプラスミドを、制限エンドヌクレアーゼNco IおよびBbs Iを用いて連続して消化した。この制限フラグメントを、ゲル電気泳動を介して分離し、そしてS3コンカテマーを含むフラグメントをゲルから単離し、上記のように精製した。中央S1ブロックを含むプラスミドを、Nco IおよびBsmB Iを用いて連続して消化した。上記のように、制限フラグメントを、ゲル電気泳動を介して分離して、S1コンカテマーを含むフラグメントを、ZymoCleanゲル抽出キットを介して精製した。2つのプラスミドフラグメントを、上記のように16Cにおいて酵素連結を介して、共に結合した。Nco I部位は、このプラスミド上のカナマイシン耐性遺伝子中で切断し、そしてジブロック配列を生じる2つのフラグメントの生産的なライゲーションのみが、この抗生物質耐性マーカーの再構築を生じることに注意する。このライゲーション混合物のアリコート(5μl)を使用して、E.coli株Top10F’のコンピテントな細胞を化学的に形質転換した。ポジティブな形質転換体を、MacConnellミニプレップ24機器での自動化ミニプレップを介して単離した。これらのクローンを、BamH IおよびHinD IIIエンドヌクレアーゼを用いる制限消化を介してスクリーニングし、ジブロック配列を含むクローンを同定した。制限フラグメントをアガロースゲル電気泳動を介して分析し、そしてポジティブクローンを増殖のために選択した。ジブロックポリペプチドをコードするDNAカセットを、それぞれエンドヌクレアーゼBbs IおよびBsmB Iを用いる連続的な配列制限消化を介してプラスミドから切り出した。このジブロックDNAカセットを、調製用アガロースゲル電気泳動(0.75%SeaPlaqueアガロース、0.5×TBE緩衝液)を介してクローニングプラスミドから分離し、そして上記のようにZymoCleanゲル抽出手順を介して単離した。この配列は、発現プラスミド中へのライゲーションについてコンピテントであった。
【0101】
発現ベクターを、プラスミドpBAD−HisA(Invitrogen,Inc.)のマルチプルクローニング部位(MCS)への短いアダプター配列のライゲーションから構築した。アダプターを、相補的なオリゴヌクレオチドのアニーリングを介して合成し、プラスミドpBAD−HisAの相補的なNco I/HinD III部位へ挿入した。ライゲーション混合物を使用して、E.coli株Top10F’を形質転換した。得られた形質転換体を、Nco IおよびHinD IIIでの制限消化、続いてアガロースゲル電気泳動(2%NuSieve GTGアガロース、1×TBE緩衝液)を介して分析した。ポジティブクローンを、二本鎖DNA配列決定により分析した。正確なアダプター配列を有するクローンをさらなる増殖のために選択した。この改変された発現プラスミドを、制限エンドヌクレアーゼBbsIを用いて合成アダプター配列内で切断し、ジブロックDNAカセットに適合性のベクターを生成した。この発現ベクターを、エビアルカリホスファターゼで脱リン酸化し、そして上記のようにアガロースゲル電気泳動を介して精製した。ジブロックDNAカセットとこの発現ベクターとの間のライゲーション反応を、上記のように行なった。ライゲーション混合物のアリコートを使用して、E.coli株Top10F’のコンピテントな細胞を形質転換した。形質転換体を、Nco IおよびHinD IIIを用いる制限消化、続いてアガロースゲル電気泳動(0.75%SeaPlaqueアガロース、0.5×TBE緩衝液)を介して分析した。発現カセットの配列を、二本鎖DNA配列決定を介して確認した。E.coli発現株LMG194を形質転換するために使用したポジティブクローンを得た。
【0102】
(表2.反復単位セグメント)
【0103】
【表2】
(実施例3.トリブロックコポリマーの研究A)
組換えDNA法を使用して、隣接する疎水性末端ブロック[(IPAVG)4(VPAVG)]および合成熱可塑性エラストマーの特徴的な挙動を模倣する親水性中間ブロック[(VPGVG)4(VPGEG)]を有する、タンパク質トリコポリマーを合成した。フィルム成形の間の溶媒、温度、およびpHの思慮深い選択によって、広範な範囲の力学的特性(ヤング率における2オーダーを超える大きさの変化(0.03から5MPa)および破断までの伸びにおける5倍より大きい変化(2.5倍から13倍を含む))を示す一連のタンパク質ベース物質を、生成した。例えば、トリフルオロエタノール(TFE)から成形された含水タンパク質フィルムは、一般的に、可塑性変形挙動を示し、水から成形された含水タンパク質フィルムは、一般的にエラストマー性であった。力学的挙動における変化は、トリブロックコポリマーがTFE(これは、両方のブロックについて良好な溶媒として作用する)から成形された場合のタンパク質ドメイン間の混合界面もしくは拡散界面、または水(これは、親水性中間ブロックを優先的に溶媒和する)から成形された場合の鮮明な界面のいずれかの生成に起因する。水成形サンプルは、TFE成形フィルムについて観察されたよりも1オーダー低い大きさであるtanδ値を有する、より少ないヒステリシスを示した。注目すべきことに、水成形サンプルのエラストマー特徴は、おそらく親水性ブロックと疎水性ブロックとの間の真の微小相分離に起因して、5℃から23℃までフィルム成形の温度を増加させることによって有意に増強された。さらに、成形溶媒のpHを塩基性条件に増加させることによって、中間ブロックにおけるグルタミン酸残基をイオン化し、材料の弾性性質をさらに強化し、13倍を超える、水中で破損までのひずみが観察された。合成トリブロックコポリマーと同様に、処理溶媒、温度、およびpHのような生成後条件の合理的な選択を介して、生理学的に関連する条件に合わせた力学的特性を有する、タンパク質ベースの対応物を生成し得る。
【0104】
ペンタペプチド反復配列[(Val/Ile)−Pro−Xaa−Yaa−Gly]内で、4番目の残基(Yaa)の正体における変更は、ポリマー−溶媒相互作用に対するアミノ酸側鎖の極性の影響に比例した様式で、水溶液中のポリペプチドの逆温度転移(inverse temperature transition)の位置を調節する。さらに、反復の3番目(Xaa)の位置におけるコンセンサスGly残基とのAla残基による置換は、弾性変形から可塑性変形への材料の力学的応答における変化を生じる。これらの配列変更の巨視的効果を使用して、合成両親媒性トリブロックコポリマー(ABA)を模倣するエラスチン模倣ポリペプチド配列を設計した。詳細には、これらのポリペプチドは、中央親水性エラストマーブロック(VPGVG)によって分離された、疎水性可塑性配列の同一の末端ブロック(VPAVG)を組み込む;表1を参照のこと。
【0105】
逆温度転移Ttを超えて、ブロックペプチドは、内部ブロック間の見かけの架橋の形成におそらく起因して、水溶液からの可逆的な微視的相分離を起こす。このプロセスにおいて、熱可塑性エラストマーバイオソリッドが生成される。末端ブロックの反復配列は、これらの逆温度転移が室温または室温近くに存在するように選択され、このことは、生理学的に関連した条件下で、水溶液から疎水性ドメインの相分離を生じる。次に、中央エラストマー反復単位の配列を、これらの転移温度が37℃より有意に高いように選択した。これらのタンパク質ポリマーは、疎水性末端ブロックの相転移を超えたところで、濃縮された水溶液から可逆的に自己集合して、エラストマー中央ブロックおよび水性溶媒の連続相中に分散された、微小ドメインの網目構造を形成する。
【0106】
希水溶液中のトリブロックコポリマーの示差走査熱分析により、22℃における可逆的な吸熱転移の存在を確認した。ホモポリマー(全体が末端ブロックより構成される)およびトリブロックの転移温度および転移エンタルピーは、実質的に同一であり、これは、温度を増加する際に観察される凝集現象が、おそらく疎水性ドメインのみに関与することを示す。さらに、温度依存性1H−13C HMQC NMRスペクトルは、可塑性末端ブロックに関連する交差ピークのみが、相転移を超える温度で消滅することを示した(Wright ERら、2002、Adv.Funct.Mater.12:149−154)。これらのデータは、23℃における水性環境で、この末端ブロックが、見かけの架橋の形成を伴う選択的な疎水性崩壊を起こすが、対照的に、エラスチン内部ブロックは、水和され、そして立体配置的に可撓性なままであることを示す。おそらく、凝集は、末端ブロック配列の選択的な脱溶媒和を介して進行し、この脱溶媒和は、ブロックの微小相分離を誘導する。これらの観察と一致して、最初のレオロジー的測定は、熱量相転移付近で貯蔵弾性率と損失弾性率との間の交差を示し、これが、ゲル化の開始を示す(Wright ERら、2002、Adv.Funct.Mater.12:149−154)。H2O(蒸留/脱イオン化;ddH2O)からTFEへ溶媒系を変更することは、このような疎水性崩壊の発生を妨げ、TFEが調査された温度範囲において両方のブロックについて優れた溶媒であることを示す。
【0107】
図1は、ddH2O中のP2およびB9の示差走査熱分析サーモグラムを示す。P2ホモポリマーは、20℃の転移温度を有するが、B9トリブロックコポリマーは、22℃の転移温度を有する。両方のサンプルの計算されたエンタルピーは、類似しており、これは、疎水性末端ブロックのみが、B9凝集プロセスに関与していることを示す。
【0108】
ホモポリマーP2(挿入図として示される)ならびにTFEおよび水から成形されたトリブロックB9サンプルについての特徴的な工学応力−ひずみ曲線を図2に示す。この実験について、全てのサンプルを、試験の前に24時間、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で再水和した。ひずみ速度は、5mm/分であった。サンプルは、種々の量で、5mm×5mmの寸法を有した。NaOHの添加によって、溶媒のpHを変化させることは、弾性特性を強化した。挿入図は、水およびTFEから成形されたP2の引張り挙動を示す。P2は、降伏点および引き続く可塑性変形を示す。伸びλは、最初の長さによって除算されたひずんだ長さ(I/I0)を示す。
【0109】
対応する引張りデータを、表3に要約する。P2は、応力下で可塑性変形または回復できない変形を示す材料に類似する引張り挙動を示す。16〜55MPaの範囲における水和されたP2フィルムの弾性率は、文献(Urry,D.W.,Luan,C.−H.,Harris,C.M.,&Parker,T.M.、Protein−Based Material(McGrath,K.,&Kaplan,D.編)第5章(Brikhauser,Boston,1997))におけるP2様材料について報告された類似の値と一致する。
【0110】
(表3.フィルムについての引張りデータ)
【0111】
【表3】
TFEは、B9の疎水性ブロックおよび親水性ブロックの両方についての優れた溶媒であるので、TFEからのフィルム成形は、両方のブロックの有意な相互浸透、および結果として、溶媒除去の際の両方のドメイン間の混合界面を有する材料を生成することが予想される。PBSにおける引き続く再水和は、末端ブロック凝集および結果としての相分離を誘導するが、末端ブロックのいくつかの部分は、軟らかい中間ブロックセグメント中に動力学的に閉じ込められたままである。この界面成分は、応力下で可塑性変形を示す材料に変換される。実際、両方がTFEから成形される場合、B9の応力−ひずみ曲線は、P2の曲線に定性的に類似である。従って、B9の挙動は、P2のゴム強化バージョンにたとえられ得る。5℃および23℃におけるTFEから成形されたB9フィルムの引張り特性は、類似したままであった。なぜなら、TFEは、両方の温度でB9について優れた溶媒であるからである。
【0112】
TFEと異なり、水は、より疎水性の末端ブロックよりも親水性中間ブロックを、優先的に溶媒和した。従って、これらの2つのドメインの界面における制限された混合は、5℃の水から成形されたフィルム中で予想された。これにより、PBS中の引き続く再水和は、TFEから成形されたフィルムよりも鋭い界面を有する材料を生成した。次に、これは、引張り変形プロセス中の末端ブロックの関与を減少させ、それにより、図2において示されるように材料の弾性を強化する。水成形サンプルによって示される引張り挙動は、ブタジエンブロックを優先的に溶媒和する溶媒から成形されたSBSコポリマーについて観察される挙動と類似する。Seguela,R.,& Prud’homme,J.,Macromolecules 11,1007−1016(1978);Wilkes,G.L.,Bagrodia,S.,Ophir,Z.,& Emerson,J.,J.Appl.Phys.49,5060−5067(1978)を参照のこと。溶媒成形温度を23℃に増大することは、末端ブロック凝集をさらに補助する。なぜなら、この温度は、末端ブロックの転移温度より高い温度であるからである。この可能性のある結果は、膨張しそして立体配置的に不安定な中間ブロック鎖の間で分散された疎水性末端ブロックの島が存在する、真の微小相分離材料である。引張り変形プロセス中の末端ブロックのほぼ完全な非関与に起因して、この材料は、10倍のオーダーの観察される破断までの伸びから、確かに弾性である。図3に示されるように、ヒステリシスは、5℃および23℃で生成されるよりエラストマー性水成形フィルムと比較して、TFE成形サンプル中で有意に大きい。
【0113】
動的力学的試験は、フィルム処理条件の関数として観察される力学的特性の差異に、さらなる洞察を提供した。図4は、5℃で水またはTFEからキャスティングされた、コポリマーB9についての動的力学的データを示す。TFEキャストサンプルおよび水キャストサンプルの弾性率が類似する場合、水キャストサンプルについてのtanδは、TFEキャストサンプルのtanδよりも1オーダー低い。粘性散逸に起因する観察された損失は、水キャストサンプルにおいて、はるかに小さく、これは、弾性挙動において観察された変化に対するさらなる支持を提供する。
【0114】
中間ブロックは、グルタミン酸残基を含むので、トリブロックのさらなる力学的調節が、pHの変化に伴って予測され得る。23℃で、0.1N NaOH溶液(pH14)からキャスティングされその後PBS中で再水和された、B9のフィルムサンプルは、23℃で水からキャスティングされた比較サンプルよりも弾性であることが証明された(図2および表3)。NaOH溶液中で、グルタミン酸残基は、そのpKaが約4であることに起因して、イオン化された状態(COO−)で存在し、これは、おそらく、電荷間反発力に起因する中間ブロックのより高い程度の膨張に寄与する。実際、NaOHからキャスティングされたサンプルについての損失弾性率は、水キャストサンプルについて観察された損失弾性率よりも低く(データは示さず)、これは、弾性挙動のさらなる増強を実証する。顕著なことに、これらの条件下で、切断までの最大の伸びは、13倍を超え、これは、他の組換えエラストマーバイオソリッドで以前に観察された伸び(Urry D.W.ら、1976、Biochemistry 15、4083−4089)より2〜3倍高い値であり、そして合成的に生成されたエラストマーに関連する値(Legge,N.R.、Holden,G.およびSchroeder,H.E.編、Thermoplastic Elastomer、Hansers、New York、1987)と相応する。
【0115】
エラスチンコンセンサスペプチド配列を考慮して誘導されたタンパク質ベースのトリブロック材料は、合成トリブロックコポリマーと比較した場合に、いくつかの利点を提供し、これらの利点としては、以下についての能力が挙げられる:(i)分子構造の正確な制御、(ii)生理学的に関連する条件での、溶媒およびpHで調整可能な形態および力学的特性、ならびに(iii)反応性側鎖の組み込みを介する生体結合体化(bioconjugation)の機会。さらに、従来のポリマー技術を使用して、P2およびB9のブレンドは、材料の構造および特性におけるさらなる変化を生じ、これは、材料が、制御された放出、細胞および薬物のカプセル化、ならびに組織工学のための足場において適用されるのを容易にする。
【0116】
コポリマー合成のために、McMillan,R.A.ら、1999、Macromolecules 32、3643−3648;およびLee,T.A.T.ら、2000、Adv.Mater.12、1105−1110に詳述されるように、遺伝子工学方法を使用して、所定の組成および正確に制御された分子構造を有するポリペプチドを合成した。手短に言うと、弾性かつ可塑性の反復単位をコードするオリゴヌクレオチドを別々に合成し、そしてDNA修飾のために操作されたプラスミド(pZErO1およびpZErO2)中に挿入した。正確な配列を有するモノマーを、制限エンドヌクレアーゼ消化によってラージスケールで精製し、鎖状体化して大きい反復遺伝子(1200〜3000塩基対を含む)を生成し、そして発現プラスミド(pET24a)中に酵素的に連結した。適切なサイズおよび正確な配列のタンパク質をコードするプラスミドを、E.coli株(BL21(Gold)DE3)に形質転換した。これらのタンパク質を、過剰発現プロトコル(Daniell,H.ら、1997、Methods Mol.Biol.63,359)を使用して、発現させそして多グラム収量にて精製した。
【0117】
示差走査熱分析のために、測定を、CSC Nano II示差走査熱分析計(N−DSC II)で、1mg/mLのタンパク質濃度および1℃/分の走査速度にて行った。全ての場合において、蒸留脱イオン水を溶媒として使用した。サーモグラムを、純粋な溶媒のDSCトレースを得ることによって、計器ベースラインについて補正した。転移温度および転移熱を、この計器に備えられたcpcalc分析ソフトウェアを使用して計算した。
【0118】
引張り測定のために、ホモポリマーのフィルムおよびトリブロックコポリマーのフィルムを、10重量%のTFE溶液および水溶液からキャスティングした。タンパク質溶液を5℃で調製したが、溶媒のエバポレーションを、5℃または23℃のいずれかにて行った。フッ化アルコールは、ポリアミドと共に強い固体状態の複合体を形成するので(Sturgill,G.K.ら、2001、Macromolecules 34、8730−8734)、TGA分析を行って、フィルムサンプルからの溶媒の完全な除去を確かめた。溶媒の完全なエバポレーション後、フィルムを、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中で水和し、引張り分析のために5mm×15mm片に切断し、そして引張り試験前にさらに24時間PBS中に保存した。水和したフィルムの厚さを、標準的な画像分析プロトコルを使用して、光学顕微鏡によって測定した。
【0119】
微小材料テスターMinimat 2000(Rheometric Scientific)を使用して、20Nのロードセル、5mm/分のひずみ速度、および5mmのゲージ長での引張り変形モードにおいて、力学的フィルム特性を測定した。8〜10個の試料を試験し、平均ヤング率、引張り強さ、破壊までの伸びを測定した。ヒステリシス測定を、負荷方向および非負荷方向の両方で5mm/分のひずみ速度にて行った。
【0120】
レオロジーデータを、DMTA V(Rheometric Scientific)を引張りモードにおいて使用して測定した。これらのデータは、23℃でPBS中に浸したサンプルを用いて収集した。貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、およびtanδ(損失正接)を、0.5〜10Hzの振動数範囲における0.5%のひずみにて測定した。
【0121】
(実施例4 組換えタンパク質ポリマーの合成)
タンパク質ポリマーの生合成は、標的オリゴペプチド配列の直列反復をコードする大きい合成遺伝子の構築を必要とする。最も一般的な手順は、非パリンドローム付着末端を含む、二本鎖オリゴヌクレオチドカセットすなわちDNA「モノマー」の合成を包含する。これらのDNAモノマーを、センス鎖すなわちコード鎖のみがポリペプチドに翻訳されるように、酵素的連結によって専らヘッド−テイル(head−to−tail)型でのみオリゴマー化する。これらのDNAコンカンテマーを、分画し、発現ベクターに酵素的に連結し、そして強力なプロモーターの誘導性制御下に、適切な発現宿主内に形質転換する。多くの合成タンパク質ポリマーの首尾よい産生にもかかわらず、上記アプローチは、いくつかの欠点を有する。最も重要な欠点は、非パリンドローム切断部位を認識する制限エンドヌクレアーゼの限定されたプールに対する、厳密な依存性である。これらのエンドヌクレアーゼは、正しいヘッド−テイル方向での自己連結を生じるDNAモノマーの生成に必要である。この必要性の結果として、他の余分なアミノ酸残基が、標的ポリペプチドの反復配列に導入される。さらに、このようなエンドヌクレアーゼは、認識配列において緩やかな特異性を有し得、これが、発現プラスミド中の内部部位の切断の可能性を増加する。通常、1以上のさらなるクローニング工程が、このプロセスを妨げるために遺伝子構築において必要とされる。
【0122】
Conticelloらは、シームレス(継ぎ目のない)クローニング技術の拡張による、反復ポリペプチドをコードする合成遺伝子の迅速な構築および発現ベクターへのそれらの直接クローニングのための効率的な方法を、最近報告している(McMillan RA、Lee TAT、Conticello VP.、Macromolecules 1999;32:3643−8)。このアプローチは、天然に存在する制限部位の通常の制限を伴わずに、所望の位置へ所定のDNA配列をクローニングする能力を可能にする。手短に言うと、シームレスクローニング手順の効力は、IIs型制限エンドヌクレアーゼEam1104Iの2つの特異的特性にある(図5Aおよび5B)。(図5Aは、制限酵素Eam1140 Iの認識および切断配列を示し;一方の鎖のNは、4個のヌクレオチドのいずれかを表す。図5Bは、逆方向Eam1104 I認識部位が隣接する合成DNA二重鎖についての切断パターンの概略図を示し、この切断パターンは、バリンコドンGTAの配列を有する相補的5’付着末端を生成する。この二重鎖の上側の鎖は、その配列の左から右へ進む、5’→3’方向に向いている。)
1つの特性は、このエンドヌクレアーゼがその認識部位(5’−CTCTTC)の下流にある特定の位置でDNA二重鎖を切断する能力である。第2の特性は、この酵素の認識部位への5−メチルデオキシシトシンの組み込みによって切断を阻害する能力である。
【0123】
Eam1104 Iによる合成二重鎖の切断は、その3塩基突出の正体がその認識部位に非依存的である、5’付着末端を生成する。この一般手順は、二重鎖の5’末端で任意の三塩基配列を生成し得、これが、固有の内部認識/切断パターンを有する多くのエンドヌクレアーゼの必要性を回避する。さらに、Eam1104 I制限部位は、DNAカセットから切断され、そしてそれ故、DNAモノマーのコード配列に組み込まれない。逆方向Eam1104 I認識部位が隣接する合成二重鎖は、酵素的に切断されて、非パリンドロームの相補的付着末端を有する、連結能力のあるDNAモノマーを生成する。これらのモノマーは、ヘッド−テイル型で酵素的に連結されて、継ぎ目のない接合部を有するコンカンテマーライブラリーを生成し得る。
【0124】
5−メチルデオキシシトシンの組み込みによるEam1104 I認識部位の切断を阻害する能力は、このエンドヌクレアーゼの第2の特徴であり、これが、このシームレスクローニング手順の代表であり、発現プラスミドのクローニング部位へのコンカンテマー遺伝子の直接的な挿入を容易にする。合成プライマーを、インバース(逆)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロセスを使用して適切な発現プラスミドの増幅を指向するために、使用する。これらのプライマーは、それらの3’末端がその環状マップ上で外側の向きになるように、プラスミドの向かい合う鎖にアニールする。これらのプライマーからの増幅は、線状プラスミドを与える。これらのプライマーにおけるEam1104 I認識部位は、増幅の際に、そのプラスミドの末端に組み込まれる。このPCRプロセスを、5−メチルデオキシシトシンの存在下で行う場合、発現プラスミド中の内部Eam1104 I認識部位は、酵素的切断から保護されるが、これらのプライマーに由来する末端部位は、保護されない。PCR増幅後、精製した、その増幅されたプラスミドを、Eam1104 Iと共にインキュベートする。Eam1104 Iは、主にこれらの末端部位で切断する。プライマーは、増幅されたプラスミドのEam1104 I切断によって生成された付着末端が、マルチマーの付着末端に相補的であるように、選択される。さらに、プライマーのヌクレオチド配列は、コンカンテマーの挿入が、所望のタンパク質ポリマーの発現のために正しい読み枠で生じるように、設計される。この方法は、反復ポリペプチドをコードする大きい合成遺伝子(>3000bp)を生成し得る。
【0125】
(実施例5 エラストマー性かつ可塑性の配列から構成されるポリペプチドマルチブロックコポリマー)
過去20年間、種々のAB−ジブロックコポリマーまたはABA−トリブロックコポリマーは、A−ブロックを溶解するがB−ブロックと適合性でない溶媒と混合された場合に、微小ドメインに凝集することが知られていた。しかし、BAB−ブロックコポリマーを生成する際に、異なる凝集挙動が生じる。この状況下で、その溶媒は、A−ブロックに対してのみ特異的であり、そして得られる構造は、不溶性の末端ブロックの網目構造からなり、これらが、溶媒で膨張された中心のブロックを連結する見かけの架橋または物理的架橋として作用する。この型のトリブロックコポリマー(例えば、熱可塑性エラストマーである、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS))は、伝統的に、従来の有機モノマーから誘導されている。しかし、これらの材料の合成レパートリーは、一様な配列のテーパ状のブロックに限定され、これらは、潜在的に、その得られる微小構造の機能的な複雑性を制限する。合成ポリペプチドの遺伝子工学は、複雑なブロック配列から構成されるブロックコポリマーの調製を可能にし、そこでは、個々のブロックが、異なる力学的特性、化学的特性および生物学的特性を有し得る。組成的、構造的、および空間的に異なるドメインへとこれらのタンパク質ブロックが分離することは、合成ブロックコポリマーと同様に生じるはずであり、このことは、ナノメートル〜マイクロメートルのサイズ範囲で要求される構造を付与する。これらのタンパク質材料の有用性は、従来のポリマー系の材料特性を機能的に模倣しつつ、タンパク質工学が材料の構築のために与える、配列および微小構造に対するより優れた制御という利点を維持する能力に依存する。
【0126】
Conticelloらは、エラスチン模倣ポリペプチド配列から誘導されるトリブロックコポリマーのクラスの遺伝子学的指向性合成および特徴付けを、最近報告しており、ここでは、それぞれのブロックが、熱可塑性エラストマーに類似する異なる力学的特性を示す(Lee TAT、Cooper A、Apkarian RP、Conticello VP、Adv Mater 2000;12:1105−10)。他で議論されたように、エラスチン模倣ポリペプチドの相挙動および力学的特性は、ペンタペプチド反復配列[(Val/Ile)−Pro−Xaa−Yaa−Gly]内の残基の正体に依存する(Urry DW、Pattanaik A、Accavitti MA、Luan CX、McPherson DT、Xu Jら、Transductional elastic and plastic protein−based polymers as potential medical device.、Domb AJ、Kost J、Wiseman DM編、Handbook of Biodegradable Polymers.、Amsterdam:Harwood;1997、367−86頁)。4番目の残基(Yaa)の正体の変化は、ポリマー−溶媒相互作用に対するそのアミノ酸側鎖の極性の影響に相応する様式で、水溶液中のポリペプチドの下部臨界完溶温度の位置を調節する。さらに、その反復中の第3(Xaa)位におけるコンセンサスGly残基をAla残基で置換することは、エラストマー性から可塑性への材料の力学的応答における変化を生じる。これらの配列変化の巨視的影響を使用して、トリブロックコポリマー(BAB)を模倣する、エラスチン模倣ポリペプチド配列(コポリマー1、2および3)を設計した。詳細には、これらのポリペプチドは、中心親水性エラストマー性ブロックによって分離された、疎水性可塑性配列の同一の末端ブロックを組み込む:
{VPAVG[(IPAVG)4(VPAVG)]16IPAVG}−[X]−{VPAVG[(IPAVG)4(VPAVG)]16IPAVG}
1:[X]=VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]30VPGVG
2:[X]=VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]48VPGVG
3:[X]=VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]30VPGVG。
【0127】
下部臨界完溶温度Ttより高い場合、これらのポリペプチドは、末端ブロック間の見かけの架橋の形成に起因して、水溶液からの可逆的な微視的な相分離を生じる。このプロセスで、熱可塑性エラストマーバイオソリッドが生成される。末端ブロック(B)の反復配列は、それらの下部臨界完溶温度が周囲温度に存在するかまたは周囲温度付近に存在するように選択され、これは、生理学的に関連する条件下で水溶液からの弾性ドメインの相分離を生じる。次に、中心エラストマー性反復単位の配列は、それらの相転移が37℃より有意に高いように、選択される。これらのタンパク質ポリマーは、疎水性末端ブロックの相転移よりも高い温度で、濃縮水溶液から可逆的に自己集合し、エラストマー性の中間ブロックと水性溶媒との連続相中に分散される、可塑性の微小ドメインの網目構造を形成する。注目すべきことに、他の研究者は、その中心ブロック配列が、その転移温度よりも低い温度の場合は、細胞およびタンパク質に対してそれほど接着性でないことを実証している。
【0128】
種々のエラスチンブロックコポリマーをコードするDNA挿入物を生成するために使用される合成方法は、以前に記載されており、実施例として、ポリペプチド1をコードする遺伝子の調製を使用して要約されている。可塑性かつ弾性の反復単位をコードするオリゴヌクレオチドカセットを、別々に合成し、そしてそれぞれ、pZErO−1およびpZErO−2のポリリンカー内のBamH I/Hind III部位に挿入した。DNAモノマーを、それぞれ、BspM IおよびSexA Iでの制限消化によって各プラスミドから遊離した。各DNAカセットの自己連結は、それぞれ、可塑性かつ弾性の配列の反復をコードするコンカテマーの集団を生じた。弾性配列の16回の反復をコードするコンカテマーを単離した。1対の組換えプラスミドのpPNおよびpPCは、それぞれ、ポリマー1のN末端ドメインおよびC末端ドメインをコードした。各プラスミドの制限切断は、2つのフラグメントを生じ、これらを、調製用アガロースゲル電気泳動で分離し、そして単一の連続性の読み枠として、組換えプラスミド(pPEP)に連結した。プラスミドpPEPを、E.coli株SCS110で増殖させ、そして制限エンドヌクレアーゼSexA Iで切断した。エラスチン配列をコードするコンカテマーを、pPEPの適合性のSexA I部位に挿入した。弾性配列の約30回の反復をコードするクローンを、単離した。タンパク質発現後、透析および凍結乾燥を行い、1Lの培養物当たり614mgの単離収率でタンパク質1を得た。SDS−PAGE分析は、約150kDaの見かけの分子量を示し、そしてそのタンパク質の構造を、アミノ酸組成分析、MALDI−TOF質量分析、および多次元NMR分光法の組み合わせによって確認した。注目すべきことに、この手順は、変更されたサイズおよび配列の中心ブロックを有するポリペプチドをコードする遺伝子の調製に、容易に適応され得る。ポリペプチド2および3の調製は、このアプローチの柔軟性の証拠を提供した。
【0129】
タンパク質ポリマー1は、これらのトリブロックポリペプチドが可逆的に自己アセンブルして熱可塑性エラストマーになる能力を示した。希釈水溶液中での1の示差走査熱分析により、23℃での可逆的吸熱転移が示された。これに関し、温度依存性1H−13C HMQC NMRスペクトルにより、この可塑性末端ブロックに関連する交差ピークのみが、この相転移を超える温度にて消失することが、示された。37℃の水性環境において、可塑性末端ブロックは、見かけの架橋を形成しつつ選択的疎水崩壊し、対照的に、エラスチン内部ブロックは、水和され、立体配置的に可撓性であるままであることを、これらのデータは示唆する。これらの知見と一致して、レオロジー的測定により、動的力学的弾性率(dynamic mechanical module)G’およびG’’は、温度に強く依存することが、示された(図6aおよびb)。図6aは、温度の関数としての、コポリマー1の濃縮水溶液(25重量%)のレオロジー的挙動を示す。図6bは、25℃での線形粘弾性型の周波数掃引を示す。温度掃引は、熱量相転移付近での貯蔵弾性率と損失弾性率との間の交差を示す。25℃にて、特に、貯蔵弾性率の値と損失弾性率の値とがほぼ2桁異なることを考慮すると、そのレオロジー的特性は、粘弾性固体と一致する。
【0130】
温度掃引は、熱量相転移付近での貯蔵弾性率と損失弾性率との間の交差を提示した。
【0131】
(実施例6.タンパク質繊維、繊維網目構造、およびフィルムの作製)
(実施例5からの)エラストマートリブロックコポリマー1を、トリフルオロエタノール(TFE)中に5重量%で溶解し、そしてエレクトロスピニングにより繊維を生成した。図7は、TFE中5重量%の溶液から紡糸したトリブロックコポリマー2の走査電子顕微鏡分析(SEM)からの、5000倍画像を示す。エレクトロスピニングのパラメータは、電圧18kV;流速50μl/分であった。1ミクロン未満の直径の均質な繊維が生成された。
【0132】
乾燥繊維網目構造のサンプルの力学的特性および水和繊維網目構造のサンプルの力学的特性を、一軸応力−ひずみ試験(ひずみ速度1mm/分)により室温で評価した。図8は、トリブロックコポリマー2の水和繊維サンプルについての応力−ひずみ曲線を示す(ひずみ速度:1mm/分、長さ:8mm、UTS 0.64MPa;弾性率0.56MPa)。乾燥サンプルは、引張り強さ16.39MPa、および弾性率1.15MPa、および破壊に到るひずみ(strainto failure)20%を有した。水和の際、このサンプルは、より大きなコンプライアンス、および破壊に到るひずみ(strain to failure)の増加を示した。詳細には、水和サンプルは、引張り強さ0.64±0.15MPa、弾性率0.56±0.07MPa、および破壊に到るひずみ(strain to failure)151±29%を有した。これらの値は、天然ウシ項靱帯エラスチンおよび動脈壁のエラスチン成分について得られた値(ヤング率約0.3MPa)(Urry DW、Protein elasticity based on the conformation of sequential polypeptides:The biologicalelastic fiber、J Protein Chem 1984;3:403〜36;Niklason LE,Gao J,Abott WM,Hirschi KK,Houser S,Marini Rら、Functional arteries grown in vitro、Science 1999;284;489〜93)に匹敵する。
【0133】
タンパク質繊維および繊維網目構造は、真の架橋または見かけの架橋を形成することができる部位を含む組換えペプチドポリマーの溶液を、当該分野で公知でありそして本明細書中に開示されるように、エレクトロスピニングすることによって、生成される。走査電子顕微鏡分析(SEM)は、繊維形態が、溶液濃度および流速により主に影響されることを示し、そして固体NMRにより、光架橋の効率を確認する。
【0134】
安定な繊維を形成する能力を有する組換えトリブロックエラスチンアナログを、化学的架橋に必要な要件が減少した状態で合成する能力は、丈夫なエラストマー繊維網目構造を生成するのを補助する補完的アプローチを提供する。さらに、十分に規定された微小相が分離された系を形成する際に、トリブロックコポリマーはまた、標的配列を中心エラストマーブロック中に操作することにより、生体活性配列を高密度領域へと「クラスター形成」させることを可能にする。不織繊維として作られた、種々の構造的特徴および力学的特徴の単一タンパク質繊維および繊維網目構造を、作製する。
【0135】
繊維強化生体複合材料のアセンブリを使用して、マイクロスケールの特性とタンパク質ベース構築物の力学的応答との間の関係を研究するためのモデル系を作製し、構築物の力学的特性に対する、属性(例えば、置換材料(例えば、コラーゲンおよびエラスチン、またはそれぞれの模倣物)の組成、含有量、および構成)の影響についての知識を得た。
【0136】
(実施例7)
変化したエラストマー特性および増加した生体安定性を備えたエラスチン模倣繊維を、架橋形成を促進する組換えペプチド配列を適切に選択することを介して、作製する。繊維の処理および架橋形成の間の天然の分子四次構造の喪失を最小にすることによって、生物学的に安定でありかつ引張り強さが高いコラーゲン模倣繊維を作製する。
【0137】
タンパク質一次構造の特徴は、組換え繊維アナログの形態特性および生理化学特性に影響する。力学的に弾力性がありかつ分解プロセスに最適に耐える、繊維網目構造の作製が、これらの要因により可能である。反復するエラストマーペプチド配列を含む組換えタンパク質を、遺伝子工学および微生物によるタンパク質発現によって生成する。4種のエラスチンアナログが、真の架橋および/または見かけの架橋のいずれかを形成可能である。
【0138】
第1種(I型)は、共有架橋されることができる、エラスチンアナログからなる。組換えタンパク質を、エラスチン模倣配列(VPGVG)n(VPGKG)に基づいて合成する。このエラスチン模倣配列は、メタクリレート誘導体化に利用可能なリジン(K)残基を含む。
【0139】
第2種(II型)は、見かけの架橋を形成することができる、エラストマー材料から構成される。タンパク質ポリマートリブロックを、配列(VPAVG[(IPAVG)4(VPAVG)]16)−[X]m−(VPAVG[(IPAVG)4(VPAVG)]16IPAVG)に基づいて提供する。この種のトリブロックコポリマーは、変更可能な身元(X)の1つの中心親水性エラストマーブロック(E)と2つの疎水性「可塑性」末端ブロック(P)とから構成される。この種(II型)のポリマーは、P−E−Pエラストマートリブロックと本明細書中で示す。
【0140】
別の種(III型)のエラスチン模倣タンパク質ベースの材料は、見かけの架橋と真の架橋との両方を含むように設計される。このように、メタクリレート誘導体化に利用可能な10個のリジン単位の配列を、P−E−PエラストマートリブロックのN末端セグメントおよびC末端セグメントに付加する。末端共有架橋部位の付加により、力学的特性を調節しそしてエラストマートリブロックコポリマーの生体安定性を増加するための、有用な機構が提供される。挿入部位の上流および下流に適切な数のLys残基をコードするポリリンカーを含むように改変した形態のプラスミドpET−24a中に、ポリメラーゼ連鎖反応を介して、このトリブロックポリペプチドをコードするDNAカセットをNdeI/XhoIフラグメントとしてクローニングする。その構築物全体は、リジン末端を有するトリブロックコポリマーをコードする標的遺伝子の発現に適切な読取り枠にある、1つの連続するコード配列を構成する。これらの種類のエラスチン模倣タンパク質ポリマーの中でも、一連の関連した組換え体を生成して、分子量、ならびに架橋の型、密度、および位置を調節することの効果を特徴付ける。
【0141】
選択されたIII型タンパク質ポリマーの中心エラストマーブロック中にフィブロネクチン(FN)結合配列が挿入されており、その力学的特性が天然エラスチンについて報告された力学的特性と近い、別の種(IV型)のエラスチンアナログを合成する。FN結合配列の存在により、エラスチン模倣繊維の表面上へのフィブロネクチンの吸着が促進される。このプロセスにおいて、すべての細胞結合部位(例えば、RGD配列、シナジー配列、およびヘパリン結合配列)は、この構築物中で再増殖する血管壁細胞を移動および増殖させるために利用可能である。この材料を作製する際、微小相が分離したエラスチンアナログが、挿入されたFN結合配列を個別のドメインへと組み立てる。次いで、すべての架橋を、これらの結合部位の外側に位置する領域中に組織化することによって、フィブロネクチンによるこれらの配列の認識による網目構造架橋の妨害が、制限される。重要なことには、エラストマー材料中に種々の生体活性認識配列を容易に組み込むとともに、以前に最適化された力学的特性を保存するための、一般的アプローチが確立される。このアプローチは、タンパク質ポリマー全体の基本反復配列(例えば、I型エラスチンアナログのモノマー)を提供する開始DNAモノマーまたはカセット内に、「結合部位」を散在させることに基づくストラテジーと比較して、設計上の利点を有する。後者のストラテジーを使用すると、以前に最適化された力学的特性を破壊する可能性が、重要である。
【0142】
ヒト血漿フィブロネクチンについて高結合親和性(KD 約10−7〜10−10M)を有することが示されたコラーゲン由来ペプチド(Gao X,Groves MJ、Fibronectin−binding peptides.I.Isolation and characterization of two unique fibronectin−binding peptides from gelatin、Eur J Pharm Biopharm 1998;45:275〜84)に基づく、2つのフィブロネクチン結合部位(下記のFN1およびFN2)を調査する。
【0143】
FN1:Thr−Leu−Gln−Pro−Val−Tyr−Glu−Tyr−Met−Val−Gly−Val
FN2:Thr−Gly−Leu−Pro−Val−Gly−Val−Gly−Tyr−Val−Val−Thr−Val−Leu−Thr。
【0144】
この中心ブロックの身元は、III型ブロックコポリマーの種類において形態特性、力学的特性、および生物学的特性の最適な組み合わせを提示する配列の中から選ぶ。これらのトリブロックポリマーをコードする遺伝子構築物の形成のための合成ストラテジーは、その中心ブロックの身元を容易に変更するとともに、見かけの架橋形成を担う末端ブロックドメインの完全性を維持するための、機構を提供する。フィブロネクチン結合部位をコードする合成遺伝子を、上記の方法を使用して合成して、それらの末端が、中心エラストマーブロックと、発現プラスミド中のポリリンカードメインのSexA I切断部位とに、適合するようにする。この中心ブロックおよびフィブロネクチン結合ブロックを、T4 DNAリガーゼの作用下で適合性付着末端とコオリゴマー化させて混合コンカテマーのプールを得、そのプールを、III型構築物の末端ブロックドメインをコードするアクセプタープラスミドのSexA I制限部位中に挿入する。その中心ブロック内のフィブロネクチン結合部位の密度を、酵素的連結の前に個々のDNAモノマーの比を変化させることによって、変動させる。これらのコンカテマーのサイズを、アガロースゲル電気泳動を介して評価する。そして、このコンカテマーの挿入部位の上流および下流にアニールするように特に設計された合成プライマーからの順方向および逆方向のDNA配列分析により、その配列の身元を確認する。これらのトリブロックポリマーについて上記した条件下でのE.coli BL21(DE3)株中のこれらのプラスミドからの発現により、種々の組み込みレベルで適切な中心ブロック中に置換されたフィブロネクチン結合部位で機能化された、ポリペプチドが得られる。
【0145】
組換えエラストマータンパク質ポリマーの化学特性および構造特性を、自動化エドマン分解、部位特異的タンパク質分解切断フラグメントのMALDI−TOF質量分析法、SDS−PAGEを含む技術、ならびに1H、13C、および温度依存性HMQC NMR分光法によって、試験する。後者の測定は、水和した生理学的に関連した条件下での多相エラストマーの構造特徴を規定するのを補助する。適切な場合、光架橋可能なメタクリレート基をリジン含有タンパク質ポリマー(I型、III型、IV型)に導入し、そして官能基化の程度を、13C NMRにより決定する。逆温度転移(Tt)を、温度依存性濁度測定および/またはDSCにより、すべての最終産物に関して決定する。その転移温度は、繊維スピニングのための処理条件に影響し、そして溶媒選択を改善するのを補助する。最後に、1H両性磁化転移実験を、トリブロックコポリマーから生成されたフィルム(および繊維)中の親水性(E)ドメインと疎水性(P)ドメインのサイズを測定するために実施する(Vanderhart DL、Proton spin diffusion as a tool for characterizing polymer blends、Makromol Chem Macromol Symp 1990;34:125〜59)。特徴的に、スピン拡散範囲2〜100nmを使用して観察し得るドメイン距離と、このアプローチの汎用性とが、種々の多相ポリマー系において示されている(Cai WZ,Egger N,Schmidt−Rohr K,Spiess HW、A solid−state NMR−study of microphase structure and segmental dynamics of poly(styrene−b−methylphenylsiloxane)diblock copolymers、Polymer 1993;34:267〜76;Kimura T,Neki K,Tamura N,HoriiF,Nakagawa M,Odani H、High−resolution solid−state C−13 nuclear−magnetic−resonance study of the combined process of H−1 spin diffusion and H−1 spin−lattice relaxation in semicrystalline polymers、Polymer 1992;33:493〜7)。さらなる詳細は、他の場所に記載されている(Huang L,Nagapudi K,Brinkman W,Apkarian RP,Chaikof EL、Engineered collagen−PEO nanofibers and fabrics、J Biomat Sci−Polymer Ed 2001(印刷中);Nagapudi Kら、Macromolecules 2002,35:1730〜1737)。
【0146】
タンパク質繊維および繊維網目構造を、エレクトロスピニング技術を使用して作製し、そして繊維形態に対する、タンパク質溶液濃度、流速、および動作電圧の効果を、SEMを使用して規定する。エオシンY/VP媒介性光架橋の効率を、固体13C CP/MAS/TOSS NMR分光法によって、フィルムおよび繊維の両方において調査する。繊維の方向、直径、多孔度、および全細孔体積を、上記のような、定量的画像分析と拡散NMR実験との組み合わせを使用して、決定する。
【0147】
静的力学特性および動的力学特性の両方を、PBS中37℃または他の適切な温度にて、予め調整した水和モデルフィルムおよびランダム繊維網目構造(すなわち、等方向性繊維網目構造)を使用して特徴付ける(Seliktar D,Black RA,Vito RP,Nerem RM、Dynamic mechanical conditioninig of collagen−gel blood vessel constructs induces remodeling in vitro、Ann Biomed Eng 2000;28(4):351〜62;Greer LS,Vito RP,Nerem RM、Material property testing of acollagen−smooth muscle cell latticefor the construction of a bioartificial vascular graft、Adv Bioengineering ASME BED 1994;28:69〜70;BrossolletLJ,Vito RP、The effects of cryopreservation on the biaxial mechanical properties of canine saphenous veins、JBiomech Eng 1997;119:1〜5;Beattie D,Xu C,Vito R,Glagov S,Whang MC、Mechanical analysis of heterogeneous,atherosclerotic human aorta、J Biomech Eng1998;120:602〜7)。タンパク質ポリマー構造(分子量、繊維構造、ならびに架橋形成の性質および程度を含む)に対する力学的挙動の関連性は、合理的材料設計に必要な構造−特性関連性の決定を容易にする。応力−ひずみ特性(例えば、極限引張り強さ、破壊時の最大応力、ヤング率、および弾性エネルギー係数(modulus of resilience)(すなわち、持続的に変形することなく材料がエネルギーを貯蔵する能力)を、一軸引張り試験により決定する。そのようなデータは、動脈環境における負荷耐性適用のために材料の組み合わせを最初に選択するために必須である。瞬間的な時間依存性かつ粘弾性の材料の挙動を規定するために、一過性の力学的挙動を、小さい変形状時に応力−緩和(定ひずみ)試験およびクリープ(定応力)試験によって規定する(117、121)。動的力学的特性(貯蔵弾性率、損失弾性率、および損失正接)を測定する。これにより、これらの材料の粘弾性挙動または時間依存性挙動を完全に特徴付けることが、可能になる。詳細には、Dynamic Mechanical Thermal Analyzer(DMTA V;Rheometrics Scientific)を使用して緩和スペクトルおよび遅延スペクトルを得ることにより、動的力(dynamic force)の測定からの複素弾性率(complex modulus)および損失因子(損失正接)の独特の弾性成分および粘性成分を計算することが容易になる。
【0148】
上記のフィルムおよび繊維網目構造は、インビトロ調査およびインビボ調査の両方について十分な生体安定性を有する。しかし、すべてのタンパク質は、例えば、内因性ペプチダーゼの作用に起因して分解する可能性がある。
【0149】
コポリマー複合材料(ゲル、フィルム、繊維および繊維網目構造を含む)の材料安定性を、以下によって評価する:(i)SEMおよび/またはTEMによって形態を特徴付けること;(ii)拡散NMRおよび/または定量的画像分析によって多孔度を特徴付けること;(iii)14C標識エラスチン模倣タンパク質ポリマーからの分解産物の放出を特徴付けること(Koshy PJ,Rowan AD,Life PF,Cawston TE、96−Well plate assays for measuring collagenase activity using 3H−acetylated collagen、Anal Biochem 1999;275(2)202〜7);ならびに(iv)疲労特性の変化を特徴付けること。動的疲労試験を、予め調整したサンプルに関して、所定の繰返し速度(cycle rate)で、(一軸試験から決定した)破壊に到る50%ひずみのオフセットひずみについて、1〜20%のひずみ振幅範囲で実行する(Tanaka TT,Fung YC、Elastic and inelastic propeties of canine aorta and their variation along the aortic tree、J Biomechanics 1974;7:357;Hayashi K、Fatigue Properties of Segmented Polyether Polyurethanes for Cardiovascular Applications、KambicHE,Yokobori T編、Biomaterials’ Mechanical Properties、Philadelphia:ASTM;1994、p.STP 1173;Sanders JE,Zachariah SG、Mechanical characterization of biomaterials、Ann NY Acad Sci 1997;831:232〜43;Bolotin VV、Mechanics fatigue、Boca Raton:CRC Press;1999)。生理学的に関連した値より高い繰返し速度を使用して、試験を加速し得る。破壊に到る繰返し総数(N)を、ひずみ振幅に対してプロットして、各材料についての疲労曲線を作成する。このプロセスにおいて、疲労限界(そのひずみより小さいと破壊が生じないと規定する)を同定する。生理学的温度(37℃)での疲労を介する破壊について試験することが時間集約的であり得るので、37℃での材料寿命を予測するために、より高温(約50℃〜約60℃)での加速試験が利用可能である。従って、これらの試験を、温度および繰返し速度の両方の関数として、疲労に対するそれらの効果を決定するために実行する。上記のDMTA装置は、環境チャンバを備え、この環境チャンバは、所望される任意の温度で制御された水性環境において試験することを容易にする。従って、材料安定性に対する力学的応力と環境因子との相乗効果を試験し得る。オフセットひずみの効果と動的ひずみの効果とを識別するために、大きい変形時の応力緩和を、この動的試験の長さと釣り合う期間、破壊ひずみの50%にて行う。これらの試験について、発生した応力を、破壊まで定期的にモニターする。材料安定性に対する、生理学的に関連した状態下で作用する物理学的因子、化学的因子、および生物学的因子の影響を、2つの方法で評価する。
【0150】
インビトロでの生体安定性について、分解機構の作用(例えば、温度、pH、酸化状態)および分解物質の作用を解明する。温度の影響を、23℃および37℃で、PBS中において繊維網目構造をインキュベーションすることによって評価する。pHの作用を、2〜8のpH範囲(T、37℃)にわたって研究する。そして酸化状態の影響を、37℃で、10%(w/w)のH2O2を含むPBS中において試験物質をインキュベートすることによって評価する。酸化剤溶液を毎週交換して、溶液の活性を維持する。なぜなら、37℃での過酸化水素の半減期が7日間であるからである(129)。特に、過酸化水素は、マクロファージに存在する重要な酸化因子であり、そして導管移植の際に存在し得る炎症環境に分泌される。酵素分解の作用を、酵素(例えば、MMP−9)を含むPBS中において、サンプルをインキュベートすることによって決定する。すべてのサンプルを、非応力条件下でインキュベートするか、または洞様毛細血管応力に供して、30日間までのインキュベーション期間の間に分析のために定期的に取り出すかのいずれかに供した。試験期間に応じて、頻繁なインキュベーション溶液の交換が、時折必要とされる。
【0151】
インビボでの生体安定性について、意図される移植部位は、物質の疲れ寿命を究極的に決定する環境条件および力学的条件の固有のセットの重要な決定因子である。皮下腔におけるインビボ移植研究は、物質の生体安定性および物質−組織の相互作用に関連する(Jenney CR,Anderson JM.Alkylsilane−modified surfaces:inhibition of human macrophage adhesion and foreign body giant cell formation.J Biomed Mater Res 1999;46(1):11−21)。第1セットの実験では、試験サンプルを、Wistarラット(n=5)の皮下窩に配置されたステンレス鋼ケージ中に移植する。物質の特性を、4週間の移植の中間期(3日目、7日目、14日目、28日目)にわたって分析し、そして細胞浸潤の組成と相関付ける。局所的な細胞応答の分析を、蛍光細胞分析分離装置(FACS)および/または免疫組織化学的染色によって実施する。第2セットの実験では、試験サンプルを、周囲を取り巻くケージの非存在下において皮下腔に直接的に移植し、そして物質の安定性および直接的な組織−物質の相互作用を特徴付ける。
【0152】
フィブロネクチン吸着および結合親和性(Kd)を、他(131)で詳述されるような、125I標識フィブロネクチンを使用する平衡結合研究によって、選択されたフィルムにおいて規定する。試験サンプルを、所望される力学的な特徴および生体安定性の特徴を有するエラスチン類似物を生成した物質から選択する。さらに、FN結合配列を有するかまたは有さない微小相(microphase)分離物質に吸着されたフィブロネクチンの表面分布を、SEMによって決定する。フィブロネクチン処理された表面におけるヒト大動脈内皮細胞および平滑筋細胞の接着および増殖を、それぞれ、51Cr細胞標識および3Hチミジン取込みによって、インビトロで研究する(Chaikof EL,Caban R,Yan CN,Rao GN,Runge MS.Growth−related responses in arterial smooth muscle cells are arrested by thrombin receptor antisense sequences.J Biol Chem 1995;270(13):7431−6;Chon JH,Wang HS,Chaikof EL.Role of fibronectin and sulfated proteoglycans in endothelial cell migration on a cultured smooth muscle layer.J Surg Res 1997;72(1):53−9)。
【0153】
繊維の方向および充填密度の制御を達成する。繊維網目構造を、等方性の幾何学的繊維配置で生成する。方向付けられた網目構造を、制御された並進運動をなし得るマンドレルにおける繊維紡績を通して製造する(Leidner J,Wong EW,MacGregor DC,Wilson GJ.A novel process for the manufacturing of porous grafts:Process description andproduct evaluation.J Biomed Mater Res 1983;17:229−47)。このアプローチは、方向を制御するのみならず、充填密度もまた制御する。さらに、繊維充填密度の減少を、2つのスピナレットの使用を通してPEO繊維を他の繊維と共に同時紡績することによって達成する。繊維形成後に、水和することによってPEO繊維を溶解させる。
【0154】
架橋を達成する。メタクリル酸基は、固体の架橋に適切である。にもかかわらず、他の光反応基(例えば、クマリン部分)は、繊維形成ポリマー溶液に開始剤(例えば、エオシンY)を添加する必要なく、架橋を形成し得る(Kito H,Matsuda T.Biocompatible coatings for luminal and outer surfaces of small−caliber artificial grafts.J BiomedMater Res 1996;30(3):321−30)。
【0155】
分解は、タンパク質の14C標識化を使用してモニターする。タンパク質のポリマーを、カルボン酸反応性[14C]で標識されたエステル化剤の化学的添加によって標識する(Koshy PJ,Rowan AD,Life PF,Cawston TE,Anal Biochem 1999;275(2):202−7)。次いで、繊維紡績ポリマー溶液を、放射性標識タンパク質でドープ処理する。
【0156】
(実施例8.力学的特性の評価系)
モデルの仮定を単純化することとあわせて実験力学的特性データを分析することを通して、応力場を、物質依存的なひずみエネルギー関数と関連付ける。ひずみエネルギー関数の関数形態は、非線形回帰分析によって決定される最適一致物質パラメーターを用いた、一軸引張り試験から導き出されるデータの分析に基づく(Fung YC.Elasticity of soft tissuesin simple elongation.Am J Physiol 1967;213:1532−44;Patel DJ.Nonlinear anisotropic elastic properties of thecanine aorta.Biophysical J 1972;12:1008−27;Raghavan ML,Vorp DA.Towards a biomechanical tool to evaluate rupture potential of abdominal aortic aneurysm: Identification of a finite constitutive model and evaluation ofits applicability.J Biomechanics 2000;33:475−82)。応力場を特徴付けるために、まず物質の等方性、均質性、非圧縮性、および非線形超弾性を仮定して、Kirchoff応力テンソルをひずみエネルギー関数と関連付ける。コラーゲンおよびエラスチンから主に構成される脈管壁のような組織についてのこれらの仮定の有効性および制限が考察されている(Vito RP,Hickey J.The mechanical properties of soft tissues − II:The elastic response of arterial segments.J Biomechanics 1980;13:951−7;Carew TE,Vaishnav RN,Patel DJ.Compressibility of the arterial wall.Circ Res 1968;23:61−8;Vorp DA,Rajagopal KR,Smolinksi PJ,Borovetz HS.Identification of elastic properties of homogeneous orthotropic vascular segments in distention.J Biomechanics 1995;28:501−12;Patel DJ,Fry DL.The elastic symmetry of arterial segments in dogs.Circ Res 1969;24:1−8;Chuong CJ,Fung YC.Compressibility and constitutive equation of the arterial wall in radial compression experiments.J Biomechanics 1984;17:35−40)。非線形構成則(nonlinear constitutive law)についての物質の定数を、一軸試験および二軸試験からのデータの最少2乗一致を介して決定する。複数の候補の構造的関係は、これらのデータと良好に一致する。どの関係が、操作された脈管導管の挙動を最もよく表しているかを決定するために、種々の構造のモデルを利用する二次元有限要素モデルを生成して、圧力−直径実験をシミュレートする。この挙動を最もよく表す構成則を、隣接するネイティブな管セグメントとの界面を含むより複雑な三次元モデルにおいて使用し、操作された管とネイティブな管との比較を可能にする。非線形有限要素モデリングを、使用者により規定される物質として実装された構成関係を有する、市販の有限要素パッケージABAQUSを使用して行う。
【0157】
機構は、生理学的負荷の下での管状構築物内における壁内応力分布を特徴付けるように、応力場の算出のために確立する。これは、成分の安定性、ならびに最初の細胞−物質の相互作用および組織リモデリング応答の分析と関連付けられる。
【0158】
繊維網目構造の固有の挙動を説明する別の構成則が、動脈壁におけるコラーゲンおよびエラスチンの多層配列を模擬する二成分構築物における特性の達成を容易にする。例えば、パラメーター分析を、反復有限要素計算を介して実施し、応力分布に対するコラーゲンおよびエラスチンの類似物の量、力学的特徴、および層板状厚の変化の影響、ならびに構築物の強度およびコンプライアンスを決定する。構成モデルは、構築物の設計にコンプライアンスの不整合を組み込むことを可能にする。構築物の失敗の危険性に関する最初の評価は、生理学的負荷に対する応答において予期されるひずみの程度に照らしてなされる。すなわち、任意のレベルを超えた、負荷により誘導される物質の変形が、破断点および「重大な」構築物の失敗のおおよその規定として使用される。
【0159】
引張り試験のために、繊維網目構造を、等方性の幾何学的繊維配置で生成し得る。方向付けられた網目構造を、制御された並進運動をなし得るマンドレルにおける繊維紡績を通して製造し得る(Leidner J,Wong EW,MacGregor DC,Wilson GJ.J Biomed Mater Res 1983;17:229−47)。この場合、二軸力学的試験を、一軸試験の代わりにかまたは一軸試験に加えて実施する。
【0160】
交互性の層板状構造に組織化された1以上の型の繊維網目構造から構成される管状構築物を、回転マンドレルにおいて繊維紡績することによって製造する。ネイティブな動脈について報告されている特性と比較して有利な力学的特性(例えば、コンプライアンスおよび引張り強さ)を有する構築物を製造する。多成分構築物の生成後に、選択的な化学的特性および構造的特性を規定する。例えば、固体13C NMRを使用して、完全な架橋を確認し、そして拡散NMR研究と共にTEMを使用して、交互性のコラーゲンおよびエラスチンの類似物層の網目構造孔隙率およびその組織化を特徴付ける。構築物の力学的特性に関する引き続く分析は、構成モデルの確証および精密化のための機構を提供する。
【0161】
静的および/または動的な力学的特性を、PBS中において37℃で、水和二成分繊維サンプルを使用して特徴付ける。詳細には、静的および一過的(すなわち、クリープおよび応力緩和)な応力ひずみ特性を、一軸引張り試験によって決定する。そして動的な力学的挙動を、上記に詳述したように特徴付ける。研究を、製造した導管から得られる試験ストリップにおいて実施する。さらに、圧力−直径測定を、円筒状脈管導管において実施して、増分ヤング率および破裂圧を決定する(Seliktar D,Black RA,Vito RP,Nerem RM.Dynamic mechanical conditioningof collagen−gel blood vessel constructs induces remodeling in vitro.AnnBiomed Eng 2000;28(4):351−62;Greer LS,Vito RP,Nerem RM.,Adv Bioengineering ASME BED 1994;28:69−70;Brossollet LJ,Vito RP,J Biomech Eng 1997;119:1−5)。コンピューターモデリングに関連した力学的挙動と構築物構造と組成との間の関係を規定することによって、階層的な多成分系の設計の基礎を確立する。
【0162】
(実施例9.B9、PHPおよびP2Asnのレオロジー研究)
研究したすべてのタンパク質サンプルは、可塑性配列VPAVGからなる同じ疎水性末端ブロックを有した。3ブロックコポリマーを、この疎水性可塑性配列の間に種々の中間ブロックを挿入することによって構築した。表4および表5を参照のこと。分子量は、表6に示される。
【0163】
【表4】
【0164】
【表5】
【0165】
【表6】
すべてのレオロジーデータを、25mmのプレート直径を有する並行プレートモードでARES IIIレオメーター(Rheometric Scientific Inc.)において測定した。ddH2O中のタンパク質溶液(20〜25%(w/v))を、3℃で作製した。並行プレートセットアップにおけるギャップを、サンプル容量に応じて200〜350マイクロメーターの間に調整した。300〜500マイクロリットルの容量のサンプルを、3℃で並行プレート間に配置した。温度平衡のために0.5時間の期間を与えた。
【0166】
B9、PHPおよびP2Asnのレオロジー特性を試験した。本発明者らは、以下を実施した:(a)適用するのに適切なひずみを決定するために実行された、3℃でのひずみ振幅掃引(strain amplitude sweep)(線形粘弾性範囲において);(b)ゲル化点を決定するための、予め決定されたひずみ振幅および周波数における3℃と45℃との間での温度掃引(G’−G”クロスオーバー);(c)ゲル化後のG’,G”プラトーを説明するための、37℃での周波数掃引;および(d)ゲル化の動態を決定するための、37℃での時間掃引。
【0167】
以下の単位および略語を記す。G’およびG”(せん断の貯蔵弾性率および損失弾性率(storage and loss shear modulus))、dyn/cm2(10dyn/cm2=1Pa);eta*(複合粘性(Complex viscosity))、ポイズ;温度、℃;オメガ(周波数)、rad/s;時間、秒(sec);N1(第一垂直応力差(First normal stress difference))、dyn/cm2。
【0168】
結果を以下の図に示す。図9は、B9についての3℃での1rad/sの周波数におけるひずみ振幅の関数としての動的なせん断の貯蔵弾性率および損失弾性率を示す。図10および図11については、25%(w/v)の溶液を使用した。5%のひずみ振幅を線形範囲で選択した。ゲル化点は、15℃の温度(G’−G”クロスオーバー点)であった。そしてゲル化係数(gel modulus)は、10kPaであった。図10は、B9についての10rad/sの周波数におけるひずみ振幅の関数としての動的なせん断の貯蔵弾性率および損失弾性率を示す。図11は、5%のひずみ振幅および10rad/sの周波数における温度の関数としての動的なせん断の貯蔵弾性率および損失弾性率を示し、15℃でG’−G”クロスオーバーが観察された。図12は、B9についての5%のひずみ振幅および37℃の温度における周波数の関数としての動的なせん断の貯蔵弾性率および損失弾性率を示す。図13は、B9についての5%のひずみ振幅および10rad/秒の周波数での37℃における時間の関数としてのせん断の貯蔵弾性率および複合粘性を示す。B9は、生理学的温度の範囲内において急速なゲル化を示し、そしてゲル化は、約20秒間で完了した。図14は、37℃での時間の関数としての第一垂直応力差を示す;これは、0.1s−1のせん断速度での一過的な実験であった。
【0169】
B9についての結果は、以下のように考察される。ひずみ振幅掃引を、1rad/sおよび10rad/sの2つの異なる周波数で3℃において実施した(それぞれ、図9および図10であり、所定の周波数でのひずみ振幅の関数としての動的なせん断の貯蔵弾性率および損失弾性率を示す)。10rad/sの周波数(図10)は、3つすべての量(G’、G”およびeta*)が、1rad/sの周波数では観察されないプラトー領域を示すデータを生じた。この領域は、線形粘弾性領域と呼ばれる;この領域における任意のひずみ振幅が、残りの実験について利用可能である。5%のひずみ振幅(10rad/sの周波数での)を選択した。なぜなら、これが、プラトー領域の開始点であるからである。
【0170】
図11は、10rad/sの周波数および5%のひずみ振幅での3℃〜45℃の温度の関数としてのG’およびG”を示す。ゲル化点(G’−G”クロスオーバー)は、15.1℃で観察される。B9についての周波数掃引は、図12において、5%のひずみ振幅において37℃で示される。このデータは、G’およびG”がゲル化点を超えるプラトー領域を示し、ゲル化点を超える大半のゲルに関して典型的な結果を示すことを示している。図13は、B9についてのゲル化の動態を示す。この実験において、G’およびeta(η*)は、37℃での時間の関数として従った(ひずみ振幅、5%;周波数、10rad/s)。このデータからは、ゲル化プロセスが完了する前に約40秒間の遅れ時間が存在し、この後に、G’およびeta(η*)がプラトーに到達することが観察され得る。ゲル化プロセスは、37℃で即効性であると考えられ得る。
【0171】
図14は、37℃での一過的実験における時間の関数としての第一垂直応力差を示す(これは動的実験ではなく、単純にサンプルを0.1s−1でせん断する)。第一垂直応力差は、ゲルまたは溶融の弾性の指標である。本発明者らは、B9について、37℃で異常に高い第一垂直応力差を観察した。このことは、物質が、この温度で高度に弾性のゲルを形成することを示す。
【0172】
PHPおよびP2Asnについての結果は、B9の結果と質的に類似した。このまとめを、表7に提供する。実際のデータを、図15〜22に提供する。
【0173】
【表7】
力学的特性の範囲を、生理学的に関連する条件でこれらの材料とともに得ることができる。なぜなら、これらの材料の全てが37℃でゲル化するからである。強いゲルは、P2(親ホモポリマー)およびP2Asnにより形成され得る。これらはともに、C5、B9またはPHPと比較して、可塑性材料である。P2およびP2Asnは、より高いtanδ値を有するが、C5、B9またはPHPより高い機械的ヒステリシスを示すようである。力学的特性の範囲は、生物医学的適用を含む広範な種々の適用に転化され得る。
【0174】
(実施例10.タンパク質材料の張力特性)
化学的構造の影響を研究するために、ホモポリマーおよびトリブロックコポリマーのフィルムをTFEおよび水中の10wt%溶液から成形した。タンパク質溶液を5℃で調製したが、溶媒蒸発は、5℃または23℃のいずれかで行った。フッ化アルコールは、ポリアミドと強い固体状態の複合体を形成することが公知であるので、TGA分析を行って、フィルムサンプルから溶媒が完全に除去されたことを確認した。完全に溶媒が蒸発した後、フィルムをリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)中で水和し、張力分析のために5mm×15mmの細片に切断し、引張り試験の前にPBS中でさらに24時間保存した。水和したフィルムの厚さを、標準的な画像分析プロトコルを用いて光学顕微鏡により測定した。
【0175】
小型の材料試験装置(Minimat 2000,Rheometric Scientific)を用いて、20N負荷セル、5mm/分のひずみ速度、および5mmのゲージ長を用いた張力変形モードで機械的フィルム特性を決定した。8〜10の標本を試験し、平均ヤング率、引張り強度、および破れるまでの伸長を決定した。これらのタンパク質ベースの材料の張力特性を表8にまとめる(5℃の水中、P2についての該当項目;23℃の水中、B9についての該当項目)。
【0176】
(表8.エラスチンベースのタンパク質ポリマーについての引張りデータ)
【0177】
【表8】
代表的な応力−ひずみ曲線を図23に示す。可塑性変形から弾性挙動までの範囲の広範な機械的応答は、分子を構築するために用いられるアミノ酸配列に依存して観察される。P2についてのスケールは、右側の第2Y軸である。P2は、、最も高い率を有し、これらの材料の中の引張り強度が調査される。従ってタンパク質ベースの材料は、化学的に適応されて、引張りおよび剪断特性の両方において示されるように、広範な機械的応答を示し得る。この広い範囲の機械的応答は、2桁倍率の率範囲を含み、1桁倍率の変動の引張り強度の変動および破損までのひずみを含み得る。
【0178】
力学的特性に対する加工溶媒の影響をさらに研究した。本明細書中、TFEから成形されたB9のフィルムは、可塑性変形を示す一方で、室温の水から成形されたB9のフィルムは弾性であることが示された。機械的応答の同じ範囲をまた、単に加工溶媒を変更することにより、B9で得ることができる。ここで、本発明者らは、B9と、異なる条件下で加工したB9自体とのアロイを作製することにより、範囲内の特性を得る能力を示す。
【0179】
B9の層をTFEおよび水から形成し、溶媒を室温でエバポレートさせた。材料を引き続きPBS中で再水和し、力学的特性を研究した。本発明者らは、TFE成形材料または水成形材料に対して中間の特性を得た。2つの異なるジオメトリ、すなわち、2層の積層(TFE/水)および3層の積層(水/TFE/水)を研究した。両方のジオメトリにおいて、水およびTFE中のB9の量は同じであり、それらを、同じ相対濃度の溶液から成形した。従って、主な差異は、構造の相対ジオメトリであった。図24に示すように、トリブロックコポリマー材料の力学的特性は、(a)TFE、(b)水、(c)TFE/水積層、および(d)水/TFE/水積層から成形されたB9についての応力−伸長曲線により示されるように、積層において調節された。従って、積層構造におけるジオメトリ変動は、力学的特性の差異を導き得る。
【0180】
(実施例11.P2およびB9の繊維)
性能のためにおよび疲労を避けるために形状回復が重要な、血管のような組織において、弾性網目構造は、低ひずみの機械的応答を支配する。ネイティブな形態において、材料は、弾性繊維の網目構造として存在し、この弾性繊維網目構造は、組織に必要な弾力を提供する。その伸長を制限するために、これらの弾性繊維は、長く非常に強い、弾性のないコラーゲン原繊維と織り合わされていることが分かった。弾性繊維の主な成分は、高度に疎水性のエラスチンと呼ばれるタンパク質である。このタンパク質は、細胞外(空間)へ分泌されて、ここで原繊維にアセンブルされる。さらにこれらの原繊維は利用可能なリジン残基を介して架橋されて、繊維の網目構造およびシートを形成し、それによりエラスチンおよび材料全体の弾性に影響を及ぼす。エラスチンのエントロピー的弾性の実験的および理論的局面はともに、広範に研究され、報告されている。
【0181】
天然に存在するエラスチンは、多様な種々のペプチド配列から構成される。種々の種の標本に由来する大動脈エラスチンのアミノ酸組成分析により、バリン、プロリン、グリシンおよびアラニンが優勢なペプチドであることが示される。さらに、これらのペプチドは、ポリペンタペプチド、ポリテトラペプチド、およびポリナノペプチドの反復配列として存在する。Urryは、このような反復配列に基づいたモデルタンパク質ポリマーの架橋マトリクスが天然のエラスチンに類似したエントロピー的弾性を示すことを実証した。従って、生体模倣組織操作の観点から、任意のまたは全ての上記反復配列を含有するモデルタンパク質ベースのポリマーを構築し、これらの材料を繊維に形成し引き続いて架橋を行って、所望のプロフィールの生体力学的特性を得ることは興味深いことである。
【0182】
水から繊維を生成するために、低温室では水中で溶液であり、室温では繊維が現れるという技術を開発した。これは、溶媒蒸発の問題を軽減し、水溶液からB9繊維の形成を可能にした。繊維を作製する場合、溶媒蒸発の速度および不織構造の性質を、機械的応答の複雑性に付加する。ここで、TFEおよび水から形成されたP2、C5およびB9の繊維を、電子スピン(electrospinning)条件とともに示す。
【0183】
図25Aは、350X倍率で、純粋TFEから撚った10wt% B9トリブロックコポリマー繊維を示す。繊維直径は、概して100〜400nmの範囲にあった(紡績条件:18kV、30μl/分、10cm堆積距離、室温)。図25Bは、10kX倍率を有する。図26Aは、300X倍率で、純粋TFEから撚った10wt% C5トリブロックコポリマー繊維を示す。繊維直径は、0.2〜1μmであった(紡績条件:18kV、10cm堆積距離、30μl/分の流速および室温)。図26Bは、5kX倍率を有する。図27Aは、5℃で純水から撚った10wt% B9トリブロックコポリマー繊維を示す(この繊維は、室温で現れる)(1kX倍率)。繊維直径は、0.8〜3μmであった(紡績条件:18kV、10cm堆積距離、50μl/分の流速および室温)。図27Bは、5kX倍率を有する。
【0184】
(実施例12.薬物の徐放:スフィンゴシン−1−ホスフェート)
本明細書中のコポリマーは、薬物送達に関して徐放システムまたは徐放マトリックスとして働くという適用について、能力を有する。本発明者らは、コポリマーB9のフィルムからの、低分子であるスフィンゴジン−1−ホスフェート(S1P)の放出を特徴付けた。図28は、S1P(D−エリスロスフィンゴシン−1−ホスフェート;(2S,3R,4E−2−アミノオクタデク−4−エン−1,3−ジオール−1−ホスフェート;短縮化S1P;分子量379.48;分子式C18H38NO5P)の構造を示す。S1Pは、強力な、特異的かつ選択的な上皮細胞化学誘引物質であり、単独でマウス角膜で新脈管形成を誘導することが示されている。これはまた、インビボで増殖因子に対する脈管形成応答を促進することが示されている。English D et al.,2000,FASEB J 14:2255;Garcia JG,2001;J Clin Invest 108:689を参照のこと。
【0185】
以前観察されたように、B9は、水中での特性と比較して、TFE中で異なる特性を示す。あり得る説明は、多かれ少なかれ、界面が、ブロック上の溶媒の影響に依存して、第2(中間またはAブロック)との間の材料で形成されることである。表9は、タンパク質配列の力学的特性を示す。配列変化は、疎水性、pH応答、および生体結合体化を改変するための1つのツールを提供する;さらに、配列の組み合わせは、独特の特性を有するコポリマーを提供する。表10は、コポリマーのアミノ酸配列を示す。図29は、異なる溶媒から成形されたB9コポリマー中のドメインに関するあり得る界面プロフィールを示す(1H NMR 双極フィルター)。図30は、Aにおける強度崩壊またはBにおける増強をモニタリングする、スピン拡散NMRの技術による、異なる溶媒から成形されたB9におけるドメインサイズの評価を示す。図31は、非標識B9の13C溶液状態スペクトルを示し、図32は、末端ブロックアラニン−CH3で標識されたB9の13C溶液状態スペクトルを示す。
【0186】
【表9】
【0187】
【表10】
このようなあり得る説明が理論的支持を提供するか否かにかかわらず、界面物質の量が異なる可能性は、実際の重要性を有し得る。例えば、疎水性ブロックと親水性ブロックとの間におけるこの領域は、S1Pのような両親媒性分子を含む分子を混合するか、組み込むか、またはカプセル化するために用いられ得る。理論に拘らず、この能力は、別の分子を含む混合物またはカプセル化単位の作成において用いられるコポリマーについて決定され、それにより、この分子の放出が制御または調節される。単一のコポリマー(例えば、B9)は、S1Pの混合物を作製するか、または種々の量のS1Pをカプセル化するために用いられうる。次いで、このS1Pは、B9が加工される溶媒に依存して、異なる速度で放出され得る。
【0188】
本発明者らは、TFEおよび水中で成形されたB9のフィルムからのS1Pの放出研究を行った。放出をUV分光法により追跡した。図33は、紫外線を用いて、リン酸緩衝化生理食塩水中のS1Pの濃度をモニターし得ることを示す。図34は、S1Pの吸光度が濃度と共に直線的に上昇し;10μMの濃度が検出可能であることを示す。
【0189】
図35は、経時的なS1P放出の%を示す。この研究において、2mgの量のS1Pを100mgのB9にロードし、フィルムをTFEまたは水のいずれかの中の10wt%溶液から室温で成形した。この結果は、水から成形したB9フィルムが、TFEから成形したフィルムより迅速な速度で薬物を溶出することを示した。例えば、ほぼ100%のS1Pは、水から成形したB9のフィルム形態から8日以内に放出されたのに対し、その時点で、TFE成形フィルムからは、約36%しか溶出しなかった。さらに、14日後ですら、TFE成形フィルムからは、薬物のわずか42%が溶出されたに過ぎなかった。ほぼ同量の薬物を両方の場合においてポリマーフィルムにロードした。放出研究を紫外線によるモニタリングにあわせるために、この研究では大量のS1Pを用いた(コポリマーの重量に対して2%)。放出動態の調節を、溶媒のような加工条件を変化させることのみにより達成した。
【0190】
(実施例13.増殖因子分子の制御放出:繊維芽細胞増殖因子2)
フィルム形態からの高分子の制御放出は、高分子をコポリマーと混合することにより達成される。本発明者らは、高分子である繊維芽細胞増殖因子2(FGF−2)の放出研究を行った。計50mgのB9を、5℃で491μlのddH20に溶解した。この溶液に、9.995μgの非標識FGF−2および9.04μl(5ng)の125I−FGF−2を加えた(FGF−2:125I−FGF−2=2000:1)。FGF−2を含むB9タンパク質のフィルム形態をキャストし、次いで、溶媒の除去のために室温で8〜10時間インキュベートさせた。規定の重量およびサイズのフィルムサンプルを、振盪浴(shaker bath)で37℃にて1mLのPBSに浸漬した。15日の期間にわたって、所定の時間間隔で、フィルムを1mLのPBSを含む新しい容器に移し、そして溶出したサンプルのガンマカウンターの読み取り値(reading)を用いて、FGF−2放出を決定した(n=3)。
【0191】
(実施例14.コポリマーの表示)
表示は、本発明の実施形態を理解する際に助けとなり得る、可能な構造、機構、または説明を示すが、操作のために実際に要求されるものを主張していない。
【0192】
図36は、トリブロックコポリマーの模式図を示す。図の上は、「BAB」トリブロックコポリマーであり、ここで、Aは、末端のBブロックセグメントに隣接する、中央のブロックセグメントである。図の下は、トリブロックコポリマーであり、ここで、P−ブロックは、可塑性ブロックを示し、そしてE−ブロックは、弾性ブロックを示す。図37は、遷移温度(Tt)に達した際に可能な立体配座の模式図を示し;この材料は、溶媒のような外部環境に関してその配向を再整列し得る。
【0193】
図38は、Aブロック(図の左)またはBブロック(図の右)に特異的な溶媒中の模式的コポリマーを示す。図39は、BABトリブロックコポリマーの濃度を増加させた際の視覚的または物理的な架橋網目構造を示す。図40Aは、合成熱可塑性エラストマーを示し、このエラストマーは、暗色のクラスター(T<Tg)として示されるポリスチレンドメインおよび外見上直線の部分(T>Tg)として示されるエラストマーの中央セグメントを有する。図40Bは、合成の熱可塑性エラストマー(ポリ(スチレン−b−ブタジエン−スチレン)を含む)についての応力(psi)対伸長のグラフを示す;G.HoldenおよびR.Milkovich(Shell Oil)、米国特許第3,265,765号を参照のこと。表11は、B9に加えて市販のポリマーの、異なる加工条件下での特性を示す。
【0194】
(表11 市販のエラストマーおよびB9の特性)
【0195】
【表11】
*フィラーは、カーボンブラックのような当該分野で公知の材料である。
**B9タンパク質を混合したフィルム材料:このフィルムを、TFEを有するバイアル1中にB9を溶解することにより、および水を有するバイアル2にB9を溶解することにより調製した。バイアル1から溶液を注ぎ、そして溶媒をエバポレートさせた。次いで、バイアル2から溶液を注ぎ、そして溶媒をエバポレートさせた。このようにして、積層型フィルム材料を形成した。
【0196】
図41は、遷移温度に対するコポリマーの性状を示す。図42は、ブロックコポリマーおよびアミノ酸配列の模式図を示し;図の左、内側の明るい中央のブロックは、[(VPGVG)4(VPGEG)]の配列を有し、そして外側の暗い末端ブロックは、[(IPAVG)4(VPAVG)]の配列を有する。図の右、暗い末端ブロックセグメントは、遷移温度(Tt)に到達した際にクラスター化する傾向がある。
【0197】
図43は、1H NMR分析、13C HMQC NMR分析の技術が、疎水性末端ブロックの選択的相転移を示していることを示す(図の上、4℃;図の下、25℃の温度)。図44は、タンパク質のトリブロックフィルムの一軸応力−ひずみ挙動を試験する。このグラフは、時間の関数として剪断貯蔵弾性率および複合粘度を示す(T=37℃、ひずみ振幅5%、ω=10rad/秒)。図45は、応力 対 ひずみ曲線を示す。
【0198】
図46は、BABトリブロックコポリマーの力学的特性に対する、系の形態の可能な関係を示す。図47は、水成形フィルムについての可能な形態(図の左)およびTFE成形フィルムについての可能な形態(図の右)と共に、フィルム形態に対する可能な溶媒効果を示す。
【0199】
(実施例15.タンパク質ポリマーのレオロジー的比較)
ポリマーP2Asn、B9,およびPHPについて、図48Aは、G’ 対 周波数のグラフを示し、そして図48Bは、tanδ 対 周波数のグラフを示す。P2Asnは、可塑性配列でできており、そしてこれらの中で最も高いゲル係数を有する。相対的弾性に関して、PHPは、B9よりも高く、B9は、P2Asnよりも高い。
【0200】
(実施例16.コポリマーからの小粒子)
コポリマーはある形態に加工され、それにより小粒子を形成する。水中油エマルジョンストラテジーを用いて、タンパク質トリブロックコポリマーB9の微粒子を生成させた。タンパク質水溶液を、Ttよりも低い温度に維持したコーン油に添加する。ホモジナイゼーション(20,000rpm)の後、水中油エマルジョンの温度をTtよりも上に上げて、粒子を凝固させ、これを引き続いて、ろ過、洗浄、そして乾燥する。このプロセスによって、200μmの平均直径を有する微粒子得た。図49は、ほぼ球状またはビーズ状粒子の例を示す;低倍率(図の左)および高倍率(図の右)。
【0201】
本明細書中に具体的に例示した以外の方法および材料が、当該分野で公知であり、そして過度な実験を行うことなく、本発明の実施に適用するか、または容易に適合させることが可能であることを当業者は理解する。例えば、具体的に例示した以外の系(例えば、他の原核生物発現系および真核生物発現系)における組み換え発現のための方法が当該分野で公知であり、そしてタンパク質ポリマーの生成に適用され得る。全ての当該分野で公知の等価物は、本発明に包含されることが意図される。
【0202】
本明細書中の全ての参考文献は、本明細書中の開示と矛盾しない程度まで、本明細書中で参考として援用される。
【0203】
可塑性かつ弾性の特性を有する合成タンパク質コポリマー、およびこのコポリマーを生成する方法が提供される。例えば、BABトリブロックコポリマーは、1つの親水性ブロックおよび1以上の疎水性ブロックを含む。このコポリマーのゲル形態、繊維形態、繊維網目構造形態またはフィルム形態の力学的特性は、コポリマー生成の前または後の1以上の条件によって変化する。例えば、コポリマー配列は、生成前に変化され得、そして1以上の処理条件(例えば、溶媒、pHまたは温度)は、生成後に変化され得る。
【0204】
【発明の効果】
本発明によれば、選択された可塑性特性および弾性特性を有する合成タンパク質コポリマーが提供される。この合成タンパク質コポリマーは、少なくとも1つの親水性ブロックおよび少なくとも1つの疎水性ブロックを含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、水中でのP2およびB9の示差走査熱量分析(DSC)の示差熱分析曲線(thermogram)である。
【図2】図2は、水またはトリフルオロエタノール(TFE)からの異なる温度でのB9トリブロックコポリマーキャストに対する応力ひずみ曲線である。
【図3】図3は、TFEおよび水からのB9キャストについての磁気履歴曲線である。
【図4】図4は、5℃での水またはTFEからのB9キャストに対する5℃における動的機械データである。
【図5】図5aは、Eam1104Iの認識配列および切断配列である。図5bは、切断パターンの概略図である。
【図6a】図6aは、コポリマー1のレオロジー的振舞いである。
【図6b】図6bは、25℃での線形粘弾性型の周波数掃引を示す。
【図7】図7は、コポリマー2の紡いだ繊維のSEMである。
【図8】図8は、コポリマー2の含水織物サンプルの応力−ひずみ曲線である。
【図9】図9は、1rad/秒でのB9に対する動的せん断貯蔵弾性率および損失弾性率である。
【図10】図10は、10rad/秒でのB9に対する動的せん断貯蔵弾性率および損失弾性率である。
【図11】図11は、温度の関数としての動的せん断貯蔵弾性率および損失弾性率である。
【図12】図12は、周波数の関数としての動的せん断貯蔵弾性率および損失弾性率である。
【図13】図13は、37℃での時間の関数としてのせん断貯蔵弾性率および複合粘性である。
【図14】図14は、37℃での時間の関数としての第1の正常応力の差異である。
【図15】図15は、P2Asnに対する10rad/秒の周波数での応力の振幅の関数としての動的せん断貯蔵弾性率、せん断損失弾性率、および複合粘性である。
【図16】図16は、P2Asnに対する10rad/秒の周波数かつ、5%応力振幅における、温度の関数としての動的せん断貯蔵弾性率、および損失弾性率である。
【図17】図17は、P2Asnに対する周波数(応力振幅=5%および温度=37℃)の関数としての、動的せん断貯蔵弾性率、損失弾性率および複合粘性である。
【図18】図18は、P2Asnについての5%の応力振幅および10rad/秒の周波数を伴う37℃における時間の関数としてのせん断貯蔵弾性率および複合粘性である。
【図19】図19は、PHPについての10rad/秒の周波数での応力振幅の関数としての動的せん断貯蔵弾性率、せん断損失弾性率、および複合粘性である。
【図20】図20は、PHPについての温度の関数(応力振幅=2.5%および周波数=10rad/秒)の関数としての動的せん断蔵弾性率およびせん断損失弾性率である。
【図21】図21は、PHPについての周波数(応力振幅=5%および温度=37℃)の関数としての動的せん断貯蔵弾性率、せん断損失弾性率、および複合粘性である。
【図22】図22は、PHPについて5%応力振幅および10rad/秒の周波数を有する37℃での時間の関数としてのせん断貯蔵弾性率および複合粘性である。
【図23】図23は、コポリマーP2、P2Asn、PHP、およびB9についての応力ひずみ曲線である。
【図24】トリブロックコポリマー物質の力学的特性はラミネートで調節される。
【図25a】図25aは、TFE、350XからのB9コポリマー繊維である。
【図25b】図25bは、TFE、10kXからのB9コポリマー繊維である。
【図26a】図26aは、TFE、300XからのC5コポリマー繊維である。
【図26b】図26bは、TFE、5kXからのC5コポリマー繊維である。
【図27a】図27aは、水、1kXからのB9コポリマー繊維である。
【図27b】図27bは、水、5kXからのB9コポリマー繊維である。
【図28】図28は、S1Pの構造である。
【図29】図29は、ドメインサイズおよびインターフェイスプロファイルである。
【図30】図30は、異なった溶媒からのB9におけるドメインサイズである。
【図31】図31は、未標識のB9の13C溶液状態のスペクトルである。
【図32】図32は、末端ブロックアラニンにおいて標識されたB9の13C溶液状態のスペクトルである。
【図33】図33は、リン酸緩衝化生理食塩水中のS1Pについての吸光度 対 波長の曲線である。
【図34】図34は、S1Pの吸光度 対 濃度の曲線である。
【図35】図35は、経時的なB9フィルムからのS1Pの遊離である。
【図36】図36は、トリブロックコポリマーの図解である。
【図37】図37は、転移温度Ttに達したときのトリブロックコポリマーの形態学的変化である。
【図38】図38は、ブロック特異的溶媒中のコポリマーである。
【図39】図39は、実質的または物理的な、コポリマーの架橋された網目構造である。
【図40a】図40aは、合成熱可塑性エラストマーの図である。
【図40b】図40bは、合成熱可塑性エラストマーについての応力 対 伸長である。
【図41】図41は、転移温度の関数としての力学的特性の図である。
【図42】図42は、ブロックおよびアミノ酸配列の図である。
【図43】図43は、相転移についてのNMR分光法である。
【図44】図44は、フィルムに対するせん断貯蔵弾性率および複合粘性 対 時間である。
【図45】図45は、フィルムについての応力 対 ひずみである。
【図46】図46は、コポリマーの力学的特性および系の形態である。
【図47】図47は、フィルムに対する溶媒効果である。
【図48】図48aは、コポリマー、P2Asn、B9、およびPHPのレオロジー的比較;G’ 対 周波数である。図48bは、コポリマー、P2Asn、B9、およびPHPのレオロジー的比較;tanδ 対 周波数である。
【図49】図49は、コポリマーB9からのミクロスフィアである。
Claims (22)
- 選択された可塑性特性および弾性特性を有する合成タンパク質コポリマーであって、少なくとも1つの親水性ブロックおよび少なくとも1つの疎水性ブロックを含む、合成タンパク質コポリマー。
- 第一の疎水性末端ブロック、第二の疎水性末端ブロックおよび中間の親水性ブロックを有し、該第一および第二の末端ブロックが実質的に同一である、請求項1に記載のタンパク質コポリマー。
- 前記第一の末端ブロックが、[VPAVG(IPAVG)4]nまたは[(IPAVG)4(VPAVG)]nのアミノ酸配列をコードし得る核酸配列を含む、請求項1に記載のタンパク質コポリマー。
- 請求項3に記載のタンパク質コポリマーであって、前記中間のブロックが、以下:[(VPGEG)(VPGVG)4]m、[(VPGVG)4(VPGEG)]mおよび[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]mからなる群より選択されるアミノ酸配列をコードし得る核酸配列を含む、タンパク質コポリマー。
- nが約5〜約100であり、そしてmが約10〜約100である、請求項4に記載のタンパク質コポリマー。
- nが約16である、請求項5に記載のタンパク質コポリマー。
- 請求項6に記載のタンパク質コポリマーであって、前記中間のブロックは、以下:VPGVG[VPGVG(VPGIGVPGVG)2]19VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]30VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]38VPGVG;VPGVG[(VPGVG)2VPGEG(VPGVG)2]48VPGVG;VPGVG[VPGVG(VPNVG)4]12VPGVG;VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]23VPGVG;VPGVG[(APGGVPGGAPGG)2]30VPGVG;[VPGVG(IPGVGVPGVG)2]19;[VPGEG(VPGVG)4]30;[VPGEG(VPGVG)4]48;[(APGGVPGGAPGG)2]22;および[(VPGMG)5]x、
からなる群より選択され、ここで、xは、約10〜約100である、タンパク質コポリマー。 - その最初の長さの約14倍まで伸長し得る、請求項1に記載のタンパク質コポリマー。
- フィルムとして成形される、請求項1に記載のタンパク質コポリマー。
- 複数の層を含む、請求項9に記載のフィルム。
- 請求項10に記載の複数層のフィルムであって、第一層および第二層を含み、該第一層は、第一の溶媒に曝露された第一のポリマーに由来し、そして該第二層は、第二の溶媒に曝露された第二のポリマーに由来し、それによって所望の力学的特性を有するフィルムを作製する、複数層のフィルム。
- 前記第一のポリマーおよび前記第二のポリマーが、実質的に同一である、請求項11に記載の複数層のフィルム。
- 前記第一の溶媒が、フィルムの弾性を増強し、そして前記第二の溶媒が、フィルムの可塑性を増強する、請求項11に記載の複数層のフィルム。
- 前記第一の溶媒が水であり、そして前記第二の溶媒がトリフルオロエタノールである、請求項11に記載の複数層のフィルム。
- ゲル形態の、請求項1に記載のタンパク質コポリマー。
- 繊維または繊維網目構造の形態の、請求項1に記載のタンパク質コポリマー。
- 請求項16に記載の繊維網目構造であって、第一の繊維および第二の繊維を含み、ここで、該第一の繊維は、第一の溶媒に曝露されたポリマーに由来し、そして該第二の繊維は、第二の溶媒に曝露されたポリマーに由来する、繊維網目構造。
- 選択された力学的特性を有する医学的移植物を作製する方法であって、該方法は、請求項16に記載の繊維を該移植物に適用する工程を包含する、方法。
- 可塑性弾性タンパク質コポリマーを生成するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a.核酸配列の第一のブロックを提供する工程であって、該第一のブロックは、親水性タンパク質をコードする、工程;
b.核酸配列の第二のブロックを提供する工程であって、該第二のブロックは、疎水性タンパク質をコードする、工程;
c.該第一および第二のブロックを含む核酸分子を合成する工程;ならびに
d.該核酸分子を発現させて、該タンパク質コポリマーを生成する工程、
を包含する、方法。 - 請求項19に記載の方法であって、該方法は、溶媒中に前記タンパク質コポリマーを溶解させ、それによって溶液を作製する工程、および該溶液を、該コポリマーが凝集して非共有結合的に架橋された塊の形成を引き起こす温度にする工程、をさらに包含する、方法。
- 前記コポリマーを共有結合する工程をさらに包含する、請求項20に記載の方法。
- ステント、塞栓形成コイル、血管移植片または他の移植された生物医学的デバイスを介して、薬物または生物学的因子を送達する方法であって、該方法は、請求項20に記載の方法ならびに、以下の工程:
e.前記溶媒中に該薬物または生物学的因子を含み、それによって前記コポリマーとの混合物を作製する工程;および
f.該混合物を該ステント、塞栓形成コイル、血管移植片または他の移植された生物医学的デバイスに適用する工程、
をさらに包含する、方法。
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