[go: up one dir, main page]

JP2004230301A - 光触媒体及びその製造方法 - Google Patents

光触媒体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004230301A
JP2004230301A JP2003022786A JP2003022786A JP2004230301A JP 2004230301 A JP2004230301 A JP 2004230301A JP 2003022786 A JP2003022786 A JP 2003022786A JP 2003022786 A JP2003022786 A JP 2003022786A JP 2004230301 A JP2004230301 A JP 2004230301A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photocatalyst
oxide semiconductor
water
ceramic
porous body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003022786A
Other languages
English (en)
Inventor
Makiko Yokoyama
真紀子 横山
Yoichi Fukuda
洋一 福田
Takehiko Oshima
武彦 大島
Yuurikei Mase
友理恵 間瀬
Tsuguhisa Ito
承央 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Noritake Co Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Noritake Co Ltd filed Critical Noritake Co Ltd
Priority to JP2003022786A priority Critical patent/JP2004230301A/ja
Publication of JP2004230301A publication Critical patent/JP2004230301A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/30Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies
    • Y02W10/37Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy

Landscapes

  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Physical Water Treatments (AREA)

Abstract

【課題】光触媒活性が高く、低コストで製造し得、水浄化材として好適に使用し得る光触媒体を提供すること。
【解決手段】上記課題を解決する本発明の光触媒体は、無機多孔質体と、その無機多孔質体の表面及び細孔内に担持された光触媒として機能する酸化チタンのような酸化物半導体粒子と、該酸化物半導体粒子とは異なるシリカのようなセラミック粒子とを有する。前記酸化物半導体粒子の粒径は主として200〜1000nmであり、前記セラミック粒子の粒径は主として1〜1000nmである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒として機能する酸化物半導体(酸化チタン等)を用いて水やガスを浄化する技術に関し、特に光触媒活性が高くコストの低い水浄化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物半導体、特に酸化チタン(TiO)は、光触媒として優れた触媒作用があり、化学的に安定であり、溶け出して環境を汚染することのない安全な化合物であることはよく知られている。このため、酸化チタンの光触媒作用を利用して様々な環境汚染物質の分解除去反応が行われている。例えば、水の浄化(即ち水中の有害物質の分解)、アンモニア、アルデヒド類、アミン類等の悪臭ガスの脱臭の他、水の分解、菌類や藻類等の殺菌・殺藻等に利用されている。
例えば、酸化チタンの光触媒作用を用いた水の浄化に関しては、水棲生物の飼育域に配置した酸化チタンを含む基材(担体)に紫外線を含有した光を照射して、該飼育域の水を浄化する「水棲生物の飼養域の水の浄化方法」(例えば特許文献1参照)、無機多孔質粒子の表面等に酸化チタン等の酸化物半導体粒子と水質浄化機能を有する微生物とを付着してなる「光触媒体及びそれを用いた水の浄化方法」(例えば特許文献2参照)、ガラス、砂礫、ガラスビーズ等の基材表面にアナターゼ型二酸化チタンを被覆した「水処理材及び水の浄化方法」(例えば特許文献3参照)、砂利等の表面を酸化チタン薄膜層又は酸化チタン微粒子を分散した層で覆った「生物飼育用水槽内部材」(例えば特許文献4参照)、二酸化チタンを陶土に混入してなる素焼き陶器に二酸化チタンからなる釉薬をかけ焼き付けてなる「光触媒用二酸化チタン釉薬陶器とこの陶器を利用した雑排水及び屎尿の処理方法」(例えば特許文献5参照)等が公知である。
【0003】
また、酸化チタンの光触媒作用を利用したガスの浄化等としては、酸化チタン等の光触媒を用いて廃棄物中の有害物質を分解し、浄化する「廃棄物の浄化方法」(例えば特許文献6参照)、酸化チタン等の光触媒を用いて、トイレの尿臭、ペットの臭い、タバコの臭い、調理臭、体臭等を脱臭する「光触媒による脱臭方法」(例えば特許文献7参照)等が公知である。
また、酸化チタン光触媒を担持する担体として、シリカゲル及び多孔質シリカ粒子を用いた「光触媒機能を有する製品」(例えば特許文献8参照)や「流動床用光触媒顆粒」(例えば特許文献9参照)が知られている。
さらに、コロイダルシリカの親水性の性質を活かして、合成樹脂等の被覆剤としてコロイダルシリカを含有した酸化チタン等の光触媒(例えば特許文献10〜特許文献12参照)や、基材と酸化チタン等の光触媒層との接着剤(バインダー)の役割としてコロイダルシリカを含有した光触媒(例えば特許文献13〜特許文献20参照)、或いはバインダーとしてコロイダルシリカを酸化チタン等の光触媒粒子に混合して作成した光触媒に無機物の充填剤を混合して成形し、焼成して得られた光触媒顆粒体(例えば特許文献21参照)等が公知である。
これら特許文献に記載されているような光触媒等によると、紫外光(波長:概ね360〜400nm)を当該光触媒等に照射した際、活性化した光触媒物質(酸化チタン等)が奏する光触媒作用によって被処理水又はガスの殺菌、脱臭、窒素化合物等の酸化処理が効果的に行われ、被処理水又はガスが浄化される。
【0004】
【特許文献1】特開平7−24451号公報
【特許文献2】特許第2613179号公報
【特許文献3】特開平9−239359号公報
【特許文献4】特開平11−56163号公報
【特許文献5】特開2000−109382号公報
【特許文献6】特公平2−9850号公報
【特許文献7】特公平4−78326号公報
【特許文献8】特開2000−262909号公報
【特許文献9】特開2000−279821号公報
【特許文献10】特開平9−171707号公報
【特許文献11】特開平11−138015号公報
【特許文献12】特開平11−138012号公報
【特許文献13】特開平7−171408号公報
【特許文献14】特開2000−212473号公報
【特許文献15】特開2000−202301号公報
【特許文献16】特開平10−216530号公報
【特許文献17】特開平10−225640号公報
【特許文献18】特開平11−188271号公報
【特許文献19】特開平11−188272号公報
【特許文献20】特許第3038599号公報
【特許文献21】特開2001−179109号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の各公報に記載されるような従来の光触媒を主体とする水又はガスの浄化材では、高い光触媒活性を得るため、いずれも粒径の小さい即ち粒径がおよそ100nm程度又はそれ以下の酸化チタンが用いられている。しかし、かかる粒径の小さい酸化チタンは価格が高く、経済的に不利であった。特に低価格が求められる水濾過材(水浄化材)の開発・商品化の観点からは、かかる高価格の酸化チタン微粒子の使用は好ましくない。
一方、コストを低くするために粒径の大きな酸化チタンその他の酸化物半導体を用いては、比表面積が小さいために光触媒活性が低く、実用性に乏しいものであった。特に、水濾過(浄化)用としては十分な効果が得られなかった。
そこで、本発明は、酸化チタンその他の酸化物半導体(光触媒)を主体とする水又はガスの浄化材に関する上記課題を解決すべく創出されたものであり、特に光触媒活性が高く且つ低コストの多孔質光触媒保持体(以下、単に「光触媒体」という。)を提供することを目的とする。また、関連する他の目的の一つは、そのような光触媒体から成る水濾過材(水浄化材)として提供し、併せて該水濾過材を含む水浄化装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明によって提供される光触媒体は、無機多孔質体と、その無機多孔質体の表面及び細孔内に担持された光触媒として機能する酸化チタンその他の酸化物半導体粒子と、該酸化物半導体粒子とは異なるセラミック粒子とを有する。典型的には、上記酸化物半導体粒子の粒径は主として200〜1000nmであり、上記セラミック粒子の粒径は主として1〜1000nmであることを特徴とする。
ここで「酸化物半導体粒子の粒径は主として200〜1000nmである」とは、光触媒体に存在する酸化物半導体粒子の大部分(例えば80個数%以上、典型的には90個数%以上、好ましくは実質的に全ての粒子)が上記粒径範囲に属する粒子であることをいう。上記セラミック粒子についても同様である。
【0007】
本発明者は、比較的粒径の大きい安価な金属酸化物半導体(酸化チタン等)とともに所定の粒径範囲のセラミック粒子を無機多孔質体に担持することにより、高価な光触媒微粒子(例えば粒径100nm以下の酸化チタン微粒子)を使用することなく光触媒活性の高い多孔質の光触媒体を安価に製造し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、粒径が200nm未満の光触媒粒子を単にセラミック粒子で無機多孔質体に固定化しても必ずしも光触媒活性が向上するものではなく、意外にも粒径が200〜1000nmの酸化物半導体(光触媒)粒子と、1〜1000nmの粒径を有するセラミック粒子とを組み合わせて用いることによって、光触媒活性の高い多孔質光触媒保持材料を得ることができたのである。
【0008】
かかる構成の光触媒体では、上記粒径範囲の酸化物半導体粒子(典型的には酸化チタン粒子)とセラミック粒子とが無機多孔質体(基材)に担持されて当該多孔質体の比表面積(m/g)が増大した結果、当該光触媒体(多孔質体)に導入された流体を光触媒作用によって高効率に処理することができる。
このため、本発明の光触媒体によると、担持されている光触媒粒子が粒径200〜1000nmであるような比較的大きい安価なものであるにも拘わらず、当該光触媒体(多孔質体)に導入された流体を光触媒作用によって高効率に処理することができる。
【0009】
本発明の光触媒体として好ましいものは、上記セラミック粒子としてシリカを含むことを特徴とする。透明性が高いものが光触媒用途に好適であり、特にコロイダルシリカ(コロイドケイ酸)として付与されたものが比表面積向上の観点から好ましい。また、シリカは水に対して安定であり溶出し難いため、この光触媒体は水浄化材用途に好適である。
かかる構成の光触媒体として特に好ましいものは、上記酸化物半導体100重量部に対して、上記シリカを5〜50重量部含むことを特徴とする。この含有比率であると、比表面積の向上と高い光触媒活性とを共に実現することができる。
【0010】
本発明により提供される光触媒体の特に好ましいものは、比表面積が1m/g以上である。或いは、気孔率が30〜50%である。或いは、これら条件をいずれも具備する。このような光触媒体は、高い比表面積を実現し、及び/又は、処理対象である流体の供給速度に優れるため、効率よく流体を処理することができる。また、上記気孔率の光触媒体は、それ自体の機械的強度を実用上充分なレベルに維持しつつ特に細孔内に多量の酸化物半導体(光触媒)粒子を担持することができる。このため、活性の高い光触媒機能が得られ、水浄化材としての使用に好ましい。
【0011】
また、本発明は、本明細書において開示された光触媒体を製造する方法を提供する。すなわち、本発明の光触媒体製造方法は、無機多孔質体の表面及び細孔内に、粒径が200〜1000nmである酸化物半導体粒子を主体とする酸化物半導体粉末と、該酸化物半導体粒子とは異なるセラミック粒子であって粒径が1〜1000nmであるセラミック粒子を主体とするセラミック粉末とを付与する工程と、上記酸化物半導体粉末及びセラミック粉末が付与された無機多孔質体を焼成する工程とを包含する。
かかる製造方法によると、流体を高効率に光触媒処理し得る多孔質の光触媒体を比較的低コストで製造することができる。
【0012】
好ましい製造方法は、上記セラミック粉末としてコロイダルシリカを使用することを特徴とする。このことによって、上記セラミック粒子としてのシリカ(典型的には多孔質シリカ)を多孔質基材上に付与する(焼結する)ことができる。使用するコロイダルシリカとしては透明性が高いものが好適である。
また、上記無機多孔質体に酸化物半導体粉末及びコロイダルシリカを付与する際には、酸化物半導体粉末100重量部に対してコロイダルシリカをシリカ換算で5〜50重量部使用することが好ましい。この比率でこれら粉末を使用することにより、比表面積の向上と高い光触媒活性とを共に実現する光触媒体を容易に製造することができる。
【0013】
また、本発明の製造方法として好ましいものは、上記酸化物半導体粉末及びセラミック粉末を付与する前の無機多孔質体と比較して、これら粉末を付与することによって多孔質体の比表面積を少なくとも0.5m/g増大させるように行う。これにより、高い比表面積を実現した光触媒体を製造することができる。
本態様の製造方法としてさらに好ましいものは、上記無機多孔質体として比表面積が0.1m/g以下である粒状又は細片状のセラミック多孔質体を用意し、そのセラミック多孔質体の比表面積が1.0m/gを上回るように、上記酸化物半導体粉末及びセラミック粉末を付与する。この方法では、比較的高質量の粒状又は細片状セラミック多孔質体を基材(担体)として使用する結果、流水又は流速の早いガス中に配置した際にも散乱し難い光触媒体を製造することができる。更に、比表面積を向上させてその表面や細孔内に多量の光触媒粒子(酸化チタン等)を付与(焼結)することができる。
このため、本製造方法により得られた粒状又は細片状の光触媒体は、被処理水又はガスを流入させて浄化する水浄化装置又はガス浄化装置を構築するために用いられる水浄化材又はガス浄化材として好ましく使用することができる。
【0014】
また、本発明によると、上記いずれかの光触媒体を主体に構成される水浄化装置が提供される。典型的には、本発明の水浄化装置は、吸水口と排水口とを備え、外部から光の照射が可能な水路と、その水路内に配置された本発明の光触媒体と、その水路に被処理水を供給するための給水手段と、その水路内の光触媒体に光(典型的には紫外光)を照射するための光源とを備えている。
かかる構成の水浄化装置は、上述した本発明のいずれかの光触媒体を用いているために低コストで製造され得る。また、高効率に水を光触媒作用によって浄化することができる。即ち、上記水路内に被処理水を適当な流速で流入させて、光源から酸化物半導体(酸化チタン等)を励起し得る光を照射することによって、光触媒反応により効率よく水を浄化することができる。例えば、光触媒反応によって窒素化合物、硫黄化合物等の水質汚染の原因となる無機物、有機物を酸化・分解することができる。また、その分解によって生じたリン酸等のリン成分をそのまま吸着・除去することも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0016】
光触媒体の基材として用いられる無機多孔質体は、材質や形状等に特に制限はない。種々の無機材料、例えば陶磁器(狭義のセラミックス)、セメント、発泡コンクリート、煉瓦等であり得る。シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸バリウム等を主体とするセラミック多孔質体が好ましい。
無機多孔質体の好適な形状及び大きさは、使用態様に応じて適宜決定されるものであり、特に限定はない。例えばプレート、ブロック若しくは管形状に成形されたものであっても良いが、水浄化装置又はガス浄化装置に装備される光触媒モジュールとして用いる場合には、ケーシング(典型的には内部に被処理水又はガスを導入して浄化処理するもの)内に積層若しくは充填するのに都合の良い粒状、粉状、フレーク状、砕片状のものが好適である。例えば、数mmから数十mm程度の大きさの粗粒形状や細片形状のものが好ましい。
水中又はガス中で安定に配置・保持され易いという観点から、使用する無機多孔質体としては比重が概ね1.2以上(より好ましくは2以上)であるものが好適である。
【0017】
また、かかる無機多孔質体としては、気孔部分の50vol%以上が孔径20μm以上の細孔によって構成されているものが好ましい。気孔部分の60vol%以上(特に好ましくは70vol%以上)が孔径20μm以上(さらに好ましくは30μm以上、特に好ましくは50μm以上)の細孔によって構成されているものが特に好ましい。気孔部分の大半が孔径20μm未満の微細孔によって構成されると、上記酸化物半導体粒子及びセラミック粒子の担持量が少なくなる傾向にある。
使用する無機多孔質体の気孔率は10%以上が望ましく25%以上が適当であるが、ほぼ30〜60%が特に好ましい。気孔率が低すぎると酸化チタンの担持量が少なくなるため好ましくない。他方、気孔率が60%より高すぎると、光触媒体自体の機械的強度が低くなるので好ましくない。
【0018】
本発明の光触媒体では、無機多孔質体(基材)として砥石の破砕物を使用することが好ましい。砥石の破砕物(典型的には粒状又は細片状になるまで砕かれたもの)を用いることにより、所望される孔径分布および平均孔径を有する基材を安価に大量に得ることができる。
上述した条件を満たすセラミック多孔質体として好ましいものに、砥石(砥粒層)の破砕物がある。特に、ビトリファイドボンド等のように種々の砥粒を長石その他の無機材料から成る結合材によって固めて得られた砥石が好ましい。そのような砥石は比較的孔径の大きな気孔が形成されているからである。例えばアルミナ、炭化ケイ素等から成る研削砥石の破砕物が好適である。
例えば砥石をジョークラッシャー、ロールクラッシャー、ハンマークラッシャー、ハンマーミル等の粉砕機によって破砕し、数mm乃至数十mmの大きさ(典型的には1〜100mm)の細片状若しくは粒状にしたものが、本発明に係る無機多孔質体(基材)として好適に用いられる。
特に限定するものではないが、使用する砥石破砕物としては、その粒度(JIS R 6001)が粗粒レベルにあるものが好ましい。特に粒度が♯8〜♯120である砥粒を主体とする砥石破砕物が好適である。かかる粒度(粗粒)範囲にある砥石(砥粒)では全細孔に占める孔径20μm以上の比較的大きい細孔の存在比が高く、孔径分布も比較的狭い傾向にある。このため、細孔内に光触媒として機能する酸化物半導体を多量に担持させ得るとともに、効率のよい水の浄化、或いはガスの浄化を図ることができる。
【0019】
本発明の光触媒体に用いられる酸化物半導体としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が挙げられるが、光触媒活性が高く、リン吸着能にも優れる酸化チタンが好ましい。酸化チタンには、純粋な無水酸化チタンの他、各種の水和物や酸が包含される、例えば、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、水酸化チタン等と一般に呼ばれている類の酸化チタンは、本発明に関する酸化チタンに包含される。
本発明の実施にあたって使用する酸化チタンとしては、光触媒活性の高いアナターゼ型結晶構造のもの(アナターゼ型酸化チタン)が好適であるがこれに限定されず、他の結晶構造のもの例えばルチル型酸化チタンであってもよい。無機多孔質体表面(細孔外部)に担持させる光触媒としては、アナターゼ型酸化チタンが特に好適である。
【0020】
また、使用する酸化チタンその他の酸化物半導体としては、無機多孔質体の細孔内に均等且つ多量に担持され得る形状のものが好ましい。かかる観点から酸化物半導体粉末の使用が好適であり、粒径が200〜1000nmであるものが好ましい。粒径が200〜800nmであるものがより好ましい。粒径が200〜500nmであるものが特に好ましい。
上述のとおり、粒径が200nmよりも小さい酸化物半導体微粒子は高コストであると共に上記粒径範囲のセラミック粒子との併用によって却って光触媒活性が低下する虞があり、好ましくない。他方、粒径が1000nmよりも大きすぎる酸化物半導体粒子は活性が低いうえに無機多孔質体に均一に配置し難いので好ましくない。
【0021】
また、酸化チタンのような光触媒粒子とともに、多孔質体の比表面積を向上させるべく用いられるセラミック粒子(以下「粒状セラミック助材」ともいう。)は、粒径1〜1000nmであるものが適している。粒径が1〜500nmであるものが好ましい。粒径が1〜100nmであるものがより好ましい。粒径が10〜50nmであるものが特に好ましい。
粒状セラミック助剤は種々のセラミック粒子であり得る。例えば、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等を主体とするセラミック粉末を使用することによって、無機多孔質体に粒状セラミック助剤を付与することができる。このうちシリカ粒子が好ましく、コロイダルシリカが特に好ましい。コロイダルシリカとしては、上記粒径範囲に属するものであればいずれも用いることができるが、コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子の粒径が主として4〜6nmであるもの、8〜11nmであるもの、10〜20nmであるもの、20〜30nmであるもの、40〜60nmであるもの或いは70〜100nmであるものが好適である。これら粒径のコロイダルシリカはいずれも市販されており、容易に入手することができる。シリカ粒子の粒径が主として10〜20nmであるコロイダルシリカが特に好適である。
【0022】
コロイダルシリカの使用量は、酸化チタン等の酸化物半導体粉末100重量部に対して、好ましくはシリカ換算で5〜50重量部、より好ましくは15〜50重量部である。コロイダルシリカの添加割合が5重量部以上であると比表面積を向上させて光触媒体の光触媒活性を高める効果が高い。また、かかるコロイダルシリカの添加割合が15重量部以上であると、無機多孔質体への酸化物半導体粒子の付着強度が向上し、光触媒体の耐久性向上を図れる。一方、かかる添加割合が50重量部を超えても上記光触媒活性を高める効果は向上せず、経済的に不利となる。
【0023】
砥石破砕物等の無機多孔質体の表面(細孔内壁を含む)に、光触媒粒子及び粒状セラミック助剤を担持する方法としては、従来から光触媒体を製造するために用いられている方法を特に制限なく採用することができる。例えば、水、有機溶媒、希酸(硝酸等)等の溶液中に、酸化物半導体粉末及び粒状セラミック助剤から成るセラミック粉末を分散して成るゾル又はスラリーを調製し、その中に無機多孔質体をディップ(浸漬)する。これにより、当該無機多孔質体の表面及び細孔内に酸化物半導体粒子及び粒状セラミック助剤をコーティングすることができる。なお、粒状セラミック助剤から成るセラミック粉末は、酸化物半導体粉末を上記溶液中に分散させた後に添加してもよいが、酸化物半導体粉末の添加と同時に、或いは酸化物半導体粉末の添加の前に添加しておいてもよい。
気孔部分の50vol%以上が孔径20μm以上の細孔によって構成されている無機多孔質体を使用する場合には、上記ゾルやスラリーが細孔内に進入し易い(即ち表面張力に基づく進入の妨害が生じ難い。)。このため、細孔内にも比較的多量の酸化物半導体粒子を付与(コーティング)することができる。
或いは、無機多孔質体に粒状セラミック助剤から成るセラミック粉末をディップ(浸漬)又は吹付け等によりコーティングして乾燥させ、その後上記と同様な水、有機溶媒、希酸(硝酸等)等の溶液中に酸化物半導体粉末を分散して成るゾル又はスラリー中に、当該無機多孔質体をディップ(浸漬)してもよい。
【0024】
上記ディップ(浸漬)処理後、無機多孔質体を100℃以上、例えば、無機多孔質体が、アルミナ等のセラミックである場合、好ましくは300〜800℃程度で焼成する。このことによって、所望する光触媒体を得ることができる。
【0025】
なお、酸化物半導体が酸化チタンである場合、好ましくは400〜750℃で焼成する。400℃以上の焼成温度であれば、酸化チタンの無機多孔質体への付着強度が強く、水又はガス浄化処理実施中に酸化チタンが剥離することを防止することができる。すなわち、流水中で用いても酸化チタンが溶け出し難い水浄化用として特に好適な光触媒体を製造することができる。一方、750℃を超える焼成温度では、高温焼成により酸化チタンの結晶構造が光触媒作用の高いアナターゼ型からルチル型へと転移し易くなるため、好ましくない。
なお、ディップ法の他、粒状セラミック助剤及び酸化物半導体の上記ゾル又はスラリーを順次又は混合して同時に無機多孔質体に吹き付ける手段によってもよい。あるいは、粒状セラミック助剤をディップ又は吹付け等により付着させた無機多孔質体存在下において、最終的に酸化物半導体となり得る原料化合物(例えば酸化チタンの場合、硫酸チタニル、塩化チタン、チタン酸塩、チタン酸アルキル等の有機チタン化合物)を加水分解若しくは中和処理して酸化物を生成し、そのまま当該無機多孔質体に付着させてもよい。このような方法によっても、その後に焼成することによって当該酸化物半導体を無機多孔質体に担持することができる。
あるいは、かかる光触媒含有ゾルを用いる方法に代えて、四塩化チタン等を用いたCVD(化学蒸着)法によって、粒状セラミック助剤を付着させた無機多孔質体の表面に酸化チタンを蒸着・担持してもよい。
【0026】
無機多孔質体に担持する酸化物半導体の量については特に制限はないが、被処理水やガスが光触媒体の細孔内へ進入するのを阻害しない程度の担持量が好適である。例えば、酸化物半導体(酸化チタン等)を担持した後の状態で、無機多孔質体(光触媒体)の平均孔径が5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上であるように担持量を調節することが好ましい。また、気孔率は10%以上であることが好ましい。例えば、アルミナ等の研削砥石(砥粒層)の破砕物を無機多孔質体(基材)として用いる場合、酸化物半導体担持前の比表面積(通常0.1m/g以下:典型的には0.01〜0.05m/g)と比べて、酸化物半導体担持後の比表面積は少なくとも0.5m/g(好ましくは1.0m/g以上)増大しているように酸化物半導体の担持量を調節するとよい。特に、本発明の光触媒体の平均細孔径が10μm以上であって比表面積が1.5m/g以上であることが好ましい。かかる性状の光触媒体は、光触媒による水又はガスの浄化と多孔質体それ自体の濾過による水又はガスの浄化とが相乗的に作用し、効果が顕著である。
【0027】
本発明では、酸化チタンとともに粒状セラミック助剤を所定の割合で無機多孔質体に付与することにより、当該多孔質体の比表面積と光触媒活性とを容易に増大させることができる。特に限定するものではないが、使用する無機多孔質体の重量に対してほぼ1質量%又はそれ以上の酸化チタンを担持させることが好ましい。2質量%以上の担持量がさらに好ましく、5質量%以上の担持量が特に好ましい。そのような担持量は、上記孔径分布を有する砥石破砕物であれば、容易に達成することができる。なお、酸化物半導体担持量の調節は、例えばディップ法に用いるゾル中の酸化物半導体濃度や浸漬時間を適宜調整することにより容易に行うことができる。
【0028】
本発明の光触媒体は、その形状に応じて種々の用途に用いることができる。例えば、粒状又は細片状の光触媒体は、水浄化材又はガス浄化材として所定のケーシング(カラム等)内に積層又は充填することができる。また、本発明に係る光触媒体は、リン成分として種々のリン酸(ピロリン酸、ポリリン酸等)、リン酸塩、無機リン化合物、有機リン化合物を吸着することもできる。
なお、本発明に係る光触媒体を被処理水からリン成分を除去する目的に用いる場合には、かかる被処理水のpHが概ね6.0〜9.0の範囲にある場合に最適なリン吸着能を示す。このため、被処理水のpHがかかる好適範囲よりも低すぎる場合或いは高すぎる場合は、予め被処理水のpHを調節しておくことが好ましい。なお、光触媒体に吸着されたリン成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を含むアルカリ溶液(好ましくはpH10以上)に当該光触媒体を浸すことにより、溶脱・回収することが可能である。また、吸着したリン成分の除去によって、当該光触媒体を再生することができる。
【0029】
本発明の一実施形態として図1に模式的に示すような光触媒反応装置としても機能し得る水浄化装置10を構築することができる。
すなわち、この装置10は、大まかにいって、水槽1の天板(蓋)2上に配置されたケーシング11とポンプ15とから構成されている。ケーシング11内は、紫外光を透過可能な隔壁12によって上下二つの空間に分けられている。隔壁12の上部には紫外線照射用光源13(例えば水銀灯)が設けられている。一方、隔壁12の下部は被処理水を導入する空間である。本実施形態では、凡そ5〜30mm大の粒状光触媒体P(酸化物半導体粒子として酸化チタンが担持されている)が充填してある。かかる空間(以下「水浄化用水路」という)には、二つの送液管14,18が接続している。一方の送液管(排水管)18は水槽1内に連通しており、他方の送液管(給水管)14はケーシング11に隣接して設けられたポンプ15に連通している。ポンプ15には汲水管16が別途接続しており、その先端開口部17は水槽1内の被処理水S中に配置されている。
【0030】
以上の構成の結果、ポンプ15を作動させると所定の流量で汲水管16の先端開口部17から被処理水Sが汲み上げられる。汲み上げられた被処理水Sは、汲水管16、ポンプ15及び給水管14を経て水浄化用水路内に供給される。そして、そこに充填されている光触媒体Pの表面に被処理水Sが接触し、さらにはその一部が光触媒体Pの細孔内に進入していくことにより、被処理水Sに含まれるリン成分の吸着・除去が行われる。
このとき、紫外線照射用光源13から紫外光(好ましくは波長300〜400nmの紫外光)を水浄化用水路に照射することにより、水浄化用水路内で光触媒反応に基づく水浄化処理を行うことができる。すなわち、紫外光の照射を受けて酸化チタン(典型的には光触媒体Pの外表面や細孔開口部に保持されているもの)が励起され、生成した電子、正孔に基づく光触媒反応(酸化還元反応)が起きる。これにより、光触媒と接触又は接近した種々の化合物(窒素化合物等)或いはイオン(アンモニウムイオン等)を酸化し、分解することができる。これにより、上述のリン成分の除去と相俟って被処理水の浄化を促進することができる。なお、処理された水は、排水管18から再び水槽1内に戻される(図中の矢印参照)。
【0031】
なお、光を光触媒体に照射するための光源としては、光触媒を励起し得る波長の光(典型的には紫外光)を放射するものであれば特に限定されない。例えば、蛍光灯、ブラックランプ等の他、太陽光であってもよい。
また、本発明の光触媒体は、必要量(用途に応じて異なる)の酸化物半導体及び粒状セラミック助剤を担持する限り、他の構成要素を含んでいてもよい。例えば、活性炭、微生物(硝化細菌等)、色素等を含んでいてもよい。
【0032】
以上、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る水浄化装置(脱リン装置としても好適である。)を説明したがこれに限定されない。本発明の目的を達成するには、水又はガス浄化材としての光触媒体を被処理水又は被処理ガスと接触可能な状態に配置すればよいのであるから、例えば家庭内排水管や市街地の下水管、ゴルフ場等から排出される産業排水管の一部に本発明の光触媒体を充填したカラム等(光触媒モジュール)を接続して使用してもよい。また、上述の実施形態では水槽1とは別個に水浄化装置10を設けており、そこに被処理水Sを供給しているがこの形態に限られず、例えば水族飼育用水槽やその他の貯水槽(貯水池)内に光照射可能な状態で水浄化装置を設けてもよい。あるいは、水槽の底に敷石として本発明に係る光触媒体を配置しておいてもよい。
また、本発明の光触媒体は、湖沼や河川の水、海水の他、貯蔵タンク等の貯水器の水、太陽エネルギー等を利用した給水、給湯設備や冷暖房設備内の水、風呂水、プール用水、上水、飲料水等の生活用水あるいは生活用水に利用される水等の浄化に用いることができる。さらに、各種工場や自動車等から排出される窒素酸化物や有機ハロゲン化物、生活空間における悪臭成分等の脱臭、また青果実から放出される鮮度低下作用のあるエチレンガスの除去に用いることもできる。
【0033】
【実施例】以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0034】
<光触媒体の製造例>
光触媒体の基材として、種々の研削砥石を破砕したものを使用した。これら基材(無機多孔質体)の物性を表1に示す。
なお、表1中の品名「EC」はアルミナ(Al)成分が90質量%以上であるビトリファイドボンディングタイプの研削砥石(♯40〜♯150の混合粒度)を3〜10mm大に破砕したものである。
品名「GC」は炭化ケイ素(SiC)成分が90質量%以上であるビトリファイドボンディングタイプの研削砥石(♯40〜♯150の混合粒度)を3〜10mm大に破砕したものである。
品名「CX」はアルミナ(Al)成分が90質量%以上であるビトリファイドボンディングタイプの研削砥石(♯40〜♯150の混合粒度)を3〜10mm大に破砕したものである。
【0035】
【表1】
Figure 2004230301
【0036】
これら基材の平均細孔径(μm)を水銀圧入法に基づいて測定した。また、比表面積(m/g)を圧入法に基づくBET式より算出した。さらに気孔率(%)は水銀圧入法により細孔分布測定して求めた。表1から明らかなように、砥石破砕物はいずれも比表面積が0.1m/g以下であり、平均細孔径が50μm以上であり、また気孔率は30〜60%であった。
【0037】
また、酸化チタン粉末として、140〜450nmの種々の粒径を有するものを使用した。これら酸化チタンの粒径を表1に示す。
なお、表1中の品名「S」は石原産業(株)製品「ST−01」である。品名「A」は石原産業(株)製品「タイペーク(登録商標)A−700」である。品名「TA」は(富士チタン工業(株)製品「TA−100」である。
さらに、コロイダルシリカは、粒径が10〜20nmである日産化学工業(株)製品「スノーテックス(登録商標)30」を用いた。
【0038】
次に、これら基材の外表面および細孔内に以下のようにして上記の酸化チタン粉末を担持した。すなわち、水1000mlに対して、表1に示す粒径の各酸化チタン粉末200〜300g、さらに酸化チタン粉末に対して30%シリカ含有コロイダルシリカを90g加えて、ミキサーで撹拌した。
このようにして得られたスラリー中へ表1に示す各基材を含浸させ、コロイダルシリカ及び酸化チタンを各基材の表面及び細孔内にコーティングした。
【0039】
続いて、基材をおよそ80℃の乾燥機中で一昼夜乾燥させた。次いで大気条件下550℃にて電気炉で焼成した。焼成後、基材を水洗し次いで乾燥した。
この一連の処理によって、表1に示す各実施例及び比較例の光触媒体を得た。これら光触媒体について、基材と同様の方法によって、平均細孔径、比表面積、気孔率、ならびに酸化チタン担持量(被覆量(質量%):((基材+酸化チタン)−基材)/基材×100)を測定した。結果を表1に示す。
【0040】
表1から明らかなように、各光触媒体では、酸化チタン担持(被覆)後も略30μm又はそれ以上の平均細孔径を確保している。また、気孔率は30%以上であった。比表面積は酸化チタン担持前と比較して0.5m/g以上(実施例1及び2では特に1m/g以上)増大している。このことに対応して基材重量に対して略1質量%又はそれ以上(実施例1及び2では特に3質量%以上)の酸化チタン担持(被覆)量を確保している。
【0041】
<水浄化試験>
得られた各光触媒体を用いて被処理水の水浄化試験を行った。すなわち、下水処理場からの最終放流水(下水処理水:pH約6.6)を容積56リットルの水槽に入れ、図1で示したような水浄化装置を構築した。すなわち、約50リットルの下水処理水を水槽に入れるとともにその天板(水槽蓋)上に設けた水浄化用装置の水処理用水路(約2リットル)に各光触媒体を約3kg充填し、その上に光源を設置した。なお、本実施例では光源としてブラックライトを採用した。而して、循環ポンプを作動させて約10リットル/分の流速で、水槽から水処理用水路に下水処理水を供給・循環させた。このとき、光源(ブラックライト)から約2mW/cmの強さの紫外光(約5%)を含む光を連続照射した。
【0042】
この条件下、経時的に、下水処理水を水槽からサンプリングし、COD(化学的酸素要求量:mg/L)を測定した。ここで、CODは、JIS−K−0102.17に準拠した100℃における過マンガン酸カリウム消費量に基づいて算出した。かかる水浄化試験に供した試料と測定結果を表2に示した。なお、表中のブランクは光触媒体及び基材を使用していない試験区を示している。
【0043】
【表2】
Figure 2004230301
【0044】
以上の水浄化試験の結果から、本発明に係る光触媒体は、粒径が140nmの活性が高くて高価な従来の水浄化用光触媒体と比較して、同等もしくはそれ以上の優れた光触媒反応(各種酸化還元反応)に基づく水浄化性能を有することが確認された。
【0045】
<メチレンブルーの褪色試験(1)>
上記下水処理場からの最終放流水(下水処理水)の代わりに、メチレンブルー溶液(10ppm)を用いて、上記水浄化試験と同様な試験を行い、メチレンブルー溶液の吸光度(波長665nm)の経時変化を測定し、褪色変化を調べた。
かかる水浄化試験に供した試料(実施例1及び比較例1)と測定結果を表3に示した。なお、表中のブランクは光触媒体及び基材を使用していない試験区を示している。
【0046】
【表3】
Figure 2004230301
【0047】
以上のメチレンブルーの褪色試験(1)の結果から、本発明に係る光触媒体は粒径が140nmの活性が高くて高価な水浄化用光触媒体と比較して、同等もしくはそれ以上の優れた光触媒反応(各種酸化還元反応)に基づく水浄化性能を有することが確認された。
【0048】
<メチレンブルーの褪色試験(2)>
100mlビーカーに光触媒体10gとメチレンブルー20ppm溶液を50ml添加し、ビーカーを50℃の湯浴中で加熱した。上部からブラックライトを2灯照射したところ、メチレンブルーの水面における紫外線照射強度は約1.5mW/cmであった。メチレンブルー溶液の吸光度(波長665nm)の経時変化を測定し、褪色変化を調べた。
かかる水浄化試験に供した試料(実施例2)と測定結果を表4に示した。なお、表中のブランクは光触媒体及び基材を使用していない試験区を示している。
【0049】
【表4】
Figure 2004230301
【0050】
以上のメチレンブルーの褪色試験(2)の結果から、本発明に係る光触媒体は、優れた光触媒反応(各種酸化還元反応)に基づく水浄化性能を有することが確認された。
【0051】
<メチレンブルーの褪色試験(3)>
酸化チタン100重量部に対して、コロイダルシリカの添加量を表5のように変化させた光触媒体を用いて、メチレンブルーの分解能力について、その変化を検討した。<メチレンブルーの褪色試験(2)>と同様な方法で試験を行い、分解能力は目視による色の変化により判定を行った。尚、表5中の各記号は、次の意味を示す。×:分解能力が低い。○:分解能力が高い。◎:分解能力が著しく高い。
【0052】
【表5】
Figure 2004230301
【0053】
以上のメチレンブルーの褪色試験(3)の結果から、酸化チタン100重量部に対して、コロイダルシリカが5重量部以上であると、分解能力に優れ、十分な浄化効果が得られることが確認された。
【0054】
<コーティング耐性試験>
上記と同様に酸化チタン100重量部に対して、コロイダルシリカの添加量を表5のように変化させた光触媒体を用いて、無機多孔質体への酸化チタンの接着力について、その変化を検討した。すなわち、100mlガラスビーカーに試験片15gを入れ、水を50ml加えた。超音波洗浄器(本多電子株式会社製W−113、発振周波数28kHz)にビーカーごと入れ、5分間洗浄した。そして、剥がれ落ちがないか目視にて判定した。結果を同じく表5に示す。尚、表5中の各記号は、次の意味を示す。×:耐久性なし。直ちに剥がれる(白濁する)。△:やや劣る。少し白濁する。○:良好。ほぼ白濁しない。◎:かなり良好。全く白濁が認められない。
以上のコーティング耐性試験の結果から、酸化チタン100重量部に対して、コロイダルシリカが10重量部以上であると、接着力が向上し、超音波洗浄により容易には剥がれることがなくなることが確認された。また、15重量部以上であると、特に耐久性が高く、超音波洗浄によっても剥がれ落ちないことが確認された。
【0055】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る本発明の水浄化装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 水浄化装置
11 ケーシング
12 隔壁
13 光源
15 ポンプ
P 光触媒体
S 被処理水

Claims (10)

  1. 無機多孔質体と、その無機多孔質体の表面及び細孔内に担持された光触媒として機能する酸化物半導体粒子と、該酸化物半導体粒子とは異なるセラミック粒子とを有し、
    前記酸化物半導体粒子の粒径は主として200〜1000nmであり、前記セラミック粒子の粒径は主として1〜1000nmである、光触媒体。
  2. 前記セラミック粒子としてシリカを含む、請求項1に記載の光触媒体。
  3. 前記酸化物半導体100重量部に対して、前記シリカを5〜50重量部含む、請求項2に記載の光触媒体。
  4. 比表面積が1m/g以上であり、及び/又は、気孔率が30〜50%である、請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒体。
  5. 光触媒体の製造方法であって、以下の工程:
    無機多孔質体の表面及び細孔内に、粒径が200〜1000nmである酸化物半導体粒子を主体とする酸化物半導体粉末と、該酸化物半導体粒子とは異なるセラミック粒子であって粒径が1〜1000nmであるセラミック粒子を主体とするセラミック粉末とを付与する工程;および
    前記酸化物半導体粉末及びセラミック粉末が付与された無機多孔質体を焼成する工程;
    を包含する製造方法。
  6. 前記セラミック粉末としてコロイダルシリカを使用する、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記無機多孔質体に酸化物半導体粉末及びコロイダルシリカを付与する際、酸化物半導体粉末100重量部に対して前記コロイダルシリカをシリカ換算で5〜50重量部使用する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記酸化物半導体粉末及びセラミック粉末を付与する前の前記無機多孔質体と比較して、これら粉末を付与することによって多孔質体の比表面積を少なくとも0.5m/g増大させる、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 前記無機多孔質体として比表面積が0.1m/g以下である粒状又は細片状のセラミック多孔質体を用意し、
    そのセラミック多孔質体の比表面積が1.0m/gを上回るように、前記酸化物半導体粉末及びセラミック粉末を付与する、請求項8に記載の製造方法。
  10. 吸水口と排水口とを備え、外部から光の照射が可能な水路と、
    その水路内に配置された請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒体と、
    その水路に被処理水を供給するための給水手段と、
    その水路内の前記光触媒体に光を照射するための光源と、
    を備えた水浄化装置。
JP2003022786A 2003-01-30 2003-01-30 光触媒体及びその製造方法 Withdrawn JP2004230301A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003022786A JP2004230301A (ja) 2003-01-30 2003-01-30 光触媒体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003022786A JP2004230301A (ja) 2003-01-30 2003-01-30 光触媒体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004230301A true JP2004230301A (ja) 2004-08-19

Family

ID=32951774

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003022786A Withdrawn JP2004230301A (ja) 2003-01-30 2003-01-30 光触媒体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004230301A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525188A (ja) * 2004-12-28 2008-07-17 カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ 光触媒による汚れの自動洗浄工程
GB2505025A (en) * 2012-03-30 2014-02-19 Atg R & D Ltd Microbial fuel cell and photocatalytic assembly therefor
JP2016102045A (ja) * 2014-04-03 2016-06-02 日本電気硝子株式会社 ガラス

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008525188A (ja) * 2004-12-28 2008-07-17 カウンシル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ 光触媒による汚れの自動洗浄工程
GB2505025A (en) * 2012-03-30 2014-02-19 Atg R & D Ltd Microbial fuel cell and photocatalytic assembly therefor
US9492810B2 (en) 2012-03-30 2016-11-15 Keronite International Limited Photocatalyst
GB2505025B (en) * 2012-03-30 2019-07-17 Atg R&D Ltd Method for making assembly for photocatalytic treatment of water
JP2016102045A (ja) * 2014-04-03 2016-06-02 日本電気硝子株式会社 ガラス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101891497B (zh) 硅藻土基多孔陶瓷负载银掺杂纳米二氧化钛的方法
US5541096A (en) Photocatalyst and process for purifying water with same
JP2517874B2 (ja) 酸化チタン薄膜光触媒の製造方法
JP2006110470A (ja) 水質浄化剤
JPS6219240B2 (ja)
EP1434737A1 (en) Apparatus and method for photocatalytic purification and disinfection of water and ultrapure water
JPS6349540B2 (ja)
Pham et al. Advanced removal of toluene in aerosol by adsorption and photocatalytic degradation of silver-doped TiO 2/PU under visible light irradiation
JP2945926B2 (ja) 光触媒粒子及びその製造方法
Linnik et al. Photocatalytic destruction of tetracycline hydrochloride on the surface of titanium dioxide films modified by gold nanoparticles
JPH11343426A (ja) 光触媒塗料
CN1261378C (zh) 磁性纳米TiO2/SiO2/Fe3O4复合光催化剂净化废水方法及装置
JPH11335187A (ja) 光触媒モジュール及び光触媒装置
JP3527338B2 (ja) 水処理装置
JP3118558B2 (ja) 水処理用触媒及び水処理方法
JP2000218161A (ja) 光触媒体
JP2004230301A (ja) 光触媒体及びその製造方法
JP2000237543A (ja) 光触媒装置
JP3792577B2 (ja) 光触媒を利用した水処理装置
JP2005329360A (ja) 浄化材及びその製造方法
JP2000167355A (ja) 浄化装置
JP3431301B2 (ja) 光触媒機能を有するタイル
JP3944152B2 (ja) 水質汚染有機物質の除去方法
JP2003103180A (ja) 多孔質光触媒体及びこれを用いた水の浄化方法
Baklavaridis et al. Recent progress in the advanced oxidation of wastewaters using recycled fly ashes as alternative catalytic agents

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050711

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20050711

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050715

A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060404