JP2004228921A - 色変換方法、色変換装置、および色変換プログラム - Google Patents
色変換方法、色変換装置、および色変換プログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、色の階調の連続性を保ち、見た目のざらつきを抑えながらインクの総量を制限する色変換方法、色変換装置、および色変換プログラムを提供する。
【解決手段】ターゲットデバイスに適合したターゲット色空間のターゲット座標と出力デバイスに適合した出力デバイス色空間の、座標成分の総和が制限された制限座標との対応関係において、変換対象であるターゲット座標が、ターゲット色空間上の所定領域(例えば、濃度が所定濃度以下でK成分が0である領域)内に含まれている場合には、そのターゲット座標と対応付けられた出力デバイス上の制限座標におけるK成分を0に補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】ターゲットデバイスに適合したターゲット色空間のターゲット座標と出力デバイスに適合した出力デバイス色空間の、座標成分の総和が制限された制限座標との対応関係において、変換対象であるターゲット座標が、ターゲット色空間上の所定領域(例えば、濃度が所定濃度以下でK成分が0である領域)内に含まれている場合には、そのターゲット座標と対応付けられた出力デバイス上の制限座標におけるK成分を0に補正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データを、座標成分の総和が制限された制限座標で定義された制限画像データに変換する色変換方法、色変換装置、およびコンピュータ内で実行されることによりそのコンピュータを色変換装置として動作させる色変換プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー印刷機を用いた印刷では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のインクに、K(黒)のインクを加えた4色のインクが使用され、それらのインクが重ね合わされることによって全ての色が表現されている。本来は、C、M、Y3色のインクだけで全ての色を表現できるはずであるが、これら3色のインクを混色しても十分に濃い黒が得られないなどという問題があり、特にシャドウにおいて深みのある黒を表現するためにKインクが用いられている。
【0003】
近年では、濃い黒を表現するためだけではなく、UCR(Under Color Removal:下色除去)という方法を適用するという理由からも広範にKインクが用いられている(例えば、特許文献1参照)。UCRは、C、M、Y3色のインクによって表現されるグレー成分をKインクで置き換えることにより、重ねあわされるインクの総量を減少させる方法である。通常、UCRにおいては、例えば、(C,M,Y,K)=(60%,70%,80%,0%)の網点面積率で表現される色を、その色の成分のうち等量のC、M、Y各60%をそれらと等量のK60%で置き換えて、(C,M,Y,K)=(0%,10%,20%,60%)の網点面積率で表現することが行われている。UCRを行う前の網点面積率で色を表現すると、全インクを合わせて210%のインクが重ね合わされることになるが、UCRを行った後の網点面積率で色を表現すると、重ねあわされるインクを90%にまで抑えることができる。用紙上に多くのインクが重ねあわされると、インクが乾いたときにヒビが入ったり、インクが剥がれてしまう膜剥がれなどのような不具合が生じる恐れがあるが、このUCRを適用して、重ねあわされるインクの総量を制限することにより、これらの不具合を回避することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−124234号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したUCRでは、特にシャドー付近(K=100%に近い部分)の色において、例えば、(C,M,Y,K)=(60%,70%,80%,90%)の網点面積率で表現された色にUCR処理を施そうとすると、(C,M,Y,K)=(0%,10%,20%,150%)の網点面積率になってしまうというように、C、M、YインクをKインクで置き換えた後のKインク単色での網点面積率が計算上100%を超えてしまい、UCR処理を行うことができない場合がある。このため、このようなシャドー付近の色を表現する際には、UCRのように色を置き換えるのではなく、単にC、M、Yインクの量を減らすことによってインクの総量を制限することが行われている。しかし、このような場合、C、M、Yインクの量を減らしてインクの総量制限を行う部分と、UCRによってインクの総量制限を行う部分との境界付近で、色の階調が不連続になってしまうという問題がある。
【0006】
上記のような色の階調が不連続になってしまうという問題を解消し、かつ、インクの総量を制限する方法としては、例えば、1次色や2次色など印刷を行う上で重要な色を構成するCMYK各インクの量を、インクの総量が制限量内になるように予め決めておき、それ以外の色におけるCMYK各インクの量は、予め決めた重要な色におけるCMYK各インクの量を基に補間計算などによって算出する方法が提案されている。この方法によると、印刷上重要な色は、元の色を忠実に再現し、それ以外の色は、その重要な色から徐々に変化していくような色に変換され、インクの総量を制限するとともに、色の階調の連続性も保つことができる。
【0007】
しかし、この方法は、重要な色以外の色を補間計算によって算出するため、例えば、元の色はKインクが含まれていなかったとしても、算出された色にはKインクが含まれてしまうことがある。このような色を印刷すると、印刷された色にはKインクが含まれ、特にその色が薄い場合には見た目にざらついてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、色の階調の連続性を保ち、見た目のざらつきを抑えながらインクの総量を制限する色変換方法、色変換装置、および色変換プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の色変換方法は、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換方法において、
第1の色空間上の変換対象の座標が、第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定過程と、
判定過程で、所定領域内の座標であると判定された座標を、制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換過程とを有することを特徴とする。
【0010】
従来、色空間上の所定の複数点の座標を、座標成分の総和が所定制限値以内の制限座標に変換し、所定の複数点以外の点の座標を、所定の複数点の座標と制限座標との対応を基に推定された制限座標に変換する方法が提案されている。この方法を適用する場合、K成分が含まれていなかった座標であっても、例えば補間計算などによって制限座標が推定されるために、制限座標にはK成分が含まれてしまうことがある。この場合、元の画像にはKインクが含まれていなかった部分であっても、制限座標に基づく画像にはKインクが含まれしまい、画像が見た目にざらついてしまうという不都合がある。
【0011】
本発明の色変換方法によると、変換対象の座標が第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定して、所定領域内の座標であると判定された場合には、その座標をブラック成分が0である制限座標に変換する。所定領域として、例えば第1の色空間におけるブラック成分が0である領域を設定しておくと、元々ブラック成分が0である座標はブラック成分が0である制限座標に変換されるため、画像の見た目のざらつきを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の色変換方法は、第1の色空間上に格子状に設定された格子点の座標と、座標が判定過程と座標変換過程とを経て変換される第2の色空間上の制限座標とを対応付けた色変換定義を作成する色変換定義作成過程と、
色変換定義を用いて、第1の色空間上の座標で色表現された任意の画像データを第2の色空間上の制限座標で色表現された画像データに変換する画像データ変換過程とを有することが好ましい。
【0013】
第1の色空間上の座標と、上述した本発明の色変換方法に基づいてその座標が変換された第2の色空間上の制限座標とを対応付けた色変換定義を予め用意しておくことにより、第1の色空間上の座標で定義された画像データを高速に第2の色空間上の制限座標で定義された画像データに変換することができる。
【0014】
また、本発明の色変換方法において、上記の座標変換過程が、第1の色空間上の座標のうち所定領域外の座標も制限座標に変換する過程であって、所定領域外の座標については、所定領域との境界に近いほど、ブラック成分が0に近い制限座標となるように変換する過程であることが好ましい。
【0015】
第1の色空間上の座標を、所定領域との境界に近いほどブラック成分が0に近づくような一連の制限座標に変換することにより、所定領域に対応する第2の色空間の領域付近における色の階調の連続性が保たれ、第1の色空間上の座標を連続的に変化する色を表す制限座標に変換することができる。
【0016】
また、本発明の色変換方法は、所定の第1の色空間が、ブラックに対応する座標軸を有する色空間であり、
所定領域は、座標のブラック成分が0であり、かつ、座標が表す色濃度が所定濃度以下であるような座標領域であることが好適である。
【0017】
色濃度の薄い画像部分は、Kインクが含まれてしまうと特に見た目にざらついてしまう。したがって、元の画像において、Kインクが使用されておらず、色濃度が薄い画像部分は、インクの総量を制限した後の画像部分においても、Kインクが使用されていないことが好適である。
【0018】
また、本発明の色変換方法において、上記の座標変換過程が、第1の色空間上の座標のうち所定領域外の座標も変換する過程であって、第1の色空間上の座標を第2の色空間上の制限座標に変換する第1の過程と、第1の過程で得られた制限座標を、所定領域を考慮して補正する第2の過程とを経る過程であってもよい。
【0019】
さらに、上記の第2の過程は、第1の色空間上の所定領域に対応する第2の色空間上の領域内の制限座標については、ブラック成分を0に補正するとともに、第2の色空間上の制限座標のうち上記領域外の制限座標については、その領域との境界に近いほどブラック成分が0に近くなるように補正する過程であることが好ましい。
【0020】
第1の色空間上の座標を第2の色空間上の一連の制限座標に予め変換しておき、その後、第1の色空間上の所定領域に対応する第2の色空間上の領域内の制限座標におけるブラック成分を0に補正し、さらに、その領域外の制限座標をその領域に近いほどブラック成分が0に近くなるような一連の制限座標に補正することにより、第1の色空間上の座標をいっそう自然に色が変化するような第2の色空間上の制限座標に変換することができる。
【0021】
また、本発明の色変換装置は、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換装置において、
第1の色空間上の変換対象の座標が、第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定部と、
判定部で、所定領域内の座標であると判定された座標を、制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
尚、本発明の色変換装置には、本発明の色変換方法の各種態様に対応する各種態様全てが含まれる。
【0023】
また、本発明の色変換プログラムは、コンピュータ内で実行され、コンピュータによって、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換プログラムにおいて、
第1の色空間上の変換対象の座標が、第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定部と、
判定部で、所定領域内の座標であると判定された座標を、制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の色変換プログラムをコンピュータ内で実行させることによって、そのコンピュータを上記のような色変換装置として動作させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態が適用される印刷およびプルーフ画像作成システムの全体構成図である。
【0027】
カラースキャナ10では、原稿画像11が読み取られて、その読み取った原稿画像11を表すCMYK4色の色分解画像データが生成される。このCMYKの画像データはワークステーション20に入力される。ワークステーション20では、オペレータにより、入力された画像データに基づく電子的な集版が行われ、印刷用の画像を表す画像データが生成される。この印刷用の画像データは、印刷を行う場合は、フィルムプリンタ30に入力され、フィルムプリンタ30では、その入力された画像データに対応した、CMYK各版の印刷用フィルム原版が作成される。
【0028】
この印刷用フィルム原版からは刷版が作成され、その作成された刷版が印刷機40に装着される。この印刷機40に装着された刷版にはインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移されてその用紙上に印刷画像41が形成される。
【0029】
このフィルムプリンタ30によりフィルム原版を作成し、さらに刷版を作成して印刷機40に装着し、その刷版にインクを塗布して用紙上に印刷を行う一連の作業は、大掛かりな作業であり、コストもかかる。このため、実際の印刷作業を行う前に、プリンタ60により、以下のようにしてプルーフ画像61を作成し、印刷画像41の仕上がりの事前確認が行われる。
【0030】
プルーフ画像を作成するにあたっては、ワークステーション20上の電子集版により作成された画像データがパーソナルコンピュータ50に入力される。ここで、このパーソナルコンピュータ50に入力される画像データは、いわゆるPDL(Page Description Language)で記述された言語データ、あるいは、印刷機40に適合し、網点面積率で定義された画像データ(以下、網点面積率で定義された画像データを網%データと称する)であり、パーソナルコンピュータ50では、いわゆるRIP(Raster Image Processor)100により、プリンタ60に適合し、ビットマップに展開されたCMYK4色の画像データに変換される。このCMYK4色の画像データは、実質的には、フィルムプリンタ30に入力される印刷用の画像データと同一である。ここで、RIP100の機能について説明する。
【0031】
RIP100には、色補正装置110、本発明の色変換装置の一実施形態が適用された色変換装置120、画像展開装置130、およびページ記述データ展開装置140それぞれとしての機能が備えられている。
【0032】
ここに示す例では、RIP100の色変換装置120において、ページ記述データ展開装置140および色補正装置110を経てきた印刷用の画像データを、プリンタ60の色空間に適合し、画像データに基づく画像をプリンタ60で出力する際に重ねあわされるインクの総量が制限された画像データ(以下、インクの量が制限された画像データを制限画像データと称する)に変換することが行われ、その前段階として、画像データを変換する際に参照されるLUT(Look Up Table)形式を持つ色変換プロファイル200が作成される。色変換プロファイル200の作成方法や使用方法については後述する。ここで、説明の便宜上、本実施形態においては、プリンタ60の色空間はCMYK色空間であるとして説明し、以下では、印刷機40に適合したCMYK色空間を印刷色空間、プリンタ60に適合したCMYK色空間をプリンタ色空間と称する。尚、この図1に示す測色計70はこの色変換プロファイル200の作成に関連するものである。
【0033】
ワークステーション20からパーソナルコンピュータ50に印刷用の画像データが送られてくると、ページ記述データ展開装置140は、その印刷用の画像データがページ記述データである場合に、その印刷用の画像データを網点面積率で定義された網%データに展開する。さらに、ページ記述データ展開装置140は、網%データに変換した印刷用の画像データを色補正装置110に送り、また、送られてきた印刷用の画像データが、元々網%データである場合には、その印刷用の画像データをそのまま色補正装置110に送る。色補正装置110は、ページ記述データ展開装置140から送られてきた画像データに、その画像データが表す画像の色を印刷における好ましい色に補正するための、例えば画像の色の階調を変換する階調変換処理などのような画像補正処理を施す。この画像補正処理が施された画像データを、仮にそのままプリンタ60に適合したプリンタ色空間の画像データに変換し、変換された画像データに基づいたプルーフ画像をプリンタ60で出力すると、プルーフ画像中の色部分によっては、多量のインクが重ね合わさって表現されるために、インクが剥がれてしまうことがある。これを回避するため、画像補正処理が施された画像データは色変換装置120に送られ、色変換装置120によって色変換プロファイル200が参照されて、画像データが、プリンタ色空間の、重ねあわされるインクの量が制限された制限画像データに変換される。また、この制限画像データは、網%データであり、このままではプリンタ60で出力することはできない。したがって、この網%で定義された制限画像データは、画像展開装置130に送られ、画像展開装置130で、プリンタ60で出力可能なビットマップ形式の制限画像データに変換される。変換後のビットマップ形式の制限画像データは、プリンタ60に入力され、プリンタ60では、その入力された制限画像データに基づくプルーフ画像61が作成される。
【0034】
このようにしてプルーフ画像61を作成して、そのプルーフ画像61を確認することにより、印刷の仕上がりを事前に確認することができる。印刷機40に適合した印刷色空間(CMYK色空間)は、本発明にいう第1の色空間、プリンタ60に適合したプリンタ色空間(CMYK色空間)は、本発明にいう第2の色空間の一例に相当する。
【0035】
ここで、RIP100を備えたパーソナルコンピュータ50のハードウェアについて説明する。
【0036】
図2は、図1に示す測色計70およびパーソナルコンピュータ50の外観斜視図、図3は、そのパーソナルコンピュータ50のハードウェア構成図である。
【0037】
この図2に示す測色計70には、図4に示すような、複数のカラーパッチが配列されたカラーチャート90が乗せられ、そのカラーチャート90を構成する複数のカラーパッチ91a,91b,…のそれぞれについて測色値(ここではXYZ値とする)が測定される。この測色計70での測定により得られた各カラーパッチの測色値を表す測色データは、ケーブル92を経由してパーソナルコンピュータ50に入力される。
【0038】
このカラーチャート90は、図1に示す印刷機40での印刷により、あるいはプリンタ60でのプリント出力により作成されたものであり、パーソナルコンピュータ50は、このカラーチャート90を構成する各カラーパッチに対応する色データ(CMYKの各値)を知っており、このパーソナルコンピュータ50では、そのカラーチャート90の各カラーパッチの色データと測色計70で得られた測色データとに基づいて、色変換プロファイル200が作成される。この点に関する詳細な説明は後述する。ここでは、次に、パーソナルコンピュータ50のハードウェア構成について説明する。
【0039】
このパーソナルコンピュータ50は、外観構成上、本体装置51、その本体装置51からの指示に応じて表示画面52a上に画像を表示する画像表示装置52、本体装置51に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード53、および、表示画面52a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示された、例えばアイコン等に応じた指示を入力するマウス54を備えている。この本体装置51は、外観上、フレキシブルディスク(以下、FDと省略する)を装填するためのFD装填口51a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口51bを有する。
【0040】
本体装置51の内部には、図3に示すように、各種プログラムを実行するCPU511、ハードディスク装置513に格納されたプログラムが読み出されCPU511での実行のために展開される主メモリ512、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置513、FD520をアクセスするFDドライブ514、CD−ROM521が装填され、その装填されたCD−ROM521をアクセスするCD−ROMドライブ515、測色計70と接続され、測色計70から測色データを受け取るI/Oインタフェース516が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図2にも示す画像表示装置52、キーボード53、マウス54は、バス55を介して相互に接続されている。
【0041】
ここで、CD−ROM521には、本発明の色変換プログラムの一実施形態の色変換プログラムが記憶されている。そのCD−ROM521はCD−ROMドライブ515に装填され、そのCD−ROM521に記憶された色変換プログラムがこのパーソナルコンピュータ50にアップロードされてハードディスク装置513に記憶される。そして、この色変換プログラムが起動されて実行されることにより、パーソナルコンピュータ50は、後述する色変換方法に従って画像データを制限画像データに変換する本発明の色変換装置の一実施形態である色変換装置120として動作する。
【0042】
次に、本発明の一実施形態である図1の色変換装置120を生成するための色変換プログラムについて説明する。
【0043】
図5は、本発明の色変換プログラムの一実施形態が記憶されたCD−ROM521を示す概念図である。
【0044】
CD−ROM521に記憶された色変換プログラム530は、判定部531、座標変換部532、色変換定義作成部533、および画像データ変換部534とで構成されている。ここで、判定部531は本発明の色変換プログラムにおける判定部の一例に相当し、同様に、座標変換部532は座標変換部の一例に相当し、色変換定義作成部533は色変換定義作成部の一例に相当し、画像データ変換部534は画像データ変換部の一例に相当する。色変換プログラム530の各部の詳細については、図1および図6に示す本発明の色変換装置の一実施形態が適用された色変換装置120の各部の作用と一緒に説明する。
【0045】
図6は、この色変換プログラム530を図2のパーソナルコンピュータ50にインストールし、パーソナルコンピュータ50を本発明の色変換装置の一実施形態として動作させるときの色変換装置120の機能ブロック図である。以下では、色変換装置120の構成要素と、それらの構成要素によるおおまかな作用について説明する。
【0046】
図1にも示す色変換装置120は、判定部121、座標変換部122、色変換定義作成部123、および画像データ変換部124を備えている。図5に示す色変換プログラム530を図1〜図3に示すパーソナルコンピュータ50にインストールすると、色変換プログラム530の判定部531は図6の判定部121を構成し、同様に、座標変換部532は座標変換部122を構成し、色変換定義作成部533は色変換定義作成部123を構成し、画像データ変換部534は画像データ変換部124を構成する。
【0047】
図6の判定部121、座標変換部122、および色変換定義作成部123は、図1の印刷機40に適合した印刷色空間上の画像データと、プリンタ60に適合したプリンタ色空間上の制限画像データとの対応を表す色変換プロファイル200を作成するための要素である。
【0048】
図1に示すワークステーション20は、色変換プロファイル200を作成するための一連の印刷色空間(CMYK)上の画像データを生成する。生成された画像データは、ページ記述データ展開装置140および色補正装置110を経て、判定部121に送られる。判定部121は、送られてきた各画像データが、印刷色空間上における、「K成分が0」かつ「濃度が濃度A以下」である領域(以下、この領域を所定領域と称する)に含まれているか否かをそれぞれ判定する。ここで、濃度とはK成分以外の色成分の値の総和を表すものとする。この所定領域は、領域内に含まれる画像データが表す色をプリンタ60で出力したときに、その色にKインクが含まれず、かつ濃度Aよりも薄い色である領域である。一連の画像データおよび判定結果は座標変換部122に送られる。この判定部121は、本発明の色変換装置における判定部の一例に相当する。また、印刷色空間上における、「K成分が0」かつ「濃度が濃度A以下」である上記の所定領域は、本発明にいう所定領域の一例にあたり、濃度Aは、本発明にいう所定濃度の一例に相当する。
【0049】
座標変換部122は、判定部121から送られてきた印刷色空間(CMYK)上の網%データのうち、判定部121で所定領域内の画像データであると判定された網%データを、K成分が0であるプリンタ色空間(CMYK)上の制限画像データに変換し、判定部121で所定領域外の画像データであると判定された画像データを、所定領域との境界に近いほどK成分が0に近づくような一連の制限画像データに変換する。変換前の画像データと変換後の制限画像データとの組み合わせは、色変換定義作成部123に送られる。
【0050】
色変換定義作成部123は、座標変換部122から印刷色空間上の画像データとプリンタ色空間上の制限画像データとの組み合わせが送られてくると、それらを対応付けて色変換プロファイル200を作成する。色変換プロファイル200の作成方法については、後述する。この色変換定義作成部123は、本発明の色変換装置における色変換定義作成部の一例に相当する。作成された色変換プロファイル200は、画像データ変換部124に送られる。
【0051】
画像データ変換部124は、色変換定義作成部123で作成された色変換プロファイル200を使って、図1に示すRIP100内の色補正装置110から送られてきた印刷色空間の画像データを、プリンタ色空間の制限画像データに変換する。変換された制限画像データは、図1に示す画像展開装置130に送られる。
【0052】
色変換装置120は、基本的には以上のように構成されている。
【0053】
図7は、本発明の色変換方法を適用してプルーフ画像61を作成する際にRIP100で行われる一連の処理を示すフローチャートである。以下では、図7のフローチャートを使って、プルーフ画像61を作成する一連の処理について詳しく説明する。
【0054】
RIP100では、プルーフ画像61を作成する前段階として、図6の画像データ変換部124で参照される色変換プロファイル200が作成される(図7のステップS1)。
【0055】
図8は、色変換プロファイル200を作成する一連の処理を示すフローチャートである。ここで、図7のフローチャートの説明を中断し、図8のフローチャートに従って、色変換プロファイル200を作成する一連の処理について説明する。また、説明の便宜上、以下では、重ねあわされるインクの総量を制限量Sまでの値に制限するものとして説明する。この制限量Sは、本発明にいう所定制限値の一例に相当する。
【0056】
色変換プロファイル200を作成するには、まず、図8のステップT1からステップT5において、印刷色空間上の座標と対応付けられるプリンタ色空間上の制限座標が算出される。
【0057】
図8のステップT1では、図6の判定部121において、図1に示すワークステーション20で生成されたプロファイル作成用の印刷色空間の網%データが取得され、さらに、それらの網%データが上述した所定領域(印刷色空間上の、「K成分が0」かつ「濃度が濃度A以下」である領域)内の画像データであるか否かが判定される。すなわち、図1に示すワークステーション20で、印刷色空間(CMYK色空間)に合わせて、例えば0%,10%,……,100%と順次変化させたCMYKのプロファイル作成用の網%データが生成され、それら一連の網%データは、ページ記述データ展開装置140および色補正装置110を経て図6の判定部121に送られる。判定部121は、プロファイル作成用のi番目の網%データについて、CMYK各色に対応する成分(C,M,Y,K)=(Ci,Mi,Yi,Ki)におけるK成分が0、つまり、Ki=0であり、濃度が濃度A以下、つまり、濃度=Ci+Mi+Yiが濃度A以下であるときにその網%データは所定領域内に含まれていると判定し、それ以外の場合には、その網%データは所定領域に含まれていないと判定する。一連の網%データおよび判定結果は座標変換部121に送られる。この網%データが所定領域内に含まれているか否かを判定するステップT1の処理は、本発明の色変換方法における判定過程の一例に相当する。
【0058】
図8のステップT2においては、図6の座標変換部122において、印刷色空間上の座標と測色色空間上の座標とが対応付けられた印刷プロファイルが生成される。
【0059】
ステップT1で判定部121に送られてきたプロファイル作成用の網%データは、図1に示すワークステーション20からフィルムプリンタ30にも送られて、前述の印刷手順に従って、網%データに基づくカラーチャート90(図4参照)が作成される。図1に示す印刷画像41は、カラーチャートを表している図ではないが、この印刷画像41に代えて図4に示すカラーチャート90を印刷したものとし、そのカラーチャートを構成する各カラーパッチ91a,91b,…を測色計70で測色する。こうすることにより、印刷色空間上の座標と測色色空間上の座標との対応関係を表す印刷プロファイルが構築される。
【0060】
図9は、印刷プロファイルの概念図である。
【0061】
この印刷プロファイルTには、CMYKで定義された画像データが入力され、その画像データがXYZで定義された画像データに変換される。
【0062】
印刷プロファイルTが生成されると、図8のステップT3では、座標変換部122において、プリンタ色空間上の座標成分の総和が制限量Sまでの値に制限された座標(以下、制限画像データを定義する、座標成分が制限された座標を制限座標と称する)と測色色空間上の座標とが対応付けられたプリンタ制限プロファイルが生成される。
【0063】
このプリンタ制限プロファイルの作成方法は、カラーチャートを出力する出力デバイスが印刷機ではなくプリンタであるという点、およびプロファイル作成用の網%データが制限画像データである点を除き、印刷プロファイルTの作成方法と同様である。
【0064】
まず、各色に対応する成分の総和が制限量Sに制限された、プリンタ色空間の網%データを用意する。
【0065】
図1に示すパーソナルコンピュータ50で、プリンタ色空間(CMYK色空間)に合わせて、各色について例えば0%,10%,…,100%と順次変化させた、CMYKのプロファイル作成用の一連の網%データを生成する。さらに、網%データごとに、インクの総量にあたる、CMYK4色の各色に対応する成分の総和を算出する。ここで、例えば、プロファイル作成用のi番目の網%データにおいて、CMYK各色に対応する成分を、(C,M,Y,K)=(Ci,Mi,Yi,Ki)とすると、このときのインクの総量Inkiは、
インク総量Inki=Ci+Mi+Yi+Ki
で算出される。このインク総量Inkiが、制限量Sよりも大きい場合、さらに、このインク総量Inkiを制限量S以下の値にまで減少させるときの変換係数Riを、
変換係数Ri=S/Inki
の式によって算出する。このとき、CMYKのプロファイル作成用のi番目の網%データ(C,M,Y,K)=(Ci,Mi,Yi,Ki)に対応する、各色の成分の総和が制限値Sに制限された網%データ(C’i,M’i,Y’i,K’i)は、
インク総量Inki≦制限量Sの場合、
(C’i,M’i,Y’i,K’i)=(Ci,Mi,Yi,Ki)
インク総量Inki>制限量Sの場合、
(C’i,M’i,Y’i,K’i)=(Ri×Ci,Ri×Mi,Ri×Yi,Ki)
の式によって算出される。以上のような手順で、プロファイル作成用の一連の網%データそれぞれに対応する、各色の成分の総和が制限された網%データをそれぞれ算出する。
【0066】
各色の成分の総和が制限された一連の網%データが用意されると、次に、それらの網%データがプリンタ60に送られ、プリンタ60でその網%データに基づくカラーチャートがプリント出力される。
【0067】
図1に示すプルーフ画像61は、カラーチャートを表している画像ではないが、プリンタ60では、このプルーフ画像61に代えて、例えば、印刷プロファイルの作成のために印刷機40での印刷により作成したカラーチャートと同一タイプのカラーチャートを出力したものとし、そのカラーチャートを構成する各カラーパッチを測色計70で測色する。こうすることにより、プリンタ60についての、プリンタ色空間上の制限座標と測色色空間(XYZ空間)上の座標との対応関係を表すプリンタ制限プロファイルが構築される。
【0068】
図10は、プリンタ制限プロファイルの概念図である。
【0069】
このプリンタ制限プロファイルPには、CMYKで定義された制限画像データが入力され、そのCMYKの制限画像データがXYZの測色データに変換される。
【0070】
尚、網%データは、10%刻み以外の他の間隔刻みに順次変化するものであってもよい。
【0071】
印刷プロファイルTおよびプリンタ制限プロファイルPが生成されると、図8のステップT4では、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の複数の座標が表すそれぞれの色とより近い色を表す、プリンタ制限プロファイルPにおけるプリンタ色空間の制限座標がそれぞれ探索される。
【0072】
制限座標の探索の前に、まず、ステップT1で生成された印刷プロファイルT(印刷色空間のCMYKと測色色空間のXYZとの対応)を構成する全ての印刷色空間の座標それぞれにK成分が固定されてなる、CMY3成分を変数とする立方体状のCMY色空間が求められる。このように求められたCMY色空間の集合は、印刷色空間と等価である。
【0073】
図11は、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標それぞれにK成分が固定されてなる一連の色空間を表す図である。
【0074】
この図11には、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標のK成分が0%,10%,…,100%という一連の値それぞれに固定されてなる立方体状のCMY色空間600が示されている。図11には、各CMY色空間600上に、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標が格子状に設定された格子点Eも示されている。
【0075】
続いて、K成分の値がKi(i=0,10,…100)のときのCMY色空間600それぞれにおける8つの頂点Dj(j=0,1…7)の座標が取得される。
【0076】
8つの頂点Djの座標が取得されると、制限座標の探索が行われる。すなわち、各頂点Djの座標(CDj,MDj,YDj,Ki)を目標座標とするときに、印刷プロファイルTにおいて各目標座標(CDj,MDj,YDj,Ki)とそれぞれ対応する測色座標(XDj,YDj,ZDj)を基準座標とし、プリンタ制限プロファイルPにおけるプリンタ色空間の制限座標のうち、その制限座標と対応する測色座標が各基準座標(XDj,YDj,ZDj)と最も近いものをそれぞれ探索する。この例では、基準座標(XDj,YDj,ZDj)と座標成分が最も近いプリンタ制限プロファイルPにおける測色座標(XP,YP,ZP)が探索され、その測色座標(XP,YP,ZP)と対応付けられたプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)が取得されたものとして説明する。
【0077】
ここで、印刷プロファイルTにおける測色座標の値の範囲(色再現領域)とプリンタ制限プロファイルPにおける測色座標の値の範囲(色再現領域)が大きく異なる場合、制限座標の探索を行う前に、それぞれの色再現領域を一致させるような変換処理を行ってもよい。
【0078】
図8のステップT5では、印刷プロファイルTにおける複数点(各頂点Dj)以外の点(各CMY色空間600上の、格子点Eのうち各頂点Dj以外の格子点E)の座標(Cany,Many,Yany,Ki)(any:各頂点Dj以外の格子点E)と組み合わされる、プリンタ色空間上の制限座標(C’P_any,M’P_any,Y’P_any,K’P_any)が算出される。本実施形態においては、各CMY色空間600における8つの各頂点Djのうち、格子点Eを取り囲む4点を選択して重み付けを行う4点補間方式を採用して、格子点Eの座標と組み合わされるプリンタ色空間上の制限座標を算出する。以下、この4点補間方式によってプリンタ色空間上の制限座標を算出する手順について説明する。
【0079】
まず、各格子点Eの座標(Cany,Many,Yany,Ki)における座標成分の大小関係から、8つの頂点Djのうち重み付けを行う4点を選択する。例えば、格子点Eの座標成分が、Yany<Many<Canyであれば、点D0および点D7の他に、点D1と点D3を選択し、
座標0=頂点D0の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標0=頂点D7の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標a=頂点D1の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D3の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
の4つの頂点Djの座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標を用いて補間計算を行う。このとき、Yany<Many<Canyであるので、例えば、格子点Eの座標成分が、Yany<Many<Canyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D1と頂点D3を選択し、それら4点の座標を用いて補間計算を行う。このとき、Yany<Many<Canyであるので、
VL=Cany
VM=Many
VS=Yany
と置き換え、補間計算を行う際の重み付け係数を、
K0=1−VL
K7=VS
Ka=VL−VM
Kb=VM−VS
と設定すると、格子点Eの座標と組み合わされるプリンタ色空間上の制限座標は、
プリンタ色空間上の制限座標=K0・座標0+K7・座標0+Ka・座標a+Kb・座標b
という補間式によって算出される。以下、同様に、格子点Eの座標成分が、Many<Yany<Canyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D1と頂点D5を選択し、上記座標a,座標b,VL,VM,VSに替えて、
座標a=頂点D1の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D6の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Cany
VM=Yany
VS=Many
という値を得る。また、Yany<Cany<Manyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D2と頂点D3を選択し、
座標a=頂点D2の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D3の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Many
VM=Cany
VS=Yany
という値を得る。また、Cany<Yany<Manyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D2と頂点D6を選択し、
座標a=頂点D2の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D6の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Many
VM=Yany
VS=Cany
という値を得る。また、Many<Cany<Yanyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D4と頂点D5を選択し、
座標a=頂点D4の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D5の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Yany
VM=Cany
VS=Many
という値を得る。また、Cany<Many<Yanyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D4と頂点D6を選択し、
座標a=頂点D4の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D6の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Yany
VM=Many
VS=Cany
という値を得る。そして、これらの値を上記の「プリンタ色空間上の制限座標」を算出する式に代入する。本実施形態においては、8つの頂点における変換係数から4つを選択して重み付けを行なう4点補間方式を採用しているが、格子点Eの座標と組み合わされるプリンタ色空間上の制限座標は、他にも6点補間方式、8点補間方式等で補間して算出することも可能である。さらに、補間以外の方法でプリンタ色空間上の制限座標を推定するものであってもよい。
【0080】
ここで、図6のステップT1からステップT5における一連の処理により、図11に示す各CMY色空間600上の頂点Djを含む全格子点Eにおける座標(つまりは、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の全ての座標)とプリンタ色空間の制限座標の組み合わせが算出され、これらの組み合わせを基に色変換プロファイルを作成することができる。座標変換部122において行われるステップT2からステップT5までの一連の処理は、本発明の色変換方法における第1の過程の一例に相当する。ところで、このように作成された色変換プロファイルは、一部の印刷色空間の座標に対応する制限座標を補間計算などによって推定して構成されたものであり、この色変換プロファイルを使って、印刷色空間上の画像データをプリンタ色空間上の制限画像データに変換すると、変換対象である印刷色空間上の画像データにK成分が含まれていなくても、変換後のプリンタ色空間上の制限画像データにはK成分が含まれてしまうことがあり、制限画像データに基づくプルーフ画像が、見た目にざらついてしまう恐れがある。
【0081】
ここで、図6の座標変換部122において、さらに、図8のステップT6およびステップT7における上記の問題を軽減させるための処理が行われる。
【0082】
図12は、図11に示すCMY色空間600のうち、K=0%のときのCMY色空間600を示す図である。CMY色空間600中の、斜線で囲まれた領域Aは、上述した所定領域(印刷色空間上における「K成分が0」であり、「濃度A以下の濃度」である領域)を示している。
【0083】
また、図13は、印刷色空間の座標を変換した、プリンタ色空間の制限座標が形成する一連の色の階調を表す図である。図の実線は、図8のステップT1からステップT5までの処理によって算出された、プリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)が形成する色の階調を表すものであり、横軸は制限座標の濃度(C’P+M’P+Y’P)を示し、縦軸は制限座標のK成分(K’P)を示している。本実施形態においては、図11および図12に示すCMY色空間600の各頂点(D0〜D7)以外の格子点Eの座標については、補間計算によって対応する制限座標が算出されたため、図13の実線は、原点を通り、一定の傾きを持つ直線にほぼ近い形状を有している。また、点線は、印刷色空間上の所定領域である図12に示す領域Aと対応するプリンタ色空間上の領域の境界A’を示している。
【0084】
図8のステップT6では、ステップT1からステップT5までの処理によって取得された印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせのうち、図12における領域A内の座標と制限座標との組み合わせを補正する。すなわち、印刷色空間の座標(CI,MI,YI,KI)とプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)との組み合わせにおいて、判定部121で印刷色空間の座標(CI,MI,YI,KI)が所定領域内(領域A内)の座標であると判定された場合、その印刷色空間の座標(CI,MI,YI,KI)におけるインクの総量が制限量Sより大きいか否かに応じて、対応するプリンタ色空間の座標を補正する。尚、制限座標のK成分K’Pが0である場合には、制限画像データに基づく画像にKインクは用いられないため、上述した画像がざらつくという問題は生じない。したがって、本実施形態においては、K’P≠0の場合のみ以下の処理を行う。補正後のプリンタ色空間の座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)は、インクの総量を制限する前の元の色におけるインクの総量InkI=CI+MI+YI+KIとしたときに、図8のステップT3と同様に、インク総量InkI>制限量Sの場合には、変換係数RI=S/InkIとして、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(RI×CI,RI×MI,RI×YI,0)
の式によって算出される。また、インク総量InkI≦制限量Sの場合には、印刷色空間上の座標におけるK成分のみ0に補正して、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(CI,MI,YI,0)
とする。補正された制限座標による階調を図示すると、図13に示す破線における、境界A’を境にした濃度が小さい部分に相当する。濃度が小さい部分では、K成分が0に補正されている。
【0085】
印刷色空間における所定領域内の座標とプリンタ色空間の制限座標との対応が補正されると、図8のステップT7では、印刷色空間上の所定領域外の座標(CI,MI,YI,KI)とプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)との対応が補正される。本実施形態においては、印刷色空間における所定領域(図12の領域A)外の座標と対応付けられたプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)のK成分について、所定領域との境界でK成分が0となるような重み量R_K(0≦R_K≦1)を用意し、この変換係数R_Kを使って補正を行う。このとき、プリンタ色空間の制限座標のK成分K’Pを補正した後のK成分K’’Pは、K’’P=R_K×K’Pで算出される。K成分以外の成分については、インクの総量Ink=CI+MI+YI+K’’Pとしたときに、インク総量Ink>制限量Sの場合には、変換係数RP=S/Inkとして、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(RP×CI,RP×MI,RP×YI,K’’P)
の式によって算出される。また、インク総量InkI≦制限量Sの場合には、C,M,Y成分は補正せずに、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(CI,MI,YI,K’’P)
と算出される。補正された制限座標による階調を図示すると、図13に示す破線における、境界A’を境にした濃度が大きい部分に相当する。濃度が大きい部分においては、境界A’に近づくほどK成分が0に近づくように制限座標が補正されている。座標変換部122で行われる、印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせを補正する図8のステップS6およびステップS7の処理は、本発明の色変換方法における第2の過程の一例に相当する。
【0086】
以上のような手順で、印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせが補正されると、補正後の印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせは色変換定義作成部123に送られる。
【0087】
図8のステップT8では、図6の色変換定義作成部123において、印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標が対応付けられ、色変換プロファイル200が生成される。
【0088】
図14は、色変換プロファイル200の概念図である。
【0089】
色変換プロファイル200には、印刷用のCMYKの画像データが入力され、その画像データは、プリンタ用のCMYKの制限画像データに変換される。上記のような手順で作成された色変換プロファイル200は、色変換定義作成部123から画像データ変換部124に送られる。変換プロファイル200を作成する図8のステップT8の処理は、本発明の色変換方法における色変換定義作成過程の一例に相当する。
【0090】
ここで、図7のフローチャートに戻って説明する。
【0091】
図1に示すページ記述データ展開装置140は、ワークステーション20から印刷用の画像データを取得する(図7のステップS2)。ページ記述データ展開装置140は、印刷用の画像データを網%データに変換し、変換後の画像データを色補正装置110に送る。色補正装置110は、取得した画像データに、画像データが表す画像の色を印刷において好ましい色に補正するための画像補正処理を施し(図7のステップS3)、画像補正処理後の画像データを、図6に示す画像データ変換部124に送る。
【0092】
画像データ変換部124は、図7のステップS1で予め作成されていた色変換プロファイル200を参照し、図1の色補正装置110から送られてきた印刷色空間の画像データを、プリンタ色空間上の、インクの総量が制限された制限画像データに変換する(図7のステップS4)。
【0093】
変換された制限画像データは、画像データ変換部124から、図1の画像展開装置130に送られ、ビットマップ形式の画像データに変換される(図7のステップS5)。そのビットマップ形式の画像データがプリンタ60に送られ、プリンタ60においてプルーフ画像61が生成される(図7のステップS6)。このプルーフ画像は、重ねあわされるインクの量が制限されており、膜剥がれなどの不具合の発生率が抑えられている。また、インクの量が制限される前の画像において、Kインクが含まれず、さらに、薄い色を有する画像部分は、インクの量が制限された後の画像においても、Kインクが含まれないため、見た目のざらつきを抑えることができる。さらに、色変換プロファイル200は、印刷色空間上の所定領域に対応するプリンタ色空間上の領域に近づくほど制限座標のK成分が0に近くなるように補正されているため、色の階調の連続性が保たれている。
【0094】
ここで、上記では、印刷色空間およびプリンタ色空間がどちらもCMYK色空間である場合について説明したが、本発明にいうターゲット色空間およびプリンタ色空間は、CMYK色空間に限られるものではなく、例えば、5色以上の色成分によって色が表現される色空間などであってもよく、さらに、ターゲット色空間とプリンタ色空間は相互に異なる色空間であってもよい。
【0095】
また、上記では、ターゲット色空間の複数点の座標として、K成分が固定されてなる一連のターゲット色空間おける頂点の座標を適用する例について説明したが、本発明の色変換方法は、ターゲット色空間上の頂点以外の複数点の座標を適用するものであってもよい。
【0096】
また、上記では、所定領域として「印刷色空間における、K成分が0で濃度が所定濃度以下の領域」を適用する例について説明したが、本発明にいう所定領域は、印刷色空間上の領域であれば、これに限らない。
【0097】
また、上記では、網%データをビットマップ形式の画像データに展開する画像展開機能を備えていないプリンタを適用したプルーフ画像作成システムについて説明したが、画像展開機能を有するプリンタを適用して、色変換装置でインクの量が制限された制限画像データを、画像展開装置を介さずに直接プリンタに送り、プルーフ画像を生成してもよい。
【0098】
また、本発明の色変換定義作成装置あるいは色変換定義作成プログラムにおいて、「判定部」、「座標変換部」、「色変換定義作成部」は、同一の装置あるいはプログラム内に備えたものであってもよく、あるいは、別々の装置やプログラムに備えたものであってもよく、本発明の色変換方法を実現することができるものであれば、具体的な実現形態は問わない。
【0099】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、色の階調の連続性を保ち、見た目のざらつきを抑えながらインクの総量を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用される印刷およびプルーフ画像作成システムの全体構成図である。
【図2】図1に示す測色計およびパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図3】パーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】カラーチャートの模式図である。
【図5】本発明の色変換プログラムの一実施形態が記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【図6】本発明の色変換装置の一実施形態である色変換装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の色変換方法を適用してプルーフ画像を作成する際にRIPで行われる一連の処理を示すフローチャートである。
【図8】色変換プロファイルを作成する一連の処理を示すフローチャートである。
【図9】印刷プロファイルの概念図である。
【図10】プリンタ制限プロファイルの概念図である。
【図11】印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標それぞれにK成分が固定されてなる一連の色空間を表す図である。
【図12】図11に示すCMY色空間のうち、K=0%のときのCMY色空間を示す図である。
【図13】印刷色空間の座標を変換した、プリンタ色空間の制限座標が形成する一連の色の階調を表す図である。
【図14】色変換プロファイルの概念図である。
【符号の説明】
10 カラースキャナ
11 原稿画像
20 ワークステーション
30 フィルムプリンタ
40 印刷機
41 印刷画像
50 パーソナルコンピュータ
51 本体装置
51a FD装填口
51b CD−ROM装填口
52 画像表示装置
52a 表示画面
53 キーボード
54 マウス
55 バス
60 プリンタ
61 プルーフ画像
70 測色計
90 カラーチャート
91a,91b,… カラーパッチ
100 RIP
110 色補正装置
120 色変換装置
121 判定部
122 座標変換部
123 色変換定義作成部
124 画像データ変換部
130 画像展開装置
140 ページ記述データ展開装置
200 色変換プロファイル
511 CPU
512 主メモリ
513 ハードディスク装置
514 FDドライブ
515 CD−ROMドライブ
516 I/Oインタフェース
520 FD
521 CD−ROM
530 色変換プログラム
531 判定部
532 座標変換部
533 色変換定義作成部
534 画像データ変換部
600 立方体状の色空間
T 印刷プロファイル
P プリンタ制限プロファイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像データを、座標成分の総和が制限された制限座標で定義された制限画像データに変換する色変換方法、色変換装置、およびコンピュータ内で実行されることによりそのコンピュータを色変換装置として動作させる色変換プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カラー印刷機を用いた印刷では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のインクに、K(黒)のインクを加えた4色のインクが使用され、それらのインクが重ね合わされることによって全ての色が表現されている。本来は、C、M、Y3色のインクだけで全ての色を表現できるはずであるが、これら3色のインクを混色しても十分に濃い黒が得られないなどという問題があり、特にシャドウにおいて深みのある黒を表現するためにKインクが用いられている。
【0003】
近年では、濃い黒を表現するためだけではなく、UCR(Under Color Removal:下色除去)という方法を適用するという理由からも広範にKインクが用いられている(例えば、特許文献1参照)。UCRは、C、M、Y3色のインクによって表現されるグレー成分をKインクで置き換えることにより、重ねあわされるインクの総量を減少させる方法である。通常、UCRにおいては、例えば、(C,M,Y,K)=(60%,70%,80%,0%)の網点面積率で表現される色を、その色の成分のうち等量のC、M、Y各60%をそれらと等量のK60%で置き換えて、(C,M,Y,K)=(0%,10%,20%,60%)の網点面積率で表現することが行われている。UCRを行う前の網点面積率で色を表現すると、全インクを合わせて210%のインクが重ね合わされることになるが、UCRを行った後の網点面積率で色を表現すると、重ねあわされるインクを90%にまで抑えることができる。用紙上に多くのインクが重ねあわされると、インクが乾いたときにヒビが入ったり、インクが剥がれてしまう膜剥がれなどのような不具合が生じる恐れがあるが、このUCRを適用して、重ねあわされるインクの総量を制限することにより、これらの不具合を回避することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−124234号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したUCRでは、特にシャドー付近(K=100%に近い部分)の色において、例えば、(C,M,Y,K)=(60%,70%,80%,90%)の網点面積率で表現された色にUCR処理を施そうとすると、(C,M,Y,K)=(0%,10%,20%,150%)の網点面積率になってしまうというように、C、M、YインクをKインクで置き換えた後のKインク単色での網点面積率が計算上100%を超えてしまい、UCR処理を行うことができない場合がある。このため、このようなシャドー付近の色を表現する際には、UCRのように色を置き換えるのではなく、単にC、M、Yインクの量を減らすことによってインクの総量を制限することが行われている。しかし、このような場合、C、M、Yインクの量を減らしてインクの総量制限を行う部分と、UCRによってインクの総量制限を行う部分との境界付近で、色の階調が不連続になってしまうという問題がある。
【0006】
上記のような色の階調が不連続になってしまうという問題を解消し、かつ、インクの総量を制限する方法としては、例えば、1次色や2次色など印刷を行う上で重要な色を構成するCMYK各インクの量を、インクの総量が制限量内になるように予め決めておき、それ以外の色におけるCMYK各インクの量は、予め決めた重要な色におけるCMYK各インクの量を基に補間計算などによって算出する方法が提案されている。この方法によると、印刷上重要な色は、元の色を忠実に再現し、それ以外の色は、その重要な色から徐々に変化していくような色に変換され、インクの総量を制限するとともに、色の階調の連続性も保つことができる。
【0007】
しかし、この方法は、重要な色以外の色を補間計算によって算出するため、例えば、元の色はKインクが含まれていなかったとしても、算出された色にはKインクが含まれてしまうことがある。このような色を印刷すると、印刷された色にはKインクが含まれ、特にその色が薄い場合には見た目にざらついてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、色の階調の連続性を保ち、見た目のざらつきを抑えながらインクの総量を制限する色変換方法、色変換装置、および色変換プログラムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の色変換方法は、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換方法において、
第1の色空間上の変換対象の座標が、第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定過程と、
判定過程で、所定領域内の座標であると判定された座標を、制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換過程とを有することを特徴とする。
【0010】
従来、色空間上の所定の複数点の座標を、座標成分の総和が所定制限値以内の制限座標に変換し、所定の複数点以外の点の座標を、所定の複数点の座標と制限座標との対応を基に推定された制限座標に変換する方法が提案されている。この方法を適用する場合、K成分が含まれていなかった座標であっても、例えば補間計算などによって制限座標が推定されるために、制限座標にはK成分が含まれてしまうことがある。この場合、元の画像にはKインクが含まれていなかった部分であっても、制限座標に基づく画像にはKインクが含まれしまい、画像が見た目にざらついてしまうという不都合がある。
【0011】
本発明の色変換方法によると、変換対象の座標が第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定して、所定領域内の座標であると判定された場合には、その座標をブラック成分が0である制限座標に変換する。所定領域として、例えば第1の色空間におけるブラック成分が0である領域を設定しておくと、元々ブラック成分が0である座標はブラック成分が0である制限座標に変換されるため、画像の見た目のざらつきを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の色変換方法は、第1の色空間上に格子状に設定された格子点の座標と、座標が判定過程と座標変換過程とを経て変換される第2の色空間上の制限座標とを対応付けた色変換定義を作成する色変換定義作成過程と、
色変換定義を用いて、第1の色空間上の座標で色表現された任意の画像データを第2の色空間上の制限座標で色表現された画像データに変換する画像データ変換過程とを有することが好ましい。
【0013】
第1の色空間上の座標と、上述した本発明の色変換方法に基づいてその座標が変換された第2の色空間上の制限座標とを対応付けた色変換定義を予め用意しておくことにより、第1の色空間上の座標で定義された画像データを高速に第2の色空間上の制限座標で定義された画像データに変換することができる。
【0014】
また、本発明の色変換方法において、上記の座標変換過程が、第1の色空間上の座標のうち所定領域外の座標も制限座標に変換する過程であって、所定領域外の座標については、所定領域との境界に近いほど、ブラック成分が0に近い制限座標となるように変換する過程であることが好ましい。
【0015】
第1の色空間上の座標を、所定領域との境界に近いほどブラック成分が0に近づくような一連の制限座標に変換することにより、所定領域に対応する第2の色空間の領域付近における色の階調の連続性が保たれ、第1の色空間上の座標を連続的に変化する色を表す制限座標に変換することができる。
【0016】
また、本発明の色変換方法は、所定の第1の色空間が、ブラックに対応する座標軸を有する色空間であり、
所定領域は、座標のブラック成分が0であり、かつ、座標が表す色濃度が所定濃度以下であるような座標領域であることが好適である。
【0017】
色濃度の薄い画像部分は、Kインクが含まれてしまうと特に見た目にざらついてしまう。したがって、元の画像において、Kインクが使用されておらず、色濃度が薄い画像部分は、インクの総量を制限した後の画像部分においても、Kインクが使用されていないことが好適である。
【0018】
また、本発明の色変換方法において、上記の座標変換過程が、第1の色空間上の座標のうち所定領域外の座標も変換する過程であって、第1の色空間上の座標を第2の色空間上の制限座標に変換する第1の過程と、第1の過程で得られた制限座標を、所定領域を考慮して補正する第2の過程とを経る過程であってもよい。
【0019】
さらに、上記の第2の過程は、第1の色空間上の所定領域に対応する第2の色空間上の領域内の制限座標については、ブラック成分を0に補正するとともに、第2の色空間上の制限座標のうち上記領域外の制限座標については、その領域との境界に近いほどブラック成分が0に近くなるように補正する過程であることが好ましい。
【0020】
第1の色空間上の座標を第2の色空間上の一連の制限座標に予め変換しておき、その後、第1の色空間上の所定領域に対応する第2の色空間上の領域内の制限座標におけるブラック成分を0に補正し、さらに、その領域外の制限座標をその領域に近いほどブラック成分が0に近くなるような一連の制限座標に補正することにより、第1の色空間上の座標をいっそう自然に色が変化するような第2の色空間上の制限座標に変換することができる。
【0021】
また、本発明の色変換装置は、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換装置において、
第1の色空間上の変換対象の座標が、第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定部と、
判定部で、所定領域内の座標であると判定された座標を、制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
尚、本発明の色変換装置には、本発明の色変換方法の各種態様に対応する各種態様全てが含まれる。
【0023】
また、本発明の色変換プログラムは、コンピュータ内で実行され、コンピュータによって、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換プログラムにおいて、
第1の色空間上の変換対象の座標が、第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定部と、
判定部で、所定領域内の座標であると判定された座標を、制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
本発明の色変換プログラムをコンピュータ内で実行させることによって、そのコンピュータを上記のような色変換装置として動作させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態が適用される印刷およびプルーフ画像作成システムの全体構成図である。
【0027】
カラースキャナ10では、原稿画像11が読み取られて、その読み取った原稿画像11を表すCMYK4色の色分解画像データが生成される。このCMYKの画像データはワークステーション20に入力される。ワークステーション20では、オペレータにより、入力された画像データに基づく電子的な集版が行われ、印刷用の画像を表す画像データが生成される。この印刷用の画像データは、印刷を行う場合は、フィルムプリンタ30に入力され、フィルムプリンタ30では、その入力された画像データに対応した、CMYK各版の印刷用フィルム原版が作成される。
【0028】
この印刷用フィルム原版からは刷版が作成され、その作成された刷版が印刷機40に装着される。この印刷機40に装着された刷版にはインクが塗布され、その塗布されたインクが印刷用の用紙上に転移されてその用紙上に印刷画像41が形成される。
【0029】
このフィルムプリンタ30によりフィルム原版を作成し、さらに刷版を作成して印刷機40に装着し、その刷版にインクを塗布して用紙上に印刷を行う一連の作業は、大掛かりな作業であり、コストもかかる。このため、実際の印刷作業を行う前に、プリンタ60により、以下のようにしてプルーフ画像61を作成し、印刷画像41の仕上がりの事前確認が行われる。
【0030】
プルーフ画像を作成するにあたっては、ワークステーション20上の電子集版により作成された画像データがパーソナルコンピュータ50に入力される。ここで、このパーソナルコンピュータ50に入力される画像データは、いわゆるPDL(Page Description Language)で記述された言語データ、あるいは、印刷機40に適合し、網点面積率で定義された画像データ(以下、網点面積率で定義された画像データを網%データと称する)であり、パーソナルコンピュータ50では、いわゆるRIP(Raster Image Processor)100により、プリンタ60に適合し、ビットマップに展開されたCMYK4色の画像データに変換される。このCMYK4色の画像データは、実質的には、フィルムプリンタ30に入力される印刷用の画像データと同一である。ここで、RIP100の機能について説明する。
【0031】
RIP100には、色補正装置110、本発明の色変換装置の一実施形態が適用された色変換装置120、画像展開装置130、およびページ記述データ展開装置140それぞれとしての機能が備えられている。
【0032】
ここに示す例では、RIP100の色変換装置120において、ページ記述データ展開装置140および色補正装置110を経てきた印刷用の画像データを、プリンタ60の色空間に適合し、画像データに基づく画像をプリンタ60で出力する際に重ねあわされるインクの総量が制限された画像データ(以下、インクの量が制限された画像データを制限画像データと称する)に変換することが行われ、その前段階として、画像データを変換する際に参照されるLUT(Look Up Table)形式を持つ色変換プロファイル200が作成される。色変換プロファイル200の作成方法や使用方法については後述する。ここで、説明の便宜上、本実施形態においては、プリンタ60の色空間はCMYK色空間であるとして説明し、以下では、印刷機40に適合したCMYK色空間を印刷色空間、プリンタ60に適合したCMYK色空間をプリンタ色空間と称する。尚、この図1に示す測色計70はこの色変換プロファイル200の作成に関連するものである。
【0033】
ワークステーション20からパーソナルコンピュータ50に印刷用の画像データが送られてくると、ページ記述データ展開装置140は、その印刷用の画像データがページ記述データである場合に、その印刷用の画像データを網点面積率で定義された網%データに展開する。さらに、ページ記述データ展開装置140は、網%データに変換した印刷用の画像データを色補正装置110に送り、また、送られてきた印刷用の画像データが、元々網%データである場合には、その印刷用の画像データをそのまま色補正装置110に送る。色補正装置110は、ページ記述データ展開装置140から送られてきた画像データに、その画像データが表す画像の色を印刷における好ましい色に補正するための、例えば画像の色の階調を変換する階調変換処理などのような画像補正処理を施す。この画像補正処理が施された画像データを、仮にそのままプリンタ60に適合したプリンタ色空間の画像データに変換し、変換された画像データに基づいたプルーフ画像をプリンタ60で出力すると、プルーフ画像中の色部分によっては、多量のインクが重ね合わさって表現されるために、インクが剥がれてしまうことがある。これを回避するため、画像補正処理が施された画像データは色変換装置120に送られ、色変換装置120によって色変換プロファイル200が参照されて、画像データが、プリンタ色空間の、重ねあわされるインクの量が制限された制限画像データに変換される。また、この制限画像データは、網%データであり、このままではプリンタ60で出力することはできない。したがって、この網%で定義された制限画像データは、画像展開装置130に送られ、画像展開装置130で、プリンタ60で出力可能なビットマップ形式の制限画像データに変換される。変換後のビットマップ形式の制限画像データは、プリンタ60に入力され、プリンタ60では、その入力された制限画像データに基づくプルーフ画像61が作成される。
【0034】
このようにしてプルーフ画像61を作成して、そのプルーフ画像61を確認することにより、印刷の仕上がりを事前に確認することができる。印刷機40に適合した印刷色空間(CMYK色空間)は、本発明にいう第1の色空間、プリンタ60に適合したプリンタ色空間(CMYK色空間)は、本発明にいう第2の色空間の一例に相当する。
【0035】
ここで、RIP100を備えたパーソナルコンピュータ50のハードウェアについて説明する。
【0036】
図2は、図1に示す測色計70およびパーソナルコンピュータ50の外観斜視図、図3は、そのパーソナルコンピュータ50のハードウェア構成図である。
【0037】
この図2に示す測色計70には、図4に示すような、複数のカラーパッチが配列されたカラーチャート90が乗せられ、そのカラーチャート90を構成する複数のカラーパッチ91a,91b,…のそれぞれについて測色値(ここではXYZ値とする)が測定される。この測色計70での測定により得られた各カラーパッチの測色値を表す測色データは、ケーブル92を経由してパーソナルコンピュータ50に入力される。
【0038】
このカラーチャート90は、図1に示す印刷機40での印刷により、あるいはプリンタ60でのプリント出力により作成されたものであり、パーソナルコンピュータ50は、このカラーチャート90を構成する各カラーパッチに対応する色データ(CMYKの各値)を知っており、このパーソナルコンピュータ50では、そのカラーチャート90の各カラーパッチの色データと測色計70で得られた測色データとに基づいて、色変換プロファイル200が作成される。この点に関する詳細な説明は後述する。ここでは、次に、パーソナルコンピュータ50のハードウェア構成について説明する。
【0039】
このパーソナルコンピュータ50は、外観構成上、本体装置51、その本体装置51からの指示に応じて表示画面52a上に画像を表示する画像表示装置52、本体装置51に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード53、および、表示画面52a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示された、例えばアイコン等に応じた指示を入力するマウス54を備えている。この本体装置51は、外観上、フレキシブルディスク(以下、FDと省略する)を装填するためのFD装填口51a、およびCD−ROMを装填するためのCD−ROM装填口51bを有する。
【0040】
本体装置51の内部には、図3に示すように、各種プログラムを実行するCPU511、ハードディスク装置513に格納されたプログラムが読み出されCPU511での実行のために展開される主メモリ512、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置513、FD520をアクセスするFDドライブ514、CD−ROM521が装填され、その装填されたCD−ROM521をアクセスするCD−ROMドライブ515、測色計70と接続され、測色計70から測色データを受け取るI/Oインタフェース516が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図2にも示す画像表示装置52、キーボード53、マウス54は、バス55を介して相互に接続されている。
【0041】
ここで、CD−ROM521には、本発明の色変換プログラムの一実施形態の色変換プログラムが記憶されている。そのCD−ROM521はCD−ROMドライブ515に装填され、そのCD−ROM521に記憶された色変換プログラムがこのパーソナルコンピュータ50にアップロードされてハードディスク装置513に記憶される。そして、この色変換プログラムが起動されて実行されることにより、パーソナルコンピュータ50は、後述する色変換方法に従って画像データを制限画像データに変換する本発明の色変換装置の一実施形態である色変換装置120として動作する。
【0042】
次に、本発明の一実施形態である図1の色変換装置120を生成するための色変換プログラムについて説明する。
【0043】
図5は、本発明の色変換プログラムの一実施形態が記憶されたCD−ROM521を示す概念図である。
【0044】
CD−ROM521に記憶された色変換プログラム530は、判定部531、座標変換部532、色変換定義作成部533、および画像データ変換部534とで構成されている。ここで、判定部531は本発明の色変換プログラムにおける判定部の一例に相当し、同様に、座標変換部532は座標変換部の一例に相当し、色変換定義作成部533は色変換定義作成部の一例に相当し、画像データ変換部534は画像データ変換部の一例に相当する。色変換プログラム530の各部の詳細については、図1および図6に示す本発明の色変換装置の一実施形態が適用された色変換装置120の各部の作用と一緒に説明する。
【0045】
図6は、この色変換プログラム530を図2のパーソナルコンピュータ50にインストールし、パーソナルコンピュータ50を本発明の色変換装置の一実施形態として動作させるときの色変換装置120の機能ブロック図である。以下では、色変換装置120の構成要素と、それらの構成要素によるおおまかな作用について説明する。
【0046】
図1にも示す色変換装置120は、判定部121、座標変換部122、色変換定義作成部123、および画像データ変換部124を備えている。図5に示す色変換プログラム530を図1〜図3に示すパーソナルコンピュータ50にインストールすると、色変換プログラム530の判定部531は図6の判定部121を構成し、同様に、座標変換部532は座標変換部122を構成し、色変換定義作成部533は色変換定義作成部123を構成し、画像データ変換部534は画像データ変換部124を構成する。
【0047】
図6の判定部121、座標変換部122、および色変換定義作成部123は、図1の印刷機40に適合した印刷色空間上の画像データと、プリンタ60に適合したプリンタ色空間上の制限画像データとの対応を表す色変換プロファイル200を作成するための要素である。
【0048】
図1に示すワークステーション20は、色変換プロファイル200を作成するための一連の印刷色空間(CMYK)上の画像データを生成する。生成された画像データは、ページ記述データ展開装置140および色補正装置110を経て、判定部121に送られる。判定部121は、送られてきた各画像データが、印刷色空間上における、「K成分が0」かつ「濃度が濃度A以下」である領域(以下、この領域を所定領域と称する)に含まれているか否かをそれぞれ判定する。ここで、濃度とはK成分以外の色成分の値の総和を表すものとする。この所定領域は、領域内に含まれる画像データが表す色をプリンタ60で出力したときに、その色にKインクが含まれず、かつ濃度Aよりも薄い色である領域である。一連の画像データおよび判定結果は座標変換部122に送られる。この判定部121は、本発明の色変換装置における判定部の一例に相当する。また、印刷色空間上における、「K成分が0」かつ「濃度が濃度A以下」である上記の所定領域は、本発明にいう所定領域の一例にあたり、濃度Aは、本発明にいう所定濃度の一例に相当する。
【0049】
座標変換部122は、判定部121から送られてきた印刷色空間(CMYK)上の網%データのうち、判定部121で所定領域内の画像データであると判定された網%データを、K成分が0であるプリンタ色空間(CMYK)上の制限画像データに変換し、判定部121で所定領域外の画像データであると判定された画像データを、所定領域との境界に近いほどK成分が0に近づくような一連の制限画像データに変換する。変換前の画像データと変換後の制限画像データとの組み合わせは、色変換定義作成部123に送られる。
【0050】
色変換定義作成部123は、座標変換部122から印刷色空間上の画像データとプリンタ色空間上の制限画像データとの組み合わせが送られてくると、それらを対応付けて色変換プロファイル200を作成する。色変換プロファイル200の作成方法については、後述する。この色変換定義作成部123は、本発明の色変換装置における色変換定義作成部の一例に相当する。作成された色変換プロファイル200は、画像データ変換部124に送られる。
【0051】
画像データ変換部124は、色変換定義作成部123で作成された色変換プロファイル200を使って、図1に示すRIP100内の色補正装置110から送られてきた印刷色空間の画像データを、プリンタ色空間の制限画像データに変換する。変換された制限画像データは、図1に示す画像展開装置130に送られる。
【0052】
色変換装置120は、基本的には以上のように構成されている。
【0053】
図7は、本発明の色変換方法を適用してプルーフ画像61を作成する際にRIP100で行われる一連の処理を示すフローチャートである。以下では、図7のフローチャートを使って、プルーフ画像61を作成する一連の処理について詳しく説明する。
【0054】
RIP100では、プルーフ画像61を作成する前段階として、図6の画像データ変換部124で参照される色変換プロファイル200が作成される(図7のステップS1)。
【0055】
図8は、色変換プロファイル200を作成する一連の処理を示すフローチャートである。ここで、図7のフローチャートの説明を中断し、図8のフローチャートに従って、色変換プロファイル200を作成する一連の処理について説明する。また、説明の便宜上、以下では、重ねあわされるインクの総量を制限量Sまでの値に制限するものとして説明する。この制限量Sは、本発明にいう所定制限値の一例に相当する。
【0056】
色変換プロファイル200を作成するには、まず、図8のステップT1からステップT5において、印刷色空間上の座標と対応付けられるプリンタ色空間上の制限座標が算出される。
【0057】
図8のステップT1では、図6の判定部121において、図1に示すワークステーション20で生成されたプロファイル作成用の印刷色空間の網%データが取得され、さらに、それらの網%データが上述した所定領域(印刷色空間上の、「K成分が0」かつ「濃度が濃度A以下」である領域)内の画像データであるか否かが判定される。すなわち、図1に示すワークステーション20で、印刷色空間(CMYK色空間)に合わせて、例えば0%,10%,……,100%と順次変化させたCMYKのプロファイル作成用の網%データが生成され、それら一連の網%データは、ページ記述データ展開装置140および色補正装置110を経て図6の判定部121に送られる。判定部121は、プロファイル作成用のi番目の網%データについて、CMYK各色に対応する成分(C,M,Y,K)=(Ci,Mi,Yi,Ki)におけるK成分が0、つまり、Ki=0であり、濃度が濃度A以下、つまり、濃度=Ci+Mi+Yiが濃度A以下であるときにその網%データは所定領域内に含まれていると判定し、それ以外の場合には、その網%データは所定領域に含まれていないと判定する。一連の網%データおよび判定結果は座標変換部121に送られる。この網%データが所定領域内に含まれているか否かを判定するステップT1の処理は、本発明の色変換方法における判定過程の一例に相当する。
【0058】
図8のステップT2においては、図6の座標変換部122において、印刷色空間上の座標と測色色空間上の座標とが対応付けられた印刷プロファイルが生成される。
【0059】
ステップT1で判定部121に送られてきたプロファイル作成用の網%データは、図1に示すワークステーション20からフィルムプリンタ30にも送られて、前述の印刷手順に従って、網%データに基づくカラーチャート90(図4参照)が作成される。図1に示す印刷画像41は、カラーチャートを表している図ではないが、この印刷画像41に代えて図4に示すカラーチャート90を印刷したものとし、そのカラーチャートを構成する各カラーパッチ91a,91b,…を測色計70で測色する。こうすることにより、印刷色空間上の座標と測色色空間上の座標との対応関係を表す印刷プロファイルが構築される。
【0060】
図9は、印刷プロファイルの概念図である。
【0061】
この印刷プロファイルTには、CMYKで定義された画像データが入力され、その画像データがXYZで定義された画像データに変換される。
【0062】
印刷プロファイルTが生成されると、図8のステップT3では、座標変換部122において、プリンタ色空間上の座標成分の総和が制限量Sまでの値に制限された座標(以下、制限画像データを定義する、座標成分が制限された座標を制限座標と称する)と測色色空間上の座標とが対応付けられたプリンタ制限プロファイルが生成される。
【0063】
このプリンタ制限プロファイルの作成方法は、カラーチャートを出力する出力デバイスが印刷機ではなくプリンタであるという点、およびプロファイル作成用の網%データが制限画像データである点を除き、印刷プロファイルTの作成方法と同様である。
【0064】
まず、各色に対応する成分の総和が制限量Sに制限された、プリンタ色空間の網%データを用意する。
【0065】
図1に示すパーソナルコンピュータ50で、プリンタ色空間(CMYK色空間)に合わせて、各色について例えば0%,10%,…,100%と順次変化させた、CMYKのプロファイル作成用の一連の網%データを生成する。さらに、網%データごとに、インクの総量にあたる、CMYK4色の各色に対応する成分の総和を算出する。ここで、例えば、プロファイル作成用のi番目の網%データにおいて、CMYK各色に対応する成分を、(C,M,Y,K)=(Ci,Mi,Yi,Ki)とすると、このときのインクの総量Inkiは、
インク総量Inki=Ci+Mi+Yi+Ki
で算出される。このインク総量Inkiが、制限量Sよりも大きい場合、さらに、このインク総量Inkiを制限量S以下の値にまで減少させるときの変換係数Riを、
変換係数Ri=S/Inki
の式によって算出する。このとき、CMYKのプロファイル作成用のi番目の網%データ(C,M,Y,K)=(Ci,Mi,Yi,Ki)に対応する、各色の成分の総和が制限値Sに制限された網%データ(C’i,M’i,Y’i,K’i)は、
インク総量Inki≦制限量Sの場合、
(C’i,M’i,Y’i,K’i)=(Ci,Mi,Yi,Ki)
インク総量Inki>制限量Sの場合、
(C’i,M’i,Y’i,K’i)=(Ri×Ci,Ri×Mi,Ri×Yi,Ki)
の式によって算出される。以上のような手順で、プロファイル作成用の一連の網%データそれぞれに対応する、各色の成分の総和が制限された網%データをそれぞれ算出する。
【0066】
各色の成分の総和が制限された一連の網%データが用意されると、次に、それらの網%データがプリンタ60に送られ、プリンタ60でその網%データに基づくカラーチャートがプリント出力される。
【0067】
図1に示すプルーフ画像61は、カラーチャートを表している画像ではないが、プリンタ60では、このプルーフ画像61に代えて、例えば、印刷プロファイルの作成のために印刷機40での印刷により作成したカラーチャートと同一タイプのカラーチャートを出力したものとし、そのカラーチャートを構成する各カラーパッチを測色計70で測色する。こうすることにより、プリンタ60についての、プリンタ色空間上の制限座標と測色色空間(XYZ空間)上の座標との対応関係を表すプリンタ制限プロファイルが構築される。
【0068】
図10は、プリンタ制限プロファイルの概念図である。
【0069】
このプリンタ制限プロファイルPには、CMYKで定義された制限画像データが入力され、そのCMYKの制限画像データがXYZの測色データに変換される。
【0070】
尚、網%データは、10%刻み以外の他の間隔刻みに順次変化するものであってもよい。
【0071】
印刷プロファイルTおよびプリンタ制限プロファイルPが生成されると、図8のステップT4では、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の複数の座標が表すそれぞれの色とより近い色を表す、プリンタ制限プロファイルPにおけるプリンタ色空間の制限座標がそれぞれ探索される。
【0072】
制限座標の探索の前に、まず、ステップT1で生成された印刷プロファイルT(印刷色空間のCMYKと測色色空間のXYZとの対応)を構成する全ての印刷色空間の座標それぞれにK成分が固定されてなる、CMY3成分を変数とする立方体状のCMY色空間が求められる。このように求められたCMY色空間の集合は、印刷色空間と等価である。
【0073】
図11は、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標それぞれにK成分が固定されてなる一連の色空間を表す図である。
【0074】
この図11には、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標のK成分が0%,10%,…,100%という一連の値それぞれに固定されてなる立方体状のCMY色空間600が示されている。図11には、各CMY色空間600上に、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標が格子状に設定された格子点Eも示されている。
【0075】
続いて、K成分の値がKi(i=0,10,…100)のときのCMY色空間600それぞれにおける8つの頂点Dj(j=0,1…7)の座標が取得される。
【0076】
8つの頂点Djの座標が取得されると、制限座標の探索が行われる。すなわち、各頂点Djの座標(CDj,MDj,YDj,Ki)を目標座標とするときに、印刷プロファイルTにおいて各目標座標(CDj,MDj,YDj,Ki)とそれぞれ対応する測色座標(XDj,YDj,ZDj)を基準座標とし、プリンタ制限プロファイルPにおけるプリンタ色空間の制限座標のうち、その制限座標と対応する測色座標が各基準座標(XDj,YDj,ZDj)と最も近いものをそれぞれ探索する。この例では、基準座標(XDj,YDj,ZDj)と座標成分が最も近いプリンタ制限プロファイルPにおける測色座標(XP,YP,ZP)が探索され、その測色座標(XP,YP,ZP)と対応付けられたプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)が取得されたものとして説明する。
【0077】
ここで、印刷プロファイルTにおける測色座標の値の範囲(色再現領域)とプリンタ制限プロファイルPにおける測色座標の値の範囲(色再現領域)が大きく異なる場合、制限座標の探索を行う前に、それぞれの色再現領域を一致させるような変換処理を行ってもよい。
【0078】
図8のステップT5では、印刷プロファイルTにおける複数点(各頂点Dj)以外の点(各CMY色空間600上の、格子点Eのうち各頂点Dj以外の格子点E)の座標(Cany,Many,Yany,Ki)(any:各頂点Dj以外の格子点E)と組み合わされる、プリンタ色空間上の制限座標(C’P_any,M’P_any,Y’P_any,K’P_any)が算出される。本実施形態においては、各CMY色空間600における8つの各頂点Djのうち、格子点Eを取り囲む4点を選択して重み付けを行う4点補間方式を採用して、格子点Eの座標と組み合わされるプリンタ色空間上の制限座標を算出する。以下、この4点補間方式によってプリンタ色空間上の制限座標を算出する手順について説明する。
【0079】
まず、各格子点Eの座標(Cany,Many,Yany,Ki)における座標成分の大小関係から、8つの頂点Djのうち重み付けを行う4点を選択する。例えば、格子点Eの座標成分が、Yany<Many<Canyであれば、点D0および点D7の他に、点D1と点D3を選択し、
座標0=頂点D0の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標0=頂点D7の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標a=頂点D1の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D3の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
の4つの頂点Djの座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標を用いて補間計算を行う。このとき、Yany<Many<Canyであるので、例えば、格子点Eの座標成分が、Yany<Many<Canyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D1と頂点D3を選択し、それら4点の座標を用いて補間計算を行う。このとき、Yany<Many<Canyであるので、
VL=Cany
VM=Many
VS=Yany
と置き換え、補間計算を行う際の重み付け係数を、
K0=1−VL
K7=VS
Ka=VL−VM
Kb=VM−VS
と設定すると、格子点Eの座標と組み合わされるプリンタ色空間上の制限座標は、
プリンタ色空間上の制限座標=K0・座標0+K7・座標0+Ka・座標a+Kb・座標b
という補間式によって算出される。以下、同様に、格子点Eの座標成分が、Many<Yany<Canyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D1と頂点D5を選択し、上記座標a,座標b,VL,VM,VSに替えて、
座標a=頂点D1の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D6の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Cany
VM=Yany
VS=Many
という値を得る。また、Yany<Cany<Manyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D2と頂点D3を選択し、
座標a=頂点D2の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D3の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Many
VM=Cany
VS=Yany
という値を得る。また、Cany<Yany<Manyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D2と頂点D6を選択し、
座標a=頂点D2の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D6の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Many
VM=Yany
VS=Cany
という値を得る。また、Many<Cany<Yanyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D4と頂点D5を選択し、
座標a=頂点D4の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D5の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Yany
VM=Cany
VS=Many
という値を得る。また、Cany<Many<Yanyであれば、頂点D0および頂点D7の他に、頂点D4と頂点D6を選択し、
座標a=頂点D4の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
座標b=頂点D6の座標と組み合わされたプリンタ色空間の制限座標
VL=Yany
VM=Many
VS=Cany
という値を得る。そして、これらの値を上記の「プリンタ色空間上の制限座標」を算出する式に代入する。本実施形態においては、8つの頂点における変換係数から4つを選択して重み付けを行なう4点補間方式を採用しているが、格子点Eの座標と組み合わされるプリンタ色空間上の制限座標は、他にも6点補間方式、8点補間方式等で補間して算出することも可能である。さらに、補間以外の方法でプリンタ色空間上の制限座標を推定するものであってもよい。
【0080】
ここで、図6のステップT1からステップT5における一連の処理により、図11に示す各CMY色空間600上の頂点Djを含む全格子点Eにおける座標(つまりは、印刷プロファイルTにおける印刷色空間の全ての座標)とプリンタ色空間の制限座標の組み合わせが算出され、これらの組み合わせを基に色変換プロファイルを作成することができる。座標変換部122において行われるステップT2からステップT5までの一連の処理は、本発明の色変換方法における第1の過程の一例に相当する。ところで、このように作成された色変換プロファイルは、一部の印刷色空間の座標に対応する制限座標を補間計算などによって推定して構成されたものであり、この色変換プロファイルを使って、印刷色空間上の画像データをプリンタ色空間上の制限画像データに変換すると、変換対象である印刷色空間上の画像データにK成分が含まれていなくても、変換後のプリンタ色空間上の制限画像データにはK成分が含まれてしまうことがあり、制限画像データに基づくプルーフ画像が、見た目にざらついてしまう恐れがある。
【0081】
ここで、図6の座標変換部122において、さらに、図8のステップT6およびステップT7における上記の問題を軽減させるための処理が行われる。
【0082】
図12は、図11に示すCMY色空間600のうち、K=0%のときのCMY色空間600を示す図である。CMY色空間600中の、斜線で囲まれた領域Aは、上述した所定領域(印刷色空間上における「K成分が0」であり、「濃度A以下の濃度」である領域)を示している。
【0083】
また、図13は、印刷色空間の座標を変換した、プリンタ色空間の制限座標が形成する一連の色の階調を表す図である。図の実線は、図8のステップT1からステップT5までの処理によって算出された、プリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)が形成する色の階調を表すものであり、横軸は制限座標の濃度(C’P+M’P+Y’P)を示し、縦軸は制限座標のK成分(K’P)を示している。本実施形態においては、図11および図12に示すCMY色空間600の各頂点(D0〜D7)以外の格子点Eの座標については、補間計算によって対応する制限座標が算出されたため、図13の実線は、原点を通り、一定の傾きを持つ直線にほぼ近い形状を有している。また、点線は、印刷色空間上の所定領域である図12に示す領域Aと対応するプリンタ色空間上の領域の境界A’を示している。
【0084】
図8のステップT6では、ステップT1からステップT5までの処理によって取得された印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせのうち、図12における領域A内の座標と制限座標との組み合わせを補正する。すなわち、印刷色空間の座標(CI,MI,YI,KI)とプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)との組み合わせにおいて、判定部121で印刷色空間の座標(CI,MI,YI,KI)が所定領域内(領域A内)の座標であると判定された場合、その印刷色空間の座標(CI,MI,YI,KI)におけるインクの総量が制限量Sより大きいか否かに応じて、対応するプリンタ色空間の座標を補正する。尚、制限座標のK成分K’Pが0である場合には、制限画像データに基づく画像にKインクは用いられないため、上述した画像がざらつくという問題は生じない。したがって、本実施形態においては、K’P≠0の場合のみ以下の処理を行う。補正後のプリンタ色空間の座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)は、インクの総量を制限する前の元の色におけるインクの総量InkI=CI+MI+YI+KIとしたときに、図8のステップT3と同様に、インク総量InkI>制限量Sの場合には、変換係数RI=S/InkIとして、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(RI×CI,RI×MI,RI×YI,0)
の式によって算出される。また、インク総量InkI≦制限量Sの場合には、印刷色空間上の座標におけるK成分のみ0に補正して、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(CI,MI,YI,0)
とする。補正された制限座標による階調を図示すると、図13に示す破線における、境界A’を境にした濃度が小さい部分に相当する。濃度が小さい部分では、K成分が0に補正されている。
【0085】
印刷色空間における所定領域内の座標とプリンタ色空間の制限座標との対応が補正されると、図8のステップT7では、印刷色空間上の所定領域外の座標(CI,MI,YI,KI)とプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)との対応が補正される。本実施形態においては、印刷色空間における所定領域(図12の領域A)外の座標と対応付けられたプリンタ色空間の制限座標(C’P,M’P,Y’P,K’P)のK成分について、所定領域との境界でK成分が0となるような重み量R_K(0≦R_K≦1)を用意し、この変換係数R_Kを使って補正を行う。このとき、プリンタ色空間の制限座標のK成分K’Pを補正した後のK成分K’’Pは、K’’P=R_K×K’Pで算出される。K成分以外の成分については、インクの総量Ink=CI+MI+YI+K’’Pとしたときに、インク総量Ink>制限量Sの場合には、変換係数RP=S/Inkとして、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(RP×CI,RP×MI,RP×YI,K’’P)
の式によって算出される。また、インク総量InkI≦制限量Sの場合には、C,M,Y成分は補正せずに、
補正後(C’P,M’P,Y’P,K’P)=(CI,MI,YI,K’’P)
と算出される。補正された制限座標による階調を図示すると、図13に示す破線における、境界A’を境にした濃度が大きい部分に相当する。濃度が大きい部分においては、境界A’に近づくほどK成分が0に近づくように制限座標が補正されている。座標変換部122で行われる、印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせを補正する図8のステップS6およびステップS7の処理は、本発明の色変換方法における第2の過程の一例に相当する。
【0086】
以上のような手順で、印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせが補正されると、補正後の印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標との組み合わせは色変換定義作成部123に送られる。
【0087】
図8のステップT8では、図6の色変換定義作成部123において、印刷色空間の座標とプリンタ色空間の制限座標が対応付けられ、色変換プロファイル200が生成される。
【0088】
図14は、色変換プロファイル200の概念図である。
【0089】
色変換プロファイル200には、印刷用のCMYKの画像データが入力され、その画像データは、プリンタ用のCMYKの制限画像データに変換される。上記のような手順で作成された色変換プロファイル200は、色変換定義作成部123から画像データ変換部124に送られる。変換プロファイル200を作成する図8のステップT8の処理は、本発明の色変換方法における色変換定義作成過程の一例に相当する。
【0090】
ここで、図7のフローチャートに戻って説明する。
【0091】
図1に示すページ記述データ展開装置140は、ワークステーション20から印刷用の画像データを取得する(図7のステップS2)。ページ記述データ展開装置140は、印刷用の画像データを網%データに変換し、変換後の画像データを色補正装置110に送る。色補正装置110は、取得した画像データに、画像データが表す画像の色を印刷において好ましい色に補正するための画像補正処理を施し(図7のステップS3)、画像補正処理後の画像データを、図6に示す画像データ変換部124に送る。
【0092】
画像データ変換部124は、図7のステップS1で予め作成されていた色変換プロファイル200を参照し、図1の色補正装置110から送られてきた印刷色空間の画像データを、プリンタ色空間上の、インクの総量が制限された制限画像データに変換する(図7のステップS4)。
【0093】
変換された制限画像データは、画像データ変換部124から、図1の画像展開装置130に送られ、ビットマップ形式の画像データに変換される(図7のステップS5)。そのビットマップ形式の画像データがプリンタ60に送られ、プリンタ60においてプルーフ画像61が生成される(図7のステップS6)。このプルーフ画像は、重ねあわされるインクの量が制限されており、膜剥がれなどの不具合の発生率が抑えられている。また、インクの量が制限される前の画像において、Kインクが含まれず、さらに、薄い色を有する画像部分は、インクの量が制限された後の画像においても、Kインクが含まれないため、見た目のざらつきを抑えることができる。さらに、色変換プロファイル200は、印刷色空間上の所定領域に対応するプリンタ色空間上の領域に近づくほど制限座標のK成分が0に近くなるように補正されているため、色の階調の連続性が保たれている。
【0094】
ここで、上記では、印刷色空間およびプリンタ色空間がどちらもCMYK色空間である場合について説明したが、本発明にいうターゲット色空間およびプリンタ色空間は、CMYK色空間に限られるものではなく、例えば、5色以上の色成分によって色が表現される色空間などであってもよく、さらに、ターゲット色空間とプリンタ色空間は相互に異なる色空間であってもよい。
【0095】
また、上記では、ターゲット色空間の複数点の座標として、K成分が固定されてなる一連のターゲット色空間おける頂点の座標を適用する例について説明したが、本発明の色変換方法は、ターゲット色空間上の頂点以外の複数点の座標を適用するものであってもよい。
【0096】
また、上記では、所定領域として「印刷色空間における、K成分が0で濃度が所定濃度以下の領域」を適用する例について説明したが、本発明にいう所定領域は、印刷色空間上の領域であれば、これに限らない。
【0097】
また、上記では、網%データをビットマップ形式の画像データに展開する画像展開機能を備えていないプリンタを適用したプルーフ画像作成システムについて説明したが、画像展開機能を有するプリンタを適用して、色変換装置でインクの量が制限された制限画像データを、画像展開装置を介さずに直接プリンタに送り、プルーフ画像を生成してもよい。
【0098】
また、本発明の色変換定義作成装置あるいは色変換定義作成プログラムにおいて、「判定部」、「座標変換部」、「色変換定義作成部」は、同一の装置あるいはプログラム内に備えたものであってもよく、あるいは、別々の装置やプログラムに備えたものであってもよく、本発明の色変換方法を実現することができるものであれば、具体的な実現形態は問わない。
【0099】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、色の階調の連続性を保ち、見た目のざらつきを抑えながらインクの総量を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用される印刷およびプルーフ画像作成システムの全体構成図である。
【図2】図1に示す測色計およびパーソナルコンピュータの外観斜視図である。
【図3】パーソナルコンピュータのハードウェア構成図である。
【図4】カラーチャートの模式図である。
【図5】本発明の色変換プログラムの一実施形態が記憶されたCD−ROMを示す概念図である。
【図6】本発明の色変換装置の一実施形態である色変換装置の機能ブロック図である。
【図7】本発明の色変換方法を適用してプルーフ画像を作成する際にRIPで行われる一連の処理を示すフローチャートである。
【図8】色変換プロファイルを作成する一連の処理を示すフローチャートである。
【図9】印刷プロファイルの概念図である。
【図10】プリンタ制限プロファイルの概念図である。
【図11】印刷プロファイルTにおける印刷色空間の座標それぞれにK成分が固定されてなる一連の色空間を表す図である。
【図12】図11に示すCMY色空間のうち、K=0%のときのCMY色空間を示す図である。
【図13】印刷色空間の座標を変換した、プリンタ色空間の制限座標が形成する一連の色の階調を表す図である。
【図14】色変換プロファイルの概念図である。
【符号の説明】
10 カラースキャナ
11 原稿画像
20 ワークステーション
30 フィルムプリンタ
40 印刷機
41 印刷画像
50 パーソナルコンピュータ
51 本体装置
51a FD装填口
51b CD−ROM装填口
52 画像表示装置
52a 表示画面
53 キーボード
54 マウス
55 バス
60 プリンタ
61 プルーフ画像
70 測色計
90 カラーチャート
91a,91b,… カラーパッチ
100 RIP
110 色補正装置
120 色変換装置
121 判定部
122 座標変換部
123 色変換定義作成部
124 画像データ変換部
130 画像展開装置
140 ページ記述データ展開装置
200 色変換プロファイル
511 CPU
512 主メモリ
513 ハードディスク装置
514 FDドライブ
515 CD−ROMドライブ
516 I/Oインタフェース
520 FD
521 CD−ROM
530 色変換プログラム
531 判定部
532 座標変換部
533 色変換定義作成部
534 画像データ変換部
600 立方体状の色空間
T 印刷プロファイル
P プリンタ制限プロファイル
Claims (5)
- 所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換方法において、
前記第1の色空間上の変換対象の座標が、該第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定過程と、
前記判定過程で、前記所定領域内の座標であると判定された座標を、前記制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換過程とを有することを特徴とする色変換方法。 - 前記第1の色空間上に格子状に設定された格子点の座標と、該座標が前記判定過程と座標変換過程とを経て変換される前記第2の色空間上の制限座標とを対応付けた色変換定義を作成する色変換定義作成過程と、
前記色変換定義を用いて、前記第1の色空間上の座標で色表現された任意の画像データを前記第2の色空間上の制限座標で色表現された画像データに変換する画像データ変換過程とを有することを特徴とする請求項1記載の色変換方法。 - 前記座標変換過程が、前記第1の色空間上の座標のうち前記所定領域外の座標も前記制限座標に変換する過程であって、該所定領域外の座標については、該所定領域との境界に近いほど、ブラック成分が0に近い制限座標となるように変換する過程であることを特徴とする請求項1記載の色変換方法。
- 所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換装置において、
前記第1の色空間上の変換対象の座標が、該第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部で、前記所定領域内の座標であると判定された座標を、前記制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換部とを備えたことを特徴とする色変換装置。 - コンピュータ内で実行され、該コンピュータによって、所定の第1の色空間上の座標を、ブラックに対応する座標軸を有する第2の色空間上に存在し、座標成分の総和が所定制限値以下に制限された制限座標に変換する色変換プログラムにおいて、
前記第1の色空間上の変換対象の座標が、該第1の色空間上の所定領域内の座標であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部で、前記所定領域内の座標であると判定された座標を、前記制限座標のうち、更にブラック成分が0に制限された制限座標に変換する座標変換部とを備えたことを特徴とする色変換プログラム。
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