JP2004220852A - 成膜装置および有機el素子の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリアガスや有機材料含有ガス等のガスの温度を所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な有機膜を効率よく形成する成膜装置を提供する。
【解決手段】有機膜形成装置100においては、キャリアガスまたは有機材料含有ガスを搬送する配管途中に熱交換器230を設ける。熱交換器230のガス流路232は、滑らかな曲面ではなく折れ曲がった非曲線形状にガス流路232が構成されている。また、ガス流路232内には熱交換ボール233が密に収容されている。したがって、熱交換器230に流入したガスは、加熱部材234により加熱されているガス流路形成部材231に順次接して直接的に加熱され、均一にムラ無く加熱される。また、効率よく熱が伝わるので応答性が良くなる。これにより、ガスを所望の温度に適切に制御することができ、高品質で均質な所望の材料の薄膜を効率よく形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】有機膜形成装置100においては、キャリアガスまたは有機材料含有ガスを搬送する配管途中に熱交換器230を設ける。熱交換器230のガス流路232は、滑らかな曲面ではなく折れ曲がった非曲線形状にガス流路232が構成されている。また、ガス流路232内には熱交換ボール233が密に収容されている。したがって、熱交換器230に流入したガスは、加熱部材234により加熱されているガス流路形成部材231に順次接して直接的に加熱され、均一にムラ無く加熱される。また、効率よく熱が伝わるので応答性が良くなる。これにより、ガスを所望の温度に適切に制御することができ、高品質で均質な所望の材料の薄膜を効率よく形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機層等の所望の材料の薄膜を、高品質に安定して形成することのできる成膜装置、および、有機層を有する有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:以下、「有機EL素子」と言う)の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面型の表示装置として、有機EL素子を発光素子とした有機ELパネルが注目を集めている。この有機ELパネルは、バックライトが不要な自発光型のフラットパネルディスプレイであり、自発光型に特有の視野角の広いディスプレイを実現できるという利点を有する。また、必要な画素のみを点灯させればよいため、液晶ディスプレイ等のバックライト型のディスプレイに比べて消費電力を少なくすることができる。また、応答性能を、今後実用化が期待されている高精細度の高速のビデオ信号にも十分対応可能な程度に高くすることもできる。
このような有機ELパネルに用いられる有機EL素子は、アノード(陽極)、有機層、カソード(陰極)が積層されて形成される。すなわち、有機材料を上下から電極(陽極および陰極)で挟み込んだ構造を有する。そして、有機層に上下の電極から電圧を印加することにより、陽極から正孔が、陰極から電子がそれぞれ有機層に注入され、有機層にて正孔と電子が再結合し発光が生じる。
【0003】
このような有機EL素子の製造においては、有機材料の耐水性が低いため、有機層の形成にウエットプロセスを利用することができない。そのため有機層の形成は、真空薄膜成膜技術を利用した真空蒸着を行うのが一般的である。
しかし一般的な真空蒸着で有機層を形成しようとすると、基板を横置にするために基板の自重によりたわみが発生し、有機層のパターンの形成精度に限界がある。また、真空蒸着では、複数の有機材料を所定の成分比で反応させて形成する多成分系薄膜を形成するのが難しい。また、真空蒸着を行うためには、真空度の高い環境を作り出す必要があり、このことが効率よく薄膜形成を効率よく行うための障害となる可能性がある。
【0004】
そこで、近年、真空蒸着法とは異なる新しい有機膜形成方法として、LPOVPD(Low Pressure Organic Vapor Phase Deposition)と呼ばれる減圧有機気相蒸着法が提案されている(特許文献1参照)。LPOVPD法は、減圧下で原料ガスをキャリアガスを用いて基板へ運び、基板上でガスを凝縮させて膜形成を行う有機膜形成方法である。
LPOVPD法では、異なる蒸気圧をもつ複数の有機材料を、各成分量を精密に制御しつつ減圧下で同時蒸着することができ、多成分系薄膜の形成に好適である。また、減圧下で膜形成を行うため、滑らかな表面を有する有機膜を形成することができる。また、成膜方向に自由度があり、縦置きにした基板への有機膜形成が可能である。そのため、基板を横置きにした際に生じる基板の自重によるたわみが低減し、有機膜パターンの形成精度が向上する。したがって、特に大型基板へ高精度に有機膜を形成する方法として有効である。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−423768号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、LPOVPD法では、原料容器内で有機材料を気化させ、これを原料容器に供給されるキャリアガスと混合し、この混合されたガス(有機材料含有ガスと言う)をチャンバに搬送し、基板上に有機材料を付着させている。したがって、キャリアガスを有機材料の気化温度と同等以上の高温に加熱して原料容器に送るとともに、生成された有機材料含有ガスを有機材料の析出温度と同等以上に維持してチャンバに送る必要がある。
この時、仮に有機材料の気化温度よりも低温のキャリアガスが原料容器に供給されると、原料容器内が冷却され、有機材料のガス化が不十分になり、成膜レートが低下したり成膜レートが不安定になる等の不利益を生じる。また、形成された有機膜が劣化したり、有機膜の膜表面が粗くなる等の不利益も生じる。このような不利益は、生成された有機材料含有ガスを原料容器からチャンバに送る時に温度が低下した場合にも同様に生じる。有機材料含有ガスに含まれる有機材料が配管の内壁に析出する恐れがあるからである。
【0007】
そのため、LPOVPD法を用いた成膜装置においては、キャリアガスや有機材料含有ガスが流れる配管自体を加熱するとともに、配管の途中に熱交換器(熱バッファ)を配設し、これにより通過するガスを加熱するようにしている。
熱交換器は、配管に接続されてガスが通過する容器内に例えばボール形状の熱交換促進部品を密に封入し、外部より容器を加熱することにより、熱交換促進部品を介して容器内を通過するガスを加熱する。この熱交換器のガスの流路は、熱交換効率を上げるために、通常、配管部分よりも断面積が広くなるように、すなわち容積が大きくなるように形成されている。このような熱交換器に流入されたガスは、熱交換器内で流速が遅くなり、ゆっくりと熱交換促進部品の間隙を通過し、徐々に加熱される。
なお、これら配管および熱交換器は、外部より、抵抗加熱、誘導加熱、ランプ加熱、オイル加熱等の種々の加熱方式により加熱される。
【0008】
しかしながら、このような従来の熱交換器においては、ガス流路の中心部と周辺部との間に温度差が生じ、すなわち熱交換器内の温度分布が一様ではなく、通過するガスに温度ムラが生じる場合がある。その結果、通過するガスの温度が不安定であったり、全体的としてガスの温度が低下するという問題がある。
また、これに関連して、熱交換器の側壁(配管部)の温度と、熱交換器内部との間に温度差があり、ガスの温度が正確に把握できず、ガスの温度制御が適切に行えないという問題がある。
また、このような熱交換器においては、加熱開始後、温度が一定になるまでに時間がかかり、成膜工程の効率向上の障害となるという問題がある。
したがって、このような熱交換器を用いた成膜装置においては、原料容器やチャンバに供給されるガスの温度制御が適切に行えず、ガスの温度低下や温度ムラが生じる可能性がある。そしてその結果、成膜レートが低下したり成膜レートが不安定になったり、また、形成した膜の質が劣化したり成膜面が粗くなる等の問題が発生する場合がある。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、LPOVPD法により薄膜を形成する際のキャリアガスおよび材料ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な薄膜を効率よく形成することのできる成膜装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、LPOVPD法により有機層を形成する際のキャリアガスおよび有機材料含有ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な有機層を有する有機EL素子を効率よく形成することのできる有機EL表示パネルの製造装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の成膜装置は、気化した成膜材料をキャリアガスと混合してチャンバに搬送し、当該チャンバ内に保持された基板に前記成膜材料の膜を形成する成膜装置であって、
前記成膜材料を加熱して気化させ、前記キャリアガスと混合して材料ガスを生成する材料ガス生成手段と、
前記キャリアガスを前記材料ガス生成手段へ搬送する第1の配管と、
前記材料ガスを前記材料ガス生成手段から前記チャンバに搬送する第2の配管と、
前記第1の配管および前記第2の配管の一方または両方に設けられ、前記第1の配管または前記第2の配管と接続されたガス流路を加熱する加熱手段を有する熱交換器と
を有し、前記ガス流路は、前記ガス流路内を通過するガスが当該ガス流路周面に衝突するように、前記ガスの通過方向において折れ曲がって屈曲した形状を有することを特徴とする。
なお、好適な一例としては、前記成膜材料は有機材料であり、基板上に有機膜を形成する。
【0011】
このような構成の成膜装置においては、成膜材料が材料ガス生成手段において気化され、気化された成膜材料が第1の配管を介して供給されるキャリアガスと混合されて材料ガスが生成される。生成された材料ガスは、第2の配管を介してチャンバに搬送され、基板に対して放出される。これにより、基板に所望の材料の膜が形成される。
この時、第1の配管または第2の配管を搬送されるキャリアガスまたは材料ガスは、第1の配管および第2の配管のいずれか一方または両方に設けられている熱交換器のガス流路中を通過する。このガス流路は、通過するガスが流路周面(側面)に衝突しガス流が妨げられるような形状に、すなわち滑らかな曲面ではなく折れ曲がった形状に構成されている。したがって、このガス流路に導入されたキャリアガスまたは材料ガスは、少なくとも屈曲部分ごとにガス流路の周面に突き当り、すなわちガス流路の周面に接触して、乱流となってガス流路を進行する。
その結果、搬送されるガスの各成分は、加熱されているガス流路の流路壁に順次接して直接的に加熱されることとなり、均一にムラ無く加熱される。また、ガス流路形成部材から効率よく熱が伝達されるので、加熱手段における加熱動作に対する搬送されるガスの温度上昇の応答性が良くなり、効率よくガスの加熱が行える。また、これにより、ガス流路の流路壁の温度と内部を流れるガスの温度差が小さくなり、ガスを所望の温度に適切に制御することができる。その結果、高品質で均質な所望の材料の薄膜を効率よく形成することができる。
【0012】
好適には、前記熱交換器の前記ガス流路は、接続される前記第1の配管または前記第2の配管とほぼ同一の断面積を有する。このような構成によれば、熱交換器内のガス流路の内部にまで効率よく熱を伝達することができる。したがって、熱交換器およびこれを通過するガスを、より一層、温度ムラがなく、応答性がよく、所望の温度に適切に制御することができる。
また好適には、前記熱交換器の前記ガス流路の内部に、熱交換促進部品が配置される。そのような構成とすれば、なお一層、熱交換器内部に均一に効率よく熱を伝導することができ、熱交換器を通過するガスを、より一層適切に制御することができる。
【0013】
また好適には、前記第1の配管または前記第2の配管の屈曲部分が、前記熱交換器における前記ガス流路の屈曲部分に対応するように、前記熱交換器を、前記第1の配管または前記第2の配管の前記屈曲部分に配設する。このような構成によれば、成膜装置内の空間を有効に利用して熱交換器を配設することができ、成膜装置を小型にすることができる。
なお、好適な一例としては、前記熱交換器には、前記ガス流路の対向する周面より前記ガス流路内部に交互に突出する障害板が形成してあり、前記障害板の内部に前記加熱部材が埋設してある。
【0014】
また、本発明の有機EL素子の製造装置は、1以上の有機層を有する有機EL素子の製造装置であって、
前記有機層を形成する有機材料を加熱して気化させ、キャリアガスと混合して有機材料含有ガスを生成する有機材料含有ガス生成手段と、
少なくとも大気圧以下の減圧状態に維持することが可能なチャンバと、
前記キャリアガスを前記有機材料含有ガス生成手段に搬送する第1の配管と、
前記有機材料含有ガスを前記チャンバに搬送する第2の配管と、
前記有機材料含有ガスが吹き付けられて前記有機層が形成されるように、前記チャンバ内において前記基板を保持する基板保持手段と、
前記第1の配管および前記第2の配管の一方または両方に設けられ、当該第1の配管または当該第2の配管と接続されるガス流路を加熱する加熱手段を有する熱交換器とを有し、
前記ガス流路は、当該ガス流路内を通過するガスが当該ガス流路周面に衝突するように、前記ガスの通過方向において折れ曲がって屈曲した形状を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態においては、有機EL素子を発光素子として有する有機ELパネルの製造装置であって、特に、LPOVPD法により、基板上に有機層を順次形成する有機膜形成装置を例示して本発明を説明する。
【0016】
まず、本実施形態の有機膜形成装置によって製造される有機EL素子の構成について図1を参照して簡単に説明する。
図1は、その有機EL素子の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、有機EL素子1は、ガラス基板2上に、陽極3、有機層4、陰極9および封止膜10が順次積層されて構成される。有機層4は、正孔(ホール)を発光層6に輸送する正孔輸送層5、発光する有機発光層6、および、電子を有機発光層6に輸送する電子輸送層7を有する。
【0017】
このような有機EL素子1においては、陽極3と陰極9との間に直流電圧を印加することにより、正孔は陽極3から正孔輸送層5を経て有機発光層6に注入され、電子は陰極9から電子輸送層7を経て有機発光層6に注入される。その結果、注入された正孔および電子の結合により有機発光層6内の蛍光分子が励起され発光現象が生じる。
この際、有機発光層6に含まれる有機発光材料(蛍光物質)を変えることにより、赤(R)、緑(G)、青(B)を発光する有機EL素子が形成される。したがって、ガラス基板2上にR、G、B3色の有機EL素子を所定のパターンでマトリクス状に2次元配列することによりカラー有機ELパネルが製造され、各有機EL素子を選択的に発光させることによりフルカラー表示が行われる。
【0018】
カラー有機ELパネルを製造するための各色の有機EL素子の配置は、パターニング成膜によって実現できる。パターニング成膜は、所定の成膜パターンに対応して開口が設けられているマスクを、有機層形成面を覆うようにガラス基板2と密着させて配置し成膜を行うものである。各色に対応した複数種類のマスクを用意して有機発光層6の成膜を順番に行うことにより、結果として複数の有機EL素子1を所望の配列で配置することができる。
【0019】
次に、LPOVPD法により有機層4を形成する有機膜形成装置の一例を、図2および図3を参照して説明する。
図2は、その有機膜形成装置の構成を示す図である。
有機膜形成装置100は、配管部200およびチャンバー部300を有する。
【0020】
配管部200は、LPOVPD法により有機層を形成するために、気化した有機材料をキャリアガスに混合して有機材料含有ガスを生成し、チャンバー部300のチャンバー310の内部に放出する。
配管部200は、キャリアガス供給源211、キャリアガス供給用配管(第1の配管)212、バルブ215、流量コントローラー217、キャリアガス配管加熱ヒーター219、熱交換器230、有機原料容器(材料ガス生成手段)240、原料加熱ヒーター242、原料容器圧力計244、原料ガス温度センサー246、有機ガス供給用配管(第2の配管)251、バルブ253、有機ガス配管加熱ヒーター255、有機ガス温度センサー257、ガスノズル259およびヒーター制御回路261を有する。
【0021】
なお、本実施形態の配管部200は、有機原料容器240およびこれに付随して設けられる流量コントローラー217からガスノズル259までの一連の構成部を複数(n個)有する。これにより有機膜形成装置100は、n種類までの有機材料を同時にチャンバー310に供給し有機膜を形成したり、チャンバー310の環境を維持した状態で複数の有機膜を順次形成することができる。
なお、以下の説明において、キャリアガス供給用配管212の一部からガスノズル259に至る1つの有機材料含有ガスを供給するための一連の構成を、1つの有機材料含有ガスの供給系という。また、各々複数具備される各構成部は、例えば熱交換器230−1〜230−nのように添字を付した符号で示すが、その個々に共通な内容を説明する際には、熱交換器230−i(i=1〜n)または単に熱交換器230と示す場合もある。
【0022】
キャリアガス供給源211は、アルゴンガス(Ar)や窒素ガス(N2)等の不活性ガスを、キャリアガスとしてキャリアガス供給用配管212を介して有機原料容器240−1〜240−nに供給する。
キャリアガス供給用配管212は、キャリアガスをキャリアガス供給源211より有機原料容器240に搬送するための管である。その管の内径は、例えば6.35mm(1/4インチ)であり、その管の壁の厚さは、例えば約2mmである。
キャリアガス供給用配管212のキャリアガス供給源211との接続部の直後には、バルブ215が設けられている。バルブ215は、配管部200全体に対するキャリアガスの供給を開始または停止するバルブであり、図示せぬ有機膜形成装置100の制御部からの制御信号に応じて開閉される。
バルブ215の下流において、キャリアガス供給用配管212は、n個の有機原料容器240−1〜240−nに対応してn個に分岐している。n個の有機原料容器240−1〜240−nには、この分岐した配管212−1〜212−nを介してキャリアガスが供給される。
【0023】
分岐した各キャリアガス供給用配管212−i(i=1〜n)には、流量コントローラー217−i、キャリアガス配管加熱ヒーター219−iおよび熱交換器230−iが設けられる。
流量コントローラー217−iは、通過させるキャリアガスの量、すなわち有機原料容器240−iに供給するキャリアガスの量を調整する。なお、その有機原料容器240−iを用いて有機材料含有ガスの供給を行わない場合には、流量コントローラー217−iはバルブの役目をして、下流にキャリアガスを流さないようにする。
キャリアガス配管加熱ヒーター219−iは、後述するヒーター制御回路261により制御され、流量コントローラー217−iから有機原料容器240−iまでのキャリアガス供給用配管212−iを加熱する。これにより、キャリアガス供給用配管212−i内を流れるキャリアガスも加熱される。
【0024】
熱交換器230−iは、キャリアガス供給用配管212−iの有機原料容器240−iの直前に設けられ、キャリアガスを所定の温度に加熱する。
熱交換器230−iについて、図3を参照して詳細に説明する。
図3に示すように、熱交換器230−iは、ガス流路形成部材231−i、熱交換ボール(熱交換促進部品)233−i、加熱部材(加熱手段)234−iおよび温度センサー235−iを有する。
【0025】
ガス流路形成部材231−iは、熱交換器230−i内においてキャリアガスを通過させるガス流路232−iを形成する。
ガス流路232−iは、両端がキャリアガス供給用配管212−iに接続されており、上流のキャリアガス供給用配管212−iより流入されるキャリアガスを通過させ、下流のキャリアガス供給用配管212−iに送出する。
また、図3に示すように、ガス流路232−iには、非曲線的に折れ曲がった屈曲箇所が複数設けられている。具体的には、ガス流路232−iは、第1および第2の屈曲個所236−i,237−iにおいてほぼ直角に折れ曲がり、第3および第4の屈曲箇所238−i,239−iにおいて鈍角ながらも非曲線的に折れ曲がっている。
また、ガス流路形成部材231−iのガス流路232−iは、キャリアガス供給用配管212−iとほぼ同じ口径(内径6.35mm)、すなわちほぼ同じ断面積を有する。なお、ガス流路形成部材231−iの壁厚は約2mmである。
【0026】
ガス流路形成部材231−iにおけるガス流路232−iには、熱交換ボール233−iが収容される。熱交換ボール233−iは、ガス流路形成部材231−iの熱をガス流路232−iの内部に効率よく伝導し、ガス流路232−i内を通過するキャリアガスに効率よく熱を伝えるための部材である。熱交換ボール233−iは、例えば粒径が1〜2mmのアルミニウムまたはアルミニウム合金の球形部材であり、ガス流路232−i内の全体にお互いに密着して配置される。
【0027】
加熱部材234−iは、後述するヒーター制御回路261により制御され、熱交換器230−i内のガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面を所望の温度に加熱する。これにより、ガス流路232−iを流れるキャリアガスも加熱される。
温度センサー235−iは、ガス流路232−iの周面たるガス流路形成部材231−iの温度を検出するセンサーである。検出結果は、ヒーター制御回路261に出力され、加熱部材234−iの制御に用いられる。
【0028】
このような構成の熱交換器230−iにおいては、加熱部材234−iによりガス流路232−iの周面を構成するガス流路形成部材231−iが加熱され、これによりガス流路232−i内を通過するキャリアガスが加熱される。また、ガス流路形成部材231−iに伝導された熱は、熱交換ボール233−iを介してガス流路232−i内部にまで伝わることとなり、この熱交換ボール233−iによってガス流路232−iの内部においても、キャリアガスが加熱される。また、前述したように、熱交換器230−iのガス流路232−iは、非曲線的な屈曲箇所を複数有する。したがって、ガス流路232−iを通過するキャリアガスは、各屈曲箇所においてガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面(側面)に衝突して流れることとなる。また、その屈曲箇所においてキャリアガスの流れは乱流となる。したがって、キャリアガスのより多くの部分がガス流路形成部材231−iに接触し、ガス流路形成部材231−iから直接的に加熱されることとなり、キャリアガスは効率よく加熱される。
【0029】
また、熱交換器230−i内のガス流路232−iは、その口径がキャリアガス供給用配管212−iとほぼ同じ大きさに維持されて比較的小さく抑えられている。したがって、ガス流路232−i内において温度分布にムラが少なく、均一にガスが加熱される。また、その結果、加熱部材234−iの加熱温度、温度センサー235−iにより検出される温度およびガス流路232−iの実際の温度等の温度差をほぼなくすことができ、適切な温度制御が可能となる。
【0030】
図2に示す有機原料容器240−iは、収容される有機原料を気化させキャリアガスと混合するための容器であり、また、原料加熱ヒーター242−iは、有機原料容器240−iを加熱するヒーターである。有機原料容器240−iは、原料加熱ヒーター242−iにより内部が数百度程度になるまで加熱される。これにより、予め収容されている有機EL原料が気化する。気化した有機原料は、キャリアガス供給用配管212−iを介して供給されるキャリアガスと混合されて有機材料含有ガスが生成され、有機ガス供給用配管251−iを介してチャンバー310に送出される。
原料容器圧力計244−iは、有機原料容器240−i内の圧力を検出するセンサーであり、原料ガス温度センサー246−iは、有機原料容器240−i内のガスを検出するセンサーである。原料容器圧力計244−iおよび原料ガス温度センサー246−iによる検出結果は、図示せぬ有機膜形成装置100の制御部に入力され、この有機材料含有ガスの供給系の各部の制御に供される。
【0031】
有機ガス供給用配管251−iは、有機原料容器240−iにおいて生成された有機材料含有ガスをチャンバー310に搬送する配管である。
有機ガス供給用配管251−iには、この有機材料含有ガス供給系から、すなわち有機原料容器240−iからの有機材料含有ガスの供給を制御するバルブ253−iが配置されており、図示せぬ有機膜形成装置100の制御部からの制御信号に応じて開閉される。
また、有機ガス供給用配管251−iには、有機ガス配管加熱ヒーター255−iおよび有機ガス温度センサー257−iが設けられている。有機ガス温度センサー257−iにより検出した有機ガス供給用配管251−iの温度に基づいて、ヒーター制御回路261が有機ガス配管加熱ヒーター255−iを制御し、有機ガス供給用配管251−iは所定の高温状態に維持される。これにより、有機原料容器240−iからチャンバー310までの間で有機材料含有ガスの温度が低下し、有機材料が配管途中で析出するのを防ぐことができ、有機材料は適切に気相状態に維持されチャンバー310に輸送される。
【0032】
ガスノズル259−iは、有機ガス供給用配管251−iを介して輸送された有機材料含有ガスをチャンバー310内に放出する放出口である。ガスノズル259−iは、他の有機材料含有ガスの供給系のガスノズルとともに並べられて、チャンバー310の側面に配置される。そして、基板面が鉛直方向となり膜形成面がガスノズル259−iを指向する状態に基板ホルダーに保持されている基板400の膜形成面に垂直な方向から有機材料含有ガスを均一に吹き付ける。
【0033】
チャンバー部300は、成膜対象の基板400に膜形成のための環境を提供する構成部であって、チャンバーおよびその周辺処理部を有する。チャンバー部300は、チャンバー310、チャンバー圧力計312、排気口314、基板ホルダー320、ホルダー移動機構322、水冷管324および真空排気装置330を有する。
【0034】
チャンバー310は、基板400を所定の減圧環境あるいは真空環境におき成膜を行うための真空室である。
チャンバー310の中央部には、基板400を保持する基板ホルダー320が設けられている。基板ホルダー320は、基板載置面に垂直な方向のスライド移動および基板載置面に平行な面内の回転が可能なように、ホルダー移動機構322により支持されている。
また、その基板ホルダー320およびホルダー移動機構322には、冷却水が循環される水冷管324が設けられている。これにより、基板ホルダー320の基板保持面が冷却され、基板400自体も冷却される。
チャンバー310の側面には、前述した配管部200のn個のガスノズル259−i〜259−iが設けられる。また、チャンバー310の他の側面または底面には、真空排気装置330の排気口314が設けられる。
また、チャンバー310には、チャンバー310内の圧力、すなわち真空度を検出するためのチャンバー圧力計312が設けられる。
【0035】
なお、これら有機膜形成装置100の各構成部は、適切にLPOVPD法による薄膜形成が行われるように、図示せぬ制御部により制御されている。具体的には、バルブ215の開閉、流量コントローラー217−1〜217−nによるキャリアガス流量の制御、キャリアガス配管加熱ヒーター219−1〜219−nによるキャリアガス供給用配管212−1〜212−nの加熱、熱交換器230−1〜230−nの加熱部材234−1〜234−nによるガス流路232−1〜232−nの加熱、原料加熱ヒーター242−1〜242−nによる有機原料の加熱、バルブ253−1〜253−nの開閉、有機ガス配管加熱ヒーター255−1〜255−nによる有機ガス供給用配管251−1〜251−nの加熱、ホルダー移動機構322による基板ホルダー320のスライド移動および回転、および、真空排気装置330によるチャンバー310の真空排気等が、いずれもこの制御部により制御される。
【0036】
次に、このような構成の有機膜形成装置100の動作について説明する。
有機膜形成装置100において成膜を行う場合、まず、基板ホルダー320に成膜対象の基板400を載置する。この時、基板400の膜形成面に、膜を形成したい箇所のみが開口されたマスクを密着させておくことにより、所望のパターンの膜を形成することができる。本実施形態においては、陽極が形成されたガラス基板に、有機層を形成する部分のみに開口が形成されたマスクを密着させて、基板ホルダー320に装着する。
有機原料容器240−1〜240−nには、有機層を形成するための有機材料を投入する。本実施形態においては、図1に示したように、正孔輸送層5、有機発光層6および電子輸送層7の3つの有機層を順に形成する。また、これらの有機層の各々は、1つまたは複数の有機材料を用いて形成される。したがって、これら3つの有機層を形成するのに必要な、例えば10種類程度の有機材料が、有機原料容器240−1〜240−nに各々投入される。
【0037】
次に、真空排気装置330を動作させ、チャンバー310内の空気を排気してチャンバー310を真空にする。この時の真空度は、LPOVPD法による薄膜形成が可能な程度の数十Pa〜104Pa程度(0.数Torr〜数十Torr程度)でよい。
チャンバー111が所定の真空状態となったら、最初に形成する正孔輸送層に必要や有機原料が投入されている有機材料含有ガス供給系の有機原料容器240−iを原料加熱ヒーター242−iにより加熱し、有機原料容器240−iに収容されている有機原料を気化させる。また、キャリアガス配管加熱ヒーター219−iによるキャリアガス供給用配管212の加熱、熱交換器230−iの加熱部材234−iによるガス流路形成部材231の加熱、有機ガス配管加熱ヒーター255−iによる有機ガス供給用配管251−iの加熱も同時に開始する。
【0038】
この時、熱交換器230−iにおいては、加熱部材234−iによりガス流路232−iの周面を構成するガス流路形成部材231−iが加熱され、これによりガス流路232−i内に配置された熱交換ボール233−iも加熱される。ガス流路232−iの口径は比較的小さいので、熱は比較的短時間でガス流路232−iの全域にわたって伝達される。その結果、ガス流路形成部材231により形成されるガス流路232−iは、一様な分布で所望の温度に設定される。
【0039】
そして、その有機層を形成するための全有機材料含有ガスの供給系において、各配管212−i,251−iおよび熱交換器230−iが所望の温度となり、有機原料容器240−i内の有機原料が気化され始めたら、有機膜の形成を開始する。すなわち、バルブ215を開け、流量コントローラー217−iを動作させて、キャリアガス供給源211から有機原料容器240−iへのキャリアガスの供給を開始する。キャリアガスは、流量コントローラー217−iにおいて各有機原料に対応してその流量がコントロールされ、熱交換器230−iにおいて例えば200℃等の所定の温度に加熱されて、有機原料容器240−iに供給される。
【0040】
この時、熱交換器230−iにおいては、ガス流路232−iを通過するキャリアガスは、ガス流路232−iの周面たるガス流路形成部材231−iおよび熱交換ボール233−iにより加熱される。その際、熱交換器230−iのガス流路232−iは、前述したように非曲線的な屈曲箇所を複数有する。したがって、熱交換器230−iに導入されたキャリアガスは、各屈曲箇所においてガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面(側面)に衝突しながら、乱流となってガス流路232−i内を通過する。したがって、キャリアガスのより多くの部分がガス流路形成部材231−iや熱交換ボール233−iに接触し、ガス流路形成部材231−iから直接的に加熱されることとなり、キャリアガスは効率よく加熱される。
【0041】
有機原料容器240−iに供給されたキャリアガスは、有機原料容器240−i内において気化された有機原料と混合され、有機材料含有ガスが生成される。その有機層を形成するための全ての有機材料含有ガス供給系において、有機原料容器240−iにおいて有機材料含有ガスが生成され、所定の圧力となったら、有機ガス供給用配管251−iのバルブ25−i3が開放される。その結果、生成された有機材料含有ガスが、ガスノズル259−iからチャンバー310に放出される。
また、ガスノズル259−iからの有機材料含有ガスの放出が開始されたら、基板ホルダー320はホルダー移動機構322により回転される。これにより、放出された有機材料含有ガスは基板400の膜形成面に均一に吹き付けられる状態となり、基板400の膜形成面に徐々に有機原料が付着堆積し、有機膜が形成される。
所望の厚さの有機膜が形成された後、バルブ253−iおよびバルブ215−iが閉じられ、流量コントローラー217−iもキャリアガスの送出を停止し、有機材料含有ガスのチャンバー310への放出が停止される。またこれに合わせて、原料加熱ヒーター242−iによる有機原料容器240−iの加熱も停止し、最初の有機膜の形成が終了する。
【0042】
最初の有機層、すなわち正孔輸送層5の形成が終了したら、引き続いて同様の成膜処理を行い、有機発光層6の形成を行う。
すなわち、有機発光層6の形成に必要や有機原料が投入されている有機材料含有ガス供給系の有機原料容器240−iを原料加熱ヒーター242−iにより加熱して有機原料を気化させる。これを、流量コントローラー217−iおよび熱交換器230−iにより流量および温度が制御されたキャリアガスと混合して有機材料含有ガスを生成し、チャンバー310に供給する。その結果、基板400の膜形成面に有機原料が付着堆積し、有機発光層6が形成される。
さらに、有機発光層6の形成が終了したら、引き続いて同様の成膜処理を行い、電子輸送層7の形成を行う。
その結果、正孔輸送層5、有機発光層6および電子輸送層7を有する有機層4が形成される。
なお、有機層4が形成された基板400に対して、図示せぬ別の真空蒸着装置により陰極9および封止膜10をさらに形成することにより、図1に示した有機EL素子1が形成される。
【0043】
このように、本実施形態の有機膜形成装置100においては、前述したように、熱交換器230−iのガス流路232−iが、非曲線的な屈曲箇所を複数有する。したがって、ガス流路232−iを通過するキャリアガスは、各屈曲箇所においてガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面(側面)に衝突して流れることとなる。また、その屈曲箇所においてキャリアガスの流れは乱流となる。したがって、キャリアガスのより多くの部分がガス流路形成部材231−iに接触し、ガス流路形成部材231−iから直接的に加熱されることとなり、キャリアガスは効率よく加熱される。
【0044】
また、熱交換器230−i内のガス流路232−iは、その口径がキャリアガス供給用配管212−iとほぼ同じ大きさに維持されて比較的小さく抑えられている。
したがって、その点においても、ガス流路232−iの内部にまで短時間で熱が伝わることとなる。
また、熱交換器230−iにおいては、ガス流路232−i内に熱交換ボール23−i3が密に配設されている。したがって、ガス流路形成部材231−iに伝導された熱は、熱交換ボール233−iを介して急速にガス流路232−i内部にまで伝わることとなり、また、この熱交換ボール233−iによってガス流路232−iの内部においても、キャリアガスが加熱されることとなる。
【0045】
以上より、熱交換器230内においては、ガス流路232内の温度分布にムラがなく、均一にキャリアガスの加熱が行われる。また、その結果、加熱部材234の加熱温度、温度センサー235により検出されるガス流路形成部材231の温度およびガス流路232の実際の温度等の温度差をほぼなくすことができ、適切な温度制御が可能となる。また、応答性よく温度の制御が可能となる。
【0046】
次に、本実施形態の有機膜形成装置100の熱交換器230の特徴について、比較例をもって説明する。
比較対象として、図4に示すように、配管部分よりも口径が大きく、したがって容積が大きく、また、直線的なガス流路が形成される熱交換室を有する熱交換器530を想定する。熱交換器530の熱交換室の口径は、10mm〜15mmである。熱交換ボール233を具備する点等その他の条件は、本実施形態の熱交換器230と同一である。
【0047】
このような、比較対象の熱交換器530および本実施形態の熱交換器230の各温度特性を図5に、またその比較結果を図6に示す。
図5(A)は図4に示した比較対象の熱交換器530の温度特性を示す図であり、図5(B)は、本実施形態の熱交換器230の温度特性を示す図である。図5(A)および図5(B)において、特性a1およびa2は、380℃のガスを2000sccm(standard cm3/min:標準状態での流量)で熱交換器に流した場合の配管部(ガス流路形成部材)の温度変化を示し、特性b1およびb2は、その場合に出力されるガスの温度変化を示す。また、特性c1およびc2は、配管部とガスの温度差を示す。
また、図6は、図5(A)に示した特性c1および図5(B)に示した特性c2とを拡大して示した図である。
【0048】
図5および図6より明らかなように、比較対象の熱交換器530においては、数時間経過後も、配管部の温度(設定温度)と実際の出力ガスの温度に20℃近い差がある。しかし、本実施形態の熱交換器230においては、3時間経過後は、配管部の温度(設定温度)と実際の出力ガスの温度とは最大でも5℃程度の差であり、4時間経過後はほぼ同一になっている。
したがって、本実施形態の熱交換器230の構成は、温度分布を一様にし、ガスの温度を一定にするのに非常に有効であることがわかる。
【0049】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。
例えば、本発明に係る熱交換器の構成は、図2を参照して説明した構成に限られるものではない。好適な他の具体例としては、図7に示すような構成の熱交換器430であってもよい。図7に示す熱交換器430は、ガス流路形成部材431により形成される前後の配管よりも若干口径の大きい熱交換室に、ガスが流れる障害となるような邪魔板(障害板)436を対向するガス流路形成部材431より交互に設けたものである。これにより、順次直角に折れ曲がったジグザグ形状で、その断面積は配管とほぼ等しいガス流路432が形成される。このような場合、図7に示すように、邪魔板436内にも、加熱部材434を配設するようにしておけば、より熱を効率よく熱交換器430内部に伝えることができ効果的である。
また、ガス流路232が高さ方向にもさらに非曲線的に折れ曲がったような、3次元的に構成されているものであってもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、熱交換器がキャリアガス供給用配管に設けられた場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、有機材料含有ガスを有機原料容器240からチャンバー310に搬送する有機ガス供給用配管251の途中に、有機材料含有ガスを高温状態に維持するために設けてもよい。また、キャリアガス供給用配管212と有機ガス供給用配管251の両方に設けるようにしてもよい。
また、熱交換器230のガス流路232に収容する熱交換促進部品の大きさ、形状等も、任意に設定して良い。熱交換ボール233の粒径が大きくなると熱交換効率が低下し、小さくなると流路抵抗が大きくなる傾向にある。熱交換ボール233の大きさや形状は、これら熱交換効率や流路抵抗を考慮して、適宜好適な形状、大きさに決定してよい。また、熱交換器230の内部に収容される熱交換促進部品としては、熱交換ボール233に限定されず、その他の熱交換促進部品であっても良い。
【0051】
また、本実施形態においては、有機層4は前述したような3つの層により形成されているが、これに限定されものではない。任意の材料を用いた任意の数の層を形成し、発光部たる有機層4を形成してよい。
また、有機層4の周囲の電極層や、基板、封止層等の構成も、本実施形態の構成に限定されるものではなく任意に変更してよい。
また、本実施形態においては、有機ELパネルの有機EL素子を形成する装置を例示したが、例えば有機半導体レーザーに用いられる有機EL素子を形成する装置等、有機EL素子を形成する任意の装置に適用可能である。
また、本実施形態においては、有機EL素子を形成する装置および方法を例示して本発明を説明したが、本発明は、何ら製造する装置を限定されるものではない。本発明は、LPOVPD法により所望の膜を形成する任意の装置に適用可能である。
【0052】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、LPOVPD法により薄膜を形成する際のキャリアガスおよび材料ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な所望の材料の薄膜を効率よく形成することのできる成膜装置を提供することができる。
また、LPOVPD法により有機層を形成する際のキャリアガスおよび有機材料含有ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な有機層を有する有機EL素子を効率よく形成することのできる有機EL素子の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る有機EL素子の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態の有機膜形成装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した有機膜形成装置の熱交換器の構成を示す図である。
【図4】図4は、図3に示した熱交換器と特性を比較するための他の熱交換器の構成を示す図である。
【図5】図5は、図3に示した熱交換器と図4に示した熱交換器の温度特性を示す図である。
【図6】図6は、図3に示した熱交換器と図4に示した熱交換器の温度特性の差を示す図である。
【図7】図7は、図3に示した本発明に係る熱交換器の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1…有機EL素子、2…ガラス基板、3…陽極、4…有機層、5…正孔輸送層、6…有機発光層、7…電子輸送層、9…陰極、10…封止膜、100…有機膜形成装置、200…配管部、211…キャリアガス供給源、212…キャリアガス供給用配管、215…バルブ、217…流量コントローラー、219…キャリアガス配管加熱ヒーター、230…熱交換器、231…ガス流路形成部材、232…ガス流路、233…熱交換ボール、234…加熱部材、235…温度センサー、240…有機原料容器、242…原料加熱ヒーター、244…原料容器圧力計、246…原料ガス温度センサー、251…有機ガス供給用配管、253…バルブ、255…有機ガス配管加熱ヒーター、257…有機ガス温度センサー、259…ガスノズル、300…チャンバー部、310…チャンバー、312…チャンバー圧力計、314…排気口、320…基板ホルダー、322…ホルダー移動機構、324…水冷管、330…真空排気装置、400…有機層、430…熱交換器、431…ガス流路形成部材、432…ガス流路、434…加熱部材、436…邪魔板、530…比較対象の熱交換器
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機層等の所望の材料の薄膜を、高品質に安定して形成することのできる成膜装置、および、有機層を有する有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子:以下、「有機EL素子」と言う)の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面型の表示装置として、有機EL素子を発光素子とした有機ELパネルが注目を集めている。この有機ELパネルは、バックライトが不要な自発光型のフラットパネルディスプレイであり、自発光型に特有の視野角の広いディスプレイを実現できるという利点を有する。また、必要な画素のみを点灯させればよいため、液晶ディスプレイ等のバックライト型のディスプレイに比べて消費電力を少なくすることができる。また、応答性能を、今後実用化が期待されている高精細度の高速のビデオ信号にも十分対応可能な程度に高くすることもできる。
このような有機ELパネルに用いられる有機EL素子は、アノード(陽極)、有機層、カソード(陰極)が積層されて形成される。すなわち、有機材料を上下から電極(陽極および陰極)で挟み込んだ構造を有する。そして、有機層に上下の電極から電圧を印加することにより、陽極から正孔が、陰極から電子がそれぞれ有機層に注入され、有機層にて正孔と電子が再結合し発光が生じる。
【0003】
このような有機EL素子の製造においては、有機材料の耐水性が低いため、有機層の形成にウエットプロセスを利用することができない。そのため有機層の形成は、真空薄膜成膜技術を利用した真空蒸着を行うのが一般的である。
しかし一般的な真空蒸着で有機層を形成しようとすると、基板を横置にするために基板の自重によりたわみが発生し、有機層のパターンの形成精度に限界がある。また、真空蒸着では、複数の有機材料を所定の成分比で反応させて形成する多成分系薄膜を形成するのが難しい。また、真空蒸着を行うためには、真空度の高い環境を作り出す必要があり、このことが効率よく薄膜形成を効率よく行うための障害となる可能性がある。
【0004】
そこで、近年、真空蒸着法とは異なる新しい有機膜形成方法として、LPOVPD(Low Pressure Organic Vapor Phase Deposition)と呼ばれる減圧有機気相蒸着法が提案されている(特許文献1参照)。LPOVPD法は、減圧下で原料ガスをキャリアガスを用いて基板へ運び、基板上でガスを凝縮させて膜形成を行う有機膜形成方法である。
LPOVPD法では、異なる蒸気圧をもつ複数の有機材料を、各成分量を精密に制御しつつ減圧下で同時蒸着することができ、多成分系薄膜の形成に好適である。また、減圧下で膜形成を行うため、滑らかな表面を有する有機膜を形成することができる。また、成膜方向に自由度があり、縦置きにした基板への有機膜形成が可能である。そのため、基板を横置きにした際に生じる基板の自重によるたわみが低減し、有機膜パターンの形成精度が向上する。したがって、特に大型基板へ高精度に有機膜を形成する方法として有効である。
【0005】
【特許文献1】
特表2001−423768号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、LPOVPD法では、原料容器内で有機材料を気化させ、これを原料容器に供給されるキャリアガスと混合し、この混合されたガス(有機材料含有ガスと言う)をチャンバに搬送し、基板上に有機材料を付着させている。したがって、キャリアガスを有機材料の気化温度と同等以上の高温に加熱して原料容器に送るとともに、生成された有機材料含有ガスを有機材料の析出温度と同等以上に維持してチャンバに送る必要がある。
この時、仮に有機材料の気化温度よりも低温のキャリアガスが原料容器に供給されると、原料容器内が冷却され、有機材料のガス化が不十分になり、成膜レートが低下したり成膜レートが不安定になる等の不利益を生じる。また、形成された有機膜が劣化したり、有機膜の膜表面が粗くなる等の不利益も生じる。このような不利益は、生成された有機材料含有ガスを原料容器からチャンバに送る時に温度が低下した場合にも同様に生じる。有機材料含有ガスに含まれる有機材料が配管の内壁に析出する恐れがあるからである。
【0007】
そのため、LPOVPD法を用いた成膜装置においては、キャリアガスや有機材料含有ガスが流れる配管自体を加熱するとともに、配管の途中に熱交換器(熱バッファ)を配設し、これにより通過するガスを加熱するようにしている。
熱交換器は、配管に接続されてガスが通過する容器内に例えばボール形状の熱交換促進部品を密に封入し、外部より容器を加熱することにより、熱交換促進部品を介して容器内を通過するガスを加熱する。この熱交換器のガスの流路は、熱交換効率を上げるために、通常、配管部分よりも断面積が広くなるように、すなわち容積が大きくなるように形成されている。このような熱交換器に流入されたガスは、熱交換器内で流速が遅くなり、ゆっくりと熱交換促進部品の間隙を通過し、徐々に加熱される。
なお、これら配管および熱交換器は、外部より、抵抗加熱、誘導加熱、ランプ加熱、オイル加熱等の種々の加熱方式により加熱される。
【0008】
しかしながら、このような従来の熱交換器においては、ガス流路の中心部と周辺部との間に温度差が生じ、すなわち熱交換器内の温度分布が一様ではなく、通過するガスに温度ムラが生じる場合がある。その結果、通過するガスの温度が不安定であったり、全体的としてガスの温度が低下するという問題がある。
また、これに関連して、熱交換器の側壁(配管部)の温度と、熱交換器内部との間に温度差があり、ガスの温度が正確に把握できず、ガスの温度制御が適切に行えないという問題がある。
また、このような熱交換器においては、加熱開始後、温度が一定になるまでに時間がかかり、成膜工程の効率向上の障害となるという問題がある。
したがって、このような熱交換器を用いた成膜装置においては、原料容器やチャンバに供給されるガスの温度制御が適切に行えず、ガスの温度低下や温度ムラが生じる可能性がある。そしてその結果、成膜レートが低下したり成膜レートが不安定になったり、また、形成した膜の質が劣化したり成膜面が粗くなる等の問題が発生する場合がある。
【0009】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、LPOVPD法により薄膜を形成する際のキャリアガスおよび材料ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な薄膜を効率よく形成することのできる成膜装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、LPOVPD法により有機層を形成する際のキャリアガスおよび有機材料含有ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な有機層を有する有機EL素子を効率よく形成することのできる有機EL表示パネルの製造装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の成膜装置は、気化した成膜材料をキャリアガスと混合してチャンバに搬送し、当該チャンバ内に保持された基板に前記成膜材料の膜を形成する成膜装置であって、
前記成膜材料を加熱して気化させ、前記キャリアガスと混合して材料ガスを生成する材料ガス生成手段と、
前記キャリアガスを前記材料ガス生成手段へ搬送する第1の配管と、
前記材料ガスを前記材料ガス生成手段から前記チャンバに搬送する第2の配管と、
前記第1の配管および前記第2の配管の一方または両方に設けられ、前記第1の配管または前記第2の配管と接続されたガス流路を加熱する加熱手段を有する熱交換器と
を有し、前記ガス流路は、前記ガス流路内を通過するガスが当該ガス流路周面に衝突するように、前記ガスの通過方向において折れ曲がって屈曲した形状を有することを特徴とする。
なお、好適な一例としては、前記成膜材料は有機材料であり、基板上に有機膜を形成する。
【0011】
このような構成の成膜装置においては、成膜材料が材料ガス生成手段において気化され、気化された成膜材料が第1の配管を介して供給されるキャリアガスと混合されて材料ガスが生成される。生成された材料ガスは、第2の配管を介してチャンバに搬送され、基板に対して放出される。これにより、基板に所望の材料の膜が形成される。
この時、第1の配管または第2の配管を搬送されるキャリアガスまたは材料ガスは、第1の配管および第2の配管のいずれか一方または両方に設けられている熱交換器のガス流路中を通過する。このガス流路は、通過するガスが流路周面(側面)に衝突しガス流が妨げられるような形状に、すなわち滑らかな曲面ではなく折れ曲がった形状に構成されている。したがって、このガス流路に導入されたキャリアガスまたは材料ガスは、少なくとも屈曲部分ごとにガス流路の周面に突き当り、すなわちガス流路の周面に接触して、乱流となってガス流路を進行する。
その結果、搬送されるガスの各成分は、加熱されているガス流路の流路壁に順次接して直接的に加熱されることとなり、均一にムラ無く加熱される。また、ガス流路形成部材から効率よく熱が伝達されるので、加熱手段における加熱動作に対する搬送されるガスの温度上昇の応答性が良くなり、効率よくガスの加熱が行える。また、これにより、ガス流路の流路壁の温度と内部を流れるガスの温度差が小さくなり、ガスを所望の温度に適切に制御することができる。その結果、高品質で均質な所望の材料の薄膜を効率よく形成することができる。
【0012】
好適には、前記熱交換器の前記ガス流路は、接続される前記第1の配管または前記第2の配管とほぼ同一の断面積を有する。このような構成によれば、熱交換器内のガス流路の内部にまで効率よく熱を伝達することができる。したがって、熱交換器およびこれを通過するガスを、より一層、温度ムラがなく、応答性がよく、所望の温度に適切に制御することができる。
また好適には、前記熱交換器の前記ガス流路の内部に、熱交換促進部品が配置される。そのような構成とすれば、なお一層、熱交換器内部に均一に効率よく熱を伝導することができ、熱交換器を通過するガスを、より一層適切に制御することができる。
【0013】
また好適には、前記第1の配管または前記第2の配管の屈曲部分が、前記熱交換器における前記ガス流路の屈曲部分に対応するように、前記熱交換器を、前記第1の配管または前記第2の配管の前記屈曲部分に配設する。このような構成によれば、成膜装置内の空間を有効に利用して熱交換器を配設することができ、成膜装置を小型にすることができる。
なお、好適な一例としては、前記熱交換器には、前記ガス流路の対向する周面より前記ガス流路内部に交互に突出する障害板が形成してあり、前記障害板の内部に前記加熱部材が埋設してある。
【0014】
また、本発明の有機EL素子の製造装置は、1以上の有機層を有する有機EL素子の製造装置であって、
前記有機層を形成する有機材料を加熱して気化させ、キャリアガスと混合して有機材料含有ガスを生成する有機材料含有ガス生成手段と、
少なくとも大気圧以下の減圧状態に維持することが可能なチャンバと、
前記キャリアガスを前記有機材料含有ガス生成手段に搬送する第1の配管と、
前記有機材料含有ガスを前記チャンバに搬送する第2の配管と、
前記有機材料含有ガスが吹き付けられて前記有機層が形成されるように、前記チャンバ内において前記基板を保持する基板保持手段と、
前記第1の配管および前記第2の配管の一方または両方に設けられ、当該第1の配管または当該第2の配管と接続されるガス流路を加熱する加熱手段を有する熱交換器とを有し、
前記ガス流路は、当該ガス流路内を通過するガスが当該ガス流路周面に衝突するように、前記ガスの通過方向において折れ曲がって屈曲した形状を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態においては、有機EL素子を発光素子として有する有機ELパネルの製造装置であって、特に、LPOVPD法により、基板上に有機層を順次形成する有機膜形成装置を例示して本発明を説明する。
【0016】
まず、本実施形態の有機膜形成装置によって製造される有機EL素子の構成について図1を参照して簡単に説明する。
図1は、その有機EL素子の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、有機EL素子1は、ガラス基板2上に、陽極3、有機層4、陰極9および封止膜10が順次積層されて構成される。有機層4は、正孔(ホール)を発光層6に輸送する正孔輸送層5、発光する有機発光層6、および、電子を有機発光層6に輸送する電子輸送層7を有する。
【0017】
このような有機EL素子1においては、陽極3と陰極9との間に直流電圧を印加することにより、正孔は陽極3から正孔輸送層5を経て有機発光層6に注入され、電子は陰極9から電子輸送層7を経て有機発光層6に注入される。その結果、注入された正孔および電子の結合により有機発光層6内の蛍光分子が励起され発光現象が生じる。
この際、有機発光層6に含まれる有機発光材料(蛍光物質)を変えることにより、赤(R)、緑(G)、青(B)を発光する有機EL素子が形成される。したがって、ガラス基板2上にR、G、B3色の有機EL素子を所定のパターンでマトリクス状に2次元配列することによりカラー有機ELパネルが製造され、各有機EL素子を選択的に発光させることによりフルカラー表示が行われる。
【0018】
カラー有機ELパネルを製造するための各色の有機EL素子の配置は、パターニング成膜によって実現できる。パターニング成膜は、所定の成膜パターンに対応して開口が設けられているマスクを、有機層形成面を覆うようにガラス基板2と密着させて配置し成膜を行うものである。各色に対応した複数種類のマスクを用意して有機発光層6の成膜を順番に行うことにより、結果として複数の有機EL素子1を所望の配列で配置することができる。
【0019】
次に、LPOVPD法により有機層4を形成する有機膜形成装置の一例を、図2および図3を参照して説明する。
図2は、その有機膜形成装置の構成を示す図である。
有機膜形成装置100は、配管部200およびチャンバー部300を有する。
【0020】
配管部200は、LPOVPD法により有機層を形成するために、気化した有機材料をキャリアガスに混合して有機材料含有ガスを生成し、チャンバー部300のチャンバー310の内部に放出する。
配管部200は、キャリアガス供給源211、キャリアガス供給用配管(第1の配管)212、バルブ215、流量コントローラー217、キャリアガス配管加熱ヒーター219、熱交換器230、有機原料容器(材料ガス生成手段)240、原料加熱ヒーター242、原料容器圧力計244、原料ガス温度センサー246、有機ガス供給用配管(第2の配管)251、バルブ253、有機ガス配管加熱ヒーター255、有機ガス温度センサー257、ガスノズル259およびヒーター制御回路261を有する。
【0021】
なお、本実施形態の配管部200は、有機原料容器240およびこれに付随して設けられる流量コントローラー217からガスノズル259までの一連の構成部を複数(n個)有する。これにより有機膜形成装置100は、n種類までの有機材料を同時にチャンバー310に供給し有機膜を形成したり、チャンバー310の環境を維持した状態で複数の有機膜を順次形成することができる。
なお、以下の説明において、キャリアガス供給用配管212の一部からガスノズル259に至る1つの有機材料含有ガスを供給するための一連の構成を、1つの有機材料含有ガスの供給系という。また、各々複数具備される各構成部は、例えば熱交換器230−1〜230−nのように添字を付した符号で示すが、その個々に共通な内容を説明する際には、熱交換器230−i(i=1〜n)または単に熱交換器230と示す場合もある。
【0022】
キャリアガス供給源211は、アルゴンガス(Ar)や窒素ガス(N2)等の不活性ガスを、キャリアガスとしてキャリアガス供給用配管212を介して有機原料容器240−1〜240−nに供給する。
キャリアガス供給用配管212は、キャリアガスをキャリアガス供給源211より有機原料容器240に搬送するための管である。その管の内径は、例えば6.35mm(1/4インチ)であり、その管の壁の厚さは、例えば約2mmである。
キャリアガス供給用配管212のキャリアガス供給源211との接続部の直後には、バルブ215が設けられている。バルブ215は、配管部200全体に対するキャリアガスの供給を開始または停止するバルブであり、図示せぬ有機膜形成装置100の制御部からの制御信号に応じて開閉される。
バルブ215の下流において、キャリアガス供給用配管212は、n個の有機原料容器240−1〜240−nに対応してn個に分岐している。n個の有機原料容器240−1〜240−nには、この分岐した配管212−1〜212−nを介してキャリアガスが供給される。
【0023】
分岐した各キャリアガス供給用配管212−i(i=1〜n)には、流量コントローラー217−i、キャリアガス配管加熱ヒーター219−iおよび熱交換器230−iが設けられる。
流量コントローラー217−iは、通過させるキャリアガスの量、すなわち有機原料容器240−iに供給するキャリアガスの量を調整する。なお、その有機原料容器240−iを用いて有機材料含有ガスの供給を行わない場合には、流量コントローラー217−iはバルブの役目をして、下流にキャリアガスを流さないようにする。
キャリアガス配管加熱ヒーター219−iは、後述するヒーター制御回路261により制御され、流量コントローラー217−iから有機原料容器240−iまでのキャリアガス供給用配管212−iを加熱する。これにより、キャリアガス供給用配管212−i内を流れるキャリアガスも加熱される。
【0024】
熱交換器230−iは、キャリアガス供給用配管212−iの有機原料容器240−iの直前に設けられ、キャリアガスを所定の温度に加熱する。
熱交換器230−iについて、図3を参照して詳細に説明する。
図3に示すように、熱交換器230−iは、ガス流路形成部材231−i、熱交換ボール(熱交換促進部品)233−i、加熱部材(加熱手段)234−iおよび温度センサー235−iを有する。
【0025】
ガス流路形成部材231−iは、熱交換器230−i内においてキャリアガスを通過させるガス流路232−iを形成する。
ガス流路232−iは、両端がキャリアガス供給用配管212−iに接続されており、上流のキャリアガス供給用配管212−iより流入されるキャリアガスを通過させ、下流のキャリアガス供給用配管212−iに送出する。
また、図3に示すように、ガス流路232−iには、非曲線的に折れ曲がった屈曲箇所が複数設けられている。具体的には、ガス流路232−iは、第1および第2の屈曲個所236−i,237−iにおいてほぼ直角に折れ曲がり、第3および第4の屈曲箇所238−i,239−iにおいて鈍角ながらも非曲線的に折れ曲がっている。
また、ガス流路形成部材231−iのガス流路232−iは、キャリアガス供給用配管212−iとほぼ同じ口径(内径6.35mm)、すなわちほぼ同じ断面積を有する。なお、ガス流路形成部材231−iの壁厚は約2mmである。
【0026】
ガス流路形成部材231−iにおけるガス流路232−iには、熱交換ボール233−iが収容される。熱交換ボール233−iは、ガス流路形成部材231−iの熱をガス流路232−iの内部に効率よく伝導し、ガス流路232−i内を通過するキャリアガスに効率よく熱を伝えるための部材である。熱交換ボール233−iは、例えば粒径が1〜2mmのアルミニウムまたはアルミニウム合金の球形部材であり、ガス流路232−i内の全体にお互いに密着して配置される。
【0027】
加熱部材234−iは、後述するヒーター制御回路261により制御され、熱交換器230−i内のガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面を所望の温度に加熱する。これにより、ガス流路232−iを流れるキャリアガスも加熱される。
温度センサー235−iは、ガス流路232−iの周面たるガス流路形成部材231−iの温度を検出するセンサーである。検出結果は、ヒーター制御回路261に出力され、加熱部材234−iの制御に用いられる。
【0028】
このような構成の熱交換器230−iにおいては、加熱部材234−iによりガス流路232−iの周面を構成するガス流路形成部材231−iが加熱され、これによりガス流路232−i内を通過するキャリアガスが加熱される。また、ガス流路形成部材231−iに伝導された熱は、熱交換ボール233−iを介してガス流路232−i内部にまで伝わることとなり、この熱交換ボール233−iによってガス流路232−iの内部においても、キャリアガスが加熱される。また、前述したように、熱交換器230−iのガス流路232−iは、非曲線的な屈曲箇所を複数有する。したがって、ガス流路232−iを通過するキャリアガスは、各屈曲箇所においてガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面(側面)に衝突して流れることとなる。また、その屈曲箇所においてキャリアガスの流れは乱流となる。したがって、キャリアガスのより多くの部分がガス流路形成部材231−iに接触し、ガス流路形成部材231−iから直接的に加熱されることとなり、キャリアガスは効率よく加熱される。
【0029】
また、熱交換器230−i内のガス流路232−iは、その口径がキャリアガス供給用配管212−iとほぼ同じ大きさに維持されて比較的小さく抑えられている。したがって、ガス流路232−i内において温度分布にムラが少なく、均一にガスが加熱される。また、その結果、加熱部材234−iの加熱温度、温度センサー235−iにより検出される温度およびガス流路232−iの実際の温度等の温度差をほぼなくすことができ、適切な温度制御が可能となる。
【0030】
図2に示す有機原料容器240−iは、収容される有機原料を気化させキャリアガスと混合するための容器であり、また、原料加熱ヒーター242−iは、有機原料容器240−iを加熱するヒーターである。有機原料容器240−iは、原料加熱ヒーター242−iにより内部が数百度程度になるまで加熱される。これにより、予め収容されている有機EL原料が気化する。気化した有機原料は、キャリアガス供給用配管212−iを介して供給されるキャリアガスと混合されて有機材料含有ガスが生成され、有機ガス供給用配管251−iを介してチャンバー310に送出される。
原料容器圧力計244−iは、有機原料容器240−i内の圧力を検出するセンサーであり、原料ガス温度センサー246−iは、有機原料容器240−i内のガスを検出するセンサーである。原料容器圧力計244−iおよび原料ガス温度センサー246−iによる検出結果は、図示せぬ有機膜形成装置100の制御部に入力され、この有機材料含有ガスの供給系の各部の制御に供される。
【0031】
有機ガス供給用配管251−iは、有機原料容器240−iにおいて生成された有機材料含有ガスをチャンバー310に搬送する配管である。
有機ガス供給用配管251−iには、この有機材料含有ガス供給系から、すなわち有機原料容器240−iからの有機材料含有ガスの供給を制御するバルブ253−iが配置されており、図示せぬ有機膜形成装置100の制御部からの制御信号に応じて開閉される。
また、有機ガス供給用配管251−iには、有機ガス配管加熱ヒーター255−iおよび有機ガス温度センサー257−iが設けられている。有機ガス温度センサー257−iにより検出した有機ガス供給用配管251−iの温度に基づいて、ヒーター制御回路261が有機ガス配管加熱ヒーター255−iを制御し、有機ガス供給用配管251−iは所定の高温状態に維持される。これにより、有機原料容器240−iからチャンバー310までの間で有機材料含有ガスの温度が低下し、有機材料が配管途中で析出するのを防ぐことができ、有機材料は適切に気相状態に維持されチャンバー310に輸送される。
【0032】
ガスノズル259−iは、有機ガス供給用配管251−iを介して輸送された有機材料含有ガスをチャンバー310内に放出する放出口である。ガスノズル259−iは、他の有機材料含有ガスの供給系のガスノズルとともに並べられて、チャンバー310の側面に配置される。そして、基板面が鉛直方向となり膜形成面がガスノズル259−iを指向する状態に基板ホルダーに保持されている基板400の膜形成面に垂直な方向から有機材料含有ガスを均一に吹き付ける。
【0033】
チャンバー部300は、成膜対象の基板400に膜形成のための環境を提供する構成部であって、チャンバーおよびその周辺処理部を有する。チャンバー部300は、チャンバー310、チャンバー圧力計312、排気口314、基板ホルダー320、ホルダー移動機構322、水冷管324および真空排気装置330を有する。
【0034】
チャンバー310は、基板400を所定の減圧環境あるいは真空環境におき成膜を行うための真空室である。
チャンバー310の中央部には、基板400を保持する基板ホルダー320が設けられている。基板ホルダー320は、基板載置面に垂直な方向のスライド移動および基板載置面に平行な面内の回転が可能なように、ホルダー移動機構322により支持されている。
また、その基板ホルダー320およびホルダー移動機構322には、冷却水が循環される水冷管324が設けられている。これにより、基板ホルダー320の基板保持面が冷却され、基板400自体も冷却される。
チャンバー310の側面には、前述した配管部200のn個のガスノズル259−i〜259−iが設けられる。また、チャンバー310の他の側面または底面には、真空排気装置330の排気口314が設けられる。
また、チャンバー310には、チャンバー310内の圧力、すなわち真空度を検出するためのチャンバー圧力計312が設けられる。
【0035】
なお、これら有機膜形成装置100の各構成部は、適切にLPOVPD法による薄膜形成が行われるように、図示せぬ制御部により制御されている。具体的には、バルブ215の開閉、流量コントローラー217−1〜217−nによるキャリアガス流量の制御、キャリアガス配管加熱ヒーター219−1〜219−nによるキャリアガス供給用配管212−1〜212−nの加熱、熱交換器230−1〜230−nの加熱部材234−1〜234−nによるガス流路232−1〜232−nの加熱、原料加熱ヒーター242−1〜242−nによる有機原料の加熱、バルブ253−1〜253−nの開閉、有機ガス配管加熱ヒーター255−1〜255−nによる有機ガス供給用配管251−1〜251−nの加熱、ホルダー移動機構322による基板ホルダー320のスライド移動および回転、および、真空排気装置330によるチャンバー310の真空排気等が、いずれもこの制御部により制御される。
【0036】
次に、このような構成の有機膜形成装置100の動作について説明する。
有機膜形成装置100において成膜を行う場合、まず、基板ホルダー320に成膜対象の基板400を載置する。この時、基板400の膜形成面に、膜を形成したい箇所のみが開口されたマスクを密着させておくことにより、所望のパターンの膜を形成することができる。本実施形態においては、陽極が形成されたガラス基板に、有機層を形成する部分のみに開口が形成されたマスクを密着させて、基板ホルダー320に装着する。
有機原料容器240−1〜240−nには、有機層を形成するための有機材料を投入する。本実施形態においては、図1に示したように、正孔輸送層5、有機発光層6および電子輸送層7の3つの有機層を順に形成する。また、これらの有機層の各々は、1つまたは複数の有機材料を用いて形成される。したがって、これら3つの有機層を形成するのに必要な、例えば10種類程度の有機材料が、有機原料容器240−1〜240−nに各々投入される。
【0037】
次に、真空排気装置330を動作させ、チャンバー310内の空気を排気してチャンバー310を真空にする。この時の真空度は、LPOVPD法による薄膜形成が可能な程度の数十Pa〜104Pa程度(0.数Torr〜数十Torr程度)でよい。
チャンバー111が所定の真空状態となったら、最初に形成する正孔輸送層に必要や有機原料が投入されている有機材料含有ガス供給系の有機原料容器240−iを原料加熱ヒーター242−iにより加熱し、有機原料容器240−iに収容されている有機原料を気化させる。また、キャリアガス配管加熱ヒーター219−iによるキャリアガス供給用配管212の加熱、熱交換器230−iの加熱部材234−iによるガス流路形成部材231の加熱、有機ガス配管加熱ヒーター255−iによる有機ガス供給用配管251−iの加熱も同時に開始する。
【0038】
この時、熱交換器230−iにおいては、加熱部材234−iによりガス流路232−iの周面を構成するガス流路形成部材231−iが加熱され、これによりガス流路232−i内に配置された熱交換ボール233−iも加熱される。ガス流路232−iの口径は比較的小さいので、熱は比較的短時間でガス流路232−iの全域にわたって伝達される。その結果、ガス流路形成部材231により形成されるガス流路232−iは、一様な分布で所望の温度に設定される。
【0039】
そして、その有機層を形成するための全有機材料含有ガスの供給系において、各配管212−i,251−iおよび熱交換器230−iが所望の温度となり、有機原料容器240−i内の有機原料が気化され始めたら、有機膜の形成を開始する。すなわち、バルブ215を開け、流量コントローラー217−iを動作させて、キャリアガス供給源211から有機原料容器240−iへのキャリアガスの供給を開始する。キャリアガスは、流量コントローラー217−iにおいて各有機原料に対応してその流量がコントロールされ、熱交換器230−iにおいて例えば200℃等の所定の温度に加熱されて、有機原料容器240−iに供給される。
【0040】
この時、熱交換器230−iにおいては、ガス流路232−iを通過するキャリアガスは、ガス流路232−iの周面たるガス流路形成部材231−iおよび熱交換ボール233−iにより加熱される。その際、熱交換器230−iのガス流路232−iは、前述したように非曲線的な屈曲箇所を複数有する。したがって、熱交換器230−iに導入されたキャリアガスは、各屈曲箇所においてガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面(側面)に衝突しながら、乱流となってガス流路232−i内を通過する。したがって、キャリアガスのより多くの部分がガス流路形成部材231−iや熱交換ボール233−iに接触し、ガス流路形成部材231−iから直接的に加熱されることとなり、キャリアガスは効率よく加熱される。
【0041】
有機原料容器240−iに供給されたキャリアガスは、有機原料容器240−i内において気化された有機原料と混合され、有機材料含有ガスが生成される。その有機層を形成するための全ての有機材料含有ガス供給系において、有機原料容器240−iにおいて有機材料含有ガスが生成され、所定の圧力となったら、有機ガス供給用配管251−iのバルブ25−i3が開放される。その結果、生成された有機材料含有ガスが、ガスノズル259−iからチャンバー310に放出される。
また、ガスノズル259−iからの有機材料含有ガスの放出が開始されたら、基板ホルダー320はホルダー移動機構322により回転される。これにより、放出された有機材料含有ガスは基板400の膜形成面に均一に吹き付けられる状態となり、基板400の膜形成面に徐々に有機原料が付着堆積し、有機膜が形成される。
所望の厚さの有機膜が形成された後、バルブ253−iおよびバルブ215−iが閉じられ、流量コントローラー217−iもキャリアガスの送出を停止し、有機材料含有ガスのチャンバー310への放出が停止される。またこれに合わせて、原料加熱ヒーター242−iによる有機原料容器240−iの加熱も停止し、最初の有機膜の形成が終了する。
【0042】
最初の有機層、すなわち正孔輸送層5の形成が終了したら、引き続いて同様の成膜処理を行い、有機発光層6の形成を行う。
すなわち、有機発光層6の形成に必要や有機原料が投入されている有機材料含有ガス供給系の有機原料容器240−iを原料加熱ヒーター242−iにより加熱して有機原料を気化させる。これを、流量コントローラー217−iおよび熱交換器230−iにより流量および温度が制御されたキャリアガスと混合して有機材料含有ガスを生成し、チャンバー310に供給する。その結果、基板400の膜形成面に有機原料が付着堆積し、有機発光層6が形成される。
さらに、有機発光層6の形成が終了したら、引き続いて同様の成膜処理を行い、電子輸送層7の形成を行う。
その結果、正孔輸送層5、有機発光層6および電子輸送層7を有する有機層4が形成される。
なお、有機層4が形成された基板400に対して、図示せぬ別の真空蒸着装置により陰極9および封止膜10をさらに形成することにより、図1に示した有機EL素子1が形成される。
【0043】
このように、本実施形態の有機膜形成装置100においては、前述したように、熱交換器230−iのガス流路232−iが、非曲線的な屈曲箇所を複数有する。したがって、ガス流路232−iを通過するキャリアガスは、各屈曲箇所においてガス流路形成部材231−i、すなわちガス流路232−iの周面(側面)に衝突して流れることとなる。また、その屈曲箇所においてキャリアガスの流れは乱流となる。したがって、キャリアガスのより多くの部分がガス流路形成部材231−iに接触し、ガス流路形成部材231−iから直接的に加熱されることとなり、キャリアガスは効率よく加熱される。
【0044】
また、熱交換器230−i内のガス流路232−iは、その口径がキャリアガス供給用配管212−iとほぼ同じ大きさに維持されて比較的小さく抑えられている。
したがって、その点においても、ガス流路232−iの内部にまで短時間で熱が伝わることとなる。
また、熱交換器230−iにおいては、ガス流路232−i内に熱交換ボール23−i3が密に配設されている。したがって、ガス流路形成部材231−iに伝導された熱は、熱交換ボール233−iを介して急速にガス流路232−i内部にまで伝わることとなり、また、この熱交換ボール233−iによってガス流路232−iの内部においても、キャリアガスが加熱されることとなる。
【0045】
以上より、熱交換器230内においては、ガス流路232内の温度分布にムラがなく、均一にキャリアガスの加熱が行われる。また、その結果、加熱部材234の加熱温度、温度センサー235により検出されるガス流路形成部材231の温度およびガス流路232の実際の温度等の温度差をほぼなくすことができ、適切な温度制御が可能となる。また、応答性よく温度の制御が可能となる。
【0046】
次に、本実施形態の有機膜形成装置100の熱交換器230の特徴について、比較例をもって説明する。
比較対象として、図4に示すように、配管部分よりも口径が大きく、したがって容積が大きく、また、直線的なガス流路が形成される熱交換室を有する熱交換器530を想定する。熱交換器530の熱交換室の口径は、10mm〜15mmである。熱交換ボール233を具備する点等その他の条件は、本実施形態の熱交換器230と同一である。
【0047】
このような、比較対象の熱交換器530および本実施形態の熱交換器230の各温度特性を図5に、またその比較結果を図6に示す。
図5(A)は図4に示した比較対象の熱交換器530の温度特性を示す図であり、図5(B)は、本実施形態の熱交換器230の温度特性を示す図である。図5(A)および図5(B)において、特性a1およびa2は、380℃のガスを2000sccm(standard cm3/min:標準状態での流量)で熱交換器に流した場合の配管部(ガス流路形成部材)の温度変化を示し、特性b1およびb2は、その場合に出力されるガスの温度変化を示す。また、特性c1およびc2は、配管部とガスの温度差を示す。
また、図6は、図5(A)に示した特性c1および図5(B)に示した特性c2とを拡大して示した図である。
【0048】
図5および図6より明らかなように、比較対象の熱交換器530においては、数時間経過後も、配管部の温度(設定温度)と実際の出力ガスの温度に20℃近い差がある。しかし、本実施形態の熱交換器230においては、3時間経過後は、配管部の温度(設定温度)と実際の出力ガスの温度とは最大でも5℃程度の差であり、4時間経過後はほぼ同一になっている。
したがって、本実施形態の熱交換器230の構成は、温度分布を一様にし、ガスの温度を一定にするのに非常に有効であることがわかる。
【0049】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって本発明を何ら限定するものではない。
例えば、本発明に係る熱交換器の構成は、図2を参照して説明した構成に限られるものではない。好適な他の具体例としては、図7に示すような構成の熱交換器430であってもよい。図7に示す熱交換器430は、ガス流路形成部材431により形成される前後の配管よりも若干口径の大きい熱交換室に、ガスが流れる障害となるような邪魔板(障害板)436を対向するガス流路形成部材431より交互に設けたものである。これにより、順次直角に折れ曲がったジグザグ形状で、その断面積は配管とほぼ等しいガス流路432が形成される。このような場合、図7に示すように、邪魔板436内にも、加熱部材434を配設するようにしておけば、より熱を効率よく熱交換器430内部に伝えることができ効果的である。
また、ガス流路232が高さ方向にもさらに非曲線的に折れ曲がったような、3次元的に構成されているものであってもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、熱交換器がキャリアガス供給用配管に設けられた場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、有機材料含有ガスを有機原料容器240からチャンバー310に搬送する有機ガス供給用配管251の途中に、有機材料含有ガスを高温状態に維持するために設けてもよい。また、キャリアガス供給用配管212と有機ガス供給用配管251の両方に設けるようにしてもよい。
また、熱交換器230のガス流路232に収容する熱交換促進部品の大きさ、形状等も、任意に設定して良い。熱交換ボール233の粒径が大きくなると熱交換効率が低下し、小さくなると流路抵抗が大きくなる傾向にある。熱交換ボール233の大きさや形状は、これら熱交換効率や流路抵抗を考慮して、適宜好適な形状、大きさに決定してよい。また、熱交換器230の内部に収容される熱交換促進部品としては、熱交換ボール233に限定されず、その他の熱交換促進部品であっても良い。
【0051】
また、本実施形態においては、有機層4は前述したような3つの層により形成されているが、これに限定されものではない。任意の材料を用いた任意の数の層を形成し、発光部たる有機層4を形成してよい。
また、有機層4の周囲の電極層や、基板、封止層等の構成も、本実施形態の構成に限定されるものではなく任意に変更してよい。
また、本実施形態においては、有機ELパネルの有機EL素子を形成する装置を例示したが、例えば有機半導体レーザーに用いられる有機EL素子を形成する装置等、有機EL素子を形成する任意の装置に適用可能である。
また、本実施形態においては、有機EL素子を形成する装置および方法を例示して本発明を説明したが、本発明は、何ら製造する装置を限定されるものではない。本発明は、LPOVPD法により所望の膜を形成する任意の装置に適用可能である。
【0052】
【発明の効果】
このように、本発明によれば、LPOVPD法により薄膜を形成する際のキャリアガスおよび材料ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な所望の材料の薄膜を効率よく形成することのできる成膜装置を提供することができる。
また、LPOVPD法により有機層を形成する際のキャリアガスおよび有機材料含有ガス等のガスの温度を、所望の温度に均一に応答性良く制御し、高品質で均質な有機層を有する有機EL素子を効率よく形成することのできる有機EL素子の製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る有機EL素子の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態の有機膜形成装置の構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示した有機膜形成装置の熱交換器の構成を示す図である。
【図4】図4は、図3に示した熱交換器と特性を比較するための他の熱交換器の構成を示す図である。
【図5】図5は、図3に示した熱交換器と図4に示した熱交換器の温度特性を示す図である。
【図6】図6は、図3に示した熱交換器と図4に示した熱交換器の温度特性の差を示す図である。
【図7】図7は、図3に示した本発明に係る熱交換器の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1…有機EL素子、2…ガラス基板、3…陽極、4…有機層、5…正孔輸送層、6…有機発光層、7…電子輸送層、9…陰極、10…封止膜、100…有機膜形成装置、200…配管部、211…キャリアガス供給源、212…キャリアガス供給用配管、215…バルブ、217…流量コントローラー、219…キャリアガス配管加熱ヒーター、230…熱交換器、231…ガス流路形成部材、232…ガス流路、233…熱交換ボール、234…加熱部材、235…温度センサー、240…有機原料容器、242…原料加熱ヒーター、244…原料容器圧力計、246…原料ガス温度センサー、251…有機ガス供給用配管、253…バルブ、255…有機ガス配管加熱ヒーター、257…有機ガス温度センサー、259…ガスノズル、300…チャンバー部、310…チャンバー、312…チャンバー圧力計、314…排気口、320…基板ホルダー、322…ホルダー移動機構、324…水冷管、330…真空排気装置、400…有機層、430…熱交換器、431…ガス流路形成部材、432…ガス流路、434…加熱部材、436…邪魔板、530…比較対象の熱交換器
Claims (11)
- 気化した成膜材料をキャリアガスと混合してチャンバに搬送し、当該チャンバ内に保持された基板に前記成膜材料の膜を形成する成膜装置であって、
前記成膜材料を加熱して気化させ、前記キャリアガスと混合して材料ガスを生成する材料ガス生成手段と、
前記キャリアガスを前記材料ガス生成手段へ搬送する第1の配管と、
前記材料ガスを前記材料ガス生成手段から前記チャンバに搬送する第2の配管と、
前記第1の配管および前記第2の配管の一方または両方に設けられ、前記第1の配管または前記第2の配管と接続されたガス流路を加熱する加熱手段を有する熱交換器とを有し、
前記ガス流路は、前記ガス流路内を通過するガスが当該ガス流路周面に衝突するように、前記ガスの通過方向において折れ曲がって屈曲した形状を有することを特徴とする成膜装置。 - 前記熱交換器の前記ガス流路は、接続される前記第1の配管または前記第2の配管とほぼ同一の断面積を有する請求項1に記載の成膜装置。
- 前記熱交換器の前記ガス流路の内部に、熱交換促進部品が配置される
請求項1または2に記載の成膜装置。 - 前記熱交換器には、前記ガス流路の対向する周面より前記ガス流路内部に交互に突出する障害板が形成してあり、
前記障害板の内部に前記加熱部材が埋設してある
請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記第1の配管または前記第2の配管の屈曲部分が、前記熱交換器における前記ガス流路の屈曲部分に対応するように、前記熱交換器を、前記第1の配管または前記第2の配管の前記屈曲部分に配設する
請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記成膜材料は有機材料であり、前記基板に有機膜を形成する
請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置。 - 1以上の有機層を有する有機EL素子の製造装置であって、
前記有機層を形成する有機材料を加熱して気化させ、キャリアガスと混合して有機材料含有ガスを生成する有機材料含有ガス生成手段と、
少なくとも大気圧以下の減圧状態に維持することが可能なチャンバと、
前記キャリアガスを前記有機材料含有ガス生成手段に搬送する第1の配管と、
前記有機材料含有ガスを前記チャンバに搬送する第2の配管と、
前記有機材料含有ガスが吹き付けられて前記有機層が形成されるように、前記チャンバ内において前記基板を保持する基板保持手段と、
前記第1の配管および前記第2の配管の一方または両方に設けられ、当該第1の配管または当該第2の配管と接続されるガス流路を加熱する加熱手段を有する熱交換器とを有し、
前記ガス流路は、当該ガス流路内を通過するガスが当該ガス流路周面に衝突するように、前記ガスの通過方向において折れ曲がって屈曲した形状を有することを特徴とする有機EL素子の製造装置。 - 前記熱交換器の前記ガス流路は、接続される前記第1の配管または前記第2の配管とほぼ同一の断面積を有する
請求項7に記載の有機EL素子の製造装置。 - 前記熱交換器の前記ガス流路の内部に、熱交換促進部品が配置される
請求項7または8に記載の有機EL素子の製造装置。 - 前記第1の配管または前記第2の配管の屈曲部分が、前記熱交換器における前記ガス流路の屈曲部分に対応するように、前記熱交換器を、前記第1の配管または前記第2の配管の前記屈曲部分に配設する
請求項7〜9のいずれかに記載の有機EL素子の製造装置。 - 前記熱交換器には、
前記ガス流路の対向する周面より前記ガス流路内部に交互に突出する障害板が形成してあり、
前記障害板の内部に前記加熱部材が埋設してある
請求項7〜10のいずれかに記載の有機EL素子の製造装置。
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