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JP2004210437A - 紙送りロール用ゴム架橋物、紙送りロール用ゴム組成物、紙送りロール、画像形成装置および紙送り装置 - Google Patents

紙送りロール用ゴム架橋物、紙送りロール用ゴム組成物、紙送りロール、画像形成装置および紙送り装置 Download PDF

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JP2004210437A
JP2004210437A JP2002379790A JP2002379790A JP2004210437A JP 2004210437 A JP2004210437 A JP 2004210437A JP 2002379790 A JP2002379790 A JP 2002379790A JP 2002379790 A JP2002379790 A JP 2002379790A JP 2004210437 A JP2004210437 A JP 2004210437A
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JP
Japan
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paper feed
feed roll
rubber composition
mass
rubber
Prior art date
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Application number
JP2002379790A
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English (en)
Inventor
Takuo Matsumura
拓夫 松村
Takashi Nakazato
貴仕 中里
Akitoshi Tawara
章年 田原
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

【課題】紙送りロールに求められる摩擦係数とその維持性を保持・向上させながら、耐摩耗性を高めた紙送りロール用ゴム架橋物、およびそれを得るのに適した紙送りロール用ゴム組成物を提供すること。また、安定した紙送り特性を長期間維持することが出来る紙送りロール、および画像形成装置並びに紙送り装置を提供すること。
【解決手段】少なくともポリマーおよび補強性充填剤を含み、前記ポリマーがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とし、これが硫黄により加硫されてなる紙送りロール用ゴム架橋物であって、動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPaの範囲内であり、かつ、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下であることを特徴とする紙送りロール用ゴム架橋物、それを得るのに適した紙送りロール用ゴム組成物、これらにより成形される紙送りロール、およびこれを用いた画像形成装置並びに紙送り装置である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、OHP用紙等シート状の被記録材に記録画像を形成しつつ、該被記録材をその水平方向に搬送し、最終的に外部に排出する構成を有する画像形成装置において、その被記録材の搬送または排出に際し、被記録材を積極的に搬送する、あるいはその搬送を補助する紙送りロールに供されるゴム架橋物およびゴム組成物、並びに前記ゴム架橋物を用いた紙送りロールおよび画像形成装置に関するものである。
また、本発明の紙送りロール用ゴム架橋物からなる紙送りロールは、画像形成装置に限らず、用紙を搬送する機構を有する各種装置における紙送り装置にも適用可能であり、かかる紙送り装置にも関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−151958号公報
【特許文献2】
特開2000−118742号公報
【特許文献3】
特開平11−199725号公報
【特許文献4】
特開2001−171851号公報
【特許文献5】
特開平10−114845号公報
【特許文献6】
特開平7−242779号公報
【0003】
電子写真装置、静電記録装置、インクジェット記録装置、その他各種複写機、印刷機、ファクシミリ、プリンターを含むOA機器や、自動預金支払機の利用明細票の発行機、切符等の自動発券機等、シート状の被記録材に画像を形成する機構を含む画像形成装置においては、紙等の被記録材に画像を形成する各工程間を搬送するために、該被記録材を挟み込みつつ送り出す紙送りロールが用いられている。かかる紙送りロールは、前記被記録材を滑らせることなくしっかり保持するべく、弾性を有するゴム材料で構成されている。
【0004】
紙送りロール用のゴム材料には、安定した搬送性の確保および維持の観点から、高い耐摩耗性と摩擦係数、さらにこれらの維持性が求められている。また、前記画像形成装置の中でも、電子写真装置や静電記録装置では、画像形成装置内でオゾンが発生するので、これに用いる紙送りロールのゴム材料には、特に耐オゾン性も求められる。
【0005】
従来、この種の紙送りロール用ゴム材料としては、耐摩耗性と耐オゾン性とに優れ、かつ、低コストなエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)を主成分とするものが用いられてきた。しかし、長期にわたって紙送り特性を維持させるには、さらに耐摩耗性および摩擦係数維持性をより一層高める必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような紙送りロールの弾性体層の耐摩耗性を向上させる手法として、補強性充填剤としてのカーボンブラックを増量したりすることによる硬度アップが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、この手法では、ゴムの硬度が高くなって、紙との接触面積が減少し、摩擦係数(粘着摩擦力)が低下してしまうという問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、紙送りロールに求められる摩擦係数とその維持性を保持・向上させながら、耐摩耗性を高めた紙送りロール用ゴム架橋物、およびそれを得るのに適した紙送りロール用ゴム組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、安定した紙送り特性を長期間維持することが出来る紙送りロール、およびそれを用いた画像形成装置並びに紙送り装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 少なくともポリマーおよび補強性充填剤を含み、前記ポリマーがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とし、これが硫黄により架橋されてなる紙送りロール用ゴム架橋物であって、
動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPaの範囲内であり、かつ、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下であることを特徴とする紙送りロール用ゴム架橋物である。
【0009】
<2> ポリマーと、加硫剤と、補強性充填剤と、を含む紙送りロール用ゴム組成物であって、
前記ポリマーが、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が88以上150以下、かつ、エチレン含量が62質量%以上65質量%以下のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とし、
前記加硫剤が硫黄であり、
さらに軟化剤が含まれる場合に、その総軟化剤量が、10.0質量%以下であることを特徴とする紙送りロール用ゴム組成物である。
【0010】
<3> 含まれる総硫黄量が、1.0〜4.0質量%の範囲であることを特徴とする<2>に記載の紙送りロール用ゴム組成物である。
<4> 前記補強性充填剤として、カーボンブラックが配合されることを特徴とする<2>または<3>に記載の紙送りロール用ゴム組成物である。
<5> 前記補強性充填剤の含有量が、15〜40質量%の範囲であることを特徴とする<2>〜<4>のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム組成物である。
【0011】
<6> 前記ポリマーの主成分としてのエチレン−プロピレン−ジエン共重合体のジエン成分含量が、1.9〜8.1質量%の範囲であることを特徴とする<2>〜<5>のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム組成物である。
<7> <2>〜<6>のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム組成物を架橋してなることを特徴とする紙送りロール用ゴム架橋物である。
【0012】
<8> 動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPaの範囲内であり、かつ、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下であることを特徴とする<7>に記載の紙送りロール用ゴム架橋物である。
<9> <1>、<7>および<8>のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム架橋物からなる筒状の弾性体層と、該弾性体層の軸孔に嵌挿されこれを保持する軸芯と、で構成されることを特徴とする紙送りロールである。
【0013】
<10> <1>、<7>および<8>のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム架橋物からなる筒状の弾性体層と、該弾性体層の軸孔に嵌挿されこれを保持する軸芯と、で構成される紙送りロールを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0014】
<11> <1>、<7>および<8>のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム架橋物からなる筒状の弾性体層と、該弾性体層の軸孔に嵌挿されこれを保持する軸芯と、で構成される紙送りロールを備えたことを特徴とする紙送り装置である。
【0015】
本発明の紙送りロール用ゴム架橋物は、動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPaの範囲内であるため適度な硬度を有しており、これにより成形された紙送りロールは、通紙による変形量が小さく抑えられ、耐摩耗性が優れると同時に、通紙時の紙との接触面積が適切に保たれ、必要な摩擦係数が確保される。さらに、本発明の紙送りロール用ゴム架橋物は、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下に抑えられているため、反発弾性が適度に大きく、これにより成形された紙送りロールは、通紙における繰り返し変形による発熱量が小さく抑えられ、かつ、紙粉付着によるゴム表面の凝着力が低下した場合でも、ゴムの変形による反力で、搬送力を保持することが可能となる。このように本発明の紙送りロール用ゴム架橋物は、動的弾性率(E1、30℃)および損失正接(tanδ、30℃)が適切にバランスされているので、これにより成形された紙送りロールは、紙送りロールに求められる摩擦係数とその維持性を保持・向上させながら、耐摩耗性が格段に高められている。
【0016】
このような本発明の紙送りロール用ゴム架橋物を得るのに適した紙送りロール用ゴム組成物は、ポリマーとして用いるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体のムーニー粘度ML1+4(100℃)、および、エチレン含量を適切に規定し、加硫剤として硫黄を用い、かつ、総軟化剤量を抑制している。
【0017】
従来、給紙ロールとして一般的な配合(軟化剤の配合量が多く、充填剤の量が少ない低硬度の配合)領域では、損失正接(tanδ、30℃)を低下する、すなわち耐摩耗性の向上を目的として、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の高ムーニー(ムーニー粘度ML1+4を高める)および高エチレン化が行われてきた。
【0018】
しかし、搬送ロールとして一般的な配合(充填剤の配合量が多い高硬度の配合)領域では、単にエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を高ムーニー・高エチレン化するだけでは、プレス等の加工作業性が低下してしまうため、オイル(軟化剤)の配合量を増やす必要があり、その結果、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体の高ムーニー・高エチレン化を有効に耐摩耗性向上に作用させることができなかった。
【0019】
本発明の紙送りロール用ゴム組成物では、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体のムーニー粘度ML1+4(100℃)、および、エチレン含量を適切に規定し、加硫剤として硫黄を用い、かつ、総軟化剤量を抑制することで、高硬度(動的弾性率(E1)が高め)でも低い損失正接(tanδ)を実現しており、これにより成形された紙送りロールは、紙送りロールに求められる摩擦係数とその維持性を保持・向上させながら、耐摩耗性が格段に高められている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す紙送りロールの正面図である。図1に示すように本実施形態の紙送りロールは、筒状の弾性体層10が、ステンレス鋼等の金属製の軸芯12に嵌挿されて構成されている。この弾性体層10が、本発明の紙送りロール用ゴム組成物を架橋・硬化させた、本発明の紙送りロール用ゴム架橋物で構成されている。
【0021】
本発明の紙送りロール用ゴム架橋物(以下、用途を省略して単に「本発明のゴム架橋物」という場合がある。)を得るには、本発明の紙送りロール用ゴム組成物(以下、同様に単に「本発明のゴム組成物」という場合がある。)を架橋させて架橋物を得ることが好適である。
以下、本発明の紙送りロール用ゴム架橋物および本発明の紙送りロール用ゴム組成物について、併せて詳細に説明する。
【0022】
本発明のゴム架橋物は、少なくともポリマーおよび補強性充填剤を含み、前記ポリマーがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とし、これが硫黄により架橋されてなる紙送りロール用ゴム架橋物であって、動的弾性率(E1、30℃)および損失正接(tanδ、30℃)に関して特定の物性を示すものである。
【0023】
<動的弾性率(E1、30℃)>
本発明のゴム架橋物は、動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPa(4.4×107〜1.0×108dyn/cm2)の範囲内であることを必須要件とする。動的弾性率(E1、30℃)が4.4MPa未満であれば、弾性体層が入力に対して変形し易く、耐摩耗性が低下する。一方、動的弾性率(E1、30℃)が10MPaを超えると、紙との接触面積が少なくなり、摩擦係数が低下する。
【0024】
動的弾性率(E1、30℃)の下限としては、5MPa以上であることが好ましい。一方、動的弾性率(E1、30℃)の上限としては、8.0MPa以下であることが好ましく、7.5MPa以下であることがより好ましい。
【0025】
本発明において、動的弾性率(E1、30℃)の測定は、岩本制作所製の粘弾性測定機(粘弾性スペクトロメーター)を用いて、下記の粘弾性測定条件により測定した。
・試料サイズ:幅4mm、長さ40mm、厚み2mm
・初期歪み:4mm
・周波数:10Hz
・振幅:0.1mm
・測定温度:30℃
【0026】
<損失正接(tanδ、30℃)>
本発明のゴム架橋物は、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下であることを必須要件とする。損失正接(tanδ、30℃)が0.063を超えると、紙送りロールとして使用した場合、繰返し変形時の発熱量が大きく、弾性体層の耐摩耗性が低下する。
【0027】
損失正接(tanδ、30℃)の上限としては、0.060以下であることが好ましく、0.055以下であることがより好ましく、0.050以下であることがさらに好ましい。
一方、損失正接(tanδ、30℃)の下限としては、0.020以上であることが好ましい。弾性体層の損失正接(tanδ、30℃)が0.020未満であれば、弾性体層(図1における10)の衝撃吸収性がほとんど無くなり、紙等の被記録材への追従性、すなわち紙送り性能が低下するとともに、摩擦力を構成する損失摩擦成分が小さくなりすぎるので、好ましくない。
【0028】
本発明において、損失正接(tanδ、30℃)の測定は、岩本制作所製の粘弾性測定機(粘弾性スペクトロメーター)を用いて、下記の粘弾性測定条件により測定した。
・試料: 幅4mm、長さ40mm、厚み2mm
・初期歪み:4mm
・振幅: 0.1mm
・周波数: 10Hz
・温度: 30℃
【0029】
<ポリマー>
本発明のゴム架橋物およびゴム組成物は、ポリマー(ゴム成分)がエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(以下、単に「EPDM」という場合がある。)を主成分とすることを必須要件とする。ここで「主成分」とは、主体的に含まれる成分のことをいい、100質量%であることは勿論、他のポリマーとの混合物(混合ゴム)であっても、50質量%以上であれば主成分と認められる。すなわち、ポリマーのうち50質量%以上がEPDMであれば、本発明においてはEPDMが主成分と認められる。
【0030】
ポリマーとしては、EPDMの割合が80質量%以上であることが望ましく、EPDM単独であることがより望ましい。ポリマー中における他のポリマーの割合が20質量部を越えると、ポリマー間の相溶性および共加硫性が下がり、耐摩耗性が低下するので、好ましくない。
なお、油展グレード等軟化剤(軟化剤の定義については後述する。)が含まれるEPDMを用いた場合には、当該軟化剤分を除くEPDM量を基準に、上記配合割合が計算される。
【0031】
ここで、その他のポリマー(ゴム成分)としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリノルボルネンゴム、ブタジエン−ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリルゴムおよびエピクロルヒドリンゴムなどが挙げられる。
【0032】
用いるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体としては、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が88以上150以下であることが望まれる。この物性条件は、本発明のゴム組成物においては必須である。EPDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)が88未満であれば、ポリマーの分子量が小さく、耐摩耗性が低下する場合があるため好ましくない。一方、EPDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)が150を超えると、特に配合される軟化剤の量が少ない場合、加硫工程(プレス作業)で、ゴムの流れ不良が発生し、所定の形状に成型できないことがあるため好ましくない。
EPDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)の下限としては、90以上であることがより好ましく、100以上であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明において、ムーニー粘度ML1+4(100℃)とは、JIS-K 6200の規定に準じて測定される値である。なお、油展グレード等軟化剤を含むEPDMにおいて、上記ムーニー粘度ML1+4(100℃)は、ベースポリマーの値を意味する。
【0034】
用いるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体としては、エチレン含量が62質量%以上65質量%以下であることが望まれる。この物性条件は、本発明のゴム組成物においては必須である。EPDMのエチレン含量が62質量%未満であれば、ポリマーの主鎖の分子回転性および伸長時の結晶性が低下し、耐摩耗性が低下する場合があるため好ましくない。一方、EPDMのエチレン含量が65質量%を超えると、ポリマー主鎖の結晶性配列が強まり、ゴムとしての柔軟性が失われる場合があるため好ましくない。特に、本発明のゴム組成物のように総軟化剤量が10.0質量%以下と少ない場合には、EPDMのエチレン含量が65質量%を超えると、低温領域において結晶性が高まり、低温領域での動的弾性率が大きくなって摩擦係数の低下が起こる場合がある。
【0035】
用いるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体としては、ジエン成分含量が1.9〜8.1質量%の範囲内であることが望ましい。EPDMのジエン成分含量が1.9質量%未満であれば、架橋密度が低く紙送りロールの弾性体層の圧縮永久歪み特性および耐摩耗性が劣る場合があり、さらに架橋反応点が少ないため架橋速度が遅くなるので、好ましくない。一方、EPDMのジエン成分含量が8.1質量%を超えると、架橋点が多くなり最大伸びが低下し、また、二重結合部位が増えるため耐候性が低下する場合があるので、好ましくない。
【0036】
EPDMのジエン成分含量の下限としては、4.0質量%以上がより好ましい。
一方、EPDMのジエン成分含量の上限としては、7.0質量%以下がより好ましい。
【0037】
また、用いるEPDM中のジエン成分の種類としては、特に制限はないが、架橋速度(加硫速度)が速い点で、エチリデンノルボルネン(ENB)が好ましい。
【0038】
用いるエチレン−プロピレン−ジエン共重合体について、上記各規定(ムーニー粘度ML1+4(100℃)、エチレン含量、ジエン成分含量)をそれぞれ満たすように制御するには、満たそうとする上記規定を満たすEPDMを単独で、あるいは全てが満たす複数のEPDMを混合して用いても構わないが、満たそうとする上記規定を満たさないEPDMを含む複数のEPDMを混合して、その平均が満たそうとする上記規定を満たせばよい。例えば、満たそうとする上記規定がエチレン含量であり、エチレン含量60質量%のEPDMと同67質量%のEPDMとを4:6の質量比で混合した場合、エチレン含量の平均は64.2質量%となり、本発明に規定するエチレン含量を満たすと判断される。
EPDMの油展性については、<軟化剤>の項で説明することとする。
【0039】
<補強性充填剤>
本発明のゴム架橋物およびゴム組成物は、補強性充填剤が含まれることを必須要件とする。使用可能な補強性充填剤の種類は、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボンブラック、クレー、あるいは、タルク等(酸化亜鉛(亜鉛華)は含まれない。)特に制限されないが、特にカーボンブラックが配合されることが好ましく、GPFグレード以上のハイスチラクチャー・小粒径グレードのカーボンブラックが配合されることがさらに好ましい。カーボンブラックは、補強性充填剤において主体的に配合されることが好ましい。ここで「主体的」とは、全補強性充填剤中の50質量%以上を占めることを意味し、75質量%以上であることがより好ましい。
【0040】
本発明において、補強性充填剤の配合量としては、特に制限はないが、本発明のゴム架橋物においても同ゴム組成物においても、その全量に対して15〜40質量%の範囲であることが好ましく、また、前記ポリマー100質量部に対して、20〜75質量部とすることが好ましい。補強性充填剤の配合量が少な過ぎると、紙送りロール、特に搬送ロールに適用した場合、成形によって得られるゴムロールの機械的強度を確保することが困難となるので、好ましくない。一方、補強性充填剤の配合量が多過ぎると、損失正接(tanδ、30℃)が高くなり、本発明のゴム架橋物に規定する範囲を超え、耐摩耗性が低下するので好ましくない。また、軟化剤の配合量が少ない場合に、補強性充填剤の配合量が多過ぎると、硬度アップにより摩擦係数が低くなり、紙送り特性が低下するため好ましくない。
【0041】
上記補強性充填剤の配合量の下限としては、本発明のゴム架橋物またはゴム組成物の全量に対して20質量%以上がより好ましい。
一方、上記補強性充填剤の配合量の上限としては、本発明のゴム架橋物またはゴム組成物の全量に対して35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
【0042】
<加硫剤>
本発明のゴム架橋物は、前記ポリマーとしてのエチレン−プロピレン−ジエン共重合体が硫黄により架橋されてなることを必須要件とする。また、本発明のゴム組成物は、前記加硫剤として硫黄を用いることを必須要件とする。前記加硫剤として、例えば過酸化物加硫剤を使用すると、架橋鎖長が短くなって、架橋鎖の柔軟性が低下し、伸長時の伸び切り鎖の割合も増加して、前記加硫剤として硫黄を用いて加硫した場合に対して、耐摩耗性が低下する。
【0043】
本発明のゴム組成物において、硫黄は、加硫のため投入されるS8等のほか、加硫促進剤や加硫促進助剤等の状態で混入される場合がある。したがって、このようなものも含めた総硫黄量としては、勿論制限されるものではないが、1.0〜4.0質量%の範囲であることが好ましい。総硫黄量が1.0質量%未満であれば、架橋密度が低く、耐摩耗性が低下する場合があるので、好ましくない。一方、総硫黄量が4.0質量%を超えると、圧縮永久歪み特性および機械的強度が低下し、硫黄のブルーム(析出)が起こり易くなるので、好ましくない。
【0044】
上記総硫黄量の下限としては、1.5質量%以上がより好ましく、2.0質量%以上がさらに好ましい。
一方、上記総硫黄量の上限としては、3.5質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下がさらに好ましい。
【0045】
<軟化剤>
本発明のゴム組成物においては、さらに軟化剤が含まれる場合に、その総軟化剤量が、10.0質量%以下であることが必須要件となる。すなわち、本発明のゴム組成物においては、さらに軟化剤が含まれないか、含まれても最大10.0質量%以下である。軟化剤が10.0質量%を超えると、得られるゴム架橋物の動的弾性率(E1、30℃)が低下して、耐摩耗性が低下する。
【0046】
ここで、本発明における「軟化剤」とは、オイル成分および可塑剤成分の双方を包含する概念であり、既述のEPDMとして油展グレード(オイル含量15質量%未満のものを含む。)のものを用いた場合に含まれるオイルは、勿論この軟化剤に含まれる。
【0047】
本発明のゴム組成物の総軟化剤量としては、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、軟化剤が全く含まれないことが最も好ましい。
なお、油展グレードであって多量のオイルを含有するEPDMについても、他のオイルの少ない(ないしノンオイルの)EPDMと混合することで、全体として総軟化剤量が既述の本発明の規定を満たせば、勿論用いることができる。
【0048】
<その他の成分、条件等>
本発明のゴム架橋物およびゴム組成物には、以上説明した各成分の他、その他従来公知の成分を含ませることができる。含ませることが可能なその他の成分としては、加硫促進剤、加硫促進助剤等の加硫に際し通常使用される材料や、加工助剤や老化防止剤等の各種充填剤が挙げられる。
【0049】
上記加硫促進剤および加硫促進助剤については、特に規定はなく、任意のものを使用してよく、例えば、加硫促進助剤として酸化亜鉛(亜鉛華)が挙げられる。
加工助剤や老化防止剤等の各種充填剤についても、従来公知のものが特に問題なく使用できるが、これらはゴム架橋物表面に析出して紙汚染や摩擦係数の低下を招く懸念があるため、その配合量としては、少なめにしておくことが好ましい。
【0050】
加工助剤として、押し出し性・射出性などの成型加工性を高めるため、高級脂肪酸エステルあるいはそれらの金属塩等を配合してもよい。具体的には、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられる。また、具体的に配合可能な老化防止剤としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類が挙げられる。
【0051】
<本発明のゴム組成物ないしゴム架橋物の応用>
以上説明した本発明のゴム組成物は、成分混合後混練し、これを常法により加硫して架橋させることにより、本発明のゴム架橋物が得られる。
加硫による架橋反応は、所定時間、所定温度に加熱することで行われる。このときの温度条件および加熱時間としては、特に制限はなく、従来の知見に基づいて設定すればよい。具体的には、150〜180℃の温度範囲で、5〜30分程度の範囲から選択される。
【0052】
本発明のゴム組成物を用いて筒状に成形して、図1に示すような弾性体層10とし、軸芯12に嵌挿させれば、本発明のゴム架橋物としての紙送りロール(本発明の紙送りロール)を製造することができる。勿論、軸芯12に対して直接弾性体層10を成形しても何ら問題ない。また、本発明の紙送りロールは、図1に示す形状のものに限定されず、例えば、図1においては軸芯12に弾性体層10が2つ保持されているが、この個数は、1個でも3個以上でも全く問題なく、これが設置される装置特性、使用用紙、搬送速度、画像形成方法等に応じて適宜選択すればよい。
【0053】
本発明の紙送りロールは、画像形成装置に備えることができる(本発明の画像形成装置)。かかる画像形成装置の構成としては、例えば、装置内部でシート状の被記録材の表面および/または裏面に記録画像を形成しつつ、該被記録材をその水平方向に搬送し、最終的に装置外部に排出する構成を有し、前記被記録材の搬送または排出を行う、あるいは、その搬送または排出を補助する紙送りロールが1つ以上配される構成が挙げられ、当該画像形成装置について、その紙送りロールの少なくとも1つとして本発明の紙送りロールを用いることができる。
【0054】
本発明の紙送りロールは、既述の如く、紙送りロールに求められる摩擦係数とその維持性を十分に確保しながらも、極めて耐摩耗性に優れるため、それを用いた画像形成装置についても、その搬送系の信頼度は高く、耐久性に優れたものとなる。
【0055】
なお、本発明においては「紙送り」との用語が用いられているが、本発明が対象とする被記録材は、勿論紙のみに限定されるものではなく、OHP用紙等のプラスチックシート、布、金属等従来から被記録材として用いられているシート状のものであれば、全て対象となる。すなわち、「紙送り」との用語は、慣用された用語であるためそのまま採用しているが、紙に限定する趣旨ではない。
【0056】
本発明の紙送りロールは、画像形成装置において、被記録材を装置内に取り込むピックアップロールを含む導入装置(給紙装置)として、装置内で各画像形成操作を担うそれぞれの部材間を搬送する搬送装置として、あるいは、画像形成後の被記録材を装置の外部に排出する排紙ロール等の排出装置としてなど、いずれの箇所に用いてもよく、全ての箇所に用いても、ごく一部でも構わない。特に、被記録材を積極的に搬送・移動する部位に用いた場合に、最も本発明による効果の恩恵に与ることができる。
【0057】
また、本発明の紙送りロールは、画像形成装置に限らず、用紙を搬送する機構を有する各種装置における紙送り装置にも好適に備えることができる(本発明の紙送り装置)。そのような機構を有する装置としては、例えば、紙幣を搬送・仕分けする自動販売機や両替機、ATMその他の装置;製本を行う装置;新聞、広告等を仕分けする装置;など、あらゆる装置が挙げられ、少なくとも用紙をその水平方向に搬送する構成を有する装置であれば、いずれも適用可能である。そして、本発明による効果も、上記画像形成装置の場合と基本的に同様である。
【0058】
【実施例】
次に、実施例を比較例と共に挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<ポリマーの準備>
まず、ポリマーとして、下記表1に示す物性のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体[EPDM−1]〜[EPDM−9]を準備した。
【0059】
【表1】
Figure 2004210437
【0060】
<実施例1>
前記[EPDM−1]100質量部に、ステアリン酸1質量部、酸化亜鉛5質量部、炭酸カルシウム5質量部、カーボンブラック35質量部(ソフトカーボンブラック20質量部+ハードカーボンブラック15質量部)、加硫剤としての硫黄3質量部、加硫促進剤としてのテトラメチルチウラムモノスルフィド(加硫促進剤▲1▼)1.5質量部およびジベンゾチアジルジスルフィド(加硫促進剤▲2▼)0.5質量部を配合し、混練機を用いて混練し、実施例1のゴム組成物を製造した。得られた実施例1のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例1のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
【0061】
得られた実施例1のゴム組成物を図1に示される紙送りロールの弾性体層10の形状に対応する金型を用いて、160℃、30分間の条件で加硫成形し、筒状のゴム架橋物を2個得た。このゴム架橋物を図1に示されるステンレス鋼製の軸芯12に嵌挿し、これを研磨して寸法を微調整することにより、軸芯12に弾性体層10が嵌挿された実施例1の紙送りロールを製造した。この弾性体層10の形状は、それぞれ外径20mm、内径10mm、長さ30mmである。
【0062】
<実施例2>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−2]に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のゴム組成物を製造した。得られた実施例2のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例2のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
さらに、得られた実施例2のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2の紙送りロールを製造した。
【0063】
<実施例3>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−3]に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のゴム組成物を製造した。得られた実施例3のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例3のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
さらに、得られた実施例3のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3の紙送りロールを製造した。
【0064】
<実施例4>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−4]に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のゴム組成物を製造した。得られた実施例4のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例4のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
さらに、得られた実施例4のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の紙送りロールを製造した。
【0065】
<実施例5>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−4]に代え、カーボンブラックの配合量を30質量部(ソフトカーボンブラック15質量部+ハードカーボンブラック15質量部)とし、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のゴム組成物を製造した。得られた実施例5のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例5のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
さらに、得られた実施例5のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5の紙送りロールを製造した。
【0066】
<実施例6>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−4]に代え、カーボンブラックの配合量を30質量部(ソフトカーボンブラックのみ)とし、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6のゴム組成物を製造した。得られた実施例6のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例6のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
さらに、得られた実施例6のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6の紙送りロールを製造した。
【0067】
<実施例7>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−4]に代え、カーボンブラックの配合量を30質量部(ソフトカーボンブラック10質量部+ハードカーボンブラック20質量部)としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7のゴム組成物を製造した。得られた実施例7のゴム組成物の組成を下記表2にまとめて示す。また、得られた実施例7のゴム組成物の粘弾性特性を下記表3にまとめて示す。
さらに、得られた実施例7のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7の紙送りロールを製造した。
【0068】
【表2】
Figure 2004210437
【0069】
【表3】
Figure 2004210437
【0070】
<実施例8>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−5]に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例8のゴム組成物を製造した。得られた実施例8のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた実施例8のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた実施例8のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例8の紙送りロールを製造した。
【0071】
<実施例9>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から高ENB含量グレードの[EPDM−7]に代え、カーボンブラックの配合量を20質量部(ソフトカーボンブラックのみ)とし、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9のゴム組成物を製造した。得られた実施例9のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた実施例9のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた実施例9のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9の紙送りロールを製造した。
【0072】
<実施例10>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−8]に代え、カーボンブラックの配合量を20質量部(ソフトカーボンブラックのみ)とし、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例10のゴム組成物を製造した。得られた実施例10のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた実施例10のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた実施例10のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例10の紙送りロールを製造した。
【0073】
<実施例11>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−9]に代えたこと以外は、実施例1と同様にして実施例11のゴム組成物を製造した。得られた実施例11のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた実施例11のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた実施例11のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例11の紙送りロールを製造した。
【0074】
<実施例12>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−10]に代え(配合量はEPDM量として実施例1と揃えたため、全体としては115質量部、オイル配合量は15質量部となる。)、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例12のゴム組成物を製造した。得られた実施例12のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた実施例12のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた実施例12のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例12の紙送りロールを製造した。
【0075】
<比較例1>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から[EPDM−2]に代え、補強性充填剤としての炭酸カルシウムを20質量部、同カーボンブラックを40質量部(ソフトカーボンブラック30質量部+ハードカーボンブラック10質量部)、同シリカを35質量部とし、さらに軟化剤としてのパラフィン系オイルを25質量部配合し、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のゴム組成物を製造した。得られた比較例1のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた比較例1のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた比較例1のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の紙送りロールを製造した。
【0076】
<比較例2>
実施例1において、用いたポリマーを[EPDM−1]から油展グレードの[EPDM−6]に代え(配合量はEPDM量として実施例1と揃えたため、全体としては130質量部、オイル配合量は30質量部となる。)、硫黄の配合量を1.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のゴム組成物を製造した。得られた比較例2のゴム組成物の組成を下記表4にまとめて示す。また、得られた比較例2のゴム組成物の粘弾性特性を下記表5にまとめて示す。
さらに、得られた比較例2のゴム組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の紙送りロールを製造した。
【0077】
【表4】
Figure 2004210437
【0078】
【表5】
Figure 2004210437
【0079】
<評価試験>
上記実施例1〜12および比較例1〜2において製造した紙送りロールを、富士ゼロックス(株)製Color Docutech 60の第3トレイに取り付け、A4用紙を横送りで70,000枚通紙して、各紙送りロールの通紙試験を行った。この通紙試験の前後にわたり、以下の評価試験を行った。結果を下記表5にまとめて示す。
【0080】
(a:70,000枚通紙後の摩擦係数μ)
70,000枚通紙後の各紙送りロールについて、これを紙に対して2.5Nで押し付け、さらにこれを300mm/Sの速度で回転させた時に、紙に作用する摩擦力から、摩擦係数μを測定した。得られた結果について、比較例1の結果を100とした場合の指数表示にて下記表5に示す。70,000枚通紙後の摩擦係数μの値は、大きいほど優れた結果であることを示すものである。
【0081】
(b:70,000枚通紙後の外径変化)
70,000枚通紙前に対して70,000枚通紙後の各紙送りロールの外径が、どの程度減少したかについて、{(70,000枚通紙前の外径)−(70,000枚通紙後の外径)}を計算することで、70,000枚通紙後の外径変化を求めた。得られた結果について、比較例1の結果を100とした場合の指数表示にて下記表5に示す。70,000枚通紙後の外径変化の値は、小さいほど優れた結果であることを示すものである。
【0082】
(c:総合評価)
上記の各評価試験および各物性評価の結果に基づき、以下の評価基準で総合評価を行った。結果を下記表5に示す。
○:(a:通紙後の摩擦係数μ)が135以上で、(b:通紙後の外径変化)が60未満であり、他に何ら懸念が無い。
△:(a:通紙後の摩擦係数μ)が135以上だが、(b:通紙後の外径変化)が60以上、または、何らかの懸念がある。
×:(a:通紙後の摩擦係数μ)が135以下。
【0083】
【表6】
Figure 2004210437
【0084】
表5から明かなように、実施例1〜12の紙送りロールでは、紙送りロールとして必要な摩擦係数を保持したまま(70,000枚通紙後においても、μとして、指数表示で135以上を確保)、耐摩耗性が高められており、従来技術の欠点が解消されていることが確認された。
【0085】
ただし、実施例8〜12については、他の実施例に比べると、以下に示すように若干劣る結果となっていた。
1)実施例8は、EPDMのエチレン含量が62質量%を下回り、通紙試験による外径変化量が若干大きく、μもやや低めであった。
【0086】
2)実施例9は、充填剤の量を少なくした結果、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が88を下回り、かつ、エチレン含量も62質量%を下回るために、通紙試験による外径変化量が大きかった。
【0087】
3)実施例10は、充填剤の量を少なくした結果、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が88ちょうどであるために、通紙試験による外径変化量が若干大きかった。
【0088】
4)実施例11は、EPDMのエチレン含量が65質量%を上回り、(E1、0℃)/(E1、30℃)が2.5を上回り、低温特性にやや劣る(低温でのμが高くなる)という結果になった。
【0089】
5)実施例12は、本発明のゴム架橋物の要件を満足しているが、軟化剤の配合量が8質量部を上回るために、通紙試験による外径変化量が大きかった。
【0090】
これに対して、各比較例では、以下のように従来技術の問題点が顕在化された。
1)比較例1は、EPDM特性は本発明のゴム組成物の要件を満足しているが、充填剤およびオイル配合量が多く、損失正接(tanδ、30℃)が0.063を超え、耐摩耗性が低く、通紙試験による外径変化量が実施例に比して大きい。また、動的弾性率(E1、30℃)が10MPaを上回り、通紙試験後μが低かった。
【0091】
2)比較例2は、EPDM特性は本発明のゴム組成物の要件を満足しているが、動的弾性率(E1、30℃)が4.4MPaを下回り、かつオイル配合量が多く、通紙試験による外径変化量が実施例に比して大きかった。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のゴム架橋物並びにゴム組成物によれば、紙送りロールに成形した際に、紙送りロールの弾性体層の硬度(摩擦係数)を保持しながら、耐摩耗性を向上することができる。
そして、本発明の紙送りロール用ゴム組成物において、軟化剤配合量を抑制することにより、紙送りロールの弾性体層の摩擦係数保持性と耐摩耗性と高め、安定した紙送り特性を長期間維持することができる。
【0093】
また、本発明の紙送りロールは、上記のゴム組成物から成形されてなるものであり、紙との間に高い摩擦係数を得て、安定した紙送り特性を長期間維持することができる。
さらに、本発明の画像形成装置および紙送り装置は、搬送系に、上記の如く優れた本発明の紙送りロールを採用することにより、長期にわたり安定した搬送特性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す紙送りロールの正面図である。
【符号の説明】
10:弾性体層、 12:軸芯

Claims (11)

  1. 少なくともポリマーおよび補強性充填剤を含み、前記ポリマーがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とし、これが硫黄により架橋されてなる紙送りロール用ゴム架橋物であって、
    動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPaの範囲内であり、かつ、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下であることを特徴とする紙送りロール用ゴム架橋物。
  2. ポリマーと、加硫剤と、補強性充填剤と、を含む紙送りロール用ゴム組成物であって、
    前記ポリマーが、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が88以上150以下、かつ、エチレン含量が62質量%以上65質量%以下のエチレン−プロピレン−ジエン共重合体を主成分とし、
    前記加硫剤が硫黄であり、
    さらに軟化剤が含まれる場合に、その総軟化剤量が、10.0質量%以下であることを特徴とする紙送りロール用ゴム組成物。
  3. 含まれる総硫黄量が、1.0〜4.0質量%の範囲であることを特徴とする請求項2に記載の紙送りロール用ゴム組成物。
  4. 前記補強性充填剤として、カーボンブラックが配合されることを特徴とする請求項2または3に記載の紙送りロール用ゴム組成物。
  5. 前記補強性充填剤の含有量が、15〜40質量%の範囲であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム組成物。
  6. 前記ポリマーの主成分としてのエチレン−プロピレン−ジエン共重合体のジエン成分含量が、1.9〜8.1質量%の範囲であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム組成物。
  7. 請求項2〜6のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム組成物を架橋してなることを特徴とする紙送りロール用ゴム架橋物。
  8. 動的弾性率(E1、30℃)が4.4〜10MPaの範囲内であり、かつ、損失正接(tanδ、30℃)が0.063以下であることを特徴とする請求項7に記載の紙送りロール用ゴム架橋物。
  9. 請求項1、7および8のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム架橋物からなる筒状の弾性体層と、該弾性体層の軸孔に嵌挿されこれを保持する軸芯と、で構成されることを特徴とする紙送りロール。
  10. 請求項1、7および8のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム架橋物からなる筒状の弾性体層と、該弾性体層の軸孔に嵌挿されこれを保持する軸芯と、で構成される紙送りロールを備えたことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1、7および8のいずれか1つに記載の紙送りロール用ゴム架橋物からなる筒状の弾性体層と、該弾性体層の軸孔に嵌挿されこれを保持する軸芯と、で構成される紙送りロールを備えたことを特徴とする紙送り装置。
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