JP2004205142A - 冷凍空調装置およびその運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大形の熱回収チラーにおいて、冷暖完全熱回収運転から冷房運転へ切換える際、高圧側の急激な低下により圧縮機内の冷凍機油が流出して、圧縮機内の油枯渇が発生する問題があった。
【解決手段】圧縮機と熱源側熱交換器の間に大容量電磁弁に並列に配管接続した小容量電磁弁を設け、冷暖完全熱回収運転から冷房運転へ切換える場合に、予めこの小容量電磁弁を開き所定時間だけ冷媒を流通させて熱源側熱交換器の圧力を上昇させて、その後冷房運転に切換える。
【選択図】 図1
【解決手段】圧縮機と熱源側熱交換器の間に大容量電磁弁に並列に配管接続した小容量電磁弁を設け、冷暖完全熱回収運転から冷房運転へ切換える場合に、予めこの小容量電磁弁を開き所定時間だけ冷媒を流通させて熱源側熱交換器の圧力を上昇させて、その後冷房運転に切換える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍空調装置に関するものであり、特に冷水、温水などを介し、冷暖房単独運転および冷温水を同時に取り出す冷房暖房同時運転(熱回収運転)を実施することができる冷凍空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷暖房単独運転、および熱回収運転を行えるようにした冷凍空調装置として、圧縮機の吐出側と温水を供給する暖房側熱交換器と空気熱交換器の一端を第1三方弁で接続するとともに、圧縮機の吸入側と冷水を供給する冷房側熱交換器と空気熱交換器の他端を第2三方弁で接続し、第1および第2三方弁の開度制御により、各熱交換器に循環させる流量を調節することで、冷房単独運転、暖房単独運転、冷房主体熱回収運転(冷房能力>暖房能力)、暖房主体熱回収運転(暖房能力>冷房能力)、完全熱回収運転(冷房能力≒暖房能力)という5つの運転モードを実現する構成のものがある。(例えば、特許文献1参照)
しかし、この従来例においては、各熱交換器に振り分ける流量を連続可変にするために高価な2個の三方弁が用いられており、冷凍空調装置のコストが上昇するという問題があった。
【0003】
そこで、三方弁17の機能を安価な開閉機能のみを持つ電磁弁で代替するために、図12に示されるような冷凍空調装置がある。この冷凍空調装置では、圧縮機1の吐出側と暖房側熱交換器10との間を電磁弁2b、圧縮機1の吐出側と空気熱交換器3との間を電磁弁2aで接続し、圧縮機1の吸入側と冷房側熱交換器8との間を逆止弁4c、圧縮機1の吸入側と空気熱交換器3との間を電磁弁2dで接続し、電磁弁2bと電磁弁2aで上記従来の第1三方弁、逆止弁4cと電磁弁2dで上記従来の第2三方弁の機能を代替させている。
【0004】
そして冷凍空調装置の運転で各電磁弁は開閉機能のみ持つので、図13での太線で流路を示すように、電磁弁2a、2fを開、他の電磁弁を閉とし、圧縮機1、空気熱交換器3(凝縮器として機能)、逆止弁4a、レシーバ5、減圧装置7a、冷房側熱交換器8(蒸発器として機能)、圧縮機1を環状に接続するようにして、冷房単独運転を実現し、図14での太線で流路を示すように、電磁弁2b、2d、2gを開、他の電磁弁を閉とし、圧縮機1、暖房側熱交換器10(凝縮器として機能)、レシーバ5、減圧装置7b、空気熱交換器3(蒸発器として機能)、圧縮機1を環状に接続するようにして、暖房単独運転を実現し、図15での太線で流路を示すように、電磁弁2b、2fを開、他の電磁弁を閉とし、圧縮機1、暖房側熱交換器10(凝縮器として機能)、レシーバ5、減圧装置7a、冷房側熱交換器8(蒸発器として機能)、圧縮機1を環状に接続するようにして完全熱回収運転(冷房能力≒暖房能力)を実現し、この3つの運転モードを持つようにしていた。
そして冷房負荷、暖房負荷とも存在し、冷房負荷>暖房負荷という状況に対しては、上記従来例の冷房主体熱回収運転と同様の能力を発揮するために、図12の冷凍空調装置では、冷房運転と完全熱回収運転とを負荷に応じた時間で運転を切換えて対応していた。また冷房負荷、暖房負荷とも存在し、暖房負荷>冷房負荷という状況に対しては、上記従来例の暖房主体熱回収運転と同様の能力を発揮するために、図12の冷凍空調装置では、暖房運転と完全熱回収運転とを負荷に応じた時間で運転を切換えて対応していた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭52−140045号公報(第3−4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来例には以下のような問題があった。まず、特開昭52−140045号公報に記載の冷凍空調装置についてであるが、前述したように、熱回収運転を実現するために高価な三方弁が用いられており、冷凍空調装置のコストが上昇する問題があった。また図12に記載の冷凍空調装置においては、三方弁を安価な電磁弁に代えているので、コスト上昇という問題は回避しているが、負荷に応じて冷房単独運転から完全熱回収運転、完全熱回収運転から冷房単独運転へ運転を切り換える際に以下のようの問題があった。
【0007】
まず、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の問題について説明する。図16は完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換えたときの圧縮機1の吐出・吸入圧力の変動を表したグラフである。このときの運転条件は暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が50℃、冷房側熱交換器8に供給される冷水の温度が12℃、空気熱交換器3の周囲外気温度が−5℃であり、グラフの運転時間10秒の時点で完全熱回収運転時に開となっている電磁弁2bを閉とし、冷房単独運転を実施するために電磁弁2aを開としている。図16に示されているように、運転切換と同時に圧縮機1の吐出圧力が大きく低下する。これは、熱回収運転中は、空気熱交換器3は冷媒が流れる流路からは切り離されており、外気温度相当の飽和圧力となり、外気温度が−5℃程度の低外気となると、圧縮機1の吐出圧力よりも相当低い圧力となり、3.9kgf/cm2G程度の圧力となる。そして運転切換と同時に圧縮機1吐出側と空気熱交換器3が接続されるので、圧縮機1の吐出圧力が28kgf/cm2Gから8kgf/cm2Gと20kgf/cm2程度の幅で大きく低下する。このような圧力変化により次のような問題が生じる。
【0008】
まず圧縮機1が高圧シェルタイプであり、シェル内に冷凍機油を貯めるような形式となっていた場合、圧縮機1吐出圧力(高圧)が大きく低下すると、それにより圧縮機1内の冷凍機油に溶解している冷媒が発泡し、シェル内でフォーミングを生じるようになる。そのため圧縮機1シェル内の冷凍機油がシェル外に持ち出されやすく減少しやすくなり、圧縮機1運転における信頼性を低下させるという問題があった。また圧縮機1吐出側に油分離器を備え、その油分離器内に冷凍機油を保持し、適宜圧縮機1に冷凍機油を供給するような回路構成となっている場合も、同様に油分離器内の冷凍機油がフォーミングにより流出し、圧縮機1への油供給量が滞りやすくなり圧縮機1運転の信頼性が低下するという問題があった。また圧縮機1吐出圧力が大きく低下したときに、減圧装置として、膨張弁を用いた場合、膨張弁の開閉制御が吐出圧力低下に十分に追従しないと、吐出圧力低下とともに圧縮機1吸入圧力も低下する状態となる。冷房側熱交換器8の熱交換媒体として水(冷水)を用いる場合、吸入圧力低下により冷房側熱交換器8での冷媒温度(蒸発温度)が0℃以下になると、冷水が凍結する可能性があるので、このような状態を回避するため冷凍空調装置の運転が停止される。従って冷凍空調装置の運転が連続的に実施されないようになり、冷暖房の負荷に対し十分に追従できないという問題点があった。
【0009】
次に冷房単独運転から完全熱回収運転に切り換える際の問題について説明する。図17は冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換えたときの圧縮機1の吐出・吸入圧力の変動を表したグラフである。このときの運転条件は暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が50℃、冷房側熱交換器8に供給される冷水の温度が12℃、空気熱交換器の周囲外気温度が−5℃であり、グラフの時間0秒の時点で冷房単独運転時に開となっている電磁弁2aを閉とし、完全熱回収運転を実施するために電磁弁2bを開としている。図17に示されているように、運転を切換え、完全熱回収運転を開始すると同時に圧縮機1の吐出圧力が数10秒程度の短時間で大きく上昇する。冷房単独運転中は凝縮器である空気熱交換器3の周囲外気温度が−5℃という低外気であるため、吐出圧力が低い運転となっているが、完全熱回収運転では凝縮器は暖房側熱交換器10であり、暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が50℃と高温であるため、その温度に応じて高い吐出圧力で運転される。このような圧力変化により次のような問題が生じる。まず吐出圧力の急上昇に応じて、圧縮機1の吐出温度が過度に上昇しやすくなり、圧縮機1運転の信頼性を低下させるという問題点があった。特に圧縮機1が液インジェクションなどにより、吐出温度が上昇しないように回路構成しているものであれば、吐出温度の過度の上昇に対応して液インジェクションの供給が間に合わなくなる可能性があり、圧縮機1運転の信頼性が低下する。また圧縮機1吐出圧力が急上昇したときに、減圧装置として、膨張弁を用いた場合、膨張弁の開閉制御が吐出圧力上昇に十分に追従しないと、吐出圧力上昇とともに圧縮機1吸入圧力も上昇する状態となる。このとき、圧縮機1の吐出・吸入圧力がともに高い状態となり、圧縮機1が過負荷運転となり、圧縮機1の許容負荷を上回ると、保護のために圧縮機1を停止する、あるいは圧縮機1の運転容量を低下させるという制御が実施されることになる。従って冷凍空調装置の運転が冷暖房の負荷に対応して実施することが難しくなり、冷暖房の負荷に対し十分に追従できないという問題点があった。
【0010】
本発明は以上の課題に鑑み、冷水、温水などを介し、冷暖房単独運転および冷温水を同時に取り出す冷房暖房同時運転(熱回収運転)を実施することができる冷凍空調装置において、安価に構成するとともに、運転の信頼性を高くし、冷暖房の負荷に追従できる冷凍空調装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷凍空調装置において、圧縮機、暖房側熱交換器、減圧装置および冷房側熱交換器を環状に接続して、前記暖房側熱交換器から温熱、前記冷房側熱交換器から冷熱を供給する完全熱回収運転の冷媒回路と、前記圧縮機、熱源側熱交換器、前記減圧装置および前記冷房側熱交換器を環状に接続して、前記冷房側熱交換器から冷熱のみを供給する冷房単独運転の冷媒回路と、冷暖房負荷に応じて、前記完全熱回収運転と冷房単独運転とを切換える前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第1の開閉弁および前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第2の開閉弁と、前記第2の開閉弁に並列に該第2の開閉弁より口径が小さい第3の開閉弁と、を備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下本発明の実施の形態1を図1に示す。図1において、1は圧縮機、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iは電磁弁、3は熱源側熱交換器である空気熱交換器、4a、4b、4c、4d、4eは逆止弁、5はレシーバ、6は高低圧熱交換器、7a、7b、7c、7dは減圧装置として用いる温度式膨張弁、8は冷房側熱交換器、9はアキュムレータ、10は暖房側熱交換器である。この冷凍空調装置では、圧縮機1の吐出側と暖房側熱交換器10との間を電磁弁2b、圧縮機1の吐出側と空気熱交換器3との間を電磁弁2aで接続し、圧縮機1の吸入側と冷房側熱交換器8との間を逆止弁4c、圧縮機1の吸入側と空気熱交換器3との間を電磁弁2dで接続し、電磁弁2bと電磁弁2a、そして逆止弁4cと電磁弁2dでそれぞれ三方弁の機能を代替している。また、この冷凍空調装置の冷媒としてはR−407Cが用いられる。
【0013】
圧縮機1はスクリュー型圧縮機であり、圧縮機1の冷媒ガス吐出部に吐出されるガス冷媒と冷凍機油を分離する油分離器を内蔵し、ここで分離された冷凍機油は圧縮機1の吸入側に戻され、再度圧縮機1の軸受け部潤滑などに用いられる。空気熱交換器3はファンで送風される外気と熱交換を実施するプレートフィンチューブ型の熱交換器である。電磁弁2a〜2iはこの冷凍空調装置の運転モードを切り換える電磁弁であり、運転モードに応じてその開閉が決定される。レシーバ5では、冷凍空調装置に充填された冷媒量のうち、他の要素部品に存在する量以外の余剰の冷媒量を液として保持する。アキュムレータ9内部に設けられた高低圧熱交換器6では、レシーバ5を出た高圧の液冷媒と圧縮機1に吸入されるガス冷媒とをアキュムレータ9内で熱交換し、高圧の液冷媒を冷却し過冷却度を大きくし、さらに圧縮機1に吸入するガスを加熱する。また高低圧熱交換器6では、圧縮機1に吸入する冷媒ガスに液が混入する液バック状態であった場合、この液冷媒を蒸発加熱し、液バックを緩和する機能を持つ。温度式膨張弁7a、7b、7cは図1に示されるように、それぞれ冷房側熱交換器8、空気熱交換器3、暖房側熱交換器10の出口側に温度を感知する感温筒13a、13b、13cが設置されており、各熱交換器の出口過熱度が設定された値になるように制御される。冷房側熱交換器8はプレート熱交換器であり、熱交換器に供給される冷水と冷媒が対向流の流路となるように構成される。暖房側熱交換器10も同様にプレート熱交換器であり、熱交換器に供給される温水と冷媒が対向流の流路となるように構成される。
【0014】
また11はレシーバ5の底部から圧縮機1の圧縮機構部へ配管接続した液インジェクション回路であり、レシーバ5底部に貯留される液冷媒を圧縮機1に供給する。この液インジェクション回路上に設けた膨張弁7dは液インジェクション量を制御する温度式膨張弁であり、圧縮機1の吐出ガス部に相当する吐出側配管に感温筒13dが設けられ、過熱度が所定値になるように液インジェクション回路11を流れる液インジェクション量を制御する。12はレシーバ5の頂部から圧縮機1の吸入側につながるアキュムレータ9の流入側配管に接続された吸引回路であり、レシーバ5頂部からレシーバ5内のガスを吸引し、圧縮機1吸入側に流す機能を持ち、吸引回路12上に設けた開閉弁2iの開閉により冷媒の流通が制御される。
【0015】
14a、14b、14cは圧力センサであり、圧縮機1の吐出側配管に設けられた第1の圧力計測装置14aは圧縮機1の吐出圧力、圧縮機1の吸入側配管に設けられた第3の圧力計測装置14bは圧縮機1の吸入圧力、第2の圧力計測装置14cは熱源側熱交換器3の近傍に設けられ圧力を計測する。
【0016】
第2の開閉弁である電磁弁2a、第1の開閉弁である電磁弁2b、第4の開閉弁である電磁弁2d、第5の開閉弁である電磁弁2eは、以下に説明されるように各運転モードにおいて圧縮機1で搬送される冷媒が主に流れるので、各電磁弁での圧力損失による冷凍空調装置の性能低下を防止するために大口径のものが用いられる。例えば、圧縮機1で搬送される冷媒流量が4000kg/h程度であるならば、電磁弁2a、2b、2d、2eはCv値が30程度のもので圧力損失が0.5kgf/cm2G程度以下になるものが選択される。
一方、第3の開閉弁である電磁弁2cは、従来技術にある、完全熱回収運転から冷房単独運転、または冷房単独運転から完全熱回収運転へのモード切換時に生じる圧力変動を抑制するために電磁弁2aと並列に設置されており、その口径は電磁弁2aよりも小さいものである。例えば、圧縮機1で搬送される冷媒流量が4000kg/h程度であるならば、電磁弁2cはCv値が3程度と電磁弁2a、2c、2d、2eなどより1/10程度小さいものが選択される。
【0017】
また15は、圧力センサ14の計測値など、冷凍空調装置の運転状態を計測し、圧縮機1の運転、容量制御、空気熱交換器3のファン風量、電磁弁2の開閉制御など冷凍空調装置の運転を制御する運転制御装置である。
【0018】
次に実施の形態1における冷凍空調装置での冷媒の流れについて説明する。この冷凍空調装置では運転モードとして、冷水のみを冷却する冷房単独運転、温水のみを加熱する暖房単独運転、冷水冷却と温水加熱を同時に行う完全熱回収運転、および空気熱交換器3の除霜を行うデフロスト運転の4つの運転モードを有する。それぞれの運転モードでの電磁弁2の開閉制御は図10のように実施される。
また各運転モードにおいて、液インジェクション回路11では、前述したように、圧縮機1の吐出ガスが適度な過熱度になるようにレシーバ5内の液冷媒が圧縮機1に供給される。
【0019】
まず冷房単独運転では、電磁弁2a、2fが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図2の太線のように設定される。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2aを経て空気熱交換器3に流入し、ここで外気と熱交換し冷却され凝縮液化し、飽和液となり、逆止弁4aを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で、電磁弁2fを経て、温度式膨張弁7aで減圧され低圧の二相冷媒となり、冷房側熱交換器8に流入する。冷房側熱交換器8で冷媒は、冷水と熱交換し、冷水から熱を奪い冷房能力を発揮するとともに、自身は加熱され、適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は逆止弁4cを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
【0020】
暖房単独運転では、電磁弁2b、2d、2gが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図3の太線のように設定される。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10に流入し、ここで温水と熱交換し、温水を加熱することで暖房能力を発揮するとともに、自身は冷却され凝縮液化し、飽和液となり、逆止弁4bを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で、電磁弁2gを経て、温度式膨張弁7bで減圧され低圧の二相冷媒となり、空気熱交換器3に流入する。空気熱交換器3で冷媒は、外気と熱交換し、加熱され、適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は電磁弁2dを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
【0021】
完全熱回収運転では、電磁弁2b、2fが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図4の太線のように設定される。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10に流入し、ここで温水と熱交換し、温水を加熱することで暖房能力を発揮するとともに、自身は冷却され凝縮液化し、飽和液となり、逆止弁4bを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で、電磁弁2fを経て、温度式膨張弁7aで減圧され低圧の二相冷媒となり、冷房側熱交換器8に流入する。冷房側熱交換器8で冷媒は、冷水と熱交換し、冷水から熱を奪い冷房能力を発揮するとともに、自身は加熱され、適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は逆止弁4cを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
【0022】
最後にデフロスト運転では、電磁弁2a、2e、2hが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図5の太線のように設定される。デフロスト運転では、暖房側熱交換器10の温水を熱源にデフロストを実施する。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2aを経て空気熱交換器3に流入し、ここで空気熱交換器3を加熱し、デフロスト(除霜)を実施する。冷媒は逆に冷却され凝縮し、逆止弁4aを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5底部から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で電磁弁2hを経て、温度式膨張弁7cで減圧され低圧の二相冷媒となり、暖房側熱交換器10に流入する。暖房側熱交換器10で冷媒は、温水と熱交換し、温水に加熱され適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は電磁弁2eを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
なおデフロスト運転では、レシーバ5の頂部からアキュムレータ9の流入側配管とを接続した吸引回路12に冷媒が流れるように電磁弁2iが開に制御され、レシーバ5を介して空気熱交換器3からガスを引っ張ってくる運転となるので、デフロスト運転中の空気熱交換器3への冷媒寝込みを回避する。
【0023】
次に、本実施の形態における完全熱回収運転から冷房単独運転への運転モード切換時の動作について説明する。完全熱回収運転においては、前述されるように電磁弁2b、2fが開、他の電磁弁が閉に制御され、圧縮機1から暖房側熱交換器10、レシーバ5、温度式膨張弁7a、冷房側熱交換器8、圧縮機1へという流路が形成される。このとき運転条件が、暖房側熱交換器10への温水入口温度50℃という条件であった場合、凝縮温度(暖房側熱交換器での冷媒温度)は63℃程度で運転され、圧縮機の吐出圧力(高圧)は凝縮温度相当の飽和圧力の28kgf/cm2G程度となる。一方、空気熱交換器3は、圧縮機1で搬送される冷媒の主流路からは隔離されるので、外気温度と同じ冷媒温度をとるようになり、外気温度−5℃という条件であった場合、空気熱交換器3内の圧力は、外気温度相当の飽和圧力となり、その圧力は3.9kgf/cm2G程度となる。
【0024】
完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際に電磁弁を図10の完全熱回収運転のパターンから、冷房単独運転のパターンに切り換えると、圧縮機1の吐出ガスが電磁弁2aを介して、圧力の低い空気熱交換器3に接続され、そのため圧縮機1の吐出圧力が大きく低下し、冷凍機油流出や低圧低下など従来の技術と同様の問題が生じるので、本実施の形態では、図6に示されるような電磁弁2a〜2iの開閉パターンで運転モードの切換制御を実施する。以下図6の開閉パターンで電磁弁2を制御した場合の動作について説明する。また図7は横軸を運転時間[秒]、縦軸を圧力[kgf/cm2G]とし、この開閉動作を実施したときの圧縮機1の吸入圧力(点線)、吐出圧力(実線)、および空気熱交換気3の圧力変動(一点鎖線)の状況を示す。なお図7での運転条件は、空気熱交換器3への外気温度−5℃、暖房側熱交換器10への温水入口温度50℃、冷房側熱交換器8への冷水入口温度12℃で運転しているものである。
【0025】
まず図中の運転時間a〜bの間は完全熱回収運転を実施している。そして時間bの時点で、温水温度などから、暖房負荷が減少し暖房能力が必要ないと判断され、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換動作が開始され、電磁弁2cが閉から開に制御され、第1の部分熱回収運転が実施される。この時点で圧縮機1から吐出されたガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10へ流入する冷媒と、電磁弁2cを経て空気熱交換器3へ流入する冷媒とに分流される。電磁弁2cの口径は、電磁弁2a、2bよりも小さいので、流動抵抗は大きく、その前後で圧力差が生じ、圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3との間で圧力差を確保することができる。従って、電磁弁2cを開としても、その後の圧力変化は図7に示されるように、電磁弁2cを開とした瞬間(時間b)に若干低下するもののその圧力低下幅を小さくすることができる。
【0026】
時間bの時点で電磁弁2cを開とした後、空気熱交換器3へは圧縮機1から吐出されたガス冷媒が電磁弁2cを介して流入し、それにより空気熱交換器3の圧力は次第に上昇する。そして、時間cとなり、空気熱交換器3の圧力が予め設定される適切なレベルまで上昇すると電磁弁2の開閉制御を冷房単独運転と同じように制御する。この時点では圧縮機1の吐出圧力と、空気熱交換器3の圧力差は小さく、電磁弁2の開閉制御により冷房単独運転とし、圧縮機1の吐出側が電磁弁2aを介して空気熱交換器3へ接続されるようになっても、大幅な吐出圧力低下は生じない。
このとき、許容される吐出圧力低下幅がΔP1と設定されている場合には、圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3の圧力の偏差ΔP2(ΔP2=圧縮機1吐出圧力−空気熱交換器3圧力)と比較し、ΔP1×1.1>ΔP2となる程度に圧力偏差ΔP2が小さくなった段階で、冷房単独運転を開始すると、電磁弁切換時点の圧縮機1吐出圧力の低下幅をΔP1以下に抑制できる。
【0027】
このように、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際に、予め、電磁弁2cを開とし圧縮機1からの吐出冷媒の一部を空気熱交換器3に流入させ、圧力を上昇させてから、冷房単独運転に切り換えるので、運転モード切換の際の圧縮機1吐出圧力の大幅な低下を抑制し、油分離器からの冷凍機油の流出による給油不良や、低圧低下とにより生じる凍結保護による冷凍空調装置の運転停止という状態を回避でき、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実施することができる。
【0028】
なお、このようなモード切換時の吐出圧力低下を抑制する運転は問題となる圧力低下が発生する可能性の無い場合には特に必要ではないので、状況によっては完全熱回収運転から冷房運転にそのまま切り換えてもよい。例えば、暖房側熱交換器に供給される温水の温度が40℃であり、空気熱交換器の周囲温度が40℃であった場合、凝縮温度は53℃程度で運転され、圧縮機1の吐出圧力(高圧)は凝縮温度相当の飽和圧力の22kgf/cm2G程度となる。一方空気熱交換器3は、圧縮機1で搬送される冷媒の主流路からは隔離されるので、外気温度と同じ冷媒温度をとるようになり、空気熱交換器3内の圧力は、外気温度相当の飽和圧力となり、その圧力は17kgf/cm2G程度となる。このとき、圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3内の圧力差は5kgf/cm2程度と小さく、運転モードを完全熱回収から冷房単独運転に切り換えても圧縮機1の吐出圧力低下は問題となる程度とはならない。このような状況では、完全熱回収運転から冷房運転にそのまま切り換えることができ、モード切換のための第1の部分熱回収運転の実施を省略できるので、冷凍空調装置に要求される負荷に対応した運転モードに素早く変更することができる。
このときの、直接運転モード切換を実施するかどうかの判断基準も、前述した圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3の圧力の偏差ΔP2によって決定することができる。すなわち、完全熱回収運転実施中に許容される圧力低下幅ΔP1×1.1>ΔP2という状況であれば、冷房単独運転に切り換え時の圧縮機1の吐出圧力低下幅は問題の無いので、直接モード切換を実施することが可能となる。
【0029】
また第1の部分熱回収運転実施中は、圧縮機1から吐出されるガス冷媒の一部が空気熱交換器3に流入するが、外気温度が低い場合には、ガス冷媒は空気熱交換器3内で冷却され液化する。この運転中、空気熱交換器3の圧力は接続される他の部分よりも圧力が低いので、液化された冷媒はそのまま空気熱交換器3内に滞留し寝込むようになる。冷媒の寝込み量は、空気熱交換器3の熱交換量によって決定される。寝込み量が余りに過大になると、第1の部分熱回収運転中に主に冷媒が循環している経路での冷媒量が不足し、運転継続不能となるので、この運転実施中は空気熱交換器3にできるだけ冷媒が寝込まないように、熱交換量が少なくなるよう運転することが望ましい。従って、第1の部分熱回収運転実施中は空気熱交換器のファン制御により運転を停止するなど、できるだけ熱交換量が少なくなるように制御する。また空気熱交換器3が、電磁弁などで流路構成を変更し、伝熱面積を可変にできるようになっているならば、熱交換量が減少するように、伝熱面積をできるだけ小さくなるように運転することが望ましい。このような運転を実施することで、空気熱交換器3への過度の冷媒寝込み回避し、第1の部分熱回収運転を連続して運転できるようになり、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現できる。
【0030】
また第1の部分熱回収運から冷房単独運転に切り換えた直後の、空気熱交換器3の熱交換量の制御についても、圧縮機1の吐出圧力低下が生じないように制御することが望ましい。例えば、外気温度が−5℃などの低外気であり、暖房側熱交換器10の温水入口温度が50℃であった場合、第1の部分熱回収運転中は空気熱交換器3のファンを停止し、空気熱交換器3への冷媒寝込みを抑制しつつ、空気熱交換器3内の圧力を上昇させる運転を実施し冷房単独運転に切り換えるがこのときの圧縮機1の吐出圧力は22kgf/cm2G程度となる。この段階で空気熱交換器3のファンを増速し、熱交換量が最大になるような運転を実施すると、外気温度−5℃に対応し凝縮温度5℃程度で運転されることになるので、圧縮機1の吐出圧力は、凝縮温度での飽和圧力5kgf/cm2G程度まで低下し、圧力の低下幅が大きくなり、冷凍空調装置運転の信頼性が低下する。そこで、このような状況では空気熱交換器3のファンの運転を圧縮機1の吐出圧力によるフィードバック制御により実施し、圧縮機1の吐出圧力の大幅な低下を生じないように制御する。この制御により、吐出圧力低下による問題点を回避し、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現する。また予めファンの運転パターンを定めるフィードフォワード制御を実施する場合においては、急激に空気熱交換器3の熱交換量が増加しないよう、ファンによる風量制御を小幅な変更幅で、時間をかけて制御することが望ましい。なお、空気熱交換器3の熱交換量を電磁弁などにより流路構成を変更し、伝熱面積を可変にできるようになっている場合においても、圧縮機1の吐出圧力を見てフィードバック制御を実施する、あるいは、熱交換量が急激に増加しないように、伝熱面積を小幅な変更幅で、時間をかけて制御することが望ましい。
【0031】
なお、電磁弁2cの口径(Cv値)の選択においては、以下のように決定することができる。まず電磁弁2cの口径が大きすぎると、例えば電磁弁2aと同等程度の口径であると、第1の部分熱回収運転を実施しても、圧縮機1の吐出部と空気熱交換器3の差圧(圧力損失)が小さくなるので、第1の部分熱回収運転実施時に圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3の圧力が同程度となり、大幅な吐出圧力低下を生じ、運転に不具合を来すようになる。また、電磁弁2cの口径が小さすぎる場合、圧縮機1の吐出部と空気熱交換器3の差圧(圧力損失)が大きくなるので、第1の部分熱回収運転開始時の吐出圧力低下は回避できるが、第1の部分熱回収運転実施中に圧縮機1からの吐出ガスの空気熱交換器3への流入量が減少し、第1の部分熱回収運転中の空気熱交換器3の圧力上昇が遅くなり、空気熱交換器3の圧力が所定の圧力となるまで実施する第1の部分熱回収の運転時間が長くなる。第1の部分熱回収運転では、前述したように、空気熱交換器3に冷媒が寝込んでおり、その量が時間とともに増加する。そのため、電磁弁2cの口径が小さすぎる場合、空気熱交換器3への冷媒寝込み量が多くなり過ぎ、第1の部分熱回収運転中に主に冷媒が循環している経路での冷媒量が不足し、運転継続不能となってしまう。従って、電磁弁2cの口径は、第1の部分熱回収運転開始時に圧縮機1の吐出圧力低下が問題とならない程度に小さな口径とするとともに、第1の部分熱回収運転の長さが適度に短く、空気熱交換器3への冷媒寝込み量が多くならない程度の大きな口径とすることが望ましく、前述したように電磁弁2aの1/10程度の口径(Cv値)とすることが望ましい。
【0032】
また、電磁弁2a、2cの代わりに口径を可変に制御できる電動弁を用いてもよい。このときの電動弁の口径の制御については、電磁弁2a、2cの開となっている口径になるように制御する。すなわち、完全熱回収運転中は、電動弁を閉に制御し、第1の部分熱回収運転中は、電磁弁2cの口径と等しく制御し、冷房単独運転中は電磁弁2aの口径と等しくなるように制御する。このような制御を実施することで、電磁弁2a、2cを用いた場合と同様の運転を実施することができ、この場合も信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実施することができる。
【0033】
また、図6の運転制御では、第1の部分熱回収運転に引き続き冷房単独運転を実施しているが、第1の部分熱回収運転に引き続き、図11に示す電磁弁2の制御を実施してなる第2の部分熱回収運転を実施してもよい。第2の部分熱回収運転では、圧縮機1から吐出されたガス冷媒が、電磁弁2bを介して暖房側熱交換器10に流入するとともに、電磁弁2aおよび2cを介して空気側熱交換器3に流入する。流入したガス冷媒はそれぞれの熱交換器で凝縮し、出口で合流した後でレシーバ5に流入する。この運転では電磁弁2b、2aの口径が同程度であるので、両熱交換器に流入するガス冷媒量は同程度となる。従って完全熱回収運転に比べて、暖房側熱交換器10に流入する冷媒流量は約1/2(実際には電磁弁2cを介して空気熱交換器3へ流入する冷媒もあるので、1/2を若干下回る)となり、暖房側熱交換器10で発揮される暖房能力も約1/2となる。従って、第2の部分熱回収運転で発揮される能力は、冷房能力については、冷房単独運転および完全熱回収運転と同等、暖房能力については完全熱回収運転の1/2となり、冷房単独運転と完全熱回収運転の中間の能力を発揮する運転となり、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時に実施することで、より冷暖房の負荷に対応した運転が容易になる。また第2の部分熱回収運転においては、低外気条件でもすでに空気熱交換器3の圧力がある程度上昇している運転となるので、完全熱回収運転への切換は直ちに実施できるので、より負荷に追従しやすい運転が可能となる。
【0034】
この冷凍空調装置の圧力の計測は、圧力センサ14a〜14cで実施されることは前述したが、他の手段を用いて圧力を計測してもよい。例えば、空気熱交換器3の中間部や暖房側熱交換器10の中間部に温度センサを設け、各熱交換器での凝縮温度を計測し、その飽和圧力を求めることで圧力を計測してもよい。この場合、完全熱回収運転中には、暖房側熱交換器10の凝縮温度から測定される圧力が圧縮機1の吐出圧力となり、空気熱交換器3の凝縮温度から測定される圧力が空気熱交換器3の圧力となる。
また温度を計測する他の場所として、レシーバ5の温度を計測してもよい。レシーバ5内は気液がともに存在する二相状態であるので、計測される温度に対応した飽和圧力を求めることで圧力が計測できる。またレシーバ5は高圧側にあり各運転モードで冷媒が流れるので、圧縮機1の吐出圧力を計測できる。
【0035】
また温度式膨張弁7は、図1の冷凍空調装置では各熱交換器に対応し1つずつ設置されているが、1つの温度式膨張弁7を各熱交換器兼用に用いてもよい。また温度式膨張弁の代わりに電子膨張弁やキャピラリーチューブなど他の減圧装置を適用してもよい。ただし、温度式膨張弁7を各熱交換器共通にした場合、冷凍空調装置の各運転モードで蒸発温度が異なり、感温筒13の温度もそれにより変化するので、モード切換の際に前の運転モードの影響を受けて、運転に不具合を及ぼす可能性があるので、できれば図1の膨張弁7、感温筒13の配置にように、各熱交換器個別に設置し、運転モード切換の際の影響を受けないようにすることが望ましい。
【0036】
またこの冷凍空調装置では、圧縮機1をスクリュー型としているが、レシプロ、ロータリー、スクロールなど他の形式の圧縮機であっても、また圧縮機が複数台であっても同様の効果を得ることができる。熱交換器3、8、10についても、冷房側熱交換器8、暖房側熱交換器10がシェルアンドチューブ型であったり、空気と熱交換行うプレートフィンチューブ型の熱交換器であっても同様の効果を得ることができるし、空気熱交換器3が水やブラインなどを熱源とするプレート熱交換器やシェルアンドチューブ型の熱交換器であっても同様の効果を得ることができる。また各用途の熱交換器が複数台あっても同様の効果を得ることができる。
また冷凍空調装置に用いられる冷媒についても、R−407Cに限定される物では無く、他の冷媒、例えばHFC系冷媒、あるいはこれらの混合冷媒やHC系冷媒およびこれらの混合冷媒、あるいはCO2、水などの自然冷媒を用いても同様の効果を得ることができる。
【0037】
実施の形態2.
以下本発明の実施の形態2示す。実施の形態2においても冷凍空調装置は図1に示される実施の形態1と同じであるので、冷媒回路各要素の構成についての説明は省略する。
【0038】
冷房単独運転から完全熱回収運転への運転切換において、電磁弁2の開閉を図10に従って切り換えると、従来例の問題点にあるように、圧縮機1の吐出圧力が急上昇するという問題が生じるので、この問題を回避するため、本実施の形態においては、図8の横軸を運転時間として各電磁弁2の開閉状態を示すような制御を実施する。また図9は横軸を運転時間[秒]、縦軸を圧力[kgf/cm2G]とし、図8の開閉動作を実施したときの、切換動作開始以降の圧縮機1の吸入圧力(点線)と吐出圧力(実線)の状況を示す。なお図9での運転条件は、外気温度−5℃、暖房側熱交換器10への温水入口温度50℃、冷房側熱交換器8への冷水入口温度12℃で運転しているものである。
【0039】
まず運転時間a〜bの間は冷房単独運転を実施している。そして時間bの時点で、温水温度などから、暖房負荷が増大し暖房能力が必要と判断され、冷房単独運転から完全熱回収運転への切換動作が開始され、電磁弁2bおよび電磁弁2cが閉から開に制御され、第2の部分熱回収運転が実施される。この時点で圧縮機1から吐出されたガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10へ流入する冷媒と、電磁弁2a、2cを経て空気熱交換器3へ流入する冷媒とに分岐される。
第2の部分熱回収運転開始時には図9に示されるように、吐出圧力は冷房運転時と同程度の低い圧力であり、凝縮温度は温水温度よりも低い温度になる。従って、第2の部分熱回収運転の開始時では、暖房側熱交換器10では温水から熱をもらい加熱される一方、空気熱交換器3では外気に放熱する運転を実施する。冷凍空調装置運転において、高圧(=吐出圧力)が上昇するには、外部から何らかのエネルギを受けることが必須であり、第2の部分熱回収運転では、暖房側熱交換器10において温水から熱エネルギをもらうとともに、空気熱交換器3で外気に放出される熱エネルギ量が減少することで高圧が上昇する。しかし、従来例にあるように第2の部分熱回収運転を実施せず完全熱回収運転を実施すると、圧縮機1から吐出されるガス冷媒がすべて、暖房側熱交換器10に流入し、ここで受けるエネルギ量が多すぎる一方、空気熱交換器3で外気に放出される熱エネルギ量が0となる状態となって、エネルギ授受量が多くなり過ぎ、高圧が急上昇するのに比べ、本実施の形態の場合には、暖房側熱交換器10に流入する冷媒量が少なく、そのため暖房側熱交換器10において受けるエネルギ量が低下することと、空気熱交換器3で熱エネルギを適量外気に放出することから、高圧の急上昇が抑制され、適度な上昇速度とすることができる。
【0040】
そして、時間cの段階で、圧縮機1の吐出圧力が十分上昇した段階で完全熱回収運転への切換が実施される。このように運転を切り換えることで、完全熱回収運転に切り換えた時点での吐出圧力急上昇も抑制することができる。このときの運転切換のタイミングとしては、暖房側熱交換器10に供給される温水の温度を計測する第1の温度計測装置を設けて検知した温水温度と圧縮機の吐出圧力から推測される吐出圧力の上昇幅によって決定することができる。完全熱回収運転実施時は暖房側熱交換器10が凝縮器となるので、暖房側熱交換器10に流入する温水温度によって、冷媒側の凝縮温度が決まり、この凝縮温度から吐出圧力が決定される。この温水温度と凝縮温度の相関は暖房側熱交換器10の特性によって決定されるので、この相関を予め運転試験などで把握しておくことにより、完全熱回収運転に切り換えた後の吐出圧力がどこまで上昇するか推測できる。そこで、完全熱回収運転を開始するタイミングとしては、温水温度から推測される完全熱回収運転実施時の吐出圧力と現在の吐出圧力との偏差が予め設定された偏差以下、例えば、両圧力の偏差が5kgf/cm2G以下となってから電磁弁2を切り換えるようにする。このような運転を実施することで、完全熱回収運転開始時の吐出圧力の急上昇を抑制できる。
以上のように電磁弁2の開閉制御を実施することで、吐出圧力急上昇に伴う運転信頼性の低下を回避でき、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0041】
なお、運転条件によっては高圧急上昇が発生する可能性の無い場合もあるので、状況によっては冷房運転から完全熱回収運転にそのまま切り換えてもよい。例えば、暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が40℃であり、空気熱交換器3の周囲温度が35℃であった場合、冷房単独運転時の凝縮温度は45℃程度となり吐出圧力は18kgf/cm2G、完全熱回収運転時の凝縮温度は53℃程度となり吐出圧力は22kgf/cm2G程度で運転される。このとき、各運転での圧縮機1の吐出圧力差は4kgf/cm2程度と小さく、運転モードを冷房単独運転から完全熱回収運転に切り換えても圧縮機1の吐出圧力上昇は問題となる程度とはならない。このような状況では、冷房単独運転から完全熱回収運転にそのまま切り換えることができ、モード切換のための第2の部分熱回収運転の実施を省略できるので、冷凍空調装置に要求される負荷に対応した運転モードに素早く変更することができる。
このときの、直接運転モード切換を実施するかどうかの判断基準も、前述した完全熱回収運転実施時になると推測される吐出圧力と現在の吐出圧力との偏差によって決定することができる。この運転条件の場合、吐出圧力の偏差は4kgf/cm2Gであり、偏差の許容範囲を5kgf/cm2Gとすると、許容範囲内であるので、この状態では運転切換時の吐出圧力上昇は問題の無いレベルと判断し、直接モード切換を実施する。
【0042】
また第2の部分熱回収運転実施中は、吐出圧力が上昇し、凝縮温度も上昇するので、空気熱交換器3での熱交換量が増加し、冷媒が凝縮しやすくなる。外気温度が低い場合には、空気熱交換器3内で冷却され液化する量が増加し、空気熱交換器3内に滞留し寝込みやすくなる。寝込み量が余りに過大になると、第2の部分熱回収運転中に他の冷媒回路構成要素に必要な冷媒量が不足する状況となり、運転継続不能となるので、この運転実施中は空気熱交換器3にできるだけ冷媒が寝込まないように、熱交換量が少なくなるよう運転することが望ましい。
従って、第2の部分熱回収運転実施中の空気熱交換器3のファンの運転を停止する制御を実施するなど、できるだけ熱交換量が少なくなるように制御する。また空気熱交換器3が、電磁弁などで流路構成を変更し、伝熱面積を可変にできるようになっているならば、熱交換量が減少するように、伝熱面積をできるだけ小さくなるように運転することが望ましい。このような運転を実施することで、空気熱交換器3への過度の冷媒寝込み回避し、第2の部分熱回収運転を連続して運転できるようになり、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現できる。
ただし、空気熱交換器3での熱交換量を少なくしすぎると、暖房側熱交換10から受けるエネルギ量が大きい場合、吐出圧力の上昇がかえって急になりすぎる場合もある。このような場合に対応するために、圧縮機1の吐出圧力の変動を検知し、ある一定時間の上昇幅が設定値より大きくなるなど、上昇の変化が急であると判断される場合には、適宜空気熱交換器3のファンを運転し、外気へ放出するエネルギ量を増加させることで、高圧の上昇を抑制する。
【0043】
なお、第2の部分熱回収運転においては、空気熱交換器3に通じる電磁弁2a、2cどちらも開として運転しているが、電磁弁2cは閉のままで、電磁弁2aのみ開として、第2の部分熱回収運転を行ってもよい。ただし、電磁弁2cを閉じると、電磁弁2a、2cを開とした運転に比べ、圧縮機1を吐出されたガスが空気熱交換器3に流入する流量が減少し、逆に暖房側熱交換器10に流入する流量が増加する。このため、暖房側熱交換器10において、温水より受けるエネルギ量が増加し、吐出圧力の上昇速度が増大する。従って、吐出圧力の上昇を抑制したいような運転条件の場合、例えば、温水入口温度が高く外気温度が低い条件の場合には、電磁弁2cを開として運転するほうが望ましい。また吐出圧力の上昇が早いと冷凍空調装置の暖房能力が早く出ることになるので、吐出圧力の上昇が信頼性に影響を与えない運転条件の場合、例えば、温水入口温度が低く、外気温度が高い条件の場合には、電磁弁2cを閉として、吐出圧力の上昇を早め、速やかに完全熱回収運転に切り換えられるようにしてもよい。このような運転を実施することで、冷凍空調装置の運転信頼性を確保しつつ、冷暖房負荷に対して速やかに追従できる冷凍空調装置を得ることができる。
また電磁弁2cの口径については上記のように、電磁弁2aと併用して吐出圧力の上昇を適度に抑制する運転を実施することを考えると、電磁弁2aよりも口径(Cv値)が小さいものが望ましい。電磁弁2cの口径として電磁弁2aの口径の50%程度のものを選択し、電磁弁2a、2cの開閉を(1)電磁弁2a閉、2c開、(2)電磁弁2a開、2c閉、(3)電磁弁2a開、2c開というように3段階で制御すると、圧縮機1と空気熱交換器3との間にある電磁弁2a、2cの合計のCv値が電磁弁2aの(1)50%、(2)100%、(3)150%と連続的に制御でき、運転切換時に吐出圧力の上昇を抑制しつつ暖房能力を速やかに発揮するより最適な制御を実施することが可能となる。
【0044】
また、図8の運転制御では、第2の部分熱回収運転に引き続き完全熱回収運転を実施しているが、暖房負荷の状況によってはそのまま第2の部分熱回収運転を継続してもよい。第1の実施の形態で述べたように、第2の部分熱回収運転では、完全熱回収運転の約1/2の暖房能力となる。従って暖房負荷が第2の部分熱回収運転でまかなえる程度であるならば、第2の部分熱回収運転を継続して実施することで、より負荷に追従した運転が可能となる。
【0045】
また、第2の部分熱回収運転実施時に吸引回路12に設けた電磁弁2iを開とし、吸引回路12に冷媒を流す運転を実施してもよい。この場合、レシーバ5底部から冷房側熱交換器8に向けて液冷媒が流れるとともに、レシーバ5頂部から吸引回路12にレシーバ内のガス冷媒が圧縮機1吸入側に流れる運転となる。従ってレシーバ5から気液の冷媒が流出することになるので、レシーバ5に流入する冷媒も気液二相の冷媒となり、吸引回路12に冷媒を流さない場合に比べてよりガスを多く含む冷媒が流入する。空気熱交換器3出口の冷媒状態もこれによりガスを多く含む方向に変化し、より過冷却度の小さい、または気液二相であればより乾き度の大きい状態となる。空気熱交換器3出口状態がこのように変化すると、熱交換器内全体の液量も減少することになるので、冷媒が寝込んだとしても寝込み量の少ない運転を実現できる。
前述したように、第2の部分熱回収運転において、ファン制御を実施した場合、空気熱交換器3に冷媒が寝込み、冷媒量不足により運転が継続できなくなる可能性があるが、このような状況に対応して、電磁弁2iを開とし、吸引回路12に冷媒を流す運転を実施すると空気熱交換器3内に寝込んだ冷媒をレシーバ5に、引いては冷凍サイクル全体に回収することができ、冷媒量不足による運転不能状態を回避でき、より信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、圧縮機、暖房側熱交換器、減圧装置および冷房側熱交換器を環状に接続して、前記暖房側熱交換器から温熱、前記冷房側熱交換器から冷熱を供給する完全熱回収運転の冷媒回路と、前記圧縮機、熱源側熱交換器、前記減圧装置および前記冷房側熱交換器を環状に接続して、前記冷房側熱交換器から冷熱のみを供給する冷房単独運転の冷媒回路と、冷暖房負荷に応じて、前記完全熱回収運転と冷房単独運転とを切換える前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第1の開閉弁および前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第2の開閉弁と、前記第2の開閉弁に並列に該第2の開閉弁より口径が小さい第3の開閉弁とを備えたので、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時、あるいは冷房単独運転から熱回収運転への切換時の圧縮機吐出圧力の過度の変動を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0047】
また、圧縮機の吐出側圧力を計測する第1の圧力計測装置と熱源側熱交換器の圧力を計測する第2の圧力計測装置を有し、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切換える場合に、前記第1および第2の圧力計測装置による検出値に応じて、第1、第2および第3の開閉弁の開閉制御を行う制御装置を備えたので、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時の圧縮機吐出圧力の過度の低下を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0048】
また、第1の圧力計測装置により検知される吐出側圧力と第2の圧力計測装置により検知される熱源側熱交換器の圧力との差が予め定められた設定範囲以下であれば、完全熱回収運転から、第1の開閉弁を閉、第2の開閉弁を開、第3の開閉弁を閉とする冷房単独運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたので、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時に速やかに冷房運転を実施でき、負荷追従性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0049】
また、第1の部分熱回収運転中は、熱源側熱交換器の熱交換量を前記熱源側熱交換器の最大熱交換量よりも少なくなるように制御する制御装置を備えたので、第1の部分熱回収運転中の熱源側熱交換器への冷媒寝込みによる冷媒量不足状態を回避し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0050】
また、冷房単独運転から完全熱回収運転へ切換える場合に、冷房単独運転から、第1の開閉弁を開、第2の開閉弁を開、第3の開閉弁を開とする第2の部分熱回収運転に切換えて所定時間運転した後に、前記第1の開閉弁を開、前記第2の開閉弁を閉、前記第3の開閉弁を閉とする完全熱回収運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたので、冷房単独運転から完全熱回収運転への切換時の圧縮機吐出圧力の過度の上昇を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0051】
また、暖房側熱交換器の負荷側の温度を計測する第1の温度計測装置と圧縮機の吐出側圧力を計測する第1の圧力計測装置を有し、第2の部分熱回収運転中に、前記第1の温度計測装置により検知する暖房負荷側の温度から推定される完全熱回収運転時の圧縮機吐出圧力と、現在の圧縮機吐出圧力との圧力偏差が予め定められた設定範囲以内であれば、前記第2の部分熱回収運転から完全熱回収運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたので、完全熱回収運転開始時の圧縮機吐出圧力の過度の上昇を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0052】
また、第2の部分熱回収運転の際、第1の圧力計測装置の検出値に応じて熱源側熱交換器の熱交換量を制御する制御装置を備えたので、第2の部分熱回収運転実施時の圧縮機吐出圧力の上昇を適切に制御し、信頼性の高い冷凍空調装置を得るとともに、負荷追従性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の冷媒回路を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の冷房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の暖房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の完全熱回収運転での冷媒流路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置のデフロスト運転での冷媒流路を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の電磁弁制御方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係わる冷凍空調装置の冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換える際の電磁弁制御方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係わる冷凍空調装置の冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1及び2に係わる運転モードによる電磁弁の開閉制御のパターン図である。
【図11】本発明の実施の形態1及び2に係わる部分熱回収運転での電磁弁の開閉制御のパターン図である。
【図12】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路を示す図である。
【図13】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での冷房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図14】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での暖房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図15】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での完全熱回収運転での冷媒流路を示す図である。
【図16】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【図17】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、 2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i 電磁弁、 3 空気熱交換器、 4a,4b,4c,4d,4e 逆止弁、 5 レシーバ、 6 高低圧熱交換器、 7a,7b,7c,7d 膨張弁、 8 冷房側熱交換器、 9 アキュムレータ、 10 暖房側熱交換器、 11 液インジェクション回路、 12 吸引回路、 13a,13b,13c,13d感温筒、14a,14b,14c 圧力センサ、 15 計測制御装置。
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍空調装置に関するものであり、特に冷水、温水などを介し、冷暖房単独運転および冷温水を同時に取り出す冷房暖房同時運転(熱回収運転)を実施することができる冷凍空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、冷暖房単独運転、および熱回収運転を行えるようにした冷凍空調装置として、圧縮機の吐出側と温水を供給する暖房側熱交換器と空気熱交換器の一端を第1三方弁で接続するとともに、圧縮機の吸入側と冷水を供給する冷房側熱交換器と空気熱交換器の他端を第2三方弁で接続し、第1および第2三方弁の開度制御により、各熱交換器に循環させる流量を調節することで、冷房単独運転、暖房単独運転、冷房主体熱回収運転(冷房能力>暖房能力)、暖房主体熱回収運転(暖房能力>冷房能力)、完全熱回収運転(冷房能力≒暖房能力)という5つの運転モードを実現する構成のものがある。(例えば、特許文献1参照)
しかし、この従来例においては、各熱交換器に振り分ける流量を連続可変にするために高価な2個の三方弁が用いられており、冷凍空調装置のコストが上昇するという問題があった。
【0003】
そこで、三方弁17の機能を安価な開閉機能のみを持つ電磁弁で代替するために、図12に示されるような冷凍空調装置がある。この冷凍空調装置では、圧縮機1の吐出側と暖房側熱交換器10との間を電磁弁2b、圧縮機1の吐出側と空気熱交換器3との間を電磁弁2aで接続し、圧縮機1の吸入側と冷房側熱交換器8との間を逆止弁4c、圧縮機1の吸入側と空気熱交換器3との間を電磁弁2dで接続し、電磁弁2bと電磁弁2aで上記従来の第1三方弁、逆止弁4cと電磁弁2dで上記従来の第2三方弁の機能を代替させている。
【0004】
そして冷凍空調装置の運転で各電磁弁は開閉機能のみ持つので、図13での太線で流路を示すように、電磁弁2a、2fを開、他の電磁弁を閉とし、圧縮機1、空気熱交換器3(凝縮器として機能)、逆止弁4a、レシーバ5、減圧装置7a、冷房側熱交換器8(蒸発器として機能)、圧縮機1を環状に接続するようにして、冷房単独運転を実現し、図14での太線で流路を示すように、電磁弁2b、2d、2gを開、他の電磁弁を閉とし、圧縮機1、暖房側熱交換器10(凝縮器として機能)、レシーバ5、減圧装置7b、空気熱交換器3(蒸発器として機能)、圧縮機1を環状に接続するようにして、暖房単独運転を実現し、図15での太線で流路を示すように、電磁弁2b、2fを開、他の電磁弁を閉とし、圧縮機1、暖房側熱交換器10(凝縮器として機能)、レシーバ5、減圧装置7a、冷房側熱交換器8(蒸発器として機能)、圧縮機1を環状に接続するようにして完全熱回収運転(冷房能力≒暖房能力)を実現し、この3つの運転モードを持つようにしていた。
そして冷房負荷、暖房負荷とも存在し、冷房負荷>暖房負荷という状況に対しては、上記従来例の冷房主体熱回収運転と同様の能力を発揮するために、図12の冷凍空調装置では、冷房運転と完全熱回収運転とを負荷に応じた時間で運転を切換えて対応していた。また冷房負荷、暖房負荷とも存在し、暖房負荷>冷房負荷という状況に対しては、上記従来例の暖房主体熱回収運転と同様の能力を発揮するために、図12の冷凍空調装置では、暖房運転と完全熱回収運転とを負荷に応じた時間で運転を切換えて対応していた。
【0005】
【特許文献1】
特開昭52−140045号公報(第3−4頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来例には以下のような問題があった。まず、特開昭52−140045号公報に記載の冷凍空調装置についてであるが、前述したように、熱回収運転を実現するために高価な三方弁が用いられており、冷凍空調装置のコストが上昇する問題があった。また図12に記載の冷凍空調装置においては、三方弁を安価な電磁弁に代えているので、コスト上昇という問題は回避しているが、負荷に応じて冷房単独運転から完全熱回収運転、完全熱回収運転から冷房単独運転へ運転を切り換える際に以下のようの問題があった。
【0007】
まず、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の問題について説明する。図16は完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換えたときの圧縮機1の吐出・吸入圧力の変動を表したグラフである。このときの運転条件は暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が50℃、冷房側熱交換器8に供給される冷水の温度が12℃、空気熱交換器3の周囲外気温度が−5℃であり、グラフの運転時間10秒の時点で完全熱回収運転時に開となっている電磁弁2bを閉とし、冷房単独運転を実施するために電磁弁2aを開としている。図16に示されているように、運転切換と同時に圧縮機1の吐出圧力が大きく低下する。これは、熱回収運転中は、空気熱交換器3は冷媒が流れる流路からは切り離されており、外気温度相当の飽和圧力となり、外気温度が−5℃程度の低外気となると、圧縮機1の吐出圧力よりも相当低い圧力となり、3.9kgf/cm2G程度の圧力となる。そして運転切換と同時に圧縮機1吐出側と空気熱交換器3が接続されるので、圧縮機1の吐出圧力が28kgf/cm2Gから8kgf/cm2Gと20kgf/cm2程度の幅で大きく低下する。このような圧力変化により次のような問題が生じる。
【0008】
まず圧縮機1が高圧シェルタイプであり、シェル内に冷凍機油を貯めるような形式となっていた場合、圧縮機1吐出圧力(高圧)が大きく低下すると、それにより圧縮機1内の冷凍機油に溶解している冷媒が発泡し、シェル内でフォーミングを生じるようになる。そのため圧縮機1シェル内の冷凍機油がシェル外に持ち出されやすく減少しやすくなり、圧縮機1運転における信頼性を低下させるという問題があった。また圧縮機1吐出側に油分離器を備え、その油分離器内に冷凍機油を保持し、適宜圧縮機1に冷凍機油を供給するような回路構成となっている場合も、同様に油分離器内の冷凍機油がフォーミングにより流出し、圧縮機1への油供給量が滞りやすくなり圧縮機1運転の信頼性が低下するという問題があった。また圧縮機1吐出圧力が大きく低下したときに、減圧装置として、膨張弁を用いた場合、膨張弁の開閉制御が吐出圧力低下に十分に追従しないと、吐出圧力低下とともに圧縮機1吸入圧力も低下する状態となる。冷房側熱交換器8の熱交換媒体として水(冷水)を用いる場合、吸入圧力低下により冷房側熱交換器8での冷媒温度(蒸発温度)が0℃以下になると、冷水が凍結する可能性があるので、このような状態を回避するため冷凍空調装置の運転が停止される。従って冷凍空調装置の運転が連続的に実施されないようになり、冷暖房の負荷に対し十分に追従できないという問題点があった。
【0009】
次に冷房単独運転から完全熱回収運転に切り換える際の問題について説明する。図17は冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換えたときの圧縮機1の吐出・吸入圧力の変動を表したグラフである。このときの運転条件は暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が50℃、冷房側熱交換器8に供給される冷水の温度が12℃、空気熱交換器の周囲外気温度が−5℃であり、グラフの時間0秒の時点で冷房単独運転時に開となっている電磁弁2aを閉とし、完全熱回収運転を実施するために電磁弁2bを開としている。図17に示されているように、運転を切換え、完全熱回収運転を開始すると同時に圧縮機1の吐出圧力が数10秒程度の短時間で大きく上昇する。冷房単独運転中は凝縮器である空気熱交換器3の周囲外気温度が−5℃という低外気であるため、吐出圧力が低い運転となっているが、完全熱回収運転では凝縮器は暖房側熱交換器10であり、暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が50℃と高温であるため、その温度に応じて高い吐出圧力で運転される。このような圧力変化により次のような問題が生じる。まず吐出圧力の急上昇に応じて、圧縮機1の吐出温度が過度に上昇しやすくなり、圧縮機1運転の信頼性を低下させるという問題点があった。特に圧縮機1が液インジェクションなどにより、吐出温度が上昇しないように回路構成しているものであれば、吐出温度の過度の上昇に対応して液インジェクションの供給が間に合わなくなる可能性があり、圧縮機1運転の信頼性が低下する。また圧縮機1吐出圧力が急上昇したときに、減圧装置として、膨張弁を用いた場合、膨張弁の開閉制御が吐出圧力上昇に十分に追従しないと、吐出圧力上昇とともに圧縮機1吸入圧力も上昇する状態となる。このとき、圧縮機1の吐出・吸入圧力がともに高い状態となり、圧縮機1が過負荷運転となり、圧縮機1の許容負荷を上回ると、保護のために圧縮機1を停止する、あるいは圧縮機1の運転容量を低下させるという制御が実施されることになる。従って冷凍空調装置の運転が冷暖房の負荷に対応して実施することが難しくなり、冷暖房の負荷に対し十分に追従できないという問題点があった。
【0010】
本発明は以上の課題に鑑み、冷水、温水などを介し、冷暖房単独運転および冷温水を同時に取り出す冷房暖房同時運転(熱回収運転)を実施することができる冷凍空調装置において、安価に構成するとともに、運転の信頼性を高くし、冷暖房の負荷に追従できる冷凍空調装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る冷凍空調装置において、圧縮機、暖房側熱交換器、減圧装置および冷房側熱交換器を環状に接続して、前記暖房側熱交換器から温熱、前記冷房側熱交換器から冷熱を供給する完全熱回収運転の冷媒回路と、前記圧縮機、熱源側熱交換器、前記減圧装置および前記冷房側熱交換器を環状に接続して、前記冷房側熱交換器から冷熱のみを供給する冷房単独運転の冷媒回路と、冷暖房負荷に応じて、前記完全熱回収運転と冷房単独運転とを切換える前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第1の開閉弁および前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第2の開閉弁と、前記第2の開閉弁に並列に該第2の開閉弁より口径が小さい第3の開閉弁と、を備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下本発明の実施の形態1を図1に示す。図1において、1は圧縮機、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2iは電磁弁、3は熱源側熱交換器である空気熱交換器、4a、4b、4c、4d、4eは逆止弁、5はレシーバ、6は高低圧熱交換器、7a、7b、7c、7dは減圧装置として用いる温度式膨張弁、8は冷房側熱交換器、9はアキュムレータ、10は暖房側熱交換器である。この冷凍空調装置では、圧縮機1の吐出側と暖房側熱交換器10との間を電磁弁2b、圧縮機1の吐出側と空気熱交換器3との間を電磁弁2aで接続し、圧縮機1の吸入側と冷房側熱交換器8との間を逆止弁4c、圧縮機1の吸入側と空気熱交換器3との間を電磁弁2dで接続し、電磁弁2bと電磁弁2a、そして逆止弁4cと電磁弁2dでそれぞれ三方弁の機能を代替している。また、この冷凍空調装置の冷媒としてはR−407Cが用いられる。
【0013】
圧縮機1はスクリュー型圧縮機であり、圧縮機1の冷媒ガス吐出部に吐出されるガス冷媒と冷凍機油を分離する油分離器を内蔵し、ここで分離された冷凍機油は圧縮機1の吸入側に戻され、再度圧縮機1の軸受け部潤滑などに用いられる。空気熱交換器3はファンで送風される外気と熱交換を実施するプレートフィンチューブ型の熱交換器である。電磁弁2a〜2iはこの冷凍空調装置の運転モードを切り換える電磁弁であり、運転モードに応じてその開閉が決定される。レシーバ5では、冷凍空調装置に充填された冷媒量のうち、他の要素部品に存在する量以外の余剰の冷媒量を液として保持する。アキュムレータ9内部に設けられた高低圧熱交換器6では、レシーバ5を出た高圧の液冷媒と圧縮機1に吸入されるガス冷媒とをアキュムレータ9内で熱交換し、高圧の液冷媒を冷却し過冷却度を大きくし、さらに圧縮機1に吸入するガスを加熱する。また高低圧熱交換器6では、圧縮機1に吸入する冷媒ガスに液が混入する液バック状態であった場合、この液冷媒を蒸発加熱し、液バックを緩和する機能を持つ。温度式膨張弁7a、7b、7cは図1に示されるように、それぞれ冷房側熱交換器8、空気熱交換器3、暖房側熱交換器10の出口側に温度を感知する感温筒13a、13b、13cが設置されており、各熱交換器の出口過熱度が設定された値になるように制御される。冷房側熱交換器8はプレート熱交換器であり、熱交換器に供給される冷水と冷媒が対向流の流路となるように構成される。暖房側熱交換器10も同様にプレート熱交換器であり、熱交換器に供給される温水と冷媒が対向流の流路となるように構成される。
【0014】
また11はレシーバ5の底部から圧縮機1の圧縮機構部へ配管接続した液インジェクション回路であり、レシーバ5底部に貯留される液冷媒を圧縮機1に供給する。この液インジェクション回路上に設けた膨張弁7dは液インジェクション量を制御する温度式膨張弁であり、圧縮機1の吐出ガス部に相当する吐出側配管に感温筒13dが設けられ、過熱度が所定値になるように液インジェクション回路11を流れる液インジェクション量を制御する。12はレシーバ5の頂部から圧縮機1の吸入側につながるアキュムレータ9の流入側配管に接続された吸引回路であり、レシーバ5頂部からレシーバ5内のガスを吸引し、圧縮機1吸入側に流す機能を持ち、吸引回路12上に設けた開閉弁2iの開閉により冷媒の流通が制御される。
【0015】
14a、14b、14cは圧力センサであり、圧縮機1の吐出側配管に設けられた第1の圧力計測装置14aは圧縮機1の吐出圧力、圧縮機1の吸入側配管に設けられた第3の圧力計測装置14bは圧縮機1の吸入圧力、第2の圧力計測装置14cは熱源側熱交換器3の近傍に設けられ圧力を計測する。
【0016】
第2の開閉弁である電磁弁2a、第1の開閉弁である電磁弁2b、第4の開閉弁である電磁弁2d、第5の開閉弁である電磁弁2eは、以下に説明されるように各運転モードにおいて圧縮機1で搬送される冷媒が主に流れるので、各電磁弁での圧力損失による冷凍空調装置の性能低下を防止するために大口径のものが用いられる。例えば、圧縮機1で搬送される冷媒流量が4000kg/h程度であるならば、電磁弁2a、2b、2d、2eはCv値が30程度のもので圧力損失が0.5kgf/cm2G程度以下になるものが選択される。
一方、第3の開閉弁である電磁弁2cは、従来技術にある、完全熱回収運転から冷房単独運転、または冷房単独運転から完全熱回収運転へのモード切換時に生じる圧力変動を抑制するために電磁弁2aと並列に設置されており、その口径は電磁弁2aよりも小さいものである。例えば、圧縮機1で搬送される冷媒流量が4000kg/h程度であるならば、電磁弁2cはCv値が3程度と電磁弁2a、2c、2d、2eなどより1/10程度小さいものが選択される。
【0017】
また15は、圧力センサ14の計測値など、冷凍空調装置の運転状態を計測し、圧縮機1の運転、容量制御、空気熱交換器3のファン風量、電磁弁2の開閉制御など冷凍空調装置の運転を制御する運転制御装置である。
【0018】
次に実施の形態1における冷凍空調装置での冷媒の流れについて説明する。この冷凍空調装置では運転モードとして、冷水のみを冷却する冷房単独運転、温水のみを加熱する暖房単独運転、冷水冷却と温水加熱を同時に行う完全熱回収運転、および空気熱交換器3の除霜を行うデフロスト運転の4つの運転モードを有する。それぞれの運転モードでの電磁弁2の開閉制御は図10のように実施される。
また各運転モードにおいて、液インジェクション回路11では、前述したように、圧縮機1の吐出ガスが適度な過熱度になるようにレシーバ5内の液冷媒が圧縮機1に供給される。
【0019】
まず冷房単独運転では、電磁弁2a、2fが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図2の太線のように設定される。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2aを経て空気熱交換器3に流入し、ここで外気と熱交換し冷却され凝縮液化し、飽和液となり、逆止弁4aを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で、電磁弁2fを経て、温度式膨張弁7aで減圧され低圧の二相冷媒となり、冷房側熱交換器8に流入する。冷房側熱交換器8で冷媒は、冷水と熱交換し、冷水から熱を奪い冷房能力を発揮するとともに、自身は加熱され、適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は逆止弁4cを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
【0020】
暖房単独運転では、電磁弁2b、2d、2gが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図3の太線のように設定される。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10に流入し、ここで温水と熱交換し、温水を加熱することで暖房能力を発揮するとともに、自身は冷却され凝縮液化し、飽和液となり、逆止弁4bを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で、電磁弁2gを経て、温度式膨張弁7bで減圧され低圧の二相冷媒となり、空気熱交換器3に流入する。空気熱交換器3で冷媒は、外気と熱交換し、加熱され、適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は電磁弁2dを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
【0021】
完全熱回収運転では、電磁弁2b、2fが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図4の太線のように設定される。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10に流入し、ここで温水と熱交換し、温水を加熱することで暖房能力を発揮するとともに、自身は冷却され凝縮液化し、飽和液となり、逆止弁4bを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で、電磁弁2fを経て、温度式膨張弁7aで減圧され低圧の二相冷媒となり、冷房側熱交換器8に流入する。冷房側熱交換器8で冷媒は、冷水と熱交換し、冷水から熱を奪い冷房能力を発揮するとともに、自身は加熱され、適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は逆止弁4cを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
【0022】
最後にデフロスト運転では、電磁弁2a、2e、2hが開となり、電磁弁2、および逆止弁4により流路が図5の太線のように設定される。デフロスト運転では、暖房側熱交換器10の温水を熱源にデフロストを実施する。冷媒の流れは以下となる。圧縮機1から吐出される高圧高温のガス冷媒は、電磁弁2aを経て空気熱交換器3に流入し、ここで空気熱交換器3を加熱し、デフロスト(除霜)を実施する。冷媒は逆に冷却され凝縮し、逆止弁4aを経てレシーバ5に流入する。レシーバ5底部から流出する飽和液は高低圧熱交換器6で圧縮機1の吸入ガスと熱交換し冷却され、過冷却液となった後で電磁弁2hを経て、温度式膨張弁7cで減圧され低圧の二相冷媒となり、暖房側熱交換器10に流入する。暖房側熱交換器10で冷媒は、温水と熱交換し、温水に加熱され適度な過熱度のガス冷媒となる。このガス冷媒は電磁弁2eを経て、アキュムレータ9に流入し、高低圧熱交換器6にて高圧の液冷媒に加熱された後で、圧縮機1に流入する。
なおデフロスト運転では、レシーバ5の頂部からアキュムレータ9の流入側配管とを接続した吸引回路12に冷媒が流れるように電磁弁2iが開に制御され、レシーバ5を介して空気熱交換器3からガスを引っ張ってくる運転となるので、デフロスト運転中の空気熱交換器3への冷媒寝込みを回避する。
【0023】
次に、本実施の形態における完全熱回収運転から冷房単独運転への運転モード切換時の動作について説明する。完全熱回収運転においては、前述されるように電磁弁2b、2fが開、他の電磁弁が閉に制御され、圧縮機1から暖房側熱交換器10、レシーバ5、温度式膨張弁7a、冷房側熱交換器8、圧縮機1へという流路が形成される。このとき運転条件が、暖房側熱交換器10への温水入口温度50℃という条件であった場合、凝縮温度(暖房側熱交換器での冷媒温度)は63℃程度で運転され、圧縮機の吐出圧力(高圧)は凝縮温度相当の飽和圧力の28kgf/cm2G程度となる。一方、空気熱交換器3は、圧縮機1で搬送される冷媒の主流路からは隔離されるので、外気温度と同じ冷媒温度をとるようになり、外気温度−5℃という条件であった場合、空気熱交換器3内の圧力は、外気温度相当の飽和圧力となり、その圧力は3.9kgf/cm2G程度となる。
【0024】
完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際に電磁弁を図10の完全熱回収運転のパターンから、冷房単独運転のパターンに切り換えると、圧縮機1の吐出ガスが電磁弁2aを介して、圧力の低い空気熱交換器3に接続され、そのため圧縮機1の吐出圧力が大きく低下し、冷凍機油流出や低圧低下など従来の技術と同様の問題が生じるので、本実施の形態では、図6に示されるような電磁弁2a〜2iの開閉パターンで運転モードの切換制御を実施する。以下図6の開閉パターンで電磁弁2を制御した場合の動作について説明する。また図7は横軸を運転時間[秒]、縦軸を圧力[kgf/cm2G]とし、この開閉動作を実施したときの圧縮機1の吸入圧力(点線)、吐出圧力(実線)、および空気熱交換気3の圧力変動(一点鎖線)の状況を示す。なお図7での運転条件は、空気熱交換器3への外気温度−5℃、暖房側熱交換器10への温水入口温度50℃、冷房側熱交換器8への冷水入口温度12℃で運転しているものである。
【0025】
まず図中の運転時間a〜bの間は完全熱回収運転を実施している。そして時間bの時点で、温水温度などから、暖房負荷が減少し暖房能力が必要ないと判断され、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換動作が開始され、電磁弁2cが閉から開に制御され、第1の部分熱回収運転が実施される。この時点で圧縮機1から吐出されたガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10へ流入する冷媒と、電磁弁2cを経て空気熱交換器3へ流入する冷媒とに分流される。電磁弁2cの口径は、電磁弁2a、2bよりも小さいので、流動抵抗は大きく、その前後で圧力差が生じ、圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3との間で圧力差を確保することができる。従って、電磁弁2cを開としても、その後の圧力変化は図7に示されるように、電磁弁2cを開とした瞬間(時間b)に若干低下するもののその圧力低下幅を小さくすることができる。
【0026】
時間bの時点で電磁弁2cを開とした後、空気熱交換器3へは圧縮機1から吐出されたガス冷媒が電磁弁2cを介して流入し、それにより空気熱交換器3の圧力は次第に上昇する。そして、時間cとなり、空気熱交換器3の圧力が予め設定される適切なレベルまで上昇すると電磁弁2の開閉制御を冷房単独運転と同じように制御する。この時点では圧縮機1の吐出圧力と、空気熱交換器3の圧力差は小さく、電磁弁2の開閉制御により冷房単独運転とし、圧縮機1の吐出側が電磁弁2aを介して空気熱交換器3へ接続されるようになっても、大幅な吐出圧力低下は生じない。
このとき、許容される吐出圧力低下幅がΔP1と設定されている場合には、圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3の圧力の偏差ΔP2(ΔP2=圧縮機1吐出圧力−空気熱交換器3圧力)と比較し、ΔP1×1.1>ΔP2となる程度に圧力偏差ΔP2が小さくなった段階で、冷房単独運転を開始すると、電磁弁切換時点の圧縮機1吐出圧力の低下幅をΔP1以下に抑制できる。
【0027】
このように、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際に、予め、電磁弁2cを開とし圧縮機1からの吐出冷媒の一部を空気熱交換器3に流入させ、圧力を上昇させてから、冷房単独運転に切り換えるので、運転モード切換の際の圧縮機1吐出圧力の大幅な低下を抑制し、油分離器からの冷凍機油の流出による給油不良や、低圧低下とにより生じる凍結保護による冷凍空調装置の運転停止という状態を回避でき、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実施することができる。
【0028】
なお、このようなモード切換時の吐出圧力低下を抑制する運転は問題となる圧力低下が発生する可能性の無い場合には特に必要ではないので、状況によっては完全熱回収運転から冷房運転にそのまま切り換えてもよい。例えば、暖房側熱交換器に供給される温水の温度が40℃であり、空気熱交換器の周囲温度が40℃であった場合、凝縮温度は53℃程度で運転され、圧縮機1の吐出圧力(高圧)は凝縮温度相当の飽和圧力の22kgf/cm2G程度となる。一方空気熱交換器3は、圧縮機1で搬送される冷媒の主流路からは隔離されるので、外気温度と同じ冷媒温度をとるようになり、空気熱交換器3内の圧力は、外気温度相当の飽和圧力となり、その圧力は17kgf/cm2G程度となる。このとき、圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3内の圧力差は5kgf/cm2程度と小さく、運転モードを完全熱回収から冷房単独運転に切り換えても圧縮機1の吐出圧力低下は問題となる程度とはならない。このような状況では、完全熱回収運転から冷房運転にそのまま切り換えることができ、モード切換のための第1の部分熱回収運転の実施を省略できるので、冷凍空調装置に要求される負荷に対応した運転モードに素早く変更することができる。
このときの、直接運転モード切換を実施するかどうかの判断基準も、前述した圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3の圧力の偏差ΔP2によって決定することができる。すなわち、完全熱回収運転実施中に許容される圧力低下幅ΔP1×1.1>ΔP2という状況であれば、冷房単独運転に切り換え時の圧縮機1の吐出圧力低下幅は問題の無いので、直接モード切換を実施することが可能となる。
【0029】
また第1の部分熱回収運転実施中は、圧縮機1から吐出されるガス冷媒の一部が空気熱交換器3に流入するが、外気温度が低い場合には、ガス冷媒は空気熱交換器3内で冷却され液化する。この運転中、空気熱交換器3の圧力は接続される他の部分よりも圧力が低いので、液化された冷媒はそのまま空気熱交換器3内に滞留し寝込むようになる。冷媒の寝込み量は、空気熱交換器3の熱交換量によって決定される。寝込み量が余りに過大になると、第1の部分熱回収運転中に主に冷媒が循環している経路での冷媒量が不足し、運転継続不能となるので、この運転実施中は空気熱交換器3にできるだけ冷媒が寝込まないように、熱交換量が少なくなるよう運転することが望ましい。従って、第1の部分熱回収運転実施中は空気熱交換器のファン制御により運転を停止するなど、できるだけ熱交換量が少なくなるように制御する。また空気熱交換器3が、電磁弁などで流路構成を変更し、伝熱面積を可変にできるようになっているならば、熱交換量が減少するように、伝熱面積をできるだけ小さくなるように運転することが望ましい。このような運転を実施することで、空気熱交換器3への過度の冷媒寝込み回避し、第1の部分熱回収運転を連続して運転できるようになり、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現できる。
【0030】
また第1の部分熱回収運から冷房単独運転に切り換えた直後の、空気熱交換器3の熱交換量の制御についても、圧縮機1の吐出圧力低下が生じないように制御することが望ましい。例えば、外気温度が−5℃などの低外気であり、暖房側熱交換器10の温水入口温度が50℃であった場合、第1の部分熱回収運転中は空気熱交換器3のファンを停止し、空気熱交換器3への冷媒寝込みを抑制しつつ、空気熱交換器3内の圧力を上昇させる運転を実施し冷房単独運転に切り換えるがこのときの圧縮機1の吐出圧力は22kgf/cm2G程度となる。この段階で空気熱交換器3のファンを増速し、熱交換量が最大になるような運転を実施すると、外気温度−5℃に対応し凝縮温度5℃程度で運転されることになるので、圧縮機1の吐出圧力は、凝縮温度での飽和圧力5kgf/cm2G程度まで低下し、圧力の低下幅が大きくなり、冷凍空調装置運転の信頼性が低下する。そこで、このような状況では空気熱交換器3のファンの運転を圧縮機1の吐出圧力によるフィードバック制御により実施し、圧縮機1の吐出圧力の大幅な低下を生じないように制御する。この制御により、吐出圧力低下による問題点を回避し、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現する。また予めファンの運転パターンを定めるフィードフォワード制御を実施する場合においては、急激に空気熱交換器3の熱交換量が増加しないよう、ファンによる風量制御を小幅な変更幅で、時間をかけて制御することが望ましい。なお、空気熱交換器3の熱交換量を電磁弁などにより流路構成を変更し、伝熱面積を可変にできるようになっている場合においても、圧縮機1の吐出圧力を見てフィードバック制御を実施する、あるいは、熱交換量が急激に増加しないように、伝熱面積を小幅な変更幅で、時間をかけて制御することが望ましい。
【0031】
なお、電磁弁2cの口径(Cv値)の選択においては、以下のように決定することができる。まず電磁弁2cの口径が大きすぎると、例えば電磁弁2aと同等程度の口径であると、第1の部分熱回収運転を実施しても、圧縮機1の吐出部と空気熱交換器3の差圧(圧力損失)が小さくなるので、第1の部分熱回収運転実施時に圧縮機1の吐出圧力と空気熱交換器3の圧力が同程度となり、大幅な吐出圧力低下を生じ、運転に不具合を来すようになる。また、電磁弁2cの口径が小さすぎる場合、圧縮機1の吐出部と空気熱交換器3の差圧(圧力損失)が大きくなるので、第1の部分熱回収運転開始時の吐出圧力低下は回避できるが、第1の部分熱回収運転実施中に圧縮機1からの吐出ガスの空気熱交換器3への流入量が減少し、第1の部分熱回収運転中の空気熱交換器3の圧力上昇が遅くなり、空気熱交換器3の圧力が所定の圧力となるまで実施する第1の部分熱回収の運転時間が長くなる。第1の部分熱回収運転では、前述したように、空気熱交換器3に冷媒が寝込んでおり、その量が時間とともに増加する。そのため、電磁弁2cの口径が小さすぎる場合、空気熱交換器3への冷媒寝込み量が多くなり過ぎ、第1の部分熱回収運転中に主に冷媒が循環している経路での冷媒量が不足し、運転継続不能となってしまう。従って、電磁弁2cの口径は、第1の部分熱回収運転開始時に圧縮機1の吐出圧力低下が問題とならない程度に小さな口径とするとともに、第1の部分熱回収運転の長さが適度に短く、空気熱交換器3への冷媒寝込み量が多くならない程度の大きな口径とすることが望ましく、前述したように電磁弁2aの1/10程度の口径(Cv値)とすることが望ましい。
【0032】
また、電磁弁2a、2cの代わりに口径を可変に制御できる電動弁を用いてもよい。このときの電動弁の口径の制御については、電磁弁2a、2cの開となっている口径になるように制御する。すなわち、完全熱回収運転中は、電動弁を閉に制御し、第1の部分熱回収運転中は、電磁弁2cの口径と等しく制御し、冷房単独運転中は電磁弁2aの口径と等しくなるように制御する。このような制御を実施することで、電磁弁2a、2cを用いた場合と同様の運転を実施することができ、この場合も信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実施することができる。
【0033】
また、図6の運転制御では、第1の部分熱回収運転に引き続き冷房単独運転を実施しているが、第1の部分熱回収運転に引き続き、図11に示す電磁弁2の制御を実施してなる第2の部分熱回収運転を実施してもよい。第2の部分熱回収運転では、圧縮機1から吐出されたガス冷媒が、電磁弁2bを介して暖房側熱交換器10に流入するとともに、電磁弁2aおよび2cを介して空気側熱交換器3に流入する。流入したガス冷媒はそれぞれの熱交換器で凝縮し、出口で合流した後でレシーバ5に流入する。この運転では電磁弁2b、2aの口径が同程度であるので、両熱交換器に流入するガス冷媒量は同程度となる。従って完全熱回収運転に比べて、暖房側熱交換器10に流入する冷媒流量は約1/2(実際には電磁弁2cを介して空気熱交換器3へ流入する冷媒もあるので、1/2を若干下回る)となり、暖房側熱交換器10で発揮される暖房能力も約1/2となる。従って、第2の部分熱回収運転で発揮される能力は、冷房能力については、冷房単独運転および完全熱回収運転と同等、暖房能力については完全熱回収運転の1/2となり、冷房単独運転と完全熱回収運転の中間の能力を発揮する運転となり、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時に実施することで、より冷暖房の負荷に対応した運転が容易になる。また第2の部分熱回収運転においては、低外気条件でもすでに空気熱交換器3の圧力がある程度上昇している運転となるので、完全熱回収運転への切換は直ちに実施できるので、より負荷に追従しやすい運転が可能となる。
【0034】
この冷凍空調装置の圧力の計測は、圧力センサ14a〜14cで実施されることは前述したが、他の手段を用いて圧力を計測してもよい。例えば、空気熱交換器3の中間部や暖房側熱交換器10の中間部に温度センサを設け、各熱交換器での凝縮温度を計測し、その飽和圧力を求めることで圧力を計測してもよい。この場合、完全熱回収運転中には、暖房側熱交換器10の凝縮温度から測定される圧力が圧縮機1の吐出圧力となり、空気熱交換器3の凝縮温度から測定される圧力が空気熱交換器3の圧力となる。
また温度を計測する他の場所として、レシーバ5の温度を計測してもよい。レシーバ5内は気液がともに存在する二相状態であるので、計測される温度に対応した飽和圧力を求めることで圧力が計測できる。またレシーバ5は高圧側にあり各運転モードで冷媒が流れるので、圧縮機1の吐出圧力を計測できる。
【0035】
また温度式膨張弁7は、図1の冷凍空調装置では各熱交換器に対応し1つずつ設置されているが、1つの温度式膨張弁7を各熱交換器兼用に用いてもよい。また温度式膨張弁の代わりに電子膨張弁やキャピラリーチューブなど他の減圧装置を適用してもよい。ただし、温度式膨張弁7を各熱交換器共通にした場合、冷凍空調装置の各運転モードで蒸発温度が異なり、感温筒13の温度もそれにより変化するので、モード切換の際に前の運転モードの影響を受けて、運転に不具合を及ぼす可能性があるので、できれば図1の膨張弁7、感温筒13の配置にように、各熱交換器個別に設置し、運転モード切換の際の影響を受けないようにすることが望ましい。
【0036】
またこの冷凍空調装置では、圧縮機1をスクリュー型としているが、レシプロ、ロータリー、スクロールなど他の形式の圧縮機であっても、また圧縮機が複数台であっても同様の効果を得ることができる。熱交換器3、8、10についても、冷房側熱交換器8、暖房側熱交換器10がシェルアンドチューブ型であったり、空気と熱交換行うプレートフィンチューブ型の熱交換器であっても同様の効果を得ることができるし、空気熱交換器3が水やブラインなどを熱源とするプレート熱交換器やシェルアンドチューブ型の熱交換器であっても同様の効果を得ることができる。また各用途の熱交換器が複数台あっても同様の効果を得ることができる。
また冷凍空調装置に用いられる冷媒についても、R−407Cに限定される物では無く、他の冷媒、例えばHFC系冷媒、あるいはこれらの混合冷媒やHC系冷媒およびこれらの混合冷媒、あるいはCO2、水などの自然冷媒を用いても同様の効果を得ることができる。
【0037】
実施の形態2.
以下本発明の実施の形態2示す。実施の形態2においても冷凍空調装置は図1に示される実施の形態1と同じであるので、冷媒回路各要素の構成についての説明は省略する。
【0038】
冷房単独運転から完全熱回収運転への運転切換において、電磁弁2の開閉を図10に従って切り換えると、従来例の問題点にあるように、圧縮機1の吐出圧力が急上昇するという問題が生じるので、この問題を回避するため、本実施の形態においては、図8の横軸を運転時間として各電磁弁2の開閉状態を示すような制御を実施する。また図9は横軸を運転時間[秒]、縦軸を圧力[kgf/cm2G]とし、図8の開閉動作を実施したときの、切換動作開始以降の圧縮機1の吸入圧力(点線)と吐出圧力(実線)の状況を示す。なお図9での運転条件は、外気温度−5℃、暖房側熱交換器10への温水入口温度50℃、冷房側熱交換器8への冷水入口温度12℃で運転しているものである。
【0039】
まず運転時間a〜bの間は冷房単独運転を実施している。そして時間bの時点で、温水温度などから、暖房負荷が増大し暖房能力が必要と判断され、冷房単独運転から完全熱回収運転への切換動作が開始され、電磁弁2bおよび電磁弁2cが閉から開に制御され、第2の部分熱回収運転が実施される。この時点で圧縮機1から吐出されたガス冷媒は、電磁弁2bを経て暖房側熱交換器10へ流入する冷媒と、電磁弁2a、2cを経て空気熱交換器3へ流入する冷媒とに分岐される。
第2の部分熱回収運転開始時には図9に示されるように、吐出圧力は冷房運転時と同程度の低い圧力であり、凝縮温度は温水温度よりも低い温度になる。従って、第2の部分熱回収運転の開始時では、暖房側熱交換器10では温水から熱をもらい加熱される一方、空気熱交換器3では外気に放熱する運転を実施する。冷凍空調装置運転において、高圧(=吐出圧力)が上昇するには、外部から何らかのエネルギを受けることが必須であり、第2の部分熱回収運転では、暖房側熱交換器10において温水から熱エネルギをもらうとともに、空気熱交換器3で外気に放出される熱エネルギ量が減少することで高圧が上昇する。しかし、従来例にあるように第2の部分熱回収運転を実施せず完全熱回収運転を実施すると、圧縮機1から吐出されるガス冷媒がすべて、暖房側熱交換器10に流入し、ここで受けるエネルギ量が多すぎる一方、空気熱交換器3で外気に放出される熱エネルギ量が0となる状態となって、エネルギ授受量が多くなり過ぎ、高圧が急上昇するのに比べ、本実施の形態の場合には、暖房側熱交換器10に流入する冷媒量が少なく、そのため暖房側熱交換器10において受けるエネルギ量が低下することと、空気熱交換器3で熱エネルギを適量外気に放出することから、高圧の急上昇が抑制され、適度な上昇速度とすることができる。
【0040】
そして、時間cの段階で、圧縮機1の吐出圧力が十分上昇した段階で完全熱回収運転への切換が実施される。このように運転を切り換えることで、完全熱回収運転に切り換えた時点での吐出圧力急上昇も抑制することができる。このときの運転切換のタイミングとしては、暖房側熱交換器10に供給される温水の温度を計測する第1の温度計測装置を設けて検知した温水温度と圧縮機の吐出圧力から推測される吐出圧力の上昇幅によって決定することができる。完全熱回収運転実施時は暖房側熱交換器10が凝縮器となるので、暖房側熱交換器10に流入する温水温度によって、冷媒側の凝縮温度が決まり、この凝縮温度から吐出圧力が決定される。この温水温度と凝縮温度の相関は暖房側熱交換器10の特性によって決定されるので、この相関を予め運転試験などで把握しておくことにより、完全熱回収運転に切り換えた後の吐出圧力がどこまで上昇するか推測できる。そこで、完全熱回収運転を開始するタイミングとしては、温水温度から推測される完全熱回収運転実施時の吐出圧力と現在の吐出圧力との偏差が予め設定された偏差以下、例えば、両圧力の偏差が5kgf/cm2G以下となってから電磁弁2を切り換えるようにする。このような運転を実施することで、完全熱回収運転開始時の吐出圧力の急上昇を抑制できる。
以上のように電磁弁2の開閉制御を実施することで、吐出圧力急上昇に伴う運転信頼性の低下を回避でき、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0041】
なお、運転条件によっては高圧急上昇が発生する可能性の無い場合もあるので、状況によっては冷房運転から完全熱回収運転にそのまま切り換えてもよい。例えば、暖房側熱交換器10に供給される温水の温度が40℃であり、空気熱交換器3の周囲温度が35℃であった場合、冷房単独運転時の凝縮温度は45℃程度となり吐出圧力は18kgf/cm2G、完全熱回収運転時の凝縮温度は53℃程度となり吐出圧力は22kgf/cm2G程度で運転される。このとき、各運転での圧縮機1の吐出圧力差は4kgf/cm2程度と小さく、運転モードを冷房単独運転から完全熱回収運転に切り換えても圧縮機1の吐出圧力上昇は問題となる程度とはならない。このような状況では、冷房単独運転から完全熱回収運転にそのまま切り換えることができ、モード切換のための第2の部分熱回収運転の実施を省略できるので、冷凍空調装置に要求される負荷に対応した運転モードに素早く変更することができる。
このときの、直接運転モード切換を実施するかどうかの判断基準も、前述した完全熱回収運転実施時になると推測される吐出圧力と現在の吐出圧力との偏差によって決定することができる。この運転条件の場合、吐出圧力の偏差は4kgf/cm2Gであり、偏差の許容範囲を5kgf/cm2Gとすると、許容範囲内であるので、この状態では運転切換時の吐出圧力上昇は問題の無いレベルと判断し、直接モード切換を実施する。
【0042】
また第2の部分熱回収運転実施中は、吐出圧力が上昇し、凝縮温度も上昇するので、空気熱交換器3での熱交換量が増加し、冷媒が凝縮しやすくなる。外気温度が低い場合には、空気熱交換器3内で冷却され液化する量が増加し、空気熱交換器3内に滞留し寝込みやすくなる。寝込み量が余りに過大になると、第2の部分熱回収運転中に他の冷媒回路構成要素に必要な冷媒量が不足する状況となり、運転継続不能となるので、この運転実施中は空気熱交換器3にできるだけ冷媒が寝込まないように、熱交換量が少なくなるよう運転することが望ましい。
従って、第2の部分熱回収運転実施中の空気熱交換器3のファンの運転を停止する制御を実施するなど、できるだけ熱交換量が少なくなるように制御する。また空気熱交換器3が、電磁弁などで流路構成を変更し、伝熱面積を可変にできるようになっているならば、熱交換量が減少するように、伝熱面積をできるだけ小さくなるように運転することが望ましい。このような運転を実施することで、空気熱交換器3への過度の冷媒寝込み回避し、第2の部分熱回収運転を連続して運転できるようになり、信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現できる。
ただし、空気熱交換器3での熱交換量を少なくしすぎると、暖房側熱交換10から受けるエネルギ量が大きい場合、吐出圧力の上昇がかえって急になりすぎる場合もある。このような場合に対応するために、圧縮機1の吐出圧力の変動を検知し、ある一定時間の上昇幅が設定値より大きくなるなど、上昇の変化が急であると判断される場合には、適宜空気熱交換器3のファンを運転し、外気へ放出するエネルギ量を増加させることで、高圧の上昇を抑制する。
【0043】
なお、第2の部分熱回収運転においては、空気熱交換器3に通じる電磁弁2a、2cどちらも開として運転しているが、電磁弁2cは閉のままで、電磁弁2aのみ開として、第2の部分熱回収運転を行ってもよい。ただし、電磁弁2cを閉じると、電磁弁2a、2cを開とした運転に比べ、圧縮機1を吐出されたガスが空気熱交換器3に流入する流量が減少し、逆に暖房側熱交換器10に流入する流量が増加する。このため、暖房側熱交換器10において、温水より受けるエネルギ量が増加し、吐出圧力の上昇速度が増大する。従って、吐出圧力の上昇を抑制したいような運転条件の場合、例えば、温水入口温度が高く外気温度が低い条件の場合には、電磁弁2cを開として運転するほうが望ましい。また吐出圧力の上昇が早いと冷凍空調装置の暖房能力が早く出ることになるので、吐出圧力の上昇が信頼性に影響を与えない運転条件の場合、例えば、温水入口温度が低く、外気温度が高い条件の場合には、電磁弁2cを閉として、吐出圧力の上昇を早め、速やかに完全熱回収運転に切り換えられるようにしてもよい。このような運転を実施することで、冷凍空調装置の運転信頼性を確保しつつ、冷暖房負荷に対して速やかに追従できる冷凍空調装置を得ることができる。
また電磁弁2cの口径については上記のように、電磁弁2aと併用して吐出圧力の上昇を適度に抑制する運転を実施することを考えると、電磁弁2aよりも口径(Cv値)が小さいものが望ましい。電磁弁2cの口径として電磁弁2aの口径の50%程度のものを選択し、電磁弁2a、2cの開閉を(1)電磁弁2a閉、2c開、(2)電磁弁2a開、2c閉、(3)電磁弁2a開、2c開というように3段階で制御すると、圧縮機1と空気熱交換器3との間にある電磁弁2a、2cの合計のCv値が電磁弁2aの(1)50%、(2)100%、(3)150%と連続的に制御でき、運転切換時に吐出圧力の上昇を抑制しつつ暖房能力を速やかに発揮するより最適な制御を実施することが可能となる。
【0044】
また、図8の運転制御では、第2の部分熱回収運転に引き続き完全熱回収運転を実施しているが、暖房負荷の状況によってはそのまま第2の部分熱回収運転を継続してもよい。第1の実施の形態で述べたように、第2の部分熱回収運転では、完全熱回収運転の約1/2の暖房能力となる。従って暖房負荷が第2の部分熱回収運転でまかなえる程度であるならば、第2の部分熱回収運転を継続して実施することで、より負荷に追従した運転が可能となる。
【0045】
また、第2の部分熱回収運転実施時に吸引回路12に設けた電磁弁2iを開とし、吸引回路12に冷媒を流す運転を実施してもよい。この場合、レシーバ5底部から冷房側熱交換器8に向けて液冷媒が流れるとともに、レシーバ5頂部から吸引回路12にレシーバ内のガス冷媒が圧縮機1吸入側に流れる運転となる。従ってレシーバ5から気液の冷媒が流出することになるので、レシーバ5に流入する冷媒も気液二相の冷媒となり、吸引回路12に冷媒を流さない場合に比べてよりガスを多く含む冷媒が流入する。空気熱交換器3出口の冷媒状態もこれによりガスを多く含む方向に変化し、より過冷却度の小さい、または気液二相であればより乾き度の大きい状態となる。空気熱交換器3出口状態がこのように変化すると、熱交換器内全体の液量も減少することになるので、冷媒が寝込んだとしても寝込み量の少ない運転を実現できる。
前述したように、第2の部分熱回収運転において、ファン制御を実施した場合、空気熱交換器3に冷媒が寝込み、冷媒量不足により運転が継続できなくなる可能性があるが、このような状況に対応して、電磁弁2iを開とし、吸引回路12に冷媒を流す運転を実施すると空気熱交換器3内に寝込んだ冷媒をレシーバ5に、引いては冷凍サイクル全体に回収することができ、冷媒量不足による運転不能状態を回避でき、より信頼性の高い冷凍空調装置の運転を実現できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように、圧縮機、暖房側熱交換器、減圧装置および冷房側熱交換器を環状に接続して、前記暖房側熱交換器から温熱、前記冷房側熱交換器から冷熱を供給する完全熱回収運転の冷媒回路と、前記圧縮機、熱源側熱交換器、前記減圧装置および前記冷房側熱交換器を環状に接続して、前記冷房側熱交換器から冷熱のみを供給する冷房単独運転の冷媒回路と、冷暖房負荷に応じて、前記完全熱回収運転と冷房単独運転とを切換える前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第1の開閉弁および前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第2の開閉弁と、前記第2の開閉弁に並列に該第2の開閉弁より口径が小さい第3の開閉弁とを備えたので、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時、あるいは冷房単独運転から熱回収運転への切換時の圧縮機吐出圧力の過度の変動を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0047】
また、圧縮機の吐出側圧力を計測する第1の圧力計測装置と熱源側熱交換器の圧力を計測する第2の圧力計測装置を有し、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切換える場合に、前記第1および第2の圧力計測装置による検出値に応じて、第1、第2および第3の開閉弁の開閉制御を行う制御装置を備えたので、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時の圧縮機吐出圧力の過度の低下を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0048】
また、第1の圧力計測装置により検知される吐出側圧力と第2の圧力計測装置により検知される熱源側熱交換器の圧力との差が予め定められた設定範囲以下であれば、完全熱回収運転から、第1の開閉弁を閉、第2の開閉弁を開、第3の開閉弁を閉とする冷房単独運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたので、完全熱回収運転から冷房単独運転への切換時に速やかに冷房運転を実施でき、負荷追従性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0049】
また、第1の部分熱回収運転中は、熱源側熱交換器の熱交換量を前記熱源側熱交換器の最大熱交換量よりも少なくなるように制御する制御装置を備えたので、第1の部分熱回収運転中の熱源側熱交換器への冷媒寝込みによる冷媒量不足状態を回避し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0050】
また、冷房単独運転から完全熱回収運転へ切換える場合に、冷房単独運転から、第1の開閉弁を開、第2の開閉弁を開、第3の開閉弁を開とする第2の部分熱回収運転に切換えて所定時間運転した後に、前記第1の開閉弁を開、前記第2の開閉弁を閉、前記第3の開閉弁を閉とする完全熱回収運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたので、冷房単独運転から完全熱回収運転への切換時の圧縮機吐出圧力の過度の上昇を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0051】
また、暖房側熱交換器の負荷側の温度を計測する第1の温度計測装置と圧縮機の吐出側圧力を計測する第1の圧力計測装置を有し、第2の部分熱回収運転中に、前記第1の温度計測装置により検知する暖房負荷側の温度から推定される完全熱回収運転時の圧縮機吐出圧力と、現在の圧縮機吐出圧力との圧力偏差が予め定められた設定範囲以内であれば、前記第2の部分熱回収運転から完全熱回収運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたので、完全熱回収運転開始時の圧縮機吐出圧力の過度の上昇を抑制し、信頼性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【0052】
また、第2の部分熱回収運転の際、第1の圧力計測装置の検出値に応じて熱源側熱交換器の熱交換量を制御する制御装置を備えたので、第2の部分熱回収運転実施時の圧縮機吐出圧力の上昇を適切に制御し、信頼性の高い冷凍空調装置を得るとともに、負荷追従性の高い冷凍空調装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の冷媒回路を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の冷房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の暖房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の完全熱回収運転での冷媒流路を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置のデフロスト運転での冷媒流路を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の電磁弁制御方法を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わる冷凍空調装置の完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係わる冷凍空調装置の冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換える際の電磁弁制御方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係わる冷凍空調装置の冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1及び2に係わる運転モードによる電磁弁の開閉制御のパターン図である。
【図11】本発明の実施の形態1及び2に係わる部分熱回収運転での電磁弁の開閉制御のパターン図である。
【図12】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路を示す図である。
【図13】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での冷房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図14】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での暖房単独運転での冷媒流路を示す図である。
【図15】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での完全熱回収運転での冷媒流路を示す図である。
【図16】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での完全熱回収運転から冷房単独運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【図17】従来の冷凍空調装置の別の冷媒回路での冷房単独運転から完全熱回収運転へ切り換える際の圧力変動を示す図である。
【符号の説明】
1 圧縮機、 2a,2b,2c,2d,2e,2f,2g,2h,2i 電磁弁、 3 空気熱交換器、 4a,4b,4c,4d,4e 逆止弁、 5 レシーバ、 6 高低圧熱交換器、 7a,7b,7c,7d 膨張弁、 8 冷房側熱交換器、 9 アキュムレータ、 10 暖房側熱交換器、 11 液インジェクション回路、 12 吸引回路、 13a,13b,13c,13d感温筒、14a,14b,14c 圧力センサ、 15 計測制御装置。
Claims (11)
- 圧縮機、暖房側熱交換器、減圧装置および冷房側熱交換器を環状に接続して、前記暖房側熱交換器から温熱、前記冷房側熱交換器から冷熱を供給する完全熱回収運転の冷媒回路と、
前記圧縮機、熱源側熱交換器、前記減圧装置および前記冷房側熱交換器を環状に接続して、前記冷房側熱交換器から冷熱のみを供給する冷房単独運転の冷媒回路と、
冷暖房負荷に応じて、前記完全熱回収運転と冷房単独運転とを切換える前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第1の開閉弁および前記圧縮機と熱源側熱交換器の間に設けた第2の開閉弁と、
前記第2の開閉弁に並列に該第2の開閉弁より口径が小さい第3の開閉弁と、
を備えたことを特徴とする冷凍空調装置。 - 完全熱回収運転から冷房単独運転へ、または冷房単独運転から完全熱回収運転への少なくともどちらか一方の切換え時に第3の開閉弁を開とする制御装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の冷凍空調装置。
- 圧縮機の吐出側圧力を計測する第1の圧力計測装置と熱源側熱交換器の圧力を計測する第2の圧力計測装置を有し、完全熱回収運転から冷房単独運転へ切換える場合に、前記第1および第2の圧力計測装置による検出値に応じて、第1、第2および第3の開閉弁の開閉制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項2記載の冷凍空調装置。
- 第1の圧力計測装置により検知される吐出側圧力と第2の圧力計測装置により検知される熱源側熱交換器の圧力との差が予め定められた設定範囲以上であれば、完全熱回収運転から、第1の開閉弁を開、第2の開閉弁を閉、第3の開閉弁を開とする第1の部分熱回収運転に切換えて所定時間運転した後に、前記第1の開閉弁を閉、前記第2の開閉弁を開、前記第3の開閉弁を閉とする冷房単独運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の冷凍空調装置。
- 圧縮機の吐出側圧力と熱源側熱交換器の圧力の差が予め定められた設定範囲以内となった時点で、第1の部分熱回収運転から冷房単独運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の冷凍空調装置。
- 第1の圧力計測装置により検知される吐出側圧力と第2の圧力計測装置により検知される熱源側熱交換器の圧力との差が予め定められた設定範囲以下であれば、完全熱回収運転から、第1の開閉弁を閉、第2の開閉弁を開、第3の開閉弁を閉とする冷房単独運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の冷凍空調装置。
- 第1の部分熱回収運転中は、熱源側熱交換器の熱交換量を前記熱源側熱交換器の最大熱交換量よりも少なくなるように制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の冷凍空調装置。
- 完全熱回収運転から冷房単独運転へ切換えた場合の冷房単独運転の開始時に、熱源側熱交換器の熱交換量を前記熱源側熱交換器の最大熱交換量よりも少なくなるように制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載の冷凍空調装置。
- 冷房単独運転から完全熱回収運転へ切換える場合に、冷房単独運転から、第1の開閉弁を開、第2の開閉弁を開、第3の開閉弁を開とする第2の部分熱回収運転に切換えて所定時間運転した後に、前記第1の開閉弁を開、前記第2の開閉弁を閉、前記第3の開閉弁を閉とする完全熱回収運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷凍空調装置。
- 暖房側熱交換器の負荷側の温度を計測する第1の温度計測装置と圧縮機の吐出側圧力を計測する第1の圧力計測装置を有し、第2の部分熱回収運転中に、前記第1の温度計測装置により検知する暖房負荷側の温度から推定される完全熱回収運転時の圧縮機吐出圧力と、現在の圧縮機吐出圧力との圧力偏差が予め定められた設定範囲以内であれば、前記第2の部分熱回収運転から完全熱回収運転へ切り換わる制御を行う制御装置を備えたことを特徴とする請求項9記載の冷凍空調装置。
- 第2の部分熱回収運転の際、第1の圧力計測装置の検出値に応じて熱源側熱交換器の熱交換量を制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項9または請求項10記載の冷凍空調装置。
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