JP2004204873A - デファレンシャル - Google Patents
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Abstract
【課題】低コスト化の要求に応えることのできるデファレンシャルを提供する。
【解決手段】ピニオンシャフト19は、棒状に形成されたストレートピニオンシャフト20の外側から内側に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面を備えた嵌合凹部21を、軸方向の中央部に、軸方向に対して直交する方向に沿って形成し、2つのストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】ピニオンシャフト19は、棒状に形成されたストレートピニオンシャフト20の外側から内側に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面を備えた嵌合凹部21を、軸方向の中央部に、軸方向に対して直交する方向に沿って形成し、2つのストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンやモータなどの原動機の駆動力を車輪駆動軸に伝達するデファレンシャルに係り、特に、密閉状のデフケース内に4つのピニオンが十字状のピニオンシャフトによって回転可能に保持されているデファレンシャルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、3輪、4輪などの車両においては、原動機としてのエンジンあるいはモータなどの駆動力をトランスミッション(変速機)に入力して駆動力を制御し、この制御された駆動力をトランスミッションの出力軸から必要に応じてプロペラシャフト(推進軸)を介してデフと称されるデファレンシャル(差動装置)に入力し、デファレンシャルにより原動機の駆動力を車輪駆動軸に伝達するようにした駆動力伝達装置が用いられている。
【0003】
このような駆動力伝達装置のデファレンシャルとして、ピニオンを4つ設けた4ピニオンタイプのデファレンシャルが、近年の原動機の駆動力の高出力化にともなうピニオンに作用する高荷重を分散させて、1つのピニオンが分担する荷重を軽減できるなどの理由により提案されている。
【0004】
また、近年においては、ピニオンおよびサイドギアにより構成されるデファレンシャルギアの作動音などのデフケースの内部の摺動部位から生じる音が外部へ洩れることにより生じる騒音を容易に低減できるなどの理由により、密閉状とされたデフケースを用いた構成のデファレンシャルが提案されている。
【0005】
従来の密閉状のデフケースを用いた4ピニオンタイプのデファレンシャルとしては、以下に記す2種類のものがある。
【0006】
従来の第1のデファレンシャルは、密閉状のデフケース内に、4つのピニオンを十字状に一体形成したピニオンシャフトに回転可能に保持した構成のデファレンシャルである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
従来の第2のデファレンシャルは、図5に示すように、デファレンシャル100のケース101に、1つの長ピニオンシャフト102と、2つの短ピニオンシャフト103,104とを十字状に配設することにより、4つのピニオン105を回転可能に支持する構成のものである。
【0008】
この構成のデファレンシャルにおいては、図5に示すように、ケース101に、その回転軸心RLを中心として上下左右の4方向に4つの貫通孔106が形成されている。これらの貫通孔106は、ケース101の回転軸心RLを中心として、隣り合う相互間距離が等しくなるように90度の角度をもって等角度配置されている。そして、各貫通孔106に対して各ピニオンシャフト102,103,104がケース101の外側から嵌合されている。これらのピニオンシャフト102,103,104は、ケース101に嵌合固定される固定ピン107によってケース101に固定されている。
【0009】
すなわち、長ピニオンシャフト102は、その両端部が貫通孔106に嵌合されており、ケース101の図5の上方に示す上端部側の貫通孔106の形成部においてケース101に嵌合される固定ピン107によって、長ピニオンシャフト102がその軸心を中心として回転するのを防止できるようにされている。さらに、図5の左方に示す短ピニオンシャフト103は、その左端部が貫通孔106に嵌合され、その右端がケース101の回転軸心RL側に配置されており、ケースの図5の左端部側の貫通孔106の形成部においてケース101に嵌合される固定ピン107によって、短ピニオンシャフト103がその軸心を中心として回転するのを防止できるようにされている。また、図5の右方に示す短ピニオンシャフト104は、その右端部が貫通孔106に嵌合され、その左端がケース101の回転軸心RL側に配置されており、ケースの図5の右端部側の貫通孔106の形成部においてケース101に嵌合される固定ピン107によって、短ピニオンシャフト104がその軸心を中心として回転するのを防止できるようにされている。
【0010】
また、ケース101内には、支持リング108が配設されており、長ピニオンシャフト102は、支持リング108をその中心を通って径方向に貫通するように配置されており、2つの短ピニオンシャフト103,104は、それぞれケース101の回転軸心RL側に位置する端部が支持リング108によって支持されている。
【0011】
前記3つのピニオンシャフト102,103,104と、3つの固定ピン107と、支持リング108とにより十字状をなすピニオンシャフトユニット109が構成されている。このピニオンシャフトユニット109を図6に示す。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−266162号公報(図3)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】。
【0014】
ところで、近年においては、各種装置の低コスト化が求められており、このような低コスト化の一つとして、デファレンシャルの低コスト化が求められている。
【0015】
しかしながら、従来の第1のデファレンシャルにおいては、十字状のピニオンシャフトの形成に多大な加工工程を必要とし手間がかかるので、低コスト化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0016】
また、従来の第2のデファレンシャルにおいては、部品点数が多いとともに、組み立て工程が多く、やはり低コスト化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0017】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、低コスト化の要求に応えることのできるデファレンシャルを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため特許請求の範囲の請求項1に係る本発明のデファレンシャルの特徴は、原動機の駆動力によりリングギアとともに一体回転する密閉状のデフケース内に、4つのピニオンが十字状に形成されたピニオンシャフトに回転可能に保持されているデファレンシャルにおいて、前記ピニオンシャフトは、棒状に形成された2つのストレートピニオンシャフトを有しており、これらのストレートピニオンシャフトには、外側から内側に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面を備えた嵌合凹部が、軸方向の中央部に、軸方向に対して直交する方向に沿ってそれぞれ形成されており、2つのストレートピニオンシャフトの嵌合凹部の底面を相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフトを十字状に配置した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、2つのストレートピニオンシャフトの嵌合凹部の底面を相互に対向するように配置するという簡単な操作によって、十字状のピニオンシャフトを容易に形成することができる。
【0019】
また、請求項2に係る本発明のデファレンシャルの特徴は、請求項1において、前記2つのストレートピニオンシャフトが同一形状である点にある。そして、このような構成を採用したことにより、2つのストレートピニオンシャフトを共通部品とすることができるので生産性がより向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0021】
図1から図4は本発明に係るデファレンシャルの実施形態を示すものであり、図1は要部の一部切断分解斜視図、図2は要部の断面図、図3は本体ケースへのデファレンシャルギアの装着状態を示す左側面図、図4は2つのストレートピニオンシャフトを十字状に形成した状態を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のデファレンシャル1は、デフケース2を有している。このデフケース2は、車両搭載状態において回転軸心RL(図2)がほぼ水平となるように配置されている。また、デフケース2は、図1右方に示すケース3と、図1左方に示すカバー4とに2分割形成されている。すなわち、デフケース2は、その回転軸心RLに沿って左右に2分割されている。さらに、デフケース2は、ケース3にカバー4を固定ボルト5(図2)によって締結することでその内部を密閉状態とすることができるようになっている。
【0023】
前記ケース3は、図1右方に示す小径部7と、この小径部7に接続するようにして同軸状に形成された図1左方に示す大径部8とにより全体としてほぼ段付き円筒形状に形成されている。そして、ケース3の小径部7の外周面には、軸受9(図2)を介して図示しないハウジングにデフケース2を回転自在に支持するための一対のジャーナル部10(10R,10L)のうちの一方のジャーナル部10Rが形成されている。このジャーナル部10Rの内側には、従来と同様に例えば車輪駆動軸の一方(右車輪駆動軸)の基端部が挿通可能な軸方向に貫通する車軸貫通孔11Rが形成されており、この車軸貫通孔11Rの軸心は、デフケース2の回転軸心RLと一致するように形成されている。
【0024】
前記ケース3の大径部8の内側には、4つのピニオン12および一対のサイドギア13からなるデファレンシャルギア14のうちの4つのピニオン12と図1の右方に示す一方のサイドギア13とを内部に装着可能なギア装着孔15が形成されている。このギア装着孔15は、ピニオン12の外周面が球面滑り軸受16を介して摺接可能な曲率半径により形成された球状面17を有している。
【0025】
すなわち、ケース3と4つのピニオン12との相互の対向面間、詳しくは4つのピニオン12の背面と、これらの背面に対向するケース3のギア装着孔15の球状面17との相互間には、スペーサを兼ねた球面滑り軸受16がそれぞれ配設されている。
【0026】
前記ギア装着孔15の内周面には、図3の上下に示す上下方向両内周面、および、図3の左右に示す左右方向両内周面の総計4カ所に、ギア装着孔15の軸方向(図2左右方向)に延在し、ギア装着孔15の大径の開口端側(図1左側)に開口する4つのシャフト装着溝18が上下方向および左右方向においてそれぞれ対向するようにしてそれぞれ形成されている。
【0027】
すなわち、4つのシャフト装着溝18は、ケース3の大径部8側の内周面に、回転軸心RLを中心として、等距離位置に隣り合う相互間距離が等しくなるように等角度配置されている。また、図2に示すように、各シャフト装着溝18の対向する一対の内側面18aは相互にほぼ平行に形成されている。
【0028】
前記4つのピニオン12は、図3に示すように、十字状に形成されたピニオンシャフト19の4つの先端部よりやや中央寄りにそれぞれ回転自在に装着されている。このピニオンシャフト19は、同一形状に形成された2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に配置することにより構成されている。なお、2つのストレートピニオンシャフト20の形状を異ならせてもよい。
【0029】
前記ストレートピニオンシャフト20は、図1に示すように、全体としてほぼ円柱形に形成されており、その軸方向の中央部には、軸方向に対して直交する方向に沿って嵌合凹部21が形成されている。この嵌合凹部21は、外側から内側である外周側から軸心に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面21aが形成されている。そして、一方のストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを他方のストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aに非接触状態で対向させることで、2つのストレートピニオンシャフト20を容易に十字状に形成することができるようになっている。
【0030】
すなわち、2つのストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に形成したピニオンシャフト19を容易かつ簡単に得ることができるようになっている。この2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に形成した状態のみを図4に示す。
【0031】
なお、ストレートピニオンシャフト20の形状としては、断面円形の円柱形に限らず、断面多角形の棒状、断面楕円形の棒状などの各種の形状から、設計コンセプトなどの必要に応じて選択使用できる。
【0032】
前記ストレートピニオンシャフト20の外周面の両先端部近傍には、相互にほぼ平行な2つの平行面からなる取着部22が前記嵌合凹部21の底面21aと直交する方向にそれぞれ形成されている。そして、ストレートピニオンシャフト20の取着部22が前記シャフト装着溝18にギア装着孔15の図1左方に示す開口側から挿入されるようになっている。さらに、ストレートピニオンシャフト20の先端部に形成されている平行面からなる各取着部22をシャフト装着溝18の内側面18a,18aと対向するようにして挿入することにより、ストレートピニオンシャフト20がその軸心を中心として回転するのを防止することができるようにされている。このシャフト装着溝18の2つの内側面18aが対向する方向の幅寸法は、ストレートピニオンシャフト20の取着部22の間隔より若干大きく形成されており、その結果ストレートピニオンシャフト20はフリー状態でケース3、詳しくはギア装着孔15の内部に配設されている。また、ストレートピニオンシャフト20の両端部には小径の突起が同軸状に形成されている。
【0033】
前記ギア装着孔15の内部の図1右方に示す一端たる底部側には、前記ピニオンシャフト19に装着された4つのピニオン12にそれぞれ噛合する一対のサイドギア13のうちの一方がその軸心をデフケース2の回転軸心RLとほぼ一致するようにして配設されている。
【0034】
なお、各サイドギア13の内周面には、図示しない車輪駆動軸、あるいは車輪駆動軸に接続される出力軸の基端部がスプラインなどの結合手段によりそれぞれ一体回転可能なように結合されている。
【0035】
前記ケース3の大径部8の図1左方に示す開口端の外周面には、径方向外側に向けて延出された円環状のフランジ部23が形成されており、このフランジ部23には、板厚方向に貫通する12箇所の雌ねじ24(図2に1箇所のみ図示)がデフケース2の回転軸心RLから等距離位置に隣位する2つの雌ねじ24の中心間距離が等しくなるように等角度配置されている。
【0036】
前記カバー4は、図1左方に示す小径部31と、この小径部31に接続するようにして同軸状に形成された図1右方に示す大径部32とにより全体としてほぼ段付き円筒形状に形成されている。そして、カバー4の図1左方に示す小径部31の外周面には、軸受9を介して図示しないハウジングにデフケース2を回転自在に支持するための一対のジャーナル部10(10R,10L)のうちの他方のジャーナル部10Lが形成されている。この他方のジャーナル部10Lの内側には、従来と同様に例えば車輪駆動軸の他方(左車輪駆動軸)の基端部が挿通可能な軸方向に貫通する車軸貫通孔11Lが形成されており、この車軸貫通孔11Lの軸心は、デフケース2の回転軸心RLと一致するように形成されている。また、各車軸貫通孔11R,11Lは、それぞれの軸心が一致するように形成されている。
【0037】
前記カバー4の大径部32の図1左方に示す外側面の外周側には、リングギア33(図2)を装着するための円環状のリングギア装着溝34が形成されており、このリングギア装着溝34には、デフケース2の回転軸心RLに対して平行となるように板厚方向に貫通する12箇所の貫通孔35が前記ケース3の雌ねじ24と同様に等角度配置されている。また、リングギア33にも、その板厚方向に貫通する12箇所のねじ貫通孔36(図2)が前記ケース3の雌ねじ24と同様に等角度配置されている。
【0038】
そして、リングギア33のねじ貫通孔36と、カバー4の貫通孔35とにこの順に挿通される固定ボルト5を、ケース3のフランジ部23に形成された雌ねじ24に螺入することで、ケース3の大径部8の開口端をカバー4の大径部32で塞ぐように一体化して密閉状のデフケース2を形成するとともに、デフケース2にリングギア33を固着することができるようになっている。
【0039】
なお、固定ボルト5の代わりに図示しないリベットなどの公知の締結部材を用いてもよい。さらに、固定ボルト5の使用数は、強度などの必要に応じて増減することができる。
【0040】
前記デフケース2とサイドギア13との相互の対向面間、詳しくはサイドギア13の背面と、この背面に対向するデフケース2の内面との相互間には、図1右方に示す一方にスペーサを兼ねた環状のスラスト滑り軸受41が配設されており、図1左方に示す他方にスペーサを兼ねた環状のスラスト滑り軸受42が配設されている。また、図1左方に示すスペーサを兼ねた環状のスラスト滑り軸受42は、隙間調整を行うシムも兼ねている。
【0041】
その他の構成は、従来公知のデファレンシャルと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
【0042】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0043】
本実施形態のデファレンシャル1によれば、低コスト化の要求に応えることができる。
【0044】
すなわち、本実施形態のデファレンシャル1によれば、2つのストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを相互に対向するように配置するという簡単な操作によって、十字状のピニオンシャフト19を容易に形成することができる。
【0045】
さらに、本実施形態のデファレンシャル1によれば、ピニオンシャフト19を、容易かつ短時間に加工することのできるストレートピニオンシャフト20によって形成しているので、ピニオンシャフト19の低コスト化を図ることができる。
【0046】
すなわち、従来の一体化した十字状のピニオンシャフトを加工により形成する場合には、十字状の素材を形成すること自体にコストがかかるとともに、十字状の加工には高い加工精度が必要であり、しかも加工工程が複雑になるのに対し、本実施形態のピニオンシャフト19は、組み立て時に1工程多くなるものの、棒状の素材を簡単な加工工程でストレートピニオンシャフト20に形成することが効率よくできるので、全体として低コスト化を確実かつ容易に図ることができる。
【0047】
また、従来のピニオンシャフトユニット109を用いる場合には、3つのピニオンシャフト102,103,104と、3つの固定ピン107と、支持リング108との総計7つの部品点数が必要であり、しかも加工工程が多く複雑になるのに対し、本実施形態のピニオンシャフト19は、棒状の素材を簡単な加工工程でストレートピニオンシャフト20に形成することが効率よくできるので、部品点数が少なく、低コスト化を確実かつ容易に図ることができる。
【0048】
さらに、従来のピニオンシャフトユニット109を用いる場合には、部品点数が7点と多いので、ケース101への組み立て工程が複雑になるのに対し、本実施形態のピニオンシャフト19は、2つのストレートピニオンシャフト20により部品点数が2点であり、デフケース2への組み立てが簡単であるので、低コスト化を確実かつ容易に図ることができる。
【0049】
さらにまた、本実施形態のピニオンシャフト19は、従来のピニオンシャフトユニット109を用いる場合に比べて部品点数が少ないので、軽量化を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態のデファレンシャル1によれば、2つのストレートピニオンシャフト20が同一形状であるから、2つのストレートピニオンシャフト20を共通部品とすることができるので生産性がより向上する。その結果、より低コスト化を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態のデファレンシャル1によれば、棒状の素材を加工することによりストレートピニオンシャフト20を形成することができるので、素材の低コスト化を図ることができるとともに、保管時のスペースを少なくすることができる。
【0052】
さらにまた、本実施形態のデファレンシャル1によれば、鋼材を素材とした鍛造加工によってデフケース2を形成することができるので、加工箇所の削減およびデフケース2の薄肉化による軽量化を図ることが可能である。
【0053】
またさらに、本実施形態のデファレンシャル1によれば、ストレートピニオンシャフト20の両端部をケース3の開口端側からシャフト装着溝18に落とし込むことで、ピニオンシャフト19の装着ができるので、デファレンシャル1の組み立ての自動化を容易に図ることもできる。この時、各ストレートピニオンシャフト20には、2つのピニオン12および球面滑り軸受16を予め装着することが肝要である。
【0054】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に係る本発明のデファレンシャルによれば、低コスト化の要求に応えることができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0056】
また、請求項2に係る本発明のデファレンシャルによれば、2つのストレートピニオンシャフトを共通部品とすることができるので生産性がより向上するなどの極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデファレンシャルの実施形態の要部の一部切断分解斜視図
【図2】図1のデファレンシャルの組み立て状態における要部の断面図
【図3】図1のデファレンシャルのケースへのピニオンシャフトの装着状態を示す左側断面図
【図4】図1のデファレンシャルの2つのストレートピニオンシャフトを十字状に形成した状態のみを示す斜視図
【図5】従来のピニオンシャフトユニットを用いた4ピニオンタイプのデファレンシャルのケースへのピニオンシャフトユニットの装着状態を示す左側断面図
【図6】図5のピニオンシャフトユニットの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 デファレンシャル
2 デフケース
3 ケース
4 カバー
12 ピニオン
13 サイドギア
14 デファレンシャルギア
16 球面滑り軸受
19 ピニオンシャフト
20 ストレートピニオンシャフト
21 嵌合凹部
21a (嵌合凹部の)底面
33 リングギア
41 スラスト滑り軸受
42 スラスト滑り軸受
RL (デフケースの)回転軸心
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンやモータなどの原動機の駆動力を車輪駆動軸に伝達するデファレンシャルに係り、特に、密閉状のデフケース内に4つのピニオンが十字状のピニオンシャフトによって回転可能に保持されているデファレンシャルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、3輪、4輪などの車両においては、原動機としてのエンジンあるいはモータなどの駆動力をトランスミッション(変速機)に入力して駆動力を制御し、この制御された駆動力をトランスミッションの出力軸から必要に応じてプロペラシャフト(推進軸)を介してデフと称されるデファレンシャル(差動装置)に入力し、デファレンシャルにより原動機の駆動力を車輪駆動軸に伝達するようにした駆動力伝達装置が用いられている。
【0003】
このような駆動力伝達装置のデファレンシャルとして、ピニオンを4つ設けた4ピニオンタイプのデファレンシャルが、近年の原動機の駆動力の高出力化にともなうピニオンに作用する高荷重を分散させて、1つのピニオンが分担する荷重を軽減できるなどの理由により提案されている。
【0004】
また、近年においては、ピニオンおよびサイドギアにより構成されるデファレンシャルギアの作動音などのデフケースの内部の摺動部位から生じる音が外部へ洩れることにより生じる騒音を容易に低減できるなどの理由により、密閉状とされたデフケースを用いた構成のデファレンシャルが提案されている。
【0005】
従来の密閉状のデフケースを用いた4ピニオンタイプのデファレンシャルとしては、以下に記す2種類のものがある。
【0006】
従来の第1のデファレンシャルは、密閉状のデフケース内に、4つのピニオンを十字状に一体形成したピニオンシャフトに回転可能に保持した構成のデファレンシャルである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
従来の第2のデファレンシャルは、図5に示すように、デファレンシャル100のケース101に、1つの長ピニオンシャフト102と、2つの短ピニオンシャフト103,104とを十字状に配設することにより、4つのピニオン105を回転可能に支持する構成のものである。
【0008】
この構成のデファレンシャルにおいては、図5に示すように、ケース101に、その回転軸心RLを中心として上下左右の4方向に4つの貫通孔106が形成されている。これらの貫通孔106は、ケース101の回転軸心RLを中心として、隣り合う相互間距離が等しくなるように90度の角度をもって等角度配置されている。そして、各貫通孔106に対して各ピニオンシャフト102,103,104がケース101の外側から嵌合されている。これらのピニオンシャフト102,103,104は、ケース101に嵌合固定される固定ピン107によってケース101に固定されている。
【0009】
すなわち、長ピニオンシャフト102は、その両端部が貫通孔106に嵌合されており、ケース101の図5の上方に示す上端部側の貫通孔106の形成部においてケース101に嵌合される固定ピン107によって、長ピニオンシャフト102がその軸心を中心として回転するのを防止できるようにされている。さらに、図5の左方に示す短ピニオンシャフト103は、その左端部が貫通孔106に嵌合され、その右端がケース101の回転軸心RL側に配置されており、ケースの図5の左端部側の貫通孔106の形成部においてケース101に嵌合される固定ピン107によって、短ピニオンシャフト103がその軸心を中心として回転するのを防止できるようにされている。また、図5の右方に示す短ピニオンシャフト104は、その右端部が貫通孔106に嵌合され、その左端がケース101の回転軸心RL側に配置されており、ケースの図5の右端部側の貫通孔106の形成部においてケース101に嵌合される固定ピン107によって、短ピニオンシャフト104がその軸心を中心として回転するのを防止できるようにされている。
【0010】
また、ケース101内には、支持リング108が配設されており、長ピニオンシャフト102は、支持リング108をその中心を通って径方向に貫通するように配置されており、2つの短ピニオンシャフト103,104は、それぞれケース101の回転軸心RL側に位置する端部が支持リング108によって支持されている。
【0011】
前記3つのピニオンシャフト102,103,104と、3つの固定ピン107と、支持リング108とにより十字状をなすピニオンシャフトユニット109が構成されている。このピニオンシャフトユニット109を図6に示す。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−266162号公報(図3)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】。
【0014】
ところで、近年においては、各種装置の低コスト化が求められており、このような低コスト化の一つとして、デファレンシャルの低コスト化が求められている。
【0015】
しかしながら、従来の第1のデファレンシャルにおいては、十字状のピニオンシャフトの形成に多大な加工工程を必要とし手間がかかるので、低コスト化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0016】
また、従来の第2のデファレンシャルにおいては、部品点数が多いとともに、組み立て工程が多く、やはり低コスト化の要求に応えることができないという問題点があった。
【0017】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、低コスト化の要求に応えることのできるデファレンシャルを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため特許請求の範囲の請求項1に係る本発明のデファレンシャルの特徴は、原動機の駆動力によりリングギアとともに一体回転する密閉状のデフケース内に、4つのピニオンが十字状に形成されたピニオンシャフトに回転可能に保持されているデファレンシャルにおいて、前記ピニオンシャフトは、棒状に形成された2つのストレートピニオンシャフトを有しており、これらのストレートピニオンシャフトには、外側から内側に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面を備えた嵌合凹部が、軸方向の中央部に、軸方向に対して直交する方向に沿ってそれぞれ形成されており、2つのストレートピニオンシャフトの嵌合凹部の底面を相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフトを十字状に配置した点にある。そして、このような構成を採用したことにより、2つのストレートピニオンシャフトの嵌合凹部の底面を相互に対向するように配置するという簡単な操作によって、十字状のピニオンシャフトを容易に形成することができる。
【0019】
また、請求項2に係る本発明のデファレンシャルの特徴は、請求項1において、前記2つのストレートピニオンシャフトが同一形状である点にある。そして、このような構成を採用したことにより、2つのストレートピニオンシャフトを共通部品とすることができるので生産性がより向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0021】
図1から図4は本発明に係るデファレンシャルの実施形態を示すものであり、図1は要部の一部切断分解斜視図、図2は要部の断面図、図3は本体ケースへのデファレンシャルギアの装着状態を示す左側面図、図4は2つのストレートピニオンシャフトを十字状に形成した状態を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のデファレンシャル1は、デフケース2を有している。このデフケース2は、車両搭載状態において回転軸心RL(図2)がほぼ水平となるように配置されている。また、デフケース2は、図1右方に示すケース3と、図1左方に示すカバー4とに2分割形成されている。すなわち、デフケース2は、その回転軸心RLに沿って左右に2分割されている。さらに、デフケース2は、ケース3にカバー4を固定ボルト5(図2)によって締結することでその内部を密閉状態とすることができるようになっている。
【0023】
前記ケース3は、図1右方に示す小径部7と、この小径部7に接続するようにして同軸状に形成された図1左方に示す大径部8とにより全体としてほぼ段付き円筒形状に形成されている。そして、ケース3の小径部7の外周面には、軸受9(図2)を介して図示しないハウジングにデフケース2を回転自在に支持するための一対のジャーナル部10(10R,10L)のうちの一方のジャーナル部10Rが形成されている。このジャーナル部10Rの内側には、従来と同様に例えば車輪駆動軸の一方(右車輪駆動軸)の基端部が挿通可能な軸方向に貫通する車軸貫通孔11Rが形成されており、この車軸貫通孔11Rの軸心は、デフケース2の回転軸心RLと一致するように形成されている。
【0024】
前記ケース3の大径部8の内側には、4つのピニオン12および一対のサイドギア13からなるデファレンシャルギア14のうちの4つのピニオン12と図1の右方に示す一方のサイドギア13とを内部に装着可能なギア装着孔15が形成されている。このギア装着孔15は、ピニオン12の外周面が球面滑り軸受16を介して摺接可能な曲率半径により形成された球状面17を有している。
【0025】
すなわち、ケース3と4つのピニオン12との相互の対向面間、詳しくは4つのピニオン12の背面と、これらの背面に対向するケース3のギア装着孔15の球状面17との相互間には、スペーサを兼ねた球面滑り軸受16がそれぞれ配設されている。
【0026】
前記ギア装着孔15の内周面には、図3の上下に示す上下方向両内周面、および、図3の左右に示す左右方向両内周面の総計4カ所に、ギア装着孔15の軸方向(図2左右方向)に延在し、ギア装着孔15の大径の開口端側(図1左側)に開口する4つのシャフト装着溝18が上下方向および左右方向においてそれぞれ対向するようにしてそれぞれ形成されている。
【0027】
すなわち、4つのシャフト装着溝18は、ケース3の大径部8側の内周面に、回転軸心RLを中心として、等距離位置に隣り合う相互間距離が等しくなるように等角度配置されている。また、図2に示すように、各シャフト装着溝18の対向する一対の内側面18aは相互にほぼ平行に形成されている。
【0028】
前記4つのピニオン12は、図3に示すように、十字状に形成されたピニオンシャフト19の4つの先端部よりやや中央寄りにそれぞれ回転自在に装着されている。このピニオンシャフト19は、同一形状に形成された2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に配置することにより構成されている。なお、2つのストレートピニオンシャフト20の形状を異ならせてもよい。
【0029】
前記ストレートピニオンシャフト20は、図1に示すように、全体としてほぼ円柱形に形成されており、その軸方向の中央部には、軸方向に対して直交する方向に沿って嵌合凹部21が形成されている。この嵌合凹部21は、外側から内側である外周側から軸心に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面21aが形成されている。そして、一方のストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを他方のストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aに非接触状態で対向させることで、2つのストレートピニオンシャフト20を容易に十字状に形成することができるようになっている。
【0030】
すなわち、2つのストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に形成したピニオンシャフト19を容易かつ簡単に得ることができるようになっている。この2つのストレートピニオンシャフト20を十字状に形成した状態のみを図4に示す。
【0031】
なお、ストレートピニオンシャフト20の形状としては、断面円形の円柱形に限らず、断面多角形の棒状、断面楕円形の棒状などの各種の形状から、設計コンセプトなどの必要に応じて選択使用できる。
【0032】
前記ストレートピニオンシャフト20の外周面の両先端部近傍には、相互にほぼ平行な2つの平行面からなる取着部22が前記嵌合凹部21の底面21aと直交する方向にそれぞれ形成されている。そして、ストレートピニオンシャフト20の取着部22が前記シャフト装着溝18にギア装着孔15の図1左方に示す開口側から挿入されるようになっている。さらに、ストレートピニオンシャフト20の先端部に形成されている平行面からなる各取着部22をシャフト装着溝18の内側面18a,18aと対向するようにして挿入することにより、ストレートピニオンシャフト20がその軸心を中心として回転するのを防止することができるようにされている。このシャフト装着溝18の2つの内側面18aが対向する方向の幅寸法は、ストレートピニオンシャフト20の取着部22の間隔より若干大きく形成されており、その結果ストレートピニオンシャフト20はフリー状態でケース3、詳しくはギア装着孔15の内部に配設されている。また、ストレートピニオンシャフト20の両端部には小径の突起が同軸状に形成されている。
【0033】
前記ギア装着孔15の内部の図1右方に示す一端たる底部側には、前記ピニオンシャフト19に装着された4つのピニオン12にそれぞれ噛合する一対のサイドギア13のうちの一方がその軸心をデフケース2の回転軸心RLとほぼ一致するようにして配設されている。
【0034】
なお、各サイドギア13の内周面には、図示しない車輪駆動軸、あるいは車輪駆動軸に接続される出力軸の基端部がスプラインなどの結合手段によりそれぞれ一体回転可能なように結合されている。
【0035】
前記ケース3の大径部8の図1左方に示す開口端の外周面には、径方向外側に向けて延出された円環状のフランジ部23が形成されており、このフランジ部23には、板厚方向に貫通する12箇所の雌ねじ24(図2に1箇所のみ図示)がデフケース2の回転軸心RLから等距離位置に隣位する2つの雌ねじ24の中心間距離が等しくなるように等角度配置されている。
【0036】
前記カバー4は、図1左方に示す小径部31と、この小径部31に接続するようにして同軸状に形成された図1右方に示す大径部32とにより全体としてほぼ段付き円筒形状に形成されている。そして、カバー4の図1左方に示す小径部31の外周面には、軸受9を介して図示しないハウジングにデフケース2を回転自在に支持するための一対のジャーナル部10(10R,10L)のうちの他方のジャーナル部10Lが形成されている。この他方のジャーナル部10Lの内側には、従来と同様に例えば車輪駆動軸の他方(左車輪駆動軸)の基端部が挿通可能な軸方向に貫通する車軸貫通孔11Lが形成されており、この車軸貫通孔11Lの軸心は、デフケース2の回転軸心RLと一致するように形成されている。また、各車軸貫通孔11R,11Lは、それぞれの軸心が一致するように形成されている。
【0037】
前記カバー4の大径部32の図1左方に示す外側面の外周側には、リングギア33(図2)を装着するための円環状のリングギア装着溝34が形成されており、このリングギア装着溝34には、デフケース2の回転軸心RLに対して平行となるように板厚方向に貫通する12箇所の貫通孔35が前記ケース3の雌ねじ24と同様に等角度配置されている。また、リングギア33にも、その板厚方向に貫通する12箇所のねじ貫通孔36(図2)が前記ケース3の雌ねじ24と同様に等角度配置されている。
【0038】
そして、リングギア33のねじ貫通孔36と、カバー4の貫通孔35とにこの順に挿通される固定ボルト5を、ケース3のフランジ部23に形成された雌ねじ24に螺入することで、ケース3の大径部8の開口端をカバー4の大径部32で塞ぐように一体化して密閉状のデフケース2を形成するとともに、デフケース2にリングギア33を固着することができるようになっている。
【0039】
なお、固定ボルト5の代わりに図示しないリベットなどの公知の締結部材を用いてもよい。さらに、固定ボルト5の使用数は、強度などの必要に応じて増減することができる。
【0040】
前記デフケース2とサイドギア13との相互の対向面間、詳しくはサイドギア13の背面と、この背面に対向するデフケース2の内面との相互間には、図1右方に示す一方にスペーサを兼ねた環状のスラスト滑り軸受41が配設されており、図1左方に示す他方にスペーサを兼ねた環状のスラスト滑り軸受42が配設されている。また、図1左方に示すスペーサを兼ねた環状のスラスト滑り軸受42は、隙間調整を行うシムも兼ねている。
【0041】
その他の構成は、従来公知のデファレンシャルと同様とされているので、その詳しい説明は省略する。
【0042】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0043】
本実施形態のデファレンシャル1によれば、低コスト化の要求に応えることができる。
【0044】
すなわち、本実施形態のデファレンシャル1によれば、2つのストレートピニオンシャフト20の嵌合凹部21の底面21aを相互に対向するように配置するという簡単な操作によって、十字状のピニオンシャフト19を容易に形成することができる。
【0045】
さらに、本実施形態のデファレンシャル1によれば、ピニオンシャフト19を、容易かつ短時間に加工することのできるストレートピニオンシャフト20によって形成しているので、ピニオンシャフト19の低コスト化を図ることができる。
【0046】
すなわち、従来の一体化した十字状のピニオンシャフトを加工により形成する場合には、十字状の素材を形成すること自体にコストがかかるとともに、十字状の加工には高い加工精度が必要であり、しかも加工工程が複雑になるのに対し、本実施形態のピニオンシャフト19は、組み立て時に1工程多くなるものの、棒状の素材を簡単な加工工程でストレートピニオンシャフト20に形成することが効率よくできるので、全体として低コスト化を確実かつ容易に図ることができる。
【0047】
また、従来のピニオンシャフトユニット109を用いる場合には、3つのピニオンシャフト102,103,104と、3つの固定ピン107と、支持リング108との総計7つの部品点数が必要であり、しかも加工工程が多く複雑になるのに対し、本実施形態のピニオンシャフト19は、棒状の素材を簡単な加工工程でストレートピニオンシャフト20に形成することが効率よくできるので、部品点数が少なく、低コスト化を確実かつ容易に図ることができる。
【0048】
さらに、従来のピニオンシャフトユニット109を用いる場合には、部品点数が7点と多いので、ケース101への組み立て工程が複雑になるのに対し、本実施形態のピニオンシャフト19は、2つのストレートピニオンシャフト20により部品点数が2点であり、デフケース2への組み立てが簡単であるので、低コスト化を確実かつ容易に図ることができる。
【0049】
さらにまた、本実施形態のピニオンシャフト19は、従来のピニオンシャフトユニット109を用いる場合に比べて部品点数が少ないので、軽量化を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態のデファレンシャル1によれば、2つのストレートピニオンシャフト20が同一形状であるから、2つのストレートピニオンシャフト20を共通部品とすることができるので生産性がより向上する。その結果、より低コスト化を図ることができる。
【0051】
さらに、本実施形態のデファレンシャル1によれば、棒状の素材を加工することによりストレートピニオンシャフト20を形成することができるので、素材の低コスト化を図ることができるとともに、保管時のスペースを少なくすることができる。
【0052】
さらにまた、本実施形態のデファレンシャル1によれば、鋼材を素材とした鍛造加工によってデフケース2を形成することができるので、加工箇所の削減およびデフケース2の薄肉化による軽量化を図ることが可能である。
【0053】
またさらに、本実施形態のデファレンシャル1によれば、ストレートピニオンシャフト20の両端部をケース3の開口端側からシャフト装着溝18に落とし込むことで、ピニオンシャフト19の装着ができるので、デファレンシャル1の組み立ての自動化を容易に図ることもできる。この時、各ストレートピニオンシャフト20には、2つのピニオン12および球面滑り軸受16を予め装着することが肝要である。
【0054】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に係る本発明のデファレンシャルによれば、低コスト化の要求に応えることができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0056】
また、請求項2に係る本発明のデファレンシャルによれば、2つのストレートピニオンシャフトを共通部品とすることができるので生産性がより向上するなどの極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデファレンシャルの実施形態の要部の一部切断分解斜視図
【図2】図1のデファレンシャルの組み立て状態における要部の断面図
【図3】図1のデファレンシャルのケースへのピニオンシャフトの装着状態を示す左側断面図
【図4】図1のデファレンシャルの2つのストレートピニオンシャフトを十字状に形成した状態のみを示す斜視図
【図5】従来のピニオンシャフトユニットを用いた4ピニオンタイプのデファレンシャルのケースへのピニオンシャフトユニットの装着状態を示す左側断面図
【図6】図5のピニオンシャフトユニットの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 デファレンシャル
2 デフケース
3 ケース
4 カバー
12 ピニオン
13 サイドギア
14 デファレンシャルギア
16 球面滑り軸受
19 ピニオンシャフト
20 ストレートピニオンシャフト
21 嵌合凹部
21a (嵌合凹部の)底面
33 リングギア
41 スラスト滑り軸受
42 スラスト滑り軸受
RL (デフケースの)回転軸心
Claims (2)
- 原動機の駆動力によりリングギアとともに一体回転する密閉状のデフケース内に、4つのピニオンが十字状に形成されたピニオンシャフトに回転可能に保持されているデファレンシャルにおいて、
前記ピニオンシャフトは、棒状に形成された2つのストレートピニオンシャフトを有しており、これらのストレートピニオンシャフトには、外側から内側に向かう方向を深さ方向とし、軸心に平面状の底面を備えた嵌合凹部が、軸方向の中央部に、軸方向に対して直交する方向に沿ってそれぞれ形成されており、2つのストレートピニオンシャフトの嵌合凹部の底面を相互に対向するように配置することにより、2つのストレートピニオンシャフトを十字状に配置したことを特徴とするデファレンシャル。 - 前記2つのストレートピニオンシャフトが同一形状であることを特徴とする請求項1に記載のデファレンシャル。
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