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JP2004204027A - ポリアミドの連続製造方法 - Google Patents

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JP2004204027A
JP2004204027A JP2002374207A JP2002374207A JP2004204027A JP 2004204027 A JP2004204027 A JP 2004204027A JP 2002374207 A JP2002374207 A JP 2002374207A JP 2002374207 A JP2002374207 A JP 2002374207A JP 2004204027 A JP2004204027 A JP 2004204027A
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polymerization
dicarboxylic acid
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diamine
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JP2002374207A
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English (en)
Inventor
Yasuto Tsujii
康人 辻井
Kaoru Ogawa
薫 小川
Takeshi Maruyama
岳 丸山
Shoji Koketsu
将司 纐纈
Kenta Suzuki
健太 鈴木
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Abstract

【課題】生産効率に優れ、ゲル化が起こりにくく且つコンタミネーションの少ないポリアミドが得られるポリアミドの連続製造方法を提供する。
【解決手段】(1) ジカルボン酸を溶融する工程11と、(2) 水の分離除去可能な回分式反応装置11を用い、溶融状態のジカルボン酸に溶融状態のジアミンを添加12して、ジアミンとジカルボン酸のモル比を所定値として重縮合反応を行い、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度で水を分離除去しつつ重合度を高め、相対粘度が1.4〜2.7のポリアミドプレポリマーを得る初期重合工程と、(3) ポリアミドプレポリマーを水の分離除去の可能なセルフクリーニング方式の連続式横型二軸反応装置41に導入し、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度でさらに重合度を高め、所望の相対粘度[RV]のポリアミドを得る後期重合工程とを含む、ポリアミドの連続製造方法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は品質が良好で、生産効率の改善されたポリアミドの連続製造方法に関する。より詳しくは本発明は、溶融状態のジカルボン酸に、溶融状態のジアミンを連続的又は間欠的に添加するか、又は、溶融状態のジアミンに、溶融状態のジカルボン酸を連続的又は間欠的に添加して直接重合反応させるポリアミドの連続製造方法に関する。本発明のポリアミドの連続製造方法は、脂肪族ポリアミド、芳香族含有ポリアミドのいずれにも適用できるが、製造条件のより難しい芳香族含有ポリアミドに好ましく適用できる。
【0002】
芳香環を有するポリアミドは、機械的強度及び寸法安定性に優れ、フィルム、シート、包装袋、ボトル、エンジニアリングプラスチック、繊維などに好ましく使用することができる。
【0003】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂は物理的、機械的性質に優れていることから、フィルム、シート、包装袋、エンジニアリングプラスチック、繊維などの用途に広く使用されている。
【0004】
従来は、これらの用途にナイロン6やナイロン66などの脂肪族ポリアミドが主として使用されてきた。ところが、脂肪族ポリアミドは、概して、吸水・吸湿時と乾燥時との間の寸法変化が大きく、また、脂肪族ゆえに弾性率が小さく軟らかすぎるといった欠点があり、更に高性能のポリアミド樹脂が求められている。かかる背景のもとに、従来の脂肪族ポリアミドにTPA(テレフタル酸)やIPA(イソフタル酸)などの芳香族ジカルボン酸を共重合することにより、ポリアミド樹脂の高性能化が達成されている。例えば、特開昭59−155426号や特開昭62−156130号公報では、TPAあるいはIPAを共重合したポリアミド樹脂が開示されている。
【0005】
ところが、一般的に、芳香環のポリアミド骨格への導入は高融点化、高溶融粘度化をもたらしポリアミド製造時の温度条件等がより過酷なものとなることから、熱分解反応による劣化やゲル化物の生成や熱劣化が一層促進されることになる。その結果、ゲル化物が重合反応器内に堆積しクリーニング頻度が多くなったり、また、ゲル化物が樹脂中に混入したり、熱劣化による物性低下をきたし高品質のポリアミド樹脂を得ることができない。
【0006】
この主たる原因は、ポリアミド樹脂が高温度条件下で長時間滞留することにあり、これを回避すべく種々の製造方法が提案されている。例えば、特開昭60−206828号公報、特開平2−187427号公報、特開平8−170895号公報に開示されている製造方法によれば、高温下での長時間滞留を避ける目的で、一旦初期縮合物をプレポリマーとして取り出し、それをポリマーの融点以下の温度で固相重合することによって熱分解・劣化を抑制している。しかしながら、これらはいずれもバッチ式製造法であり、製造効率上好ましくなく、また、バッチ間での品質の差も生じやすい。
【0007】
特開2001−200052号公報には、キシリレンジアミンを含むジアミンとジカルボン酸とから成るスラリーをベントのない二軸押出機に連続的に供給し、加熱してアミド化反応を進める工程と、続いて、ベントのある1軸押出機中で、アミド化反応で生成する縮合水を分離除去しつつ、ポリアミドの重合度を高める工程とを含む、ポリアミドの連続式製造法が開示されている。しかしながら、実施例によると、得られるポリアミドの分子量は3000〜5000程度と小さい。
【0008】
特表2002−516366号公報には、ナイロン66の連続式製造法が開示されている。同号公報によれば、融解したジカルボン酸と融解したジアミンとを等モル量混合し融解した反応混合物を生成させ、反応混合物を通気しない反応装置(静的インライン混合機)に流しポリアミド及び縮合水を含む第1の生成物流を形成し、第1の生成物流を通気されたタンク型反応容器に供給し、縮合水を除去しポリアミドを含む第2の生成物流を形成することが記載されている。しかしながら、同号公報の製造法によって得られるポリアミドは比較的低分子量であり、また、通気された反応器として従来よりポリアミド製造で用いられている反応槽を用いる場合、製造可能な粘度の対応範囲が狭い。
【0009】
さらに、特開2002−212284号公報、特開2002−220462号公報、特開2002−220463号公報、特開2002−220464号公報、特開2002−220465号公報、及び特開2002−220466号公報には、キシリレンジアミンを含むポリアミドの連続製造方法に関し、横型の二軸攪拌混合機を用いる方法が開示されている。横型の二軸攪拌混合機は表面更新性に優れることから、反応装置として有利である。しかしながら、上記公報の実施例において使用されている二軸攪拌混合機は、L/Dが25のものであり、通常の横型反応装置と比べ極端に長い特殊仕様のため、装置の製造に高度な技術が要求され、費用がかかる欠点がある。この点で、実際の工業的使用を考慮すると不利である。
【0010】
【特許文献1】
特開昭59−155426号公報
【特許文献2】
特開昭62−156130号公報
【特許文献3】
特開昭60−206828号公報
【特許文献4】
特開平2−187427号
【特許文献5】
特開平8−170895号
【特許文献6】
特開2001−200052号公報
【特許文献7】
特表2002−516366号公報
【特許文献8】
特開2002−212284号公報
【特許文献9】
特開2002−220462号公報
【特許文献10】
特開2002−220463号公報
【特許文献11】
特開2002−220464号公報
【特許文献12】
特開2002−220465号公報
【特許文献13】
特開2002−220466号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、生産効率に優れ、ゲル化が起こりにくく且つコンタミネーション(黒色異物)の少ないポリアミドが得られるポリアミドの連続製造方法、とりわけ芳香族含有ポリアミドの連続製造方法を提供することにある。特に、本発明の目的は、食品、飲料品、医薬品、化粧品などの用途における、フィルム、シート、包装袋、ボトル等に好適な、強度に優れ、色調が良好であり且つ吸水率の小さいポリアミドの連続製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジアミン成分単位とジカルボン酸成分単位とを主として含むポリアミドの連続製造方法であって、
(1) ジカルボン酸を溶融するジカルボン酸溶融工程と、
(2) 水の分離除去可能な回分式反応装置を用い、
溶融状態のジカルボン酸に、溶融状態のジアミンを連続的又は間欠的に添加するか、又は、溶融状態のジアミンに、溶融状態のジカルボン酸を連続的又は間欠的に添加して、
ジアミンとジカルボン酸のモル比を所定値として重縮合反応を行い、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度で水を分離除去しつつ重合度を高め、相対粘度が1.4〜2.7のポリアミドプレポリマーを得る初期重合工程と、
(3) ポリアミドプレポリマーを水の分離除去の可能なセルフクリーニング方式の連続式横型二軸反応装置に導入し、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度でさらに重合度を高め、所望の相対粘度[RV]のポリアミドを得る後期重合工程とを含む、ポリアミドの連続製造方法である。
【0013】
本発明は、(2) 初期重合工程において、回分式反応装置を複数個用いる、前記のポリアミドの連続製造方法である。
【0014】
本発明は、(3) 後期重合工程における平均滞留時間は1〜30分である、前記のポリアミドの連続製造方法である。
【0015】
本発明は、(3) 後期重合工程で得られるポリアミドの相対粘度[RV]は1.6〜4.0の範囲である、前記のポリアミドの連続製造方法である。
【0016】
本発明は、(3) 後期重合工程において、不活性ガスをパージすること、反応装置の真空度を調整すること、酸無水物化合物を添加すること、又はそれらの併用によって、ポリアミドの相対粘度[RV]を制御する、前記のポリアミドの連続製造方法である。
【0017】
本発明は、ポリアミドは、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミン(MXD)を含み、且つジアミン成分を基準としてメタキシリレンジアミン(MXD)は少なくとも70モル%である、前記のポリアミドの連続製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の連続製造方法で製造されるポリアミドについて説明する。
本発明の連続製造方法は、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド、芳香族含有ポリアミドのいずれにも適用できるが、アミン成分として70モル%以上のメタキシリレンジアミン(MXD)を含むポリアミドに好ましく適用できる。
【0019】
ポリアミドは、ジアミン成分を基準としてメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むことが、酸素バリヤー性及び吸水性の点で重要である。メタキシリレンジアミンの量が少ないほど、熱劣化や色調の点では有利となるが、酸素バリヤー性の点からは70モル%以上が必要で、望ましくは75モル%以上である。一方、吸水性の点からは、MXD自体が芳香環を有することから、ナイロン6やナイロン66などの脂肪族ポリアミドと比べて吸水率は小さく有利である。
【0020】
望ましいポリアミドとしては、ジアミン成分として70モル%以上のメタキシリレンジアミン(MXD)を含むことを条件に、その他のジアミン成分としてのヘキサメチレンジアミン(HMD)、ジカルボン酸成分としてのアジピン酸(ADA)から構成されるポリアミドが挙げられる。
【0021】
ジアミン成分としては、エチレンジアミン、1−メチルエチルジアミン、1,3−プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン類が挙げられ、その他にも、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4−アミノヘキシル)メタン、パラキシリレンジアミンなどが挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上のジアミン成分を用いることができる。
【0022】
ジカルボン酸成分としては、溶融状態が得られるものであればよく、アジピン酸(ADA)、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、ウンデカン酸、ウンデカジオン酸、ドデカジオン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸類、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸などが挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上のジカルボン酸成分を用いることができる。
【0023】
本発明のポリアミド製造において、ポリアミドに要求される性能の点から必要に応じて前記したジアミン、ジカルボン酸以外のポリアミド形成能のある原料を共重合することも可能である。例えば、カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸などのラクタム、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸も共重合成分として使用可能である。
【0024】
ポリアミド樹脂の相対粘度[RV]は、得られる成形体の物理的、機械的性質、並びに操業安定性の点からも、1.6〜4.0の範囲にあることが望ましい。[RV]が1.6未満の場合、得られる成形体が機械的性質に劣るだけでなく、ベントアップを生じたり、ポリマーのストランド取り出しが難しくなり、チップ化時に割れが発生するなど操業面における影響が大きくなる傾向がある。逆に、[RV]が4.0を超える場合、溶融粘度が高くなり、成形条件がより過酷なものとなることから、安定した品質の成形品が得られにくくなる傾向があり、また、それに要する労力に見合うだけの製品物性が期待できない。また、4.0を超える高い[RV]化を達成するためには、不活性ガスのパージ量を増やしたり、高真空度の適用が必要となり、コストアップやベントアップなど操業不安定を招き好ましくない。より望ましい[RV]は1.9〜3.8である。
【0025】
ポリアミド樹脂のコンタミネーション(異物)は少なければ少ないほど良い。コンタミネーションが多いと、後工程の操業性を低下させたり、品質が低下する。
【0026】
次に、本発明のポリアミドの連続製造方法について、図1を参照しつつ説明する。図1は、本発明のポリアミドの連続製造方法の概略工程を示すフロー図である。図1の例において、ポリアミドの連続製造方法は、回分式重合槽(11)で行われるジカルボン酸溶融工程及び初期重合工程、及びセルフクリーニング方式の連続式横型二軸反応装置(41)で行われる後期重合工程を含む。
【0027】
(ジカルボン酸溶融工程)
ジカルボン酸溶融工程は、図1に例示されるように溶融槽を兼ねた回分式重合槽(11)中にジカルボン酸を仕込み溶融させてもよく、又は図示しない専用の溶融槽中にジカルボン酸を仕込み溶融させ、溶融させたジカルボン酸を溶融槽から回分式重合槽(11)に移送してもよい。
【0028】
ジカルボン酸の溶融温度はその融点以上かつ融点+50℃(融点よりも50℃高い温度)以下が適当である。溶融温度を必要以上に高温にすることは、ジカルボン酸の熱分解や劣化を誘発し好ましくない。逆に低温すぎると、不均一溶融となり好ましくない。望ましい溶融温度は、融点+5℃以上融点+25℃以下である。
【0029】
また、ジカルボン酸の熱酸化分解や熱分解を抑制するために、溶融時の溶融槽又は重合槽(11)内を不活性ガス雰囲気下、例えば、窒素ガス雰囲気下におくことが好ましい。この際、0.05〜0.8MPa、望ましくは0.1〜0.6MPaの加圧下の不活性ガス雰囲気下におくことが、外気の混入を防ぐ意味で好ましい。
【0030】
ジカルボン酸溶融時の雰囲気酸素濃度は得られるポリアミドの色調に大きく影響する。特に、メタキシリレンジアミンを原料とするポリアミドについては、この傾向が著しい。ジカルボン酸溶融時の雰囲気酸素濃度は10ppm以下であれば問題ないが、酸素濃度が10ppm以上となると、得られるポリアミドの黄色味が強くなり製品の品位が悪くなる傾向がある。一方、酸素濃度の下限は特に定められないが、例えば、0.05ppm以上である。ポリアミドの製造において、酸素濃度が0.05ppm未満であることは何ら問題はないが、0.05ppm未満を達成するためには酸素の除去工程が必要以上に煩雑となるだけで、色調をはじめその他の物性にほとんど影響は見られない。望ましい酸素濃度の範囲は0.05ppm以上9ppm以下であり、更に望ましくは0.05ppm以上8ppm以下である。
【0031】
本発明において、予め酸素を除去し酸素濃度10ppm以下とした溶融槽又は重合槽(11)にジカルボン酸原料を供給するか、又はジカルボン酸原料を溶融槽又は重合槽(11)に投入した後に酸素を除去し溶融槽内の雰囲気を酸素濃度10ppm以下とするか、又は両者を併用するとよい。このことは、設備的あるいは操業面から選択すればよい。また、溶融槽を用いて溶融する場合には、重合槽(11)内の雰囲気を酸素濃度10ppm以下とすることも好ましい。
【0032】
酸素の除去方法としては、真空置換法、加圧置換法あるいはその併用がある。置換に適用する真空度あるいは加圧度及び置換回数は所望する酸素濃度達成に最も効率のよい条件を選べばよい。
【0033】
ジカルボン酸溶融工程において、ポリアミドの分解抑制の目的や重合触媒としてアルカリ金属化合物やリン化合物を溶融槽又は重合槽(11)に添加することも可能である。
【0034】
用いられるアルカリ金属化合物は、リチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物などであるが、ナトリウム化合物が最も好ましい。また、リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ポリリン酸及びそれらの塩が用いられる。
【0035】
(初期重合工程)
初期重合工程は、図1の例において、回分式重合槽(11)において、溶融状態のジカルボン酸に溶融状態のジアミンを連続的又は間欠的に添加し、水を分離除去しつつ重合度を高める工程である。あるいは、回分式重合槽において、溶融状態のジアミンに溶融状態のジカルボン酸を連続的又は間欠的に添加し、水を分離除去しつつ重合度を高める工程であってもよい。ジアミンは通常、常温で液体であるものが多く、図1に示される形態がとられることが多い。
【0036】
重合槽(11)には、ジアミンの添加装置(12)、水の分離除去装置(13)、窒素ガス導入管(14)等が備えられている。
【0037】
重合槽(11)中の溶融状態のジカルボン酸に、添加装置(12)からジアミンを添加する。ジアミンの添加は、連続的又は間欠的に行ってよく、ジアミンとジカルボン酸のモル比が所定値となるように行う。添加の際、ジカルボン酸は、実質的にアミド化反応が進行する温度である160℃以上の温度とされていることが望ましく、かつ中間体として生成するオリゴマー及び/又は低分子量ポリアミドが溶融状態となって反応系全体が均一な流動状態を保持しうる温度とされていることが望ましい。
【0038】
ジアミン添加の間に反応混合物の温度を逐次昇温させ、最終的に得られるポリアミドの融点(Tm)以上の所定の重縮合反応温度とする。昇温速度はアミド化反応熱、縮合水の蒸発潜熱、供給熱等に依存するため、ジアミン成分の添加速度を適宜調整する。初期重合工程における重縮合反応温度は、例えば、内温は最終的に得られるポリアミドの融点(Tm)以上Tm+35℃以下であり、好ましくはTm+15℃以下であり、さらに好ましくはTm+5℃以下である。反応温度が上記範囲から外れると到達重合度が低すぎたり、熱劣化や生産性の低下をきたすなど好ましくない。ジアミンの添加中、圧力は特に限定されないが、ジアミン成分を固定化する上で常圧以上の圧力が望ましい。
【0039】
ジアミンの添加終了後、重合槽内を常圧以上で、所定時間、例えば5分以上、好ましくは10分以上保持することが望ましい。ジアミンの添加初期には、ジアミンに対しカルボキシル基が相当過剰に存在し、ジアミンの反応速度つまり固定化速度は極めて速い。しかし、添加終了時にはカルボキシル基が相当量消費されており、添加初期と比較しジアミン成分の固定化速度は極めて遅くなる。また、重合度の増加により、反応混合物の攪拌効率が低下しジアミンの固定化に一層不利となる。ジアミンの添加を終了した後に、常圧以上で所定時間保持することで、ジアミンが固定化され、仕込みのモルバランスが精度良くポリアミドのモルバランスに反映される。重合により生成する縮合水は、分離除去装置(13)により反応系外に留去される。
【0040】
初期重合工程において、上記重合反応によって重合度を高め、相対粘度が1.4〜2.7のポリアミドプレポリマーとする。プレポリマーの相対粘度が1.4未満では、後期重合工程において所望の相対粘度[RV]のポリアミドを得るためには、長い滞留時間が必要となってしまい、ポリアミドの熱劣化や着色を引起し、また、後期重合工程の装置の大型化が必要となり経済性に劣る。一方、プレポリマーの相対粘度が2.7を越えると、初期重合工程で極めて長い滞留時間を要し、更に粘度が高く均一な攪拌混合が不十分となるため、ゲル・フィッシュアイ等の生成原因となる。初期重合工程で得られるプレポリマーの相対粘度は、下限について1.45以上が好ましく、上限について2.3以下が好ましく、2.1以下がより好ましい。
【0041】
本発明において、初期重合工程において、回分式重合槽(11)を複数個、例えば2個並列に用いること(図1の例)が好ましい。一方の回分式重合槽(11)で得られたポリアミドプレポリマーをギヤポンプ(18)により後期重合工程へ連続的に移送している間に、他方の回分式重合槽(11)でポリアミドプレポリマーを調製する。一方の重合槽(11)からのプレポリマーの連続的移送が終了すると、プレポリマーの連続的移送を三方バルブ(19)の開閉切替えによって他方の重合槽(11)に切り換える。このようにすると、1つの回分式重合槽(11)を用いた場合のプレポリマー量を超えた連続製造方法が達成される。
【0042】
このように複数の回分式重合槽(11)を用いてプレポリマーの移送を重合槽(11)間で切り換える場合において、重合槽(11)間でのポリアミドプレポリマーの重合度(相対粘度)には差が生じないようにしておく必要がある。そのためには、図1に例示のように、重合槽(11)の下流側に溶融保持層(15)を配設し、重合槽(11)で得られたポリアミドプレポリマーを溶融保持層(15)に移し一定条件で保持することが好ましい。溶融保持層(15)には、水の分離除去装置(16)、水蒸気導入管(17)等が備えられている。重合槽(11)からポリアミドプレポリマーを溶融保持層(15)に移し、保持層(15)内において、気相部を水蒸気で所定圧力に保つことにより、その重合度の変化を抑制できる。保圧に用いる水蒸気はアミド化平衡反応を利用し、重合反応の進行を抑制するものであり、水蒸気圧が低すぎると重合が進み重合度が増加するが、逆に水蒸気圧が高すぎると解重合が進み重合度が低下する。
【0043】
重合度が変化しない適切な水蒸気圧は、モノマー構成比、ジアミンとジカルボン酸のモルバランス、重合度、平衡定数、温度等に依存するが、実験的試行により適宜決定することができる。例えば、モルバランスが1.000±0.01であるプレポリマーを溶融保持層(15)内で温度250〜260℃で、圧力0.25〜0.35MPaの条件下で保持すると、重合度で100以下に維持することができる。
【0044】
水蒸気で保圧しているときの重合度変化の指標として、ポリアミドプレポリマーの相対粘度の変化を±0.2以内に抑えることが好ましい。相対粘度の変化が±0.2を越えると、最終的に得られる製品の重合度(相対粘度)が大きく変動し好ましくない。後期重合工程の反応条件(温度、圧力、滞留時間)を調整することでプレポリマーの重合度の変動を吸収することも可能であるが、連続製造の観点から製造中での反応条件の変更は現実的ではない。
【0045】
上記の保持層(15)と同様の機能を重合槽(11)に持たせれば、重合槽(11)の下流側に溶融保持層(15)を配設しなくてもよい。この場合には、重合槽(11)で得られたポリアミドプレポリマーを直接的に後期重合工程へ連続的に移送する。
【0046】
(後期重合工程)
後期重合工程では、初期重合工程からのポリアミドプレポリマーを水の分離除去の可能な連続式反応装置に導入し、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度でさらに重合度を高め、所望の相対粘度[RV]とされたポリアミドを得る。
【0047】
後期重合工程での連続式反応装置として、セルフクリーニング方式の横型二軸反応装置(41)を用いる。
【0048】
後期重合工程での連続式反応装置としては、二軸押出機の使用も考えられる。二軸押出機は、その反応効率も良く、ある程度のセルフクリーニング機能を有する。しかしながら、二軸押出機は、装置内全体を真空下とすることができないだけでなく、低溶融粘度物ではベントアップを起こしやすい。また、高剪断力のため温度制御が困難で、しかも滞留時間の自由度に制約があるなどの問題点がある。さらに滞留時間を長くするためには、装置が大型化し、設備費用も高価になるなどの不利がある。
【0049】
そこで、本発明においては、連続式反応装置として、セルフクリーニング方式の横型二軸反応装置(41)を用いる。例えば、三菱重工製のSCRを用いることが好ましい。セルフクリーニング方式の横型二軸反応装置(41)では、翼(ロータ)がネジレを持って僅かな隙間をおいて重ねられた状態で2本の平行な駆動軸を構成し、2本の平行な駆動軸は同方向に回転される。翼と翼とのクリアランスは、狭くなるほど翼同士のクリーニング効果が大きくなるので好ましい。セルフクリーニング方式の横型二軸反応装置における翼と翼とのクリアランスは装置の大きさにより変化するが、反応装置の内容積が0.15m3 程度の場合、翼と翼とのクリアランスは望ましくは50mm以下、さらに望ましくは20mm以下、極めて望ましくは10mm以下である。
【0050】
セルフクリーニング方式の横型二軸反応装置は、一般的な横型二軸反応機と比べて、翼と内壁とのクリアランスが小さいので、駆動軸の回転に伴い内壁のクリーニング効果がもたらされる。翼と内壁とのクリアランスは装置の大きさにより変化するが、反応装置の内容積が0.15m3 程度の場合、翼と内壁とのクリアランスは望ましくは15mm以下、さらに望ましくは10mm以下、極めて望ましくは5mm以下である。
【0051】
翼と内壁とのクリアランスが小さいという点は二軸押出機でも同じである。しかしながら、翼同士間にかなりの隙間があり且つ駆動軸が逆方向に回転する二軸押出機と比べ、 SCRでは翼同士間には僅かな隙間しかなく且つ平行な2本の駆動軸が同方向に回転するので、さらに翼同士のクリーニング効果が大きくなる。セルフクリーニング効果により、スケール付着の低減、コンタミネーションの減少による品質向上をもたらすので、反応中に熱劣化の起こり易いポリアミドの製造に好適に使用される。さらに、二軸押出機と異なり装置内全体を真空下におくことが可能であることから低溶融粘度物に対しても真空が適用できること、また、剪断力による発熱が小さく、滞留時間も比較的長く、粘度変動、流量変動に対する適用力が高く、しかも、生産可能粘度幅が大きいという利点がある。更に、設備的には、二軸押出機に比べ、コンパクト化が可能で、しかもコスト的に安価であるという有利性を有する。
【0052】
後期重合工程の反応条件は、ポリアミドの種類や所望する相対粘度[RV]によって異なるが、樹脂温度はポリアミドの融点(Tm)以上Tm+80℃以下、望ましくは融点以上Tm+70℃以下である。樹脂温度がTm+80℃以上となると、ポリアミドの劣化が加速されやすく、物性低下や着色の原因となる。逆に、Tm以下では、ポリアミドが固化し、反応装置の損傷を招く危険性がある。
【0053】
連続式反応装置における平均滞留時間は、ポリアミドの種類、所望する相対粘度[RV]、真空度、後述する酸無水物化合物の添加、後述する不活性ガスのパージ等によっても異なるが、1〜30分であることが好ましい。平均滞留時間が1分未満では、1.6〜4.0の範囲の[RV]を有するポリアミドが得られにくく、逆に、平均滞留時間が30分を超えると、ポリマーの連続式反応装置への供給量を小さくすることが必要となり、生産性の著しい低下をきたす。望ましい平均滞留時間は1.5〜25分、さらに望ましくは2〜20分である。
【0054】
反応装置SCRのスクリュー回転数(rpm)は、二軸押出機の場合と異なり重合反応や平均滞留時間に与える影響は小さく、適宜選択すれば良いが、一般的には20rpm〜150rpmが適用される。
【0055】
後期重合工程における重要な機能として相対粘度[RV]の制御がある。
[RV]の制御方法としては▲1▼不活性ガスのパージ、▲2▼真空度、▲3▼不活性ガスのパージと真空度の併用がある。以下に各法について説明する。
【0056】
不活性ガスパージは重合反応を促進する一方で、パージ量を調整することで[RV]の制御ができる。不活性ガスパージは、不活性ガスパージ口(42)から行う。不活性ガスのパージ量は所望する[RV]、温度などの重合条件によって異なるが、その量はポリマー1kgあたり0.005〜10Lが望ましい。パージ量が10L/kgを超えると、重合反応の促進作用より使用する不活性ガス量が過剰となり、コストアップ要因となる。より望ましいパージ量は0.005〜9.5L/kg、更に望ましくは0.01〜9L/kgである。また、不活性ガスパージを行わずとも所望のRVが得られる場合は、パージを行わないこと(すなわち、パージ量:10L/kg)も可能である。不活性ガスとしては、ポリアミド生成反応に対して不活性であれば種類を問わないが、窒素ガスが安全面、コスト面で有利である。
【0057】
また、真空度によっても重合反応を促進し、反応速度が制御できる。真空口(43)を通じて行う。ポリアミドの生成反応はカルボン酸とアミンの縮合反応であり、生成する水を除去することで、重合反応は促進される。後期重合工程で適用する真空度は、所望する[RV]、重合条件によって異なるが、150〜1200hPaである。150hPa未満となると、後期重合工程において、ポリマーがベントアップしたり、配管を詰まらせたり、安定した操業性が期待できない。逆に、1200hPaを超えると、真空度の効果はあまりなく、所望する[RV]への到達速度が遅くなり生産性が低下し、場合によっては、所望する[RV]に到達しない場合もある。望ましい真空度は200〜1100hPa、さらに望ましくは250〜1050hPaである。
【0058】
ADA−MXDを主原料とするポリアミドにおいて望ましい[RV]の制御方法は、不活性ガスパージと真空度の併用である。この方法の利点は、不活性ガス、又は真空度単独では達し得なかった高[RV]のポリアミドの製造が容易なこと、また、[RV]の制御が一定真空度下では不活性ガスのパージ量の調整で可能となり、あるいは逆に不活性ガス量一定下では真空度の調整で可能となり、[RV]制御がより柔軟に行える利点がある。
【0059】
望ましい条件は、不活性ガスパージ量が0.005〜9.5L/kg、真空度は200〜1150hPa、更に望ましくは0.01〜9L/kg、250〜1100hPaである。不活性ガスパージ量が0.005L/kg未満であるか、又は真空度が1150hPaを超えると、重合速度が遅くなる。逆に、不活性ガスパージ量が9.5L/kgを超えるか、又は真空度が200hPa未満となると、不活性ガスの使用量が増加してコストアップ要因となり、また、重合速度が遅くなって生産性が低下するなどの不利を生じる。
【0060】
一方、重合反応を抑制したい場合には、酸無水物化合物の添加によって重合反応を制御できる。添加口(44)を通じて行う。酸無水物化合物の添加により、ポリマーの末端アミノ基が封鎖されるので、重合反応を抑制できると考えられる。使用できる酸無水物化合物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HOPA)、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸などが挙げられ、ポリアミドの色調の点からHOPAの使用が望ましい。酸無水化合物の添加量は、所望する[RV]によって特に限定されるものではないが、通常はポリマー1kgあたり150meq/kg以下が望ましい。添加量が150meq/kgを超えると、重合速度が遅くなったり、ベントアップ要因となり操業安定性が悪くなる。また、未反応の酸無水物化合物がポリマー中に残留しポリアミドの品質低下の原因になる。
【0061】
[RV]の制御方法は前記の方法に限定されるものではなく、アルカリ金属化合物の添加や、従来公知の各種の手段を実施可能である。
【0062】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において用いたポリアミド樹脂の特性値の評価方法は以下の通りである。
【0063】
(1)相対粘度[RV]
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度管にて測定した。
【0064】
(2)コンタミネーション
チップ状のポリアミド樹脂500gを白板の上に重なりが無いように並べて置き、チップ中の黒色の異物の有無を目視により観察し、全チップの個数に対する、黒色異物が内部に存在するチップの個数の比率を求めた。下記基準で判定した。
○:少ない
×:多い
【0065】
(3)ゲル化発生までの熱処理時間
得られたポリアミド樹脂のゲル化の起こりにくさの指標として、次に述べる操作により、ゲル化発生までの熱処理時間(Hr)を求めた。このゲル化発生までの熱処理時間(Hr)が長いほど、ゲル化しにくく、また不溶、不融性の異物によるコンタミネーションが少ないことを意味する。
【0066】
内容量約20mlの枝付き試験管に、100℃で24時間減圧乾燥したポリアミド樹脂試料3gを入れ、減圧窒素置換を3回行い、その後、試験管中に30ml/分の窒素ガスを流しながら、260℃恒温のオイルバス中に浸漬し加熱処理を行った。加熱処理の開始から所定時間(x時間)経過したところで、加熱処理された樹脂試料をサンプリングし、その試料0.25gを、96%硫酸25ml中に溶解し、室温下16時間放置した時、不溶物が発生しているか否かを目視で観察した。この観察を種々の所定時間(x時間)について行った。不溶物が発生した試料が加熱処理されていた時間(x時間)の内の最短の時間をゲル化発生までの熱処理時間(Hr)とした。
【0067】
[実施例1]
この例では、初期重合の反応容器(11)を2個並列に配置し、反応容器(11)からのポリアミドプレポリマーを三方バルブ(19)の切替えによって、後期重合のSCR反応装置に交互に供給した。溶融保持層(15)は配設しなかった。
【0068】
攪拌機、窒素ガス導入管、減圧調節弁、1.3MPaのスチーム導入管及びジアミンの滴下槽を備えたジャケット付き20Lのステンレス反応容器(11)にアジピン酸(ADA)4kgを仕込み、窒素置換し、更に少量の窒素を流通させながら攪拌下加熱し、170℃に昇温し、アジピン酸を溶融させた。次いで、溶融したアジピン酸を攪拌しながら、滴下槽(12)からメタキシリレンジアミン(MXD)3.73kgを常圧下連続的に3時間かけて滴下した。この間内温を250℃まで連続的に昇温した。メタキシリレンジアミンとともに留出する水は反応系外に除去した。
【0069】
メタキシリレンジアミンの滴下終了後、常圧下に0.2℃/分の昇温速度で昇温しながら20分間攪拌し、メタキシリレンジアミンの固定化を促し、初期重合を行った。その後、1.3MPaのスチームを反応器に導入し、圧力調整弁で気相部を0.3MPaに調節した。0.3MPaに到達後、10分経過した時点からポリアミドの排出を開始しポリアミドプレポリマーを得た。このとき攪拌は継続し、気相部の圧力を0.3MPaに維持して、更に内温を255℃±1℃に維持した。
【0070】
前記プレポリマーを、反応温度255℃、真空度1013hPa、窒素ガスパージ量1.13L/kg、スクリュー回転数50rpmの条件に設定されたSCR(41)へと供給した。SCR(41)へのプレポリマーの供給は、2つの反応容器(11)から交互に行った。SCR(41)において、10分間の平均滞留時間を経過した後、ポリアミドをストランドとして連続的に排出し、水冷、造粒してポリアミド樹脂チップを得た。
【0071】
[実施例2]
実施例1と同じ反応装置を用いた。ステンレス反応容器(11)にアジピン酸(ADA)4kgを仕込み、窒素置換し、更に少量の窒素を流通させながら攪拌下加熱し、170℃に昇温し、アジピン酸を溶融させた。次いで、溶融したアジピン酸を攪拌しながら、滴下槽(12)からヘキサメチレンジアミン(HMD)3.1kgを常圧下連続的に3時間かけて滴下した。この間内温を255℃まで連続的に昇温した。ヘキサメチレンジアミンとともに留出する水は反応系外に除去した。
【0072】
ヘキサメチレンジアミンの滴下終了後、常圧下に0.2℃/分の昇温速度で昇温しながら20分間攪拌し、初期重合を行った。その後、1.3MPaのスチームを反応器に導入し、圧力調整弁で気相部を0.3MPaに調節した。0.3MPaに到達後、10分経過した時点からポリアミドの排出を開始しポリアミドプレポリマーを得た。このとき攪拌は継続し、気相部の圧力を0.3MPaに維持して、更に内温を270℃±1℃に維持した。
【0073】
前記プレポリマーを、反応温度270℃、真空度1013hPa、窒素ガスパージ量1.13L/kg、スクリュー回転数50rpmの条件に設定されたSCR(41)へと供給した。SCR(41)へのプレポリマーの供給は、2つの反応容器(11)から交互に行った。SCR(41)において、10分間の平均滞留時間を経過した後、ポリアミドをストランドとして連続的に排出し、水冷、造粒してポリアミド樹脂チップを得た。
【0074】
[比較例1]
後期重合反応装置として、実施例1のSCR反応装置に代えて、ジャケット付き20Lステンレス反応容器を用いた。
【0075】
ポリアミドプレポリマーを得るまでの溶融及び初期重合工程は、実施例1と同様にして行った。初期重合工程で得られたポリアミドプレポリマーを、ジャケット付き20Lステンレス反応容器に供給した。ステンレス反応容器へのプレポリマーの供給は、2つの初期重合反応容器(11)から交互に行った。後期重合反応温度は255℃、真空度800hPa、攪拌下さらに重合反応を進め、20分間の平均滞留時間を経過した後、ポリアミドをストランドとして連続的に排出し、水冷、造粒してポリアミド樹脂チップを得た。
【0076】
【表1】
Figure 2004204027
【0077】
実施例及び比較例で得られたポリアミド及びポリアミドプレポリマーの特性を表1に示す。いずれの実施例1〜2においても、操作は良好であり、コンタミネーションが非常に抑制され、ゲル化発生までの熱処理時間も長い優れたポリアミドが得られた。
【0078】
比較例1のポリアミド樹脂中には、実施例1のポリアミド樹脂に比べ、より多くのコンタミネーションが見られ、また、ゲル化発生までの熱処理時間も短かった。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、生産効率に優れ、ゲル化が起こりにくく且つコンタミネーション(黒色異物)の少ないポリアミドが得られるポリアミドの連続製造方法、とりわけ芳香族含有ポリアミドの連続製造方法が提供される。本発明の方法では、食品、飲料品、医薬品、化粧品などの用途における、フィルム、シート、包装袋、ボトル等に好適な、強度に優れ、色調が良好であり且つ吸水率の小さい芳香族含有ポリアミドが連続的に製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアミドの連続製造方法の概略工程を示すフロー図である。
【符号の説明】
(11):ジカルボン酸溶融槽及び初期重合用回分式重合槽
(12):ジアミン添加装置
(41):後期重合用セルフクリーニング方式の横型二軸反応装置
(15):溶融保持槽
(19):三方バルブ

Claims (6)

  1. ジアミン成分単位とジカルボン酸成分単位とを主として含むポリアミドの連続製造方法であって、
    (1) ジカルボン酸を溶融するジカルボン酸溶融工程と、
    (2) 水の分離除去可能な回分式反応装置を用い、
    溶融状態のジカルボン酸に、溶融状態のジアミンを連続的又は間欠的に添加するか、又は、溶融状態のジアミンに、溶融状態のジカルボン酸を連続的又は間欠的に添加して、
    ジアミンとジカルボン酸のモル比を所定値として重縮合反応を行い、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度で水を分離除去しつつ重合度を高め、相対粘度が1.4〜2.7のポリアミドプレポリマーを得る初期重合工程と、
    (3) ポリアミドプレポリマーを水の分離除去の可能なセルフクリーニング方式の連続式横型二軸反応装置に導入し、最終的に得られるポリアミドの融点以上の温度でさらに重合度を高め、所望の相対粘度[RV]のポリアミドを得る後期重合工程とを含む、ポリアミドの連続製造方法。
  2. (2) 初期重合工程において、回分式反応装置を複数個用いる、請求項1に記載のポリアミドの連続製造方法。
  3. (3) 後期重合工程における平均滞留時間は1〜30分である、請求項1又は2に記載のポリアミドの連続製造方法。
  4. (3) 後期重合工程で得られるポリアミドの相対粘度[RV]は1.6〜4.0の範囲である、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のポリアミドの連続製造方法。
  5. (3) 後期重合工程において、不活性ガスをパージすること、反応装置の真空度を調整すること、酸無水物化合物を添加すること、又はそれらの併用によって、ポリアミドの相対粘度[RV]を制御する、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のポリアミドの連続製造方法。
  6. ポリアミドは、ジアミン成分としてメタキシリレンジアミン(MXD)を含み、且つジアミン成分を基準としてメタキシリレンジアミン(MXD)は少なくとも70モル%である、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のポリアミドの連続製造方法。
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