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JP2004200330A - 異物除去方法及びその装置 - Google Patents

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JP2004200330A
JP2004200330A JP2002365963A JP2002365963A JP2004200330A JP 2004200330 A JP2004200330 A JP 2004200330A JP 2002365963 A JP2002365963 A JP 2002365963A JP 2002365963 A JP2002365963 A JP 2002365963A JP 2004200330 A JP2004200330 A JP 2004200330A
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JP2002365963A
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English (en)
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Junichi Muramoto
准一 村本
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

【課題】微細パターンが形成された基板の洗浄等に好適であって、レーザー加熱による異物の除去効率が高く、液膜の厚さや異物の種類、大きさ、形状等に依存しない異物除去方法及びその装置を提供する。
【解決手段】シリコン基板1表面上に形成された酸化シリコン膜2上に、異物3が存在している場合、凝縮性ガスの凝縮によって、酸化シリコン膜2と異物3との間の領域に液体相4を形成する。例えば、基板冷却下で、基板温度における蒸気圧よりわずかに小さい分圧で凝縮性ガスを含んでいる混合ガス(例えば、水蒸気を含む空気)を酸化シリコン膜2上に供給すると、毛管凝縮によって接点10の周囲にのみ液体相4が形成される。次に、基板表面に吸収されやすい波長のレーザー光9を照射して加熱し、この熱で液体相4を沸騰させる。液体相4の沸騰によって生じる膨張力8は、異物3を酸化シリコン膜2から除去する力として異物3に対し下側から効果的に作用する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス製造プロセス等において基体上に付着した異物を除去する異物除去方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス製造プロセス等における洗浄の目的は、基板表面から様々な異物を取り除くことである。半導体デバイス製造プロセスでは、基板上の異物は、デバイスの歩留まりと信頼性に大きな影響を及ぼす。デザインルール(最小加工線幅)の1/10の大きさの微粒子まで問題になるといわれており、回路パターンの微細化にともなって新しい洗浄技術が求められている。
【0003】
近年、レーザー光の照射を利用する洗浄方法として、基板が液体(洗浄液)で被覆されていないドライ条件下でレーザー光を照射する方法(以下、ドライ・レーザー洗浄法と略記する。)と、基板が液体で被覆されているウェット条件下でレーザー光を照射する方法(以下、ウェット・レーザー洗浄法と略記する。)とが提案されている。
【0004】
ドライ・レーザー洗浄法は、レーザー光として、基板の化学的又は物理的変化を引き起こさないが異物を除去するのには十分な光子密度、即ち光エネルギーを持つレーザー光を用いて、異物を化学的又は物理的に除去する方法である。
【0005】
ドライ・レーザー洗浄法は、上記の条件をみたす異物と基板の組み合わせに適用が限定される。また、異物と基板表面との間に、レーザー光に対する光化学的あるいは光学的特性の違いがあることが適用の条件であるが、除去すべき異物の組成、従ってその光化学的あるいは光学的特性が不明であることが多いため、ドライ・レーザー洗浄法は実現性に乏しい。
【0006】
また、ドライ・レーザー洗浄法は、基板表面に損傷が発生しやすいという欠点もある。基板表面に発生した損傷は、その後に続く成膜プロセスやパターニングプロセスに大きな影響を与える。
【0007】
以上のように、半導体デバイス製造プロセスにおける基板表面の異物の除去法として、ドライ・レーザー洗浄法は適切でない。
【0008】
一方、ウェット・レーザー洗浄法は、基板表面に水等の液体の膜を形成した後、レーザー光を照射してこの液膜を瞬間的に沸騰又は突沸させ、これによって生じた膨張力によって異物を除去する方法である(例えば、特許文献1〜3参照。)。液膜の形成は、通常、スピンコートやノズルによる断続的な液体の塗布、あるいはミストや蒸気を吹き付ける方法等によって行われる。
【0009】
ウェット・レーザー洗浄法は、ドライ・レーザー洗浄法に比べて基板の損傷を防止できる利点がある。なぜならば、液膜の沸騰あるいは突沸によって得られる膨張力によって異物の除去が補助されるため、ドライ条件下に比べ、異物の除去に必要なレーザー光の照射エネルギー量又はパワーが低減されるためである。また、ウェット・レーザー洗浄法は、液膜の沸点近傍の温度範囲内で行われるため、耐熱性の低い基板の表面洗浄にも適している。
【0010】
しかしながら、ウェット・レーザー洗浄法を半導体デバイス製造プロセス、特に加工線幅が100nm以下であるような微細なパターンを有する半導体デバイスの製造プロセスにおける洗浄方法として用いた場合、微細なパターンを破壊するおそれがある。
【0011】
スピンコートやノズルによる断続的供給といった、液体状態で液膜の材料を供給する液膜形成は、液滴による衝撃によって、基板表面に作製された微細構造等のパターンの倒壊を招くおそれがあり、また、液体の供給量や膜厚の制御も複雑で難しくなるという問題点がある。
【0012】
さらに、液膜の厚さが大きい場合にパターン内部に侵入した液膜が表面張力によってパターンを倒壊させるという問題点もある。図8は、例えばシリコン基板1の表面上の酸化シリコン膜2の上に形成された配線パターン5の内部に液膜6aが侵入し、配線パターン5の内部で発生する液体の表面張力(雰囲気と液体との界面における表面張力)によって配線パターン5aを倒壊させる状態を示す概略断面図である。
【0013】
このような現象は、蒸気の吹き付けによる液体の供給が過剰に行なわれた場合にも起こる可能性がある。吹き付けられた蒸気が基板1上で結露した場合、結露して粒状になった液体が配線パターン5の内部に侵入するためである。
【0014】
基板表面に目視で確認できるような曇りが発生した場合、基板表面の曇り部分には粒状の液体が、ミー散乱を起こす500nm以上の大きさで結露していると考えられる。このような液体の量は、特にパターン寸法が100nm以下であるような微細なパターンの破壊を引き起こすのに十分だと考えられる。
【0015】
また、液膜の厚さが大きい場合、レーザー光の照射によって引き起こされる液膜の蒸発において、体積膨張によって発生する力がパターンの限界応力を超えてパターンを破壊する危険性も懸念される。
【0016】
そこで、基板表面に液滴等の衝突による衝撃を与えずに結露によって液膜を形成し、この液膜をレーザー光の照射によって蒸発させることにより、異物を除去するウェット・レーザー洗浄装置が提案されている(特許文献1〜3参照。)。この基板洗浄装置は、基板の温度を制御する機構と、基板を収納する空間内に結露を起こさせるガスを導入するガス導入機構と、前記ガスの温湿度制御機構及び/又は前記空間内の温湿度制御機構と、膜厚検出機構とを備えた液膜形成機構を有している。
【0017】
【特許文献1】
特開平10−64862号公報(第2−4頁、第2図)
【特許文献2】
特開平10−64863号公報(第3−5頁、第2図)
【特許文献3】
特開平10−64864号公報(第3−5頁、第2図)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜3の装置は、いずれも、レーザー光の照射対象を適切に限定したものではないので、レーザー光の利用効率が低く、洗浄力(異物の除去効率)が不十分になるという問題点がある。
【0019】
図9に示すように、液膜6の厚さが異物3の大きさと同程度であるときに、液膜6の形成面(液面)側から、液膜6に吸収される波長のレーザー光9を照射する場合、液膜6は、レーザー光9の入射面、即ち液膜6と雰囲気との界面近傍7で沸騰又は突沸する。従って、液面が高い位置にあると、液体6の沸騰又は突沸によって生じる膨張力8は、図示するように雰囲気中へ拡散してしまい、異物3を除去する力として異物3に効果的に伝わらない。
【0020】
このように、膨張力8が効果的に異物3へ伝わらない場合、洗浄のために過剰な量のレーザー光を照射しなければならない。この結果、基板1にもレーザー光が必要以上に入射して基板1の光化学的な反応を引き起こし、基板1が損傷する危険性がある。
【0021】
しかしながら、液膜6によるレーザー光9の吸収効率を高めるためには、液膜6の厚さは大きくしなければならない。なぜならば、レーザー光9の吸収効率は、液膜6の膜厚に依存し、膜厚が小さくなりすぎると、液膜6によるレーザー光9の吸収効率は実用的でないほどに低下するからである。
【0022】
以上のように、液膜6にレーザー光9を吸収させて洗浄する場合には、異物3の除去効率が液膜6の厚さや異物3の大きさによって敏感に変化し、極めて適用しづらい方法になる。しかも、異物3によるレーザー光9の吸収効率を高めるために液膜6の厚さを大きくすると、先に述べたように表面張力によって微細パターンの倒壊を生じやすくなる。
【0023】
また、異物にレーザー光を吸収させて加熱し、異物を介してこれと接している液膜を加熱して沸騰させる方法は、ドライ・レーザー洗浄法について述べたのと同じ理由で有効ではない。即ち、異物3にレーザー光を吸収させるには、異物の光化学的あるいは光学的特性についての解析が必要になる。異物についての光化学的あるいは光学的特性は不明であることが多いので、この方法は有効ではない。更に、異物がレーザー光を吸収すると、加熱された異物が基板に融着するという問題点も生じる。
【0024】
本発明の目的は、上記のような実情に鑑み、レーザー加熱による異物の除去効率が高く、液膜の厚さや異物の種類、大きさ、形状等に依存しない異物除去方法及びその装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、基体上に付着した異物を除去する異物除去方法において、
前記基体上に凝縮性ガスを供給して液体相を凝縮させ、この際、前記凝縮性ガスの圧力及び/又は前記基体の温度を制御して前記液体相を制御された厚さ
に凝縮させる工程と、
レーザー光を照射して少なくとも前記基体を加熱し、前記液体相を蒸発させ
ることによって前記異物を除去する工程と
を有することを特徴とする、異物除去方法に係わるものである。
【0026】
また、基体上に付着した異物を除去する異物除去装置において、前記基体上に凝縮性ガスを供給する凝縮性ガス供給手段と、前記凝縮性ガスの圧力及び/又は前記基体の温度を制御する制御手段と、前記基体上にレーザー光を照射するレーザー光照射手段とを有する、異物除去装置を提供するものである。
【0027】
本発明によれば、前記凝縮性ガスの凝縮によって液体相を形成するに際し、前記凝縮性ガスの圧力と前記基体の温度との少なくとも一方を制御するので、前記基体の表面上の凹凸の有無に関係なく、常に所望の厚さに前記液体相を形成することができる。このとき、液滴による衝撃等の物理的な力が前記基体に作用することがなく、且つ前記液体相の厚さが制御されているので、前記基体上に形成された微細パターン等の構造体が液滴の表面張力で破壊されることがない。
【0028】
しかも、前記レーザー光を少なくとも前記基体に吸収させて少なくとも前記基体を加熱するので、前記レーザー光のエネルギーは、前記液体相の厚さや前記異物の性質、大きさ、形状等の影響を受けずに、前記基体によって吸収される。この基体が吸収した熱は、前記基体に接する前記液体相にすみやかに伝わり、前記液体相の蒸発と体積膨張を確実に引き起こし、この膨張力が異物を除去する力として異物に効果的に作用する。また、前記レーザー光は、少なくとも前記基体を加熱すればよいので、前記基体を常に適切な温度に加熱でき、過剰なレーザー光照射は不要となって、前記基体の損傷も防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記液体相の側から前記レーザー光を照射するのがよい。表面側からレーザー照射することにより、前記基体上の前記微細パターンや前記異物による汚染状況を見極めながら、所望の位置に前記レーザー光を照射することができる。
【0030】
前記液体相を前記異物と前記基体との間での毛管凝縮によって形成することができる。前記毛管凝縮を利用することにより、前記異物と前記基体との間の極めて狭い間隙(特に10nm以下)にのみ選択的に前記液体相を形成させることができる。この方法によれば、前記基体表面に形成された微細パターン等の構造物の機械的強度が非常に脆弱である場合にも、ウェット・レーザー洗浄法を適用することができる。
【0031】
通常は、前記液体相を前記基体上を覆う液膜として形成するのがよい。この場合、前記液体相の厚さを前記基体上の複数の構造物間の間隔以下とし、構造物間に侵入した前記液体相が表面張力によって前記微細パターン等の構造物を破壊しないようにするのがよい。例えば、微細構造物のパターン寸法又は微細構造物間の間隔が100nm以下であれば、前記液体相の厚さは100nm以下とするのがよく、50nm以下とするのが更に望ましい。また、必要なら、エリプソメーター等による、前記液体相の厚さを測定する手段を備えているのがよい。
【0032】
前記凝縮性ガスの供給手段は、前記凝縮性ガスを前記基体の所望の領域に供給する手段を備えているのがよい。
【0033】
前記基体の温度の制御は、冷却手段を備えた支持台上に保持するか、または、低温のガスを吹き付けるかによって前記基体を冷却することによって行うのがよい。前記冷却手段としては、例えばペルチェ素子等による熱電冷却や冷媒との接触等が挙げられる。
【0034】
前記異物の下部に位置し、正面からのレーザー光照射では前記異物の影に入ってしまって効果的にレーザー加熱できない前記基体の部分については、前記レーザー光を前記基体に対し斜め方向から照射してレーザー加熱するのがよい。また、前記レーザー光を前記基体上の所望の場所に複数の方向から照射するのが、異物除去効果を高める上で効果的である。
【0035】
前記基体としての半導体基板上に半導体加工プロセスで付着した前記異物を、前記液体相の蒸発によって洗浄除去するのがよい。
【0036】
水、エタノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種によって前記液体相を形成するのがよい。前記基体の表面が親水性である場合には、水を用いるのがよい。前記基体の表面が水に対して濡れにくい場合等のように、より表面張力の小さい前記液体相を形成したい場合には、エタノール及び2−プロパノール(イソプロピルアルコール)等の有機溶媒やそれらの混合物を用いるのがよい。
【0037】
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的に説明する。
【0038】
実施の形態1
図1は、本実施の形態による洗浄過程を示す概略断面図である。ここでは(以下の他の実施の形態でも同様であるが)、基体がシリコン基板1であり、その表面に薄い酸化シリコン膜2が形成されている場合を例として説明する。レーザー光9の波長は、酸化シリコン膜2及び/又はシリコン基板1に吸収されやすいものであればよい(但し、酸化シリコン膜2とシリコン基板1表面とは特に区別せず、共に基板表面と呼ぶことにする。)。また、異物3は球形の形状を持つものとして示したが、これは1つの例にすぎず、様々な形状があり得る。
【0039】
本実施の形態では、毛管凝縮を利用して、異物3と酸化シリコン膜2との間の極めて狭い間隙(特に10nm以下)にのみ選択的に水などの液体相4を形成させ、基板面のレーザー加熱によってこの液体相4を瞬時に蒸発させ、その膨張力8によって異物3を除去するウェット・レーザー洗浄法を行う。
【0040】
毛管凝縮というのは、例えば毛細管のように、固体が非常に狭い間隙を形成している場所に、その固体に対し濡れ性の良い液体が凝縮して、表面張力で凹面形状の表面を有する液体相を形成するときに見られる現象であり、平面形状の表面を有する液体に比べ蒸気圧が低下する現象である。
【0041】
初めに、図1(a)に示すように、シリコン基板1表面上に形成された酸化シリコン膜2上に、異物3が存在しているものとする。図1では、異物3は球形の形状を持つものとして示したが、これに限定されるものではなく、形は何でもよい。異物3の形状に関係なく、異物3と酸化シリコン層2との接点10の周囲には、異物3の表面と酸化シリコン膜2の表面とが、毛細管と同等程度の非常に狭い間隙を間に挟んで対向している領域10Aがある。この領域が毛管凝縮が起こる領域である。
【0042】
この領域10Aに、図1(b)に示すように、酸化シリコン層2及び異物3に対して濡れ性の良い液体相(液滴)4が形成されると、液体相4の表面形状は表面張力によって凹面形状となり、この液体相4が示す蒸気圧は、他の領域に形成される通常の液膜の蒸気圧より、最大10%ほど小さくなる。この領域10Aは、酸化シリコン層2上の他の領域に比べて少し凝縮が起こりやすく、液体相4が形成されやすい領域になっている。
【0043】
実際に、図1(b)の状態を形成するには、基板温度における凝縮性ガスの飽和蒸気圧よりわずかに小さい分圧で凝縮性ガスを含むように調製された混合ガス(例えば、空気と水蒸気との高湿度の混合ガス)を基板面に供給しながら、基板温度を混合ガスの温度よりやや低い温度に制御する。実施の形態3で後述するように、混合ガスの温度と基板温度との温度差を適切に制御することで所望の厚さの液膜を形成することができる。
【0044】
異物3との接点10近傍を除く酸化シリコン膜2上では、混合ガス中の凝縮性ガスの分圧は蒸気圧に満たないので、凝縮性ガスが凝縮を起こして液体相を形成することはない。しかしながら、異物3との接点10の周囲の領域10Aでは、混合ガス中の凝縮性ガスの分圧はこの領域における蒸気圧を上回るので、凝縮性ガスは凝縮して(毛管凝縮)、図1(b)のような形状の液体相(液滴)4を形成する。
【0045】
このとき、基板を冷却しているので、基板表面上の飽和水蒸気圧を小さくし、毛管凝縮によって基板表面上に所望の厚みで液体相4を形成することができる。しかも、蒸気やミストの吹き付けのように水蒸気の密度のばらつきが生じることも少なくなり、均一に毛管凝縮させることができる。
【0046】
次に、図1(c−1)に示すように、基板表面に吸収されやすい波長のレーザー光9を基板表面に照射する。レーザー光9は、基板表面によって吸収され、少なくとも基板表面を瞬間的に加熱する。この熱の一部はすみやかに液体相4に伝えられ、液体相4を沸騰又は突沸させる。
【0047】
図1(c−1)に示すように、液体相4の沸騰又は突沸は、酸化シリコン膜2と異物3との間隙で発生し、液体4の沸騰又は突沸によって生じる膨張力8は、異物3を酸化シリコン膜2から除去する力として効果的に異物3に下側から作用するので、異物3が酸化シリコン膜2から十二分に除去される。このようにして、レーザー光9のエネルギーが効果的に異物の除去に用いられる。
【0048】
レーザー光9は、その波長が液体相4に吸収されにくい波長であるものを使用する。例えば、液体相4の液体が水、又はエタノールや2−プロパノールといった有機溶媒であれば、KrFエキシマレーザーのレーザー光(波長248nm)が使用可能である。
【0049】
基板表面に対するレーザー光9の照射角度は垂直である必要はない。図1(c−1)に見られるように、毛管凝縮では、液体相4は異物3と酸化シリコン膜2との接点10の周囲に形成されているため、液体相4にできるだけ近く、熱を伝えやすい位置にある基板表面を照射して、レーザー光9の異物除去効果を高めるには、基板表面に対して斜めから照射するのが効果的である。
【0050】
また、図1(c−2)に示すように、ハーフミラー11やミラー12を組み合わせて、レーザー光9を複数の方向から同時に照射することにより、異物3の影に入り、レーザー光9が照射されない領域17を減らすようにするのも、異物除去効果を高める上で効果的である。
【0051】
上記のように、毛管凝縮によって液体相4を形成すると、異物3と酸化シリコン膜2との間の極めて狭い間隙(特に10nm以下)にのみ、選択的に液体相4を形成させることができる。この方法によれば、微細パターン等に液体が侵入して表面張力によってパターンを破壊するおそれはないので、基板表面に形成された微細パターン等の構造物の機械的強度が非常に脆弱である場合にも、ウェット・レーザー洗浄法を適用することができる。
【0052】
また、沸騰又は突沸の発生領域は、常に基板表面の直上であって、基板表面と異物3との間にあるので、異物除去効果は、液膜6の厚さや異物3の性質、大きさ、形状等の変化による影響を受けにくく、安定した除去効果が発揮される。この利点は、図9参照下に前述した、液膜6がレーザー光を吸収する場合の不都合と比べると、明らかである。
【0053】
実施の形態2
本実施の形態では、図2に示すように、基板全体を制御された厚さで被覆する液膜6として液体相を形成した後、基板表面のレーザー加熱によってこの液膜6を瞬時に蒸発させ、その膨張力8によって異物を除去するウェット・レーザー洗浄法を行う。
【0054】
基板全体を制御された厚さで被覆する液膜6を形成するには、飽和蒸気圧に近い制御された分圧で凝縮性ガスを含む混合ガス(例えば、空気と水蒸気との高湿度の混合ガス)を基板表面に供給することと、基板を所望の温度に冷却することとの少なくとも一方(望ましくは、両方)を行い、基板の表面温度及び/又は基板表面における凝縮性ガスの分圧を、液膜6の所望の厚さに対応する値に制御する。なお、この制御の程度によっては、図1に示した毛管凝縮による液体相を形成できる。
【0055】
一定の温度tにおいて固体表面に吸着されている凝縮性ガスの量(凝縮量)mと凝縮性ガスの分圧pとの関係は、フロイントリヒの吸着等温式
m = Kp1/n
log m = log K + (1/n) log p
で表されることが経験的に知られていて、凝縮量mの対数と凝縮性ガスの分圧pの対数との間には、直線的な関係がある。ただし、上式中のnは1より大きい数であり、Kとnは定数とみなされ、実験的に決定される。
【0056】
上式の吸着量mを凝縮した液膜の膜厚に換算し、所望の膜厚に対応する凝縮性ガスの分圧pを求めると、所望の膜厚を与える基板温度tと凝縮性ガスの分圧pの1組が求まる。実際には、このような関係を満たすtとpの組を複数求め、tとpのいずれをも制御しやすい条件を選ぶのがよい。
【0057】
あるいは、エリプソメーター等の膜厚測定手段を用いて測定しながら、凝縮性ガスの分圧や基板温度等の条件を調節して、液膜6の厚さを例えば100nm以下に制御するのがよい。つまり、液膜6の厚さを実測することにより、ウェット・レーザー洗浄法に必要な厚さを保ちながら、最低限度の液膜6の厚さでレーザー光9を照射することができるようになる。このようにすることで、液膜6の表面張力によって微細構造物の倒壊が生じることを十二分に防止することができる。
【0058】
図2は、所望の厚さの液膜6が形成された基板表面にレーザー光9を照射して、異物3の除去を行う工程の状態を示す概略断面図である。
【0059】
レーザー光9は、その波長が液膜6に吸収されにくい波長であるものを使用する。例えば、液膜6の液体が水、又はエタノールや2−プロパノールといった有機溶媒であれば、KrFエキシマレーザーのレーザー光(波長248nm)が使用可能である。
【0060】
この場合、照射されたレーザー光9は液膜6に吸収されることなく基板表面に到達して、酸化シリコン膜2及び/又はシリコン基板1によって吸収され、異物3周囲の少なくとも基板表面を加熱する。この熱の一部は直ちに液膜6に伝えられ、高温になった沸騰又は突沸の発生領域7に存在する液体が沸騰又は突沸する。沸騰又は突沸の発生領域7は、酸化シリコン膜2の直上であって、酸化シリコン膜2と異物3との間にあるので、図2(a)に示すように、液体の沸騰又は突沸によって生じる膨張力8は、異物3を基板表面から除去する力として異物3に下側から効果的に作用し、異物3が基板表面から除去される。このようにして、レーザー光9のエネルギーが効果的に異物の除去に用いられる。
【0061】
図2(b)は、液膜6の厚さはそのままで、粒子の直径が図2(a)の例えば半分である場合の状態を示す。同図から、この場合も、沸騰又は突沸の発生領域7は、酸化シリコン膜2の直上であって、酸化シリコン膜2と異物3との間にあるので、図2(a)の場合と本質的に変わらない異物除去効果が発揮されるのは、明らかである。また、図示は省略するが、液膜6の厚さが変化する場合も、同様である。
【0062】
このように、基板加熱によるウェット・レーザー洗浄法では、沸騰又は突沸の発生領域7は、常に基板表面の直上であって、基板表面と異物3との間にあるので、異物除去効果は、液膜6の厚さや異物3の性質、大きさ、形状等の変化による影響を受けにくく、安定した除去効果が発揮される。この利点は、図9参照下に前述した、液膜6がレーザー光を吸収する場合の不都合と比べると、明らかである。
【0063】
基板表面に対するレーザー光9の照射角度は垂直である必要はない。実施の形態1で示したように、異物3の下部に位置し、正面からの照射では異物3の影に入ってしまい、効果的にレーザー加熱できない基板表面の一部は、レーザー光9を基板表面に対し斜め方向から照射することによって、レーザー加熱することができる。また、実施の形態1で示したように、ミラー等を用いて、レーザー光9を同時に複数の方向から照射するのも、異物除去効果を高める上で効果的である。
【0064】
図3は、より実際の汚染状況に近い状態を示すものであり、例えば、シリコン基板1表面上に形成された酸化シリコン膜2上に、下地金属層のパターンエッチングにより配線パターン5を形成した後、パターン形成に用いたフォトレジストマスクをアッシングで除去した段階における異物3の除去を想定している。
【0065】
この段階における主要な異物3は、アッシングで燃え残ったフォトレジストマスクの残骸であり、図3に示すように、配線5の上に乗る状態で残留していることが多い。但し、除去されるべき異物3は、基板上の種々の箇所に付着したものが対象となり、図3の状態以外にも他の構造物や絶縁膜、導電層等の上のものであってよい(他の実施の形態でも同様。)。
【0066】
ここで重要な点は、既に基板上に形成されている配線5等の微細構造物を破壊しないようにしながら、凹部、凸部に関わりなく、できるだけ一定の膜厚をもった液膜6を基板1表面上に均一に形成することである。このとき、図3に示すように、液膜6の厚さを構造物間の間隔以下とし、構造物間に侵入した液膜6が表面張力によって構造物を破壊しないようにする必要がある。例えば、構造物5間の間隔(パターン寸法)が100nm以下であれば、液膜6の厚さを100nm以下、望ましくは50nm以下に制御する。
【0067】
即ち、図3に示すように、液膜6の厚さを配線5間の間隔13の半分以下に抑え、凹部14が液体で埋め尽くされず、凹部14の底部近傍にまで達する空間が凹部14内に残るようにすることが望ましい。本実施の形態によれば、上述したようにして、凝縮性ガスの吸着と凝縮によって、膜厚制御下に液膜6が形成されるので、所望の液膜6を形成することができる。この状態でレーザー光9を照射することで、図2(a)で示したと同様に、基板加熱による液膜6の沸騰又は突沸によって異物3を除去することができる。
【0068】
レーザー光9の照射方向は、基板表面に斜めの方向でも、垂直の方向でもよい。また、1方向に限ることもなく、同時に複数の方向から照射することにより、異物除去効果を高めることができる。
【0069】
図4は、小さな異物3が凹部14に落ち込んでいる場合を示す。凹部14のアスペクト比が小さい場合には、図4(a)に示すように、基板面に垂直な方向からレーザー光9を照射することで基板加熱し、異物3を凹部14から放出することができる。
【0070】
異物3が凹部14から除去し難い場合や、或いは凹部14のアスペクト比が大きい場合には、図4(b)に示すように、基板の裏面からレーザー光9を照射することで基板加熱すれば、効果的に異物3を凹部14から放出することができる。この場合、レーザー光9aとしては、シリコン基板1には吸収されにくく、酸化シリコン膜2に吸収されやすい波長のレーザー、例えば波長2.7〜2.8μm又は4.0〜6.5μmのレーザー光を用いる。この波長域を出力するレーザー光源として、例えば光学的パラメトリック発振器があり、商品化されているものとしては、SpectraPhysics製OPA−800CFがある。このレーザー光源のアイドラー出力の波長域は1.6〜3.0μmであり、オプションの付加によって3〜10μmのレーザー光の出力が可能である。
【0071】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比べてより多量の液体からなる液膜6が異物3の周囲に配置されているので、ウェット・レーザー洗浄法の異物除去効果をより効果的に発揮することができる。
【0072】
しかも、温度が制御された基板表面に、凝縮性ガスの圧力が制御された凝縮性ガスが供給され、凝縮性ガスが基板表面に吸着されて凝縮することにより、厚さを制御された液膜6が形成されるので、基板表面の形状に関係なく、基板表面全体に所望の厚さで均一に液膜6が形成される。このとき、液滴による衝撃等の物理的な力が基板表面に作用することがなく、且つ液膜の厚さが制御されているので、基板表面上に既に形成されている配線5等の構造物を破壊するおそれはない。
【0073】
実施の形態3(基板洗浄装置)
図5は、本実施の形態に基づく基板洗浄装置の概略構成図である。シリコン基板1は、基板搬入口32からチャンバー21の中に取り込まれ、基板支持台である冷却ステージ23上に保持される。冷却ステージ23は、ペルチエ素子による熱電冷却や液体窒素等の冷媒との接触による冷却等の公知の冷却手段を備えていて、基板1を冷却して一定の温度(液膜が水の場合は、50〜100℃)に保つ働きをする。
【0074】
冷却ステージ23は、XYステージ22の上に保持されていて、XYステージ22を操作することにより、液体相を形成した後、レーザー光9を照射して異物を除去するウェット・レーザー洗浄法を、シリコン基板1上のすべての場所に適用することができる。
【0075】
凝縮性ガスを含む混合ガスを基板表面に供給するために、チャンバー21には、混合ガスを導入する手段が設けられている。ここでは、空気と水蒸気との混合ガスを導入するものとすると、加湿雰囲気24は、超音波加湿あるいは水の加熱蒸発といった公知の加湿方法によって乾燥空気を加湿することによって、温度60〜100℃、相対湿度30〜100%未満に調整される。また、これに対応して、基板温度は、冷却ステージ23によって100℃以下、例えば加湿雰囲気24の温度に対して10℃以内に冷却される。
【0076】
この加湿雰囲気24は、送気バルブ25、及び、基板1にレーザー光9を照射する場所の近くに設けられた加湿雰囲気導入口26を通じて、チャンバー21内に導入される。一方、加湿雰囲気導入口26から離れた位置に排気バルブ30を備えた排気口が設けられている。送気バルブ25及び排気バルブ30の開度を調節することにより、加湿雰囲気24の流量及びチャンバー21内の圧力が所望の値に制御される。
【0077】
基板の温度及び加湿雰囲気24中の水蒸気分圧は、次のように調節する。
【0078】
実施の形態1で示したように、毛管凝縮を利用する場合には、基板温度における蒸気圧が、基板表面近傍での水蒸気分圧をわずかに下回るように、基板温度を調節する。基板表面における水蒸気分圧は、全圧の変化のみを考慮して、加湿雰囲気24中の水蒸気分圧から計算する。この計算では、吸着及び凝縮による水蒸気の減少分を無視しているが、加湿雰囲気24の流量が十分あれば、この近似は十分成り立つ。
【0079】
この際、図6(a)に示した吸着水膜の膜厚と基板表面の相対湿度との関係(Jpn. J. Appl. Phys., 40 (2001), Part 1, No 11. P.6198;但し、相対湿度80%以上における膜厚は、文中の説明を元に追加を行った。)、及び、図6(b)に示した基板表面の相対湿度と基板表面の温度との関係の、加湿雰囲気24の温度と相対湿度による変化(理科年表)が有用である。
【0080】
10nm以下、例えば1.3nm以下に制御性良く吸着水の膜厚を制御したい場合には、図6(a)から基板表面の相対湿度を80%以下に抑制することが必要であることがわかる。次に、図6(b)を用いて、基板表面の相対湿度を80%とするのに必要な基板表面温度を、加湿雰囲気24の温度と相対湿度のそれぞれに対して求める。例えば、雰囲気の温度が80℃で相対湿度が70%の時、基板表面の相対湿度が80%以下になるために必要な基板表面の温度は、図6(b)に図示したように、78.4℃以上、80℃未満であることがわかるが、このような制御は難しい。一方、相対湿度が50%の時には、必要な基板表面の温度は、69.3℃以上、80℃未満になり、この制御は比較的やさしい。雰囲気の温度が60℃で相対湿度が50%の時、必要な基板表面の温度は、51.0℃になる。
【0081】
このように、基板表面の相対湿度を80%より小さくするために必要な基板温度の制御性が重要である。加湿雰囲気24の温度が60℃より高く、相対湿度が50%の時、基板表面の相対湿度が80%以下になるためには、加湿雰囲気24の温度と基板温度の差を約10℃以内に保つ必要がある。また、加湿雰囲気24温度が60℃よりも低い場合には、加湿雰囲気24の温度と基板温度との差が小さくなるので、設定温度のマージンが小さくなり、制御が難しくなる。従って、加湿雰囲気24の温度は60℃以上、相対湿度は50%以下とするのがよい。
【0082】
または、基板表面を常温に保ち、相対湿度100%の雰囲気中へ一日間曝露してもよい。
【0083】
実施の形態2で示したように、基板表面に均一な液膜6を形成する場合には、前述したフロイントリヒの吸着等温式を用いて、所望の吸着水膜厚に対する基板温度及び水蒸気分圧を読み取り、基板温度及び基板表面における水蒸気分圧をその値に調節する。
【0084】
あるいは、エリプソメーター36等の膜厚測定手段を用いて、レーザー照射位置の液膜の膜厚を実測しながら、水蒸気分圧や基板温度等の条件を調節してもよい。膜厚測定手段を備えることで、ウェット・レーザー洗浄法の実現に必要な最小の膜厚においてレーザー光を照射することが可能となる。
【0085】
例えば、基板表面に100nmの間隔で配線が形成されている場合、液膜の膜厚を100nm以下、望ましくは50nm以下に保てば、厚すぎる液膜の表面張力によって配線パターンが破壊されるのを未然に防ぐことができる。
【0086】
基板表面が酸化シリコン膜2のように親水性である場合には、液膜を形成する液体として水を用いるのがよい。基板表面が水に対して濡れにくい場合等のように、より表面張力の小さい前記液体相を形成したい場合には、エタノール及び2−プロパノール(イソプロピルアルコール)等の有機溶媒やそれらの混合物を用いるのがよい。これらの凝縮成分の場合は、水の場合とは異なる蒸気の圧力及び基板温度に制御すればよい。
【0087】
レーザー光9は、その波長が液膜6に吸収されにくい波長であるものを使用する。例えば、液膜6の液体が水、又はエタノールや2−プロパノールといった有機溶媒であれば、KrFエキシマレーザーのレーザー光(波長248nm)が使用可能である。
【0088】
レーザー光9は、レーザー光源34から出射され、ミラー35及び光学窓33を経て、シリコン基板1に照射される。
【0089】
シリコン基板1に入射するレーザー光9の角度は垂直である必要はない。実施の形態1及び2で示したように、異物3の下部に位置し、正面からの照射では異物3の影に入ってしまい、効果的にレーザー加熱できない基板表面は、レーザー光9を斜め方向から照射することによってレーザー加熱することができる。また、ミラー等を用いて、レーザー光9を同時に複数の方向から照射するのも、異物除去効果を高める上で効果的である。
【0090】
基板冷却を行い、所定の分圧で凝縮性成分の蒸気を含む混合ガスを供給する箇所は、基板上の異物が付着した箇所のみである方が好ましい。また、異物除去効果を確かめながら、洗浄操作を行えるのが好ましい。このために、表面状態を観察できる顕微鏡を設けるのがよい。
【0091】
一方、装置を簡易にするためには、次の変形例が考えられる。即ち、XYステージ22を設けず、かわりにミラー35を走査用のミラーとする。この場合、基板全面を冷却しながら加湿雰囲気24をシリコン基板1全体に吹き付け、走査用のミラーの操作によってシリコン基板1の全面にレーザー光9を走査する。
【0092】
本実施の形態による基板洗浄装置は、実施の形態1及び2で述べた異物除去方法を効果的に実施できる装置である。従って、基板表面の形状等に関係なく、且つ、基板表面上にすでに形成されている配線5等の構造物を破壊するおそれ少なく、効果的に異物を除去できる。しかも、異物除去効果は、液膜6の厚さや異物3の性質、大きさ、形状等の変化による影響を受けにくく、安定した除去効果が発揮される。
【0093】
実施の形態4(基板洗浄装置の他の例)
図7は、本実施の形態に基づく基板洗浄装置の概略構成図である。実施の形態3の装置と異なる点は、低温にした雰囲気27をノズル29によってシリコン基板1上の所望の位置へ局所的に吹き付けると共に、基板1上の所望の場所のみを部分的に冷却する手段を備えている点である。
【0094】
即ち、基板1上の所望の場所に低温雰囲気27を吹き付けた後、それによって冷却された部分に加湿雰囲気24を供給する。これによって、基板1上の所望の場所にのみ選択的に液膜の生成を行い、この領域にのみレーザー光9の照射を行う。
【0095】
これにより、他の部分に影響を与えることなく、基板1上の必要な部分にのみ十分な異物除去処理を施すことができ、無用な損傷等を防止しながら、能率良く、効果的な異物除去処理を行うことができる。但し、ステージ23は必ずしも冷却ステージでなくてもよく、常温に保持しても差し支えない。
【0096】
その他の点では実施の形態3による基板洗浄装置と違いはないので、同様の効果が発揮されるのは言うまでもない。即ち、実施の形態1及び2で述べた異物除去方法を効果的に実施できる装置であって、基板表面の形状等に関係なく、且つ、基板表面上に既に形成されている配線5等の構造物を破壊するおそれがなく、効果的に異物を除去できる。しかも、異物除去効果は、液膜6の厚さや異物3の性質、大きさ、形状等の変化による影響を受けにくく、安定した除去効果が発揮される。
【0097】
上述の例では、異物を除去する基板表面を上向きに配置した図で説明してきた。しかし、一旦除去した異物3が沈降して基板表面に再付着することを防ぐためには、実際の異物除去操作は、基板表面を下向きに配置した状態で行うのが望ましいと考えられる。
【0098】
以上に述べたように、本発明の実施の形態によれば、半導体デバイス製造プロセスにおける基板表面の異物の除去に、ウェット・レーザー洗浄法を応用することが可能になる。ウェット・レーザー洗浄法によれば、基板上の径の小さな粒子(ゴミまたは異物)も除去可能であり、凹凸がある基板表面の洗浄残りを防止することが可能であり、基板上に形成された薄膜や微細構造を洗浄しても、それを破壊することなく表面洗浄を行うことができる。
【0099】
また、本発明の実施の形態によるウェット・レーザー洗浄法は、薬液等による洗浄と異なり、基板表面の局所的な異物除去が可能であるから、汚染のある場所のみを選択的に洗浄することで、基板表面の異物を完全に無くすことが可能となる。
【0100】
この結果、ウェーハに作製されているチップの全部をそれぞれのデバイスの製造に用いることができ、製造工程の途中で不良を起こすチップが減少して歩留まりが向上するため、投入されるウェーハ枚数を削減することが可能となる。このように、ウェーハの投入枚数を減少させ、設備コスト及び製造コストを削減する重要な役割を果たす。
【0101】
以上に述べた実施の形態は、本発明の技術的思想に基づいて適宜変更可能である。
【0102】
【発明の作用効果】
上述したように、本発明によれば、前記凝縮性ガスの凝縮によって液体相を形成するに際し、前記凝縮性ガスの圧力と前記基体の温度との少なくとも一方を制御するので、前記基体の表面上の凹凸の有無に関係なく、常に所望の厚さに前記液体相を形成することができる。このとき、液滴による衝撃等の物理的な力が前記基体に作用することがなく、且つ前記液体相の厚さが制御されているので、前記基体上に形成された微細パターン等の構造体が液滴の表面張力で破壊されることがない。
【0103】
しかも、前記レーザー光を少なくとも前記基体に吸収させて少なくとも前記基体を加熱するので、前記レーザー光のエネルギーは、前記液体相の厚さや前記異物の性質、大きさ、形状等の影響を受けずに、前記基体によって吸収される。この基体が吸収した熱は、前記基体に接する前記液体相にすみやかに伝わり、前記液体相の蒸発と体積膨張を確実に引き起こし、この膨張力が異物を除去する力として異物に効果的に作用する。また、前記レーザー光は、少なくとも前記基体を加熱すればよいので、前記基体を常に適切な温度に加熱でき、過剰なレーザー光照射は不要となって、前記基体の損傷も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に基づくウェット・レーザー洗浄法の工程を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態2に基づくウェット・レーザー洗浄法の1工程を示す概略断面図である。
【図3】同、ウェット・レーザー洗浄法の1工程を示す概略断面図である。
【図4】同、ウェット・レーザー洗浄法の1工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に基づく基板洗浄装置の概略構成図である。
【図6】同、(a)吸着水膜の膜厚と基板表面の相対湿度との関係を示すグラフ、及び、(b)基板表面の相対湿度と基板表面の温度との関係の、加湿雰囲気の温度と相対湿度による変化を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態4に基づく基板洗浄装置の概略構成図である。
【図8】従来のウェット・レーザー洗浄法の問題点の1例を示す概略断面図である。
【図9】同、ウェット・レーザー洗浄法の他の問題点を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…シリコン基板、2…酸化シリコン膜、3…異物、
4…毛管凝縮によって形成された液体相、5…配線、
5a…液膜の表面張力で倒壊した配線、6…液膜、
6a…配線パターンの間に侵入した液膜、7…沸騰の発生領域、
8…液体の沸騰で生じる膨張力、9…レーザー光、
9a…裏面から照射されるレーザー光、10…異物と酸化シリコン膜との接点、
10A…異物と酸化シリコン膜とが狭い間隙を挟んで対向している領域、
11…ハーフミラー、12…ミラー、13…配線間の間隔、14…凹部、
17…レーザー光が照射されない領域、21…チャンバー、
22…XYステージ、23…冷却ステージ、24…加湿雰囲気、
25…送気バルブ、26…加湿雰囲気導入口、27…低温雰囲気、
28…低温雰囲気導入バルブ、29…ノズル、30…排気バルブ、31…排気、
32…基板搬入口、33…光学窓、34…レーザー光源、35…ミラー、
36…エリプソメーター

Claims (22)

  1. 基体上に付着した異物を除去する異物除去方法において、
    前記基体上に凝縮性ガスを供給して液体相を凝縮させ、この際、前記凝縮性ガスの圧力及び/又は前記基体の温度を制御して前記液体相を制御された厚さ
    に凝縮させる工程と、
    レーザー光を照射して少なくとも前記基体を加熱し、前記液体相を蒸発させ
    ることによって前記異物を除去する工程と
    を有することを特徴とする、異物除去方法。
  2. 前記液体相の側から前記レーザー光を照射する、請求項1に記載した異物除去方法。
  3. 前記液体相を前記異物と前記基体との間での毛管凝縮によって形成する、請求項1に記載した異物除去方法。
  4. 前記液体相を前記基体上を覆う液膜として形成する、請求項1に記載した異物除去方法。
  5. 前記液体相の厚さを前記基体上の複数の構造物間の間隔以下とする、請求項1に記載した異物除去方法。
  6. 冷却手段を備えた支持台上に前記基体を保持する、請求項1に記載した異物除去方法。
  7. 低温のガスの吹き付けによって前記基体を冷却する、請求項1に記載した異物除去方法。
  8. 前記レーザー光を前記基体に対し斜め方向から照射する、請求項1に記載した異物除去方法。
  9. 前記レーザー光を前記基体上の所望の場所に複数の方向から照射する、請求項8に記載した異物除去方法。
  10. 前記基体としての半導体基板上に半導体加工プロセスで付着した前記異物を、前記液体相の蒸発によって洗浄除去する、請求項1に記載した異物除去方法。
  11. 水、エタノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種によって前記液体相を形成する、請求項1に記載した異物除去方法。
  12. 基体上に付着した異物を除去する異物除去装置において、前記基体上に凝縮性ガスを供給する凝縮性ガス供給手段と、前記凝縮性ガスの圧力及び/又は前記基体の温度を制御する制御手段と、前記基体上にレーザー光を照射するレーザー光照射手段とを有する、異物除去装置。
  13. 前記制御手段によって、前記凝縮性ガスが前記異物と前記基体との間での毛管凝縮による液体相、又は前記基体上を覆う液体相を形成するように構成された、請求項12に記載した異物除去装置。
  14. 前記液体相の厚さを測定する手段を備えている、請求項12に記載した異物除去装置。
  15. 前記液体相の厚さが前記基体上の複数の構造物間の間隔以下に制御される、請求項12に記載した異物除去装置。
  16. 前記凝縮性ガス供給手段は、前記凝縮性ガスを前記基体の所望の領域に供給する手段を備えている、請求項12に記載した異物除去装置。
  17. 冷却手段を備えた基体支持台を備えている、請求項12に記載した異物除去装置。
  18. 低温のガスの吹き付けによる、前記基体の冷却手段を備えている、請求項12に記載した異物除去装置。
  19. 前記レーザー光を前記基体に対し斜め方向から照射するように、前記レーザー光照射手段が構成されている、請求項12に記載した異物除去装置。
  20. 前記レーザー光を前記基体上の所望の場所に複数の方向から照射するように、前記レーザー光照射手段が構成されている、請求項19に記載した異物除去装置。
  21. 前記基体としての半導体基板上に半導体加工プロセスで付着した前記異物を、前記液体相の蒸発によって洗浄除去するように構成されている、請求項12に記載した異物除去装置。
  22. 水、エタノール及び2−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種からなる液体相が、前記凝縮性ガスの凝縮によって前記基体上に形成されるように構成された、請求項12に記載した異物除去装置。
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