JP2004191164A - ガスセンサとそれを用いた燃料電池システムおよび自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素と水蒸気が共存した環境下において水素濃度と湿度を区別して検出することができる高速応答で低消費電力のガスセンサを提供することを目的とする。
【解決手段】ガス導入口14を設けた空洞部8上に配置した発熱素子2,4の1つとガス導入口14がない空洞部8上に配置した発熱素子3,5の1つとを1組として構成される計2組の検出部10,11で各々ブリッジ回路を形成し、2組の検出部10,11の発熱温度が相互に異なるように発熱素子2,3,4,5に電圧を印加し、両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で規格化出力を補正して水素濃度を求めるものである。
【選択図】 図1
【解決手段】ガス導入口14を設けた空洞部8上に配置した発熱素子2,4の1つとガス導入口14がない空洞部8上に配置した発熱素子3,5の1つとを1組として構成される計2組の検出部10,11で各々ブリッジ回路を形成し、2組の検出部10,11の発熱温度が相互に異なるように発熱素子2,3,4,5に電圧を印加し、両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で規格化出力を補正して水素濃度を求めるものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水素漏洩および湿度を検出するためのガスセンサとそれを用いた燃料電池システムおよび自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素と空気中の酸素から電力を取り出す燃料電池の開発が盛んに行われている。これは発電時の排出物が水のみであるため環境に優れた発電方式であるだけでなく、原理的に取り出せる電力エネルギーの効率が高いため省エネルギーになり、また発電時に発生する熱を回収することにより熱エネルギーをも利用することができるといった特徴を有しており、地球規模でのエネルギーや環境問題解決の切り札として期待されている。
【0003】
このような燃料電池システムは分散電源としての家庭用コジェネレーションシステムや携帯機器用電源または自動車への応用が研究開発されてきており、今までの化石燃料を用いた火力発電やガソリンエンジンに置き換わるものとして今後ますます進展していくものと考えられる。
【0004】
燃料電池は水素を燃料に用いるため、その安全対策が非常に重要な問題となる。すなわち、安全対策のためには水素が漏洩したことを検出するガスセンサが必要になってくる。
【0005】
このようなガスセンサとして、従来、水素の熱伝導率が他のガスに比べ極めて大きいことを利用し、発熱素子の温度変化で水素濃度を検出する原理のものが提案されていた。例えば空気中で熱平衡に達した発熱素子に水素が到達すると、発熱素子から奪われる熱量が変化し熱平衡が崩れるため、発熱素子の温度が水素濃度に応じて変化する。この温度変化を温度検出素子の抵抗値の変化として電気的に検出するものである。
【0006】
このガスセンサに使用される発熱素子および温度検出素子として、半導体微細加工技術(マイクロマシン技術)を応用した薄膜発熱素子(サーミスタや白金測温体)が開発されている。これは従来のバルク形状のサーミスタ素子を宙づりにした構造に比べ発熱部分が微小であるため、高速応答、低消費電力化が図れると言う特長を有している。なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−119913号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなガスセンサを水素漏洩検知に用いる場合、被検出ガス中の湿気の存在が問題となる。すなわち、湿気がなければ確かに発熱素子の抵抗値は水素濃度に応じて変化するのであるが、湿気があるとそれによっても抵抗値が変化してしまい、水素による変化なのか湿気による変化なのかあるいは両者が共存して変化したのかを区別することができない。
【0009】
これは、水蒸気のみであれば熱伝導率は水素のそれより極めて小さいが、極性を持つ水蒸気と無極性の空気や水素等が混合した系での熱伝導率は、湿気とともに一旦上昇しピークを持って下降する特性を示すため、水素漏洩検知のように水素に比べ水蒸気が多量にある場合が想定される系での検出においては湿度の影響を無視できなくなる。
【0010】
以上のことから、本発明は従来のマイクロマシン技術によるガスセンサの高速応答、低消費電力という特長を活かしつつ、水素と水蒸気が共存した環境下において水素濃度と湿度を区別して検出することができるガスセンサを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものであり、その特徴部分について列挙する。
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、1枚のシリコンからなる基板上に設けた4個の発熱素子と、この4個の発熱素子の裏面にそれぞれ設けた4個の空洞部と、この4個の空洞部を覆うように前記基板に接合したシリコンからなる底板と、前記4個の空洞部のうち2個に貫通するように前記底板に設けたガス導入口とを有し、このガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子の1つと前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の1つとを1組として構成される計2組の検出部で各々ブリッジ回路を形成し、前記2組の検出部の発熱温度が相互に異なるように前記発熱素子に電圧を印加し、前記両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の前記規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における前記湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で前記規格化出力を補正して水素濃度を求める構成のものである。このように、発熱温度の異なる2組の検出部を用いてまず湿度出力を求めそれから湿度補正量の演算を行って水素濃度を求めることで、湿気があっても水素濃度と湿気をそれぞれ区別して検出することができるという効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、湿度補正式を3次方程式で近似したことにより、精度が高くしかも最もシンプルな式で湿度補正量を決定できるので、計算時間が早くなりガスセンサの応答性が向上するという効果が得られる。
【0014】
本発明の請求項3に記載の発明は、3次方程式の計算結果をあらかじめメモリーに記憶した計算結果表から得るようにしたことにより湿度補正式で計算せずに湿度補正量が得られるので、さらなる計算時間の短縮や応答性向上が図れるという効果が得られる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の発明は、基板上に検出回路を設けた構成としたことにより、外部検出回路が大幅に簡略化もしくは省略できるようになるのでガスセンサの小型化が可能になるという効果が得られる。
【0016】
本発明の請求項5に記載の発明は、発熱素子を白金からなる構成としたことにより、素子配線パターンと発熱素子が一体で形成できるため、製造プロセスが簡略化できるという効果が得られる。
【0017】
本発明の請求項6に記載の発明は、発熱素子の表面にシリカからなる保護層を設けた構成としたことにより、被検出ガス中に含まれる不純物が発熱素子の表面に直接付着するのを防ぐことができるため、発熱素子の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0018】
本発明の請求項7に記載の発明は、発熱素子の形成部の面積は空洞部の断面積より小さい構成としたことにより発熱は空洞部上面の薄い部分に限られるため、熱量が基板側へ逃げる割合が低減でき素早く必要な温度に発熱させることができるという効果が得られる。
【0019】
本発明の請求項8に記載の発明は、2組の検出部の間隔をガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子と前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の間隔より広い構成としたことにより、2組の検出部間の発熱温度差による熱の移動が低減されるため、起動時や周囲温度の変動時における2組の検出部間の相互影響を低減でき検出精度が向上するという効果が得られる。
【0020】
本発明の請求項9に記載の発明は、底板のうち空洞部に対向しない部分に支持台を接合した構成にすることにより、必然的に底板に設けたガス導入口は台座と対向するようになるため、キャップに設けた穴から直接被検出ガスが発熱素子に到達せず被検出ガス流量によるガスセンサ出力への影響を低減できるという効果が得られる。
【0021】
本発明の請求項10に記載の発明は、発熱素子の形成部の一部に孔を設けるとともに4個の窪み部を有し、4個の発熱素子の上方にそれぞれ前記4個の窪み部が配置されるようにシリコンのカバーを接合した構成にすることにより、孔が存在する分、さらに発熱素子の近傍の基板への熱引けが低減されるとともに、孔が存在しても参照素子に被検出ガスが到達しないようにすることができるという効果が得られる。
【0022】
本発明の請求項11に記載の発明は、カバーの一部に温度検出部を形成する構成としたことにより、ガス検出部の中で最も発熱素子やヒーターから遠方の位置に配置されることになるので、周囲温度をより正確に検出することができるという効果が得られる。
【0023】
本発明の請求項12に記載の発明は、温度検出部を白金で構成したことにより、温度検出部の配線パターンと温度検出部が一体で形成できるため製造プロセスが簡略化できるという効果が得られる。
【0024】
本発明の請求項13に記載の発明は、温度検出部の表面にシリカからなる保護層を設けた構成としたことにより、被検出ガス中に含まれる不純物が温度検出部の表面に直接付着するのを防ぐことができるため素子信頼性が向上するという効果が得られる。
【0025】
本発明の請求項14に記載の発明は、温度検出部の裏面に窪み部を設けた構成としたことにより、温度検出部全体の熱容量が低減されるので周囲温度の変動に対する応答性が向上するという効果が得られる。
【0026】
本発明の請求項15に記載の発明は、温度検出部の形成部分の面積を窪み部の断面積より小さい構成としたことにより、温度検出部は窪み部上面の薄い部分に限って形成されるためさらに熱容量を低減することができ、さらなる応答性向上が可能になるという効果が得られる。
【0027】
本発明の請求項16に記載の発明は、温度検出部の形成部分の一部に孔を設ける構成としたことにより、カバーからの伝熱を低減することができるので、より正確に周囲温度を検出することができるという効果が得られる。
【0028】
本発明の請求項17に記載の発明は、温度検出部はカバーの上面中央に形成した構成としたことにより、ガス検出部のなかで上面の中心に位置することになるので、ガス検出部の近傍における周囲温度をさらに正確に検出することができるという効果が得られる。
【0029】
本発明の請求項18に記載の発明は、基板の一部にダイアフラムを有する圧力検出部を設けた構成としたことにより、燃料電池の配管内にガスセンサを配置するような圧力変動の大きい環境下でも圧力値を検出できるので、圧力による影響を低減して出力できるという効果が得られる。
【0030】
本発明の請求項19に記載の発明は、ダイアフラムの下部空間を底板により1気圧の圧力下で密閉した構成にすることにより、真空下で密閉することで作製される絶対圧力センサのようにガスセンサが常圧下にある場合に常にダイアフラムに圧力が印加されることがなくなるため、ダイアフラムの信頼性が増すという効果が得られる。従って、必ずしも絶対圧力を必要としない場合には1気圧の圧力下で密閉した構成の方が有利である。
【0031】
本発明の請求項20に記載の発明は、圧力検出部を2組の検出部の間に設けた構成としたことにより、ガス検出部を構成するシリコン基板を有効に利用することができるため、小型化が図れるという効果が得られる。
【0032】
本発明の請求項21に記載の発明は、圧力検出部を温度検出部の裏面に設けた窪み部の直下に配置した構成としたことにより、温度検出部と圧力検出部が近接するため、両者ほぼ同一の場所における温度と圧力が同時に得られ場所による誤差が低減できるという効果が得られる。
【0033】
本発明の請求項22に記載の発明は、温度検出部の裏面に設けた窪み部の断面積をダイアフラムの面積より大きくした構成としたことにより、温度検出部の孔から導入された被検出ガスの圧力はダイアフラム全面にかかることになるため、正確に圧力を検出できるという効果が得られる。
【0034】
本発明の請求項23に記載の発明は、支持台と底板との接合面の対向面を電気絶縁性を有する断熱材料からなる台座の一部に接合する構成としたことにより、発熱素子の熱が台座に伝わりにくくなるため、台座の温度変化による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0035】
本発明の請求項24に記載の発明は、断熱材料を黒色としたことにより、ガス検出部の近傍やヒーターの熱を台座が吸収するため、台座での熱の乱反射による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0036】
本発明の請求項25に記載の発明は、台座は支持台を接合していない部分に断熱材料を貫通する複数のピンを有する構造としたことにより、ピン相互が電気的に絶縁されるだけでなくピンとガス検出部が熱的に絶縁されるため、ガス検出部の熱がピンに伝わりにくくなりピンの温度変化による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0037】
本発明の請求項26に記載の発明は、台座にはキャップが被せられ、このキャップには基板と非対向の位置に穴を設けた構成としたことにより、ガス検出部が外界から保護されるとともにガス検出部の基板に直接穴が位置しないため、穴から直接被検出ガスがガス検出部に到達せず、被検出ガスの流量によるガスセンサ出力への影響を低減できるという効果が得られる。
【0038】
本発明の請求項27に記載の発明は、キャップの外側にはさらに外キャップが被せられ、この外キャップにはキャップに設けた穴と非対向の位置に外穴を設けた構成としたことにより、穴と外穴が直接対向しないため、外穴から直接被検出ガスが穴に到達せず、被検出ガスの流量によるガスセンサ出力への影響をさらに低減できるという効果が得られる。
【0039】
本発明の請求項28に記載の発明は、穴または外穴にはステンレス製の網を溶接接合した構成とすることにより、万一ガスセンサ内で水素が燃焼しても網で熱が吸収され網から外に火炎が伝播しないという効果が得られる。
【0040】
本発明の請求項29に記載の発明は、キャップの内面を黒色としたことにより、ガス検出部やヒーターからの輻射熱をキャップが吸収するため、キャップでの熱の乱反射による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0041】
本発明の請求項30に記載の発明は、キャップの内面を黒色クロムメッキで着色した構成とすることにより、着色面が強固に形成されるためヒーターによりキャップ内面が高温にさらされても着色面が剥離変色する程度が低減されるという効果が得られる。
【0042】
本発明の請求項31に記載の発明は、4個の発熱素子の発熱温度は水の沸点以上としたことにより、ガスセンサの非使用時に発熱素子が結露しても使用時に水の沸点以上に加熱するので結露水を除去することができ、また、使用中に結露することがなくなるので正確に検出できるという効果が得られる。
【0043】
本発明の請求項32に記載の発明は、2組の検出部の発熱温度差を50℃以上としたことにより、湿度出力の感度を実用的な大きさにすることができるので、湿度を精度よく検出できるという効果が得られる。
【0044】
本発明の請求項33に記載の発明は、4個の発熱素子の発熱温度が周囲温度によらず一定になるように各ブリッジ回路の印加電圧を温度検出部の出力により制御するようにしたことにより、発熱素子周辺の温度はほぼ一定に保たれるので、被検出ガスの熱伝導率の温度による変化が低減され濃度を精度よく検出できるという効果が得られる。
【0045】
本発明の請求項34に記載の発明は、制御を行う回路を基板上に設けた構成としたことにより、外部に設ける制御回路をガス検出部に内蔵することができるようになるので、ガスセンサの小型化が可能になるという効果が得られる。
【0046】
本発明の請求項35に記載の発明は、基板の近傍にヒーターを設けた構成としたことにより、ガス検出部全体の温度を一定にすることができるため、周囲温度の変化による出力への影響を低減できるという効果が得られる。
【0047】
本発明の請求項36に記載の発明は、ヒーターを支持台と台座の間に設け、前記台座とヒーターおよび支持台とを接合した構成とすることにより、ヒーターの熱がガス検出部に素早く伝わるので急峻な周囲温度の変化に対しても追従でき、その分、出力が安定するという効果が得られる。
【0048】
本発明の請求項37に記載の発明は、ヒーターはアルミナ基板上に白金ペーストの厚膜を形成して構成することにより、ヒーターパターンを印刷技術で形成することができるので、容易に大量に製造できるという効果が得られる。
【0049】
本発明の請求項38に記載の発明は、アルミナ基板をアルミナグリーンシートから焼成して得る構成としたことにより、円形のヒーター形状であっても抜き型で形成することができるため、容易にヒーターを製造できるという効果が得られる。
【0050】
本発明の請求項39に記載の発明は、ヒーターとして電力供給のためのヒーターランド部を除き2枚のアルミナグリーンシートの間に白金ペーストの厚膜からなるヒーターパターンを有し、これらを一括焼成して得る構成としたことにより、ヒーターパターンを保護するアルミナ板も同時に形成できるので、さらに容易にヒーターを製造できるという効果が得られる。
【0051】
本発明の請求項40に記載の発明は、ヒーターランド部の表面を金ペーストで形成したことにより、ヒーターランド部での抵抗値が低減されるため、ヒーターランド部での発熱が低減されヒーターパターンのみで発熱するヒーターを構成できるという効果が得られる。
【0052】
本発明の請求項41に記載の発明は、ヒーターランド部に金ペーストで固定した金線が接続され、前記金線の他端は台座のピンと接続した構成とすることにより、金ペーストのヒーターランド部に金線を金ペーストで固定する構成、すなわち、ヒーターランド部は全て金で構成されるため、ヒーター加熱時の熱膨張係数の違いによる金線の剥離が低減されるとともに金線での発熱も低減できるという効果が得られる。
【0053】
本発明の請求項42に記載の発明は、ヒーターの発熱温度はカバーに設けた温度検出部の出力に応じて一定温度になるようにヒーターへの供給電力を制御するようにしたことにより、ガス検出部全体の温度を高精度に目標温度に近づけることができるため、周囲温度の変化による出力への影響をさらに低減できるという効果が得られる。
【0054】
本発明の請求項43に記載の発明は、温度出力をヒーター制御信号と周囲温度の相関から前記ヒーター制御信号を前記周囲温度に換算することで行うようにした。これは、周囲温度が変わるとヒーターを一定温度にするためにヒーターに供給する電力量が変化するので、電力量を制御する信号は周囲温度と相関を持つということを利用して周囲温度を求めている。これにより、温度検出部の出力からは得られない周囲温度を正確に出力できるという効果が得られる。
【0055】
本発明の請求項44に記載の発明は、ヒーターの発熱温度を水の沸点以上としたことにより、ガスセンサの非使用時に検出部の内部が結露しても使用時にヒーターで水の沸点以上に加熱するので、結露水を除去することができ、また、使用中に結露することがなくなるので正確に検出できるという効果が得られる。
【0056】
本発明の請求項45に記載の発明は、2組の検出部の発熱温度をヒーターの発熱温度より高くなるようにしたことにより、発熱素子とヒーターの間で温度勾配ができるので、ヒーターを動作させても2組の検出部が出力可能になるという効果が得られる。
【0057】
本発明の請求項46に記載の発明は、2組の検出部の発熱温度差を50℃以上としたことにより、ヒーター動作時であっても湿度出力の感度を実用的な大きさにできるので、湿度を精度よく検出できるという効果が得られる。
【0058】
本発明の請求項47に記載の発明は、ガスセンサを燃料電池を収納した筐体の一部または燃料電池スタックの空気極側出口配管の一部に設け、前記燃料電池からの水素ガス漏洩を前記ガスセンサで検知すると警報を発するとともに前記筐体内の換気を行い前記燃料電池を停止するよう制御するようにしたことにより、湿気を含む被検出ガス中でも水素濃度のみを精度よく検出できるので、水素漏洩に対する安全性が高い燃料電池システムを構成することができるという効果が得られる。
【0059】
本発明の請求項48に記載の発明は、燃料電池または水素燃料容器の少なくとも1つと燃料電池制御回路基板を1つの筐体に内蔵し、前記燃料電池制御回路基板の一部にガスセンサを設けた構成としたことにより、燃料電池または水素燃料容器のいずれかから水素が漏洩してもそれらの近傍にガスセンサが設けられているので、水素漏洩を素早く検知できるという効果が得られる。
【0060】
本発明の請求項49に記載の発明は、燃料電池と、この燃料電池に水素燃料を供給する燃料容器と、前記燃料電池に空気を供給するファンと、ガスセンサを搭載し、かつ、前記燃料電池およびファンを制御する燃料電池制御回路基板と、前記燃料電池の発電電力の一部を充電する二次電池とを1つの筐体に内蔵し、前記ガスセンサが既定値以上の水素を検知すると前記燃料電池を停止するとともに、既定値以下の水素濃度になるまで前記二次電池の電力で前記ファンを最大回転数で動作させる構成としたことにより、水素漏洩を検知すると既定濃度以下になるまでできるだけ早く筐体内を排気するので、安全性が確保できるという効果が得られる。
【0061】
本発明の請求項50に記載の発明は、ファンを筐体の一部に設けた空気取込口の近傍で、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部全体に送風できる位置に配置する構成としたことにより、水素が筐体内にこもらないためさらに安全性が確保できるという効果が得られる。
【0062】
本発明の請求項51に記載の発明は、燃料電池の空気導入部分をファンに向かって開口した構成としたことにより、燃料電池の空気極に効率的に空気を導入することができるという効果が得られる。
【0063】
本発明の請求項52に記載の発明は、燃料電池の空気排出部分を筐体の一部に設けた空気排出口に向かって開口した構成とすることにより、空気排出部分から排出される空気が空気排出口に流れることにより空気排出口の周辺空気も一緒に筐体外に排気できるので、その分、効率的に筐体内の空気全体を外部に排気できるという効果が得られる。
【0064】
本発明の請求項53に記載の発明は、空気排出口の面積を空気取込口の面積より大きい構成としたことにより、空気取込口から筐体内に導入される空気が筐体内で滞留することがないため、筐体内の圧力が上昇することなく、速やかに筐体内の空気を換気できるという効果が得られる。
【0065】
本発明の請求項54に記載の発明は、空気取込口と空気排出口を筐体内で最も離れた壁面上にそれぞれ設けた構成としたことにより、筐体内を通る空気のパスが長くなるため筐体内全体を万遍なく換気することができるという効果が得られる。
【0066】
本発明の請求項55に記載の発明は、空気取込口と空気排出口にステンレス製の網を設けた構成としたことにより、万一燃料電池システム内で水素が漏洩し燃焼しても網で熱が吸収されて網から外に火炎が伝播しないという効果が得られる。
【0067】
本発明の請求項56に記載の発明は、ガスセンサが既定値以上の水素を検知していない時は常に二次電池が満充電になるように燃料電池を動作させるように制御する構成としたことにより、水素漏洩を検知した時に確実にファンを動作させることができるため安全性が確保できるという効果が得られる。
【0068】
本発明の請求項57に記載の発明は、燃料電池が発電中であるか否かにかかわらずガスセンサを動作し続けるように制御する構成としたことにより、燃料電池システムの非使用時に水素が漏れても確実に検知できるため、さらに安全性が確保できるという効果が得られる。
【0069】
本発明の請求項58に記載の発明は、二次電池を燃料容器に満充填した水素の体積の少なくとも50倍以上の体積の空気を供給するのに必要なファン動作電力を充電できる容量とする構成としたことにより、満充填の水素が全量漏洩したとしてもその50倍以上の空気をファンで供給できるため、水素濃度を2%以下に希釈でき極めて高い安全性が確保できるという効果が得られる。
【0070】
本発明の請求項59に記載の発明は、二次電池をリチウムイオン電池である構成としたことにより、燃料電池システムが低温下に置かれていてもガスセンサを動作させ続けられるので、低温下でも水素漏洩が検知でき、また、検知した際にファンを動作させられるという効果が得られる。
【0071】
本発明の請求項60に記載の発明は、ガスセンサを乗車空間の上部に配置し、前記ガスセンサの湿度出力および温度出力をもとに前記乗車空間が最適な温湿度になるように前記乗車空間の一部に設けたエアコンを制御するとともに、前記ガスセンサの水素濃度出力から前記乗車空間内の水素濃度が既定値以上であれば警報を発するとともに前記乗車空間内の換気を行い水素供給源を遮断するように制御する構成としたことにより、乗車空間内の1つのガスセンサだけで水素漏洩検知だけでなく湿度や温度のデータが得られるので、通常はエアコン制御を行い水素漏洩時には燃料電池システムを停止するという制御を行うことで、自動車の安全性、快適性を向上できるという効果が得られる。
【0072】
以上の構成、動作により、水素と水蒸気が共存した環境下において水素濃度と湿度を区別して検出することができるガスセンサが得られた。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0074】
図1(a)は本発明の実施の形態におけるガスセンサのガス検出部の分解斜視図であり、図1(b)は同センサのガス検出部の完成斜視図をそれぞれ示す。図2(a)は本発明の実施の形態におけるガスセンサに用いるヒーターの分解斜視図であり、図2(b)は同センサに用いるヒーターの完成斜視図をそれぞれ示す。図3は本発明の実施の形態におけるガスセンサの検出部の実装状態を示す分解斜視図である。図4は本発明の実施の形態におけるガスセンサの概略断面図である。
【0075】
図1(a)において、1はシリコンからなる基板であり、基板1上には白金薄膜からなる高温発熱素子2、高温発熱素子3、低温発熱素子4、低温発熱素子5と圧力検知用の4個の歪検出素子6および各素子のランド7がマイクロマシン技術により形成されている。これらの素子が形成される面上には、ランド7を除く表面にシリカからなる薄膜を素子の保護膜として形成してある。また、それぞれの素子の裏面の真下には素子に対して非貫通の空洞部8が基板1の素子形成面の対面からエッチングで掘り進むことにより形成されている。ここで、歪検出素子6の裏面の空洞部8は0.2mm角であるため、一辺が0.2mmのダイアフラムが形成されていることになる。それ以外の空洞部8は0.3mm角である。なお、発熱素子2,3,4,5は一辺が0.15mm角の大きさの中に、つづら折れパターンで形成されている。このため、発熱素子2,3,4,5は空洞部8の断面積より小さい範囲内に収まっている。発熱素子2,3,4,5の外側で、空洞部8の断面積の内側の範囲には、発熱素子2,3,4,5の各辺に沿って空洞部8に到る4ヶ所の貫通孔9が設けてある。これにより、発熱素子2,3,4,5の熱が基板1に伝達するのを低減させている。
【0076】
なお、図1(a)に示すように基板1において、高温発熱素子2,3からなる高温検出部10と低温発熱素子4,5からなる低温検出部11の間隔は検出用の発熱素子2,4と参照用の発熱素子3,5の間隔より広くすることで高温検出部10と低温検出部11の相互熱影響を低減するとともに、両者間の空いた部分に4個の歪検出素子6からなる圧力検出部12を設け、基板1を有効に活用する構成とした。
【0077】
基板1の空洞部8側には、基板1と同面積のシリコンからなる底板13が、温度、湿度が管理された空気中で、1気圧の圧力下で接合されている。なお、底板13には、発熱素子2,4の裏面に形成した空洞部8に面する範囲の一部にはガス導入口14が設けられている。
【0078】
基板1の素子形成面側には、シリコンからなるカバー15が温度、湿度が管理された空気中で接合されている。カバー15には基板1に配置した素子2,3,4,5,6の上面に空洞部8と同形状の0.3mm角の窪み部16が形成されており、このうち圧力検出部12の上面に配置される窪み部16の上面すなわちカバー15の上面の中央には発熱素子2,3,4,5と同形状の白金薄膜よりなる温度検出部17と貫通孔9が設けられている。これにより、圧力検出部12は温度検出部17の裏面に設けた窪み部16の直下に配置されることになり、また、窪み部16の断面は0.3mm角であるので圧力検出部12のダイアフラム(0.2mm角)より大きいことになる。温度検出部17の表面には発熱素子2,3,4,5と同様のシリカからなる薄膜が形成してある。また、温度検出部17の形成部分の面積は窪み部16の断面積より小さくしてある。
【0079】
底板13の基板1と接合しない面の一部には支持台18が接合されている。
【0080】
このようにして図1(b)に示すようなガス検出部19が形成される。
【0081】
次にガス検出部19の近傍に配置されるヒーター25について説明する。図2(a)において、ヒーターパターン20はアルミナグリーンシート21の片面上に白金ペーストを厚膜印刷することにより形成する。このヒーターパターン20の一部であるヒーターランド部22には、さらに金ペーストを上塗り印刷して形成される。
【0082】
この上からヒーターランド部22だけをくりぬいた形状のもう一枚のアルミナグリーンシートを重ね合わせ、両者を一括焼成する。その後、ヒーターランド部22に電力供給用の金線23を金ペースト24で固定して焼成することにより電気的接続を行う。
【0083】
このようにして図2(b)に示すようなヒーター25が形成される。
【0084】
なお、図2(b)では金線23を2本ずつヒーターランド部22に接続しているが、これはヒーター25への電力供給時に金線23の直径によって十分電流が流せない可能性があるためで、使用する金線23の直径に応じて必要な本数を接続すればよい。
【0085】
次に検出部の実装について説明する。図3において、ガス検出部19の支持台18はヒーター25と接合されている。ヒーター25はさらに台座26と接合されている。台座26は黒色に着色した断熱材料27(例えば耐熱樹脂)を金属円筒28にはめ込んで形成される。また、ガス検出部19やヒーター25を配線するための複数のピン29が、ガス検出部19やヒーター25と干渉しない部分に断熱材料27を貫通するように配置されている。
【0086】
台座26にはキャップ30が被せられる。キャップ30には台座26に被せた時にガス検出部19と対向しない位置にステンレス製の網31を溶接接合した穴32が設けられている。また、キャップ30の内面は黒色クロムメッキで着色してある。
【0087】
キャップ30の外側には、さらに外キャップ33が被せられる。外キャップ33にはキャップ30に設けた穴32と対向しない位置にステンレス製の網31を溶接接合した外穴34が設けられている。
【0088】
これらのキャップ30および外キャップ33は順に台座26に被せ、一括して抵抗溶接することにより機械的に固定される。
【0089】
このようにして検出部35が完成する。
【0090】
次に、検出部35を内蔵したガスセンサの構造を説明する。図4において、検出部35は検出回路36を構成するプリント基板の一部にピン29を挿入し半田付けすることで機械的、電気的に接続される。容器37には検出回路36が挿入されるとともに、検出回路36に接続された取出しケーブル38をあらかじめ通した容器フタ39がはめ込まれ、耐湿樹脂40を容器フタ39に設けた注入口(図示せず)から検出回路36と容器フタ39の間の空間全体に注入し硬化させた後、容器37と容器フタ39をかしめて固定する。
【0091】
容器37の底面にはガス取込口41が開けられており、また、側面にはセンサ取付用のネジ部42が加工されている。
【0092】
このようにして、ガスセンサ43が完成する。
【0093】
次に、ガスセンサの取り付け例について図5、図6、図7を用いて説明する。
【0094】
図5は本発明の実施の形態におけるガスセンサを定置型燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図である。図6は本発明の実施の形態におけるガスセンサを携帯型または可搬型の燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図である。図7は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた燃料電池自動車の概略構造を示す断面図である。
【0095】
まず、定置型燃料電池システムについて固体高分子膜型を例に説明する。図5において、51は水素タンクである。水素タンク51は、改質型の燃料電池システムの場合には改質器と置き換えられる。水素タンク51内の水素は遮断弁52を通って水素加湿器53に導入される。ここで、燃料電池内の固体高分子膜が乾燥するのを防ぐための湿気が与えられる。加湿された水素は燃料電池スタック54の水素極側に導入される。一方、燃料電池スタック54には発電に必要な空気もコンプレッサ55により空気加湿器56で加湿されて空気極側に導入される。これにより燃料電池スタック54は発電を行い太線で示したように燃料電池制御回路57を経て外部に電力を供給する。また、燃料電池スタック54からは発電の結果生成した水が空気と一緒に外部へ排出される。
【0096】
このような燃料電池システムは全体が筐体58内に収納されている。筐体58内には、図5中に黒丸で示したように、水素タンク51の近傍、燃料電池スタック54の近傍、燃料電池スタック54の空気極側の出口配管の一部などに水素漏洩を検知するためのガスセンサが配置される。これにより、もしいずれかのガスセンサが水素漏洩を検知すれば、燃料電池制御回路57は遮断弁52を閉じ警報器59と換気扇60を動作させ燃料電池を停止するように制御する。なお、具体的な制御動作についてはフローチャートを用いて後述する。
【0097】
次に、携帯型または可搬型の燃料電池システムについて説明する。図6において、61は水素吸蔵合金を内蔵した水素燃料容器である。水素燃料容器61内の水素は減圧弁62で所定の圧力に減圧されて燃料電池スタック63の水素極側に供給される。一方、燃料電池スタック63には発電に必要な空気もファン64により空気極側に供給される。なお、ファン64は燃料電池システム全体を収納した筐体65の一部に設けたステンレス製の網66付きの空気取込口67の近傍に配置されている。また、ファン64で導入される空気は、その全量が燃料電池スタック63に取り込まれるのではなく、ファン64と燃料電池の空気導入部分68の間に隙間があり、導入された空気の一部が筐体65内全体に送風できるようにしてある。このような構造としているため、燃料電池スタック63の空気極側に効率よく空気を取り込めるように、空気導入部分68は図6に示したようにラッパ形状部分がファン64に向かって開口するようにしてある。
【0098】
このように水素と空気を燃料電池スタック63に供給することで、燃料電池スタック63は発電を行い太線で示したように燃料電池制御回路基板69を経てリチウムイオン電池からなる二次電池70を充電しつつ携帯機器等に電力を供給する。また、燃料電池スタック63からは発電の結果生成した水が空気と一緒に空気排出部分71を通って網66付きの空気排出口72から外部へ排出される。ここで、空気排出部分71は空気排出口72に向かって開口した状態で取りつけられているが、空気排出口72の面積は空気排出部分71の断面積よりも大きいため、ファン64により筐体65内に取り込まれた空気も空気排出口72から外部へ排出される。なお、空気排出口72は空気取込口67から筐体65内の最も離れた壁面上に、前者の面積が後者の面積より大きくなるように配置してあるので、筐体65内をくまなく空気が流れるとともにファン64で取り込んだ空気が速やかに外部へ排出され、筐体65内の圧力が上昇しないようにしてある。
【0099】
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池制御回路基板69の一部に水素漏洩を検知するためのガスセンサ73が搭載される。ここで、ガスセンサ73は燃料電池制御回路基板69に直接実装されるため、図4で示した容器37を用いずに図3で示した検出部35の状態で取り付けられている。
【0100】
この構成により、もしガスセンサ73が筐体65内で既定値以上の水素漏洩を検知すれば、燃料電池制御回路基板69はファン64を最大回転数で動作させ燃料電池を停止するように制御する。なお、具体的な制御動作についてはフローチャートを用いて後述する。
【0101】
次に、燃料電池自動車について説明する。図7において、101は自動車の本体で、本体101は乗車空間102と、水素タンク収納空間103と、駆動手段収納空間104と、床下空間105がそれぞれ空間として分離された状態で形成されている。水素タンク収納空間103には水素を貯蔵するタンク106が設けられている。タンク106は、特に衝突時における水素漏洩に対する安全性を確保するために、外側タンク107と内側タンク108からなる二重構造となっており、内側タンク108に水素が貯蔵されている。また、駆動手段収納空間104には本体101を駆動するためのモーター109が設けられている。床下空間105には燃料電池スタック110が設けられている。
【0102】
タンク106から供給された水素は床下空間105に設けられた燃料電池スタック110で電気エネルギーに変換され、その電気エネルギーがモーター109に伝達されてタイヤ111を駆動するようになっている。なお、タイヤ111の操舵方向は乗車空間102内からハンドル112で行うようになっている。
【0103】
このような自動車において、それぞれの空間にはガスセンサ113が設けられている。具体的には、乗車空間102に設けたガスセンサ113は乗車空間102の中で最も上部にあたる天井115前部に、水素タンク収納空間103に設けたガスセンサ113はタンク106が二重構造であるため外側タンク107の最上部に、駆動手段格納空間104に設けたガスセンサ113は駆動手段格納空間104の中で最も上部にあたるボンネット後端部に、床下空間105に設けたガスセンサ113は床下空間105の最上部にそれぞれ配置してある。さらに、図示していないが図5と同様に燃料電池スタック110の空気極側出口配管の一部にもガスセンサを配置している。
【0104】
これらのガスセンサ113のうちいずれかが水素漏洩を検知すると、図5で説明したように水素供給源を遮断し警報および換気を行う。それに加えて、乗車空間102内に設けたガスセンサ113は湿度や温度も検知できるので、通常は乗車空間102内が最適な温湿度になるように乗車空間102の一部に設けたエアコンを制御している。なお、具体的な制御動作についてはフローチャートを用いて後述する。
【0105】
次に、ガスセンサの動作について説明する。
【0106】
図8は本発明の実施の形態におけるガスセンサの回路構成を説明するための概略回路図である。図9は本発明の実施の形態におけるガスセンサの高温検出部の加湿下での水素濃度出力特性図である。図10は本発明の実施の形態におけるガスセンサの高温検出部の湿度とオフセットの相関図である。図11は本発明の実施の形態におけるガスセンサの高温検出部と低温検出部の湿度とオフセットの相関図および湿度に対する高温出力と低温出力の差(=湿度出力)の相関図である。図12は本発明の実施の形態におけるガスセンサの湿度出力とオフセット(湿度補正量)の相関図である。図13は本発明の実施の形態におけるガスセンサの湿度補正後の加湿下での水素濃度出力特性図である。図14は本発明の実施の形態におけるガスセンサの水素濃度、湿度を計算する手順を示すフローチャートである。
【0107】
図8において、高温発熱素子2および高温発熱素子3にはそれぞれ直列に固定抵抗A44が接続され、さらにそれらを並列に接続することによりブリッジ回路を形成している。同様に、低温発熱素子4および低温発熱素子5にもそれぞれ直列に固定抵抗B45が接続され、さらにそれらを並列に接続することによりブリッジ回路を形成している。
【0108】
両ブリッジ回路には高温検出部用直流電源46および低温検出部用直流電源47がそれぞれ接続されている。両者の出力電圧は温度検出部17の出力に応じて高温検出部10および低温検出部11の素子発熱温度が既定値になるようにマイクロコンピュータ48により制御されている。なお、周囲温度が変わっても高温検出部10の素子温度は約190℃、低温検出部11の素子温度は約140℃になるように制御している。これによりいずれも水の沸点以上の温度で、かつ、両者の温度差は約50℃となるように制御される。
【0109】
高温検出部10および低温検出部11のブリッジ回路の出力電圧はマイクロコンピュータ48に入力される。さらに、マイクロコンピュータ48には圧力検出部12に形成された4個の歪検出素子6からなるブリッジ回路の出力電圧が入力されるとともに、ヒーター25に電力を供給するヒーター電源49を制御する信号線が接続されている。マイクロコンピュータ48は高温検出部10および低温検出部11のブリッジ回路の出力電圧と、温度検出部17および圧力検出部12の出力電圧と、マイクロコンピュータ48に接続されたメモリー50に記憶されたデータをもとに、後述する演算を行い水素濃度、湿度、温度、必要に応じて圧力をそれぞれ出力する。
【0110】
さらに、マイクロコンピュータ48は温度検出部17の出力に応じて高温検出部10と低温検出部11とヒーター25の発熱温度を一定にする電力を供給するように、高温検出部用直流電源46と低温検出部用直流電源47およびヒーター電源49を制御する機能をも有する。なお、ヒーター温度は水の沸点以上である約110℃とした。これによりガス検出部19全体が約110℃に加熱される。
【0111】
なお、温度出力についてであるが、ヒーター25を動作させているので温度検出部17の出力はほぼヒーター目標温度(約110℃)となり、ガス検出部19の周囲温度を反映しなくなる。そこで、温度出力信号はヒーター電源49の出力電力を制御する信号が周囲温度と相関を持つことに着目し、この信号からマイクロコンピュータ48内で周囲温度に換算して出力するようにしている。
【0112】
ガスセンサの近傍または配管内の被検出ガスはガス取込口41、外穴34、穴32を通ってキャップ30内に配置したガス検出部19に到る。ガス検出部19近傍の被検出ガスはガス導入口14を通って高温発熱素子2および低温発熱素子4に到達する。これらの発熱素子2,4には電流が流れているので一定温度に加熱されているが、被検出ガス中に水素や湿気があるとその濃度に応じて被検出ガスの熱伝導度が変わり熱が奪われるため発熱素子2,4の温度が変化する。この変化は発熱素子2,4の両端電圧の変化としてマイクロコンピュータ48に入力される。
【0113】
一方、高温発熱素子3および低温発熱素子5にはガス導入口がないので被検出ガスがこれらの発熱素子3,5には到らない。従って、発熱素子3,5の両端電圧は被検出ガスにより変化することはなく、ガスセンサの内部の温度に応じた電圧を出力し続けている。これにより各ブリッジ回路の差動出力は周囲温度を補正した値に相当することになる。なお、前記のように高温検出部10、低温検出部11およびヒーター25の温度は既定値になるように制御されているので本来周囲温度の補正は不要であるが、ガスセンサの起動時や周囲温度の急峻な変化に対しては既定値を外れることが想定されるので発熱素子3,5による周囲温度の補正も行っている。
【0114】
マイクロコンピュータ48は上記の各ブリッジ回路の電圧値をもとに温度検出部17や圧力検出部12の出力で温度と圧力の補正を行いながら、水素濃度、湿度、温度、必要に応じて圧力を演算してそれぞれ出力している。なお、水素濃度および湿度の圧力補正については、ガスセンサが常に大気圧の近傍にある場合はそれほど圧力の影響を受けないが、例えば図5や図7で説明した燃料電池スタックの空気極側の出口配管内のように大きく圧力変動(〜数気圧)を受ける場所に取り付ける場合は圧力補正が必要となる。
【0115】
なお、図8で説明した回路の一部または全部は基板1、カバー15を構成するシリコン基板上に設けてもよい。
【0116】
次に、マイクロコンピュータ48で行われる水素濃度、湿度を求める演算手法について説明する。
【0117】
最初に、ガスセンサの作製時にメモリー50に記憶される補正パラメータの作成を以下のように行う。まず、ある環境(温度、圧力)における乾燥空気下における既知の水素濃度に対する両ブリッジ回路の出力電圧から差動出力を求める。例えば、80℃1気圧の環境で水素濃度1%が混合した乾燥空気をガスセンサに流しそのときの差動出力電圧を得る。この値を水素濃度換算係数と呼び高温検出部でa、低温検出部でbとする。
【0118】
次に、様々な既知の湿度下での両ブリッジ回路の差動出力を求める。例えば、80℃で相対湿度を0,17,42,55%とし、その際の差動出力を求める。ここで得られた各湿度における差動出力を上記の水素濃度換算係数a,bで割り出力を水素感度で規格化する。これにより差動出力は水素濃度1%のときの出力が1になるので、単位は水素濃度(%)となる(以下、%H2と示す)。
【0119】
次に、各湿度における高温検出部と低温検出部の規格化した出力の差を求める。
【0120】
次に、各湿度における上記出力差と高温検出部の規格化出力との相関から最小二乗法で3次近似式を求める。この3次近似式のパラメータをk,l,m,nとする。
【0121】
以上で求めた定数a,b,k,l,m,nを環境条件(温度、圧力)を変えて同様にして求める。得られた定数は温度、圧力に対するテーブルにしてメモリー50に記憶する。
【0122】
次に、ガスセンサを動作させた時の計算手法を述べる。
【0123】
ガスセンサ動作時には高温検出部と低温検出部のそれぞれの素子の両端電圧が得られるので、検出用の発熱素子と参照用の発熱素子の差動出力電圧を求める。これはアナログ回路で得てもよいしマイクロコンピュータ48の内部で演算して求めてもよい。得られた差動出力電圧を高温検出部に対してVh、低温検出部に対してVlとする。
【0124】
次に、次式に示すようにVh,Vlを水素濃度換算係数a,bでそれぞれ割り規格化出力Vhs,Vlsを得る。
【0125】
Vhs=Vh/a (1)
Vls=Vl/b (2)
実際に80℃における様々な水素濃度、湿度下で得られた差動出力から規格化出力を求めた結果を図9に示す。ここではVhs(高温検出部)の出力を代表として示しており、Vhsを縦軸に水素濃度(既知)を横軸にとった。なお、水素濃度の範囲は水素の爆発限界である4%の約半分の2.2%までとし、相対湿度は補正パラメータを求める際と同じとした。
【0126】
図9より、湿度0%RHの時は水素濃度に応じてVhsが比例して増えていき水素感度が得られるのがわかるが、加湿すると相対湿度に応じて0点が大きくドリフトし図中に示したように加湿下での出力はドリフト分のオフセットが乗った状態で出力される。従って、従来例にあるようなブリッジ回路1つだけのセンサ構成の出力では湿度と水素濃度が全く区別できないことがわかる。なお、Vlsにおいても同様の傾向を示す。
【0127】
ここで、相対湿度とオフセットの相関を求めたのが図10である。縦軸にはオフセットすなわち水素濃度0%の時のVhsを横軸には相対湿度をとった。図10よりオフセットは湿度に対しピークを持つ2次曲線の特性を示す。従って、何らかの方法で湿度を求め図10の相関からオフセットを差し引けば水素濃度のみが得られる。
【0128】
そこで、次に湿度の求め方を説明する。
【0129】
図11は図10で示したオフセットを高温検出部、低温検出部それぞれに対してプロットしたものである。縦軸の単位は水素濃度で規格化した%H2であるので、水素濃度に対する感度(傾き)は両者等しくなるが、図11より明らかなようにオフセットすなわち湿度感度については両者で異なったカーブを取ることがわかる。この両者の出力差に着目し高温検出部と低温検出部の出力差Humを次式に従って計算した。
【0130】
Hum=Vhs−Vls (3)
Humを図11の右縦軸に示す。Humは相対湿度に対して比例関係にあるのでHumで湿度出力を表せられることがわかった。
【0131】
従って、Humを求めて図11の相対湿度との相関から相対湿度を得ることができる。
【0132】
この相対湿度より図10の相対湿度とオフセットの相関からオフセットを求めて高温検出部の規格化出力Vhsから差し引けば水素濃度のみの出力が得られるが、ここではもっと簡単にHumとオフセットの相関を直接求めた。結果を図12に示す。図10と同時に2次曲線の特性となったが、発明者らの詳細な検討によりこの相関関係は最小二乗法による3次近似式が最も精度よく表せられることがわかった。よって、HumとオフセットOffすなわち湿度補正量の関係(湿度補正式)は(4)式で表される。
【0133】
Off=k*Hum^3+1*Hum^2+m*Hum+n (4)
ここで、定数k,l,m,nはセンサの作製時に求めた値である。
【0134】
(4)式によってOffが得られたなら高温検出部の規格化出力VhsからOffを差し引くことで水素濃度Hが得られる。
【0135】
H=Vhs−Off (5)
このようにして湿度補正を行った後のVhsを図13に示す。図の見方は図9と同じである。図9と比べ湿度によるオフセットが大幅に低減できることがわかる。
【0136】
以上の計算により、湿度と水素濃度を区別して求めることができる。
【0137】
なお、(4)式の計算はHumに対するOffの値をあらかじめ求めて計算結果表としてメモリー50に記憶しておき、得られたHumから表を参照して直ちにOffを求めるようにしてもよい。
【0138】
ここで、上記計算方法の特長について説明する。(1)式から(5)式を見て明らかなようにいずれも簡単な四則演算で求めることができるため、計算速度が極めて速く応答性のよいガスセンサが実現できる。これは、従来の例えば実用新案登録第1867326号に示されたように高温検出部と低温検出部で得られる出力と2種類のガス成分濃度X,Yの相関関係から得られる2元連立方程式を解く方法であれば、本実施の形態で述べたように湿度出力が1次直線で表せない場合においては容易に厳密な解が得られず、特に3次近似式が連立方程式に入るとそれを解く計算は、上記(1)式から(5)式での計算で求める方法と較べ大幅に複雑になる。従って、湿度が混合する系のような場合には本実施の形態の計算方法が極めて有利であることがわかる。
【0139】
以上の計算手法はマイクロコンピュータ48にプログラムされており、ガスセンサ動作時に得られる差動出力Vh,Vlが入力されると、上記(1)式から(5)式の計算を行い水素濃度、湿度を出力するようになっている。この計算手順を図14のフローチャートに示す。
【0140】
まず、高温検出部、低温検出部の各ブリッジの差動出力電圧Vh,Vlを読み込む(S1)。それと同時に、そのときの温度、圧力をそれぞれヒーター制御信号、圧力検出部の出力から演算して求める(S2)。
【0141】
次にVh,Vlに対し、あらかじめ求めた温度、圧力に応じた水素濃度換算係数a,bで(1)、(2)式により規格化出力Vhs,Vlsを求める(S3)。得られたVhs,Vlsから(3)式により出力差Humを求める(S4)。
【0142】
出力差Humは湿度と相関があるので、あらかじめ得られた相関関係(例えば図11)より温度、圧力に応じた湿度を得る(S5)。
【0143】
また、Humから湿度補正量Offを(4)式の関係から求め(S6)、(5)式より高温検出部の規格化出力Vhsから湿度補正量Offを差し引く(S7)ことで水素濃度を得る。
【0144】
以上の手順により求めた水素濃度、湿度、温度、また燃料電池システムの制御上の必要に応じて圧力を出力する(S8)。
【0145】
このような動作で水素濃度と湿度とを分離して出力することのできるガスセンサを実現できる。
【0146】
次に、本実施の形態のガスセンサを用いた定置型燃料電池システム、携帯型または可搬型の燃料電池システムおよび自動車のガスセンサ出力による制御動作について図15、図16、図17を用いて説明する。
【0147】
図15は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた定置型燃料電池システムにおけるガスセンサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャートである。図16は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた携帯型または可搬型燃料電池システムにおけるガスセンサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャートである。図17は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた自動車におけるガスセンサ出力による動作制御サブルーチンを表すフォローチャートである。
【0148】
まず、定置型燃料電池システムについては燃料電池システム全体の動作を司るソフトウエア(以下、メインルーチンという)の実行中に一定時間毎の割り込みにより水素濃度検出を行う場合を想定して説明する。図15はその際のサブルーチンを示す。なお、このサブルーチンは燃料電池システム動作ソフトウエアの一部に書き込まれている。
【0149】
メインルーチンの割り込み発生により図15のサブルーチンにジャンプしてくると、まず、ガスセンサの水素濃度の出力値を読み込む(S11)。この際、図5に示したように燃料電池システムには複数個のガスセンサを設けて水素漏洩を監視しているので、全てのガスセンサの出力を順次読み込んでいる。次に、どれかのガスセンサの水素濃度出力が既定値(例えば2%)を超えたか否かを順次判定する(S12)。もし、どの出力も既定値を超えていなければ、そのままメインルーチンに復帰する(S12のno)。既定値以上の出力が1つでもあれば(S12のyes)、直ちに燃料電池を停止するように制御する。具体的には、まず、燃料供給側の遮断弁52を閉じ(S13)、筐体58内に漏れた水素を大気に開放するために換気扇60を駆動する(S14)とともに水素漏洩の事実を知らせるために警報器59を起動する(S15)。その後、水素漏れフラグをONにして(S16)メインルーチンに復帰する。メインルーチンでは水素漏れフラグにより燃料電池を安全に停止するようシステムを制御する。
【0150】
次に、携帯型または可搬型燃料電池システムについて説明する。これも定置型燃料電池システムと同様に、燃料電池制御回路基板内に搭載された燃料電池システム全体の動作を司るメインルーチンの実行中に、一定時間毎の割り込みにより水素濃度検出を行う場合を想定して説明する。図16はその際のサブルーチンを示す。なお、このサブルーチンは燃料電池システム動作ソフトウエアの一部に書き込まれている。
【0151】
メインルーチンの割り込み発生により図16のサブルーチンにジャンプしてくると、まず、ガスセンサの水素濃度の出力値を読み込む(S21)。水素濃度出力が既定値(例えば2%)を超えていれば(S22のyes)直ちに燃料電池の発電を停止させる(S23)とともに、筐体内に内蔵した二次電池の電力でファンを最大回転数で動作させ漏れた水素を筐体外へ排出する(S24)。その後、S21に戻りガスセンサの出力が既定値を下回るまでファンを回し続ける。
【0152】
なお、この場合、二次電池は燃料容器に満充填した水素の体積の少なくとも50倍以上の体積の空気を供給するのに必要なファン駆動電力を充電できる容量を有しているので、仮に燃料容器に満充填した水素がすべて漏洩したとしても、それ全体を水素濃度監視レベル(既定値)である2%以下に希釈できるだけの空気をファンにより送り続けることができ水素の爆発燃焼の可能性を極めて低減できる。
【0153】
ガスセンサの水素濃度出力が既定値を超えていなければ(S22のno)二次電池の充電状態を調べる(S25)。もし、満充電であればそのままメインルーチンに復帰する(S25のyes)。満充電でなければ(S25のno)燃料電池の発電が停止している場合は起動し(S26)、燃料電池で発電している電力の一部を二次電池に充電する動作を行い(S27)メインルーチンに復帰する。
【0154】
このように動作させることにより二次電池は常に満充電状態となるので、いつ水素が漏れてもその全量を既定値以下に希釈することができ極めて高い安全性が常に確保できる。
【0155】
また、フローチャートには明記していないが図16のフローチャートは、燃料電池が発電中であるなしにかかわらずガスセンサを動作し続け常に実行するようにしているので、非使用時であっても水素漏洩が起これば自動的にファンを回して排気するとともに、二次電池の充電量が不充分になれば自動的に燃料電池を起動して満充電状態になるまで動作し続けるように制御している。これにより、燃料電池システムの非使用状態が長期間に渡っても常に安全確保が可能なように動作する。なお、この場合ガスセンサは常に動作状態となるが、本実施の形態のガスセンサはマイクロマシン技術によるため低消費電力でありこのような用途にも十分適用できる。
【0156】
次に、自動車について説明する。この場合も定置型燃料電池システムと同様に、メインルーチン実行中に一定時間毎の割り込みにより水素濃度、湿度、温度検出を行う場合を想定して説明する。図17はその際のサブルーチンを示す。
【0157】
メインルーチンの割り込み発生により図17のサブルーチンにジャンプしてくると、まず、各ガスセンサの水素濃度の出力値を読み込む(S31)。さらに、乗車空間102内に設けたガスセンサについては同時に湿度、温度出力を読み込み(S32)、湿度、温度をメインルーチンが参照する記憶領域に保存する(S33)。
【0158】
次に、どれかのガスセンサの水素濃度出力が既定値(例えば2%)を超えたか否かを順次判定する(S34)。もし、どの出力も既定値を超えていなければ、そのままメインルーチンに復帰する(S34のno)。メインルーチンでは記憶領域に保存された乗車空間102内の現在の湿度、温度データをエアコン制御ソフトウエアに渡す。エアコン制御ソフトウエアは受け取った湿度、温度データをもとに、乗車空間102内がユーザーの設定値を基準とした最適な温湿度になるようにエアコンを制御する。
【0159】
一方、既定値以上の水素濃度出力が1つでもあれば(S34のyes)、直ちに燃料電池を停止するように制御する。具体的には、まず、燃料供給側の遮断弁を閉じ(S35)乗車空間102内に漏れた水素を大気に放出するためにエアコンを外気導入にするとともに最大風量で駆動し(S36)、水素漏洩の事実を運転手に知らせるために警報器を起動する(S37)。その後、水素漏れフラグをONにして(S38)メインルーチンに復帰する。メインルーチンでは水素漏れフラグにより燃料電池を安全に停止するようシステムを制御する。
【0160】
以上の制御動作を行うことにより、燃料電池システムや自動車から水素が漏洩しても安全に停止することができ、さらには自動車の乗車空間のエアコン制御も同時に実現できる。
【0161】
なお、図17のフローチャート内には示していないが、空気極側出口の配管内に設置した本実施の形態のガスセンサから出力される圧力値を用いて、燃料電池の空気極に供給する空気圧力をコンプレッサにより最適値に制御することも可能である。
【0162】
【発明の効果】
以上のように本発明は1枚のシリコンからなる基板上に設けた4個の発熱素子と、この4個の発熱素子の裏面にそれぞれ設けた4個の空洞部と、この4個の空洞部を覆うように前記基板に接合したシリコンからなる底板と、前記4個の空洞部のうち2個に貫通するように前記底板に設けたガス導入口とを有し、このガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子の1つと前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の1つとを1組として構成される計2組の検出部で各々ブリッジ回路を形成し、前記2組の検出部の発熱温度が相互に異なるように前記発熱素子に電圧を印加し、前記両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の前記規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における前記湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で前記規格化出力を補正して水素濃度を求めるものであるので、湿気があっても水素濃度と湿度をそれぞれ区別して検出することができる高速応答で低消費電力のガスセンサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態におけるガスセンサのガス検出部の分解斜視図
(b)同センサのガス検出部の完成斜視図
【図2】(a)同センサに用いるヒーターの分解斜視図
(b)同センサに用いるヒーターの完成斜視図
【図3】同センサの検出部の実装状態を示す分解斜視図
【図4】同センサの概略断面図
【図5】同センサを定置型燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図
【図6】同センサを携帯型または可搬型の燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図
【図7】同センサを用いた燃料電池自動車の概略構造を示す断面図
【図8】同センサの回路構成を説明するための概略回路図
【図9】同センサの高温検出部の加湿下での水素濃度出力特性図
【図10】同センサの高温検出部の湿度とオフセットの相関図
【図11】同センサの高温検出部と低温検出部の湿度とオフセットの相関図および湿度に対する高温出力と低温出力の差(=湿度出力)の相関図
【図12】同センサの湿度出力とオフセット(湿度補正量)の相関図
【図13】同センサの湿度補正後の加湿下での水素濃度出力特性図
【図14】同センサの水素濃度、湿度を計算する手順を示すフローチャート
【図15】同センサを用いた定置型燃料電池システムにおける同センサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャート
【図16】同センサを用いた携帯型または可搬型燃料電池システムにおける同センサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャート
【図17】同センサを用いた自動車における同センサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャート
【符号の説明】
1 基板
2 高温発熱素子
3 高温発熱素子
4 低温発熱素子
5 低温発熱素子
6 歪検出素子
7 ランド
8 空洞部
9 貫通孔
10 高温検出部
11 低温検出部
12 圧力検出部
13 底板
14 ガス導入口
15 カバー
16 窪み部
17 温度検出部
18 支持台
19 ガス検出部
20 ヒーターパターン
21 アルミナグリーンシート
22 ヒーターランド部
23 金線
24 金ペースト
25 ヒーター
26 台座
27 断熱材料
28 金属円筒
29 ピン
30 キャップ
31 網
32 穴
33 外キャップ
34 外穴
35 検出部
36 検出回路
37 容器
38 取出しケーブル
39 容器フタ
40 耐湿樹脂
41 ガス取込口
42 ネジ部
43 ガスセンサ
44 固定抵抗A
45 固定抵抗B
46 高温検出部用直流電源
47 低温検出部用直流電源
48 マイクロコンピュータ
49 ヒーター電源
50 メモリー
51 水素タンク
52 遮断弁
53 水素加湿器
54 燃料電池スタック
55 コンプレッサ
56 空気加湿器
57 燃料電池制御回路
58 筐体
59 警報器
60 換気扇
61 水素燃料容器
62 減圧弁
63 燃料電池スタック
64 ファン
65 筐体
66 網
67 空気取込口
68 空気導入部分
69 燃料電池制御回路基板
70 二次電池
71 空気排出部分
72 空気排出口
73 ガスセンサ
101 本体
102 乗車空間
103 水素タンク収納空間
104 駆動手段収納空間
105 床下空間
106 タンク
107 外側タンク
108 内側タンク
109 モーター
110 燃料電池スタック
111 タイヤ
112 ハンドル
113 ガスセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は水素漏洩および湿度を検出するためのガスセンサとそれを用いた燃料電池システムおよび自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素と空気中の酸素から電力を取り出す燃料電池の開発が盛んに行われている。これは発電時の排出物が水のみであるため環境に優れた発電方式であるだけでなく、原理的に取り出せる電力エネルギーの効率が高いため省エネルギーになり、また発電時に発生する熱を回収することにより熱エネルギーをも利用することができるといった特徴を有しており、地球規模でのエネルギーや環境問題解決の切り札として期待されている。
【0003】
このような燃料電池システムは分散電源としての家庭用コジェネレーションシステムや携帯機器用電源または自動車への応用が研究開発されてきており、今までの化石燃料を用いた火力発電やガソリンエンジンに置き換わるものとして今後ますます進展していくものと考えられる。
【0004】
燃料電池は水素を燃料に用いるため、その安全対策が非常に重要な問題となる。すなわち、安全対策のためには水素が漏洩したことを検出するガスセンサが必要になってくる。
【0005】
このようなガスセンサとして、従来、水素の熱伝導率が他のガスに比べ極めて大きいことを利用し、発熱素子の温度変化で水素濃度を検出する原理のものが提案されていた。例えば空気中で熱平衡に達した発熱素子に水素が到達すると、発熱素子から奪われる熱量が変化し熱平衡が崩れるため、発熱素子の温度が水素濃度に応じて変化する。この温度変化を温度検出素子の抵抗値の変化として電気的に検出するものである。
【0006】
このガスセンサに使用される発熱素子および温度検出素子として、半導体微細加工技術(マイクロマシン技術)を応用した薄膜発熱素子(サーミスタや白金測温体)が開発されている。これは従来のバルク形状のサーミスタ素子を宙づりにした構造に比べ発熱部分が微小であるため、高速応答、低消費電力化が図れると言う特長を有している。なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−119913号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなガスセンサを水素漏洩検知に用いる場合、被検出ガス中の湿気の存在が問題となる。すなわち、湿気がなければ確かに発熱素子の抵抗値は水素濃度に応じて変化するのであるが、湿気があるとそれによっても抵抗値が変化してしまい、水素による変化なのか湿気による変化なのかあるいは両者が共存して変化したのかを区別することができない。
【0009】
これは、水蒸気のみであれば熱伝導率は水素のそれより極めて小さいが、極性を持つ水蒸気と無極性の空気や水素等が混合した系での熱伝導率は、湿気とともに一旦上昇しピークを持って下降する特性を示すため、水素漏洩検知のように水素に比べ水蒸気が多量にある場合が想定される系での検出においては湿度の影響を無視できなくなる。
【0010】
以上のことから、本発明は従来のマイクロマシン技術によるガスセンサの高速応答、低消費電力という特長を活かしつつ、水素と水蒸気が共存した環境下において水素濃度と湿度を区別して検出することができるガスセンサを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものであり、その特徴部分について列挙する。
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、1枚のシリコンからなる基板上に設けた4個の発熱素子と、この4個の発熱素子の裏面にそれぞれ設けた4個の空洞部と、この4個の空洞部を覆うように前記基板に接合したシリコンからなる底板と、前記4個の空洞部のうち2個に貫通するように前記底板に設けたガス導入口とを有し、このガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子の1つと前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の1つとを1組として構成される計2組の検出部で各々ブリッジ回路を形成し、前記2組の検出部の発熱温度が相互に異なるように前記発熱素子に電圧を印加し、前記両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の前記規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における前記湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で前記規格化出力を補正して水素濃度を求める構成のものである。このように、発熱温度の異なる2組の検出部を用いてまず湿度出力を求めそれから湿度補正量の演算を行って水素濃度を求めることで、湿気があっても水素濃度と湿気をそれぞれ区別して検出することができるという効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項2に記載の発明は、湿度補正式を3次方程式で近似したことにより、精度が高くしかも最もシンプルな式で湿度補正量を決定できるので、計算時間が早くなりガスセンサの応答性が向上するという効果が得られる。
【0014】
本発明の請求項3に記載の発明は、3次方程式の計算結果をあらかじめメモリーに記憶した計算結果表から得るようにしたことにより湿度補正式で計算せずに湿度補正量が得られるので、さらなる計算時間の短縮や応答性向上が図れるという効果が得られる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の発明は、基板上に検出回路を設けた構成としたことにより、外部検出回路が大幅に簡略化もしくは省略できるようになるのでガスセンサの小型化が可能になるという効果が得られる。
【0016】
本発明の請求項5に記載の発明は、発熱素子を白金からなる構成としたことにより、素子配線パターンと発熱素子が一体で形成できるため、製造プロセスが簡略化できるという効果が得られる。
【0017】
本発明の請求項6に記載の発明は、発熱素子の表面にシリカからなる保護層を設けた構成としたことにより、被検出ガス中に含まれる不純物が発熱素子の表面に直接付着するのを防ぐことができるため、発熱素子の信頼性が向上するという効果が得られる。
【0018】
本発明の請求項7に記載の発明は、発熱素子の形成部の面積は空洞部の断面積より小さい構成としたことにより発熱は空洞部上面の薄い部分に限られるため、熱量が基板側へ逃げる割合が低減でき素早く必要な温度に発熱させることができるという効果が得られる。
【0019】
本発明の請求項8に記載の発明は、2組の検出部の間隔をガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子と前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の間隔より広い構成としたことにより、2組の検出部間の発熱温度差による熱の移動が低減されるため、起動時や周囲温度の変動時における2組の検出部間の相互影響を低減でき検出精度が向上するという効果が得られる。
【0020】
本発明の請求項9に記載の発明は、底板のうち空洞部に対向しない部分に支持台を接合した構成にすることにより、必然的に底板に設けたガス導入口は台座と対向するようになるため、キャップに設けた穴から直接被検出ガスが発熱素子に到達せず被検出ガス流量によるガスセンサ出力への影響を低減できるという効果が得られる。
【0021】
本発明の請求項10に記載の発明は、発熱素子の形成部の一部に孔を設けるとともに4個の窪み部を有し、4個の発熱素子の上方にそれぞれ前記4個の窪み部が配置されるようにシリコンのカバーを接合した構成にすることにより、孔が存在する分、さらに発熱素子の近傍の基板への熱引けが低減されるとともに、孔が存在しても参照素子に被検出ガスが到達しないようにすることができるという効果が得られる。
【0022】
本発明の請求項11に記載の発明は、カバーの一部に温度検出部を形成する構成としたことにより、ガス検出部の中で最も発熱素子やヒーターから遠方の位置に配置されることになるので、周囲温度をより正確に検出することができるという効果が得られる。
【0023】
本発明の請求項12に記載の発明は、温度検出部を白金で構成したことにより、温度検出部の配線パターンと温度検出部が一体で形成できるため製造プロセスが簡略化できるという効果が得られる。
【0024】
本発明の請求項13に記載の発明は、温度検出部の表面にシリカからなる保護層を設けた構成としたことにより、被検出ガス中に含まれる不純物が温度検出部の表面に直接付着するのを防ぐことができるため素子信頼性が向上するという効果が得られる。
【0025】
本発明の請求項14に記載の発明は、温度検出部の裏面に窪み部を設けた構成としたことにより、温度検出部全体の熱容量が低減されるので周囲温度の変動に対する応答性が向上するという効果が得られる。
【0026】
本発明の請求項15に記載の発明は、温度検出部の形成部分の面積を窪み部の断面積より小さい構成としたことにより、温度検出部は窪み部上面の薄い部分に限って形成されるためさらに熱容量を低減することができ、さらなる応答性向上が可能になるという効果が得られる。
【0027】
本発明の請求項16に記載の発明は、温度検出部の形成部分の一部に孔を設ける構成としたことにより、カバーからの伝熱を低減することができるので、より正確に周囲温度を検出することができるという効果が得られる。
【0028】
本発明の請求項17に記載の発明は、温度検出部はカバーの上面中央に形成した構成としたことにより、ガス検出部のなかで上面の中心に位置することになるので、ガス検出部の近傍における周囲温度をさらに正確に検出することができるという効果が得られる。
【0029】
本発明の請求項18に記載の発明は、基板の一部にダイアフラムを有する圧力検出部を設けた構成としたことにより、燃料電池の配管内にガスセンサを配置するような圧力変動の大きい環境下でも圧力値を検出できるので、圧力による影響を低減して出力できるという効果が得られる。
【0030】
本発明の請求項19に記載の発明は、ダイアフラムの下部空間を底板により1気圧の圧力下で密閉した構成にすることにより、真空下で密閉することで作製される絶対圧力センサのようにガスセンサが常圧下にある場合に常にダイアフラムに圧力が印加されることがなくなるため、ダイアフラムの信頼性が増すという効果が得られる。従って、必ずしも絶対圧力を必要としない場合には1気圧の圧力下で密閉した構成の方が有利である。
【0031】
本発明の請求項20に記載の発明は、圧力検出部を2組の検出部の間に設けた構成としたことにより、ガス検出部を構成するシリコン基板を有効に利用することができるため、小型化が図れるという効果が得られる。
【0032】
本発明の請求項21に記載の発明は、圧力検出部を温度検出部の裏面に設けた窪み部の直下に配置した構成としたことにより、温度検出部と圧力検出部が近接するため、両者ほぼ同一の場所における温度と圧力が同時に得られ場所による誤差が低減できるという効果が得られる。
【0033】
本発明の請求項22に記載の発明は、温度検出部の裏面に設けた窪み部の断面積をダイアフラムの面積より大きくした構成としたことにより、温度検出部の孔から導入された被検出ガスの圧力はダイアフラム全面にかかることになるため、正確に圧力を検出できるという効果が得られる。
【0034】
本発明の請求項23に記載の発明は、支持台と底板との接合面の対向面を電気絶縁性を有する断熱材料からなる台座の一部に接合する構成としたことにより、発熱素子の熱が台座に伝わりにくくなるため、台座の温度変化による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0035】
本発明の請求項24に記載の発明は、断熱材料を黒色としたことにより、ガス検出部の近傍やヒーターの熱を台座が吸収するため、台座での熱の乱反射による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0036】
本発明の請求項25に記載の発明は、台座は支持台を接合していない部分に断熱材料を貫通する複数のピンを有する構造としたことにより、ピン相互が電気的に絶縁されるだけでなくピンとガス検出部が熱的に絶縁されるため、ガス検出部の熱がピンに伝わりにくくなりピンの温度変化による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0037】
本発明の請求項26に記載の発明は、台座にはキャップが被せられ、このキャップには基板と非対向の位置に穴を設けた構成としたことにより、ガス検出部が外界から保護されるとともにガス検出部の基板に直接穴が位置しないため、穴から直接被検出ガスがガス検出部に到達せず、被検出ガスの流量によるガスセンサ出力への影響を低減できるという効果が得られる。
【0038】
本発明の請求項27に記載の発明は、キャップの外側にはさらに外キャップが被せられ、この外キャップにはキャップに設けた穴と非対向の位置に外穴を設けた構成としたことにより、穴と外穴が直接対向しないため、外穴から直接被検出ガスが穴に到達せず、被検出ガスの流量によるガスセンサ出力への影響をさらに低減できるという効果が得られる。
【0039】
本発明の請求項28に記載の発明は、穴または外穴にはステンレス製の網を溶接接合した構成とすることにより、万一ガスセンサ内で水素が燃焼しても網で熱が吸収され網から外に火炎が伝播しないという効果が得られる。
【0040】
本発明の請求項29に記載の発明は、キャップの内面を黒色としたことにより、ガス検出部やヒーターからの輻射熱をキャップが吸収するため、キャップでの熱の乱反射による発熱素子の発熱温度への影響が低減されるという効果が得られる。
【0041】
本発明の請求項30に記載の発明は、キャップの内面を黒色クロムメッキで着色した構成とすることにより、着色面が強固に形成されるためヒーターによりキャップ内面が高温にさらされても着色面が剥離変色する程度が低減されるという効果が得られる。
【0042】
本発明の請求項31に記載の発明は、4個の発熱素子の発熱温度は水の沸点以上としたことにより、ガスセンサの非使用時に発熱素子が結露しても使用時に水の沸点以上に加熱するので結露水を除去することができ、また、使用中に結露することがなくなるので正確に検出できるという効果が得られる。
【0043】
本発明の請求項32に記載の発明は、2組の検出部の発熱温度差を50℃以上としたことにより、湿度出力の感度を実用的な大きさにすることができるので、湿度を精度よく検出できるという効果が得られる。
【0044】
本発明の請求項33に記載の発明は、4個の発熱素子の発熱温度が周囲温度によらず一定になるように各ブリッジ回路の印加電圧を温度検出部の出力により制御するようにしたことにより、発熱素子周辺の温度はほぼ一定に保たれるので、被検出ガスの熱伝導率の温度による変化が低減され濃度を精度よく検出できるという効果が得られる。
【0045】
本発明の請求項34に記載の発明は、制御を行う回路を基板上に設けた構成としたことにより、外部に設ける制御回路をガス検出部に内蔵することができるようになるので、ガスセンサの小型化が可能になるという効果が得られる。
【0046】
本発明の請求項35に記載の発明は、基板の近傍にヒーターを設けた構成としたことにより、ガス検出部全体の温度を一定にすることができるため、周囲温度の変化による出力への影響を低減できるという効果が得られる。
【0047】
本発明の請求項36に記載の発明は、ヒーターを支持台と台座の間に設け、前記台座とヒーターおよび支持台とを接合した構成とすることにより、ヒーターの熱がガス検出部に素早く伝わるので急峻な周囲温度の変化に対しても追従でき、その分、出力が安定するという効果が得られる。
【0048】
本発明の請求項37に記載の発明は、ヒーターはアルミナ基板上に白金ペーストの厚膜を形成して構成することにより、ヒーターパターンを印刷技術で形成することができるので、容易に大量に製造できるという効果が得られる。
【0049】
本発明の請求項38に記載の発明は、アルミナ基板をアルミナグリーンシートから焼成して得る構成としたことにより、円形のヒーター形状であっても抜き型で形成することができるため、容易にヒーターを製造できるという効果が得られる。
【0050】
本発明の請求項39に記載の発明は、ヒーターとして電力供給のためのヒーターランド部を除き2枚のアルミナグリーンシートの間に白金ペーストの厚膜からなるヒーターパターンを有し、これらを一括焼成して得る構成としたことにより、ヒーターパターンを保護するアルミナ板も同時に形成できるので、さらに容易にヒーターを製造できるという効果が得られる。
【0051】
本発明の請求項40に記載の発明は、ヒーターランド部の表面を金ペーストで形成したことにより、ヒーターランド部での抵抗値が低減されるため、ヒーターランド部での発熱が低減されヒーターパターンのみで発熱するヒーターを構成できるという効果が得られる。
【0052】
本発明の請求項41に記載の発明は、ヒーターランド部に金ペーストで固定した金線が接続され、前記金線の他端は台座のピンと接続した構成とすることにより、金ペーストのヒーターランド部に金線を金ペーストで固定する構成、すなわち、ヒーターランド部は全て金で構成されるため、ヒーター加熱時の熱膨張係数の違いによる金線の剥離が低減されるとともに金線での発熱も低減できるという効果が得られる。
【0053】
本発明の請求項42に記載の発明は、ヒーターの発熱温度はカバーに設けた温度検出部の出力に応じて一定温度になるようにヒーターへの供給電力を制御するようにしたことにより、ガス検出部全体の温度を高精度に目標温度に近づけることができるため、周囲温度の変化による出力への影響をさらに低減できるという効果が得られる。
【0054】
本発明の請求項43に記載の発明は、温度出力をヒーター制御信号と周囲温度の相関から前記ヒーター制御信号を前記周囲温度に換算することで行うようにした。これは、周囲温度が変わるとヒーターを一定温度にするためにヒーターに供給する電力量が変化するので、電力量を制御する信号は周囲温度と相関を持つということを利用して周囲温度を求めている。これにより、温度検出部の出力からは得られない周囲温度を正確に出力できるという効果が得られる。
【0055】
本発明の請求項44に記載の発明は、ヒーターの発熱温度を水の沸点以上としたことにより、ガスセンサの非使用時に検出部の内部が結露しても使用時にヒーターで水の沸点以上に加熱するので、結露水を除去することができ、また、使用中に結露することがなくなるので正確に検出できるという効果が得られる。
【0056】
本発明の請求項45に記載の発明は、2組の検出部の発熱温度をヒーターの発熱温度より高くなるようにしたことにより、発熱素子とヒーターの間で温度勾配ができるので、ヒーターを動作させても2組の検出部が出力可能になるという効果が得られる。
【0057】
本発明の請求項46に記載の発明は、2組の検出部の発熱温度差を50℃以上としたことにより、ヒーター動作時であっても湿度出力の感度を実用的な大きさにできるので、湿度を精度よく検出できるという効果が得られる。
【0058】
本発明の請求項47に記載の発明は、ガスセンサを燃料電池を収納した筐体の一部または燃料電池スタックの空気極側出口配管の一部に設け、前記燃料電池からの水素ガス漏洩を前記ガスセンサで検知すると警報を発するとともに前記筐体内の換気を行い前記燃料電池を停止するよう制御するようにしたことにより、湿気を含む被検出ガス中でも水素濃度のみを精度よく検出できるので、水素漏洩に対する安全性が高い燃料電池システムを構成することができるという効果が得られる。
【0059】
本発明の請求項48に記載の発明は、燃料電池または水素燃料容器の少なくとも1つと燃料電池制御回路基板を1つの筐体に内蔵し、前記燃料電池制御回路基板の一部にガスセンサを設けた構成としたことにより、燃料電池または水素燃料容器のいずれかから水素が漏洩してもそれらの近傍にガスセンサが設けられているので、水素漏洩を素早く検知できるという効果が得られる。
【0060】
本発明の請求項49に記載の発明は、燃料電池と、この燃料電池に水素燃料を供給する燃料容器と、前記燃料電池に空気を供給するファンと、ガスセンサを搭載し、かつ、前記燃料電池およびファンを制御する燃料電池制御回路基板と、前記燃料電池の発電電力の一部を充電する二次電池とを1つの筐体に内蔵し、前記ガスセンサが既定値以上の水素を検知すると前記燃料電池を停止するとともに、既定値以下の水素濃度になるまで前記二次電池の電力で前記ファンを最大回転数で動作させる構成としたことにより、水素漏洩を検知すると既定濃度以下になるまでできるだけ早く筐体内を排気するので、安全性が確保できるという効果が得られる。
【0061】
本発明の請求項50に記載の発明は、ファンを筐体の一部に設けた空気取込口の近傍で、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部全体に送風できる位置に配置する構成としたことにより、水素が筐体内にこもらないためさらに安全性が確保できるという効果が得られる。
【0062】
本発明の請求項51に記載の発明は、燃料電池の空気導入部分をファンに向かって開口した構成としたことにより、燃料電池の空気極に効率的に空気を導入することができるという効果が得られる。
【0063】
本発明の請求項52に記載の発明は、燃料電池の空気排出部分を筐体の一部に設けた空気排出口に向かって開口した構成とすることにより、空気排出部分から排出される空気が空気排出口に流れることにより空気排出口の周辺空気も一緒に筐体外に排気できるので、その分、効率的に筐体内の空気全体を外部に排気できるという効果が得られる。
【0064】
本発明の請求項53に記載の発明は、空気排出口の面積を空気取込口の面積より大きい構成としたことにより、空気取込口から筐体内に導入される空気が筐体内で滞留することがないため、筐体内の圧力が上昇することなく、速やかに筐体内の空気を換気できるという効果が得られる。
【0065】
本発明の請求項54に記載の発明は、空気取込口と空気排出口を筐体内で最も離れた壁面上にそれぞれ設けた構成としたことにより、筐体内を通る空気のパスが長くなるため筐体内全体を万遍なく換気することができるという効果が得られる。
【0066】
本発明の請求項55に記載の発明は、空気取込口と空気排出口にステンレス製の網を設けた構成としたことにより、万一燃料電池システム内で水素が漏洩し燃焼しても網で熱が吸収されて網から外に火炎が伝播しないという効果が得られる。
【0067】
本発明の請求項56に記載の発明は、ガスセンサが既定値以上の水素を検知していない時は常に二次電池が満充電になるように燃料電池を動作させるように制御する構成としたことにより、水素漏洩を検知した時に確実にファンを動作させることができるため安全性が確保できるという効果が得られる。
【0068】
本発明の請求項57に記載の発明は、燃料電池が発電中であるか否かにかかわらずガスセンサを動作し続けるように制御する構成としたことにより、燃料電池システムの非使用時に水素が漏れても確実に検知できるため、さらに安全性が確保できるという効果が得られる。
【0069】
本発明の請求項58に記載の発明は、二次電池を燃料容器に満充填した水素の体積の少なくとも50倍以上の体積の空気を供給するのに必要なファン動作電力を充電できる容量とする構成としたことにより、満充填の水素が全量漏洩したとしてもその50倍以上の空気をファンで供給できるため、水素濃度を2%以下に希釈でき極めて高い安全性が確保できるという効果が得られる。
【0070】
本発明の請求項59に記載の発明は、二次電池をリチウムイオン電池である構成としたことにより、燃料電池システムが低温下に置かれていてもガスセンサを動作させ続けられるので、低温下でも水素漏洩が検知でき、また、検知した際にファンを動作させられるという効果が得られる。
【0071】
本発明の請求項60に記載の発明は、ガスセンサを乗車空間の上部に配置し、前記ガスセンサの湿度出力および温度出力をもとに前記乗車空間が最適な温湿度になるように前記乗車空間の一部に設けたエアコンを制御するとともに、前記ガスセンサの水素濃度出力から前記乗車空間内の水素濃度が既定値以上であれば警報を発するとともに前記乗車空間内の換気を行い水素供給源を遮断するように制御する構成としたことにより、乗車空間内の1つのガスセンサだけで水素漏洩検知だけでなく湿度や温度のデータが得られるので、通常はエアコン制御を行い水素漏洩時には燃料電池システムを停止するという制御を行うことで、自動車の安全性、快適性を向上できるという効果が得られる。
【0072】
以上の構成、動作により、水素と水蒸気が共存した環境下において水素濃度と湿度を区別して検出することができるガスセンサが得られた。
【0073】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0074】
図1(a)は本発明の実施の形態におけるガスセンサのガス検出部の分解斜視図であり、図1(b)は同センサのガス検出部の完成斜視図をそれぞれ示す。図2(a)は本発明の実施の形態におけるガスセンサに用いるヒーターの分解斜視図であり、図2(b)は同センサに用いるヒーターの完成斜視図をそれぞれ示す。図3は本発明の実施の形態におけるガスセンサの検出部の実装状態を示す分解斜視図である。図4は本発明の実施の形態におけるガスセンサの概略断面図である。
【0075】
図1(a)において、1はシリコンからなる基板であり、基板1上には白金薄膜からなる高温発熱素子2、高温発熱素子3、低温発熱素子4、低温発熱素子5と圧力検知用の4個の歪検出素子6および各素子のランド7がマイクロマシン技術により形成されている。これらの素子が形成される面上には、ランド7を除く表面にシリカからなる薄膜を素子の保護膜として形成してある。また、それぞれの素子の裏面の真下には素子に対して非貫通の空洞部8が基板1の素子形成面の対面からエッチングで掘り進むことにより形成されている。ここで、歪検出素子6の裏面の空洞部8は0.2mm角であるため、一辺が0.2mmのダイアフラムが形成されていることになる。それ以外の空洞部8は0.3mm角である。なお、発熱素子2,3,4,5は一辺が0.15mm角の大きさの中に、つづら折れパターンで形成されている。このため、発熱素子2,3,4,5は空洞部8の断面積より小さい範囲内に収まっている。発熱素子2,3,4,5の外側で、空洞部8の断面積の内側の範囲には、発熱素子2,3,4,5の各辺に沿って空洞部8に到る4ヶ所の貫通孔9が設けてある。これにより、発熱素子2,3,4,5の熱が基板1に伝達するのを低減させている。
【0076】
なお、図1(a)に示すように基板1において、高温発熱素子2,3からなる高温検出部10と低温発熱素子4,5からなる低温検出部11の間隔は検出用の発熱素子2,4と参照用の発熱素子3,5の間隔より広くすることで高温検出部10と低温検出部11の相互熱影響を低減するとともに、両者間の空いた部分に4個の歪検出素子6からなる圧力検出部12を設け、基板1を有効に活用する構成とした。
【0077】
基板1の空洞部8側には、基板1と同面積のシリコンからなる底板13が、温度、湿度が管理された空気中で、1気圧の圧力下で接合されている。なお、底板13には、発熱素子2,4の裏面に形成した空洞部8に面する範囲の一部にはガス導入口14が設けられている。
【0078】
基板1の素子形成面側には、シリコンからなるカバー15が温度、湿度が管理された空気中で接合されている。カバー15には基板1に配置した素子2,3,4,5,6の上面に空洞部8と同形状の0.3mm角の窪み部16が形成されており、このうち圧力検出部12の上面に配置される窪み部16の上面すなわちカバー15の上面の中央には発熱素子2,3,4,5と同形状の白金薄膜よりなる温度検出部17と貫通孔9が設けられている。これにより、圧力検出部12は温度検出部17の裏面に設けた窪み部16の直下に配置されることになり、また、窪み部16の断面は0.3mm角であるので圧力検出部12のダイアフラム(0.2mm角)より大きいことになる。温度検出部17の表面には発熱素子2,3,4,5と同様のシリカからなる薄膜が形成してある。また、温度検出部17の形成部分の面積は窪み部16の断面積より小さくしてある。
【0079】
底板13の基板1と接合しない面の一部には支持台18が接合されている。
【0080】
このようにして図1(b)に示すようなガス検出部19が形成される。
【0081】
次にガス検出部19の近傍に配置されるヒーター25について説明する。図2(a)において、ヒーターパターン20はアルミナグリーンシート21の片面上に白金ペーストを厚膜印刷することにより形成する。このヒーターパターン20の一部であるヒーターランド部22には、さらに金ペーストを上塗り印刷して形成される。
【0082】
この上からヒーターランド部22だけをくりぬいた形状のもう一枚のアルミナグリーンシートを重ね合わせ、両者を一括焼成する。その後、ヒーターランド部22に電力供給用の金線23を金ペースト24で固定して焼成することにより電気的接続を行う。
【0083】
このようにして図2(b)に示すようなヒーター25が形成される。
【0084】
なお、図2(b)では金線23を2本ずつヒーターランド部22に接続しているが、これはヒーター25への電力供給時に金線23の直径によって十分電流が流せない可能性があるためで、使用する金線23の直径に応じて必要な本数を接続すればよい。
【0085】
次に検出部の実装について説明する。図3において、ガス検出部19の支持台18はヒーター25と接合されている。ヒーター25はさらに台座26と接合されている。台座26は黒色に着色した断熱材料27(例えば耐熱樹脂)を金属円筒28にはめ込んで形成される。また、ガス検出部19やヒーター25を配線するための複数のピン29が、ガス検出部19やヒーター25と干渉しない部分に断熱材料27を貫通するように配置されている。
【0086】
台座26にはキャップ30が被せられる。キャップ30には台座26に被せた時にガス検出部19と対向しない位置にステンレス製の網31を溶接接合した穴32が設けられている。また、キャップ30の内面は黒色クロムメッキで着色してある。
【0087】
キャップ30の外側には、さらに外キャップ33が被せられる。外キャップ33にはキャップ30に設けた穴32と対向しない位置にステンレス製の網31を溶接接合した外穴34が設けられている。
【0088】
これらのキャップ30および外キャップ33は順に台座26に被せ、一括して抵抗溶接することにより機械的に固定される。
【0089】
このようにして検出部35が完成する。
【0090】
次に、検出部35を内蔵したガスセンサの構造を説明する。図4において、検出部35は検出回路36を構成するプリント基板の一部にピン29を挿入し半田付けすることで機械的、電気的に接続される。容器37には検出回路36が挿入されるとともに、検出回路36に接続された取出しケーブル38をあらかじめ通した容器フタ39がはめ込まれ、耐湿樹脂40を容器フタ39に設けた注入口(図示せず)から検出回路36と容器フタ39の間の空間全体に注入し硬化させた後、容器37と容器フタ39をかしめて固定する。
【0091】
容器37の底面にはガス取込口41が開けられており、また、側面にはセンサ取付用のネジ部42が加工されている。
【0092】
このようにして、ガスセンサ43が完成する。
【0093】
次に、ガスセンサの取り付け例について図5、図6、図7を用いて説明する。
【0094】
図5は本発明の実施の形態におけるガスセンサを定置型燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図である。図6は本発明の実施の形態におけるガスセンサを携帯型または可搬型の燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図である。図7は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた燃料電池自動車の概略構造を示す断面図である。
【0095】
まず、定置型燃料電池システムについて固体高分子膜型を例に説明する。図5において、51は水素タンクである。水素タンク51は、改質型の燃料電池システムの場合には改質器と置き換えられる。水素タンク51内の水素は遮断弁52を通って水素加湿器53に導入される。ここで、燃料電池内の固体高分子膜が乾燥するのを防ぐための湿気が与えられる。加湿された水素は燃料電池スタック54の水素極側に導入される。一方、燃料電池スタック54には発電に必要な空気もコンプレッサ55により空気加湿器56で加湿されて空気極側に導入される。これにより燃料電池スタック54は発電を行い太線で示したように燃料電池制御回路57を経て外部に電力を供給する。また、燃料電池スタック54からは発電の結果生成した水が空気と一緒に外部へ排出される。
【0096】
このような燃料電池システムは全体が筐体58内に収納されている。筐体58内には、図5中に黒丸で示したように、水素タンク51の近傍、燃料電池スタック54の近傍、燃料電池スタック54の空気極側の出口配管の一部などに水素漏洩を検知するためのガスセンサが配置される。これにより、もしいずれかのガスセンサが水素漏洩を検知すれば、燃料電池制御回路57は遮断弁52を閉じ警報器59と換気扇60を動作させ燃料電池を停止するように制御する。なお、具体的な制御動作についてはフローチャートを用いて後述する。
【0097】
次に、携帯型または可搬型の燃料電池システムについて説明する。図6において、61は水素吸蔵合金を内蔵した水素燃料容器である。水素燃料容器61内の水素は減圧弁62で所定の圧力に減圧されて燃料電池スタック63の水素極側に供給される。一方、燃料電池スタック63には発電に必要な空気もファン64により空気極側に供給される。なお、ファン64は燃料電池システム全体を収納した筐体65の一部に設けたステンレス製の網66付きの空気取込口67の近傍に配置されている。また、ファン64で導入される空気は、その全量が燃料電池スタック63に取り込まれるのではなく、ファン64と燃料電池の空気導入部分68の間に隙間があり、導入された空気の一部が筐体65内全体に送風できるようにしてある。このような構造としているため、燃料電池スタック63の空気極側に効率よく空気を取り込めるように、空気導入部分68は図6に示したようにラッパ形状部分がファン64に向かって開口するようにしてある。
【0098】
このように水素と空気を燃料電池スタック63に供給することで、燃料電池スタック63は発電を行い太線で示したように燃料電池制御回路基板69を経てリチウムイオン電池からなる二次電池70を充電しつつ携帯機器等に電力を供給する。また、燃料電池スタック63からは発電の結果生成した水が空気と一緒に空気排出部分71を通って網66付きの空気排出口72から外部へ排出される。ここで、空気排出部分71は空気排出口72に向かって開口した状態で取りつけられているが、空気排出口72の面積は空気排出部分71の断面積よりも大きいため、ファン64により筐体65内に取り込まれた空気も空気排出口72から外部へ排出される。なお、空気排出口72は空気取込口67から筐体65内の最も離れた壁面上に、前者の面積が後者の面積より大きくなるように配置してあるので、筐体65内をくまなく空気が流れるとともにファン64で取り込んだ空気が速やかに外部へ排出され、筐体65内の圧力が上昇しないようにしてある。
【0099】
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池制御回路基板69の一部に水素漏洩を検知するためのガスセンサ73が搭載される。ここで、ガスセンサ73は燃料電池制御回路基板69に直接実装されるため、図4で示した容器37を用いずに図3で示した検出部35の状態で取り付けられている。
【0100】
この構成により、もしガスセンサ73が筐体65内で既定値以上の水素漏洩を検知すれば、燃料電池制御回路基板69はファン64を最大回転数で動作させ燃料電池を停止するように制御する。なお、具体的な制御動作についてはフローチャートを用いて後述する。
【0101】
次に、燃料電池自動車について説明する。図7において、101は自動車の本体で、本体101は乗車空間102と、水素タンク収納空間103と、駆動手段収納空間104と、床下空間105がそれぞれ空間として分離された状態で形成されている。水素タンク収納空間103には水素を貯蔵するタンク106が設けられている。タンク106は、特に衝突時における水素漏洩に対する安全性を確保するために、外側タンク107と内側タンク108からなる二重構造となっており、内側タンク108に水素が貯蔵されている。また、駆動手段収納空間104には本体101を駆動するためのモーター109が設けられている。床下空間105には燃料電池スタック110が設けられている。
【0102】
タンク106から供給された水素は床下空間105に設けられた燃料電池スタック110で電気エネルギーに変換され、その電気エネルギーがモーター109に伝達されてタイヤ111を駆動するようになっている。なお、タイヤ111の操舵方向は乗車空間102内からハンドル112で行うようになっている。
【0103】
このような自動車において、それぞれの空間にはガスセンサ113が設けられている。具体的には、乗車空間102に設けたガスセンサ113は乗車空間102の中で最も上部にあたる天井115前部に、水素タンク収納空間103に設けたガスセンサ113はタンク106が二重構造であるため外側タンク107の最上部に、駆動手段格納空間104に設けたガスセンサ113は駆動手段格納空間104の中で最も上部にあたるボンネット後端部に、床下空間105に設けたガスセンサ113は床下空間105の最上部にそれぞれ配置してある。さらに、図示していないが図5と同様に燃料電池スタック110の空気極側出口配管の一部にもガスセンサを配置している。
【0104】
これらのガスセンサ113のうちいずれかが水素漏洩を検知すると、図5で説明したように水素供給源を遮断し警報および換気を行う。それに加えて、乗車空間102内に設けたガスセンサ113は湿度や温度も検知できるので、通常は乗車空間102内が最適な温湿度になるように乗車空間102の一部に設けたエアコンを制御している。なお、具体的な制御動作についてはフローチャートを用いて後述する。
【0105】
次に、ガスセンサの動作について説明する。
【0106】
図8は本発明の実施の形態におけるガスセンサの回路構成を説明するための概略回路図である。図9は本発明の実施の形態におけるガスセンサの高温検出部の加湿下での水素濃度出力特性図である。図10は本発明の実施の形態におけるガスセンサの高温検出部の湿度とオフセットの相関図である。図11は本発明の実施の形態におけるガスセンサの高温検出部と低温検出部の湿度とオフセットの相関図および湿度に対する高温出力と低温出力の差(=湿度出力)の相関図である。図12は本発明の実施の形態におけるガスセンサの湿度出力とオフセット(湿度補正量)の相関図である。図13は本発明の実施の形態におけるガスセンサの湿度補正後の加湿下での水素濃度出力特性図である。図14は本発明の実施の形態におけるガスセンサの水素濃度、湿度を計算する手順を示すフローチャートである。
【0107】
図8において、高温発熱素子2および高温発熱素子3にはそれぞれ直列に固定抵抗A44が接続され、さらにそれらを並列に接続することによりブリッジ回路を形成している。同様に、低温発熱素子4および低温発熱素子5にもそれぞれ直列に固定抵抗B45が接続され、さらにそれらを並列に接続することによりブリッジ回路を形成している。
【0108】
両ブリッジ回路には高温検出部用直流電源46および低温検出部用直流電源47がそれぞれ接続されている。両者の出力電圧は温度検出部17の出力に応じて高温検出部10および低温検出部11の素子発熱温度が既定値になるようにマイクロコンピュータ48により制御されている。なお、周囲温度が変わっても高温検出部10の素子温度は約190℃、低温検出部11の素子温度は約140℃になるように制御している。これによりいずれも水の沸点以上の温度で、かつ、両者の温度差は約50℃となるように制御される。
【0109】
高温検出部10および低温検出部11のブリッジ回路の出力電圧はマイクロコンピュータ48に入力される。さらに、マイクロコンピュータ48には圧力検出部12に形成された4個の歪検出素子6からなるブリッジ回路の出力電圧が入力されるとともに、ヒーター25に電力を供給するヒーター電源49を制御する信号線が接続されている。マイクロコンピュータ48は高温検出部10および低温検出部11のブリッジ回路の出力電圧と、温度検出部17および圧力検出部12の出力電圧と、マイクロコンピュータ48に接続されたメモリー50に記憶されたデータをもとに、後述する演算を行い水素濃度、湿度、温度、必要に応じて圧力をそれぞれ出力する。
【0110】
さらに、マイクロコンピュータ48は温度検出部17の出力に応じて高温検出部10と低温検出部11とヒーター25の発熱温度を一定にする電力を供給するように、高温検出部用直流電源46と低温検出部用直流電源47およびヒーター電源49を制御する機能をも有する。なお、ヒーター温度は水の沸点以上である約110℃とした。これによりガス検出部19全体が約110℃に加熱される。
【0111】
なお、温度出力についてであるが、ヒーター25を動作させているので温度検出部17の出力はほぼヒーター目標温度(約110℃)となり、ガス検出部19の周囲温度を反映しなくなる。そこで、温度出力信号はヒーター電源49の出力電力を制御する信号が周囲温度と相関を持つことに着目し、この信号からマイクロコンピュータ48内で周囲温度に換算して出力するようにしている。
【0112】
ガスセンサの近傍または配管内の被検出ガスはガス取込口41、外穴34、穴32を通ってキャップ30内に配置したガス検出部19に到る。ガス検出部19近傍の被検出ガスはガス導入口14を通って高温発熱素子2および低温発熱素子4に到達する。これらの発熱素子2,4には電流が流れているので一定温度に加熱されているが、被検出ガス中に水素や湿気があるとその濃度に応じて被検出ガスの熱伝導度が変わり熱が奪われるため発熱素子2,4の温度が変化する。この変化は発熱素子2,4の両端電圧の変化としてマイクロコンピュータ48に入力される。
【0113】
一方、高温発熱素子3および低温発熱素子5にはガス導入口がないので被検出ガスがこれらの発熱素子3,5には到らない。従って、発熱素子3,5の両端電圧は被検出ガスにより変化することはなく、ガスセンサの内部の温度に応じた電圧を出力し続けている。これにより各ブリッジ回路の差動出力は周囲温度を補正した値に相当することになる。なお、前記のように高温検出部10、低温検出部11およびヒーター25の温度は既定値になるように制御されているので本来周囲温度の補正は不要であるが、ガスセンサの起動時や周囲温度の急峻な変化に対しては既定値を外れることが想定されるので発熱素子3,5による周囲温度の補正も行っている。
【0114】
マイクロコンピュータ48は上記の各ブリッジ回路の電圧値をもとに温度検出部17や圧力検出部12の出力で温度と圧力の補正を行いながら、水素濃度、湿度、温度、必要に応じて圧力を演算してそれぞれ出力している。なお、水素濃度および湿度の圧力補正については、ガスセンサが常に大気圧の近傍にある場合はそれほど圧力の影響を受けないが、例えば図5や図7で説明した燃料電池スタックの空気極側の出口配管内のように大きく圧力変動(〜数気圧)を受ける場所に取り付ける場合は圧力補正が必要となる。
【0115】
なお、図8で説明した回路の一部または全部は基板1、カバー15を構成するシリコン基板上に設けてもよい。
【0116】
次に、マイクロコンピュータ48で行われる水素濃度、湿度を求める演算手法について説明する。
【0117】
最初に、ガスセンサの作製時にメモリー50に記憶される補正パラメータの作成を以下のように行う。まず、ある環境(温度、圧力)における乾燥空気下における既知の水素濃度に対する両ブリッジ回路の出力電圧から差動出力を求める。例えば、80℃1気圧の環境で水素濃度1%が混合した乾燥空気をガスセンサに流しそのときの差動出力電圧を得る。この値を水素濃度換算係数と呼び高温検出部でa、低温検出部でbとする。
【0118】
次に、様々な既知の湿度下での両ブリッジ回路の差動出力を求める。例えば、80℃で相対湿度を0,17,42,55%とし、その際の差動出力を求める。ここで得られた各湿度における差動出力を上記の水素濃度換算係数a,bで割り出力を水素感度で規格化する。これにより差動出力は水素濃度1%のときの出力が1になるので、単位は水素濃度(%)となる(以下、%H2と示す)。
【0119】
次に、各湿度における高温検出部と低温検出部の規格化した出力の差を求める。
【0120】
次に、各湿度における上記出力差と高温検出部の規格化出力との相関から最小二乗法で3次近似式を求める。この3次近似式のパラメータをk,l,m,nとする。
【0121】
以上で求めた定数a,b,k,l,m,nを環境条件(温度、圧力)を変えて同様にして求める。得られた定数は温度、圧力に対するテーブルにしてメモリー50に記憶する。
【0122】
次に、ガスセンサを動作させた時の計算手法を述べる。
【0123】
ガスセンサ動作時には高温検出部と低温検出部のそれぞれの素子の両端電圧が得られるので、検出用の発熱素子と参照用の発熱素子の差動出力電圧を求める。これはアナログ回路で得てもよいしマイクロコンピュータ48の内部で演算して求めてもよい。得られた差動出力電圧を高温検出部に対してVh、低温検出部に対してVlとする。
【0124】
次に、次式に示すようにVh,Vlを水素濃度換算係数a,bでそれぞれ割り規格化出力Vhs,Vlsを得る。
【0125】
Vhs=Vh/a (1)
Vls=Vl/b (2)
実際に80℃における様々な水素濃度、湿度下で得られた差動出力から規格化出力を求めた結果を図9に示す。ここではVhs(高温検出部)の出力を代表として示しており、Vhsを縦軸に水素濃度(既知)を横軸にとった。なお、水素濃度の範囲は水素の爆発限界である4%の約半分の2.2%までとし、相対湿度は補正パラメータを求める際と同じとした。
【0126】
図9より、湿度0%RHの時は水素濃度に応じてVhsが比例して増えていき水素感度が得られるのがわかるが、加湿すると相対湿度に応じて0点が大きくドリフトし図中に示したように加湿下での出力はドリフト分のオフセットが乗った状態で出力される。従って、従来例にあるようなブリッジ回路1つだけのセンサ構成の出力では湿度と水素濃度が全く区別できないことがわかる。なお、Vlsにおいても同様の傾向を示す。
【0127】
ここで、相対湿度とオフセットの相関を求めたのが図10である。縦軸にはオフセットすなわち水素濃度0%の時のVhsを横軸には相対湿度をとった。図10よりオフセットは湿度に対しピークを持つ2次曲線の特性を示す。従って、何らかの方法で湿度を求め図10の相関からオフセットを差し引けば水素濃度のみが得られる。
【0128】
そこで、次に湿度の求め方を説明する。
【0129】
図11は図10で示したオフセットを高温検出部、低温検出部それぞれに対してプロットしたものである。縦軸の単位は水素濃度で規格化した%H2であるので、水素濃度に対する感度(傾き)は両者等しくなるが、図11より明らかなようにオフセットすなわち湿度感度については両者で異なったカーブを取ることがわかる。この両者の出力差に着目し高温検出部と低温検出部の出力差Humを次式に従って計算した。
【0130】
Hum=Vhs−Vls (3)
Humを図11の右縦軸に示す。Humは相対湿度に対して比例関係にあるのでHumで湿度出力を表せられることがわかった。
【0131】
従って、Humを求めて図11の相対湿度との相関から相対湿度を得ることができる。
【0132】
この相対湿度より図10の相対湿度とオフセットの相関からオフセットを求めて高温検出部の規格化出力Vhsから差し引けば水素濃度のみの出力が得られるが、ここではもっと簡単にHumとオフセットの相関を直接求めた。結果を図12に示す。図10と同時に2次曲線の特性となったが、発明者らの詳細な検討によりこの相関関係は最小二乗法による3次近似式が最も精度よく表せられることがわかった。よって、HumとオフセットOffすなわち湿度補正量の関係(湿度補正式)は(4)式で表される。
【0133】
Off=k*Hum^3+1*Hum^2+m*Hum+n (4)
ここで、定数k,l,m,nはセンサの作製時に求めた値である。
【0134】
(4)式によってOffが得られたなら高温検出部の規格化出力VhsからOffを差し引くことで水素濃度Hが得られる。
【0135】
H=Vhs−Off (5)
このようにして湿度補正を行った後のVhsを図13に示す。図の見方は図9と同じである。図9と比べ湿度によるオフセットが大幅に低減できることがわかる。
【0136】
以上の計算により、湿度と水素濃度を区別して求めることができる。
【0137】
なお、(4)式の計算はHumに対するOffの値をあらかじめ求めて計算結果表としてメモリー50に記憶しておき、得られたHumから表を参照して直ちにOffを求めるようにしてもよい。
【0138】
ここで、上記計算方法の特長について説明する。(1)式から(5)式を見て明らかなようにいずれも簡単な四則演算で求めることができるため、計算速度が極めて速く応答性のよいガスセンサが実現できる。これは、従来の例えば実用新案登録第1867326号に示されたように高温検出部と低温検出部で得られる出力と2種類のガス成分濃度X,Yの相関関係から得られる2元連立方程式を解く方法であれば、本実施の形態で述べたように湿度出力が1次直線で表せない場合においては容易に厳密な解が得られず、特に3次近似式が連立方程式に入るとそれを解く計算は、上記(1)式から(5)式での計算で求める方法と較べ大幅に複雑になる。従って、湿度が混合する系のような場合には本実施の形態の計算方法が極めて有利であることがわかる。
【0139】
以上の計算手法はマイクロコンピュータ48にプログラムされており、ガスセンサ動作時に得られる差動出力Vh,Vlが入力されると、上記(1)式から(5)式の計算を行い水素濃度、湿度を出力するようになっている。この計算手順を図14のフローチャートに示す。
【0140】
まず、高温検出部、低温検出部の各ブリッジの差動出力電圧Vh,Vlを読み込む(S1)。それと同時に、そのときの温度、圧力をそれぞれヒーター制御信号、圧力検出部の出力から演算して求める(S2)。
【0141】
次にVh,Vlに対し、あらかじめ求めた温度、圧力に応じた水素濃度換算係数a,bで(1)、(2)式により規格化出力Vhs,Vlsを求める(S3)。得られたVhs,Vlsから(3)式により出力差Humを求める(S4)。
【0142】
出力差Humは湿度と相関があるので、あらかじめ得られた相関関係(例えば図11)より温度、圧力に応じた湿度を得る(S5)。
【0143】
また、Humから湿度補正量Offを(4)式の関係から求め(S6)、(5)式より高温検出部の規格化出力Vhsから湿度補正量Offを差し引く(S7)ことで水素濃度を得る。
【0144】
以上の手順により求めた水素濃度、湿度、温度、また燃料電池システムの制御上の必要に応じて圧力を出力する(S8)。
【0145】
このような動作で水素濃度と湿度とを分離して出力することのできるガスセンサを実現できる。
【0146】
次に、本実施の形態のガスセンサを用いた定置型燃料電池システム、携帯型または可搬型の燃料電池システムおよび自動車のガスセンサ出力による制御動作について図15、図16、図17を用いて説明する。
【0147】
図15は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた定置型燃料電池システムにおけるガスセンサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャートである。図16は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた携帯型または可搬型燃料電池システムにおけるガスセンサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャートである。図17は本発明の実施の形態におけるガスセンサを用いた自動車におけるガスセンサ出力による動作制御サブルーチンを表すフォローチャートである。
【0148】
まず、定置型燃料電池システムについては燃料電池システム全体の動作を司るソフトウエア(以下、メインルーチンという)の実行中に一定時間毎の割り込みにより水素濃度検出を行う場合を想定して説明する。図15はその際のサブルーチンを示す。なお、このサブルーチンは燃料電池システム動作ソフトウエアの一部に書き込まれている。
【0149】
メインルーチンの割り込み発生により図15のサブルーチンにジャンプしてくると、まず、ガスセンサの水素濃度の出力値を読み込む(S11)。この際、図5に示したように燃料電池システムには複数個のガスセンサを設けて水素漏洩を監視しているので、全てのガスセンサの出力を順次読み込んでいる。次に、どれかのガスセンサの水素濃度出力が既定値(例えば2%)を超えたか否かを順次判定する(S12)。もし、どの出力も既定値を超えていなければ、そのままメインルーチンに復帰する(S12のno)。既定値以上の出力が1つでもあれば(S12のyes)、直ちに燃料電池を停止するように制御する。具体的には、まず、燃料供給側の遮断弁52を閉じ(S13)、筐体58内に漏れた水素を大気に開放するために換気扇60を駆動する(S14)とともに水素漏洩の事実を知らせるために警報器59を起動する(S15)。その後、水素漏れフラグをONにして(S16)メインルーチンに復帰する。メインルーチンでは水素漏れフラグにより燃料電池を安全に停止するようシステムを制御する。
【0150】
次に、携帯型または可搬型燃料電池システムについて説明する。これも定置型燃料電池システムと同様に、燃料電池制御回路基板内に搭載された燃料電池システム全体の動作を司るメインルーチンの実行中に、一定時間毎の割り込みにより水素濃度検出を行う場合を想定して説明する。図16はその際のサブルーチンを示す。なお、このサブルーチンは燃料電池システム動作ソフトウエアの一部に書き込まれている。
【0151】
メインルーチンの割り込み発生により図16のサブルーチンにジャンプしてくると、まず、ガスセンサの水素濃度の出力値を読み込む(S21)。水素濃度出力が既定値(例えば2%)を超えていれば(S22のyes)直ちに燃料電池の発電を停止させる(S23)とともに、筐体内に内蔵した二次電池の電力でファンを最大回転数で動作させ漏れた水素を筐体外へ排出する(S24)。その後、S21に戻りガスセンサの出力が既定値を下回るまでファンを回し続ける。
【0152】
なお、この場合、二次電池は燃料容器に満充填した水素の体積の少なくとも50倍以上の体積の空気を供給するのに必要なファン駆動電力を充電できる容量を有しているので、仮に燃料容器に満充填した水素がすべて漏洩したとしても、それ全体を水素濃度監視レベル(既定値)である2%以下に希釈できるだけの空気をファンにより送り続けることができ水素の爆発燃焼の可能性を極めて低減できる。
【0153】
ガスセンサの水素濃度出力が既定値を超えていなければ(S22のno)二次電池の充電状態を調べる(S25)。もし、満充電であればそのままメインルーチンに復帰する(S25のyes)。満充電でなければ(S25のno)燃料電池の発電が停止している場合は起動し(S26)、燃料電池で発電している電力の一部を二次電池に充電する動作を行い(S27)メインルーチンに復帰する。
【0154】
このように動作させることにより二次電池は常に満充電状態となるので、いつ水素が漏れてもその全量を既定値以下に希釈することができ極めて高い安全性が常に確保できる。
【0155】
また、フローチャートには明記していないが図16のフローチャートは、燃料電池が発電中であるなしにかかわらずガスセンサを動作し続け常に実行するようにしているので、非使用時であっても水素漏洩が起これば自動的にファンを回して排気するとともに、二次電池の充電量が不充分になれば自動的に燃料電池を起動して満充電状態になるまで動作し続けるように制御している。これにより、燃料電池システムの非使用状態が長期間に渡っても常に安全確保が可能なように動作する。なお、この場合ガスセンサは常に動作状態となるが、本実施の形態のガスセンサはマイクロマシン技術によるため低消費電力でありこのような用途にも十分適用できる。
【0156】
次に、自動車について説明する。この場合も定置型燃料電池システムと同様に、メインルーチン実行中に一定時間毎の割り込みにより水素濃度、湿度、温度検出を行う場合を想定して説明する。図17はその際のサブルーチンを示す。
【0157】
メインルーチンの割り込み発生により図17のサブルーチンにジャンプしてくると、まず、各ガスセンサの水素濃度の出力値を読み込む(S31)。さらに、乗車空間102内に設けたガスセンサについては同時に湿度、温度出力を読み込み(S32)、湿度、温度をメインルーチンが参照する記憶領域に保存する(S33)。
【0158】
次に、どれかのガスセンサの水素濃度出力が既定値(例えば2%)を超えたか否かを順次判定する(S34)。もし、どの出力も既定値を超えていなければ、そのままメインルーチンに復帰する(S34のno)。メインルーチンでは記憶領域に保存された乗車空間102内の現在の湿度、温度データをエアコン制御ソフトウエアに渡す。エアコン制御ソフトウエアは受け取った湿度、温度データをもとに、乗車空間102内がユーザーの設定値を基準とした最適な温湿度になるようにエアコンを制御する。
【0159】
一方、既定値以上の水素濃度出力が1つでもあれば(S34のyes)、直ちに燃料電池を停止するように制御する。具体的には、まず、燃料供給側の遮断弁を閉じ(S35)乗車空間102内に漏れた水素を大気に放出するためにエアコンを外気導入にするとともに最大風量で駆動し(S36)、水素漏洩の事実を運転手に知らせるために警報器を起動する(S37)。その後、水素漏れフラグをONにして(S38)メインルーチンに復帰する。メインルーチンでは水素漏れフラグにより燃料電池を安全に停止するようシステムを制御する。
【0160】
以上の制御動作を行うことにより、燃料電池システムや自動車から水素が漏洩しても安全に停止することができ、さらには自動車の乗車空間のエアコン制御も同時に実現できる。
【0161】
なお、図17のフローチャート内には示していないが、空気極側出口の配管内に設置した本実施の形態のガスセンサから出力される圧力値を用いて、燃料電池の空気極に供給する空気圧力をコンプレッサにより最適値に制御することも可能である。
【0162】
【発明の効果】
以上のように本発明は1枚のシリコンからなる基板上に設けた4個の発熱素子と、この4個の発熱素子の裏面にそれぞれ設けた4個の空洞部と、この4個の空洞部を覆うように前記基板に接合したシリコンからなる底板と、前記4個の空洞部のうち2個に貫通するように前記底板に設けたガス導入口とを有し、このガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子の1つと前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の1つとを1組として構成される計2組の検出部で各々ブリッジ回路を形成し、前記2組の検出部の発熱温度が相互に異なるように前記発熱素子に電圧を印加し、前記両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の前記規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における前記湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で前記規格化出力を補正して水素濃度を求めるものであるので、湿気があっても水素濃度と湿度をそれぞれ区別して検出することができる高速応答で低消費電力のガスセンサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態におけるガスセンサのガス検出部の分解斜視図
(b)同センサのガス検出部の完成斜視図
【図2】(a)同センサに用いるヒーターの分解斜視図
(b)同センサに用いるヒーターの完成斜視図
【図3】同センサの検出部の実装状態を示す分解斜視図
【図4】同センサの概略断面図
【図5】同センサを定置型燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図
【図6】同センサを携帯型または可搬型の燃料電池システムに取り付けた際の概略ブロック図
【図7】同センサを用いた燃料電池自動車の概略構造を示す断面図
【図8】同センサの回路構成を説明するための概略回路図
【図9】同センサの高温検出部の加湿下での水素濃度出力特性図
【図10】同センサの高温検出部の湿度とオフセットの相関図
【図11】同センサの高温検出部と低温検出部の湿度とオフセットの相関図および湿度に対する高温出力と低温出力の差(=湿度出力)の相関図
【図12】同センサの湿度出力とオフセット(湿度補正量)の相関図
【図13】同センサの湿度補正後の加湿下での水素濃度出力特性図
【図14】同センサの水素濃度、湿度を計算する手順を示すフローチャート
【図15】同センサを用いた定置型燃料電池システムにおける同センサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャート
【図16】同センサを用いた携帯型または可搬型燃料電池システムにおける同センサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャート
【図17】同センサを用いた自動車における同センサ出力による動作制御サブルーチンを表すフローチャート
【符号の説明】
1 基板
2 高温発熱素子
3 高温発熱素子
4 低温発熱素子
5 低温発熱素子
6 歪検出素子
7 ランド
8 空洞部
9 貫通孔
10 高温検出部
11 低温検出部
12 圧力検出部
13 底板
14 ガス導入口
15 カバー
16 窪み部
17 温度検出部
18 支持台
19 ガス検出部
20 ヒーターパターン
21 アルミナグリーンシート
22 ヒーターランド部
23 金線
24 金ペースト
25 ヒーター
26 台座
27 断熱材料
28 金属円筒
29 ピン
30 キャップ
31 網
32 穴
33 外キャップ
34 外穴
35 検出部
36 検出回路
37 容器
38 取出しケーブル
39 容器フタ
40 耐湿樹脂
41 ガス取込口
42 ネジ部
43 ガスセンサ
44 固定抵抗A
45 固定抵抗B
46 高温検出部用直流電源
47 低温検出部用直流電源
48 マイクロコンピュータ
49 ヒーター電源
50 メモリー
51 水素タンク
52 遮断弁
53 水素加湿器
54 燃料電池スタック
55 コンプレッサ
56 空気加湿器
57 燃料電池制御回路
58 筐体
59 警報器
60 換気扇
61 水素燃料容器
62 減圧弁
63 燃料電池スタック
64 ファン
65 筐体
66 網
67 空気取込口
68 空気導入部分
69 燃料電池制御回路基板
70 二次電池
71 空気排出部分
72 空気排出口
73 ガスセンサ
101 本体
102 乗車空間
103 水素タンク収納空間
104 駆動手段収納空間
105 床下空間
106 タンク
107 外側タンク
108 内側タンク
109 モーター
110 燃料電池スタック
111 タイヤ
112 ハンドル
113 ガスセンサ
Claims (60)
- 1枚のシリコンからなる基板上に設けた4個の発熱素子と、この4個の発熱素子の裏面にそれぞれ設けた4個の空洞部と、この4個の空洞部を覆うように前記基板に接合したシリコンからなる底板と、前記4個の空洞部のうち2個に貫通するように前記底板に設けたガス導入口とを有し、このガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子の1つとガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の1つとを1組として構成される計2組の検出部で各々ブリッジ回路を形成し、前記2組の検出部の発熱温度が相互に異なるように前記発熱素子に電圧を印加し、前記両ブリッジ回路の出力をそれぞれあらかじめ既知の水素濃度から求めた水素感度換算係数で規格化し、両方の前記規格化出力の差から湿度出力を求め、あらかじめ既知の湿度環境下における前記湿度出力と湿度補正量の相関から求めた湿度補正式で前記規格化出力を補正して水素濃度を求めるように構成したガスセンサ。
- 湿度補正式を3次方程式で近似した請求項1に記載のガスセンサ。
- 3次方程式の計算結果をあらかじめメモリーに記憶した計算結果表から得るようにした請求項2に記載のガスセンサ。
- 基板上に検出回路を設けた請求項1に記載のガスセンサ。
- 発熱素子は白金からなる請求項1に記載のガスセンサ。
- 発熱素子の表面にはシリカからなる保護層を設けた請求項1に記載のガスセンサ。
- 発熱素子の形成部の面積は空洞部の断面積より小さくした請求項1に記載のガスセンサ。
- 2組の検出部の間隔はガス導入口を設けた空洞部上に配置した発熱素子と前記ガス導入口がない空洞部上に配置した発熱素子の間隔より広くした請求項1に記載のガスセンサ。
- 底板のうち空洞部に対向しない部分に支持台を接合した請求項1に記載のガスセンサ。
- 発熱素子の形成部の一部に孔を設けるとともに、4個の窪み部を有し、4個の発熱素子の上方にそれぞれ前記4個の窪み部が配置されるようにシリコンのカバーを接合した請求項1に記載のガスセンサ。
- カバーの一部に温度検出部を形成した請求項10に記載のガスセンサ。
- 温度検出部を白金で構成した請求項11に記載のガスセンサ。
- 温度検出部の表面にはシリカからなる保護層を設けた請求項11に記載のガスセンサ。
- 温度検出部の裏面に窪み部を設けた請求項11に記載のガスセンサ。
- 温度検出部の形成部分の面積は窪み部の断面積より小さくした請求項11に記載のガスセンサ。
- 温度検出部の形成部分の一部に孔を設けた請求項11に記載のガスセンサ。
- 温度検出部はカバーの上面中央に形成した請求項11に記載のガスセンサ。
- 基板の一部にダイアフラムを有する圧力検出部を設けた請求項11に記載のガスセンサ。
- ダイアフラムの下部空間は底板により1気圧の圧力下で密閉した請求項18に記載のガスセンサ。
- 圧力検出部は2組の検出部の間に設けた請求項18に記載のガスセンサ。
- 圧力検出部は温度検出部の裏面に設けた窪み部の直下に配置した請求項20に記載のガスセンサ。
- 温度検出部の裏面に設けた窪み部の断面積はダイアフラムの面積より大きくした請求項21に記載のガスセンサ。
- 支持台と底板との接合面の対向面は、電気絶縁性を有する断熱材料からなる台座の一部と接合した請求項9に記載のガスセンサ。
- 断熱材料は黒色である請求項23に記載のガスセンサ。
- 台座は支持台を接合していない部分に断熱材料を貫通する複数のピンを有する請求項23に記載のガスセンサ。
- 台座にはキャップが被せられ、このキャップには基板と非対向の位置に穴を設けた請求項23に記載のガスセンサ。
- キャップの外側にはさらに外キャップが被せられ、この外キャップにはキャップに設けた穴と非対向の位置に外穴を設けた請求項26に記載のガスセンサ。
- 穴または外穴にはステンレス製の網を溶接接合した請求項26または27に記載のガスセンサ。
- キャップの内面は黒色である請求項26に記載のガスセンサ。
- キャップの内面は黒色クロムメッキで着色した請求項29に記載のガスセンサ。
- 4個の発熱素子の発熱温度は水の沸点以上である請求項1に記載のガスセンサ。
- 2組の検出部の発熱温度差は50℃以上である請求項1に記載のガスセンサ。
- 4個の発熱素子の発熱温度が周囲温度によらず一定になるように、各ブリッジ回路の印加電圧を温度検出部の出力により制御するようにした請求項11に記載のガスセンサ。
- 制御を行う回路を基板上に設けた請求項33に記載のガスセンサ。
- 基板の近傍にヒーターを設けた請求項1に記載のガスセンサ。
- ヒーターを支持台と台座の間に設け、前記台座とヒーターおよび支持台とを接合した請求項35に記載のガスセンサ。
- ヒーターはアルミナ基板上に白金ペーストの厚膜を形成して構成した請求項35に記載のガスセンサ。
- アルミナ基板はアルミナグリーンシートを焼成して得た請求項37に記載のガスセンサ。
- ヒーターは電力供給のためのヒーターランド部を除き2枚のアルミナグリーンシートの間に白金ペーストの厚膜からなるヒーターパターンを有する構成であり、これらを一括焼成して得た請求項38に記載のガスセンサ。
- ヒーターランド部の表面は金ペーストで形成した請求項39に記載のガスセンサ。
- ヒーターランド部には金ペーストで固定した金線が接続され、前記金線の他端を台座のピンと接続した請求項40に記載のガスセンサ。
- ヒーターの発熱温度はカバーに設けた温度検出部の出力に応じて一定温度になるようにヒーターへの供給電力を制御するようにした請求項35に記載のガスセンサ。
- 温度出力はヒーター制御信号と周囲温度の相関から前記ヒーターへの制御信号を前記周囲温度に換算することで行う請求項42に記載のガスセンサ。
- ヒーターの発熱温度は水の沸点以上である請求項35に記載のガスセンサ。
- 2組の検出部の発熱温度はヒーターの発熱温度より高くした請求項35に記載のガスセンサ。
- 2組の検出部の発熱温度差は50℃以上である請求項45に記載のガスセンサ。
- 請求項1から46のいずれか1つに記載のガスセンサが燃料電池を収納した筐体の一部または燃料電池スタックの空気極側出口配管の一部に設けられ、前記燃料電池からの水素ガスの漏洩を前記ガスセンサで検知すると警報を発するとともに前記筐体内の換気を行い前記燃料電池を停止するよう制御するように構成した燃料電池システム。
- 燃料電池または水素燃料容器の少なくとも1つと燃料電池制御回路基板が1つの筐体に内蔵され、前記燃料電池制御回路基板の一部に請求項1から46のいずれか1つに記載のガスセンサを設けた燃料電池システム。
- 燃料電池と、この燃料電池に水素燃料を供給する燃料容器と、前記燃料電池に空気を供給するファンと、請求項1から46のいずれか1つに記載のガスセンサを搭載し、かつ、前記燃料電池およびファンを制御する燃料電池制御回路基板と、前記燃料電池の発電電力の一部を充電する二次電池とが1つの筐体に内蔵され、前記ガスセンサが既定値以上の水素を検知すると前記燃料電池を停止するとともに、既定値以下の水素濃度になるまで前記二次電池の電力で前記ファンを最大回転数で動作させるように構成した請求項48に記載の燃料電池システム。
- ファンは筐体の一部に設けた空気取込口の近傍で、前記筐体の外部の空気を前記筐体の内部全体に送風できる位置に配置した請求項49に記載の燃料電池システム。
- 燃料電池の空気導入部分はファンに向かって開口した構成とする請求項50に記載の燃料電池システム。
- 燃料電池の空気排出部分は筐体の一部に設けた空気排出口に向かって開口した構成とする請求項49に記載の燃料電池システム。
- 空気排出口の面積は空気取込口の面積より大きくした請求項52に記載の燃料電池システム。
- 空気取込口と空気排出口は筐体内で最も離れた壁面上にそれぞれ設けた請求項52に記載の燃料電池システム。
- 空気取込口と空気排出口にはステンレス製の網を設けた請求項52に記載の燃料電池システム。
- ガスセンサが既定値以上の水素を検知していない時は、常に二次電池が満充電になるように燃料電池を動作させるように構成した請求項49に記載の燃料電池システム。
- 燃料電池が発電中であるか否かにかかわらずガスセンサを動作し続けるように構成した請求項49または56に記載の燃料電池システム。
- 二次電池は燃料容器に満充填した水素の体積の少なくとも50倍以上の体積の空気を供給するのに必要なファン動作電力を充電できる容量を有する請求項49に記載の燃料電池システム。
- 二次電池はリチウムイオン電池である請求項49に記載の燃料電池システム。
- 請求項1から46のいずれか1つに記載のガスセンサを乗車空間の上部に配置し、前記ガスセンサの湿度出力および温度出力をもとに前記乗車空間が最適な温湿度になるように前記乗車空間の一部に設けたエアコンを制御するとともに、前記ガスセンサの水素濃度出力から前記乗車空間内の水素濃度が既定値以上であれば警報を発するとともに前記乗車空間内の換気を行い水素供給源を遮断するように制御する構成とした自動車。
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