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JP2004190717A - 転動装置 - Google Patents

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JP2004190717A
JP2004190717A JP2002356752A JP2002356752A JP2004190717A JP 2004190717 A JP2004190717 A JP 2004190717A JP 2002356752 A JP2002356752 A JP 2002356752A JP 2002356752 A JP2002356752 A JP 2002356752A JP 2004190717 A JP2004190717 A JP 2004190717A
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rolling
rolling device
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resin
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Toyohisa Yamamoto
豊寿 山本
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Abstract

【課題】水又は各種洗浄溶液と接触するような環境下や潤滑不良が生じやすい厳しい潤滑条件下においても摩耗が生じにくく長寿命で、容易に製造可能な転動装置を提供する。
【解決手段】玉軸受1は内輪2,外輪3,複数の玉4,保持器5を備えるとともに、内輪2及び外輪3が耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物で構成され、玉4がセラミックで構成されている。そして、玉4は1mm当たり500〜10000個のポアを有し、全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック製の転動体を備える転動装置に係り、特に、半導体,液晶パネル,ハードディスク等(以降は「半導体等」と記す)の製造行程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等に組み込まれる転動装置のように、水又は各種洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような環境下又はドライ環境下において好適に使用される転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ等の転動装置の潤滑は、一般に、潤滑油,グリース等の潤滑剤を転動装置の内部に封入する等の方法によって行われている。
例えば、実開昭55−34002号公報や実開昭57−56218号公報には、軸受内部空間に充填された潤滑油又はグリースによって潤滑を行うとともに、接触形シール部材やラビリンスシールによって水等が軸受内部へ侵入することを防止した転動装置が記載されている。
【0003】
また、特公平8−26891号公報及び特許第2709119号公報には、耐食性材料製の軌道輪と、硬質カーボン製の転動体と、自己潤滑性材料製の保持器と、を備えた転動装置が記載されている。そして、特公平8−26891号公報に記載の転動装置が備える保持器は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)で構成されており、特許第2709119号公報に記載の転動装置が備える保持器は、直径が2μm以下のチタン酸カリウムウィスカーを含有するエチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)で構成されている。このような転動装置においては、転動体と保持器との摩擦接触により、保持器を構成する自己潤滑性材料が転動体や軌道輪に移着し薄い潤滑膜を形成し、該潤滑膜によって潤滑が行われる。
【0004】
一方、転動装置には、従来から、その転動体をセラミックで構成したものがある。
セラミック製転動体は、通常は、セラミック粉末を加圧し高温下で焼結成形することにより製造されている。そして、機械的強度が高くなるように、焼結成形時に内部に気孔、すなわちポアが形成されないように製造される。
【0005】
例えば、特開昭63−101519号公報には、窒化ケイ素を主成分とする材料を焼結して製造したセラミック製転動体が記載されている。このセラミック製転動体は、以下のような手順で製造される。まず、窒化ケイ素粉末及び焼結助剤を、例えば平均粒径1.0μm以下に粉砕して混合し、それに溶剤を加えて混練して平均粒径100〜150μmに造粒する。そして、この造粒粉を金型に充填しプレスすることにより成形体を得る。この成形体を脱脂した後、常圧焼結処理、さらには等方加圧焼結処理(HIP法)を施し、得られた焼結体にバレル研磨等を施して表面を仕上げる。
【0006】
また、特開2000−9146号公報には、ある程度大きなポアが存在するセラミック製(窒化ケイ素製)転動体が記載されている。このセラミック製転動体の製造手順は、上記のものとほぼ同様であるが、常圧焼結処理とHIP法の代わりに、窒素ガス雰囲気下,約1800℃,10気圧未満の圧力,処理時間4時間という条件の焼結処理を施す。
【0007】
【特許文献1】
実開昭55−34002号公報
【特許文献2】
実開昭57−56218号公報
【特許文献3】
特公平8−26891号公報
【特許文献4】
特許第2709119号公報
【特許文献5】
特開昭63−101519号公報
【特許文献6】
特開2000−9146号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開昭55−34002号公報に記載の転動装置は、軸受の作動に伴ってシールリップ部の摩耗が進行するので、軸受内部に水等が侵入し潤滑剤(グリース)が軟化,劣化して、潤滑剤の潤滑性が著しく低下するおそれがあった。この転動装置は保持器が自己潤滑性を有さない金属材料で構成されているため、前述のように潤滑性が低下すると、保持器と転動体等との接触面において金属材料同士の直接接触が生じて、軸受の寿命が極端に短くなる場合があるという問題があった。
【0009】
また、前述のように軸受内部に水等が侵入してグリースが軟化すると軸受外部への漏出や飛散が著しく増加するため、転動装置の外部環境を汚染するという問題点を有していた。特に、前記半導体等の製造工程においては、ウエハ,ガラス基板,アルミ基板に、軸受から漏出したグリース等のゴミや不純物が付着すると、欠陥,短絡等の不良の原因となるおそれがある。
【0010】
また、実開昭57−56218号公報に記載の転動装置はラビリンスシールを備えているが、ラビリンスシールのすきま空間から水等が侵入してグリースが軟化,劣化して、実開昭55−34002号公報の場合と同様の問題を生じるおそれがあった。
さらに、特公平8−26891号公報や特許第2709119号公報に記載の転動装置は潤滑油又はグリースを使用していないから、転動装置の外部環境を汚染するという心配はない。しかしながら、特公平8−26891号公報に記載の転動装置は、2つの軌道輪の間の転動体が備えられた空間に水を導入する開口部を備えており、また、特許第2709119号公報に記載の転動装置は、非接触形のシールド板を備えているので、水,各種洗浄液あるいは微細なゴミ,研磨粉,摩耗粉等は、前記開口部や前記シールド板とこれに対向する面との間を通って軸受内部に侵入するおそれがある。
【0011】
この両転動装置の転動体は硬質カーボン製であり、硬質カーボンの硬さは軌道輪の1.5倍以上であるが、硬質カーボンは強度が低いので、軽荷重条件(動等価荷重が基本動定格荷重の10%以下となるような荷重条件)以外の場合、例えば、衝撃的な荷重が負荷した場合や微細なゴミ,研磨粉,摩耗粉等が侵入した場合等には、硬質カーボン製の転動体が破損するおそれがある。破損が生じるとその破片を噛み込んでしまい、軸受の寿命が極端に短くなるおそれがある。
【0012】
また、水や各種洗浄液が軸受内部に侵入すると、転動体と保持器との摩擦接触によって保持器の構成材料が転動体等へ移着することが阻害されて、潤滑膜が十分に形成されないので、比較的短時間で軸受のトルクや振動が増大して寿命に至る場合があるという問題があった。
さらに、特公平8−26891号公報に記載の転動装置が備える保持器はポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)で構成されているので、保持器の強度が低く、耐摩耗性に劣る。よって、保持器が異常に摩耗して転動装置から外部環境に大量の粒子が飛散したり、転動装置のトルクが著しく上昇して寿命に至るおそれがあった。
【0013】
一方、特開昭63−101519号公報に記載の方法によれば、内部にほとんどポアを有さない、高強度・高品質なセラミック製転動体を製造できる。しかしながら、1000気圧程度の非常な高圧を負荷するHIP法により製造するので、製造コストが極めて高い。よって、高荷重が負荷され高い信頼性が要求される工作機械等のような用途に、使用が限定されている。
【0014】
これに対して、前記半導体等の製造工程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等に組み込まれる転動装置には、耐摩耗性は要求されるものの、荷重条件が比較的低いので高い耐荷重性は要求されない。したがって、物性的には、HIP法により製造されたセラミック製転動体を使用する必要はなく、しかも、前述のようにHIP法によるセラミック製転動体は高価であるため、前述の各種洗浄装置や食品用機械等のような用途にはほとんど使用されていない。
【0015】
また、特開2000−9146号公報に記載のセラミック製(窒化ケイ素製)転動体は、その表面及び内部に相当円直径3〜30μmのポアを1mm当たり100個以上有している。しかし、特開2000−9146号公報には、ポアの個数の上限,ポアの形態と耐摩耗性,潤滑剤の保持性との関連性に関しては何ら記載されていない。相当円直径3〜30μmのポアの1mm当たりの個数が100個以上という条件を満たしていたとしても、ポアの個数が多すぎるとセラミック製転動体の表面で微細な脱落や摩耗が生じるため、転動装置の外部環境を汚染するおそれがある。
【0016】
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、水又は各種洗浄溶液と接触するような環境下や潤滑不良が生じやすい厳しい潤滑条件下においても摩耗が生じにくく長寿命で、容易に製造可能な転動装置を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置は、回転運動可能又は直線運動可能な可動子と、該可動子を回転運動可能又は直線運動可能に支持する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に転動自在に配設されたセラミック製の転動体の複数と、を備えるとともに、動等価荷重が基本動定格荷重の10%以下となるような荷重条件下において使用される転動装置において、前記可動子及び前記支持体の少なくとも一方は、耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物で構成され、前記転動体は1mm当たり500〜10000個のポアを有し、全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上であることを特徴とする。
【0018】
なお、本発明においては、相当円直径とは、画像解析等によって求めたポアの断面積Sから、下記式によって求めた直径Dを意味するものである。
D=√(4S/π)
全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上であれば、水や各種洗浄溶液が転動装置の内部に侵入して潤滑条件が厳しくなる環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜や潤滑剤として作用する周囲の水分を、前記ポアに効果的に保持することができる。また、ドライ環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜を、前記ポアに効果的に保持することができる。よって、本発明の転動装置は、前述のような2つの厳しい潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命であり、長期間にわたって安定して作動することができる。
【0019】
全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%未満であると、前述の潤滑膜や水分を保持するポアの数が不十分となるため、転動装置のトルクや振動が短期間で増大し寿命に至るおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合は60%以上であることがより好ましい。
【0020】
また、転動体が1mm当たり500〜10000個のポアを有していれば、前述と同様に、水や各種洗浄溶液が転動装置の内部に侵入して潤滑条件が厳しくなる環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜や潤滑剤として作用する周囲の水分を、前記ポアに効果的に保持することができる。また、ドライ環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜を、前記ポアに効果的に保持することができる。よって、本発明の転動装置は、前述のような2つの厳しい潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命であり、長期間にわたって安定して作動することができる。
【0021】
転動体が有するポアの個数が1mm当たり500個未満であると、前述の潤滑膜や水分を効果的に保持するポアの数が不十分となるので、転動装置のトルクや振動が短期間で増大し寿命に至るおそれがある。一方、10000個超過であると、クラックが伝播しやすくなるため、摩耗粉が多量に発生したり割れが生じたりして、転動装置が極端に短寿命となったり、摩耗粉により外部環境を汚染したりするおそれがある。
【0022】
以上のように、本発明の転動装置は、実用上十分な耐荷重性を有しており、また、前記半導体等の製造工程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等のような、水又は各種洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような環境下や、ドライ環境下おいても摩耗が生じにくく長寿命である。なお、水又は各種洗浄溶液と接触するような環境とは、例えば、水又は各種洗浄溶液中に浸漬された場合、水又は各種洗浄溶液のミスト中に置かれた場合、あるいは水又は各種洗浄溶液の飛沫が飛散してくるような環境下に置かれた場合等がある。
【0023】
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、請求項1記載の転動装置において、前記可動子と前記支持体との間に前記転動体を転動自在に保持する樹脂組成物製の保持器を備えることを特徴とする。
このような構成であれば、可動子,支持体から転動体の表面に樹脂組成物が移着することに加えて、保持器を構成する自己潤滑性に優れる樹脂組成物も転動体の表面に効果的に移着するので、該転動装置の潤滑性がより向上して、より長期にわたって安定して作動可能となる。
【0024】
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置は、請求項1又は請求項2に記載の転動装置において、前記転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が15μmを超えるポアの割合が1%以下であり、且つ、前記転動体が有する全てのポアのうち最大のポアの相当円直径が70μm以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、クラック発生の起点となりやすい大きなポアの数が少ないので、前記転動体の表面の摩耗や脱落が生じにくい。このことに加えて、樹脂組成物で構成された可動子,支持体,保持器をポアのエッジにより摩耗させることが抑制される。よって、このような転動装置は、転動装置から生じる摩耗粉により外部環境を汚染することが非常に少ないので、前記半導体等の製造工程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等に組み込まれる転動装置として特に好適である。
【0025】
前記転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が15μmを超えるポアの割合が1%を超えたり、最大のポアの相当円直径が70μmを超える場合には、大きなポアを起点としてクラックが発生,伝播しやすくなり、また、樹脂組成物で構成された可動子,支持体,保持器を大きなポアのエッジにより摩耗させやすい。よって、摩耗粉が多量に発生したり割れが生じたりして、転動装置が極端に短寿命となったり、摩耗粉により外部環境を汚染したりするおそれがある。
【0026】
なお、本発明の転動装置は、転動体をセラミックで構成しているので、耐食性及び耐熱性に優れ、剛性が高い。
また、本発明は、種々の転動装置に適用することができ、例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等があげられる。
本発明における前記可動子とは、転動装置が転がり軸受の場合には回転輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。また、前記支持体とは、転動装置が転がり軸受の場合には固定輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
この玉軸受1(呼び番号6000,内径10mm,外径26mm,幅8mm)は、内輪2と、外輪3と、内輪2と外輪3との間に転動自在に配設された複数の玉(転動体)4と、複数の玉4を転動自在に保持する樹脂組成物製の保持器5と、を備えている。なお、内輪2が本発明の構成要件たる可動子に相当し、外輪3が本発明の構成要件たる支持体に相当する。
この内輪2及び外輪3は表1に示すような耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物で構成されており、玉4は表1に示すような窒化ケイ素で構成されている。
【0028】
【表1】
Figure 2004190717
【0029】
表1の窒化ケイ素は、それぞれ下記のような方法によって製造されたものである。窒化ケイ素1は常圧焼結法(窒素ガス雰囲気下)により製造されたものであり、窒化ケイ素2は、反応焼結法によって得られた焼結体に焼結助剤の塩溶液を含浸させた後、窒素ガス雰囲気中で8気圧程度の圧力で焼結処理することにより製造されたものである。また、窒化ケイ素3は常圧焼結法(窒素ガス雰囲気下)により製造されたものであり、焼結条件(温度と時間)が窒化ケイ素1とは異なっている。さらに、窒化ケイ素4は窒素ガス雰囲気中で8気圧程度の圧力で焼結処理することにより製造されたものであり、窒化ケイ素5は1000気圧程度のHIP法によって製造されたものであり、ポアの個数が非常に少なく高強度である。
【0030】
このような方法により製造した窒化ケイ素1〜5製の玉について、表面及び内部に存在するポアの相当円直径と個数とを、以下の方法により測定した。
玉の断面を金属顕微鏡を用いて200倍の視野で観察し、その観察面の画像にパーソナルコンピュータを用いて白黒の2値化処理を施した(ポアの部分が白色となるように処理する)。そして、画面上の各ポアの面積を測定し、各々のポアの面積と同じ面積を有する円の直径、すなわち相当円の直径を算出する。このようにして、各玉の断面のポアの相当円直径及び個数を評価した。
【0031】
その結果を表2に示す。表2から分かるように、窒化ケイ素1製の玉及び窒化ケイ素2製の玉は、ポアに関する本発明の前述の条件を全て満たしている。それに対して、窒化ケイ素3製の玉は内部の組織が不均一であり、ポアに関する本発明の前述の条件(1mm当たりのポアの個数,相当円直径が15μmを超えるポアの割合,及び最大のポアの相当円直径)を満たしていない。また、窒化ケイ素4製の玉及び窒化ケイ素5製の玉はポアの個数が非常に少なく、ポアに関する本発明の前述の条件(1mm当たりのポアの個数)を満たしていない。
【0032】
【表2】
Figure 2004190717
【0033】
次に、内輪2及び外輪3を構成している耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物について説明する。まず、該樹脂組成物の原材料である耐熱性樹脂,繊維状充填材等を一括して示す。
(1)ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS):フィリップスペトローリアム社製ライトンR−6
(2)ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF):呉羽工業株式会社製クレハKFポリマーT−#1000
(3)熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI):三井化学株式会社製オーラム 400
(4)ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK):ビクトレックス社製ビクトレックスPEEK 150G
(5)PEEKとポリベンゾイミダゾール樹脂(PBI)とのブレンド物:ヘキスト−セラニーズ社製セラゾール TU−60
(6)ポリエーテルニトリル樹脂(PEN):出光マテリアル社製ID300
(7)炭素繊維:呉羽化学工業株式会社製クレカチョップM−102S、直径14.5μm,長さ0.2mm
(8)チタン酸カリウムウィスカー:大塚化学株式会社製ティスモD−101、直径0.3〜0.6μm,長さ10〜20μm
(9)アラミド繊維:群栄化学工業株式会社製カイノール繊維KF02BT、直径14μm,長さ0.2mm
(10)微細炭素繊維:昭和電工株式会社製気相法炭素繊維VGCF、直径100〜200nm,長さ10〜20μm
(11)黒鉛:株式会社中越黒鉛工業所製CLX、平均粒径4.5μm
これらの原材料を表1に示すように組み合わせて、慣用の方法で混合し樹脂組成物を得た。配合比率は表1に示す通りである。そして、得られた樹脂組成物を溶融成形することにより、玉軸受の内輪及び外輪を製造した。
【0034】
なお、保持器5は、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)(80質量%)にチタン酸カリウムウィスカー(20質量%)を配合した樹脂組成物で構成された冠形保持器であり、射出成形により製造されたものである。ただし、軸受に組み込まれる保持器の種類は特に限定されるものではなく、例えば、かご形保持器,つの形保持器,波形保持器等でもよい。
【0035】
このような軸受について、水又は各種洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような環境下における耐久性を評価した。すなわち、図2に示すような日本精工株式会社製の軸受回転試験機を用いて、純水噴霧環境下において回転試験を行った。回転試験の条件は、回転速度=1000min−1,ラジアル荷重=49N,温度=常温である。このラジアル荷重(動等価荷重)は、各軸受の基本動定格荷重の10%以下となるような数値である。
【0036】
また、軸受の耐久性は回転試験時の振動値によって評価し、振動値が初期値の3倍に上昇した時点を軸受の寿命とした。各軸受の耐久性の評価結果を、表1にまとめて示す。なお、表1の耐久性の数値は、比較例1の軸受の耐久性を1とした場合の相対値で示してある。
表1から分かるように、実施例1〜8は、比較例1〜4と比べて格段に長寿命であった。これは、ある程度の数のポアが玉の表面に存在した方が、自己潤滑性に優れる樹脂組成物が内外輪や保持器から十分に転移し、玉の表面に潤滑膜が形成されたり、潤滑剤として作用する周囲の水分がポアに効果的に保持されたりして、潤滑性が向上するためであると考えられる。比較例1,2が短寿命であるのは、窒化ケイ素3は最大ポアの相当円直径が70μmを超えるために、樹脂組成物で構成された内輪,外輪,保持器の摩耗が促進されることが原因であると考えられる。また、比較例3,4が短寿命であるのは、窒化ケイ素4,5は全ポアのうちの相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%未満であるため、内輪,外輪,保持器と玉との摩擦接触による内輪,外輪,保持器を構成する樹脂組成物の玉への移着が不十分であることが原因であると考えられる。
【0037】
図3に、玉が有する全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合と、1mm当たりのポアの個数とを、窒化ケイ素製の玉の製造方法(焼結の方法及び条件)を変えることによって種々変更した場合の、玉軸受の耐久性(寿命)を示す。なお、図3における寿命は、前述の比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示していて、寿命(相対値)が12以上の場合を◎印で、8以上12未満の場合を●印で、5以上8未満の場合を◇印で、1以上5未満の場合を○印で示している。
【0038】
この場合の玉軸受の耐久性の評価方法と保持器については、前述のものと同様であるが、内輪及び外輪はPVDF(80質量%)に炭素繊維(20質量%)を配合した樹脂組成物で構成した。
図3から、玉が有する全てのポアの個数が1mm当たり500〜10000個であり、且つ全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上である場合に(図3において斜線を付した領域)、軸受が特に長寿命であることが分かる。
【0039】
よって、この結果からも、ある程度の数のポアが転動体の表面に存在した方が、自己潤滑性に優れる樹脂組成物が内外輪及び保持器から十分に転移して、転動体の表面に潤滑膜が形成されるので、その結果、潤滑性が向上して寿命が向上することがわかる。
表1及び図3に示されるように、本実施形態の玉軸受は、従来の玉軸受と比較して、潤滑条件が厳しい環境下においても、保持器等から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜や潤滑剤として作用する周囲の水分を、ポアに効果的に保持することができる。よって、本実施形態の玉軸受は、潤滑条件が厳しい環境下においても耐摩耗性が優れていて長寿命である。
【0040】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0041】
また、本実施形態においては、転動装置として転がり軸受を例示して説明したが、本発明は他の様々な種類の転動装置に対して適用することができる。例えば、リニアガイド装置,ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能である。
さらに、転動体を構成するセラミックの種類は、前述の条件を満たすようなポアを有していれば特に限定されるものではなく、窒化ケイ素(Si)系, 炭化ケイ素(SiC)系,窒化アルミニウム(AlN)系,炭化ホウ素(BC)系, ホウ化チタン(TiB)系,窒化ホウ素(BN)系, 炭化チタン(TiC)系, 窒化チタン(TiN)系、あるいは、これらのうち2種以上を複合させたセラミック系複合材料などを例示できる。
【0042】
また、セラミック製転動体は、上記のセラミックから雰囲気加圧焼結法,常圧焼結法,反応焼結法によって製造することができる。
まず、雰囲気加圧焼結法,常圧焼結法による製造方法について説明する。窒化ケイ素粉末及び焼結助剤を、例えば平均粒径1.0μm以下に粉砕して混合し、それに溶剤を加えて混練して平均粒径100〜150μmに造粒する。この造粒粉を金型に充填しプレスすることにより成形体を得て、脱脂した後に焼結処理を施す。そして、得られた焼結体にバレル研磨等を施して、形状を整えつつ表面を仕上げる。
【0043】
この焼結処理は、雰囲気加圧焼結法の場合は窒素ガス雰囲気中、10気圧未満の圧力下において、常圧焼結法の場合は窒素ガス雰囲気中、常圧下において行われ、温度は例えば1450〜1900℃で、処理時間は0.5〜5時間程度である。
次に、反応焼結法による製造方法について説明する。水素を5〜10体積%含有する窒素ガス雰囲気中で、Si粉末の圧粉体を例えば1200〜1400℃に加熱し、Siを窒化して窒化ケイ素焼結体を得る。
【0044】
この反応焼結体には、さらに再焼結を施してもよい。この場合には、圧粉体を製造する際にSi粉末に焼結助剤を混合して、前述の反応焼結処理を施すとよい。あるいは、前述の反応焼結体に焼結助剤の塩溶液を含浸させた後に、窒素ガス雰囲気中で雰囲気加圧焼結(10気圧未満の圧力下)又は常圧焼結(窒素ガス雰囲気中)を施してもよい。なお、反応焼結法によって製造する場合には、上記のセラミックのうち窒化ケイ素系や炭化ケイ素系のセラミックを用いることができる。
【0045】
さらに、内輪及び外輪を構成する樹脂組成物(耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物)の種類は特に限定されるものではないが、PPSに代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂,PEEK,PEEKとポリベンゾイミダゾールとのブレンド物,PEN,芳香族ポリイミド樹脂(PI),TPI,ポリアミドイミド樹脂(PAI),芳香族ポリエステル樹脂,及び各種含フッ素樹脂等を含有する樹脂組成物が好ましい。
【0046】
この含フッ素樹脂としては、PTFE,テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),ETFE,PVDF,テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE),クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等を例示できる。
【0047】
さらに、保持器を構成する樹脂組成物の種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレン樹脂(PE),ポリプロピレン樹脂(PP),ポリアセタール樹脂(POM),PPSに代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂,PEEK,PEEKとポリベンゾイミダゾールとのブレンド物,PEN,PI,TPI,PAI,芳香族ポリエステル樹脂,及び各種含フッ素樹脂等を含有する樹脂組成物が好ましい。含フッ素樹脂は、前述と同様である。
【0048】
内外輪を構成する樹脂組成物及び保持器を構成する樹脂組成物には、機械的強度,耐摩耗性,寸法安定性,耐熱性等を向上させるために、繊維状充填材を配合することができる。繊維状充填材の種類は特に限定されるものではないが、ホウ酸アルミニウムウィスカー,チタン酸カリウムウィスカー,カーボンウィスカー,アラミド繊維,芳香族ポリイミド繊維,液晶性ポリエステル繊維,グラファイトウィスカー,ガラス繊維,炭素繊維,気相法による微細炭素繊維,カーボンナノファイバー,ボロン繊維,炭化ケイ素ウィスカー,窒化ケイ素ウィスカー,アルミナウィスカー,窒化アルミニウムウィスカー,ウォラストナイト等を例示できる。
【0049】
また、この繊維状充填材のアスペクト比は、3以上200以下であることが好ましい。アスペクト比が3未満であると樹脂の補強効果が不十分となり、200超過であると、樹脂と混合した際に均一に分散させることが困難となる。
さらに、繊維状充填材の添加量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物全体の40質量%以下であることが好ましい。40質量%を超えて添加しても、機械的強度のさらなる向上が期待できないばかりでなく、樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下する。このような不都合がより生じにくくするためには、繊維状充填材の添加量は30質量%以下とすることがより好ましい。
【0050】
さらに、前記両樹脂組成物には、PTFE粉末,黒鉛,六方晶窒化ホウ素(hBN),フッ素雲母,メラミンシアヌレート(MCA),層状の結晶構造を有するアミノ酸化合物(N−ラウロ−L−リジン),フッ化黒鉛,フッ化ピッチ,二硫化モリブデン(MoS)等の固体潤滑剤を適量添加してもよい。
そうすれば、内外輪及び保持器自身の潤滑性がより向上し、保持器と転動体との接触面又は内外輪と転動体との接触面に発生する摩擦力が低下するため、内外輪及び保持器を形成する母材(樹脂)とともに固体潤滑剤が転動体に移着して、軸受の潤滑に寄与する。それとともに、前記接触面に発生する摩擦力が低下するため、転動体に形成された潤滑膜や内外輪,保持器の摩耗が低減される。
【0051】
固体潤滑剤の添加量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物全体の40質量%以下であることが好ましい。40質量%を超えて添加しても、潤滑性のさらなる向上が期待できないばかりでなく、樹脂組成物の機械的強度が低下して内外輪及び保持器の摩耗が増加し、軸受の寿命が短くなるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、固体潤滑剤の添加量は30質量%以下とすることがより好ましい。
【0052】
また、固体潤滑剤の平均粒径は、0.1〜60μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満の小さい粒子では、母材である樹脂と混合した際に凝集が起こりやすく、粒子の分散が不均一となるおそれがある。一方、平均粒径が60μmを超える大きい粒子では、内外輪及び保持器の表面の平滑性が低下するとともに強度が低下するために、軸受の寿命が短くなるおそれがある。
【0053】
このような不都合がより生じにくくするためには、固体潤滑剤の平均粒径は0.1〜20μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることがさらに好ましい。
さらに、繊維状充填材及び固体潤滑剤の合計の添加量は、樹脂組成物全体の60質量%以下であることが好ましい。繊維状充填材及び固体潤滑剤のそれぞれの添加量が40質量%以下であっても、前記両者の合計が60質量%を超えると、溶融成形時の流動性と樹脂組成物の機械的強度とが著しく低下するおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、繊維状充填材及び固体潤滑剤の合計の添加量は、樹脂組成物全体の50質量%以下であることがより好ましい。
【0054】
なお、本発明の目的を損わない範囲内であれば、前記両樹脂組成物には各種添加剤を配合してもよい。例えば、酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,光保護剤,難燃剤,帯電防止剤,流動性改良剤,非粘着性付与剤,結晶化促進剤,増核剤,顔料,染料等を例示することができる。
これらの樹脂,繊維状充填材,固体潤滑剤等を混合して樹脂組成物とする方法は特に限定されるものではなく、慣用の混合方法を問題なく採用することができる。例えば、両者を各々別々に溶融混練機に供給して混合することも可能であるし、また、予め全ての原料をヘンシェルミキサー,タンブラー,リボンミキサー,ボールミル等の混合機で予備混合した後に、溶融混合機へ供給して混合することもできる。溶融混合機としては、単軸又は二軸押出機,混練ロール,加圧ニーダ,バンバリーミキサー,ブラベンダープラストグラフ等の公知の溶融混練装置が使用できる。溶融混練する際の温度は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂の溶融が十分進行し、且つ熱分解しない程度の温度範囲内で適宜選択する。
【0055】
さらに、内外輪及び保持器の製造方法は特に限定されるものではなく、慣用の方法を問題なく採用することができる。例えば、射出成形法,圧縮成形法,トランスファー成形法等の通常の方法で成形することができる。この中でも射出成形法は、生産性に優れ、安価な内外輪及び保持器を製造できるため好ましい。
さらに、本発明の転動装置を構成する部材のうち、セラミックで構成される転動体及び前記両樹脂組成物で構成される部材以外の部材の材質は、特に限定されるものではなく、転がり軸受を構成する材料として通常使用されるものを問題なく使用することができる。ただし、耐食材料を用いることがより好ましく、例えば、ステンレス鋼系金属材料(SUS440C,SUS304,SUS630等),チタン合金,セラミック材料(窒化ケイ素,ジルコニア,アルミナ,炭化ケイ素等)があげられる。そして、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転動装置は、セラミック製の転動体が所定のポアを有しているので、水又は各種洗浄溶液と接触するような環境下や潤滑不良が生じやすい厳しい潤滑条件下においても摩耗が生じにくく長寿命で、容易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】軸受の耐久性を評価する軸受回転試験機の構造を示す概略図である。
【図3】転動体が有するポアと玉軸受の耐久性との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 玉
5 保持器

Claims (3)

  1. 回転運動可能又は直線運動可能な可動子と、該可動子を回転運動可能又は直線運動可能に支持する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に転動自在に配設されたセラミック製の転動体の複数と、を備えるとともに、動等価荷重が基本動定格荷重の10%以下となるような荷重条件下において使用される転動装置において、
    前記可動子及び前記支持体の少なくとも一方は、耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物で構成され、
    前記転動体は1mm当たり500〜10000個のポアを有し、全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上であることを特徴とする転動装置。
  2. 前記可動子と前記支持体との間に前記転動体を転動自在に保持する樹脂組成物製の保持器を備えることを特徴とする請求項1に記載の転動装置。
  3. 前記転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が15μmを超えるポアの割合が1%以下であり、且つ、前記転動体が有する全てのポアのうち最大のポアの相当円直径が70μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転動装置。
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