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JP2004176112A - 薄膜の製造方法およびその方法により製造される微粒子を成分とする薄膜 - Google Patents

薄膜の製造方法およびその方法により製造される微粒子を成分とする薄膜 Download PDF

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JP2004176112A
JP2004176112A JP2002342425A JP2002342425A JP2004176112A JP 2004176112 A JP2004176112 A JP 2004176112A JP 2002342425 A JP2002342425 A JP 2002342425A JP 2002342425 A JP2002342425 A JP 2002342425A JP 2004176112 A JP2004176112 A JP 2004176112A
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thin film
pigment
substrate
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water
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Junichi Katano
淳一 片野
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

【課題】ミセル電解法を用いて疎水性粒子からなる薄膜を製造する際に疎水性粒子間の凝集力を向上させることで、膜強度の高い、均一な薄膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、疎水性粒子を水性溶媒中でフェロセン誘導体よりなるミセル化剤を用いて可溶化し、得られたミセル溶液すなわち分散液を電解処理して電極上に、前記疎水性物質の薄膜を形成する薄膜の製造方法において、前記製造方法により得られた薄膜を凝集処理する。これによって、膜強度の高い、均一な薄膜が得られる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜の製造方法に関する。特にミセル電解法を用いて薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、液晶用カラーフィルタおよび太陽電池等に用いられる薄膜の製造方法としてミセル電解法が鋭意研究開発され、開発の対象とされている。特に、ミセル電解法により製造された薄膜は、液晶用カラーフィルタに用いられることで注目されている。ミセル電解法が注目されている理由として以下の理由が挙げられる。
【0003】
(1)カラーフィルタ層の成膜に大きい電圧を必要しないことである。
【0004】
ミセル電解法によれば、銀/塩化銀参照電極を基準として1ボルト未満の電圧でカラーフィルタ膜を形成できる。
【0005】
(2)赤、青、緑の各色のカラーフィルタ層の位置合わせ(アライメント)が容易なことである。
【0006】
カラーフィルタを形成する古典的な方法の一つに、各色毎にフォトレジストでマスクを作り、このマスクによって各色の場所にそれぞれ対応する色の顔料を積層する手法(フォトリソグラフィー)がある。このような手法は、フォトレジストでパターンを作る際に位置合わせが非常に煩雑な作業となりがちであり、しばしばマスク位置がずれてしまうこともある。これに対して、ミセル電解法は、液晶に電圧を印加する電極をそのままミセル電解法の電極として利用することができるので、特に精度の高い露光装置を用いなくても正確に電極の上に所望の顔料を蓄積させることができるのである。
【0007】
(3)基板サイズに合わせて大型化するフォトリソグラフィー装置で高精度を維持することは、技術的に困難であることが容易に想像できる。
【0008】
現在、ディスプレイ用のガラス基板(マザーガラス)は、サイズ拡大の一途を辿り、第5世代と呼ばれるカテゴリーでは、ガラス基板のサイズが1辺1mを突破した。加えて、第六世代になると1辺が1.5mを超える規格が登場している。液晶ディスプレイの画素を構成する単位部品のサイズは、ミクロンからサブミクロンの精度で位置合わせが必要である。しかし、ミセル電解法は、下地の電極パターンに沿って起こる電気化学反応により成膜されるため、基板サイズ拡大による位置精度の低下は、原理的には生じない優れた方式である。このようにミセル電解法は、カラーフィルタの成膜に非常に好ましい特性を有している。
【0009】
ここで、ミセル電解法とは、疎水性物質を水性溶媒中でフェロセン誘導体よりなるミセル化剤を用いて可溶化し、得られるミセル溶液を電解処理して、電極上に前記疎水性物質の薄膜を形成する方法である。このミセル電解法は例えば、特許文献1に示されている。
【0010】
また、特許文献2には、カラーフィルタの製造に適したミセル分散液およびその製造方法が記載されている。なお、ミセル分散液は、ミセル溶液と同様の意味である。
【0011】
さらに、ミセル電解法を用いた液晶表示用カラーフィルタの製造方法が特許文献3に記載されている。かかる文献には、透明基板の上に透明電極を形成し、透明電極の上にミセル電解法を着色剤によるカラーフィルタを形成させる方法が記載されている。特に、着色剤たる顔料と疎水性表面を有する透明導電粒子とを含んだミセル溶液を用いたミセル電解法を利用する方法が記載されている。このような方法によれば、カラーフィルタに導電性を持たせることができ、透明電極からの電圧を効率よく液晶に印加することができるとされている。
しかし、従来のミセル電解法による電解成膜直後の顔料膜は、顔料粒子の密着力が弱いためにやわらかく、成膜後の洗浄工程で簡単に剥離してしまう恐れがある。
【0012】
このような問題に対して、従来から種々の工夫がされてきた。
【0013】
例えば、後述する特許文献4には、洗浄工程での膜の剥離を防止するため、洗浄水の表面張力を制御して、膜の剥離を防ぐ方法が開示されている。
【0014】
また、特許文献5には、膜構造補強剤による顔料膜の強度を向上させる方法も開示されている。
【0015】
【特許文献1】
特開昭63−243298号
【特許文献2】
特開2000−256894号
【特許文献3】
特許第3044788号(国際出願番号:PCT/JP94/00780)
【特許文献4】
特許第3290131号
【特許文献5】
特許第1864226号
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献4に開示された方法では、顔料膜本来の強度を向上させていないため、取扱が困難な場合がある。
【0017】
また、上記特許文献5に開示された方法では、昨今のガラス基板の大型化や、行程時間短縮の流れの中で、短時間に多量の基板を処理しなければならないにも関わらず、短時間で基板を洗浄を終了させることができない場合もある。このように、上記特許文献5に開示された方法では、強い洗浄力に耐える顔料膜、すなわち、更なる膜強度の向上を望むことはできない場合がある。
【0018】
上記問題について、本願発明者らが鋭意検討したところ、疎水性粒子を水性溶媒中でフェロセン誘導体よりなるミセル化剤を用いて可溶化し、得られたミセル溶液すなわち分散液をを電解処理して電極上に、前記疎水性物質の薄膜を形成する薄膜の製造方法において、得られた顔料薄膜の密着性を向上させるために、凝集処理をすることによって優れた結果が得られることを見いだした。具体的には、上記方法を採用することによって、顔料膜の密着強度が格段に向上し、取扱が容易になることが判明した。
すなわち、本発明は、成膜直後の顔料膜の強度を向上させ、迅速に安定した品質の顔料薄膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【0019】
【発明が解決しようとする手段】
1.本発明は、疎水性粒子を水性溶媒中でフェロセン誘導体よりなるミセル化剤を用いて可溶化し、得られたミセル溶液すなわち分散液電解処理して電極上に、前記疎水性物質の薄膜を形成する薄膜の製造方法において、得られた顔料薄膜を凝集処理をすることを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、薄膜の密着性が向上する。
【0021】
2.本発明は、前記凝集処理が50℃以上でかつ水の沸点以下の温度での処理であることを特徴とする。
【0022】
水温が50℃以下の条件で上記電解処理により形成した膜を侵漬処理したときには、高強度で均一な膜にならない場合があるからである。より好ましい水温の温度としては、70℃以上である。
【0023】
次に、上記電解処理により形成した膜を水温が50℃以上の条件で侵漬処理する時間としては、5〜600秒が望ましい。処理時間が600秒以上では、上記電解処理により形成した膜にひずみがかかる場合があるからである。また、処理時間が5秒以下では、十分な効果が得られず高強度で均一な膜にならない場合があるからである。ただし、水流を工夫して温水の熱が効率よく薄膜に伝われば、5秒以下の処理時間でも可能である。さらに、より好ましい浸漬処理時間としては、15秒〜100秒である。
【0024】
3.本発明は、前記凝集処理が、pH7.0〜pH3.0の範囲の酸性水溶液で処理することを特徴とする。
【0025】
pH7.0〜pH3.0の範囲の酸性水溶液で上記電解処理で形成した膜を侵漬処理する時間としては、5〜600秒が望ましい。ただし、水流を工夫して温水の熱が効率よく薄膜に伝われば、5秒以下の処理時間でも可能である。さらに、より好ましい侵漬処理時間としては、15秒〜100秒である。
【0026】
また、酸性水溶液は、透明電極に影響しないルイス酸(Lewis Acid)であれば、特に制限はない。例えば、リン酸二水素アンモニウム、ホウ酸、酢酸、酒石酸、蟻酸等が好適に使用することができる。
【0027】
4.本発明は、前記凝集処理が、分散液より浸透圧の高い水系溶媒で処理することを特徴とする。
【0028】
水系溶媒は、浸透圧が高く、薄膜に影響を与えない範囲の水溶液であれば特に制限はない。好ましくは、水系溶媒は塩化ナトリウムのような無機物、酒石酸ナトリウムなどの有機物などを溶解した水溶液である。
【0029】
また、上記電解処理で形成した膜を上記ミセル溶液により浸透圧の高い水溶液媒で処理する時間としては、5〜600秒が望ましい。ただし、水流を工夫して温水の熱が効率よく薄膜に伝われば、5秒以下の処理時間でも可能である。さらに、より好ましい処理時間としては、15秒〜100秒である。
【0030】
上記1〜4の手段に記載される処理を実行することにより、膜にひずみ応力が発生することがある。そこで、この膜に発生するひずみ応力を除去するために、さらに下記手段5〜8に記載される処理を実行することが好ましい。
【0031】
5.本発明は、前記凝集処理の後に、前記電解処理で形成した膜中の顔料薄膜の乾燥工程を実行し、さらに前記顔料薄膜の応力除去行程を実行することを特徴とする。
【0032】
6.本発明は、前記応力除去行程が、溶媒の直接湿澗処理、もしくは溶媒の蒸気にさらすことを特徴とする。
【0033】
7.本発明は、上記溶媒は、アルコールおよび/又はケトンを含む溶媒であることを特徴とする。
【0034】
アルコールおよび/又はケトンを含む溶媒は、好ましくは、エタノール,2−プロパノール、アセトンを含む溶媒であることが望ましい。
【0035】
8.本発明は、前記応力除去行程が熱アニール処理であることを特徴とする。
【0036】
9.本発明は、前記凝集処理の前に、前記薄膜に対して50℃以下の水温の水洗処理を実行する行程を含むことを特徴とする。
【0037】
ここで、凝集処理の前に50℃以下の水で上記電解処理により形成した膜を洗浄することとしたのは、凝集処理により顔料分散液が凝集し、基板および薄膜が乱れるのを防止するためである。また、上記電解処理により形成した膜中に取込まれているフェロセン誘導体界面活性剤を除去するためである。
【0038】
このフェロセン誘導体界面活性剤を除去によって、膜強度の高い、均一な膜を製造することができる。
【0039】
10.本発明は、前記水洗処理後、前記薄膜の凝集処理を行う薄膜の製造方法において、前記水洗処理を実行するときに、薄膜上に気液界面を作らないことを特徴とする。
【0040】
気液界面を作らないことにより、薄膜の乱れを防止することができる。
【0041】
11.前記水洗処理後、前記薄膜の凝集処理を行う薄膜の製造方法において、前記水洗処理から凝集処理へ移行するときに、薄膜上に気液界面を作らないことを特徴とする。
【0042】
同じく薄膜上に気液界面を作らないことにより、薄膜の乱れを防止することができる。
【0043】
12.前記水洗処理後、前記薄膜の凝集処理を行う薄膜の製造方法において、前記凝集処理を実行するときに、薄膜上に気液界面を作らないことを特徴とする。
【0044】
これも同様に薄膜上に気液界面を作らないことにより、薄膜の乱れを防止することができる。
【0045】
13.本発明は、これまで述べた薄膜の製造方法により製造することを特徴とする微粒子を成分とする薄膜である。
【0046】
ここで、微粒子を成分とする薄膜は、上記薄膜の製造方法により製造される薄膜と同様の作用効果を奏する。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施態様について説明する。
【0048】
なお、本発明の実施の形態のフローチャートが図1(1)に従来方法図2(2)との比較において示されている。
【0049】
(1)電解成膜
本発明においては、まず分散剤としてフェロセン誘導体界面活性剤を含有する水性媒体中に疎水性粒子と導電性粒子とを分散させる。
【0050】
ここで、本発明において用いられる疎水性物質としては、表面が疎水性を示す粒子であればよく特に制限されず、様々なものを使用することができる。この疎水性粒子は、疎水性の有機粒子と無機粒子とに分けることができる。
疎水性有機粒子としては、例えば、有機顔料、有機蛍光材料、有機発光材料、有機感光材料、有機ポリマー等が挙げられる。これらの粒子は、特に制限はない。
【0051】
また、疎水性無機粒子としては、粒子表面を疎水化処理した無機粒子、例えば導電性粒子であるITO(インジウムチンオキシド)、酸化錫、亜鉛、又は酸化亜鉛、酸化チタニウム、シリカ、アルミナ等が挙げられる。なお、これらの疎水性の有機粒子又は無機粒子は、その形状や大きさ等に関しては特に制限はないが、好ましくは粒径10μm以下の粉末であることが望ましい。
【0052】
また、用いられるフェロセン系界面活性剤としては、フェロセン誘導体を有効成分として含有する界面活性剤であり、ノニオン性、カチオン性、アニオン性等各種が挙げられる。具体的には、特願昭62−075930号に示されるようなアンモニウム型のフェロセン誘導体、国際出願POT/JP88/00855に示されるようなエーテル型のフェロセン誘導体やエステル型のフェロセン誘導体、特願昭63−052696号に示されるようなピリニジウム型のフェロセン誘導体、さらには特願昭63−233798号、特願昭63−231745号、特願昭63−248601号、特願平01−045370号、特願平01−054956号、特願平01−070680号、特願平01−070681号、特願平01−076498号、特願平01−076498号、特願平01−076499号、特願平02−126616号、特願平05−175058号に示されるような各種フェロセン誘導体を挙げることができる。これらのフェロセン系界面活性剤の中で、下記の化合物が、一般に好ましく用いられる。
【0053】
【化1】
Figure 2004176112
また、水性媒体としては、水をはじめ、水とアルコールの混合液、水とアセトンとの混合液など様々な分散媒体を挙げることができる。この際、分散液の平衡濃度としては、疎水性粒子を分散し得る濃度であればよく、特に制限はないが、通常は10μg/ミリリットル以上である。なお、分散液の平衡濃度の上限は、分散剤が水溶媒体に溶解し得る濃度まで可能であり、特に制限はない。
【0054】
ここで、分散剤の平衡濃度とは、下記の濃度を意味する。通常、分散剤溶液に疎水性粒子を分散させると、分散剤が疎水性粒子表面に吸着する。この吸着により、水溶液中の分散剤濃度が低下する。十分な時間が経過すると吸着が平衡に達し、この分散剤の水溶液中の濃度が一定になる。この状態での水溶液中の分散剤の濃度を平衡状態と称する。平衡濃度の測定は、遠心分離により疎水性粒子を完全に分離し、水溶液中に残存する分散剤の濃度を決定することにより求められる。フェロセン誘導体界面活性剤の濃度は鉄の分析を行えばよい。なお、疎水性粒子の濃度としては、分散できる濃度であればよく、特に制限はない。疎水性粒子の通常の濃度は0.1〜50.0重量%、好ましくは0.5〜30.0重量%である。また、この分散液の平衡濃度の調整は、必要に応じて支持塩(支持電解質)を用いても良い。この支持塩を用いれば、水性媒体の電気伝導度を調整することができるからである。支持塩の添加量は、疎水性粒子の分散を妨げない範囲であれば良い。支持塩の通常の添加量としては、上記分散剤の0〜300倍重量程度の濃度である。好ましくは50〜200倍重量程度の濃度である。なお、上記支持塩を用いなくても、電解処理を実行することは可能である。
【0055】
支持塩を用いない場合には、支持塩を含まない純度の高い薄膜を得ることができる。また、支持塩を用いる場合、その支持塩の種類は、ミセルの形成や電極への疎水性粒子の析出を妨げることなく、水性媒体の電気伝導度を調節しうるものであれば特に制限はない。具体的には、一般に広く支持塩として用いられている硫酸塩(リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、アルミニウム等の塩)、酢酸塩(リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム等の塩)、ハロゲン化物塩(リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム等の塩)、水溶性酸化物塩(リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等の塩)が好適である。なお、これらの支持塩は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせても良い。
【0056】
また、上述した分散液の調整として支持塩を用いる他に、分散液にイオン交換樹脂を添加し、陽イオン性であるフェロセン誘導体界面活性剤の酸化体を吸着除去する方法がある。さらに、分散液の調整として、分散液に還元剤を添加して酸化体を還元する方法もある。
【0057】
ここで、平衡濃度のうち酸化体の濃度は、40μg/ml、好ましくは20μg/ml以下、還元体の濃度は、50〜300μg/ml、好ましくは100〜200μg/mlである。また、分散液の調整として、イオン交換樹脂と還元剤を併用することもできる。ここで、イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂およびキレート樹脂が使用できるが、フェロセン誘導体界面活性剤の酸化体を選択的に吸着し、還元体をあまり吸着しないものが好ましい。
【0058】
具体的に陽イオン交換樹脂としては、メタクリル系およびアクリル系の弱酸性陽イオン交換樹脂、キレート系交換樹脂としてはイミノジ酢酸型キレート樹脂が好ましく、これらはリチウム型に置換して使用する。これは特に分散液が酸性の場合は、水素イオンが選択的に除去されることにより、フェロセンの酸化錫が抑制され分散液の長期安定性に寄与するためである。
【0059】
還元剤としては、水溶性の還元剤が好ましく、具体的にはチオ硫酸塩、亜硫酸塩、亜リン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等が使用できる。なお、フェロセン誘導体界面活性剤の酸化体が還元されることにより還元体の濃度が過剰になりすぎ場合には、吸着剤を添加して過剰なフェロセン誘導体界面活性剤を吸着除去することが可能である。ここで使用される吸収剤としては、例えばシリカ、アルミナ、活性炭、スチレン、ジビニルベンゼン共重合体等のポリマー架橋体が使用できるが、特に分散液の安定性に影響を与えず少量の添加でフェロセン誘導体界面活性剤を吸着除去可能な、無極性の比表面積200m/g以上の架橋構造を持つポリスチレン系の合成吸着剤が非常に好ましい。
【0060】
次に、このようにして調整した疎水性粒子の分散液を、疎水性粒子濃度が所定の範囲にあれば、ミセル電解に利用する。ただし、疎水性粒子の濃度が所定の範囲より高ければ、水性媒体で希釈して疎水性粒子濃度を所定の範囲に調整したのち、これに吸着剤を添加して余剰なフェロセン誘導体界面活性剤を吸着させ、フェロセン誘導体界面活性剤の平衡濃度を所定の範囲に調整する。
【0061】
次に、遠心分離などの公知手段によって、上記分散液中の吸着剤および粗大疎水性粒子を除去することにより、目的の分散液を製造することができる。
【0062】
このようにして製造された分散液中の疎水性粒子濃度は、好ましくは0.2〜10.0重量%、より好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲である。また、フェロセン誘導体界面活性剤の還元体の濃度は、好ましくは50〜300μg/ml、より好ましくは100〜200μg/mlの範囲である。
【0063】
これまでのように、平衡濃度のを後で調整できない場合には、作成時の濃度で、作成する疎水性粒子の濃度を調整しなくてはならなかった。その理由は、疎水性粒子濃度を上げて分散させる場合は、過剰量の分散剤が必要であり、疎水性粒子濃度を所定値に合わせるために後で希釈する際、平衡濃度も希釈され、所定値になると考えられる。しかし、現実にはそれ以上の分散液を過剰に添加しないと、分散処理中に疎水性粒子が凝集して、分散できないからである。
【0064】
なお、分散剤の平衡濃度は、下記の▲1▼染料可溶化法、▲2▼電気化学的法、▲3▼プラズマ発光分析法によって測定することができる。
【0065】
▲1▼染料可溶化法
染料可溶化法においては、まず、疎水性粒子分散液を遠心分離処理したのち、その上澄み液を採取し、溶液の吸収スペクトルを測定する。次に、その溶液に染料を添加して溶解させたのち、余剰な染料を除去した上澄み液を分取する。この上澄みの吸収スペクトルを測定し、染料添加前に測定した溶液の吸収スペクトルとの差スペクトルを算出する。
【0066】
一方、別途、染料を既知量の分散液(疎水性粒子の分散に使用したもの)で可溶化した溶液を調整し、この溶液の分散剤濃度と吸収スペクトルとの関係を示す検量線データと先に測定した差スペクトルから、分散剤の平衡濃度を算出する。この際、使用する染料としては、分散剤で可溶化可能な染料であればよく、特に制限されず、例えばアゾ系やフタロシアニン系などを用いることができる。
【0067】
また、遠心分離処理における遠心力としては、疎水性粒子の比重にもよるが、疎水性粒子が沈降し、かつ平衡濃度の分散剤が沈降しないような遠心力であればよく、特に制限はない。
【0068】
▲2▼電気化学的法
電気化学的法においては、まず、上記▲1▼の染料可溶化法と同様にして、遠心分散後の上澄みを採取し、微分パルスボルタンメトリー測定を行う。次に、この測定結果と、既知量の分散剤で微分パルスボルタンメトリーの測定を行って作成した検量線データとから、分散剤の平衡濃度を算出する。なお、この微分パルスボルタンメトリーの測定において、酸化性物質のピークの有無が確認できるので、イオン交換樹脂の適正な添加量を確認することもできる。
【0069】
▲3▼プラズマ発光分析法
プラズマ発光分析法とは、上記▲1▼の染料可溶化法と同様にして遠心分離後の上澄みを採取し、プラズマ発光分析を行い、予め、作成しておいた検量線のデータから分散剤の平衡濃度を算出する方法である。このようにして製造された疎水性粒子の分散液を用いて、電解処理法により基板上に薄膜を形成させるには、上記分散液中にパターニングされた電極を侵漬し、この電極に通電し、電解処理すればよい。これにより、導電性基板上に疎水性粒子の薄膜が形成される。
【0070】
この際の電解条件は、各種状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は液温0〜50℃、好ましくは5〜25℃、電圧0.3〜1.5V、好ましくは0.4〜1.0Vである。なお、図1(1)S1−1に示されている本発明の電解成膜方法は、図2(2)S2−1に示されている従来方法の電解成膜方法とほぼ同様の内容である。
【0071】
(2)弱水洗
前述の成膜後、必要な部分以外についている分散液を洗い流す。このとき、不要な分散液の除去は、導電性基板を水中に侵浸し、水流を当てて洗い流したり、空中でシャワー水流や、カーテン上の水流を当てることで達成される。ただし、この状態での成膜された薄膜の密着性は弱いため、基板付近での水流は5m/秒以下、好ましくは1m/以下、さらに好ましくは0.1m/秒〜0.8m/秒以下が望ましい。
【0072】
さらに、洗い流した分散液が再度基板に付着しないように速やかに基板から離れる流れを作っておくことが望ましい。このとき使用する洗浄水の成分は、何も添加していない純水や超純水であってもよく、また、炭酸ガスやイオン性溶質、非イオン性溶質を溶かして水の導電性を高め、静電気が生じないようにし、静電気を帯びた粒子が基板に付着しにくくする効果を持たせても良い。
【0073】
また、この洗浄中に、薄膜表面に気液界面が存在するとその部分で薄膜が乱れるために気液界面を生じさせない工夫が必要である。気液界面を生じさせない工夫としては、例えば、洗浄を完全に水中で行うことや、湿度100%の水ミスト中で行うことが有効である。
【0074】
また、次の凝集処理へ受け渡すときにも薄膜表面に気液界面を作らない工夫が必要である。弱洗水処理から凝集処理へ移行する際の薄膜表面に気液界面を作らない工夫としては、弱洗水処理後、基板上に水が残っている間に、次の段階である凝集処理へ移行することである。なお、薄膜を洗浄する洗浄水の温度は、50度以下であることが望ましい。
【0075】
なお、図1(1)S1−2に示されている本発明の弱水洗方法は、図2(2)S2−2に示されている従来方法の弱水洗方法とほぼ同様の内容であるが、気液界面を作らない点で従来方法と大きく異なる。
【0076】
(3)凝集処理
次に、薄膜の密着強度を向上させるために、下記の凝集処理▲1▼〜▲3▼までのいずれか一つもしくは複数の組み合わせを選ぶことができる。また、凝集処理を行う際に薄膜上に気液界面が存在するとその部分での薄膜の乱れが生じるため、凝集処理はすべて水中で行うか、又は水ミスト中で実行することが有効である。
【0077】
凝集処理▲1▼
界面活性剤が溶けていない水を使用した上記弱水洗は、微粒子に吸着した界面活性剤を取り除く効果があり、弱い凝集促進効果もある。しかし、さらに凝集を促進させるためには、水洗後の基板を昇温処理する。この昇温処理が、凝集処理▲1▼である。方法は、IR加熱や熱風による加熱など方法は問わない。
【0078】
ただし、薄膜が気液界面にさらされると膜が乱れる恐れがあるため、50℃以上の温水に薄膜をさらす処理が望ましい。このときの温度は、微粒子の凝集を促進させる目的であるため、70℃以上がさらに望ましく、上限として水が沸騰しない範囲で好適に処理が可能である。この処理時間は、10分以下であり、望ましくは5分以下であることも好ましい。また場合によっては、30秒以下で処理することも可能である。
【0079】
密着性向上の原理は、昇温により分散液の平衡が微粒子析出側に大きく傾くことによる。特に、非イオン性の界面活性剤は、温度が上がるとポリオキシエチレン基の水分子との水素結合が離れ、相分離を起こすことが知られており、界面活性剤の分散能力喪失が膜の凝集促進を引き起こし、ひいては密着性向上に大きく寄与する機構の一つとなっている。
【0080】
凝集処理▲2▼
また、密着強度を向上させるために、弱水洗洗浄水のpHが3.0〜7.0の酸性水を用いて、分散している微粒子の電荷を変化させることで凝集を促進させることもできる。この弱水洗洗浄水のpHが3.0〜7.0の酸性水を用いる処理が、凝集処理▲2▼である。
【0081】
上記処理時間は、10分以下であり、望ましくは5分以下である。場合によっては、30秒以下で処理が可能である。このときの弱水洗洗浄水のpHは、透明電極を変化させないルイス酸を任意に選択することができる。例えば、リン酸二水素アンモニウムや、ホウ酸、酢酸、酒石酸、蟻酸等が好適に使用できる。
【0082】
凝集処理▲3▼
また、密着強度を向上させるために、薄膜を分散液より浸透圧の高い水溶液に浸す処理を行うこともできる。この浸透圧の高い水溶液を用いる処理が、凝集処理▲3▼である。
【0083】
上記凝集処理▲3▼の結果、薄膜中の水分が急速に排出され、薄膜の凝集が進み、密着強度が増す。この処理の時間は、10分以下で十分な凝集処理が得られる場合が多い。しかし、5分以下で十分な凝集処理が実施できることが好ましい。また場合によっては、30秒以下で処理が可能なこともある。
【0084】
浸透圧を高める方法として、水に溶質を添加する方法が一般的である。浸透圧は、一定体積の溶液に含まれる溶質の種類やモル数が等しければ、溶質の種類に関係なく同じ値を示す束一的な性質を示す。このように、上記水溶液に溶質イオンが存在する場合には、分散微粒子の電荷をキャンセルする働きもあり、分散安定性を失う。このことは、凝集力を強め薄膜の密着性を向上する働きが存在することを意味する。
【0085】
一般的に電解質は、水中で電離をするため、解離したイオン数に相関して、浸透圧が増幅される傾向が高い。分散液を作るときに混合した溶質成分より多くの溶質成分、又は解離イオンを溶かした水溶液で作り、薄膜に作用させることで凝集処理ができる。
【0086】
また、ここで用いる溶質は、水に溶解する溶質であればどのようなものでも良いし、また、分散液成分と同じものであっても、違っても良く、また、塩化ナトリウムのような無機物でも良い。例えば、酒石酸ナトリウムなどの有機物でも使用可能である。また、上記溶質は固体ばかりでなく、アルコールやグリセリンのように水溶性の常温で液体の物質でも良い。
【0087】
分散液と処理液の浸透圧の差を調べるためには、図2のような装置で簡便に調べることができる。半透膜32によって隔てられた容器に処理液28を入れ、分散液30の水面と処理液28の水面を合わせる。処理液28の浸透圧が分散液30の浸透圧より高い場合は、処理液28の水面が上昇する。なお、処理液30に10%NaCl水溶液を選択した場合、水面が上昇し、分散液30より浸透圧が高いことがわかった。また、0.1%NaCl水溶液を選択した場合、水面は、やや下がったため、本発明の実施の形態の分散液30より浸透圧が低いことがわかった。なお、図1(1)S1−3に示されている凝集処理行程が、上記凝集処理▲1▼〜▲3▼に相当する。また、図1(1)S1−3に示されている凝集処理行程、および上記凝集処理▲1▼〜▲3▼は従来の薄膜製造方法にはなかった本発明に特徴的な処理である。
【0088】
(4)乾燥
上記凝集処理の次に乾燥工程を実行する。密着強度が増した薄膜は、乾燥工程を経ると凝集がさらに進み、微粒子同士の密着性が高まる。具体的な乾燥工程としては、熱風による乾燥や、エアーナイフによる水切り等による処理が好適に使用可能である。また、乾燥行程を実行する際には、薄膜の水分を均一に、かつ速やかに除くことが、均一な薄膜を得るために望ましい。
なお、図1(1)S1−4に示されている乾燥処理は、上記乾燥工程を意味し、図2(2)S2−3に示されている従来方法の乾燥処理とほぼ同様の内容である。
【0089】
(5)応力除去
次に、薄膜に生じた応力を除去するために、以下に示す応力除去行程▲1▼、▲2▼中、一つもしくは2つを選択して実行する。
【0090】
応力除去▲1▼
電解処理により形成された薄膜は、上記凝集処理と上記乾燥処理によって、高い密着性を得ることができる。しかし、急激な凝集行程を経るため、薄膜にはストレスが蓄積される場合がある。また、薄膜を乾燥させた直後に水をかけると、ストレスによる剥離が生じる場合がある。そこで、上記凝集処理と乾燥処理により生じるストレスを効率よく開放する方法として、溶媒の湿澗処理が有効である。また、溶媒の蒸気にさらすことによる処理も有効である。この溶媒による湿澗処理又は蒸気にさらす処理が応力除去行程▲1▼である。
【0091】
上記湿澗処理および蒸気にさらす処理をする際に使用可能な溶媒としては、薄膜となる微粒子に親和性が高いものであれば自由に選択できる。特にアルコールやケトンが望ましく、さらに望ましくはエタノールやメタノールが良い。
【0092】
応力除去▲2▼
電解処理により形成された薄膜は、上記凝集処理と上記乾燥処理によって、高い密着性を得ることができる。しかし、このようにして作られた薄膜は、熱を受けることで、熱膨張をする場合がある。このとき、基板との熱膨張係数の違い等により薄膜にストレスが生じる場合がある。そこで、薄膜に生じた力を逆に利用して応力を除去する。この薄膜に生じた力を利用する処理が応力除去行程▲2▼である。
【0093】
処理温度は、薄膜が受けた熱履歴より高い温度であればよく、望ましくは100℃以上、さらに望ましくは150℃以上200℃以下の温度が好適である。処理温度が、200℃を超えると、微粒子が空気酸化を受けやすくなるため注意が必要である。なお、この応力除去行程▲2▼は請求の範囲に記載されている熱アニール処理の一例に相当する。
【0094】
また、図1(1)S1−5に示されている応力除去行程処理および上記応力除去行程▲1▼・▲2▼は、従来の薄膜製造方法にはなかった本発明に特徴的な処理方法である。
【0095】
(6)強水洗
このようにして、上記電解成膜、弱水洗、凝集処理、乾燥、応力除去を経て形成された薄膜は、次の行程である2色目、3色目、あるいは保護膜塗布行程へと進む前に、本水洗を行う。これを強水洗と呼ぶ。すなわち、強い水流により薄膜上の異物等を洗い流すことである。
【0096】
なお、図1(1)S1−6に示されている本発明の強水洗処理は、従来の薄膜製造方法にはなかった特徴的な処理方法である。
【0097】
(7)その他(ガラス基板および顔料。特にカラーフィルタに関する。)
導電性基板としては、アルミニウム等の金属基板、あるいはガラス(無アルカリガラス、石英ガラス、ソーダライムガラス等)、プラスチック、セラミックス等の絶縁性基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)、二酸化錫、白金、グラファイト、クロム、ニッケル、酸化アンチモン等の導電性薄膜を設けたものを用いることができる。このようにして導電性基板上に形成された疎水性粒子の薄膜には、必要に応じて、後処理として平坦膜剤を用いて保護膜が形成され、その表面は保護される。 薄膜に保護膜を形成するには、まず、薄膜が形成された基板をスピンコーターにセットし、ディスペンサーを用いて平坦膜剤を基板表面に滴下後、基板を高速で回転させ均一に平坦膜剤を塗布する。
【0098】
次に、所定温度で所定時間ベーク(焼成)し硬化させることにより薄膜に保護膜を形成することができる。
【0099】
カラーフィルタは、疎水性粒子として有機顔料粒子を用い、上記のようにして、製造した疎水性粒子の分散液を使用し、透明基板上に、三原色であるRGB(R:赤色、G:緑色、B:青色)の顔料薄膜を形成したものである。
【0100】
カラーフィルタの製造するには、透明基板として、パターニングされた透明電極を有する透明基板が用いられる。
【0101】
このような基板としては、ディスプレイを形成する画素形状に合わせてパターニングされたITO電極を有するガラス基板が好適である。
【0102】
また、RGBの有機顔料としては、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましく単独又は2種類以上を混合して任意に用いることができる。
【0103】
代表的な有機顔料の具体例として、カラーインディクスナンバー(CI)で示すと、ピグメントレッド9,81,97,122,123,144,146,149,166,168,169,177,180,192,209,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240,254の赤色顔料、ピグメントイエロー1,3,12,13,14,17,20,24,34,55,74,81,83,86,93,101,113,117,125,128,129,137,138,139,147,148,150,152,153,154,166,168,173,181,185,199の黄色顔料、ピグメントオレンジ13,31,36,38,40,42,43,51,55,59,61,64,65,71の橙色顔料、ピグメントグリーン7,36の緑色顔料、ピグメントブルー15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64の青色顔料、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50の紫色顔料等が挙げられる。これらの有機顔料には、薄膜の導電性や誘電率を制御するために導電性粒子や高誘電率粒子を混合分散しても良い。
【0104】
本発明において用いられる導電性粒子としては、ITO、導電性酸化錫(SnO、SnO・Sb)、導電性酸化亜鉛(Alドーブ酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、(ZnO・Sb))、さらにはSiO、TiOや硫酸バリウムを導電酸化錫でコートした複合粒子等が使用でき、これらはカップリング剤やポリマー処理により表面を疎水科して使用する。
【0105】
高誘電率粒子としてはチタン酸バリウム等を用いることができる。また、場合によっては、膜厚調整を目的として、成膜する際に上記導電性粒子と同時に使用される粒子として、SiO、TiO 、ZnO、Al 等の超微粒子を疎水化処理したものが挙げられる。上記導電性粒子は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いても良い。
カラーフィルタを構成する三原色の有機顔料薄膜を形成するには、赤色、緑色、および青色の有機顔料のいずれか一つを含む分散液を用い、上述の薄膜製造方法における操作により、所望色調の薄膜を所望のパターンで形成する。
【0106】
次に、有機顔料の種類を変えて上述の操作を繰り返し行えば、RGBのカラーフィルタの薄膜を得ることができる。このようにして得られたRGBのカラーフィルタには、必要に応じて、後処理として、保護膜が形成される。その保護膜を形成するに当たっては、上記の薄膜のときと同様にして保護膜を形成しても良いし、常法であるスピンコートを用いて保護膜を形成しても良い。このようにしてRGBのカラーフィルタの表面を保護する。ただし、導電性のカラーフィルタの場合は、保護膜は液晶を駆動するのに十分な電圧を通す印加できる厚さにしなければならない。
【0107】
次に、上記の薄膜のときと同様にして保護膜を形成し、RGBのカラーフィルタの表面を保護する。
【0108】
また、薄膜に導電性がない場合は、このRGBのカラーフィルタの上から常法によりITO薄膜を形成することによりカラーフィルタを製造することができる。
【0109】
本発明の好適な実施例について説明する。
【0110】
【実施例1】
(1)顔料分散液の製造
赤色有機顔料分散液の調製は、フェロセン誘導体界面活性剤として上記に示す「化1」の式で表されるIDFE8.2重量部、疎水性粒子として赤色顔料C.I.ピグメントレッド177 50.0重量部、リチウムブロマイド1 水和物1.05重量部を純水1000重量部に加え混合し、超音波ホモジナイサーを用いて分散した。その後、10000rpmで遠心分離して粗大粒子を除去した。
【0111】
次に、この分散・分級処理した顔料分散液の固形分濃度および平衡濃度を測定した。その後、固形分濃度が2.0重量%になるように、IDFE濃度が150μg/mlのリチウムブロマイド0.01mol/l水溶液で希釈し、C.I.ピグメントレッド177顔料分散液を調製した。
【0112】
また、IDFE9.45重量部、疎水性粒子として黄色顔料C.I.ピグメントイエロー83 50.0重量部、リチウムブロマイド1 水和物1.05重量部を純水1000重量部に加え混合し、超音波ホモジナイサーを用いて分散した。その後、10000rpmで遠心分離して粗大粒子を除去した。
【0113】
次に、この分散・分級処理した顔料分散液の固形分濃度および平衡濃度を測定した後、固形分濃度が2.0重量%になるようにIDFE濃度150μg/mlのリチウムブロマイド0.01mol/l水溶液で希釈し、C.I.ピグメントイエロー83顔料分散液を調製した。
【0114】
このように、得られたC.I.ピグメントレッド177 顔料分散液75重量部と、C.I.ピグメントイエロー83 顔料分散液25重量部とを混合し、赤色顔料分散液を調製した。
【0115】
(2)顔料薄膜の電解成膜
まず、顔料分散液に、ITO(インジウム錫酸化物)透明電極の付いたガラス基板を浸漬した。次に、対向電極は、ITO電極面積の1.2倍以上の表面積を持つステンレス板を使用した。ここで、参照極は、東亜DKK社製のAg/AgCl(銀/塩化銀)電極を用いた。また、電源は、北斗電工株式会社製造のポテンショスタット/ガルバノスタットHA−151を用いた。
【0116】
次に、ITO電極(+)とSUS電極(−)と参照極(RE)とを接続し、ITO電極に参照極基準として、0.5Vを10分印加した。ここで、SUS電極(−)とは、ステンレス板を使用した電極である。
【0117】
次に、電極上に顔料薄膜を形成し、実施例・比較実施例に示した実験に供した。
【0118】
(3)曇値の測定
成膜した顔料膜の均一性の測定はHAZEにより評価した。なお、この表中、HAZEとは、製造した薄膜の透明性を示す指標であり、以下の式で表せる。
【0119】
【数1】
HAZE=[(拡散した光の通過率)/(通過した光の透過率)]×100
このHAZEの値は小さいほど、透明性が高いことを意味する。具体的には、HAZEの値が10未満が望ましく、さらに望ましくは5以下である。
【0120】
HAZEの値は、HAZEメータを用いて測定する。用いたHAZEメータは、スガ試験機株式会社製のHGM−2DP型のHAZEメータである。この装置は、全自動直読ヘーズコンピュータであり、その測定スポットサイズは7mmφにセットした。また、実際の測定の際には、一枚の基板中の3カ所を測定し、その平均値を最終的な測定として採用し、表1、表2,表3、表4中に記載した。
【0121】
(4)顔料薄膜の形成
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0122】
次に、基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80℃の温水に15秒間、純水により洗浄した顔料薄膜付基板を浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて、顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、上記乾燥窒素を用いることによって目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0123】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて、基板上に顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例1の結果が表1、表2、表3、表4中に示されている。
【0124】
【表1】
Figure 2004176112
【表2】
Figure 2004176112
【表3】
Figure 2004176112
【表4】
Figure 2004176112
【実施例2】
以下に述べる実施例2においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0125】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0126】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、純水により洗浄した顔料薄膜付基板を、70℃の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて、顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できた。
【0127】
次に、顔料薄膜をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて、基板上に顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例2の結果が表2中に示されている。
【0128】
【実施例3】
以下に述べる実施例3においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0129】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0130】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、5%NaCl水溶液(塩化ナトリウム)に浸して凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて、顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0131】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは5であった。なお、実施例3の結果が表2中に示されている。
【0132】
【実施例4】
以下に述べる実施例4においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0133】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0134】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、pH5の酸性水に浸して凝集処理を行った。なお、酸性水は、0.1モル/リットル酢酸水溶液と0.1モル/リットル酢酸ナトリウム水溶液の割合が、酢酸が1に対し、酢酸ナトリウムが2となるような体積比で混合したものを用いた。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて、顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸浸した。次に、エタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例4の結果が表2中に示されている。
【0135】
【実施例5】
以下に述べる実施例5においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0136】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0137】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、顔料薄膜付基板をほぼ垂直に立てかけ、重力によりゆっくりと水を切り、120度に設定したホットプレートに載せて5分間乾燥した。次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは5であった。なお、実施例5の結果が表3中に示されている。
【0138】
【実施例6】
以下に述べる実施例6においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0139】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0140】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、水滴が顔料薄膜付基板表面に残らないようにゆっくりと洗浄水槽の中から引き上げ、120度に設定したホットプレートに載せて5分間乾燥した。次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは4であった。なお、実施例6の結果が表3中に示されている。
【0141】
【実施例7】
以下に述べる実施例7においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0142】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0143】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、基板表面に気液界面が生じないように速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0144】
次に、顔料薄膜付基板をメタノールに15秒間浸漬した。次に、メタノールに浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例7の結果が表4中に示されている。
【0145】
【実施例8】
以下に述べる実施例8においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0146】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0147】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0148】
次に、顔料薄膜付基板をIPA(イソプロピルアルコール)に15秒間浸漬した。次に、IPA(イソプロピルアルコール)に浸漬した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは4であった。なお、実施例8の結果が表4中に示されている。
【0149】
【実施例9】
以下に述べる実施例9においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0150】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0151】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0152】
次に、顔料薄膜付基板をエタノール蒸気が充満するビーカー中に15秒〜20秒入れた。次に、エタノール蒸気が充満するビーカーから顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明で均一あった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例9の結果が表4中に示されている。
【0153】
【実施例10】
以下に述べる実施例10においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0154】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0155】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0156】
次に、顔料薄膜付基板を水蒸気が充満する十分に保温されたビーカー中に15秒〜20秒入れた。次に、水蒸気が充満するビーカーから顔料薄膜付基板を取り出し、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは5であった。なお、実施例10の結果が表4中に示されている。
【0157】
【実施例11】
以下に述べる実施例11においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0158】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。まず、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0159】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0160】
次に、顔料薄膜付基板を150度に昇温されたホットプレート上に5分間載せた。次に、ホットプレート上に載せた顔料薄膜付基板を取り出し、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例11の結果が表4中に示されている。
【0161】
【実施例12】
以下に述べる実施例12においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0162】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0163】
次に、顔料薄膜付基板表面に水が残っている間に、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じないよう速やかに、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。
【0164】
次に、上記顔料薄膜付基板を100度に昇温されたホットプレート上に5分間載せた。次に、ホットプレート上の顔料薄膜付基板を取り出し、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は非常に透明で均一であった。また、顔料薄膜の乱れは観察されず、HAZEは3であった。なお、実施例12の結果が表4中に示されている。
【0165】
【比較実施例1】
以下に述べる比較実施例1においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0166】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0167】
次に、顔料薄膜付基板を立てかけて、顔料薄膜付基板上の水を緩やかに除いた。顔料薄膜付基板上の水を取り除いた。従来は、上記水が排出される過程で、顔料薄膜付基板表面に気液界面が生じていた。次に、顔料薄膜付基板上の水がなくなった時点で120度に昇温したオーブンに入れ、15分間乾燥を行った。このようにして得られた顔料薄膜は、顔料薄膜の乱れが観察され、HAZEは15であった。また、気液界面に起因するムラが確認できた。
【0168】
なお、比較実施例1の結果が表1、表2、表3、表4中に示されている。また、比較実施例1は従来技術を意味するが、便宜上、「実施例」の語を用いた。これに対して、以下に示す比較実施例2〜12は本発明における実施例1〜12と比較すべく設けられた本発明の他の実施例であり、従来技術を意味するものではない。
【0169】
【比較実施例2】
以下に述べる比較実施例2においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0170】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、80度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。しかし、エアーナイフの風圧で顔料薄膜の乱れが観察された。
【0171】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で表面を洗い流した。そして最後に、表面を乾燥させて顔料薄膜付基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、顔料薄膜表面および顔料薄膜付基板の裏面に顔料分散液の凝集物がうっすらとかつ不定形に堆積した顔料薄膜が得られた。なお、HAZEは22であった。また、比較実施例2の結果が表1中に示されている。
【0172】
【比較実施例3】
以下に述べる比較実施例3においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0173】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜付基板を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、顔料薄膜付基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0174】
次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。しかし、エアーナイフの風圧で顔料薄膜の乱れが観察された。
【0175】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて顔料薄膜付基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、エアーナイフによる顔料薄膜の乱れをそのまま残した膜が得られた。なお、HAZEは20であった。 なお、比較実施例3の結果が表1中に示されている。
【0176】
【比較実施例4】
以下に述べる比較実施例4においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0177】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0178】
次に、80温度の温水に15秒浸し凝集処理を行った。次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、アルコールにより顔料膜の溶解が起こり、膜の乱れが多い膜が得られた。なお、HAZEは18であった。また、比較実施例4の結果が表1中に示されている。
【0179】
【比較実施例5】
以下に述べる比較実施例5においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0180】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0181】
次に、上記顔料薄膜付基板を80温度の温水に15秒浸し凝集処理を行った。
次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素により水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できた。
【0182】
次に、顔料薄膜付基板を15m/secの強い流速の水で表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、強い水流で生じた顕微鏡で観察できる無数の小さなクラックが観察され、顔料薄膜の面積の半分以上が剥離した。なお、HAZEは膜の剥離のため測定できなかった。なお、比較実施例5の結果が表1、表4中に示されている。
【0183】
【比較実施例6】
以下に述べる比較実施例6においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0184】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0185】
次に、顔料薄膜付基板上に洗浄水と空気の気液界面を数回作った。次に、顔料薄膜付基板を80温度の温水に15秒浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できた。
【0186】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、気液界面による膜の乱れが観察された。なお、HAZEは9であった。また、比較実施例6の結果が表1中に示されている。
【0187】
【比較実施例7】
以下に述べる比較実施例7においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0188】
上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0189】
次に、上記顔料薄膜付基板を80度の温水に15秒浸し凝集処理を行った。このとき、顔料薄膜付基板を温水から数回引き上げ、顔料薄膜上に温水と空気の気液界面を数回作った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素により水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できた。
【0190】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、気液界面による膜の乱れが観察された。なお、HAZEは10であった。また、比較実施例8の結果が表1中に示されている。
【0191】
【比較実施例8】
以下に述べる比較実施例8においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0192】
次に、顔料薄膜付基板を40度の温水に15秒間浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できが、エアーナイフの風圧で顔料薄膜の乱れが観察された。
【0193】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、エアーナイフによる顔料薄膜の乱れをそのまま残した膜であった。なお、HAZEは12であった。なお、比較実施例8の結果が表2中に示されている。
【0194】
【比較実施例9】
以下に述べる比較実施例9においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0195】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0196】
次に、顔料薄膜付基板をpH7.4のリン酸塩pH標準液(JIS K 0023)に浸して凝集処理を行った。しかし、上記pH7.4のリン酸塩pH標準液(JIS K 0023)はやや塩基性であり、上記pH水溶液では十分な凝集処理が起こらなかった。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できが、エアーナイフの風圧で顔料膜の乱れが観察された。
【0197】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒間浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、エアーナイフによる顔料膜の乱れをそのまま残した膜であった。なお、HAZEは15であった。なお、比較実施例9の結果が表2中に示されている。
【0198】
【比較実施例10】
以下に述べる比較実施例3においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0199】
上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0200】
次に、顔料薄膜付基板を0.1%NaCl(塩化ナトリウム)水溶液に浸して凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素を用いて顔料薄膜付基板上の水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できが、エアーナイフの風圧で顔料薄膜の乱れが観察された。
【0201】
次に、上記顔料薄膜付基板をエタノールに15秒浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、エアーナイフによる顔料薄膜の乱れをそのまま残した膜であった。なお、HAZEは14であった。なお、比較実施例10の結果が表2中に示されている。
【0202】
【比較実施例11】
以下に述べる比較実施例11においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0203】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0204】
次に、顔料薄膜付基板を80度の温水に15秒浸し凝集処理を行った。次に、エアーガンにより手動で乾燥窒素を上記顔料薄膜に吹きつけ、上記顔料薄膜付基板の水を取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥していることが確認できた。しかし、エアーガンから噴出する窒素は一度に顔料薄膜付基板の一部分しか覆うことができず、一度に顔料薄膜付基板全体を乾燥することはできなかった。その結果、顔料薄膜が乱れた。
【0205】
次に、顔料薄膜付基板をエタノールに15秒浸漬した。次に、エタノールに浸した顔料薄膜付基板を引き上げ、アルコールが乾く前に、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、エアーガンによる薄膜の乱れをそのまま残した膜になった。なお、HAZEは11であった。なお、比較実施例11の結果が表3中に示されている。
【0206】
【比較実施例12】
以下に述べる比較実施例12においては、(1)顔料分散液の製造、(2)顔料薄膜の電解成膜、(3)膜の均一性の測定については、実施例1と同様である。以下、(4)顔料薄膜の形成について実施例1と異なる点を述べる。
【0207】
まず、上記方法にて電解成膜した顔料薄膜を、顔料分散液から速やかに引き上げ、純水により洗浄した。なお、基板に当たる水の流速は0.5m/secであった。
【0208】
次に、顔料薄膜付基板を80度の温水に15秒浸し凝集処理を行った。次に、エアーナイフ(スリット幅0.05mm、窒素圧0.2kg/cm)の乾燥窒素により水を均一に取り除いた。なお、顔料薄膜付基板表面は、乾燥窒素を用いたため目視で瞬時に乾燥されていることが確認できた。
【0209】
次に、上記顔料薄膜付基板を80度に昇温されたホットプレート上に5分間載せ、取り出し、15m/secの強い流速の水で顔料薄膜付基板表面を洗い流した。そして最後に、顔料薄膜付基板表面を乾燥させて基板上の顔料薄膜を得た。このようにして得られた顔料薄膜は、強い水流で生じた顕微鏡で観察できる小さなクラックが観察され、顔料薄膜の面積の一部が剥離していた。なお、剥離した部分を除いた顔料薄膜のHAZEは9であった。また、比較実施例12の結果が表4中に示されている。
【0210】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明においては、疎水性粒子を水性溶媒中でフェロセン誘導体よりなるミセル化剤を用いて可溶化し、得られたミセル溶液を電解処理し、電極上に前記疎水性粒子の薄膜を形成し、前記電解処理により形成した薄膜の凝集処理を施したので、高強度かつ均一性の高い膜を製造できることができる。
【0211】
また、上記疎水性粒子に顔料粒子を用いた場合には、透明性、色特性に優れた膜が得ることができる。
【0212】
また、本発明の製造方法によれば、上記のような効果が得られる微粒子を成分とする薄膜を製造することができる。
【0213】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と従来技術との比較図である。
【図2】本実施の形態における分散液と処理液の浸透圧の差を調べる装置の図である。
【符号の説明】
10 S1−1 電解成膜
12 S1−2 弱水洗
14 S1−3 凝集処理
16 S1−4 乾燥
18 S1−5 応力除去
20 S1−6 強洗水
22 S2−1 電解成膜
24 S2−2 弱洗水
26 S2−3 乾燥
28 処理液
30 分散液
32 半透膜

Claims (13)

  1. 疎水性粒子を水性溶媒中でフェロセン誘導体よりなるミセル化剤を用いて可溶化し、得られたミセル溶液すなわち分散液を電解処理して電極上に、前記疎水性物質の薄膜を形成する薄膜の製造方法において、
    前記製造方法により得られた薄膜を凝集処理をすることを特徴とする薄膜の製造方法。
  2. 前記凝集処理が50℃以上でかつ水の沸点以下の温度での処理であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜の製造方法。
  3. 前記凝集処理が、pH7.0〜pH3.0の範囲の酸性水溶液で処理することを特徴とする請求項1に記載の薄膜の製造方法。
  4. 前記凝集処理が、分散液より浸透圧の高い水系溶媒で処理することを特徴とする請求項1に記載の薄膜の製造方法。
  5. 前記凝集処理の後に、前記電解処理で形成した膜中の顔料薄膜の乾燥工程を実行し、さらに前記顔料薄膜の応力除去行程を実行することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜の製造方法。
  6. 前記応力除去行程が、溶媒の直接湿澗処理、もしくは溶媒の蒸気にさらすことを特徴とする請求項5に記載の薄膜の製造方法。
  7. 前記溶媒は、アルコールおよび/又はケトンを含む溶媒であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜の製造方法。
  8. 前記応力除去行程が熱アニール処理であることを特徴とする請求項5に記載の薄膜の製造方法。
  9. 前記凝集処理の前に、前記薄膜に対して50℃以下の水温で水洗処理を実行する行程を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の薄膜の製造方法。
  10. 前記水洗処理後、前記薄膜の凝集処理を行う薄膜の製造方法において、前記水洗処理を実行するときに、薄膜上に気液界面を作らないことを特徴とする請求項9に記載の薄膜の製造方法。
  11. 前記水洗処理後、前記薄膜の凝集処理を行う薄膜の製造方法において、前記水洗処理から凝集処理へ移行するときに、薄膜上に気液界面を作らないことを特徴とする請求項9に記載の薄膜の製造方法。
  12. 前記水洗処理後、前記薄膜の凝集処理を行う薄膜の製造方法において、前記凝集処理を実行するときに、薄膜上に気液界面を作らないことを特徴とする請求項9に記載の薄膜の製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の薄膜の製造方法により製造することを特徴とする微粒子を成分とする薄膜。
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