JP2004167929A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの初期充填および回復時に、共通液室に残留気泡なく、効率的に回復できるインクジェット記録ヘッドの提供(主に長尺FM)。
【解決手段】回復時に、ヘッド全体を傾け、気泡を片端上方に集め、インクをヘッドに加圧注入する。
【選択図】 図1
【解決手段】回復時に、ヘッド全体を傾け、気泡を片端上方に集め、インクをヘッドに加圧注入する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,被記録材に記録を行う記録ヘッド、特に、インクを吐出口から噴射してインク液滴を形成するインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に関するものである.
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装置である。高速な記録と様々な記録メディアに対して記録することが可能であり、記録時における騒音がほとんど生じないといった特徴を持つ。このようなことから、プリンタ、ワードプロセッサ、ファクシミリ、複写機などの記録機構を担う装置として広く採用されている。
【0003】
インクジェット記録は、微小な吐出口から微小な液滴を吐出させ、記録紙に対し記録を行うこともので、代表的な方法としては電気熱変換素子を用いた方法がある。このようなインクジェット記録は、一般に液滴を形成するためのノズルを持つインクジェット記録ヘッドと、このヘッドに対してインクを供給する供給系とから構成される。電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドでは、電気熱変換素子を加圧室内に設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることにより記録液に熱エネルギーを与え、そのときの記録液の相変化により生じる記録液の発泡(沸騰)時の気泡圧力を記録液滴の吐出に利用する。
【0004】
上記のような電気熱変換方式を用いたインクジェット記録ヘッドの場合、電気熱変換素子が配列された基板に対して平行に記録液を吐出させる方式(エッジシューター)と電気熱変換素子が配列された基板に対して垂直に記録液を吐出させる方式(サイドシューター)がある。以下、サイドシューターを例に挙げ、インクジェット記録ヘッドの具体的な構成について説明する。
【0005】
図9はサイドシュータータイプのインクジェット記録ヘッドの外観斜視図、図10は同記録ヘッドの平面図である。図10(a)は同記録ヘッドのインク吐出方向から見た上面図、図10(b)および(c)はそれぞれ、図10(a)のA−A断面、B−B断面の図である。
【0006】
シリコン基板101の中央付近の表面側にはインクを吐出するためのインク吐出口102が複数開口しており、各々の吐出口に対応してインクを発泡させるための不図示の加熱ヒーターがシリコン基板101上に形成されている。
【0007】
加熱ヒーターからの電気配線は、加熱ヒーターを駆動するためのトランジスタ回路に接続される。このトランジスタ回路は、記録素子基板上に作り込む方法と、別体に作り込んだ素子を記録素子基板に実装する方法とが知られている。通常、加熱ヒーターの個数が比較的少ないシリコン基板101においては、シリコン基板101上にトランジスタ回路を作り込む方法が一般的であるが、印字幅を広げる目的で、比較的多数個の加熱ヒーターを配設した記録素子基板においては、トランジスタ回路を作り込む構成では記録素子基板の歩留まりの大幅な低下を招くため、トランジスタ回路を別体に作り込んだ素子を記録素子基板に実装する方法の方が、歩留まり上、有利である。図9、10には、トランジスタ回路を別体の外付け駆動素子103に作り込んだものを実装した従来例を示している。
【0008】
図910においては、加熱ヒーターからの配線は、各々、シリコン基板101上の外付け駆動素子103実装部にのびており、ここに実装された駆動素子に電気的に接続されている。外付け駆動素子103は異方性導電フィルムや、半田バンプ等によるCOB(chip on boad)接続方法により、シリコン基板101に接続されている。また、外付け駆動素子103には、トランジスタ回路の他にトランジスタを駆動するためのロジック回路が搭載されており、そのロジック回路を駆動する信号は、シリコン基板101を介してフレキシブル回路基板105に接続される。さらにフレキシブル回路基板106は、ガラスエポキシ等の複合材料からなる電気回路基板107に接続され、電気回路基板107には、外部から電気的信号を入力するための電気コネクタ108が搭載されている。
【0009】
外付け駆動素子103およびフレキシブル回路基板105の電気的接続部は、電極部が露出すると、吐出口から飛散した液滴もしくは紙上より跳ね返ったインクが電極に付着して電極やその下地金属を腐食するため、該電極部はエポキシ樹脂等の封止性、イオン遮断性に優れた不図示の封止剤により被覆され、封止されている。
【0010】
シリコン基板101の裏面側には、ベースプレート104および支持部材106によって形成される、インクを保持するためのインク共通液室122がそれら吐出口列の長さとほぼ等しい長さで開口しており、シリコン基板101には、この裏面側のインクを表面側に供給するためのインク供給口110が設けられている。
【0011】
インク共通液室122は、さらにインクジョイント119に連通しており、不図示のヘッド外部からのインクの供給を受ける構成になっている。インクジョイント119は、記録ヘッド120の印字幅が短い場合には、1つでも良いが、印字幅が広いもの、特に、記録紙の幅一杯に印字幅があるフルラインタイプの記録ヘッド120の場合は、単位時間当たりのインク使用量が大きいため、複数個のインクジョイント119を設けることもある。
【0012】
上記のような構成のインクジェット記録ヘッド120を複数個並べ、カラーの印字を高速に印字するインクジェット記録装置の一例を図12に示す。
【0013】
ベルト送りローラー202に紙搬送ベルト201を巻き付け、被記録材である記録用紙を搬送する、紙搬送機構の上部に、上述したインクジェット記録ヘッドが複数個並べてある。これらのインクジェット記録ヘッド120は、例えば1ユニット当たり1色の印字ができるものを4色分搭載してフルカラー印字を可能にしたものが従来知られている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記に示した方法においては、以下に示す2つの問題点があった。
【0015】
1つ目は、記録ヘッド120を製作し、初期のインクを流入させた際に、インク共通液室122に気泡130が混入し、インク共通液室122から抜けにくいという問題である。図11に示すように、インク共通液室122にインクジョイント119からインクを加圧流入させると、インクはインク共通液室122内の下部から充填され、上部に気泡130が残りやすく、気泡130が残留したままインクジョイント119からいくらインクを加圧流入させても気泡は抜けにくい。この気泡130がその後の記録ヘッド120による印字時に、インク供給口110を通り、不図示のノズル内に流入し、印字不良の原因となるということがあるのである。気泡がノズル内に流入すると、ノズルに流入した気泡の大きさによって、吐出インクの量のバラツキを引き起こしたり、インクの飛翔速度の低下を招き、非記録材への着弾精度不良が発生したり、さらには不吐出といったトラブルが発生し、結果的には、印字品位の劣化につながっていた。
【0016】
2つ目の問題点は、予めインク中に溶解していた気体が、記録ヘッド120の使用中に気化し、気泡130となり、これがインク共通液室122に滞留することがある点である。この場合も、第1の問題点と同様、気泡130が、インク供給口110を通り、不図示のノズル内に流入し、印字不良の原因となっていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題に対し、インクジェット記録ヘッドのインクの初期充填時にヘッド内に残留する気泡、ないしは、使用時に発生した気泡を効率的に除去するために、インクジェット記録ヘッドを水平面に対して傾けた状態でインクを加圧することを特徴とする、インクジェット記録装置の提供である。
【0018】
本発明の要旨を以下に述べる。
【0019】
本発明の第1の要旨は、被記録材に記録液を吐出するための記録液吐出口と記録液に運動エネルギを印加するための記録素子が複数個設けられた記録素子基板と、該複数個の記録素子に記録液を供給するための共通液室と、該共通液室にインクを供給するためのインク供給口とを有するインクジェット記録ヘッドを有し、前記インク供給口に記録液を加圧流入させる記録液加圧手段を有するインクジェット記録装置であって、前記インクジェット記録ヘッドが、被記録材に記録液を吐出する第1の姿勢と、前記共通液室にインクを充填する第2の姿勢とを有し、前記第2の姿勢において、前記共通液室の天井が水平面に対して傾きをもっていることを特徴とするインクジェット記録装置に存在する。
【0020】
本発明の第2の要旨は、前記共通液室の天井に、前記第2の姿勢において天井の上部に相当する位置に、気泡を流出させることのできる、気泡流出流路を有することを特徴とする、第1の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0021】
本発明の第3の要旨は、前記インク供給口が複数個設けられたインクジェット記録ヘッドであって、該複数個のインク供給口のうち、少なくとも一つの前記インク供給口が、前記気泡流出流路を兼ねていることを特徴とする、第1ないしは第2の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0022】
本発明の第4の要旨は、前記気泡流出流路が、前記第1ないしは第2の姿勢において、記録液吐出口と概略同一の高さにおいて、大気圧に解放されていることを特徴とする、第1、第2ないしは第3の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0023】
本発明の第5の要旨は、前記インクジェット記録ヘッドは、前記被記録材の幅と同等の記録幅を持つことを特徴とする、第1、第2、第3ないしは第4の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0024】
本発明の第6の要旨は、前記記録素子は、電気エネルギを熱エネルギに変換し、前記記録液の発泡現象を伴って前記記録液を吐出することを特徴とする、第1、第2、第3、第4ないしは第5の要旨に記載のインクジェット記録ヘッド。
【0025】
本発明の第7の要旨は、前記記録液が、予め溶存ガスを脱気した、脱気記録液であることを特徴とした、第1、第2、第3、第4、第5ないしは第6の請求項に記載のインクジェット記録装置。
【0026】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
図3、図4および図5は本発明のインクジェット記録装置を構成するインクジェット記録ヘッドを説明するための図であり、図3は本発明のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図、図4(a)は本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの主要部の模式的平面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図、図4(c)は図4(a)のB−B断面図、図5は本発明第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの主要部の模式的断面斜視図である。
【0027】
図3において、本発明のインクジェット記録ヘッドは、シリコン基板101の中央付近の表面側にインクを吐出するためのインク吐出口102が複数開口しており、このインク吐出口102から吐出されるインク滴によって記録を行うものである。
【0028】
図4および図5に示すように、シリコン基板101上には、各々のインク吐出口102に対応してヒーター111が形成されており、このヒーター111に通電加熱してインクを発泡させ、その運動エネルギで記録液であるインクをインク吐出口102から吐出させる。
【0029】
ヒーター111からの配線は、各々、シリコン基板101上の外付け駆動素子103実装部にのびており、ここに実装された駆動素子に電気的に接続されている。外付け駆動素子103は異方性導電フィルムを介してCOB(chip on boad)接続方法により、シリコン基板101に接続されている。また、外付け駆動素子103には、トランジスタ回路の他にトランジスタを駆動するためのロジック回路が搭載されており、そのロジック回路を駆動する信号は、シリコン基板101を介してフレキシブル回路基板105に接続される。さらにフレキシブル回路基板105は、ガラスエポキシ等の複合材料からなる電気回路基板107に接続され、電気回路基板107には、外部から電気的信号を入力するための電気コネクタ108が搭載されている。
【0030】
外付け駆動素子103およびフレキシブル回路基板105の電気的接続部は、電極部が露出すると、吐出口から飛散した液滴もしくは紙上より跳ね返ったインクが電極に付着して電極やその下地金属を腐食するため、該電極部は封止性、イオン遮断性に優れたシリコン樹脂からなる封止剤112により被覆され、封止されている。
【0031】
シリコン基板101の裏面側には、ベースプレート104および支持部材106によって形成される、インクを保持するためのインク共通液室122がそれら吐出口列の長さとほぼ等しい長さで開口しており、シリコン基板101には、この裏面側のインクを表面側に供給するためのインク供給口110が設けられている。
【0032】
インク共通液室212は、さらにインクジョイント119に連通しており、インク吐出時には、インクジェット記録ヘッドは、外部の不図示のインクタンクからインクジョイント119を通じてインクの供給を受ける構成になっている。
【0033】
このインクジェット記録ヘッド120を用いて印字を行う、インクジェット記録装置を図2に示す。
【0034】
図2は、前述のインクジェット記録ヘッド120を4本並べ、それぞれにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色を割り当て、4色のフルカラー印字を行うインクジェット記録装置の模式図である。ベルト送りローラー202に紙搬送ベルト201を巻き付け、被記録材である記録用紙203を搬送する、紙搬送機構の上部に、上述したインクジェット記録ヘッド120が4本並べてある。記録用紙203がインクジェット記録ヘッド120の下をくぐる間に4本のインクジェット記録ヘッド120がインクを記録紙203に吐出し、高速に印字を行うものである。
【0035】
このようなインクジェット記録装置において、インクジェット記録ヘッド120にインクを充填する際は、インクジョイント119からインクを加圧流入させる。このとき、インク共通液室212に気泡が残らないようにするため、本発明においては、図1に示すように、インクジェット記録ヘッド120を斜めに傾け、インク共通液室212に気泡が残らないようにするものである。インクジェット記録ヘッド120に、インクを加圧流入させている際のインクジェット記録ヘッド120内部を図6に示す。インクを初期充填する前は図6(a)に示すように、インク共通液室212にはインクは入っていない。インクを初期充填する際は、前述のように、図6(b)に示すように、インクジェット記録ヘッド120をインクジョイント119が低くなるように傾け、インクをインクジョイント119から加圧流入させる。すると、インク共通液室212内部において、気泡130は、浮力とインク流入の流れに従って図6(b)中右上に容易に集めることができる。さらにインクを加圧させることで、気泡130は、すべてインク供給口110を経て、ノズル114から排出されるのである。なお、図6に示したように、共通液室212の下流部分の角を落としておくといっそう、気泡130の排出が促進されることも実験によって確認された。
【0036】
また、インクジェット記録ヘッド120を使用中に、インクに溶存していたガスがインクから排出され、インク共通液室212にたまり、気泡130を形成した際にも、上述のように、インクジェット記録ヘッド120を傾けてインクを加圧流入させることで気泡130を効果的に排出することができるのである。
【0037】
さらに、本発明は、あらかじめインクに溶存するガスを脱気してインクの発泡安定性を高めたインクジェット記録装置に適用すれば、インク中への気泡130混入を防止することができるため、インクの脱気度の劣化を防ぐことができるのである。
【0038】
このように、本発明によれば、インクジェット記録ヘッド120内部の不要な気泡130を排出する際に、インクジェット記録ヘッド120を傾け、インクを加圧流入させることで、効果的に気泡130を排出することができるインクジェット記録装置を提供できるものである。ひいては、ノズル内の気泡の除去性を向上し、安定して高い印字品位を実現するインクジェット記録装置を提供するものである。
【0039】
[実施例2]
本発明の第2の実施例を図7を用いて説明する。
【0040】
本実施例の第1の実施例との相違点は、インク共通液室212の端部に気泡流出流路121を設けた点にある。図7(b)に示すように、インクジェット記録ヘッド120を傾けた際に、インク共通液室212のほぼ最上部に相当する箇所に細い流路が設けられている。この流路は、インクをインクジョイント119から加圧流入させた際に、インク共通液室212の最上部に気泡130がスムーズに集まり、その気泡130がよりスムーズに排出されるように設けられた流路である。この気泡流出流路121の他端は、望ましくは、インク吐出時の姿勢の状態(図7(a))で、メニスカスが破れたりしてインクが流出したり、ノズル114に不要の水頭圧を与えぬよう、ノズル114と同じ高さにし、ノズル114に形成されるインク吐出口102と同等のスケールの開口部を持って大気中に解放されているのが望ましい。
【0041】
このように、本実施例は、第1の実施例に加えて気泡流出流路121を設け、インク共通液室212内の気泡130の排出を、よりスムーズにするものである。
【0042】
[実施例3]
本発明の第3の実施例について図8を用いて説明する。
【0043】
本発明の第1、第2の実施例との相違点は、本発明をインクを循環回復するインク供給系をもつインクジェット記録装置に適用した点にある。第1、第2の実施例においては、インクの供給は加圧のみであったが、本実施例の場合は、インクジョイント119を左右に2本設け、これらを用いて、気泡130の排出時にインク共通液室122内のインクを循環させるものである。
【0044】
インクジェット記録ヘッド120へのインク初期充填および、気泡130の排出時には、図8(b)に示すように、インクジェット記録ヘッド120を斜めにし、低い方のインクジョイント119からインクを加圧流入させると同時に、インク共通液室122を満たし、あふれるインクを高い方のインクジョイント119から流出させるものである。高い方のインクジョイント119から排出されたインクおよび、気泡130は付図示のインクタンクに戻される構成となっている。
【0045】
このようにして気泡130が排出された後、図8(a)に示すように、インクジェット記録ヘッド120を水平に戻し、図2に示す構成で、印字を行う。印字の際のインクジェット記録ヘッド120へのインク供給は、2本のインクジョイント119の両方からインクが供給される構成となっている。
【0046】
このように、本発明の第3の実施例によれば、本発明は、インクジェット記録ヘッド120内部をインク循環回復させるインクジェット記録ヘッドの構成にも適用でき、インクジェット記録ヘッド120内部に不要の気泡130を円滑に排出させることができるようにするものである。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上説明してきたように、インクジェット記録ヘッド120にインクを初期充填する際にインク共通液室122内部に残存する気泡130、あるいは、使用により発生した気泡130を、インクジェット記録ヘッド120を傾け、インクを流入させることで円滑に除去するものである。
【0048】
その結果、ノズル内の気泡301の除去性を向上し、さらにノズル内への気泡301の混入を防止することができ、印字品位の高い、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することができるようにするものである。
【0049】
また、以上の説明は、全て、サイドシューターのバブルジェット(登録商標)方式のインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録ヘッドについて行ってきたが、もちろん、エッジシューター方式のインクジェット記録ヘッドや、ピエゾ方式のインクジェット記録ヘッドにも、本発明は適用でき、その効果は上記説明と何ら変わりないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のインクジェット記録装置の模式的斜視図
【図2】本発明の第1の実施例のインクジェット記録装置の模式的斜視図
【図3】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図
【図4】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの3面図
【図5】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッド主要部の模式的断面斜視図
【図6】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図7】本発明の第2の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図8】本発明の第3の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図9】従来のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図
【図10】従来のインクジェット記録ヘッドの3面図
【図11】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図12】本発明の第1の実施例のインクジェット記録装置の模式的斜視図
【符号の説明】
101 シリコン基板
102 インク吐出口
103 外付け駆動素子
104 ベースプレート
105 フレキシブル回路基板
106 支持部材
107 電気回路基板
108 電気コネクタ
109 キャップ受け
110 インク供給口
111 ヒーター
112 封止材
113 ノズル材
114 ノズル
115 外部取り出し電極
116 マクラ部材
118 インク供給チューブ
119 インクジョイント
120 インクジェット記録ヘッド
121 気泡流出流路
122 インク共通液室
130 気泡
201 紙搬送ベルト
202 ベルト送りローラー
203 記録用紙
【発明の属する技術分野】
本発明は,被記録材に記録を行う記録ヘッド、特に、インクを吐出口から噴射してインク液滴を形成するインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置に関するものである.
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装置である。高速な記録と様々な記録メディアに対して記録することが可能であり、記録時における騒音がほとんど生じないといった特徴を持つ。このようなことから、プリンタ、ワードプロセッサ、ファクシミリ、複写機などの記録機構を担う装置として広く採用されている。
【0003】
インクジェット記録は、微小な吐出口から微小な液滴を吐出させ、記録紙に対し記録を行うこともので、代表的な方法としては電気熱変換素子を用いた方法がある。このようなインクジェット記録は、一般に液滴を形成するためのノズルを持つインクジェット記録ヘッドと、このヘッドに対してインクを供給する供給系とから構成される。電気熱変換素子を用いたインクジェット記録ヘッドでは、電気熱変換素子を加圧室内に設け、これに記録信号となる電気パルスを与えることにより記録液に熱エネルギーを与え、そのときの記録液の相変化により生じる記録液の発泡(沸騰)時の気泡圧力を記録液滴の吐出に利用する。
【0004】
上記のような電気熱変換方式を用いたインクジェット記録ヘッドの場合、電気熱変換素子が配列された基板に対して平行に記録液を吐出させる方式(エッジシューター)と電気熱変換素子が配列された基板に対して垂直に記録液を吐出させる方式(サイドシューター)がある。以下、サイドシューターを例に挙げ、インクジェット記録ヘッドの具体的な構成について説明する。
【0005】
図9はサイドシュータータイプのインクジェット記録ヘッドの外観斜視図、図10は同記録ヘッドの平面図である。図10(a)は同記録ヘッドのインク吐出方向から見た上面図、図10(b)および(c)はそれぞれ、図10(a)のA−A断面、B−B断面の図である。
【0006】
シリコン基板101の中央付近の表面側にはインクを吐出するためのインク吐出口102が複数開口しており、各々の吐出口に対応してインクを発泡させるための不図示の加熱ヒーターがシリコン基板101上に形成されている。
【0007】
加熱ヒーターからの電気配線は、加熱ヒーターを駆動するためのトランジスタ回路に接続される。このトランジスタ回路は、記録素子基板上に作り込む方法と、別体に作り込んだ素子を記録素子基板に実装する方法とが知られている。通常、加熱ヒーターの個数が比較的少ないシリコン基板101においては、シリコン基板101上にトランジスタ回路を作り込む方法が一般的であるが、印字幅を広げる目的で、比較的多数個の加熱ヒーターを配設した記録素子基板においては、トランジスタ回路を作り込む構成では記録素子基板の歩留まりの大幅な低下を招くため、トランジスタ回路を別体に作り込んだ素子を記録素子基板に実装する方法の方が、歩留まり上、有利である。図9、10には、トランジスタ回路を別体の外付け駆動素子103に作り込んだものを実装した従来例を示している。
【0008】
図910においては、加熱ヒーターからの配線は、各々、シリコン基板101上の外付け駆動素子103実装部にのびており、ここに実装された駆動素子に電気的に接続されている。外付け駆動素子103は異方性導電フィルムや、半田バンプ等によるCOB(chip on boad)接続方法により、シリコン基板101に接続されている。また、外付け駆動素子103には、トランジスタ回路の他にトランジスタを駆動するためのロジック回路が搭載されており、そのロジック回路を駆動する信号は、シリコン基板101を介してフレキシブル回路基板105に接続される。さらにフレキシブル回路基板106は、ガラスエポキシ等の複合材料からなる電気回路基板107に接続され、電気回路基板107には、外部から電気的信号を入力するための電気コネクタ108が搭載されている。
【0009】
外付け駆動素子103およびフレキシブル回路基板105の電気的接続部は、電極部が露出すると、吐出口から飛散した液滴もしくは紙上より跳ね返ったインクが電極に付着して電極やその下地金属を腐食するため、該電極部はエポキシ樹脂等の封止性、イオン遮断性に優れた不図示の封止剤により被覆され、封止されている。
【0010】
シリコン基板101の裏面側には、ベースプレート104および支持部材106によって形成される、インクを保持するためのインク共通液室122がそれら吐出口列の長さとほぼ等しい長さで開口しており、シリコン基板101には、この裏面側のインクを表面側に供給するためのインク供給口110が設けられている。
【0011】
インク共通液室122は、さらにインクジョイント119に連通しており、不図示のヘッド外部からのインクの供給を受ける構成になっている。インクジョイント119は、記録ヘッド120の印字幅が短い場合には、1つでも良いが、印字幅が広いもの、特に、記録紙の幅一杯に印字幅があるフルラインタイプの記録ヘッド120の場合は、単位時間当たりのインク使用量が大きいため、複数個のインクジョイント119を設けることもある。
【0012】
上記のような構成のインクジェット記録ヘッド120を複数個並べ、カラーの印字を高速に印字するインクジェット記録装置の一例を図12に示す。
【0013】
ベルト送りローラー202に紙搬送ベルト201を巻き付け、被記録材である記録用紙を搬送する、紙搬送機構の上部に、上述したインクジェット記録ヘッドが複数個並べてある。これらのインクジェット記録ヘッド120は、例えば1ユニット当たり1色の印字ができるものを4色分搭載してフルカラー印字を可能にしたものが従来知られている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,上記に示した方法においては、以下に示す2つの問題点があった。
【0015】
1つ目は、記録ヘッド120を製作し、初期のインクを流入させた際に、インク共通液室122に気泡130が混入し、インク共通液室122から抜けにくいという問題である。図11に示すように、インク共通液室122にインクジョイント119からインクを加圧流入させると、インクはインク共通液室122内の下部から充填され、上部に気泡130が残りやすく、気泡130が残留したままインクジョイント119からいくらインクを加圧流入させても気泡は抜けにくい。この気泡130がその後の記録ヘッド120による印字時に、インク供給口110を通り、不図示のノズル内に流入し、印字不良の原因となるということがあるのである。気泡がノズル内に流入すると、ノズルに流入した気泡の大きさによって、吐出インクの量のバラツキを引き起こしたり、インクの飛翔速度の低下を招き、非記録材への着弾精度不良が発生したり、さらには不吐出といったトラブルが発生し、結果的には、印字品位の劣化につながっていた。
【0016】
2つ目の問題点は、予めインク中に溶解していた気体が、記録ヘッド120の使用中に気化し、気泡130となり、これがインク共通液室122に滞留することがある点である。この場合も、第1の問題点と同様、気泡130が、インク供給口110を通り、不図示のノズル内に流入し、印字不良の原因となっていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題に対し、インクジェット記録ヘッドのインクの初期充填時にヘッド内に残留する気泡、ないしは、使用時に発生した気泡を効率的に除去するために、インクジェット記録ヘッドを水平面に対して傾けた状態でインクを加圧することを特徴とする、インクジェット記録装置の提供である。
【0018】
本発明の要旨を以下に述べる。
【0019】
本発明の第1の要旨は、被記録材に記録液を吐出するための記録液吐出口と記録液に運動エネルギを印加するための記録素子が複数個設けられた記録素子基板と、該複数個の記録素子に記録液を供給するための共通液室と、該共通液室にインクを供給するためのインク供給口とを有するインクジェット記録ヘッドを有し、前記インク供給口に記録液を加圧流入させる記録液加圧手段を有するインクジェット記録装置であって、前記インクジェット記録ヘッドが、被記録材に記録液を吐出する第1の姿勢と、前記共通液室にインクを充填する第2の姿勢とを有し、前記第2の姿勢において、前記共通液室の天井が水平面に対して傾きをもっていることを特徴とするインクジェット記録装置に存在する。
【0020】
本発明の第2の要旨は、前記共通液室の天井に、前記第2の姿勢において天井の上部に相当する位置に、気泡を流出させることのできる、気泡流出流路を有することを特徴とする、第1の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0021】
本発明の第3の要旨は、前記インク供給口が複数個設けられたインクジェット記録ヘッドであって、該複数個のインク供給口のうち、少なくとも一つの前記インク供給口が、前記気泡流出流路を兼ねていることを特徴とする、第1ないしは第2の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0022】
本発明の第4の要旨は、前記気泡流出流路が、前記第1ないしは第2の姿勢において、記録液吐出口と概略同一の高さにおいて、大気圧に解放されていることを特徴とする、第1、第2ないしは第3の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0023】
本発明の第5の要旨は、前記インクジェット記録ヘッドは、前記被記録材の幅と同等の記録幅を持つことを特徴とする、第1、第2、第3ないしは第4の要旨に記載のインクジェット記録装置に存在する。
【0024】
本発明の第6の要旨は、前記記録素子は、電気エネルギを熱エネルギに変換し、前記記録液の発泡現象を伴って前記記録液を吐出することを特徴とする、第1、第2、第3、第4ないしは第5の要旨に記載のインクジェット記録ヘッド。
【0025】
本発明の第7の要旨は、前記記録液が、予め溶存ガスを脱気した、脱気記録液であることを特徴とした、第1、第2、第3、第4、第5ないしは第6の請求項に記載のインクジェット記録装置。
【0026】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
図3、図4および図5は本発明のインクジェット記録装置を構成するインクジェット記録ヘッドを説明するための図であり、図3は本発明のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図、図4(a)は本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの主要部の模式的平面図、図4(b)は図4(a)のA−A断面図、図4(c)は図4(a)のB−B断面図、図5は本発明第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの主要部の模式的断面斜視図である。
【0027】
図3において、本発明のインクジェット記録ヘッドは、シリコン基板101の中央付近の表面側にインクを吐出するためのインク吐出口102が複数開口しており、このインク吐出口102から吐出されるインク滴によって記録を行うものである。
【0028】
図4および図5に示すように、シリコン基板101上には、各々のインク吐出口102に対応してヒーター111が形成されており、このヒーター111に通電加熱してインクを発泡させ、その運動エネルギで記録液であるインクをインク吐出口102から吐出させる。
【0029】
ヒーター111からの配線は、各々、シリコン基板101上の外付け駆動素子103実装部にのびており、ここに実装された駆動素子に電気的に接続されている。外付け駆動素子103は異方性導電フィルムを介してCOB(chip on boad)接続方法により、シリコン基板101に接続されている。また、外付け駆動素子103には、トランジスタ回路の他にトランジスタを駆動するためのロジック回路が搭載されており、そのロジック回路を駆動する信号は、シリコン基板101を介してフレキシブル回路基板105に接続される。さらにフレキシブル回路基板105は、ガラスエポキシ等の複合材料からなる電気回路基板107に接続され、電気回路基板107には、外部から電気的信号を入力するための電気コネクタ108が搭載されている。
【0030】
外付け駆動素子103およびフレキシブル回路基板105の電気的接続部は、電極部が露出すると、吐出口から飛散した液滴もしくは紙上より跳ね返ったインクが電極に付着して電極やその下地金属を腐食するため、該電極部は封止性、イオン遮断性に優れたシリコン樹脂からなる封止剤112により被覆され、封止されている。
【0031】
シリコン基板101の裏面側には、ベースプレート104および支持部材106によって形成される、インクを保持するためのインク共通液室122がそれら吐出口列の長さとほぼ等しい長さで開口しており、シリコン基板101には、この裏面側のインクを表面側に供給するためのインク供給口110が設けられている。
【0032】
インク共通液室212は、さらにインクジョイント119に連通しており、インク吐出時には、インクジェット記録ヘッドは、外部の不図示のインクタンクからインクジョイント119を通じてインクの供給を受ける構成になっている。
【0033】
このインクジェット記録ヘッド120を用いて印字を行う、インクジェット記録装置を図2に示す。
【0034】
図2は、前述のインクジェット記録ヘッド120を4本並べ、それぞれにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色を割り当て、4色のフルカラー印字を行うインクジェット記録装置の模式図である。ベルト送りローラー202に紙搬送ベルト201を巻き付け、被記録材である記録用紙203を搬送する、紙搬送機構の上部に、上述したインクジェット記録ヘッド120が4本並べてある。記録用紙203がインクジェット記録ヘッド120の下をくぐる間に4本のインクジェット記録ヘッド120がインクを記録紙203に吐出し、高速に印字を行うものである。
【0035】
このようなインクジェット記録装置において、インクジェット記録ヘッド120にインクを充填する際は、インクジョイント119からインクを加圧流入させる。このとき、インク共通液室212に気泡が残らないようにするため、本発明においては、図1に示すように、インクジェット記録ヘッド120を斜めに傾け、インク共通液室212に気泡が残らないようにするものである。インクジェット記録ヘッド120に、インクを加圧流入させている際のインクジェット記録ヘッド120内部を図6に示す。インクを初期充填する前は図6(a)に示すように、インク共通液室212にはインクは入っていない。インクを初期充填する際は、前述のように、図6(b)に示すように、インクジェット記録ヘッド120をインクジョイント119が低くなるように傾け、インクをインクジョイント119から加圧流入させる。すると、インク共通液室212内部において、気泡130は、浮力とインク流入の流れに従って図6(b)中右上に容易に集めることができる。さらにインクを加圧させることで、気泡130は、すべてインク供給口110を経て、ノズル114から排出されるのである。なお、図6に示したように、共通液室212の下流部分の角を落としておくといっそう、気泡130の排出が促進されることも実験によって確認された。
【0036】
また、インクジェット記録ヘッド120を使用中に、インクに溶存していたガスがインクから排出され、インク共通液室212にたまり、気泡130を形成した際にも、上述のように、インクジェット記録ヘッド120を傾けてインクを加圧流入させることで気泡130を効果的に排出することができるのである。
【0037】
さらに、本発明は、あらかじめインクに溶存するガスを脱気してインクの発泡安定性を高めたインクジェット記録装置に適用すれば、インク中への気泡130混入を防止することができるため、インクの脱気度の劣化を防ぐことができるのである。
【0038】
このように、本発明によれば、インクジェット記録ヘッド120内部の不要な気泡130を排出する際に、インクジェット記録ヘッド120を傾け、インクを加圧流入させることで、効果的に気泡130を排出することができるインクジェット記録装置を提供できるものである。ひいては、ノズル内の気泡の除去性を向上し、安定して高い印字品位を実現するインクジェット記録装置を提供するものである。
【0039】
[実施例2]
本発明の第2の実施例を図7を用いて説明する。
【0040】
本実施例の第1の実施例との相違点は、インク共通液室212の端部に気泡流出流路121を設けた点にある。図7(b)に示すように、インクジェット記録ヘッド120を傾けた際に、インク共通液室212のほぼ最上部に相当する箇所に細い流路が設けられている。この流路は、インクをインクジョイント119から加圧流入させた際に、インク共通液室212の最上部に気泡130がスムーズに集まり、その気泡130がよりスムーズに排出されるように設けられた流路である。この気泡流出流路121の他端は、望ましくは、インク吐出時の姿勢の状態(図7(a))で、メニスカスが破れたりしてインクが流出したり、ノズル114に不要の水頭圧を与えぬよう、ノズル114と同じ高さにし、ノズル114に形成されるインク吐出口102と同等のスケールの開口部を持って大気中に解放されているのが望ましい。
【0041】
このように、本実施例は、第1の実施例に加えて気泡流出流路121を設け、インク共通液室212内の気泡130の排出を、よりスムーズにするものである。
【0042】
[実施例3]
本発明の第3の実施例について図8を用いて説明する。
【0043】
本発明の第1、第2の実施例との相違点は、本発明をインクを循環回復するインク供給系をもつインクジェット記録装置に適用した点にある。第1、第2の実施例においては、インクの供給は加圧のみであったが、本実施例の場合は、インクジョイント119を左右に2本設け、これらを用いて、気泡130の排出時にインク共通液室122内のインクを循環させるものである。
【0044】
インクジェット記録ヘッド120へのインク初期充填および、気泡130の排出時には、図8(b)に示すように、インクジェット記録ヘッド120を斜めにし、低い方のインクジョイント119からインクを加圧流入させると同時に、インク共通液室122を満たし、あふれるインクを高い方のインクジョイント119から流出させるものである。高い方のインクジョイント119から排出されたインクおよび、気泡130は付図示のインクタンクに戻される構成となっている。
【0045】
このようにして気泡130が排出された後、図8(a)に示すように、インクジェット記録ヘッド120を水平に戻し、図2に示す構成で、印字を行う。印字の際のインクジェット記録ヘッド120へのインク供給は、2本のインクジョイント119の両方からインクが供給される構成となっている。
【0046】
このように、本発明の第3の実施例によれば、本発明は、インクジェット記録ヘッド120内部をインク循環回復させるインクジェット記録ヘッドの構成にも適用でき、インクジェット記録ヘッド120内部に不要の気泡130を円滑に排出させることができるようにするものである。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上説明してきたように、インクジェット記録ヘッド120にインクを初期充填する際にインク共通液室122内部に残存する気泡130、あるいは、使用により発生した気泡130を、インクジェット記録ヘッド120を傾け、インクを流入させることで円滑に除去するものである。
【0048】
その結果、ノズル内の気泡301の除去性を向上し、さらにノズル内への気泡301の混入を防止することができ、印字品位の高い、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することができるようにするものである。
【0049】
また、以上の説明は、全て、サイドシューターのバブルジェット(登録商標)方式のインクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録ヘッドについて行ってきたが、もちろん、エッジシューター方式のインクジェット記録ヘッドや、ピエゾ方式のインクジェット記録ヘッドにも、本発明は適用でき、その効果は上記説明と何ら変わりないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のインクジェット記録装置の模式的斜視図
【図2】本発明の第1の実施例のインクジェット記録装置の模式的斜視図
【図3】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図
【図4】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの3面図
【図5】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッド主要部の模式的断面斜視図
【図6】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図7】本発明の第2の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図8】本発明の第3の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図9】従来のインクジェット記録ヘッドの外観斜視図
【図10】従来のインクジェット記録ヘッドの3面図
【図11】本発明の第1の実施例のインクジェット記録ヘッドの断面図
【図12】本発明の第1の実施例のインクジェット記録装置の模式的斜視図
【符号の説明】
101 シリコン基板
102 インク吐出口
103 外付け駆動素子
104 ベースプレート
105 フレキシブル回路基板
106 支持部材
107 電気回路基板
108 電気コネクタ
109 キャップ受け
110 インク供給口
111 ヒーター
112 封止材
113 ノズル材
114 ノズル
115 外部取り出し電極
116 マクラ部材
118 インク供給チューブ
119 インクジョイント
120 インクジェット記録ヘッド
121 気泡流出流路
122 インク共通液室
130 気泡
201 紙搬送ベルト
202 ベルト送りローラー
203 記録用紙
Claims (7)
- 被記録材に記録液を吐出するための記録液吐出口と記録液に運動エネルギを印加するための記録素子が複数個設けられた記録素子基板と、
該複数個の記録素子に記録液を供給するための共通液室と、
該共通液室にインクを供給するためのインク供給口とを有するインクジェット記録ヘッドを有し、
前記インク供給口に記録液を加圧流入させる記録液加圧手段を有するインクジェット記録装置であって、
前記インクジェット記録ヘッドが、
被記録材に記録液を吐出する第1の姿勢と、
前記共通液室にインクを充填する第2の姿勢とを有し、
前記第2の姿勢において、前記共通液室の天井が水平面に対して傾きをもっていることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記共通液室の天井に、前記第2の姿勢において天井の上部に相当する位置に、気泡を流出させることのできる、気泡流出流路を有することを特徴とする、第1の請求項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記インク供給口が複数個設けられたインクジェット記録ヘッドであって、
該複数個のインク供給口のうち、少なくとも一つの前記インク供給口が、前記気泡流出流路を兼ねていることを特徴とする、第1ないしは第2の請求項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記気泡流出流路が、前記第1ないしは第2の姿勢において、記録液吐出口と概略同一の高さにおいて、大気圧に解放されていることを特徴とする、
第1、第2ないしは第3の請求項に記載のインクジェット記録装置。 - 前記インクジェット記録ヘッドは、前記被記録材の幅と同等の記録幅を持つことを特徴とする、第1、第2、第3ないしは第4の請求項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録素子は、電気エネルギを熱エネルギに変換し、前記記録液の発泡現象を伴って前記記録液を吐出することを特徴とする、第1、第2、第3、第4ないしは第5の請求項に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記記録液が、予め溶存ガスを脱気した、脱気記録液であることを特徴とした、第1、第2、第3、第4、第5ないしは第6の請求項に記載のインクジェット記録装置。
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-
2002
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