JP2004160294A - 重水素分離濃縮方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高いHD選択性を有する吸着剤の提供;及び該吸着剤を用い、微量のHDを含有するガスから、煩雑な操作を行うことなく効率よくHDを除去濃縮することが可能なHD除去濃縮方法を提供する。
【解決手段】HDを含む原料ガスを、吸着系中に供給し、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライトあるいはそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体からなる吸着剤と接触させてHDを選択的に吸着させ;次いで、該吸着系中に、前記原料ガスの供給方向と同一方向にHD含有ガスを供給して当該吸着系内に残留する難吸着成分を吸着系から排出させ;次いでHD吸着時より低圧条件下でHDを脱着させて回収し;更に、再生ガスを前記原料ガスの供給方向と逆方向に供給することによって、該吸着剤を再生するとともに、該吸着剤中に残留するHDを脱着させ回収する。
【選択図】 図1
【解決手段】HDを含む原料ガスを、吸着系中に供給し、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライトあるいはそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体からなる吸着剤と接触させてHDを選択的に吸着させ;次いで、該吸着系中に、前記原料ガスの供給方向と同一方向にHD含有ガスを供給して当該吸着系内に残留する難吸着成分を吸着系から排出させ;次いでHD吸着時より低圧条件下でHDを脱着させて回収し;更に、再生ガスを前記原料ガスの供給方向と逆方向に供給することによって、該吸着剤を再生するとともに、該吸着剤中に残留するHDを脱着させ回収する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5のNa−X型ゼオライト、並びにそのLi、Ca、Mg、Sr及び/又はAg交換体からなる重水素(HD)吸着剤及び該HD吸着剤を用いたHD分離濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重水素は原子炉の中性子減速材、核融合用のプロセスガスとして用いられている。また、一般産業分野においても近年、短波長レーザー用光通信プラスティックファイバーとして水素を重水素で置換することにより減水率の低減が期待されている。航空機用耐熱性潤滑油としても、現在のフッ素系に代わって重水素置換潤滑油を使用することにより、潤滑油の重量を約40%低減可能にすることが期待されている。さらに、重水素置換有機材料には抗菌効果があることが知られており、この分野での用途拡大も期待できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
重水素は上記のような多様な産業分野での用途の拡大が期待されるが、製造コストが高く高価になってしまうために、その使用の普及が妨げられている。
【0004】
現在、重水素の製造は水の電気分解による方法が一般的である。重水の電解時の分離係数は5程度と大きく、5段程度の多段濃縮により天然存在比150ppmから90vol%以上への濃縮が可能である。
しかし、水の電気分解−重水素濃縮−重水素燃焼という一連の濃縮操作の繰り返しに伴う消費電力が大きいため、より効率的なプロセスに対する強いニーズがある。
【0005】
他の方法として、白金触媒上でのH2O+HD→HDO+H2という同位体交換反応を利用するものがある。ここでは、分離係数α(=[HDO][H2]/[H2O][HD])が6程度と大きいので、水電解法と同様、5段程度の多段濃縮により天然存在比150ppmから90vol%以上への濃縮が可能である。この方法により消費電力はかなり低減されるものの、触媒として多量の白金を使用するため、設備費等の負担が大きい。
【0006】
本発明の目的は、高いHD選択性を有するHD吸着剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該吸着剤を用いて、微量のHDを含有するガスから、煩雑な操作を行うことなく効率よくHDを濃縮、回収することができ、しかもコストが低く、工業的規模での実施が可能なHD分離濃縮方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、発明者らは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライト、並びにそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体が、高いHD選択性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライト、あるいはそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体からなる重水素(HD)吸着剤に関する。
【0009】
本発明の第2の発明は、HDを含有するガスを、前記HD吸着剤を含む吸着系と接触させてHDを吸着させ、HDを吸着した吸着剤を、吸着時より低圧条件下に導き、吸着したHDを脱着回収するとともに、該吸着剤を再生することを特徴とするHD分離濃縮方法に関する。
【0010】
本発明の第3の発明は、HDを含む原料ガスを、吸着系中に供給し、前記吸着剤と接触させてHDを選択的に吸着させ;次いで、該吸着系中に、前記原料ガスの供給方向と同一方向にHD高含有ガスを供給して(並流パージ)当該吸着系内に残留する難吸着成分を吸着系から排出させ;次いでHD吸着時より低圧条件下でHDを脱着させて回収し;更に、HDを含有しないガスを前記原料ガスの供給方向と逆方向に該吸着系中に供給する(向流パージ)ことによって、該吸着剤中に残留するHDを脱着させ回収するとともに、該吸着剤を再生する工程を含むことを特徴とするHD除去濃縮方法に関する。
【0011】
上記方法は、好ましくは、HD吸着剤を充填したn個(nは2以上の整数)の吸着系を並列に配置し、各吸着系における工程の進行を1/nずつずらして行われる。本発明の第3の発明は、上述のように、HD吸着工程−HD高含有ガスの供給工程−HD回収工程−HD非含有ガスの供給工程−HD吸着剤再生工程から構成されるので、これら工程からなる全工程をn個の吸着系において1/nずつずらして行うことによりこれらの工程を連続的に行うことが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のHD吸着剤は酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比(SiO2/Al2O3)が2〜2.5であるNa−X型ゼオライトからなる。
【0013】
本発明で用いられるNa−X型ゼオライトは、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体であってもよい。
【0014】
本発明のHD吸着剤は、相対的高圧条件でHD含有ガスと接触させてHDを吸着させ、これを相対的低圧に導くことによってHDを脱着させて回収する圧力スイング法(PSA)によるHD濃縮(以下、PSA−HDということがある)に適している。すなわち、本発明で用いるPSAでは、例えば、吸着圧力として100〜150kPaでHDを該HD吸着剤に吸着させた後、1〜20kPaに減圧することによりHDを脱着させる。
また、本発明の方法は、好ましくは−150℃以下、更に好ましくは−180℃以下の温度条件下で行われる。
【0015】
本発明において、「難吸着成分」とは、水素等の、本発明のHD吸着剤での吸着性がHDよりも低い成分を意味する。
【0016】
以下に、本発明を図を用いて説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0017】
図1は、本発明の方法に用いるPSA−HD装置の一構成例を示す。当該装置において、原料ガス(HDを含有する水素ガス)を、バルブ102,103を開いて、ブロア35によって、流路104を通じて、コールドボックス30内に収容されたカラム105に供給する。カラム105には本発明のHD吸着剤のペレット106が充填されており、カラム105をHD吸着可能な圧力(吸着圧力)に保持してHD吸着を進行させる。カラム105の出口にHD吸着帯が達したとき、バルブ102,103を閉じ、バルブ107を開いて流路108を真空ポンプ109とつないで減圧し、吸着したHDを脱着させる。HDの脱着が終了すると、減圧弁110、バルブ111を開き、HDを含まないガス(H2)を導き(向流パージ)HD吸着剤を再生させ、続いてバルブ107を閉じてH2によりカラム圧力をHD吸着圧力にまで昇圧する。ここで再びバルブ102、103を開け原料ガスを導くことによって、再びHD吸着を進行させる。
【0018】
図2は、本発明の方法に用いるPSA−HD装置の別の構成例を示す図である。この場合、図2に示されるように、本発明の方法を実施するための装置は、開閉可能なバルブ1〜21を備え、コールドボックス30内に配置された、前記HD吸着剤を充填した3つのHD吸着塔31〜33を有し、さらに、HDを含有する原料ガスの流入口34、原料ガス及び/又は吸着塔31〜33からバルブ6、12及び18を介して還流させたガスを吸着塔に供給するためのブロワ35、回収したHD高含有ガスを貯蔵するためのバッファタンク36、バルブ2、8及び14を介して吸着塔内を減圧し、吸着したHDを脱着させてバッファタンク36に回収するための真空ポンプ37、及びHDを分離したガス(水素等)の排出口38を有する。排出口38からは、水素ブースター39により、各吸着塔31〜33でHDを分離されたガスがバルブ4、10及び16を介して排出される。バッファタンク36内に回収されたHD高含有ガスは、並流パージガスとしてバルブ3、9及び15を通じて吸着塔31〜33に送り並流パージに使われる。並流パージより流過したH2リッチガスは、入り口ガスよりも高いHD濃度のため、原料ガス入口に戻してHD吸着に使用される。この為HDの殆どは真空ポンプ後方のHD濃縮ライン37からのみ系外に取り出されるため本装置はHDに対し閉鎖系を構成し非常に高い濃縮率を達成することとなる。
【0019】
各吸着塔では、HD吸着−並流パージ−減圧−向流パージ−昇圧という操作サイクルが繰り返し行われる。すなわち、各吸着塔では、
(1)原料ガスの供給(HD吸着)、
(2)HDを高濃度に含むHD高含有ガスの供給(並流パージ)と、それによる塔内残留水素等の置換、
(3)減圧によるHDの脱着及び回収、
(4)HDを含まないガスを用いた、塔頂よりの逆洗による塔内洗浄(向流パージ)、そして
(5)昇圧
という操作サイクルが行われ、再びHDの吸着が可能な状態となる。このような操作サイクルを繰り返すことでHDを効率よく回収することができる。
【0020】
上記操作サイクルを図2を用いてより詳細に説明すると、まず、バルブ1を開き、ブロワ35によって、原料ガス流入口34から、HDを含有する原料ガスを、コールドボックス30内の吸着塔31に供給する。このとき原料ガス中に含まれるHDが、吸着塔31内のHD充填剤によって選択的に吸着される。HDが吸着された原料ガスは、水素ブースター39により、バルブ4を通って排出口38から排出される。
【0021】
次に、バルブ4を閉じ、バルブ5及び17を開いて、吸着塔31から排出されたHD除去ガスを向流パージガスとして他の吸着塔33に供給する。
【0022】
次に、バルブ1と5を閉じ、バルブ3と6を開く。バッファタンク36から、HD高含有ガスを吸着塔31に供給して、吸着塔31内に残留している難吸着成分(水素等)と置換させ(並流パージ)、塔内のHD濃度を上昇させる。吸着塔31から排出されたガスは、塔内HD濃度が高くなっているためにHD分離が十分でない可能性があるので、原料ガス流入口34に還流させ、これを吸着塔33に供給する。ここで回収されるガス量をGd、並流パージガス量をGrとすると、並流パージ率Rは、R=Gr/Gdと定義される。
【0023】
これは、このとき吸着塔31内には、吸着したHD以外に、死容積部に水素等が残存しているので、この時点で塔内を減圧に導いてHDを回収したとしても高濃度で回収することはできない。そこで、バッファタンク36から、一旦回収したHD高含有ガスを、原料ガスと同じ方向から吸着塔31に供給する(並流パージ)ことによって、塔内に残存する水素等の難吸着成分を塔外に追い出し、塔内のHD濃度を上昇させることができる。この並流パージは、予めバッファタンク36内に回収、貯蔵しておいたHD高含有ガスを用いて行うことができる。HD高含有ガスが未回収である1回目の操作サイクルにおいては、予めHD含有ガスをバッファタンク36内に供給しておくことが好ましい。あるいは、1回目の操作サイクルではこの工程を省略することもできる。
さらに、HD除去効果はわずかに低下するが、並流パージを行わなくても、高効率でHDを除去濃縮することもできる。この場合、操作は更に簡略化される。したがって、必要なHD濃縮率、経済性、操作性等を勘案して並流パージを行うか否かを決定すればよい。
【0024】
次に、吸着塔31のバルブ2以外のバルブ(1及び3〜6)を閉じ、真空ポンプ37を用いて吸着塔31内をHD吸着時より減圧、好ましくは1〜20kPaに減圧して、吸着したHDを脱着させ、バッファタンク36に回収する。
【0025】
そして、バルブ5を開き、他の吸着塔から排出された、HDを除去したガスを用いて、塔頂よりの逆洗による塔内洗浄(向流パージ)を行って、塔内のHDを完全に除去する。向流パージに必要なガス量Gp(1N/batch)は、入口ガス量をG0(1N/batch)、吸着圧力(吸着時の圧力)をPa(atm)、再生圧力をPd(atm)とすると、Gp=G0×K×(Pd/Pa)[式中、K=1.2〜1.5]で表される。
【0026】
これは、真空ポンプ37による単純な減圧で塔内のHDの大半は回収されるが、並流パージで塔内HD濃度を著しく高めているので単純な減圧だけではHDの除去が不十分な可能性があるので、減圧によるHD回収に続いて減圧条件下で原料ガスとは逆方向からHDを含まないガスを供給すること(向流パージ)によって塔内のHDを完全に除去するためである。この向流パージを行うことで、吸着剤を十分に再生させることができるので、再度HDの吸着を行うときにHDの完全な吸着除去を達成することができる。
【0027】
それから、バルブ2を閉じ、HDを含有しないガスで塔内を吸着圧力にまで昇圧する。これによって再びHD吸着が可能となる。これら一連の操作を繰り返すことによって、HDの著しい濃縮を達成することができる。
【0028】
また、n個の吸着塔において、上述した操作サイクルの工程の進行を1/nずつずらして行うことにより、連続した吸着、並流パージ、HD回収が達成できる。例えば、図2(n=3)の場合、例えば吸着塔32の出口から排出されたガスは、原料ガスの流入口34に還流され、ブロワ35によって吸着塔31に供給される。このように、本発明の方法を用いることによって、簡単な操作で連続的且つ効率的なHD濃縮を行うことができる。
【0029】
以上、3塔形式のPSA−HD装置を例示して本発明を説明したが、適宜、1又は2、あるいは4つ以上の吸着系を用いて行うことも可能である。また、吸着操作を大気圧下で行い、脱着操作を減圧下で行ったり、吸着操作を加圧下で行い、脱着操作を大気圧下で行うなどしてもよく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0030】
次に、本発明の方法に用いる装置の別の構成例を示す。
図3に示すHD分離濃縮装置100は、3塔形式のPSA−HD装置1aと、2塔形式のPSA−HD装置1b,1cとが直列に接続され、さらに、H2/D2スクランブラー50を介して、2塔形式のPSA−D2装置1dが接続されて構成されている。
ここで、PSA−D2装置1dは、既知の任意のD2吸着剤を充填した2塔の吸着塔31d,32dを備えている。
【0031】
PSA−HD装置1a〜1cは、コールドボックス30内に収容された吸着塔31a〜33a,31b〜32c、吸着塔にHD含有ガスを供給するブロワ35a〜35c、吸着塔からHDを回収する真空ポンプ37a〜37c、HD含有ガスを供給する流路51a〜51c、HD含有ガスを回収する流路52a〜52c、HD含有ガスを貯蔵するバッファタンク56a〜56c、バッファタンク56aからの並流パージガス(高HD含有ガス)を吸着塔31a〜33aに供給する流路61、各吸着塔からの排ガスを還流する流路62a〜62cから構成されている。
また、PSA−D2装置1dは、コールドボックス30内に収容された吸着塔31d,32d、HD/D2スクランブラー50からのガスを供給するブロワ35d、吸着塔からD2を回収する真空ポンプ37d、HD/D2スクランブラー50からのガスを供給する流路51d、D2含有ガスを回収する流路52d、D2ガスを貯蔵するバッファタンク57、吸着塔31d,32dからの排ガスを還流する流路62dから構成されている。
【0032】
図3に示すHD分離濃縮装置100の動作について簡単に説明すると、まず、第一段のPSA−HD装置1aにおいて、流路51aからブロワ35aを介して吸着塔31a〜31cに原料ガスが供給され、HDが除去される。
吸着塔31a〜33aでHDが除去された排ガスは、排出口38から排出することができる。HD吸着剤に吸着したHDは、真空ポンプ37aにより吸着塔31a〜33a内を減圧することにより脱着され、流路52aを通ってバッファタンク56aに回収される。
バッファタンク56aに回収された高HD含有ガスの一部は並流パージガスとして、流路61を通って吸着塔31a〜33aに供給される。このとき、吸着塔31a〜33aからの排ガスは、流路62aを介して入口側に還流される。
また、バッファタンク56aに回収された高HD含有ガスの一部は、流路51bを経て、隣の第2段PSA−HD装置1bに送られる。
【0033】
第1段PSA−HD装置1aから送られた高HD含有ガスは、第2段PSA−HD装置1bの吸着塔31b,32bに送られ、ガス中のHDがHD吸着剤に吸着する。このとき、吸着塔31b,32bからの排ガスは、流路62bを通って、第1段PSA−HD装置1aの入口側に還流され、原料ガスに混合される。
HD吸着剤に吸着したHDは、真空ポンプ37bにより吸着塔31b,32b内を減圧することにより脱着され、流路52bを通ってバッファタンク56bに回収される。
このように、第1段PSA−HD装置1aで分離濃縮したHDを、第2段PSA−HD装置1bにてさらに濃縮することができ、バッファタンク56b内のHD含有ガス中のHD濃度は、バッファタンク56a内のHD含有ガス中のHD濃度よりも高くなる。
【0034】
同様に、第2段PSA−HD装置1bから第3段PSA−HD装置1cに送られたHD含有ガス中のHD濃度は、第3段PSA−HD装置1cにてさらに濃縮される。
【0035】
上述のように、上記HD分離濃縮装置100によれば、直列に接続した複数のPSA−HD装置1a〜1cによって、HD含有ガスを順次濃縮することができ、高純度のHDガスを得ることができる。
【0036】
記HD分離濃縮装置100では、さらに、PSA−HD装置1a,1b,1cで分離濃縮して得られた高濃度のHDの一部を、H2/D2スクランブラー50にてH2とD2に変換することができる。変換されて生じたD2は、PSA−D2装置1dに送られ、吸着塔31d,32d内に充填したD2吸着剤に吸着する。
このとき、吸着塔31d,32dからの排ガスは、H2とHDを含んでおり、流路62dを通ってバッファタンク56bに還流し、再度、HDを分離濃縮することにより、HDの濃縮効率を更に高めることができる。
D2吸着剤に吸着したD2は、真空ポンプ37dにより吸着塔31d,32d内を減圧することにより脱着され、流路52dを通ってバッファタンク57に回収される。このようにして回収されたD2は、工業的に利用することが可能である。
【0037】
【実施例】
本発明のHD吸着剤のHD吸着量及びHD分離係数を以下のような実験を行って評価した。ここで、HD分離係数とは、HDと水素をそれぞれを別々に、同一濃度、大気圧条件下で吸着剤と接触させた場合のHD吸着量と水素吸着量の比を意味し、HDと水素の吸着量をそれぞれqHDおよびqH2とすれば、HD分離係数αはqHD/qH2で表わされる。例えばHD分離係数が10の場合、水素の10倍量のHDがその吸着剤に吸着されたことを示す。
【0038】
試験例1:SiO2/Al2O3比とHD吸着量及びHD分離係数
複数のNa−X型ゼオライト系HD吸着剤(Na−X、Ca−X(イオン交換率0〜100mol%)、LiX(イオン交換率0〜100mol%)、Mg−X(イオン交換率0〜100mol%)、Sr−X(イオン交換率0〜100mol%)、Ag−X(イオン交換率0〜50mol%))について、SiO2/Al2O3比に対するHD吸着量(mlN/g/atm)及びHD分離係数を、図1記載の小型カラム試験装置(カラム容量:40mL、吸着剤充填量:25mL、吸着剤充填量:10〜15g)を用いて、以下の条件で評価した。
原料ガス中のHD濃度:300ppm
原料ガス供給量:7m3N/day(300lN/h)
HD吸着温度:77K(−196℃)
HD吸着圧力:120kPa
HD脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
運転時間:4時間
図1において圧力調整バルブPCVで吸着圧力を調整した後、バルブ−V1を開くと、H2,HD濃度Co,i(i=1;H2、i=2;HD)の原料ガスがカラムに流入して、1.6mmφのペレットに成型されたゼオライト約10gが充填されている内径10mmφ、層長250mmの小型カラムの圧力は吸着圧力(Pa)に迄昇圧した。この後更にバルブ−V2も開き、カラムの出口に設置した質量流量計で出口ガス量を調整して流通すると、カラムに充填された吸着剤はHD、及び共吸着H2を吸着し、未吸着のH2、HDが流過し、カラム出口に設置された流量計、HD、H2濃度計によりカラム出口の流過ガス流量、HD、H2濃度G1、C1,iが計測された。設定された吸着時間が経過すると、バルブV−1、2を閉じてバルブ−3を開き、カラムを真空ポンプとつなぎ、13Pa以下まで排気すると、吸着されたガスの殆どは除去された。真空ポンプの出口にも流量計、HD、H2濃度計が設置されているため、脱着ガス量、HD、H2濃度G2、C2,iも計測された。
あらかじめ殆ど吸着能を有しないHeを使用してカラムの前方部、中間部、後方部の死容積Vf、Vm、Vrは計測されており又試験中に死容積温度Tf、Tm、Trが計測されているので、吸着工程終了時の出口HD、H2濃度をC1E,i、とすると、前方部、中間部、後方部の死容積のHD,H2濃度は概略Co,i、Co,i+C1E,i/2、C1E,iとなり死容積のHD、H2量Gdead,iは式(1)で求められる。
【数1】
ここで吸着剤充填量をWとすると所定の吸着時間に於けるHD、H2吸着量qi(q2、q1)が式(2)から各々求められる。
【数2】
図4にSiO2/Al2O3比とHD吸着量の関係を示す。この結果は、SiO2/Al2O3比が2〜2.5である際に、Na−X、Ca−X、Mg−X、Sr−X及びAg−Xが、高いHD吸着性を示したことを示している。
図5にSiO2/Al2O3比とHD分離係数の関係を示す。この結果は、SiO2/Al2O3比が2〜2.5である際に、Na−X、Ca−X、Mg−X、Sr−XのHD分離係数が高まったことを示している。
【0039】
試験例2:吸着温度とHD吸着量及びHD分離係数
試験例1で用いたのと同じNa−X型ゼオライト系吸着剤について、試験例1で用いたのと同じ小型カラム試験装置を用い、以下の条件で、吸着温度を77Kから173Kまで変化させて、吸着温度に対するHD吸着量及びHD分離係数を評価した。
吸着剤のSiO2/Al2O3比:2.0
原料ガス中のHD濃度:300ppm
原料ガス供給量:7m3N/day(300lN/h)
HD吸着圧力:120kPa
HD脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
運転時間:4時間
図6及び図7に、吸着温度とHD吸着量の関係、及び、吸着温度とHD分離係数の関係を示す。これらのHD吸着剤のHD吸着量及びHD分離係数は、温度が低下するにつれて、特に123K(−150℃)以下の温度で増大した。
【0040】
試験例3:イオン交換率とHD吸着量及びHD分離係数
複数のNa−X型ゼオライト系吸着剤(Na−X、Ca−X、LiX、Mg−X、Sr−X、Ag−X)について、イオン交換率を0から100mol%まで変化させて、試験例1で用いたのと同じ小型カラム試験装置を用い、以下の条件で、イオン交換率に対するHD吸着量及びHD分離係数を評価した。
吸着剤のSiO2/Al2O3比:2.0
原料ガス中のHD濃度:300ppm
原料ガス供給量:7m3N/day(300lN/h)
HD吸着温度:77K(−196℃)
HD吸着圧力:120kPa
HD脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
運転時間:4時間
図8にイオン交換率とHD吸着量の関係を示す。HD吸着剤のイオン交換率が70%以上になると、イオン交換率に比例してHD吸着量が増大した。但しAgについては10mol%で極大値を与えそれ以上ではむしろHD吸着量は減少した。これはAgがゼオライト結晶内でクラスターを形成して吸着活性点が減少したためと推定された。
図9にイオン交換率とHD分離係数の関係を示す。HD吸着剤のイオン交換率が70%以上になると、イオン交換率が高くなるにつれてHD分離係数すなわちHD選択性が高まった。
【0041】
実施例1
図1に示す、1つの吸着塔(容量:1.3L、吸着剤充填量:1kg/塔)を備えたPSA−HD装置でHDの分離濃縮を行った。操作条件は以下の通りである。
【0042】
このPSA−HD装置のHD濃縮能を以下に示す。
HD除去率: 99%
HD濃縮率: 100倍
HD吸着剤負荷: 30m3N/h/ton
【0043】
実施例2
図10に示す、2塔の吸着塔31,32(容量:1.3L)から構成されるPSA−HD装置を用い、HD分離濃縮を行った。操作条件は以下の通りである。
HD吸着温度: −196℃
HD吸着圧力: 105〜150kPa
HD脱着圧力: 1〜20kPa
サイクルタイム: 1〜5分
運転時間:8時間
吸着塔には、HD−水素系に対してHDを選択的に吸着する吸着剤として、Na−X型ゼオライト(SiO2/Al2O3比2.0)のペレットを1kg/塔充填した。
コールドボックス30内に収容した吸着塔31に、HD300ppmを含有する水素(原料ガス)を、ブロワ35で120kPa程度に圧縮して、5lN/batchで(吸着時間5分の場合1lN/分)で供給した。そして、バッファタンク36から、HD高含有ガスを塔入口から供給した(並流パージ)。並流パージ時に吸着塔出口から排出されたガスは、還流ラインを通じて入口に還流させた。
そして、真空ポンプによる単純な減圧を行い、塔内のHDの大半を脱着させ、回収した。減圧によるHD回収に続いて、減圧条件下で、塔頂から、吸着塔32でHDを除去した水素ガスを吸着塔31内に供給(向流パージ)し、塔内のHDを完全に除去した。これら一連の操作を1サイクルとして、このサイクルを8時間繰り返した。
また、排出されたガスを還流する割合を並流パージ率とし、並流パージ率を90%から99.5%まで変化させ、同様の操作を行った。
【0044】
その結果、並流パージ率と4時間後のHD濃縮率の関係は以下のようになった。
並流パージ率 濃縮率 備考
90% 10倍 向流パージガス循環、並流パージガス循環
95 20 向流パージガス循環、並流パージガス循環
99 95 向流パージガス循環、並流パージガス循環
99.5 180 向流パージガス循環、並流パージガス循環
99 5 向流パージガス循環なし、並流パージガス循環なし
【0045】
この結果は、並流パージ率を99%以上とし、向流パージと並流パージとを行うことによって、4時間で95倍以上という高い濃縮率が達成できたことを示している。
【0046】
実施例3
表1に記載の機器からなる、図2に示すPSA−HD装置を用い、HD吸着剤(Na−X型ゼオライト;HD吸着量約1mlN/g/atm;HD/H2選択性約2.2;吸着温度約80K)を充填した3つの吸着塔(10l/塔)を有する装置を用い、HD除去を行った。
【0047】
【表1】
【0048】
ここで用いた実施条件は以下の通りである。
吸着圧力:120kPa
脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
吸着温度:80K
原料ガス量:7m3N/day(300lN/h)
【0049】
まず、バルブ1を開き、HDを含有する水素ガスを、コールドボックス30(<240K)内の吸着塔31に供給し、HDを吸着させた。このとき、圧力(吸着圧力)は120kPaに維持した。HDが吸着された原料ガスはバルブ4を通って排出口38から排出し、水素処理装置によって水とした。
次に、バルブ4を閉じ、バルブ5及び17を開いて、吸着塔31から排出されたHD非含有ガスを向流パージガスとして別の吸着塔33に供給した。
次に、バルブ1と5を閉じ、バルブ3と6を開いてバッファタンク36から、HD高含有ガスを吸着塔31に供給して、吸着塔31内に残留している水素と置換させ(並流パージ)、塔内のHD濃度を上昇させた。吸着塔31から排出されたガスは、塔内HD濃度が高くなっているためにHD分離が十分でない可能性があるので、原料ガス流入口34に還流させ、これを吸着塔33に供給した。
次に、吸着塔31のバルブ2以外のバルブ(1及び3〜6)を閉じ、真空ポンプ37を用いて吸着塔31内を5kPaにまで減圧して、吸着したHDを脱着させ、バッファタンク36に回収した。
そして、減圧を維持したまま、バルブ5を開き、他の吸着塔から排出されたHD非含有ガスを用いて、塔頂よりの逆洗による塔内洗浄(向流パージ)を行って、塔内のHDを完全に脱着させ、回収し、吸着剤を再生させた。
それから、バルブ2を閉じ、HDを含有しないガスで塔内を吸着圧力(120kPa)にまで昇圧した。これら一連の操作を繰り返すことによって、HDの著しい濃縮を達成することができた。
【0050】
8時間後のポイントA(原料ガス流入口)、ポイントB(排出口38)及びポイントC(バッファタンク36)における物質収支(ガス組成比及び流量)を測定したところ、表2のような値であった。表の上段はポイントA〜Cにおけるガスの組成を示し、下段は、各ポイントのガス量を示す。
HDについて、ポイントAとCとを比較すると、HD高含有ガス(ポイントC)に占めるHDの割合がおよそ100倍となった。また、HDを除去した水素ガス(ポイントB)中には、HDが殆ど含まれていなかった。すなわち、水素−HD2成分系ガスから、非常に効率よくHDを分離、濃縮することができた。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例4
図3に示す、第1〜第3段PSA−HD装置1a〜1c及びPSA−D2装置1dを組み合わせた装置100を用い、以下の操作を行った。
第1〜第3段PSA−HD装置1a〜1cの吸着塔(10l/塔)には、HD吸着剤(Na−X型ゼオライト;HD吸着量約1mlN/g/atm;HD/H2選択性約2.2(吸着温度約80K時))を充填した。
また、PSA−D2装置1dの吸着塔(10l/塔)には、同じく(Na−X型ゼオライト;HD吸着量約1mlN/g/atm;HD/H2選択性約2.2(吸着温度約80K時))のD2吸着剤を充填した。
【0053】
ここで用いた実施条件は以下の通りである。
吸着圧力:120kPa
脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:1〜5分
吸着温度: 80K
原料ガス量:7m3N/day(300lN/h)
【0054】
8時間後のポイントD(原料ガス流入口)、ポイントE(第1段PSA−HD装置1aからの排ガス排出口38)、ポイントF(第1段PSA−HD装置1aと第2段PSA−HD装置1bの間の経路51b)、ポイントG(第2段PSA−HD装置1bからの排ガスを還流する経路62b)、ポイントH(第2段PSA−HD装置1bと第3段PSA−HD装置1cの間の経路51c)、ポイントI(第3段PSA−HD装置1cからの排ガスを還流する経路62c)、ポイントJ(第3段PSA−HD装置1cとHD/D2スクランブラー50の間)、(ポイントK(HD/D2スクランブラー50とPSA−D2装置1dの間の経路51d)、ポイントL(PSA−D2装置1dからの排ガスを還流する経路62d)及びポイントM(D2含有ガス排出口)における物質収支(ガス組成比及び流量)を測定した。その結果を表3及び表4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
HDについて、ポイントDとポイントJとを比較すると、ガス中のHDの割合がおよそ3300倍になっている。従って、水素−HD2成分系ガスから、非常に効率よくHDを分離、濃縮することができた。
さらに、ポイントLとポイントMとを比較すると、HD/D2スクランブラー50でH2とD2に変換されずにPSA−D2装置1dに送られたHDの大部分は、装置外に排出されることなく、経路62dを介して還流されたことがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明のHD吸着剤を用いれば、効率よくHDを分離、回収することができる。
本発明の方法によれば、吸着系における吸脱着圧力を変動させるだけの簡単な操作で、重水素(HD)−水素系に微量に存在するHDを、効率よく濃縮することができる。
【0059】
本発明の方法においては、HDがバッファタンクからの回収ライン以外からは流過することがないので、並流パージや向流パージ時に各吸着塔を流過するガスを原料ガス入口に還流させることによって閉鎖系が構成され、HDの著しい濃縮が達成される。
【0060】
さらに、本発明の方法では、吸着−並流パージ−HD回収(減圧、向流パージ及び昇圧操作)から構成されるPSA工程を、複数の吸着塔を併用し、工程の進行をずらして行うことにより、装置を休止させることなく連続して実施することができるので、工業的実施において非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置の1つの実施態様を示す概略図である。
【図2】本発明に用いる装置の1つの実施態様を示す概略図である。
【図3】本発明に用いる装置の1つの実施態様を示す概略図である。
【図4】SiO2/Al2O3比とHD吸着量との関係を示すグラフである。
【図5】SiO2/Al2O3比とHD分離係数との関係を示すグラフである。
【図6】吸着温度とHD吸着量との関係を示すグラフである。
【図7】吸着温度とHD分離係数との関係を示すグラフである。
【図8】イオン交換率とHD吸着量との関係を示すグラフである。
【図9】イオン交換率とHD分離係数との関係を示すグラフである。
【図10】本発明1つのの実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1〜21…バルブ、30…コールドボックス、31〜33…吸着塔、34…原料ガス流入口、35…ブロワ、36…バッファタンク、37…真空ポンプ、38…排出口、39…水素ブースター、40…空気口、41…ブロワ、42…水素酸化触媒、43…ヒータ、44…水素処理装置、103…バルブ、104…流路、105…カラム、106…HD吸着剤のペレット、107…バルブ、108…流路、109…真空ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5のNa−X型ゼオライト、並びにそのLi、Ca、Mg、Sr及び/又はAg交換体からなる重水素(HD)吸着剤及び該HD吸着剤を用いたHD分離濃縮方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重水素は原子炉の中性子減速材、核融合用のプロセスガスとして用いられている。また、一般産業分野においても近年、短波長レーザー用光通信プラスティックファイバーとして水素を重水素で置換することにより減水率の低減が期待されている。航空機用耐熱性潤滑油としても、現在のフッ素系に代わって重水素置換潤滑油を使用することにより、潤滑油の重量を約40%低減可能にすることが期待されている。さらに、重水素置換有機材料には抗菌効果があることが知られており、この分野での用途拡大も期待できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
重水素は上記のような多様な産業分野での用途の拡大が期待されるが、製造コストが高く高価になってしまうために、その使用の普及が妨げられている。
【0004】
現在、重水素の製造は水の電気分解による方法が一般的である。重水の電解時の分離係数は5程度と大きく、5段程度の多段濃縮により天然存在比150ppmから90vol%以上への濃縮が可能である。
しかし、水の電気分解−重水素濃縮−重水素燃焼という一連の濃縮操作の繰り返しに伴う消費電力が大きいため、より効率的なプロセスに対する強いニーズがある。
【0005】
他の方法として、白金触媒上でのH2O+HD→HDO+H2という同位体交換反応を利用するものがある。ここでは、分離係数α(=[HDO][H2]/[H2O][HD])が6程度と大きいので、水電解法と同様、5段程度の多段濃縮により天然存在比150ppmから90vol%以上への濃縮が可能である。この方法により消費電力はかなり低減されるものの、触媒として多量の白金を使用するため、設備費等の負担が大きい。
【0006】
本発明の目的は、高いHD選択性を有するHD吸着剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該吸着剤を用いて、微量のHDを含有するガスから、煩雑な操作を行うことなく効率よくHDを濃縮、回収することができ、しかもコストが低く、工業的規模での実施が可能なHD分離濃縮方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、発明者らは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライト、並びにそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体が、高いHD選択性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライト、あるいはそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体からなる重水素(HD)吸着剤に関する。
【0009】
本発明の第2の発明は、HDを含有するガスを、前記HD吸着剤を含む吸着系と接触させてHDを吸着させ、HDを吸着した吸着剤を、吸着時より低圧条件下に導き、吸着したHDを脱着回収するとともに、該吸着剤を再生することを特徴とするHD分離濃縮方法に関する。
【0010】
本発明の第3の発明は、HDを含む原料ガスを、吸着系中に供給し、前記吸着剤と接触させてHDを選択的に吸着させ;次いで、該吸着系中に、前記原料ガスの供給方向と同一方向にHD高含有ガスを供給して(並流パージ)当該吸着系内に残留する難吸着成分を吸着系から排出させ;次いでHD吸着時より低圧条件下でHDを脱着させて回収し;更に、HDを含有しないガスを前記原料ガスの供給方向と逆方向に該吸着系中に供給する(向流パージ)ことによって、該吸着剤中に残留するHDを脱着させ回収するとともに、該吸着剤を再生する工程を含むことを特徴とするHD除去濃縮方法に関する。
【0011】
上記方法は、好ましくは、HD吸着剤を充填したn個(nは2以上の整数)の吸着系を並列に配置し、各吸着系における工程の進行を1/nずつずらして行われる。本発明の第3の発明は、上述のように、HD吸着工程−HD高含有ガスの供給工程−HD回収工程−HD非含有ガスの供給工程−HD吸着剤再生工程から構成されるので、これら工程からなる全工程をn個の吸着系において1/nずつずらして行うことによりこれらの工程を連続的に行うことが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のHD吸着剤は酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比(SiO2/Al2O3)が2〜2.5であるNa−X型ゼオライトからなる。
【0013】
本発明で用いられるNa−X型ゼオライトは、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体であってもよい。
【0014】
本発明のHD吸着剤は、相対的高圧条件でHD含有ガスと接触させてHDを吸着させ、これを相対的低圧に導くことによってHDを脱着させて回収する圧力スイング法(PSA)によるHD濃縮(以下、PSA−HDということがある)に適している。すなわち、本発明で用いるPSAでは、例えば、吸着圧力として100〜150kPaでHDを該HD吸着剤に吸着させた後、1〜20kPaに減圧することによりHDを脱着させる。
また、本発明の方法は、好ましくは−150℃以下、更に好ましくは−180℃以下の温度条件下で行われる。
【0015】
本発明において、「難吸着成分」とは、水素等の、本発明のHD吸着剤での吸着性がHDよりも低い成分を意味する。
【0016】
以下に、本発明を図を用いて説明するが、これは本発明を限定するものではない。
【0017】
図1は、本発明の方法に用いるPSA−HD装置の一構成例を示す。当該装置において、原料ガス(HDを含有する水素ガス)を、バルブ102,103を開いて、ブロア35によって、流路104を通じて、コールドボックス30内に収容されたカラム105に供給する。カラム105には本発明のHD吸着剤のペレット106が充填されており、カラム105をHD吸着可能な圧力(吸着圧力)に保持してHD吸着を進行させる。カラム105の出口にHD吸着帯が達したとき、バルブ102,103を閉じ、バルブ107を開いて流路108を真空ポンプ109とつないで減圧し、吸着したHDを脱着させる。HDの脱着が終了すると、減圧弁110、バルブ111を開き、HDを含まないガス(H2)を導き(向流パージ)HD吸着剤を再生させ、続いてバルブ107を閉じてH2によりカラム圧力をHD吸着圧力にまで昇圧する。ここで再びバルブ102、103を開け原料ガスを導くことによって、再びHD吸着を進行させる。
【0018】
図2は、本発明の方法に用いるPSA−HD装置の別の構成例を示す図である。この場合、図2に示されるように、本発明の方法を実施するための装置は、開閉可能なバルブ1〜21を備え、コールドボックス30内に配置された、前記HD吸着剤を充填した3つのHD吸着塔31〜33を有し、さらに、HDを含有する原料ガスの流入口34、原料ガス及び/又は吸着塔31〜33からバルブ6、12及び18を介して還流させたガスを吸着塔に供給するためのブロワ35、回収したHD高含有ガスを貯蔵するためのバッファタンク36、バルブ2、8及び14を介して吸着塔内を減圧し、吸着したHDを脱着させてバッファタンク36に回収するための真空ポンプ37、及びHDを分離したガス(水素等)の排出口38を有する。排出口38からは、水素ブースター39により、各吸着塔31〜33でHDを分離されたガスがバルブ4、10及び16を介して排出される。バッファタンク36内に回収されたHD高含有ガスは、並流パージガスとしてバルブ3、9及び15を通じて吸着塔31〜33に送り並流パージに使われる。並流パージより流過したH2リッチガスは、入り口ガスよりも高いHD濃度のため、原料ガス入口に戻してHD吸着に使用される。この為HDの殆どは真空ポンプ後方のHD濃縮ライン37からのみ系外に取り出されるため本装置はHDに対し閉鎖系を構成し非常に高い濃縮率を達成することとなる。
【0019】
各吸着塔では、HD吸着−並流パージ−減圧−向流パージ−昇圧という操作サイクルが繰り返し行われる。すなわち、各吸着塔では、
(1)原料ガスの供給(HD吸着)、
(2)HDを高濃度に含むHD高含有ガスの供給(並流パージ)と、それによる塔内残留水素等の置換、
(3)減圧によるHDの脱着及び回収、
(4)HDを含まないガスを用いた、塔頂よりの逆洗による塔内洗浄(向流パージ)、そして
(5)昇圧
という操作サイクルが行われ、再びHDの吸着が可能な状態となる。このような操作サイクルを繰り返すことでHDを効率よく回収することができる。
【0020】
上記操作サイクルを図2を用いてより詳細に説明すると、まず、バルブ1を開き、ブロワ35によって、原料ガス流入口34から、HDを含有する原料ガスを、コールドボックス30内の吸着塔31に供給する。このとき原料ガス中に含まれるHDが、吸着塔31内のHD充填剤によって選択的に吸着される。HDが吸着された原料ガスは、水素ブースター39により、バルブ4を通って排出口38から排出される。
【0021】
次に、バルブ4を閉じ、バルブ5及び17を開いて、吸着塔31から排出されたHD除去ガスを向流パージガスとして他の吸着塔33に供給する。
【0022】
次に、バルブ1と5を閉じ、バルブ3と6を開く。バッファタンク36から、HD高含有ガスを吸着塔31に供給して、吸着塔31内に残留している難吸着成分(水素等)と置換させ(並流パージ)、塔内のHD濃度を上昇させる。吸着塔31から排出されたガスは、塔内HD濃度が高くなっているためにHD分離が十分でない可能性があるので、原料ガス流入口34に還流させ、これを吸着塔33に供給する。ここで回収されるガス量をGd、並流パージガス量をGrとすると、並流パージ率Rは、R=Gr/Gdと定義される。
【0023】
これは、このとき吸着塔31内には、吸着したHD以外に、死容積部に水素等が残存しているので、この時点で塔内を減圧に導いてHDを回収したとしても高濃度で回収することはできない。そこで、バッファタンク36から、一旦回収したHD高含有ガスを、原料ガスと同じ方向から吸着塔31に供給する(並流パージ)ことによって、塔内に残存する水素等の難吸着成分を塔外に追い出し、塔内のHD濃度を上昇させることができる。この並流パージは、予めバッファタンク36内に回収、貯蔵しておいたHD高含有ガスを用いて行うことができる。HD高含有ガスが未回収である1回目の操作サイクルにおいては、予めHD含有ガスをバッファタンク36内に供給しておくことが好ましい。あるいは、1回目の操作サイクルではこの工程を省略することもできる。
さらに、HD除去効果はわずかに低下するが、並流パージを行わなくても、高効率でHDを除去濃縮することもできる。この場合、操作は更に簡略化される。したがって、必要なHD濃縮率、経済性、操作性等を勘案して並流パージを行うか否かを決定すればよい。
【0024】
次に、吸着塔31のバルブ2以外のバルブ(1及び3〜6)を閉じ、真空ポンプ37を用いて吸着塔31内をHD吸着時より減圧、好ましくは1〜20kPaに減圧して、吸着したHDを脱着させ、バッファタンク36に回収する。
【0025】
そして、バルブ5を開き、他の吸着塔から排出された、HDを除去したガスを用いて、塔頂よりの逆洗による塔内洗浄(向流パージ)を行って、塔内のHDを完全に除去する。向流パージに必要なガス量Gp(1N/batch)は、入口ガス量をG0(1N/batch)、吸着圧力(吸着時の圧力)をPa(atm)、再生圧力をPd(atm)とすると、Gp=G0×K×(Pd/Pa)[式中、K=1.2〜1.5]で表される。
【0026】
これは、真空ポンプ37による単純な減圧で塔内のHDの大半は回収されるが、並流パージで塔内HD濃度を著しく高めているので単純な減圧だけではHDの除去が不十分な可能性があるので、減圧によるHD回収に続いて減圧条件下で原料ガスとは逆方向からHDを含まないガスを供給すること(向流パージ)によって塔内のHDを完全に除去するためである。この向流パージを行うことで、吸着剤を十分に再生させることができるので、再度HDの吸着を行うときにHDの完全な吸着除去を達成することができる。
【0027】
それから、バルブ2を閉じ、HDを含有しないガスで塔内を吸着圧力にまで昇圧する。これによって再びHD吸着が可能となる。これら一連の操作を繰り返すことによって、HDの著しい濃縮を達成することができる。
【0028】
また、n個の吸着塔において、上述した操作サイクルの工程の進行を1/nずつずらして行うことにより、連続した吸着、並流パージ、HD回収が達成できる。例えば、図2(n=3)の場合、例えば吸着塔32の出口から排出されたガスは、原料ガスの流入口34に還流され、ブロワ35によって吸着塔31に供給される。このように、本発明の方法を用いることによって、簡単な操作で連続的且つ効率的なHD濃縮を行うことができる。
【0029】
以上、3塔形式のPSA−HD装置を例示して本発明を説明したが、適宜、1又は2、あるいは4つ以上の吸着系を用いて行うことも可能である。また、吸着操作を大気圧下で行い、脱着操作を減圧下で行ったり、吸着操作を加圧下で行い、脱着操作を大気圧下で行うなどしてもよく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0030】
次に、本発明の方法に用いる装置の別の構成例を示す。
図3に示すHD分離濃縮装置100は、3塔形式のPSA−HD装置1aと、2塔形式のPSA−HD装置1b,1cとが直列に接続され、さらに、H2/D2スクランブラー50を介して、2塔形式のPSA−D2装置1dが接続されて構成されている。
ここで、PSA−D2装置1dは、既知の任意のD2吸着剤を充填した2塔の吸着塔31d,32dを備えている。
【0031】
PSA−HD装置1a〜1cは、コールドボックス30内に収容された吸着塔31a〜33a,31b〜32c、吸着塔にHD含有ガスを供給するブロワ35a〜35c、吸着塔からHDを回収する真空ポンプ37a〜37c、HD含有ガスを供給する流路51a〜51c、HD含有ガスを回収する流路52a〜52c、HD含有ガスを貯蔵するバッファタンク56a〜56c、バッファタンク56aからの並流パージガス(高HD含有ガス)を吸着塔31a〜33aに供給する流路61、各吸着塔からの排ガスを還流する流路62a〜62cから構成されている。
また、PSA−D2装置1dは、コールドボックス30内に収容された吸着塔31d,32d、HD/D2スクランブラー50からのガスを供給するブロワ35d、吸着塔からD2を回収する真空ポンプ37d、HD/D2スクランブラー50からのガスを供給する流路51d、D2含有ガスを回収する流路52d、D2ガスを貯蔵するバッファタンク57、吸着塔31d,32dからの排ガスを還流する流路62dから構成されている。
【0032】
図3に示すHD分離濃縮装置100の動作について簡単に説明すると、まず、第一段のPSA−HD装置1aにおいて、流路51aからブロワ35aを介して吸着塔31a〜31cに原料ガスが供給され、HDが除去される。
吸着塔31a〜33aでHDが除去された排ガスは、排出口38から排出することができる。HD吸着剤に吸着したHDは、真空ポンプ37aにより吸着塔31a〜33a内を減圧することにより脱着され、流路52aを通ってバッファタンク56aに回収される。
バッファタンク56aに回収された高HD含有ガスの一部は並流パージガスとして、流路61を通って吸着塔31a〜33aに供給される。このとき、吸着塔31a〜33aからの排ガスは、流路62aを介して入口側に還流される。
また、バッファタンク56aに回収された高HD含有ガスの一部は、流路51bを経て、隣の第2段PSA−HD装置1bに送られる。
【0033】
第1段PSA−HD装置1aから送られた高HD含有ガスは、第2段PSA−HD装置1bの吸着塔31b,32bに送られ、ガス中のHDがHD吸着剤に吸着する。このとき、吸着塔31b,32bからの排ガスは、流路62bを通って、第1段PSA−HD装置1aの入口側に還流され、原料ガスに混合される。
HD吸着剤に吸着したHDは、真空ポンプ37bにより吸着塔31b,32b内を減圧することにより脱着され、流路52bを通ってバッファタンク56bに回収される。
このように、第1段PSA−HD装置1aで分離濃縮したHDを、第2段PSA−HD装置1bにてさらに濃縮することができ、バッファタンク56b内のHD含有ガス中のHD濃度は、バッファタンク56a内のHD含有ガス中のHD濃度よりも高くなる。
【0034】
同様に、第2段PSA−HD装置1bから第3段PSA−HD装置1cに送られたHD含有ガス中のHD濃度は、第3段PSA−HD装置1cにてさらに濃縮される。
【0035】
上述のように、上記HD分離濃縮装置100によれば、直列に接続した複数のPSA−HD装置1a〜1cによって、HD含有ガスを順次濃縮することができ、高純度のHDガスを得ることができる。
【0036】
記HD分離濃縮装置100では、さらに、PSA−HD装置1a,1b,1cで分離濃縮して得られた高濃度のHDの一部を、H2/D2スクランブラー50にてH2とD2に変換することができる。変換されて生じたD2は、PSA−D2装置1dに送られ、吸着塔31d,32d内に充填したD2吸着剤に吸着する。
このとき、吸着塔31d,32dからの排ガスは、H2とHDを含んでおり、流路62dを通ってバッファタンク56bに還流し、再度、HDを分離濃縮することにより、HDの濃縮効率を更に高めることができる。
D2吸着剤に吸着したD2は、真空ポンプ37dにより吸着塔31d,32d内を減圧することにより脱着され、流路52dを通ってバッファタンク57に回収される。このようにして回収されたD2は、工業的に利用することが可能である。
【0037】
【実施例】
本発明のHD吸着剤のHD吸着量及びHD分離係数を以下のような実験を行って評価した。ここで、HD分離係数とは、HDと水素をそれぞれを別々に、同一濃度、大気圧条件下で吸着剤と接触させた場合のHD吸着量と水素吸着量の比を意味し、HDと水素の吸着量をそれぞれqHDおよびqH2とすれば、HD分離係数αはqHD/qH2で表わされる。例えばHD分離係数が10の場合、水素の10倍量のHDがその吸着剤に吸着されたことを示す。
【0038】
試験例1:SiO2/Al2O3比とHD吸着量及びHD分離係数
複数のNa−X型ゼオライト系HD吸着剤(Na−X、Ca−X(イオン交換率0〜100mol%)、LiX(イオン交換率0〜100mol%)、Mg−X(イオン交換率0〜100mol%)、Sr−X(イオン交換率0〜100mol%)、Ag−X(イオン交換率0〜50mol%))について、SiO2/Al2O3比に対するHD吸着量(mlN/g/atm)及びHD分離係数を、図1記載の小型カラム試験装置(カラム容量:40mL、吸着剤充填量:25mL、吸着剤充填量:10〜15g)を用いて、以下の条件で評価した。
原料ガス中のHD濃度:300ppm
原料ガス供給量:7m3N/day(300lN/h)
HD吸着温度:77K(−196℃)
HD吸着圧力:120kPa
HD脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
運転時間:4時間
図1において圧力調整バルブPCVで吸着圧力を調整した後、バルブ−V1を開くと、H2,HD濃度Co,i(i=1;H2、i=2;HD)の原料ガスがカラムに流入して、1.6mmφのペレットに成型されたゼオライト約10gが充填されている内径10mmφ、層長250mmの小型カラムの圧力は吸着圧力(Pa)に迄昇圧した。この後更にバルブ−V2も開き、カラムの出口に設置した質量流量計で出口ガス量を調整して流通すると、カラムに充填された吸着剤はHD、及び共吸着H2を吸着し、未吸着のH2、HDが流過し、カラム出口に設置された流量計、HD、H2濃度計によりカラム出口の流過ガス流量、HD、H2濃度G1、C1,iが計測された。設定された吸着時間が経過すると、バルブV−1、2を閉じてバルブ−3を開き、カラムを真空ポンプとつなぎ、13Pa以下まで排気すると、吸着されたガスの殆どは除去された。真空ポンプの出口にも流量計、HD、H2濃度計が設置されているため、脱着ガス量、HD、H2濃度G2、C2,iも計測された。
あらかじめ殆ど吸着能を有しないHeを使用してカラムの前方部、中間部、後方部の死容積Vf、Vm、Vrは計測されており又試験中に死容積温度Tf、Tm、Trが計測されているので、吸着工程終了時の出口HD、H2濃度をC1E,i、とすると、前方部、中間部、後方部の死容積のHD,H2濃度は概略Co,i、Co,i+C1E,i/2、C1E,iとなり死容積のHD、H2量Gdead,iは式(1)で求められる。
【数1】
ここで吸着剤充填量をWとすると所定の吸着時間に於けるHD、H2吸着量qi(q2、q1)が式(2)から各々求められる。
【数2】
図4にSiO2/Al2O3比とHD吸着量の関係を示す。この結果は、SiO2/Al2O3比が2〜2.5である際に、Na−X、Ca−X、Mg−X、Sr−X及びAg−Xが、高いHD吸着性を示したことを示している。
図5にSiO2/Al2O3比とHD分離係数の関係を示す。この結果は、SiO2/Al2O3比が2〜2.5である際に、Na−X、Ca−X、Mg−X、Sr−XのHD分離係数が高まったことを示している。
【0039】
試験例2:吸着温度とHD吸着量及びHD分離係数
試験例1で用いたのと同じNa−X型ゼオライト系吸着剤について、試験例1で用いたのと同じ小型カラム試験装置を用い、以下の条件で、吸着温度を77Kから173Kまで変化させて、吸着温度に対するHD吸着量及びHD分離係数を評価した。
吸着剤のSiO2/Al2O3比:2.0
原料ガス中のHD濃度:300ppm
原料ガス供給量:7m3N/day(300lN/h)
HD吸着圧力:120kPa
HD脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
運転時間:4時間
図6及び図7に、吸着温度とHD吸着量の関係、及び、吸着温度とHD分離係数の関係を示す。これらのHD吸着剤のHD吸着量及びHD分離係数は、温度が低下するにつれて、特に123K(−150℃)以下の温度で増大した。
【0040】
試験例3:イオン交換率とHD吸着量及びHD分離係数
複数のNa−X型ゼオライト系吸着剤(Na−X、Ca−X、LiX、Mg−X、Sr−X、Ag−X)について、イオン交換率を0から100mol%まで変化させて、試験例1で用いたのと同じ小型カラム試験装置を用い、以下の条件で、イオン交換率に対するHD吸着量及びHD分離係数を評価した。
吸着剤のSiO2/Al2O3比:2.0
原料ガス中のHD濃度:300ppm
原料ガス供給量:7m3N/day(300lN/h)
HD吸着温度:77K(−196℃)
HD吸着圧力:120kPa
HD脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
運転時間:4時間
図8にイオン交換率とHD吸着量の関係を示す。HD吸着剤のイオン交換率が70%以上になると、イオン交換率に比例してHD吸着量が増大した。但しAgについては10mol%で極大値を与えそれ以上ではむしろHD吸着量は減少した。これはAgがゼオライト結晶内でクラスターを形成して吸着活性点が減少したためと推定された。
図9にイオン交換率とHD分離係数の関係を示す。HD吸着剤のイオン交換率が70%以上になると、イオン交換率が高くなるにつれてHD分離係数すなわちHD選択性が高まった。
【0041】
実施例1
図1に示す、1つの吸着塔(容量:1.3L、吸着剤充填量:1kg/塔)を備えたPSA−HD装置でHDの分離濃縮を行った。操作条件は以下の通りである。
【0042】
このPSA−HD装置のHD濃縮能を以下に示す。
HD除去率: 99%
HD濃縮率: 100倍
HD吸着剤負荷: 30m3N/h/ton
【0043】
実施例2
図10に示す、2塔の吸着塔31,32(容量:1.3L)から構成されるPSA−HD装置を用い、HD分離濃縮を行った。操作条件は以下の通りである。
HD吸着温度: −196℃
HD吸着圧力: 105〜150kPa
HD脱着圧力: 1〜20kPa
サイクルタイム: 1〜5分
運転時間:8時間
吸着塔には、HD−水素系に対してHDを選択的に吸着する吸着剤として、Na−X型ゼオライト(SiO2/Al2O3比2.0)のペレットを1kg/塔充填した。
コールドボックス30内に収容した吸着塔31に、HD300ppmを含有する水素(原料ガス)を、ブロワ35で120kPa程度に圧縮して、5lN/batchで(吸着時間5分の場合1lN/分)で供給した。そして、バッファタンク36から、HD高含有ガスを塔入口から供給した(並流パージ)。並流パージ時に吸着塔出口から排出されたガスは、還流ラインを通じて入口に還流させた。
そして、真空ポンプによる単純な減圧を行い、塔内のHDの大半を脱着させ、回収した。減圧によるHD回収に続いて、減圧条件下で、塔頂から、吸着塔32でHDを除去した水素ガスを吸着塔31内に供給(向流パージ)し、塔内のHDを完全に除去した。これら一連の操作を1サイクルとして、このサイクルを8時間繰り返した。
また、排出されたガスを還流する割合を並流パージ率とし、並流パージ率を90%から99.5%まで変化させ、同様の操作を行った。
【0044】
その結果、並流パージ率と4時間後のHD濃縮率の関係は以下のようになった。
並流パージ率 濃縮率 備考
90% 10倍 向流パージガス循環、並流パージガス循環
95 20 向流パージガス循環、並流パージガス循環
99 95 向流パージガス循環、並流パージガス循環
99.5 180 向流パージガス循環、並流パージガス循環
99 5 向流パージガス循環なし、並流パージガス循環なし
【0045】
この結果は、並流パージ率を99%以上とし、向流パージと並流パージとを行うことによって、4時間で95倍以上という高い濃縮率が達成できたことを示している。
【0046】
実施例3
表1に記載の機器からなる、図2に示すPSA−HD装置を用い、HD吸着剤(Na−X型ゼオライト;HD吸着量約1mlN/g/atm;HD/H2選択性約2.2;吸着温度約80K)を充填した3つの吸着塔(10l/塔)を有する装置を用い、HD除去を行った。
【0047】
【表1】
【0048】
ここで用いた実施条件は以下の通りである。
吸着圧力:120kPa
脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:5分
吸着温度:80K
原料ガス量:7m3N/day(300lN/h)
【0049】
まず、バルブ1を開き、HDを含有する水素ガスを、コールドボックス30(<240K)内の吸着塔31に供給し、HDを吸着させた。このとき、圧力(吸着圧力)は120kPaに維持した。HDが吸着された原料ガスはバルブ4を通って排出口38から排出し、水素処理装置によって水とした。
次に、バルブ4を閉じ、バルブ5及び17を開いて、吸着塔31から排出されたHD非含有ガスを向流パージガスとして別の吸着塔33に供給した。
次に、バルブ1と5を閉じ、バルブ3と6を開いてバッファタンク36から、HD高含有ガスを吸着塔31に供給して、吸着塔31内に残留している水素と置換させ(並流パージ)、塔内のHD濃度を上昇させた。吸着塔31から排出されたガスは、塔内HD濃度が高くなっているためにHD分離が十分でない可能性があるので、原料ガス流入口34に還流させ、これを吸着塔33に供給した。
次に、吸着塔31のバルブ2以外のバルブ(1及び3〜6)を閉じ、真空ポンプ37を用いて吸着塔31内を5kPaにまで減圧して、吸着したHDを脱着させ、バッファタンク36に回収した。
そして、減圧を維持したまま、バルブ5を開き、他の吸着塔から排出されたHD非含有ガスを用いて、塔頂よりの逆洗による塔内洗浄(向流パージ)を行って、塔内のHDを完全に脱着させ、回収し、吸着剤を再生させた。
それから、バルブ2を閉じ、HDを含有しないガスで塔内を吸着圧力(120kPa)にまで昇圧した。これら一連の操作を繰り返すことによって、HDの著しい濃縮を達成することができた。
【0050】
8時間後のポイントA(原料ガス流入口)、ポイントB(排出口38)及びポイントC(バッファタンク36)における物質収支(ガス組成比及び流量)を測定したところ、表2のような値であった。表の上段はポイントA〜Cにおけるガスの組成を示し、下段は、各ポイントのガス量を示す。
HDについて、ポイントAとCとを比較すると、HD高含有ガス(ポイントC)に占めるHDの割合がおよそ100倍となった。また、HDを除去した水素ガス(ポイントB)中には、HDが殆ど含まれていなかった。すなわち、水素−HD2成分系ガスから、非常に効率よくHDを分離、濃縮することができた。
【0051】
【表2】
【0052】
実施例4
図3に示す、第1〜第3段PSA−HD装置1a〜1c及びPSA−D2装置1dを組み合わせた装置100を用い、以下の操作を行った。
第1〜第3段PSA−HD装置1a〜1cの吸着塔(10l/塔)には、HD吸着剤(Na−X型ゼオライト;HD吸着量約1mlN/g/atm;HD/H2選択性約2.2(吸着温度約80K時))を充填した。
また、PSA−D2装置1dの吸着塔(10l/塔)には、同じく(Na−X型ゼオライト;HD吸着量約1mlN/g/atm;HD/H2選択性約2.2(吸着温度約80K時))のD2吸着剤を充填した。
【0053】
ここで用いた実施条件は以下の通りである。
吸着圧力:120kPa
脱着圧力:5kPa
サイクルタイム:1〜5分
吸着温度: 80K
原料ガス量:7m3N/day(300lN/h)
【0054】
8時間後のポイントD(原料ガス流入口)、ポイントE(第1段PSA−HD装置1aからの排ガス排出口38)、ポイントF(第1段PSA−HD装置1aと第2段PSA−HD装置1bの間の経路51b)、ポイントG(第2段PSA−HD装置1bからの排ガスを還流する経路62b)、ポイントH(第2段PSA−HD装置1bと第3段PSA−HD装置1cの間の経路51c)、ポイントI(第3段PSA−HD装置1cからの排ガスを還流する経路62c)、ポイントJ(第3段PSA−HD装置1cとHD/D2スクランブラー50の間)、(ポイントK(HD/D2スクランブラー50とPSA−D2装置1dの間の経路51d)、ポイントL(PSA−D2装置1dからの排ガスを還流する経路62d)及びポイントM(D2含有ガス排出口)における物質収支(ガス組成比及び流量)を測定した。その結果を表3及び表4に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
HDについて、ポイントDとポイントJとを比較すると、ガス中のHDの割合がおよそ3300倍になっている。従って、水素−HD2成分系ガスから、非常に効率よくHDを分離、濃縮することができた。
さらに、ポイントLとポイントMとを比較すると、HD/D2スクランブラー50でH2とD2に変換されずにPSA−D2装置1dに送られたHDの大部分は、装置外に排出されることなく、経路62dを介して還流されたことがわかる。
【0058】
【発明の効果】
本発明のHD吸着剤を用いれば、効率よくHDを分離、回収することができる。
本発明の方法によれば、吸着系における吸脱着圧力を変動させるだけの簡単な操作で、重水素(HD)−水素系に微量に存在するHDを、効率よく濃縮することができる。
【0059】
本発明の方法においては、HDがバッファタンクからの回収ライン以外からは流過することがないので、並流パージや向流パージ時に各吸着塔を流過するガスを原料ガス入口に還流させることによって閉鎖系が構成され、HDの著しい濃縮が達成される。
【0060】
さらに、本発明の方法では、吸着−並流パージ−HD回収(減圧、向流パージ及び昇圧操作)から構成されるPSA工程を、複数の吸着塔を併用し、工程の進行をずらして行うことにより、装置を休止させることなく連続して実施することができるので、工業的実施において非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置の1つの実施態様を示す概略図である。
【図2】本発明に用いる装置の1つの実施態様を示す概略図である。
【図3】本発明に用いる装置の1つの実施態様を示す概略図である。
【図4】SiO2/Al2O3比とHD吸着量との関係を示すグラフである。
【図5】SiO2/Al2O3比とHD分離係数との関係を示すグラフである。
【図6】吸着温度とHD吸着量との関係を示すグラフである。
【図7】吸着温度とHD分離係数との関係を示すグラフである。
【図8】イオン交換率とHD吸着量との関係を示すグラフである。
【図9】イオン交換率とHD分離係数との関係を示すグラフである。
【図10】本発明1つのの実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1〜21…バルブ、30…コールドボックス、31〜33…吸着塔、34…原料ガス流入口、35…ブロワ、36…バッファタンク、37…真空ポンプ、38…排出口、39…水素ブースター、40…空気口、41…ブロワ、42…水素酸化触媒、43…ヒータ、44…水素処理装置、103…バルブ、104…流路、105…カラム、106…HD吸着剤のペレット、107…バルブ、108…流路、109…真空ポンプ
Claims (4)
- 酸化ケイ素と酸化アルミニウムの比が2〜2.5であるNa−X型ゼオライトあるいはそのリチウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及び/又は銀交換体からなる重水素(HD)吸着剤。
- 重水素(HD)含有ガスを、請求項1記載のHD吸着剤を含む吸着系と接触させてHDを吸着させ、HDを吸着した該吸着剤を、吸着時より低圧条件下に導き、吸着したHDを脱着回収するとともに、該吸着剤を再生することを特徴とするHD分離濃縮方法。
- 重水素(HD)を含有する原料ガスを、吸着系中に供給し、請求項1記載の吸着剤と接触させてHDを選択的に吸着させ;次いで、該吸着系中に、前記原料ガスの供給方向と同一方向に、HD高含有ガスを供給して当該吸着系内に残留する難吸着成分を吸着系から排出させ;次いでHD吸着時より低圧条件下でHDを脱着させて回収し;更に、HDを含有しないガスを前記原料ガスの供給方向と逆方向に該吸着系中に供給することによって、該吸着剤中に残留するHDを脱着させ回収するとともに、該吸着剤を再生する工程を含むことを特徴とするHD分離濃縮方法。
- 重水素(HD)吸着剤を充填したn個(nは2以上の整数)の吸着系を並列に配置し、各吸着系における工程の進行を1/nずつずらしてHD分離濃縮を行うものである請求項2又は3記載のHD分離濃縮方法。
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---|---|---|---|---|
JP2008296089A (ja) * | 2007-05-29 | 2008-12-11 | National Institutes Of Natural Sciences | 水素同位体の分離・濃縮方法 |
JP2010208927A (ja) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Osaka Univ | 重水素(d2)および重水素化水素(hd)の少なくとも一方を製造する方法、並びにこれに使用するギ酸分解用触媒 |
CN109694122A (zh) * | 2019-02-28 | 2019-04-30 | 王丽琴 | 一种重水过滤与净化的装置及方法 |
CN113651293A (zh) * | 2021-08-30 | 2021-11-16 | 中船重工(邯郸)派瑞特种气体有限公司 | 一种高吸附能力的氘气纯化装置 |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326695A patent/JP2004160294A/ja not_active Withdrawn
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