JP2004153874A - モータの固定子 - Google Patents
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Abstract
【課題】渦電流損を減少させることができるモータの固定子を提供する。
【解決手段】界磁極(12)が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心(14)には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイル(16)と第2界磁コイル(18)とが巻回されてなるモータの固定子(10)であって、前記界磁極の磁極片(15)側に巻回される前記第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が分断されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の前記界磁鉄心の長手方向の幅が前記第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成される。
【選択図】 図1
【解決手段】界磁極(12)が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心(14)には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイル(16)と第2界磁コイル(18)とが巻回されてなるモータの固定子(10)であって、前記界磁極の磁極片(15)側に巻回される前記第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が分断されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の前記界磁鉄心の長手方向の幅が前記第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、渦電流損を減少させることができるモータの固定子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの固定子を構成する界磁極の界磁鉄心に、1層目のコイルとこの1層目のコイルの隣にこの1層目のコイルとは巻回方向が逆の2層目のコイルとを巻回し、渦電流損を減少させるようにした、下記の特許文献1および特許文献2が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平05−243036号公報
【特許文献2】
特開平08−317610号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、1つの界磁鉄心に相互に巻回方向の異なるコイルを2層巻回すれば、界磁極などからの漏れ磁束は各コイルに別々に鎖交することになるから、1つのコイルに発生する渦電流損が減少し、固定子全体としての渦電流損も減少する。ところが、漏れ磁束は、固定子の内周側に位置するコイルとより多く鎖交することから、外周側に位置するコイルと比較すると内周側に位置するコイルには比較的大きな渦電流が発生する。コイルに渦電流が発生すると、渦電流損と称する損失が発生し、この損失がモータの効率や出力性能の低下を引き起こす。
【0005】
モータを駆動源とする自動車の場合、搭載されているバッテリや燃料電池で作り出される電気エネルギーを有効に利用することが求められる。したがって、モータの効率を少しでも向上させる必要がある。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点および現在の要望に鑑みてなされたものであり、渦電流損を減少させることができるモータの固定子の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるモータの固定子は、界磁極が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイルと第2界磁コイルとが巻回されてなるモータの固定子であって、前記界磁極の磁極片側に巻回される前記第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が分断されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の前記界磁鉄心の長手方向の幅が前記第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成される。
【0008】
また他の発明にかかるモータの固定子は、漏れ磁束の通過を抑制するために、少なくとも前記界磁極の磁極片側に巻回される前記第2界磁コイルと前記界磁鉄心との間の磁気抵抗を増加させる手段を備えている。
【0009】
さらに他の発明にかかるモータの固定子は、界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が抑制されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の抵抗率が第1界磁コイルを構成する巻線の抵抗率よりも大きい巻線が巻回されて構成される。
【0010】
【発明の効果】
本発明にかかるモータの固定子によれば、界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルは、前記第2界磁コイルを構成する巻線の界磁鉄心の長手方向の幅が第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成したので、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が前記長手方向に分断されることになり、結果的に渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0011】
また他の発明にかかるモータの固定子によれば、少なくとも界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルと界磁鉄心との間の磁気抵抗を増加させる手段を備えているので、漏れ磁束が前記第2界磁コイルに通過する数を減少させることができ、その結果、渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0012】
さらに他の発明にかかるモータの固定子によれば、界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルは、前記第2界磁コイルを構成する巻線の抵抗率が前記第1界磁コイルを構成する巻線の抵抗率よりも大きい巻線で構成されるので、漏れ磁束により第2界磁コイル内に発生する渦電流が小さくなり、その結果、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるモータの固定子の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明にかかるモータの固定子の概略構成図である。
【0015】
本発明にかかるモータの固定子10は、各極ごとに分割可能な構造の界磁極12が円環状に配列されて構成されている。この界磁極12を構成する界磁鉄心14には、界磁鉄心14の長手方向に相隣接するように、界磁鉄心14の根元側に第1界磁コイル16が、界磁鉄心14の磁極片側に第2界磁コイル18がそれぞれ巻回されている。第1界磁コイル16と第2界磁コイル18とは電気的に接続されているが、その巻回方向は相互に異なっている。
【0016】
界磁鉄心14に第1界磁コイル16と第2界磁コイル18を巻回する前に、これらの界磁コイル16、18が巻回される界磁鉄心14の巻回面14Aの部分に、これらの界磁コイル16、18と界磁鉄心14との間の絶縁を確保するための絶縁材20が取り付けられる。
【0017】
第1界磁コイル16は、図示されるように、平板状の巻線22がその幅方向を界磁鉄心14の巻回面14Aと平行にして巻回されて構成される。つまり、第1界磁コイル16は平板状の巻線22を平巻して構成される。また、第2界磁コイル18は、モータの内部に生じる漏れ磁束によって第2界磁コイル18内に発生する渦電流が分断されるように、第2界磁コイル18を構成する巻線の界磁鉄心14の長手方向の幅が第1界磁コイル16を構成する巻線22の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成される。つまり、第2界磁コイル18は、第1界磁コイル16の巻線22の幅よりも小さい幅の巻線24(図1の場合は1/4)を複数列平板状に並べ(図1の場合4列)、平板状に並べた複数列の巻線を並べた状態で平巻して構成される。
【0018】
第1界磁コイル16および第2界磁コイル18を界磁鉄心14に巻回する手順などを図2から図4によって詳しく説明する。界磁極12は、厚みの薄い電磁鋼板を磁極形状に打ち抜き、積層することによって製作する。界磁極12を構成する界磁鉄心14の巻回面14Aおよびその巻回面側面14Cには、絶縁処理を施すため絶縁性を有する樹脂材料が塗布されている。本実施の形態では、いわゆるPPS樹脂を用いて界磁極14を一体的にモールドすることで絶縁層を形成している。
【0019】
なお、絶縁処理は、上記のように樹脂材料を塗布する方法以外に、界磁極12の電磁鋼板積層方向両端部に絶縁樹脂製の鞍型キャップを取り付け、電磁鋼板積層方向の平行面にノーメックスなどの絶縁紙を貼り付けても良い。一般的には、電磁鋼板積層方向の平行面は、樹脂キャップと一体的に形成されたフランジ面などによって絶縁される。
【0020】
図2に示すように、界磁極12の電磁鋼板積層方向の一方の端面14Bには、絶縁コーティングされていない渡線として機能する裸導体26が樹脂材料内に埋め込まれている。裸導体26に第1界磁コイル16の巻線22の端部を当接させる。巻線22の表面は絶縁被覆されているので、当接させる前にその端部の絶縁被覆はグラインダで除去しておく。裸導体26と巻線22の端部とは超音波溶接機を用いて接合する。接合後、巻線22を界磁極14の周りに一周させると図3に示すような状態となる。巻線22が裸導体26と巻線22との接合部分に達すると、2周目に入る巻線22が接合部分に押し付けられることになる。2周目に入る前に巻線22の端部のバリや接合時にできた突部が巻線22の絶縁皮膜を壊すことのないように、接合部分には絶縁フィルム28を挟む。その後は、巻線22を界磁極14の周りに所定回数巻回させる。
【0021】
以上のようにして、巻線22は界磁鉄心14に巻回され、第1界磁コイル16が形成される。
【0022】
次に、第2界磁コイル18を第1界磁コイル16に隣接(磁極鉄心14の長手方向の磁極片15側)させて界磁鉄心14に巻回する手順を説明する。第2界磁コイル18に使用する巻線24は、図4に示すように、巻線22の長辺部分を複数に分割し、分割したそれぞれの導線に絶縁コーティングを施し、所望の幅となるように導線を複数列平板状に並べて相互に接着して形成したものである。
【0023】
この巻線24は、図4に示すように、第1界磁コイル16を構成する巻線22とは反対方向に巻回するが、その巻回の手順は巻線22と同様に行われる。すなわち、巻線24の端部の絶縁被覆をグラインダで除去し、裸導体26に巻線24の端部を当接させる。裸導体26と巻線24の端部とは超音波溶接機を用いて接合する。接合後、巻線24を界磁極14の周りに巻線22とは反対の方向に一周させ、2周目に入る前に巻線24の絶縁皮膜を壊すことのないように、接合部分に絶縁フィルムを挟む。その後は、巻線24を界磁極14の周りに所定回数巻回させる。
【0024】
以上のようにして、巻線24は界磁鉄心14に巻回され、第2界磁コイル16が形成される。巻線22と巻線24を界磁鉄心14に巻回すると、図5に示すように、界磁極12には第1界磁コイル16と第2界磁コイル18が形成されることになる。
【0025】
モータに電源を接続してモータを回転させているとき、図1に示すように、第1界磁コイル16および第2界磁コイル18によって生じた磁束25は回転子30に向かう。このとき、回転子30が備えているマグネット32の磁力の影響を受けて、漏れ磁束25Aのように回転子30の表面付近を迂回して隣の磁極片15に入り込むものや、漏れ磁束25Bのように回転子30に達しないまま隣の界磁磁極14に入り込むもの(磁束密度の高い運転領域)がある。
【0026】
回転子30まで達せずに隣の界磁磁極14に入り込んだ漏れ磁束25Bは、第1界磁コイル16または第2界磁コイル18と鎖交する。第2界磁コイル18は界磁極12の磁極片15側に巻回されているので、漏れ磁束25Bは第1界磁コイル16よりも第2界磁コイル18とより多く鎖交する。本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24に、漏れ磁束25Bの流れ方向に対して複数に分割された巻線を用いているので、図6に示すように、漏れ磁束25Bが巻線24と鎖交しても、漏れ磁束25Bによって生じる渦電流29は、各巻線24内でそれぞれ分割されることになる。このため、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0027】
また、第2界磁コイル18と比較するとほとんど漏れ磁束25Bが通過しない第1界磁コイル16の巻線22は、1本の平板状導体を使用しているので、導体の占積率の低下を抑えながら渦電流対策が可能となっている。
【0028】
請求項1または請求項2に対応する本実施の形態によれば、界磁極12の磁極片15側に巻回される第2界磁コイル18は、漏れ磁束25Bによって第2界磁コイル18内に発生する渦電流29が分断されるように、第2界磁コイル18を構成する巻線24の界磁鉄心14の長手方向の幅が第1界磁コイル16を構成する巻線22の長手方向の幅よりも小さい巻線で構成している。具体的には、第1界磁コイル16は平板状の巻線を平巻して構成され、第2界磁コイル18は第1界磁コイル16の巻線22の幅よりも小さい幅の巻線を複数列平板状に並べて平巻して構成している。したがって、漏れ磁束25Bが通過する巻線24の導体面が小さく分断されることになり、渦電流19も小さく分断されて渦電流損の発生を抑制することができる。その結果、モータの効率の向上、出力の向上を図ることができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、第1の実施の形態で用いた巻線22を平巻して第1界磁コイル16を構成し、同一の巻線22を平巻して第2界磁コイル18を構成している。
【0030】
第1界磁コイル16および第2界磁コイル18を界磁鉄心14に巻回する手順などを図7から図12によって詳しく説明する。界磁極12の構成および界磁極12に対して施される絶縁処理は第1の実施の形態の場合と同一であるのでその説明は省略する。
【0031】
まず、ボビン34に第2界磁コイル18の形成に必要な長さの巻線22Aを巻きつけておき、この巻線22Aの端部を、界磁極12の電磁鋼板積層方向の一方の端面14Bに形成されている溝(図示せず)に挿入する。そして、第1界磁コイル16を構成する巻線22Bの端部の絶縁被覆をグラインダで除去し、端面14B上でボビン34から引き出されている巻線22Aに巻線22Bの端部を当接させる。巻線22Aと巻線22Bの端部とは超音波溶接機を用いて接合する。接合後、界磁極12とボビン34とを一緒に右に一周回転させ、2周目に入る前に巻線22Bの絶縁皮膜を壊すことのないように、接合部分に絶縁フィルムを挟む。そして、界磁極12とボビン34とを一緒に右に所定回数回転させて巻線22Bを平巻し、図8のように第1界磁コイル16を形成する。
【0032】
第1界磁コイル16の巻回が終了したら、図9に示すように、ボビン34を界磁極12の巻回軸から界磁極12の電磁鋼板積層方向上に移動させる。そして、巻線22Aの巻き崩れや倒れ込みを防止するために側面拘束治具36で巻線22Aをその長辺側から第1巻線コイル16側に押し付ける。この状態で、ボビン34は回転させずに界磁極12を左に回転させる。なお、側面拘束治具36は界磁極12の巻回面14Aに沿って巻線22Aを第1巻線コイル16側に押し付けることができなけばならないので、界磁極12の回転に伴って上下方向に移動させる。側面拘束治具36の上下移動はサーボ制御により行う。
【0033】
側面拘束治具36で巻線22Aを押さえつけながら界磁極12を左方向に所定回数回転させて巻線22Aを平巻すると、図11に示すような第2界磁コイル18が形成される。図12は、図11のA−A断面を示したものであるが、この図を見れば、第1界磁コイル16は巻線22Bが平巻されて形成され、第2界磁コイル18は巻線22Aがエッジワイズ巻されて形成されていることが良くわかる。
【0034】
図1に示したように、回転子30まで達せずに隣の界磁磁極14に入り込んだ漏れ磁束25Bは、第1界磁コイル16または第2界磁コイル18と鎖交する。本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24Aをエッジワイズ巻しているので、図12に示すように漏れ磁束25Bが第2界磁コイル18と鎖交しても、漏れ磁束25Bによって生じる渦電流が各巻線22A内でそれぞれ分割されることになる。このため、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0035】
また、第2界磁コイル18と比較するとほとんど漏れ磁束25Bが通過しない第1界磁コイル16の巻線22Bには1本の平板状導体を使用し、また、第2界磁コイル18の巻線22Aは第1の実施の形態とは異なり、その長辺側を複数に分割していないことから、絶縁コーティングがなくなり、界磁コイルの占積率が向上する。したがって、本実施の形態によれば、導体の占積率の低下を抑えながら渦電流対策が可能となり、モータの出力性能も向上させることができる。
【0036】
請求項3に対応する本実施の形態によれば、界磁極12の磁極片15側に巻回される第2界磁コイル18は、平板状の巻線22Aを平打巻して構成しているので、漏れ磁束25Bが直交する導体面は細かく分断されることになり、第2界磁コイル18内に発生する渦電流が分断され、渦電流損の発生を抑制することができる。その結果、モータの効率の向上、出力の向上を図ることができる。
【0037】
[第3の実施の形態]
請求項4に対応する本実施の形態では、界磁鉄心14の少なくとも第2界磁コイル18が巻回される部分に第1界磁コイル16が巻回される界磁鉄心14の巻回面14Aに対して傾斜させた傾斜面を形成し、その傾斜面に巻線を巻回することによって第2界磁コイルを構成している。
【0038】
図13および図14は、本実施の形態における第2界磁コイル18の巻回状態を示している。本実施の形態では、図14に示すように、第2界磁コイル18が巻回される部分の絶縁材20に、界磁磁極14の巻回面14Aに対して非平行な傾斜面40を形成している。この傾斜面40に図13に示すように巻線24を巻回すると、第2界磁コイル18の巻線24は、図14に示すように第1界磁コイル16の巻線22に対して斜めに巻回されることになる。
【0039】
このように、第2界磁コイル18の巻線24が、界磁磁極14の巻回面14Aに対して非平行に巻回されると、漏れ磁束に直交する面の導体の長さが小さく分断されるため、漏れ磁束が第2界磁コイル18と鎖交しても渦電流を小さくすることができる。このため、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。また、図14に示すように、第2界磁コイル18の巻線24が巻回面14Aに対して傾斜して巻回されることで、巻線24の端部が第1界磁巻線16の端部に当接することになり、巻線24の巻回中の巻き崩れを容易に防止することができ、生産性が向上する。
【0040】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、漏れ磁束の通過を抑制するために、少なくとも界磁極12の磁極片15側に巻回される第2界磁コイル18と界磁鉄心14との間の磁気抵抗を増加させる手段を設けている。
【0041】
具体的には、界磁鉄心14の少なくとも第2界磁コイル18が巻回される部分には第2界磁コイル18と界磁鉄心14との間の磁気抵抗を増加させるための絶縁材20(一般的に使用される絶縁材の厚みよりもかなり厚い)を取り付け、絶縁材20上に巻線を巻回することによって第2界磁コイルを構成する。
【0042】
また、別の構成として、絶縁材20の厚みを第1界磁コイル16が巻回される部分と第2界磁コイル18が巻回される部分とで違え、これによって第2界磁コイル18と界磁鉄心14との間の磁気抵抗を増加させるようにしても良い。
【0043】
図15および図16は、請求項5〜7に対応する本実施の形態の説明に供する図である。本実施の形態では、図16に示すように、界磁磁極14の巻回面14A表面をモールドする絶縁材20の厚みを、第1界磁コイル16が巻回される部分で薄くし、第2界磁コイル18が巻回される部分で厚くしている。つまり、第2界磁コイル18が巻回される部分のうち、少なくとも電磁鋼板積層方向に平行となる面の絶縁材20の厚みを厚くしている。したがって、図に示すように、絶縁材20には、巻回面14Aに平行な比較的厚みの薄い部分20Aと、同じく巻回面14Aに平行な20Aの部分よりも厚みのある部分20Bが存在する。
【0044】
第1界磁コイル16と第2界磁コイルの巻回の仕方は第1の実施の形態と同じであるから、その説明は省略する。
【0045】
このように、漏れ磁束が鎖交しやすい第2界磁コイル18が巻回される部分20Bの絶縁材20の厚みを厚くすると、その部分の磁気抵抗が他の部分の磁気抵抗よりも大きくなる。このため、第2界磁コイル18に鎖交する漏れ磁束の数が減少し、この減少に伴って渦電流損も減少する。したがって、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。また、絶縁材の厚みが増加したことによって、第2界磁コイル18と界磁磁極14との間の絶縁耐力が向上する。さらに、巻線24を巻く際の絶縁材20の破損も防止できるようになる。
【0046】
[第5の実施の形態]
本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24に第1界磁コイル18を構成する巻線22の抵抗率よりも大きい抵抗率を有する導体を用いている。
【0047】
具体的には、第1界磁コイル16を構成する巻線22には、一般的に用いられている固有抵抗率の低い銅線を用い、第2界磁コイル18を構成する巻線24には、銅線よりも固有抵抗率の大きな導線、例えばアルミニウム線を用いる。
【0048】
図17は、請求項8および9に対応する本実施の形態の説明に供する図である。この図では、第1界磁コイル16を構成する巻線22と第2界磁コイル18を構成する巻線24の材料を違えている。巻線22は銅線であり、巻線24はアルミニウム線である。したがって、第2界磁コイル18の抵抗は、第1界磁コイル16の抵抗よりも大きくなる。なお、本実施の形態では、第1界磁コイル16と第2界磁コイル18の巻回の仕方は第1の実施の形態と同じであるから、その説明は省略する。
【0049】
このように、漏れ磁束が鎖交しやすい第2界磁コイル18の抵抗を第1界磁コイル16の抵抗よりも大きくすると、抵抗が大きい分だけ第2界磁コイル18に流れる渦電流の大きさを小さくすることができる。したがって、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0050】
従来であれば、界磁コイルの巻線には丸線や正方形に近い平角線が用いられていたため、固有抵抗率の大きいアルミニウム線を使用する場合には、巻線の全体をアルミニウム線に置き換える必要があったが、本実施の形態のように、扁平の平角線を平巻きして二列に配置したものは、漏れ磁束がほとんど通過しない第1界磁コイル16の巻線22と多くの漏れ磁束が通過する第2界磁コイル18の巻線24とで異なる材料を用いることができる。このため、適材適所に材料を使用することができ、アルミニウム線を使用することによる銅損の増加を抑制することができる。
【0051】
[第6の実施の形態]
本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24に第1界磁コイル16を構成する巻線22の断面積よりも大きな導体を用いている。一般的には、いずれの巻線にも同一の断面積の導体が使用されるが、本実施の形態のように第2界磁コイル18を構成する巻線24の断面積を大きくすることによって、第2界磁コイル18の巻線24の巻数が少なくなり、しかも断面積が大きいために第2界磁コイル18の抵抗値は小さくなる。第1界磁コイル16は、第2界磁コイル18の巻数が少なくなった分だけ巻数を確保する必要があるため(従来と同等の磁気性能を得るため)、巻線22の断面積を小さくしている。
【0052】
図18は、第1界磁コイル16を構成する断面積の比較的小さな巻線22と、第2界磁コイル18を構成する巻線22よりも断面積の大きな巻線24を界磁極12に巻回する状態を示している。図18のようにしてそれぞれの巻線が巻回されると、その結果構成される界磁極12の断面は、図19に示すように第1界磁コイル16には断面積の小さな巻線22が多くの回数巻回され、第2界磁コイル18には巻線22に比較して断面積の大きな巻線24が巻線22に比較して少ない回数巻回される。したがって、第2界磁コイル18の抵抗は、第1界磁コイル16の抵抗よりも小さくなる。
【0053】
このように、漏れ磁束が鎖交しやすい第2界磁コイル18の抵抗を第1界磁コイル16の抵抗よりも小さくすると、抵抗が小さい分だけ第2界磁コイル18の銅損の大きさを小さくすることができる。したがって、第2界磁コイル18の温度は第1界磁コイル16の温度よりも低くなる。このため、巻線の絶縁皮膜の耐熱温度に対しては、第2界磁コイル18の余裕度が高くなる。したがって、渦電流が第2界磁コイル18に発生しても、耐熱温度に対する余裕があるため絶縁破壊の恐れが少なくなる。
【0054】
以上、本発明を複数の実施の形態により説明したが、本発明は、各実施の形態に拘束されることなく、それぞれの実施の形態に記載した構成を組み合わせて適用することもできる。また、界磁極は突極型のものを例示して説明したが、突極型以外の形態のものに対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるモータの固定子の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図3】第1の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図4】第1の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図5】第1の実施の形態における界磁極の完成状態を示す図である。
【図6】第1の実施の形態において第2界磁コイルに発生する渦電流の状況の説明に供する図である。
【図7】第2の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図8】第2の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図9】第2の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図10】第2の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図11】第2の実施の形態における界磁極の完成状態を示す図である。
【図12】第2の実施の形態における第1界磁コイルと第2界磁コイルとの巻回状態を示す断面図である。
【図13】第3の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図14】第3の実施の形態における第1界磁コイルと第2界磁コイルとの巻回状態を示す断面図である。
【図15】第4の実施の形態の説明に供する図である。
【図16】第4の実施の形態の説明に供する断面図である。
【図17】第5の実施の形態の説明に供する図である。
【図18】第6の実施の形態の説明に供する図である。
【図19】第6の実施の形態の説明に供する図である。
【符号の説明】
10…モータの固定子、
12…界磁極、
14…界磁鉄心、
14A…巻回面、
14B…端面、
14C…巻回面側面、
15…磁極片
16…第1界磁コイル、
18…第2界磁コイル、
20…絶縁材、
22、24…巻線、
25…磁束、
25A、25B…漏れ磁束、
26…裸導体、
28…絶縁フィルム、
29…渦電流、
30…回転子、
32…マグネット、
34…ボビン、
36…側面拘束治具、
40…傾斜面。
【発明の属する技術分野】
本発明は、渦電流損を減少させることができるモータの固定子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、モータの固定子を構成する界磁極の界磁鉄心に、1層目のコイルとこの1層目のコイルの隣にこの1層目のコイルとは巻回方向が逆の2層目のコイルとを巻回し、渦電流損を減少させるようにした、下記の特許文献1および特許文献2が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平05−243036号公報
【特許文献2】
特開平08−317610号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、1つの界磁鉄心に相互に巻回方向の異なるコイルを2層巻回すれば、界磁極などからの漏れ磁束は各コイルに別々に鎖交することになるから、1つのコイルに発生する渦電流損が減少し、固定子全体としての渦電流損も減少する。ところが、漏れ磁束は、固定子の内周側に位置するコイルとより多く鎖交することから、外周側に位置するコイルと比較すると内周側に位置するコイルには比較的大きな渦電流が発生する。コイルに渦電流が発生すると、渦電流損と称する損失が発生し、この損失がモータの効率や出力性能の低下を引き起こす。
【0005】
モータを駆動源とする自動車の場合、搭載されているバッテリや燃料電池で作り出される電気エネルギーを有効に利用することが求められる。したがって、モータの効率を少しでも向上させる必要がある。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の問題点および現在の要望に鑑みてなされたものであり、渦電流損を減少させることができるモータの固定子の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかるモータの固定子は、界磁極が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイルと第2界磁コイルとが巻回されてなるモータの固定子であって、前記界磁極の磁極片側に巻回される前記第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が分断されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の前記界磁鉄心の長手方向の幅が前記第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成される。
【0008】
また他の発明にかかるモータの固定子は、漏れ磁束の通過を抑制するために、少なくとも前記界磁極の磁極片側に巻回される前記第2界磁コイルと前記界磁鉄心との間の磁気抵抗を増加させる手段を備えている。
【0009】
さらに他の発明にかかるモータの固定子は、界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が抑制されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の抵抗率が第1界磁コイルを構成する巻線の抵抗率よりも大きい巻線が巻回されて構成される。
【0010】
【発明の効果】
本発明にかかるモータの固定子によれば、界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルは、前記第2界磁コイルを構成する巻線の界磁鉄心の長手方向の幅が第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成したので、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が前記長手方向に分断されることになり、結果的に渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0011】
また他の発明にかかるモータの固定子によれば、少なくとも界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルと界磁鉄心との間の磁気抵抗を増加させる手段を備えているので、漏れ磁束が前記第2界磁コイルに通過する数を減少させることができ、その結果、渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0012】
さらに他の発明にかかるモータの固定子によれば、界磁極の磁極片側に設けられる第2界磁コイルは、前記第2界磁コイルを構成する巻線の抵抗率が前記第1界磁コイルを構成する巻線の抵抗率よりも大きい巻線で構成されるので、漏れ磁束により第2界磁コイル内に発生する渦電流が小さくなり、その結果、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるモータの固定子の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明にかかるモータの固定子の概略構成図である。
【0015】
本発明にかかるモータの固定子10は、各極ごとに分割可能な構造の界磁極12が円環状に配列されて構成されている。この界磁極12を構成する界磁鉄心14には、界磁鉄心14の長手方向に相隣接するように、界磁鉄心14の根元側に第1界磁コイル16が、界磁鉄心14の磁極片側に第2界磁コイル18がそれぞれ巻回されている。第1界磁コイル16と第2界磁コイル18とは電気的に接続されているが、その巻回方向は相互に異なっている。
【0016】
界磁鉄心14に第1界磁コイル16と第2界磁コイル18を巻回する前に、これらの界磁コイル16、18が巻回される界磁鉄心14の巻回面14Aの部分に、これらの界磁コイル16、18と界磁鉄心14との間の絶縁を確保するための絶縁材20が取り付けられる。
【0017】
第1界磁コイル16は、図示されるように、平板状の巻線22がその幅方向を界磁鉄心14の巻回面14Aと平行にして巻回されて構成される。つまり、第1界磁コイル16は平板状の巻線22を平巻して構成される。また、第2界磁コイル18は、モータの内部に生じる漏れ磁束によって第2界磁コイル18内に発生する渦電流が分断されるように、第2界磁コイル18を構成する巻線の界磁鉄心14の長手方向の幅が第1界磁コイル16を構成する巻線22の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成される。つまり、第2界磁コイル18は、第1界磁コイル16の巻線22の幅よりも小さい幅の巻線24(図1の場合は1/4)を複数列平板状に並べ(図1の場合4列)、平板状に並べた複数列の巻線を並べた状態で平巻して構成される。
【0018】
第1界磁コイル16および第2界磁コイル18を界磁鉄心14に巻回する手順などを図2から図4によって詳しく説明する。界磁極12は、厚みの薄い電磁鋼板を磁極形状に打ち抜き、積層することによって製作する。界磁極12を構成する界磁鉄心14の巻回面14Aおよびその巻回面側面14Cには、絶縁処理を施すため絶縁性を有する樹脂材料が塗布されている。本実施の形態では、いわゆるPPS樹脂を用いて界磁極14を一体的にモールドすることで絶縁層を形成している。
【0019】
なお、絶縁処理は、上記のように樹脂材料を塗布する方法以外に、界磁極12の電磁鋼板積層方向両端部に絶縁樹脂製の鞍型キャップを取り付け、電磁鋼板積層方向の平行面にノーメックスなどの絶縁紙を貼り付けても良い。一般的には、電磁鋼板積層方向の平行面は、樹脂キャップと一体的に形成されたフランジ面などによって絶縁される。
【0020】
図2に示すように、界磁極12の電磁鋼板積層方向の一方の端面14Bには、絶縁コーティングされていない渡線として機能する裸導体26が樹脂材料内に埋め込まれている。裸導体26に第1界磁コイル16の巻線22の端部を当接させる。巻線22の表面は絶縁被覆されているので、当接させる前にその端部の絶縁被覆はグラインダで除去しておく。裸導体26と巻線22の端部とは超音波溶接機を用いて接合する。接合後、巻線22を界磁極14の周りに一周させると図3に示すような状態となる。巻線22が裸導体26と巻線22との接合部分に達すると、2周目に入る巻線22が接合部分に押し付けられることになる。2周目に入る前に巻線22の端部のバリや接合時にできた突部が巻線22の絶縁皮膜を壊すことのないように、接合部分には絶縁フィルム28を挟む。その後は、巻線22を界磁極14の周りに所定回数巻回させる。
【0021】
以上のようにして、巻線22は界磁鉄心14に巻回され、第1界磁コイル16が形成される。
【0022】
次に、第2界磁コイル18を第1界磁コイル16に隣接(磁極鉄心14の長手方向の磁極片15側)させて界磁鉄心14に巻回する手順を説明する。第2界磁コイル18に使用する巻線24は、図4に示すように、巻線22の長辺部分を複数に分割し、分割したそれぞれの導線に絶縁コーティングを施し、所望の幅となるように導線を複数列平板状に並べて相互に接着して形成したものである。
【0023】
この巻線24は、図4に示すように、第1界磁コイル16を構成する巻線22とは反対方向に巻回するが、その巻回の手順は巻線22と同様に行われる。すなわち、巻線24の端部の絶縁被覆をグラインダで除去し、裸導体26に巻線24の端部を当接させる。裸導体26と巻線24の端部とは超音波溶接機を用いて接合する。接合後、巻線24を界磁極14の周りに巻線22とは反対の方向に一周させ、2周目に入る前に巻線24の絶縁皮膜を壊すことのないように、接合部分に絶縁フィルムを挟む。その後は、巻線24を界磁極14の周りに所定回数巻回させる。
【0024】
以上のようにして、巻線24は界磁鉄心14に巻回され、第2界磁コイル16が形成される。巻線22と巻線24を界磁鉄心14に巻回すると、図5に示すように、界磁極12には第1界磁コイル16と第2界磁コイル18が形成されることになる。
【0025】
モータに電源を接続してモータを回転させているとき、図1に示すように、第1界磁コイル16および第2界磁コイル18によって生じた磁束25は回転子30に向かう。このとき、回転子30が備えているマグネット32の磁力の影響を受けて、漏れ磁束25Aのように回転子30の表面付近を迂回して隣の磁極片15に入り込むものや、漏れ磁束25Bのように回転子30に達しないまま隣の界磁磁極14に入り込むもの(磁束密度の高い運転領域)がある。
【0026】
回転子30まで達せずに隣の界磁磁極14に入り込んだ漏れ磁束25Bは、第1界磁コイル16または第2界磁コイル18と鎖交する。第2界磁コイル18は界磁極12の磁極片15側に巻回されているので、漏れ磁束25Bは第1界磁コイル16よりも第2界磁コイル18とより多く鎖交する。本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24に、漏れ磁束25Bの流れ方向に対して複数に分割された巻線を用いているので、図6に示すように、漏れ磁束25Bが巻線24と鎖交しても、漏れ磁束25Bによって生じる渦電流29は、各巻線24内でそれぞれ分割されることになる。このため、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0027】
また、第2界磁コイル18と比較するとほとんど漏れ磁束25Bが通過しない第1界磁コイル16の巻線22は、1本の平板状導体を使用しているので、導体の占積率の低下を抑えながら渦電流対策が可能となっている。
【0028】
請求項1または請求項2に対応する本実施の形態によれば、界磁極12の磁極片15側に巻回される第2界磁コイル18は、漏れ磁束25Bによって第2界磁コイル18内に発生する渦電流29が分断されるように、第2界磁コイル18を構成する巻線24の界磁鉄心14の長手方向の幅が第1界磁コイル16を構成する巻線22の長手方向の幅よりも小さい巻線で構成している。具体的には、第1界磁コイル16は平板状の巻線を平巻して構成され、第2界磁コイル18は第1界磁コイル16の巻線22の幅よりも小さい幅の巻線を複数列平板状に並べて平巻して構成している。したがって、漏れ磁束25Bが通過する巻線24の導体面が小さく分断されることになり、渦電流19も小さく分断されて渦電流損の発生を抑制することができる。その結果、モータの効率の向上、出力の向上を図ることができる。
【0029】
[第2の実施の形態]
本実施の形態では、第1の実施の形態で用いた巻線22を平巻して第1界磁コイル16を構成し、同一の巻線22を平巻して第2界磁コイル18を構成している。
【0030】
第1界磁コイル16および第2界磁コイル18を界磁鉄心14に巻回する手順などを図7から図12によって詳しく説明する。界磁極12の構成および界磁極12に対して施される絶縁処理は第1の実施の形態の場合と同一であるのでその説明は省略する。
【0031】
まず、ボビン34に第2界磁コイル18の形成に必要な長さの巻線22Aを巻きつけておき、この巻線22Aの端部を、界磁極12の電磁鋼板積層方向の一方の端面14Bに形成されている溝(図示せず)に挿入する。そして、第1界磁コイル16を構成する巻線22Bの端部の絶縁被覆をグラインダで除去し、端面14B上でボビン34から引き出されている巻線22Aに巻線22Bの端部を当接させる。巻線22Aと巻線22Bの端部とは超音波溶接機を用いて接合する。接合後、界磁極12とボビン34とを一緒に右に一周回転させ、2周目に入る前に巻線22Bの絶縁皮膜を壊すことのないように、接合部分に絶縁フィルムを挟む。そして、界磁極12とボビン34とを一緒に右に所定回数回転させて巻線22Bを平巻し、図8のように第1界磁コイル16を形成する。
【0032】
第1界磁コイル16の巻回が終了したら、図9に示すように、ボビン34を界磁極12の巻回軸から界磁極12の電磁鋼板積層方向上に移動させる。そして、巻線22Aの巻き崩れや倒れ込みを防止するために側面拘束治具36で巻線22Aをその長辺側から第1巻線コイル16側に押し付ける。この状態で、ボビン34は回転させずに界磁極12を左に回転させる。なお、側面拘束治具36は界磁極12の巻回面14Aに沿って巻線22Aを第1巻線コイル16側に押し付けることができなけばならないので、界磁極12の回転に伴って上下方向に移動させる。側面拘束治具36の上下移動はサーボ制御により行う。
【0033】
側面拘束治具36で巻線22Aを押さえつけながら界磁極12を左方向に所定回数回転させて巻線22Aを平巻すると、図11に示すような第2界磁コイル18が形成される。図12は、図11のA−A断面を示したものであるが、この図を見れば、第1界磁コイル16は巻線22Bが平巻されて形成され、第2界磁コイル18は巻線22Aがエッジワイズ巻されて形成されていることが良くわかる。
【0034】
図1に示したように、回転子30まで達せずに隣の界磁磁極14に入り込んだ漏れ磁束25Bは、第1界磁コイル16または第2界磁コイル18と鎖交する。本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24Aをエッジワイズ巻しているので、図12に示すように漏れ磁束25Bが第2界磁コイル18と鎖交しても、漏れ磁束25Bによって生じる渦電流が各巻線22A内でそれぞれ分割されることになる。このため、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0035】
また、第2界磁コイル18と比較するとほとんど漏れ磁束25Bが通過しない第1界磁コイル16の巻線22Bには1本の平板状導体を使用し、また、第2界磁コイル18の巻線22Aは第1の実施の形態とは異なり、その長辺側を複数に分割していないことから、絶縁コーティングがなくなり、界磁コイルの占積率が向上する。したがって、本実施の形態によれば、導体の占積率の低下を抑えながら渦電流対策が可能となり、モータの出力性能も向上させることができる。
【0036】
請求項3に対応する本実施の形態によれば、界磁極12の磁極片15側に巻回される第2界磁コイル18は、平板状の巻線22Aを平打巻して構成しているので、漏れ磁束25Bが直交する導体面は細かく分断されることになり、第2界磁コイル18内に発生する渦電流が分断され、渦電流損の発生を抑制することができる。その結果、モータの効率の向上、出力の向上を図ることができる。
【0037】
[第3の実施の形態]
請求項4に対応する本実施の形態では、界磁鉄心14の少なくとも第2界磁コイル18が巻回される部分に第1界磁コイル16が巻回される界磁鉄心14の巻回面14Aに対して傾斜させた傾斜面を形成し、その傾斜面に巻線を巻回することによって第2界磁コイルを構成している。
【0038】
図13および図14は、本実施の形態における第2界磁コイル18の巻回状態を示している。本実施の形態では、図14に示すように、第2界磁コイル18が巻回される部分の絶縁材20に、界磁磁極14の巻回面14Aに対して非平行な傾斜面40を形成している。この傾斜面40に図13に示すように巻線24を巻回すると、第2界磁コイル18の巻線24は、図14に示すように第1界磁コイル16の巻線22に対して斜めに巻回されることになる。
【0039】
このように、第2界磁コイル18の巻線24が、界磁磁極14の巻回面14Aに対して非平行に巻回されると、漏れ磁束に直交する面の導体の長さが小さく分断されるため、漏れ磁束が第2界磁コイル18と鎖交しても渦電流を小さくすることができる。このため、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。また、図14に示すように、第2界磁コイル18の巻線24が巻回面14Aに対して傾斜して巻回されることで、巻線24の端部が第1界磁巻線16の端部に当接することになり、巻線24の巻回中の巻き崩れを容易に防止することができ、生産性が向上する。
【0040】
[第4の実施の形態]
本実施の形態では、漏れ磁束の通過を抑制するために、少なくとも界磁極12の磁極片15側に巻回される第2界磁コイル18と界磁鉄心14との間の磁気抵抗を増加させる手段を設けている。
【0041】
具体的には、界磁鉄心14の少なくとも第2界磁コイル18が巻回される部分には第2界磁コイル18と界磁鉄心14との間の磁気抵抗を増加させるための絶縁材20(一般的に使用される絶縁材の厚みよりもかなり厚い)を取り付け、絶縁材20上に巻線を巻回することによって第2界磁コイルを構成する。
【0042】
また、別の構成として、絶縁材20の厚みを第1界磁コイル16が巻回される部分と第2界磁コイル18が巻回される部分とで違え、これによって第2界磁コイル18と界磁鉄心14との間の磁気抵抗を増加させるようにしても良い。
【0043】
図15および図16は、請求項5〜7に対応する本実施の形態の説明に供する図である。本実施の形態では、図16に示すように、界磁磁極14の巻回面14A表面をモールドする絶縁材20の厚みを、第1界磁コイル16が巻回される部分で薄くし、第2界磁コイル18が巻回される部分で厚くしている。つまり、第2界磁コイル18が巻回される部分のうち、少なくとも電磁鋼板積層方向に平行となる面の絶縁材20の厚みを厚くしている。したがって、図に示すように、絶縁材20には、巻回面14Aに平行な比較的厚みの薄い部分20Aと、同じく巻回面14Aに平行な20Aの部分よりも厚みのある部分20Bが存在する。
【0044】
第1界磁コイル16と第2界磁コイルの巻回の仕方は第1の実施の形態と同じであるから、その説明は省略する。
【0045】
このように、漏れ磁束が鎖交しやすい第2界磁コイル18が巻回される部分20Bの絶縁材20の厚みを厚くすると、その部分の磁気抵抗が他の部分の磁気抵抗よりも大きくなる。このため、第2界磁コイル18に鎖交する漏れ磁束の数が減少し、この減少に伴って渦電流損も減少する。したがって、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。また、絶縁材の厚みが増加したことによって、第2界磁コイル18と界磁磁極14との間の絶縁耐力が向上する。さらに、巻線24を巻く際の絶縁材20の破損も防止できるようになる。
【0046】
[第5の実施の形態]
本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24に第1界磁コイル18を構成する巻線22の抵抗率よりも大きい抵抗率を有する導体を用いている。
【0047】
具体的には、第1界磁コイル16を構成する巻線22には、一般的に用いられている固有抵抗率の低い銅線を用い、第2界磁コイル18を構成する巻線24には、銅線よりも固有抵抗率の大きな導線、例えばアルミニウム線を用いる。
【0048】
図17は、請求項8および9に対応する本実施の形態の説明に供する図である。この図では、第1界磁コイル16を構成する巻線22と第2界磁コイル18を構成する巻線24の材料を違えている。巻線22は銅線であり、巻線24はアルミニウム線である。したがって、第2界磁コイル18の抵抗は、第1界磁コイル16の抵抗よりも大きくなる。なお、本実施の形態では、第1界磁コイル16と第2界磁コイル18の巻回の仕方は第1の実施の形態と同じであるから、その説明は省略する。
【0049】
このように、漏れ磁束が鎖交しやすい第2界磁コイル18の抵抗を第1界磁コイル16の抵抗よりも大きくすると、抵抗が大きい分だけ第2界磁コイル18に流れる渦電流の大きさを小さくすることができる。したがって、界磁極12全体としての渦電流損が小さくなって、モータの効率および出力性能の向上を図ることができる。
【0050】
従来であれば、界磁コイルの巻線には丸線や正方形に近い平角線が用いられていたため、固有抵抗率の大きいアルミニウム線を使用する場合には、巻線の全体をアルミニウム線に置き換える必要があったが、本実施の形態のように、扁平の平角線を平巻きして二列に配置したものは、漏れ磁束がほとんど通過しない第1界磁コイル16の巻線22と多くの漏れ磁束が通過する第2界磁コイル18の巻線24とで異なる材料を用いることができる。このため、適材適所に材料を使用することができ、アルミニウム線を使用することによる銅損の増加を抑制することができる。
【0051】
[第6の実施の形態]
本実施の形態では、第2界磁コイル18を構成する巻線24に第1界磁コイル16を構成する巻線22の断面積よりも大きな導体を用いている。一般的には、いずれの巻線にも同一の断面積の導体が使用されるが、本実施の形態のように第2界磁コイル18を構成する巻線24の断面積を大きくすることによって、第2界磁コイル18の巻線24の巻数が少なくなり、しかも断面積が大きいために第2界磁コイル18の抵抗値は小さくなる。第1界磁コイル16は、第2界磁コイル18の巻数が少なくなった分だけ巻数を確保する必要があるため(従来と同等の磁気性能を得るため)、巻線22の断面積を小さくしている。
【0052】
図18は、第1界磁コイル16を構成する断面積の比較的小さな巻線22と、第2界磁コイル18を構成する巻線22よりも断面積の大きな巻線24を界磁極12に巻回する状態を示している。図18のようにしてそれぞれの巻線が巻回されると、その結果構成される界磁極12の断面は、図19に示すように第1界磁コイル16には断面積の小さな巻線22が多くの回数巻回され、第2界磁コイル18には巻線22に比較して断面積の大きな巻線24が巻線22に比較して少ない回数巻回される。したがって、第2界磁コイル18の抵抗は、第1界磁コイル16の抵抗よりも小さくなる。
【0053】
このように、漏れ磁束が鎖交しやすい第2界磁コイル18の抵抗を第1界磁コイル16の抵抗よりも小さくすると、抵抗が小さい分だけ第2界磁コイル18の銅損の大きさを小さくすることができる。したがって、第2界磁コイル18の温度は第1界磁コイル16の温度よりも低くなる。このため、巻線の絶縁皮膜の耐熱温度に対しては、第2界磁コイル18の余裕度が高くなる。したがって、渦電流が第2界磁コイル18に発生しても、耐熱温度に対する余裕があるため絶縁破壊の恐れが少なくなる。
【0054】
以上、本発明を複数の実施の形態により説明したが、本発明は、各実施の形態に拘束されることなく、それぞれの実施の形態に記載した構成を組み合わせて適用することもできる。また、界磁極は突極型のものを例示して説明したが、突極型以外の形態のものに対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるモータの固定子の概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図3】第1の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図4】第1の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図5】第1の実施の形態における界磁極の完成状態を示す図である。
【図6】第1の実施の形態において第2界磁コイルに発生する渦電流の状況の説明に供する図である。
【図7】第2の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図8】第2の実施の形態における第1界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図9】第2の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図10】第2の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図11】第2の実施の形態における界磁極の完成状態を示す図である。
【図12】第2の実施の形態における第1界磁コイルと第2界磁コイルとの巻回状態を示す断面図である。
【図13】第3の実施の形態における第2界磁コイルの巻回手順の説明に供する図である。
【図14】第3の実施の形態における第1界磁コイルと第2界磁コイルとの巻回状態を示す断面図である。
【図15】第4の実施の形態の説明に供する図である。
【図16】第4の実施の形態の説明に供する断面図である。
【図17】第5の実施の形態の説明に供する図である。
【図18】第6の実施の形態の説明に供する図である。
【図19】第6の実施の形態の説明に供する図である。
【符号の説明】
10…モータの固定子、
12…界磁極、
14…界磁鉄心、
14A…巻回面、
14B…端面、
14C…巻回面側面、
15…磁極片
16…第1界磁コイル、
18…第2界磁コイル、
20…絶縁材、
22、24…巻線、
25…磁束、
25A、25B…漏れ磁束、
26…裸導体、
28…絶縁フィルム、
29…渦電流、
30…回転子、
32…マグネット、
34…ボビン、
36…側面拘束治具、
40…傾斜面。
Claims (9)
- 界磁極が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイルと第2界磁コイルとが巻回されてなるモータの固定子であって、
前記界磁極の磁極片側に巻回される前記第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が分断されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の前記界磁鉄心の長手方向の幅が前記第1界磁コイルを構成する巻線の当該長手方向の幅よりも小さい巻線で構成されることを特徴とするモータの固定子。 - 前記第1界磁コイルは平板状の巻線を平巻して構成され、前記第2界磁コイルは前記第1界磁コイルの巻線の幅よりも小さい幅の巻線を複数列平板状に並べて平巻して構成され、前記第1界磁コイルと前記第2界磁コイルとを電気的に接続したことを特徴とする請求項1記載のモータの固定子。
- 前記第1界磁コイルは平板状の巻線を平巻して構成され、前記第2界磁コイルは当該平板状の巻線を平打巻して構成され、前記第1界磁コイルと前記第2界磁コイルとを電気的に接続したことを特徴とする請求項1記載のモータの固定子。
- 前記界磁鉄心の少なくとも前記第2界磁コイルが巻回される部分に前記第1界磁コイルが巻回される前記界磁鉄心の巻回面に対して傾斜させた傾斜面を形成し、前記第2界磁コイルは、当該傾斜面に巻線を巻回することによって構成されることを特徴とする請求項1記載のモータの固定子。
- 界磁極が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイルと第2界磁コイルとが巻回されてなるモータの固定子であって、
漏れ磁束の通過を抑制するために、少なくとも前記界磁極の磁極片側に巻回される前記第2界磁コイルと前記界磁鉄心との間の磁気抵抗を増加させる手段を備えていることを特徴とするモータの固定子。 - 前記界磁鉄心の少なくとも前記第2界磁コイルが巻回される部分には前記第2界磁コイルと前記界磁鉄心との間の磁気抵抗を増加させるための絶縁材を取り付け、当該絶縁材上に巻線を巻回することによって前記第2界磁コイルを構成することを特徴とする請求項5記載のモータの固定子。
- 前記絶縁材の厚みは、前記第2界磁コイルが巻回される部分に取り付けられる絶縁材の厚みを、前記第1界磁コイルが巻回される部分に取り付けられる絶縁材の厚みよりも厚くしたことを特徴とする請求項6記載のモータの固定子。
- 界磁極が円環状に配列され、当該界磁極を構成する界磁鉄心には当該界磁鉄心の長手方向に相隣接して第1界磁コイルと第2界磁コイルとが巻回されてなるモータの固定子であって、
前記界磁極の磁極片側に設けられる前記第2界磁コイルは、漏れ磁束によって前記第2界磁コイル内に発生する渦電流が抑制されるように、前記第2界磁コイルを構成する巻線の抵抗率が前記第1界磁コイルを構成する巻線の抵抗率よりも大きい巻線が巻回されて構成されたことを特徴とするモータの固定子。 - 前記第1界磁コイルは銅線を巻回して構成し、前記第2界磁コイルは当該銅線よりも固有抵抗率の大きい導体を巻回して構成したことを特徴とする請求項8記載のモータの固定子。
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