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JP2004144739A - 検体用サンプリング素子、検体処理装置および検体処理方法 - Google Patents

検体用サンプリング素子、検体処理装置および検体処理方法 Download PDF

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JP2004144739A
JP2004144739A JP2003329842A JP2003329842A JP2004144739A JP 2004144739 A JP2004144739 A JP 2004144739A JP 2003329842 A JP2003329842 A JP 2003329842A JP 2003329842 A JP2003329842 A JP 2003329842A JP 2004144739 A JP2004144739 A JP 2004144739A
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JP2003329842A
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Fumihisa Kitawaki
北脇 文久
Tatsuro Kawamura
河村 達朗
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】 検体の検査において、特に手作業で行われることが多い検体採取、検体処理、測定(反応)系へ検体導入および検体の希釈などの前処理工程全般を簡素化し、大型自動化装置およびPOCT対応装置を用いた検査の操作性を向上し得る技術を提供する。
【解決手段】 検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有することを特徴とする検体用サンプリング素子。
【選択図】図1

Description

 本発明は、検体に含まれる物質を分析するにあたって前記検体を簡易に処理するための素子、および前記素子を用いた検体処理方法に関する。したがって、本発明は主として臨床検査分野に属する。
 近年、分析技術、解析技術および検査技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。特に臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応または免疫反応などの特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する体液中の物質を測定できるようになった。これに追随し、より多くの検体についてより多くの項目を測定し得ること(多検体多項目測定)を目的として、様々な大型自動化装置も開発されてきた。かかる自動化装置によれば、装置を構成する部品の性能の向上に加え、その装置において用いられる反応試薬の性能の向上により、高感度で高精度の測定が可能である。
 現在では、例えば総合病院などの大きな病院の中央臨床検査センターが大型自動化装置を所有しており、ここで、日々送られてくる多種多様な検体が検査されている。一般的に、自動化装置で測定される検体は前処理を施され、さらに必要ならば希釈操作などを行われ、その後に測定が開始される。例えば、血液の場合であれば、血球と血漿とを分離する前処理が行われる。したがって、中央臨床検査センターの検査装置使用者には必要最低限の専門性が要求される。
 一方、昨今においては、ポイント・オブ・ケア・テスティング(POCT)と呼ばれる臨床検査分野が注目されている。POCTは、上述した中央臨床検査センターで行われる検査に相反する考え方に基づき、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間を短縮させ、簡易で迅速な測定を第1の目的としている。したがって、POCTには、簡易な測定原理、ならびに小型で携帯性および操作性に優れた測定装置が要求される。近年の技術開発の進歩により、例えば血糖センサに代表されるように、簡単に測定できる小型の測定機器が開発されている。
 また、POCTの効果としては、迅速な測定結果の取得による迅速で正確な診断を可能とすることに加え、検査にかかるコストの低減、血液などの検体の少量化に伴う被検者の負担の軽減、および感染性廃棄物の少量化などが考えられる。現在、臨床検査はPOCTへの移行が急速に起こっており、そのニーズに応える形で、POCTに対応する測定機器の開発が行なわれている。
 POCTに対応する測定機器としては、上述した血糖センサに代表される酵素電極反応を利用した酵素センサの他に、妊娠診断薬に代表される免疫抗原抗体反応を利用した定性免疫センサなどがある。最近では定量免疫センサも開発されて商品化されつつある。いずれも、簡易測定原理の構築と、それに伴う生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術およびセンサシステム化技術の進歩とによるものである。さらには、上述した中央臨床検査センターが所有する大型自動化装置の小型化技術の開発も行なわれつつある。
 ところで検体の検査は、一般的に、(1)検体採取、(2)検体処理、(3)測定(反応)系へ検体導入、(4)検体の希釈、(5)試薬導入、(6)反応、(7)未反応物除去、(8)検出、および(9)検体中の物質の測定の9つの工程によってなされる。また、大型自動化装置においては、主として(3)〜(9)の工程が自動化されており、多検体多項目測定が可能である。
 しかし、(1)および(2)の工程、例えば、血液からの血球分離操作、夾雑物除去などの工程は自動化されていない。したがって、これらの工程が検査時間の大部分を占め、迅速な結果を得るのに障害となっていた。さらに、検体処理に関する専門性を必要とし、誰もが行える操作ではなかった。また、高濃度蛋白質が含まれる検体において必要となる希釈操作については、一部で自動化されている機器があるものの、一方で装置の構成も複雑になり、POCTで使用されるにはコストが高い。さらに、今後、臨床検査の重要な位置付けとなるPOCTを意識して、μ−TAS等の技術により大型自動化装置が小型化されたとしても、検体前処理工程で問題が生じることが予想される。
 一方、例えば血糖センサなどのPOCT対応装置は、(2)の工程を必要とせず、(1)の工程の後に検体がセンサデバイスに流れ込む過程において、(3)〜(8)の工程が短時間で行われる。妊娠診断薬の場合も同様である。しかし、POCT対応装置のすべてがこのようなセンサシステムを取り得るとは限らず、やはり、(1)および(2)、時には(3)および(4)の工程において、手動による操作が要求されるものが多く問題であった。すなわち、現状のPOCT対応装置のほとんどは、(4)〜(9)の工程のみを簡易化して実施するにすぎない(例えば特許文献1)。
特開平6−160388号公報
 以上の従来技術に鑑み、本発明は、あらゆる自動化小型装置またはPOCT対応装置に適用できるもので、(1)〜(3)、(4)または(5)の工程を簡易に操作性良く行うことのできる検体用サンプリング素子、ならびにこれを使用した検体処理装置および検体処理方法を提供することを目的とする。
 本発明は、上記の目的を実現するために、検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有することを特徴とする検体用サンプリング素子を提供する。
 前記第1の領域が毛細管現象により前記検体を保持することが有効である。
 また、前記力学的作用が磁場の変化によるものであることが有効である。
 また、前記第2の領域の運動により前記第1の領域が前記検体を放出することが有効である。
 前記検体用サンプリング素子は、前記検体に含まれる物質と反応する試薬a1および/または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1を保持していることが有効である。
 前記試薬a1は、酵素、抗原、抗体、レセプターまたは核酸であることが有効である。
 また、前記物質は、蛋白質、ホルモン、抗体、酵素、抗原または核酸であることが有効である。
 前記試薬b1は、無機塩または界面活性剤であることが有効である。
 また、前記細胞は、赤血球、白血球または血小板であることが有効である。
 前記試薬b1により破壊された前記細胞から放出される成分が、蛋白質、糖化蛋白質、リン酸化蛋白質、ホルモン、脂質、抗体、酵素、抗原、レセプター、インヒビター、DNAまたはRNAであることが有効である。
 また、本発明は、検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有する検体用サンプリング素子と、前記サンプリング素子が導入される反応セルと、前記反応セル内において前記サンプリング素子に力学的作用を与える手段と、前記反応セル内の反応を測定するための光学測定系とを具備することを特徴とする検体処理装置を提供する。
 この検体処理装置においては、前記力学的作用を与える手段が、前記サンプリング素子に磁力により力学的作用を与える磁場変化装置であることが有効である。
 また、前記光学測定系が、光散乱分光光度計、蛍光分光光度計、吸光分光光度計または発光分光光度計であることが有効である。
 さらに、本発明は、(a)検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有する検体用サンプリング素子に、検体を定量的に採取して保持させる工程と、(b)前記検体を保持した前記サンプリング素子を反応系に導入する工程と、(c)前記反応系外からの力学的作用により、前記サンプリング素子を運動させ、前記サンプリング素子から前記検体を放出させるとともに、攪拌しながら前記検体を前記反応系に均一に混合する工程とを含むことを特徴とする検体処理方法をも提供する。
 前記工程(a)の前に、前記サンプリング素子に前記検体に含まれる物質と反応する試薬a1および/または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1を担持させることが有効である。
 また、本検体処理方法においても、前記試薬a1が、酵素、抗原、抗体、レセプターまたは核酸であることが有効である。
 また、前記物質は、蛋白質、ホルモン、抗体、酵素、抗原または核酸であることが有効である。
 前記試薬b1は、無機塩または界面活性剤であることが有効である。
 前記細胞は、赤血球、白血球または血小板であることが有効である。
 前記試薬b1により破壊された前記細胞から放出される成分は、蛋白質、糖化蛋白質、リン酸化蛋白質、ホルモン、脂質、抗体、酵素、抗原、レセプター、インヒビター、DNAまたはRNAであることが有効である。
 さらに、前記反応系が、緩衝液、前記検体に含まれる物質と反応する試薬a2を含む溶液、または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b2を含む溶液を具備することが有効である。
 前記工程(c)において、前記検体と前記反応系とを攪拌しながら均一に混合すると同時に、前記試薬a2が前記検体に含まれる物質と反応すること、および/または前記試薬b2が前記検体に含まれる細胞を破壊することが有効である。
 本発明に係るサンプリング素子、ならびにこれを用いる検体処理装置および検体処理方法によれば、分析、解析および検査における検体のサンプリングとその前処理を簡易に行うことができ、さらに簡易で迅速な測定を行うPOCT対応装置の開発に貢献することができる。
 本発明に係る検体用サンプリング素子は、検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有することを特徴とする。そして、前記第1の領域は毛細管現象により前記検体を保持することができ、前記力学的作用は磁場の変化によるものであることが有効である。
 したがって、本発明に係る検体用サンプリング素子の具体的な態様としては、例えば、検体を定量的に採取して保持し得る毛細管、および前記毛細管に接して設けられた第1の磁性体を具備する。すなわち、この場合、前記第1の領域が毛細管に相当するとともに、前記第2の領域が第1の磁性体に相当し、本発明に係る検体用サンプリング素子は、毛細管および磁性体(材料)で構成される点に特徴を有する。
 この検体用サンプリング素子を用いれば、後述するが、例えば外部から磁場を利用した力学的作用により第2の磁性体を運動させることによって、前記第1の磁性体とともに前記毛細管を運動させ、遠心力等によって前記検体を前記毛細管から放出し、攪拌しながら前記検体を前記毛細管の外部の液系に混合することができる。
 ここで、毛細管とは、毛管またはキャピラリーともいい、毛細管現象が現れる程度の太さを有する細い管、または、2枚以上の平板などを毛細管現象が現れる程度の隙間をもつように積層させて得られる複合体などのことをいう。例えば、細い繊維を撚り合わして得られた糸を縦糸および横糸として用い、これらを織り上げて得られる布なども、毛細管現象が現れる程度に繊維同士または糸同士の間に隙間をもたせれば、毛細管として用いることができる。いずれにおいても、毛細管現象がみられるものを総称して毛細管という。
 つぎに、毛細管現象とは、固体と液体とが界面において平衡状態に達した後、これらがある形またはある面積をもつ現象のことをいい、液体の表面張力、液体に対する固体の濡れやすさ、および毛細管の直径の3つの要因が関係している。これら3つの要因と毛細管現象との関係を、水がガラス管内を上昇する現象を例にして簡単に説明する。水分子間には分子間力(凝集力)が働いているが、水面の水分子は空気に接しているため、水の中へ向かう方向にだけ引っ張られている。この水面に働いている力を表面張力といい、一般に水の表面が丸くなっているのはこのためである。
 このような状態の水に細いガラス管などの毛細管を垂直にしてつけると、水分子に働く分子間力(凝集力)よりもガラス管と水分子との間に働く力(付着力および濡れ易さ)の方が大きいため、水はガラス管の壁に引き寄せられてせり上がり、前記付着力と上昇した水の重さとがつり合う位置まで水は上へ移動する。その際、ガラス管が細いほど上昇すべき水の重さが軽いため、付着力とつり合うように水はより高い位置まで移動する。したがって、毛細管を構成する材料としては、親水性を有するものであればよい。
 濡れやすさの尺度は、例えば、毛細管を構成する材料と同じ材料からなる平板などに水を垂らし、その広がりの程度を調べることにより簡易に知ることができる。すなわち、広がりが大きいほどその材料は濡れ易いといえる。具体的には、ガラス、石英または鉄などが挙げられ、いずれも毛細管を構成し得る。本発明における毛細管に要求される機能は、検体を毛細管内に定量的に採取して導入し、かつ保持することにある。すなわち、検体の多種多様な分析を行うまでの一連の操作において、サンプリングすることである。
 一方、磁性体とは、磁場において磁化する性質(磁性)を有する物質であって、物質そのものが有する磁場と相互作用する物質をいう。すべての物質は、磁場に対してなんらかの反応を示し、磁場方向に強くひきつけられる強磁性体、弱くひきつけられる常磁性体、弱い反発を示す反磁性体などに区別される。本発明でいう磁性体とは、特に、強磁性体、または常磁性体をいい、例えば、磁石にひきつけられる鉄などの金属材料を示す。ここで、本発明における第1の磁性体と第2の磁性体とは、相互にひきつけ合う性質を有する。
 特に、第1の磁性体に必要な機能は、磁石などの第2の磁性体にひきつけられることに加えて、第2の磁性体の動きに応じてなんらかの運動をすることである。例えば、両者は、第2の磁性体が回転運動をすれば第1の磁性体も回転運動をし、第2の磁性体が振幅運動をすれば第1の磁性体も振幅運動し、または、第2の磁性体が回転運動をすれば第1の磁性体も単振動をすることができる関係にあることが必要である。したがって、第1の磁性体は第2の磁性体によって運動させられる程度の重量および寸法などを有する必要がある。
 本発明に係るサンプリング素子は、毛細管と第1の磁性体とが一体化して形成されている。したがって、第1の磁性体の運動によって毛細管そのものも運動することになる。両者を一体化させる方法としては、例えば、毛細管と第1の磁性体とをテープなどの粘着性材料で巻き付ける方法、毛細管と第1の磁性体とを例えばテフロンなどのフッ素樹脂製のフィルムなどの材料で包み込む方法、毛細管そのものを磁性を有する材料で形成する方法などが挙げられる。いずれにしても、第1の磁性体の運動により第1の磁性体から毛細管がはずれずに共に運動し得るように一体化されていることが重要であり、一体化の形態にはこれらに限定されるものではない。
 ここで、図1は、本発明に係るサンプリング素子の概略斜視図である。図1に示すように、本発明に係るサンプリング素子1は、毛細管11と第1の磁性体12とが、例えば粘着性テープ13により一体化されて構成されている。なお、参考のために、図2に、図1の矢印Xの方向から見たサンプリング素子を示し、図3に、図1の矢印Yの方向から見たサンプリング素子を示した。
 さらに、このように構成された本発明に係るサンプリング素子には、第1の試薬が担持されていてもよい。担持の形態としては、例えば、第1の磁性体にさらに第2の毛細管を一体化させ、この第2の毛細管に溶液状態または乾燥状態の第1の試薬を担持させておく方法、サンプリング素子に器状部分を形成し、当該部分の中に第1の試薬を乾燥状態で担持させておく方法、または、第1の試薬を含浸・担持させたガラス繊維濾紙もしくはセルロース性濾紙などのキャリアをサンプリング素子に一体化させておく方法などが挙げられる。いずれにしても、第1の試薬が零れ落ちないように担持されており、第1の試薬の担持されている領域が密封状態になく、外部に曝露されていることが必要である。
 ここで、図4は、本発明に係る別のサンプリング素子の概略斜視図である。図4に示すように、本発明に係るサンプリング素子1は、毛細管21と第1の磁性体22とが、例えば粘着性テープ24により一体化されて構成されている。さらに、毛細管21と第1の磁性体22と間には、第1の試薬を含浸・担持したガラス繊維濾紙23が一体的に保持されている。なお、参考のために、図5に、図4の矢印Xの方向から見たサンプリング素子を示し、図6に、図4の矢印Yの方向から見たサンプリング素子を示した。
 担持させる第1の試薬としては、検体に含まれる物質と反応する試薬a1が挙げられ、例えば、酵素、抗原、抗体、レセプターまたは核酸などがある。
 酵素としては、例えばグルコースオキシダーゼなどが挙げられ、これは検体中のグルコースと特異的に反応する。
 抗原としては、主として検体中に存在する抗体と特異的に反応する蛋白質などが挙げられる。なお、検体中に存在する抗体とは、例えばHCV抗体、またはHIV抗体などがある。
 抗体としては、例えば、ポリクロナール抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、Fab抗体、F(ab)2抗体、またはFv抗体などが挙げられ、前記検体中に存在する抗原から作製することができる。なお、検体中に存在する抗原とは、蛋白質、糖化蛋白質、リン酸化蛋白質またはハプテンなどである。
 レセプターとしては、例えば検体中に含まれるステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミン、ペプチドホルモン、増殖因子、サイトカインまたはカテコールアミンなどの生理活性物質と特異的に反応するものが挙げられる。
 また、核酸としては、DNAまたはRNAなどの遺伝子となり得るものが挙げられる。
 したがって、前記検体に含まれる物質とは、蛋白質、ホルモン、抗体、酵素、抗原または核酸などである。
 蛋白質としては、アルブミン、グロブリン、ミオグロビン、プロラミン、グルテリン、ヒストンおよびプロタミンなどの20種類のアミノ酸の少なくとも1種のみで構成される蛋白質、感染症マーカーのC反応性蛋白質(CRP)、血清アミロイドA(SAA)、腫瘍マーカーの癌胎児性抗原(CEA)、α−フェトプロテイン(AFP)、糖鎖抗原19−9(CA19−9)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、グリコアルブミンなどの糖と蛋白質との複合体であるすべての糖化蛋白質、蛋白質のセリン、トレオニン、チロシン残基のヒドロキシル基にリン酸がエステル結合して得られるすべてのリン酸化蛋白質、ならびに高密度リポ蛋白質(HDL)および低密度リポ蛋白質(LDL)などの脂質と蛋白質の複合体であるすべてのリポ蛋白質などが挙げられる。
 ホルモンとしては、ヒト絨毛性ホルモン(hCG)、黄体形成ホルモン(LH)、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、およびインスリンなどが挙げられる。
 酵素としては、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(GOT)、アルカリフォスフォターゼ(ALP)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(GPT)、乳酸脱水素酵素(LDH)、ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)、γ−グルタミールトランスペプチダーゼ(γ−GTP)、コリンエステラーゼ(ChE)、酸性フォスフォターゼ(ACP)、および前立腺酸性フォスフォターゼ(PAP)などが挙げられる。
 抗体としては、HCV抗体、HIV抗体および免疫グロブリン(IgE)などが挙げられ、抗原としては、ウィルスおよび細菌などが挙げられる。
 また、核酸としては、SNPS、DNAおよびRNAなどが挙げられる。
 また、担持される第1の試薬は、検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1でもよい。かかる試薬b1としては、例えば無機塩または界面活性剤などが挙げられる。無機塩は、細胞内外の浸透圧を変化させ、細胞を収縮または膨張させることで細胞破壊を促す。一方、界面活性剤は、細胞成分である蛋白質の親水性と疎水性のバランスを崩すことにより細胞破壊を促す。
 かかる無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、フッ化ナトリウム、チオシアン化ナトリウム、およびチオシアン化カリウムなどが挙げられ、界面活性剤としては、例えば、スクロースモノラウレート、オレイン酸ナトリウム、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などが挙げられる。
 また、試薬b1によって破壊される細胞としては、例えば、血液中の赤血球、白血球、および血小板などが挙げられる。この場合、赤血球、白血球または血小板内部の物質を細胞外の液系に混合または溶解させることを目的とする。
 破壊された細胞から放出される成分としては、例えば、蛋白質、糖化蛋白質、リン酸化蛋白質、ホルモン、脂質、抗体、酵素、抗原、レセプター、インヒビター、DNA、およびRNAなどが挙げられる。
 さらに、本発明に係るサンプリング素子には、検体に含まれる物質と反応する試薬a1と検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1が同時に担持されていてもよい。この際、前記検体に含まれる物質と反応する試薬a1と検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1とが互いに影響を及ぼさないものでなければならないが、これらの組合せは、本発明の効果を損なわない範囲で当業者であれば適宜選択することができる。
 ここで、本発明に係るサンプリング素子の使用目的は、簡易かつ迅速に検体をサンプリングし、簡易かつ迅速に検体を反応系(液系)中などに放出させることにある。したがって、本発明は、前記サンプリング素子を用いた検体処理装置および検体処理方法にも関する。ここでいう検体処理方法とは、検体を所定の液系に混合したり、溶解したり、希釈したりすることも含まれる。
 本発明に係る検体処理装置は、前記検体用サンプリング素子と、前記サンプリング素子が導入される反応セルと、前記反応セル内において前記サンプリング素子に力学的作用を与える手段と、前記反応セル内の反応を測定するための光学測定系とを具備することを特徴とする。
 前記力学的作用を与える手段は、前記サンプリング素子に磁力により力学的作用を与える磁場変化装置であればよく、例えば後述するマグネティック・スターラーを用いることができる。
 また、前記光学測定系には、光散乱分光光度計、蛍光分光光度計、吸光分光光度計または発光分光光度計を用いればよい。
 また、本発明に係る検体用サンプリング素子を用いた検体処理方法は、上記検体処理装置によって実施することができ、具体的には、(a)検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有する検体用サンプリング素子に、検体を定量的に採取して保持させる工程と、(b)前記検体を保持した前記サンプリング素子を反応系に導入する工程と、(c)前記反応系外からの力学的作用により、前記サンプリング素子を運動させ、前記サンプリング素子から前記検体を放出させるとともに、前記検体と前記反応系とを攪拌しながら均一に混合する工程とを含む。
 前記工程(a)の前に、前記サンプリング素子に前記検体に含まれる物質と反応する試薬a1および/または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1を担持させることが好ましい。
 また、前記工程(c)においては、前記検体と前記反応系とを攪拌しながら均一に混合すると同時に、前記試薬a2を前記検体に含まれる物質と反応させ、および/または前記試薬b2によって前記検体に含まれる細胞を破壊することができる。
 ここで、有機合成反応および固体の溶解の際に用いる攪拌バー(スターラー・バー)にガラス製毛細管(ガラス管)を一体化してなるサンプリング素子を用いた場合に代表させて、本発明に係る検体処理方法を説明する。
 まず、ガラス管内に検体を定量的に上昇および保持(サンプリング)させて、サンプリング素子を対象となる液系(反応系)に接触させる(好ましくは浸す)。
 つぎに、例えばマグネティック・スターラーという装置を用いて、液系外から液系内の攪拌バー(第1の磁性体)を回転運動させる。この回転運動によりガラス管内に保持された検体を液系内に放出させ、さらに前記検体と液とを均一に混合または溶解させるのである。なお、スターラーには第2の磁性体が含まれている。
 ガラス管と攪拌バーとは一体となっているため、攪拌バーが回転運動をすることによりガラス管も一体となって回転運動する。そのため、ガラス管に保持された検体は、遠心力により液中に放出され、さらに、攪拌により均一に混合されるのである。
 なお、サンプリング素子の形状は棒状に限らず、液内で液外の第2の磁性体(例えば磁石)の運動に伴って運動でき、検体が放出されて液全体と均一に混合、攪拌される程度の重量および寸法を有すればよい。また、液系外からの第2の磁性体の運動は、上述のようなスターラーの回転運動に限らず、例えば、振幅運動または単振動であってもよい。重要なのは液に効率よくサンプリング素子に保持された検体を放出させ、さらに液と均一に混合させる運動を行わせる点にある。
 したがって、本発明に係るサンプリング素子は、「検体サンプリング機能」、「検体を液中に放出する放出機能」および「検体を液と均一に混合させる均一化機能」という3つの重要な機能を有する。サンプリングとは、毛細管現象を利用して毛細管内へ検体を定量的に採取、保持させることをいい、放出とは、毛細管内に保持された検体を液中に放出させることをいう。また、均一化とは、検体と液が均一に混合され、検体に含まれる物質が、得られる混合物中のあらゆる部分で一定の濃度で存在することをいう。
 また、本発明に係る検体処理方法は、サンプリング素子の毛細管に検体が毛細管現象により定量的に注入される工程、液中において検体が注入された前記サンプリング素子を液系外から磁力により運動させる工程、前記運動中において前記毛細管内の検体が液中に均一に混合される工程を含むことを特徴とする検体均一混合方法であるとも言える。
 本発明の検体処理方法を用いることで、検体中に含まれる物質を簡易に希釈することができる。例えば、血液中の赤血球内に高濃度に存在するヘモグロビンを前記方法により簡易に希釈することができる。さらに、液中に検体中の物質と反応する試薬が含まれていれば、検体均一溶解の後、直ちに検体中の物質を分析するための反応を行うことができる。
 ここで、本発明に係る検体処理方法において用いる液とは、緩衝液、検体中に含まれる物質と反応する試薬a2を含む溶液、または、検体中に含まれる細胞を破壊する試薬b2を含む溶液を含み得る。
 緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、または炭酸緩衝液などが挙げられる。
 また、検体中に含まれる物質と反応する試薬a2としては、上述した検体中に含まれる物質と反応する試薬a1として列挙したものを用いることができ、検体中に含まれる細胞を破壊する試薬b2としては、上述した検体中に含まれる細胞を破壊する試薬b1として列挙したものを用いることができる。
 本発明に係るサンプリング素子にさらに第1の試薬が担持されている場合、第1の試薬がサンプリング素子の運動中に液中に放出されてもよい。この際、放出された第1の試薬は、前記検体中の物質と反応する試薬a1であり、前記検体中の物質と前記試薬a1とが均一混合過程において同時に反応する場合もある。
 また、本発明の検体均一混合方法に適用される検体としては、例えば体液が挙げられ、さらに具体的には、例えば血液、尿、唾液、涙および汗などが挙げられる。
 本発明に係る検体均一混合過程において起こりうる反応は、例えば、酵素反応、免疫反応、ハイブリダイゼーション、溶血反応、または溶菌反応などである。
 ここで、図面を参照しながら、本発明に係る検体用サンプリング素子およびスターラーを用いた均一混合方法について説明する。
 図7は、本発明に係るサンプリング素子を用いた検体処理方法の工程図である。なお、ここでは、図1に示すサンプリング素子1を用いた場合を説明するが、粘着性テープ13は省略した。まず、図7の(a)に示すように、検体30にサンプリング素子1を接触させ、毛細管現象によって毛細管11に検体30を導入する。これにより、図7の(b)に示すように、サンプリング素子1の毛細管11に検体30が保持される。
 ついで、このサンプリング素子1を、液33を含む反応セル31(反応系)内に導入し、反応セル31の底面の外側には、例えばスターラーを構成する第2の磁性体であるマグネット32が位置する。第2の磁性体32が回転することによって、サンプリング素子1は液中で回転運動をし、毛細管11に保持された検体が遠心力によって液33中に放出される(図7の(c))。そして、サンプリング素子1の回転運動による攪拌によって、両者は均一に混合されるのである。サンプリング素子1の毛細管11に含まれていた検体30は、液33と混合され、このとき、反応セル31中には混合液(または溶解液)34が存在することになる(図7の(d))。
 つぎに、上記サンプリング素子を用いた検体処理方法を実施するために、本発明は、前記検体用サンプリング素子のためのハンドリング装置も提供する。このハンドリング装置は、検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有する検体用サンプリング素子を着脱可能に含み、前記検体を保持した前記サンプリング素子を反応系に導入し得ることを特徴とする。
 さらに、前記ハンドリング装置は、前記反応系を構成する液系を保持し、前記液系を前記サンプリング素子とともに前記反応系に導入し得る機構を有するのが有効である。
 前記液系は、緩衝液、前記検体に含まれる物質と反応する試薬a2を含む溶液、または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b2を含む溶液であればよい。
 ここで、図8に、本発明に係るサンプリング素子およびハンドリング装置を用いた検体処理方法の工程図を示す。図8の(a)に示すように、本発明に係るハンドリング装置40は、ピストン43aを具備するとともに液43bを保持するシリンジ43、および液43bをシリンジ43の内部に保持するためにシリンジ43の底に設けられたアルミシール44を含む。また、シリンジ43の先端部分には、本発明に係るサンプリング素子1が取り付けられている。
 このハンドリング装置40を使用する場合、図8の(a)に示すように、あらかじめサンプリング素子1の毛細管11に検体30を保持させておき、その後、図8の(b)に示すように、シリンジ43のピストン43aを押すことにより、反応セル46内に、サンプリング素子1とともに液43bを導入する。その後、図8の(c)に示すように検体30を保持するサンプリング素子1および液43bを含む反応セル46を、例えばスターラー上に設置し、サンプリング素子1を回転させて、検体30を放出させて攪拌しながら液43bと均一に混合させる。
 ここで、図8に示すハンドリング装置40の特徴は、シリンジ形状を有すること、検体に混合される液43bが封入されること、脱着可能なサンプリング素子1が先端に設けられること、ピストン43aを押すとサンプリング素子1が外れるとともにアルミシール44が破れ、液43bが流れ出ることを満たす点にある。シリンジ形状の部分は、例えばプラスチックで構成し、使い捨て可能であるのが好ましい。
 また、アルミシール44は、液43bを漏れない状態で保持し、かつ外力で簡単に破れる機能を有する。したがって、アルミシール44の代わりに、かかる機能を有する、破れ得る材料を用いても構わない。
 つぎに、図9に、図8に示すハンドリング装置40の先端部分から、サンプリング素子1が着脱される様子を示す。図9は、ハンドリング装置40の先端部分の拡大図である。
 図9に示すように、部材53は、芯53bおよびこの芯53bのまわりを上下に移動し得る筒53aで構成される。この場合のサンプリング素子50における第1の磁性体51は筒状であり、芯53bに突き刺された状態で保持されている。筒53aを下に移動させると、保持されていたサンプリング素子50が、筒53aに押されて芯53bから外れる。
 図8および9により、ハンドリング装置40の機能をまとめると、サンプリング素子1が付されたハンドリング装置40を用い、まず、図8に示すようにサンプリング素子1の毛細管11に検体30を導入する。つぎに、反応セル46内にめがけてシリンジ43のピストン43aを押すことにより、図9に示すような着脱機能により、サンプリング素子1を反応セル46に導入するとともに、ピストン43aの先端でアルミシール44を破って液43bも反応セル46内に導入する。その後は、図7の(c)および(d)に示すような操作を行う。
 また、本発明に係る別のハンドリング装置を用いた検体処理方法を説明する。図10の(a)に示すように、このハンドリング装置60は、液63bを保持する反応セル63aが、サンプリング素子1で密封されて構成されている。サンプリング素子1の毛細管11には検体が保持されている(図示せず。)。
 また、ハンドリング装置60は、図10の(b)に示すようにサンプリング素子1を反応セル63a内に矢印Zの方向に落とすことのできる機構を有する蓋62を具備する。蓋62を垂直方向下向きに押すことによりサンプリング素子1を反応セル63a内に導入する。なお、図8および10のいずれの場合、簡易にサンプリング、液導入および均一混合を実施することができる。
 つぎに、図11および12を用いて、上記検体用サンプリング素子を用いた本発明に係る検体処理装置の一実施の形態を説明する。図11は、本発明に係る検体処理装置の一部を断面にした構成を示す図である。この検体処理装置は、前記サンプリング素子が導入される反応セル70と、反応セル70内において前記サンプリング素子に力学的作用を与える手段(例えばマグネティックスターラー)71と、反応セル70内の反応を測定するための光学測定系とを具備する。そして、光学測定系は、光源72と光光度計(検出器)73とを具備し、反応セル70内には図示していないが本発明に係るサンプリング素子が導入される。
 反応セル70は例えば透明の石英で構成されており、光源72から出射された略平行光(またはレーザー)74が反応セル70内の液系に照射される。例えば、まず反応セル70内に所定の試薬(液系)を入れておき、ついで、毛細管(第1の領域)および磁性体(第2の領域)を具備し、毛細管に検体を保持するサンプリング素子を、反応セル70内に導入する。その後、力学的作用を与える手段71からの力学的作用を受けたサンプリング素子が回転し、毛細管(第1の領域)から検体が反応セル70内に放出される。
 検体と試薬との反応により、例えば反応セル70内の液系が白濁し、この液系の反応前後の散乱光76の強度などを光光度計73で測定すれば、検体と試薬との反応の完了、または検体の定量もしくは定性を行うことができ、好適に検体を処理することができる。なお、この検体処理装置は、制御装置75によって制御すればよい。
 以下に、本発明に係るサンプリング素子を用いた検体処理方法について、実施例を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
《実施例1》
 本実施例においては、まず図1に示す本発明に係るサンプリング素子を作製した。毛細管11としてガラス管(アズワン株式会社製のEMマイスターミニキャップス)を使用し、第1の磁性体12としてスターラー・バー(アズワン株式会社製のラボラン回転子)を使用した。ガラス管とスターラー・バーとを粘着性テープ13で巻きつけて一体化することにより、図1に示す構造を有する本発明に係るサンプリング素子を作製した。なお、ガラス管の容量は5ulとし、スターラー・バーの寸法は、25mm×φ8mmとした。
《実施例2〜6および比較例1》
 本実施例においては、実施例1で作製したサンプリング素子を用いて、図7に示す手順にしたがって本発明に係る検体処理方法を実施し、検体の希釈の効果を調べた。
 まず、実施例1と同様にして本発明に係るサンプリング素子を作製した。検体が液に混合、溶解する様子を吸収スペクトルによって観測するために、蒸留水1mlに色素(和光純薬(株)製のBRILLIANT GREEN)20mgを溶解して、20mg/mlの濃度の検体(BG溶液)を得た。
 当該検体をサンプリング素子の5ulガラス管に注入した後、当該サンプリング素子を5mlの蒸留水を含むビーカー内に入れ、直ちにスターラー(KOIKE PRECISION INSTRUMENT社製のMIGHTY MAGNETIC STIRRER MODEL-16)により攪拌を行った。攪拌を1分間行った後、ビーカー内の液体を1ml採取し、その吸収スペクトルを測定した。その結果を図13のaで示した(実施例2)。
 一方、従来どおり、ピペットマン(ギルソン社製)で実施例2と同じ検体5ulを採取し、ビーカー内においてスターラーにより攪拌中の5mlの水溶液中に入れ、攪拌を1分間行った。その後、ビーカー内の液体を1ml採取し、その吸収スペクトルを測定した。結果を図13のbで示した(比較例1)。
 図13より、本発明に係るサンプリング素子による検体処理方法を用いることによっても、従来どおりに検体の均一な混合を実施することができ、さらに、簡易な検体処理方法を提供できることがわかった。
 さらに、実施例1と同様にしてサンプリング素子を作製し、検体の希釈効果を分析した。容量1μl、3μl、5μlまたは10ulのガラス管(アズワン(株)製のEMマイスターミニキャップス)およびスターラー・バー(25mm×φ8mm)を用い、容量が1μl、3μl、5μlまたは10ulのサンプリング素子4種を作製した。実施例2と同じ検体を4種類のサンプリング素子に注入し、それぞれビーカーに含まれる5mlの水溶液中に導入し、スターラーにより攪拌して希釈を行った。その後、ビーカー内の液体を1ml採取し、その吸収スペクトルを測定した。結果を図14に示した(実施例3〜6)。図14より、本発明に係るサンプリング素子による検体処理方法を用いることにより、検体の希釈系列を作製することができた。
《実施例7〜11》
 本実施例においては、図4に示す構造を有し、塩化カリウムが担持されたサンプリング素子を作製し、血液の溶血を行った。
 0.1%、0.5%、1%、5%または10%の塩化カリウム溶液を含浸させ、凍結乾燥させたガラス繊維濾紙23(ワットマン社製のF075−14、10mm×30mm)を用意し、毛細管21である容量3ulのガラス管と、第1の磁性体22であるスターラー・バーとの間に配置し、粘着性テープ24で巻きつけて、塩化カリウムが担持されたサンプリング素子5種類を作製した。
 これらを1mlの全血中に入れ、3分間攪拌を行った後に、遠心分離により血球分離を行った。こうして得られた血漿中のへのグロビン濃度をSLS−Hb測定キット(和光純薬(株)製)を用いて測定した。結果を図15に示した。図15から、塩化カリウムが担持されたサンプリング素子を用いることにより血液の溶血を制御する可能性が示されたことがわかる。
《実施例12》
 本実施例においては、図1に示す構造を有する本発明に係るサンプリング素子を用いてヒト血清アルブミン測定を行った。
 毛細管として容量3ulのガラス管を含むサンプリング素子を、実施例1と同様にして作製した。また、検体として、濃度が0g/l、0.005g/l、0.015g/l、0.046g/l、0.23g/l、0.46g/l、1.5g/lまたは4.6g/lのヒト血清アルブミンを用いた。
 測定は、前記サンプリング素子にヒト血清アルブミン3ulを注入した後に、当該サンプリング素子をウサギ由来抗ヒトアルブミン抗体とマウス由来抗ヒトアルブミン抗体を含む1ml緩衝液(50mMMOPS、4%PEG、pH7.4)の中にいれ、3分間攪拌を行った後、散乱強度(測定波長670nm)を測定した。結果を図16に示した。図16に示すように、本発明に係るサンプリング素子を用いてヒト血清アルブミンを測定できることが確認された。これは、ヒト血清アルブミン以外の測定項目についても適用できる可能性を示した。
 本発明に係る検体用サンプリング素子、検体処理装置および検体処理方法は、例えば尿検査、妊娠検査、血液検査、免疫血清検査、内分泌機能検査、ウイルス検査、細菌検査などに好適に用いることができる。
本発明に係るサンプリング素子の概略斜視図である。 図1の矢印Xの方向から見たサンプリング素子を示す図である。 図1の矢印Yの方向から見たサンプリング素子を示す図である。 本発明に係る別のサンプリング素子の概略斜視図である。 図4の矢印Xの方向から見たサンプリング素子を示す図である。 図4の矢印Yの方向から見たサンプリング素子を示す図である。 本発明に係るサンプリング素子を用いた検体処理方法の工程を示す図である。 本発明に係る検体処理装置を用いた検体処理方法の工程を示す図である。 図8に示すハンドリング装置40の先端部分から、サンプリング素子50が着脱される様子を示す図である。 本発明に係る別のハンドリング装置を用いた検体処理方法の工程を示す図である。 本発明に係る検体処理装置の構成を示す概略側面図である。 図11に示す検体処理装置の概略上面図である。 本発明の実施例における吸収スペクトルと比較例における吸収スペクトルを示すグラフである。 本発明の実施例における希釈系列を示すグラフである。 本発明の実施例における溶血反応の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例におけるヒト血清アルブミンの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
   1      サンプリング素子
   11、21  毛細管
   12、22  第1の磁性体
   13、24  粘着性テープ
   23     ガラス繊維濾紙
   30     検体
   31、63a 反応セル
   32     第2の磁性体
   33、63b 液
   34     混合液
   40、60  ハンドリング装置
   43     シリンジ
   43a    ピストン
   43b    液
   44     アルミシール
   46     反応セル
   50     サンプリング素子
   51     第1の磁性体
   52     毛細管
   53     部材
   62     蓋
   70     反応セル
   71     力学的作用を与える手段
   72     光源
   73     光光度計
   74     略平行光
   75     制御装置

Claims (22)

  1.  検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有することを特徴とする検体用サンプリング素子。
  2.  前記第1の領域が毛細管現象により前記検体を保持することを特徴とする請求項1記載の検体用サンプリング素子。
  3.  前記力学的作用が磁場の変化によるものであることを特徴とする請求項1記載の検体用サンプリング素子。
  4.  前記第2の領域の運動により前記第1の領域が前記検体を放出することを特徴とする請求項1記載の検体用サンプリング素子。
  5.  前記検体に含まれる物質と反応する試薬a1および/または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1を保持していることを特徴とする請求項1記載の検体用サンプリング素子。
  6.  前記試薬a1が、酵素、抗原、抗体、レセプターまたは核酸であることを特徴とする請求項5記載の検体用サンプリング素子。
  7.  前記物質が、蛋白質、ホルモン、抗体、酵素、抗原または核酸であることを特徴とする請求項5記載の検体用サンプリング素子。
  8.  前記試薬b1が、無機塩または界面活性剤であることを特徴とする請求項5記載の検体用サンプリング素子。
  9.  前記細胞が、赤血球、白血球または血小板であることを特徴とする請求項5記載の検体用サンプリング素子。
  10.  前記試薬b1により破壊された前記細胞から放出される成分が、蛋白質、糖化蛋白質、リン酸化蛋白質、ホルモン、脂質、抗体、酵素、抗原、レセプター、インヒビター、DNAまたはRNAであることを特徴とする請求項5記載の検体用サンプリング素子。
  11.  検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有する検体用サンプリング素子と、
     前記サンプリング素子が導入される反応セルと、
     前記反応セル内において前記サンプリング素子に力学的作用を与える手段と、
     前記反応セル内の反応を測定するための光学測定系とを具備することを特徴とする検体処理装置。
  12.  前記力学的作用を与える手段が、前記サンプリング素子に磁力により力学的作用を与える磁場変化装置であることを特徴とする請求項11記載の検体処理装置。
  13.  前記光学測定系が、光散乱分光光度計、蛍光分光光度計、吸光分光光度計または発光分光光度計であることを特徴とする請求項11記載の検体処理装置。
  14. (a)検体を定量的に採取して一時的に保持し得る第1の領域、および前記第1の領域を運動させるために外部から力学的作用を受ける第2の領域を有する検体用サンプリング素子に、検体を定量的に採取して保持させる工程と、
    (b)前記検体を保持した前記サンプリング素子を反応系に導入する工程と、
    (c)前記反応系外からの力学的作用により、前記サンプリング素子を運動させ、前記サンプリング素子から前記検体を放出させるとともに、攪拌しながら前記検体を前記反応系に混合する工程とを含むことを特徴とする検体処理方法。
  15. 前記工程(a)の前に、前記サンプリング素子に前記検体に含まれる物質と反応する試薬a1および/または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b1を担持させることを特徴とする請求項14記載の検体処理方法。
  16.  前記試薬a1が、酵素、抗原、抗体、レセプターまたは核酸であることを特徴とする請求項15記載の検体処理方法。
  17.  前記物質が、蛋白質、ホルモン、抗体、酵素、抗原または核酸であることを特徴とする請求項15記載の検体処理方法。
  18.  前記試薬b1が、無機塩または界面活性剤であることを特徴とする請求項15記載の検体処理方法。
  19.  前記細胞が、赤血球、白血球または血小板であることを特徴とする請求項15記載の検体処理方法。
  20.  前記試薬b1により破壊された前記細胞から放出される成分が、蛋白質、糖化蛋白質、リン酸化蛋白質、ホルモン、脂質、抗体、酵素、抗原、レセプター、インヒビター、DNAまたはRNAであることを特徴とする請求項15記載の検体処理方法。
  21.  前記反応系が、緩衝液、前記検体に含まれる物質と反応する試薬a2を含む溶液、または前記検体に含まれる細胞を破壊する試薬b2を含む溶液であることを特徴とする請求項14記載の検体処理方法。
  22.  前記工程(c)において、攪拌しながら前記検体を前記反応系に混合すると同時に、前記試薬a2が前記検体に含まれる物質と反応すること、および/または前記試薬b2が前記検体に含まれる細胞を破壊することを特徴とする請求項14記載の検体処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019174251A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 テルモ株式会社 検査用器具
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