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JP2004137404A - 速硬化型導電接着性組成物、該組成物を用いた水晶振動子用導電性接着剤及びそれを用いて接着した水晶振動子 - Google Patents

速硬化型導電接着性組成物、該組成物を用いた水晶振動子用導電性接着剤及びそれを用いて接着した水晶振動子 Download PDF

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JP2004137404A
JP2004137404A JP2002304642A JP2002304642A JP2004137404A JP 2004137404 A JP2004137404 A JP 2004137404A JP 2002304642 A JP2002304642 A JP 2002304642A JP 2002304642 A JP2002304642 A JP 2002304642A JP 2004137404 A JP2004137404 A JP 2004137404A
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JP
Japan
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group
conductive adhesive
composition
organic
component
Prior art date
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Pending
Application number
JP2002304642A
Other languages
English (en)
Inventor
Michinori Tsukamoto
塚本 美智徳
Noriyoshi Ando
安藤 紀芳
Akio Takigawa
瀧川 章雄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Nippon Pelnox Corp
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Nippon Pelnox Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd, Nippon Pelnox Corp filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2002304642A priority Critical patent/JP2004137404A/ja
Publication of JP2004137404A publication Critical patent/JP2004137404A/ja
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Abstract

【課題】速硬化であり、かつ、硬化物と被着体との接続抵抗が小さい導電接着性組成物及びその組成物を用いて接着した水晶振動子を提供することである。
【解決手段】(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)接着性改良剤及び(E)導電性フィラーを含有する速硬化型導電接着性組成物であって、該組成物の120℃の熱板上でのゲル化時間が300秒以下であることを特徴とする速硬化型導電接着性組成物。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は速硬化型導電接着性組成物及びそれを用いて接着した電子部品に関するものであり、更に詳しくは、水晶振動子のような圧電振動子用導電性接着剤として好適な硬化性組成物及びそれにより接着された製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の製造は接着工程を経ることが多く、ハンダ付けが多用されている。しかしながら、部品の耐熱性が低いためにハンダ付けが不可能な場合や従来のハンダが鉛を含むことから環境汚染を避ける必要がある時などには導電性接着剤が用いられ、その使用量は増加傾向にある。一般に、導電性接着剤に含まれる樹脂組成物は熱硬化性樹脂であるが、導電性フィラーと樹脂とが不均一に分布して硬化すると、抵抗値が増大して不良が発生する。このような現象は硬化速度が遅い場合に起こる傾向にある。すなわち、硬化時に樹脂は収縮を起こすが、硬化速度が遅いとこの収縮力により導電性フィラーが中央に集まり、被着体との接触部分の導電性フィラー濃度が低い状態で硬化が完了し、接続抵抗が増大するものである。硬化速度は、組成物中の触媒量の増加や硬化温度の上昇等により上げることは可能であるが、反応性を高めると硬化性組成物の室温下での保存安定性が低下し、冷蔵や冷凍保存する必要性が生じて作業性が低下する。また、硬化温度を上げると前記したように耐熱性の低い部品に悪影響を及ぼす恐れがあった。ところで、接続抵抗を低下させる方法として、銀粉とニッケル粉を導電性フィラーとし、銀粉の平均粒径をニッケル粉の平均粒径より大きくすることが従来技術にある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、ニッケル粉を併用することによって導電性が低下したり、使用する導電性フィラーの種類によっては硬化遅延を起こすことがあったりして、前述のような導電性フィラーの使用が必ずしも問題解決をするものではなかった。このような接続抵抗が問題となる例としては、周波数や時間の基準源として通信機器、コンピューター等に用いられる水晶振動子の製造時における水晶片とパッケージ上の電極との接着事例が具体例として挙げられる。すなわち、上記のように被着体との接触部分の導電性フィラー濃度が低い状態で硬化が完了した場合、水晶片の等価直列抵抗値(クリスタルインピーダンス)が大きくなって水晶片が振動しにくくなり、不良となるものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−133043号公報(第2頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、速硬化であり、かつ、硬化物と被着体との接続抵抗が小さい導電接着性組成物、その組成物からなる水晶振動子用導電性接着剤、及び、その接着剤を用いて製造した水晶振動子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)接着性改良剤及び(E)導電性フィラーを含有する速硬化型導電接着性組成物であって、該組成物の120℃の熱板上でのゲル化時間が300秒以下である速硬化型導電接着性組成物とすることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)接着性改良剤及び(E)導電性フィラーを含有する速硬化型導電接着性組成物であって、該組成物の120℃の熱板上でのゲル化時間が300秒以下である速硬化型導電接着性組成物(請求項1)であり、
請求項1に記載の速硬化型導電接着性組成物を用いた水晶振動子用導電性接着剤(請求項2)であり、
請求項2に記載の水晶振動子用導電性接着剤を用いて製造した水晶振動子(請求項3)である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における(A)成分について説明する。
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物である。
【0008】
(A)成分の有機化合物は、それを構成する有機系骨格としては特に限定はなく、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系等の有機重合体骨格や、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素系、脂肪族炭化水素系、脂肪族アルコール系等及びこれらの2種以上からなる有機単量体骨格が挙げられる。
【0009】
また、(A)成分の有機化合物は、上記有機系骨格部分と、その有機系骨格部分に共有結合するSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基とからなる。このように表した場合、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基は有機系骨格のどの部位に共有結合していてもよい。
【0010】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合はSiH基と反応性を有するものであれば特に制限されない。
下記一般式(I)
【0011】
【化1】
Figure 2004137404
【0012】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示されるアルケニル基が反応性の点から好適である。
原料の入手の容易さからは、
【0013】
【化2】
Figure 2004137404
【0014】
が特に好ましい。
(A)成分のアルケニル基としては、下記一般式(II)
【0015】
【化3】
Figure 2004137404
【0016】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示されるアルケニル基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。
また、原料の入手の容易さからは、
【0017】
【化4】
Figure 2004137404
【0018】
が特に好ましい。
アルケニル基は2価以上の置換基を介して(A)成分の有機系骨格部分に共有結合していても良い。
2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に制限はない。このような置換基の例としては、
【0019】
【化5】
Figure 2004137404
【0020】
【化6】
Figure 2004137404
【0021】
等が挙げられる。
また、これらの置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0022】
以上のような有機系骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0023】
【化7】
Figure 2004137404
【0024】
等が挙げられる。
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0025】
【化8】
Figure 2004137404
【0026】
【化9】
Figure 2004137404
【0027】
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0028】
(A)成分の有機化合物としては、上記有機系骨格部分と、その有機系骨格部分に共有結合するSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基とに分けて表現しがたい低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエンなどの脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエンなどの脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセンなどの置換脂肪族環状オレフィン化合物系などが挙げられる。
(A)成分としては、耐熱性の観点からは、下記一般式(III)
【0029】
【化10】
Figure 2004137404
【0030】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよいが、少なくとも一つはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表される化合物が好ましい。
【0031】
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0032】
【化11】
Figure 2004137404
【0033】
等が挙げられる。
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
【0034】
【化12】
Figure 2004137404
【0035】
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
【0036】
【化13】
Figure 2004137404
【0037】
等が挙げられる。
上記一般式(III)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0038】
【化14】
Figure 2004137404
【0039】
等が挙げられる。
上記一般式(III)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
【0040】
【化15】
Figure 2004137404
【0041】
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(IV)
【0042】
【化16】
Figure 2004137404
【0043】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(V)
【0044】
【化17】
Figure 2004137404
【0045】
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物であることがさらに好ましい。
【0046】
上記一般式(V)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0047】
【化18】
Figure 2004137404
【0048】
等が挙げられる。
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0049】
【化19】
Figure 2004137404
【0050】
が挙げられる。
上記一般式(V)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
【0051】
また、耐熱性をより向上し得るという観点からは、一般式(III)において、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有することが好ましく、3個以上含有することがより好ましい。
以上のような一般式(III)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0052】
【化20】
Figure 2004137404
【0053】
等が挙げられる。
また、(A)成分としては、有機重合体骨格にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基が共有結合したものも好ましい。有機重合体骨格としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリエーテル系重合体が挙げられる。さらに具体的な例を示すと、
【0054】
【化21】
Figure 2004137404
【0055】
(式中、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、p、q、rは、同一又は異なって、1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
【0056】
その他の重合体としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコールとの縮合またはラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系(飽和炭化水素系)重合体;エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル系共重合体;前記有機重合体中でビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の重縮合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の重縮合によるナイロン610、11−アミノウンデカン酸の重縮合によるナイロン11、ラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;ビスフェノールAと塩化カルボニルより重縮合して製造されたポリカーボネート系重合体;ジアリルフタレート系重合体、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、アンモニアレゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂等のフェノール系樹脂などが挙げられる。
【0057】
また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する基については、前記説明のものが挙げられる。
【0058】
アルケニル基を前記有機重合体骨格に導入する方法については、種々提案されているものを用いることができるが、重合後にアルケニル基を導入する方法と重合中にアルケニル基を導入する方法に大別することができる。
【0059】
重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、末端、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有する有機重合体に、その官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物を反応させることによりアルケニル基を末端、主鎖あるいは側鎖に導入することができる。上記官能基に対して反応性を示す活性基とアルケニル基の両方を有する有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等の炭素数3〜20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物等や、アリルクロロホルメート(CH=CHCHOCOCl)、アリルブロモホルメート(CH=CHCHOCOBr)等の炭素数3〜20の不飽和脂肪族アルコール置換炭酸ハライド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン、アリルイソシアネート等が挙げられる。
【0060】
また、エステル交換法を用いてアルケニル基を導入する方法がある。この方法はポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基をエステル交換触媒を用いてアルケニル基含有アルコール又はアルケニル基含有フェノール誘導体とエステル交換する方法である。アルコール残基との交換に用いるアルケニル基含有アルコール及びアルケニル基含有フェノール誘導体は、少なくとも1個のアルケニル基を有し、少なくとも1個の水酸基を有するアルコール又はフェノール誘導体であれば良いが、水酸基を1個有する方が好ましい。触媒は使用してもしなくても良いが、用いる触媒はチタン系および錫系のものが良い。
【0061】
上記のアルケニル基と水酸基をもつ化合物の例としては、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、7−オクテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、9−デセン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、ネオペンチルグリコールモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールエタントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、1,2,6−ヘキサントリオールトリアリルエーテル、ソルビタントリアリルエーテル、
【0062】
【化22】
Figure 2004137404
【0063】
などが挙げられる。この中でも、入手の容易さから、アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、2−(アリルオキシ)エタノール、および、
【0064】
【化23】
Figure 2004137404
【0065】
が好ましい。
さらに、上記アルコール又はフェノール誘導体の酢酸エステル等のエステル化物とポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分をエステル交換触媒を用いてエステル交換しながら、生成するポリエステル樹脂やアクリル樹脂のエステル部分のアルコール残基の酢酸エステル等の低分子量エステル化物を減圧脱揮等で系外に留去する方法でアルケニル基を導入する方法もある。
【0066】
また、リビング重合によりメチル(メタ)アクリレート等の重合を行った後、リビング末端をアルケニル基を有する化合物によって停止させる方法により末端にアルケニル基を導入することもできる。
【0067】
重合中にアルケニル基を導入する方法としては、例えば、ラジカル重合法で本発明に用いる(A)成分の有機重合体骨格を製造する場合に、アリルメタクリレート、アリルアクリレート等の分子中にラジカル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマーや、アリルメルカプタン等のラジカル反応性の低いアルケニル基を有するラジカル連鎖移動剤を用いることにより、有機重合体骨格の側鎖や末端にアルケニル基を導入することができる。
上記の有機重合体骨格の側鎖または末端にアルケニル基を導入した(A)成分の具体的な例としては、
【0068】
【化24】
Figure 2004137404
【0069】
(式中、RはHまたはCH、R、R10は、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、炭素数0〜48の二価の有機基、p、q、rは、同一又は異なって、1〜300の数を表す。)
【0070】
【化25】
Figure 2004137404
【0071】
(式中、R11はHまたはCH、R12、R13は、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、炭素数0〜48の二価の有機基、nは1〜300の数を表す。)
【0072】
【化26】
Figure 2004137404
【0073】
(式中、R14はHまたはCH、R15、R16は、同一又は異なって、炭素数1〜200の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、炭素数0〜48の二価の有機基、p、q、rは、同一又は異なって、1〜300の数を表す。)
【0074】
【化27】
Figure 2004137404
【0075】
(式中、R17はHまたはCH、R18、R19は、同一又は異なって、炭素数1〜6の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、炭素数0〜48の二価の有機基、p、q、rは、同一又は異なって、1〜300の数を表す。)
【0076】
【化28】
Figure 2004137404
【0077】
(式中、R20はHまたはCH、R21、R22、R23は、同一又は異なって、炭素数1〜6の二価の有機基、X、Yは、同一又は異なって、炭素数0〜48の二価の有機基、p、q、r、sは、同一又は異なって、1〜300の数を表す。)
等が挙げられる。
硬化物の耐熱性の観点からは、下記一般式(VI)
【0078】
【化29】
Figure 2004137404
【0079】
(式中R24、R25は炭素数1〜200の直鎖状または枝分れ状の二価の有機基を表す。R24、R25は異なっていても同一であってもよい。また、R26、R27は炭素数1〜50の一価の有機基を表し、R26、R27は異なっていても同一であってもよいが、少なくとも一つはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する基である。)で表される化合物が好ましい。
【0080】
24、R25としては、合成原料の入手性、耐熱性の観点から二価の炭化水素基が好ましい。具体例としては、
【0081】
【化30】
Figure 2004137404
【0082】
等が挙げられる。
また、R26、R27としては、前記同様、合成原料の入手性、耐熱性の観点から一価の炭化水素基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0083】
【化31】
Figure 2004137404
【0084】
等が挙げられる。
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには100℃以下の温度において流動性があるものが好ましく、線状でも枝分かれ状でもよい。分子量の下限は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定される数平均分子量で50、上限は100,000の任意のものが使用できるが、好ましい下限は54、好ましい上限は70,000、さらに好ましい下限は68、さらに好ましい上限は50,000である。分子量が50より低いものは揮発性が大きく使用が困難な場合があり、分子量が100,000を越えるものでは一般に原料が高粘度となり作業性に劣るとともに、アルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が発現し難い場合がある。
【0085】
また、本発明では、上記(A)成分を単独で用いても2種以上を混合使用してもよい。
【0086】
次に、(B)成分である1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物について説明する。
本発明に使用できるSiH基を有する化合物については特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するものなどが使用できる。
【0087】
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンが好ましく、(A)成分との相溶性が良いという観点から、さらに、下記一般式(VII)
【0088】
【化32】
Figure 2004137404
【0089】
(式中、R28は炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。なお、一般式(VII)で表される化合物中の置換基R28は、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。
【0090】
また、鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンと、炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物(以降(F)成分と称する)との反応物も(B)成分として好ましい。(F)成分はSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する有機系骨格からなる有機化合物であって、前記(A)成分と同じ説明のものも使用できる。
【0091】
(F)成分の好ましい具体例として、ノボラックフェノールのアリルエーテルおよびビスフェノールAジアリルエーテル、水添ビスフェノールAのジアリルエーテル、2、2’−ジアリルビスフェノールA、ジアリルフタレート、フタル酸のビス(2−アリルオキシエチル)エステル、トリアリルイソシアヌレート、スチレン、α−メチルスチレン、アリル末端ポリプロピレンオキシド及びアリル末端ポリエチレンオキシドなどが挙げられる。(F)成分の有機化合物は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0092】
上記(F)成分と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンとの反応は、本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒を用いて実施することが出来る。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体などが好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。触媒の添加量は特に限定されないが、十分な反応性を有し、かつコストを比較的低く抑えるために、SiH基1モルに対して、下限10−8モル、上限10−1モルの範囲が好ましく、より好ましくは、下限10−6モル、上限10−2モルの範囲である。
【0093】
反応に使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量は、用いる反応性[(F)+(1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサン)]成分1gに対し、下限0mL、上限10mLの範囲で用いるのが好ましく、下限0.5mL、上限5mLの範囲で用いるのがさらに好ましく、下限1mL、上限3mLの範囲で用いるのが特に好ましい。
【0094】
(F)成分と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサンとのモル比(F/1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状、及び/又は、環状ポリオルガノシロキサン)は収率の点から下限5、上限100であることが好ましく、下限7、上限50であることが好ましく、下限8、上限20であることが特に好ましい。
【0095】
上記したような各種(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0096】
本発明の組成物中の(A)成分と(B)成分の比率は、[組成物中の(A)成分のアルケニル基のモル数/組成物中の(B)成分のSiH基のモル数]の値が下限0.25、上限30の範囲となる比率であることが好ましく、下限0.33、上限20の範囲となる比率であることがより好ましい。上記値が0.25より小さい場合はアルケニル基とSiH基との反応による架橋の効果が不十分になる傾向にあり、30より大きい場合は硬化物から未反応の(A)成分がブリードしてくる傾向にある。
【0097】
次に、(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトンなどとの錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、などが挙げられる。
【0098】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体などが好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0099】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつコストを比較的低く抑えるために、SiH基1モルに対して、下限10−8モル、上限10−1モルの範囲が好ましく、より好ましくは、下限10−6モル、上限10−2モルの範囲である。
【0100】
ここで述べた十分な硬化性とは、硬化速度が速く、樹脂中の導電性フィラーが均一な状態で硬化することを意味する。具体的には、組成物を120℃の熱板上で加熱した際のゲル化時間で表すことができる。ゲル化とは、その硬化温度において固化若しくは増粘によって流動性が失われた状態を示す。ゲル化時間は300秒以下であることが好ましく、200秒以下であることがより好ましい。120℃の熱板上でのゲル化時間が300秒を越える組成物は、樹脂中の導電性フィラーが不均一な状態で硬化し、接続抵抗が上昇する傾向にある。
【0101】
なお、触媒量は、(B)成分合成時に使用して残存している量で十分な硬化性を示す場合は必ずしも新たに添加する必要はないが、硬化性を調整するために上記の範囲で新たに添加することもできる。
【0102】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィンなどのリン系化合物、ジメチルマレエートなどの1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチンなどのアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄などの硫黄系化合物、トリエチルアミンなどのアミン系化合物などが挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、触媒1モルに対して、下限10−2モル、上限10モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限10−1モル、上限10モルの範囲である。
【0103】
さらに本発明の組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などが挙げられ、これらを併用してもかまわない。脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパルギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類などが例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類などが例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイドなどが例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジンなどが例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズなどが例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチルなどが例示される。
【0104】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレエート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
【0105】
硬化遅延剤の添加量は、使用するヒドロシリル化触媒1モルに対し、下限10−1モル、上限10モルの範囲が好ましく、より好ましくは下限1モル、上限50モルの範囲である。
【0106】
次に、(D)成分である接着性改良剤について説明する。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0107】
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0108】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0109】
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対する好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が十分ではなく、添加量が多いと硬化物からブリードするような悪影響を及ぼす場合がある。
【0110】
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0111】
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対する好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が十分ではなく、添加量が多いと硬化物中での相溶性が低下し、物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0112】
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、アルミニウム系化合物、チタン系化合物、ほう酸エステルが好ましい。シラノール縮合触媒となるアルミニウム系化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、sec−ブトキシアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリsec−ブトキシド等のアルミニウムアルコキシド類、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミキレートM(川研ファインケミカル製、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムキレート類等が例示でき、取扱い性の点からアルミニウムキレート類がより好ましい。シラノール縮合触媒となるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類、チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類、オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。また、シラノール縮合触媒となるほう酸エステルとしては、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイドが例示でき、入手性の点からほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルが好ましい。
【0113】
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤及び/又はエポキシ化合物100重量部に対する好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性向上効果が十分ではなく、添加量が多いと硬化物中での相溶性が低下し、物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0114】
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。
このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0115】
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤及び/又はエポキシ化合物100重量部に対する好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が十分ではなく、添加量が多いと硬化物中での相溶性が低下し、物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0116】
次に、(E)成分である導電性フィラーについて説明する。導電性フィラーとしては、硬化物に導電性を与えるものであれば特に限定されないが、例えば、導電性カーボン、銅、銀、金、ニッケル等の金属粉末、無機粒子または有機粒子に銅、銀、金、ニッケル等の金属を被覆したもの等が挙げられる。高導電性が得やすいという観点からは、銀粉末、銀粒子、銀被覆粉末、銀被覆粒子が好ましい。また、樹脂成分との凝集力を改良するために、脂肪酸、脂肪酸アルコール、シリコーン化合物等の表面改質剤で表面処理されていてもよい。これらの粉末、粒子の形状、粒径は特に限定されないが、フレーク状のもの、球状のもの、球状粒子が葡萄の房状に連なったもの、樹枝状のもの、不定形状のもの等が好適に用いられる。
【0117】
導電性フィラーの添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対する好ましい添加量の下限は50重量部、より好ましくは100重量部であり、好ましい添加量の上限は2000重量部、より好ましくは1000重量部である。添加量が50重量部より少ないと導電性が十分に得られない恐れがあり、添加量が2000重量部より多いと作業性の低下や被着体との密着性の低下が起こる傾向にある。
【0118】
また、これらの導電性フィラーは単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0119】
次に、本発明の組成物の特性を改質する目的で添加することが可能な種々の樹脂について説明する。樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂及びポリエステル樹脂などが例示されるがこれらに限定されるものではない。
【0120】
また、本発明の組成物は、有機溶剤を添加して粘度を調整し、作業性を向上させたペーストとすることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではないが、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素系溶剤、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン系溶剤を好適に用いることができる。溶剤は2種類以上の混合溶剤として用いることもできる。使用する溶剤量は、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、下限0.1重量部、上限100重量部の範囲で用いるのが好ましく、下限0.5重量部、上限50重量部の範囲で用いるのがさらに好ましく、下限1重量部、上限30重量部の範囲で用いるのが特に好ましい。使用量が少ないと、低粘度化の効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラックなどの問題となりやすく、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
【0121】
本発明の組成物には、その他、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、界面活性剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、加工安定剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0122】
本発明の組成物には必要に応じて無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーを添加すると、材料の高強度化に効果がある。無機フィラーとしては微粒子状のものが好ましく、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカや疎水性超微粉シリカ、タルク、硫酸バリウム等を挙げることができる。
【0123】
フィラーを添加する方法としては、例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で無機フィラーを生成させる方法も挙げることができる。
【0124】
また更に、本発明の組成物の特性を改質する目的で、種々の熱硬化性樹脂を添加することも可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。
【0125】
さらに、本発明の組成物には接着剤の特性改善のための添加剤を加えてもよい。
添加剤としては例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、シリカ、石英ガラス、タルク、炭酸カルシウム等の無機充填材、窒化アルミニウム、窒化ボロン等の金属窒化物熱伝導性フィラー等を挙げることができる。
【0126】
本発明の組成物を硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
【0127】
反応温度としては種々設定できるが、下限25℃、上限300℃の温度範囲が好ましく、下限50℃、上限280℃がより好ましく、下限100℃、上限260℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと製品の熱劣化をまねく恐れがある。
【0128】
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点で好ましい。
反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。
【0129】
また、本発明の接着剤は、液晶ディスプレイ分野、光記録分野、光学機器分野、光部品分野、光ファイバー分野、半導体集積回路周辺材料分野、自動車・輸送機分野、建築分野、次世代の光・電子機能有機材料分野等で使用される。具体的には、水晶振動子のような圧電振動子における水晶(圧電振動片)とパッケージ上の電極との接着等である。
【0130】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は以下によって限定されるものではない。
(合成例1)トリアリルイソシアヌレートによる1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン変性体(1)の合成
冷却管、攪拌機、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに信越化学工業製1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン288gを入れ、トルエン360gを加えて溶解した後、110℃に保った。別途、トリアリルイソシアヌレート40gをトルエン40gに溶かし、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.3gを加えた溶液を用意し、これを4つ口フラスコ中の溶液に10分かけて滴下した後、攪拌しながら6時間反応させた。反応後、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.6gを加えて溶解した後、25℃まで放冷した。その後、反応液を1Lのナスフラスコに移し、減圧下、60℃で揮発分を留去することによって、130gの変性体(1)を得た。変性体(1)のヒドロシリル基含有量はプロトンNMR分析の結果、8.04mmol/gであった。また、同分析の結果、アリル基残存量は0.10mmol/gであった。なお、ヒドロシリル基含有量及びアリル基残存量は、1,2−ジブロモエタンを内部標準とし、この標準物質のプロトンの化学シフト(3.65ppm)面積とヒドロシリル基のプロトンの化学シフト(4.7ppm)面積またはアリル基のプロトンの化学シフト(4.5ppm)面積を比較することによって決定した。
【0131】
(合成例2)2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパンによる1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン変性体(2)の合成
冷却管、攪拌機、温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに信越化学工業製1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン400gを入れ、トルエン120gを加えて溶解した後、70℃に昇温し、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.025gを加えた。別途、2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン103gをトルエン60gに溶かした溶液を用意し、これを4つ口フラスコ中の溶液に10分かけて滴下した後、攪拌しながら2時間反応させた。反応後、25℃まで放冷した後、ベンゾチアゾール8mgをトルエン0.2gに溶かした溶液を加えて攪拌した。その後、反応液を1Lのナスフラスコに移し、減圧下、60℃で揮発分を留去することによって、250gの変性体(2)を得た。変性体(2)のヒドロシリル基含有量はプロトンNMR分析の結果、7.51mmol/gであった。なお、アリル残基は検出されなかった。
【0132】
(実施例1)
トリアリルイソシアヌレート3.975g、川研ファインケミカル製アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)(商品名:ALCH−TR)0.1g及び白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.02gを混合し、攪拌溶解した。次に、合成例1で調製した変性体(1)6.025g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.03g及び日本ユニカー製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187)0.5gを混合し、攪拌溶解した。その後、導電性フィラー(不定形状の銀粉)60.4gを混合し、攪拌、脱泡した。得られたペースト状混合物の120℃の熱板上でのゲル化時間を測定した結果、29秒であった。また、混合物の一部をサンプル瓶に入れ、空気部分を窒素置換した後、23℃下で2日間保存したが、ゲル化は起こさなかった。次に、(株)スリーボンド社発行「テクニカルニュース No.52」(1999)に記載の方法により、金との接続抵抗を測定した。組成物は、90℃で30分間、空気中で加熱を行った後、10℃/minで180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱して硬化させた。測定結果は、0.07mΩ/cmであった。さらに、上記のペースト状混合物をガラス板に塗布し、同一条件下で加熱して硬化された塗膜とした後、塗膜の比抵抗をJIS K 7194により評価した結果、1×10−4Ω・cmであった。
【0133】
(実施例2)
2,2−ビス(4−アリルオキシフェニル)プロパン0.601g、日本石油化学製ポリブタジエンB−1000(数平均分子量:930)8.102g、川研ファインケミカル製アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)(商品名:ALCH−TR)0.1g及び白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.1gを混合し、攪拌溶解した。次に、合成例2で調製した変性体(2)1.297g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.03g及び日本ユニカー製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187)0.5gを混合し、攪拌溶解した。その後、導電性フィラー(不定形状の銀粉)66gを混合し、攪拌、脱泡した。得られたペースト状混合物の120℃の熱板上でのゲル化時間を測定した結果、27秒であった。また、混合物の一部をサンプル瓶に入れ、空気部分を窒素置換した後、23℃下で2日間保存したが、ゲル化は起こさなかった。次に、実施例1に記載した方法と同様にして、180℃で10分間、空気中で加熱して硬化させたものの接続抵抗を測定した結果、0.03mΩ/cmであった。さらに、上記のペースト状混合物をガラス板に塗布し、同一条件下で加熱して硬化された塗膜とした後、塗膜の比抵抗をJIS K 7194により評価した結果、5.5×10−3Ω・cmであった。
【0134】
(実施例3)
ポリプロピレングリコールジアリルエーテル(数平均分子量:3000)9.095g、川研ファインケミカル製アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)(商品名:ALCH−TR)0.1g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.0075g及びイルガノックスE201(3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製加工安定剤)2gを混合し、攪拌溶解した。次に、合成例1で調製した変性体(1)0.905g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.03g及び日本ユニカー製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187)0.5gを混合し、攪拌溶解した。その後、導電性フィラー(不定形状の銀粉)71.6gを混合し、攪拌、脱泡した。得られたペースト状混合物の120℃の熱板上でのゲル化時間を測定した結果、29秒であった。また、混合物の一部をサンプル瓶に入れ、空気部分を窒素置換した後、23℃下で2日間保存したが、ゲル化は起こさなかった。次に、実施例1に記載した方法と同様にして、180℃で90分間、空気中で加熱して硬化させたものの接続抵抗を測定した結果、0.09mΩ/cmであった。さらに、上記のペースト状混合物をガラス板に塗布し、同一条件下で加熱して硬化された塗膜とした後、塗膜の比抵抗をJIS K 7194により評価した結果、1.9×10−4Ω・cmであった。
【0135】
(実施例4)
導電性フィラーに不定形状のニッケル粉50.6gを用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、ペースト状混合物を作製した。得られた混合物の120℃の熱板上でのゲル化時間を測定した結果、27秒であった。また、混合物の一部をサンプル瓶に入れ、空気部分を窒素置換した後、23℃下で2日間保存したが、ゲル化は起こさなかった。次に、実施例1に記載した方法と同様にして、180℃で90分間、空気中で加熱して硬化させたものの接続抵抗を測定した結果、0.06mΩ/cmであった。さらに、上記のペースト状混合物をガラス板に塗布し、同一条件下で加熱して硬化された塗膜とした後、塗膜の比抵抗をJIS K
7194により評価した結果、1.8×10−2Ω・cmであった。
【0136】
(実施例5)
アルキレングリコール・アルキレンジカルボン酸のオリゴエステルのウンデシレン酸ジエステル(豊国製油製PU−2001:数平均分子量:3000、ヨウ素価:23g/100g)8.984g、ほう酸トリメチル0.05g、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金3重量%含有)0.0075g及びイルガノックス1010(ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製酸化防止剤)0.4gを混合し、攪拌溶解した。次に、合成例1で調製した変性体(1)1.016g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.03g及び日本ユニカー製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−187)0.25gを混合し、攪拌溶解した。その後、導電性フィラー(不定形状の銀粉)96.6gを混合し、攪拌、脱泡した。得られたペースト状混合物の120℃の熱板上でのゲル化時間を測定した結果、24秒であった。また、混合物の一部をサンプル瓶に入れ、空気部分を窒素置換した後、23℃下で2日間保存したが、ゲル化は起こさなかった。
次に、実施例1に記載した方法と同様にして、150℃で1時間、空気中で加熱して硬化させたものの接続抵抗を測定した結果、0.03mΩ/cmであった。さらに、上記のペースト状混合物をガラス板に塗布し、同一条件下で加熱して硬化された塗膜とした後、塗膜の比抵抗をJIS K 7194により評価した結果、1.2×10−4Ω・cmであった。
【0137】
(比較例1)
市販品である藤倉化成社製水晶振動子用導電性ペースト(商品名:ドータイトFA−730、シリコーン樹脂配合品)の120℃の熱板上でのゲル化時間を測定した結果、6秒であった。但し、本ペーストは物性変化を起こすため、要冷凍(−20℃以下)保存とされている。次に、実施例1に記載した方法と同様にして、180℃で1時間、空気中で加熱して硬化させたものの接続抵抗を測定した結果、0.17mΩ/cmであった。さらに、上記のペースト状混合物をガラス板に塗布し、同一条件下で加熱して硬化された塗膜とした後、塗膜の比抵抗をJIS K 7194により評価した結果、3.8×10−4Ω・cmであった。
【0138】
(実施例6)
実施例3と同様にしてペースト状混合物を作製し、シクロヘキサノン4.434gを加えて粘度を低下させ、水晶振動子用導電性接着剤を作製した。120℃の熱板上でのゲル化時間、23℃下における保存安定性、接続抵抗値、塗膜の比抵抗を実施例3と同様にして測定したが、差はなかった。
【0139】
(実施例7)
図1に示したパッケージ1内に、金メッキ等で導通が確保された支持部材(電極)2を固定する。また、別途、金蒸着等によって電極5が形成された水晶片4を作製する。次に、実施例6で作製した導電性接着剤3を支持部材(電極)2上にディスペンスし、水晶片4の電極部5がつくように配置する。その後、このパッケージを180℃のオーブンに90分間入れて加熱し、溶剤の除去及び硬化を行う。最後に、パッケージ上にキャップ6を溶接して封止することにより、水晶振動子を作製することができる。
【0140】
【発明の効果】
本発明の組成物は、保存安定性に優れているとともに、硬化速度が速く、これを用いて製造した材料は、硬化物と被着体との接続抵抗が小さく、接着工程での抵抗値増大による不良発生を低減できることから、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】水晶振動子の組み立て前の概略構成を示した図である。
【符号の説明】
1 パッケージ
2 支持部材(電極)
3 導電性接着剤
4 水晶片
5 電極
6 キャップ
7 端子

Claims (3)

  1. (A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)接着性改良剤及び(E)導電性フィラーを含有する速硬化型導電接着性組成物であって、該組成物の120℃の熱板上でのゲル化時間が300秒以下であることを特徴とする速硬化型導電接着性組成物。
  2. 請求項1に記載の速硬化型導電接着性組成物を用いた水晶振動子用導電性接着剤。
  3. 請求項2に記載の水晶振動子用導電性接着剤を用いて製造した水晶振動子。
JP2002304642A 2002-10-18 2002-10-18 速硬化型導電接着性組成物、該組成物を用いた水晶振動子用導電性接着剤及びそれを用いて接着した水晶振動子 Pending JP2004137404A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012062424A (ja) * 2010-09-17 2012-03-29 Kaneka Corp 光学接着剤及びこれを含む表示デバイス
JP7534619B2 (ja) 2020-09-28 2024-08-15 藤倉化成株式会社 導電性接着剤

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