JP2004136805A - 車両用エアインテークグリル - Google Patents
車両用エアインテークグリル Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004136805A JP2004136805A JP2002303945A JP2002303945A JP2004136805A JP 2004136805 A JP2004136805 A JP 2004136805A JP 2002303945 A JP2002303945 A JP 2002303945A JP 2002303945 A JP2002303945 A JP 2002303945A JP 2004136805 A JP2004136805 A JP 2004136805A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- grill
- locking
- air intake
- front hood
- impact load
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Superstructure Of Vehicle (AREA)
Abstract
【課題】近年における走行者保護対策に応じることができる車両用エアインテークグリルを提供すること。
【解決手段】フロントフード4の上面開口部4a内に装着されエンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口6を有するエアインテークグリル1であって、このエアインテークグリル1を、グリルアッパ2aおよびグリルロア2bを有しエア導入口6を形成するグリル本体2と、このグリル本体2の両グリル部間に位置し上方梁部7および下方梁部8を有する縦梁3とによって形成し、上方梁部7は、グリルアッパ2aへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって下方に移動可能な構成とされ、下方梁部8は、グリルロア2bへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって上方梁部7に係止され、グリル本体2の下方への移動を規制する構成とされている。
【選択図】 図1
【解決手段】フロントフード4の上面開口部4a内に装着されエンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口6を有するエアインテークグリル1であって、このエアインテークグリル1を、グリルアッパ2aおよびグリルロア2bを有しエア導入口6を形成するグリル本体2と、このグリル本体2の両グリル部間に位置し上方梁部7および下方梁部8を有する縦梁3とによって形成し、上方梁部7は、グリルアッパ2aへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって下方に移動可能な構成とされ、下方梁部8は、グリルロア2bへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって上方梁部7に係止され、グリル本体2の下方への移動を規制する構成とされている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等におけるエンジンルーム内に外気を導入するための車両用エアインテークグリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のフロントフードは、車体の前方端部に回動自在に枢支され、エンジンルームを開閉するように構成されている。
このようなフロントフードには、エンジンルーム内に外気を導入してエンジンルーム収容物(例えばインタクーラ)を冷却するためのエアインテークグリルを備えたものが知られている。
【0003】
従来、この種の車両用エアインテークグリルは、例えば図13に示すように構成されたものが提案されている。このエアインテークグリルにつき、図13および図14を用いて説明すると、これら図において、符号201で示すエアインテークグリルは、グリル本体202および縦梁203を備え、自動車301におけるフロントフード302の上面開口部に装着されている。
【0004】
前記グリル本体202は、グリル上部を構成するグリルアッパ202aおよびグリル下部を構成するグリルロア202bと、これらグリル上下部を連結するグリルサイド202cとを有している。このグリル本体202の前面中央部には、フード(車体)前後方向に開口するエア導入口204が形成されている。
前記縦梁203は、フード左右方向(車体の幅方向)に並列する複数の梁部材からなり、前記グリルアッパ202aおよび前記グリルロア202bに一体に形成されている。
【0005】
ところで、前記したフロントフードにおいては、自動車が歩行者に衝突した場合、グリルアッパへの衝撃に対して変形し易いことが望まれる。
これは、グリルアッパとエンジンルーム収容物との間の寸法が比較的大きな寸法に設定されているため、グリルアッパへの衝撃に対しフロントフードを変形させて衝撃を吸収し、自動車による衝突の際に歩行者がグリルアッパから受ける衝撃をできるだけ低減する必要があるからである。
【0006】
一方、グリルロアへの衝撃に対しては、フロントフードが変形し難いことが望まれる。
これは、グリルロアとエンジンルーム収容物との間の寸法が比較的小さな寸法に設定されているため、フロントフードの変形を抑制してエンジンルーム収容物との干渉によるグリルロアへの反力を小さくし、自動車による衝突の際に歩行者がグリルロアから受ける衝撃をできるだけ低減する必要があるからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の車両用エアインテークグリルにおいては、縦梁がグリルアッパとグリルロアとの間に単に介在するものであるため、グリルアッパへの衝撃に対して縦梁が補強部材として機能し、歩行者に対する車両(グリルアッパ)の衝突時にフロントフードの変形を抑制して衝撃を吸収することができなかった。
一方、グリルロアへの衝撃に対しては縦梁が補強部材として機能せず、このため歩行者に対する車両(グリルロア)の衝突時にフロントフードが変形し易くなり、グリルロアがエンジンルーム収容物に干渉して比較的大きな反力を受けていた。
【0008】
この結果、走行中における車両のグリルアッパ・ロアが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃が大きくなり、近年における歩行者保護(安全)対策に応じることができないという課題があった。
【0009】
本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたもので、走行中における車両の上方グリル部(グリルアッパ)および下方グリル部(グリルロア)が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、もって近年における歩行者保護対策に応じることができる車両用エアインテークグリルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされた本発明に係る車両用エアインテークグリルは、フロントフードの上面開口部内に装着され、エンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口を有する車両用エアインテークグリルであって、上方グリル部および下方グリル部を有し、前記上方グリル部と前記下方グリル部との間に前記エア導入口が形成されたグリル本体と、このグリル本体の両グリル部間に位置し、上方梁部および下方梁部を有する縦梁とを備え、前記上方梁部は、前記上方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって下方に移動可能な構成とされ、前記下方梁部は、前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって前記上方梁部に係止され、前記グリル本体の下方への移動を規制する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
このように構成されているため、衝撃荷重が上方グリル部に作用すると、上方梁部が上方グリル部と共に下方に移動し、これに伴いフロントフードが変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって下方梁部が上方梁部に係止され、これに伴い下方梁部の下方への移動が規制され、下方グリル部がエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
したがって、走行中における車両の上方グリル部および下方グリル部が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0012】
ここで、前記上方梁部と前記下方梁部との間に、前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、係止する係止部が配設されていることが望ましい。
このように構成されているため、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって係止され、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0013】
また、前記係止部が、グリル内外に開口する係止窓と、前記係止窓を挿通する係止突起とからなることが望ましい。
このように構成されているため、係止突起が係止窓に係止されると、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0014】
さらに、前記係止窓が前記上方梁部に設けられ、前記係止突起が前記下方梁部に設けられていることが望ましい。
このように構成されているため、上方梁部の係止窓に下方梁部の係止突起が係止されると、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0015】
また、前記係止突起が前記上方梁部に設けられ、前記係止窓が前記下方梁部に設けられていることが望ましい。
このように構成されているため、下方梁部の係止窓に上方梁部の係止突起が係止されると、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0016】
そして、前記上方梁部が横断面ジグザグ状の梁部材によって形成されていることが望ましい。
このように構成されているため、上方梁部の上下方向への引張力に対する係止窓における開口縁部の機械的強度が高くなる。
【0017】
一方、本発明の別の発明に係る車両用エアインテークグリルは、フロントフードの上面開口部内に装着され、エンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口を有する車両用エアインテークグリルであって、上方グリル部および下方グリル部を有し、前記上方グリル部と前記下方グリル部との間に前記エア導入口が形成されたグリル本体と、このグリル本体の両グリル部間に位置する縦梁とを備え、前記縦梁は、前記上方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって下方に移動可能な構成とされ、かつ前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、前記下方グリル部が前記縦梁に係止され、前記グリル本体の下方への移動を規制する構成とされていることを特徴とする。
【0018】
このように構成されているため、衝撃荷重が上方グリル部に作用すると、縦梁が上方グリル部と共に下方に移動し、これに伴いフロントフードが変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって縦梁が下方グリル部に係止され、これに伴い縦梁の下方への移動が規制され、下方グリル部がエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
したがって、走行中における車両の上方グリル部および下方グリル部が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0019】
ここで、前記縦梁と前記下方グリル部との間に、前記下方グリルへの衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、係止する係止部が配設されていることが望ましい。
このように構成されているため、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって係止され、縦梁の下方への移動が規制される。
【0020】
また、前記係止部が、グリル内外に開口する係止窓と、前記係止窓を挿通する係止突起とからなることが望ましい。
このように構成されているため、係止突起が係止窓に係止されると、縦梁の下方への移動が規制される。
【0021】
さらに、前記係止突起が前記下方グリル部に設けられ、前記係止窓が前記縦梁に設けられていることが望ましい。
このように構成されているため、縦梁の係止窓に下方グリル部の係止突起が係止されると、下方グリル部の下方への移動が規制される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された車両用エアインテークグリルにつき、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
図1に示すように、符号1で示すエアインテークグリルは、グリル本体2および縦梁3を備え、自動車におけるフロントフード4の上面開口部4a内(開口縁部)に取付具5によって装着されている。
【0023】
前記グリル本体2は、グリル上部を構成するグリルアッパ(上方グリル部)2aおよびグリル下部を構成するグリルロア(下方グリル部)2bと、これら両グリル部2a,2bを連結するグリルサイド2cとを有し、全体が合成樹脂によって形成されている。このグリル本体2の前面中央部には、フード(車体)前後方向に開口するエア導入口6が形成されている。
前記縦梁3は、縦断面ほぼI字状の上方梁部7および縦断面ほぼL字状の下方梁部8を有し、前記グリルアッパ2aと前記グリルロア2bとの間に配置されている。
【0024】
前記上方梁部7は、前記グリルアッパ2aに一体に形成されている。この上方梁部7にはグリル内外(フード前後方向)に開口する係止窓7aが設けられている。そして、グリルアッパ2aへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって下方に移動し得るように構成されている。
【0025】
なお、前記上方梁部7については、上下方向の引張力に対する前記係止窓7aにおける開口縁部の機械的強度を高めるために、図2(a)および(b)に示すように横断面ジグザグ状の梁部材で形成することが望ましい。
【0026】
前記下方梁部8は、下方端縁が前記フロントフード4(上面開口部4aの下縁)に取付具9によって固定され、全体が板金を折り曲げることにより形成されている。この下方梁部8には、上方端縁を折り曲げることにより前記係止窓7aに挿通する鉤形状の係止突起8aが形成されている。そして、グリルロア2bへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって上方梁部7(係止窓7aの開口内面)に係止され、グリル本体2の下方への移動を規制するように構成されている。
【0027】
以上の構成により、図3(a)に示すように衝撃荷重Pがグリルアッパ2aに作用すると、上方梁部7がグリルアッパ2aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、図3(b)に示すように衝撃荷重Pがグリルロア2bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止突起8aが係止窓7aの開口内面に係止され、これに伴い下方梁部8の下方への移動が規制され、グリルロア2bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0028】
したがって、走行中における車両のグリルアッパ2aおよびグリルロア2bが歩行者に衝突した場合歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、上方梁部7に係止窓7aを、また下方梁部8に係止突起8aをそれぞれ設けてなる係止構造である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図4および図5に示すような係止構造であってもよい。
【0030】
図4に示す係止構造は、上方梁部41に係止突起41aを、また下方梁部42に係止突起42aをそれぞれ設けてなるものである。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ2aに作用すると、上方梁部41がグリルアッパ2aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア2bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止突起41aが係止突起42aに係止され、これに伴い下方梁部42の下方への移動が規制され、グリルロア2bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0031】
図5に示す係止構造は、上方梁部51に係止突起51aを、また下方梁部52に係止窓52aをそれぞれ設けてなるものである。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ2aに作用すると、上方梁部51がグリルアッパ2aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア2bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止突起51aが係止窓52aの開口内面に係止され、これに伴い下方梁部42の下方への移動が規制され、グリルロア2bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0032】
したがって、図4および図5に示す各実施形態においても、本実施形態と同様に、走行中における車両のグリルアッパ2aおよびグリルロア2bが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0033】
この他、本実施形態においては、上方梁部7および下方梁部8をそれぞれ合成樹脂と金属(板金)によって形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、上方梁部および下方梁部を共に金属によって形成してもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、上方梁部7および下方梁部8がそれぞれ縦断面ほぼI字状と縦断面ほぼL字状である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図6(a)に示すように上方梁部61および下方梁部62が共に横断面半円形状であっても、同図(b)に示すように共に横断面V字形状であってもよく、他の形状であっても勿論よい。
【0035】
次に、本発明の別の発明が適用された車両用エアインテークグリルにつき、図7を用いて説明する。図7は、本発明の別の発明に係る車両用エアインテークグリルを説明するために示す断面図である。
図7に示すように、符号71で示すエアインテークグリルは、グリル本体72および縦梁73を備え、自動車におけるフロントフード4の上面開口部4a内(開口縁部)に取付具5によって装着され、全体が合成樹脂によって形成されている。
なお、前記エアインテークグリル71の全体を合成樹脂によって形成する場合について説明したが、例えば鋼材等の金属によって形成してもよい。
【0036】
前記グリル本体72は、グリル上部を構成するグリルアッパ(上方グリル部)72aおよびグリル下部を構成するグリルロア(下方グリル部)72bと、これら両グリル部72a,72bを連結するグリルサイド72cとを有している。このグリル本体72の前面中央部には、フード(車体)前後方向に開口するエア導入口74が形成されている。また、グリル本体72のグリルロア72bには、フード後方に突出する係止突起75が設けられている。
【0037】
前記縦梁73は、前記係止突起75の下面部に係止可能な係止突起73aを有する断面ほぼL字状の梁部材からなり、前記グリルアッパ72aと前記グリルロア72bとの間に配置され、かつ前記グリルアッパ72aに一体に形成されている。そして、グリルアッパ72aへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって下方に移動し得るように構成されている。また、グリルロア72bへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によってグリルロア72bの係止突起75に縦梁73の係止突起73aが係止され、グリル本体72の下方への移動を規制するように構成されている。
【0038】
以上の構成により、図8(a)に示すように衝撃荷重Pがグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、図8(b)に示すように衝撃荷重Pがグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって縦梁73の係止突起73aがグリルロア72bの係止突起75に係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0039】
したがって、走行中における車両のグリルアッパ72aおよびグリルロア72bが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、各係止突起73a,75を互いに係止可能な構造である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図9〜図12に示すような係止構造であってもよい。
【0041】
図9に示すように、前記係止突起73aの先端部に上方に突出する凸部91が設けられ、前記係止突起75の先端部に凸部91に係止可能な凸部92が設けられている。
これにより、各凸部91,92が互いに係止されると、係止突起73a,75によるフード前後方向の係止力が高められる。
【0042】
この場合、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって縦梁73の係止突起73aがグリルロア72bの係止突起75に係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0043】
図10に示すように、前記縦梁73にフード前後方向に開口する係止窓101が設けられ、前記グリルロア72bの先端部に係止窓101の開口縁部に係止可能な断面逆U字状の係止突起102が設けられている。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
【0044】
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止窓101の開口内面にグリルロア72bの係止突起102が係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。この場合、係止突起102が係止窓101の開口縁部に係止されると、縦梁73,グリルロア72bによるフード前後方向の係止力が高められる。
【0045】
図11に示すように、前記係止突起75の先端部に上下方向に開口する係止窓111が設けられ、前記係止突起73aの先端部に係止窓111の開口内面に係止可能な凸部112が設けられている。
これにより、凸部112が係止窓111の開口内面に係止されると、縦梁73,グリルロア72bによるフード前後方向の係止力が高められる。
【0046】
この場合、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって縦梁73の係止突起73aにグリルロア72bの係止突起75が係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0047】
図12(a)および(b)に示すように、前記縦梁73にフード前後方向に開口する係止窓121が設けられ、前記グリルロア72bの先端部に係止窓121の開口内面に係止可能な係止突起122が設けられている。また、前記係止突起122にフード上下方向に開口する係止窓123が設けられ、前記係止突起73aに係止窓123の開口内面に係止可能な凸部124が設けられている。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
【0048】
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止窓121の開口内面にグリルロア72bの係止突起122が係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。この場合、凸部124が係止窓123の開口内面に係止されると、縦梁73,グリルロア72bによるフード前後方向の係止力が高められる。
【0049】
したがって、図9〜図12に示す各実施形態においても、本実施形態と同様に、走行中における車両のグリルアッパ72aおよびグリルロア72bが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、本発明に係る車両用エアインテークグリルによると、走行中における車両の上方グリル部および下方グリル部が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図2】(a)および(b)は、本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの変形例を説明するために示す断面図とそのA−A断面図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルに衝撃荷重が作用した場合について説明するために示す断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図6】(a)および(b)は、それぞれ本発明の第四実施形態と第五実施形態に係る車両用エアインテークグリルの縦梁を示す斜視図である。
【図7】本発明の別の発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明の別の発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルに衝撃荷重が作用した場合について説明するために示す断面図である。
【図9】本発明の別の発明の第二実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図10】本発明の別の発明の第三実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図11】本発明の別の発明の第四実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図12】(a)および(b)は、本発明の別の発明の第五実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図とそのB−B断面図である。
【図13】従来の車両用エアインテークグリルを示す斜視図である。
【図14】従来の車両用エアインテークグリルを備えた自動車を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 エアインテークグリル
2 グリル本体
2a グリルアッパ
2b グリルロア
2c グリルサイド
3 縦梁
4 フロントフード
4a 上面開口部
5 取付具
6 エア導入口
7 上方梁部
7a 係止窓
8 下方梁部
8a 係止突起
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等におけるエンジンルーム内に外気を導入するための車両用エアインテークグリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のフロントフードは、車体の前方端部に回動自在に枢支され、エンジンルームを開閉するように構成されている。
このようなフロントフードには、エンジンルーム内に外気を導入してエンジンルーム収容物(例えばインタクーラ)を冷却するためのエアインテークグリルを備えたものが知られている。
【0003】
従来、この種の車両用エアインテークグリルは、例えば図13に示すように構成されたものが提案されている。このエアインテークグリルにつき、図13および図14を用いて説明すると、これら図において、符号201で示すエアインテークグリルは、グリル本体202および縦梁203を備え、自動車301におけるフロントフード302の上面開口部に装着されている。
【0004】
前記グリル本体202は、グリル上部を構成するグリルアッパ202aおよびグリル下部を構成するグリルロア202bと、これらグリル上下部を連結するグリルサイド202cとを有している。このグリル本体202の前面中央部には、フード(車体)前後方向に開口するエア導入口204が形成されている。
前記縦梁203は、フード左右方向(車体の幅方向)に並列する複数の梁部材からなり、前記グリルアッパ202aおよび前記グリルロア202bに一体に形成されている。
【0005】
ところで、前記したフロントフードにおいては、自動車が歩行者に衝突した場合、グリルアッパへの衝撃に対して変形し易いことが望まれる。
これは、グリルアッパとエンジンルーム収容物との間の寸法が比較的大きな寸法に設定されているため、グリルアッパへの衝撃に対しフロントフードを変形させて衝撃を吸収し、自動車による衝突の際に歩行者がグリルアッパから受ける衝撃をできるだけ低減する必要があるからである。
【0006】
一方、グリルロアへの衝撃に対しては、フロントフードが変形し難いことが望まれる。
これは、グリルロアとエンジンルーム収容物との間の寸法が比較的小さな寸法に設定されているため、フロントフードの変形を抑制してエンジンルーム収容物との干渉によるグリルロアへの反力を小さくし、自動車による衝突の際に歩行者がグリルロアから受ける衝撃をできるだけ低減する必要があるからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の車両用エアインテークグリルにおいては、縦梁がグリルアッパとグリルロアとの間に単に介在するものであるため、グリルアッパへの衝撃に対して縦梁が補強部材として機能し、歩行者に対する車両(グリルアッパ)の衝突時にフロントフードの変形を抑制して衝撃を吸収することができなかった。
一方、グリルロアへの衝撃に対しては縦梁が補強部材として機能せず、このため歩行者に対する車両(グリルロア)の衝突時にフロントフードが変形し易くなり、グリルロアがエンジンルーム収容物に干渉して比較的大きな反力を受けていた。
【0008】
この結果、走行中における車両のグリルアッパ・ロアが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃が大きくなり、近年における歩行者保護(安全)対策に応じることができないという課題があった。
【0009】
本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたもので、走行中における車両の上方グリル部(グリルアッパ)および下方グリル部(グリルロア)が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、もって近年における歩行者保護対策に応じることができる車両用エアインテークグリルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされた本発明に係る車両用エアインテークグリルは、フロントフードの上面開口部内に装着され、エンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口を有する車両用エアインテークグリルであって、上方グリル部および下方グリル部を有し、前記上方グリル部と前記下方グリル部との間に前記エア導入口が形成されたグリル本体と、このグリル本体の両グリル部間に位置し、上方梁部および下方梁部を有する縦梁とを備え、前記上方梁部は、前記上方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって下方に移動可能な構成とされ、前記下方梁部は、前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって前記上方梁部に係止され、前記グリル本体の下方への移動を規制する構成とされていることを特徴とする。
【0011】
このように構成されているため、衝撃荷重が上方グリル部に作用すると、上方梁部が上方グリル部と共に下方に移動し、これに伴いフロントフードが変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって下方梁部が上方梁部に係止され、これに伴い下方梁部の下方への移動が規制され、下方グリル部がエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
したがって、走行中における車両の上方グリル部および下方グリル部が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0012】
ここで、前記上方梁部と前記下方梁部との間に、前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、係止する係止部が配設されていることが望ましい。
このように構成されているため、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって係止され、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0013】
また、前記係止部が、グリル内外に開口する係止窓と、前記係止窓を挿通する係止突起とからなることが望ましい。
このように構成されているため、係止突起が係止窓に係止されると、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0014】
さらに、前記係止窓が前記上方梁部に設けられ、前記係止突起が前記下方梁部に設けられていることが望ましい。
このように構成されているため、上方梁部の係止窓に下方梁部の係止突起が係止されると、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0015】
また、前記係止突起が前記上方梁部に設けられ、前記係止窓が前記下方梁部に設けられていることが望ましい。
このように構成されているため、下方梁部の係止窓に上方梁部の係止突起が係止されると、下方梁部の下方への移動が規制される。
【0016】
そして、前記上方梁部が横断面ジグザグ状の梁部材によって形成されていることが望ましい。
このように構成されているため、上方梁部の上下方向への引張力に対する係止窓における開口縁部の機械的強度が高くなる。
【0017】
一方、本発明の別の発明に係る車両用エアインテークグリルは、フロントフードの上面開口部内に装着され、エンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口を有する車両用エアインテークグリルであって、上方グリル部および下方グリル部を有し、前記上方グリル部と前記下方グリル部との間に前記エア導入口が形成されたグリル本体と、このグリル本体の両グリル部間に位置する縦梁とを備え、前記縦梁は、前記上方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって下方に移動可能な構成とされ、かつ前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、前記下方グリル部が前記縦梁に係止され、前記グリル本体の下方への移動を規制する構成とされていることを特徴とする。
【0018】
このように構成されているため、衝撃荷重が上方グリル部に作用すると、縦梁が上方グリル部と共に下方に移動し、これに伴いフロントフードが変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって縦梁が下方グリル部に係止され、これに伴い縦梁の下方への移動が規制され、下方グリル部がエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
したがって、走行中における車両の上方グリル部および下方グリル部が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0019】
ここで、前記縦梁と前記下方グリル部との間に、前記下方グリルへの衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、係止する係止部が配設されていることが望ましい。
このように構成されているため、衝撃荷重が下方グリル部に作用すると、フロントフードの変形によって係止され、縦梁の下方への移動が規制される。
【0020】
また、前記係止部が、グリル内外に開口する係止窓と、前記係止窓を挿通する係止突起とからなることが望ましい。
このように構成されているため、係止突起が係止窓に係止されると、縦梁の下方への移動が規制される。
【0021】
さらに、前記係止突起が前記下方グリル部に設けられ、前記係止窓が前記縦梁に設けられていることが望ましい。
このように構成されているため、縦梁の係止窓に下方グリル部の係止突起が係止されると、下方グリル部の下方への移動が規制される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が適用された車両用エアインテークグリルにつき、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
図1に示すように、符号1で示すエアインテークグリルは、グリル本体2および縦梁3を備え、自動車におけるフロントフード4の上面開口部4a内(開口縁部)に取付具5によって装着されている。
【0023】
前記グリル本体2は、グリル上部を構成するグリルアッパ(上方グリル部)2aおよびグリル下部を構成するグリルロア(下方グリル部)2bと、これら両グリル部2a,2bを連結するグリルサイド2cとを有し、全体が合成樹脂によって形成されている。このグリル本体2の前面中央部には、フード(車体)前後方向に開口するエア導入口6が形成されている。
前記縦梁3は、縦断面ほぼI字状の上方梁部7および縦断面ほぼL字状の下方梁部8を有し、前記グリルアッパ2aと前記グリルロア2bとの間に配置されている。
【0024】
前記上方梁部7は、前記グリルアッパ2aに一体に形成されている。この上方梁部7にはグリル内外(フード前後方向)に開口する係止窓7aが設けられている。そして、グリルアッパ2aへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって下方に移動し得るように構成されている。
【0025】
なお、前記上方梁部7については、上下方向の引張力に対する前記係止窓7aにおける開口縁部の機械的強度を高めるために、図2(a)および(b)に示すように横断面ジグザグ状の梁部材で形成することが望ましい。
【0026】
前記下方梁部8は、下方端縁が前記フロントフード4(上面開口部4aの下縁)に取付具9によって固定され、全体が板金を折り曲げることにより形成されている。この下方梁部8には、上方端縁を折り曲げることにより前記係止窓7aに挿通する鉤形状の係止突起8aが形成されている。そして、グリルロア2bへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって上方梁部7(係止窓7aの開口内面)に係止され、グリル本体2の下方への移動を規制するように構成されている。
【0027】
以上の構成により、図3(a)に示すように衝撃荷重Pがグリルアッパ2aに作用すると、上方梁部7がグリルアッパ2aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、図3(b)に示すように衝撃荷重Pがグリルロア2bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止突起8aが係止窓7aの開口内面に係止され、これに伴い下方梁部8の下方への移動が規制され、グリルロア2bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0028】
したがって、走行中における車両のグリルアッパ2aおよびグリルロア2bが歩行者に衝突した場合歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0029】
なお、本実施形態においては、上方梁部7に係止窓7aを、また下方梁部8に係止突起8aをそれぞれ設けてなる係止構造である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図4および図5に示すような係止構造であってもよい。
【0030】
図4に示す係止構造は、上方梁部41に係止突起41aを、また下方梁部42に係止突起42aをそれぞれ設けてなるものである。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ2aに作用すると、上方梁部41がグリルアッパ2aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア2bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止突起41aが係止突起42aに係止され、これに伴い下方梁部42の下方への移動が規制され、グリルロア2bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0031】
図5に示す係止構造は、上方梁部51に係止突起51aを、また下方梁部52に係止窓52aをそれぞれ設けてなるものである。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ2aに作用すると、上方梁部51がグリルアッパ2aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア2bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止突起51aが係止窓52aの開口内面に係止され、これに伴い下方梁部42の下方への移動が規制され、グリルロア2bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0032】
したがって、図4および図5に示す各実施形態においても、本実施形態と同様に、走行中における車両のグリルアッパ2aおよびグリルロア2bが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0033】
この他、本実施形態においては、上方梁部7および下方梁部8をそれぞれ合成樹脂と金属(板金)によって形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、上方梁部および下方梁部を共に金属によって形成してもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、上方梁部7および下方梁部8がそれぞれ縦断面ほぼI字状と縦断面ほぼL字状である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図6(a)に示すように上方梁部61および下方梁部62が共に横断面半円形状であっても、同図(b)に示すように共に横断面V字形状であってもよく、他の形状であっても勿論よい。
【0035】
次に、本発明の別の発明が適用された車両用エアインテークグリルにつき、図7を用いて説明する。図7は、本発明の別の発明に係る車両用エアインテークグリルを説明するために示す断面図である。
図7に示すように、符号71で示すエアインテークグリルは、グリル本体72および縦梁73を備え、自動車におけるフロントフード4の上面開口部4a内(開口縁部)に取付具5によって装着され、全体が合成樹脂によって形成されている。
なお、前記エアインテークグリル71の全体を合成樹脂によって形成する場合について説明したが、例えば鋼材等の金属によって形成してもよい。
【0036】
前記グリル本体72は、グリル上部を構成するグリルアッパ(上方グリル部)72aおよびグリル下部を構成するグリルロア(下方グリル部)72bと、これら両グリル部72a,72bを連結するグリルサイド72cとを有している。このグリル本体72の前面中央部には、フード(車体)前後方向に開口するエア導入口74が形成されている。また、グリル本体72のグリルロア72bには、フード後方に突出する係止突起75が設けられている。
【0037】
前記縦梁73は、前記係止突起75の下面部に係止可能な係止突起73aを有する断面ほぼL字状の梁部材からなり、前記グリルアッパ72aと前記グリルロア72bとの間に配置され、かつ前記グリルアッパ72aに一体に形成されている。そして、グリルアッパ72aへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によって下方に移動し得るように構成されている。また、グリルロア72bへの衝撃荷重によるフロントフード4の変形によってグリルロア72bの係止突起75に縦梁73の係止突起73aが係止され、グリル本体72の下方への移動を規制するように構成されている。
【0038】
以上の構成により、図8(a)に示すように衝撃荷重Pがグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、図8(b)に示すように衝撃荷重Pがグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって縦梁73の係止突起73aがグリルロア72bの係止突起75に係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0039】
したがって、走行中における車両のグリルアッパ72aおよびグリルロア72bが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、各係止突起73a,75を互いに係止可能な構造である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図9〜図12に示すような係止構造であってもよい。
【0041】
図9に示すように、前記係止突起73aの先端部に上方に突出する凸部91が設けられ、前記係止突起75の先端部に凸部91に係止可能な凸部92が設けられている。
これにより、各凸部91,92が互いに係止されると、係止突起73a,75によるフード前後方向の係止力が高められる。
【0042】
この場合、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって縦梁73の係止突起73aがグリルロア72bの係止突起75に係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0043】
図10に示すように、前記縦梁73にフード前後方向に開口する係止窓101が設けられ、前記グリルロア72bの先端部に係止窓101の開口縁部に係止可能な断面逆U字状の係止突起102が設けられている。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
【0044】
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止窓101の開口内面にグリルロア72bの係止突起102が係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。この場合、係止突起102が係止窓101の開口縁部に係止されると、縦梁73,グリルロア72bによるフード前後方向の係止力が高められる。
【0045】
図11に示すように、前記係止突起75の先端部に上下方向に開口する係止窓111が設けられ、前記係止突起73aの先端部に係止窓111の開口内面に係止可能な凸部112が設けられている。
これにより、凸部112が係止窓111の開口内面に係止されると、縦梁73,グリルロア72bによるフード前後方向の係止力が高められる。
【0046】
この場合、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって縦梁73の係止突起73aにグリルロア72bの係止突起75が係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。
【0047】
図12(a)および(b)に示すように、前記縦梁73にフード前後方向に開口する係止窓121が設けられ、前記グリルロア72bの先端部に係止窓121の開口内面に係止可能な係止突起122が設けられている。また、前記係止突起122にフード上下方向に開口する係止窓123が設けられ、前記係止突起73aに係止窓123の開口内面に係止可能な凸部124が設けられている。
これにより、衝撃荷重がグリルアッパ72aに作用すると、縦梁73がグリルアッパ72aと共に下方に移動し、これに伴いフロントフード4が変形して衝撃荷重の一部を吸収する。
【0048】
一方、衝撃荷重がグリルロア72bに作用すると、フロントフード4の変形によって係止窓121の開口内面にグリルロア72bの係止突起122が係止され、これに伴い縦梁73の下方への移動が規制され、グリルロア72bがエンジンルーム収容物との干渉による反力を受けることはない。この場合、凸部124が係止窓123の開口内面に係止されると、縦梁73,グリルロア72bによるフード前後方向の係止力が高められる。
【0049】
したがって、図9〜図12に示す各実施形態においても、本実施形態と同様に、走行中における車両のグリルアッパ72aおよびグリルロア72bが歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなとおり、本発明に係る車両用エアインテークグリルによると、走行中における車両の上方グリル部および下方グリル部が歩行者に衝突した場合に歩行者への衝撃を抑制することができ、近年における歩行者保護対策に応じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図2】(a)および(b)は、本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの変形例を説明するために示す断面図とそのA−A断面図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルに衝撃荷重が作用した場合について説明するために示す断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図6】(a)および(b)は、それぞれ本発明の第四実施形態と第五実施形態に係る車両用エアインテークグリルの縦梁を示す斜視図である。
【図7】本発明の別の発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明の別の発明の第一実施形態に係る車両用エアインテークグリルに衝撃荷重が作用した場合について説明するために示す断面図である。
【図9】本発明の別の発明の第二実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図10】本発明の別の発明の第三実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図11】本発明の別の発明の第四実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図である。
【図12】(a)および(b)は、本発明の別の発明の第五実施形態に係る車両用エアインテークグリルの取付例を示す断面図とそのB−B断面図である。
【図13】従来の車両用エアインテークグリルを示す斜視図である。
【図14】従来の車両用エアインテークグリルを備えた自動車を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 エアインテークグリル
2 グリル本体
2a グリルアッパ
2b グリルロア
2c グリルサイド
3 縦梁
4 フロントフード
4a 上面開口部
5 取付具
6 エア導入口
7 上方梁部
7a 係止窓
8 下方梁部
8a 係止突起
Claims (10)
- フロントフードの上面開口部内に装着され、エンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口を有する車両用エアインテークグリルであって、
上方グリル部および下方グリル部を有し、前記上方グリル部と前記下方グリル部との間に前記エア導入口が形成されたグリル本体と、
このグリル本体の両グリル部間に位置し、上方梁部および下方梁部を有する縦梁とを備え、
前記上方梁部は、前記上方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって下方に移動可能な構成とされ、
前記下方梁部は、前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって前記上方梁部に係止され、前記グリル本体の下方への移動を規制する構成とされている
ことを特徴とする車両用エアインテークグリル。 - 前記上方梁部と前記下方梁部との間に、前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、係止する係止部が配設されていることを特徴とする請求項1に記載された車両用エアインテークグリル。
- 前記係止部が、グリル内外に開口する係止窓と、前記係止窓を挿通する係止突起とからなることを特徴とする請求項2に記載された車両用エアインテークグリル。
- 前記係止窓が前記上方梁部に設けられ、前記係止突起が前記下方梁部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載された車両用エアインテークグリル。
- 前記係止突起が前記上方梁部に設けられ、前記係止窓が前記下方梁部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載された車両用エアインテークグリル。
- 前記係止窓が設けられている前記上方梁部或いは前記下方梁部は、横断面ジグザグ状の梁部材によって形成されていることを特徴とする請求項4、5の何れかに記載された車両用エアインテークグリル。
- フロントフードの上面開口部内に装着され、エンジンルーム内に外気を導入するためのエア導入口を有する車両用エアインテークグリルであって、
上方グリル部および下方グリル部を有し、前記上方グリル部と前記下方グリル部との間に前記エア導入口が形成されたグリル本体と、
このグリル本体の両グリル部間に位置する縦梁とを備え、
前記縦梁は、前記上方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって下方に移動可能な構成とされ、かつ前記下方グリル部への衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、前記下方グリル部が前記縦梁に係止され、前記グリル本体の下方への移動を規制する構成とされている
ことを特徴とする車両用エアインテークグリル。 - 前記縦梁と前記下方グリル部との間に、前記下方グリルへの衝撃荷重による前記フロントフードの変形によって、係止する係止部が配設されていることを特徴とする請求項7に記載された車両用エアインテークグリル。
- 前記係止部が、グリル内外に開口する係止窓と、前記係止窓を挿通する係止突起とからなることを特徴とする請求項8に記載された車両用エアインテークグリル。
- 前記係止突起が前記下方グリル部に設けられ、前記係止窓が前記縦梁に設けられていることを特徴とする請求項9に記載された車両用エアインテークグリル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002303945A JP2004136805A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 車両用エアインテークグリル |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002303945A JP2004136805A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 車両用エアインテークグリル |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004136805A true JP2004136805A (ja) | 2004-05-13 |
Family
ID=32451531
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002303945A Pending JP2004136805A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 車両用エアインテークグリル |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004136805A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006103608A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-20 | Mazda Motor Corp | 車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造 |
JP2012245942A (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-13 | Suzuki Motor Corp | 車両用フロントフード |
JP7609094B2 (ja) | 2022-02-14 | 2025-01-07 | トヨタ自動車株式会社 | 車両フード構造 |
-
2002
- 2002-10-18 JP JP2002303945A patent/JP2004136805A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006103608A (ja) * | 2004-10-08 | 2006-04-20 | Mazda Motor Corp | 車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造 |
JP4581612B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2010-11-17 | マツダ株式会社 | 車両のインタークーラ冷却用ダクトの支持構造 |
JP2012245942A (ja) * | 2011-05-30 | 2012-12-13 | Suzuki Motor Corp | 車両用フロントフード |
JP7609094B2 (ja) | 2022-02-14 | 2025-01-07 | トヨタ自動車株式会社 | 車両フード構造 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3637141B2 (ja) | 車両車体の側面衝突対策構造 | |
JP4235842B2 (ja) | 車両のフード装置 | |
JP3599327B2 (ja) | 車両の前部車体構造 | |
KR101097018B1 (ko) | 측면 충돌 성능을 강화시킨 자동차용 도어 | |
KR100417942B1 (ko) | 차량의 펜더 구조 | |
CN105438273A (zh) | 汽车的机盖结构 | |
JP2008254471A (ja) | 側面衝突性能を強化させた自動車用ドア | |
JP3876279B2 (ja) | 自動車のピラー補強構造 | |
JP3653807B2 (ja) | 自動車用サイドシル補強構造 | |
JP2006044311A (ja) | 車両用フード構造 | |
JP2007185996A (ja) | 自動車用フードの前部構造 | |
KR100337830B1 (ko) | 트렁크룸의 수화물침입 방지구조 | |
JP2008114734A (ja) | 衝撃吸収部材を備えた車両の室内構造 | |
JP4314991B2 (ja) | 車体後部構造 | |
JP2004136805A (ja) | 車両用エアインテークグリル | |
US7472948B2 (en) | Vehicle body structure | |
JP2023179132A (ja) | ドアインパクトビーム | |
JP3620288B2 (ja) | 自動車の後部車体構造 | |
JP2009029366A (ja) | 側面衝突性能を強化させた自動車用ドア | |
CN115923702A (zh) | 车辆的前部结构 | |
JP3432992B2 (ja) | 自動車用車体構造 | |
JP2008012932A (ja) | 自動車の衝撃吸収構造 | |
JP5229097B2 (ja) | 車両用ドア構造 | |
JP4551205B2 (ja) | 車両のロッカー構造 | |
JP4000445B2 (ja) | 車体構造 |