JP2004134748A - 光電変換素子の測定方法および装置、光電変換素子の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】パルス光や太陽光などの強度が変動する光の下であっても、光電変換素子の電流電圧特性を正確に測定できる方法を提供する。
【解決手段】基準デバイス103と光電変換素子102に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイス103を用いた放射照度検出回路104の光応答時定数が、光電変換素子102の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】基準デバイス103と光電変換素子102に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイス103を用いた放射照度検出回路104の光応答時定数が、光電変換素子102の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池、光起電力素子、光センサーなどの光電変換素子の電流電圧特性を光照射下で測定する測定方法および測定装置、並びに光電変換素子の製造方法及び製造装置に関する。なお、本発明では、光電変換素子を直列あるいは並列に接続して作成した光電変換装置も、光電変換素子に含める。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池、光起電力素子、光センサーなどの光電変換素子の光電変換特性は、光照射下で、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定することによって測定される。その測定方法は、照射光として太陽光を利用する方法と人工光源を利用する方法に大別される。さらに、前記人工光源を利用する方法は、定常光の光源を用いる方法とパルス光の光源を用いる方法に分けられる。
【0003】
ところで、近年、前記光電変換素子の実用化が進むにしたがって、受光面積の大きな光電変換素子の電流電圧特性を、太陽光の標準的な放射照度である1000W/m2程度の放射照度の下で測定する必要が増している。
【0004】
しかるに、大面積の光電変換素子の電流電圧特性を光照射下で測定するためには、1000W/m2程度の強度の光を、大面積に均一に照射する必要がある。人工光源を利用する場合、そのためには、例えば照射面積1m2あたり数十kw程度の大電力の放電灯が必要となる。しかしながら、そのような大電力の放電灯で定常光を発生させるには、大電力を定常的に供給せねばならないことから、非常に大規模な設備が必要であり、現実的ではない。
【0005】
そこで、定常光ではなく、パルス光を発生させることによって、大面積の光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法が、知られている。パルス光を発生させる疑似太陽光光源は、正確な定義はないが、一般的に、パルス光の持続時間がおおよそ20msec以上のものをロングパルスソーラシミュレータ、前記持続時間が数msecのものをショートパルスソーラシミュレータと呼ばれている。パルス光によって、光電変換素子の電流電圧特性を測定する場合は、定常光の場合のような測定中の光電変換素子の温度上昇の問題がほとんどなく、温度補正をほとんど必要としないという長所もある。
【0006】
ロングパルスソーラシミュレータの技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。どちらも、待機点灯させた放電灯に、瞬間的に定格電流を越える大電流を流すことによって、光電変換素子の電流電圧特性を測定する間の時間、1000W/m2程度の強度の光を、20msec以上のパルス幅で、大面積に均一に照射することを可能にしている。
【0007】
また、ショートパルスソーラシミュレータとしては、例えば、Spectrolab社から、Large Area Pulsed Solar Simulatorが、Spire社から、SPI−SUN SIMULATORシリーズが、市販されている。
【0008】
また、光電変換素子の電流電圧特性を測定する場合に、例えば電圧を掃引させて、電圧値と電流値のデータ対(以下、IVデータと表記する。)をn点(nは、2以上の整数)測定するとすれば、n点のIVデータを複数回のパルス光に分けて測定し、電圧を変化させつつ複数回のパルス光によって、n点のIVデータを取得する方法(以下、マルチパルス法と略記する。)がある。この方法に用いられる疑似太陽光光源は、ショートパルスソーラシミュレータであり、マルチパルス法による測定システムも、前記2社から市販されている。
【0009】
なお、ショートパルスソーラシミュレータを用いる場合の、特有の問題として、光電変換素子の応答性の問題が、非特許文献1に記載されている。この文献で述べられている問題は、光電変換素子に印加する電圧を掃引させる速度が速いと、光電変換素子の静電容量Cが大きいものは特に、IVカーブが歪むことである。これは、光電変換素子が本質的に静電容量を有するので、光電変換素子に印加する電圧を変化させると、コンデンサーの充放電と同様の現象が起きることに起因している。ショートパルスソーラシミュレータは、パルス光の持続時間が短いので、必然的に光電変換素子の電流電圧特性を測定する時間が短くなり、光電変換素子に印加する電圧を掃引する時間も短くなってしまう。この文献で述べられている応答性の問題は、光電変換素子の充放電の応答性の問題であり、基本的には、電圧を印加した後、充放電の応答に十分な時間を経過した後、光電変換素子の電流を測定することによって解決される問題である。
【0010】
同様の問題点は、前記特許文献1、特許文献2でも認識されており、これらに開示されたロングパルスソーラシミュレータの技術では、パルス光の持続時間を長くすることによって、光電変換素子に印加する電圧を変化させる時間間隔を長くして、充放電の応答性が遅い光電変換素子の電流電圧特性の測定を可能にしている。
【0011】
【特許文献1】
特公平4−53271号公報
【特許文献2】
特公平6−105280号公報
【非特許文献1】
「Errors in Current−Voltage Measurement of Photovoltaic Devices Introduced by Flash Simulators」(H.Ossenbrink,et.al. 10th European Photovoltaic Solar Energy Conference p1055)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、光電変換素子の電流電圧特性の正確な測定のためには、充放電の応答性を考慮して、印加電圧を変える時間間隔を長くするだけでは十分ではなく、基準デバイスと測定対象の光電変換素子の光応答性の違いに対して対策を取ることが必要であるという知見を得た。以下に詳述する。
【0013】
まず、測定対象の光電変換素子と基本的に同じ構造の光電変換素子で、定められた基準で選別され、校正されたものは、基準デバイスと呼ばれ、例えば、IEC 60904−2、あるいは、IEC 60904−6に規定されている。基準デバイスには、例えば、基準セル、基準モジュール等がある。光電変換素子の電流電圧特性を測定する際には、前記基準デバイスの短絡電流の値を校正値と比較することによって、照射光の放射照度を検出する。
【0014】
定常光の人工光源を用いる場合は、放射照度が一定に制御されているので、光電変換素子の電流電圧特性を測定する前あるいは後に放射照度を検出しても良い。しかし、パルス光の人工光源を用いる場合、あるいは、太陽光を用いる場合は、放射照度が一定ではないので、光電変換素子の電流電圧特性の測定と同時に、前記基準デバイスによって、放射照度を検出しなければならない。
【0015】
しかしながら、光電変換素子の電流電圧特性を測定中に放射照度を検出する場合、基準デバイスは一般に、面積が小さく、かつ直並列接続されていない基本単位もの(セル)を用いることが多い。それは、人工光源による光照射面や、屋外で太陽光を追尾する架台の面積が限られているため、また、公的機関によって校正できる基準デバイスの大きさが限られているため、等の理由による。また、測定する光電変換素子の種類によっては、同じ種類の素子では、経時的に特性の安定した基準デバイスが得られない場合など、基準デバイスと光電変換素子の素子の種類が異なる場合もある。このように、素子の種類が異なる、あるいは面積が異なる、あるいは直並列の接続が異なるなどの理由によって、測定中に放射照度を検出する基準デバイスと光電変換素子の間で、出力の光応答性が、異なることが多い。なお、本明細書では、照射光の放射照度の変動に対する、基準デバイスあるいは光電変換素子の、短絡電流の応答の時定数を、光応答時定数と表記する。
【0016】
以上のように、基準デバイスの光応答時定数が、測定する光電変換素子の光応答時定数と異なっている状況では、前述のようなパルス光や太陽光などの放射照度が変動する光の下では、測定対象の光電変換素子にとって実効的な放射照度の検出が正確でなくなり、光電変換素子の電流電圧特性の測定結果が不正確になってしまうという問題があった。なお、この問題は、前述した光電変換素子の充放電の応答性の問題ではなく、光電変換素子の光に対する応答性の問題である。
【0017】
この問題は、薄膜半導体を光電変換層に用いた光電変換素子のように、光応答時定数の大きな光電変換素子を、パルス光を用いて測定する場合に顕著であり、ロングパルスソーラシミュレータを用いて、光電変換素子の印加電圧を変える時間間隔を長くした場合であっても、図7のように測定された電流電圧特性をプロットしたカーブ(IVカーブ)が、定常光の下で示す本来のIVカーブに比べて、歪みやガタツキが出ることがあった。
【0018】
【発明の目的】
本発明の目的は、上述した問題点を解決し、パルス光や太陽光などの強度が変動する光の下であっても、光電変換素子の電流電圧特性を正確に測定できる方法および装置、並びに光電変換素子の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記IVカーブの歪みの原因を詳細に検討した結果、被測定光電変換素子と基準デバイスの光応答時定数の違いによって、パルス光の実効的な放射照度検出値にずれが生じているためという知見を得た。この知見に基づいて対策を検討した結果、以下の構成の光電変換素子の測定方法および測定装置、並びに光電変換素子の製造方法及び製造装置によって、前述の目的を達成できた。
【0020】
すなわち、本発明は、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする光電変換素子の測定方法である。
【0021】
ここで、例えば、前記光は、放射照度が時間的に変動する光であることが好ましい。
【0022】
ここで、例えば、前記光は、人工光源によるパルス光であることが好ましい。
【0023】
ここで、例えば、前記光は、太陽光であることが好ましい。
【0024】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を用いることによって、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を増大させて、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることが好ましい。
【0025】
ここで、例えば、前記積分回路として、RC回路を用いることが好ましい。
【0026】
ここで、例えば、前記積分回路として、RL回路を用いることが好ましい。
【0027】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、半導体素子を用いることが好ましい。
【0028】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を用いることが好ましい。
【0029】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に変化させることが好ましい。
【0030】
ここで、例えば、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差が、±3%以内になるように、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることが好ましい。
【0031】
また、本発明は、少なくとも、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射する手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路と、光電変換素子の電流電圧特性測定手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段とを有することを特徴とする光電変換素子の測定装置である。
【0032】
ここで、例えば、前記光を照射する手段として、パルス光を発生させる人工光源を有することが好ましい。
【0033】
ここで、例えば、太陽光に対して実質的に同じ角度で前記基準デバイスと前記光電変換素子を屋外に設置する手段を有することが好ましい。
【0034】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を有することが好ましい。
【0035】
ここで、例えば、前記積分回路として、RC回路を有することが好ましい。
【0036】
ここで、例えば、前記積分回路として、RL回路を有することが好ましい。
【0037】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、半導体素子を有することが好ましい。
【0038】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を有することが好ましい。
【0039】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段は、該光応答時定数を連続的に変化させる手段であることが好ましい。
【0040】
また、本発明は、基板上に少なくとも1つ以上の光電変換部分を形成する工程と、前記工程により形成された光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記電流電圧特性を測定する工程は、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整する工程を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法である。
【0041】
ここで、例えば、前記光電変換素子は、少なくとも1つ以上の薄膜半導体による半導体接合を有することが好ましい。
【0042】
ここで、例えば、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程は、前記光電変換素子を製造する複数の工程の中間段階にあることが好ましい。
【0043】
ここで、例えば、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程における測定値に基づいて、前記光電変換素子を形成する各工程の何れかを、前記測定値が所定の範囲内になるように調整することが好ましい。
【0044】
さらに、本発明は、少なくとも光電変換部分形成手段と、電流電圧特性測定手段とを有する光電変換素子の製造装置であって、前記電流電圧特性測定手段は、少なくとも、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射する手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路と、光電変換素子の電流電圧特性測定手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段とを有することを特徴とする光電変換素子の製造装置である。
【0045】
【作用】
本発明の測定方法によって、以下の作用がある。
【0046】
まず、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、基準デバイスそのものの光応答時定数に比べて、測定する光電変換素子の光応答時定数に近づける。
【0047】
基準デバイスを用いた放射照度検出回路と光電変換素子の光応答時定数が近づいた結果、照射光が時間的に変動した場合においても、測定する光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を正確に測定することができる。
【0048】
光電変換素子の電流電圧特性は、検出された放射照度によって、照度補正される。放射照度の測定値が正確になることによって、照度補正が正確になり、それによって、最終的な結果として得られる光電変換素子補正後の電流電圧特性が正確になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
図1は、本発明の測定方法と測定装置の一例を模式的に説明する説明図である。図1において、101は照射光、102は測定対象の光電変換素子、103は基準デバイス、104は基準デバイスを用いた放射照度検出回路、105は光電変換素子の電圧検出手段、106は光電変換素子の電流検出手段、107は光電変換素子の電圧可変手段、108は放射照度検出回路の出力検出手段、109は計測制御/データ処理手段である。図1において、実線は、電気的な接続を、点線は、データおよび計測制御命令のつながりを示す。
【0051】
以下、本発明の構成の詳細について述べる。
【0052】
(光電変換素子)
本発明の測定方法によって測定される光電変換素子の種類としては、太陽電池、フォトダイオード等の光起電力素子、光センサー、電子写真感光体等が挙げられる。
【0053】
光電変換の機能を有するのは、主に半導体接合であり、半導体接合の種類としては、pn接合、pin接合、ショットキー接合、MIS型接合などが挙げられる。また、他の種類の光電変換素子として、例えば、色素増感型太陽電池等の湿式太陽電池も挙げられる。
【0054】
半導体材料としては、結晶質、多結晶質、微結晶質、非晶質のものが挙げられ、物質としては、Si、SiC、SiGe、C、Ge等のIV族あるいはIV族化合物、GaAs、AlGaAs、InP、InSb等のIII−V族化合物、ZnSe、ZnO、CdS、CdTe、Cu2S等のII−VI族化合物、CuInSe2、CuInS2等のI−III−VI2族化合物、有機半導体等、あるいは上述の化合物の混合物が挙げられる。
【0055】
また、光電変換素子を直列あるいは並列に接続したり、耐環境性容器に封入したりして作成された、光電変換装置も光電変換素子と同様に、本発明の測定方法によって測定される。
【0056】
また、本発明の測定方法は、上記の光電変換素子の内、薄膜半導体を用いたもの等、光応答性の遅い、すなわち光応答時定数の大きいものに特に好適に適用される。光応答時定数の大きいものは、基準デバイスの光応答時定数と差が広がり易いので、従来の測定方法では、電流電圧特性の測定値に誤差が出易いからである。
【0057】
また、本発明の測定方法を適用する光電変換素子は、照射光の放射照度に対する電流電圧特性の依存性(照度依存性)が分かっているものが望ましい。それによって、電流電圧特性の照度補正が正確になる。少なくとも、照度補正に用いる素子の直列抵抗成分Rsが判明しているか、あるいは同等の光電変換素子から推測できることが望ましい。
【0058】
また、光電変換素子は、電流電圧特性の温度係数が分かっていることが望ましい。具体的には、開放電圧、短絡電流、曲線因子それぞれの温度係数が分かっていることが望ましい。光電変換素子自体の温度係数を測定することが困難である場合は、同等の光電変換素子の温度係数の代表値を用いても良い。また、光電変換素子を測定する場合に、光電変換素子は、25±2℃になるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難である場合には、前述の温度係数によって温度補正を行い、25℃における特性を求めることが必要である。
【0059】
(照射光)
本発明の測定方法に用いられる光は、太陽光でも人工光源による光でも良い。人工光源の場合は、後述する疑似太陽光光源が望ましい。
【0060】
なお、本発明において、放射照度が時間的に変動する光とは、以下の式(1)で定義される、規定時間内の放射照度の時間変動率(ΔE(t))が、±1%を越える光を指す。また、規定時間とは、放射照度を検出する時間に、光電変換素子の電流電圧特性を測定している時間を加えた、全てデータの測定時間を指す。
ΔE(t)=±(Emax−Emin)/(Emax+Emin)×100…式(1)
ここで、
Emax:規定時間内の放射照度の最大値
Emin:規定時間内の放射照度の最小値
【0061】
したがって、放射照度の時間変動率が±1%以下の定常光ソーラシミュレータの光、あるいは快晴で放射照度の時間変動率が±1%以下の太陽光は、放射照度が時間的に変動する光とは見なさない。放射照度が時間的に変動する光の例としては、パルス光や、放射照度が安定していない太陽光、放射照度が安定していない定常光などがある。
【0062】
照射光の放射照度は、好ましくは、500〜1500W/m2、より好ましくは800〜1200W/m2の範囲で測定することが望ましい。放射照度が、1000W/m2に近いほど、照度補正の補正量が少ないので、照度補正による誤差が小さくなる。
【0063】
照射光として、太陽光を用いる場合は、太陽光の放射照度が安定している快晴時は、従来の測定方法でもほとんど問題はない。雲などがあって、放射照度が変化する場合に、本発明の測定方法が有効である。
【0064】
(疑似太陽光光源)
疑似太陽光光源を用いる場合、公知のソーラーシミュレータが適している。
【0065】
光源のランプとしては、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が好適に用いられる。点灯方法は、連続点灯(定常光)でもパルス点灯(パルス光)でも良い。
【0066】
なお、本発明の測定方法は、パルス光を用いるソーラシミュレータを用いる場合に特に好適に適用される。パルス光を用いる場合、放射照度の単位時間あたりの変動(放射照度の時間微分値)が大きく、光電変換素子と基準デバイスの光応答時定数の差の影響が大きいからである。また、前記放射照度の時間変動率(ΔE(t))が大きい場合も、前記光応答時定数の差の影響が大きくなり、本発明の測定方法による有効性が顕著になる。
【0067】
パルス光型のソーラシミュレータとしては、前述のロングパルスソーラシミュレータ、ショートパルスソーラシミュレータの何れも好適に用いられる。
【0068】
(基準デバイス)
基準デバイスは、基本的に前記光電変換素子と同じ構成の素子を用いることが望ましいが、異なる材料によって構成されていても良い。ただし、異なる材料を用いた場合は、基準デバイスの分光感度が、光電変換素子と同等の分光感度を有するようにフィルター等で、分光感度を調整することが望ましい。それによって、基準デバイスを用いて照射光の放射照度を測定するときに、照射光のスペクトルと光電変換素子の分光感度に起因する誤差が少なくなり、光電変換素子の電流電圧特性の測定結果が正確になる。
【0069】
基準デバイスは、経時的に特性が安定であるように処理されていることが望ましい。基準デバイスを、光、熱、湿度等に対して、安定化させることにより、基準デバイスの後述する基準状態における校正値の信頼性が高まり、光電変換素子の電流電圧特性の測定が正確になる。また、基準状態における校正値を再測定する時間間隔を広くとることができる。ここで、基準状態とは、一般に、光電変換素子の電流電圧特性の測定条件を統一するために導入された標準で、照射する光の強度とスペクトルと光電変換素子の温度等の試験条件を規定している。基準状態(Standard Test Condition、STCと略記されることがある。)は、JIS C 8960に以下のように規定されている。
太陽電池の温度:25℃
照射する光のスペクトル:基準太陽光
(基準太陽光は、エアマス1.5の理想太陽光スペクトルであり、JIS C8911に規定されている。)
照射する光の放射照度:1000W/m2
【0070】
基準デバイスは、前記基準状態における短絡電流があらかじめ測定されていることが望ましい。基準状態における短絡電流の測定方法は、例えば、JIS C8911:二次基準結晶系太陽電池用セル、あるいは、IEC 60904−2:Photovoltaic devices Part2 Requirements for reference solar cells、あるいは、IEC 60904−6:Photovoltaic devices Part6 Requirements for reference solarmodules等の規格に記載された公知の方法を取れば良い。定められた規格にしたがって、公的な機関で測定された値は、校正値と呼ばれる。基準デバイスの基準状態における短絡電流は、公的機関で校正値として値付けされていることが望ましい。なお、基準デバイスを複数用い、これらを常用一次基準デバイス、常用二次基準デバイスとすれば、常用一次基準デバイスは、公的機関で校正し、常用二次基準デバイスは、事業者自ら、常用一次基準デバイスから、値を移し替えて使用しても良い。
【0071】
基準デバイスは、短絡電流の温度係数が分かっているものを使用することが望ましい。基準デバイス自体の温度係数を測定することが困難である場合は、同じ構成の光電変換素子の温度係数の値を用いても良い。また、基準デバイスを用いて、光電変換素子を測定する場合に、基準デバイスは、25±2℃になるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難である場合には、前述の温度係数を用い、規格に述べられた公知の温度補正方法によって温度補正を行って、25℃における短絡電流を求めることが必要である。
【0072】
基準デバイスと光電変換素子の分光感度の関係が、式(2)で計算されるミスマッチ係数Mnが0.98以上1.02以下であることが望ましい。
Mn=∫Eo(λ)Qr(λ)dλ/∫Et(λ)Qr(λ)dλ×∫Et(λ)Qs(λ)dλ/∫Eo(λ)Qs(λ)dλ…式(2)
ここで、
Eo(λ):基準太陽光のスペクトル強度
Et(λ):照射光のスペクトル強度
Qr(λ):基準デバイスの分光感度
Qs(λ):光電変換素子の分光感度
【0073】
人工光源を用いる場合のように、照射光の放射照度に場所むらが有る場合は、基準デバイスの発電部面積は、光電変換素子の発電部面積と、好ましくは、±20%以下、より好ましくは、±10%以下、最適には±5%以下の範囲で近似していることが望ましい。基準デバイスと光電変換素子の発電部面積が近似することによって、照射される光の場所むらによる誤差が大幅に低減されるからである。なお、放射照度の場所むらがほとんどない太陽光による測定の場合、あるいは、前記常用二次基準デバイスを、光電変換素子の電流電圧特性測定中に、照射光の放射照度をモニターするために用いる場合は、発電部面積が近似してなくても良い。ただし、照射エリアのどの部分に常用二次基準デバイスを設置するかは、固定しておくことが望ましい。また、照射光の放射照度あるいはスペクトルの場所むらが、変化した場合は、前記常用一次基準デバイスから、前記常用二次基準デバイスへの値の移し替えをやり直す必要がある。
【0074】
(放射照度検出回路)
放射照度検出回路は、本発明の測定方法および測定装置において、最も重要な部分である。放射照度検出回路は、前述した基準デバイスと光応答時定数を変化させる手段と電流検出回路からなり、基本的に基準デバイスの短絡電流によって、放射照度を検出する機能を有する。
【0075】
前記電流検出回路は、電流検出用シャント抵抗と電圧計など、公知の技術を用いればよい。ここで、前記電流検出回路は、基準デバイスの電流電圧特性を測定する訳ではないので、厳密には短絡電流そのものは検出できない。しかし、短絡電流にほぼ一致する電流値を測定することができるので、放射照度の検出としては問題ない。ただし、電流検出用シャント抵抗の抵抗値Rdetは、検出電流Idetが、定常光に対する基準デバイスの短絡電流Irefの0.99以上であるように選ぶことが望ましい。
【0076】
すなわち、前記IrefとIdetの差をΔIref、電流検出用シャント抵抗によって、基準デバイスにかかる順バイアス電圧をVdet、基準デバイス自身のシャント抵抗をRrshとすれば、
ΔIref=Vdet/Rrsh=Rdet・Idet/Rrsh…式(3)
であるから、この式(3)を変形すれば、
となり、Rdetは、Rrshの1%以下の値を選ぶことが望ましい。
【0077】
Rdetにかかる電圧を測定する手段は、電圧計あるいは、A/Dボードなど公知の電圧測定手段を用いればよい。もしくは、前記検出電流Idetを直接公知の電流測定手段を用いて測定しても良い。その場合、具体的には、例えば、前記Rdshは、少なくとも、電流測定手段の電流検出のための内部抵抗を、固定値Rdetにして、前記式(4)を満たすようにしなければならない。
【0078】
前述のように、光電変換素子の電流電圧特性測定中に、照射光の放射照度をモニターする場合は、比較的面積の小さい、前記常用二次基準デバイスを用いることが多く、このような基準デバイスは、測定する光電変換素子に比べると、光応答時定数が小さいことが多い。したがって、光応答時定数を変化させる手段としては、光応答時定数を大きくする手段を用いることが多い。したがって、光応答時定数を大きくする手段としては、入力波形に対して、出力波形の時定数を大きくする積分回路が好適に用いられる。
【0079】
積分回路の最も基本的な例としては、図2のような、抵抗RとコンデンサCを用いたRC積分回路、あるいは、図3のような抵抗RとインダクタLを用いたRL積分回路がある。図2および図3は、図1の基準デバイスを用いた放射照度検出回路104を中心に拡大して詳細を説明した図であり、点線で囲った部分が、放射照度検出回路104に相当する。図2および図3において、101、103、104、108は、それぞれ、図1と同様に、照射光、基準デバイス、基準デバイスを用いた放射照度検出回路、放射照度検出回路の出力検出手段を指す。図2において、201はコンデンサ、202は抵抗である。図3において、301はインダクタ、302は抵抗である。これらの積分回路において、基準デバイスと並列に接続される抵抗Rについては、少なくともその一部を、前記電流検出用シャント抵抗Rdetと兼ねさせることもできる。どちらの場合も、積分回路の入力は、基準デバイスの出力電流を想定している。ここで、抵抗Rは、複数の抵抗を直列に接続して用いても良い。また、以上の基本回路構成を組み合わせて、もっと複雑な積分回路を構成しても良い。
【0080】
また、前記積分回路における抵抗R、コンデンサC、インダクタLの基本回路素子を、半導体素子あるいは半導体素子を用いた回路によって、等価的に実現しても良い。さらに、各種アンプを用いて、出力を増幅しても良い。
【0081】
さらに、前記RC積分回路のコンデンサCを実現する素子として、一般の光電変換素子を用いても良い。半導体接合を有する光電変換素子は、静電容量を有し、コンデンサとして機能することができる。この場合、コンデンサ用の光電変換素子は、基準デバイスと並列に接続する。また、その光電流が、基準デバイスの短絡電流に影響しないように、コンデンサ用の光電変換素子に照射光が入射しないような措置をとる必要がある。
【0082】
なお、前記積分回路を付加することによって、照射光の放射照度Eに対する放射照度検出回路の出力Pの相関の直線性を大きく損なうことがあってはならない。ただし、照射光の変動に対する、前記出力Pの変動の感度が、低くならない限り、直線性からの多少のずれは、許容される。少なくとも、放射照度Eが800〜1200W/m2の範囲で、前記出力Pの放射照度Eに対する直線性が、照度補正に問題がない程度に維持されていることが望ましい。
【0083】
また、前記放射照度検出回路の出力は、通常は電圧で出力されることが望ましい。よって、放射照度検出回路の出力検出手段は、後述する公知の電圧検出手段を用いれば良い。
【0084】
以下、前記積分回路による、放射照度検出回路の光応答時定数の調整について、詳述する。
【0085】
例えば、前述の単純なRC積分回路を用いた場合の、放射照度検出回路の光応答時定数τdetは、基準デバイスの光応答時定数をτrefとすれば、近似的に以下の式(5)のように表される。
τdet=τref+RC …式(5)
【0086】
ここで、測定対象の光電変換素子の光応答時定数をτsamとすれば、以下の式(6)を満たすようにRC積分回路の抵抗値RとコンデンサCの容量を選択すれば良い。
τref+RC=τsam …式(6)
【0087】
また、単純なRL積分回路の場合は、前記式(5)と式(6)は、近似的に以下の式(7)と式(8)のようになる。
τdet=τref+L/R …式(7)
τref+L/R=τsam …式(8)
【0088】
複雑な積分回路の場合は、前述のような単純な式で表すことはできないが、基本的には同様の概念で、放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように設計することができる。ここで、基準デバイスと光電変換素子の光応答時定数、τrefとτsamは、半導体接合の光電変換の時定数であって、半導体接合に入射した光によって、フォトキャリアが生成し、両極に拡散して、電極から電流として取り出されるまでの過程の時定数を意味する。このように半導体接合の光電変換の時定数は、複数の過程から成り立っていて、単純な式で表すことはできない。しかしながら、例えば、同じ元素あるいは化合物の半導体材料であれば、非晶質半導体による半導体接合の場合は、単結晶半導体による半導体接合に比べて、フォトキャリアのモビリティμ、かつ/あるいは、寿命τが小さいと考えられ、光応答時定数が大きくなる。
【0089】
なお、現実的には、前記R、C、L等の値を計算だけで設計するのは困難な場合もある。例えば、前記τref、τsamを求めることが困難な場合である。そのような場合は、例えば、以下のような手法で、R、C、L等の適切な値を実験的に求めることができる。
【0090】
すなわち、まず、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の出力と測定する光電変換素子の出力を複数の入力チャンネルを有するオシロスコープに入力して、同時に表示する。ここで、光電変換素子の出力は、光電変換素子の短絡電流を、前述の基準デバイスの場合と同様の考え方で選択したシャント抵抗によって、電圧値に変換したものが望ましい。次に、時間的に強度の変化する光、例えばパルス光を基準デバイスと光電変換素子に照射して、オシロスコープで、放射照度検出回路と光電変換素子の出力波形を比較する。次に、2つの出力波形を、図4のように、放射照度Eがある値(例えば1000W/m2)の時の値I0で規格化して表示する。図4において、401は、測定対象の光電変換素子の出力波形を規格化したもの、402は、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の出力波形を規格化したものである。最後に、前記放射照度検出回路のR、C、L等の値を変更することによって、放射照度検出回路の光応答時定数を調整し、図4における402の波形が、白抜き矢印の方向に移動して、401の波形にほぼ重なるように調整する。以上の工程によって、光応答時定数の値を計算することなく、実験的に光応答時定数を調整することができる。
【0091】
さらに、好ましくは、以下の状態を実現するように、設計あるいは実験によって、放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくようにすることが、望ましい。
【0092】
すなわち、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間(例えば、図4におけるT1からT2の間)の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差(例えば、図4におけるΔI(t))が、前記基準値I0の±3%以内になるように、放射照度検出回路の光応答時定数を光電変換素子の光応答時定数に近づけることが望ましい。それによって、光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を±3%以内の精度で、正確に測定することができる。その結果、光電変換素子の電流電圧特性の照度補正が、±3%以内の精度でなされ、補正後の電流電圧特性の精度が向上する。また、JIS C 8912:結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ の規格における等級Bのソーラシミュレータと同等の放射照度時間変動率(±3%)を有すると見なすことができる。ここで、前記ΔI(t)は、図4に示したように、あるタイミングで測定されるIVデータ1対の測定に要する積分時間をΔtとすれば、Δtの間の前記波形401と波形402の、それぞれの積分値の差を示す。このとき、放射照度検出回路の出力も、同じΔtの積分時間で測定することが望ましい。なお、前記波形401と402を測定する場合は、Δtより小さな時間分解能で、測定しなければならない。
【0093】
さらに、より好ましくは、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)を、前記I0の±1%以内になるように光応答時定数を近づけることがより望ましい。それによって、光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を±1%以内の精度で、正確に測定することができ、JIS C 8912の規格における等級Aのソーラシミュレータと同等の放射照度時間変動率(±1%)を有すると見なすことができる。
【0094】
また、本発明の測定方法において、好ましくは、前記放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に可変できるようにすることが望ましい。例えば、前記コンデンサとして、可変容量コンデンサを、あるいは、前記抵抗として、可変抵抗を、あるいは、インダクタとして、可変インダクタを利用することによって、放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に可変できるようにすることができる。また、光応答時定数の調整範囲等の問題によって、光応答時定数を連続的に可変する事が困難である場合には、時定数の異なる積分回路を複数接続し、リレーで切り替えて、離散的に光応答時定数を変えられるようにしても良い。
【0095】
なお、本発明の測定方法における基準デバイスを校正する場合は、上記放射照度検出回路からの出力を校正することが望ましい。その場合、定常光のソーラシミュレータを用いることが望ましい。また、前述の常用二次基準デバイスを用い、前記常用一次基準デバイスから校正値を移し替える場合は、放射照度検出回路の光応答時定数を前述の方法で、測定対象の光電変換素子の光応答時定数に近づけた後、測定に用いるソーラシミュレータによる光照射面に、測定対象の光電変換素子を置く位置と同じ位置に、常用一次基準デバイスを置き、常用一次基準デバイスが校正値を再現する時の、常用二次基準デバイスを含む放射照度検出回路の出力値を記録する。
【0096】
(電流電圧特性測定手段)
電流電圧特性測定手段は、電圧検出手段と電流検出手段からなる。電圧検出手段と電流検出手段は、デジタルマルチメータ、または、アナログデジタル変換ボード(A/Dボード)と抵抗を組み合わせたもの等、公知の手段を用いれば良い。
【0097】
(電圧可変手段)
測定対象の光電変換素子の電圧を可変させる手段は、バイポーラ電源、電子負荷、コンデンサに蓄積した電荷の放電等、公知の手段を用いればよい。また、光電変換素子に流れる電流を制御しつつ変化させて、光電変換素子の電圧を測定しても良い。
【0098】
電圧または電流を制御しつつ変化させる場合に、電流電圧特性測定を得るためには、電圧または電流を掃引しなければならない。この掃引は、連続的変化でもステップ状変化でも良いが、測定対象の光電変換素子の充放電に対する時定数を考慮し、充放電の時定数よりも十分長い測定間隔でIVデータを測定するようにすることが望ましい。このことは、静電容量の大きい光電変換素子を測定する場合に特に重要である。
【0099】
(計測制御/データ処理手段)
以上の計測器を制御する手段および計測されたデータを処理する手段として、パーソナルコンピュータ等の計測器とデータのやりとりが可能なデータ処理手段を設けることが望ましい。また、データ処理手段は、計測器の制御が可能な機能も有しているものが望ましく、計測器の制御をプログラミングできるものがさらに望ましい。
【0100】
さらに、このような計測制御/データ処理手段を用いて、前記放射照度検出回路の光応答時定数を制御できるようにすることが望ましい。
【0101】
また、前記計測制御/データ処理手段によって、検出された放射照度により測定された光電変換素子の電流電圧特性のデータを照度補正できるようにすることが望ましい。また、電流電圧特性のデータの温度補正もできるようにすることが望ましい。照度補正、温度補正の数式は、公知の数式を用いれば良い。
【0102】
また本発明においては、上記光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法を、光電変換素子の製造工程の一部に組み込むことにより、製造する光電変換素子の特性のばらつきを抑制し、品質の安定性を高めることができる。さらに測定値に基づいて例えば光電変換素子の形成条件を適宜調整することにより、歩留まりをさらに向上させることができる。
【0103】
例えば、特開2002−252362号公報に開示されている光起電力装置の一例である太陽電池モジュールの製造工程において、樹脂封止工程の前に直列あるいは並列に接続する前の単位素子(いわゆる太陽電池セル)の電流電圧特性を測定する工程として、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことができる。
【0104】
このように光起電力素子の製造工程に本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことにより、光起電力素子の完成に至る中間の段階で、素子特性を正確に把握することができるため、製造工程の早い段階で、不良品を選別することが可能になる。それによって、中間段階で選別した良品のみ、以降の工程に流すようにすることができ、不良品に費やされる材料あるいは工程を削減できて、光起電力素子の製造コストを低減できる。しかも従来の測定方法では(光応答時定数の影響で)必ずしも正確に測定できなかった電流電圧特性を、より正確に測定することができるため、測定誤差による光起電力素子製造歩留まりの変動を抑制し、製造歩留まりを安定化させることができる。また、本発明の測定方法による正確な電流電圧特性の測定によって、製造する光電変換素子の特性のばらつきを抑制し、品質の安定性を高めることができる。さらに、必要に応じて測定値に基づいて例えば光電変換素子の形成条件を適宜調整することにより、歩留まりをさらに向上させることができる。これは例えば何らかの原因(例えばプラズマCVD工程における高周波電力の不足)で、光電変換素子特性に異常が発生した場合であっても、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程が、中間段階に挿入されていることによって、異常をいち早く検出し、早期に対応することができて、対応の間に作成されてしまう不良品の量を削減することができることによるものである。
【0105】
また、例えば、前記太陽電池モジュールの製造工程において、完成した太陽電池モジュールの電流電圧特性を測定する最終検査工程として、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことができる。
【0106】
光電変換素子の製造工程の最終検査工程として、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことによって、従来よりも正確に電流電圧特性を測定することができるため、製造歩留まりの変動を抑制し、製造歩留まりを安定化させることができ、また、出荷する光電変換素子の品質の安定性を高めることができる。
【0107】
さらに、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定方法を、光電変換素子の製造工程の中間段階および最終段階の両方の検査工程として組み込むことによって、上述の効果に加えて、光電変換素子の各製造工程が光起電力素子の特性に及ぼす影響あるいは製造歩留まりへの影響を分析することが容易になり、製造歩留まり、あるいは出荷する光電変換素子の品質をさらに向上させることができる。
【0108】
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、これら実施例は例示であり、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0109】
[実施例1]
前述の実施態様例で説明した、図1の測定装置を用いて、本発明の測定方法によって、以下のように光電変換素子を測定した。
【0110】
すなわち、測定対象の光電変換素子102としては、光入射側からアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)と、アモルファスシリコンゲルマニウムをi層に用いたpin接合(a−SiGeセル)と、アモルファスシリコンゲルマニウムをi層に用いたpin接合(a−SiGeセル)をこの順に積層した構造のa−Si/a−SiGe/a−SiGeトリプル型太陽電池モジュールを用いた。
【0111】
前記トリプル型太陽電池モジュールは、1枚のステンレス基板上に作成された、35cm×24cmの大きさのセルを、支持板上でバイパスダイオードを挿入しつつ5枚直列に接続し、表面保護層を形成したものであり、アパチャーエリアは、約120cm×35cm、外形の大きさは、約140cm×42cmである。
【0112】
照射光101としては、有効照射エリア150cm×100cmのロングパルスソーラシミュレータによるパルス光を用いた。該パルス光の放射照度の時間変化の説明図を図5に示した。時間T1からT2までの電流電圧特性取得中の時間は、約200msecであり、その間の平均放射照度は、1000W/m2であった。しかしながら、図5に示したように電流電圧特性取得中の放射照度は、安定ではなく、変動している。
【0113】
基準デバイス103としては、基準デバイスとしての長期間に渡る特性安定性が必要なため、前記トリプル型太陽電池モジュールと同じ構成のトリプル型太陽電池セルではなく、結晶シリコン太陽電池の光入射側に光学フィルターを取り付けて、前記トリプル型太陽電池の分光感度に近似した分光感度を有するものを用いた。これを、本実施例では、基準セルと呼ぶ。また、基準セルのパッケージは、表面に黒色アルマイト処理を施したアルミニウムのブロックを用いた公知のもの(例えばJIS C 8911に示されている)を用い、パッケージの外側にペルチェ素子を取り付けて、セルの温度が、25℃±2℃になるように温度調整した。
【0114】
放射照度検出回路104としては、図2に示した、RC積分回路を用いた。また、RC回路の直列抵抗Rの一部は、基準セルの短絡電流を電圧に変換するシャント抵抗として兼用した。
【0115】
電圧検出手段105および108、電流検出手段106としては、高速A/Dボードを用い、計測制御/データ処理手段109として、パーソナルコンピュータを用いて、A/Dボードによる取得データをパーソナルコンピュータに取り込んで、データ処理を行った。ここで、電圧検出と電流検出の測定の積分時間は、0.1msecとした。すなわち、光電変換素子の電流電圧特性の1点1点のIVデータを実際に測定している時間、および放射照度の測定時間(前述のΔt)が、0.1msecということになる。
【0116】
電圧可変手段107としては、プログラマブルなバイポーラ電源を用い、V<0,I>0のIsc側から、V>0,I<0のVoc側に向かって、光電変換素子に印加する電圧を掃引した。このとき、印加電圧値は、予めパーソナルコンピュータで、光電変換素子のVocに応じて設定された値を、バイポーラ電源のメモリに記憶させてから、階段状に128点変化させた。ここで、電圧を変化させる時間間隔は、本実施例の光電変換素子であるトリプル型太陽電池モジュールが、比較的大きな静電容量を持ち、充放電の時定数が大きいことを考慮して、1.5msecとし、電源による設定電圧値を変化させた後、1msecの遅延時間の後、光電変換素子のIVデータの取得を開始するようにした。
【0117】
まず、放射照度検出回路の光応答時定数をトリプル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、RC積分回路の時定数を、実施態様例と同様に以下のようにして調整した。すなわち、前記放射照度検出回路とトリプル型太陽電池モジュールに、ロングパルスソーラシミュレータのパルス光を照射しつつ、オシロスコープで、短絡電流の変化をモニターした。図4を参照する前述の実施態様例で説明した手順で、RC積分回路の主にコンデンサのキャパシタンスCを調整することによって、電流電圧特性測定中の、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)を、前記基準短絡電流値I0の±1%以内になるように光応答時定数を近づけることができた。このとき、前述のようにA/DボードによるIVデータ取得の積分時間が、0.1msecであるので、図4におけるΔtも0.1msecとした。なお、一度光応答時定数を調整した後は、同じタイプのトリプル型太陽電池モジュールは、同じ調整で、前記ΔI(t)を±1%以内の精度にすることができた。
【0118】
以上の方法で、RC積分回路の時定数を調整した後、ロングパルスソーラシミュレータに放射照度検出回路をセットし、以下の手順で、基準セルを用いた放射照度検出回路の校正を行った。すなわち、まず、測定する光電変換素子と同じ構成のトリプル型太陽電池モジュールを予め作成し、これを光劣化させて安定化し、前述の常用一次基準デバイスとした。ここで、ソーラシミュレータの照射光には、照度あるいは、スペクトルの場所むらが存在するため、常用一次基準デバイスは、測定対象の光電変換素子と同じ構成、同じ大きさであることが重要である。そのため、トリプル型太陽電池モジュールを使用した。次に、この常用一次基準デバイスのモジュールを公的機関に測定依頼して、短絡電流の測定値を得た(測定した時点では、積層型太陽電池の測定のJIS規格ができていなかったので、校正値とは呼ばないことにする。)。次に、前記常用一次基準デバイスを、ロングパルスソーラシミュレータの測定対象のモジュールをセットする位置と同じ位置にセットし、パルス光を照射して短絡電流を測定し、公的機関で測定された短絡電流の値を示す時の放射照度検出回路の出力電圧を記録することによって、値を移し替え、基準セルを用いた放射照度検出回路を常用二次基準デバイスとして校正した。このとき、常用一次基準デバイスの温度が、25℃±1℃になるように、雰囲気温度を調整した。なお、このような校正は、ロングパルスソーラシミュレータの放射照度の場所むら、あるいはスペクトルが変化しない限り、繰り返す必要が無く、安定して放射照度検出回路を用いることができた。
【0119】
次に、常用一次基準デバイスのモジュールを取り除いて、同じ位置に測定対象のトリプル型太陽電池モジュールをセットし、放射照度検出回路によって、ロングパルスソーラシミュレータのパルス光の放射照度をモニターしつつ、前記モジュールの電流電圧特性を測定した。詳しくは、前述のように階段状に印加電圧を変化させて、1msecの遅延時間を設けた後、積分時間0.1msecで、放射照度とモジュールのIVデータをA/Dボードによって取得し、Isc側からVoc側に128点分のデータをパーソナルコンピュータに取り込んだ。なお、トリプル型太陽電池モジュールの裏面に、シート型の銅コンスタンタンの熱電対を貼り付けて、IVデータ測定中のモジュール温度を測定した。
【0120】
次に、前記128点分のIVデータを同時に測定した放射照度によって、1点1点照度補正を行った。照度補正の補正式は、JIS C 8913:結晶系太陽電池セル出力測定方法 の6.2項に記載された、公知の補正式を用いた。ここで、2つの照度レベルのデータからの補正ではなく、測定した1つの照度レベルのデータのみから補正するために、結晶系太陽電池セルの補正式を用いた。また、モジュールのシリーズ抵抗Rsの値は、Voc近傍のIVデータの接線の傾きから推定して求めた。
【0121】
次に、照度補正済みの128点分のIVデータを、IVデータ測定中のモジュール温度の測定値によって、温度補正した。温度補正は、JIS C 8934:アモルファス太陽電池セル出力測定方法 の6.2項に記載された、公知の補正式を用いた。
【0122】
以上の照度補正と温度補正のデータ処理をパーソナルコンピュータで行った結果、トリプル型太陽電池モジュールの最終結果としての電流電圧特性(補正後IVカーブ)が得られた。
【0123】
得られた電流電圧特性の精度を検証するため、同じトリプル型太陽電池モジュールを屋外で、太陽光下で電流電圧特性を測定した。この時、モジュールは、太陽を追尾する架台に設置し、同じ架台に、前記結晶シリコン太陽電池の基準セルを取り付けて、太陽光の放射照度を検出した。また、測定時の太陽光スペクトルも測定した。電流電圧特性の測定は、快晴で、放射照度800〜1200W/m2の範囲で、エアマス1.5±0.1の安定した日射条件で、測定した太陽光スペクトルが、前記基準太陽光に近い条件を選んで行った。したがって、放射照度の変動の影響はなく、基準太陽光に近い理想的な条件で、電流電圧特性を測定した。なお、前記基準セルは、公的機関で、定常光ソーラシミュレータによって測定された短絡電流値を校正値として用いて、放射照度を計算した。また、前述のパルス光の場合と同様にモジュールの温度を測定し、さらに、太陽光によるモジュールの温度上昇を抑制するため、測定を開始するまで太陽光を遮蔽しておき、測定直前に、モジュールに太陽光をあてるようにした。なお、基準セルは、25℃±2℃に温度制御した。また、前述のパルス光の場合と同様に、測定された、IVデータに対して、照度補正、温度補正を行い、補正後IVカーブを得た。
【0124】
パルス光ソーラシミュレータによって測定された補正後IVカーブ(屋内)と、屋外で測定された補正後IVカーブを図6に示す。図6において、実線は、屋内測定のIVカーブ、点線は、屋外測定のIVカーブである。また、補正後IVカーブから計算された、出力特性値(Voc、Isc、FF、Pmaxの値)を、パルス光ソーラシミュレータによるものを屋内値、太陽光によるものを屋外値として、以下の表1に示す。また、屋外値を1とした屋内値を、屋内/屋外として、表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
図6から明らかなように、本発明の測定方法によって測定した、パルス光ソーラシミュレータによる補正後IVカーブは、屋外で測定された補正後IVカーブに良く一致した。また、表1から明らかなように、パルス光ソーラシミュレータによる補正後IVカーブから計算した出力特性値は、屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0127】
また、パルス光ソーラシミュレータによって測定された補正後IVカーブは、滑らかな形であり、Isc近傍のIVカーブを直線で近似できる部分を、最小二乗法で直線近似し、その部分のIVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差を計算したところ、相対値で0.15%であった。この結果は、本発明の特徴である基準セルを用いた放射照度検出回路によって、トリプル型太陽電池モジュールにとっての実効的なパルス光放射照度が、適切に検出されたことを示す。
【0128】
以上の結果から明らかなように、本発明の測定方法によって、トリプル型太陽電池モジュールの電流電圧特性を、正確に測定することができた。
【0129】
[比較例1]
実施例1において、本発明の特徴である基準セルを用いた放射照度検出回路を用いず、パルス光ソーラシミュレータの放射照度を、基準セルの短絡電流をシャント抵抗で電圧変換して直接検出する、従来の測定方法によって、前記トリプル型太陽電池モジュールを測定した。放射照度検出回路以外は、実施例1と同様にして測定した。得られた補正後IVカーブを図7に示す。
【0130】
また、得られた補正後IVカーブから、実施例1と同様に、出力特性値を計算し、表2に示す。ここで、屋外値は、実施例1と同じものである。
【0131】
【表2】
【0132】
また、実施例1と同様にパルス光ソーラシミュレータによって測定された補正後IVカーブのIsc近傍を直線近似し、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差を計算したところ、相対値で1.2%であった。
【0133】
以上の結果から、従来の測定方法によって、パルス光ソーラシミュレータで測定したトリプル型太陽電池モジュールの補正後IVカーブは、図7と前記標準偏差値から明らかなように、ガタツキがあり、屋外で測定された補正後IVカーブとずれが認められた。また、表2から明らかなように補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値と最大2.4%のずれが認められた。
【0134】
シャント抵抗を含めた前記基準セルとトリプル型太陽電池モジュールの光応答性を比較するため、実施例1と同様に、ロングパルスソーラシミュレータのパルス光を照射しつつ、オシロスコープで、短絡電流の変化をモニターすることによって評価したところ、電流電圧特性測定中の、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)は、前記基準短絡電流値I0に対し、最大で3.6%あった。
【0135】
このことから、比較例1の補正後IVカーブのガタツキと屋外測定値からのずれの原因は、前記基準セルの光応答性が、トリプル型太陽電池モジュールの光応答性と異なっていて、実効的な放射照度の検出が不正確になったためと考えられる。
【0136】
[実施例2]
実施例1において、基準セルを用いた放射照度検出回路として、RC積分回路の代わりに、図3に示した、RL積分回路を用いた以外は、実施例1と同様の測定装置によって、前記トリプル型太陽電池モジュールを測定した。
【0137】
ここで、放射照度検出回路の光応答時定数をトリプル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、RL積分回路の時定数を、実施例1と同様にして調整した。
【0138】
その結果、実施例1と同様に、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.17%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0139】
[実施例3]
実施例1において、基準セルを用いた放射照度検出回路として、RC積分回路の代わりに、光電変換素子を用いた以外は、実施例1と同様の測定装置によって、前記トリプル型太陽電池モジュールを測定した。
【0140】
ここで、光電変換素子としては、トリプル型太陽電池モジュールと同じ層構成のトリプル型太陽電池セルを用いた。ただし、このトリプル型太陽電池セル(以下、時定数調整用セルと表記する。)には、光が入射しないように、遮蔽物で覆った。時定数調整用セルは、基準セルと並列に、セルの正極どうしを接続する方向(順方向)に接続する。まず、基準セルに入射した光によって、基準セルに光電流が発生する。ここで、並列接続された時定数調整用セルは、光があたってなく、光電流がないので、基準セルで発生した光電流が、時定数調整用セルに流れ込んで飽和するまで、過渡的に、シャント抵抗に流れる光電流の立ち上がりが遅れる。すなわち、時定数調整用セルは、コンデンサとして働き、基準セルの光電流がコンデンサに充電される時定数の分、放射照度検出回路としての光応答時定数を増大させることができる。ここで、時定数調整用セルの面積が大きいものを用いるか、複数並列に接続すれば、静電容量Cを変化させることができる。本実施例のトリプル型太陽電池のような、薄膜半導体光起電力素子は、単位面積あたりの静電容量が大きいので、静電容量の大きいコンデンサとして、好適に用いることができる。
【0141】
ここで、放射照度検出回路の光応答時定数をトリプル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、実施例1と同様にして、オシロスコープでモニターし、時定数の異なる時定数調整用セルをいくつか入れ替えて適切なものを選択することにより、放射照度検出回路の時定数を調整した。
【0142】
その結果、実施例1と同様に、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.19%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0143】
[実施例4]
実施例1において、基準セルを用いた放射照度検出回路の、RC積分回路の、コンデンサを可変容量コンデンサに変更したことと、ソーラシミュレータを有効照射エリア130cm×80cmのショートパルスソーラシミュレータに変更したことと、測定対象の光電変換素子をトリプル型太陽電池モジュールから、以下のダブル型太陽電池モジュールに変更したこと以外は、実施例1と同様の測定装置によって、ダブル型太陽電池モジュールを測定した。
【0144】
ここで、ダブル型太陽電池とは、光入射側からアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)と、微結晶シリコンをi層に用いたpin接合(μc−Siセル)をこの順に積層した構造のa−Si/μc−Siダブル型太陽電池である。また、ダブル型太陽電池モジュールとは、35cm×12cmの大きさのダブル型太陽電池セルを、支持板上でバイパスダイオードを挿入しつつ10枚直列に接続し、表面保護層を形成したものであり、アパチャーエリアは、約120cm×35cm、外形の大きさは、約140cm×42cmである。
【0145】
また、前記基準セルの分光感度をダブル型太陽電池に近似させるため、光学フィルターを実施例1とは異なるものを用いた。
【0146】
ショートパルスソーラシミュレータのパルス光の持続時間は、約1msecで、図4に示したような波形である。また、放射照度検出回路によって検出された放射照度が、設定値に達したら、ダブル型太陽電池モジュールの電圧と電流の測定のトリガーをかけて、1パルスにつき、1点のIVデータを取得する、マルチパルス法によって、電流電圧特性を測定した。ここで、パルス光の発光間隔は、80msecであり、ダブル型太陽電池モジュールに印加する電圧を階段状に変化させる間隔も80msecとして、パルス光の発光終了直後に印加電圧を変化させるようにした。また、放射照度検出とダブル型太陽電池モジュールの電圧と電流の検出の積分時間(前述のΔt)は、全て0.02msecとした。
【0147】
ここで、放射照度検出回路の光応答時定数をダブル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、RC積分回路の時定数を、実施例1と同様にして調整した。このとき、コンデンサを可変容量コンデンサに変更したことによって、RC積分回路の時定数を連続的に変化させることができるので、オシロスコープのモニターを見ながら、時定数を調整することができ、前記光応答時定数の調整が容易になった。また、測定対象の光電変換素子の種類が変わって、放射照度検出回路の光応答時定数を再調整しなければならない場合も、容易に対応することができた。なお、本実施例では、パルス光の持続時間が短く、パルス光の単位時間あたりの変化率(放射照度の時間微分値)が大きく、前記積分時間Δtが小さいので、オシロスコープによるモニタリングのノイズが大きめになって、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)は、前記基準短絡電流値I0の±1.5%以内であった。
【0148】
本実施例の測定の結果、実施例1と同様に、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.22%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値に±1.2%以内の差で、良く一致した。
【0149】
[実施例5]
実施例1において、照射光として太陽光を用いて屋外測定にしたことと、測定対象の光電変換素子をトリプル型太陽電池モジュールから、以下のアモルファスシリコン太陽電池モジュールに変更したこと以外は、実施例1と同様の測定装置によって、アモルファスシリコン太陽電池モジュールを測定した。
【0150】
ここで、アモルファスシリコン太陽電池モジュールとは、ガラス基板上にアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)を形成して直列に接続した10cm×10cmのサブモジュールを3直列、7並列接続して形成したもので、外形の大きさは、約40cm×85cmである。
【0151】
また、前記基準セルの分光感度をa−Siセルに近似させるため、光学フィルターを実施例1とは異なるものを用いた。
【0152】
また、本実施例は、屋外測定であり、太陽光を追尾する架台に、アモルファスシリコン太陽電池モジュールと、基準セルを用いた放射照度検出回路を設置して測定した。ただし、気象条件としては、快晴ではなく、雲があって、放射照度が変動する条件で測定した。
【0153】
なお、前記基準セルは、放射照度検出回路を付けた状態で、公的機関で、定常光ソーラシミュレータによって測定された短絡電流値を校正値として用いて、放射照度を計算した。また、実施例1と同様にモジュールの温度を測定し、さらに、太陽光によるモジュールの温度上昇を抑制するため、測定を開始するまで太陽光を遮蔽しておき、測定直前に、モジュールに太陽光をあてるようにした。また、基準セルは、25℃±2℃に温度制御した。
【0154】
また、放射照度検出回路の光応答時定数をアモルファスシリコン太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、予め、RC積分回路の時定数を、実施例1と同様に、パルス光を用いて調整しておいた。
【0155】
また、得られた電流電圧特性の精度を検証するため、実施例1と同様に、屋外で、快晴、放射照度800〜1200W/m2の範囲で、エアマス1.5±0.1の安定した日射条件の下で、アモルファスシリコン太陽電池モジュールの電流電圧特性を測定した。すなわち、放射照度の変動がほとんどなく、基準太陽光に近い理想的な条件で、電流電圧特性を測定して、結果を比較した。
【0156】
その結果、雲があって、放射照度が変動する条件であっても、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.11%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、放射照度の変動がない理想的な条件での屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0157】
【発明の効果】
本発明によって、以下のような効果がある。
【0158】
すなわち、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする光電変換素子の測定方法によって、照射光の放射照度が、時間的に変動する場合であっても、測定する光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を正確に検出することができ、光電変換素子の電流電圧特性の照度補正が正確になり、最終的な結果として得られる光電変換素子の照度補正後の電流電圧特性が正確になる。
【0159】
また、前記光が、放射照度が時間的に変動する光であることによって、本発明の測定方法によって光電変換素子の電流電圧特性の測定結果が正確になる効果が、より顕著になる。
【0160】
また、前記光が人工光源によるパルス光である場合、本発明の測定方法によって、面積の大きな光電変換素子を屋内で正確に測定することができる。例えば、光電変換素子を生産する場合、製造した光電変換素子の光電変換出力を検査する装置に、本発明の測定方法を適用すれば、検査装置の精度が向上するので、検査性能が安定し、その結果製造の歩留まりも安定する。
【0161】
また、前記光が太陽光である場合、本発明の測定方法によって、気象条件による放射照度の時間変動がある場合においても、光電変換素子の電流電圧特性を正確に測定することができる。したがって、例えば、光電変換素子を屋外に設置して、その特性を太陽光によって測定する場合、快晴で放射照度の安定した気象条件でなくても測定できるので、測定機会が大幅に増える。
【0162】
また、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を用いることによって、放射照度検出回路の光応答時定数を容易に増大させて、光電変換素子の光応答時定数に近づけることができる。
【0163】
また、前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を用いることによって、放射照度検出回路の光応答時定数の調整範囲を広げることができ、光応答時定数の大きな光電変換素子であっても、放射照度検出回路の光応答時定数を近づけて、電流電圧特性を正確に測定することができる。
【0164】
また、前記光応答時定数を連続的に変化させることによって、光応答時定数の微調整が可能になり、光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。さらに、光応答時定数の異なる複数の光電変換素子を短時間の間に測定する場合も、容易に光応答時定数を変更して調整できる。
【0165】
また、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差が、±3%以内になるように、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることによって、光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を±3%以内の精度で、正確に測定することができる。その結果、光電変換素子の電流電圧特性の照度補正が、±3%以内の精度でなされ、補正後の電流電圧特性の精度が向上する。また、JIS C 8912:結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ の規格における等級Bのソーラシミュレータと同等の放射照度時間変動率(±3%)を有すると見なすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法と測定装置の一例を模式的に説明する説明図である。
【図2】基本的なRC積分回路を用いた放射照度検出回路の一例の説明図である。
【図3】基本的なRL積分回路を用いた放射照度検出回路の一例の説明図である。
【図4】オシロスコープによる放射照度検出回路と光電変換素子の出力波形を規格化して比較した一例の説明図である。
【図5】ロングパルスソーラシミュレータによるパルス光の一例の波形の説明図である。
【図6】実施例1における光電変換素子の電流電圧特性の測定結果を示したグラフである。
【図7】比較例1における光電変換素子の電流電圧特性の測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
101 照射光
102 光電変換素子
103 基準デバイス
104 基準デバイスを用いた放射照度検出回路
105 光電変換素子の電圧検出手段
106 光電変換素子の電流検出手段
107 光電変換素子の電圧可変手段
108 放射照度検出回路の出力検出手段
109 計測制御/データ処理手段
201 コンデンサ
202 抵抗
301 インダクタ
302 抵抗
401 測定対象の光電変換素子の出力波形を規格化したもの
402 基準デバイスを用いた放射照度検出回路の出力波形を規格化したもの
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池、光起電力素子、光センサーなどの光電変換素子の電流電圧特性を光照射下で測定する測定方法および測定装置、並びに光電変換素子の製造方法及び製造装置に関する。なお、本発明では、光電変換素子を直列あるいは並列に接続して作成した光電変換装置も、光電変換素子に含める。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池、光起電力素子、光センサーなどの光電変換素子の光電変換特性は、光照射下で、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定することによって測定される。その測定方法は、照射光として太陽光を利用する方法と人工光源を利用する方法に大別される。さらに、前記人工光源を利用する方法は、定常光の光源を用いる方法とパルス光の光源を用いる方法に分けられる。
【0003】
ところで、近年、前記光電変換素子の実用化が進むにしたがって、受光面積の大きな光電変換素子の電流電圧特性を、太陽光の標準的な放射照度である1000W/m2程度の放射照度の下で測定する必要が増している。
【0004】
しかるに、大面積の光電変換素子の電流電圧特性を光照射下で測定するためには、1000W/m2程度の強度の光を、大面積に均一に照射する必要がある。人工光源を利用する場合、そのためには、例えば照射面積1m2あたり数十kw程度の大電力の放電灯が必要となる。しかしながら、そのような大電力の放電灯で定常光を発生させるには、大電力を定常的に供給せねばならないことから、非常に大規模な設備が必要であり、現実的ではない。
【0005】
そこで、定常光ではなく、パルス光を発生させることによって、大面積の光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法が、知られている。パルス光を発生させる疑似太陽光光源は、正確な定義はないが、一般的に、パルス光の持続時間がおおよそ20msec以上のものをロングパルスソーラシミュレータ、前記持続時間が数msecのものをショートパルスソーラシミュレータと呼ばれている。パルス光によって、光電変換素子の電流電圧特性を測定する場合は、定常光の場合のような測定中の光電変換素子の温度上昇の問題がほとんどなく、温度補正をほとんど必要としないという長所もある。
【0006】
ロングパルスソーラシミュレータの技術としては、例えば、特許文献1、特許文献2に開示されている。どちらも、待機点灯させた放電灯に、瞬間的に定格電流を越える大電流を流すことによって、光電変換素子の電流電圧特性を測定する間の時間、1000W/m2程度の強度の光を、20msec以上のパルス幅で、大面積に均一に照射することを可能にしている。
【0007】
また、ショートパルスソーラシミュレータとしては、例えば、Spectrolab社から、Large Area Pulsed Solar Simulatorが、Spire社から、SPI−SUN SIMULATORシリーズが、市販されている。
【0008】
また、光電変換素子の電流電圧特性を測定する場合に、例えば電圧を掃引させて、電圧値と電流値のデータ対(以下、IVデータと表記する。)をn点(nは、2以上の整数)測定するとすれば、n点のIVデータを複数回のパルス光に分けて測定し、電圧を変化させつつ複数回のパルス光によって、n点のIVデータを取得する方法(以下、マルチパルス法と略記する。)がある。この方法に用いられる疑似太陽光光源は、ショートパルスソーラシミュレータであり、マルチパルス法による測定システムも、前記2社から市販されている。
【0009】
なお、ショートパルスソーラシミュレータを用いる場合の、特有の問題として、光電変換素子の応答性の問題が、非特許文献1に記載されている。この文献で述べられている問題は、光電変換素子に印加する電圧を掃引させる速度が速いと、光電変換素子の静電容量Cが大きいものは特に、IVカーブが歪むことである。これは、光電変換素子が本質的に静電容量を有するので、光電変換素子に印加する電圧を変化させると、コンデンサーの充放電と同様の現象が起きることに起因している。ショートパルスソーラシミュレータは、パルス光の持続時間が短いので、必然的に光電変換素子の電流電圧特性を測定する時間が短くなり、光電変換素子に印加する電圧を掃引する時間も短くなってしまう。この文献で述べられている応答性の問題は、光電変換素子の充放電の応答性の問題であり、基本的には、電圧を印加した後、充放電の応答に十分な時間を経過した後、光電変換素子の電流を測定することによって解決される問題である。
【0010】
同様の問題点は、前記特許文献1、特許文献2でも認識されており、これらに開示されたロングパルスソーラシミュレータの技術では、パルス光の持続時間を長くすることによって、光電変換素子に印加する電圧を変化させる時間間隔を長くして、充放電の応答性が遅い光電変換素子の電流電圧特性の測定を可能にしている。
【0011】
【特許文献1】
特公平4−53271号公報
【特許文献2】
特公平6−105280号公報
【非特許文献1】
「Errors in Current−Voltage Measurement of Photovoltaic Devices Introduced by Flash Simulators」(H.Ossenbrink,et.al. 10th European Photovoltaic Solar Energy Conference p1055)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者は、光電変換素子の電流電圧特性の正確な測定のためには、充放電の応答性を考慮して、印加電圧を変える時間間隔を長くするだけでは十分ではなく、基準デバイスと測定対象の光電変換素子の光応答性の違いに対して対策を取ることが必要であるという知見を得た。以下に詳述する。
【0013】
まず、測定対象の光電変換素子と基本的に同じ構造の光電変換素子で、定められた基準で選別され、校正されたものは、基準デバイスと呼ばれ、例えば、IEC 60904−2、あるいは、IEC 60904−6に規定されている。基準デバイスには、例えば、基準セル、基準モジュール等がある。光電変換素子の電流電圧特性を測定する際には、前記基準デバイスの短絡電流の値を校正値と比較することによって、照射光の放射照度を検出する。
【0014】
定常光の人工光源を用いる場合は、放射照度が一定に制御されているので、光電変換素子の電流電圧特性を測定する前あるいは後に放射照度を検出しても良い。しかし、パルス光の人工光源を用いる場合、あるいは、太陽光を用いる場合は、放射照度が一定ではないので、光電変換素子の電流電圧特性の測定と同時に、前記基準デバイスによって、放射照度を検出しなければならない。
【0015】
しかしながら、光電変換素子の電流電圧特性を測定中に放射照度を検出する場合、基準デバイスは一般に、面積が小さく、かつ直並列接続されていない基本単位もの(セル)を用いることが多い。それは、人工光源による光照射面や、屋外で太陽光を追尾する架台の面積が限られているため、また、公的機関によって校正できる基準デバイスの大きさが限られているため、等の理由による。また、測定する光電変換素子の種類によっては、同じ種類の素子では、経時的に特性の安定した基準デバイスが得られない場合など、基準デバイスと光電変換素子の素子の種類が異なる場合もある。このように、素子の種類が異なる、あるいは面積が異なる、あるいは直並列の接続が異なるなどの理由によって、測定中に放射照度を検出する基準デバイスと光電変換素子の間で、出力の光応答性が、異なることが多い。なお、本明細書では、照射光の放射照度の変動に対する、基準デバイスあるいは光電変換素子の、短絡電流の応答の時定数を、光応答時定数と表記する。
【0016】
以上のように、基準デバイスの光応答時定数が、測定する光電変換素子の光応答時定数と異なっている状況では、前述のようなパルス光や太陽光などの放射照度が変動する光の下では、測定対象の光電変換素子にとって実効的な放射照度の検出が正確でなくなり、光電変換素子の電流電圧特性の測定結果が不正確になってしまうという問題があった。なお、この問題は、前述した光電変換素子の充放電の応答性の問題ではなく、光電変換素子の光に対する応答性の問題である。
【0017】
この問題は、薄膜半導体を光電変換層に用いた光電変換素子のように、光応答時定数の大きな光電変換素子を、パルス光を用いて測定する場合に顕著であり、ロングパルスソーラシミュレータを用いて、光電変換素子の印加電圧を変える時間間隔を長くした場合であっても、図7のように測定された電流電圧特性をプロットしたカーブ(IVカーブ)が、定常光の下で示す本来のIVカーブに比べて、歪みやガタツキが出ることがあった。
【0018】
【発明の目的】
本発明の目的は、上述した問題点を解決し、パルス光や太陽光などの強度が変動する光の下であっても、光電変換素子の電流電圧特性を正確に測定できる方法および装置、並びに光電変換素子の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記IVカーブの歪みの原因を詳細に検討した結果、被測定光電変換素子と基準デバイスの光応答時定数の違いによって、パルス光の実効的な放射照度検出値にずれが生じているためという知見を得た。この知見に基づいて対策を検討した結果、以下の構成の光電変換素子の測定方法および測定装置、並びに光電変換素子の製造方法及び製造装置によって、前述の目的を達成できた。
【0020】
すなわち、本発明は、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする光電変換素子の測定方法である。
【0021】
ここで、例えば、前記光は、放射照度が時間的に変動する光であることが好ましい。
【0022】
ここで、例えば、前記光は、人工光源によるパルス光であることが好ましい。
【0023】
ここで、例えば、前記光は、太陽光であることが好ましい。
【0024】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を用いることによって、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を増大させて、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることが好ましい。
【0025】
ここで、例えば、前記積分回路として、RC回路を用いることが好ましい。
【0026】
ここで、例えば、前記積分回路として、RL回路を用いることが好ましい。
【0027】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、半導体素子を用いることが好ましい。
【0028】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を用いることが好ましい。
【0029】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に変化させることが好ましい。
【0030】
ここで、例えば、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差が、±3%以内になるように、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることが好ましい。
【0031】
また、本発明は、少なくとも、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射する手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路と、光電変換素子の電流電圧特性測定手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段とを有することを特徴とする光電変換素子の測定装置である。
【0032】
ここで、例えば、前記光を照射する手段として、パルス光を発生させる人工光源を有することが好ましい。
【0033】
ここで、例えば、太陽光に対して実質的に同じ角度で前記基準デバイスと前記光電変換素子を屋外に設置する手段を有することが好ましい。
【0034】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を有することが好ましい。
【0035】
ここで、例えば、前記積分回路として、RC回路を有することが好ましい。
【0036】
ここで、例えば、前記積分回路として、RL回路を有することが好ましい。
【0037】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、半導体素子を有することが好ましい。
【0038】
ここで、例えば、前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を有することが好ましい。
【0039】
ここで、例えば、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段は、該光応答時定数を連続的に変化させる手段であることが好ましい。
【0040】
また、本発明は、基板上に少なくとも1つ以上の光電変換部分を形成する工程と、前記工程により形成された光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記電流電圧特性を測定する工程は、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整する工程を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法である。
【0041】
ここで、例えば、前記光電変換素子は、少なくとも1つ以上の薄膜半導体による半導体接合を有することが好ましい。
【0042】
ここで、例えば、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程は、前記光電変換素子を製造する複数の工程の中間段階にあることが好ましい。
【0043】
ここで、例えば、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程における測定値に基づいて、前記光電変換素子を形成する各工程の何れかを、前記測定値が所定の範囲内になるように調整することが好ましい。
【0044】
さらに、本発明は、少なくとも光電変換部分形成手段と、電流電圧特性測定手段とを有する光電変換素子の製造装置であって、前記電流電圧特性測定手段は、少なくとも、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射する手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路と、光電変換素子の電流電圧特性測定手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段とを有することを特徴とする光電変換素子の製造装置である。
【0045】
【作用】
本発明の測定方法によって、以下の作用がある。
【0046】
まず、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、基準デバイスそのものの光応答時定数に比べて、測定する光電変換素子の光応答時定数に近づける。
【0047】
基準デバイスを用いた放射照度検出回路と光電変換素子の光応答時定数が近づいた結果、照射光が時間的に変動した場合においても、測定する光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を正確に測定することができる。
【0048】
光電変換素子の電流電圧特性は、検出された放射照度によって、照度補正される。放射照度の測定値が正確になることによって、照度補正が正確になり、それによって、最終的な結果として得られる光電変換素子補正後の電流電圧特性が正確になる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0050】
図1は、本発明の測定方法と測定装置の一例を模式的に説明する説明図である。図1において、101は照射光、102は測定対象の光電変換素子、103は基準デバイス、104は基準デバイスを用いた放射照度検出回路、105は光電変換素子の電圧検出手段、106は光電変換素子の電流検出手段、107は光電変換素子の電圧可変手段、108は放射照度検出回路の出力検出手段、109は計測制御/データ処理手段である。図1において、実線は、電気的な接続を、点線は、データおよび計測制御命令のつながりを示す。
【0051】
以下、本発明の構成の詳細について述べる。
【0052】
(光電変換素子)
本発明の測定方法によって測定される光電変換素子の種類としては、太陽電池、フォトダイオード等の光起電力素子、光センサー、電子写真感光体等が挙げられる。
【0053】
光電変換の機能を有するのは、主に半導体接合であり、半導体接合の種類としては、pn接合、pin接合、ショットキー接合、MIS型接合などが挙げられる。また、他の種類の光電変換素子として、例えば、色素増感型太陽電池等の湿式太陽電池も挙げられる。
【0054】
半導体材料としては、結晶質、多結晶質、微結晶質、非晶質のものが挙げられ、物質としては、Si、SiC、SiGe、C、Ge等のIV族あるいはIV族化合物、GaAs、AlGaAs、InP、InSb等のIII−V族化合物、ZnSe、ZnO、CdS、CdTe、Cu2S等のII−VI族化合物、CuInSe2、CuInS2等のI−III−VI2族化合物、有機半導体等、あるいは上述の化合物の混合物が挙げられる。
【0055】
また、光電変換素子を直列あるいは並列に接続したり、耐環境性容器に封入したりして作成された、光電変換装置も光電変換素子と同様に、本発明の測定方法によって測定される。
【0056】
また、本発明の測定方法は、上記の光電変換素子の内、薄膜半導体を用いたもの等、光応答性の遅い、すなわち光応答時定数の大きいものに特に好適に適用される。光応答時定数の大きいものは、基準デバイスの光応答時定数と差が広がり易いので、従来の測定方法では、電流電圧特性の測定値に誤差が出易いからである。
【0057】
また、本発明の測定方法を適用する光電変換素子は、照射光の放射照度に対する電流電圧特性の依存性(照度依存性)が分かっているものが望ましい。それによって、電流電圧特性の照度補正が正確になる。少なくとも、照度補正に用いる素子の直列抵抗成分Rsが判明しているか、あるいは同等の光電変換素子から推測できることが望ましい。
【0058】
また、光電変換素子は、電流電圧特性の温度係数が分かっていることが望ましい。具体的には、開放電圧、短絡電流、曲線因子それぞれの温度係数が分かっていることが望ましい。光電変換素子自体の温度係数を測定することが困難である場合は、同等の光電変換素子の温度係数の代表値を用いても良い。また、光電変換素子を測定する場合に、光電変換素子は、25±2℃になるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難である場合には、前述の温度係数によって温度補正を行い、25℃における特性を求めることが必要である。
【0059】
(照射光)
本発明の測定方法に用いられる光は、太陽光でも人工光源による光でも良い。人工光源の場合は、後述する疑似太陽光光源が望ましい。
【0060】
なお、本発明において、放射照度が時間的に変動する光とは、以下の式(1)で定義される、規定時間内の放射照度の時間変動率(ΔE(t))が、±1%を越える光を指す。また、規定時間とは、放射照度を検出する時間に、光電変換素子の電流電圧特性を測定している時間を加えた、全てデータの測定時間を指す。
ΔE(t)=±(Emax−Emin)/(Emax+Emin)×100…式(1)
ここで、
Emax:規定時間内の放射照度の最大値
Emin:規定時間内の放射照度の最小値
【0061】
したがって、放射照度の時間変動率が±1%以下の定常光ソーラシミュレータの光、あるいは快晴で放射照度の時間変動率が±1%以下の太陽光は、放射照度が時間的に変動する光とは見なさない。放射照度が時間的に変動する光の例としては、パルス光や、放射照度が安定していない太陽光、放射照度が安定していない定常光などがある。
【0062】
照射光の放射照度は、好ましくは、500〜1500W/m2、より好ましくは800〜1200W/m2の範囲で測定することが望ましい。放射照度が、1000W/m2に近いほど、照度補正の補正量が少ないので、照度補正による誤差が小さくなる。
【0063】
照射光として、太陽光を用いる場合は、太陽光の放射照度が安定している快晴時は、従来の測定方法でもほとんど問題はない。雲などがあって、放射照度が変化する場合に、本発明の測定方法が有効である。
【0064】
(疑似太陽光光源)
疑似太陽光光源を用いる場合、公知のソーラーシミュレータが適している。
【0065】
光源のランプとしては、キセノンランプ、メタルハライドランプ等が好適に用いられる。点灯方法は、連続点灯(定常光)でもパルス点灯(パルス光)でも良い。
【0066】
なお、本発明の測定方法は、パルス光を用いるソーラシミュレータを用いる場合に特に好適に適用される。パルス光を用いる場合、放射照度の単位時間あたりの変動(放射照度の時間微分値)が大きく、光電変換素子と基準デバイスの光応答時定数の差の影響が大きいからである。また、前記放射照度の時間変動率(ΔE(t))が大きい場合も、前記光応答時定数の差の影響が大きくなり、本発明の測定方法による有効性が顕著になる。
【0067】
パルス光型のソーラシミュレータとしては、前述のロングパルスソーラシミュレータ、ショートパルスソーラシミュレータの何れも好適に用いられる。
【0068】
(基準デバイス)
基準デバイスは、基本的に前記光電変換素子と同じ構成の素子を用いることが望ましいが、異なる材料によって構成されていても良い。ただし、異なる材料を用いた場合は、基準デバイスの分光感度が、光電変換素子と同等の分光感度を有するようにフィルター等で、分光感度を調整することが望ましい。それによって、基準デバイスを用いて照射光の放射照度を測定するときに、照射光のスペクトルと光電変換素子の分光感度に起因する誤差が少なくなり、光電変換素子の電流電圧特性の測定結果が正確になる。
【0069】
基準デバイスは、経時的に特性が安定であるように処理されていることが望ましい。基準デバイスを、光、熱、湿度等に対して、安定化させることにより、基準デバイスの後述する基準状態における校正値の信頼性が高まり、光電変換素子の電流電圧特性の測定が正確になる。また、基準状態における校正値を再測定する時間間隔を広くとることができる。ここで、基準状態とは、一般に、光電変換素子の電流電圧特性の測定条件を統一するために導入された標準で、照射する光の強度とスペクトルと光電変換素子の温度等の試験条件を規定している。基準状態(Standard Test Condition、STCと略記されることがある。)は、JIS C 8960に以下のように規定されている。
太陽電池の温度:25℃
照射する光のスペクトル:基準太陽光
(基準太陽光は、エアマス1.5の理想太陽光スペクトルであり、JIS C8911に規定されている。)
照射する光の放射照度:1000W/m2
【0070】
基準デバイスは、前記基準状態における短絡電流があらかじめ測定されていることが望ましい。基準状態における短絡電流の測定方法は、例えば、JIS C8911:二次基準結晶系太陽電池用セル、あるいは、IEC 60904−2:Photovoltaic devices Part2 Requirements for reference solar cells、あるいは、IEC 60904−6:Photovoltaic devices Part6 Requirements for reference solarmodules等の規格に記載された公知の方法を取れば良い。定められた規格にしたがって、公的な機関で測定された値は、校正値と呼ばれる。基準デバイスの基準状態における短絡電流は、公的機関で校正値として値付けされていることが望ましい。なお、基準デバイスを複数用い、これらを常用一次基準デバイス、常用二次基準デバイスとすれば、常用一次基準デバイスは、公的機関で校正し、常用二次基準デバイスは、事業者自ら、常用一次基準デバイスから、値を移し替えて使用しても良い。
【0071】
基準デバイスは、短絡電流の温度係数が分かっているものを使用することが望ましい。基準デバイス自体の温度係数を測定することが困難である場合は、同じ構成の光電変換素子の温度係数の値を用いても良い。また、基準デバイスを用いて、光電変換素子を測定する場合に、基準デバイスは、25±2℃になるように温度調整することが望ましい。温度調整することが困難である場合には、前述の温度係数を用い、規格に述べられた公知の温度補正方法によって温度補正を行って、25℃における短絡電流を求めることが必要である。
【0072】
基準デバイスと光電変換素子の分光感度の関係が、式(2)で計算されるミスマッチ係数Mnが0.98以上1.02以下であることが望ましい。
Mn=∫Eo(λ)Qr(λ)dλ/∫Et(λ)Qr(λ)dλ×∫Et(λ)Qs(λ)dλ/∫Eo(λ)Qs(λ)dλ…式(2)
ここで、
Eo(λ):基準太陽光のスペクトル強度
Et(λ):照射光のスペクトル強度
Qr(λ):基準デバイスの分光感度
Qs(λ):光電変換素子の分光感度
【0073】
人工光源を用いる場合のように、照射光の放射照度に場所むらが有る場合は、基準デバイスの発電部面積は、光電変換素子の発電部面積と、好ましくは、±20%以下、より好ましくは、±10%以下、最適には±5%以下の範囲で近似していることが望ましい。基準デバイスと光電変換素子の発電部面積が近似することによって、照射される光の場所むらによる誤差が大幅に低減されるからである。なお、放射照度の場所むらがほとんどない太陽光による測定の場合、あるいは、前記常用二次基準デバイスを、光電変換素子の電流電圧特性測定中に、照射光の放射照度をモニターするために用いる場合は、発電部面積が近似してなくても良い。ただし、照射エリアのどの部分に常用二次基準デバイスを設置するかは、固定しておくことが望ましい。また、照射光の放射照度あるいはスペクトルの場所むらが、変化した場合は、前記常用一次基準デバイスから、前記常用二次基準デバイスへの値の移し替えをやり直す必要がある。
【0074】
(放射照度検出回路)
放射照度検出回路は、本発明の測定方法および測定装置において、最も重要な部分である。放射照度検出回路は、前述した基準デバイスと光応答時定数を変化させる手段と電流検出回路からなり、基本的に基準デバイスの短絡電流によって、放射照度を検出する機能を有する。
【0075】
前記電流検出回路は、電流検出用シャント抵抗と電圧計など、公知の技術を用いればよい。ここで、前記電流検出回路は、基準デバイスの電流電圧特性を測定する訳ではないので、厳密には短絡電流そのものは検出できない。しかし、短絡電流にほぼ一致する電流値を測定することができるので、放射照度の検出としては問題ない。ただし、電流検出用シャント抵抗の抵抗値Rdetは、検出電流Idetが、定常光に対する基準デバイスの短絡電流Irefの0.99以上であるように選ぶことが望ましい。
【0076】
すなわち、前記IrefとIdetの差をΔIref、電流検出用シャント抵抗によって、基準デバイスにかかる順バイアス電圧をVdet、基準デバイス自身のシャント抵抗をRrshとすれば、
ΔIref=Vdet/Rrsh=Rdet・Idet/Rrsh…式(3)
であるから、この式(3)を変形すれば、
となり、Rdetは、Rrshの1%以下の値を選ぶことが望ましい。
【0077】
Rdetにかかる電圧を測定する手段は、電圧計あるいは、A/Dボードなど公知の電圧測定手段を用いればよい。もしくは、前記検出電流Idetを直接公知の電流測定手段を用いて測定しても良い。その場合、具体的には、例えば、前記Rdshは、少なくとも、電流測定手段の電流検出のための内部抵抗を、固定値Rdetにして、前記式(4)を満たすようにしなければならない。
【0078】
前述のように、光電変換素子の電流電圧特性測定中に、照射光の放射照度をモニターする場合は、比較的面積の小さい、前記常用二次基準デバイスを用いることが多く、このような基準デバイスは、測定する光電変換素子に比べると、光応答時定数が小さいことが多い。したがって、光応答時定数を変化させる手段としては、光応答時定数を大きくする手段を用いることが多い。したがって、光応答時定数を大きくする手段としては、入力波形に対して、出力波形の時定数を大きくする積分回路が好適に用いられる。
【0079】
積分回路の最も基本的な例としては、図2のような、抵抗RとコンデンサCを用いたRC積分回路、あるいは、図3のような抵抗RとインダクタLを用いたRL積分回路がある。図2および図3は、図1の基準デバイスを用いた放射照度検出回路104を中心に拡大して詳細を説明した図であり、点線で囲った部分が、放射照度検出回路104に相当する。図2および図3において、101、103、104、108は、それぞれ、図1と同様に、照射光、基準デバイス、基準デバイスを用いた放射照度検出回路、放射照度検出回路の出力検出手段を指す。図2において、201はコンデンサ、202は抵抗である。図3において、301はインダクタ、302は抵抗である。これらの積分回路において、基準デバイスと並列に接続される抵抗Rについては、少なくともその一部を、前記電流検出用シャント抵抗Rdetと兼ねさせることもできる。どちらの場合も、積分回路の入力は、基準デバイスの出力電流を想定している。ここで、抵抗Rは、複数の抵抗を直列に接続して用いても良い。また、以上の基本回路構成を組み合わせて、もっと複雑な積分回路を構成しても良い。
【0080】
また、前記積分回路における抵抗R、コンデンサC、インダクタLの基本回路素子を、半導体素子あるいは半導体素子を用いた回路によって、等価的に実現しても良い。さらに、各種アンプを用いて、出力を増幅しても良い。
【0081】
さらに、前記RC積分回路のコンデンサCを実現する素子として、一般の光電変換素子を用いても良い。半導体接合を有する光電変換素子は、静電容量を有し、コンデンサとして機能することができる。この場合、コンデンサ用の光電変換素子は、基準デバイスと並列に接続する。また、その光電流が、基準デバイスの短絡電流に影響しないように、コンデンサ用の光電変換素子に照射光が入射しないような措置をとる必要がある。
【0082】
なお、前記積分回路を付加することによって、照射光の放射照度Eに対する放射照度検出回路の出力Pの相関の直線性を大きく損なうことがあってはならない。ただし、照射光の変動に対する、前記出力Pの変動の感度が、低くならない限り、直線性からの多少のずれは、許容される。少なくとも、放射照度Eが800〜1200W/m2の範囲で、前記出力Pの放射照度Eに対する直線性が、照度補正に問題がない程度に維持されていることが望ましい。
【0083】
また、前記放射照度検出回路の出力は、通常は電圧で出力されることが望ましい。よって、放射照度検出回路の出力検出手段は、後述する公知の電圧検出手段を用いれば良い。
【0084】
以下、前記積分回路による、放射照度検出回路の光応答時定数の調整について、詳述する。
【0085】
例えば、前述の単純なRC積分回路を用いた場合の、放射照度検出回路の光応答時定数τdetは、基準デバイスの光応答時定数をτrefとすれば、近似的に以下の式(5)のように表される。
τdet=τref+RC …式(5)
【0086】
ここで、測定対象の光電変換素子の光応答時定数をτsamとすれば、以下の式(6)を満たすようにRC積分回路の抵抗値RとコンデンサCの容量を選択すれば良い。
τref+RC=τsam …式(6)
【0087】
また、単純なRL積分回路の場合は、前記式(5)と式(6)は、近似的に以下の式(7)と式(8)のようになる。
τdet=τref+L/R …式(7)
τref+L/R=τsam …式(8)
【0088】
複雑な積分回路の場合は、前述のような単純な式で表すことはできないが、基本的には同様の概念で、放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように設計することができる。ここで、基準デバイスと光電変換素子の光応答時定数、τrefとτsamは、半導体接合の光電変換の時定数であって、半導体接合に入射した光によって、フォトキャリアが生成し、両極に拡散して、電極から電流として取り出されるまでの過程の時定数を意味する。このように半導体接合の光電変換の時定数は、複数の過程から成り立っていて、単純な式で表すことはできない。しかしながら、例えば、同じ元素あるいは化合物の半導体材料であれば、非晶質半導体による半導体接合の場合は、単結晶半導体による半導体接合に比べて、フォトキャリアのモビリティμ、かつ/あるいは、寿命τが小さいと考えられ、光応答時定数が大きくなる。
【0089】
なお、現実的には、前記R、C、L等の値を計算だけで設計するのは困難な場合もある。例えば、前記τref、τsamを求めることが困難な場合である。そのような場合は、例えば、以下のような手法で、R、C、L等の適切な値を実験的に求めることができる。
【0090】
すなわち、まず、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の出力と測定する光電変換素子の出力を複数の入力チャンネルを有するオシロスコープに入力して、同時に表示する。ここで、光電変換素子の出力は、光電変換素子の短絡電流を、前述の基準デバイスの場合と同様の考え方で選択したシャント抵抗によって、電圧値に変換したものが望ましい。次に、時間的に強度の変化する光、例えばパルス光を基準デバイスと光電変換素子に照射して、オシロスコープで、放射照度検出回路と光電変換素子の出力波形を比較する。次に、2つの出力波形を、図4のように、放射照度Eがある値(例えば1000W/m2)の時の値I0で規格化して表示する。図4において、401は、測定対象の光電変換素子の出力波形を規格化したもの、402は、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の出力波形を規格化したものである。最後に、前記放射照度検出回路のR、C、L等の値を変更することによって、放射照度検出回路の光応答時定数を調整し、図4における402の波形が、白抜き矢印の方向に移動して、401の波形にほぼ重なるように調整する。以上の工程によって、光応答時定数の値を計算することなく、実験的に光応答時定数を調整することができる。
【0091】
さらに、好ましくは、以下の状態を実現するように、設計あるいは実験によって、放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくようにすることが、望ましい。
【0092】
すなわち、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間(例えば、図4におけるT1からT2の間)の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差(例えば、図4におけるΔI(t))が、前記基準値I0の±3%以内になるように、放射照度検出回路の光応答時定数を光電変換素子の光応答時定数に近づけることが望ましい。それによって、光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を±3%以内の精度で、正確に測定することができる。その結果、光電変換素子の電流電圧特性の照度補正が、±3%以内の精度でなされ、補正後の電流電圧特性の精度が向上する。また、JIS C 8912:結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ の規格における等級Bのソーラシミュレータと同等の放射照度時間変動率(±3%)を有すると見なすことができる。ここで、前記ΔI(t)は、図4に示したように、あるタイミングで測定されるIVデータ1対の測定に要する積分時間をΔtとすれば、Δtの間の前記波形401と波形402の、それぞれの積分値の差を示す。このとき、放射照度検出回路の出力も、同じΔtの積分時間で測定することが望ましい。なお、前記波形401と402を測定する場合は、Δtより小さな時間分解能で、測定しなければならない。
【0093】
さらに、より好ましくは、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)を、前記I0の±1%以内になるように光応答時定数を近づけることがより望ましい。それによって、光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を±1%以内の精度で、正確に測定することができ、JIS C 8912の規格における等級Aのソーラシミュレータと同等の放射照度時間変動率(±1%)を有すると見なすことができる。
【0094】
また、本発明の測定方法において、好ましくは、前記放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に可変できるようにすることが望ましい。例えば、前記コンデンサとして、可変容量コンデンサを、あるいは、前記抵抗として、可変抵抗を、あるいは、インダクタとして、可変インダクタを利用することによって、放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に可変できるようにすることができる。また、光応答時定数の調整範囲等の問題によって、光応答時定数を連続的に可変する事が困難である場合には、時定数の異なる積分回路を複数接続し、リレーで切り替えて、離散的に光応答時定数を変えられるようにしても良い。
【0095】
なお、本発明の測定方法における基準デバイスを校正する場合は、上記放射照度検出回路からの出力を校正することが望ましい。その場合、定常光のソーラシミュレータを用いることが望ましい。また、前述の常用二次基準デバイスを用い、前記常用一次基準デバイスから校正値を移し替える場合は、放射照度検出回路の光応答時定数を前述の方法で、測定対象の光電変換素子の光応答時定数に近づけた後、測定に用いるソーラシミュレータによる光照射面に、測定対象の光電変換素子を置く位置と同じ位置に、常用一次基準デバイスを置き、常用一次基準デバイスが校正値を再現する時の、常用二次基準デバイスを含む放射照度検出回路の出力値を記録する。
【0096】
(電流電圧特性測定手段)
電流電圧特性測定手段は、電圧検出手段と電流検出手段からなる。電圧検出手段と電流検出手段は、デジタルマルチメータ、または、アナログデジタル変換ボード(A/Dボード)と抵抗を組み合わせたもの等、公知の手段を用いれば良い。
【0097】
(電圧可変手段)
測定対象の光電変換素子の電圧を可変させる手段は、バイポーラ電源、電子負荷、コンデンサに蓄積した電荷の放電等、公知の手段を用いればよい。また、光電変換素子に流れる電流を制御しつつ変化させて、光電変換素子の電圧を測定しても良い。
【0098】
電圧または電流を制御しつつ変化させる場合に、電流電圧特性測定を得るためには、電圧または電流を掃引しなければならない。この掃引は、連続的変化でもステップ状変化でも良いが、測定対象の光電変換素子の充放電に対する時定数を考慮し、充放電の時定数よりも十分長い測定間隔でIVデータを測定するようにすることが望ましい。このことは、静電容量の大きい光電変換素子を測定する場合に特に重要である。
【0099】
(計測制御/データ処理手段)
以上の計測器を制御する手段および計測されたデータを処理する手段として、パーソナルコンピュータ等の計測器とデータのやりとりが可能なデータ処理手段を設けることが望ましい。また、データ処理手段は、計測器の制御が可能な機能も有しているものが望ましく、計測器の制御をプログラミングできるものがさらに望ましい。
【0100】
さらに、このような計測制御/データ処理手段を用いて、前記放射照度検出回路の光応答時定数を制御できるようにすることが望ましい。
【0101】
また、前記計測制御/データ処理手段によって、検出された放射照度により測定された光電変換素子の電流電圧特性のデータを照度補正できるようにすることが望ましい。また、電流電圧特性のデータの温度補正もできるようにすることが望ましい。照度補正、温度補正の数式は、公知の数式を用いれば良い。
【0102】
また本発明においては、上記光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法を、光電変換素子の製造工程の一部に組み込むことにより、製造する光電変換素子の特性のばらつきを抑制し、品質の安定性を高めることができる。さらに測定値に基づいて例えば光電変換素子の形成条件を適宜調整することにより、歩留まりをさらに向上させることができる。
【0103】
例えば、特開2002−252362号公報に開示されている光起電力装置の一例である太陽電池モジュールの製造工程において、樹脂封止工程の前に直列あるいは並列に接続する前の単位素子(いわゆる太陽電池セル)の電流電圧特性を測定する工程として、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことができる。
【0104】
このように光起電力素子の製造工程に本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことにより、光起電力素子の完成に至る中間の段階で、素子特性を正確に把握することができるため、製造工程の早い段階で、不良品を選別することが可能になる。それによって、中間段階で選別した良品のみ、以降の工程に流すようにすることができ、不良品に費やされる材料あるいは工程を削減できて、光起電力素子の製造コストを低減できる。しかも従来の測定方法では(光応答時定数の影響で)必ずしも正確に測定できなかった電流電圧特性を、より正確に測定することができるため、測定誤差による光起電力素子製造歩留まりの変動を抑制し、製造歩留まりを安定化させることができる。また、本発明の測定方法による正確な電流電圧特性の測定によって、製造する光電変換素子の特性のばらつきを抑制し、品質の安定性を高めることができる。さらに、必要に応じて測定値に基づいて例えば光電変換素子の形成条件を適宜調整することにより、歩留まりをさらに向上させることができる。これは例えば何らかの原因(例えばプラズマCVD工程における高周波電力の不足)で、光電変換素子特性に異常が発生した場合であっても、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程が、中間段階に挿入されていることによって、異常をいち早く検出し、早期に対応することができて、対応の間に作成されてしまう不良品の量を削減することができることによるものである。
【0105】
また、例えば、前記太陽電池モジュールの製造工程において、完成した太陽電池モジュールの電流電圧特性を測定する最終検査工程として、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことができる。
【0106】
光電変換素子の製造工程の最終検査工程として、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定工程を組み込むことによって、従来よりも正確に電流電圧特性を測定することができるため、製造歩留まりの変動を抑制し、製造歩留まりを安定化させることができ、また、出荷する光電変換素子の品質の安定性を高めることができる。
【0107】
さらに、本発明の光起電力素子の電流電圧特性測定方法を、光電変換素子の製造工程の中間段階および最終段階の両方の検査工程として組み込むことによって、上述の効果に加えて、光電変換素子の各製造工程が光起電力素子の特性に及ぼす影響あるいは製造歩留まりへの影響を分析することが容易になり、製造歩留まり、あるいは出荷する光電変換素子の品質をさらに向上させることができる。
【0108】
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明するが、これら実施例は例示であり、本発明の範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0109】
[実施例1]
前述の実施態様例で説明した、図1の測定装置を用いて、本発明の測定方法によって、以下のように光電変換素子を測定した。
【0110】
すなわち、測定対象の光電変換素子102としては、光入射側からアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)と、アモルファスシリコンゲルマニウムをi層に用いたpin接合(a−SiGeセル)と、アモルファスシリコンゲルマニウムをi層に用いたpin接合(a−SiGeセル)をこの順に積層した構造のa−Si/a−SiGe/a−SiGeトリプル型太陽電池モジュールを用いた。
【0111】
前記トリプル型太陽電池モジュールは、1枚のステンレス基板上に作成された、35cm×24cmの大きさのセルを、支持板上でバイパスダイオードを挿入しつつ5枚直列に接続し、表面保護層を形成したものであり、アパチャーエリアは、約120cm×35cm、外形の大きさは、約140cm×42cmである。
【0112】
照射光101としては、有効照射エリア150cm×100cmのロングパルスソーラシミュレータによるパルス光を用いた。該パルス光の放射照度の時間変化の説明図を図5に示した。時間T1からT2までの電流電圧特性取得中の時間は、約200msecであり、その間の平均放射照度は、1000W/m2であった。しかしながら、図5に示したように電流電圧特性取得中の放射照度は、安定ではなく、変動している。
【0113】
基準デバイス103としては、基準デバイスとしての長期間に渡る特性安定性が必要なため、前記トリプル型太陽電池モジュールと同じ構成のトリプル型太陽電池セルではなく、結晶シリコン太陽電池の光入射側に光学フィルターを取り付けて、前記トリプル型太陽電池の分光感度に近似した分光感度を有するものを用いた。これを、本実施例では、基準セルと呼ぶ。また、基準セルのパッケージは、表面に黒色アルマイト処理を施したアルミニウムのブロックを用いた公知のもの(例えばJIS C 8911に示されている)を用い、パッケージの外側にペルチェ素子を取り付けて、セルの温度が、25℃±2℃になるように温度調整した。
【0114】
放射照度検出回路104としては、図2に示した、RC積分回路を用いた。また、RC回路の直列抵抗Rの一部は、基準セルの短絡電流を電圧に変換するシャント抵抗として兼用した。
【0115】
電圧検出手段105および108、電流検出手段106としては、高速A/Dボードを用い、計測制御/データ処理手段109として、パーソナルコンピュータを用いて、A/Dボードによる取得データをパーソナルコンピュータに取り込んで、データ処理を行った。ここで、電圧検出と電流検出の測定の積分時間は、0.1msecとした。すなわち、光電変換素子の電流電圧特性の1点1点のIVデータを実際に測定している時間、および放射照度の測定時間(前述のΔt)が、0.1msecということになる。
【0116】
電圧可変手段107としては、プログラマブルなバイポーラ電源を用い、V<0,I>0のIsc側から、V>0,I<0のVoc側に向かって、光電変換素子に印加する電圧を掃引した。このとき、印加電圧値は、予めパーソナルコンピュータで、光電変換素子のVocに応じて設定された値を、バイポーラ電源のメモリに記憶させてから、階段状に128点変化させた。ここで、電圧を変化させる時間間隔は、本実施例の光電変換素子であるトリプル型太陽電池モジュールが、比較的大きな静電容量を持ち、充放電の時定数が大きいことを考慮して、1.5msecとし、電源による設定電圧値を変化させた後、1msecの遅延時間の後、光電変換素子のIVデータの取得を開始するようにした。
【0117】
まず、放射照度検出回路の光応答時定数をトリプル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、RC積分回路の時定数を、実施態様例と同様に以下のようにして調整した。すなわち、前記放射照度検出回路とトリプル型太陽電池モジュールに、ロングパルスソーラシミュレータのパルス光を照射しつつ、オシロスコープで、短絡電流の変化をモニターした。図4を参照する前述の実施態様例で説明した手順で、RC積分回路の主にコンデンサのキャパシタンスCを調整することによって、電流電圧特性測定中の、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)を、前記基準短絡電流値I0の±1%以内になるように光応答時定数を近づけることができた。このとき、前述のようにA/DボードによるIVデータ取得の積分時間が、0.1msecであるので、図4におけるΔtも0.1msecとした。なお、一度光応答時定数を調整した後は、同じタイプのトリプル型太陽電池モジュールは、同じ調整で、前記ΔI(t)を±1%以内の精度にすることができた。
【0118】
以上の方法で、RC積分回路の時定数を調整した後、ロングパルスソーラシミュレータに放射照度検出回路をセットし、以下の手順で、基準セルを用いた放射照度検出回路の校正を行った。すなわち、まず、測定する光電変換素子と同じ構成のトリプル型太陽電池モジュールを予め作成し、これを光劣化させて安定化し、前述の常用一次基準デバイスとした。ここで、ソーラシミュレータの照射光には、照度あるいは、スペクトルの場所むらが存在するため、常用一次基準デバイスは、測定対象の光電変換素子と同じ構成、同じ大きさであることが重要である。そのため、トリプル型太陽電池モジュールを使用した。次に、この常用一次基準デバイスのモジュールを公的機関に測定依頼して、短絡電流の測定値を得た(測定した時点では、積層型太陽電池の測定のJIS規格ができていなかったので、校正値とは呼ばないことにする。)。次に、前記常用一次基準デバイスを、ロングパルスソーラシミュレータの測定対象のモジュールをセットする位置と同じ位置にセットし、パルス光を照射して短絡電流を測定し、公的機関で測定された短絡電流の値を示す時の放射照度検出回路の出力電圧を記録することによって、値を移し替え、基準セルを用いた放射照度検出回路を常用二次基準デバイスとして校正した。このとき、常用一次基準デバイスの温度が、25℃±1℃になるように、雰囲気温度を調整した。なお、このような校正は、ロングパルスソーラシミュレータの放射照度の場所むら、あるいはスペクトルが変化しない限り、繰り返す必要が無く、安定して放射照度検出回路を用いることができた。
【0119】
次に、常用一次基準デバイスのモジュールを取り除いて、同じ位置に測定対象のトリプル型太陽電池モジュールをセットし、放射照度検出回路によって、ロングパルスソーラシミュレータのパルス光の放射照度をモニターしつつ、前記モジュールの電流電圧特性を測定した。詳しくは、前述のように階段状に印加電圧を変化させて、1msecの遅延時間を設けた後、積分時間0.1msecで、放射照度とモジュールのIVデータをA/Dボードによって取得し、Isc側からVoc側に128点分のデータをパーソナルコンピュータに取り込んだ。なお、トリプル型太陽電池モジュールの裏面に、シート型の銅コンスタンタンの熱電対を貼り付けて、IVデータ測定中のモジュール温度を測定した。
【0120】
次に、前記128点分のIVデータを同時に測定した放射照度によって、1点1点照度補正を行った。照度補正の補正式は、JIS C 8913:結晶系太陽電池セル出力測定方法 の6.2項に記載された、公知の補正式を用いた。ここで、2つの照度レベルのデータからの補正ではなく、測定した1つの照度レベルのデータのみから補正するために、結晶系太陽電池セルの補正式を用いた。また、モジュールのシリーズ抵抗Rsの値は、Voc近傍のIVデータの接線の傾きから推定して求めた。
【0121】
次に、照度補正済みの128点分のIVデータを、IVデータ測定中のモジュール温度の測定値によって、温度補正した。温度補正は、JIS C 8934:アモルファス太陽電池セル出力測定方法 の6.2項に記載された、公知の補正式を用いた。
【0122】
以上の照度補正と温度補正のデータ処理をパーソナルコンピュータで行った結果、トリプル型太陽電池モジュールの最終結果としての電流電圧特性(補正後IVカーブ)が得られた。
【0123】
得られた電流電圧特性の精度を検証するため、同じトリプル型太陽電池モジュールを屋外で、太陽光下で電流電圧特性を測定した。この時、モジュールは、太陽を追尾する架台に設置し、同じ架台に、前記結晶シリコン太陽電池の基準セルを取り付けて、太陽光の放射照度を検出した。また、測定時の太陽光スペクトルも測定した。電流電圧特性の測定は、快晴で、放射照度800〜1200W/m2の範囲で、エアマス1.5±0.1の安定した日射条件で、測定した太陽光スペクトルが、前記基準太陽光に近い条件を選んで行った。したがって、放射照度の変動の影響はなく、基準太陽光に近い理想的な条件で、電流電圧特性を測定した。なお、前記基準セルは、公的機関で、定常光ソーラシミュレータによって測定された短絡電流値を校正値として用いて、放射照度を計算した。また、前述のパルス光の場合と同様にモジュールの温度を測定し、さらに、太陽光によるモジュールの温度上昇を抑制するため、測定を開始するまで太陽光を遮蔽しておき、測定直前に、モジュールに太陽光をあてるようにした。なお、基準セルは、25℃±2℃に温度制御した。また、前述のパルス光の場合と同様に、測定された、IVデータに対して、照度補正、温度補正を行い、補正後IVカーブを得た。
【0124】
パルス光ソーラシミュレータによって測定された補正後IVカーブ(屋内)と、屋外で測定された補正後IVカーブを図6に示す。図6において、実線は、屋内測定のIVカーブ、点線は、屋外測定のIVカーブである。また、補正後IVカーブから計算された、出力特性値(Voc、Isc、FF、Pmaxの値)を、パルス光ソーラシミュレータによるものを屋内値、太陽光によるものを屋外値として、以下の表1に示す。また、屋外値を1とした屋内値を、屋内/屋外として、表1に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
図6から明らかなように、本発明の測定方法によって測定した、パルス光ソーラシミュレータによる補正後IVカーブは、屋外で測定された補正後IVカーブに良く一致した。また、表1から明らかなように、パルス光ソーラシミュレータによる補正後IVカーブから計算した出力特性値は、屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0127】
また、パルス光ソーラシミュレータによって測定された補正後IVカーブは、滑らかな形であり、Isc近傍のIVカーブを直線で近似できる部分を、最小二乗法で直線近似し、その部分のIVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差を計算したところ、相対値で0.15%であった。この結果は、本発明の特徴である基準セルを用いた放射照度検出回路によって、トリプル型太陽電池モジュールにとっての実効的なパルス光放射照度が、適切に検出されたことを示す。
【0128】
以上の結果から明らかなように、本発明の測定方法によって、トリプル型太陽電池モジュールの電流電圧特性を、正確に測定することができた。
【0129】
[比較例1]
実施例1において、本発明の特徴である基準セルを用いた放射照度検出回路を用いず、パルス光ソーラシミュレータの放射照度を、基準セルの短絡電流をシャント抵抗で電圧変換して直接検出する、従来の測定方法によって、前記トリプル型太陽電池モジュールを測定した。放射照度検出回路以外は、実施例1と同様にして測定した。得られた補正後IVカーブを図7に示す。
【0130】
また、得られた補正後IVカーブから、実施例1と同様に、出力特性値を計算し、表2に示す。ここで、屋外値は、実施例1と同じものである。
【0131】
【表2】
【0132】
また、実施例1と同様にパルス光ソーラシミュレータによって測定された補正後IVカーブのIsc近傍を直線近似し、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差を計算したところ、相対値で1.2%であった。
【0133】
以上の結果から、従来の測定方法によって、パルス光ソーラシミュレータで測定したトリプル型太陽電池モジュールの補正後IVカーブは、図7と前記標準偏差値から明らかなように、ガタツキがあり、屋外で測定された補正後IVカーブとずれが認められた。また、表2から明らかなように補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値と最大2.4%のずれが認められた。
【0134】
シャント抵抗を含めた前記基準セルとトリプル型太陽電池モジュールの光応答性を比較するため、実施例1と同様に、ロングパルスソーラシミュレータのパルス光を照射しつつ、オシロスコープで、短絡電流の変化をモニターすることによって評価したところ、電流電圧特性測定中の、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)は、前記基準短絡電流値I0に対し、最大で3.6%あった。
【0135】
このことから、比較例1の補正後IVカーブのガタツキと屋外測定値からのずれの原因は、前記基準セルの光応答性が、トリプル型太陽電池モジュールの光応答性と異なっていて、実効的な放射照度の検出が不正確になったためと考えられる。
【0136】
[実施例2]
実施例1において、基準セルを用いた放射照度検出回路として、RC積分回路の代わりに、図3に示した、RL積分回路を用いた以外は、実施例1と同様の測定装置によって、前記トリプル型太陽電池モジュールを測定した。
【0137】
ここで、放射照度検出回路の光応答時定数をトリプル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、RL積分回路の時定数を、実施例1と同様にして調整した。
【0138】
その結果、実施例1と同様に、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.17%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0139】
[実施例3]
実施例1において、基準セルを用いた放射照度検出回路として、RC積分回路の代わりに、光電変換素子を用いた以外は、実施例1と同様の測定装置によって、前記トリプル型太陽電池モジュールを測定した。
【0140】
ここで、光電変換素子としては、トリプル型太陽電池モジュールと同じ層構成のトリプル型太陽電池セルを用いた。ただし、このトリプル型太陽電池セル(以下、時定数調整用セルと表記する。)には、光が入射しないように、遮蔽物で覆った。時定数調整用セルは、基準セルと並列に、セルの正極どうしを接続する方向(順方向)に接続する。まず、基準セルに入射した光によって、基準セルに光電流が発生する。ここで、並列接続された時定数調整用セルは、光があたってなく、光電流がないので、基準セルで発生した光電流が、時定数調整用セルに流れ込んで飽和するまで、過渡的に、シャント抵抗に流れる光電流の立ち上がりが遅れる。すなわち、時定数調整用セルは、コンデンサとして働き、基準セルの光電流がコンデンサに充電される時定数の分、放射照度検出回路としての光応答時定数を増大させることができる。ここで、時定数調整用セルの面積が大きいものを用いるか、複数並列に接続すれば、静電容量Cを変化させることができる。本実施例のトリプル型太陽電池のような、薄膜半導体光起電力素子は、単位面積あたりの静電容量が大きいので、静電容量の大きいコンデンサとして、好適に用いることができる。
【0141】
ここで、放射照度検出回路の光応答時定数をトリプル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、実施例1と同様にして、オシロスコープでモニターし、時定数の異なる時定数調整用セルをいくつか入れ替えて適切なものを選択することにより、放射照度検出回路の時定数を調整した。
【0142】
その結果、実施例1と同様に、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.19%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0143】
[実施例4]
実施例1において、基準セルを用いた放射照度検出回路の、RC積分回路の、コンデンサを可変容量コンデンサに変更したことと、ソーラシミュレータを有効照射エリア130cm×80cmのショートパルスソーラシミュレータに変更したことと、測定対象の光電変換素子をトリプル型太陽電池モジュールから、以下のダブル型太陽電池モジュールに変更したこと以外は、実施例1と同様の測定装置によって、ダブル型太陽電池モジュールを測定した。
【0144】
ここで、ダブル型太陽電池とは、光入射側からアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)と、微結晶シリコンをi層に用いたpin接合(μc−Siセル)をこの順に積層した構造のa−Si/μc−Siダブル型太陽電池である。また、ダブル型太陽電池モジュールとは、35cm×12cmの大きさのダブル型太陽電池セルを、支持板上でバイパスダイオードを挿入しつつ10枚直列に接続し、表面保護層を形成したものであり、アパチャーエリアは、約120cm×35cm、外形の大きさは、約140cm×42cmである。
【0145】
また、前記基準セルの分光感度をダブル型太陽電池に近似させるため、光学フィルターを実施例1とは異なるものを用いた。
【0146】
ショートパルスソーラシミュレータのパルス光の持続時間は、約1msecで、図4に示したような波形である。また、放射照度検出回路によって検出された放射照度が、設定値に達したら、ダブル型太陽電池モジュールの電圧と電流の測定のトリガーをかけて、1パルスにつき、1点のIVデータを取得する、マルチパルス法によって、電流電圧特性を測定した。ここで、パルス光の発光間隔は、80msecであり、ダブル型太陽電池モジュールに印加する電圧を階段状に変化させる間隔も80msecとして、パルス光の発光終了直後に印加電圧を変化させるようにした。また、放射照度検出とダブル型太陽電池モジュールの電圧と電流の検出の積分時間(前述のΔt)は、全て0.02msecとした。
【0147】
ここで、放射照度検出回路の光応答時定数をダブル型太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、RC積分回路の時定数を、実施例1と同様にして調整した。このとき、コンデンサを可変容量コンデンサに変更したことによって、RC積分回路の時定数を連続的に変化させることができるので、オシロスコープのモニターを見ながら、時定数を調整することができ、前記光応答時定数の調整が容易になった。また、測定対象の光電変換素子の種類が変わって、放射照度検出回路の光応答時定数を再調整しなければならない場合も、容易に対応することができた。なお、本実施例では、パルス光の持続時間が短く、パルス光の単位時間あたりの変化率(放射照度の時間微分値)が大きく、前記積分時間Δtが小さいので、オシロスコープによるモニタリングのノイズが大きめになって、前記規格化短絡電流値の差ΔI(t)は、前記基準短絡電流値I0の±1.5%以内であった。
【0148】
本実施例の測定の結果、実施例1と同様に、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.22%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、屋外測定による値に±1.2%以内の差で、良く一致した。
【0149】
[実施例5]
実施例1において、照射光として太陽光を用いて屋外測定にしたことと、測定対象の光電変換素子をトリプル型太陽電池モジュールから、以下のアモルファスシリコン太陽電池モジュールに変更したこと以外は、実施例1と同様の測定装置によって、アモルファスシリコン太陽電池モジュールを測定した。
【0150】
ここで、アモルファスシリコン太陽電池モジュールとは、ガラス基板上にアモルファスシリコンをi層に用いたpin接合(a−Siセル)を形成して直列に接続した10cm×10cmのサブモジュールを3直列、7並列接続して形成したもので、外形の大きさは、約40cm×85cmである。
【0151】
また、前記基準セルの分光感度をa−Siセルに近似させるため、光学フィルターを実施例1とは異なるものを用いた。
【0152】
また、本実施例は、屋外測定であり、太陽光を追尾する架台に、アモルファスシリコン太陽電池モジュールと、基準セルを用いた放射照度検出回路を設置して測定した。ただし、気象条件としては、快晴ではなく、雲があって、放射照度が変動する条件で測定した。
【0153】
なお、前記基準セルは、放射照度検出回路を付けた状態で、公的機関で、定常光ソーラシミュレータによって測定された短絡電流値を校正値として用いて、放射照度を計算した。また、実施例1と同様にモジュールの温度を測定し、さらに、太陽光によるモジュールの温度上昇を抑制するため、測定を開始するまで太陽光を遮蔽しておき、測定直前に、モジュールに太陽光をあてるようにした。また、基準セルは、25℃±2℃に温度制御した。
【0154】
また、放射照度検出回路の光応答時定数をアモルファスシリコン太陽電池モジュールの光応答時定数に近づけるために、予め、RC積分回路の時定数を、実施例1と同様に、パルス光を用いて調整しておいた。
【0155】
また、得られた電流電圧特性の精度を検証するため、実施例1と同様に、屋外で、快晴、放射照度800〜1200W/m2の範囲で、エアマス1.5±0.1の安定した日射条件の下で、アモルファスシリコン太陽電池モジュールの電流電圧特性を測定した。すなわち、放射照度の変動がほとんどなく、基準太陽光に近い理想的な条件で、電流電圧特性を測定して、結果を比較した。
【0156】
その結果、雲があって、放射照度が変動する条件であっても、滑らかな補正後IVカーブが得られ、前述と同様の、IVデータ1点1点の回帰直線からのずれの標準偏差は、相対値で0.11%であった。また、補正後IVカーブから計算した出力特性値も、放射照度の変動がない理想的な条件での屋外測定による値に±1%以内の差で、良く一致した。
【0157】
【発明の効果】
本発明によって、以下のような効果がある。
【0158】
すなわち、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする光電変換素子の測定方法によって、照射光の放射照度が、時間的に変動する場合であっても、測定する光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を正確に検出することができ、光電変換素子の電流電圧特性の照度補正が正確になり、最終的な結果として得られる光電変換素子の照度補正後の電流電圧特性が正確になる。
【0159】
また、前記光が、放射照度が時間的に変動する光であることによって、本発明の測定方法によって光電変換素子の電流電圧特性の測定結果が正確になる効果が、より顕著になる。
【0160】
また、前記光が人工光源によるパルス光である場合、本発明の測定方法によって、面積の大きな光電変換素子を屋内で正確に測定することができる。例えば、光電変換素子を生産する場合、製造した光電変換素子の光電変換出力を検査する装置に、本発明の測定方法を適用すれば、検査装置の精度が向上するので、検査性能が安定し、その結果製造の歩留まりも安定する。
【0161】
また、前記光が太陽光である場合、本発明の測定方法によって、気象条件による放射照度の時間変動がある場合においても、光電変換素子の電流電圧特性を正確に測定することができる。したがって、例えば、光電変換素子を屋外に設置して、その特性を太陽光によって測定する場合、快晴で放射照度の安定した気象条件でなくても測定できるので、測定機会が大幅に増える。
【0162】
また、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を用いることによって、放射照度検出回路の光応答時定数を容易に増大させて、光電変換素子の光応答時定数に近づけることができる。
【0163】
また、前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を用いることによって、放射照度検出回路の光応答時定数の調整範囲を広げることができ、光応答時定数の大きな光電変換素子であっても、放射照度検出回路の光応答時定数を近づけて、電流電圧特性を正確に測定することができる。
【0164】
また、前記光応答時定数を連続的に変化させることによって、光応答時定数の微調整が可能になり、光電変換素子の電流電圧特性をより正確に測定することができる。さらに、光応答時定数の異なる複数の光電変換素子を短時間の間に測定する場合も、容易に光応答時定数を変更して調整できる。
【0165】
また、前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差が、±3%以内になるように、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることによって、光電変換素子の光応答速度に応じた、実効的な放射照度の変化を±3%以内の精度で、正確に測定することができる。その結果、光電変換素子の電流電圧特性の照度補正が、±3%以内の精度でなされ、補正後の電流電圧特性の精度が向上する。また、JIS C 8912:結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ の規格における等級Bのソーラシミュレータと同等の放射照度時間変動率(±3%)を有すると見なすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法と測定装置の一例を模式的に説明する説明図である。
【図2】基本的なRC積分回路を用いた放射照度検出回路の一例の説明図である。
【図3】基本的なRL積分回路を用いた放射照度検出回路の一例の説明図である。
【図4】オシロスコープによる放射照度検出回路と光電変換素子の出力波形を規格化して比較した一例の説明図である。
【図5】ロングパルスソーラシミュレータによるパルス光の一例の波形の説明図である。
【図6】実施例1における光電変換素子の電流電圧特性の測定結果を示したグラフである。
【図7】比較例1における光電変換素子の電流電圧特性の測定結果を示したグラフである。
【符号の説明】
101 照射光
102 光電変換素子
103 基準デバイス
104 基準デバイスを用いた放射照度検出回路
105 光電変換素子の電圧検出手段
106 光電変換素子の電流検出手段
107 光電変換素子の電圧可変手段
108 放射照度検出回路の出力検出手段
109 計測制御/データ処理手段
201 コンデンサ
202 抵抗
301 インダクタ
302 抵抗
401 測定対象の光電変換素子の出力波形を規格化したもの
402 基準デバイスを用いた放射照度検出回路の出力波形を規格化したもの
Claims (25)
- 基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射し、基準デバイスを用いて放射照度を検出しつつ、光電変換素子の電流電圧特性を測定する方法において、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整することを特徴とする光電変換素子の測定方法。
- 前記光は、放射照度が時間的に変動する光であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記光は、人工光源によるパルス光であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記光は、太陽光であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を用いることによって、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を増大させて、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記積分回路として、RC回路を用いることを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記積分回路として、RL回路を用いることを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記積分回路の部品として、半導体素子を用いることを特徴とする請求項5に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を用いることを特徴とする請求項8に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を連続的に変化させることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の光電変換素子の測定方法。
- 前記光電変換素子の電流電圧特性を測定している間の、任意のタイミングで測定された、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路による規格化短絡電流値と光電変換素子の規格化短絡電流値の差が、±3%以内になるように、前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を、前記光電変換素子の光応答時定数に近づけることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の光電変換素子の測定方法。
- 少なくとも、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射する手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路と、光電変換素子の電流電圧特性測定手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段とを有することを特徴とする光電変換素子の測定装置。
- 前記光を照射する手段として、パルス光を発生させる人工光源を有することを特徴とする請求項12に記載の光電変換素子の測定装置。
- 太陽光に対して実質的に同じ角度で前記基準デバイスと前記光電変換素子を屋外に設置する手段を有することを特徴とする請求項12に記載の光電変換素子の測定装置。
- 前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路に、積分回路を有することを特徴とする請求項12乃至14の何れか1項に記載の光電変換素子の測定装置。
- 前記積分回路として、RC回路を有することを特徴とする請求項15に記載の光電変換素子の測定装置。
- 前記積分回路として、RL回路を有することを特徴とする請求項15に記載の光電変換素子の測定装置。
- 前記積分回路の部品として、半導体素子を有することを特徴とする請求項15に記載の光電変換素子の測定装置。
- 前記積分回路の部品として、前記基準デバイスと別の光電変換素子を有することを特徴とする請求項18に記載の光電変換素子の測定装置。
- 前記基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段は、該光応答時定数を連続的に変化させる手段であることを特徴とする請求項12乃至19の何れか1項に記載の光電変換素子の測定装置。
- 基板上に少なくとも1つ以上の光電変換部分を形成する工程と、前記工程により形成された光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記電流電圧特性を測定する工程は、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数が、光電変換素子の光応答時定数に近づくように、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を調整する工程を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
- 前記光電変換素子は、少なくとも1つ以上の薄膜半導体による半導体接合を有することを特徴とする請求項21に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程は、前記光電変換素子を製造する複数の工程の中間段階にあることを特徴とする請求項21又は22に記載の光電変換素子の製造方法。
- 前記光電変換素子の電流電圧特性を測定する工程における測定値に基づいて、前記光電変換素子を形成する各工程の何れかを、前記測定値が所定の範囲内になるように調整することを特徴とする請求項21乃至23の何れか1項に記載の光電変換素子の製造方法。
- 少なくとも光電変換部分形成手段と、電流電圧特性測定手段とを有する光電変換素子の製造装置であって、前記電流電圧特性測定手段は、少なくとも、基準デバイスと光電変換素子に同時に光を照射する手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路と、光電変換素子の電流電圧特性測定手段と、基準デバイスを用いた放射照度検出回路の光応答時定数を変化させる手段とを有することを特徴とする光電変換素子の製造装置。
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