JP2004134294A - 固体高分子電解質 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る固体高分子電解質の1番目は、フッ素系電解質と、フッ素系電解質に添加された酸化防止剤とを備えている。この場合、酸化防止剤は、リンを含有するリン系酸化防止剤が好ましく、特に、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系酸化防止剤が好ましい。また、本発明に係る固体高分子電解質の2番目は、フッ素系電解質と、該フッ素系電解質に導入された耐酸化性官能基とを備えている。この場合、耐酸化性官能基は、リンを含有するリン系官能基を備えた官能基が好ましく、特に、ホスホン酸基を備えた官能基が好ましい。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、電極材料等として好適な固体高分子電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料である。固体高分子電解質は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜等、各種の用途に利用されている。
【0003】
例えば、固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボン繊維、カーボンペーパー等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質との複合体からなる。
【0004】
固体高分子電解質は、高分子鎖内にC−H結合を含む炭化水素系電解質と、C−H結合を含まないフッ素系電解質に大別される。これらの内、過酷な条件下で使用される電気化学デバイスに用いられる電解質膜及び触媒層内電解質には、耐酸化性に優れたフッ素系電解質膜(例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製))を用いるのが一般的である。しかしながら、フッ素系電解質は、製造が困難で、高コストであるという欠点がある。そのため、これらの用途に対し、炭化水素系電解質の使用も検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた主鎖と、スルホン酸基を有する炭化水素系側鎖とから構成される、スルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、酸化劣化時の低分子量成分の脱離を抑制し、燃料電池用の電解質膜としての耐久性を向上させるために、前述したスルホン酸型ポリスチレン−グラフト−ETFE膜に類似のスルホン酸型ポリスチレングラフト樹脂膜に架橋を導入する点が開示されている。
【0007】
また、特許文献3、4には、炭化フッ素系ビニルモノマと炭化水素系ビニルモノマとの共重合によって作られた膜に、α,β,β−トリフルオロスチレンをグラフト重合させ、これにスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜とした、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE膜が開示されている。これは、前記のスルホン酸基を導入したポリスチレン側鎖部の化学的安定性が十分ではないとの認識を前提に、スチレンの代わりに、スチレンをフッ素化したα,β,β−トリフルオロスチレンを用いたものである。
【0008】
さらに、特許文献5、6には、炭化水素系電解質の耐酸化性を向上させるために、炭化水素系電解質にリンを含む官能基を導入した高耐久性固体高分子電解質、及び炭化水素系電解質にポリビニルホスホン酸、ホスホン酸型ポリエーテルスルホン等のリンを含む化合物を混合した固体高分子電解質が本願出願人により開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−102322号公報
【特許文献2】
スイス特許Appl.02 636/93−6
【特許文献3】
米国特許第4,012,303号
【特許文献4】
米国特許第4,605,685号
【特許文献5】
特開2000−11755号公報
【特許文献6】
特開2000−11756号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子型燃料電池や水電解装置の場合、固体高分子電解質膜と電極の界面に形成された触媒層において、電極反応の副反応により過酸化物が生成する。また、生成した過酸化物は、膜内を拡散しながら過酸化物ラジカルとなる。従来の炭化水素系電解質は、この過酸化物ラジカルによって侵蝕されやすく、耐酸化性が低いという問題が残されていた。この理由は、炭化水素系電解質を構成する炭化水素骨格が、過酸化物ラジカルによる酸化反応を受けやすいことによる。
【0011】
そのため、炭化水素系電解質をこの種の用途に用いるためには、上述した特許文献1〜6に開示されているように、炭化水素骨格の一部をフルオロカーボンに置換する、架橋構造を導入する、あるいは、炭化水素系電解質にリン系の官能基又は化合物を導入する等の手段を用いる必要があった。
【0012】
これに対し、フッ素系電解質は、炭化水素系電解質に比べて、極めて耐酸化性に優れていることが知られている。これは、フルオロカーボン骨格の化学的安定性が非常に高いために、過酸化物ラジカルによる劣化反応が起きないと考えられていたためである。そのため、耐久性、信頼性が要求される用途には、専らフッ素系電解質が用いられているのが現状である。
【0013】
しかしながら、本願発明者は、フッ素系電解質であっても、過酸化物が発生する環境下において長時間使用すると、フルオロカーボン骨格が侵蝕され、経時劣化することを見出した。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、フッ素系電解質の耐酸化性を向上させることにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、過酸化物が発生する環境下において長時間使用した場合であっても、経時劣化の少ない固体高分子電解質を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る固体高分子電解質は、フッ素系電解質と、該フッ素系電解質に添加された酸化防止剤とを備えていることを要旨とする。この場合、前記酸化防止剤は、リンを含有するリン系酸化防止剤が好ましく、特に、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系酸化防止剤が好ましい。
【0016】
また、本発明に係る固体高分子電解質の2番目は、フッ素系電解質と、該フッ素系電解質に導入され、かつ前記フッ素系電解質の酸化を抑制する機能を有する耐酸化性官能基とを備えていることを要旨とする。この場合、前記耐酸化性官能基は、リンを含有するリン系官能基を備えた官能基が好ましく、特に、ホスホン酸基を備えた官能基が好ましい。
【0017】
フッ素系電解質に酸化防止剤を添加するか、あるいはフッ素系電解質に耐酸化性官能基を導入すると、酸化防止剤又は耐酸化性官能基によって、ラジカルの生成が抑制され、発生したラジカルが不活性化され、及び/又は過酸化物が安定な化合物に分解する。そのため、過酸化物が発生する環境下において長時間使用した場合であっても、フルオロカーボン骨格の侵蝕が抑制される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の第1の実施の形態に係る固体高分子電解質は、フッ素系電解質と、フッ素系電解質に添加された酸化防止剤とを備えている。
【0019】
本発明において、「フッ素系電解質」とは、パーフルオロ骨格に電解質基が結合しているものをいう。また、「パーフルオロ骨格」とは、C−F結合を含み、かつC−H結合を含まないものをいう。パーフルオロ骨格は、C−F結合のみによって構成されていても良く、あるいは、C−F結合の他に、C−Cl結合やその他の結合(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等)が含まれていても良い。
【0020】
また、電解質基とは、スルホン酸基、カルボン酸基等の電解質イオンを有する官能基をいう。特に、スルホン酸基は、高い電気伝導度が得られるので、電解質基として好適である。フッ素系電解質には、これらの内、1種類の電解質基が含まれていても良く、あるいは、2種以上の電解質基が含まれていても良い。
【0021】
フッ素系電解質に含まれる電解質基の量は、当量重量に換算して、150g/当量以上3000g/当量以下が好ましい。当量重量が3000g/当量を越えると、高い電気伝導度が得られないので好ましくない。一方、当量重量が150g/当量未満であると、電解質が水に対して膨潤しやすくなるので好ましくない。当量重量は、さらに好ましくは、500g/当量以上2000g/当量以下である。また、さらに好ましくは、700g/当量以上1500g/当量以下である。
【0022】
フッ素系電解質としては、具体的には、パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマ(例えば、デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」、旭化成(株)製「アシプレックス(登録商標)」、旭硝子(株)製「フレミオン(登録商標)」等。)、Dow社製のDow膜、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマ、ポリ(トリフルオロビニルスルホン酸)、W.L.Gore&Associates社のGore−Select膜等が挙げられる。
【0023】
本発明において、「酸化防止剤」とは、過酸化物ラジカルを発生させる触媒となる金属イオン(Fe2+、Cu2+等)を不活性化し、過酸化物ラジカルによる連鎖反応の開始を阻害する機能(連鎖開始阻害機能)、発生した過酸化物ラジカルを不活性化させ、過酸化物ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能(連鎖禁止機能)、過酸化物を不活性な化合物に分解し、過酸化物が分解してラジカル化する反応を阻害する機能(過酸化物分解機能)の内のいずれか1以上の機能を備えている化合物をいう。酸化防止剤は、分子量が1000未満の低分子型、又は分子量が1000以上の高分子型のいずれであっても良い。
【0024】
このような機能を有する酸化防止剤には、以下のようなものがある。酸化防止剤の第1の具体例は、リンを含有するリン系酸化防止剤である。リン系酸化防止剤とは、リンを含むリン系官能基を備えた化合物をいう。また、リン系官能基には、3価のリンを含むものと、5価のリンを含むものとがあるが、本発明にいう「リン系官能基」には、これらの双方が含まれる。次の化1の式及び化2の式に、それぞれ、3価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系酸化防止剤及び5価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系酸化防止剤の一般式を示す。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】
なお、化1の式及び化2の式において、x、y、zは、0又は1の値をとる。また、R1、R2及びR3は、一般式CmHnで表される直鎖、環状、もしくは分岐構造のある炭化水素基、又はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子もしくは水素原子である。さらに、y又はzが1の場合には、R2又はR3は、金属原子でもよい。
【0028】
また、本発明において、「リン系官能基」とは、化1又は化2の式において、R1を除いた部分(すなわち、一般式:−Ox−P(OyR2)(OzR3)、又は一般式:−Ox−P(O)(OyR2)(OzR3)で表されるもの)をいう。リン系官能基としては、具体的には、ホスホン酸基(−P(O)(OH)2)、リン酸基(−O−P(O)(OH)2)、ホスホン酸エステル基(−P(O)(OR2)(OR3))、リン酸エステル基(−O−P(O)(OR2)(OR3))、ホスフィン基(−P(R2)(R3))等が挙げられる。
【0029】
これらの内、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸エステル基及びリン酸エステル基等の5価のリンを含有する官能基は、主として連鎖開始阻害機能(すなわち、隣接するリン系官能基によって金属イオンをキレート的に捕捉する機能)を有していると考えられている。一方、ホスフィン基等の3価のリンを含有する官能基は、主として過酸化物分解機能(すなわち、P原子が自ら酸化することによって過酸化物を安定な化合物に分解する機能)を有していると考えられている。これらの中でも、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系酸化防止剤は、金属イオンを効率よく捕捉でき、耐加水分解性などの安定性に優れるので、酸化防止剤として特に好適である。
【0030】
低分子型のリン系酸化防止剤としては、具体的には、リン酸(H3PO4)、トリフェニルフォスファイト((C6H5O)3P)、トリオクタデシルフォスファイト((C18H27O)3P)、トリデシルフォスファイト((C10H21O)3P)、トリラウリルトリチオフォスファイト([CH3(CH2)11S]3P)等が好適な一例として挙げられる。
【0031】
また、高分子型のリン系酸化防止剤としては、具体的には、ポリビニルホスホン酸、ポリスチレンホスホン酸、ビニル系リン酸(例えば、アクリルリン酸エステル(CH2=CHCOOPO(OH)2)、ビニルアルキルリン酸エステル(CH2=CHR−O−PO(OH)2、Rは、−(CH2)n−)などの重合体)、ホスホン酸基を導入したポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルエーテルケトン樹脂、直鎖型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、直鎖型ポリスチレン樹脂、架橋型ポリスチレン樹脂、直鎖型ポリ(トリフルオロスチレン)樹脂、架橋型(トリフルオロスチレン)樹脂、ポリ(2,3−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(アリルエーテルケトン)樹脂、ポリ(アリレンエーテルスルホン)樹脂、ポリ(フェニルキノサンリン)樹脂、ポリ(ベンジルシラン)樹脂、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン−グラフト−ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリスチレン−グラフト−テトラフルオロエチレン樹脂等が好適な一例として挙げられる。
【0032】
さらに、フッ素系電解質からの酸化防止剤の溶出を抑制するためには、リン系酸化防止剤は、高分子型が好ましい。また、高分子型のリン系酸化防止剤に対し、さらに架橋構造を導入しても良い。
【0033】
酸化防止剤の第2の具体例は、分子内にアミド結合(−CO−NH−)を有する化合物(以下、これを「アミド系酸化防止剤」という。)からなる。アミド系酸化防止剤は、主として連鎖開始阻害機能(すなわち、アミド結合のO原子とN原子によって金属イオンがキレート的に捕捉される機能)を有していると考えられている。
【0034】
低分子型のアミド系酸化防止剤としては、具体的には、N−サリシロイル−N’−アルデヒドヒドラジン(C6H4(OH)−CONHNHCHO)、N−サリシロイル−N’−アセチルヒドラジン(C6H4(OH)−CONHNHCOCH3)、N,N’−ジフェニル−オキサミド(C6H5−NHCOCONH−C6H5)、N,N’−ジ(2−ヒドロキシフェニル)オキサミド(C6H4(OH)−NHCOCONH−C6H4(OH))等が好適な一例として挙げられる。
【0035】
また、高分子型のアミド系酸化防止剤としては、具体的には、上記アミド系酸化防止剤を側鎖に持つビニル、アクリル、メタクリル、スチリル等のモノマの重合体や、また、酸化防止機能を有する構造が主鎖に組み込まれた重合体等が好適な一例として挙げられる。なお、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい点、及び高分子型の化合物を用いる場合には、架橋構造を導入しても良い点は、リン系酸化防止剤と同様である。
【0036】
酸化防止剤の第3の具体例は、分子内にベンゼン核と、これに結合するアミノ基(−NH2)又はイミノ結合(−NH−)を有する化合物(以下、これを「アミン系酸化防止剤」という。)からなる。アミン系酸化防止剤は、主として連鎖禁止機能(すなわち、ベンゼン核に結合したアミノ基又はイミノ結合がラジカルを捕捉して、ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能)を有していると考えられている。
【0037】
低分子型のアミン系酸化防止剤といては、具体的には、フェニル−β−ナフリルアミン(C6H5−NH−C10H7)、α−ナフチルアミン(C10H7NH2)、N,N’−ジ−第2ブチル−p−フェニレンジアミン((CH3)2CNH−C6H4−NHC(CH3)2)、フェノチアジン(C6H4SNHC6H4)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(C6H5−NH−C6H4−NH−C6H5)等が好適な一例として挙げられる。
【0038】
また、高分子型のアミン系酸化防止剤といては、具体的には、上記アミン系酸化防止剤を側鎖に持つビニル、アクリル、メタクリル、スチリル等のモノマの重合体や、酸化防止機能を有する構造が主鎖に組み込まれた重合体等が好適な一例として挙げられる。なお、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい点、及び高分子型の化合物を用いる場合には、架橋構造を導入しても良い点は、リン系酸化防止剤と同様である。
【0039】
酸化防止剤の第4の具体例は、フェノール性OH基のo−位に第三ブチル基等の大きな基が導入された化合物(以下、これを「ヒンダードフェノール系酸化防止剤」という。)からなる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、主として連鎖禁止機能(すなわち、フェノール性OH基がラジカルを捕捉して、ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能)を有していると考えられている。
【0040】
低分子型のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、2,6−第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−第三ブチル−フェノール、2,4−ジ−メチル−6−第3ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン等が好適な一例として挙げられる。
【0041】
また、高分子型のヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤を側鎖に持つビニル、アクリル、メタクリル、スチリル等のモノマの重合体や、酸化防止機能を有する構造が主鎖に組み込まれた重合体等が好適な一例として挙げられる。なお、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい点、及び高分子型の化合物を用いる場合には、架橋構造を導入しても良い点は、リン系酸化防止剤と同様である。
【0042】
酸化防止剤の第5の具体例は、分子内に2価の硫黄を有する化合物(以下、これを「硫黄系酸化防止剤」という。)からなる。硫黄系酸化防止剤は、主として過酸化物分解機能(すなわち、S原子が自ら酸化することによって過酸化物を安定な化合物に分解する機能)を有していると考えられている。
【0043】
低分子型の硫黄系酸化防止剤としては、具体的には、ジラウリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC12H25)2)、ジステアリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC18H37)2)、ラウリルステアリルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC18H37)(CH2CH2COOC12H25))、ジミリスチルチオジプロピオネート(S(CH2CH2COOC14H29)2)、ジステアリルβ、β’−チオジブチレート(S(CH(CH3)CH2COOC18H39)2)、2−メルカプトベンゾイミダゾール(C6H4NHNCSH)、ジラウリルサルファイド(S(C12H25)2)等が好適な一例として挙げられる。
【0044】
また、高分子型の硫黄系酸化防止剤としては、具体的には、上記硫黄系酸化防止剤を側鎖に持つビニル、アクリル、メタクリル、スチリル等のモノマの重合体や、酸化防止機能を有する構造が主鎖に組み込まれた重合体等が好適な一例として挙げられる。なお、低分子型の化合物よりも高分子型の化合物が好ましい点、及び高分子型の化合物を用いる場合には、架橋構造を導入しても良い点は、リン系酸化防止剤と同様である。
【0045】
酸化防止剤の第6の具体例は、過酸化水素(H2O2)のような過酸化物を接触分解する触媒活性を持った遷移金属酸化物である。遷移金属がフッ素系電解質中に含まれることにより、電池反応により発生するH2O2が水(H2O)と酸素(O2)とに分解され、過酸化水素のラジカル化によるフッ素系電解質の劣化が回避される。
【0046】
この遷移金属酸化物としては、特に、酸化マンガン、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化イリジウム、酸化鉛が好適で、この中でも酸化マンガン、酸化ルテニウムが最も好適である。酸化物は、含水物でもよく、結晶体でも非晶質体でもよい。遷移金属酸化物の分散法は、酸化物をフッ素系電解質の溶液に分散後、フッ素系電解質を固化させてもよいし、当該遷移金属を溶解性あるいは非溶解性の塩あるいは他の化合物の形でフッ素系電解質に含有させた後、加水分解、ゾルゲル反応、酸化還元反応、あるいは他の反応によって固体の酸化物の形にしても良い。
【0047】
また、フッ素系電解質に含まれる過酸化物安定剤としては、スズ(Sn)の化合物が最も好適なものとして挙げられ、酸化物あるいは水酸化物並びにそれらの前駆体であることが望ましい。化合物は、含水物でもよく、結晶体でも非晶質体でもよい。スズの化合物の分散法は、酸化物をフッ素系電解質の溶液に分散後、フッ素系電解質を固化させてもよいし、当該化合物を溶解性あるいは非溶解性の塩あるいは他の化合物の形でフッ素系電解質に含有させた後、加水分解、ゾルゲル反応、酸化還元反応、あるいは他の反応によって不溶性の化合物の形にしても良い。
【0048】
そして、このスズの化合物をフッ素系電解質中に分散配合することにより、電池反応により発生する過酸化水素(H2O2)のような過酸化物が安定化し、これにより、過酸化物がラジカル化してフッ素系電解質を分解するようなことが回避される。
【0049】
フッ素系電解質に対するこれらの酸化防止剤の最適な添加量は、酸化防止剤の種類により異なるが、一般に、0.01重量%以上50重量%以下が好ましい。酸化防止剤の添加量が0.01重量%未満であると、十分な酸化抑制効果が得られない。一方、酸化防止剤の添加量が50重量%を越えると、固体高分子電解質の電気伝導度が低下するので好ましくない。
【0050】
また、これらの酸化防止剤は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。特に、連鎖開始阻害機能を有する酸化防止剤、連鎖禁止機能を有する酸化防止剤、及び過酸化物分解機能を有する酸化防止剤を併用すると、フッ素系電解質の耐酸化性を著しく向上させることができる。
【0051】
さらに、酸化防止剤は、フッ素系電解質全体に対して均一に添加しても良く、あるいは、場所によってその濃度を変えてもよい。特に、ラジカルによる連鎖反応が著しく進行する部位に酸化防止剤を優先的に添加すると、酸化防止剤の使用量を低減することができる。また、酸化防止剤を添加したフッ素系電解質と、酸化防止剤を添加しないフッ素系電解質とを、積層、圧着、混合等の手段を用いて複合化させても良い。
【0052】
次に、本実施の形態に係る固体高分子電解質の製造方法について説明する。フッ素系電解質に低分子型又は高分子型の酸化防止剤を添加する方法には、以下のような方法がある。
【0053】
第1の方法は、フッ素系電解質又はその前駆体、及び低分子型又は高分子型の酸化防止剤の双方を溶媒に溶解し、均一に混合した後、溶液から溶媒を除去する方法である。形状は、溶媒を除去する際に付与しても良く、あるいは、溶媒を除去した後に付与しても良い。例えば、膜状に成形する場合には、溶液を適当な基板上に塗布した後、溶媒を除去する方法を用いるのが好ましい。
【0054】
使用する溶媒は、フッ素系電解質又はその前駆体と酸化防止剤の双方を溶解可能なものであればよい。また、使用する溶媒の量も、フッ素系電解質及び酸化防止剤の溶解度、作製しようとする固体高分子電解質の形状等に応じて最適な量を選択すればよい。
【0055】
「フッ素系電解質の前駆体」とは、電解質基が電解質基前駆体に置換されたものをいう。また、「電解質基前駆体」とは、加水分解、酸処理等により容易に電解質基に変換可能な官能基をいう。電解質基前駆体としては、具体的には、スルホニルハライド基(−SO2X)、カルボニルハライド基(−COX)等のハライド基、−SO3M、−COOM(但し、Mは、アルカリ金属)等のアルカリ金属塩、また、アルキル1級アミン、アルキル2級アミン、アルキル3級アミンとのアミン塩等が好適な一例として挙げられる。
【0056】
フッ素系電解質と酸化防止剤の双方が溶解する適当な溶媒がない場合には、フッ素系電解質を一旦前駆体に変換し、前駆体と酸化防止剤とを溶媒に溶解する方法が有効である。この場合、電解質基前駆体は、溶液から溶媒を除去した後、電解質基に再変換すれば良い。
【0057】
第2の方法は、低分子型又は高分子型の酸化防止剤を溶解させた溶液中に、フッ素系電解質又はその前駆体を浸漬する方法である。この場合、使用する溶媒は、酸化防止剤を溶解させ、かつフッ素系電解質又はその前駆体を溶解させないものであれば良く、特に限定されるものではない。この方法は、浸漬温度、浸漬時間、溶液中の酸化防止剤の濃度等の浸漬条件を適宜調節することにより、電解質全体に酸化防止剤を均一に添加したり、あるいは表面にのみ優先的に酸化防止剤を添加することができるという利点がある。
【0058】
第3の方法は、フッ素系電解質又はその前駆体と低分子型又は高分子型の酸化防止剤とを加熱して溶融させ、融液の状態で均一に混合する方法である。形状は、融液を固化させる際に付与しても良く、あるいは、固化した後に付与しても良い。溶融温度は、フッ素系電解質又はその前駆体、及び酸化防止剤の融点を考慮して最適な温度を選択すれば良く、特に限定されるものではない。
【0059】
また、フッ素系電解質は、一般に、溶融温度よりも分解温度が低いものが多い。このような場合には、フッ素系電解質の前駆体を用い、これと酸化防止剤とを熱溶融させる方法が有効である。この場合、電解質基前駆体は、融液を冷却して固化させた後、電解質基に再変換すればよい。
【0060】
第4の方法は、フッ素系電解質又はその前駆体に対し、低分子型又は高分子型の酸化防止剤を形成可能なモノマを含浸させ、フッ素系電解質又はその前駆体の内部においてモノマを重合させる方法である。この方法は、特に、高分子型の酸化防止剤をフッ素系電解質に添加する方法として有効である。
【0061】
例えば、フッ素系電解質に高分子型のリン系酸化防止剤を添加する場合、ビニルホスホン酸(CH2=CH−P(O)(OH)2)、スチレンホスホン酸(CH2=CH−C6H5P(O)(OH)2)、アクリルリン酸エステル、ビニルアルキルリン酸エステル等を単独で、又はこれらとエチレン(CH2=CH2)等の他のモノマとを所定の比率でフッ素系電解質又はその前駆体に含浸させ、これらを重合させればよい。
【0062】
この場合、重合方法は、特に限定されるものではなく、光重合法、熱重合法、放射線重合法、ラジカル開始剤法等の公知の方法を用いることができる。また、出発原料としてフッ素系電解質の前駆体を用いる場合には、モノマを含浸・重合させた後に、電解質基前駆体を電解質基に再変換すれば良い。
【0063】
また、ベンゼン核にホスホン酸基等のリン系官能基が導入された高分子型の酸化防止剤をフッ素系電解質に添加する場合、ベンゼン核とこれに導入されたリン系官能基とを備えたモノマを含浸・重合させても良く、あるいは、リン系官能基が導入されていないベンゼン核を備えたモノマを含浸・重合させた後、ベンゼン核にリン系官能基を導入しても良い。
【0064】
ベンゼン核にリン系官能基を導入する方法としては、例えば、ベンゼン核をクロロメチル化し、クロロメチル基とトリエチルホスファイトとを反応させる方法等がある。
【0065】
また、モノマを含浸させる際に、架橋剤を同時に含浸すると、架橋構造を備えた高分子型の酸化防止剤をフッ素系電解質に添加することができる。架橋剤は、2個以上の不飽和基(例えば、炭素二重結合(−C=C−)、炭素三重結合(−C≡C−)、カルボニル結合(=C=O)、−C≡N結合など。)を有するものであれば良い。
【0066】
2個以上の不飽和基を備えた架橋剤としては、具体的には、ジビニルベンゼン(CH2=CH−C6H4−CH=CH2)、ビスアクリルアミド(CH2=CHCONHCH2CH2NHCO−CH=CH2)等が好適な一例として挙げられる。
【0067】
また、架橋剤として、反応性の異なる2種以上の不飽和基を有するものを用いても良い。このような架橋剤を用いると、まず、モノマと架橋剤を含浸させた後、モノマと架橋剤に備えられる不飽和基の内、反応性の高いものを用いてフッ素系電解質内部に高分子型の酸化防止剤を形成することができる。次いで、反応性の低い不飽和基の開裂及び付加を行わせると、酸化防止剤に架橋構造を導入することができる。
【0068】
反応性の異なる2種以上の不飽和基を備えた架橋剤としては、具体的には、スチリル基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、エポキシ基、ビニリデン基などの中から選択される2種以上の不飽和基を備えたもが好適な一例として挙げられる。
【0069】
次に、本実施の形態に係る固体高分子電解質の作用について説明する。固体高分子型燃料電池においては、電解質膜とカソード側の触媒層との界面において、電極での副反応により過酸化水素(H2O2)が発生する。この過酸化水素は、ラジカルを発生させる触媒として作用する金属イオンが共存する環境下では、次の化3の式に示すように、HO・などのラジカルに分解することが知られている。
【0070】
【化3】
2H2O2 → 2HO・
【0071】
HO・ラジカルは、そのまま、あるいは過酸化水素と反応して過酸化水素ラジカルとなって、炭化水素骨格と反応し、高分子鎖を切断したりする作用があるが、パーフルオロ骨格とは反応しないと考えられていた。しかしながら、本願発明者は、パーフルオロ骨格であっても、発生したラジカルによって経時劣化することを見出した。
【0072】
ラジカルによるフッ素系電解質の劣化メカニズムは定かではないが、一つの可能性として、上記のHO・ラジカル、HOO・ラジカル、あるいはこうしたラジカルと何らかの物質との反応より生成したパーフルオロ炭素に対して極めて反応性の高い生成物により、劣化が進行しているものと考えられる。別の可能性としては、局所熱によるラジカル発生も考えられる。
【0073】
いずれにせよ、パーフルオロ骨格のラジカル化がフッ素系電解質の劣化に関与していると考えられ、これらの生成反応や連鎖反応を抑制することがフッ素系電解質の耐久性を向上させることにつながるとの結論に至った。すなわち、従来から知られているいわゆる酸化防止剤を作用を活用することにより、フッ素系電解質といえども劣化を抑制できることを見出したのである。
【0074】
例えば、ホスホン酸系酸化防止剤やアミド系酸化防止剤のように、連鎖開始阻害機能を有する酸化防止剤をフッ素系電解質に添加すると、過酸化物ラジカルを発生させる金属イオンがキレート的に捕捉され、安定化する。その結果、主として化3の式で表される反応が抑制され、フッ素系電解質の劣化が抑制される。
【0075】
また、例えば、アミン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤のように連鎖禁止機能を有する酸化防止剤をフッ素系電解質に添加すると、酸化防止剤によってラジカルが捕捉され、安定化する。その結果、主としてラジカルによる連鎖反応が抑制され、フッ素系電解質の劣化が抑制される。
【0076】
さらに、ホスフィン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、又は遷移金属酸化物のように、過酸化物分解機能を有する酸化防止剤をフッ素系電解質に添加すると、カソード側で発生した過酸化物(具体的には、過酸化水素)が分解して水になる。その結果、主として化3の式で表される反応が抑制され、フッ素系電解質の劣化が抑制される。
【0077】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る固体高分子電解質について説明する。本実施の形態に係る固体高分子電解質は、フッ素系電解質と、フッ素系電解質に導入された耐酸化性官能基とを備えている。「耐酸化性官能基」とは、フッ素系電解質の酸化を抑制する機能、すなわち、連鎖開始阻害機能、連鎖禁止機能及び過酸化物分解機能の内のいずれ1以上の機能を備えた官能基をいう。
【0078】
このような機能を有する耐酸化性官能基には、以下のようなものがある。耐酸化性官能基の第1の具体例は、リンを含有するリン系官能基を備えた官能基からなる。この場合、耐酸化性官能基は、リン系官能基のみからなるものであっても良く、あるいは、次の化4の式又は化5の式に示すように、−R1’−で表される原子団にリン系官能基が結合しているものであっても良い。これらの中でも、ホスホン酸基を備えた官能基は、金属イオンを効率よく捕捉でき、耐加水分解性などの安定性に優れるので、耐酸化性官能基として特に好適である。
【0079】
【化4】
−R1’−Ox−P(OyR2)(OzR3)
【0080】
【化5】
−R1’−Ox−P(O)(OyR2)(OzR3)
【0081】
なお、化4の式及び化5の式において、x、y、zは、0又は1の値をとる。また、化4の式及び化5の式において、R1’は、一般式CmHnで表される直鎖、環状、もしくは分岐構造のある炭化水素基である。また、R2及びR3は、一般式CmHnで表される直鎖、環状、もしくは分岐構造のある炭化水素基、又はフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子もしくは水素原子である。さらに、y又はzが1の場合には、R2又はR3は、金属原子でもよい。
【0082】
耐酸化性官能基の第2の具体例は、上述した低分子型若しくは高分子型の各種の酸化防止剤が持つ分子構造の全部、又はその分子構造の内、フッ素系電解質の酸化防止に寄与する部分を有するものからなる。特に、分子内にベンゼン核を有する低分子型又は高分子型の酸化防止剤は、ベンゼン核を介して比較的容易にフッ素系電解質に導入することができるので、いずれも耐酸化性官能基となり得る。
【0083】
フッ素系電解質に対する耐酸化性官能基の最適な導入量は、耐酸化性官能基の種類により異なるが、一般に、重量%に換算して、0.01重量%以上50重量%以下が好ましい。耐酸化性官能基の導入量が0.01重量%未満であると、十分な酸化抑制効果が得られない。一方、耐酸化性官能基の導入量が50重量%を越えると、固体高分子電解質の電気伝導度が低下するので好ましくない。
【0084】
また、耐酸化性官能基は、単独でフッ素系電解質に導入されていても良く、あるいは、2種以上が導入されていても良い。特に、連鎖開始阻害機能を有する耐酸化性官能基、連鎖禁止機能を有する耐酸化性官能基、及び過酸化物分解機能を有する耐酸化性官能基を併用すると、フッ素系電解質の耐酸化性を著しく向上させることができる。
【0085】
さらに、耐酸化性官能基は、フッ素系電解質全体に対して均一に導入しても良く、あるいは、場所によってその濃度を変えてもよい。特に、ラジカルによる連鎖反応が著しく進行する部位に耐酸化性官能基を優先的に導入すると、耐酸化性官能基の導入量を低減することができる。また、耐酸化性官能基を導入したフッ素系電解質と、耐酸化性官能基を導入しないフッ素系電解質とを、積層、圧着、混合等の手段を用いて複合化させても良い。その他の点については、第1の実施の形態に係る固体高分子電解質と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
次に、本実施の形態に係る固体高分子電解質の製造方法について説明する。フッ素系電解質に耐酸化性官能基を導入する方法には、以下のような方法がある。
【0087】
第1の方法は、まず、上述した酸化防止剤又はその酸化防止機能を有する部分「Q」に、反応性の官能基「H−P−」(例えば、アミノ基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、アルコール基、ハロゲン基など)を導入した化合物(H−P−(CR2)q−Q)を合成する。次に、化6の式に示したスキームに従って、この化合物とナフィオン膜の前駆体であるパーフルオロスルホニルフルオライドなどのスルホニルハライド基と反応させることにより、酸化防止剤又はその一部分を導入することができる。
【0088】
【化6】
【0089】
これら化合物とスルホニルハライド基との反応は、アミノ基を有する化合物の場合は、3級アミンなどの塩基存在下、適度な膜膨潤性の溶媒下に容易に進行させることができる。また、アミド基を有する化合物の場合も同様である。アルコール基を有する化合物の場合は、酸存在下に、エステル化することにより進行させることができる。こうして酸化防止剤を部分的に導入した後、残ったスルホニルフルオライド基を加水分解することにより、酸化防止剤を導入したフッ素系電解質を得ることができる。
【0090】
ここで、酸化防止剤の内、芳香環を備えたものにアミノ基を導入するには、例えば、公知の方法を用いてクロロメチル化し、これを公知の方法を用いてアミノ化すればよい。また、クロロメチル化後、加水分解すればアルコールとなる。さらには、公知の方法でクロロスルホン酸で処理し、スルホニルクロライド基を導入し、さらにアンモニアで処理することにより、スルホンアミド基とすることができる。
【0091】
また、リン酸基、ホスフィン基、ホスホン酸基などを導入するには、まず、スルホニルハライド基と反応する官能基「H−X−」(例えば、アミン、スルホンアミド、カルボニルアミド、アルコールなど)と、リン酸基、ホスフィン基、ホスホン酸基等を備えた官能基「Y」とを有する化合物(H−X−(CZ2)r−Y)を合成する。次に、化7の式に示したスキームに従って、この化合物と、ナフィオン膜の前駆体であるパーフルオロスルホニルフロライドなどのスルホニルハライド基の一部とを反応させ、加水分解することにより、リン系官能基を備えた官能基を導入することができる。
【0092】
【化7】
【0093】
第2の方法は、こうした酸化防止機能を有するモノマを合成し、四フッ化エチレン(CF2=CF2)及びナフィオンモノマなどの電解質モノマと共重合する方法である。例えば、上記の反応を用いて、酸化防止剤又はその酸化防止機能を有する部分に、反応性官能基を導入し、これとパーフルオロスルホニルフルオライドモノマと反応させることにより耐酸化性官能基を有するモノマを合成する。次に、これを四フッ化エチレン及び電解質モノマと共重合させ、加水分解することにより、耐酸化性官能基を導入したフッ素系電解質を合成可能である。
【0094】
また、モノマにホスホン酸基を直接導入する方法も可能である。J.Org.Chem.,61,5024−8031(1996)の方法などを用いて、ナフィオンのような電解質に直接パーフルオロホスホン酸基を導入することができる。例えば、化8の式に従って、ナフィオンモノマに塩素を−15℃で吹き込み、Cl付加体として、さらにジオキサン/水=1/3で無水亜硫酸カリウムを添加し、100℃×15hrでカリウム塩とする。さらに、カリウム塩を、ジメチルホルムアミド(DMF)中ヨウ素を作用させて、60℃×3hrでヨウ素化する。その後、テトラエチルピロホスファイトをUVで光反応させてホスホナイト化し、さらに亜鉛/DMF中で90℃で24時間反応させ、さらに過酸化水素で酸化することにより、ホスホン酸型パーフルオロビニルエーテルモノマを合成することができる。これを四フッ化エチレンと常法により共重合し、共重合体を得て、さらに酸によりエステル基を加水分解すれば、ホスホン酸基を導入したパーフルオロポリマを合成できる。
【0095】
【化8】
【0096】
この方法では、モノマで行っているが、ポリマのスルホニルフルオライドを用いてもよい。また、スルホニルフルオライドモノマと、この方法で得られたホスホン酸エステルモノマとを共重合させると、ホスホン酸基を導入したフッ素系電解質を合成することができる。また、上記のスキームで、過酸化水素で酸化することなく合成を行うことにより、ホスフィン型のパーフルオロポリマを合成することができる。
【0097】
次に、本実施の形態に係る固体高分子電解質の作用について説明する。フッ素系電解質に対して耐酸化性官能基を導入すると、耐酸化性官能基は、その種類に応じて、連鎖開始阻害機能、連鎖禁止機能及び/又は過酸化物分解機能を発揮する。そのため、過酸化物が発生する環境下において長時間使用した場合であっても、ラジカルによる連鎖反応が抑制される。しかも、耐酸化性官能基は、フッ素系電解質に対して化学結合により導入されているので、使用中に溶出するおそれは少ない。そのため、ラジカルによる劣化に対する耐久性がさらに向上する。
【0098】
【実施例】
(実施例1)
酸化防止剤としてポリビニルホスホン酸(アルドリッチ社製)を用い、ナフィオン溶液(デュポン社製、濃度5%)1.02g、ポリビニルホスホン酸水溶液(濃度12%)0.13g、及び白金ブラック(田中貴金属工業(株)製)57mgを超音波分散器を用いて均一に混合した。得られた混合溶液から溶媒を除去し、ナフィオン及びポリビニルホスホン酸を含む電極材料を得た。
【0099】
(比較例1)
酸化防止剤を使わなかった以外は、実施例1と同一の手順に従い、電極材料を作製した。
【0100】
実施例1及び比較例1で得られた電極材料について、熱重量分析により、酸化分解による減量挙動を調べた。減量挙動は、電極材料に含まれる固体高分子電解質の耐久性の指標となるものである。熱重量分析は、2℃/minの昇温速度で、空気雰囲気で測定した。図1にその結果を示す。
【0101】
実施例1の場合、200℃近傍において若干の減量が観察された。これは、ポリビニルホスホン酸の縮合に基づくものと考えられる。また、図1より、300℃以上の温度域において、実施例1の減量率は、比較例1より小さくなっていることがわかる。これは、添加したポリビニルホスホン酸によって、フッ素系電解質の酸化が抑制されているためと考えられる。
【0102】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0103】
例えば、上記実施例においては、本発明に係る固体高分子電解質を触媒層を構成する電極材料として用いた例について説明したが、本発明の用途はこれに限定されるものではなく、各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜等としても使用することができる。
【0104】
【発明の効果】
本発明に係る固体高分子電解質は、フッ素系電解質に対して酸化防止剤が添加され、又はフッ素系電解質に対して耐酸化性官能基が導入されているので、フルオロカーボン骨格の侵蝕が抑制され、耐酸化性が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例2で得られた電極材料の減量率を示す図である。
Claims (6)
- フッ素系電解質と、
該フッ素系電解質に添加された酸化防止剤とを備えた固体高分子電解質。 - 前記酸化防止剤は、リンを含有するリン系酸化防止剤である請求項1に記載の固体高分子電解質。
- 前記酸化防止剤は、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系酸化防止剤である請求項1に記載の固体高分子電解質。
- フッ素系電解質と、
該フッ素系電解質に導入され、かつ前記フッ素系電解質の酸化を抑制する機能を有する耐酸化性官能基とを備えた固体高分子電解質。 - 前記耐酸化性官能基は、リンを含有するリン系官能基を備えた官能基である請求項4に記載の固体高分子電解質。
- 前記耐酸化性官能基は、ホスホン酸基を備えた官能基である請求項4に記載の固体高分子電解質。
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