JP2004131418A - 2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類とハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルとを反応させ、次いでアルカリ条件下で反応を行うことを特徴とする、一般式(3):
【化1】
[式(3)中、R1は水酸基、3級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びフェニル基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又はフェニル基を示し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル若しくは炭素数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基の1個以上が置換していてもよい炭素数2又は3のアルキレン基を示す]で表される2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法。
【効果】設備負荷が少なく、かつ簡便な方法で2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンが合成できる。
【選択図】 なし
【化1】
[式(3)中、R1は水酸基、3級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びフェニル基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又はフェニル基を示し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル若しくは炭素数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3は炭素数1〜6のアルキル基の1個以上が置換していてもよい炭素数2又は3のアルキレン基を示す]で表される2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法。
【効果】設備負荷が少なく、かつ簡便な方法で2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンが合成できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ピロリジン誘導体は、医薬品中間体(特許文献1、2参照)や、不斉反応を行う為の光学活性配位子(非特許文献1参照)等として用いられている。2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの合成法については、本出願人は先に、a)2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類とカルボン酸、カルボン酸エステル(ラクトンを含む)、酸無水物、もしくはアシルハライドを用いてアミド化を行い、還元剤もしくは接触水素処理によりアミド基の還元を行う方法、及びb)プロリン又はそのエステルの誘導体と1級アミン化合物とを用いてアミド化を行い、還元剤もしくは接触水素処理によりアミド基の還元を行う方法の二つの方法を開示した出願をした。ここで、アミドの還元としてはLiAlH4等の金属ヒドリド還元剤や接触水素処理にて行われている。金属ヒドリド還元剤を用いる方法は、通常化学量論以上の還元剤が必要である為、大量の無機塩が副生し精製工程での負荷が大きいこと等の点で、少量の合成には適するが工業的に実施するにはコスト的に不利である。また、接触水素処理による方法でも一般に高温、高圧で行われるため、設備負荷が大きい。このようなことから、経済的かつ安全で設備負荷が少ない2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法が望まれていた。
従って、本発明の目的は、設備負荷が少なく、かつ簡便な2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法を提供することにある。
【0003】
【特許文献1】
特公昭60−59227号公報
【特許文献2】
特公平7−103098号公報
【非特許文献1】
Bull. Chem. Soc. Jpn., 1987, 60, 3697、Tetrahedron, 1990, 46, 4653.、Tetrahedron Asymmetry, 1991, 2, 287
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1):
【0005】
【化4】
【0006】
[式(1)中、R1は水酸基、3級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びフェニル基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又はフェニル基を示し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル若しくは炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表される2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類と、一般式(2):
【0007】
【化5】
【0008】
[式(2)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基の1個以上が置換していてもよい炭素数2又は3のアルキレン基を示し、X1とX2は同一又は異なっていてもよいハロゲン原子を示す。]で表されるハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルとを反応させ、次いでアルカリ条件下で反応を行うことを特徴とする、一般式(3):
【0009】
【化6】
【0010】
[式(3)中、R1、R2及びR3は前に定義した通りである。]で表される2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で出発材料として使用される一般式(1)の2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類において、R1で示される基は、水酸基、3級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びフェニル基から選ばれた1個以上、好ましくは1又は2個の置換基が置換してもよい、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又はフェニル基である。前記アルコキシ基中のアルキル基及び前記アルキル基は直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。上記3級アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基のようなジ(アルキル)アミノ基、及びピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基のような複素環式アミノ基が例示できる。R1で示される基は具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。原料の入手のし易さからは、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、及び2−メトキシエチル基が好ましい。
【0012】
R2で示される基は、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上、好ましくは1又は2個、の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル若しくは炭素数3〜6のシクロアルキル基である。前記アルコキシ基中のアルキル基及び前記アルキル基は直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。前記3級アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基のようなジ(アルキル)アミノ基、及びピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基のような複素環式アミノ基が例示できる。置換基が置換してもよい前記炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基及び前記炭素数1〜6のアルコキシ基について、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基等が挙げられる。原料の入手のし易さからは、R2は水素原子、メチル基、水酸基、n−ブチル基等であるのが好ましい。
【0013】
他方の出発材料である一般式(2)のハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルにおいて、R3で示される基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基の1個以上、好ましくは1又は2個、が置換していてもよい炭素数2又は3のアルキレン基であるが、具体的にはエチレン基(−CH2CH2−)、メチルエチレン基(−CH(CH3)CH2−)、ジメチルエチレン基(−C(CH3)2CH2−)、ヘキシルエチレン基(−CH(C6H13)CH2−)、ジヘキシルエチレン基(−C(C6H13)2CH2−)、n−プロピレン基(−CH2CH2CH2−)、メチルプロピレン基(−CH(CH3)CH2CH2−及び−CH2CH(CH3)CH2−)、ジメチルプロピレン基(−CH2C(CH3)2CH2−)等が挙げられる(結合方向はどちらでもよい)。原料の入手のし易さからは、R3はエチレン基(−CH2CH2−)又はn−プロピレン基(−CH2CH2CH2−)であるのが好ましい。
【0014】
また、X1とX2は同一又は異なっていてもよいフッ素、塩素、臭素又はヨウ素のようなハロゲン原子である。なかでも、X1とX2の少なくとも一つは塩素又は臭素原子であるのが好ましく、共に塩素原子であるのが特に好ましい。
【0015】
一般式(3)の2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンは少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。製造コストの面からはラセミ体もしくは任意の比率のジアステレオマー混合物が好ましい。
【0016】
本発明の方法を、下記の反応式で示す。
【0017】
【化7】
【0018】
本発明方法は上記反応式に示すように、特開昭51−149269号公報、Acta Chemica Scandinavica, 1989, 43, 660、特表昭63−503384号公報等で合成法が開示されている2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)と、ハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステル(2)を原料に用い、アミド化、環化、加水分解の3工程を経て製造する方法である。以下それぞれの工程について、詳細に説明する。
【0019】
アミド化工程
合成既知の原料である2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であっても構わない。また、任意の比率の混合物でもよい。
2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)とハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステル(2)との反応では、アルカリ剤の添加が好ましい。
ハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステル(2)の使用量としては、原料の2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)に対して、通常0.5〜10当量の範囲で用いられるが、0.8〜2当量の範囲が好ましい。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの無機アルカリ化合物;及びピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン化合物が用いられる。好ましいアルカリ剤は炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムである。アルカリ剤は予め反応器に仕込んでおいてもよいし、反応時に滴下、段階的に添加、もしくは一括添加を行ってもよい。又アルカリ剤の使用量は、原料の2−アミノメチルピロリジン類(1)に対して、通常0.5〜10当量の範囲で用いられるが、0.8〜2.2当量の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、一般に有機合成に用いられる溶剤(例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドンなど)、水、又はこれらの混合物を使用することができる。また、ピリジンなどの有機アミン化合物をアルカリ剤として用いる場合は、これを過剰に用いて反応溶媒としてもよく、また、場合によっては無溶媒で反応を行うことができる。
反応温度としては、−20〜220℃の範囲で行うことができるが、比較的穏和な温度、例えば0〜100℃で行うことができる。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行っても良い。反応時間は、反応温度によって変わるが、通常10時間以内である。
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことが可能である。
【0020】
環化工程
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの無機アルカリ化合物;及びピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン化合物が用いられるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。アルカリ剤は予め反応器に仕込んでおいても良いし、反応時に滴下、段階的に添加、もしくは一括添加を行っても良い。アルカリ剤の使用量は、原料のアミド化物(2)に対して、通常1.1〜20当量の範囲で用いられ、2〜10当量が好ましい。
反応溶媒としては、水、又は水と、一般に有機合成に用いられる溶剤(メタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、DMF、DMSO、N−メチルピロリドンなど)との混合物を使用することができる。
反応温度は、反応溶媒の沸点以下の範囲で行うことができるが、比較的穏和な温度、例えば20〜100℃で行うことができる。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行ってもよい。反応時間は、反応温度によって変わるが、通常1〜10時間である。
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すればよく、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことができる。通常は、精製工程を行うことなく、次の加水分解工程へと進むことが多い。アミド化工程と同様のアルカリ剤及び反応溶媒を用いてアミド化工程後、精製工程を行うことなく、引続き環化工程を行うこともできる。
【0021】
加水分解工程
前述の環化工程と同様のアルカリ剤、反応溶媒、反応温度で達成でき、通常は前述の環化工程と合わせて行うことが多い。反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すればよく、場合によっては精製工程を行わなくても良い。
【0022】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。本実施例での純度はガスクロマトグラフィーの面積%である。
【0023】
実施例1:1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチルピロリジン
アミド化工程
3リットル4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 300.01g (2.34mol)、炭酸カルシウム 141.15g (1.41mol)、及びジオキサン 1.5リットルを仕込み、攪拌し、79℃まで加熱した。ここに、2−クロロエチル クロロホルメート 367.84g(2.57mol)を約2時間かけて滴下した。この間温度は79〜87℃に調節した。滴下終了後、87〜88℃で2時間反応させた後冷却し、濾過を行い、不溶物を除去した。濾液を減圧下溶媒除去して濃茶色粘調物745.34g(収率136%)を得た。この濃茶色粘調物にはジオキサンが含まれていたが、更に精製は行わず、次の工程に用いた。
環化・加水分解工程
3リットル4つ口フラスコにNaOH 468.00g (11.7mol)とイオン交換水1.5リットルを加えて溶解させた。ここにアミド化工程で得られた濃茶色粘調物745.34gを仕込み、70℃で6時間、更に90℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、クロロホルム(1.5リットル×4回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して目的物381.20gを赤茶色オイルとして得た。アミド化工程を含めた収率は94.6%であり、純度は95.2%であった。
【0024】
実施例2:1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチルピロリジン
アミド化工程
500mL4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 50.0g (0.39mol)、炭酸カルシウム 23.42g (0.23mol)、及びTHF 250mLを仕込み、攪拌し48℃まで加熱した。ここに、2−クロロエチル クロロホルメート 61.33g(0.43mol)を約2時間かけて滴下した。この間温度は48〜55℃に調節した。滴下終了後、48〜50℃で2時間反応させた後冷却し、濾過を行い、不溶物を除去した。濾液を減圧下溶媒除去し、濃茶色粘調物117.35g(収率128%)を得た。この濃茶色粘調物にはジオキサンが含まれていたが、更に精製は行わず次の工程に用いた。
環化・加水分解工程
3リットル4つ口フラスコにNaOH 100.05g (2.50mol)とイオン交換水350mLを加えて溶解させた。ここにアミド化工程で得られた濃茶色粘調物117.35gを仕込み、70℃で3時間、更に88℃まで加熱を行い88℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、クロロホルム(150mL×4回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して目的物66.25gを赤茶色オイルとして得た。アミド化工程を含めた収率は98.6%であり、純度は93.7%であった。
【0025】
実施例3:1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチルピロリジン
アミド化工程
500mL4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 50.00g (0.39mol)、水酸化ナトリウム 18.76g (0.47mol)、145mを仕込み、ここに水酸化ナトリウム 18.76g (0.47mol)をイオン交換水65mで溶解させた水溶液を加え攪拌し4℃まで冷却した。その後、2−クロロエチル クロロホルメート 61.33g (0.43mol)を約2.5時間かけて滴下した。この間温度は10℃に以下に保った。滴下終了後、反応液を室温に戻し約22時間反応させた。
環化・加水分解工程
反応終了後、48%NaOH 162.5g (1.95mol)を加えて70℃に加熱し、約3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し不溶物を濾過後、濾液を減圧下エタノールを除去し、イオン交換水100mLを加え、クロロホルム(150mL×3回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して粗1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチルアミノメチル)ピロリジン77.38gを黄色オイルとして得た。この粗1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチルアミノメチル) を減圧蒸留(40Pa、88−90℃)を行って、41.55gの目的物を無色液体として得た。収率は62%であり、純度は97.5%であった。
【0026】
実施例4:ラセミ−1−エチル−2−(N−3−ヒドロキシプロピル)アミノメチルピロリジン
アミド化・環化工程
200mL4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 10.006g (0.078mol)、水酸化ナトリウム 4.023g (0.10mol)、クロロホルム 50mL、イオン交換水15mLを仕込み、攪拌し水酸化ナトリウムを溶解させて7℃まで冷却した。ここに、3−クロロプロピル クロロホルメート 13.462g(0.132mol)を約1時間かけて滴下した。この間温度は10℃以下に保った。滴下終了後、室温で7時間反応させた後、水酸化ナトリウム6.226g(0.16mol)をイオン交換水15mLで溶解させた水溶液を加えて更に室温で14時間反応させた。反応終了後、クロロホルム(50mL×2回)で抽出し、合わせたクロロホルム層を減圧下溶媒除去して淡黄色の液体23.948g(収率167%)を得た。この淡黄色の液体にはクロロホルムが含まれていたが、更に精製は行わず次の工程に用いた。
加水分解工程
200mLナス型フラスコにNaOH 15.943g (0.40mol)とイオン交換水80mLを加えて溶解させた。ここに前工程で得られた淡黄色液体23.948gを仕込み、70℃で5時間、更に100℃で8.5時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、クロロホルム(100mL×3回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して粗1−エチル−2−(N−3−ヒドロキシプロピルアミノメチル)ピロリジン18.3725gを黄色オイルとして得た(純度62%)。この粗1−エチル−2−(N−3−ヒドロキシプロピルアミノメチル)ピロリジンを減圧蒸留(26.7Pa、80−81℃)を行って、7.5068gの目的物を無色液体として得た。アミド化・環化工程を含めた収率は52%であり、純度は97.8%であった。
【0027】
【発明の効果】
設備負荷が少なく、かつ簡便な方法で2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンが合成できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ピロリジン誘導体は、医薬品中間体(特許文献1、2参照)や、不斉反応を行う為の光学活性配位子(非特許文献1参照)等として用いられている。2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの合成法については、本出願人は先に、a)2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類とカルボン酸、カルボン酸エステル(ラクトンを含む)、酸無水物、もしくはアシルハライドを用いてアミド化を行い、還元剤もしくは接触水素処理によりアミド基の還元を行う方法、及びb)プロリン又はそのエステルの誘導体と1級アミン化合物とを用いてアミド化を行い、還元剤もしくは接触水素処理によりアミド基の還元を行う方法の二つの方法を開示した出願をした。ここで、アミドの還元としてはLiAlH4等の金属ヒドリド還元剤や接触水素処理にて行われている。金属ヒドリド還元剤を用いる方法は、通常化学量論以上の還元剤が必要である為、大量の無機塩が副生し精製工程での負荷が大きいこと等の点で、少量の合成には適するが工業的に実施するにはコスト的に不利である。また、接触水素処理による方法でも一般に高温、高圧で行われるため、設備負荷が大きい。このようなことから、経済的かつ安全で設備負荷が少ない2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法が望まれていた。
従って、本発明の目的は、設備負荷が少なく、かつ簡便な2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法を提供することにある。
【0003】
【特許文献1】
特公昭60−59227号公報
【特許文献2】
特公平7−103098号公報
【非特許文献1】
Bull. Chem. Soc. Jpn., 1987, 60, 3697、Tetrahedron, 1990, 46, 4653.、Tetrahedron Asymmetry, 1991, 2, 287
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1):
【0005】
【化4】
【0006】
[式(1)中、R1は水酸基、3級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びフェニル基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又はフェニル基を示し、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル若しくは炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]で表される2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類と、一般式(2):
【0007】
【化5】
【0008】
[式(2)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基の1個以上が置換していてもよい炭素数2又は3のアルキレン基を示し、X1とX2は同一又は異なっていてもよいハロゲン原子を示す。]で表されるハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルとを反応させ、次いでアルカリ条件下で反応を行うことを特徴とする、一般式(3):
【0009】
【化6】
【0010】
[式(3)中、R1、R2及びR3は前に定義した通りである。]で表される2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンの製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で出発材料として使用される一般式(1)の2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類において、R1で示される基は、水酸基、3級アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びフェニル基から選ばれた1個以上、好ましくは1又は2個の置換基が置換してもよい、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキル又はフェニル基である。前記アルコキシ基中のアルキル基及び前記アルキル基は直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。上記3級アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基のようなジ(アルキル)アミノ基、及びピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基のような複素環式アミノ基が例示できる。R1で示される基は具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。原料の入手のし易さからは、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、及び2−メトキシエチル基が好ましい。
【0012】
R2で示される基は、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基、3級アミノ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれた1個以上、好ましくは1又は2個、の置換基が置換してもよい炭素数1〜6のアルキル若しくは炭素数3〜6のシクロアルキル基である。前記アルコキシ基中のアルキル基及び前記アルキル基は直鎖又は分岐鎖のいずれでもよい。前記3級アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基のようなジ(アルキル)アミノ基、及びピロリジニル基、ピペリジニル基、モルホリノ基のような複素環式アミノ基が例示できる。置換基が置換してもよい前記炭素数1〜6のアルキル又は炭素数3〜6のシクロアルキル基及び前記炭素数1〜6のアルコキシ基について、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシ−iso−プロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、3−(ジメチルアミノ)プロピル基、3−(ジエチルアミノ)プロピル基、3−ピロリジニルプロピル基、3−ピペリジノプロピル基、3−モルホリノプロピル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル基、2−メトキシプロピル基、3−メトキシプロピル基等が挙げられる。原料の入手のし易さからは、R2は水素原子、メチル基、水酸基、n−ブチル基等であるのが好ましい。
【0013】
他方の出発材料である一般式(2)のハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルにおいて、R3で示される基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基の1個以上、好ましくは1又は2個、が置換していてもよい炭素数2又は3のアルキレン基であるが、具体的にはエチレン基(−CH2CH2−)、メチルエチレン基(−CH(CH3)CH2−)、ジメチルエチレン基(−C(CH3)2CH2−)、ヘキシルエチレン基(−CH(C6H13)CH2−)、ジヘキシルエチレン基(−C(C6H13)2CH2−)、n−プロピレン基(−CH2CH2CH2−)、メチルプロピレン基(−CH(CH3)CH2CH2−及び−CH2CH(CH3)CH2−)、ジメチルプロピレン基(−CH2C(CH3)2CH2−)等が挙げられる(結合方向はどちらでもよい)。原料の入手のし易さからは、R3はエチレン基(−CH2CH2−)又はn−プロピレン基(−CH2CH2CH2−)であるのが好ましい。
【0014】
また、X1とX2は同一又は異なっていてもよいフッ素、塩素、臭素又はヨウ素のようなハロゲン原子である。なかでも、X1とX2の少なくとも一つは塩素又は臭素原子であるのが好ましく、共に塩素原子であるのが特に好ましい。
【0015】
一般式(3)の2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンは少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であってもよい。また、任意の比率の混合物でもよい。製造コストの面からはラセミ体もしくは任意の比率のジアステレオマー混合物が好ましい。
【0016】
本発明の方法を、下記の反応式で示す。
【0017】
【化7】
【0018】
本発明方法は上記反応式に示すように、特開昭51−149269号公報、Acta Chemica Scandinavica, 1989, 43, 660、特表昭63−503384号公報等で合成法が開示されている2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)と、ハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステル(2)を原料に用い、アミド化、環化、加水分解の3工程を経て製造する方法である。以下それぞれの工程について、詳細に説明する。
【0019】
アミド化工程
合成既知の原料である2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)は少なくとも1つの不斉炭素を有するが、それぞれの不斉炭素は光学活性であってもラセミ体であっても構わない。また、任意の比率の混合物でもよい。
2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)とハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステル(2)との反応では、アルカリ剤の添加が好ましい。
ハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステル(2)の使用量としては、原料の2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類(1)に対して、通常0.5〜10当量の範囲で用いられるが、0.8〜2当量の範囲が好ましい。
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの無機アルカリ化合物;及びピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン化合物が用いられる。好ましいアルカリ剤は炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムである。アルカリ剤は予め反応器に仕込んでおいてもよいし、反応時に滴下、段階的に添加、もしくは一括添加を行ってもよい。又アルカリ剤の使用量は、原料の2−アミノメチルピロリジン類(1)に対して、通常0.5〜10当量の範囲で用いられるが、0.8〜2.2当量の範囲が好ましい。
反応溶媒としては、一般に有機合成に用いられる溶剤(例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドンなど)、水、又はこれらの混合物を使用することができる。また、ピリジンなどの有機アミン化合物をアルカリ剤として用いる場合は、これを過剰に用いて反応溶媒としてもよく、また、場合によっては無溶媒で反応を行うことができる。
反応温度としては、−20〜220℃の範囲で行うことができるが、比較的穏和な温度、例えば0〜100℃で行うことができる。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行っても良い。反応時間は、反応温度によって変わるが、通常10時間以内である。
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すれば良く、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことが可能である。
【0020】
環化工程
アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムなどの無機アルカリ化合物;及びピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン化合物が用いられるが、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。アルカリ剤は予め反応器に仕込んでおいても良いし、反応時に滴下、段階的に添加、もしくは一括添加を行っても良い。アルカリ剤の使用量は、原料のアミド化物(2)に対して、通常1.1〜20当量の範囲で用いられ、2〜10当量が好ましい。
反応溶媒としては、水、又は水と、一般に有機合成に用いられる溶剤(メタノール、エタノール、iso−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン、ジグライムなどのエーテル系溶剤、ヘキサンなどの炭化水素系溶剤、アセトニトリル、DMF、DMSO、N−メチルピロリドンなど)との混合物を使用することができる。
反応温度は、反応溶媒の沸点以下の範囲で行うことができるが、比較的穏和な温度、例えば20〜100℃で行うことができる。また、反応は通常、常圧下で行われるが、必要な場合には加圧、もしくは減圧条件で行ってもよい。反応時間は、反応温度によって変わるが、通常1〜10時間である。
反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すればよく、場合によっては精製工程を行うことなく次の工程へ進むことができる。通常は、精製工程を行うことなく、次の加水分解工程へと進むことが多い。アミド化工程と同様のアルカリ剤及び反応溶媒を用いてアミド化工程後、精製工程を行うことなく、引続き環化工程を行うこともできる。
【0021】
加水分解工程
前述の環化工程と同様のアルカリ剤、反応溶媒、反応温度で達成でき、通常は前述の環化工程と合わせて行うことが多い。反応後の後処理・精製工程としては、ろ過、抽出、乾燥、再結晶、減圧蒸留、カラム精製などを行うことができるが、必要に応じて選択すればよく、場合によっては精製工程を行わなくても良い。
【0022】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。本実施例での純度はガスクロマトグラフィーの面積%である。
【0023】
実施例1:1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチルピロリジン
アミド化工程
3リットル4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 300.01g (2.34mol)、炭酸カルシウム 141.15g (1.41mol)、及びジオキサン 1.5リットルを仕込み、攪拌し、79℃まで加熱した。ここに、2−クロロエチル クロロホルメート 367.84g(2.57mol)を約2時間かけて滴下した。この間温度は79〜87℃に調節した。滴下終了後、87〜88℃で2時間反応させた後冷却し、濾過を行い、不溶物を除去した。濾液を減圧下溶媒除去して濃茶色粘調物745.34g(収率136%)を得た。この濃茶色粘調物にはジオキサンが含まれていたが、更に精製は行わず、次の工程に用いた。
環化・加水分解工程
3リットル4つ口フラスコにNaOH 468.00g (11.7mol)とイオン交換水1.5リットルを加えて溶解させた。ここにアミド化工程で得られた濃茶色粘調物745.34gを仕込み、70℃で6時間、更に90℃で4時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、クロロホルム(1.5リットル×4回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して目的物381.20gを赤茶色オイルとして得た。アミド化工程を含めた収率は94.6%であり、純度は95.2%であった。
【0024】
実施例2:1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチルピロリジン
アミド化工程
500mL4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 50.0g (0.39mol)、炭酸カルシウム 23.42g (0.23mol)、及びTHF 250mLを仕込み、攪拌し48℃まで加熱した。ここに、2−クロロエチル クロロホルメート 61.33g(0.43mol)を約2時間かけて滴下した。この間温度は48〜55℃に調節した。滴下終了後、48〜50℃で2時間反応させた後冷却し、濾過を行い、不溶物を除去した。濾液を減圧下溶媒除去し、濃茶色粘調物117.35g(収率128%)を得た。この濃茶色粘調物にはジオキサンが含まれていたが、更に精製は行わず次の工程に用いた。
環化・加水分解工程
3リットル4つ口フラスコにNaOH 100.05g (2.50mol)とイオン交換水350mLを加えて溶解させた。ここにアミド化工程で得られた濃茶色粘調物117.35gを仕込み、70℃で3時間、更に88℃まで加熱を行い88℃で3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、クロロホルム(150mL×4回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して目的物66.25gを赤茶色オイルとして得た。アミド化工程を含めた収率は98.6%であり、純度は93.7%であった。
【0025】
実施例3:1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチルピロリジン
アミド化工程
500mL4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 50.00g (0.39mol)、水酸化ナトリウム 18.76g (0.47mol)、145mを仕込み、ここに水酸化ナトリウム 18.76g (0.47mol)をイオン交換水65mで溶解させた水溶液を加え攪拌し4℃まで冷却した。その後、2−クロロエチル クロロホルメート 61.33g (0.43mol)を約2.5時間かけて滴下した。この間温度は10℃に以下に保った。滴下終了後、反応液を室温に戻し約22時間反応させた。
環化・加水分解工程
反応終了後、48%NaOH 162.5g (1.95mol)を加えて70℃に加熱し、約3時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し不溶物を濾過後、濾液を減圧下エタノールを除去し、イオン交換水100mLを加え、クロロホルム(150mL×3回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して粗1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチルアミノメチル)ピロリジン77.38gを黄色オイルとして得た。この粗1−エチル−2−(N−2−ヒドロキシエチルアミノメチル) を減圧蒸留(40Pa、88−90℃)を行って、41.55gの目的物を無色液体として得た。収率は62%であり、純度は97.5%であった。
【0026】
実施例4:ラセミ−1−エチル−2−(N−3−ヒドロキシプロピル)アミノメチルピロリジン
アミド化・環化工程
200mL4つ口フラスコに(dl)−2−(アミノメチル)−1−エチルピロリジン 10.006g (0.078mol)、水酸化ナトリウム 4.023g (0.10mol)、クロロホルム 50mL、イオン交換水15mLを仕込み、攪拌し水酸化ナトリウムを溶解させて7℃まで冷却した。ここに、3−クロロプロピル クロロホルメート 13.462g(0.132mol)を約1時間かけて滴下した。この間温度は10℃以下に保った。滴下終了後、室温で7時間反応させた後、水酸化ナトリウム6.226g(0.16mol)をイオン交換水15mLで溶解させた水溶液を加えて更に室温で14時間反応させた。反応終了後、クロロホルム(50mL×2回)で抽出し、合わせたクロロホルム層を減圧下溶媒除去して淡黄色の液体23.948g(収率167%)を得た。この淡黄色の液体にはクロロホルムが含まれていたが、更に精製は行わず次の工程に用いた。
加水分解工程
200mLナス型フラスコにNaOH 15.943g (0.40mol)とイオン交換水80mLを加えて溶解させた。ここに前工程で得られた淡黄色液体23.948gを仕込み、70℃で5時間、更に100℃で8.5時間反応させた。反応終了後、反応液を冷却し、クロロホルム(100mL×3回)で抽出した。合わせたクロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、濾液を減圧下溶媒除去して粗1−エチル−2−(N−3−ヒドロキシプロピルアミノメチル)ピロリジン18.3725gを黄色オイルとして得た(純度62%)。この粗1−エチル−2−(N−3−ヒドロキシプロピルアミノメチル)ピロリジンを減圧蒸留(26.7Pa、80−81℃)を行って、7.5068gの目的物を無色液体として得た。アミド化・環化工程を含めた収率は52%であり、純度は97.8%であった。
【0027】
【発明の効果】
設備負荷が少なく、かつ簡便な方法で2−(N−ω−ヒドロキシアルキル)アミノメチル−1−置換ピロリジンが合成できる。
Claims (4)
- 下記一般式(1):
- 一般式(2)で表されるハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルにおいて、X1及びX2が共に塩素原子であり、R3がエチレン基又はn−プロピレン基である請求項1記載の製造方法。
- 一般式(1)で表される2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類において、R1がメチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基である、請求項1または2記載の製造方法。
- 一般式(1)で表される2−アミノメチル−1−置換ピロリジン類と一般式(2)で表されるハロ炭酸−ω−ハロアルキルエステルとの反応をアルカリの存在下で行う、請求項1、2又は3記載の製造方法。
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