JP2004130568A - 印字装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクリボンを利用する印字装置では、初期動作頻度の多少等、稼動状況の変化によってインクリボンの巻き付き具合が異なり、正しく残量を検出することができなくなる。
【解決手段】インクリボンの残量を示す情報、例えばインクリボンの送り量に対する巻き取り軸の回転量の比、について、残量少であると判断される閾値を、装置の稼動状況に合わせて手動又は自動で補正できる閾値変更機能を有する印字装置を提供する。
【選択図】 図5
【解決手段】インクリボンの残量を示す情報、例えばインクリボンの送り量に対する巻き取り軸の回転量の比、について、残量少であると判断される閾値を、装置の稼動状況に合わせて手動又は自動で補正できる閾値変更機能を有する印字装置を提供する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボンを利用して媒体に印字を行う印字装置に関するものであり、例えば金融機関等に設置されて磁気カードに印字を行い発行するカード発行機や、現金自動預払機等に搭載されて振込券の発行を行う振込券発行機構等に関する。以下、カード、振込券、通帳、紙葉類等をまとめて媒体と称する。
【0002】
【従来の技術】
脱着可能なインクリボンのインクを媒体に転写して印字する印字装置において、インクリボンの残量がなくなった場合には速やかな交換を促すべく、そのとき使用しているインクリボンの残量を把握することが求められている。
【0003】
このような問題を解決するために、残量少検出を行う長さに対応したインクリボンの一部に銀色の着色などを行い、この部分をセンサで検出することで残量少検出を行うことも考えられるが、銀色の着色など特殊な加工を施すことでインクリボンが高価なものになってしまう。
【0004】
そこでインクリボンに加工を施すのではなく、インクリボンボビンに一体回転するように結合したセンサ板およびセンサ板の回転量をパルス数としてカウントすることで、予め設定された終端定義パルス数の差分値に基づきインクリボン残量を検出する技術がある(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術ではパルス数を累積して記憶しておく必要がある。そのため、装置や部品の障害等の不測の事態に、累積された記憶が失われると、そのとき装着されているインクリボンの残量をもはや把握できない。
【0006】
そこで、装着されているインクリボンからその時点に得られる情報、例えば、インクリボンを繰り出す又は巻き取る軸の単位時間当たりの回転速度によって、インクリボンの残量少を検知する技術がある(特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開2001−47717号公報
【特許文献2】
特開平9−20051号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしがながら、特許文献2の技術によっても以下の課題が生じる。すなわち、インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字装置では、インクリボンを巻き取る動作が大きく分けて2つある。1つは通常の印字動作であり、他は、装置(システム)の電源投入時や立ち上げ時にインクリボンを搬送するステッピングモータやセンサの動作を確認するために印字を行わずにインクリボンを巻き取る初期動作である。これらの場合では、それぞれ、送り出されたインクリボンを巻き取る巻き取り軸へのインクリボンの巻き付き具合が異なる。つまり、印字動作での巻き取り時にはインクリボンが印字ヘッドに押されてたるんだ状態から巻き取りを行うため、ゆるい巻付けになりがちである。一方で、初期動作時の巻き取り時には、印字を行わず、インクリボンが張った状態で巻き取るため、きつい巻付けになる。
【0008】
すると、装置の初期動作の頻度に応じてインクリボンを巻き取り方のゆるい、きついが異なり、巻き取られたインクリボンの直径が変わる。従って、インクリボンを巻き取る軸の回転量がばらつき、インクリボン残量を正確に把握することができない。インクリボンの残量の把握が不正確だと、残量少警告がされる前にインクリボンの残量が0になる、又は十分以上に残量がある状態で残量少警告がされるなどの問題が生じる。
【0009】
本発明は、この課題を鑑みて、本発明は、装置の使用頻度や印字文字数といった稼動条件に左右されず、またインクリボンに特殊な加工を施すことなく、精度の高い残量少検出ができる印字装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。インクリボンによって媒体に印字する印字装置において、インクリボンを巻き取る巻き取り手段と、インクリボンの残量を示す情報を検出する残量情報検出手段と、残量情報検出手段の検出結果に基づく算出値が、記憶された閾値を超えたときインクリボンの残量少信号を発する制御部とを有し、制御部は、閾値を変更する閾値変更機能を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1から図5を用いて、本発明の一実施形態を説明する。本発明は、リボンを巻き取る装置、及びカード、振込券、通帳、紙葉類等の各種媒体にインクリボンで印字する装置に適用可能であるが、ここでは、インクリボンを用いて磁気ストライプを有するカードに印字して発行するカード発行機を例とする。以下、本発明について、各項目に分けて詳細に説明する。
【0012】
1.カード発行機の概略
図1は、カード発行機1の断面図を示す。カードを複数積層して収納するホッパ2にセットされたカードが1枚繰り出され、図示しない搬送手段により搬送路3を通過して印字部4に搬送され、印字が行われる。その後、磁気書込み部5にてカードの磁気ストライプにデータの書込みが行われ、放出口6より放出される。7はカード発行機の制御部7であり、演算機能、閾値補正機能、メモリなどを含み、各部の制御を行う。通知部25は、通信ケーブル8により上位の制御装置9に接続されている。上位の制御装置とは、カード発行機を搭載している装置(例えば現金自動取引装置等)や、その装置を監視しているセンタ装置等である。制御部7付近には表示器とスイッチ等からなる係員操作部10が設けられている。
【0013】
図2は図1に示すカード発行機1における印字部4の構成の詳細を示す。印字部4では、既知のサーマル印字方式やドットインパクト式のように、発行するカード11に対してインクリボン12をはさんで凸状に文字の浮き出ている活字体13を矢印21方向に押し付け、同時にカード11に接する面が平坦になっているブロック14を矢印22方向に押し付けることでインクをカード11に転写し、印字を行う。
【0014】
カード11は、図示しないモータ等の搬送手段により1文字印字毎に矢印23方向に搬送され、1行分の印字が終了して次の行を印字する場合には、矢印23と直交する方向に改行分搬送し、矢印23の逆方向に1行の文字列の長さ分戻すように搬送してから次の行の印字を始める。つまり、各行は矢印23と平行に印字される(但し、発明はこれに限定されるものではない)。
【0015】
インクリボン12は、ステッピングモータ15にベルトを介して駆動される巻き取り軸24が回転し、この巻き取り軸24に巻き付いているインクリボンである巻き取りリール16もともに回転することで、カード11も同様に1文字印字される毎に矢印23方向に送られる。巻き取り軸24と、ステッピングモータ15と、ベルトとを含めて巻き取り手段とも呼ぶ。巻き取りリール16が回転すると供給軸を中心とした供給リール17もインクリボン12を介して回転し、連続的にインクリボンが供給される。
【0016】
供給リール17付近にはインクリボンの送り量Sを検出するための検出部18が設けられている。検出部18はインクリボンの走行に応じて回転するローラと、ローラと一体となって回転する図示のごとき形状の遮蔽板25と光学センサ19とから構成されている。インクリボンが送られると検出部18の遮蔽板25が回転し、光学センサ19のライトとダーク情報とが切替わる。この切替わりの回数をカウントすることで、インクリボンの送り量Sを検出することができる。ここで送り量Sを累積して総使用量とみなすことはできるが、発明が解決しようとする課題の欄で述べたように、総使用量を記憶しておく記憶部が故障したときや交換されたときなどに、リボン残量が正しく検出されない問題等が生じるので、本発明においては送り量Sの累計のみによっては総使用量としていない。
【0017】
2.比Nの説明
以下、送り量Sの累計によらず、インクリボン自体から使用しているその時に得られる情報、例えばインクリボンが送られた単位長さ当たりの巻き取り軸の回転量、からインクリボンの残量を把握することができる根拠を式1から5で説明する。
【0018】
インクリボンが送られた単位長さ当たりの巻き取り軸の回転量を得るためには、送り量Sの他に、巻き取りリール16を回転させるときのステッピングモータ15のパルス数である回転量R(制御部7に記憶される)を検出する。なお、この回転量を検出するステッピングモータ15のカウント機能を回転量検出部という。インクリボンの所定の送り量あたりの巻き取り軸24の回転量Rは、式1によって算出される比Nで表される。
N=R/S ・・・(式1)
【0019】
また、巻き取り軸24に巻き付いたインクリボン(巻き取りリール16)の直径をDとすると、巻き取り軸1回転当たりの送り量(=1/N)との関係は式2となり、整理すると直径Dと比Nの関係式3が求まる。
π×D=1/N ・・・(式2)
D=1/(π×N) ・・・(式3)
ここで、予めわかっているインクリボンの厚さをtとし、巻き取り軸24自身の直径をdとすると、巻き取りリール16の横面の全面積から、巻き取り軸24の横面の面積を引いたドーナツ型の面積が求まる。また、インクリボンの長さLと厚さtの積により、インクリボンの断面積が求まる。これらの面積が等しいことから、巻き取り軸24に巻き付いたインクリボンの長さすなわちインクリボンの総使用量Lとの間に式4が成立し、式3を直径Dに代入すると式5が求まる。
π×(D2−d2)/4=L×t ・・・(式4)
L=π×{(1/π/N)2−d2}/4/t ・・・(式5)
【0020】
このように巻き取り軸24の回転量Rと、検出部18のパルス数から得られる送り量Sから算出される比Nによってインクリボンの総使用量Lがわかる。予めわかっているインクリボンの総長さから総使用量Lを引くことでインクリボンの残量がわかる。このように比Nは、インクリボンの残量を間接的に示す情報であり、比Nを求めるための制御部7の演算機能、送り量Sを検出する検出部18(送り量検出部)、回転量検出部等を総称して残量情報検出手段ともいう。
【0021】
以上により、比Nが所定の値(以下、閾値Xと呼ぶ)になったときに、インクリボンの残量が少ないと判断することがでる。この閾値Xを超えたとき、制御部7はインクリボンが残量少となったことを認識して残量少信号を発生し、通知部25によって上位の制御装置9へその旨を通知する、又は、係員操作部10に残量少の警告や案内等を表示や点灯等させる。
【0022】
なお、インクリボン自体から使用しているその時に得られる情報として、単位送り量S当たりの巻き取り軸24の回転量Rに基づく比Nの他にも、単位時間当たりの回転量R、単位送り量(又は時間)当たりの供給軸の回転量等が考えられるが、単位時間当たりの回転量Rは、印字する文字種によっても変化し、また供給軸の回転量を測定するためには別の検出手段を用意する必要があり、ステッピングモータ15で簡便に測定される回転量Rを用いた比Nが望ましい。
【0023】
3.インクリボンの巻き付き具合
さて、上述の通り、比Nによってインクリボンの残量を検知することができるのだが、発明が解決しようとする課題の欄で述べたように、初期動作の頻度によって、インクリボンの巻きつき具合、つまり巻き取りリール16の直径Dに違いが生じる。すなわち、インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字装置では、インクリボンを巻き取る動作には、通常の印字動作の他に、装置(システム)の電源投入時や立ち上げ時にインクリボンを搬送するステッピングモータ15や各種センサの動作確認のために印字を行わずにインクリボンを巻き取る初期動作があり、印字動作での巻き取り時にはインクリボンが印字ヘッドに押されてたるんだ状態から巻き取りを行うので、ゆるい巻付けになる一方、初期動作の巻き取り時には、印字を行わず、インクリボンが張った状態で巻き取るため、きつい巻付けになる。すると、装置の初期動作の頻度に応じてインクリボンを巻き取り方のゆるい、きついが異なり、巻き取られたインクリボンの直径が変わる。この点について、装置の初期動作が毎朝の電源投入時に1回行われているとした場合に、1日のカード発行枚数の違いによって生じるばらつきを図3によって詳説する。
【0024】
図3は、インクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸24の回転量Rの比Nを縦軸にとり、インクリボンの総使用量Lを横軸にとって関係を示したグラフであり、ライン31は1日のカード発行枚数が少ない場合の近似直線、ライン32は多い場合の近似直線をそれぞれ表している。
【0025】
インクリボンの総使用量Lが増えるにつれて、巻き取りリール16の直径が大きくなって巻き取りリール16の円周が大きくなるため、巻き取りリール16とともに回転する巻き取り軸24の回転量Rが減少する。すると、インクリボンの総使用量Lの増加に伴って、インクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸24の回転量Rの比Nが小さくなる、すなわち負の傾きのグラフとなる。
【0026】
ここで、1日のカード発行枚数が少ない近似直線31と、1日の発行枚数が多い近似直線32とを比較すると、前者では、初期動作の頻度が高い、つまり1日のインクリボンの使用量に占める初期動作でのインクリボンの使用量の割合が大きいために、巻き取りリール16が比較的きつい巻き付けになり、一方後者では比較的ゆるい巻き付けとなり、同じインクリボン総使用量の場合には、後者に比べて前者は巻き取りリール16の直径が小さい。すなわち、1日の発行枚数が少ない近似直線31の傾きK31は、1日の発行枚数が多い近似直線32の傾きK32に比べて小さくなる。
【0027】
ここで、残量少報告を行うための比Nの閾値XがN1であるとして制御部7のメモリに記憶されている場合、近似直線31の場合ではインクリボンの総使用量L1で残量少報告を行う。一方、近似直線32の場合では、インクリボンの総長さL0に対して十分残量を残しているL2において、残量少報告を行ってしまうことになる。これでは、実際に残っているインクリボンが無駄になり、インクリボンの使用効率を低下させてしまう。
【0028】
4.閾値Xの手動補正
そこで、本発明は、係員操作部10から任意の閾値Xを書込むことができ、また運用開始後に閾値Xを書き換えることを可能にする閾値変更機能を制御部7に有することで、例えば、1日の発行枚数が少ないときには、近似直線31が予想されるため、逆に1日の発行枚数が多いときには、近似直線32が予想されるため、それぞれN1又はN2の値を予め比Nの閾値Xとして係員操作部10から任意に制御部7へ設定できるようにしておくことで、1日の発行枚数が多いときも少ないときも、インクリボンの総使用量がL1になった時点で残量少報告を行わせることが可能となる。これにより、装置の稼動効率やインクリボンの使用効率を向上できる。
【0029】
なお、閾値Xは、時期や季節によって変えても良いが、1日のカード発行枚数の変動に合わせて係員操作部から閾値Xを書き換えることよりきめ細かい調整を可能とするので好ましい。また、通信ケーブル8を介して制御装置9から制御部7の閾値Xを変更するようにしても良い。
【0030】
5.閾値Xの自動補正
上述では、稼動条件の変動に合わせて残量少報告のための閾値Xを係員操作部10より書き換えることで最適な残量少報告を行える一実施形態について説明した。次に閾値Xの自動補正の一実施形態についても説明する。カード発行機は、例えば無人店舗などに装置が設置される場合も考えられ、この場合に係員操作部から、閾値Xを書き換えるためには係員が装置の設置場所まで移動しなければならず、わずらわしい。そこで、稼動情報を基に制御部7の閾値変更機能で閾値Xの補正を自動的に行い、最適な残量少報告を行う装置を示す。
【0031】
以下、閾値Xを自動的に補正する手順を図4に示すフローチャートおよび図5に示すグラフを用いて説明する。閾値Xを自動的に補正するための判断の基となる稼動情報として、前述した1日のカード発行枚数の他にも、カード1枚当たりへの印字文字数等が考えられるが、ここでは1回の印字動作での印字文字数は一定と考え、1日のカード発行枚数のみによって閾値Xを自動的に補正する場合を説明する。なお、1回の印字動作での印字文字数が不定である場合には、以降の説明において1日のカード発行枚数を1日の総印字文字数と置換し、傾きKの代わりに1日の総印字文字数別の傾きを用いる。文字数ではなく、行数によって判断できる場合もある。
【0032】
なお、装置で実測される値は、回転量Rと送り量Sとカードの発行枚数Mである。一般的には、上位の制御装置がカード発行の指示をするので、装置がMを実測する必要はなく、発行指示回数を上位がカウントし、記憶しておけばよい。装置で実測する場合には、発行指示を受けた回数を制御部7にてカウントする。
【0033】
また、初期設定値として予め予測されたカード発行枚数M0に対応した傾きK0と閾値NCも制御部7に記憶している。更に、この補正においては上述の傾きK31、K32のような1日のカード発行枚数の大小に対しての傾きKの値が必要となるため、制御部7には、1日のカード発行枚数別に予め実験的に求められた傾きKの値が記憶されている。これらの値は、上位の制御装置9に記憶させておき、必要なときに通信ケーブル8を介して受け取るようにしてもよい。
【0034】
最初に、図4のステップ401に示す通り上位の制御装置9から初期動作実施の命令を受け、ステップ402に示す通り上位の制御装置9から、前回の初期動作を実行した後にこのカード発行機で発行した枚数(カード発行枚数M1)とそのときの閾値X(初期設定値NCのままであったものとする)を受け取る。
【0035】
次にステップ403にてカード発行枚数M1が予め予測されたカード発行枚数M0と同じかどうかの判定を行う。同じ場合には、予測した通りの枚数のカードが1日に発行されているということであるから、ステップ404の通り閾値Xの補正は行わない。
【0036】
M1とM0が一致しない場合には閾値Xを自動的に補正する。なぜなら、グラフの傾きが初期値K0のまま、すなわちこの間のカード発行枚数がM1枚でなく当初予測した枚数M0であれば、閾値Xの初期値NCでインクリボンを総使用量L1使用したとみなせるが、カードの発行枚数はM1枚(予め予測された枚数より少なかったものとする)の場合は、傾きKがなだらか(K1)になる。従って今後、カードの発行枚数のペースが予測通り(傾きK0)に戻ったとしても、インクリボンをL1使用するときの比Nの値は閾値Xの初期値NCではなくNEとなり、ΔN(式6参照)の差が生じる(図5の縦軸参照)。よってこのΔNを閾値Xの補正量として初期値NCに加算する。
ΔN=NE−NC=ND−NB ・・・(式6)
【0037】
6.補正値ΔNの算出
以下、ΔNの算出についてステップ405から407で説明する。まず、ステップ405にてA点(前回の初期動作)からD点までのインクリボン使用量Lmの値を式7にて算出する。式7は、予めわかっている初期動作1回分のインクリボンの送り量S1に1回の印字動作でのインクリボン使用量Pと発行枚数M1との積を加えて算出する。
Lm=S1×P×M1 ・・・(式7)
【0038】
次にステップ406にて、制御部7に記憶されている発行枚数M1に対する傾きK1の値を読み出し、ステップ407で、式10によりK1とLmによりΔNを算出する。式10の根拠は以下に示す。
はじめに、NDとNAは、直線グラフから一次方程式を求める方法により、それぞれ式8と式9のように表すことができる。
ND=NA+K1×Lm ・・・(式8)
NB=NA+K0×Lm ・・・(式9)
これらの式8と式9とを式6に代入すると式10が導かれる。
【0039】
最後にステップ408で初期値NCにΔNを加算し新たな閾値NEを得て、ステップ409にて上位の制御装置9に新たな閾値NEの値を報告する。上位の制御装置9はこれを記憶し、更に次回の初期動作時にはカード発行枚数Mと合わせて装置側に送信する。これにより、初期動作のたびに閾値Xを自動的に補正できる。
【0040】
補正値の算出方法としては、上記に限られるものではなく、別の例として、初期値K0又はM0をK1又はM1に補正し、補正された傾きを持つグラフがL=L0に外挿する点の値を、補正された閾値Xとみなす方法もある。但し、この方法では、装置の稼動状況の突発的な変化(給料日等で印字枚数等が特異的に多かった等)をも、翌日に反映してしまう恐れがあることから傾きや枚数の初期値K0又はM0については補正せず用いる方法が好ましい。
【0041】
7.インクリボンの交換
さて、上記のように閾値Xを、手動又は自動的に補正することを説明した。これらの技術では、閾値Xを補正しているため、古いインクリボンを新しいインクリボンに交換する場合、補正されている閾値Xを初期値NCに戻す必要がある。以下、インクリボンを交換するときの補正された閾値Xのリセットについて説明する。
【0042】
一般にインクリボンが取り外されることをセンサ等で検知し、取り外された場合には種々の値を初期値に戻す(リセットする)方法が知られている。しかし、この方法では、次に取り付けられたインクリボンの残量によらず、値が一律にリセットされる。すると、修理などのため、古いインクリボンを一旦取り外し、着け直した場合にも、例えば閾値Xがリセットされ、残量少検知がうまくできなくなる。
【0043】
そこで、本発明では、インクリボンの脱着の前後で検出される値が、所定量以上変化したときに限り、インクリボンが交換されたと判断することとしている。例えば、上述した比Nを用いる場合、前回の印字動作時に算出された比Nに対して、今回の比Nが所定量以上大きくなったと判断されたときだけインクリボンが交換されたと判断して補正されている閾値Xを初期値NCに戻す。つまり、インクリボンが交換された場合には巻き取り軸24にインクリボンがない状態では巻き取りリール16の直径が巻き取り軸24の直径に近く、比較的小さいので、交換後に算出される比Nは、交換前のそれと比べて大きな値になり、古いインクリボンから新しいインクリボンへ交換されたと判断できる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、その要旨を脱しない範囲で本発明が実施可能であることは言うまでも無い。また、インクリボンによって印字する装置について説明したが、これに限らず帯状、紐状の物を巻き取る巻き取り装置における残量少報告においても本発明は有効である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、装置の稼動条件の影響を抑えた残量少検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カード発行機の概略構成を表す図である。
【図2】カード発行機の印字部の構成を表す図である。
【図3】カード発行機におけるインクリボンの総使用量Lとインクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸回転量Rの比Nとの関係を表すグラフであり、1日のカード発行枚数による変化を説明するためのものである。
【図4】残量少報告を行うための送り量Sに対する巻き取り軸回転量Rの比Nの閾値を自動的に補正する手順を表すフローチャートである。
【図5】カード発行機におけるインクリボンの総使用量Lとインクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸回転量Rの比Nとの関係を表すグラフであり、閾値を補正する手順を説明するためのものである。
【符号の説明】
1…カード発行機、2…ホッパ、3…搬送路、4…印字部、5…磁気書込み部、6…放出口、7…制御部、8…通信手段、9…上位の制御装置、10…係員操作部、11…カード、12…インクリボン、13…活字体、14…ブロック、15…ステッピングモータ、16…巻き取りリール、17…供給リール、18…検出部、19…光学センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボンを利用して媒体に印字を行う印字装置に関するものであり、例えば金融機関等に設置されて磁気カードに印字を行い発行するカード発行機や、現金自動預払機等に搭載されて振込券の発行を行う振込券発行機構等に関する。以下、カード、振込券、通帳、紙葉類等をまとめて媒体と称する。
【0002】
【従来の技術】
脱着可能なインクリボンのインクを媒体に転写して印字する印字装置において、インクリボンの残量がなくなった場合には速やかな交換を促すべく、そのとき使用しているインクリボンの残量を把握することが求められている。
【0003】
このような問題を解決するために、残量少検出を行う長さに対応したインクリボンの一部に銀色の着色などを行い、この部分をセンサで検出することで残量少検出を行うことも考えられるが、銀色の着色など特殊な加工を施すことでインクリボンが高価なものになってしまう。
【0004】
そこでインクリボンに加工を施すのではなく、インクリボンボビンに一体回転するように結合したセンサ板およびセンサ板の回転量をパルス数としてカウントすることで、予め設定された終端定義パルス数の差分値に基づきインクリボン残量を検出する技術がある(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術ではパルス数を累積して記憶しておく必要がある。そのため、装置や部品の障害等の不測の事態に、累積された記憶が失われると、そのとき装着されているインクリボンの残量をもはや把握できない。
【0006】
そこで、装着されているインクリボンからその時点に得られる情報、例えば、インクリボンを繰り出す又は巻き取る軸の単位時間当たりの回転速度によって、インクリボンの残量少を検知する技術がある(特許文献2参照)。
【特許文献1】
特開2001−47717号公報
【特許文献2】
特開平9−20051号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしがながら、特許文献2の技術によっても以下の課題が生じる。すなわち、インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字装置では、インクリボンを巻き取る動作が大きく分けて2つある。1つは通常の印字動作であり、他は、装置(システム)の電源投入時や立ち上げ時にインクリボンを搬送するステッピングモータやセンサの動作を確認するために印字を行わずにインクリボンを巻き取る初期動作である。これらの場合では、それぞれ、送り出されたインクリボンを巻き取る巻き取り軸へのインクリボンの巻き付き具合が異なる。つまり、印字動作での巻き取り時にはインクリボンが印字ヘッドに押されてたるんだ状態から巻き取りを行うため、ゆるい巻付けになりがちである。一方で、初期動作時の巻き取り時には、印字を行わず、インクリボンが張った状態で巻き取るため、きつい巻付けになる。
【0008】
すると、装置の初期動作の頻度に応じてインクリボンを巻き取り方のゆるい、きついが異なり、巻き取られたインクリボンの直径が変わる。従って、インクリボンを巻き取る軸の回転量がばらつき、インクリボン残量を正確に把握することができない。インクリボンの残量の把握が不正確だと、残量少警告がされる前にインクリボンの残量が0になる、又は十分以上に残量がある状態で残量少警告がされるなどの問題が生じる。
【0009】
本発明は、この課題を鑑みて、本発明は、装置の使用頻度や印字文字数といった稼動条件に左右されず、またインクリボンに特殊な加工を施すことなく、精度の高い残量少検出ができる印字装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を採用する。インクリボンによって媒体に印字する印字装置において、インクリボンを巻き取る巻き取り手段と、インクリボンの残量を示す情報を検出する残量情報検出手段と、残量情報検出手段の検出結果に基づく算出値が、記憶された閾値を超えたときインクリボンの残量少信号を発する制御部とを有し、制御部は、閾値を変更する閾値変更機能を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1から図5を用いて、本発明の一実施形態を説明する。本発明は、リボンを巻き取る装置、及びカード、振込券、通帳、紙葉類等の各種媒体にインクリボンで印字する装置に適用可能であるが、ここでは、インクリボンを用いて磁気ストライプを有するカードに印字して発行するカード発行機を例とする。以下、本発明について、各項目に分けて詳細に説明する。
【0012】
1.カード発行機の概略
図1は、カード発行機1の断面図を示す。カードを複数積層して収納するホッパ2にセットされたカードが1枚繰り出され、図示しない搬送手段により搬送路3を通過して印字部4に搬送され、印字が行われる。その後、磁気書込み部5にてカードの磁気ストライプにデータの書込みが行われ、放出口6より放出される。7はカード発行機の制御部7であり、演算機能、閾値補正機能、メモリなどを含み、各部の制御を行う。通知部25は、通信ケーブル8により上位の制御装置9に接続されている。上位の制御装置とは、カード発行機を搭載している装置(例えば現金自動取引装置等)や、その装置を監視しているセンタ装置等である。制御部7付近には表示器とスイッチ等からなる係員操作部10が設けられている。
【0013】
図2は図1に示すカード発行機1における印字部4の構成の詳細を示す。印字部4では、既知のサーマル印字方式やドットインパクト式のように、発行するカード11に対してインクリボン12をはさんで凸状に文字の浮き出ている活字体13を矢印21方向に押し付け、同時にカード11に接する面が平坦になっているブロック14を矢印22方向に押し付けることでインクをカード11に転写し、印字を行う。
【0014】
カード11は、図示しないモータ等の搬送手段により1文字印字毎に矢印23方向に搬送され、1行分の印字が終了して次の行を印字する場合には、矢印23と直交する方向に改行分搬送し、矢印23の逆方向に1行の文字列の長さ分戻すように搬送してから次の行の印字を始める。つまり、各行は矢印23と平行に印字される(但し、発明はこれに限定されるものではない)。
【0015】
インクリボン12は、ステッピングモータ15にベルトを介して駆動される巻き取り軸24が回転し、この巻き取り軸24に巻き付いているインクリボンである巻き取りリール16もともに回転することで、カード11も同様に1文字印字される毎に矢印23方向に送られる。巻き取り軸24と、ステッピングモータ15と、ベルトとを含めて巻き取り手段とも呼ぶ。巻き取りリール16が回転すると供給軸を中心とした供給リール17もインクリボン12を介して回転し、連続的にインクリボンが供給される。
【0016】
供給リール17付近にはインクリボンの送り量Sを検出するための検出部18が設けられている。検出部18はインクリボンの走行に応じて回転するローラと、ローラと一体となって回転する図示のごとき形状の遮蔽板25と光学センサ19とから構成されている。インクリボンが送られると検出部18の遮蔽板25が回転し、光学センサ19のライトとダーク情報とが切替わる。この切替わりの回数をカウントすることで、インクリボンの送り量Sを検出することができる。ここで送り量Sを累積して総使用量とみなすことはできるが、発明が解決しようとする課題の欄で述べたように、総使用量を記憶しておく記憶部が故障したときや交換されたときなどに、リボン残量が正しく検出されない問題等が生じるので、本発明においては送り量Sの累計のみによっては総使用量としていない。
【0017】
2.比Nの説明
以下、送り量Sの累計によらず、インクリボン自体から使用しているその時に得られる情報、例えばインクリボンが送られた単位長さ当たりの巻き取り軸の回転量、からインクリボンの残量を把握することができる根拠を式1から5で説明する。
【0018】
インクリボンが送られた単位長さ当たりの巻き取り軸の回転量を得るためには、送り量Sの他に、巻き取りリール16を回転させるときのステッピングモータ15のパルス数である回転量R(制御部7に記憶される)を検出する。なお、この回転量を検出するステッピングモータ15のカウント機能を回転量検出部という。インクリボンの所定の送り量あたりの巻き取り軸24の回転量Rは、式1によって算出される比Nで表される。
N=R/S ・・・(式1)
【0019】
また、巻き取り軸24に巻き付いたインクリボン(巻き取りリール16)の直径をDとすると、巻き取り軸1回転当たりの送り量(=1/N)との関係は式2となり、整理すると直径Dと比Nの関係式3が求まる。
π×D=1/N ・・・(式2)
D=1/(π×N) ・・・(式3)
ここで、予めわかっているインクリボンの厚さをtとし、巻き取り軸24自身の直径をdとすると、巻き取りリール16の横面の全面積から、巻き取り軸24の横面の面積を引いたドーナツ型の面積が求まる。また、インクリボンの長さLと厚さtの積により、インクリボンの断面積が求まる。これらの面積が等しいことから、巻き取り軸24に巻き付いたインクリボンの長さすなわちインクリボンの総使用量Lとの間に式4が成立し、式3を直径Dに代入すると式5が求まる。
π×(D2−d2)/4=L×t ・・・(式4)
L=π×{(1/π/N)2−d2}/4/t ・・・(式5)
【0020】
このように巻き取り軸24の回転量Rと、検出部18のパルス数から得られる送り量Sから算出される比Nによってインクリボンの総使用量Lがわかる。予めわかっているインクリボンの総長さから総使用量Lを引くことでインクリボンの残量がわかる。このように比Nは、インクリボンの残量を間接的に示す情報であり、比Nを求めるための制御部7の演算機能、送り量Sを検出する検出部18(送り量検出部)、回転量検出部等を総称して残量情報検出手段ともいう。
【0021】
以上により、比Nが所定の値(以下、閾値Xと呼ぶ)になったときに、インクリボンの残量が少ないと判断することがでる。この閾値Xを超えたとき、制御部7はインクリボンが残量少となったことを認識して残量少信号を発生し、通知部25によって上位の制御装置9へその旨を通知する、又は、係員操作部10に残量少の警告や案内等を表示や点灯等させる。
【0022】
なお、インクリボン自体から使用しているその時に得られる情報として、単位送り量S当たりの巻き取り軸24の回転量Rに基づく比Nの他にも、単位時間当たりの回転量R、単位送り量(又は時間)当たりの供給軸の回転量等が考えられるが、単位時間当たりの回転量Rは、印字する文字種によっても変化し、また供給軸の回転量を測定するためには別の検出手段を用意する必要があり、ステッピングモータ15で簡便に測定される回転量Rを用いた比Nが望ましい。
【0023】
3.インクリボンの巻き付き具合
さて、上述の通り、比Nによってインクリボンの残量を検知することができるのだが、発明が解決しようとする課題の欄で述べたように、初期動作の頻度によって、インクリボンの巻きつき具合、つまり巻き取りリール16の直径Dに違いが生じる。すなわち、インクリボンを用いて媒体に印字を行う印字装置では、インクリボンを巻き取る動作には、通常の印字動作の他に、装置(システム)の電源投入時や立ち上げ時にインクリボンを搬送するステッピングモータ15や各種センサの動作確認のために印字を行わずにインクリボンを巻き取る初期動作があり、印字動作での巻き取り時にはインクリボンが印字ヘッドに押されてたるんだ状態から巻き取りを行うので、ゆるい巻付けになる一方、初期動作の巻き取り時には、印字を行わず、インクリボンが張った状態で巻き取るため、きつい巻付けになる。すると、装置の初期動作の頻度に応じてインクリボンを巻き取り方のゆるい、きついが異なり、巻き取られたインクリボンの直径が変わる。この点について、装置の初期動作が毎朝の電源投入時に1回行われているとした場合に、1日のカード発行枚数の違いによって生じるばらつきを図3によって詳説する。
【0024】
図3は、インクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸24の回転量Rの比Nを縦軸にとり、インクリボンの総使用量Lを横軸にとって関係を示したグラフであり、ライン31は1日のカード発行枚数が少ない場合の近似直線、ライン32は多い場合の近似直線をそれぞれ表している。
【0025】
インクリボンの総使用量Lが増えるにつれて、巻き取りリール16の直径が大きくなって巻き取りリール16の円周が大きくなるため、巻き取りリール16とともに回転する巻き取り軸24の回転量Rが減少する。すると、インクリボンの総使用量Lの増加に伴って、インクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸24の回転量Rの比Nが小さくなる、すなわち負の傾きのグラフとなる。
【0026】
ここで、1日のカード発行枚数が少ない近似直線31と、1日の発行枚数が多い近似直線32とを比較すると、前者では、初期動作の頻度が高い、つまり1日のインクリボンの使用量に占める初期動作でのインクリボンの使用量の割合が大きいために、巻き取りリール16が比較的きつい巻き付けになり、一方後者では比較的ゆるい巻き付けとなり、同じインクリボン総使用量の場合には、後者に比べて前者は巻き取りリール16の直径が小さい。すなわち、1日の発行枚数が少ない近似直線31の傾きK31は、1日の発行枚数が多い近似直線32の傾きK32に比べて小さくなる。
【0027】
ここで、残量少報告を行うための比Nの閾値XがN1であるとして制御部7のメモリに記憶されている場合、近似直線31の場合ではインクリボンの総使用量L1で残量少報告を行う。一方、近似直線32の場合では、インクリボンの総長さL0に対して十分残量を残しているL2において、残量少報告を行ってしまうことになる。これでは、実際に残っているインクリボンが無駄になり、インクリボンの使用効率を低下させてしまう。
【0028】
4.閾値Xの手動補正
そこで、本発明は、係員操作部10から任意の閾値Xを書込むことができ、また運用開始後に閾値Xを書き換えることを可能にする閾値変更機能を制御部7に有することで、例えば、1日の発行枚数が少ないときには、近似直線31が予想されるため、逆に1日の発行枚数が多いときには、近似直線32が予想されるため、それぞれN1又はN2の値を予め比Nの閾値Xとして係員操作部10から任意に制御部7へ設定できるようにしておくことで、1日の発行枚数が多いときも少ないときも、インクリボンの総使用量がL1になった時点で残量少報告を行わせることが可能となる。これにより、装置の稼動効率やインクリボンの使用効率を向上できる。
【0029】
なお、閾値Xは、時期や季節によって変えても良いが、1日のカード発行枚数の変動に合わせて係員操作部から閾値Xを書き換えることよりきめ細かい調整を可能とするので好ましい。また、通信ケーブル8を介して制御装置9から制御部7の閾値Xを変更するようにしても良い。
【0030】
5.閾値Xの自動補正
上述では、稼動条件の変動に合わせて残量少報告のための閾値Xを係員操作部10より書き換えることで最適な残量少報告を行える一実施形態について説明した。次に閾値Xの自動補正の一実施形態についても説明する。カード発行機は、例えば無人店舗などに装置が設置される場合も考えられ、この場合に係員操作部から、閾値Xを書き換えるためには係員が装置の設置場所まで移動しなければならず、わずらわしい。そこで、稼動情報を基に制御部7の閾値変更機能で閾値Xの補正を自動的に行い、最適な残量少報告を行う装置を示す。
【0031】
以下、閾値Xを自動的に補正する手順を図4に示すフローチャートおよび図5に示すグラフを用いて説明する。閾値Xを自動的に補正するための判断の基となる稼動情報として、前述した1日のカード発行枚数の他にも、カード1枚当たりへの印字文字数等が考えられるが、ここでは1回の印字動作での印字文字数は一定と考え、1日のカード発行枚数のみによって閾値Xを自動的に補正する場合を説明する。なお、1回の印字動作での印字文字数が不定である場合には、以降の説明において1日のカード発行枚数を1日の総印字文字数と置換し、傾きKの代わりに1日の総印字文字数別の傾きを用いる。文字数ではなく、行数によって判断できる場合もある。
【0032】
なお、装置で実測される値は、回転量Rと送り量Sとカードの発行枚数Mである。一般的には、上位の制御装置がカード発行の指示をするので、装置がMを実測する必要はなく、発行指示回数を上位がカウントし、記憶しておけばよい。装置で実測する場合には、発行指示を受けた回数を制御部7にてカウントする。
【0033】
また、初期設定値として予め予測されたカード発行枚数M0に対応した傾きK0と閾値NCも制御部7に記憶している。更に、この補正においては上述の傾きK31、K32のような1日のカード発行枚数の大小に対しての傾きKの値が必要となるため、制御部7には、1日のカード発行枚数別に予め実験的に求められた傾きKの値が記憶されている。これらの値は、上位の制御装置9に記憶させておき、必要なときに通信ケーブル8を介して受け取るようにしてもよい。
【0034】
最初に、図4のステップ401に示す通り上位の制御装置9から初期動作実施の命令を受け、ステップ402に示す通り上位の制御装置9から、前回の初期動作を実行した後にこのカード発行機で発行した枚数(カード発行枚数M1)とそのときの閾値X(初期設定値NCのままであったものとする)を受け取る。
【0035】
次にステップ403にてカード発行枚数M1が予め予測されたカード発行枚数M0と同じかどうかの判定を行う。同じ場合には、予測した通りの枚数のカードが1日に発行されているということであるから、ステップ404の通り閾値Xの補正は行わない。
【0036】
M1とM0が一致しない場合には閾値Xを自動的に補正する。なぜなら、グラフの傾きが初期値K0のまま、すなわちこの間のカード発行枚数がM1枚でなく当初予測した枚数M0であれば、閾値Xの初期値NCでインクリボンを総使用量L1使用したとみなせるが、カードの発行枚数はM1枚(予め予測された枚数より少なかったものとする)の場合は、傾きKがなだらか(K1)になる。従って今後、カードの発行枚数のペースが予測通り(傾きK0)に戻ったとしても、インクリボンをL1使用するときの比Nの値は閾値Xの初期値NCではなくNEとなり、ΔN(式6参照)の差が生じる(図5の縦軸参照)。よってこのΔNを閾値Xの補正量として初期値NCに加算する。
ΔN=NE−NC=ND−NB ・・・(式6)
【0037】
6.補正値ΔNの算出
以下、ΔNの算出についてステップ405から407で説明する。まず、ステップ405にてA点(前回の初期動作)からD点までのインクリボン使用量Lmの値を式7にて算出する。式7は、予めわかっている初期動作1回分のインクリボンの送り量S1に1回の印字動作でのインクリボン使用量Pと発行枚数M1との積を加えて算出する。
Lm=S1×P×M1 ・・・(式7)
【0038】
次にステップ406にて、制御部7に記憶されている発行枚数M1に対する傾きK1の値を読み出し、ステップ407で、式10によりK1とLmによりΔNを算出する。式10の根拠は以下に示す。
はじめに、NDとNAは、直線グラフから一次方程式を求める方法により、それぞれ式8と式9のように表すことができる。
ND=NA+K1×Lm ・・・(式8)
NB=NA+K0×Lm ・・・(式9)
これらの式8と式9とを式6に代入すると式10が導かれる。
【0039】
最後にステップ408で初期値NCにΔNを加算し新たな閾値NEを得て、ステップ409にて上位の制御装置9に新たな閾値NEの値を報告する。上位の制御装置9はこれを記憶し、更に次回の初期動作時にはカード発行枚数Mと合わせて装置側に送信する。これにより、初期動作のたびに閾値Xを自動的に補正できる。
【0040】
補正値の算出方法としては、上記に限られるものではなく、別の例として、初期値K0又はM0をK1又はM1に補正し、補正された傾きを持つグラフがL=L0に外挿する点の値を、補正された閾値Xとみなす方法もある。但し、この方法では、装置の稼動状況の突発的な変化(給料日等で印字枚数等が特異的に多かった等)をも、翌日に反映してしまう恐れがあることから傾きや枚数の初期値K0又はM0については補正せず用いる方法が好ましい。
【0041】
7.インクリボンの交換
さて、上記のように閾値Xを、手動又は自動的に補正することを説明した。これらの技術では、閾値Xを補正しているため、古いインクリボンを新しいインクリボンに交換する場合、補正されている閾値Xを初期値NCに戻す必要がある。以下、インクリボンを交換するときの補正された閾値Xのリセットについて説明する。
【0042】
一般にインクリボンが取り外されることをセンサ等で検知し、取り外された場合には種々の値を初期値に戻す(リセットする)方法が知られている。しかし、この方法では、次に取り付けられたインクリボンの残量によらず、値が一律にリセットされる。すると、修理などのため、古いインクリボンを一旦取り外し、着け直した場合にも、例えば閾値Xがリセットされ、残量少検知がうまくできなくなる。
【0043】
そこで、本発明では、インクリボンの脱着の前後で検出される値が、所定量以上変化したときに限り、インクリボンが交換されたと判断することとしている。例えば、上述した比Nを用いる場合、前回の印字動作時に算出された比Nに対して、今回の比Nが所定量以上大きくなったと判断されたときだけインクリボンが交換されたと判断して補正されている閾値Xを初期値NCに戻す。つまり、インクリボンが交換された場合には巻き取り軸24にインクリボンがない状態では巻き取りリール16の直径が巻き取り軸24の直径に近く、比較的小さいので、交換後に算出される比Nは、交換前のそれと比べて大きな値になり、古いインクリボンから新しいインクリボンへ交換されたと判断できる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、その要旨を脱しない範囲で本発明が実施可能であることは言うまでも無い。また、インクリボンによって印字する装置について説明したが、これに限らず帯状、紐状の物を巻き取る巻き取り装置における残量少報告においても本発明は有効である。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、装置の稼動条件の影響を抑えた残量少検出ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カード発行機の概略構成を表す図である。
【図2】カード発行機の印字部の構成を表す図である。
【図3】カード発行機におけるインクリボンの総使用量Lとインクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸回転量Rの比Nとの関係を表すグラフであり、1日のカード発行枚数による変化を説明するためのものである。
【図4】残量少報告を行うための送り量Sに対する巻き取り軸回転量Rの比Nの閾値を自動的に補正する手順を表すフローチャートである。
【図5】カード発行機におけるインクリボンの総使用量Lとインクリボンの送り量Sに対する巻き取り軸回転量Rの比Nとの関係を表すグラフであり、閾値を補正する手順を説明するためのものである。
【符号の説明】
1…カード発行機、2…ホッパ、3…搬送路、4…印字部、5…磁気書込み部、6…放出口、7…制御部、8…通信手段、9…上位の制御装置、10…係員操作部、11…カード、12…インクリボン、13…活字体、14…ブロック、15…ステッピングモータ、16…巻き取りリール、17…供給リール、18…検出部、19…光学センサ
Claims (5)
- インクリボンを利用し、媒体に印字する印字装置において、
前記インクリボンを巻き取る巻き取り手段と、
前記インクリボンの残量を示す情報を検出する残量情報検出手段と、
前記残量情報検出手段の検出に基づく算出値が、記憶された閾値を超えたときインクリボンの残量少信号を発する制御部とを有し、
前記制御部は、前記閾値を変更する閾値変更機能を有することを特徴とする印字装置。 - 請求項1記載の印字装置において、
前記閾値変更機能は、前記印字装置の初期動作を実行した後に前記印字装置が印字した枚数又は文字数、に応じて前記閾値の変更を自動的に決定することを特徴とする印字装置。 - 請求項1記載の印字装置において、
前記残量情報検出手段は、前記巻き取り手段の回転量Rを検出する回転量検出部と、インクリボンの送り量Sを検出する送り量検出部とを有し、
前記算出値は、前記回転量Rと前記送り量Sの比R/Sを含むことを特徴とする印字装置。 - 請求項1記載の印字装置において、
前記制御部は、算出値の所定量以上の変化があったとき、インクリボンが交換されたものとして前記閾値を初期設定値に戻すことを特徴とする印字装置。 - 脱着可能なインクリボンのインクを媒体に転写して印字する印字装置において、
前記インクリボンの残量を示す情報を検出する残量情報検出手段と、
前記残量情報検出手段によって得られた情報を基に算出した値が、前記インクリボンの脱着の前後で所定量以上変化したときに限り、前記インクリボンが交換されたと判断する制御部を有する印字装置。
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