JP2004122845A - 鉄道車両における車室部材の制振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄道車両における車室内の騒音を低減することのできる制振装置を提供する。
【解決手段】鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材(波打ちパネル)14,(床表面パネル)16に装着されてこれを制振する制振装置25,26を、車室部材14,16と一体変位する剛性の当り部38,42と、当り部38,42に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に当り部38,42に衝突するマス部材32,46と、当り部38,42とマス部材32,46との間に形成された隙間S,2Sと、それら当り部38,42とマス部材32,46との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体40とを含んで構成する。
【選択図】 図3
【解決手段】鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材(波打ちパネル)14,(床表面パネル)16に装着されてこれを制振する制振装置25,26を、車室部材14,16と一体変位する剛性の当り部38,42と、当り部38,42に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に当り部38,42に衝突するマス部材32,46と、当り部38,42とマス部材32,46との間に形成された隙間S,2Sと、それら当り部38,42とマス部材32,46との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体40とを含んで構成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材の振動を抑制するための制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
鉄道車両にはブレーキ,空気ばね用等にコンプレッサが車室の床下に取り付けられている。
このコンプレッサは防振ゴムにて弾性支持されているが、この防振ゴムだけでは振動絶縁が十分でなく、コンプレッサで発生した振動が車室の床へ伝わってしまう。
【0003】
特に近年技術革新により車室の軽量化が進んでおり、コンプレッサからの振動が床に伝わると床パネルを振動させてしまう。そしてその床パネルの振動が更に側壁パネル,天井パネルへと伝わってそれらが振動してしまう。
鉄道車両の車室においては、その他連結器装置からの振動その他からの振動が伝わり、その結果車室全体が振動して「ゴォー」っといった騒音を発生させたり、車室の乗り心地を悪化させるといった問題を生ずる。
【0004】
この場合、例えばコンプレッサからの振動が床に伝わるのを防止する対策としてコンプレッサにダイナミックダンパを取り付けてこれを制振するといったことが考えられるが、この場合制振効果を出すためにはダイナミックダンパにおけるマス重量が重くなり過ぎるといった問題があり現実的な対策とはなり難い。
更にコンプレッサ以外の振動源からの振動入力によって車室部材が振動する問題に対してはこの方法では対策することができない。
【0005】
鉄道車両における車室の振動を抑制する手段として、従来例えば床構造を異なる床材料を複合的に組み合せ、中間部分に空気層を設けた構造とするなどのものが知られているが、本出願人の知る限り車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材そのものを制振することによって車室の振動ないし騒音を抑制するように成したものは未だ知られていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような事情を背景としてなされたもので、鉄道車両における車室の振動を抑制し、騒音低減及び乗り心地性能を向上させることを目的とする。
その目的を達成するための請求項1の制振装置は、鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材の制振装置であって、前記車室部材と一体変位する剛性の当り部と、該当り部に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に該当り部に衝突するマス部材と、該当り部とマス部材との間に形成され、該マス部材を該振動方向に遊動させるための隙間と、それら当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体とを有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2のものは、請求項1において、前記車室部材がパネルであることを特徴とする。
【0008】
請求項3のものは、請求項2において、前記パネルが床パネルであることを特徴とする。
【0009】
請求項4のものは、請求項2において、前記パネルが天井パネルであることを特徴とする。
【0010】
請求項5のものは、請求項2において、前記パネルが側壁パネルであることを特徴とする。
【0011】
請求項6のものは、請求項1において、前記車室部材が扉であることを特徴とする。
【0012】
請求項7のものは、請求項1において、前記車室部材が手摺りであることを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、鉄道車両における車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材と一体変位する剛性の当り部と、その当り部に対し振動方向に遊動状態に設けられたマス部材と、それらの間に形成された隙間と、更にマス部材と当り部との間に介在する弾性体とを有する制振装置を車室部材に装着し、以って車室部材の振動を抑制するようになしたものである。
【0014】
この制振装置は次のように働く。
即ちこの制振装置の場合、車室部材が振動し始めるとこれと一体に当り部が変位し、車室部材の振動部と同期して振動し始める。
一方マス部材は当り部に対して振動方向に遊動状態にあるため、即ち当り部に対し同方向に独立して自由に移動するため、当り部の振動時にその当り部に衝突し、当り部の振動即ち車室部材の振動を打ち消すように作用する。
【0015】
このとき当り部に衝突したマス部材にはその当り部から逆向きに運動エネルギーが与えられ(従って当り部の振動エネルギーの一部がマス部材の運動エネルギーとして吸収される)、マス部材は逆方向に運動を行う。
そして最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突してそこで再び当り部、即ち車室部材の振動を打ち消すように作用する。
【0016】
マス部材は以後も同様の運動を当り部とは逆位相ないし異なった位相で繰り返し行い、衝突の度に当り部の振動エネルギーを吸収するとともに、これを自身の運動エネルギーに変換して振動する当り部に衝突し続ける。これによるエネルギー吸収によって車室部材の振動エネルギーが減衰し効果高く制振される。
【0017】
尚、当り部とマス部材との何れもが剛体から成っていると、衝突時に大きな異音(衝突音)が発生してしまう。
しかるに本発明における制振装置では、当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成してあるため、衝突時に大きな異音が発生する問題がないとともに、衝突時における滑り摩擦,弾性体の粘性挙動により振動エネルギーが熱に変換・吸収され、即ち弾性体による制振作用が働いて振動部の振動減衰が助長される。
【0018】
尚、前述のようにコンプレッサにダイナミックダンパを取り付ける代りに車室部材にダイナミックダンパを装着して車室部材の振動を抑制するといったことも考えられる。
このダイナミックダンパは、振動部に対しダンパマスをばねを介して付加するもので、それらダンパマスとばねとから成る付加振動系の固有振動数を、主振動系の固有振動数(振動部の固有振動数)に対しチューニングすることで、振動部の共振倍率を低くし制振することができる。
【0019】
しかしながらダイナミックダンパによる制振では、単一の共振周波数の振動に対して効果を発揮するに過ぎず、他の周波数の共振を有効に防止することができない。即ち複数の周波数の共振に対しては有効でない。
しかもダイナミックダンパの場合には共振点の前後に新たに別の共振を生じる問題がある。
加えてばねとしてゴム弾性体を用いたときに、ゴム弾性体のばね定数が温度によって変化するために制振特性の温度依存性が高く、高温時や低温時に制振効率が減少してしまう。
【0020】
更にまたダイナミックダンパではダンパマスとして大きな質量が必要であって(振動部材の10%程度の質量が必要)、装置全体の重量が重くなるとともに、必要な設置スペースも大きく、更にまた制振可能な方向も定まっていて、多方向の振動に対して有効に働かないといった種々の問題が内在している。
【0021】
しかるに本発明における制振装置では、マス部材を独立移動可能に設けておいて、これを制振すべき車室部材の振動部とは逆位相ないし異なった位相で運動させて当り部に衝突させ、振動エネルギーを吸収減衰するものであるため周波数依存性が特になく、広い周波数範囲に亘って振動を抑制することができ、また衝突方向を多方向に取ることが容易且つ簡単であって、多方向の振動を抑制することができ、しかも温度に対する依存性も小さく、高温から低温までの幅広い温度範囲で良好な制振効果を発揮する。
またマス部材の必要な質量も軽量で足り(振動部材の5%程度の質量で足りる)、装置全体の所要スペースも小さくコンパクトにでき、尚且つ振動部に対し簡単に装着できるなど種々の特長を有している。
【0022】
因みに図1は本発明における制振装置の一形態例をダイナミックダンパと比較して模式的に表したもので、図中1はその制振装置を、2はダイナミックダンパを表している。
尚、3は制振装置1におけるマス部材、4はマス部材3の外周面即ち当り面に形成した弾性体を、5は当り部を成すハウジングを示しており、また6はダイナミックダンパ2におけるダンパマス、7はばね(ゴム)を、更に8は振動部材(車室部材)を示している。
【0023】
図1(B)は振動部材8に対して制振装置1を装着したときの制振効果をダイナミックダンパ2を装着した場合及びそれらを装着しない場合との比較において表したものである。
但し図1(B)中cが制振装置1を装着した場合、bがダイナミックダンパ2を装着した場合、aがそれらの何れをも装着しない場合をそれぞれ示している。
【0024】
この図1(B)の制振特性から分るように、図1(A)(イ)のダイナミックダンパ2を装着した場合、特定の周波数領域(ここでは高周波数側の領域)において共振を抑制できるものの、共振点の前後に別の新たな共振を生じており、更に低周波数側での共振に対しては効果を現していないが、図1(A)(ウ)の制振装置1の場合、高周波数側においても低周波数側においても効果を現しており、更にまた共振点の前後に別の新たな共振を生ぜしめるといった現象も生じない。
【0025】
以上から明らかなように、本発明に従う制振装置を鉄道車両における車室部材に装着することで、その車室部材の振動を良好に抑制でき、ひいては車室に伝わる振動を効果的に抑制できる。
これにより車室の騒音レベルを低減し、また乗り心地を良好となすことができる。
【0026】
本発明において、剛性の当り部は鉄,アルミニウム合金等の金属や硬質の樹脂その他の硬質材にて構成することができる。
またマス部材はそれ自体、ゴム,樹脂等の弾性体にて構成することができる。但しこの場合、その内部に金属粉等を混入させて成る高比重ゴム,高比重樹脂等として構成しておくことが望ましい。尚、マス部材をゴム,樹脂等の弾性体で構成する場合には、マス部材自体によって、剛性の当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成されるゴム,樹脂等の弾性体を構成することが可能である。
またこのマス部材は、ゴム,樹脂等の弾性体の発泡体として構成することもできる。
但しより効果的な制振をなす上でマス部材は鉄,アルミニウム合金,鉛等の金属でこれを構成しておくことが望ましい。その場合には、剛性の当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成される。
【0027】
本発明において、上記隙間はマス部材を当り部に対し最も効果的に衝突させる上で重要な意味があり、この意味において隙間は0.05〜2.0mmの範囲で形成するのが望ましく、より望ましくは0.2〜1.0mmの範囲である。
【0028】
本発明においては、上記弾性体としてゴム,樹脂を用いることができる。
ここでゴムとしては例えばNR,SBR,BR等のジエン系ゴム,EPDM系ゴム,ウレタン系ゴム,シリコン系ゴム等各種のゴムを用いることができる。
また樹脂としては例えばポリプロピレンやポリアミド等の熱可塑性樹脂,ポリオレフィンやウレタン,ポリエステル系の熱可塑性エラストマその他のものを用いることができる。
【0029】
ここで弾性体はマス部材又は当り部の当り面に加硫接着等によって接着固定しておいても良いし或いはまた非接着状態で当り面に形成しておくこともできる。
【0030】
本発明においては、制振装置における剛性の当り部を車室部材の一部をそのまま用いて構成することもできるし、或いは車室部材とは別体の部材にて構成することもできる。
【0031】
鉄道車両における車室内の騒音はパネルの振動によるものが主たるもので、従って本発明ではそのパネルに対し制振装置を装着してこれを制振するようになすのが効果的である(請求項2)。
鉄道車両における車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材のパネルとしては、床パネル,天井パネル,側壁パネル等があり、従ってそれらに対し制振装置を装着してそれら床パネル,天井パネル,側壁パネルを制振するようになすことができる(請求項3,請求項4,請求項5)。
【0032】
鉄道車両における車室内の騒音の原因の1つとして、他に扉の振動があり、従ってそのような扉に対し制振装置を装着してこれを制振することで効果的に車室内騒音を低減し、また乗り心地を改善することができる(請求項6)。
【0033】
請求項7は、車室部材としての手摺りに制振装置を装着してこれを制振するようになしたもので、このようになした場合手摺りの振動を抑制でき、手摺りを介して乗客の手や体に振動が伝わるのを防止できるとともに、手摺りの振動による車室内騒音を低減することができる。
【0034】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図2において、10は鉄道車両の車室12の構築部材としての床パネルで、補強用の波打ちパネル14と床表面パネル16との複合構造をなしている。
18は天井パネル、20は側壁パネルであり、22は車室内に設置された金属製の中空パイプからなる手摺りであり、24は扉である。
【0035】
図3(A)に示しているように、上記波打ちパネル14と床表面パネル16とのそれぞれには本例の制振装置25,26がそれぞれ装着されている。
図3(B)に波打ちパネル14に装着された制振装置25の具体的構成が示してある。
【0036】
同図において28は波打ちパネル14における上向きの突条部で取付孔30が設けられており、その取付孔30において制振装置25が波打ちパネル14に装着されている。
尚、制振装置25は突条部28のそれぞれに取り付けておいても良いし或いは適宜選択した突条部28、詳しくは振動の最も大きい箇所の突条部28にのみ取り付けておいても良い。
【0037】
32は制振装置25における金属製のマス部材で、突条部28の表面側に位置する水平な平板部34と、裏面側に位置する水平な平板部34と、それらを取付孔30において上下に連結する連結部36を有しており、全体として断面I字形をなしていて、それら平板部34,34及び連結部36にて形成される溝の内部に突条部28の水平な平板部が入り込んでいる。
【0038】
この例ではその溝内に入り込んだ突条部28の平板部が制振装置25における金属製の剛性の当り部38として構成されている。
即ちこの例では振動抑制すべき対象物である波打ちパネル14の一部が、制振装置25における剛性の当り部38として構成されている。
【0039】
マス部材32における溝の内面にはゴム等からなる弾性体40が形成されており、その弾性体40を介してマス部材32が当り部38、即ち波打ちパネル14における突条部28に当るようになっている。
ここで当り部38とマス部材32詳しくはそのマス部材32に形成された弾性体40との間には隙間S,2Sが形成されている。即ち制振装置25はマス部材32が隙間S,2Sを介して当り部38に対し遊動状態で装着されている。
【0040】
本例の制振装置25の場合、波打ちパネル14が振動し始めるとマス部材32が突条部28における制振装置25の装着部位、具体的には突条部28の一部にて構成された当り部38に衝突し、当り部38の振動即ち波打ちパネル14の振動を打ち消すように作用する。
このときマス部材32には波打ちパネル14から逆向きに運動エネルギーが与えられ、マス部材32は逆方向に運動を行う。そして最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突して波打ちパネル14の振動を打ち消すように作用する。
【0041】
マス部材32は以後も同様の運動を波打ちパネル14、具体的には突条部28における当り部38とは逆位相ないし異なった位相で繰返し行い、衝突の度に波打ちパネル14の振動エネルギーを吸収するとともに、これを自身の運動エネルギーに変換する。
これによりまたその際の滑り摩擦によるエネルギー吸収によって波打ちパネル14の振動エネルギーが減衰し、効果高く制振される。
【0042】
本例の制振装置25は、ダイナミックダンパと異なって周波数依存性が特に無く、広い周波数範囲に亘って振動を抑制することができ、また温度に対する依存性も小さく高温から低温まで幅広い温度範囲で良好な制振効果を発揮する。
またマス部材32の必要な質量も軽量で足りるため、装置全体の所要スペースは小さくコンパクトであり、従って狭い限られたスペースにおいても波打ちパネル14に対し容易に装着することができる。
【0043】
而してこのように波打ちパネル14に制振装置25を取り付けることで、波打ちパネル14の振動を効果的に抑制でき、車室12内の騒音レベルを低減し、また乗り心地を良好となすことができる。
【0044】
一方制振装置26は床表面パネル16の裏面に装着されている。
この制振装置26は、図3(C)に示しているように金属製の剛性の当り部としてのハウジング42を有しており、そのハウジング42において床表面パネル16の裏面に取付固定されている。
ハウジング42は断面円形の遊動室44を有しており、そこに断面円形の金属製のマス部材46が、その外周面を弾性体40で被覆された状態で遊動可能に収容されている。
【0045】
この例の制振装置26においても、床表面パネル16が振動するとこれと一体に振動する当り部としてのハウジング42に対しマス部材46が弾性体40を介して衝突し、その衝突の繰返しによって床表面パネル16の振動を良好に抑制する。
従ってこの床表面パネル16の振動に起因する車室12内騒音を低減することができる。
【0046】
図4は天井パネル18に制振装置26を装着した状態を示している。
ここで制振装置26は図3(C)に示す制振装置と基本的に同様の構成のものである。但し図3(C)では制振装置26が床表面パネル16の裏面に下向きに装着されているが、図4(B)では制振装置26が上下の向きを逆にして天井パネル18の上面に装着されている点で異なっている。
このような制振装置26を天井パネル18に装着しておくことで天井パネル18の振動を効果的に抑制でき、ひいてはこの天井パネル18の振動に由来する車室内騒音を低減することができる。
【0047】
次に図5は側壁パネル20に対しその外面側(裏面側)に制振装置26を取り付けた状態を表している。
この制振装置26もまた基本的に図3及び図4に示す制振装置26と同様の構成を有するものである。
而してこのような制振装置26を側壁パネル20に装着しておくことで、側壁パネル20の振動を抑制し車室12内の振動騒音を低減することができる。
【0048】
次に図6は扉24に制振装置50を装着した状態を表している。
ここで扉24は表裏一対の扉パネル52,54とそれらを上端と下端とで連結する連結部56とを有しており、そしてそれらで囲まれた中空内部において、本例の制振装置50が扉パネル52の裏面に取り付けられている。
【0049】
図7に示しているように、制振装置50は金属製の剛性の外殻体58の内部を同じく金属製の剛性の仕切部材60にて仕切ってそこに複数の剛性のハウジング62を当り部として構成し、それぞれの遊動室44内部に金属製の断面円形且つ棒状のマス部材46を、その外周面を弾性体40で被覆した状態で所定の隙間Sをもって遊動状態に収容して成るもので、その外殻体58において扉パネル52の裏面に取付固定されている。
このように扉24に対し制振装置50を装着することによって、扉24の振動を抑制し、その扉24の振動により発生する騒音を低減することができる。
【0050】
尚図6及び図7の例では、遊動室44及びマス部材46を縦長に形成してそれを左右方向に連接しているが、場合によって外殻体内部を仕切部材によって上下左右に、例えば格子状に複数に分画して、それらにて画成される複数の遊動室44内に球状のマス部材を収容し、それら球状のマス部材をハウジングに当てることで制振をなすように構成することもできる。
【0051】
図8は手摺り22に制振装置64を取り付けた状態を表している。
この制振装置64はハウジング66を有していてその内部に遊動室44が形成され、そこにマス部材46がその外周面を弾性体40で被覆された状態で所定の隙間S,2Sを介して遊動状態で収容されている。
この制振装置64は、その外殻体をなすハウジング66においてパイプ状をなす手摺り22の内部に固定されている。
【0052】
以上のようにして手摺り22に制振装置64を取り付けることで手摺り22の振動、更にその手摺り22の振動による車室内騒音を低減することができる。
【0053】
以上本発明の実施例を詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明は上例以外の他の様々な車室構成部材或いは車室内の設置部材に制振装置を取り付けて、それらを制振するようになすことも可能であるし、また制振装置を上例以外の他の様々な形態で構成することも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制振装置の一形態例を従来のダイナミックダンパの一形態例と比較して概念的に示した説明図である。
【図2】本発明の制振装置を装着する車室部材を鉄道車両の車室とともに示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例である床パネルの制振装置を示す図である。
【図4】本発明の実施例である天井パネルの制振装置を示す図である。
【図5】本発明の実施例である側壁パネルの制振装置を示す図である。
【図6】本発明の実施例である扉の制振装置を示す図である。
【図7】図6の制振装置の要部拡大図である。
【図8】本発明の実施例である手摺りの制振装置を示す図である。
【符号の説明】
10 床パネル
12 車室
14 波打ちパネル
16 床表面パネル
18 天井パネル
20 側壁パネル
22 手摺り
24 扉
25,26,50,64 制振装置
38 当り部
40 弾性体
42,62 ハウジング
46 マス部材
S,2S 隙間
【発明の属する技術分野】
この発明は鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材の振動を抑制するための制振装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
鉄道車両にはブレーキ,空気ばね用等にコンプレッサが車室の床下に取り付けられている。
このコンプレッサは防振ゴムにて弾性支持されているが、この防振ゴムだけでは振動絶縁が十分でなく、コンプレッサで発生した振動が車室の床へ伝わってしまう。
【0003】
特に近年技術革新により車室の軽量化が進んでおり、コンプレッサからの振動が床に伝わると床パネルを振動させてしまう。そしてその床パネルの振動が更に側壁パネル,天井パネルへと伝わってそれらが振動してしまう。
鉄道車両の車室においては、その他連結器装置からの振動その他からの振動が伝わり、その結果車室全体が振動して「ゴォー」っといった騒音を発生させたり、車室の乗り心地を悪化させるといった問題を生ずる。
【0004】
この場合、例えばコンプレッサからの振動が床に伝わるのを防止する対策としてコンプレッサにダイナミックダンパを取り付けてこれを制振するといったことが考えられるが、この場合制振効果を出すためにはダイナミックダンパにおけるマス重量が重くなり過ぎるといった問題があり現実的な対策とはなり難い。
更にコンプレッサ以外の振動源からの振動入力によって車室部材が振動する問題に対してはこの方法では対策することができない。
【0005】
鉄道車両における車室の振動を抑制する手段として、従来例えば床構造を異なる床材料を複合的に組み合せ、中間部分に空気層を設けた構造とするなどのものが知られているが、本出願人の知る限り車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材そのものを制振することによって車室の振動ないし騒音を抑制するように成したものは未だ知られていない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような事情を背景としてなされたもので、鉄道車両における車室の振動を抑制し、騒音低減及び乗り心地性能を向上させることを目的とする。
その目的を達成するための請求項1の制振装置は、鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材の制振装置であって、前記車室部材と一体変位する剛性の当り部と、該当り部に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に該当り部に衝突するマス部材と、該当り部とマス部材との間に形成され、該マス部材を該振動方向に遊動させるための隙間と、それら当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体とを有していることを特徴とする。
【0007】
請求項2のものは、請求項1において、前記車室部材がパネルであることを特徴とする。
【0008】
請求項3のものは、請求項2において、前記パネルが床パネルであることを特徴とする。
【0009】
請求項4のものは、請求項2において、前記パネルが天井パネルであることを特徴とする。
【0010】
請求項5のものは、請求項2において、前記パネルが側壁パネルであることを特徴とする。
【0011】
請求項6のものは、請求項1において、前記車室部材が扉であることを特徴とする。
【0012】
請求項7のものは、請求項1において、前記車室部材が手摺りであることを特徴とする。
【0013】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、鉄道車両における車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材と一体変位する剛性の当り部と、その当り部に対し振動方向に遊動状態に設けられたマス部材と、それらの間に形成された隙間と、更にマス部材と当り部との間に介在する弾性体とを有する制振装置を車室部材に装着し、以って車室部材の振動を抑制するようになしたものである。
【0014】
この制振装置は次のように働く。
即ちこの制振装置の場合、車室部材が振動し始めるとこれと一体に当り部が変位し、車室部材の振動部と同期して振動し始める。
一方マス部材は当り部に対して振動方向に遊動状態にあるため、即ち当り部に対し同方向に独立して自由に移動するため、当り部の振動時にその当り部に衝突し、当り部の振動即ち車室部材の振動を打ち消すように作用する。
【0015】
このとき当り部に衝突したマス部材にはその当り部から逆向きに運動エネルギーが与えられ(従って当り部の振動エネルギーの一部がマス部材の運動エネルギーとして吸収される)、マス部材は逆方向に運動を行う。
そして最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突してそこで再び当り部、即ち車室部材の振動を打ち消すように作用する。
【0016】
マス部材は以後も同様の運動を当り部とは逆位相ないし異なった位相で繰り返し行い、衝突の度に当り部の振動エネルギーを吸収するとともに、これを自身の運動エネルギーに変換して振動する当り部に衝突し続ける。これによるエネルギー吸収によって車室部材の振動エネルギーが減衰し効果高く制振される。
【0017】
尚、当り部とマス部材との何れもが剛体から成っていると、衝突時に大きな異音(衝突音)が発生してしまう。
しかるに本発明における制振装置では、当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成してあるため、衝突時に大きな異音が発生する問題がないとともに、衝突時における滑り摩擦,弾性体の粘性挙動により振動エネルギーが熱に変換・吸収され、即ち弾性体による制振作用が働いて振動部の振動減衰が助長される。
【0018】
尚、前述のようにコンプレッサにダイナミックダンパを取り付ける代りに車室部材にダイナミックダンパを装着して車室部材の振動を抑制するといったことも考えられる。
このダイナミックダンパは、振動部に対しダンパマスをばねを介して付加するもので、それらダンパマスとばねとから成る付加振動系の固有振動数を、主振動系の固有振動数(振動部の固有振動数)に対しチューニングすることで、振動部の共振倍率を低くし制振することができる。
【0019】
しかしながらダイナミックダンパによる制振では、単一の共振周波数の振動に対して効果を発揮するに過ぎず、他の周波数の共振を有効に防止することができない。即ち複数の周波数の共振に対しては有効でない。
しかもダイナミックダンパの場合には共振点の前後に新たに別の共振を生じる問題がある。
加えてばねとしてゴム弾性体を用いたときに、ゴム弾性体のばね定数が温度によって変化するために制振特性の温度依存性が高く、高温時や低温時に制振効率が減少してしまう。
【0020】
更にまたダイナミックダンパではダンパマスとして大きな質量が必要であって(振動部材の10%程度の質量が必要)、装置全体の重量が重くなるとともに、必要な設置スペースも大きく、更にまた制振可能な方向も定まっていて、多方向の振動に対して有効に働かないといった種々の問題が内在している。
【0021】
しかるに本発明における制振装置では、マス部材を独立移動可能に設けておいて、これを制振すべき車室部材の振動部とは逆位相ないし異なった位相で運動させて当り部に衝突させ、振動エネルギーを吸収減衰するものであるため周波数依存性が特になく、広い周波数範囲に亘って振動を抑制することができ、また衝突方向を多方向に取ることが容易且つ簡単であって、多方向の振動を抑制することができ、しかも温度に対する依存性も小さく、高温から低温までの幅広い温度範囲で良好な制振効果を発揮する。
またマス部材の必要な質量も軽量で足り(振動部材の5%程度の質量で足りる)、装置全体の所要スペースも小さくコンパクトにでき、尚且つ振動部に対し簡単に装着できるなど種々の特長を有している。
【0022】
因みに図1は本発明における制振装置の一形態例をダイナミックダンパと比較して模式的に表したもので、図中1はその制振装置を、2はダイナミックダンパを表している。
尚、3は制振装置1におけるマス部材、4はマス部材3の外周面即ち当り面に形成した弾性体を、5は当り部を成すハウジングを示しており、また6はダイナミックダンパ2におけるダンパマス、7はばね(ゴム)を、更に8は振動部材(車室部材)を示している。
【0023】
図1(B)は振動部材8に対して制振装置1を装着したときの制振効果をダイナミックダンパ2を装着した場合及びそれらを装着しない場合との比較において表したものである。
但し図1(B)中cが制振装置1を装着した場合、bがダイナミックダンパ2を装着した場合、aがそれらの何れをも装着しない場合をそれぞれ示している。
【0024】
この図1(B)の制振特性から分るように、図1(A)(イ)のダイナミックダンパ2を装着した場合、特定の周波数領域(ここでは高周波数側の領域)において共振を抑制できるものの、共振点の前後に別の新たな共振を生じており、更に低周波数側での共振に対しては効果を現していないが、図1(A)(ウ)の制振装置1の場合、高周波数側においても低周波数側においても効果を現しており、更にまた共振点の前後に別の新たな共振を生ぜしめるといった現象も生じない。
【0025】
以上から明らかなように、本発明に従う制振装置を鉄道車両における車室部材に装着することで、その車室部材の振動を良好に抑制でき、ひいては車室に伝わる振動を効果的に抑制できる。
これにより車室の騒音レベルを低減し、また乗り心地を良好となすことができる。
【0026】
本発明において、剛性の当り部は鉄,アルミニウム合金等の金属や硬質の樹脂その他の硬質材にて構成することができる。
またマス部材はそれ自体、ゴム,樹脂等の弾性体にて構成することができる。但しこの場合、その内部に金属粉等を混入させて成る高比重ゴム,高比重樹脂等として構成しておくことが望ましい。尚、マス部材をゴム,樹脂等の弾性体で構成する場合には、マス部材自体によって、剛性の当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成されるゴム,樹脂等の弾性体を構成することが可能である。
またこのマス部材は、ゴム,樹脂等の弾性体の発泡体として構成することもできる。
但しより効果的な制振をなす上でマス部材は鉄,アルミニウム合金,鉛等の金属でこれを構成しておくことが望ましい。その場合には、剛性の当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面にゴム,樹脂等の弾性体が形成される。
【0027】
本発明において、上記隙間はマス部材を当り部に対し最も効果的に衝突させる上で重要な意味があり、この意味において隙間は0.05〜2.0mmの範囲で形成するのが望ましく、より望ましくは0.2〜1.0mmの範囲である。
【0028】
本発明においては、上記弾性体としてゴム,樹脂を用いることができる。
ここでゴムとしては例えばNR,SBR,BR等のジエン系ゴム,EPDM系ゴム,ウレタン系ゴム,シリコン系ゴム等各種のゴムを用いることができる。
また樹脂としては例えばポリプロピレンやポリアミド等の熱可塑性樹脂,ポリオレフィンやウレタン,ポリエステル系の熱可塑性エラストマその他のものを用いることができる。
【0029】
ここで弾性体はマス部材又は当り部の当り面に加硫接着等によって接着固定しておいても良いし或いはまた非接着状態で当り面に形成しておくこともできる。
【0030】
本発明においては、制振装置における剛性の当り部を車室部材の一部をそのまま用いて構成することもできるし、或いは車室部材とは別体の部材にて構成することもできる。
【0031】
鉄道車両における車室内の騒音はパネルの振動によるものが主たるもので、従って本発明ではそのパネルに対し制振装置を装着してこれを制振するようになすのが効果的である(請求項2)。
鉄道車両における車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材のパネルとしては、床パネル,天井パネル,側壁パネル等があり、従ってそれらに対し制振装置を装着してそれら床パネル,天井パネル,側壁パネルを制振するようになすことができる(請求項3,請求項4,請求項5)。
【0032】
鉄道車両における車室内の騒音の原因の1つとして、他に扉の振動があり、従ってそのような扉に対し制振装置を装着してこれを制振することで効果的に車室内騒音を低減し、また乗り心地を改善することができる(請求項6)。
【0033】
請求項7は、車室部材としての手摺りに制振装置を装着してこれを制振するようになしたもので、このようになした場合手摺りの振動を抑制でき、手摺りを介して乗客の手や体に振動が伝わるのを防止できるとともに、手摺りの振動による車室内騒音を低減することができる。
【0034】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図2において、10は鉄道車両の車室12の構築部材としての床パネルで、補強用の波打ちパネル14と床表面パネル16との複合構造をなしている。
18は天井パネル、20は側壁パネルであり、22は車室内に設置された金属製の中空パイプからなる手摺りであり、24は扉である。
【0035】
図3(A)に示しているように、上記波打ちパネル14と床表面パネル16とのそれぞれには本例の制振装置25,26がそれぞれ装着されている。
図3(B)に波打ちパネル14に装着された制振装置25の具体的構成が示してある。
【0036】
同図において28は波打ちパネル14における上向きの突条部で取付孔30が設けられており、その取付孔30において制振装置25が波打ちパネル14に装着されている。
尚、制振装置25は突条部28のそれぞれに取り付けておいても良いし或いは適宜選択した突条部28、詳しくは振動の最も大きい箇所の突条部28にのみ取り付けておいても良い。
【0037】
32は制振装置25における金属製のマス部材で、突条部28の表面側に位置する水平な平板部34と、裏面側に位置する水平な平板部34と、それらを取付孔30において上下に連結する連結部36を有しており、全体として断面I字形をなしていて、それら平板部34,34及び連結部36にて形成される溝の内部に突条部28の水平な平板部が入り込んでいる。
【0038】
この例ではその溝内に入り込んだ突条部28の平板部が制振装置25における金属製の剛性の当り部38として構成されている。
即ちこの例では振動抑制すべき対象物である波打ちパネル14の一部が、制振装置25における剛性の当り部38として構成されている。
【0039】
マス部材32における溝の内面にはゴム等からなる弾性体40が形成されており、その弾性体40を介してマス部材32が当り部38、即ち波打ちパネル14における突条部28に当るようになっている。
ここで当り部38とマス部材32詳しくはそのマス部材32に形成された弾性体40との間には隙間S,2Sが形成されている。即ち制振装置25はマス部材32が隙間S,2Sを介して当り部38に対し遊動状態で装着されている。
【0040】
本例の制振装置25の場合、波打ちパネル14が振動し始めるとマス部材32が突条部28における制振装置25の装着部位、具体的には突条部28の一部にて構成された当り部38に衝突し、当り部38の振動即ち波打ちパネル14の振動を打ち消すように作用する。
このときマス部材32には波打ちパネル14から逆向きに運動エネルギーが与えられ、マス部材32は逆方向に運動を行う。そして最初の当り面とは逆位置にある当り面に再び衝突して波打ちパネル14の振動を打ち消すように作用する。
【0041】
マス部材32は以後も同様の運動を波打ちパネル14、具体的には突条部28における当り部38とは逆位相ないし異なった位相で繰返し行い、衝突の度に波打ちパネル14の振動エネルギーを吸収するとともに、これを自身の運動エネルギーに変換する。
これによりまたその際の滑り摩擦によるエネルギー吸収によって波打ちパネル14の振動エネルギーが減衰し、効果高く制振される。
【0042】
本例の制振装置25は、ダイナミックダンパと異なって周波数依存性が特に無く、広い周波数範囲に亘って振動を抑制することができ、また温度に対する依存性も小さく高温から低温まで幅広い温度範囲で良好な制振効果を発揮する。
またマス部材32の必要な質量も軽量で足りるため、装置全体の所要スペースは小さくコンパクトであり、従って狭い限られたスペースにおいても波打ちパネル14に対し容易に装着することができる。
【0043】
而してこのように波打ちパネル14に制振装置25を取り付けることで、波打ちパネル14の振動を効果的に抑制でき、車室12内の騒音レベルを低減し、また乗り心地を良好となすことができる。
【0044】
一方制振装置26は床表面パネル16の裏面に装着されている。
この制振装置26は、図3(C)に示しているように金属製の剛性の当り部としてのハウジング42を有しており、そのハウジング42において床表面パネル16の裏面に取付固定されている。
ハウジング42は断面円形の遊動室44を有しており、そこに断面円形の金属製のマス部材46が、その外周面を弾性体40で被覆された状態で遊動可能に収容されている。
【0045】
この例の制振装置26においても、床表面パネル16が振動するとこれと一体に振動する当り部としてのハウジング42に対しマス部材46が弾性体40を介して衝突し、その衝突の繰返しによって床表面パネル16の振動を良好に抑制する。
従ってこの床表面パネル16の振動に起因する車室12内騒音を低減することができる。
【0046】
図4は天井パネル18に制振装置26を装着した状態を示している。
ここで制振装置26は図3(C)に示す制振装置と基本的に同様の構成のものである。但し図3(C)では制振装置26が床表面パネル16の裏面に下向きに装着されているが、図4(B)では制振装置26が上下の向きを逆にして天井パネル18の上面に装着されている点で異なっている。
このような制振装置26を天井パネル18に装着しておくことで天井パネル18の振動を効果的に抑制でき、ひいてはこの天井パネル18の振動に由来する車室内騒音を低減することができる。
【0047】
次に図5は側壁パネル20に対しその外面側(裏面側)に制振装置26を取り付けた状態を表している。
この制振装置26もまた基本的に図3及び図4に示す制振装置26と同様の構成を有するものである。
而してこのような制振装置26を側壁パネル20に装着しておくことで、側壁パネル20の振動を抑制し車室12内の振動騒音を低減することができる。
【0048】
次に図6は扉24に制振装置50を装着した状態を表している。
ここで扉24は表裏一対の扉パネル52,54とそれらを上端と下端とで連結する連結部56とを有しており、そしてそれらで囲まれた中空内部において、本例の制振装置50が扉パネル52の裏面に取り付けられている。
【0049】
図7に示しているように、制振装置50は金属製の剛性の外殻体58の内部を同じく金属製の剛性の仕切部材60にて仕切ってそこに複数の剛性のハウジング62を当り部として構成し、それぞれの遊動室44内部に金属製の断面円形且つ棒状のマス部材46を、その外周面を弾性体40で被覆した状態で所定の隙間Sをもって遊動状態に収容して成るもので、その外殻体58において扉パネル52の裏面に取付固定されている。
このように扉24に対し制振装置50を装着することによって、扉24の振動を抑制し、その扉24の振動により発生する騒音を低減することができる。
【0050】
尚図6及び図7の例では、遊動室44及びマス部材46を縦長に形成してそれを左右方向に連接しているが、場合によって外殻体内部を仕切部材によって上下左右に、例えば格子状に複数に分画して、それらにて画成される複数の遊動室44内に球状のマス部材を収容し、それら球状のマス部材をハウジングに当てることで制振をなすように構成することもできる。
【0051】
図8は手摺り22に制振装置64を取り付けた状態を表している。
この制振装置64はハウジング66を有していてその内部に遊動室44が形成され、そこにマス部材46がその外周面を弾性体40で被覆された状態で所定の隙間S,2Sを介して遊動状態で収容されている。
この制振装置64は、その外殻体をなすハウジング66においてパイプ状をなす手摺り22の内部に固定されている。
【0052】
以上のようにして手摺り22に制振装置64を取り付けることで手摺り22の振動、更にその手摺り22の振動による車室内騒音を低減することができる。
【0053】
以上本発明の実施例を詳述したがこれらはあくまで一例示であり、本発明は上例以外の他の様々な車室構成部材或いは車室内の設置部材に制振装置を取り付けて、それらを制振するようになすことも可能であるし、また制振装置を上例以外の他の様々な形態で構成することも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制振装置の一形態例を従来のダイナミックダンパの一形態例と比較して概念的に示した説明図である。
【図2】本発明の制振装置を装着する車室部材を鉄道車両の車室とともに示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例である床パネルの制振装置を示す図である。
【図4】本発明の実施例である天井パネルの制振装置を示す図である。
【図5】本発明の実施例である側壁パネルの制振装置を示す図である。
【図6】本発明の実施例である扉の制振装置を示す図である。
【図7】図6の制振装置の要部拡大図である。
【図8】本発明の実施例である手摺りの制振装置を示す図である。
【符号の説明】
10 床パネル
12 車室
14 波打ちパネル
16 床表面パネル
18 天井パネル
20 側壁パネル
22 手摺り
24 扉
25,26,50,64 制振装置
38 当り部
40 弾性体
42,62 ハウジング
46 マス部材
S,2S 隙間
Claims (7)
- 鉄道車両において車室を構築し若しくは車室内に設置される車室部材の制振装置であって、
前記車室部材と一体変位する剛性の当り部と、該当り部に対して振動方向に遊動状態に設けられ、振動時に該当り部に衝突するマス部材と、該当り部とマス部材との間に形成され、該マス部材を該振動方向に遊動させるための隙間と、それら当り部とマス部材との少なくとも一方の当り面に形成された弾性体とを有していることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。 - 請求項1において、前記車室部材がパネルであることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。
- 請求項2において、前記パネルが床パネルであることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。
- 請求項2において、前記パネルが天井パネルであることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。
- 請求項2において、前記パネルが側壁パネルであることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。
- 請求項1において、前記車室部材が扉であることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。
- 請求項1において、前記車室部材が手摺りであることを特徴とする鉄道車両における車室部材の制振装置。
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